説明

生体情報収集装置

【課題】患者にとっての負担が少なく、また機器の使用者にとって使い勝手の良い生体情報収集装置を提供する。
【解決手段】生体情報収集装置本体1に、医師等からの機器の起動モードに関する情報を記憶する設定記憶部17を備え、制御部15が生体情報収集装置本体1を起動させる場合、設定記憶部17に記憶されたモードで機器を起動させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者及びその家族が家庭に居ながらにして各種測定機器により自分自身、あるいは患者の生体の様々な情報を採取し、その情報を健康管理に用いる、あるいは病院に伝送することにより医師による遠隔診療を行うことを可能とする生体情報収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種医療機器を用いることにより自分自身、あるいは患者の生体の様々な生体情報を採取し、その生体情報を用いて健康管理を行う、あるいはそうして得られた生体情報を病院等に伝送することにより医師等による遠隔診療を実現するという生体情報収集装置が考案されている。
【0003】
このような機器を用いることにより患者の側にとっては、わざわざ病院等に出向いて体温、血圧等の生体情報を測定する必要を回避することが可能となり、移動時間、待ち時間等を削減できることで身体への負担の低減と拘束時間の低減が可能となる。また、医師等の側にとっても一人の患者の診療に費やすことのできる診療時間を延ばすことが可能となり、診療の質的な向上が実現できる。すなわち、このような機器を用いることにより、従来の医療行為と比較すると患者と医師等の双方にとっての利便性の向上を実現できるという特徴を有するものである。
【0004】
また、通院診療と遜色のない遠隔診療を実現するために、生体情報収集装置には複数の機能が加えられている場合がある。例えば、数値結果で表現困難である顔色や傷の具合、あるいは皮膚状態等の生体情報を医師側に伝えるため、カメラユニットを搭載した生体情報収集装置などが考案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−34935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにカメラユニットなどを搭載し、多くの機能を有する生体情報収集装置の場合、目的とする機能を実現させるために必要となる操作の回数は自然と多くなってしまう。
【0006】
複数の機能から目的とする機能を容易に選択する技術としては、一般には各機能を表したメニューから目的の機能を選択する手段が存在するが、昨今の機能の複雑化に伴いメニューを構成するモードの階層も次第に複雑、多岐になっている。
【0007】
このような構成の生体情報収集装置においては、患者あるいはその家族が機器を使用する場合、機器が起動すると常に予め設定されているモード(初期モード)に遷移してしまうため、患者あるいはその家族が、医師等が必要としている患者の生体情報の測定を怠ってしまう、あるいはその生体情報を測定するモードへ遷移させるのが煩雑である等の課題が存在し、非常に使い勝手が悪く、また時間的なロスが多いため患者に与える負担が大きいという課題が存在している。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたもので、患者にとって負担が少なく、また機器の使用者にとって使い勝手の良い生体情報収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の生体情報収集装置は、生体情報の収集、および収集した生体情報の処理を行う機能を複数のモードを遷移させて選択する生体情報収集装置であって、通信ネットワークにより医師側の機器と接続される際に起動モードに関する設定情報を受信する設定受信部を備えた構成としている。
【0010】
この構成により、使用者自らが行わなければならない生体情報の収集を必要とされるモードへの遷移という機器の操作を回避し、患者の負担の軽減と、使用者にとっての使い勝手の向上、時間的なロスの低減が可能となる。
【0011】
また、本発明の生体情報収集装置は、起動モードに関する設定情報を複数個受信することが可能な構成としている。
【0012】
この構成により、使用者が機器を使用する毎に測定しなければならない項目が変わる場合等にでも、使用者自らが行わなければならないそのモードへの遷移を不要なものとすることが可能となり、使い勝手の向上と時間的なロスの低減が可能となる。
【0013】
さらに、本発明の生体情報収集装置は、起動から複数個のモードを順に遷移する構成ととしている。
【0014】
この構成により、患者が複数の生体情報の収集等を行う必要のある場合等にでも、自らが行わなければならない生体情報を収集するモードへの遷移を機器が自動的に行なう構成とすることが可能となり、使い勝手の向上と時間的なロスの低減、さらに測定を忘れるということがなくなり、患者と医師等の双方にとっての利便性の向上を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、生体情報の収集、および収集した生体情報の処理を行う機能を複数のモードを遷移させて選択する生体情報収集装置であって、電話回線等により医師側の機器と接続される際に次回以降使用する場合の起動モードに関する設定情報を受信する設定受信部を備えることにより、患者の負担の軽減と、使用者にとっての使い勝手の向上、時間的なロスを低減させるという効果をもたらす生体情報収集装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の生体情報収集装置について、図面を用いて説明する。
【0017】
本発明の実施の形態の生体情報収集装置を図1、図2に示す。図1は、本発明の生体情報収集装置の構成を示した斜視図、図2は背面図である。
【0018】
図1及び図2において、生体情報収集装置本体1の側面には各種生体情報等を採取する為の体温計、あるいは血圧計等という医療機器2と電気的に接続し、生体情報収集装置本体1と医療機器2との間において、生体情報等の送受信を可能とする接続部3を有している。また、生体情報収集装置本体1には、機器の各種の機能を選択する場合、あるいは生体情報等を伝送する場合、更には医師等からの質問等に回答する場合等に用いる数字や文字等を入力する為のスイッチ類により構成されたスイッチ部4がその上面に構成されている。また、表示部5はLCD等で構成され、その周囲を支える樹脂製のフレーム6により生体情報収集装置本体1の上面に固定されており、各種の生体情報やデータ、使用方法等の表示を行う為のものである。
【0019】
さらに、生体情報収集装置本体1には、その背面に信号線等を用いて電話回線等の一般公衆回線と電気的に接続し、生体情報等を病院等に勤務している医師等の元に送信する、あるいはその医師等からの情報や指示、アドバイス等を受信する送受信部7、さらには商用電源に接続される電源コード8が構成されている。通信ネットワークとしては、電話回線に限らず、インターネットなどを利用してもよい。
【0020】
また、図3において、医療機器2の一例として血圧計9を示した。血圧計9は、その本体部分に測定ボタン10、及び測定した生体情報を生体情報収集装置本体1に送信する送信ボタン11を有している。さらに、測定する場合に患者の上腕部に取り付ける部分である装着部12と、生体情報収集装置本体1の接続部3とリード線13を介して電気的に接続される送信部(図示せず)も有する構成となっている。
【0021】
さらに、図4は生体情報収集装置の作動をブロック図も用いて示したものである。図4において、制御部15は複数の電子部品により構成されており、生体情報収集装置本体1のすべての作動を司るものであり、前述のスイッチ部4、表示部5、送受信部7もまたこの部分により制御されている。また、電源コード8から供給される電力は、電源部16により低電圧の電力に変換された後、前述の制御部15に供給される。さらに、設定記憶部17は生体情報収集装置本体1が起動する場合の初期モードを記憶するという役割を担っている。ここで、設定記憶部17は電話回線等を用いて医師等の側の機器と接続した場合に、その機器から送信される次回生体情報収集装置本体1を起動させた場合の初期のモードに関する設定を受信して記憶する(記憶を更新する)ように構成されている。
【0022】
以上のように構成された生体情報収集装置において、以下にその動作、及び作用を説明する。まず最初に、患者あるいはその家族等の使用者は、患者の各種生体情報等を測定しようとした場合、適切な医療機器2を選択する。本実施例においては、医療機器2として血圧計9を用いる場合について説明する。血圧計9を用意した後、患者あるいはその家族等の使用者は、血圧計9の装着部12を患者の上腕の適切な部分に装着する。そして、測定ボタン10を操作する。すると、血圧計9内のポンプ(図示せず)から装着部12内へ空気の注入が開始され、装着部12内が加圧されることにより、測定が開始する。暫くして、装着部12内が所定の圧力まで加圧されると、ポンプは作動を停止する。その後、血圧計9に内蔵された減圧弁(図示せず)の作用により装着部12内の圧力が減圧されることにより血圧計内の制御回路(図示せず)が、患者の脈動に起因する装着部12内の微小な圧力の変化を検出して、最高血圧、最低血圧、脈拍数等の測定が行われる構成となっている。血圧測定が終了した後、患者あるいはその家族等の使用者は、リード線13を用いて生体情報収集装置本体1の接続部3と血圧計9の送信部(図示せず)を電気的に接続する。その後、使用者が血圧計9に設けられた送信ボタン11を操作することにより、血圧計9で測定された、最高血圧、最低血圧、脈拍数といった生体情報は生体情報収集装置本体1に収集され、場合によっては表示部5に表示される構成となっている。このようにして収集された生体情報等は、使用者がスイッチ部4を所定操作することにより生体情報収集装置本体1の背面に構成された送受信部7から電話回線等の一般公衆回線を経由して、病院等に勤務している医師等の機器に送信され、医師等による遠隔診療を実現する構成となっている。
【0023】
また、医師等が必要とする患者の生体情報は時と場合により異なるのが通常である。そのため、送受信部7を介しては医師等の機器から次回生体情報収集装置本体1を使用する場合の起動のモードに関する設定情報も生体情報収集装置本体1に伝送される構成となっており、その設定情報は設定記憶部17に記憶される。患者あるいはその家族等の使用者が患者の生体情報等の収集が終了し、生体情報収集装置本体1の電源を切断すると次回起動される場合、制御部15は設定記憶部17に記憶されている設定情報に基づき自動的にそのモードで機器を立ち上げる構成となっている。これにより、医師等が必要とするモードで患者あるいはその家族等の使用者が機器を使用することを促し、必要とする患者の生体情報の収集を確実に行うことが可能となる。さらに、煩雑な生体情報収集装置本体1の操作を軽減し、患者の負担を軽減することが可能となり、使い勝手の良い生体情報収集装置を実現することが可能となる。
【0024】
また、以上の説明においては、設定記憶部17に記憶される設定情報を1モードとしたが、例えば第一の設定情報と第二の設定情報というように複数の設定情報を記憶することが可能な構成とすることにより、機器が曜日毎に異なった起動モードで立ち上がる構成を実現し、必要とされる生体情報の収集を容易に行うことが可能な生体情報収集装置を実現できる。または、起動時、パスワードを入力することで、複数の設定情報のなかから、所定の設定情報を選択できるようにしてもよい。
【0025】
さらに、設定記憶部17を複数個の設定情報を順に記憶することが可能な構成とすることにより、医師等が複数の生体情報の測定を必要としている場合等に、使用者の側で測定モードを移動させなければならないという煩わしい操作を回避することが可能となり、有効である。その場合における効果も上述の実施例の場合と同等であり、患者の負担を軽減することが可能となり、使い勝手の良い生体情報収集装置を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明にかかる生体情報収集装置は、患者の負担の軽減と、使用者にとっての使い勝手の向上、時間的なロスを低減させるという効果を有し、患者及びその家族が家庭に居ながらにして各種測定機器により自分自身、あるいは患者の生体の様々な情報を採取し、その情報を健康管理に用いる、あるいは病院に伝送することにより医師による遠隔診療を行うことを可能とする生体情報収集装置等に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態における生体情報収集装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態における生体情報収集装置の背面図
【図3】本発明の実施の形態における医療機器の一例の参考図
【図4】本発明の実施の形態における生体情報収集装置のブロック図
【符号の説明】
【0028】
1 生体情報収集装置本体
3 接続部
7 送受信部
15 制御部
17 設定記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報の収集、および収集した生体情報の処理を行う機能を複数のモードを遷移させて選択する生体情報収集装置であって、通信ネットワークにより医師側の機器と接続される際に起動モードに関する設定情報を受信する設定受信部を備えた生体情報収集装置。
【請求項2】
前記起動モードに関する設定情報を複数個受信することが可能な請求項1記載の生体情報収集装置。
【請求項3】
起動から複数個のモードを順に遷移する構成とした請求項1および2記載の生体情報収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−117435(P2007−117435A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314089(P2005−314089)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】