説明

生体情報測定装置、生体情報表示方法、および表示プログラム

【課題】生体情報を効率的に表示する生体情報測定装置を提供する。
【解決手段】携帯型心電計100は、心電波形から不整脈の種類を判定し、属性として、波形データ、記録日時と共に記録する。そして、表示する際、周期的な時系列のうち、周期内の時系列を一方の軸に、その周期の連続による時系列を他方の軸に設定し、これら軸で表現されるグラフに属性をプロットして表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は生体情報測定装置、生体情報表示方法、および表示プログラムに関し、特に、生体情報を効率的に表示する生体情報測定装置、生体情報表示方法、および表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の生体情報を測定する装置の代表例として心電測定記憶装置(以下、心電計)や血圧測定装置(以下、血圧計)や脈波測定装置(以下、脈波計)などがある。心電計を用いて心電図を測定する検査は、病院内での12誘導心電図検査や、24時間記録を行なうホルター心電図検査などがある。しかし、これらの検査でも発見し難いような頻度の低い不整脈には、イベント型心電図を用いることが有用と近年、認められつつある。
【0003】
中でも、心臓手術の後の、不整脈などの症状の再発の有無は、これまでは、患者の自覚症状のみから判断されていた。しかし、実際には自覚症状がなくとも再発がある場合がある。また手術直後ではなく、数日経ってからの再発もあることがわかってきている。そのため、これらの発見にイベント型心電図が有用であることが知られてきている。同様のことは手術後のみならず、投薬治療中の経過観察においても見られると考えられる。
【0004】
しかしながら、実際にイベント型心電計のような携帯型心電計を用いてこのような経過観察を行なうには、2週間から1ヶ月に渡って、患者が携帯型心電計を携行して日常生活を行ない、症状を自覚した際や医師から指示されたタイミング(たとえば起床後、就寝前など)に患者自身の操作により心電図の記録を行なうことになる。このように記録された心電図データは1回では数十秒から数分程度のものであるが、患者が携行した期間中の総データ数は数百に及ぶことになる。
【0005】
同様のことは、他の装置にも当てはまる。たとえば、血圧計や脈波計も、近年小型化され、在宅施療に用いられるようになってきている。それらは、たとえば起床後、就寝前など、医師の指示されたタイミングや所定の症状を自覚した際に用いられ、そのときの血圧や脈波が記録される。このようにして患者が携行した期間中の総データ数もまた数百に及ぶことになる。
【0006】
患者はこのようにして測定・記録されたデータを病院に持参し、医師の診察を受ける。その診察時に、医師がこれらすべてのデータを確認すると、そのデータ数が膨大であるため、重要な症状など診察に有用なデータを抽出することが極めて困難であるという問題がある。
【0007】
従来、このような問題に対しては、たとえば特開平5−154117号公報(以下、特許文献1)や特表2006−510451号公報(以下、特許文献2)などが、心電図データそのものを表示するのではなく、不整脈などの異常を定量的に表現する指標(心拍数等)をトレンド表示する技術を開示している。このような表示を行なうことにより、医師が傾向を把握しやすくなる。
【特許文献1】特開平5−154117号公報
【特許文献2】特表2006−510451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来のトレンド表示では、一軸の時系列の中での指標値の増減は把握しやすいが「毎日、早朝に異常が多い」といった傾向が掴みにくい、という問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、周期的な時系列を2つの軸で表現して生体情報を効率的に表示することで、医師が患者の生体情報の経過推移と周期の中での傾向とを即時に概観できるような生体情報測定装置、生体情報表示方法、および表示プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、生体情報測定装置は、被験者の生体信号を検出する検出手段と、生体信号に基づいた生体情報について、属性を判断する判断手段と、属性に格納される日時に関する情報を付加して記憶領域に格納する格納手段と、周期的な時系列のうちの周期内の時系列を表わす第1の軸、および周期の連続による時系列を表わす第2の軸に表現される領域に、属性を配置して得られるグラフを表示するための信号を生成する生成手段とを備える。
【0011】
好ましくは、生体情報測定装置は、判断手段で用いられるしきい値を記憶する記憶手段をさらに備え、判断手段は、生体情報としきい値とを比較することで、生体情報について属性を判断する。
【0012】
より好ましくは、生体情報は心電波形であり、判断手段は、心電波形について、不整脈の種類に基づく属性を判断する。
【0013】
好ましくは、格納手段は、属性に関連付けて、生体信号に基づいた生体情報を記憶領域に格納し、生体情報測定装置は、グラフに示される属性を選択する選択手段をさらに備え、生成手段は、選択手段で選択された属性に関連付けて記憶領域に格納された生体情報を表示するための信号を生成する。
【0014】
好ましくは、生体情報測定装置は、第1の軸および第2の軸のうちの少なくとも一方の軸を設定する設定手段をさらに備える。
【0015】
本発明の他の局面に従うと、生体情報表示方法は、生体情報測定装置で得られた生体情報に基づく情報を表示する方法であって、格納される日時に関する情報が付加されている、生体情報の属性を、記憶領域から取得するステップと、周期的な時系列のうちの周期内の時系列を表わす第1の軸、および周期の連続による時系列を表わす第2の軸に表現される領域に、属性を配置して得られるグラフを表示するための信号を生成するステップとを備える。
【0016】
好ましくは、生体情報表示方法は、表示させる期間の指定を受付けるステップをさらに備え、属性を取得するステップは、付加されている日時に関する情報が指定された上記期間内である生体情報の属性を取得する。
【0017】
好ましくは、生体情報表示方法は、被験者の生体信号を検出するステップと、生体信号に基づいた生体情報について、属性を判断するステップと、属性に格納される日時に関する情報を付加して記憶領域に格納するステップとをさらに備える。
【0018】
好ましくは、生体情報は心電波形であり、属性は、不整脈の種類に基づく属性である。
本発明のさらに他の局面に従うと、表示プログラムは、生体情報測定装置で得られた生体情報に基づく情報を、コンピュータに表示させるためのプログラムであって、格納される日時に関する情報が付加されている、生体情報の属性を、記憶領域から取得するステップと、周期的な時系列のうちの周期内の時系列を表わす第1の軸、および周期の連続による時系列を表わす第2の軸に表現される領域に、属性を配置して得られるグラフを表示するための信号を生成するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、生体情報測定装置において測定された測定結果のデータ数が多くなった場合であっても、医師等、表示を確認するものが、当該期間の患者の状態変化および傾向を視覚的に容易に確認することができる。このことより、医師等が手術後の再発の確認や、投薬の効果の度合いの確認を行なうことができる。さらに、周期的な異常の傾向(たとえば、毎日早朝に異常が起こる)を容易に把握することができる。このことより、治療の中で、より注意すべき時間帯を把握することができる。また、より有効的な治療方法を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0021】
[第1の実施の形態]
(携帯型心電計の外観構成)
図1および図2は、第1の実施の形態にかかる生体情報測定装置の代表例であって、携帯型測定装置の代表例である、携帯型心電計100の概略斜視図である。携帯型心電計100は、主としてイベント型心電図検査に使用される携帯可能な心電計であり、被験者自身の操作によって生体情報の代表例である心電波形を測定する。
【0022】
図1および図2を参照して、本実施の形態にかかる携帯型心電計100は、携帯性に優れたものとなるように、片手で保持することが可能な大きさおよび重さにまで小型軽量化されている。携帯型心電計100は、扁平かつ細長の略直方体形状の外形を有する装置本体110を備えており、その外表面に表示部、操作部および測定電極などが配置されている。
【0023】
装置本体110の正面111の長手方向(図中矢印A方向)の一方端側には、測定開始を指示するための測定ボタン142が設けられており、他方端側には、表示部148が設けられている。この表示部148は、たとえば液晶ディスプレイなどによって構成され、測定結果や被験者の状態値を入力するための画面などを表示する。測定結果は、たとえば図1に示すように心電波形や数値データとして表示される。
【0024】
装置本体110の上面113の所定位置には、電源ボタン141が配置されている。電源ボタン141は、携帯型心電計100のON/OFFを操作する操作ボタンである。また、装置本体110に含まれる不揮発性メモリ155c(図5)が着脱可能であり、装置本体110に不揮発性メモリ155cが装着されるスロットが設けられる。不揮発性メモリ155cとしては、たとえばSD(Secure Digital)カードなどが挙げられる。装置本体110の上面113の所定位置には、蓋体である開閉カバー130が設けられている。この開閉カバー130は、上記スロットを閉状態において覆い隠すように設けられたものであり、装置本体110に対して開閉自在に取付けられている。
【0025】
装置本体110の下面114の所定位置には、各種の操作ボタンが配置されている。図示する携帯型心電計100においては、メニューボタン143、決定ボタン144、左スクロールボタン145、および右スクロールボタン146が配置されている。ここで、メニューボタン143は、携帯型心電計100の各種メニューを表示するための操作ボタンであり、決定ボタン144は、メニューや各操作を実行するために用いる操作ボタンである。そして左スクロールボタン145および右スクロールボタン146は、表示部148に表示される測定結果のグラフやガイド情報等をスクロールして表示させるための操作ボタンである。
【0026】
装置本体110の長手方向の一方端に位置する右側面115には、一対の測定電極のうちの一方の電極である負電極121と、身体の電位変化の基準となる電位を導出するための不関電極123とが配置されている。この右側面115は、後述する測定姿勢を被験者がとった際に被験者の右手の人差し指がフィットするように滑らかに湾曲した形状となっている。さらに、この右側面115には、上下方向に向かって延びる凹部115aが形成されている。この凹部115aは、被験者の右手の人差し指を受入れる形状となっている。
【0027】
上述の負電極121および不関電極123は、導電性部材にて形成されている。また、負電極121および不関電極123は、右側面115に設けられた凹部115a内において、その表面が装置本体110の外表面に露出した状態となるように配置されている。なお、負電極121は、右側面115の上面113寄りに位置しており、不関電極123は、右側面115の下面114寄りに位置している。
【0028】
装置本体110の長手方向の他方端に位置する左側面116には、一対の測定電極のうちの他方の電極である正電極122が配置されている。
【0029】
(携帯型心電計による測定)
図3は、本実施の形態にかかる携帯型心電計100を用いた被験者の測定姿勢を示す斜視図である。図4は、図3に示す測定姿勢を上方から見た図である。
【0030】
図3および図4を参照して、被験者300は、携帯型心電計100の装置本体110の一方端寄りを右手310で把持しつつ、装置本体110の他方端に位置する左側面116に設けられた正電極122(図2)を胸部350の左側下部に位置する第5肋間前腋窩線上の皮膚に直接接触させる。そして、右手310の親指311にて装置本体110の正面111に設けられた測定ボタン142(図1,図2)を押下する。そして、この状態を数十秒程度維持しつつ心電波形を測定する。
【0031】
このような測定姿勢をとることにより、携帯型心電計100の装置本体110の右側面115に位置する負電極121および不関電極123が被験者300の右手310の人差し指312に接触し、装置本体110の左側面116に位置する正電極122が被験者300の胸部350に接触した状態となる。これにより、負電極121に接触した右手310、胸部350に非接触の前腕320、同じく胸部350に非接触の上腕330および右肩340を介して正電極122が取付けられた胸部350の順で被験者の身体に測定回路が構成されるようになる。
【0032】
このように、負電極121、正電極122および不関電極123が被験者300の身体の一部から電気信号である生体信号を検出する。
【0033】
(携帯型心電計の機能構成)
図5は、本発明の実施の形態にかかる携帯型心電計100の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0034】
図5を参照して、携帯型心電計100は、負電極121、正電極122、不関電極123から構成される電極部120と、電源ボタン141、測定ボタン142、メニューボタン143、決定ボタン144、左スクロールボタン145、右スクロールボタン146を含んで構成される操作部140と、表示部148と、電源160と、処理回路150とを備える。
【0035】
処理回路150は、電極部120によって検出される生体信号(電気信号)を増幅するアンプ回路151と、ノイズ成分を除去するフィルタ回路152と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)コンバータ153と、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)154と、メモリ155とを含む。メモリ155は、ROM(Read Only Memory)155aと、RAM(Random Access Memory)155bと、不揮発性メモリ155cとを含む。なお、上述したように不揮発性メモリ155cは、スロット(図示しない)に対して着脱可能に構成される。
【0036】
電極部120によって検出される生体信号(電気信号)は、アンプ回路151によって増幅された後、フィルタ回路152でノイズ成分が除去され、さらにA/Dコンバータ153によって心電波形データ(デジタル信号)に変換される。CPU154は、このA/Dコンバータ153によって変換された心電波形データを不揮発性メモリ155cへ格納する。また、CPU154は、操作部140に含まれる各種操作ボタンからの指令信号を受信し、受信した指令信号に応じた処理を実行するとともに、表示部148への表示制御を行なう。
【0037】
さらに、CPU154は、判別部154aと、付加部154bと、表示処理部154cとをその機能として含む。なお、これらの機能は、代表的に、予めROM155aに格納されたプログラムがCPU154によってRAM155bに読み出されて実行されることで実現される。
【0038】
判別部154aは、A/Dコンバータ153から出力される心電波形データに対して解析処理を実行し、心電波形データの種別情報を判別する。判別部154aは、この判別結果を付加部154bへ出力する。付加部154bは、判別部154aからの種別情報と、CPU154に含まれる計時部(不図示)から得られる記録日時を示す情報とを含む属性情報を、心電波形データから得られるデータである測定結果180に付加し、不揮発性メモリ155cに格納する。不揮発性メモリ155cに格納される測定結果のデータ構造は後述する。
【0039】
表示処理部154cは、操作部140からの操作信号に従って不揮発性メモリ155cに格納された、属性情報が付加された心電波形データのうち、該当する心電波形データを読出し、表示部148に表示するための処理を行なう。なお、表示処理部154cとして機能するCPU154での表示処理のための機能構成については後述する。
【0040】
さらに、CPU154は、その内部にタイマ(図示せず)を含み、現在時刻を取得する。タイマの時刻設定は、CPU154からの制御信号によって行なわれるものとする。
【0041】
(測定処理手順)
図6は、本実施の形態にかかる携帯型心電計100における心電波形の測定処理を示すフローチャートである。
【0042】
図6を参照して、まず、CPU154は、測定ボタン142(図1,図2)の押下により心電波形の測定開始の指示が入力されると、被験者の心電波形の測定を開始する(ステップS100)。より具体的には、アンプ回路151が電極部120によって検出された電気信号を増幅し、増幅された電気信号に対してフィルタ回路152がノイズの除去を行なう。そして、A/Dコンバータ153がノイズの除去後の電気信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。CPU154は、A/Dコンバータ153において変換されたデジタル信号を取得し、表示部148にリアルタイム表示するとともに、RAM155bに一時的に格納する。
【0043】
このような処理が、たとえばタイマ(図示せず)などにより規定時間の間継続的に実行される(ステップS102)。
【0044】
図7は、本実施の形態にかかる携帯型心電計100の表示部148における測定中の表示例を示す図である。
【0045】
図7を参照して、表示部148には、測定された心電波形161が所定時間分だけ表示されるとともに、測定の進行によって右または左にスクロールして新たに測定された心電波形に随時更新される。また、心電波形161と同一画面上に、60拍/分を意味する「60bpm」と示された単位時間当たりの心拍数データ162が表示されている。なお、測定中に表示する項目はこれに限られず、他の情報を表示するようにしてもよい。
【0046】
再度、図6を参照して、判別部154aとして機能するCPU154は、RAM155bに格納した心電波形データに対して解析処理を実行し、心電波形データの種別情報を判別する(ステップS108)。より具体的には、判別部154aとして機能するCPU154は、RAM155bに格納した心電波形データに現れる特徴的な時間変化を抽出することで心電波形データの種別情報を判別する。
【0047】
図8(A)および図8(B)は、本実施の形態にかかる携帯型心電計100における心電波形データの種別情報の判別処理を説明するための図である。図8(A)は、電極部120によって検出される生体信号(電気信号)の波形を示し、図8(B)は、図8(A)に示す生体信号をフィルタ処理した後の波形を示す。
【0048】
図8(A)および図8(B)を参照して、判別部154aとして機能するCPU154は、図8(A)に示すような電極部120によって検出される生体信号に対して、一種の低域通過フィルタ(LPF)に相当するフィルタ処理を行なって、低周波成分を抽出する。すると、図8(B)に示すような時間波形が得られる。さらに、CPU154は、図8(B)に示す時間波形のうち、所定のしきい値レベルThを超える成分を「R波」成分として抽出する。このように、判別部154aとして機能するCPU154は、電極部120によって検出される生体信号に現れる特徴的な時間変化を抽出する。
【0049】
さらに、CPU154は、このR波成分に基づいて、たとえば不整脈を検出するための処理を行なう。不整脈の種類としては、たとえば「徐脈」、「頻脈」、「上室性期外収縮」、および「心室性期外収縮」などがある。ここでは、CPU154は、正常な心電波形を表わす「正常洞調律」とともに、「徐脈」、「頻脈」、「上室性期外収縮」、および「心室性期外収縮」の5種類の種別情報を判別するものとする。なお、種別情報はこれらに限られず、他の項目を追加してもよい。
【0050】
ここで、上記5項目の種別について簡単に説明する。一般的に、「徐脈」とは、心拍数が1分間に50回以下であることをいい、「頻脈」とは、心拍数が1分間に100回以上あることをいう。この「徐脈」または「頻脈」は、図8(B)に示すR波の波間隔180に基づいて判別される。「上室性期外収縮」とは、R波間隔が不規則であることをいい、たとえばR波のリズムが崩れたり、1拍抜けたりすることをいう。この「上室性期外収縮」は、図8(B)に示すR波の波間隔180に基づいて判別される。「心室性期外収縮」は、「VPC(Ventricular Premature Contraction)」とも称され、心臓の心室から発生した異所性興奮をいう。この「心室性期外収縮」は、図8(B)に示すR波ピークを形成する三角形の幅(QRS幅)184の大きさに基づいて判別される。これらの不整脈を判別する処理は、テンプレートマッチングを利用して行なわれてもよい。具体的には、予めこれらの不整脈の種別の基準となる波形を表わしたテンプレートを記憶しておいて、該テンプレートと測定された心電波形とをマッチングすることによって判別することができる。
【0051】
判別部154aとして機能するCPU154は、上述のような種別情報の判別処理によって、心電波形の各測定に対して種別情報を判別する。
【0052】
再度、図6を参照して、ステップS108での心電波形データの種別情報を取得すると、付加部154bとして機能するCPU154は、これらの情報を属性情報として、RAM155bに格納した心電波形データに対して付加(ステップS110)した上で、不揮発性メモリ155cに格納する(ステップS112)。より具体的には、この属性情報は、ヘッダ情報として心電波形データに付加される。そして、携帯型心電計100における心電波形の測定処理は終了する。
【0053】
図9は、不揮発性メモリ155cに格納される測定結果180のデータ構造の具体例を示す図である。
【0054】
図9を参照して、不揮発性メモリ155cに格納される測定結果180の各々は、一例として、「ID情報」、「記録日時」、「種別情報」、「波形データ」の4つのフィールド281〜284を含む。各フィールドの内容について概略すると、「ID情報」フィールド281は、各心電波形データを特定するための識別番号などを格納し、「記録日時」フィールド282は、各心電波形データの測定開始日時や測定期間などの情報を格納する。「種別情報」フィールド283は、判別部154aでの判別処理によって判別された種別情報を格納する。また、携帯型心電計100が、たとえば操作部140に測定者を指定するためのボタンを備えるなどして、被験者を特定して心電測定を行なう構成である場合、付加部154bとして機能する154は、測定結果に、被験者を特定するための識別番号を付加してもよい。この場合、上記ID情報フィールド281には、被験者を特定するための識別番号も格納される。
【0055】
なお、図9に示された例では、測定結果180として波形データが含まれているものとするが、必ずしも波形データは含まれていなくてもよく、少なくとも、「記録日時」および「種別情報」が含まれていればよい。
【0056】
(表示処理のための機能構成)
図10は、表示処理部154cとして機能するCPU154で、図9のように格納されている測定結果を表示する処理を行なうための機能構成を示す機能ブロック図である。
【0057】
図10を参照して、表示処理部154cとして機能するCPU154は、抽出部171と、配置部172と、軸設定部173と、表示データ生成部174とをその機能として含む。
【0058】
抽出部171は、表示させる測定結果の期間を入力可能な入力画面(不図示)を表示部148に表示させる。表示データ生成部174は予め入力画面を表示するための表示データを記憶しておき、抽出部171は、入力画面を表示させるための制御信号を表示データ生成部174へ出力する。抽出部171は、その入力画面に沿った入力に伴う操作信号を操作部140から受取り、その操作信号に従って表示させる測定結果の期間を特定する。そして、操作部140は、不揮発性メモリ155cに格納された測定結果の中から、特定された期間内の測定結果を抽出する。より具体的には、抽出部171は、不揮発性メモリ155cに格納された測定結果180の中から、特定された期間に含まれる日時が記録日時フィールド282(図9)に格納されている測定結果を抽出する。なお、その際、抽出部171は所定の抽出条件を用いて、上記期間内の測定結果であって、波形データフィールド284に格納されている波形データが抽出条件を満足している測定結果を抽出するようにしてもよい。抽出条件としては、たとえば体動などの影響を排するために設けられた振幅の上限値や下限値などが該当する。抽出条件は、予め抽出部171に記憶されているものとする。または、所定の操作によって抽出部171に登録あるいは変更することができてもよい。そして、抽出部171は、その抽出した測定結果を、配置部172へ出力する。
【0059】
軸設定部173は、測定結果をグラフ表示する際の、縦軸および横軸とするパラメータを設定する。ここで、好ましくは、軸設定部173は、周期的な時系列のうち、周期内の時系列を一方の軸に、その周期の連続による時系列を他方の軸に設定する。具体的には、一方の軸として縦軸に時刻(0時〜24時)を設定し、他方の軸として横軸に日(1日〜10日)を設定することが好ましい。他の例として、縦軸に曜日(日曜〜土曜)、横軸に週(第1週〜第4週)を設定することや、縦軸に月(1月〜12月)、横軸に年(第1年〜第10年)を設定すること、などが挙げられる。縦軸および横軸とするパラメータは、予め軸設定部173に記憶されていてもよい。または、軸設定部173は、縦軸および横軸とするパラメータ(または少なくとも一方の軸とするパラメータであってもよい)を入力可能な入力画面(不図示)を表示部148に表示させてもよい。この場合、表示データ生成部174が予め入力画面を表示するための表示データを記憶しておき、軸設定部173は、入力画面を表示させるための制御信号を表示データ生成部174へ出力する。軸設定部173は、その入力画面に沿った入力に伴う操作信号を操作部140から受取り、その操作信号に従って縦軸および横軸とするパラメータを設定(または変更)する。
【0060】
配置部172は、軸設定部173で設定された縦軸および横軸とするパラメータと、抽出部171から入力された測定結果とを用いて、測定結果をグラフ表示するための信号を生成する。具体的には、各測定結果について、測定結果180の種別情報フィールド283に格納されている種別情報を示すマークを、上記パラメータに従った縦軸および横軸で表現されるグラフの記録日時フィールド282に格納されている記録日時に対応する位置に配置するための処理を行なう。ここで、種別情報を示すマークとしては、たとえば、「正常洞調律」、「徐脈」、「頻脈」、「上室性期外収縮」、および「心室性期外収縮」の各々に対して「A」、「B」、「C」、「D」、および「E」などのマークの対応関係を予め記憶しておく。そして、配置部172は、この処理の結果を示す信号を表示データ生成部174へ出力する。言うまでもなく、マークは上記「A」〜「E」に限定されず、少なくとも1つの種別情報を他の種別情報と異ならせる表示であればよい。たとえば、すべて同じ形状であって色が異なるマークでもよいし、大きさの異なるマークであってもよいし、異なる動きを伴ったマーク(アニメーション)であってもよい。また、上述の種別である「正常洞調律」、「徐脈」、「頻脈」、「上室性期外収縮」、および「心室性期外収縮」は、心疾患の重症度が異なる。そのため、重症度の低いものから順に「A」〜「E」とマークを割当ててもよいし、重症度が一目でわかるようなマークを割当ててもよい。重症度に基づいた表示を行なうことで、測定結果のグラフ表示を患者自身などの医師(専門家)以外が見る場合であっても、患者の状態変化および傾向を視覚的に容易に確認することができる。そのため、患者自身でも周期的な異常の傾向を容易に把握することができ、適切な対応(防止策)を採ることができる。
【0061】
表示データ生成部174は、配置部172から入力された信号に基づいて表示データを生成し、表示部148に表示するための処理を行なう。ここでの処理は特定の処理に限定されず、通常の表示処理を採用することができる。
【0062】
(表示処理手順)
図11は、本実施の形態にかかる携帯型心電計100における測定結果の表示処理を示すフローチャートである。
【0063】
図11を参照して、まず、抽出部171として機能するCPU154は、表示させる測定結果の期間を入力可能な入力画面を表示部148に表示させる(ステップS200)。そして、CPU154は、ユーザが上記入力画面を介して設定する期間を示す操作信号を操作部140から受取り(ステップS202)、操作信号に基づいて期間を特定する。
【0064】
続いて、抽出部171として機能するCPU154は、不揮発性メモリ155cに格納された測定結果の中から、特定された期間内の測定結果を抽出する(ステップS204)。
【0065】
続いて、軸設定部173として機能するCPU154は、少なくとも一方の軸とするパラメータを入力可能な入力画面を表示部148に表示させる(ステップS206)。そして、CPU154は、ユーザが入力画面を介して入力する、軸とするパラメータを受取り(ステップS208)、このパラメータを用いて縦軸および横軸を設定する(ステップS208)。
【0066】
抽出部171として機能するCPU154は、ステップS204で抽出した測定結果に基づいて、測定結果に含まれる種別情報を示すマークを、ステップS208で設定された縦軸および横軸で表現されるグラフの、その測定結果に含まれる記録日時に対応する位置に配置し、その配置した結果を示す信号を生成する(ステップS210)。
【0067】
表示データ生成部174として機能するCPU154は、ステップS210で生成された信号に基づいて、測定結果を表示させるための表示データを生成し、表示部148に表示する(ステップS212)。
【0068】
図12は、表示部148に表示される測定結果画面の表示例を示す図である。
図12を参照して、CPU154は、一例として、縦軸を時刻、および横軸を日としたグラフ領域に、各測定結果の種別情報を示すマーク「A」〜「E」をプロットしたグラフ190を表示する。また、上述のように、種別情報に替えて、重症度を示すマーク「A」〜「E」をプロットしたグラフを表示してもよい。
【0069】
第1の実施の形態にかかる携帯型心電計100で上記処理が行なわれることで、携帯型心電計100において、測定された心電波形の種別が、周期的な時系列のうち、周期内の時系列を一方の軸、その周期の連続による時系列を他方の軸としたグラフにプロットされて、効率的に表示される。そのため、たとえ、携帯型心電計100での測定結果が数百におよぶ場合であっても、それらが効率的に表示されるために、医師や被験者自身等、表示を確認するものは、当該期間の被験者の状態変化および傾向を視覚的に容易に確認することができる。これにより、医師や被験者自身等が手術後の再発の確認や、投薬の効果の度合いの確認を行なうことができる。さらに、周期的な異常の傾向(たとえば、毎日早朝に異常が起こる)を容易に把握することができる。表示を確認するものが医師等の施療する者である場合には、このことより、治療の中で、より注意すべき時間帯を把握することができる。また、より有効的な治療方法を選択することができる。また、表示を確認するものが被験者自身である場合には、このことより、自身の傾向に応じて、重症に至らないような対策を採ることができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
(生体波形表示システムの構成)
図13は、第2の実施の形態にかかる生体情報表示システムの代表例である心電波形表示システムSYSの概略構成図である。
【0071】
図13を参照して、心電波形表示システムSYSは、携帯型心電計100と、表示装置200とを備える。携帯型心電計100は、第1の実施の形態において説明された動作によって心電波形を測定する。携帯型心電計100の測定で得られた上述の測定結果は、一例として携帯型心電計100に着脱可能な不揮発性メモリ155cに格納されるとともに、この不揮発性メモリ155cは表示装置200に装着されて、携帯型心電計100での測定結果が表示装置200に転送される。
【0072】
なお、携帯型心電計100から表示装置200への測定結果の転送は不揮発性メモリ155c等の記録を介した転送に限定されず、その他の転送方法であってもよい。具体的には、たとえば携帯型心電計100が、専用回線を介して情報を他の装置との間でやり取りする通信機能を備える場合、携帯型心電計100と表示装置200とを上記専用回線(たとえばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等)で接続することで、携帯型心電計100から表示装置200へ上記専用回線を介して測定結果が転送されてもよい。同様に、赤外線通信などの無線通信を行なうことで、携帯型心電計100から表示装置200へ測定結果が転送されてもよい。
【0073】
表示装置200は、不揮発性メモリ155cに格納された測定結果を受入れて、その測定結果に基づいてモニタ部220にグラフ表示を行なう。
【0074】
携帯型心電計100の外観および構成は、図1および図2を用いて説明されたものと同様であり、機能構成は図5を用いて説明されたものと同様である。また、携帯型心電計100を用いた心電波形の測定方法は図3および図4を用いて説明されたものと同様である。なお、CPU154に含まれるタイマ(図示せず)の時刻設定は、CPU154からの制御信号では行なわれない構成であることが好ましい。より好ましくは、CPU154に含まれるタイマの時刻設定は、表示装置200から上記通信を介して入力される制御信号に従って行なわれる。携帯型心電計100においては、図6に示された測定処理が行なわれて、図9に示されたような測定結果が不揮発性メモリ155cに格納される。または、CPU154は、携帯型心電計100と表示装置200とがUSBケーブル等の専用回線で接続されるなどして上述の通信を開始した際に、自動的に、表示装置200のタイマと同期するようにタイマの時刻を設定するようにしてもよい。このようにすることで、携帯型心電計100で記録される測定結果の時刻情報の信頼性を確保することができる。
【0075】
なお、第2の実施の形態においては、携帯型心電計100の、付加部154bとして機能するCPU154は、測定結果に、属性情報として、当該携帯型心電計100自身を特定するための識別情報も付加する。当該携帯型心電計100自身を特定するための識別情報は、予めROM155aの所定領域に記憶されており、付加部154bとして機能するCPU154が測定結果に属性情報を付加する際に上記所定領域より読出し、付加する。そのため、第2の実施の形態においては、不揮発性メモリ155cに格納される測定結果180のID情報フィールド281には、当該携帯型心電計100自身を特定するための識別情報も格納される。
【0076】
(表示装置の機能構成)
図13を参照して、表示装置200は、代表的にコンピュータによって構成され、FD(Flexible Disk)駆動装置214およびCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)駆動装置215を備えたコンピュータ本体210と、キーボード230と、マウス240とをさらに含む。
【0077】
図14は、本実施の形態にかかる表示装置200を構成するコンピュータのハードウェア構成を示す概略構成図である。
【0078】
図14を参照して、コンピュータ本体210は、図13に示すFD駆動装置214およびCD−ROM駆動装置215に加えて、相互にバスで接続された、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)211と、メモリ212と、記憶装置である固定ディスク213と、インタフェイス部216とを含む。
【0079】
FD駆動装置214にはFD214aが装着され、CD−ROM駆動装置215にはCD−ROM215aが装着される。表示装置200は、CPU211がメモリ212などのコンピュータハードウェアを用いて、ソフトウェアを実行することで実現される。一般的に、このようなソフトウェアは、FD214aやCD−ROM215aなどの記録媒体に格納されて、またはネットワークなどを介して流通する。そして、このようなソフトウェアは、FD駆動装置214やCD−ROM駆動装置215などにより記録媒体から読取られて、または通信インタフェイス(図示しない)にて受信されて、固定ディスク213に格納される。さらに、固定ディスク213からメモリ212に読出されて、CPU211により実行される。
【0080】
モニタ部220は、CPU211が出力する生体波形などの情報を表示するための表示部であって、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。マウス240は、クリックやスライドなどの動作に応じたユーザ(代表的に、医師などの診断実施者)からの指令を受付ける。キーボード230は、入力されるキーに応じたユーザから指令を受付ける。CPU211は、プログラムされた命令を順次実行することで、各種の演算を実施する演算処理部である。メモリ212は、CPU211のプログラム実行に応じて各種の情報を記憶する。インタフェイス部216は、携帯型心電計100のメモリ155から属性情報が付加された測定結果を受取るための部位であり、本実施の形態においては不揮発性メモリ155cを装着可能なスロットおよびそのスロットを制御する周辺回路などから構成される。なお、不揮発性メモリ155cを装着可能なスロットに替えて、携帯型心電計100とデータ通信可能な通信インタフェイス部として構成してもよい。固定ディスク213は、CPU211が実行するプログラムや、携帯型心電計100のメモリ155から受取った属性情報が付加された心電波形データを格納する不揮発性の記憶装置である。また、表示装置200には、必要に応じてプリンタなどの他の出力装置が接続されてもよい。
【0081】
(表示装置の機能構成)
図15は、本発明の実施の形態にかかる表示装置200の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0082】
図15を参照して、表示装置200のCPU211は、抽出部211aと、配置部211bと、軸設定部211cと、表示データ生成部211dとをその機能として含む。なお、これらの機能は、各々、先に図10を用いて説明された、第1の実施の形態にかかる携帯型心電計100のCPU154に含まれる、抽出部171、配置部172、軸設定部173、および表示データ生成部174と同じ機能である。また、インタフェイス部216は、不揮発性メモリ155cが装着されると、不揮発性メモリ155cから、図9に示された測定結果180を読み出して、固定ディスク213に格納する。その際、好ましくは、測定データは、ID情報フィールド281に格納される携帯型心電計を特定するための識別情報に基づいて、携帯型心電計に対応した記憶領域に格納される。
【0083】
(表示処理手順)
本実施の形態にかかる表示装置200では、図11を用いて説明された携帯型心電計100における測定結果の表示処理と同様の表示処理が行なわれて、モニタ220に図12に示される測定結果画面が表示される。
【0084】
第2の実施の形態にかかる心電波形表示システムSYSが用いられる場合としては、たとえば携帯型心電計100を持参して医師の使用する表示装置200で測定結果を表示させる場合などが想定される。心電波形表示システムSYSにおいて上記処理が行なわれることで、携帯型心電計100において、測定された心電波形の種別が、周期的な時系列のうち、周期内の時系列を一方の軸、その周期の連続による時系列を他方の軸としたグラフにプロットされて、表示装置200で効率的に表示される。そのため、たとえ、携帯型心電計100での測定結果が数百におよぶ場合であっても、それらが表示装置200で効率的に表示されるために、表示装置200を使用して測定結果を確認している医師等は、当該期間の被験者の状態変化および傾向を視覚的に容易に確認することができる。これにより、医師や被験者自身等が手術後の再発の確認や、投薬の効果の度合いの確認を行なうことができる。さらに、周期的な異常の傾向(たとえば、毎日早朝に異常が起こる)を容易に把握することができる。表示を確認するものが医師等の施療する者である場合には、このことより、治療の中で、より注意すべき時間帯を把握することができる。また、より有効的な治療方法を選択することができる。また、表示を確認するものが被験者自身である場合には、このことより、自身の傾向に応じて、重症に至らないような対策を採ることができる。
【0085】
[変形例]
変形例として、第2の実施の形態にかかる表示装置200において、さらに、マウス240またはキーボード230によって、測定結果画面に表示されたマークを選択する操作(たとえばダブルクリックする操作)を受付けると、心電波形を表示するための表示処理が行なわれる。
【0086】
変形例においては、抽出部211aとして機能するCPU211は、マウス240またはキーボード230から入力される操作信号に基づいて選択された測定結果を特定し、その測定結果の波形データフィールド284に格納されている波形データを表示データ生成部211dに渡す。表示データ生成部211dとして機能するCPU211は、予め波形データ表示用の縦軸および横軸を記憶しておき、抽出部211aから入力された波形データを、モニタ220に表示するための処理を行なう。
【0087】
図16は、モニタ220に表示される測定結果画面の表示例を示す図である。たとえば図12に示される測定結果画面において、図16の丸印で示されたマーク「B」がダブルクリックされるなどして選択された場合、上述の処理が実行されて、マーク「B」に対応する測定結果の波形データフィールド284に格納されている波形データが図16に示されるように表示される。図16の例では、マークをプロットしたグラフ(図12)の上に選択されたマークに対応した波形データがポップアップで表示される例を示しているが、波形データの表示形態は、図16に示される形態に限定されず、たとえば波形データのみ表示する画面に切り替わってもよい。
【0088】
上記変形例は、第2の実施の形態にかかる表示装置200において行なわれる表示処理を説明したものであるが、第1の実施の形態にかかる携帯型心電計100の操作において、図12に示されたグラフにプロットされているマークを選択し決定する構成である場合には、言うまでもなく、第1の実施の形態にかかる携帯型心電計100において同様の表示処理が行なわれてもよい。
【0089】
このような構成にすることで、所定期間の測定結果を視覚的に容易に確認しつつ、必要な測定結果については、詳細な情報(波形データ)を確認することができる。
【0090】
なお、以上の具体例においては、携帯型測定装置が携帯型心電計である場合について述べているが、血圧測定装置や脈波測定装置等の、他の生体情報を測定する装置であっても同様に構成することで、同様の表示を行なうことができる。
【0091】
さらに、上述の携帯型心電計100または表示装置200などでの表示処理をコンピュータに実行させるための表示プログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するFD(Flexible Disk)、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0092】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーションシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0093】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0094】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本実施の形態にかかる携帯型心電計の概略斜視図である。
【図2】本実施の形態にかかる携帯型心電計の概略斜視図である。
【図3】本実施の形態にかかる携帯型心電計を用いた被験者の測定姿勢を示す斜視図である。
【図4】図3に示す測定姿勢を上方から見た図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる携帯型心電計の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本実施の形態にかかる携帯型心電計における心電波形の測定処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態にかかる携帯型心電計の、測定中の表示例を示す図である。
【図8】本実施の形態にかかる携帯型心電計における心電波形データの種別情報の判別処理を説明するための図である。
【図9】不揮発性メモリに格納される測定結果のデータ構造の具体例を示す図である。
【図10】表示処理部として機能するCPUで、図9のように格納されている測定結果を表示する処理を行なうための機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】本実施の形態にかかる携帯型心電計における測定結果の表示処理を示すフローチャートである。
【図12】表示部に表示される測定結果画面の表示例を示す図である。
【図13】第2の実施の形態にかかる生体情報表示システムの代表例である心電波形表示システムSYSの概略構成図である。
【図14】本実施の形態にかかる表示装置を構成するコンピュータのハードウェア構成を示す概略構成図である。
【図15】本発明の実施の形態にかかる表示装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図16】モニタに表示される測定結果画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
100 携帯型心電計、110 装置本体、111 正面、113 上面、114 下面、115 右側面、115a 凹部、116 左側面、120 電極部、121 負電極、122 正電極、123 不関電極、130 開閉カバー、140 操作部、141 電源ボタン、142 測定ボタン、143 メニューボタン、144 決定ボタン、145 左スクロールボタン、146 右スクロールボタン、148 表示部、150 処理回路、151 アンプ回路、152 フィルタ回路、153 コンバータ、154a 判別部、154b 付加部、154c 表示処理部、155 メモリ、155a ROM、155b RAM、155c 不揮発性メモリ、160 電源、161 心電波形、162 心拍数データ、171 抽出部、172 配置部、173 軸設定部、174 表示データ生成部、180 測定結果、200 表示装置、210 コンピュータ本体、211 CPU、211a 抽出部、211b 配置部、211c 軸設定部、211d 表示データ生成部、212 メモリ、213 固定ディスク、214 FD駆動装置、214a FD、215 CD−ROM駆動装置、215a CD−ROM、216 インタフェイス部、220 モニタ部、230 キーボード、240 マウス、281〜284 フィールド、300 被験者、310 右手、311 親指、312 人差し指、320 前腕、330 上腕、340 右肩、350 胸部、SYS 心電波形表示システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の生体信号を検出する検出手段と、
前記生体信号に基づいた生体情報について、属性を判断する判断手段と、
前記属性に格納される日時に関する情報を付加して記憶領域に格納する格納手段と、
周期的な時系列のうちの前記周期内の時系列を表わす第1の軸、および前記周期の連続による時系列を表わす第2の軸に表現される領域に、前記属性を配置して得られるグラフを表示するための信号を生成する生成手段とを備える、生体情報測定装置。
【請求項2】
前記判断手段で用いられるしきい値を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記生体情報と前記しきい値とを比較することで、前記生体情報について属性を判断する、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記生体情報は心電波形であり、
前記判断手段は、前記心電波形について、不整脈の種類に基づく属性を判断する、請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記格納手段は、前記属性に関連付けて、前記生体信号に基づいた生体情報を前記記憶領域に格納し、
前記グラフに示される前記属性を選択する選択手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記選択手段で選択された前記属性に関連付けて前記記憶領域に格納された前記生体情報を表示するための信号を生成する、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記第1の軸および前記第2の軸のうちの少なくとも一方の軸を設定する設定手段をさらに備える、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
生体情報測定装置で得られた生体情報に基づく情報を表示する方法であって、
格納される日時に関する情報が付加されている、前記生体情報の属性を、記憶領域から取得するステップと、
周期的な時系列のうちの前記周期内の時系列を表わす第1の軸、および前記周期の連続による時系列を表わす第2の軸に表現される領域に、前記属性を配置して得られるグラフを表示するための信号を生成するステップとを備える、生体情報表示方法。
【請求項7】
表示させる期間の指定を受付けるステップをさらに備え、
前記属性を取得するステップは、付加されている日時に関する情報が指定された前記期間内である生体情報の属性を取得する、請求項6に記載の生体情報表示方法。
【請求項8】
被験者の生体信号を検出するステップと、
前記生体信号に基づいた生体情報について、属性を判断するステップと、
前記属性に格納される日時に関する情報を付加して前記記憶領域に格納するステップとをさらに備える、請求項6に記載の生体情報表示方法。
【請求項9】
前記生体情報は心電波形であり、
前記属性は、不整脈の種類に基づく属性である、請求項6に記載の生体情報表示方法。
【請求項10】
生体情報測定装置で得られた生体情報に基づく情報を、コンピュータに表示させるためのプログラムであって、
格納される日時に関する情報が付加されている、前記生体情報の属性を、記憶領域から取得するステップと、
周期的な時系列のうちの前記周期内の時系列を表わす第1の軸、および前記周期の連続による時系列を表わす第2の軸に表現される領域に、前記属性を配置して得られるグラフを表示するための信号を生成するステップとを実行させる、表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−28441(P2009−28441A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197803(P2007−197803)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】