説明

生体測定システム

【課題】利用者である測定対象者に対して、生体情報の取得を継続的に行うための動機付けを与えることができる生体測定システムを提供する。また、利用者としての子供に対して、測定に興味を持たせることにより、継続的に生体測定に向かわせることができる生体測定システムを提供する。
【解決手段】測定対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、生体情報取得手段によって取得した生体情報を、測定対象者ごとに記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された測定対象者の生体情報と、測定対象者が特定した少なくとも一人の比較対象者の生体情報と、を互いに比較する比較手段と、比較手段による比較結果を表示する比較結果表示手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象者の生体情報を取得する生体測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者の体重、脂肪率、筋肉量、基礎代謝量といった生体情報を測定するための種々の生体測定装置が利用されており、一例として、家庭等では生体測定装置の一つである体脂肪計付き体重計などが広く使用されている。このような生体測定装置では、利用者の体重、生体インピーダンス、性別、身長、年齢その他の生体情報を測定又は入力によって取得するとともに、この取得された生体情報をさらにパラメータとして用いて、脂肪率その他の生体情報を推定値として算出により取得することができる。
【0003】
このような生体測定装置を用いる目的としては、主として健康状態の確認、健康維持、健康管理といったものが挙げられるが、いずれの目的においても、生体情報の履歴から変動・推移を確認しつつ、継続的・定期的な測定を行うことが重要である。このような継続的・定期的な生体情報の測定を通じて、例えば成人病の予防や、子供の健全な成長を確認することができ、生体測定装置の利用対象は、年齢、性別を問わない広い範囲に及ぶものである。
【0004】
【特許文献1】特開2001−204703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に家庭においては、測定を行うか否かは利用者の意思に委ねられ、特段強制力が働かないといった事情から、継続的・定期的な測定を行うことを利用者自身が怠ってしまう場合が少なくない。特に、子供が利用者である場合には、測定を継続することの意義を理解させることや、測定結果自体に興味を持たせることが困難であるため、継続的・定期的な測定をより怠りがちである。
【0006】
また、従来の生体測定装置は、生体測定装置のメーカーが独自に有する統計データや、公に発表されている生体情報に関する統計データ(例えば、ある基準時における、年齢層ごとの国民の各種生体情報の平均値)等との比較を行い、筋肉量・基礎代謝量等が多いのか少ないのかといった観点で生体情報を表示するようになっている。或いは、利用者自身が、前述の統計データ等を参照して、自己の生体情報の評価を行う場合もある。しかしながら、前述の統計データが必ずしも最新のデータであるとは限らないこと、また、比較対象が単なる統計データに過ぎないことから、利用者が、継続的・定期的に測定をしようとするモチベーション(動機付け)の維持・向上には必ずしも繋がらない場合がある。この点、特許文献1に係る発明によれば、自己の過去の生体情報との比較を行うことは出来ても、利用者が任意に選択する第三者の生体情報との比較機能までは開示されていない。
【0007】
さらに、前述した算出により取得する生体情報(例えば、脂肪率)を正確に求めるためには、パラメータとなる生体情報がより最新のデータである必要があるところ、特に、利用者が子供である場合は、その生体情報(特に、身長)が比較的短期間で変化しやすいため、所定期間が経過した場合には、その生体情報の再入力を促す必要があるが、単純に再入力を促すメッセージを表示させる等の方法では、面白みに欠けて子供が興味を示さず、又は煩雑に感じて、再入力を行わなくなるおそれがあり、その結果、正確な生体情報の算出ができなくなる場合も考えられる。
【0008】
そこで本発明は、利用者である測定対象者に対して、生体情報の取得を継続的・定期的に行うための動機付けを与えることができる生体測定システムを提供することを目的とする。また、利用者としての子供に対しても、最新の自己の生体情報の入力作業を効果的に促すことにより、常に正確な生体情報の取得が可能な生体測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の生体測定システムにおいては、測定対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記生体情報取得手段によって取得した前記生体情報を、前記測定対象者ごとに記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記測定対象者の生体情報と、前記測定対象者が特定した少なくとも一人の比較対象者の生体情報と、を互いに比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果を表示する比較結果表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記生体情報取得手段、前記記憶手段、前記比較手段、及び前記比較結果表示手段は、一体的な装置として構成され、同一の前記生体情報取得手段によって生体情報が取得された前記測定対象者の中から、前記比較対象者が特定されるものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記生体情報取得手段は、前記記憶手段、前記比較手段、及び前記比較結果表示手段とは別体の装置として構成され、同一の前記生体情報取得手段によって生体情報が取得された前記測定対象者の中から、前記比較対象者が特定されるものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記生体情報取得手段は、少なくとも2以上を備え、異なる前記生体情報取得手段によって生体情報が取得された前記測定対象者の中から、前記比較対象者が特定されるものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記比較結果表示手段は、前記比較結果を、数値表示、グラフ表示、及び/又は、グラフィック表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記比較手段は、前記測定対象者と、複数の前記比較対象者との比較を行い、前記比較結果表示手段は、その比較結果を表示することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記測定対象者が前記生体情報を連続して測定した日数をカウントする連続測定日数カウント手段を備え、前記比較手段は、前記測定対象者の連続測定日数と前記比較対象者の連続測定日数との比較を行い、前記比較結果表示手段は、その比較結果を表示することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記比較手段が比較する生体情報は、身長を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の生体測定システムにおいて、複数回にわたって取得された前記測定対象者ごとの前記生体情報の増減を示す増減情報を算出する演算手段を備え、前記比較手段は、前記測定対象者の前記増減情報と前記比較対象者の前記増減情報との比較を行い、前記比較結果表示手段は、その比較結果を表示することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の生体測定システムにおいて、前記比較手段は、前記比較対象者の生体情報をペットの生体情報に替えて、前記記憶手段に記憶された前記測定対象者の生体情報と比較することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測定対象者自身が個別かつ自由に特定した他の測定対象者(比較対象者)との関係で、生体情報を比較することができるため、測定対象者自身と個人的に関係のある他の測定対象者(例えば、家族など)や、同じ目的・境遇・環境・体組成等を有する測定対象者など、比較的親近感が抱く者と適時比較することで更なる測定意欲がわき、生体情報の取得を継続的・定期的に行おうとする動機付けを与えることができる。また、利用者が子供の場合であっても、比較対象者を例えば近親者として特定することで、最新の生体情報(特に身長)の取得に楽しみを感じさせることができ、正確な生体情報の取得が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る生体測定システムについて図面を参照しつつ詳しく説明する。以下の説明では、本発明の生体測定システムを体組成計に適用した場合の実施形態について図面を参照しつつ詳しく説明するが、本発明の生体測定システムは、体組成計には限られず、例えば体重計、脂肪計、活動量計にも適用することができる。
【0021】
まず、本発明の実施形態に係る生体測定システムの構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は生体測定システム10の構成を示す斜視図、図2は、生体測定システム10の構成を示すブロック図である。本発明の実施形態に係る生体測定システムは、生体情報取得手段、記憶手段、比較手段、及び比較結果表示手段が、一体的な装置として構成されるものである。
【0022】
図1及び図2に示すように、生体測定システム10は、略箱形に形成された本体11と、本体11の裏面側に設けられて本体11を支持する脚部(図に示さず)とを備える。本体11には、電極部材32と、体重測定部35と、電流供給部33と、電圧測定部34と、表示部21と、操作部22と、フットスイッチ23と、制御部40と、記憶部41と、演算部42と、計時部43と、電力を供給する電源(図に示さず)と、が設けられている。以下に、各部材の詳細な構成について説明する。
【0023】
本体11は、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ガラス等を成形してなるカバー部材11a及び底板部材11bを組み合わせて略箱状に形成されている。なお、生体測定システム10の製品としての強度を考慮して、本体11は、カバー部材11aを前述のように樹脂製とし、底板部材11bは金属製として、これらを組み合わせて形成してもよい。
【0024】
また、図1に示すように、本体11のカバー部材11aの上面には、薄板状の4つの電極部材32(生体情報取得手段)が保持されており、これらはカバー部材11aの上面において互いに離間して配置されている。電極部材32を保持する構造は適宜採択可能であるが、例えば、電極部材32を嵌め込み可能な凹部(図に示さず)をカバー部材11aに形成し、電極部材32とカバー部材11aの上面とが面一となるように嵌め込んで保持するのが好適である(図1参照)。電極部材32は、後述のように、電流供給部33又は電圧測定部34を介して制御部40に電気的に接続されている。なお、これらの電極部材32に加えて、測定対象者の両手でそれぞれ把持することのできるグリップ型の電極部材(手電極)を設けるようにしてもよい。
【0025】
さらに、図1に示すように、本体11には、電極部材32のほかに、表示部21(比較結果表示手段)、操作部22(生体情報取得手段)、及びフットスイッチ23(生体情報取得手段)が設けられている。表示部21は、制御部40から送られてくるデータを表示するためのデータ表示手段であって、主として測定対象者の各種生体情報の表示や操作の案内表示、後述の比較結果の表示などを行う。表示部21としては、一例として、フルドットLCD(Liquid Crystal Display)などの液晶を用いたものを採用すればよいが、表示部21と操作部22とを、例えばタッチパネル機能を備えた液晶表示パネルとして一体的に構成してもよい。
【0026】
また、操作部22及びフットスイッチ23は、測定対象者の生体情報の入力や、生体測定システム10の設定事項を入力するためのデータ入力手段である。ここで、操作部22やフットスイッチ23によって入力される生体情報としては、身長、年齢、又は性別を含むものである。また、設定事項とは、測定対象者が生体測定システム10を使用する上での設定事項であり、例えば、測定対象者個人の名前、表示部21に表示される生体情報の文字や記号の大きさ、生体情報を表示させる表示順序、さらには後述の比較表示をしたい他の測定対象者(比較対象者)や比較を行う生体情報の種類(比較対象情報)などである。このように入力された測定対象者の生体情報や設定事項は、記憶部41(図2参照)に記憶させたり、表示部21に表示されるようになっている。
【0027】
操作部22は、本実施形態においては、一例として、表示部21の手前側に3つのボタン式として構成としたが、個数・形状・操作方法は特にこれに限られず、タッチセンサ式、ダイヤル式など適宜採択可能である。フットスイッチ23は、測定対象者が立ったまま足で操作がしやすい複数のスイッチ(キー)で構成されているのが好適であり、例えば、図1のように、本体11の側面に5つのスイッチ23a、23b、23c、23d、23eを設けておく。また、フットスイッチ23は、各スイッチ23a、23b、23c、23d、23eが、複数の測定対象者が利用する際の各人の個人キーとして対応するように設定し、記憶部41に個別に登録(キー登録)ができるようになっている。これにより、所定のスイッチに対応させて測定対象者個人の生体情報や設定事項を予め記憶部41に保存しておいた場合には、測定対象者が自分に対応するスイッチを操作することにより、自分に関する生体情報や設定事項を個別に呼び出すことができ、また、表示処理、演算処理、比較処理等に用いることができる。
【0028】
計時部43は、所定時間の経過を計測したり、所定時間が経過しているか否かの判断を行い、例えば、測定対象者が18歳未満である場合に、前回の身長データの入力から30日以上経過しているか否かを判断することが可能である。なお、本実施形態では、計時部43は独立の構成要素としているが、計時回路として制御部40に一体化された構成とし、制御部40自身により所定時間を経過しているか否かの判断を行うようにしてもよい。
【0029】
電源としては、生体測定システム10を作動させる電力を供給する電池又は外部電源を利用できるようになっている。
【0030】
本体11の内部には、本体11に載った測定対象者による荷重(体重)を測定する体重測定部35(生体情報取得手段)が設けられている。より具体的には、体重測定部35は、例えば、荷重をかけると荷重に応じて変形する金属部材からなる起歪体と、起歪体に貼られる歪みゲージと、からなるロードセルを用いればよく、本体11は起歪体の一端に支持され、起歪体の他端が脚部(図に示さず)に支持されるように構成する。これにより、測定対象者が本体11の上面に載ったときの荷重により起歪体が撓むと、歪みゲージが伸縮して歪みゲージの伸縮に応じた出力値が変化し、その抵抗変化を荷重信号出力の変化として体重を測定する。すなわち、制御部40は、本体11に負荷がかかっていないときの体重測定部35からの出力値(いわゆるゼロ点)と、荷重がかかったときの出力値と、の差から体重を演算により求め、測定対象者の体重が測定されるようになっている。このようにして取得された測定対象者の体重は、記憶部41において記憶されるとともに、表示部21において表示されるようになっている。なお、制御部40は、体重値の精度を高めるため体重測定部35からの荷重信号の出力値が安定した後に、その荷重信号に基づき体重を演算するようにする。
【0031】
図1に示すように、電極部材32は、4枚の電極部材32a、32b、32c、32dを備えている。測定対象者が表示部21、操作部22側を向くように載った場合に、測定対象者のつま先が接触する電極部材32a、32dを通電電極、かかとが接触する電極部材32b、32cを測定電極としている。通電電極32a、32dには電流供給部33が接続され、制御部40からの指示信号にしたがって所定の微弱な定電流が供給されるようになっている。一方、測定電極32b、32cには電圧測定部34が接続され、測定電極32b、32cにおける電位差(電圧)が測定される。このようにして、両足のつま先間に、両脚部(下半身)を介して電流を流し、この電流経路に発生する電位差(電圧)をかかと間で測定することができるようになっている。
【0032】
図2に示すように、体重測定部35、電流供給部33、電圧測定部34、表示部21、操作部22、フットスイッチ23、記憶部41、演算部42、及び計時部43は、制御部40に接続され、制御部40によって動作が制御されるようになっている。制御部40及び演算部42は、それぞれ集積回路で構成されることが好ましい。さらに、制御部40及び演算部42は別個の集積回路で構成することもできるが、共通の集積回路を用いても良い。また、制御部40は、操作部22、フットスイッチ23、電圧測定部34、体重測定部35、及び計時部43から送られたデータを演算部42に送る。演算手段としての演算部42は、制御部40の制御のもと、データの処理を行い、その演算結果は記憶部41に記憶される。
【0033】
制御部40は、電流供給部33に対して、通電電極32a、32dに与える電流量を指示する信号を出力し、これを受けた電流供給部33は、通電電極32a、32dへ定電流を出力する。この電流印加によって測定対象者の体内に生じた電圧が、測定電極32b、32c間で電圧測定部34により測定されて、その測定された電圧値が制御部40へ出力されるようになっている。さらに、測定対象者が本体11に載ったときの体重測定部35のロードセル(図に示さず)から得られた出力値が制御部40へ出力される。制御部40は、演算部42に対して、記憶部41に記憶されたプログラムにしたがい、電圧測定部34が測定した電圧値及び電流供給部33が印加した電流値から測定対象者の全身又は所定部位の生体インピーダンス、並びに、体重測定部35において測定された出力値から測定対象者の体重を、それぞれ求める指示を行う。
【0034】
制御部40は、さらに演算部42に対して、測定により取得された生体情報としての生体インピーダンス及び体重、並びに、操作部22やフットスイッチ23を用いた入力により取得された生体情報(例えば性別・年齢・身長)などをパラメータとし、脂肪率その他の生体情報を推定値として算出により求める指示を行う。このような算出によって求める生体情報としては、脂肪率の他、内臓脂肪レベル(内臓脂肪面積)、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、血圧、BMI(Body Math Index)、肥満度、細胞内液量、細胞外液量などの種々のものがあり、本発明に係る生体測定システム10の利用目的に応じて適宜採択すればよい。脂肪率等の演算により取得された生体情報は、記憶部25に保存される。
【0035】
記憶部41(記憶手段)は、複数の測定対象者ごとに記憶領域が用意されており、入力により取得された生体情報、測定又は算出により取得された生体情報が測定対象者ごとに記憶できるようになっている。比較手段としての制御部40は、この記憶部41に記憶された、測定対象者ごとの生体情報を互いに比較して、比較処理の結果を記憶部41に保存する。また、記憶部41には、各測定対象者間の生体情報の比較処理に用いる演算プログラム、同一の測定対象者の生体情報の増減情報算出処理に用いる演算プログラム、及び、比較処理の結果を後述のような表示を行うためのプログラムなどが記憶されている。さらに、記憶部41には、比較処理結果及び増減算出処理を表示部21に表示する際に同時に表示される画面データも記憶されている。
【0036】
比較手段としての制御部40による生体情報の比較処理は、例えば次のように行う。まず、制御部40は、表示部21に、比較対象者としたい測定対象者(例えば、家庭内において使用する場合には家族の誰か)、及び、比較対象としたい生体情報(例えば、体重、身長、脂肪率など)をそれぞれ特定することを促す表示を行わせ、操作部22を用いて、測定対象者に比較対象者及び生体情報を自由に特定させる。本実施形態において、比較対象者の特定は、同一の生体測定システム10を利用して生体情報を測定している複数の測定対象者の中から、少なくとも一人以上を任意に特定させるようにすればよい。なお、比較対象者としたい測定対象者の特定、及び比較対象としたい生体情報の特定は、予め設定しておくことも可能であるし、生体測定システム10の測定直前に設定することや、生体測定システム10による比較処理の直前に設定することも可能になっている。
【0037】
次に、制御部40は、測定対象者が特定した比較対象者の生体情報を記憶部41の所定領域から読み出すとともに、比較処理のための演算プログラムを記憶部41から読み出す。この演算プログラムを適用し、測定対象者が特定した比較対象者の生体情報と、その測定対象者自身の生体情報と、を比較することによって得られた比較結果は、記憶部41に保存されるとともに、表示部21に表示される。このとき、比較結果を、記憶部41に記憶された所定の画像とともに表示(グラフィック表示)したり、数値として表示(数値表示)したり、折れ線グラフや棒グラフによる表示(グラフ表示)することができるようになっている。このように、測定対象者自身が自己と比較する比較対象者を自由に特定できるので、個人的に関係のある他の測定対象者(例えば、家族など)や、同じ目的・境遇・環境・体組成等を有する測定対象者など、比較的親近感が抱く者と適時比較することで更なる測定意欲がわき、生体情報の取得を継続的・定期的に行おうとする動機付けを与えることができる。比較手段としての制御部40は、複数の比較対象者が特定されている場合には、その複数の比較対象者の生体情報との関係で、前記比較処理を行うことが可能であり、その比較結果を一括表示、又は順次スクロール表示等することが可能である。なお、比較処理における演算を、制御部40の制御のもと演算部42で行わせることとして、この演算部42を比較手段として構成してもよい。
【0038】
また、生体測定システム10では、複数回にわたって取得された同一の測定対象者の生体情報(例えば、体重、身長、脂肪率など)の増減を示す増減情報(例えば、前回取得した生体情報に対する今回取得した生体情報の変化量、変化率、変動率。)を、演算部42にて算出することができる(増減情報算出処理)。増減情報算出処理は、例えば次のように行う。まず、制御部40は、表示部21に、増減情報算出処理の対象とする生体情報を特定することを促す案内表示を行わせ、測定対象者に生体情報を特定させる。次に、制御部40は、特定された生体情報を記憶部41の所定領域から読み出すとともに、比較のための演算プログラムを記憶部41から読み出す。さらに、制御部40は、演算部42に対して、読み出した生体情報を演算プログラムに適用して、増減算出処理を行うように指示する。これを受けた演算部42は、増減情報算出処理を実行し、その処理結果は、記憶部41に保存される。増減情報算出処理の結果は、比較結果と同様に、記憶部41に記憶された画像とともに表示部21に表示することができるようにするのが好適である。このような増減情報の表示を可能とすることによって、継続して生体情報を測定する意欲を喚起することができる。
【0039】
また、前記比較処理においては、増減情報算出処理の結果(増減情報)を比較の対象とすることができる。測定対象者が特定した比較対象者の生体情報の増減情報と、その測定対象者自身の生体情報の増減情報と、を比較処理することができる。このような比較を可能とすることによっても、継続して測定する意欲を喚起することができる。なお、増減情報算出処理には、制御部40で直接的に行うようにしてもよい。
【0040】
また、制御部40は、連続測定日数カウント手段として、各測定対象者が生体情報を連続して測定した日数(連続測定日数)をカウントするとともに、記憶部41に記憶させる。さらに、前記比較処理においては、測定対象者が特定した比較対象者の連続測定日数と、その測定対象者自身の連続測定日数と、を比較処理することができる。
【0041】
つづいて、生体測定システム10を用いた動作の流れについて、図3及び図4を参照しつつ説明する。ここで、図3及び図4は、生体測定システム10を用いた動作の流れを示すフローチャートであって、図3ではステップS1乃至ステップS10までを、図4ではステップS11からステップS17を、それぞれ示す図である。
【0042】
まず、所定の測定開始スイッチ(スタートボタン)が押されるなどによって、生体測定システム10が起動すると、制御部40は、記憶部41の所定領域に測定対象者の性別、年齢、身長といった生体情報が記憶されているか否か、かつ、測定対象者についてキー(フットスイッチ23のスイッチ23a、23b、23c、23d、23eのいずれか)が対応して登録されているか否かを確認する(ステップS1)。製品出荷時の状態のように、登録がなされていない場合(ステップS1でNo)には、制御部40は、表示部21に、生体情報(性別、年齢、身長)の入力を促す案内表示をさせて、測定対象者に対して、表示部21の案内表示に従って、操作部22を操作させて、登録を希望するキーを選択させるとともに、生体情報(性別、年齢、身長)を入力させる(ステップS2)。制御部40は、生体情報が入力されたことを計時部43に対して信号を送り、計時部43は、この信号を受けた時点からの時間の計測を開始する。また、制御部40は、記憶部41内の所定領域に、入力された生体情報(性別、年齢、身長)及び入力日時を保存する(ステップS3)。また、制御部40は、保存された生体情報(性別、年齢、身長)に関連づけて、測定対象者によって選択されたキーを記憶部41に登録(「キー登録」という。)させる(ステップS4)。以後、ここで登録されたキー(「登録キー」という。)の操作を行うことにより、この測定対象者の生体情報(性別、年齢、身長)が制御部40によって読み出すことができるようになる。以下、説明の便宜上、フットスイッチ23のスイッチ23aに測定対象者Aがキー登録Aしており、同様にして、スイッチ23bに測定対象者Bがキー登録B、スイッチ23cに測定対象者Cがキー登録C、スイッチ23dに測定対象者Dがキー登録D、スイッチ23eに測定対象者Eがキー登録Eがなされているものとする。
【0043】
このように生体情報(性別、年齢、身長)の入力及びキー登録(ステップS4)が終了した場合、又は、既にキー登録がされている場合(ステップS1でYes)、制御部40は、表示部21に対して、測定を開始する旨、及び、測定対象者に対応した自分の登録キーを押すことを促す旨の表示を行うよう指示信号を出力し、表示部21はこれにしたがって表示を実行する(ステップS5)。
【0044】
表示部21の表示に対して、所定時間いずれの登録キーも押されなかった場合(ステップS6でNo)、制御部40は、測定対象者の生体情報(性別、年齢、身長)が入力されておらず、またキー登録がなされていないものと判断して、前述のステップS2からステップS4を行うようにする。なお、押されたキーが登録キーとして登録されていなかった場合も同様の処理を行うようにすればよい。
【0045】
ステップS5における表示部21の表示に対して登録キー(例えば、スイッチ23a)が押された場合(ステップS6でYes)は、測定対象者(測定対象者A)が18歳未満であるか否かの年齢判断処理を行う(ステップS7)。この年齢判断処理は、登録キーに対応させて既に入力されている生体情報としての年齢データを記憶部41から読み出し、制御部40又は演算部42によって測定対象者が18歳未満であるか否かを判断するようにすればよい。
【0046】
測定対象者が18歳未満である場合(ステップS7でYes)は、前回の身長データの入力から30日以上経過しているか否かを判断する(ステップS8)。この処理は、計時部43自身で判断してもよいし、登録キーに対応させて既に保存されている入力日時データを記憶部41から読み出し、制御部40又は演算部42によって現在日時から逆算して判断するようにしてもよい。
【0047】
前回の身長データの入力日時から30日以上経過している場合(ステップS8でYes)は、操作部22等を操作して改めて身長を再入力することを促す旨を表示部21に表示させ、測定対象者に、現在の自分の身長を再入力させる(ステップS9)。再入力された身長及び再入力日時は、登録キーに対応して記憶部41においてその測定対象者に割り当てられた領域に記憶される。測定対象者が子供である場合は、身長が比較的短期間で変化しやすいため、所定期間が経過した場合に、身長の再入力をさせることによって、身長をパラメータとして演算される生体情報をより正確に求めることが可能となる。なお、このように単純に再入力を促すメッセージを表示させる方法のみでは、面白みに欠けて子供が興味を示さず、又は煩雑に感じて、再入力を行わなくなるおそれがあるため、後述のように、所定の比較結果(図9参照)を行うようにするのが好適である。なお、本実施形態において、再入力が必要となる日数条件を30日以上としているのは一例であって、必ずしも18歳未満の総ての測定対象者に対して一律に30日という日数条件を設定する必要はなく、例えば、10歳未満の場合、10歳以上18歳未満の場合、というようにいくつかの年齢層に分け、その年齢層における標準的な発育傾向に鑑みて、異なる日数条件を設定してもよい。また、ステップ7における年齢条件も一例であり、18歳以外の年齢を設定するようにしてもよい。
【0048】
測定対象者が18歳以上である場合(ステップS7でNo)、及び、18歳未満であって身長の再入力(ステップS9)が終わった場合、測定対象者に対して本体11上に載るように指示する表示を表示部21にて行い、生体測定システム10の本体11にかかる荷重を体重測定部35によって検出し(ステップS10)、測定対象者が生体測定システム10の本体11に載っていることを判断する。体重測定部35のロードセルで得られた出力値が安定したところで、制御部40に出力され、制御部40は、この出力値に基づいて、演算部42に対して、所定の演算プログラムにしたがって測定対象者の体重を算出させる(図4のステップS11)。また、同時に、制御部40は、電流供給部33に対して、通電電極32a、32dに対して電流を供給するように指示し、通電電極32a、32dから測定対象者の両脚部を介して測定電極32b、32cへ電流が流れるときに発生する電圧を、電圧測定部34に測定させ、この電流値及び電圧値に基づいて、演算部42に対して、生体インピーダンスを算出させる(ステップS11)。
【0049】
制御部40は、測定により取得された生体情報である体重及び生体インピーダンス、並びに、入力により取得された生体情報である性別・年齢・身長をパラメータとして、演算部42に、記憶部41にあらかじめ記憶された演算プログラム(回帰式)を用いて、測定対象者の他の生体情報(例えば、脂肪率、内臓脂肪レベル(内臓脂肪面積)、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、血圧、BMI(Body Math Index)、肥満度、細胞内液量、又は細胞外液量等)を算出により求める(演算処理)(ステップS12)。このように、所定の生体情報が総て取得された後、制御部40は、増減情報算出処理を行う(ステップS13)。
【0050】
増減情報算出処理(ステップS13)が終了すると、制御部40は、上記の通り取得された生体情報及び増減情報を表示部21に表示させる(ステップS14)。ここで表示される生体情報及び増減情報は、現に測定を行った測定対象者個人に関するものとしておく。
【0051】
生体情報及び増減情報の表示(ステップS14)が終了すると、制御部40は、比較対象情報があるか否かを判断する(ステップS15)。ここで、比較対象情報とは、測定対象者(例えば、測定対象者A)によって特定された、比較対象としたい測定対象者(比較対象者。例えば、測定対象者B)及び比較対象としたい生体情報や増減情報、連続測定日数に関する情報である。前記判断の具体的方法としては、例えば、(1)登録キーに対応する記憶部41の記憶領域内に予め記憶されている比較対象情報があるか否か、(2)未だ比較対象情報が設定されていない場合においても、所定の案内表示に従って、測定対象者により、比較対象としたい他の測定対象者(例えば、測定対象者B)の登録キー(例えば、スイッチ23b)を押すなどして、比較対象情報が入力されたか否か、(3)既に比較対象情報が設定されている場合においても、所定の案内表示に従って、測定対象者により、比較対象としたい更に他の測定対象者(例えば、測定対象者C)の登録キー(例えば、スイッチ23c)を押すなどして、比較対象情報が追加入力されたか否か、を判断して比較対象情報の存否を判断すればよい。
【0052】
比較対象情報があると判断された場合(ステップS15でYes)、制御部40は、比較対象情報に従って特定された他の測定対象者(比較対象者。例えば、測定対象者B、C)とその生体情報、増減情報や連続測定日数を、記憶部41の所定領域から読み出して、今回の測定によって取得された測定対象者(例えば、測定対象者A)の生体情報、増減情報、連続測定日数との比較を行う比較処理を行う(ステップS16)。さらに、その比較結果を表示部21に表示させる(ステップS17)。
【0053】
制御部40は、比較対象情報がないと判断した場合(ステップS15でNo)、又は、所定の比較結果の表示が終了した場合(ステップ17)、生体測定システム10の動作を終了させる。
【0054】
次に、前記の比較結果の表示(ステップ17)における具体的な表示例について図5乃至図9を参照しつつ説明する。図5乃至図9は、生体測定システム10における比較処理の結果の表示例を示す図である。図5及び図6では、現に測定を行っている測定対象者Aを「あなた」、比較対象とされている測定対象者B(比較対象者)を、便宜上、その登録キーの番号に対応させて「測定対象者B」又は「B」、とそれぞれ表示している。なお、このような表現方法は図7乃至図9においても同様に採られているが、これ以外の表現方法(例えば、個人の名前の表示)を行っても良い。
【0055】
図5においては、比較対象とする生体情報が体重に設定されている場合であり、比較対象の測定対象者B(比較対象者)の体重に対する、測定対象者Aの体重の比率(「28.7%」)及び差(「−43.3kg」)を示す数値が表示(数値表示)されている。さらに、視覚的に一見して把握できる画像が表示(グラフィック表示)されており、一例として、図5では、シーソーを模した画像と、測定対象者Bを表す1つの大きい顔の画像と、測定対象者A(「あなた」)を表す3つの小さい顔の画像と、が表示されている。これによって、測定対象者Aが例え子供であっても、測定対象者Bの体重は、測定対象者A(「あなた」)の約3人分で、釣り合う割合である、ということを理解することができる。これらの画像は記憶部41に予め記憶しておき、顔の画像については、体重の比率や差に合わせて全体の大きさ・個数を変更しながら表示させるようにする。なお、図5に表示されている顔の画像はいずれも男性であるが、例えば、小児男子、小児女子、成人男子、及び成人女子のように、複数の顔の画像を記憶部41に用意しておき、その中から、測定対象者の性別や年齢に応じて適当な顔の画像を自動で表示したり、測定対象者自身によって予め選択させておいた顔の画像を表示するようにしてもよい。
【0056】
図6においては、比較対象とする生体情報が基礎代謝量に設定されている場合であり、比較対象の測定対象者B(比較対象者)の基礎代謝量に対する比率(「1.4人分」)及び差(「−427kcal/day」)を示す数値が表示(数値表示)されている。また、図5と同様に、基礎代謝量の比率を視覚的に一見して把握できる画像が表示(グラフィック表示)されるようになっており、図6では、シーソーを模した画像と、測定対象者Bを表す1つの大きい顔の画像と、測定対象者A(「あなた」)を表す2つの小さい顔の画像と、が表示されている。測定対象者B(比較対象者)の基礎代謝量に対する測定対象者Aの基礎代謝量の比率「1.4人分」を示す顔の画像は、2つの小さい顔の画像のうち1つを、幅方向に縮小表示することで、「0.4」人分を表すようになっている。また、本発明に係る生体測定システム10を、例えば家庭において使用する場合に備えて、「お父さん」の顔、「お母さん」の顔、「お兄さん」の顔、「お姉さん」の顔といったように、家族を構成する者の画像を記憶部41に用意しておき、測定対象者ごとに予め登録キーに対応して設定しておく。これにより、子供である測定対象者Aが、父親である測定対象者Bの生体情報との比較結果をみる場合、図6のように、比較対象者である測定対象者Bを示す顔の画像を「お父さん」の顔とすることができ、誰との比較を行っているのかがより明確化され、特に子供に対してより一層興味を抱かせることができる。
【0057】
図7は、増減情報及び連続測定日数の比較結果の表示例を示す図であって、(a)は、縦軸を変化率(単位:%)、横軸を日数(単位:日)としたグラフ表示、(b)は、増減情報のランキング形式の数値表示、(c)は、連続測定日数のランキング形式の数値表示である。
【0058】
この図7では、測定対象者Aが、他の複数の測定対象者(測定対象者B〜測定対象者Eの4名)を比較対象者として設定している場合の比較表示を示しており、図7(a)では、1ヶ月間の体重(生体情報)の変化率(増減情報)の比較結果を、折れ線グラフの形式でグラフ表示されている。なお、前記変化率は、各測定対象者の1ヶ月始めの体重を0(基準)として、その当初の体重に対する変化率をそれぞれ演算して表示したものである。このように、折れ線グラフによるグラフ表示によれば、比較対象者の生体情報(体重)の増減情報の比較結果を表示させることによって、長期的かつ継続的に測定された生体情報の比較評価を容易に行うことができるとともに、特に複数の比較対象者がいる場合であっても、同時に一見して全体的に把握できる点で好適である。なお、図7(a)はグラフ表示によって複数の比較対象者との比較結果を示したものであるが、例えば、表形式により数値表示を行うなど、他の表示方法を採択してもよい。また、図7(a)では、1ヶ月間の各測定対象者の生体情報の推移を表示しているが、その期間は一例であって特に限定されるものではなく、1週間としたり、2ヶ月とするなど、適宜自由に設定が可能であるようにするのが好適である。
【0059】
図7(b)に示す表示例は、図7(a)において示されている期間(例えば1ヶ月)内において、体重の変化率の変動率を演算により求め、各測定対象者間の前記変動率を比較処理して、変動率が少ない順に、例えば上位第3位をランキング形式で数値表示したものである。このように、体重の変化率の変動率が少ない場合に、安定した生活習慣を送っていたであろうと推定し評価することで、測定対象者は、上位にランキングされるように、安定した生活習慣を目指すように心懸けるようになり、その結果を知るため測定を行うことへの楽しみが増すので、生体情報の取得を継続的・定期的に行うための動機付けを与えることができる。また、図7(c)に示す表示例は、測定対象者(測定対象者A)が特定した比較対象者(測定対象者B〜測定対象者E)の連続測定日数と、その測定対象者(測定対象者A)自身の連続測定日数と、を比較処理された比較結果を、連続測定日数が多い順に、例えば上位3位をランキング形式で数値表示したものである。このように、連続測定日数のランキング形式の比較結果を表示することによって、上位にランクインできるよう、又は上位のランクを維持しようと心がけるようになり、各測定対象者に対して生体情報の取得を継続的・定期的に行うための動機付けを与えることができる。図7(b)及び(c)に示すランキング形式の表示は、図7(a)のグラフ表示と同時に表示されるものとしてもよいし、個別に表示されるものとしてもよい。なお、図7(a)及び(b)においては、体重の比較結果の表示例を示すものであるが、他の種類の生体情報の比較結果も同様にして表示することができる。
【0060】
次に、特定されたある一人の比較対象者との関係での比較結果の表示例を図8及び図9を参照しつつ説明する。ここで、図8(a)及び図9(a)は、生体測定システム10を用いた増減情報算出処理の結果(増減情報)の表示例を示す図、図8(b)及び図9(b)は、増減情報算出処理の結果を比較処理に適用した比較結果の表示例を示す図である。図8(b)及び図9(b)のような表示方法は、1対1の関係での比較結果を行う表示であるため、例えば、(1)予め比較対象情報として設定されている比較対象者が1人である場合、(2)未だ比較対象情報が設定されていない場合において、測定対象者により、比較対象としたい他の測定対象者の登録キーを押すなどして、1人の比較対象者を特定する比較対象情報が入力された場合、(3)既に比較対象情報が設定されている場合においても、測定対象者により、特に比較対象としたい1人の測定対象者の登録キーを押すなどして、比較対象情報が入力された場合、などに特に好適である。
【0061】
図8は、表示する生体情報として体重が選択された場合を示している。図8(a)では、現に測定を行った測定対象者Aの体重(「46.9kg」)、及び、1日前の測定対象者Aの体重との差(増減情報。「−0.2kg」)が表示されている。これに対して、図8(b)では、図8(a)の下段に示された体重差が変化量(増減情報。「−0.2kg」)として表示されるとともに、比較対象者である測定対象者Bの直近2回の体重差(「−0.6kg」)が変化量として並列的に表示されている。これにより、測定対象者Aは、自分の体重の変化と、測定対象者Bの体重の変化とを直接的に対比することができるので、例えば、減量という共通の目的をもって測定対象者Aが比較対象者として設定した測定対象者Bとの関係で、どちらが目標とする変化量又は体重値に近いか、といったことを知ることができ、継続して体重を測定する意欲が喚起されるようになる。なお、図8(a)、(b)の表示は、表示部21に同時に表示してもよいし、(a)、(b)の順に順次表示(スクロール表示)するようにしてもよい。
【0062】
一方、図9は、表示する生体情報として身長が選択された場合を示している。図9(a)では、現に測定を行った測定対象者Aが入力した身長(「110cm」)、前回入力された測定対象者Aの身長との差(「+3cm」)、並びに、前回入力日からの日数と前記身長差とから算出した1日当たりの身長差(1日に伸びた量。「+0.03cm」)が表示されている。これに対して、図9(b)には、比較対象者である測定対象者Bの身長との比(「65.5%」)及び差(「+58cm」)が表示されるとともに、棒グラフ状の画像(グラフィック表示)、及び、測定対象者Bを表す顔の画像(グラフィック表示)が表示されている。この棒グラフ状の画像は、記憶部41にあらかじめ記憶されており、おおまかな基準として「50%」、「100%」、「150%」が表示され、「100%」の表示の位置に測定対象者Bを表す顔の画像を配するようにするとともに、前記身長比に対応させて着色表示される。さらに、身長比が「100%」に近づいた場合には、一例として「もうちょっとで追いつくよ!」といったメッセージが表示されるようになっている。これにより、比較対象者が測定対象者Bであること、その測定対象者Bとの身長比がいかほどか、を視覚的かつ直感的に把握することができ、特に測定対象者Aが子供である場合には、測定対象者Bを親近感のわく父親や母親などに設定することによって、身長が伸びることに対して興味を抱かせることができるので、生体測定システム10の利用時ごとの身長の入力作業を積極的に行わせることができる。その結果、身長が短期間で変化しやすい子供であっても、常に最新の身長が入力されることになり、これをパラメータとして演算により取得される生体情報の精度が向上する。なお、図9(a)、(b)の表示は、表示部21に同時に表示してもよいし、(a)、(b)の順に順次表示してもよい。
【0063】
本発明は、以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次のような効果を奏する。
(1)測定対象者は、自分の生体情報と比較を行いたい他の生体測定者を、個別かつ自由に特定することができるので、測定対象者自身と個人的に関係のある他の測定対象者(例えば、家族など)や、同じ目的・境遇・環境・体組成等を有する測定対象者など、比較的親近感が抱く者と適時比較することで更なる測定意欲がわき、生体情報の取得を継続的・定期的に行おうとする動機付けを与えることができる。
(2)測定対象者が子供である場合にも、比較対象者を例えば近親者として特定することで、最新の生体情報(特に身長)の取得に楽しみを感じさせることができ、正確な生体情報の取得が可能となる。
【0064】
以下、図10を参照しつつ第1変形例について説明する。図10は、本発明の実施形態の第1変形例に係る生体測定システムの構成を示すブロック図である。なお、上述の実施形態に係る構成と実質的に同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
上述の実施形態では、生体測定システム10のみで本発明の生体測定システムを構成しており、生体情報取得手段としての操作部22、フットスイッチ23、電極部材32、電流供給部33、電圧測定部34、及び体重測定部35が、本体11において、比較手段としての制御部40、比較結果表示手段としての表示部21、記憶手段としての記憶部41、及び演算手段としての演算部42と一体的な装置とされていた。これに対して、第1変形例では、生体情報取得手段が、記憶手段、比較手段、及び比較結果表示手段とは別体の装置として構成され、同一の生体情報取得手段によって生体情報が取得された測定対象者の中から、比較対象者が特定されるようにしたものである。
【0066】
図10に示すように、第1変形例に係る生体測定システム110は、生体情報取得手段としての生体測定装置100と、外部機器としてのコンピュータ70によって構成され、コンピュータ70は、生体測定装置100により取得された生体情報を、測定対象者ごとに記憶する記憶手段としてのメモリ74、比較手段及び演算手段としてのCPU71、比較結果表示手段としてのモニタ73、入力手段としてのキーボード72を有する。なお、キーボード72では、年齢・性別・身長といった生体情報を入力することも可能であり、その場合には、生体情報取得手段としても機能する。コンピュータ70におけるCPU71を前記実施形態における比較手段及び演算手段として機能させるために必要な所定のプログラム、及び、モニタ73上に前述のような比較結果を表示するために必要な所定のプログラムは、予め、コンピュータ70のメモリ73にインストールしておけばよい。
【0067】
このように構成すれば、コンピュータ70は、例えば本発明による生体情報システムの利用者(測定対象者)が所有するパーソナルコンピュータ、また、生体測定装置100は、広く既に家庭等において普及している体組成系であればよく、あとは、コンピュータ70のメモリ73に、生体測定装置100によって取得した生体情報を入力すれば、コンピュータ70のモニタ73に、上記実施形態と同様の比較結果を表示させることができる。生体測定装置100によって取得した生体情報のコンピュータ70のメモリ73への入力方法としては適宜採択でき、例えば、別個の記憶装置(例えばUSBメモリ)、赤外線通信、ケーブル接続等の手段などを挙げることができる。したがって、この第1変形例による生体情報測定システム110によれば、既存の装置を殆どそのまま利用することができるという点で好適である。
【0068】
なお、前記実施形態において、フットスイッチ23の各スイッチ23a〜23eに対応させていたキー登録については、例えば、コンピュータ70のモニタ73において表示する画面において、スイッチ23a〜23eに対応するキー登録を示すアイコンを表示することとし、そのアイコンを選択(クリック)することで、比較対象情報の設定ができるように構成すればよい。
【0069】
次に、図11を参照しつつ第2変形例について説明する。図11は、本発明の実施形態の第2変形例に係る生体測定システムの構成を示すブロック図である。第2変形例に係る生体測定システム120は、少なくとも2以上の生体情報取得手段を有し、異なる生体情報取得手段によって生体情報が取得された測定対象者の中から、比較対象者を特定するようになっており、第1変形例に係る生体測定システム110のコンピュータ70において処理する比較処理を、通信ネットワークで接続された所定のホストサーバにおいて処理させるようにしたものである。なお、上述の実施形態及び第1変形例に係る構成と実質的に同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
図11に示すように、第2変形例に係る生体測定システム120は、生体情報取得手段としての生体測定装置100、200と、外部機器としてのコンピュータ70、270と、ホストサーバ90と、で構成される。コンピュータ270は、コンピュータ100と基本的構成を共通にしており、コンピュータ70、270は、通信ネットワーク80(例えば、インターネット)に接続するための接続手段としてのモデム75を備え、通信ネットワーク80を介してホストサーバ90と接続されている。ホストサーバ90は、生体測定装置100、200により取得された生体情報を、測定対象者ごとに記憶する記憶手段としてのサーバメモリ91、比較手段としての制御部97、演算手段としての演算回路95を有する。ホストサーバ90における制御部97を前記実施形態における比較手段として機能させるために必要な所定のプログラム、及び、コンピュータ70、270のモニタ73上に前述のような比較結果を表示するために必要な所定のプログラムは、予め、サーバメモリ91に格納されている。なお、生体測定装置200及びコンピュータ270と同様の生体測定装置及びコンピュータが、他にも多数、通信ネットワーク80を介して接続されていてもよい。
【0071】
このように構成すれば、生体測定装置100、200で取得した生体情報を、第1変形例と同様にしてコンピュータ70、270に入力し、さらに、コンピュータ70、270から通信ネットワーク80を介してホストサーバ90に送信し、ホストサーバ90のサーバメモリ91にこの生体情報を測定対象者ごとに記憶させる。さらに、コンピュータ70、270を用いて、年齢・性別・身長といった生体情報や、連続測定日数、比較対象情報、測定対象者の名前等の設定事項を送信し、サーバメモリ91に測定対象者ごとに記憶させる。これらの送信された生体情報等に基づいて、演算回路95にて増減情報算出処理、ホストサーバ90の制御部97にて比較処理などがなされ、その比較結果が通信ネットワーク80を介してコンピュータ70、270に送信されたり、ホストサーバ90により運営されるウェブサイトに掲載されることにより、コンピュータ70、270のモニタ73にて、比較結果を表示させることができる。
【0072】
第2変形例によれば、遠隔地にいる他の測定対象者を比較対象者とすることもできるため、例えば、ホストサーバ90において運営されるインターネットウェブサイトにおいて、同じ目的・境遇・環境・体組成等を有する測定対象者を見つけ出して予め知り合いとなり、このような比較的親近感が抱く者と適時比較することで更なる測定意欲がわき、生体情報の取得を継続的・定期的に行おうとする動機付けを与えることができるようになる。
【0073】
以上説明した本発明の生体測定システムの実施形態(変形例も含む)においては、測定対象者自身と比較対象となるのは、他の測定対象者(比較対象者)としてのヒトであったが、ヒト以外の動物(例えば、ペットとしての犬、猫など)を比較対象とするようにしてもよい。これにより、例えば、飼い主がペットと生体情報を比較することができる。
【0074】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る生体測定システムの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る生体測定システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る生体測定システムを用いた動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る生体測定システムを用いた動作の流れを示す、図3のステップS10に続くフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る生体測定システムにおける比較結果の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る生体測定システムにおける比較結果の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る生体測定システムにおける増減情報及び連続測定日数の比較結果の表示例を示す図であって、(a)は、縦軸を変化率(単位:%)、横軸を日数(単位:日)としたグラフ表示、(b)は、増減情報のランキング形式の数値表示、(c)は、連続測定日数のランキング形式の数値表示である。
【図8】(a)は、本発明の実施形態に係る生体測定システムを用いた増減情報算出処理の結果(増減情報)の表示例を、(b)は、増減情報算出処理の結果を比較処理に適用した比較結果の表示例を、それぞれ示す図である。
【図9】(a)は、本発明の実施形態に係る生体測定システムを用いた増減情報算出処理の結果(増減情報)の表示例を、(b)は、増減情報算出処理の結果を比較処理に適用した比較結果の表示例を、それぞれ示す図である。
【図10】本発明の実施形態の第1変形例に係る生体測定システムの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態の第2変形例に係る生体測定システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
10 生体測定システム
11 本体
11a カバー部材
11b 底板部材
21 表示部(比較結果表示手段)
22 操作部(生体情報取得手段)
23 フットスイッチ(生体情報取得手段)
32 電極部材(生体情報取得手段)
32a 通電電極(電極部材)
32b 測定電極(電極部材)
32c 測定電極(電極部材)
32d 通電電極(電極部材)
33 電流供給部(生体情報取得手段)
34 電圧測定部(生体情報取得手段)
35 体重測定部(生体情報取得手段)
40 制御部(比較手段、連続測定日数カウント手段)
41 記憶部(記憶手段)
42 演算部(演算手段、増減情報算出手段)
43 計時部
70 コンピュータ
71 CPU(比較手段、増減情報算出手段)
72 キーボード
73 モニタ(比較結果表示手段)
74 メモリ(記憶手段)
75 モデム
80 通信ネットワーク
90 ホストサーバ
91 サーバメモリ(記憶手段)
95 演算部(演算手段)
97 制御部(比較手段)
100 生体測定装置(生体情報取得手段)
110 生体測定システム
120 生体測定システム
200 生体測定装置(生体情報取得手段)
270 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記生体情報取得手段によって取得した前記生体情報を、前記測定対象者ごとに記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記測定対象者の生体情報と、前記測定対象者が特定した少なくとも一人の比較対象者の生体情報と、を互いに比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果を表示する比較結果表示手段と、を備えること
を特徴とする生体測定システム。
【請求項2】
前記生体情報取得手段、前記記憶手段、前記比較手段、及び前記比較結果表示手段は、一体的な装置として構成され、同一の前記生体情報取得手段によって生体情報が取得された前記測定対象者の中から、前記比較対象者が特定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の生体測定システム。
【請求項3】
前記生体情報取得手段は、前記記憶手段、前記比較手段、及び前記比較結果表示手段とは別体の装置として構成され、同一の前記生体情報取得手段によって生体情報が取得された前記測定対象者の中から、前記比較対象者が特定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の生体測定システム。
【請求項4】
前記生体情報取得手段は、少なくとも2以上を備え、異なる前記生体情報取得手段によって生体情報が取得された前記測定対象者の中から、前記比較対象者が特定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の生体測定システム。
【請求項5】
前記比較結果表示手段は、前記比較結果を、数値表示、グラフ表示、及び/又は、グラフィック表示することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち、いずれか1に記載の生体測定システム。
【請求項6】
前記比較手段は、前記測定対象者と、複数の前記比較対象者との比較を行い、前記比較結果表示手段は、その比較結果を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1に記載の生体測定システム。
【請求項7】
前記測定対象者が前記生体情報を連続して測定した日数をカウントする連続測定日数カウント手段を備え、前記比較手段は、前記測定対象者の連続測定日数と前記比較対象者の連続測定日数との比較を行い、前記比較結果表示手段は、その比較結果を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1に記載の生体測定システム。
【請求項8】
前記比較手段が比較する生体情報は、身長を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1に記載の生体測定システム。
【請求項9】
複数回にわたって取得された前記測定対象者ごとの前記生体情報の増減を示す増減情報を算出する演算手段を備え、前記比較手段は、前記測定対象者の前記増減情報と前記比較対象者の前記増減情報との比較を行い、前記比較結果表示手段は、その比較結果を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項8のうち、いずれか1に記載の生体測定システム。
【請求項10】
前記比較手段は、前記比較対象者の生体情報をペットの生体情報に替えて、前記記憶手段に記憶された前記測定対象者の生体情報と比較することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうち、いずれか1に記載の生体測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−112709(P2009−112709A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292082(P2007−292082)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)
【Fターム(参考)】