説明

生活異常判断装置

【課題】生活者本人が何らかの操作をしなくても生活者に異常が生じているか否かを判断可能にする。
【解決手段】本実施形態の生活異常判断装置1は、制御部10において記憶部13に記憶されている計測データを所定の判断基準に照らし合わることにより、生活者に異常が生じているか否かを判断している。故に、記憶部13に記憶されている電力量の計測値を所定の判断基準に照らし合わることで制御部10が生活者に異常が生じているか否かを判断するので、生活者本人が何らかの操作をしなくても生活者に異常が生じているか否かが判断可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活者に異常が生じているか否かを判断する生活異常判断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者や未婚者などの単身世帯が増加してきており、単身世帯の住人(以下、単身生活者と呼ぶ。)が病気や事故などで動けなくなった場合に誰にも気付かれずに放置されてしまう事態が懸念される。そこで、押釦式の操作スイッチが設けられたワイヤレス発信器を単身生活者に携帯させておき、操作スイッチが押操作されると緊急通報の無線信号がワイヤレス発信器から送信されるようにしたセキュリティシステムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−274570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、例えば、単身生活者が意識を失ってしまうとワイヤレス発信器の操作スイッチが操作できないため、異常が生じているか否かの判断ができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、生活者本人が何らかの操作をしなくても生活者に異常が生じているか否かを判断可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生活異常判断装置は、住宅において消費される電力量の計測値を取得する取得手段と、前記取得手段で取得される前記計測値と当該計測値が計測された時刻とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記計測値を所定の判断基準に照らし合わて前記住宅で生活する生活者に異常が生じているか否かを判断する判断手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この生活異常判断装置において、前記判断手段は、前記計測値が所定範囲内に収まっている時間が所定のしきい値を超えないことを前記判断基準とし、前記時間が前記しきい値を超えた場合に前記生活者に異常が生じていると判断することが好ましい。
【0008】
この生活異常判断装置において、前記判断手段は、前記計測値が所定の時間帯において所定の下限値以下となる状態が所定時間以上継続することを前記判断基準とし、前記状態が前記所定時間以上継続しない場合に前記生活者に異常が生じていると判断することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生活異常判断装置は、生活者本人が何らかの操作をしなくても生活者に異常が生じているか否かが判断可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は電力量の推移を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の生活異常判断装置1は、図1に示すように電力計測装置2と対で使用される。
【0012】
電力計測装置2は、制御部20、電力計測部21、アンテナ22、無線通信部23などを備え、例えば、住宅用分電盤(住宅盤)のボックス内に配設される。電力計測部21は、住宅盤が具備する主幹ブレーカの2次側の電圧及び電流を検出することにより、住宅において消費される電力量を計測し、当該電力量の計測値を所定時間毎(例えば、30分毎)に制御部20に出力する。制御部20は、マイクロコンピュータやメモリ、タイマなどのハードウェアとマイクロコンピュータで実行されるプログラムなどのソフトウェアとで構成される。制御部20では、電力計測部21から受け取る電力量の計測値並びに当該計測値が計測された時刻(計測時刻)のデータ(以下、計測データと呼ぶ。)を無線通信部23に出力する。無線通信部23は、制御部20から受け取った計測データを含む無線信号をアンテナ22を介して生活異常判断装置1へ送信する。
【0013】
生活異常判断装置1は、制御部10、アンテナ11、無線通信部12、記憶部13、表示部14、データ通信部15などを備え、例えば、住宅の居間の壁などに設置される。無線通信部12は、電力計測装置2から送信される無線信号をアンテナ11を介して受信し、当該無線信号から復調した計測データを制御部10に出力する。すなわち、本実施形態ではアンテナ11及び無線通信部12が電力量の計測値を取得する取得手段に相当する。
【0014】
制御部10は、マイクロコンピュータやメモリ、タイマなどのハードウェアとマイクロコンピュータで実行されるプログラムなどのソフトウェアとで構成される。制御部10では、無線通信部12から受け取る計測データを記憶部13に記憶させる。記憶部13は、電気的に書換可能な不揮発性半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)からなる。表示部14は、液晶ディスプレイパネルのような表示デバイスと、表示デバイスを駆動し、後述する電力量の履歴等を表示させる駆動回路とを具備する。データ通信部15は、例えば、100BASE-TXなどのLAN規格に準拠し、ツイストペアケーブル(LANケーブル)を介したデータ通信を行うものである。なお、図示は省略しているが、データ通信部15にはLANケーブルを介してインターネット通信装置(光回線終端装置<ONU>やCATVモデムなど)が接続されている。
【0015】
ここで、生活者が正常に生活している場合、1日(0時から24時までの24時間)の電力量(使用電力量)は、例えば、図2(a)の棒グラフに示すように推移する(図2(a)〜(c)では横軸を時刻、縦軸を電力量としている)。図2(a)から明らかなように、23時〜翌朝の5時までの時間帯と13時〜17時の時間帯は、生活者が就寝や外出しているためにほとんど電力が消費されておらず、それ以外の時間帯で電力量が増加している。
【0016】
一方、病気などが原因で生活者が動けなくなるような異常が生じた場合、1日における電力量の推移(履歴)が図2(a)に示した正常時の履歴から大きく変化すると考えられる。例えば、正常時における朝の時間帯(8時〜9時)や夜の時間帯(18時〜19時)で異常が生じたとすれば、異常が生じた時間帯における正常時の電力量(約3.5kW)から殆ど変化しなくなる(図2(b)参照)。あるいは、就寝前の時間帯(23時)で異常が生じたとすれば、正常時には下限値(例えば、0.1〜0.2kW)以下に低下する時間帯(23時〜4時)においても下限値以下に低下しなくなる(図2(c)参照)。
【0017】
そこで本実施形態では、生活異常判断装置1の制御部10において記憶部13に記憶されている計測データを所定の判断基準に照らし合わることにより、生活者に異常が生じているか否かを判断している。すなわち、本実施形態では制御部10が判断手段に相当する。例えば、制御部10は、計測値が所定範囲(X±1kW、ただし、Xは任意の時間帯における正常時の計測値)内に収まっている時間が所定のしきい値(例えば、12時間)を超えた場合に生活者に異常が生じていると判断する。あるいは、制御部10は、計測値が所定の時間帯(例えば、23時〜4時の就寝する時間帯)において下限値以下となる状態が所定時間(例えば、4時間)以上継続しない場合に生活者に異常が生じていると判断する。ただし、制御部10が生活者に異常が生じているか否かを判断するための判断基準は、上述した2種類のものに限定されない。
【0018】
上述のように記憶部13に記憶されている電力量の計測値を所定の判断基準に照らし合わることで制御部10が生活者に異常が生じているか否かを判断するので、生活者本人が何らかの操作をしなくても生活者に異常が生じているか否かが判断可能になる。なお、生活者が在宅していない場合に制御部10が上述した判断処理を実行してしまうと、異常が生じていると誤判断する虞がある。そこで、生活異常判断装置1に設けられた操作スイッチ(図示せず)が操作されることで監視モードと非監視モードに切り換えられ、監視モードの場合にのみ、制御部10が上述した判断処理を実行することが好ましい。
【0019】
ところで、生活異常判断装置1の制御部10は、生活者に異常が生じていると判断すれば、予め登録されている通知先、例えば、遠方に居住する息子や娘あるいは両親などの家族が所有する携帯電話機のメールアドレスに異常発生を通知するための電子メールを送信する。なお、この電子メールはデータ通信部15より送信され、インターネット通信装置を経由して家族の携帯電話機で受信される。ただし、異常発生の通知先は家族が所有する携帯電話機のメールアドレスに限定されるものではない。例えば、生活者本人又はその家族がセキュリティサービスを提供する事業者と契約している場合、当該事業者のサーバにインターネット経由で異常発生が通知されても構わない。
【0020】
また、本実施形態では生活異常判断装置1が電力計測装置2と対で使用される場合を例示したが、生活異常判断装置1が電力計測部を備えていれば、電力計測装置2は不要である。また、生活異常判断装置1が電力計測部を備えた場合、電力計測部が取得手段に相当するから、アンテナ11及び無線通信部12は不要である。ここで、図2(a)に示した正常時における電力量の履歴を制御部10が表示部14に表示させれば、生活者に電力の使用状況を知らせて節電を促すことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 生活異常判断装置
10 制御部(判断手段)
11 アンテナ(取得手段)
12 無線通信部(取得手段)
13 記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅において消費される電力量の計測値を取得する取得手段と、前記取得手段で取得される前記計測値と当該計測値が計測された時刻とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記計測値を所定の判断基準に照らし合わて前記住宅で生活する生活者に異常が生じているか否かを判断する判断手段とを備えることを特徴とする生活異常判断装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記計測値が所定範囲内に収まっている時間が所定のしきい値を超えないことを前記判断基準とし、前記時間が前記しきい値を超えた場合に前記生活者に異常が生じていると判断することを特徴とする請求項1記載の生活異常判断装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記計測値が所定の時間帯において所定の下限値以下となる状態が所定時間以上継続することを前記判断基準とし、前記状態が前記所定時間以上継続しない場合に前記生活者に異常が生じていると判断することを特徴とする請求項1又は2記載の生活異常判断装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−25479(P2013−25479A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158166(P2011−158166)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】