説明

生活者異常検知装置、生活者異常検知システム及び生活者異常検知方法

【課題】機器の稼動状態などを示す機器情報と人の活動状態を示す活動情報から生活者の異常有無を検知する生活者異常検知装置を提供する。
【解決手段】無線アクセスポイント3020から送信された電波の強度を計測する無線通信手段3002と、無線通信手段3002より計測された電波強度の時間変化から生活者の活動状態を判定し、その判定結果を活動情報とする活動判定手段3004と、生活者の周辺に設置された機器3030の稼動状態を検知し、その状態を機器情報とする稼動機器検知手段3006と、活動情報及び前記機器情報から生活者の異常の有無を検知する異常検知手段3009とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の稼働状態を検出する機器状態検出装置、機器状態検出方法、機器状態検出サーバー及び機器状態検出システム、並びに住居内の生活者の異常を検知する生活者異常検知装置、生活者異常検知システム及び生活者異常検知方法、並びに機器状態データベース保守サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ホームネットワーク技術の普及に伴って、家庭内に接続された電気機器の動作状態の推定に関するものが提案されている。例えば、「インバータ機器を含んだ電気機器の動作状態を非侵入的な方法で推定可能とする」ことを目的とした技術として、「電力需要家の給電線引込口付近に設置した測定センサーと、測定センサーで検出した測定データから基本波並びに高調波の電流とそれらの電圧に対する位相に関するデータを取り出すデータ抽出手段と、データ抽出手段からの基本波並びに高調波の電流とそれらの電圧に対する位相に関するデータを基に、当該電力需要家が使用している電気機器の動作状態を推定するパターン認識手段を備える」ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、「負荷需要推定精度の高い、特に、機器のON又はOFFの変化を確実に判定して負荷状態にある機器の種別を推定可能な負荷需要推定装置を得る」ことを目的とした技術として、「給電線の計測点より下流側にそれぞれ開閉手段を介して接続された複数の機器の内、上記開閉手段が閉路されて負荷状態にある機器の種別を、上記計測点に設置された電気量検出手段の出力から推定する負荷需要推定装置において、予め上記複数の機器それぞれの所定周期における負荷情報を記憶する負荷情報記憶手段、上記電気量検出手段の上記所定周期毎の出力の時間変化を検出する電気量変化検出手段、この電気量変化があったとき上記電気量変化分に基づき作成された検出量変化分と上記負荷情報記録手段に記憶された各負荷情報とを比較し、上記検出量変化分に最も近似した負荷情報を抽出し、当該抽出した負荷情報に相当する機器の種別を開閉変化機器とする開閉変化機器推定手段、および上記開閉変化機器の情報に基づき負荷状態にある機器の種別を上記電気量変化前の状態から変更することにより上記電気量変化後における負荷状態にある機器の種別を推定する第1の負荷機器推定手段を備えた」ものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ところで、近年、独りで暮らす高齢者の世帯数が急速に増加している。このような一人暮らしの生活者では、脳梗塞や心筋梗塞などの緊急を要する異常事態が発生した場合に発見が遅れてしまうといった問題がある。このような問題を解決するために、生活者の異常を検出して、病院や救急センターに直接通知するセンサが期待されている。
【0005】
生活者に何らかのセンサを取り付ける方法は、生活者が監視されているといったプレッシャーを受け、煩わしさ等から結果として装置の利用を拒絶してしまうという問題が発生する。このため、生活者には一切のセンサを取り付けないシステムであることが現実的である。センサを人体に取り付けない場合、生体情報以外の情報、例えば、人の動きや生活パターンから異常の有無を推定する。
【0006】
室内の人の動きから異常を検知する方法としては、送信機を用いないより簡易な構成で、かつ住居内の空間を広く検知することができ、高精度に人物の在圏を検知することを可能とする電波を用いた人物在圏検知システムが提案されている。これは、人が住居内に居るにもかかわらず、人の動きがないといった状況から異常を検知している(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、生活パターンから異常を検知する方法としては、独居老人等の被監視者が、自律的に一定のパターンに則した生活を営むことを支援する生活監視システムが提案されている。これは、生活の基準パターンを生成し、基準外の状況であると判断した場合に異常と判断するものである(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−292465号公報(第2頁)
【特許文献2】特開2002−152971号公報(第4頁)
【特許文献3】特開2006−221213号公報(第5−6頁、図1−図9)
【特許文献4】特開2005−284535号公報(第8−9頁、図8−図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1に記載の従来技術によれば、家庭内に存在する機器のすべての稼働状態の組み合わせを学習する必要があるので、機器が増えるとその学習量は膨大な数となり、実現は非常に困難である。
また、上記特許文献2に記載の従来技術によれば、未知の機器が家庭内に導入されて稼働しはじめた場合には、誤推定する可能性がある。
【0010】
また、前述のように生活者の異常を検知する方法が提案されているが、これらは異常を判定する文脈に難点があり、状況によっては誤検知する可能性がある。即ち「人が動かない」といった状況だけから異常を検知すると、就寝中に誤検知してしまう。また、「普段と異なる行動をしている」といった状況だけから異常を検知すると、週末などの平日と異なる生活リズムの場合に誤検知してしまうという課題が残る。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、家庭内に存在する全機器の稼動状態の組み合わせを学習する手間が少なく、かつ、未知の機器が稼動した場合でも推定誤りが少ない機器状態検出装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、機器の稼動状態などを示す機器情報と人の活動状態を示す活動情報から生活者の異常有無を検知する生活者異常検知装置、生活者異常検知システム及び生活者異常検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る機器状態検出装置は、機器が設置されている環境の物理量を計測する計測手段と、前記計測手段が計測した計測値の特徴量を計算する特徴量計算手段と、予め前記機器ごとの前記特徴量とこれに対応する機器状態とを辞書データとして記憶する記憶手段と、前記特徴量計算手段が計算した特徴量を検索キーとして前記辞書データに記憶された特徴量を検索し、検索した該特徴量に対応する機器状態に基づいて機器状態を検出する機器状態検出手段とを有するものである。
【0014】
また、本発明に係る機器状態検出装置は、給電線に繋がる機器の状態を検出する装置であって、給電線に流れる電流を計測する電流検出手段と、電流検出手段で計測された電流を電圧値に変換する電流電圧変換手段と、電流電圧変換手段で電圧値に変換した電流のうち特定周波数の成分を通過させる波形フィルタ手段と、波形フィルタ手段を通過した特定周波数成分を含む電流を増幅する波形増幅手段と、波形増幅手段によって増幅された電流波形をAD変換してデジタル値とするAD変換手段と、AD変換後のデジタル値の電流値から特徴量を計算する特徴量計算手段と、各機器それぞれの機器状態毎にその機器状態における機器特徴量を登録した参照機器エントリを複数記憶する機器状態データベースと、特徴量計算手段が計算した特徴量と、機器状態データベース内の参照機器エントリの機器特徴量とを対比させ、特徴量計算手段が計算した特徴量に合致する機器特徴量を持つ参照機器エントリを特定する機器状態検出手段と、機器状態検出手段で特定された参照機器エントリを機器状態情報として出力する出力装置とを備えたものである。
【0015】
また、本発明に係る生活者異常検知装置は、無線通信機からの受信電波の強度を計測する無線通信手段と、無線通信手段により計測された電波強度の時間変化から生活者の活動状態を判定し、その判定結果を活動情報とする活動判定手段と、生活者の周辺に設置された機器の稼動状態を検知し、その状態を機器情報とする稼動機器検知手段と、活動情報及び機器情報から生活者の異常の有無を検知する異常検知手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る機器状態検出装置によれば、機器が設置されている環境の物理量に基づいて、該機器の機器状態を検出することができる。
【0017】
なお、本発明において「環境の物理量」とは、1又は複数の機器の使用に伴う負荷物理量、又は、これらの機器が設置されている環境の物理量の少なくとも何れかをいう。前者の具体例としては、例えば、機器が使用する電流、ガス流量、水道流量、ネットワーク上のデータ転送量である。また、後者の具体例としては、例えば、照度、温度である。
【0018】
また、本発明に係る機器状態検出装置によれば、各機器それぞれの機器状態毎にその機器状態における機器特徴量を登録した参照機器エントリを予め機器状態データベースに複数記憶しておき、給電線に流れる電流を処理して給電線に繋がる機器の特徴量を計算し、その特徴量と、機器状態データベースの各参照機器エントリとを対比させ、前記計算して得られた特徴量に合致する機器特徴量を持つ参照機器エントリを特定することで、機器状態を把握するので、同時に様々な機器が作動している場合や、未知の機器が作動している場合にも、全機器の組合せ学習の手間なく、また、推定誤りを生じることなく機器の稼動状態を高い精度で検出することができる。
【0019】
また、本発明に係る生活者異常検知装置によれば、活動判定手段の活動情報及び稼動機器検知手段の機器情報から生活者の異常の有無を検知するようにしたので、生活者の状態を正確に検知することができる。また、例えば照明や空調を消し忘れたまま外出してしまうといった事態を検出することができ、エネルギーの無駄使いを削減することができる。また、従来と比べ、異常検知の信頼度が高く、素早く異常を検知でき、生活者の安全を確保することができる。特に、状況を表す文脈が、異常通知を受け取る人にとってわかりやすい。例えば、異常を通知された人が「IHが動いているのに、人が家にいません」といった情報を受け取ることで、容易に異常事態であることを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る機器状態検出装置100のシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る機器状態検出装置100の機能構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る機器状態検出装置100のデータ構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る生活行為推定装置400のデータ構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る機器状態検出装置100の動作フローである。
【図6】計測値112aと特徴量122aのデータ構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る特徴量計算手段120による特徴量計算方法を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る計測値112aと特徴量122aの具体例である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る特徴量計算手段120による特徴量計算方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る参照機器エントリ辞書210及び合致参照機器エントリ133のデータ構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る機器状態検出装置100の動作フローである。
【図12】本発明の実施の形態6に係る機器状態検出手段130の動作フローである。
【図13】本発明の実施の形態7に係るマッチング手段410の動作フローである。
【図14】本発明の実施の形態8に係るマッチング手段410の処理を説明する図である。
【図15】実施の形態9に係る機器状態検出装置2000を設置した住居2010内の構成を示す図である。
【図16】実施の形態9に係る機器状態検出装置2000の機能ブロック図である。
【図17】図16の出力装置2250に表示される結果画面の一例を示す図である。
【図18】実施の形態9に係る機器状態検出装置2000が、機器を検出する際の動作フローである。
【図19】テレビ2130を付けた場合に給電線2140上に流れる電流2502とその時の給電線2140の電圧2501を示す図である。
【図20】図19の電流値を波形フィルタ手段でフィルタリングした例を示す図である。
【図21】図20のフィルタリング後の電流値を波形平滑化手段で平滑化した例を示す図である。
【図22】図21の平滑化後の電流値をウェーブレット変換した例を示す図である。
【図23】図22のウェーブレット変換結果から算出された特徴量を示す図である。
【図24】計測した特徴量を元に機器状態データベースから合致する機器エントリを検索する際の動作を示す図である。
【図25】実施の形態10における機器状態検出サーバー2100の概略構成を示す模式図である。
【図26】図25の機器状態検出サーバー2100の構成を示す機能ブロック図である。
【図27】実施の形態11の機器状態検出システム2200の利用形態を示す図である。
【図28】図27の機器状態検出システム2200の構成を示す機能ブロック図である。
【図29】本発明の実施の形態12に係る生活者異常検知装置を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図30】無線アクセスポイントから生活者異常検知装置に送信される電波の経路を示す模式図である。
【図31】実施の形態12に係る生活者異常検知装置の無線通信手段及び活動判定手段の動作を示すフローチャートである。
【図32】無線通信手段によって計測された受信電波の強度を示す図である。
【図33】実施の形態12に係る生活者異常検知装置の稼動機器検知手段の動作を示すフローチャートである。
【図34】実施の形態12に係る生活者異常検知装置の異常検知手段の動作を示すフローチャートである。
【図35】異常検知手段による異常有無の検知例を示す図である。
【図36】実施の形態12に係る生活者異常検知装置の設置例を示す図である。
【図37】本発明の実施の形態13に係る生活者異常検知装置の外観を示す正面図である。
【図38】実施の形態13に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。
【図39】本発明の実施の形態14に係る生活者異常検知装置の外観を示す正面図である。
【図40】実施の形態14に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。
【図41】本発明の実施の形態15に係る生活者異常検知装置の外観を示す斜視図である。
【図42】実施の形態15に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。
【図43】本発明の実施の形態16に係る生活者異常検知装置の無線通信手段及び活動判定手段の動作を示すフローチャートである。
【図44】本発明の実施の形態17に係る生活者異常検知装置の無線通信手段及び活動判定手段の動作を示すフローチャートである。
【図45】本発明の実施の形態18に係る生活者異常検知システムの構成を示す図である。
【図46】本発明の実施の形態18に係る生活者異常検知装置の異常検知手段の動作を示すフローチャートである。
【図47】本発明の実施の形態19に係る生活者異常検知装置の異常検知手段の動作を示すフローチャートである。
【図48】本発明の実施の形態21に係る機器状態検出装置の構成を示す図である。
【図49】本発明の実施の形態21に係る機器状態検出サーバーの構成を示す図である。
【図50】本発明の実施の形態21に係る機器状態検出システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る機器状態検出装置100を設置した家庭内環境の概略システム構成図である。図1に示すように、機器状態検出装置100は、計測装置300と、生活行為推定装置400とに接続される。
計測装置300は、電力線301の給電口の電流を計測するための装置であり、例えば電流センサーなどを用いる。計測装置300は、電力線301の給電口、あるいは、テーブルタップやOAタップのような延長コードの上流部分に設置する。
【0022】
機器状態検出装置100は、計測装置300の計測結果に基づいて家庭内の機器状態を検出するものであり、検出した機器状態は、生活行為推定装置400へ出力される。
生活行為推定装置400は、機器状態検出装置100が検出した機器状態に基づいて家庭内の生活行為を推定するための装置である。生活行為推定装置400は出力装置302に接続されている。出力装置302は生活行為推定装置400が検出した生活行為を出力するための装置であり、例えば、ディスプレイやデータ出力装置などを用いる。
【0023】
図2は、機器状態検出装置100及び生活行為推定装置400の機能構成図である。図2に基づいて、全体の動作概要を説明する。
機器状態検出装置100は、計測手段110、特徴量計算手段120、機器状態検出手段130、記憶装置140により構成される。計測手段110、特徴量計算手段120、機器状態検出手段130はそれぞれ記憶装置140に接続されている。記憶装置140は、計測エントリ112、特徴量エントリ122、合致参照機器エントリ131、機器状態エントリ132、参照機器エントリ辞書200を記憶するためのものである。出力手段150は記憶装置140に接続され、生活行為推定装置400への出力動作を行う。なお、出力手段150は、本発明の「出力手段」及び「警告状態出力手段」に相当する。
【0024】
図2において、計測手段110はA/D変換機能を有し、計測装置300が計測した電流の瞬時値を一定周期でサンプリングして計測する。計測結果は、記憶装置140に計測エントリ112として記憶される。特徴量計算手段120は、計測エントリ112に基づいて所定の方法により特徴量を計算する。特徴量は、特徴量エントリ122として記憶装置140に記憶される。機器状態検出手段130は、特徴量エントリ122と、参照機器エントリ辞書200とを照合する。照合の結果合致したものが、合致参照機器エントリ131として記憶される。合致参照機器エントリ131は、生活行為推定装置400に出力するのに適した形になるよう適宜情報を付加・削除され、新たに機器状態エントリ132として記憶される。
【0025】
生活行為推定装置400は、マッチング手段410と、出力手段420と、記憶装置430とで構成されている。マッチング手段410、出力手段420は、それぞれ記憶装置430に接続されている。記憶装置430は、参照行為エントリ辞書500、合致参照行為エントリ411を記憶するためのものである。
【0026】
図2において、マッチング手段410は、機器状態検出装置100から機器状態エントリ132を取得し、これと参照行為エントリ辞書500とを照合する。照合の結果合致したものが、合致参照行為エントリ411として記憶装置430に記憶される。出力手段420は、合致参照行為エントリ411を出力装置302に出力し、出力装置302により合致参照行為エントリ411が出力される。
【0027】
計測手段110、特徴量計算手段120、機器状態検出手段130、マッチング手段410、及び出力手段420は、これらの機能を実現する回路デバイス等のハードウェアを用いて実現することもできるし、マイコンやCPU等の演算装置上で実行されるソフトウェアとして実現してもよい。
また、記憶装置140及び記憶装置430は、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などで構成される。なお、本実施の形態1では、記憶装置140と記憶装置430をそれぞれ1つずつ設ける場合の例について説明するが、複数の記憶装置を設ける構成としてもよい。また、記憶装置140及び記憶装置430は、外部装置として設けて機器状態検出装置100や生活行為推定装置400に接続する構成としてもよい。
【0028】
図3は、機器状態検出装置100の記憶装置140に記憶されるデータ構成を示すものである。
(A)に示す計測エントリ112は、リングバッファ形式などにより履歴として複数保持されている。各々の計測エントリ112には、計測手段110によって計測された計測値112aと、図示しない付帯情報とが保持されている。付帯情報としては、例えば、計測値112aの整理番号や、値の取得時刻などがある。
(B)に示す特徴量エントリ122もまた、リングバッファ形式などにより履歴として複数保持されている。各々の特徴量エントリ122には、特徴量計算手段120によって計算された特徴量122aと、図示しない付帯情報とが保持されている。付帯情報としては、例えば、特徴量計算手段120による計算方法や計算に用いたパラメータなどがある。なお、計測エントリ112と特徴量エントリ122は、1対1に対応する。
(C)は参照機器エントリ辞書200であり、参照機器エントリ201の集合体である。参照機器エントリ201は、機器特徴量201aとこれに対応する機器状態201bとを1組としたデータにより構成される。機器特徴量201aは、特徴量計算手段120が計算した特徴量に相当するものであり、機器状態201bはこの機器特徴量201aに対応する機器状態である。すなわち、機器特徴量201aが検出されたとき、機器は、機器状態201bに示す状態にあるといえる。参照機器エントリ辞書200は予め記憶装置に保持されており、また、追加・更新することも可能である。
(D)は合致参照機器エントリ131であり、機器特徴量131aとこれに対応する機器状態131b、特徴量距離131cと、図示しない付帯情報とを1組としたデータにより構成される。この合致参照機器エントリ131は、機器状態検出手段130が参照機器エントリ辞書200を検索した結果に、特徴量距離131cを付加したものである。機器特徴量131a、機器状態131bは、それぞれ、参照機器エントリ201の機器特徴量201a、機器状態201bに対応する。特徴量距離131cは、検索に用いた特徴量エントリ122の特徴量122aと、検索の結果合致した参照機器エントリ201の機器特徴量201aとの距離である。
(E)は機器状態エントリ132であり、機器状態時刻132aと機器状態132bとを1組としたデータにより構成される。機器状態時刻132aは現在時刻であり、機器状態132bは、合致参照機器エントリ131の機器状態131bと同じものである。機器状態エントリ132は、リングバッファ形式などにより履歴として複数保持されている。
【0029】
図4は、生活行為推定装置400の記憶装置430に記憶されるデータ構成を示すものである。
(A)は参照行為エントリ辞書500であり、参照行為エントリ501の集合体である。参照行為エントリ501は、参照行為時刻501aと、参照機器状態501bと、参照生活行為501cと、参照在室場所501dとを1組としたデータにより構成される。参照行為エントリ辞書500は予め記憶装置に保持されており、また、追加・更新することも可能である。
(B)は合致参照行為エントリ411であり、参照行為時刻411aと、参照機器状態411bと、参照生活行為411cと、参照在室場所411dとを1組としたデータにより構成される。この合致参照行為エントリ411は、マッチング手段410が参照行為エントリ辞書500を検索した結果得られた参照行為エントリ501と同じものである。
【0030】
図5に、本実施の形態1に係る機器状態検出装置100の動作フローを示す。図5において、各ステップ間を結ぶ矢印の近傍に記している数字は、ステップ間でやり取りされるデータ(例えば、「112a」であれば計測値112a)を表す。以下、各ステップに沿って、詳細な動作について説明する。
【0031】
(S601)
計測手段110は、計測値112aを計測する。この計測値112aは、計測装置300が計測した電流の瞬時値を一定周期でサンプリングして計測したものである。
ここで、図6(A)に計測値112aのデータ構成例を示す。計測値112aはベクトルであり、所定の時間の間にサンプリングされた電流値(112a−11、112a−12、・・・112a−1n)である。これら個々の電流値をまとめて計測値112aと呼ぶ。なお、所定の時間とは、電圧の周期である50Hzないし60Hzの波の周期の定数倍の時間である。また、サンプリングの周期は、50Hzないし60Hzの波の周期の定数分の1の時間である。計測値112a内の電流値は、時間順に並んだ状態となっている。
計測手段110は、この計測動作を継続的に行い、計測値112aを順次保持していく。
【0032】
(S602)
計測手段110は、計測値112aから計測エントリ112を生成する。計測エントリ112は、計測値112aと、例えば計測時刻などの付帯情報により構成される。そして、生成した計測エントリ112を、特徴量計算手段120に順次出力する。
【0033】
(S603)
特徴量計算手段120は計測エントリ112を取得し、計測エントリ112に保持されている計測値112aに基づいて特徴量122aを計算する。具体的には、計測値112aから、重み付き平均値とその計測値112aとの差分を計算し、これを特徴量121aとする。
ここで、図6(B)に特徴量122aのデータ構成例を示す。特徴量122aはベクトルであり、前述の計測値112aに対応する値により構成されている。計測値112aと特徴量122aとはそれぞれ1対1に対応する。また、個々の計測値112a−1nと122a−1nもそれぞれ1対1に対応する。
【0034】
(S604)
続けて、計算した特徴量121aから特徴量エントリ122を生成する。特徴量エントリ122は、特徴量122aと、例えば特徴量の計算方法や、計算に用いたパラメータなどの付帯情報により構成される。そして、生成した特徴量エントリ122を、機器状態検出手段130に順次出力する。
【0035】
(S605)
機器状態検出手段130は特徴量エントリ122を取得し、この特徴量エントリ122に含まれる特徴量122aを検索キーとして参照機器エントリ辞書200を検索する。ここで、参照機器エントリ辞書200は、機器特徴量201aと機器状態201bとを1組とする参照機器エントリ201の集合体である。参照機器エントリ201は、機器特徴量201aが検出されるときには、その機器は機器状態201bで示す状態にあるということを示す。機器状態201bは、例えば、「テレビON」「ポットON」「電子レンジON」などの機器状態や、「漏電中」「異常発生中」などの警告状態が格納されている。
ここで警告状態とは、機器に何らかの異常が発生している可能性が高い状態であること、又は異常発生のおそれが高い状態であることをいう。機器は、経年劣化や何らかのトラブルにより、月単位あるいは年単位の長期に亘って徐々に変化し、劣化していく。この変化の状態は、計測値112aに現れ、ひいては特徴量122aに現れることになる。この警告状態にあるときの機器特徴量201aと機器状態201bを参照機器エントリ201として参照機器エントリ辞書200に保持しておく。
検索した結果、特徴量122aと合致する機器特徴量201aを有する参照機器エントリ201が見つかった場合には次のステップへ進み、見つからなかった場合には本処理を終了する。
ここで、「合致する」とは、必ずしも完全一致のみを意味するものではない。計算された特徴量122aと参照機器エントリ201の機器特徴量201aとから所定の計算方法により両者の距離(以下、特徴量距離と称す)を算出し、該距離が所定の閾値内にある場合には「合致する」ものとしてもよい。
【0036】
(S606)
機器状態検出手段130は、ステップS605での検索結果に基づいて、合致参照機器エントリ131を生成する。合致参照機器エントリ131は、図3(D)で示すように機器特徴量131aと、機器状態131bと、特徴量距離131cと、図示しない付帯情報により構成される。機器特徴量131aと機器状態131bは、ステップS605で検索された参照機器エントリ201の機器特徴量201aと機器状態201bにそれぞれ対応するものであり、特徴量距離131cはステップS605で算出した特徴量距離である。
【0037】
ここまでのステップS601からS606において、計測手段110が計測した計測値112aから、機器状態131bを導出したことになる。すなわち、電流の値に基づいて例えば「電子レンジON」「ポットON」などの機器の状態を検出している。
なお、合致参照機器エントリ131において、機器特徴量131aと機器状態131bとを保持する代わりに、参照機器エントリ辞書200から検索した参照機器エントリ201を一意に示す整理番号を保持することとしてもよい。このようにしても、同様の目的を達することができる。また、前記特徴量距離131cを保持することを省略してもよい。
【0038】
(S607)
機器状態検出手段130は、機器状態エントリ132を生成する。機器状態エントリ132は、図3(E)で示すように機器状態時刻132aと機器状態132bとで構成される。機器状態時刻132aは、現在時刻であり、機器状態132bはステップS606で生成した合致参照機器エントリ131の機器状態131bと同じものである。この機器状態エントリ132により、ある時刻において(機器状態時刻132a)どのような機器状態であるか(機器状態132b)ということがわかる。そして、生成した機器状態エントリ132を出力手段150に出力する。
【0039】
(S608)
出力手段150は、機器状態エントリ132をマッチング手段410に出力する。
【0040】
(S609)
マッチング手段410は、機器状態エントリ132を取得し、機器状態131bをキーとして参照行為エントリ辞書500を検索する。ここで、参照行為エントリ辞書500は参照行為エントリ501の集合体であり、参照行為エントリ501は、参照行為時刻501a、参照機器状態501b、参照生活行為501c、参照在室場所501dとを1組とするデータである。参照行為エントリ501は、ある時刻(参照行為時刻501a)において、所定の機器状態(参照機器状態501b)にあるときに、使用者がどのような行為を行っていて(参照生活行為501c)、どこに在室しているか(参照在室場所501d)を示すデータであるといえる。参照行為時刻501aは、例えば、「午前7時10分」などと記憶されている。参照機器状態501bは、例えば、「テレビON」などと記憶されている。警告状態にある場合は、「テレビ異常発生中」などと記憶されている。複数の機器が同時に稼働するような場合には、「テレビON、ポットON」などと複数の機器状態が記憶されている。参照生活行為501cは、生活者がする行為の具体的な内容を表し、例えば、「朝食」や「外出」などと記憶されている。参照在室場所501dは、生活者が参照生活行為501cを行うときに存在する場所を表し、例えば、参照生活行為501cが「朝食」の場合には、参照在室場所501dは「ダイニング」などと記憶されている。
検索した結果、機器状態エントリ132の機器状態132bと一致する参照機器状態501bを有する参照行為エントリ501が1つの場合には、その参照行為エントリ501を検索結果とする。機器状態132bと一致する参照機器状態501bを有する参照行為エントリ501が複数ある場合には、現在時刻又は機器状態時刻132aと、参照行為時刻501aとを比較し、その差分が最も小さいものを検索結果とする。また、機器状態132bと一致する参照機器状態501bを有する参照行為エントリ501が見つからない場合には、本処理を終了する。
【0041】
(S610)
続けて、マッチング手段410は参照行為エントリ辞書500から検索された参照行為エントリ501を、合致参照行為エントリ411として格納する。参照行為時刻411a、参照機器状態411b、参照生活行為411c、参照在室場所411dはそれぞれ、S609にて検索された参照行為エントリ501のそれに対応する。
【0042】
ここまでのステップS601からS610において、計測手段110が計測した計測値112aから、機器状態131bを導出し、さらに生活者の参照生活行為411cや参照在室場所411dを導出したことになる。すなわち、電流の値に基づいて、「電子レンジON」「ポットON」などの機器状態を検出し、さらにこの機器状態に基づいて「朝食」などの生活行為を推定している。
【0043】
(S611)
出力手段420は合致参照行為エントリ411を取得し、出力を行う。出力するデータは、例えば、合致参照行為エントリ411それ自体、又は参照生活行為411cないし参照在室場所411dである。出力手段420により出力されたデータは、例えば、生活者が閲覧するディスプレイなどの出力装置302に出力される。また、参照機器状態411bが「異常発生中」などの警告状態であった場合にのみ、この参照機器状態411bを出力してもよいし、警告状態の場合には通常の機器状態とは出力方法を変えてもよい。このようにすることで、機器に異常が発生していることをより明確に生活者に伝えることができる。
【0044】
以上のような一連の動作により、計測手段110が計測した計測値112aから機器状態131bを得て、さらに参照生活行為411cや参照在室場所411dを得ることができる。すなわち、家庭内の電流値から、家庭内の機器の状態を推定し、生活者の生活行為及び在室場所を推定することができるのである。
【0045】
なお、参照行為エントリ辞書500において、参照行為エントリ501を参照行為時刻501aの降順ないし昇順にソートしておくことができる。このようにすることで、検索の結果合致した参照行為エントリ501の前後の参照行為エントリ501をも参照することが可能となる。したがって、ある時刻における使用者の生活行為を推定したときに、その直前にどのような行為をしていたのか、また、次にどのような行為をするのか、ということをも推定することができる。同様に、現在の生活者の在室場所や、直前の在室場所、次の在室場所なども推定することができる。これらの推定結果に基づいて、例えば、機器のON/OFF状態や動作モードなどの運転制御を行うことができる。なお、この活用方法は一例であり、活用方法はこれに限られるものではない。
【0046】
また、本実施の形態1では、参照行為エントリ501は、参照生活行為501cと参照在室場所501dを別個に保持するものとして説明したが、これらのうち何れか一方のみ保持するように構成してもよいし、両者を一体化させて用いてもよい。例えば、生活者がする行為のみを推定したい場合は、参照生活行為501cのみを保持するような構成とすることもできる。
また、生活者がする行為とそのときの在室場所を一体的に捉えて「生活者の行動」として推定したい場合には、参照生活行為501cと参照在室場所501dを一体化して、「リビングで食事をする」「寝室で照明を点灯させる」「リビングに在室している」といったデータとして取り扱ってもよい。
また、本実施の形態1では、家庭内に機器状態検出装置100を設置する場合の例について説明したが、家庭内以外の環境に設置できることは自明である。
これは、以降で述べる他の実施の形態においても同様である。
【0047】
また、マッチング手段410は、検索の精度を向上させるために、連続する2つ以上の機器状態エントリ132を検索キーとして用いてもよい。この場合、例えば、連続する二つの機器状態エントリ132の持つ機器状態132bと、連続する2つの参照行為エントリ501の持つ参照機器状態501bが、それぞれ合致した場合に、合致した2つの参照機器エントリを検索結果として出力することができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態1に係る機器状態検出装置100によれば、家庭内の電流値に基づいて家庭内の機器状態を検出することができる。また、生活行為推定装置400により、この機器状態に基づいて使用者の生活行為を推定することができる。また、機器状態検出装置100は警告状態を検出することができるので、例えば機器に不具合などの異常が生じている場合に早期発見でき、機器が設置されている環境の安全性を向上させることができる。また、漏電などの異常の早期発見も可能であり、無駄なエネルギーの損失を最小限に食い止めることができる。
【0049】
生活行為推定装置400においては、マッチング手段410による参照行為エントリ辞書500の検索において、機器特徴量が合致する複数の検索結果が得られた場合には、時刻を加味して検索結果を取得するようにした。そのため、時刻に応じた生活者の行動パターンに即した行動推定を行うことができ、推定精度が高まるという効果を奏する。
また、参照行為エントリ501を、参照行為時刻501aの降順ないし昇順にソートして、参照行為エントリ辞書500に格納するようにしたので、ある時点の生活者の生活行為に加えて、その前後の生活行為も推定することができる。これにより、例えば生活者が次に行うと推定される行動に合わせて電気機器を自動的に稼動させたり、不要な電気機器の消し忘れがあればこれを停止させたりすることができ、生活者の利便性の向上とエネルギー消費量の削減に貢献できる。
【0050】
実施の形態2.
本実施の形態2では、特徴量計算手段120による特徴量121aの計算方法について説明する。前述の図5におけるステップS603をより詳細に説明するものである。なお、図1に示したシステム構成、図2に示した機器状態検出装置100、生活行為推定装置400の構成は前述の実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0051】
図7は、特徴量計算手段120による特徴量計算方法を示す模式図である。
図7(A)において、計測値112aは、計測手段110が計測した電流の計測値である。特徴量計算手段120は、計測値112aを受け取ると、計測値112aを構成する個々の計測値112a−11、112a−12、・・・112a−1nについて、窓幅2の重み付き平均を求め、この値を計測値平均値1202とする。「窓幅2」とは、「2つ」の値の平均を求めることをいう。具体的には、計測値112a−11と計測値112a−12との重み付き平均を求め、これを計測値平均値1202−11とする。同様の計算を、計測値112aを構成する他の値についても行う。さらに、計測値平均値1202と計測値112aとの差分を求めて計測値差分値1204を得る。具体的には、計測値112a−11と計測値平均値1202−11との差分から計測値差分値1204−11を得る。同様に、計測値112a−12と計測値平均値1202−11との差分から計測値差分値1204−12を得る。以上のような計算を行うことにより、計測値112aを、計測値平均値1202と計測値差分値1204とに分解する。
【0052】
図7(B)においては、上記と同様の操作を計測値平均値1202に対して行う。図7(B)に示す計測値平均値1202は、図7(A)の計測値平均値1202である。この計測値平均値1202を構成する個々の計測値平均値1202−11、1202−12、・・・について、窓幅2の重み付き平均を求め、この値を第二の計測値平均値1205とする。具体的には、計測値平均値1202−11と1202−12の平均値を求め、これを計測値平均値1205−11とする。同様の計算を、計測値平均値1202を構成する他の値についても行う。さらに、計測値平均値1202と第二の計測値平均値1205との差分を求めて第二の計測値差分値1206を得る。具体的には、計測値平均値1202−11と第二の計測値平均値1205−11との差分から第二の計測値差分値1206−11を得る。
【0053】
以上のような計算を、平均した値のサンプル数が平均化の窓幅よりも小さくなるまで繰り返し実行することにより、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルが得られる。この複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルをあわせて特徴量122aとする。この場合、計測値112aを構成するデータの個数と、特徴量122aを構成するデータの個数は必ずしも一致しない。このような演算を行うことにより、細かい変動成分と大きな変動成分を分けることができるので、計測値112aの特徴を効率よく表現することができる。
【0054】
図8は、実際にテレビの電流値を計測して計測値112aを得て、前記特徴量計算手段120により特徴量122aを算出した例である。図8(A)は、テレビの電流波形を20msに渡って計測したものである。計測値112aは機器ごとに違った形状となる。図8(B)は、前述の図7で示した方法により、特徴量122aを計算した結果を示すものである。特徴量122aは、機器ごとに異なる計測値112aの特徴量を更に際だたせて表現する。
【0055】
このようにして求めた特徴量122aを、予め参照機器エントリ辞書200の参照機器エントリ201の機器特徴量201aとして記憶しておくことで、これと合致する特徴量122aが得られた場合にテレビが稼働したと判断することができる。
【0056】
以上のように本実施の形態2によれば、計測値112aに所定の計算を施して特徴量122aを得ることで、機器に固有の計測値112aの特徴をより顕著に表現することができる。したがって、このようにして求めた特徴量122aを前述の実施の形態1に適用することで、より精度の高い機器状態の検出を行うことができる。
【0057】
また、図7における特徴量の計算方法において、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルをあわせて特徴量としたが、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルのうち、サンプル数の多い変動の小さな成分を切り捨てて残りを特徴量としてもよい。これにより、特徴量の次元を小さくし、データ量を圧縮することができる。
【0058】
また、図7における特徴量の計算方法において、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルをあわせて特徴量としたが、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルのうち、機器間の差異が大きい次元の成分だけを取り出して特徴量としてもよい。これにより、機器間の特徴量の差異が大きくなり、検索における合致判定の精度を向上させることができる。
【0059】
また、図7における特徴量の計算方法において、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルをあわせて特徴量としたが、複数の計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルのうち、電流値が大きく変化する区間の重み付き平均値や差分値だけを取り出して特徴量としてもよい。
例えば、図8(A)の計測値112aに示すように、実際の機器の電流値は、ほぼ0である区間が大きい。電流値が0である区間を除いて特徴量を生成することにより、特徴量の次元を小さくすることができる。
【0060】
また本実施の形態2では、計測値差分値ベクトルと計測値平均値ベクトルをあわせて特徴量としたが、計測値平均値ベクトルのみを特徴量としてもよい。このようにしても、特徴量ベクトルのデータ量を削減しつつ、機器の特徴量を得ることができる。
【0061】
また、特徴量122aの計算方法は、重み付きの平均値を求めるのではなく、計測値112aの周期性を取り出す演算であってもよい。例えば、ピーク間距離、波の波高率、立ち上がり時間、立下り時間などの値を、周期ごとに抽出することにより、周期性を抽出することができる。
周期性を取り出すためには、計測値に対しフーリエ変換やウェーブレット変換を行えばよい。
この場合、高調波の成分ごとにその強度と位相を特徴量122aとすることで、高調波成分を効率よく表現することができる。このようにしても、機器ごとの特徴量122aを得ることができる。
【0062】
また、特徴量122aを求める際に、計測値112aごとに計算するのではなく、連続する複数の計測値112aから特徴量122aを算出することもできる。このようにすることで、周期の異なる機器の特徴量を算出することができる。
【0063】
実施の形態3.
本実施の形態3では、機器状態検出手段130が参照機器エントリ辞書200を検索する際の検索動作について説明する。前述の図5に示したステップS605をより詳細に説明するものである。なお、図1に示したシステム構成、図2に示した機器状態検出装置100、生活行為推定装置400の構成は前述の実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0064】
本実施の形態3では、機器状態検出手段130は、参照機器エントリ辞書200を検索する際に、特徴量エントリ122と参照機器エントリ201との合致度合いを、特徴量合致度という指標を用いて表す。そして、この特徴量合致度の大小から、合致しているかどうかを判定する。
【0065】
特徴量合致度は、特徴量エントリ122の特徴量122aと、参照機器エントリ201が保持する機器特徴量201aの次元ごとの値の差を計算することにより求める。図6(B)に示したように、特徴量122aはベクトルである。また、機器特徴量201aもこれと同じ次元のベクトルである。特徴量122aの各要素をAi、機器特徴量201aの各要素をBiとすると、特徴量合致度Sは以下の(式1)により求めることができる。このとき特徴量合致度Sは0〜1の値をとる。
【0066】
【数1】

【0067】
あるいは、特徴量122aと機器特徴量201aのベクトルの内積を計算し、それぞれのベクトルのノルムで除算した値を、特徴量合致度Sとしてもよい。
【0068】
あるいは、特徴量122aと機器特徴量201aのベクトルの各次元の値を比較し、ほぼ一致している個数を数えて、この個数を次元の総数で除した値を特徴量合致度Sとすることもできる。
【0069】
以上のように、本実施の形態3に係る機器状態検出装置100は、特徴量合致度という指標を用い、特徴量合致度の高い参照機器エントリ201を検索結果とするようにしたので、完全に一致する参照機器エントリ201が存在しないような場合でも、機器状態を推定することができる。また、上述の計算方法を用いることにより、特徴量合致度の精度を高めることができる。
【0070】
実施の形態4.
本実施の形態4では、複数の機器が同時に稼働している状態において、機器状態検出手段130が参照機器エントリ辞書300を検索する際の検索動作について説明する。前述の図5におけるステップS605をより詳細に説明するものである。なお、図1に示したシステム構成、図2に示した機器状態検出装置100、生活行為推定装置400の構成は前述の実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0071】
図9(A)に示す特徴量1220は、特徴量122aを連続的にグラフ表示したものである。前述のとおり特徴量計算手段120は、特徴量エントリ122を順次、機器状態検出手段130に出力している。したがって、機器状態検出手段130が取得する特徴量エントリ122の特徴量122aは、連続的な値と捉えることができ、この特徴量122aを模式的に示したものが図9(A)である。すなわち、特徴量122aは、特徴量1220を所定の時間単位で分割したものであると言い換えることができる。
【0072】
機器状態検出手段130は、図5のステップS605で参照機器エントリ辞書200を検索する際において、まず、図9(A)に示す現在の特徴量122aと過去の特徴量122aとの差分を求める。ここで用いる過去の特徴量122aは、現在よりも1周期以上前のものである。図9(B)に、求めた差分の例を示す。図9(B)においては、一点鎖線で示す過去の特徴量122aと破線で示す現在の特徴量122aとの差分を、実線で示している。この差分は、過去から現在までの間に変化した機器の特徴量であるといえる。例えば、過去にある1つの機器が稼働していた場合において、過去から現在までの間に新たに別の機器が稼働を始めたとすると、この新たに稼働を始めた機器の特徴量が、前記差分となる。機器状態検出手段130は、この差分を検索キーとして、参照機器エントリ辞書200を検索する。そして、前記差分と合致する機器特徴量201aを有する参照機器エントリ201を検索結果として特定する。
【0073】
このように、本実施の形態4によれば、現在の特徴量122aと過去の特徴量122aの差分を検索キーとして用いるので、複数の機器が同時に稼働している場合でも、機器状態を検出することができる。例えば、過去から現在までの間に新たに状態が変化した機器の機器状態を検出することもできる。前記差分の特徴量122aに現れる急峻な変化は機器ごとに固有であるので、前記差分を検索キーとして参照機器エントリ辞書200を検索することで、新たに稼働を始めた機器の機器状態を検出することができるのである。
【0074】
また、現在の特徴量122aと過去の特徴量122aの差分を検索キーとして機器状態を検出するので、個々の機器状態201bについての機器特徴量201aのみを参照機器エントリ辞書200に保持しておけばよく、複数の機器が同時に稼働している場合の機器状態については参照機器エントリ辞書200に保持しておく必要はない。したがって、予め複数の機器が同時に稼働している場合の機器状態を学習しておくなどの手間が不要となる。また、保持しておく情報量が少ないので、記憶装置140の容量も少なくてすむ。
また、参照機器エントリ辞書200に存在しない未知の機器が稼働している最中に参照機器エントリ辞書200に存在する既知の機器が稼働し始めた場合においても、前記差分を用いることにより、既知の機器の機器状態を検出することができる。
【0075】
なお、本実施の形態4においては、現在の特徴量122aを参照機器エントリ辞書200に追加するようにしてもよい。この際、現在の特徴量122aを機器特徴量201aとし、検索された機器状態を参照機器エントリ201の機器状態201bとする参照機器エントリ201を新たに作成し、これを参照機器エントリ辞書200に追加する。このように、参照機器エントリ辞書200に参照機器エントリ201を追加することで、以後の検索時においてより精度の高い検索を行うことが可能となる。
【0076】
また、現在の特徴量122aと過去の特徴量122aとの差分を求める際において、機器操作が行われる前に計算した過去の特徴量122aを用いることができる。機器操作が行われたかどうかは、特徴量122aの持つ周期の長い成分の長さが一定値以上変化したか否かにより判断することができる。したがって、特徴量122aの持つ周期の長い成分に着目し、強さが一定値以上変化した時点より前の特徴量122aと、現在の特徴量122aとの差分を計算することで、新たに操作された機器の機器状態を検出することができる。
【0077】
また、本実施の形態4で示した機器状態検出方法については、前述の実施の形態1又は2と組み合わせて用いることができる。
【0078】
実施の形態5.
前述の実施の形態1では、参照機器エントリ辞書200を検索して得られた参照機器エントリ201の機器状態201bが警告状態であった場合に、その機器が警告状態であることを検出していた。本実施の形態5では、機器の警告状態の他の検出方法について説明する。なお、実施の形態1と同一部分については説明を省略する。
【0079】
図10は、本実施の形態5に係る参照機器エントリ辞書210及び合致参照機器エントリ133のデータ構成である。本実施の形態5では、前述の実施の形態1で示した参照機器エントリ辞書200に代えて参照機器エントリ辞書210を、合致参照機器エントリ131に代えて合致参照機器エントリ133を備える。
【0080】
図10(A)において、参照機器エントリ辞書210は、参照機器エントリ211の集合体である。参照機器エントリ211は、機器特徴量211aと、機器状態211bと、機器特徴量履歴211cとを1組としたデータにより構成される。機器特徴量211aと機器状態211bは、前述の実施の形態1で述べた機器特徴量201aと機器状態201bと同じものである。機器特徴量201cは、特徴量計算手段120によって計算された特徴量122aの履歴により構成される。
図10(B)に示す合致参照機器エントリ133は、機器特徴量133aとこれに対応する機器状態133b、特徴量距離133c、及び警告状態133dを1組としたデータにより構成される。警告状態133dを備えた点のみ前述の合致参照機器エントリ131と異なり、その他については同一である。
【0081】
図11に、本実施の形態5に係る機器状態検出装置100の動作フローを示す。図11においては、ステップS611、S612、S606aのみ前述の図5と異なり、その他は同一であるので、同一部分については説明を省略する。以下、各ステップに沿って、詳細な動作について説明する。
【0082】
(S611)
機器状態検出手段130は、ステップS605で検索した参照機器エントリ211の機器特徴量履歴211cに、検索キーとして用いた特徴量122aを履歴として格納する。前述の実施の形態1で述べた通り、ステップS605では、検索キーとなる特徴量122aと機器特徴量211aとが完全一致する場合のみならず、特徴量合致度の高いものを検索結果としているので、検索結果が同じ参照機器エントリ211となる場合でも、検索キーとして用いられた特徴量122aにはバラツキがある。したがって、機器特徴量履歴211cには様々な特徴量122aが格納されることになる。
【0083】
(S612)
機器状態検出手段130は、蓄積された機器特徴量履歴211cの平均値を算出し、さらにその平均値が所定の閾値を超えたか否か判定する。そして、閾値を超えた状態を、警告状態と判断する。機器は、月単位あるいは年単位で徐々に変化し、劣化していくものである。この変化の状態は、計測値112aに現れ、ひいては特徴量122aに現れることになる。本ステップS612では、機器特徴量履歴211cの平均値を算出してこの値が閾値を超えたか否か判定することで、特徴量122aに変化が生じてきているか、すなわち警告状態か否かを判定する。
【0084】
なお、警告状態か否かを判定するにあたっては、機器特徴量履歴211cの平均値ではなく、分散を算出して、この値が所定の閾値を超えたか否かによって判定してもよい。また、平均値と分散値の両方を用いて判定してもよい。このようにしても、警告状態か否かを判定することができる。
また、所定の閾値は、すべての機器で共通する値を設定してもよく、また、機器ごとに独立の値を設定してもよい。
【0085】
(S606a)
ステップS612で警告状態であると判定された場合には、合致参照機器エントリ131の警告状態131dに警告内容を追記する。また、警告内容を追記しなくとも、警告状態であるか否かという情報のみを追記することとしてもよい。
【0086】
以上のように、本実施の形態5によれば、特徴量122aの履歴から警告状態か否かを判定するようにしたので、機器が稼働中か否か、という状態のみならず、経年変化に伴う劣化状態や、機器の動作不具合等の状態も検出することが可能となる。また、参照機器エントリ辞書210に記憶されていないような特徴量122aが得られた場合でも、本実施の形態5によれば、警告状態であることを検出することができる。
【0087】
また、ステップS612では以下のようにして警告状態の判定をしてもよい。
検索キーとして用いた現在の特徴量122aと、機器特徴量履歴211cの差分又は比を求め、その値が所定の閾値を超えたか否か判定する。このようにすることで、現在の特徴量122aと過去の特徴量122aとの乖離度合いが分かる。閾値を超えた場合には、警告状態と判定する。なお、所定の閾値は、すべての機器で共通する値を設定してもよく、また、機器ごとに独立の値を設定してもよい。
【0088】
あるいは、ステップS612では以下のように警告状態の判定をしてもよい。
機器特徴量履歴211cの平均値を算出し、その平均値と現在の特徴量122aとの差分又は比を算出し、その値が所定の閾値を超えたか否か判定する。このようにすることで、現在の特徴量122aと過去の特徴量122aの平均との乖離度合いが分かる。閾値を超えた場合には、警告状態と判定する。なお、所定の閾値は、すべての機器で共通する値を設定してもよく、また、機器ごとに独立の値を設定してもよい。
【0089】
あるいは、ステップS612では以下のように警告状態の判定をしてもよい。
機器特徴量履歴211cのうち、古い方の履歴の所定回数分の平均値と、新しい方の履歴の所定回数分の平均値とを求め、両方の平均値を比較してその差分又は比を算出し、その差分又は比が所定の閾値を超えたか否か判定する。このようにすることで、連続変量である特徴量122aの変化の様子を適切に捉えることができる。閾値を超えた場合には、警告状態と判定する。なお、所定の閾値は、すべての機器で共通する値を設定してもよく、また、機器ごとに独立の値を設定してもよい。
【0090】
なお、これら平均又は分散の計算にあたって、すべての特徴量122aの履歴を機器特徴量履歴211cとして保持しておく必要はない。例えば、新たな平均値を求める際には、以下の式のようにして求めることができる。
平均=(追加された値+(過去の平均値*過去の履歴数))/(過去の履歴数+1)
したがって、平均値を求めた際にその平均値と履歴数を保持しておけば、次回も平均値を計算することができるので、必ずしも機器特徴量履歴211cを保持せずともよい。
【0091】
また、例えば分散を求める際には、以下の式により求めることができる。
分散=Σ(平均値−機器特徴量履歴211c)2=Σ平均値2−2*平均値*Σ機器特徴量履歴+Σ機器特徴量履歴2
したがって、分散を求めた際にその平均値と履歴数と機器特徴量履歴の二乗和を保持しておけば、次回も分散を計算することができるので、必ずしも機器特徴量履歴211cを保持せずともよい。
【0092】
また、本実施の形態5では、機器特徴量履歴211cとして特徴量122aを保持する場合の例について説明したが、履歴として保存するのは特徴量122aではなく、特徴量122aと機器特徴量211aとの距離であってもよい。このようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、本実施の形態5では、合致参照機器エントリ131に警告状態131dを設ける構成としたが、警告状態131dを設けない構成とすることもできる。その際には、機器状態131bに警告状態を追記することで対応できる。例えば、「テレビON・警告状態」などと追記するようにすれば、機器の動作状態と警告状態とを同時に保持することができる。
【0094】
また、本実施の形態5で示した警告状態検出方法については、前述の実施の形態1〜4と組み合わせて用いることができる。
【0095】
実施の形態6.
本実施の形態6では、警告状態を検出するその他の実施例について説明する。なお、本実施の形態6では、機器状態検出手段130の動作のみ異なり、その他の構成については実施の形態5と同じであるため、同一部分については説明を省略する。
【0096】
図12は、本実施の形態6に係る機器状態検出手段130の動作について、図11のステップS612を詳細に示した動作フローである。以下、各ステップについて説明する。
(S701)
機器状態検出手段130は、図11のステップS612の処理を開始する。
(S702)
機器状態検出手段130は、今回のステップS605での処理実行が、前回のステップS605での処理実行から所定時間以内かどうか判定する。所定時間以内の場合はステップS703へ、所定時間を超えている場合はステップS705へ進む。
(S703)
機器状態検出手段130は、前回のステップS605での参照機器エントリ辞書210を検索した際に、警告状態が検出されたか否か判定する。「警告状態」が検出されていた場合は、ステップS704へ進む。警告状態が検出されていなかった場合は、ステップS705へ進む。
(S704)
現在の機器状態を、警告状態と判定する。例えば、今回のステップS605での参照機器エントリ辞書210の検索により警告状態が検出されていなかった場合であっても、本ステップS704にて警告状態と判定されることになる。
(S705)
前述の実施の形態5で述べた方法にしたがって、警告状態か否か判定する。
【0097】
以上のように、本実施の形態6では、特徴量122aに基づく参照機器エントリ辞書210の検索により警告状態が検出された場合には、その後所定時間内に検出した機器についても警告状態であると判定するようにしている。
【0098】
前述の実施の形態1〜6で述べた通り、本発明に係る機器状態検出装置100は、電流値に基づいて計算した特徴量122aと予め記憶した参照機器エントリ辞書210とを照合することにより、警告状態か否か判定することができる。
ここで、前述の通り「警告状態」は、経年劣化や何らかの異常による不具合等が生じている可能性が高いことを指し示すものである。一般的にこのような不具合等は、簡単に治癒することは考えにくいものである。しかし、経年劣化による変化は非常に緩やかに生じる場合も多く、また、計測誤差等が生じる可能性もあり、警告状態が検出された場合でも次回の検索では警告状態ではないとされる場合も考えられる。
本実施の形態6では、このような場合でも、警告状態が検出されてから所定時間内に検出された機器の状態を警告状態であると判定するようにしたので、より確実に警告状態を検出することができる。
【0099】
なお、ステップS704において、即座に警告状態と判定するのではなく、警告未然状態と判定しておき、この警告未然状態と判定された回数が所定数に達した時にはじめて警告状態と判定するようにしても良い。
このようにすることで、警告状態の乱発を防ぎつつ、精度の高い警告状態の判定を行うことができる。
【0100】
また、本実施の形態6で示した警告状態検出方法については、前述の実施の形態1〜4と組み合わせて用いることができる。
【0101】
実施の形態7.
本実施の形態7では、マッチング手段410が参照行為エントリ辞書500を検索する際の検索動作について説明する。前述の図5におけるステップS609をより詳細に説明するものである。なお、図1に示したシステム構成、図2に示した機器状態検出装置100、生活行為推定装置400の構成は前述の実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0102】
マッチング手段410は、参照行為エントリ辞書500を検索する際に、機器状態エントリ132と参照行為エントリ501との合致度合いを、参照行為合致度という指標を用いて表す。
例えば、検索キーとなる機器状態132bと参照機器状態501bとが一致する場合であっても、機器状態時刻132aと参照行為時刻501aが大きく違っている場合、エントリ同士の合致している度合い、すなわち参照行為合致度が低いものとして扱う。
【0103】
合致度の計算は、機器状態時刻132aと参照行為時刻501aの差を用いる。例えば、合致度をY、機器状態時刻132aをX1、参照行為時刻501aをX2として、次の(式2)により計算する。合致度Yは0から1の大きさをとる。
【0104】
【数2】

【0105】
前記実施の形態1では、機器状態132bと参照機器状態501bが同じ参照行為エントリ501が複数存在する場合には、時刻の最も近いものを用いることを説明したが、これをより定量的に評価したものが、上記(式2)であるということができる。
すなわち、機器状態132bと参照機器状態501bとが一致する参照行為エントリ501が複数存在する場合には、上記(式2)を用いて合致度Yを計算し、合致度Yが最も大きくなるような参照行為エントリ501を検索結果とする。
【0106】
図13に、マッチング手段410が参照行為エントリ辞書500を検索する際の動作フロー詳細を示す。図13は、図5のステップS609をより詳細に説明したものという位置づけである。以下、各ステップについて説明する。
【0107】
(S801)
ステップS609の処理を開始する。前提として、機器状態エントリ132を取得した状態である。
(S802)
参照行為エントリ辞書500が保持する参照行為エントリ501の個数を変数Nに代入する。
(S803)
繰り返し回数を示す変数iに1を代入する。
(S804)
機器状態エントリ132が保持する機器状態時刻132aと、i番目の参照行為エントリ501が保持する参照行為時刻501aの差分を計算し、変数Xに代入する。
(S805)
機器状態エントリ132が保持する機器状態132bと、i番目の参照行為エントリ501が保持する参照機器状態501bとが一致する場合、ステップS806に進む。一致しない場合はステップS807に進む。
【0108】
(S806)
機器状態エントリ132とi番目の参照行為エントリ501との合致度Yiを、Yi=1/(X+1)として記録する。
(S807)
i番目の機器状態エントリの合致度Yiを0として記録する。
(S808)
変数iに1を加算する。
(S809)
変数iがNより大きい場合、すなわち、比較処理が参照行為エントリ501のすべてで終了した場合はステップS810に進む。そうでない場合はステップS804に戻り、処理を継続する。
(S810)
1番目からN番目までの合致度Yiのうち最も高いものを特定し、この合致度に対応する参照行為エントリ501を検索結果とする。
【0109】
以上の処理により、マッチング手段410は、機器状態エントリ132との合致度が最も高い参照行為エントリ501を特定することができる。合致度が最も高い参照行為エントリ501は、生活者の生活行為と合致する可能性が高いといえ、精度よい行動推定に資する。
【0110】
以上のように本実施の形態7によれば、機器状態と時刻とに基づいて生活者の生活行為を推定するようにしたので、より精度の高い推定を行うことができる。
【0111】
また、本実施の形態7で示した生活行為推定方法については、前述の実施の形態1〜6と組み合わせて用いることができる。
【0112】
実施の形態8.
本実施の形態8では、マッチング手段410が参照行為エントリ辞書500を検索する際の他の検索動作について説明する。前述の実施の形態7では、現在の機器状態エントリ132に基づいて生活行為を推定する場合の例について説明したが、本実施の形態8では、ある時点から所定時間分の機器状態エントリ132の履歴に基づいて、生活行為を推定する場合の例について説明する。前述の図5におけるステップS609をより詳細に説明するものである。なお、図1に示したシステム構成、図2に示した機器状態検出装置100、生活行為推定装置400の構成は前述の実施の形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0113】
マッチング手段410は、参照行為エントリ辞書500を検索する際に、現時点の機器状態エントリ132だけでなく、現在から所定時間分の機器状態エントリ132の履歴を用いて計算する。本実施の形態8では、この所定時間が20分である場合の例について説明する。
【0114】
図14は、マッチング手段419の処理内容を説明する図である。図14において、機器状態エントリ132の履歴として、機器状態エントリ132−1、132−2、132−3が記憶されている。
参照行為エントリ501は、1つの参照生活行為501cに対して、複数の参照行為時刻501aと参照機器状態501bの組み合わせが記憶されている。例えば、参照行為エントリ501−1においては、参照生活行為501cが「朝食」であり、このときは参照機器状態501bとして「ポットON」と「トースターON」が記憶されている。
【0115】
ここで、7:20の時に生活行為を推定する場合には、マッチング手段410は、現在から所定時間である20分を遡って保持されている機器状態エントリ132−1、132−2、132−3と合致する参照行為エントリ501を検索する。
具体的には、機器状態エントリ132−1、132−2、又は132−3と一致する参照機器状態501bを少なくとも1つ以上備えている参照行為エントリ501を検索する。図14に示す例では、参照行為エントリ501−1と501−2の2つが検索された様子を示している。参照行為エントリ501−1との間では「ポットON」と「トースターON」が一致しており、参照行為エントリ501−2との間では「ポットON」が一致している。このように複数の検索結果が得られた場合には、次の(式3)により合致度Zを計算する。
【0116】
【数3】

【0117】
上記の(式3)において、合致度Zは、機器状態エントリ132ごとの合致度Yiの平均を表している。図14の例においては、参照行為エントリ501−1との合致度Zが0.1、参照行為エントリ501−2との合致度Zが0.004であるので、両者を比較して合致度Zが高い参照行為エントリ501−1を検索結果として特定する。なお、本実施の形態8では、合致度Zの計算において時間の単位として分単位を用いたが、時間の単位については任意である。
【0118】
以上のように、本実施の形態8によれば、所定時間内の一連の機器状態に基づいて生活行為を推定するので、複数の機器を使用するような生活行為をより精度の高く推定することができる。例えば、複数の機器を稼働させて生活行為をする場合において、それぞれの機器の稼働順序が多少変わったとしても、適切な生活行為を推定することができる。
【0119】
なお、本実施の形態8の他の計算方法として、以下の(例1)〜(例3)を用いることもできる。
【0120】
(例1)
機器状態エントリ132と参照行為エントリ501との合致度を計算する際に、絶対時刻のみを用いて合致度を計算するのではなく、相対時刻を用いて計算してもよい。例えば、所定時間分の機器状態エントリ132の履歴の中で、基準となるもの(以下、「基準エントリ」と称す)については絶対時刻による合致度を求め、その他の機器状態エントリ132については基準エントリからの相対時刻を計算して合致度を求め、これらすべての平均を全体の合致度とする。基準エントリは、機器状態エントリ132の履歴の中で最も早い時刻のものを用いるなど、任意に定めることができる。
【0121】
このように、相対時刻によって合致度を求めることで、ある生活行為が通常とは違う時間に行われた場合にも、精度の高い生活行為の推定を行うことができる。例えば、起床時間が30分遅れてその後に行われる生活行為の時刻が30分ずつ繰り下がったような場合でも、相対時刻を用いて合致度を求めることで妥当な推定を行うことができる。
【0122】
(例2)
機器状態エントリ132と参照行為エントリ501との合致度を計算する際に、時刻を用いて合致度を計算するのではなく、一致した機器状態の個数を用いて合致度を計算してもよい。すなわち、所定時間分の機器状態エントリ132の履歴の中で、参照行為エントリ501内の参照機器状態501bと一致する個数を、機器状態エントリ132の履歴の個数で除算し、これを合致度とする。
【0123】
このように、一致する機器状態の個数を用いて合致度を求めることで、時間に拘わらず生活行為の推定を行うことができる。例えば、毎日の生活時間が不規則な生活者の行動を推定する場合にも、精度良く生活行為を推定することができる。
【0124】
(例3)
機器状態エントリ132と参照行為エントリ501との合致度を計算する際に、連続して一致した機器状態の個数を用いて合致度を計算してもよい。すなわち、所定時間分の機器状態エントリ132の履歴の中で、参照行為エントリ501内の参照機器状態501bと連続して一致する個数を、機器状態エントリ132の履歴の個数で除算し、これを合致度とする。
【0125】
このように、連続して一致する機器状態の個数を用いて合致度を求めることで、例えば、毎日の生活時間が不規則な生活者の行動を推定する場合にも、一連の機器状態に基づいて生活行為を推定するので、精度の高い推定に資する。
【0126】
また、本実施の形態8で示した生活行為推定方法については、前述の実施の形態1〜6と組み合わせて用いることができる。
【0127】
なお、上記実施の形態1〜8では、機器状態検出装置100と生活行為推定装置400とを協同して動作させ、機器状態検出装置100が検出した機器状態を生活行為推定装置400を経由して出力装置302に出力する場合の構成例について説明したが、機器状態の出力方法はこれに限定されるものではない。例えば、生活行為推定装置400を設けない構成とし、機器状態検出装置100から直接出力装置へ出力する構成とすることもできる。
また、機器状態検出装置100と生活行為推定装置400を別個の装置として設けるのではなく、両装置の機能を併せ持つ1つの装置を設ける構成とすることもできる。さらには、出力装置302又は計測装置300の何れか又は両方を、該装置に組み込む構成とすることもできる。
【0128】
また、上記説明では、計測手段110が電流値を計測する場合の例について説明したが、機器が使用する水道の流量を計測するものとしてもよい。水道の流量においても、電流と同じように機器ごとに使用する水の流量にパターンが存在するため、同様の装置によって水を使用している機器状態を検出することができる。例えば自動洗濯機は自動給水のため、ほぼ毎回、同じパターンとなるため容易に検出が可能であり、在室位置と行為の推定の精度を向上させることができる。また、電流と水道の流量とを組み合わせて用いることもできる。
【0129】
また、機器が使用するガス流量を計測する構成とすることもできる。ガスの流量においても、電流と同じように機器ごとに使用するガスの流量にパターンが存在するため、同様の装置によって使用しているガス使用機器を検出することができる。例えばガスストーブなどは自動制御であり、ほぼ毎回、同じパターンとなるため容易に検出が可能であり、在室位置と行為の推定の精度を向上させることができる。また、電流、水道の流量、ガスの流量を組み合わせて用いることもできる。
【0130】
また、室内などの環境の照度を計測する構成とすることもできる。光の量である照度も、照明や時間ごとにパターンが存在するため、同様の装置によって使用している照明機器を検出することができる。例えば蛍光灯などは、ほぼ毎回、同じ照度となるため容易に検出が可能であり、在室位置と行為の推定の精度を向上させることができる。また、電流、水道の流量、ガスの流量、照度を組み合わせて用いることもできる。
【0131】
また、室内などの環境の温度を計測する構成とすることもできる。熱量を示す温度においても、電流と同じように機器ごとにパターンが存在するため、同様の装置によって使用している機器を検出することができる。例えばエアコンなどは、ほぼ毎回、同じ温度とするように設定されているため、容易に検出が可能であり、在室位置と行為の推定の精度を向上させることができる。また、電流、水道の流量、ガスの流量、照度、温度を組み合わせて用いることもできる。
【0132】
また、計測手段110は、ネットワーク上のデータ転送量を計測する構成とすることもできる。データ転送量において、電流と同じように使用しているアプリケーションごとにパターンが存在するため、同様の装置によって使用しているアプリケーションを検出することができる。例えばIP電話などは、ほぼ毎回、同じデータ転送量となるように設定されているため、容易に検出が可能であり、在室位置と行為の推定の精度を向上させることができる。また、電流、水道の流量、ガスの流量、照度、温度、データ転送量を組み合わせて用いることもできる。
【0133】
実施の形態9.
図15は、本発明の実施の形態9に係る機器状態検出装置2000を設置した住居2010内の構成を示す図である。ここでは一般的な住居を例に取り、以下の説明を行うものとする。
住居2010内には、照明2120やテレビ2130が設置されており、いずれも給電線2140より電力供給を受けている。また、給電線2140には機器状態検出装置2000が接続されている。
機器状態検出装置2000は、電流センサ2202を備えており、給電線2140に流れる電流の瞬時値を計測することができる。
また、機器状態検出装置2000は、電圧センサ2201を備えており、給電線2140の電圧の瞬時値を計測することができる。
機器状態検出装置2000は電流センサ2202および電圧センサ2201で計測した計測結果(電流および電圧値)150に基づいて機器の状態検出を行う。
【0134】
図15において、照明2120が点灯している場合、照明2120固有の電流が給電線2140に流れる。また、テレビ2130の電源が投入された場合、テレビ2130に固有の電流が給電線2140に流れる。通常、これらの電流は、給電線2140上で混ざり合ってしまうため容易にはどの機器が動いているのか識別できない。しかしながら、本例の機器状態検出装置2000は、後述する構成によって、混ざり合った電流の中から機器ごとに固有の特徴を抽出して機器の状態(オン・オフ状態や機器のモード状態)を検出可能となっている。なお、電流センサ2202は、電力の給電口に設置する。テーブルタップやOAタップのような延長コードの上流部分に設置してもよい。また、電流センサ2202は、壁に埋め込まれたコンセントに設置してもよい。また、電流センサ2202は、屋外に設置された電力メーターや柱状トランスなどに設置しても良い。
【0135】
ここで、機器状態検出装置2000の詳細な説明をするに先立って、機器状態の検出原理について簡単に説明する。ここでは、テレビ2130を付けた場合について説明する。
テレビ2130は、後述の図19に示すようにテレビ固有の電流2502を持っている。また、このような固有波形は、テレビ2130がONしている間、電圧2501の周期(ここでは、商用周波数の50Hz又は60Hz)ごとに繰り返し再現する。テレビ固有の電流2502のような固有の波形はその電源回路の固有性によって生み出される。電圧2501が加わった場合、単なる抵抗器が負荷の場合には電圧2501と相似な電流が得られる。これがテレビ2130の電流2502のように、電圧2501と相似でない電流が得られるのは、テレビ2130の電源回路としてコンデンサインプット型整流回路などを用いて交流を直流に変換しているためである。このような整流回路は、回路自体の違いや機器の負荷の違いなどにより、機器ごとに異なる高調波を発する。このため、電流2502のような特徴的な電流波形が得られるのである。したがって、このような高調波の違いを検出することで、どのような機器が動いているのかや、機器がどのような状態であるのかを判定することができる。
【0136】
図16は、本実施の形態9に係る機器状態検出装置2000の機能ブロック図である。
機器状態検出装置2000は、1つの電流センサ2202と、1つの電圧センサ2201と、電流センサ2202および電圧センサ2201の計測結果を処理して機器状態を検出する処理部2300と、機器状態データベース2230と、処理結果を出力する出力装置2250とを備えている。
【0137】
処理部2300は、電流電圧変換手段2203、インピーダンスアッパー手段2204、波形フィルタ手段2205、波形増幅手段2206、AD変換手段2207、波形区切り手段2208、波形平滑化手段2209、特徴量計算手段2210、機器状態検出手段2220および機器状態情報作成手段2240を備えている。
【0138】
電流センサ2202は、給電線2140に流れる電流の瞬時値を計測するもので、具体的にはリングコアに巻かれたNターンの2次巻き線と貫通電線(給電線2140)の変流比がN対1になる電流トランスで構成されている。電流センサ2202は、貫通電線に流れる電流をN分の1にした電流を2次側回路に流す。
【0139】
電圧センサ2201は、給電線2140に流れる電圧の瞬時値を計測するもので、具体的にはコアに巻かれたMターンの2次巻き線と貫通電線(給電線2140)の変圧比がM対1になる電圧トランスである。電圧センサ2201は、1次側電線間の電圧をM分の1にした電圧を2次側回路に出力する。
【0140】
電流電圧変換手段2203は、電流センサ2202で検出された、給電線2140上を流れる電流の波形を電流値から電圧値に変換する。具体的には例えば、精度の高い電気抵抗器を電流センサ2202と並列に挿入した構成である。
なお、電流電圧変換手段2203と電流センサ2202は一つにまとめても良い。例えば、シャント抵抗などを用いて直接、電流を電圧に変換するなどである。
【0141】
インピーダンスアッパー手段2204は、電流電圧変換手段2203の出力インピーダンスを数倍〜数百万倍に高くする。電流電圧変換手段2203の出力インピーダンスは電流センサ2202を貫通する給電線2140のインピーダンス変動の影響を受けるため、給電線2140上の負荷が変動すると電流電圧変換手段2203の出力インピーダンスも変動する。出力インピーダンスをほぼ一定値にするためには、変動分が無視できる程度に出力インピーダンスを上げればよい。例えば、電流電圧変換手段2203の出力インピーダンスは数十オームに対し、インピーダンスアッパー手段2204によって、出力インピーダンスを数メガオームにあげる。インピーダンスアッパー手段2204は、例えば、オペアンプやトランジスタによるバッファーフォロアー回路で構成する。
【0142】
波形フィルタ手段2205は、インピーダンスアッパー手段2204で増幅された電流波形から、特定の周波数成分のみを抽出する。特定の周波数とは、商用周波数である50Hz又は60Hzの数倍〜数百倍までの範囲である。波形フィルタ手段2205では、後述する理由から、基本周波(商用周波)の高調波を抽出し、次の波形増幅手段2206に出力する。その方法としては、例えば、波形フィルタ手段2205の通過帯域を100Hz〜200KHzとすることにより、商用周波数成分を減衰し、高調波成分を強調することができる。
【0143】
また、例えば、波形フィルタ手段2205の通過帯域を500Hz〜200KHzとすることにより、商用周波数成分を大きく減衰し、高調波成分のみを抽出することができる。波形フィルタ手段2205は、例えば、低周波域および高周波域を低減するバンドパス型のアナログフィルタ、低周波域を低減するハイパス型のアナログフィルタなどで構成される。
【0144】
波形増幅手段2206は、電流波形の電圧値を増幅する。増幅度は、電流波形の最大電圧値と最小電圧値の振幅幅がAD変換手段2207の入力範囲に一致する又はそれより多少小さい程度とする。例えば、電流波形の電圧値の幅が100mVに対して、AD変換手段2207の入力範囲が10Vの場合には、増幅度はおよそ90倍〜100倍にする。このようにすることで、次のAD変換手段2207でデジタル化したときの誤差を少なくすることができる。
【0145】
AD変換手段2207は、AD変換器であり、増幅された電流波形の電圧値と、電圧センサ2201が計測した電圧値とをそれぞれアナログ値からデジタル値に変換し、記憶手段2212に記録する。アナログ値からデジタル値に変換する際には、時分割と量子化を行う。時分割とは、定められた時間周期ごとにアナログ値をデジタル値に変換することである。このためアナログ値は時間的に連続であるが、デジタル値は時間的に離散値となる。量子化とは、所定の電圧分解能に基づき、アナログ値をデジタル値に変換することである。このため、アナログ値は電圧的に連続であるが、デジタル値は電圧的に離散値となる。例えば、10ビットの分解能を持ち、0V〜5Vまでの入力範囲を持つADコンバーターの場合、変換されたデジタル値は約4.88mV単位の離散値となる。なお、インピーダンスアッパー手段2204、波形フィルタ手段2205、波形増幅手段2206およびAD変換手段2207は一つの半導体にまとめてあっても良い。
【0146】
波形区切り手段2208は、記憶手段2212に記録された電流のデジタル値をその電圧周期ごとに区切り、電圧一周期間のサンプル値(サンプル電流値)の個数が所定の個数になるように調整する手段である。電圧周期は、ここでは商用周波数である50Hz又は60Hzの波の周期であり、AD変換手段2207から入力される電圧センサ2201の計測結果から、電圧値の周期(電圧周期)を把握している。電圧周期は、商用周波数の場合、およそ16ms又は20msである。なお、電圧周期は、AD変換手段2207の時分割の周期の丁度倍数とは限らないため、電圧周期内に収まるサンプル値の個数は常に一定の個数ではなく、プラスマイナス1個の範囲で増減する。
【0147】
波形区切り手段2208は、サンプル値の個数が所定の個数に満たない場合、「0」を波形の最後に挿入してサンプル値の個数が所定の個数になるようにする。例えば、電圧1周期の間の電流値のサンプル数が200と定められており、あるときの電流値のサンプル数が199個しかなかった場合は、電流値の一番最後に「0」を追加して、サンプル値の個数を200個とする。
【0148】
また、波形区切り手段2208は、サンプル値の個数が所定の個数を超えている場合、超えたサンプル値を捨て、サンプル値の個数が所定の個数になるようにする。例えば、電圧1周期の間の電流値のサンプル数が200と定められており、あるときの電流値のサンプル数が201あった場合は、電流値の一番最後の値を捨てて、サンプル値の個数を200とする。
【0149】
波形平滑化手段2209は、波形区切り手段2208によって区切られた電流波形を複数読み込み、畳み込むことによって波形を平滑化する。畳み込むとは、波形を時間的にあわせて平均を取ることである。例えば、時刻Aにおける電圧1周期分の電流の各サンプル値が時間順に1、2、3、4であり、同様に時刻Bにおける電圧1周期分の電流の各サンプル値が時間順に5、6、7、8であった場合、時刻Aにおける電流値と時刻Bにおける電流値を畳み込むとは、(1+5)÷2、(2+6)÷2、(3+7)÷2、(4+8)÷2を計算することであり、畳み込んだ後の電流値は時間順に、3、4、5、6となる。
【0150】
特徴量計算手段2210は、波形平滑化手段2209が求めた平滑化波形から、所定の演算式により特徴量2210aを計算する。特徴量2210aはベクトルである。所定の演算として、本例では、ウェーブレット変換と二値化を用いる。平滑化した電流波形に対してウェーブレット変換を行い、そのウェーブレット係数を求める。そして、求めたウェーブレット係数を所定の閾値で二値化する。なお、特徴量計算手段2210の特徴量計算結果は、給電線2140に複数の機器が接続されている場合には、そのそれぞれの特徴量2210aが含まれたものとなる。
【0151】
機器状態データベース2230は、1以上の参照機器エントリ2231を格納している。参照機器エントリ2231は、各機器毎にそれぞれ機器特徴量2231aと機器状態2231bとを組にして保持するものである。機器特徴量2231aは、その機器の状態が機器状態2231bで表される状態にある場合に電流変化として検出される特徴量である。機器状態2231bとしては、機器のON/OFF状態、機器のモード状態、機器の経年劣化状態がある。機器のモード状態とは、例えばエアコンでは、「冷房」、「暖房」、「送風」などがある。機器の劣化状態とは、例えば、「電源破損」、「配線不良」などがある。
【0152】
それぞれの機器状態2231bにおいて、給電線2140に流れる電流にそれぞれの状態固有の特徴が表れることから、その機器特徴量2231aと機器状態2231bとを組として機器状態データベース2230として保持する。例えば、配線不良の場合、機器の特徴量が通常時とは異なる特異なものになることから、配線不良を示す機器状態2231bと機器状態2231bと対として参照機器エントリ2231として保持する。
【0153】
機器状態検出手段2220は、特徴量計算手段2210の特徴量計算結果を、機器状態データベース2230内の全ての参照機器エントリ2231と対比させ、特徴量計算手段2210が計算した特徴量2210aに合致(一致又は類似(一致率が所定の値以上)も含む)する機器特徴量2231aを持つ参照機器エントリ2231を特定する。すなわち、各参照機器エントリ2231の機器特徴量2231aと合致する特徴量2210aが特徴量計算結果に含まれているか否かを判断する。含まれていると判断した場合、その参照機器エントリ2231の機器状態にある機器が給電線2140に接続されていると判断でき、その参照機器エントリ2231を合致参照機器エントリ2221として記憶手段2212に格納する。
【0154】
機器状態情報作成手段2240は、検索結果である合致参照機器エントリ2221に基づき機器状態情報を作成し、出力装置2250に出力する。
【0155】
出力装置2250は、機器状態情報作成手段2240からの機器状態情報を画面表示する手段で、画面表示の手段として、液晶ディスプレイ、テレビ出力などを備える。
【0156】
図17は、出力装置2250に表示される結果画面の一例を示す図である。
住居名2303と、機器ごとに機器名2301と機器の状態2302をユーザーが明確にその対応付けが分かる形で表示する。例えば、「入」、「切」の状態を表示する、モードを表示する、点灯時間を表示するなどである。この表示例は一例であって、機器名2301、機器状態2302、住居名2303などの各コンポーネントがこのような配置でなくても良い。また図17に示す出力画面は、各コンポーネントが一部しかなくても良い。
【0157】
AD変換手段2207、波形区切り手段2208、波形平滑化手段2209、特徴量計算手段2210、機器状態検出手段2220、機器状態情報作成手段2240は、これらの機能を実現する回路デバイス等のハードウェアを用いて実現することもできるし、マイコンやCPU等の演算装置上で実行されるソフトウェアとして実現することもできる。メモリ等の記憶装置は、必要に応じて適宜備える。各手段間で共用してもよい。
【0158】
機器状態データベース2230は、メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置にあらかじめ参照機器エントリ2231を格納しておくことにより構成することができる。また、機器状態データベース2230は、各手段の外部に備えていてもよい。また、機器状態データベース2230は遠隔地に設置されたデータサーバーであっても良い。
【0159】
記憶手段2212は、メモリやHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶装置によって構成することができる。
【0160】
特徴量2210a、合致参照機器エントリ2221、参照機器エントリ2231は、記憶手段2212に格納されるデータとして構成することができる。
【0161】
図18は、機器状態検出装置2000が機器の状態を検出するフローである。以下、各ステップについて説明する。ここでは、テレビ2130の電源をONした場合の例で説明する。
【0162】
図19は、テレビ2130を付けた場合に給電線2140上に流れる電流2502とその時の給電線2140の電圧2501を示す図である。図19において横軸は時間、縦軸右側は電圧[V]、縦軸左側は電流[A]を示している。
テレビ2130は図19のようにテレビ固有の電流2502を持つ。また、このような固有波形は、電圧2501の周期ごとに繰り返し再現することは上述した通りである。
【0163】
(S2401)
電流電圧変換手段2203は、電流センサ2202で検出した給電線2140上を流れる電流値を電圧値に変換する。電流センサ2202で検出される電流値には、テレビ2130の電源をONしたことによるテレビ固有の電流2520が含まれたものとなっている。
(S2402)
インピーダンスアッパー手段2204は、電流センサ2202側のインピーダンスを高くする。
【0164】
(S2403)
波形フィルタ手段2205は、インピーダンスアッパー手段2204で増幅された電流波形から、特定周波数成分のみを抽出する。
【0165】
図20は、波形フィルタ手段2205によって特定周波数のみを抽出したテレビ2130の電流2602とそのときの給電線2140の電圧2601を示す図である。図20において横軸は時間、縦軸右側は電圧[V]、縦軸左側は電流[A]を示している。ここでは、例としてカットオフ周波数500Hzの一次ハイパス線形フィルタを通過させた場合について示す。
【0166】
波形フィルタ手段2205を通る前の図19の電流2502のうち、高周波域だけが抽出され、比較的パワーの大きい低周波成分が除去されたことにより、波形フィルタ手段2205を通った後である図20の電流2602に示すように高調波成分のみが際立つ。どのような機器も、50Hzや60Hzなどの電圧と同じ周波数の電流成分が最もパワーが大きい。このため、これらの成分を残したまま電流波形を後の処理工程であるAD変換手段2207でAD変換してしまうと、高調波成分の分解能が悪くなる。したがって、波形フィルタ手段2205によってこのような低域の成分を除去し、高調波成分を抽出することにより、AD変換における分解能を向上することが可能となる。
【0167】
(S2404)
波形増幅手段2206は、波形フィルタ手段2205を通過した特定周波数成分だけを含む電流波形の電圧値を、AD変換手段2207の入力範囲まで増幅する。
(S2405)
AD変換手段2207は、電圧センサ2201が変圧した給電線2140の電圧値と、増幅された電流波形とのそれぞれを、アナログ値からデジタル値に変換して、記憶手段2212に記録する。
(S2406)
波形区切り手段2208は、電圧の周期ごとにデジタル値化された電流波形を区切り、区切った信号のサンプル値の個数が常に所定の個数となるように補正する。この処理については上述した通りである。
【0168】
(S2407)
波形平滑化手段2209は、一つの区切りごとに同じサンプル数になった電流波形をL周期分を畳み込む。この処理の詳細も、上述した通りである。
【0169】
図21は、波形平滑化手段2209によって波形を平滑化した後のテレビ2130の電流2702とそのときの給電線の電圧2701である。図21において横軸は時間、縦軸右側は電圧[V]、縦軸左側は電流[A]を示している。
波形平滑化手段2209による波形の畳み込み効果により、電圧周期ごとの再現性がない波の成分については打ち消される。図21の電流2702に示すように、波形平滑化手段2209を通す前である図20の電流2602から環境ノイズが除去されている。
【0170】
電流の高調波成分は非常に小さいため、環境ノイズに埋もれやすく、確実に計測することは難しい。このため、時間的にランダムに印加される環境ノイズと、電圧周期と同じ周期で繰り返し再現する高調波成分を分離するためには、電圧周期ごとに畳み込みを行って確率的に環境ノイズのパワーを押さえ込むことが有効である。波形平滑化手段2209は、このような畳み込みを数回〜数百回行うことにより、環境ノイズを除去することができる。
【0171】
(S2408)
特徴量計算手段2210は、畳み込まれた電流波形に対してWavelet変換を行い、その係数を所定の複数の閾値を用いて2値化し、特徴量2210aとする。
【0172】
図22は、特徴量計算手段2210によってテレビ2130の電流波形に対してWavelet変換を行い、ウェーブレット係数2802とそのときの給電線2140の電圧2801を示したものである。ここでは、例として、一つのレベルのウェーブレット係数のみ示す。ウェーブレット係数には、テレビ固有の位置にテレビ固有のピーク2803があらわれる。この固有のピーク箇所は機器ごとに異なるため、ピークがどの位置に現れたかを観測することにより、どのような機器が稼動しているかを検出することができる。
【0173】
なお、複数の機器が同時に稼動している場合、それぞれの機器ごとの固有のピークが観測されるが、特徴量計算手段2210では、Wavelet変換を用いることで、ピークの幅が非常に狭くなるように変換できるため、機器ごとのピークの位置が重なってしまう可能性を小さくし、機器の誤検知を少なくすることができる。特徴量計算に用いる変換方法は、Wavelet変換に限られたものではないが、Wavelet変換は、時間領域の情報を残すことができる特徴を有することから、本例の場合のように、電圧周期内におけるピーク発生タイミングを特徴量として検出したい場合に有効な手段である。また、Wavelet変換を用いることにより、他の変換方法(例えばフーリエ変換)を用いた場合に比較して計算量を少なくできるため、小型のマイコンで対応できるという利点もある。
【0174】
図23は、特徴量計算手段2210によって、テレビ2130の二値化したウェーブレット係数2902とその時の給電線の電圧2901を示したものである。横軸は時間、縦軸右側は電圧[V]、縦軸左側はウェーブレット係数2902の二値化後の値を示している。ここでは例として、ウェーブレット係数を0.1を閾値として二値化したものを示す。
時間軸に対して、テレビ固有のピークが出る位置は「1」となり、ピーク値が出ない部分に関しては「0」となる。ウェーブレット係数の値自体は変動があるため、それをそのまま参照機器エントリ2231とのマッチングの判定に用いるのは誤検知の原因となり、適していない。しかし、図23に示す2値化したウェーブレット係数2902を用いることで、誤差変動に強く、安定したマッチングを行うことができる。
【0175】
なお、二値化後のウェーブレット係数で示される特徴量2210aとは、すなわちピーク数と、各ピーク間の時間間隔とによって表されるものである。また特徴量を2値化することにより、機器状態データベース2230に登録する機器特徴量2231aのデータ量を大幅に小さくすることができる。すなわち、特徴量2210aを計測値で登録するのに比べて、データサイズを大幅に小さくすることができる。なお、図23には、テレビ2130の電流波形に基づく特徴量計算結果しか示されていないが、給電線2140には、多様な機器が接続されていることから、他の機器が同時に動いている場合にはそれぞれの機器のピークが両方とも表れることになる。しかしながら、特徴量2210a(ピーク数および各ピーク間の時間間隔)は、その機器固有のものであり、他の機器や他の機器状態の特徴量と一致することはなく、区別できるものである。また、上述したように、給電線2140に多様な機器が接続されている場合、特徴量計算手段2210では、複数の異なる特徴量2210aを有する特徴量計算結果が取得されることになる。
【0176】
(S2409),(S2410)
機器状態検出手段2220は、特徴量計算手段2210で取得された特徴量計算結果と機器状態データベース2230内の参照機器エントリ2231とを対比させて、給電線2140に接続されている各機器の状態を取得する。
すなわち、機器状態データベース2230の各参照機器エントリ2231の機器特徴量2231aと一致又は類似する機器特徴量が特徴量計算結果に含まれているかを順次検索し、含まれている場合、その機器特徴量を有する参照機器エントリ2231を、合致参照エントリとして抽出し、ステップ(S2411)に進む。図24に、その検索動作の模式図を示す。ここでは、テレビ2130がONされた場合の例を示している。
【0177】
ここで、計測された特徴量2210aと、機器特徴量2231aが合致するかどうかの計算方法の代表例について説明する。機器特徴量2231aは2値化され、「0」と「1」を要素に持つ時系列のベクトルである。このとき、機器特徴量2231aが「1」の位置において、計測された特徴量も「1」であるかどうかを比較する。そして、計測された特徴量も「1」である位置の割合(スコア)を計算する。例えば、スコアが50%以上である場合には、合致したと判断する。給電線2140に複数の機器が接続されている場合は、特徴量計算結果には複数の異なる特徴量2210aが含まれているため、合致する参照機器エントリ2231も複数存在する。この場合、合致した全ての参照機器エントリ2231を合致参照機器エントリ2221として記憶手段2212に記録する。
【0178】
なお、検索の結果、合致するものが存在しなかった場合は処理を終了する。ここで、合致するものが存在しなかった場合とは、すなわち、特徴量計算手段2210で取得された特徴量計算結果内に、機器状態データベース2230に登録されている参照機器エントリ2231の機器特徴量2231aと一致又は類似する特徴量2210aがない場合である。具体的には参照機器エントリ2231として登録されていなかった新たな機器がONされた場合が該当する。このように、新しい未知の機器がONした場合に、その機器の特徴量2210aに対応する参照機器エントリ2231は存在しないことから、例えば別の機器がONしているといった誤推定を防止することができ、機器の稼動状態を高い精度で検出することができる。
【0179】
(S2411)
機器状態情報作成手段2240は、検索結果である合致参照機器エントリ2221に基づいて機器状態情報を作成する。
(S2412)
出力装置2250は、機器状態情報を例えば図17に示す表示画面で出力する。
【0180】
このように本実施の形態9によれば、給電線2140に流れる電流から給電線2140に接続されている機器の特徴量2210aを算出し、その特徴量2210aと、機器状態データベース2230に予め記憶された参照機器エントリ2231とを対比させて機器状態を特定するため、機器状態データベース2230には、機器状態毎にその機器状態2231bにおける機器特徴量2231aを登録しておけばよく、従来のように宅内に存在する全機器の組み合わせを意識する必要がなく、全機器の稼働状態の組み合わせ学習の手間を軽減することが可能となる。また、全機器の組み合わせ分の登録データが必要であった従来に比べ、登録データ数(ここでは参照機器エントリ数)が格段に少なくて済むため、特徴量2210aと機器状態データベース2230とを対比する際の処理計算量も少なくて済む。したがって、マイコンの能力が低くて済み、小型のマイコンで対応可能となる。
【0181】
また、機器状態データベース2230を特徴量計算と明確に分離することにより、機器状態データベース2230の更新のみによって新しい機器を登録したり、間違った参照機器エントリ2231を削除したりすることが簡単にできる。また、機器状態データベース2230をインターネットなどで接続されたサーバーからデータをダウンロードして更新することにより、常に最新の機器エントリを保つことができる。
【0182】
また、新たな未知の機器が稼働した場合、その機器の特徴量は機器状態データベース2230に登録されていないことから、他の機器と誤推定することを防止することが可能である。
【0183】
なお、出力装置2250として、本例では表示手段として説明したが、これに限られたものではなく、データ出力する手段としてもよい。すなわち、例えばインターネットに接続され、SMTPサーバーに接続して、指定したメールアドレス宛に機器状態検出手段2220の検索結果である機器状態情報を送信する手段としても良い。この場合、一定周期ごとに機器状態情報を送信する。また、データ出力の手段として、無線通信装置、赤外線通信装置、Ethernet(登録商標)、RS-232Cなどの有線通信装置を備える。送信する機器状態情報は最後にメールを送信してから現在までに得た全ての新しい機器状態情報を送信しても良い。また、最新の機器状態情報のみを送信してもよい。また更に、小型の無線通信機を用いてホームゲートウェイを経由して、町全体を集中管理するセンターサーバーへデータを送信するようにしてもよい。図17に示す出力画面は、センターサーバーにある集中管理端末上の画面であっても良い。
【0184】
実施の形態10.
本発明の実施の形態10は、建物内に給電線が複数ある場合に好適な技術に関する。具体的には例えば、一般的な家庭では、オール電化の普及により、現在単相3線による220Vの引き込みが主体となりつつある。このため、一戸の中に二つの給電線が存在する状況は頻繁に存在する。また、工場などでは、複数の給電線が存在することが一般的である。そこで、実施の形態10では、このように二つの給電線に繋がった機器の状態を一括して検出することを可能とするものである。
【0185】
図25は、本実施の形態10における機器状態検出サーバー2100の概略構成を示す模式図である。
機器状態検出サーバー2100は、給電線2101に接続された電圧センサ2102および電圧センサ2103に接続された機器状態検出装置2107と、電圧センサ2105および電流センサ2106に接続された機器状態検出装置2108とを備えた構成である。各機器状態検出装置2107,2108の内部構成は、実施の形態9で説明したものとほぼ同じである。機器状態検出装置2107は給電線2101に繋がる機器の状態を検知し、機器状態検出装置2108は給電線2104に繋がる機器の状態を検知する。なお、ここでは機器状態検出装置を2組備えた例を示しているが、更に複数であってももちろん良い。
【0186】
図26は、機器状態検出サーバー2100の構成を示す機能ブロック図である。図26において、図16と同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
機器状態検出サーバー2100は、機器状態検出装置2107と、機器状態検出装置2108と、機器状態検出装置2107,2108のそれぞれで得られる機器状態を統合する統合手段2310と、統合結果を出力する出力装置2250と、機器状態検出サーバー2100全体を制御する制御手段2320とを備えている。なお、機器状態検出サーバー2100に備える各機器状態検出装置2107,2108は、実施の形態9で説明したようにそれぞれ出力装置2250を備えていてもよいが、出力装置2250は機器状態検出サーバー2100として少なくとも1つあれば十分であるため、ここでは、機器状態検出装置2107,2108内の各構成から出力装置2250を除いた構成を機器状態検出サーバー2100に備えているものとする。
【0187】
統合手段2310は、機器状態検出装置2107により検索された機器情報に対して機器状態検出装置2107を示すIDを付与し、機器状態検出装置2108によって検索された機器情報に機器状態検出装置2108を示すIDを付与し、これらを両方ともまとめて一つの機器状態情報として保持するものである。
【0188】
機器状態検出サーバー2100は、これら複数の給電線2101,1104にそれぞれ繋がる機器の状態を、それぞれ対応の機器状態検出装置2107,2108で同時に検出し、それぞれで検出した機器情報を、統合手段2310で統合して一つの出力装置2250でまとめて出力する。その結果、例えば給電線2101にテレビと電子レンジが接続され、給電線2104に掃除機と照明とが接続されている場合、図17に示したような一つの表示画面でまとめて機器状態を表示することが可能となる。
【0189】
また、220V機器、例えばIH調理器などは、給電線2101と給電線2104にまたがって接続される。このため、機器状態検出装置2107と機器状態検出装置2108とでは同じ機器の状態が重複して検出される。機器状態検出サーバー2100は、これら重複した機器状態の情報を用いることで、機器状態情報の信頼性を向上させることができる。具体的には例えば、IH調理器は給電線2101側と給電線2104側の両方から検出される機器であることを、参照機器エントリ2231に更に追加情報として加えておき、機器状態検出装置2107と機器状態検出装置2108の一方でIH調理器が検出され、他方で検出されない場合には、その情報が誤っていると判断する、などである。
【0190】
実施の形態11.
本発明の実施の形態11は、複数の建物や各部屋それぞれに設置された機器の機器状態をまとめて遠隔監視する際に好適な技術に関する。
【0191】
図27は、実施の形態11の機器状態検出システム2200の利用形態を示す図である。
機器状態検出システム2200は、上記実施の形態9と同様の構成を有する機器状態検出装置2201A,2202Aとネットワーク2204Aを介して接続されている。ネットワーク2204Aは専用線、電話線、インターネットなどである。機器状態検出装置2201A,2202Aのそれぞれは、別の建物や階、部屋に設置され、機器状態検出システム2200は、機器状態検出装置2201A,2202Aの設置場所から例えば遠隔地に設置されている。機器状態検出システム2200は、機器状態検出装置2201A,2202Aのそれぞれで取得した機器状態情報をネットワーク2204Aを介して受信し、機器状態検出装置2201A,2202Aの設置場所である各建物や各部屋の機器状態を監視し、この監視結果に基づき、省エネアドバイスをするなどの新しいサービスの提供を可能とするものである。
【0192】
機器状態検出装置2201A,2202Aと、機器状態検出システム2200とは、ネットワーク2204Aを介して電子メールの送受信が可能に構成されており、機器状態検出装置2201A,2202Aは、電子メールにより、リアルタイムに機器状態の検出結果を機器状態検出システム2200に送信する。また、機器状態検出装置2201A,2202Aは、機器状態情報を送る際、送信者を特定することができるIDと機器状態を検出した時刻とを付与して送信する。
【0193】
図28は、機器状態検出システム2200の構成を示す機能ブロック図である。
機器状態検出システム2200は、ネットワーク2204Aを介して機器状態検出装置2201A,2202Aと通信するための通信手段2210Aと、機器状態検出装置2201A,2202Aから送信されてくるメールを蓄積するメールボックス2211と、メールボックス2211内に蓄積されたメールに基づき機器状態検出装置2201A,2202Aが設置された場所における機器状態を機器状態情報として管理する機器状態情報管理手段2212Aと、機器状態情報を記憶する機器状態情報データベース2213と、管理結果を表示する表示手段2214と、機器状態検出システム2200全体を制御する制御手段2215とを備えている。機器状態情報データベース2213で管理された情報は、表示手段2214に管理結果として表示される以外に、各種サービスを行うための情報として使用される。機器状態検出システム2200は、図示しないマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を備えており、マイコン内のCPUおよび内部メモリに記憶された所定の演算プログラムに基づいて制御手段2215および機器状態情報管理手段2212Aが実現されている。
【0194】
機器状態検出システム2200は、機器状態検出装置2201A,2202Aから送信されてくるメールを通信手段2210Aを介して一定周期ごとに受信し、メールボックス2211内に蓄積する。なお、機器状態検出装置2201A,2202Aからの機器状態検出結果の通知は、メールによる方法に限られず、機器状態検出装置2201Aと直接通信できる場合は直接通信によってデータをやり取りしても良い。
【0195】
機器状態検出システム2200と機器状態検出装置2201A,2202Aとのやりとりをメールで行う場合には、非常に多くの機器状態検出装置がネットワーク2204A上に繋がったとしても、ネットワーク2204A上のトラフィック増加によって通信負荷が増大するといった問題を回避することができる。すなわち、機器状態検出装置2201A,2202Aと、機器状態検出システム2200との間の通信を、セッションを確立して通信を開始する形態に比べて、通信負荷を軽減することが可能である。
【0196】
また、一般的な家庭のネットワークでは通常ファイアーウォールが設定されているため、専用のポートによる通信はこれらの設定変更の煩雑さが発生する。しかしながら、メール通信の場合、非常に一般的なプロトコルとポートを使用するためこのような手間を省くことができる。
【0197】
このように構成された機器状態検出システム2200では、機器状態検出装置2201A,2202Aをそれぞれ各家庭に設置することにより、複数の家の機器状態を機器状態情報データベース2213で一括して管理することが可能となる。このため、省エネアドバイスなどの新しいサービスを提供することが可能となる。例えば、冷房機器が付けっぱなしになっていたり、外気温に対して冷房温度が必要以上に低く設定されている等を機器状態検出システム2200側で検知できるため、その状態に応じた適切な省エネアドバイスが可能となる。
【0198】
なお、ネットワーク2204Aに接続される装置を機器状態検出装置としたが、実施の形態10で説明した機器状態検出サーバー2100としても良い。この場合も上記と同様の作用効果が得られる。
【0199】
実施の形態12.
図29は本発明の実施の形態12に係る生活者異常検知装置を示すブロック図及び外観斜視図である。
実施の形態12の生活者異常検知装置3001は、無線アクセスポイント3020からの電波をアンテナ3003を介して受信する無線通信手段3002と、活動判定手段3004と、活動判定手段3004からの信号に基づいて点灯/消灯するLED表示部3005と、各種の機器3030からの電波をアンテナ3007を介して受信する稼動機器検知手段3006と、稼動機器検知手段3006からの信号に基づいて点灯/消灯するLED表示部3008と、機器3030を制御する制御信号をアンテナ3010を介して送信する異常検知手段3009と、異常検知手段3009からの信号に基づいてブザー音を発する警報ブザー3011とを備えている。
【0200】
生活者異常検知装置3001の外部に存在する無線アクセスポイント3020は、例えば、特定の周波数の電波を一定の電波強度で発信する無線LANルーター、コードレス電話、無線LAN機能付きノートパソコン、設備制御用の通信機などの無線通信機器である。無線アクセスポイント3020からは無線電波が一定期間かつ断続的に送信されている。
【0201】
前述の無線通信手段3002は、無線アクセスポイント3020からの電波(同一周波数)が受信されたときに電波強度を計測する通信機、CPU、通信機が計測を開始した際にCPUが無線通信手段3002として実行するためのプログラム、このプログラムが保存されたROM、CPUの実行により得られたデータを一時的に保存するためのRAM等で構成されている。この無線通信手段3002は、無線アクセスポイント3020からの電波がアンテナ3003を介して受信されると、一定期間、受信電波の強度を計測し、それをデータとしてRAMに保存する。そして、所定時間の間の電波強度を読み出して電波強度の最小値と最大値の差から電波強度の変化値を算出し、データとして受信時刻と共にRAMに保存する。一定期間及び所定時間は、前記のROMに保存されている。
【0202】
活動判定手段3004は、例えば、CPU、無線通信手段3002が動作を開始した際にCPUが活動判定手段3004として実行するためのプログラム、このプログラムが保存されたROM、CPUの実行により得られたデータを一時的に保存するためのRAM等で構成されている。この活動判定手段3004は、無線通信手段3002によって算出された電波強度の変化値を読み込んで、予め設定された閾値と比較する。電波強度の変化値が閾値以上のときは生活者が活動していると判定し、その変化値が閾値より低いときは生活者が活動していないと判定し、この何れかの判定結果を活動情報としてRAMに保存する。また、生活者が活動していると判定したときはLED表示部3005を点灯し、生活者が活動していないと判定したときはLED表示部3005を消灯する。前述した閾値はROMに保存されている。
【0203】
稼動機器検知手段3006は、例えば、検知対象の機器3030からの電波を受信する通信機、CPU、通信機が検知対象の機器3030からの電波が受信した際にCPUが稼動機器検知手段3006として実行するためのプログラム、このプログラムが保存されたROM、CPUの実行により得られたデータを一時的に保存するためのRAM等で構成されている。この稼動機器検知手段3006は、周辺に設置された検知対象の機器3030からの電波がアンテナ3007を介して受信されると、その受信電波から機器3030の稼動状態の情報を取得し、機器情報としてRAMに保存する。また、その機器情報に基づいてLED表示部3008を点灯/消灯する。例えば、検知対象の機器3030が稼動しているときはLED表示部3008を点灯し、その機器3030が稼動していないときはLED表示部3008を消灯する。
【0204】
前述の機器3030は、例えば、照明、空調装置、音響装置、AV装置、IHクッキングヒーター、エアコン、テレビ、ドライヤー、温水便座等である。各機器3030は、ON/OFFの状態や稼動状態を無線通信で稼動機器検知手段3006に通知する通信機能を有している。例えばエアコンにおいては、リモコンによって「OFF」から「暖房」に変わった場合、「エアコン、暖房」といった稼動状態を稼動機器検知手段3006に送信する。
【0205】
異常検知手段3009は、例えば、CPU、活動判定手段3004が動作した際にCPUが異常検知手段3009として実行するためのプログラム、このプログラムが保存されたROM、CPUの実行により得られたデータを一時的に保存するためのRAM、CPUによって生成された機器3030に対する制御信号を無線で送信する通信機等で構成されている。この異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMに保存された活動情報から住居内に生活者が居ると判定したとき異常なしと判定する。また、住居内に生活者が居ないことを確認したときは稼動機器検知手段3006のRAMに保存された機器情報から検知対象の機器3030が稼動しているかどうかを判定する。例えば、生活者が居ないのに照明がON状態であったり、エアコンが稼働していたり、また、IHクッキングヒーターが稼動していた場合は、異常と判定して警報ブザー3011を作動すると共に、ON状態の照明をOFFしたり、エアコンの出力を下げたり、また、IHクッキングヒーターの稼動を停止させる制御信号をその機器3030に送信する。
【0206】
次に、前記のように構成された生活者異常検知装置の動作について図30〜図36を用いて説明する。
まず最初に、無線アクセスポイント3020から生活者異常検知装置3001に送信される電波の強度について説明する。図30は無線アクセスポイントから生活者異常検知装置に送信される電波の経路を示す模式図である。
無線アクセスポイント3020から放射された電波は、図中に示すように、直進する電波と、部屋3040内の床面や天井、壁等にぶつかって反射する電波とがあり、この様々な経路をたどって生活者異常検知装置3001に到達する。各経路をたどって生活者異常検知装置3001に到達した電波は、その経路長が異なるため、位相がずれた状態で無線通信手段3002により受信される。位相の異なる電波は、互いに打ち消しあったり強めあったりする。
【0207】
例えば、障害物3050のある部屋3040では、電波は障害物3050に当たって弱くなるが、無線通信手段3002における受信電波の強度は、必ずしも弱くなるわけではなく、障害物3050の位置によってその電波強度の値は大きく上下する。障害物3050が移動する場合、無線通信手段3002における受信電波の強度は激しく変動する。例えば、障害物3050が生活者であった場合、生体活動に伴う微小なゆれや振動であっても、受信電波の強度は計測可能なレベルで十分大きく変動する。このため、生活者が就寝中であった場合でも、無線通信手段3002における受信電波の強度に十分な揺らぎが発生し計測可能である。
【0208】
次に、無線通信手段及び活動判定手段の動作について図31及び図32を用いて説明する。 図31は実施の形態12に係る生活者異常検知装置の無線通信手段及び活動判定手段の動作を示すフローチャート、図32は無線通信手段によって計測された受信電波の強度を示す図である。なお、図32に示す電波強度は、0に近いほど弱く、100に近いほど強いことを示し、午前0時から翌日の午前0時までの24時間の間に計測された一例である。
【0209】
無線通信手段3002は、無線アクセスポイント3020からの電波をアンテナ3003を介して受信すると(S3031)、一定期間、受信電波の強度を計測し(S3032)、データとしてRAMに保存する。この無線通信手段3002により計測された電波強度は、図32に示すように、生活者が外出していた時間帯では殆ど変化がないが、生活者が住居内に居る時間帯では時々刻々と変化している。また、生活者が就寝中のときは、受信電波の強度は、生活者の寝返りなどの動きに伴って、時々刻々と変化している。
【0210】
無線通信手段3002は、受信電波の強度の計測が終了すると、所定時間の間の電波強度をRAMから読み出して電波強度の最小値と最大値の差から電波強度の変化値を算出し(S3033)、受信時刻と共に前記のRAMに保存する。この動作は、無線アクセスポイント3020から電波が送信される毎に繰り返し行われる。
【0211】
一方、活動判定手段3004は、電波強度の変化値が算出されると、無線通信手段3002のRAMに保存された電波強度の変化値を読み出して、予め設定された閾値と比較する(S3034)。変化値が閾値以上のときは、生活者の活動有りと判定してその結果を活動情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3005を点灯して、ユーザーに対し活動有りと判定した旨を明示し(S3035)、前述した一連の処理を終了する(S3037)。
【0212】
また、電波強度の平均値が閾値より低いときは、生活者の活動無しと判定してその結果を活動情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3005を消灯して、ユーザーに対し活動無しと判定した旨を明示し(S3036)、前述した一連の処理を終了する(S3037)。
【0213】
以上のように、受信した電波強度の変化値が所定の閾値以上のときに生活者の活動が有ると判定することにより、物や扉の開け閉めといった物体の位置の変化の影響を受けずに生活者の活動を検知することができる。
【0214】
次に、稼動機器検知手段の動作について図33を用いて説明する。
図33は実施の形態12に係る生活者異常検知装置の稼動機器検知手段の動作を示すフローチャートである。
稼動機器検知手段3006は、検知対象の機器3030からの電波をアンテナ3007を介して受信すると(S3051)、受信電波から機器3030の稼動状態を示す状態通知を抽出して、その状態通知をRAMに保存する。そして、そのRAMに保存した状態通知を参照して機器3030が稼動しているかどうかを判定する(S3052)。状態通知から機器3030が稼動していると判定したときは、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3008を点灯して、ユーザーに対し機器3030の稼動を検知した旨を明示し(S3053)、前述した一連の処理を終了する(S3055)。
【0215】
また、稼動機器検知手段3006は、状態通知から機器3030が稼動していないと判定したときは、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3008を消灯して、ユーザーに対し機器3030が稼動していない旨を明示し(S3054)、前述した一連の処理を終了する(S3055)。
【0216】
以上のように、検知対象の機器3030からの状態通知を受信することにより、物理的に離れた位置にある機器3030の状態を取得することができる。
【0217】
図34は実施の形態12に係る生活者異常検知装置の異常検知手段の動作を示すフローチャートである。
異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMから生活者の活動情報を読み出して、異常検知の処理を開始する(S3071)。先ず、活動情報から住居内で生活者が活動しているかどうかを判定し(S3072)、その活動情報から生活者が活動していると判定したときは異常検知の処理を終了する(S3075)。
【0218】
また、異常検知手段3009は、活動情報から生活者が活動していないと判定したときは、稼動機器検知手段3006のRAMから機器情報を読み出して、検知対象の機器3030(例えば、テレビやエアコン等)が稼動しているかどうかを判定する(S3073)。検知対象の機器3030が稼動していないと判定したときは異常検知の処理を終了する(S3075)。一方、生活者が活動していないときに、機器情報から検知対象の機器3030が稼動していると判定したときは、警報ブザーを作動し、かつ検知対象の機器3030に対して稼動を停止、或いは出力を下げさせる制御信号を送信し(S3074)、異常検知の処理を終了する(S3075)。
前述した一連の異常検知処理は、活動判定手段3004が自己のRAMに活動情報を、また、稼動機器検知手段3006が自己のRAMに機器情報をそれぞれ保存する毎に行われる。
【0219】
ここで、具体的に異常有無の検知例について図35を参照しながら説明する。
図35は異常検知手段による異常有無の検知例を示す図である。なお、図35の(1)〜(4)に示す黒の四角は、生活者が活動している状態と機器が稼動している状態を示し、白の四角は、生活者が活動していない状態と機器が稼動していない状態を示している。
図中の(1)は、例えば生活者が就寝しているときで、検知対象の機器3030が使用されていない状態であり、(2)は、例えばお昼時などに検知対象の機器3030が使用された状態である。これらの場合、異常検知手段3009は、生活者の活動有りを検知して、検知対象の機器3030が稼動しているか否かに関係なく正常と判定する。
(3)は、例えば生活者が外出中で、検知対象の機器3030が使用されていない状態である。この場合、異常検知手段3009は、生活者の活動無しを検知し、検知対象の機器3030が稼動していないと検知し、正常と判定する。
(4)は、検知対象の機器3030が使用された後に、生活者の活動が途中でなくなった状態である。この場合は、例えば、機器3030を使っていたが、途中で具合が悪くなってうずくまってしまった、或いは倒れて動けなくなった、又は機器を使用したまま外出してしまったといった状態である。このような場合、異常検知手段3009は、途中において生活者の活動無しを検知し、検知対象の機器3030が稼動していると検知し、異常と判定する。
【0220】
次に、生活者異常検知装置3001の設置例について図36を用いて説明する。
図36は実施の形態12に係る生活者異常検知装置の設置例を示す図である。
住居内に生活者異常検知装置3001と検知対象の機器3030が設置され、生活者3050が住居内で暮らしている。住居内は周りを外壁に囲まれているため、機器3030や生活者異常検知装置3001が発する無線信号が外に漏洩することはない。無線アクセスポイント3020は住居内に設置される。生活者3050が住居内を動き回っているときに、無線アクセスポイント3020から一定の出力で送信された電波は、生活者異常検知装置3001に到達し、無線通信手段3002における受信電波の強度は時々刻々と変化する。これにより、活動判定手段3004は住居内に生活者3050が居ることが容易に推定できる。また、生活者3050が検知対象の機器3030を操作した場合、その機器3030から操作に応じた状態通知が生活者異常検知装置3001に送信される。この時、稼動機器検知手段3006は、これを受信することにより、機器3030が操作されたということを把握することができる。生活者異常検知装置3001は、設置された住居内に異常がないかどうかを監視し続ける。
【0221】
以上のように実施の形態12によれば、生活者の活動がないときに、検知対象の機器3030の稼動を検知したとき異常ありと判定して警報ブザー3011を作動させるようにしたので、周囲に対して異常を報知することができる。また、異常と判定した際に、検知対象の機器3030をOFF、或いは出力を下げるようにしたので、エネルギーの無駄使いを減らすことが可能になり、省エネアプリケーションを提供することができる。さらに、生活者の活動がなく、機器3030の稼動があるという状態を異常と判断することにより、アルゴリズムを簡略化し、記憶容量の少ないROMやRAMを備えたマイコンなどに実装することができる。
【0222】
実施の形態13.
実施の形態12では、稼動機器検知手段3006が機器3030からの状態通知に基づいて機器3030の稼動状態を判定するようにしたものであるが、実施の形態13は、検知対象の機器3030に流れる電流から機器3030の稼動状態を検知するようにしたものである。
図37は本発明の実施の形態13に係る生活者異常検知装置の外観を示す正面図である。なお、生活者異常検知装置3001の構成は、稼動機器検知手段3006及び異常検知手段3009を除き、実施の形態12と同様である。
【0223】
実施の形態13に係る生活者異常検知装置3001は、住居内に設置されたコンセント3060に着脱可能に接続される接続プラグと、この接続プラグに接続された機器3030の電源プラグ3030a差込用のコンセント3012と、接続プラグとコンセント3012の間に挿入されたシャント抵抗及びリレーの接点と、シャント抵抗による電圧降下の値をデジタル値に変換して稼動機器検知手段3006に出力するA/D変換器とを備えている。
【0224】
この生活者異常検知装置3001における稼動機器検知手段3006は、A/D変換器の出力から電流値を検知し、予め設定された閾値と比較する。電流値が閾値より低いときは機器3030が稼動していないと判定し、電流値が閾値以上のときは機器3030が稼動していると判定し、何れかの判定結果を機器情報としてRAMに保存する。前述の閾値は、稼動機器検知手段3006に設けられたROMに保存されている。
【0225】
異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMに保存された活動情報と稼動機器検知手段3006のRAMに保存された機器情報とから異常と判定したとき、リレーを動作させて前述の接点をOFFし、機器3030への電源供給を遮断する。
【0226】
次に、稼動機器検知手段3006及び異常検知手段3009の動作を説明する。
図38は実施の形態13に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。なお、生活者異常検知装置3001の接続プラグがコンセント3060に接続されているものとして説明する。
【0227】
稼動機器検知手段3006は、予め設定された周期で、本装置3001のコンセント3012に電源プラグ3030aが接続された検知対象の機器3030の電流値をシャント抵抗及びA/D変換器を介して計測し(S3101)、その電流値が閾値以上かどうかを判定する(S3102)。検知対象の機器3030の電流値が閾値以上のときは、その機器3030が稼動していると判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3008を点灯して(S3103)、ユーザーに対し機器3030の稼動を検知した旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3105)。また、電流値が閾値より低いときは、検知対象の機器3030が稼動していないと判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、前記のLED表示部3008を消灯して(S3104)、ユーザーに対し機器3030の稼動が検知されなかった旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3105)。
【0228】
一方、異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMから生活者の活動情報を読み出して、生活者が活動しているかどうかを判定する。その活動情報から生活者が活動していると判定したときは異常検知の処理を終了する。また、活動情報から生活者が活動していないと判定したときは、稼動機器検知手段3006のRAMから機器情報を読み出して、検知対象の機器3030が稼動しているかどうかを判定する。検知対象の機器3030が稼動していないと判定したときは異常検知の処理を終了する。一方、生活者が活動していないときに、機器情報から検知対象の機器3030が稼動していると判定したときは、警報ブザーを作動すると共に、リレーを動作させてその接点をOFF状態にする。
【0229】
以上のように実施の形態13によれば、本装置3001のコンセント3012に電源プラグ3030aが接続された検知対象の機器3030の電流値が閾値以上のとき、その機器3030が稼動していると判定するようにしたので、無線通信機能が付いていない機器3030の稼動状態を検知することができる。また、検知対象の機器3030の電流値が閾値以上のとき、即ち検知対象の機器3030が稼動しているときに生活者の活動が検知されなかった場合、その機器3030の電源を遮断するようにしたので、電力の無駄使いを低減でき、省エネアプリケーションを提供できる。
【0230】
実施の形態14.
実施の形態13では、検知対象の機器3030の電流検知としてシャント抵抗における電圧降下を計測するようにしたが、実施の形態14は、クランプ式の変流トランスを用いて検知対象の機器3030の高調波電流を検知するようにしたものである。
図39は本発明の実施の形態14に係る生活者異常検知装置の外観を示す正面図である。なお、図中に示す3本の接続端子3014は、本実施の形態では無いものとして説明する。また、生活者異常検知装置3001の構成は、稼動機器検知手段3006及び異常検知手段3009を除き、実施の形態12と同様である。
【0231】
実施の形態14に係る生活者異常検知装置3001は、住居内に設けられた分電盤の近傍に設置され、分電盤のメインブレーカの2次側(100V給電線)に流れる電流を検知するクランプ式の変流トランス3013を備えている。この生活者異常検知装置3001における稼動機器検知手段3006は、予め検知対象の例えばテレビ、エアコン等の複数の機器3030に流れる電流を変流トランス3013を介して計測し、電流に含まれる高調波を抽出してRAMに保存する。この高調波の保存は、本装置3001の使用前に検知対象の機器3030を学習させるためである。その後は、計測電流から高調波を抽出しRAMに保存した高調波と比較して検知対象の機器3030かどうかを判定する。検知対象の機器3030と判定したときは稼動していると判定し、ほぼ同じ高調波を検知できなかったときは検知対象の機器3030が稼動していないと判定し、何れかの判定結果を機器情報としてRAMに保存する。
【0232】
異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMに保存された活動情報と稼動機器検知手段3006のRAMに保存された機器情報とから異常と判定したとき、警報ブザー3011を動作させてユーザにその旨を報知する。
【0233】
次に、稼動機器検知手段3006及び異常検知手段3009の動作を説明する。
図40は実施の形態14に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。
稼動機器検知手段3006は、変流トランス3013を介して電流を計測し(S3121)、計測電流に高調波が含まれているかどうかを判定する(S3122)。高調波が含まれていないときは、この動作を繰り返し行う。計測電流に高調波が含まれているときは、その高調波を抽出し予めRAMに保存した高調波と比較して検知対象の機器3030かどうかを判定する(S3123)。ほぼ同じ高調波を検知したときは、検知対象の機器3030が稼動していると判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3008を点灯して(S3124)、ユーザーに対し検知対象の機器3030が稼動した旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3126)。また、抽出した高調波がRAMに保存されていないときは、検知対象の機器3030が稼動していないと判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、前記のLED表示部3008を消灯して(S3125)、ユーザーに対し検知対象の機器3030が稼動していない旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3126)。
【0234】
一方、異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMから生活者の活動情報を読み出して、生活者が活動しているかどうかを判定する。その活動情報から生活者が活動していると判定したときは異常検知の処理を終了する。また、活動情報から生活者が活動していないと判定したときは、稼動機器検知手段3006のRAMから機器情報を読み出して、検知対象の機器3030が稼動しているかどうかを判定する。検知対象の機器3030が稼動していないと判定したときは異常検知の処理を終了する。一方、生活者が活動していないときに、機器情報から検知対象の機器3030が稼動していると判定したときは、警報ブザーを作動する。
【0235】
以上のように実施の形態14によれば、分電盤のメインブレーカの2次側に流れる電流を変流トランス3013で計測し、計測電流から高調波を抽出して検知対象の機器3030が稼動しているかどうかを判定するようにしたので、無線通信機能が付いていない機器3030の稼動状態を検知することができる。また、測定電流から検知対象の機器3030とほぼ同じ高調波を検知したときに、生活者の活動が検知されなかった場合、その旨をユーザーに報知するようにしたので、電源の切り忘れた機器3030を速やかにOFFすることができ、検知対象の機器3030の無駄な電力の消費を防止することができる。
【0236】
なお、実施の形態14では、生活者異常検知装置3001の設置場所を分電盤の近傍としたが、生活者異常検知装置3001を電力メータや柱上トランスに隣接する場所などに設置しても良い。また、分電盤の2次側の電力線に変流トランス3013を用いて検知対象の機器3030の電流を計測するようにしても良い。
また、分電盤のメインブレーカの2次側に流れる電流を変流トランス3013で計測して高調波を抽出するようにしたが、電力線から取得できる、消費電力、無効電力、電圧変動、電流実効値、電圧実効値、回路インピーダンス、周波数スペクトルなどを用いても良いし、これらを組み合わせたものであっても良い。
【0237】
また、実施の形態14では、変流トランス3013を備えた生活者異常検知装置3001について述べたが、分電盤のメインブレーカの2次側の給電線と接続する接続端子3014(図39参照)を備えた生活者異常検知装置3001を用いるようにしても良い。この場合、100V(対地電圧)及び200Vの電圧をそれぞれ計測し、予め検知対象のテレビ、エアコン(200V用)等が稼動しているときに発生する電圧波形のひずみを学習しておき、その電圧波形のひずみを検知したときに検知対象であるテレビやエアコンの稼動を検知するようにする。
【0238】
このように構成した場合も無線通信機能が付いていない機器3030の稼動状態を検知することができる。また、測定電圧から検知対象の機器3030とほぼ同じ電圧波形(ひずみ)を検知したときに、生活者の活動が検知されなかった場合、その旨をユーザーに報知するようにしているので、電源の切り忘れた機器3030を速やかにOFFすることができ、検知対象の機器3030の無駄な電力の消費を防止することができる。
【0239】
実施の形態15.
実施の形態15は、機器3030から発生するEMCノイズ(電磁波ノイズ)を検知したときに機器3030が稼動していると判定するようにしたものである。
図41は本発明の実施の形態15に係る生活者異常検知装置の外観を示す斜視図である。なお、生活者異常検知装置3001の構成は、稼動機器検知手段3006を除き、実施の形態12と同様である。
【0240】
実施の形態15に係る生活者異常検知装置3001は、機器3030から放射されるEMCノイズを計測するためのアンテナ3015を備えている。この生活者異常検知装置3001における稼動機器検知手段3006は、予め検知対象の機器3030から放射されるEMCノイズを受信し、RAMにデータとして保存する。このEMCノイズの保存は、本装置3001の使用前に検知対象の機器3030を学習させるためである。その後は、受信したEMCノイズとRAMに保存したEMCノイズを比較して検知対象の機器3030かどうかを判定し、検知対象の機器3030と判定したときは稼動していると判定し、ほぼ同じノイズを検知できなかったときは検知対象の機器3030が稼動していないと判定し、何れかの判定結果を機器情報としてRAMに保存する。
【0241】
次に、稼動機器検知手段3006の動作を説明する。
図42は実施の形態15に係る生活者異常検知装置の稼動機器検出手段の動作を示すフローチャートである。
稼動機器検知手段3006は、機器3030から発生するEMCノイズをアンテナ3015を介して受信すると(S3141)、EMCノイズを計測し(S3142)、計測したEMCノイズが予めRAMに保存したEMCノイズとほぼ同じかどうかをパターンマッチングアルゴリズム等を用いて判定する(S3143)。双方のノイズがほぼ同じと検知したときは、検知対象の機器3030が稼動していると判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3008を点灯して(S3144)、ユーザーに対し検知対象の機器3030が稼動した旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3146)。
【0242】
また、双方のノイズが異なっていると検知したときは、検知対象の機器3030が稼動していないと判定して、その結果を機器情報としてRAMに保存する。そして、前記のLED表示部3008を消灯して(S3145)、ユーザーに対し検知対象の機器3030が稼動していない旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3146)。
【0243】
以上のように実施の形態15によれば、機器3030から発生するEMCノイズを受信して計測し、計測したEMCノイズと予め学習してRAMに保存した機器3030のEMCノイズと比較して検知対象の機器3030かどうかを判定するようにしたので、無線通信機能が付いていない機器3030の稼動状態を検知することができる。また、検知対象の機器3030と判定した際に、生活者の活動か検知されなかった場合、警報ブザー3011を動作させてユーザーに報知するようにしているので、電源の切り忘れた機器3030を速やかにOFFすることができ、電力の無駄使いを低減でき、省エネアプリケーションを提供できる。
【0244】
なお、実施の形態15では、EMCノイズから検知対象の機器3030を特定できるようにしたが、機器3030を特定せず、何れかの機器3030が稼動した場合としても良い。例えば、機器3030が稼動すれば、EMCノイズの絶対量は増加するため、どのような機器3030かは特定できなくても、「住居内の何れかの機器3030が稼動した」といったことは容易に推定できる。
【0245】
実施の形態16.
実施の形態16は、無線アクセスポイント3020から送信される無線信号が誤り検出符号付きパケットであり、生活者異常検知装置3001の無線通信手段3002は、誤り検出符号付きのパケットをアンテナ3003を介して受信し、パケットに誤りが検知された場合は、そのパケットを受信している間に計測した電波強度のデータをRAMに保存せずに破棄する。誤り検出符号付きパケットとは、送信中の無線信号にノイズ電波が混入してしまって無線信号が破壊されてしまった場合に、破壊された旨を検出するための機能が付いたデータパケットのことである。
なお、実施の形態16の生活者異常検知装置3001の構成は、無線通信手段3002を除き、実施の形態12〜15で説明した何れかのものと同様である。
【0246】
次に、無線通信手段3002及び活動判定手段3004の動作を説明する。
図43は本発明の実施の形態16に係る生活者異常検知装置の無線通信手段及び活動判定手段の動作を示すフローチャートである。
無線通信手段3002は、無線アクセスポイント3020から送信されたパケットをアンテナ3003を介して受信すると(S3151)、一定期間、受信電波の強度を計測する(S3152)。そして、パケットに付与された誤り検出符号を用いてパケットに誤りがあるかどうかを判定する(S3153)。パケットに誤りがあった場合は、計測した電波強度を破棄して動作を終了する(S3158)。
【0247】
また、パケットに誤りがなかったときは、計測した電波強度をRAMに保存し、所定時間の間の電波強度を読み出して電波強度の最小値と最大値の差から電波強度の変化値を算出し(S3154)、受信時刻と共に前記RAMに保存する。
【0248】
活動判定手段3004は、無線通信手段3002によって算出された所定時間毎の電波強度の変化値を読み込んで、予めRAMに保存した閾値と比較する(S3155)。電波強度の変化値が閾値以上のときは生活者が活動していると判定して、その結果を活動情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3005を点灯して(S3156)、ユーザーに対し活動を検知した旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3158)。また、変化値が閾値より低いときは生活者が活動していないと判定して、その結果を活動情報としてRAMに保存する。そして、前記のLED表示部3005を消灯して(S3157)、ユーザーに対し活動を検知していない旨を明示し、この一連の処理を終了する(S3158)。
【0249】
実施の形態16においては、同一の周波数帯にノイズが加わってしまうと、計測した受信電波の強度が正常値よりも高くなるが、誤り検出符号によってノイズが加わったことを検知できるため、このような異常値を破棄することができる。また、同一の周波数帯に、突発的なノイズ電波が加わって受信電波が乱れた場合、誤り検出機能によってそれを検出できるため、活動状態の判定を正確に行うことができる。
【0250】
なお、実施の形態16では、無線通信手段3002が誤り検出符号付きパケットを受信するようにしたが、パケット内に誤り検出符号が明示的に示されていなくても良い。例えば、予めデータのビット数が同数個になるように揃えるといったルールに基づいてパケットを構築するネットワークにおいては、誤り検出符号が明示的にはパケット中に含まれていなくても、このようなルールから誤りを検出することが可能である。
【0251】
実施の形態17.
実施の形態17に係る生活者異常検知装置3001の無線通信手段3002は、無線アクセスポイント3020に対して、パケットを送信させる要求を通知するリクエストパケットを送信する。これにより、無線アクセスポイント3020は、リクエストパケットに応答して、リクエストリプライのパケット(誤り検出符号付)を返送する。同機能は、例えば、無線ビーコンの機能などを活用することによって実現できる。無線ビーコンは、無線ネットワークに参加するネットワークの端末同士が、お互いの存在をアピールするための信号である。無線通信手段3002では、このリクエストリプライのパケットを受信した場合にのみ電波強度の計測を開始する。なお、生活者異常検知装置の構成は、無線通信手段3002の構成を除き、実施の形態12〜16で説明した何れかのものと同様である。
【0252】
次に、生活者異常検知装置3001の無線通信手段3002及び活動判定手段3004の動作を説明する。
図44は本発明の実施の形態17に係る生活者異常検知装置の無線通信手段及び活動判定手段の動作を示すフローチャートである。
無線通信手段3002は、無線アクセスポイント3020に対してリクエストパケットを送信し(S3161)、このリクエストパケットの送信により、無線アクセスポイント3020からのリクエストリプライのパケットがアンテナ3003を介して受信されると(S3162)、無線通信手段3002は、一定期間、受信電波の強度を計測する(S3163)。そして、パケットに付与された誤り検出符号を用いてパケットに誤りがあるかどうかを判定する(S3164)。パケットに誤りがあった場合は、計測した電波強度を破棄して動作を終了する(S3169)。
【0253】
また、パケットに誤りがなかったときは、計測した電波強度をRAMに保存し、所定時間の間の電波強度を読み出して電波強度の最小値と最大値の差から電波強度の変化値を算出し(S3165)、受信時刻と共に前記RAMに保存する。
【0254】
活動判定手段3004は、無線通信手段3002によって算出された所定時間毎の電波強度の変化値を読み込んで、予めRAMに保存された閾値と比較する(S3166)。電波強度の変化値が閾値以上のときは生活者が活動していると判定して、その結果を活動情報としてRAMに保存する。そして、LED表示部3005を点灯して(S3167)、ユーザーに対し活動を検知した旨を明示し、前述した一連の処理を終了する(S3169)。また、変化値が閾値より低いときは生活者が活動していないと判定して、その結果を活動情報としてRAMに保存する。そして、前記のLED表示部3005を消灯して(S3168)、ユーザーに対し活動を検知していない旨を明示し、この一連の処理を終了する(S3169)。
【0255】
実施の形態17においては、無線通信手段3002がリクエストパケットを送信することにより、早いタイミングでパケットを受信することができ、活動の判定周期を短くすることができる。
【0256】
なお、実施の形態17では、リクエストパケット、リクエストリプライのパケットとしては、ビーコンなどとしたが、ネットワークのプロトコルが同じ場合には、PING(PacketINternet Groper )などの通信応答コマンドを使用しても良い。
また、リクエストリプライのパケットを受信した場合にのみ電波強度の計測を開始するようにしたが、これ以外にも、通常のパケット受信時などを併用しても良い。
【0257】
実施の形態18.
図45は本発明の実施の形態18に係る生活者異常検知システムの構成を示す図である。なお、本システムにおける生活者異常検知装置3001の構成は、異常検知手段3009を除き、実施の形態12〜17で説明した何れかのものと同様である。
実施の形態18に係る生活者異常検知装置3001の異常検知手段3009は、インターネット網に接続されたLANなどへの接続口を備え、異常を検知した場合には、遠隔地に設置された異常検知センター3090に対して異常を検知した旨を示すメールを送信する。同機能はインターネットにおいて一般的に普及している電子メールを用いて実現する。このメールの中継は住居内に設置されたルーター3070を利用する。
【0258】
生活者異常検知装置3001の異常検知手段3009とルーター3070との間は無線通信によりパケットをやりとりする。無線通信は、例えば、生活者異常検知装置3001が検知対象の機器3030との間でデータをやり取りするのと同じ通信機を利用する。ルーター3070は、インターネット網3080を介して異常検知センター3090と接続されている。異常検知センター3090には、各家庭に固有のメールアドレスを割り振ったメールボックスが設置されており、同メールボックスを走査することによって、複数の家の状態を監視する。
【0259】
次に、生活者異常検知装置3001の異常検知手段3009の動作を説明する。
図46は本発明の実施の形態18に係る生活者異常検知装置の異常検知手段の動作を示すフローチャートである。
異常検知手段3009は、活動判定手段3004のRAMから生活者の活動情報を読み出して、異常検知の処理を開始する(S3181)。先ず、活動情報から住居内で生活者が活動しているかどうかを判定し(S3182)、その活動情報から生活者が活動していると判定したときは異常検知の処理を終了する(S3186)。
【0260】
また、異常検知手段3009は、活動情報から生活者が活動していないと判定したときは、稼動機器検知手段3006のRAMから機器情報を読み出して、検知対象の機器3030(例えば、テレビやエアコン等)が稼動しているかどうかを判定する(S3183)。検知対象の機器3030が稼動していないと判定したときは異常検知の処理を終了する(S3186)。一方、機器情報から検知対象の機器3030が稼動していると判定したときは、警報ブザーを作動し(S3184)、周囲に異常が検知されたことを報知する。そして、異常を検知した旨を示す警告通知のメールをルーター3070及びインターネット網3080を介して異常検知センター3090に送信し(S3185)、検知対象の機器3030に対して稼動を停止、或いは出力を下げさせる制御信号を送信し、異常検知の処理を終了する(S3186)。
【0261】
以上のように、生活者が活動していないときに検知対象の機器3030が稼動していた場合、異常と判定してその旨を示す警告通知のメールを異常検知センター3090に送信するようにしたので、周囲に助けを求められる救護者がいない場合にも生活者の異常を第3者に対して通知することができる。これにより、救急機関などへの連絡を迅速に行うことができる。また、異常検知センター3090では、生活者の携帯電話などに確認の電話をかけるなどといった確認作業を行うことが可能になり、より正確な異常検知を行うことができる。
【0262】
なお、各家庭に固有のメールアドレスを割り振ったメールボックスは、異常検知センター3090の外に設置されていても良い。また、メールの構成及び送信手段としては、HTTP,FTP,SSLなどの電子メール以外の同様の機能を持つ手段を用いても良い。
【0263】
実施の形態19.
実施の形態18では、生活者が活動していないときに検知対象の機器3030が稼動していた場合、異常と判定してその旨を示す警告通知のメールを異常検知センター3090に送信するようにしたものであるが、実施の形態19は、異常検知手段3009が生活者の活動情報及び機器情報を、あて先、送り元、送信時刻などの情報を含んだメールを異常検知センター3090に送信するようにしたもである。
異常検知センター3090では、これらのメールを蓄積し、そして、過去も含めて蓄積されたデータから現在の状態が異常であるかどうかを判定して、判定結果をメールなどで返信する。データの蓄積は、異常検知センター3090に設置されたHDDなどにリレーショナルデータベースなどの形で行う。
なお、本システムにおける生活者異常検知装置3001の構成は、異常検知手段3009を除き、実施の形態12〜18で説明した何れかのものと同様である。
【0264】
次に、生活者異常検知装置3001の異常検知手段3009の動作を説明する。
図47は本発明の実施の形態19に係る生活者異常検知装置の異常検知手段の動作を示すフローチャートである。
異常検知手段3009は、稼動機器検知手段3006のRAMから機器情報を、活動判定手段3004のメモリから生活者の活動情報をそれぞれ読み出して異常検知の処理を開始する(S3191)。先ず、読み出した機器情報と活動情報、あて先、送り元、送信時刻などの情報を異常検知センター3090にメール送信する(S3192)。
【0265】
異常検知手段3009は、前述のメール送信により、異常検知センター3090からの判定結果が受信されると、その結果は異常を知らせる情報かどうかを判定する(S3193)。判定結果が正常であった場合は異常検知の処理を終了する(S3195)。また、判定結果が異常であったときは警報ブザーを作動し(S3194)、周囲に異常が検知されたことを報知する。この時、異常検知手段3009は、検知対象の機器3030に対して稼動を停止、或いは出力を下げさせる制御信号を送信し、異常検知の処理を終了する(S3195)。
【0266】
以上のように、大量のデータを高速に検索できる異常検知センター3090のサーバーを異常検知に活用することができるため、より精度の高い異常検知を素早く行うことができる。また、他の住宅でおきた異常の例などを共有することができるため、類似事例を素早く発見することができる。
【0267】
なお、実施の形態19では、異常検知手段3009が、異常検知センター3090に対して活動情報と機器情報をメールなどで送信するようにしたが、活動情報或いは機器情報の何れか一方の情報だけを送るようにしても良いし、各情報を個別に別のメールとして送信するようにしても良い。
【0268】
実施の形態20.
実施の形態20は、異常検知手段3009内にデータベースを設けるようにしたものである。なお、生活者異常検知装置の構成は、異常検知手段3009を除き、実施の形態12〜19で説明した何れかのものと同様である。
異常検知手段3009は、活動判定手段3004によりRAMに保存された活動情報と、稼動機器検知手段3006によってRAMに保存された機器情報とを読み出して参照し、これらを検索キーとしてデータベースを検索する。検索結果は異常有無の判定結果としてRAMに保存する。
【0269】
前述のデータベースには、異常と考えられる機器3030の状態と生活者の活動状態とが関連付けられて保存されている。データベースに保存される情報は、例えば、「IHが稼動していて生活者が活動していない状態は異常である」といった情報である。データベースは、具体的には、例えば、活動情報、機器情報、判定結果の3つのフィールドを持つリレーショナルデータベースとして構成されている。これらのデータは、ROM、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどに保存される。
【0270】
以上のように、過去経験などから構築したデータベースを活用することができ、過去の類似事例を効率よく異常検知に活用することができるため、異常の検知精度を向上させることができる。例えば、「テレビの場合はタイマーによって作動することがあるため異常検知の対象外とする」といったような機器3030毎の細かい指定をすることができる。
【0271】
実施の形態20では、データベースをリレーショナルデータベースとして構成するとしたが、これらは、XMLなど別の形態のデータベースであっても良い。
【0272】
なお、前述した各実施の形態では、無線通信手段3002、活動判定手段3004、稼動機器検知手段3006及び異常検知手段3009には、それぞれCPUを備えていることを述べたが、CPUを共有しても良い。また、プログラムを格納するROMやRAMもそれぞれ備えていることを述べたが、ROMとRAMを共有する構成としても良い。さらに、実施の形態12、13及び16〜20では、無線通信手段3002、稼動機器検知手段3006及び異常検知手段3009にそれぞれ通信機(アンテナも含む)を備えていることを述べたが、1つの通信機で共有するようにしても良い。
また、無線アクセスポイント3101は宅外に置かれた公共的なものであってもよい。例えば、テレビ電波の発信源、ラジオ電波の発信源、公衆無線LANの発信源などであっても良い。
また、稼動機器検知手段3006が検知する機器3030、異常検知手段3009が制御する機器3030は複数あっても良い。この場合、機器3030を検知する処理は1台の時と同じ処理を他の機器についても繰り返す。RAMに機器情報を保存するときには、機器3030を特定できるIDなどを付与する。また、異常検知手段3009が異常を判定する際には、生活者の活動がないときに複数の機器3030のうち少なくとも1つが稼動している場合異常と判定する。また、これらのアルゴリズムは、別のアルゴリズムであっても良い。
【0273】
さらに、実施の形態12、16、17では、所定時間の間の電波強度をRAMから読み出して電波強度の最小値と最大値の差から電波強度の変化値を算出するようにしたが、電波強度の変化量の平均値を変化値としても良い。例えば、所定時間の間の電波強度が時間軸に「50,55,45,20,30,70」であった場合に、1サンプル値との差分値「55−50=5,45−55=−10,20−45=−25,30−20=10,70−30=40」の絶対値である「5,10,25,10,40」の平均値18を変化値としても良い。なお、ここでは、計測できる電波強度の最小値を0、最大値を100として表す。
【0274】
実施の形態21.
本発明の実施の形態21は、機器状態の検出対象の給電線に新しい機器が設置された場合に好適な技術に関する。具体的に言えば、新たな機器を本発明の実施の形態9に示す機器状態検出装置2000、又は本発明の実施の形態10に示す機器状態検出サーバー2100によって検出する場合には、それぞれが備える機器状態データベース2230に当該機器の参照機器エントリデータが存在する必要があるが、未記憶の場合は、これを追加する必要がある。本実施の形態21は、この機器状態データベース2230の更新に関わる技術である。
【0275】
本実施の形態21を、図27、図48、図49、図50を用いて説明する。図27は、実施の形態11において説明したように、各建物に設置された機器状態検出装置(又は機器状態検出サーバー)2201A、2202Aをネットワーク2204Aを介して機器状態検出システムに接続し、機器状態検出システム2200で各建物の機器状態を監視し、これに基づくサービスの提供を可能とするシステムである。図48、図49は、図27で示した機器状態検出装置(又は機器状態検出サーバー)2201A、2202Aの構成を示す図である。また、図50は、図27に示した機器状態検出システム2200の構成を示す図である。
【0276】
図48における機器状態検出装置2000は、図16に示す機器状態検出装置2000と同様の構成を備えるため、図16と同じ構成要素は同じ番号を付して示す。また、本実施の形態21を説明するに不要な構成要素は割愛した。図48において、機器状態データベース2230は、機器状態ベース更新手段2260と接続し、さらに機器状態データベース更新手段2260は、通信手段2270と接続している。
【0277】
図49における機器状態検出サーバー2100は、図26に示す機器状態検出サーバー2100と同様の構成を備えるため、図26と同じ、又は同様の構成要素には同じ番号を付して示す。また、本実施の形態21を説明するに不要な構成要素は割愛した。図49において、機器状態検出装置2107、2108は機器状態データベース2230を備える。また、本実施の形態21の制御手段2320は、機器状態データベース更新手段2260を備え、さらに通信手段2270と接続している。
【0278】
図50は、本実施の形態21における機器状態検出システム2200の構成図であり、図28と同じ、又は同様の構成のものには同じ番号を付した。また本実施の形態21を説明するに不要な構成要素は割愛した。図50において機器状態データベース2216は制御手段2215に接続され、さまざまな機器の参照機器エントリを記憶している。この情報は、機器状態データベース管理手段2217によって管理されている。
【0279】
次に動作について説明する。たとえば機器状態検出装置2101Aによって検出を必要とする新たな機器が設置された場合において、機器状態検出装置2101Aには当該機器の参照機器エントリが記憶されていない場合にはこれを検出することができない。図48、図49に示す機器状態データベース更新手段2260は、機器状態検出装置2000,2107,2108の備える機器状態データベース2230に新たに設置した機器の参照機器エントリを追加する。データベース更新手段2260は追加すべき参照機器エントリを通信手段2270を介して外部から入手する。このように、機器状態データベース2230に記憶すべき参照機器エントリを備え、またこれらを配信することにより、各建物の機器状態データベースを保守する外部サーバーを機器状態データベース保守サーバーとする。
【0280】
本実施の形態21では、この機器状態データベース保守サーバーを前記機器情報検出システム2200に備えた例で説明する。図50における機器状態データベース管理手段2217は、各機器状態検出装置2000,2201A,2202Aが必要とする機器の参照機器エントリを通信手段2210A、ネットワーク2204Aを介して配信する。新規の機器が市場に販売される場合には機器情報検出システム2200に備えた機器状態データベース2216に当該機器の参照機器エントリが準備されるように運用することを想定している。
【0281】
また、各建物に新たに機器が設置された場合は、当該建物の居住者は機器情報検出システム2200を運用するサービス事業者に当該機器を特定する型番やメーカなどの情報を提供し、サービス事業者は機器情報検出システム2200により当該機器の参照機器エントリを居住者の機器状態検出装置に配信する。機器情報の提供は、たとえば、機器購入時のユーザ登録情報を活用するなど、新たな機器を設置したことの情報提供は、運用により居住者の手間を最小限にすることができる。本実施例では、機器状態データベース保守サーバーをサービスの運用を考慮し機器情報検出システム2200に設けた例で示したが、機器情報検出システム2200に搭載するのではなく、各機器のメーカに分散して設置され、それぞれのサーバーから配信されるような形態でもかまわない。
【0282】
本発明の技術では、他の機器との組合せを学習する必要がなく当該機器単独の特徴を示す参照機器エントリを必要とするのみであることから、機器状態データベース保守サーバーには各機器単独の参照機器エントリを記憶していれば良く、また、各建物によりさまざまな機器が設置される状況においても建物に追加設置された機器単独の特徴を示す参照機器エントリを配信すれば良い。
【0283】
また、これまでの実施例では、家庭を想定した実施の形態で説明をしたが、ビルなどのオフィスや店舗など他の用途の建物でも本発明を適用した機器情報検出装置により機器の状態を監視し、この監視結果に基づき機器の運用をアドバイスすることで省エネを図るなど新しいサービスの提供が可能となる。たとえば、近年のオフィスでは各人にパソコンが用意され、またプリンタやファクシミリ、コピー機、あるいはそれらの複合機が設置され、そのほかシュレッダー(機密保持用の裁断機)、携帯電話(充電器)など様々な機器が設置されている。また、照明や空調、除加湿、換気などの空気調和機器なども設置されている。
【0284】
これらの機器の状態を検出することでたとえば、プリンタやコピー機の作動を監視することにより、頻繁にこれらが作動している場合には部屋には多くの作業者が居る、あるいは活発に活動をしているなどと推測することができる。また、これらの情報と連動して空気調和機の設定温度の調節を促したり、さらには快適性や省エネを満たすように自動制御するなども可能になる。
【0285】
一方、オフィスでは機器により数年で更新することがあり、建物内で使用する機器が変わった場合にも前述の実施の形態のようにネットワークを介して遠隔から、あるいはビル内の一箇所から集中的に当該参照機器エントリを配信することで容易に対応することができる。
【符号の説明】
【0286】
100 機器状態検出装置、300 計測装置、301 電力線、302 出力装置、400 生活行為推定装置、110 計測手段、120 特徴量計算手段、130 機器状態検出手段、140 記憶装置、150 出力手段、112 計測エントリ、112a 計測値、122 特徴量エントリ、122a 特徴量、131 合致参照機器エントリ、131a 機器特徴量、131b 機器状態、131c 特徴量距離、132 機器状態エントリ、132a 機器状態時刻、132b 機器状態、200 参照機器エントリ辞書、201 参照機器エントリ、201a 機器特徴量、201b 機器状態、410 マッチング手段、420 出力手段、430 記憶装置、411 合致参照行為エントリ、411a 参照行為時刻、411b 参照機器状態、411c 参照生活行為、411d 参照在室場所、500 参照行為エントリ辞書、501 参照行為エントリ、501a 参照行為時刻、501b 参照機器状態、501c 参照生活行為、501d 参照在室場所、2000 機器状態検出装置、2100 機器状態検出サーバー、2101 給電線、2102 電圧センサ、2103 電圧センサ、2104 給電線、2105 電圧センサ、2106 電流センサ、2107,2108 機器状態検出装置、2140 給電線、2200 機器状態検出システム、2201 電圧センサ、2201A,2202A 機器状態検出装置、2202 電流センサ、2203 電流電圧変換手段、2204 インピーダンスアッパー手段、2204A ネットワーク、2205 波形フィルタ手段、2206 波形増幅手段、2207 AD変換手段、2208 波形区切り手段、2209 波形平滑化手段、2210 特徴量計算手段、2210A 通信手段、2210a 特徴量、2211 メールボックス、2212 記憶手段、2212A 機器状態情報管理手段、2213 機器状態情報データベース、2214 表示手段、2215 制御手段、2216 機器状態データベース、2217 機器状態データベース管理手段、2220 機器状態検出手段、2221 合致参照機器エントリ、2230 機器状態データベース、2231 参照機器エントリ、2231a 機器特徴量、2231b 機器状態、2240 機器状態情報作成手段、2250 出力装置、2260 機器状態データベース更新手段、2270 通信手段、2300 処理部、2310 統合手段、2320 制御手段、3001 生活者異常検知装置、3002 無線通信手段、3003 アンテナ、3004 活動判定手段、3005 LED表示部、3006 稼動機器検知手段、3007 アンテナ、3008 LED表示部、3009 異常検知手段、3010 アンテナ、3011 警報ブザー、3013 変流トランス、3014 接続端子、3015 EMC用アンテナ、3020 無線アクセスポイント、3030 機器、3060 コンセント、3070 ルーター、3080 インターネット網、3090 異常検知センター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機からの受信電波の強度を計測する無線通信手段と、
該無線通信手段により計測された電波強度の時間変化から生活者の活動状態を判定し、その判定結果を活動情報とする活動判定手段と、
生活者の周辺に設置された機器の稼動状態を検知し、その状態を機器情報とする稼動機器検知手段と、
前記活動情報及び前記機器情報から生活者の異常の有無を検知する異常検知手段と
を備えたことを特徴とする生活者異常検知装置。
【請求項2】
前記異常検知手段は、異常を検知した際に、生活者の周辺で稼動している機器を制御することを特徴とする請求項1記載の生活者異常検知装置。
【請求項3】
前記稼動機器検知手段は、前記機器に設けられた無線通信機から発信される機器の状態通知を受信し、該状態通知を機器情報とすることを特徴とする請求項1又は2記載の生活者異常検知装置。
【請求項4】
前記稼動機器検知手段は、前記機器に流れる電流値を計測して予め設定された閾値と比較し、その比較結果を機器の機器情報とすることを特徴とする請求項1又は2記載の生活者異常検知装置。
【請求項5】
前記稼動機器検知手段は、前記機器の給電線に流れる電流から高調波を抽出して予め設定された高調波と比較し、その比較結果を機器の機器情報とすることを特徴とする請求項1又は2記載の生活者異常検知装置。
【請求項6】
前記稼動機器検知手段は、前記機器から放射された電磁波ノイズを取得して予め設定された電磁波ノイズと比較し、その比較結果を機器の機器情報とすることを特徴とする請求項1又は2記載の生活者異常検知装置。
【請求項7】
前記無線通信手段は、誤り検出符号付きの無線パケットを受信し、
前記異常検知手段は、受信された無線パケットに誤りがないと判定したときのみ生活者の異常の有無を検知することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の生活者異常検知装置。
【請求項8】
前記無線通信手段は、前記無線通信機に対して、無線パケットの送信を要求することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の生活者異常検知装置。
【請求項9】
前記異常検知手段は、予め生活者の異常状態が保存されたデータベースを備え、前記活動情報及び前記機器情報を基に前記データベースを検索して異常の有無を検知することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の生活者異常検知装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の生活者異常検知装置は、ネットワークによって異常検知センターに接続され、
前記異常検知手段は、異常を検知した際に前記異常検知センターに通知することを特徴とする生活者異常検知システム。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れかに記載の生活者異常検知装置は、ネットワークによって異常検知センターに接続され、
前記異常検知手段は、前記活動情報及び前記機器情報を前記異常検知センターに通知し、
前記異常検知センターは、異常状態を判定するためのデータベースを備え、前記異常検知手段からの活動情報及び機器情報を基に前記データベースを検索し、検索結果を前記異常検知手段に対して通知することを特徴とする生活者異常検知システム。
【請求項12】
無線通信機からの受信電波の強度を計測する第1のステップと、
受信電波の強度の時間変化が所定値以上のときに生活者の活動があると判定する第2ステップと、
生活者の周辺に設置された機器の稼動状態を検知する第3ステップと、
第2ステップの結果と第3ステップの結果から異常の有無を検知する第4ステップと
を有することを特徴とする生活者異常検知方法。
【請求項13】
前記第4のステップは、
前記第2ステップで生活者の活動がないと判定され、
前記第3ステップで生活者の周辺の機器が稼動していると検知されたときに異常であると判定することを特徴とする請求項12記載の生活者異常検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2011−14156(P2011−14156A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192894(P2010−192894)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【分割の表示】特願2010−507203(P2010−507203)の分割
【原出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】