説明

生物学的インジケータ

試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるように設計された処理プロセスを検証するための生物学的インジケータに、キナーゼが使用される。指標は、滅菌処理の検証に使用され得る。ADPを含む基質からのATPの形成は、ルミノメーターでルシフェリン/ルシフェラーゼシステムを介して測定される。Sulfolobus acidocaldarius由来の熱安定性アデニル酸キナーゼは、伝染性海綿状脳症因子を不活性化するための手順の検証に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、熱による不活性化プロセスおよび不活性化手順を含むプロセスの検証、およびより詳細には、伝染性海綿状脳症(TSE)因子を不活性化する手順の検証に適した生物学的インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)は、人口100万人当たりに約1症例の頻度で家族性、散発性、または医原性疾患のいずれかとして現れる、比較的に稀な形態のヒト神経変性障害である。主に若年群でのそしておそらくウシ海綿状脳症(BSE)感染肉製品の摂取に起因する、この疾患の新規変異体形態(vCJD)の出現は、症例数が大いに増大する可能性を引き起こした。これらの要因は、公衆衛生への重要な影響を有する。1980年代後半の間に、英国人口の大部分が、食品を介してこの疾患に曝露された可能性がある。これまでの症例数は比較的低かった(2004年2月までに149症例)が、全てのCJD形態から、他の伝染経路(外科手術、移植、輸血、または汚染された医薬製品を含む)を介する重大な危険性が残されている。これらの経路のいくつかは、臨床環境でのこの疾患の医原性の蔓延の際に示され、他は、動物モデルで定義された。
【0003】
ヒトにおいて全てのCJD形態を引き起こす原因となる因子は、標準的な方法による不活性化に対して非常に耐性がある。手術器具の汚染除去のために検証済みの方法が緊急に必要とされている。種々の処理(化学処理、ならびに湿潤または乾燥加熱での高温および高圧の使用を含む)が試験されているが、いずれも十分ではない[Taylor, D.M., (1999), Principles and practice of disinfection, preservation and sterilisation. (Russell, A.D., Hugo, W.B.およびAyliffe, G.A.J., 編):222-236頁, Blackwell Scientific Publications, Oxford;Taylor, D.M., (2001) Contrib Microbiol. 7, 58-67;Taylor, D.M., Fernie, K, Steele, P.J., McConnell, I.およびSomerville, R.A., (2002) J Gen Virol. 83,3199-3294]。焼却が有効であるが、原料または装置の回収または再利用ができなくなる。高濃度の水酸化ナトリウム(2Mまで)または高レベルの次亜塩素酸ナトリウム(20000ppmまで)の使用は、TSE因子のレベルを有意に減少させることが示されているが、手術器具に有害な影響を有しており、そして術者にとって有害であり得る。手術器具についてTSE因子を不活性化する手段として、広範に種々の他の方法が提案され、現在開発中である。これらには、蒸気相過酸化水素、オゾン、およびエチレンオキサイドを含む種々の気相滅菌剤が含まれる。他の方法は、慣用的な滅菌前の特定の抗TSE前処理として提案されており、そしてこれらには、規定のpHおよび温度条件下で熱安定性プロテアーゼを用いる手術器具の処理が含まれる。
【0004】
Bacillus stearothermophilus胞子の不活性化は、オートクレーブの正確な性能を検証するために慣用的に用いられる方法である。このようなインジケータは、細菌またはウイルスがそのプロセスによって不活性化されたという関連の指標を表し得、このプロセスでは、通常、10の桁で感染性因子のレベルを減少させることが検証される。しかし、TSE因子の独特の安定な特性は、このような因子を不活性化するというプロセスの性能の関連した指標を提供するために、ずっとより強健なインジケータが必要であることを意味する。
【0005】
熱安定性胞子または酵素調製物に基づく他の生物学的インジケータは、当業者に周知である。全てが、それらが活性の10減少を超えた感染性因子の不活性化を検証することができないという欠点を有する。
【0006】
TSE因子の不活性化はまた、ウシ海綿状脳症(BSE)感染材料の処分のために、および動物起源の原料の調製に際して重大な問題である。現在、BSEの出現および蔓延が、高感染性神経組織が肉骨粉補給を介してウシにフィードバックされるレンダリング実践の変化によるものであったという有効な科学的証拠がある。ほぼ確実には汚染牛肉製品を食べた結果、BSEがvCJDの原因となったという有効な証拠もある。この理由のために、BSEで死んだウシは、現在、全てのウシに由来する脊髄および脳組織と共に、食物連鎖から排除され、代替経路によって処分される。これは、現在、莫大量の動物廃棄物が蓄積されつつあるか、または焼却によって処分されつつあるという結果を有する。熱安定性プロテアーゼによるこのような材料の処理は、1つの可能な解決である。また、いかなる感染材料も適切なプロセスで破壊されることを確実にする検証手順の必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、代替のおよび/または改善された生物学的インジケータおよびそれらの使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の第一の局面では、キナーゼを含む、試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるための処理プロセスを検証するための生物学的プロセスインジケータが提供される。好ましい実施態様では、インジケータは、さらに固体支持体を含み、キナーゼは、この固体支持体中に固定化されているか、または固体支持体上に固定化されている。特に好ましい実施態様では、キナーゼは熱安定性キナーゼである。
【0009】
本発明の使用に際して、生物学的インジケータは、潜在汚染物(特に感染性因子)の含有量を減少させることを意図する処理に供せられる試料中に含有される。この処理によるインジケータであるキナーゼの活性の減少が、汚染物の量または活性の減少と相関させられ得ることは、事前の試験から知られている。汚染物の量/活性が受容可能なレベル以下に減少したか否かを決定するために、インジケータであるキナーゼの活性が、処理の前および後、または処理の間に測定される。汚染物における受容可能な減少と相関することが知られる活性のレベルに達すると、その処理は検証されたとみなされる。汚染物が感染性因子である場合、試料は無菌であるとみなされ得る。
【0010】
本発明の特定の使用に際して、熱安定性キナーゼは、清浄または不活性化の手順後の因子(例えば、感染性因子)の存在可能性を示す方法におけるレポーターである。まず、熱安定性アデニル酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、またはピルビン酸キナーゼを含有する試料を、清浄/不活性化手順(例えば、選択した温度、pH、またはプロテアーゼ濃度の1つ以上)に曝露する。次の工程は、熱処理、例えば、60〜80℃で少なくとも10分間(すなわち、熱安定性キナーゼに顕著に影響しない条件下)によって、いかなる汚染の酵素活性も除去することである。次いで、熱安定性キナーゼを、30℃と70℃との間の温度で基質(例えば、ADP)と反応させて、ATPを生成させる。ATPの形成は、20〜30℃で10分〜1時間の間、ルシフェリン/ルシフェラーゼおよび適切なルミノメーターを用いる生物発光検出によって測定され得る。ルミノメーターからの読み取り値によって、残余キナーゼ活性(すなわち、清浄/不活性化処理への曝露後のキナーゼの活性)の読み取り値が与えられる。以前に別の実験から得られたデータに基づいて、この方法は、残余キナーゼ活性と、処理した試料内の感染性因子の存在可能性とを相関させることにより完了される。
【0011】
1つの実施態様では、試料中の汚染酵素活性またはATPが、インジケータの添加前に、初期処理工程(例えば、選択した温度、pH、またはプロテアーゼ濃度)によって除去され得る。
【0012】
キナーゼ酵素は、非常に広い範囲にわたって検出可能であるシグナルを生じ得ることが分かっている。一般に、キナーゼは、ADPを含む基質を用いて検出される。ADPは、ATPに変換され、ATPはそれ自体、例えば、ルシフェリン/ルシフェラーゼを用いて発光に用いられ、発光はルミノメーターを用いて検出される。この広範な範囲のために、キナーゼはその量/活性が多対数減少した後であっても検出可能なままであるので、インジケータは、検証のために特に適したものとなる。無菌性に関して、ほとんどの国立研究所は、無菌性が検証され得る前に、生物学的因子の量または活性の6対数減少が必要であるとみなしている。本発明のキナーゼは、因子の量または活性の減少が6対数を十分に超えて8対数以上であることを検証する可能性を与え、したがって、現時点で与えられているモニタリングの範囲を増大させる。
【0013】
本発明の好ましい実施態様では、キナーゼは熱安定性であり、したがって高温で実施されるプロセスの検証に用いるのに適している。熱安定性キナーゼはまた、他の極限的な環境に対して耐性であることが分かっており、そして例えば、pHの極値に対して耐性であり、そしてタンパク質分解酵素への曝露に対して耐性であることもしばしば分かっている。そこで、本発明のキナーゼは、高pH、高温、およびプロテアーゼの1つまたは組み合わせまたは全部を用いる生物学的因子の処理のモニタリングに用いられ得る。
【0014】
熱安定性であるとは、70℃で30分間の曝露後に、キナーゼの活性の少なくとも95%が保持されていることを意味する。本発明の好ましい酵素は、非常に熱安定性であり、そして10分間80℃へ加熱した後に少なくとも95%の活性を保持する。中温性生物由来のキナーゼおよび種々の好熱性生物、例えば、Bacillus stearothermophilus(生物学的インジケータとして広範に使用される)由来のキナーゼさえもこれらの基準に適合しないが、それにも関わらず、より低い温度で実施される処理のためのインジケータとして適切であり得る。
【0015】
本発明の特定の実施態様で使用されるキナーゼは、アデニル酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、およびピルビン酸キナーゼ、またはそれらの組み合わせである。さらに、これらのアデニル酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、およびピルビン酸キナーゼの酵素は、Pyrococcus furiousus、P. abyssi、P. horikoshii、P. woesii、Sulfolobus solfataricus、S. acidocaldarius、S. shibatae、Rhodothermus marinus、Thermococcus litoralis、Thermatoga maritima、Thermatoga neapolitana、およびMethanococcus spp.から得られ得る。アデニル酸キナーゼは、特に特に好ましく、そして以下に詳述する本発明の実施例において使用されている。キナーゼは、ADPを含む基質からのATPの形成を触媒し、次いで、このATPは、公知の方法および試薬を用いて容易に検出される。本発明に適した特定のキナーゼは、配列番号1〜30に記載される。
【0016】
ATP生物発光検出は、キナーゼ活性を検出する好ましい手段である。標準的なルシフェリン−ルシフェラーゼアッセイ方法は、10-15モル程度の少ない量のATPも検出し得る。酵素的増幅を生物発光検出方法と組み合わせることにより、10-20モル程度の少ないキナーゼも検出することが可能である。したがって、このタイプのフォーマットは、アデニル酸キナーゼ(AK)に連結した結合種を用いる分子の検出に顕著な感度を与える。
【0017】
生物発光検出を組み合わせたキナーゼ(例えばAK)の使用は、いくつかの他の顕著な利点を有する。このアッセイは、他の匹敵するアッセイフォーマットに比べてよりずっと大きな範囲にわたって、酵素活性と光生成との間の直接的な関連を与える。したがって、伝統的なレポーター酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)を用いるアッセイは5〜6対数希釈で比例応答を与えるが、AK−ルシフェラーゼアッセイは、少なくとも8対数のダイナミックレンジを提供し得る。直接的なインジケータとして、これは、標準の6対数範囲よりも大きな不活性化のレベルを必要とするプロセスにとって特に有用になる。なぜなら、そのシグナルが、アッセイの全範囲にわたって意味があるものになり得るからである。このようなことは、他のアッセイフォーマットを用いても可能ではない。これは、より悪い場合の筋書きで、8対数もの多くの感染度が手術器具の表面に存在する場合のTSE不活性化に特に関連し、これは、1mg当たり10TSE感染単位までのレベルで1mgの脳組織が存在すると仮定される。これらの状況下で、本発明のインジケータは、8対数範囲のシグナルを提供する場合に特に有益である。
【0018】
TSEインジケータが必要とされるプロセスのタイプを考慮すると、熱的および物理的の両方について高レベルの安定性が好ましい。以下の実施例において、好熱性生物由来のAK酵素の範囲の特性を比較した。インジケータ株であるB. Stearothermophilusのような好熱性生物由来のAKでさえも、比較的に低い温度ではそれらの活性の大部分を喪失する。例えばオートクレームサイクルに含まれるキナーゼベースのインジケータのために、例えば、Sulfolobus種またはPyrococcus furiosus由来の酵素によって示されるような有意により大きな熱安定度が、使用される。
【0019】
熱不活性化に対する酵素(例えば、キナーゼ)の安定性を増大させる多数の添加剤および処方変更は、当業者に公知である。本発明の実施態様で使用される熱安定性キナーゼは、それらが既にこのタイプのプロセスに用いられる他の酵素よりも有意に安定である場合、安定性をあまり必要としない。本明細書中に記載のAK酵素、特にSulfolobus acidocaldarius、S. solfataricus、S. shibatae、Pyrococcus furiosus、Rhodothermus marinus、およびThermococcus litoralis由来のAK酵素は、80℃と90℃との両方で、Bacillus stearothermophilusのようなプロセス滅菌のインジケータとして通常使用される生物由来の酵素に比べてさえも顕著に安定である。多くの場合、固体支持体上に安定化されたこれらのAK酵素は、例えばオートクレーブ滅菌、低温殺菌、または等価の殺菌後に測定される必要な範囲の活性を提供するために、さらなる安定化を必要とし得ない。
【0020】
安定化剤(例えば、4Mの濃度までのソルビトール、または2Mまでの濃度のエチレングリコール、グリセロール、もしくはマンニトールのような他のポリオール)の添加により、酵素の熱安定性が改善され得る。他の添加剤(例えば、キシラン、トレハロース、ゼラチン)もまた、個別または組み合わせでのいずれかで、さらなる安定化効果を提供し得る。種々の二価金属イオン(最も著しくはCa2+、Mg2+、またはMn2+)の添加によっても、酵素の安定性は改善され得る。
【0021】
酵素の化学的改変もまた、それらの熱安定性を改善するために使用され得る。グリオキシル酸による表面露出したアミノ基の還元アルキル化(例えば、Melik-Nubarov (1987) Biotech letts 9: 725-730)、タンパク質表面への糖質の付加(例えば、Klibanov (1979) Anal. Biochem. 93: 1-25)、およびアミド化(例えば、Klibanov (1983) Adv. Appl. Microbiol. 29: 1-28)は全て、酵素の安定性を増大させ得る。酵素固定化のための化学架橋剤の使用および種々の重合支持体の使用を含むさらなる方法もまた、酵素の熱安定性を増大させるのに関連した方法である(Gupta (1991) Biotech. Appl. Biochem. 14: 1-11に概説される)。
【0022】
同様の改変はまた、過酸化水素またはオゾンのような他の滅菌プロセスに対するインジケータの安定化にも関連している。特に、酵素への気相滅菌剤の接近が制限されるプロセス(例えば、適切なポリマー中のカプセル化またはガスの透過を減少させる添加剤を用いた処方による)は、必要に応じて酵素の安定化を増大させるために有用な方法を提供する。
【0023】
酵素の熱安定性を増大させるのに有効である処理の多くはまた、プロテアーゼ処理のための、例えば、プロテアーゼ処理によるTSE因子の有効な不活性化についてのインジケータの開発のための安定化にも関連している。一般に、高レベルの熱安定性を示すタンパク質は、変性またはプロテアーゼ処理のような分解プロセスに対しても高度の安定性を示すと考えられる(例えば、以下を参照のこと:Daniel RM, Cowan DA, Morgan HW, Curran MP, 「A correlation between protein thermostability and resistance to proteolysis」, Biochem J. 1982 207: 641-4;Rees DC, Robertson AD, 「Some thermodynamic implications for the thermostability of proteins」, Protein Sci. 2001 10: 1187-94;Burdette DS, Tchernajencko V V, Zeikus JG.「Effect of thermal and chemical denaturants on Thermoanaerobacter ethanolicus secondary-alcohol dehydrogenase stability and activity」, Enzyme Microb Technol. 2000 27: 11-18;Scandurra R, Consalvi V, Chiaraluce R, Politi L, Engel PC.,「Protein thermostability in extremophiles」, Biochimie. 1998 Nov; 80 (11): 933-41;およびLiao HH.,「Thermostable mutants of kanamycin nucleotidyltransferase are also more stable to proteinase K, urea, detergents, and water-miscible organic solvents」, Enzyme Microb Technol. 1993 Apr;15 (4):286-92)。したがって、熱安定性キナーゼは、一般に、TSE因子を不活性化するように設計されたプロテアーゼ処理による作用に対して、等価の中温性キナーゼよりも高度の安定性を示す。用いたプロセスのタイプに依存して、キナーゼは、プロセスの他の特徴に有利であるようにも選択され得る。したがって、酸性pHでのプロテアーゼ処理がS. acidocaldariusまたはS. solfotaricusのような好酸性生物に由来するキナーゼを使用するのに対し、アルカリ性pHでのプロテアーゼ処理のためには、このプロトコルは、P. furiosusのような中程度に好アルカリ性の生物に由来する熱安定性キナーゼを使用する傾向がある。
【0024】
プロテアーゼ処理に対するキナーゼインジケータの安定性を改善するために必要であれば、多くの他の選択肢が存在する。これらの多くは、熱処理に対する酵素の安定化について上述したものと同じである。
【0025】
例えば、ソルビトール、マンニトール、または他の複合ポリマーを含有する処方物は、インジケータ表面上での酵素の不活性化のレベルを減少させる。さらに、プロテアーゼ基質が分解される速度を特異的に減少させる処理は、この適用に特に関連している。例えば、プロテアーゼの代替基質として作用する適切なキャリアタンパク質(例えば、カゼインまたはアルブミン)を約10mg/ml(インジケータの好ましい濃度に比べて10倍過剰)までで含有する溶液中のキナーゼの処方物は、キナーゼインジケータの消化の速度を特異的に減少させる。同様に、処方物への遊離アミノ酸(例えば、グリシン、チロシン、トリプトファン)またはジペプチドの添加は、酵素の基質レベル阻害の手段を提供し、キナーゼインジケータの局所的な不活性化を減少させる。
【0026】
本発明は、生物学的インジケータとして使用するための、細菌での組換え発現による種々の熱安定性キナーゼの生産のための方法をさらに提供する。
【0027】
酵素の遺伝的改変は、熱安定性の顕著な増大を提供することが示されており、そして類似性により、このような変異はまた、他のプロセス(例えば、プロテアーゼ処理または気相「滅菌」)におけるインジケータ酵素の安定性を顕著に増大させると考えられている。三量体(古細菌)AKの規定の三次元構造(Vonrheinら(1998) J. Mol. Biol. 282:167-179およびCriswellら (2003) J. Mol. Biol. 330:1087-1099)と取得した図1に示すキナーゼ酵素の熱安定性との比較により、酵素の安定性に影響するアミノ酸が同定された。
【0028】
改善された熱安定性を示すキナーゼの遺伝子操作改変体もまた、本発明により提供され、そして本発明において使用され、そして多数の方法で生成され得る。本質的には、これらは、三量体分子の中央コアのパッキング領域の部分を形成すると考えられるアミノ酸の特定の部位特異的変異誘発、およびランダム「定方向進化」法(分子全体が、改善された特性を有する分子の変異誘発および選択/スクリーニングの引き続くラウンドに供せられる)を含む。本明細書中(例えば、実施例8〜10)で概説した改変は、コンセンサスベースのアプローチを用いるハイブリッドアプローチに基づいて、構造上関連した分子間で観察された差異に基づく酵素の熱安定性に影響すると考えられる領域が決定される。この後、規定の変更を行って最良の熱安定性と相関するアミノ酸が組み込まれるか、あるいはランダム置換を行って、熱安定性に必須であることが決定された位置に全ての利用可能なアミノ酸が組み込まれる。
【0029】
本発明の特定の改変酵素は、実施例8〜10に記載の種々の改変体であり、そして、配列番号17〜19に集合的に表される(いくつかの改変体は各参照によって包含される)。
【0030】
生物学的インジケータは、試料が処理される容器中での使用に適合され得る。例えば、インジケータは、固体支持体を含み、この固体支持体はマトリックスであり、そしてキナーゼがこのマトリックス内に分散されている。このマトリックスは、プロセス条件に対して耐性であるべきであり、そしてプロセスからのキナーゼの保護を提供するように補助し得る。これにより、インジケータに幾分かの安定化が提供される。キナーゼは、ポリマーマトリックス内に局在され得る。支持体は、処理容器中に突き出るように、または該容器に付加されるように設計され得、そしてインジケータストリップ、ディップスティック、またはビーズであり得る。
【0031】
種々の処方物中に化学的改変を有するかまたは有さず、そして1つ以上のキナーゼインジケータを有する種々の固体支持体が、例えば、検証されるプロセスの要件に依存して、本発明によって包含される。1つの形態では、支持体は、プラスチック、セラミック、スチール、または他の金属もしくはポリマーの表面であり、その上には、キナーゼが固定化の手段として乾燥されている。支持体は、ポリカーボネート、ポリスチレン、またはポリプロピレンのストリップまたはディップスティックであり得、おそらく平坦な表面を有し、その上にキナーゼが塗布されている。キナーゼの付着のために多孔質の表面を有するさらなるタイプの支持体もまた、ガス状プロセスのためのインジケータとして特に有用である。キナーゼをコーティングしたプラスチック、金属、またはセラミックのビーズもまた、インジケータに有益なフォーマットを提供し得、これらもまた、特にガス状プロセスをモニタリングするのに適している。このような支持体は、インジケータの付着のための顕著に大きな表面面積を提供するため、特定の適用に対しては固体支持体を超える利点を有する。
【0032】
TSE不活性化プロセスの検証のために案出されたデバイスの特定の例について、ロッド、ディスク、またはクーポンのようなスチール表面は、手術器具の汚染除去のための有効なインジケータである。熱安定性アデニル酸キナーゼの結合は、例えば、疾患関連プリオンイソ型の凝集形態(PrPSc)の非常に良好なモデルであり、したがって、PrPScと手術用スチールの表面との相互作用の顕著に良好なインジケータを提供する。
【0033】
インジケータの支持体上または支持体へのキナーゼの結合は、表面にタンパク質を連結させるために慣用的に使用される方法、例えば、約pH9.6の0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液中で室温にての約1時間のタンパク質のインキュベーションによって達成され得る。あるいは、タンパク質は、当業者に知られる広範な範囲のカップリング化学法を用いて、表面に共有結合される。例えば、SPDP(Pierce chemicals;製造者の指示を用いる)で誘導体化し、DTTで還元して架橋用の遊離スルフヒドリル基を提供したアデニル酸キナーゼが、マレイミド表面を有するポリスチレン支持体に共有結合される。このようなスルフヒドリル結合表面を有するプラスチック表面は、文献に十分に記載されている。このカップリング方法のさらなる利点は、必要に応じて、例えば、DTTまたはMESNAでの還元によって酵素が支持体から切断され得、アッセイがインジケータ支持体とは別に実施できるようになることである。アデニル酸キナーゼ酵素および本発明によって記載される他のインジケータキナーゼは、誘導体化およびそのような支持体への架橋の際にそれらの活性が保持されるという特性を有する。
【0034】
あるいは、ポリスチレンまたはポリカーボネートの支持体上のアミン反応性表面が、二官能基型の架橋剤(例えば、グルタルアルデヒドモノマー)と共に使用されて、タンパク質上の遊離アミン基を介するキナーゼの直接的な非切断性の架橋を提供する。UV処理もまた、適切な支持体にインジケータを直接的に連結させるために使用され得る。スチール表面は、インジケータキナーゼの共有結合付着を媒介するために、プラスチック表面と同様の方法で処理され得る。
【0035】
広範に種々のタンパク質架橋試薬は、Pierce chemical company (Perbio)のような企業から入手可能である。スルフヒドリル基、アミノ基、ヒドロキシル基、およびカルボキシル基に対して反応性の試薬が、タンパク質のカップリングのために設計されるが、それらは、天然に反応性であるかまたはコーティングされたかのいずれかの固体支持体(例えば、プラスチック、他のポリマー、ガラス、および金属)へタンパク質を架橋するためにも同等に使用され得る。反応性の化学物質もまた、糖質に酵素を架橋させるために利用可能である。例えば、試薬BMPH(N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド・TFA)、KMUH(N-[k-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド)、およびMPBH(4-(4-N-マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド塩酸塩)が、システイン残基の形態、またはスルフヒドリル反応基を生成するように還元された化学誘導体化タンパク質の形態のいずれかで遊離スルフヒドリルを含むキナーゼを、糖質に架橋させるために使用され得る。これは、固体支持体に特に重要であり得、固体支持体は、複合糖質(例えば、紙、セルロースベースの膜、ゲルまたは樹脂)であるか、または適切な反応性の表面を生成するように糖質溶液でコーティングまたは処理され得る。
【0036】
支持体の各タイプについて、キナーゼは、好ましくは、結合を増強する、および/または結合したタンパク質を安定化させる溶液中に処方される。このような処方物としては、スクロース、ソルビトール、マンニトール、セルロース、またはポリエチレングリコール(PEG)を10%(w/v)までで含有する溶液が挙げられる。さらに、キナーゼは、適切な支持体の表面または内腔に塗布されるゲルの一部として処方され得る。例としては、アルギン酸マトリックス、寒天マトリックス、またはポリアクリルアミドマトリックスが挙げられる。
【0037】
インジケータはまた、キナーゼを安定化させる薬剤を含み得、そして適切な安定化剤は、金属イオン、糖、糖アルコール、およびゲル形成剤から選択される。
【0038】
インジケータの使用を容易にするために、それは、インジケータを表面に取り付ける手段をさらに含み得、そのような手段は、例えば、ねじ、ナットおよびボルト、またはクランプによって支持体を表面に取り付けるための突起部、凹部、または開口部である。
【0039】
本発明の特定の実施態様では、精製したキナーゼ、例えば、アデニル酸キナーゼ(AK)が、1mg/mlまでの濃度で処方され、そして固体支持体上にコーティングされる。好ましくは、1〜2mg、または0.5〜1mg、または0.1〜0.5mg、または0.1mgのキナーゼが、固体支持体上にコーティングされる。プロテアーゼ処理のために、キナーゼは、マイクロタイタープレートと同様にポリプロピレン、ポリカーボネート、またはポリスチレンの表面上で乾燥され得る。121℃にて15〜20分間の標準的なオートクレーブ滅菌または134℃にて18分間の「プリオンサイクル」オートクレーブ滅菌のいずれかについては、ステンレススチールのような熱安定性支持体が使用され得る。過酸化水素またはオゾンのような気相不活性化手順については、ポリカーボネート固体支持体が使用され得、そしてまた必要に応じて、不活性化剤に対してより大きな耐性を提供するように、多孔質マトリックスとしても製造され得る。
【0040】
好都合な固体支持体は、不活性化手順から、必要なアッセイ成分全てを含むチューブに直接移されるディップスティックの形態をとる。これは、食品産業および製薬産業で既に市販されている種々の「迅速読み取り」衛生モニターの1つに取り付けられたチューブ用ルミノメーターであり得る。あるいは、それは、当のインジケータ用に設計された特殊な装置の形態をとり得、熱安定性酵素により要求される至適温度を維持することが特に強調される(実施例24を参照のこと)。
【0041】
本発明はまた、生物学的因子の異なるのレベルの不活性化後に検出可能な、複数の酵素を含む生物学的インジケータを提供する。1つの実施態様の生物学的インジケータは、支持体、第一の位置に配置された第一の酵素、および第一の位置とは離れた第二の位置に配置された第二の酵素を含む。第一の酵素および第二の酵素は共に、生成物を基質に変換する際に活性を有し、そして初期期間に生物学的インジケータを不活性化プロセスに曝露した後、両酵素の活性が検出され得る。後続期間に生物学的インジケータを不活性化プロセスに曝露した後、第一の酵素の活性は検出され得ないが、第二の酵素の活性は検出され得る。第二の後続期間に生物学的インジケータを不活性化プロセスに曝露した後、第二の酵素の活性は検出され得ない。
【0042】
この実施態様の利点は、インジケータを用いることにより、正確に測定が行われる必要なく、プロセスによって達成される生物学的因子のおよその不活性化のレベルを示し得ることである。したがって、例えば、両酵素とも検出可能である場合、これは、不活性化が特定の閾値に達していないことを示し得る。第二の酵素のみが検出され得る場合、これは、第一の不活性化閾値には達しているが、第二の閾値は達していないことを示す。最後に、両酵素とも検出され得ない場合、これは、不活性化が第二の閾値を通過したことを示す。第一の酵素が6対数までの活性の減少で検出可能であり、そして第二の酵素が8対数までの活性の減少で検出可能である場合、両方の酵素を検出できることは、不活性化が6対数に達していないことを示し、第二の酵素のみを検出できることは、不活性化が6対数と8対数との間まで減少したことを示し、どちらも検出できないことは、少なくとも8対数の活性の減少が達成されたことを示す。
【0043】
第一の酵素は、適切には、5対数と8対数との間までの活性の減少で検出可能であり、そして第二の酵素は、適切には、6対数以上の活性の減少で検出可能である。第一の酵素は、好ましくは、6対数と7対数との間の活性の減少で検出可能であり、そして第二の酵素は、好ましくは、7対数と8対数との間の活性減少で検出可能である。生物学的インジケータは、(第一の位置および第二の位置とは離れた)第三の位置に配置された第三の酵素をさらに含み得、第二の後続期間について生物学的インジケータを不活性化プロセスに曝露した後、第三の酵素が検出され得、そして第三の後続期間について生物学的インジケータを不活性化プロセスに曝露した後、第三の酵素は検出され得ない。第三の酵素は、適切には、8対数以上の活性の減少で検出可能である。
【0044】
異なるレベル処理(例えば、異なる曝露時間)で検出可能である複数の酵素を有するこのタイプの生物学的インジケータを用いて、不活性化経過の進行は監視され得、その終点が容易に予想され得る。
【0045】
多酵素インジケータの好ましい酵素は、キナーゼであり、より好ましくは熱安定性であり、そしてより好ましくは、本発明の他の実施態様に関連して本明細書中に開示および記載されているものである。
【0046】
本発明の第二の局面では、試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるための処理プロセスを検証する際に用いられるキット(必要に応じて、携行用キット)が提供され、このキットは、
(i)本発明の第一の局面による生物学的プロセスインジケータ、および
(ii)キナーゼに対する基質
を備える。
【0047】
キナーゼ量/活性の測定を実施するために、キットは、ATPを検出する手段(例えば、ルシフェリン/ルシフェラーゼ)および必要に応じてルミノメーターを備え得る。基質は、好ましくは、ADPである。
【0048】
公知の生物学的因子を用いた以前の試験から、生物学的因子の量または活性の減少とキナーゼ活性とを相関させるデータが作成され得、したがって、キットは、キナーゼ活性と一連の記載の生物学的因子の量または活性の減少との相関を示す、1つ以上の照合表もまた備え得る。好ましい実施態様では、キットは、TSE不活性化のモニタリング用である。
【0049】
本発明の第三の局面では、処理プロセスを検証する方法が提供され、この方法は、
(i)生物学的因子を含むか、または含む疑いのある試料を得る工程;
(ii)試料を、規定量のキナーゼの存在下で処理に供する工程であって、この処理が、生物学的因子の量または活性を減少させる、工程;
(iii)残余キナーゼ活性を測定し、そして必要に応じて、キナーゼ活性の減少を算定する工程;および
(iv)残余活性を所定のキナーゼ活性と比較するか、またはキナーゼ活性の減少をキナーゼ活性の所定の減少と比較する工程であって、所定のキナーゼ活性またはキナーゼ活性の所定の減少が、同じ処理条件下での生物学的因子の量または活性の確認された減少に相当する、工程
を含む。
【0050】
このような情況では、キナーゼは、本明細書中に記載のキナーゼの任意の1つであり得、および/または本明細書中に記載のキナーゼの特性のいずれかを有し得る。好ましくは、キナーゼは、本発明の第一の局面によるインジケータとして処方される。
【0051】
試料は、一般に、いかなるキナーゼも存在することなく提供される。そこで、この方法は、生物学的因子を含むと考えられる試料を得る工程、および規定量のキナーゼを添加する工程を包含し得る。この因子は全く存在しないこともある(しかし好ましくは、試料は、生物学的因子を含むことが知られている)。検証の論点は、処理を行った後、存在していたはずである因子が、受容可能な程度に除去/不活性化されたことが確認されることである。
【0052】
代表的には、操作者は、試料を処理する前および試料を処理した後にキナーゼ活性を測定する。また、キナーゼ活性についてアッセイする前に、夾雑する(通常、中温性の)キナーゼが試料中に入り込んでいることもあり得る。したがって、試料に添加されるキナーゼは熱安定性であり、そしてアッセイ工程は、残余キナーゼ活性を測定する前に、(例えば、70℃で少なくとも30分間、好ましくは80℃で少なくとも10分間試料を処理することにより)中温性のキナーゼを不活性化する工程を含むことが好ましい。
【0053】
好ましい実施態様では、キナーゼは、処理前に、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に、1mgキナーゼ当たり少なくとも10,000,000相対発光量(RLU)、または1mgキナーゼ当たり少なくとも8,000,000RLU、または1mgキナーゼ当たり少なくとも5,000,000RLU、または1mgキナーゼ当たり少なくとも3,000,000RLU、または1mgキナーゼ当たり少なくとも1,000,000RLU、または1mgキナーゼ当たり少なくとも500,000RLUの活性を有する。
【0054】
本発明の好ましい実施態様では、所定のキナーゼ活性は、1mgキナーゼ当たり10,000RLU未満、または1mgキナーゼ当たり1000RLU未満、または1mgキナーゼ当たり500RLU未満、または1mgキナーゼ当たり250RLU未満、または1mgキナーゼ当たり100RLU未満、または1mgキナーゼ当たり10RLU未満、または1mgキナーゼ当たり1RLU未満、または1mgキナーゼ当たり0RLUである。
【0055】
本発明の好ましい実施態様では、キナーゼ活性の所定の減少は、キナーゼ活性の1対数減少、または2対数減少、または3対数減少、または4対数減少、または5対数減少、または6対数減少、または7対数減少、または8対数減少、または9対数減少に等しいかそれより大きい。
【0056】
他の実施態様では、キナーゼ活性の所定の減少は、キナーゼの量または濃度の少なくとも6対数減少、または7対数減少、または8対数減少、または9対数減少に相当する。さらなる実施態様では、キナーゼ活性の所定の減少は、少なくとも800,000RLU、または少なくとも900,000RLU、または少なくとも950,000RLU、または少なくとも990,000RLU、または少なくとも999,000RLU、または少なくとも999,900RLU、または少なくとも999,990RLU、または少なくとも999,999RLUの減少に相当する。
【0057】
本発明の好ましい実施態様では、試料中の生物学的因子の量または活性の確認された減少は、少なくとも6対数、好ましくは少なくとも7対数、より好ましくは少なくとも8対数、最も好ましくは少なくとも9対数である。
【0058】
特に好ましい実施態様では、残余キナーゼ活性またはキナーゼ活性の減少が、少なくとも6対数、または少なくとも7対数、または少なくとも8対数、または少なくとも9対数の生物学的因子の量または活性の確認された減少に相当するまで、処理が続けられる。
【0059】
本発明の第四の局面では、試料中の生物学的因子の量または活性の減少と、本発明の第一の局面によるインジケータのキナーゼ活性とを相関させる方法が提供され、この方法は、
(i)規定量の生物学的因子を含有する試料および規定量のキナーゼを含有する試料を調製する工程;
(ii)試料を処理に供する工程;
(iii)キナーゼの残余活性を測定し、そして必要に応じて、キナーゼ活性の減少を算定する工程;
(iv)生物学的因子の残余量または活性を測定し、そして必要に応じて、生物学的因子の量または活性の減少を算定する工程;
(v)処理パラメーターの少なくとも1つを変更して、工程(i)から(v)を繰り返す工程
を含む。
【0060】
一実施態様では、生物学的因子およびキナーゼは、同じ試料中に存在し得る。
【0061】
好ましい実施態様では、処理パラメーターは、時間、温度、pH、圧力、プロテアーゼ濃度、および滅菌剤または界面活性剤の濃度の1つ以上を含む。
【0062】
特定の実施態様では、処理は、50〜140℃、好ましくは80〜100℃、より好ましくは134〜138℃で試料を加熱する工程を含み;処理パラメーターは時間であり;そして1分、5分、10分、20分、40分、および60分の間、試料をこの処理に供することにより、工程(i)から(iv)が繰り返される。
【0063】
さらなる実施態様では、処理は、9〜14のpH、好ましくはpH12以上、より好ましくは約pH12に試料を曝露する工程を含み;処理パラメーターは時間であり;そして1分、5分、10分、20分、40分、および60分の間、試料をこの処理に供することにより、工程(i)から(iv)が繰り返される。
【0064】
別の実施態様では、処理は、0.5〜2mg/ml、好ましくは約1mg/ml、より好ましくは約2mg/mlの濃度のプロテアーゼに試料を曝露する工程を含み;処理パラメーターは時間であり;そして1分、5分、10分、20分、40分、および60分の間、該試料を該処理に供することにより、工程(i)から(iv)が繰り返される。
【0065】
上記方法により、生物学的因子を含むか、または含む疑いのある試料に対する処理の検証のためのインジケータを将来的に使用するための較正データの調製が可能になる。多くの処理プロセスの較正は、実施例21〜23に記載される。
【0066】
本発明の第五の局面では、試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるための処理プロセスを検証するためのインジケータとしてのキナーゼの使用が提供される。このような情況では、キナーゼは、本明細書中に記載のキナーゼの任意の1つであり得、および/または本明細書中に記載のキナーゼの特性のいずれかを有し得る。好ましくは、キナーゼは、本発明の第一の局面によるインジケータとして処方される。
【0067】
ここで、種々のプロセスをモニタリング/検証するための本発明のインジケータの使用を説明する。
【0068】
一実施態様では、インジケータは、洗浄サイクルにおける生物学的洗浄調製物の性能を検証するために使用される(実施例14を参照のこと)。洗浄サイクルの検証は家庭環境にて用いられる可能性があるが、その最も有益な使用は、ヘルスケア、製薬、または食品製造環境内にあり、例えば、寝具、室内着、または感染患者または感染因子に曝露された患者(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)またはノーウォーク/ノーウォーク様ウイルスの集団発生)と関連した他の品目の汚染除去を検証するためである。このような情況では、本発明のインジケータは、血液または他の体液のような生物学的材料に関連しているという利点を有する。
【0069】
洗浄サイクルの検証のために、インジケータは、可撓性の細棒、布のストリップ、またはサイクル内に取り込むのに適した他の材料の表面上に適切なキナーゼを架橋させることにより調製される。インジケータは、投入物の残りと共に洗浄機に入れられる。好ましくは、インジケータは、その回収を容易にするために、洗浄機内部の適切なホルダー内に固定され得る。
【0070】
次いで、洗浄サイクルが実施され、そしてインジケータが取り出されて、投入物のさらなる取り扱いまたは処理の前に「読み取り機」を用いて評価される。この「読み取り機」は、インジケータ内に受容可能なレベルの残余キナーゼ活性を示すように較正されており、この受容可能なレベルは、プロセス内の適切な洗浄性能の以前の較正および評価から導き出される。このような評価は、汚れの総レベルおよび微生物の生存数(当業者に公知の適切なモデル生物を用いて評価される)を含み得る。読み取り較正値に基づいて、投入物をさらなる処理に通すか、または洗浄サイクルを繰り返す。
【0071】
第二の実施態様では、インジケータは、ウイルスの不活性化のためのプロセスを検証するために使用される(実施例15を参照のこと)。環境中の生存ウイルス単離株の検出は、特に、スピードおよび精度が重要になり得る緊急事態が伴う場合に問題である。本発明は、本質的にリアルタイムに汚染除去手順をモニタリングすることを可能にするインジケータシステムの開発の可能性を提供する。これは、ヘルスケアおよび関連施設において、集団発生(例えば、ノーウォーク様ウイルスの発生)またはウイルス因子(例えば、天然痘)の故意の放出のいずれかの後での表面汚染除去に特に有用である。
【0072】
ウイルス不活性化プロセスを検証するためのインジケータは、種々の異なる形態(例えば、殺ウイルス剤を噴霧または浸漬した領域をモニタリングするための細棒またはディップスティック、または気相汚染除去プロセスをモニタリングするための懸架式インジケータ)をとり得る。あるいは、インジケータキナーゼが、汚染除去前に表面に噴霧され、そして残余キナーゼ活性のレベルが、表面のふき取りによって引き続き評価され得る。
【0073】
本発明のさらなる実施態様では、インジケータは、細菌タンパク質毒素、植物毒素(例えば、リシン)、および他の毒素タンパク質、ペプチド、またはペプチドアナログのプロテアーゼ分解を検証するために使用される(実施例16を参照のこと)。
【0074】
プロテアーゼは、細菌戦争/細菌テロリズムの脅威となる可能性のある因子である広範なタンパク質毒素(ボツリヌス菌毒素、炭疽菌毒素、およびリシンを含む)の分解の重要な可能性を示す。それらはまた、広範な他の潜在的に毒性または有害なタンパク質またはペプチド因子を不活性化して、表面/施設の汚染除去または材料の安全な廃棄を可能にする能力を有する。このような情況では、本発明のインジケータは、汚染除去される表面/材料と一緒に、プロテアーゼ汚染除去手順に供される。この手順の終了時に、インジケータは取り出され、そして残余キナーゼ活性のレベルが、本発明の方法に従って評価される。次いで、この残余キナーゼ活性のレベルが、特定のタンパク質毒素または毒素群の不活性化指数と相関される。このレベル活性が規定の指数値以下であると、材料は安全に廃棄され得、または表面/施設は元通りに使用し得る。
【0075】
好ましくは、適切な安全性余裕が、プロセス性能のいかなる変動も可能にするように、不活性化指数の較正に組み込まれる。本発明で使用される酵素の付加的な安定性により、これは、好熱性生物由来のAKの相対熱安定性を示すデータ(図1、実施例2)により示されるように、広範な他の酵素インジケータ(「熱安定性」生物、例えば、Bacillus stearothermophilus由来の酵素を含む)よりも確実にかつより大きなダイナミックレンジで行われるようになる。
【0076】
インジケータはまた、薬剤製造装置をきれいに清浄するためのプロテアーゼ汚染除去手順を検証するために使用され得る。広範な種々の薬剤製品は、ヒトまたは動物由来の材料を使用し、これらは、プリオン(TSE)因子およびウイルス(例えば、西ナイルウイルス、肝炎、HIV)を含む広範な種々の因子で汚染され得る。材料の供給源が動物起源である場合(例えば、ウシ胎児血清、ウマ免疫グロブリン)および中間処理段階が、特定の試料中の未同定の病原体の濃度を増大させる危険性を有し得る場合、危険性は悪化され得る。製造バッチ間の製造施設および装置(例えば、クロマトグラフィーカラム、容器、配管)をきれいに清浄するためにプロテアーゼを使用する可能性は、汚染物が事前に同定されていない場合であっても、そのような危険性を減少または排除する可能性を有する。これは、感染危険性を蓄積し、そして最終製品に持ち込む重大な危険性がある、例えば、血液分画装置中のプリオン因子に特に当てはまる。
【0077】
このタイプの手順を検証するために、本発明のインジケータは、理想的には、プロテアーゼ処理溶液中に浸漬されるディップスティックとして、または清浄される装置とともに一列に取り付けられるカートリッジとして設計される。処理後のインジケータデバイス中の残余キナーゼ活性のレベルを評価し、そしてこれを受容可能な清浄レベルと相関させることにより、性能の迅速かつ信頼性のあるモニターが開発され得る。
【0078】
本発明の別の実施態様では、インジケータは、生物学的因子(例えばTSE)の気相不活性化を検証するために用いられる(実施例17を参照のこと)。
【0079】
オゾンまたは他の気相滅菌剤がこのような因子を不活性化する可能性は、広範な刊行物および論文によって示唆されているが、なおも、有効であることが明白に示された方法はない。この気相技術のヘルスケアへの開発および導入を支持するために、この技術の性能を検証する手段が必要である。TSEのような因子は、従来のウイルスまたは細菌因子よりもこの形態の不活性化に対してずっと耐性であることが既に示されているので、気相不活性化を検証するために現在利用可能な方法は、適切であるとは考えられない。本発明は、この課題に取り組んでいる。
【0080】
このタイプの検証のために、インジケータキナーゼは、任意の適切な方法、例えば、一般的な吸着およびアミド、ペプチド、カルボニル、またはシステイン結合を介する化学架橋によって、固体支持体上に付着される。例えば、オゾン滅菌については、剛性ポリ塩化ビニル(PVC)、ガラス、スチール、ポリアミド、またはポリプロピレンの支持体が使用され得、支持体には、キナーゼが、先に記載した化学方法の任意の1つによってカップリングされている。次いで、インジケータが、材料/器具の滅菌バッチ中に入れられ、オゾンに曝露され、そして当の因子の対応する不活性化を評価するために設計した適切に較正した不活性化指数に対して評価される。好結果の不活性化が、材料/器具の処理または使用の前に可能になる。
【0081】
インジケータは、気体の透過が制限されるように、必要に応じて、チューブの内面または等価の内部空隙部に付着され得る。これは、管腔を有する器具中の等価な空隙中への、または充填された材料を通る、気体の透過を評価するのに適しているモニターを提供する。あるいは、キナーゼは、ポリスチレンビーズのような多孔質材料に付着され得るか、またはゲルもしくは樹脂内に固定化され得る。
【0082】
本発明のさらなる実施態様では、インジケータは、内視鏡および関連装置の処理に用いられるような液体化学滅菌システム(例えば、Endoclens)を検証するために使用される(実施例18を参照のこと)。
【0083】
広範な内視鏡が医療において慣用的に使用され、そしてこれは、医学的診断および処置の重要な部分となる。これらの器具は、非常に感度が高く、慣用的な清浄および消毒に非常に重要な問題を提起している。従来、および現行の実施でも変わらず、内視鏡は、低温法を用いて汚染除去される前に、手で清浄される。従来のオートクレーブ滅菌ができない内視鏡のような装置の感度の高い部分の汚染除去の特定の問題に取り組むために、種々の化学消毒剤および自動化再処理装置が開発されている。これらの方法は、器具の洗浄化が困難である際に、広範なウイルスおよび細菌病原体の医原性伝染と関連している汚染のレベルを下げるのに役立っている。このようなプロセスを検証する現行の方法は、洗浄溶液の流速および温度をモニタリングすることである。本発明のインジケータは、内視鏡管腔内の実際の清浄有効性の読み取りを提供する検証のさらなる手段を提供する。
【0084】
このタイプの検証のために、インジケータは、内視鏡チューブと同様の総内径であるように設計されたチューブの内表面に付着される。このインジケータ装置は、自動化再処理装置において内視鏡と直列に連結されている。次いで、内視鏡は、通常通りに処理される。このプロセスの終了時に、好ましくは内視鏡が装置から取り出される前に、インジケータは取り外され、そして残存するキナーゼ活性のレベルについて評価される。活性のレベルは、プロセスの受容可能な性能について予め規定された閾値と相関させられ得、そしてこの評価に基づいて、内視鏡は、追加の清浄もしくは汚染除去に移され得るか、または使用するために準備され得る。性能のレベルが十分でない場合、器具は、前と同様に付着させた新たなインジケータを用いて(同じ条件またはより厳しい条件を用いて)再処理され得る。このインジケータ装置はまた、内視鏡および/または管腔を有する任意の他の器具の手動清浄を検証するのにも適している。
【0085】
上記検証のためのインジケータを調製するには、キナーゼが、酵素の疎水性に基づく非特異的タンパク質吸着法によってその支持体に接着していることが好ましい。図5は、種々の組換えキナーゼがこのようにしてポリスチレンに接着できることを示している。図5はまた、特定のキナーゼが、このタイプの適用のためにより望ましい特性を有すること、例えば、S. acidocaldariusキナーゼが、T. maritimaおよびA. fulgidusに由来するキナーゼと比較した場合、このタイプの表面に有意により接着性であることを示している。これは、他のタイプの表面について、特に表面に対する付着が荷電アミノ酸残基を介し得る場合、異なり得る。このタイプのインジケータにおいて、表面からキナーゼを簡単に取り出せることは、キナーゼに対するいかなる変更または改変よりも、清浄性能の評価において決定的な特徴である。したがって、このタイプの「吸着」インジケータは、洗浄性能の評価において非常に広範囲の使用を有する。これは、そのプロセスが内視鏡のようなデバイスの管腔からバイオフィルムを効果的に取り出すことができることを検証するために、特に重要である。なぜなら、これは、性能に影響する鍵となる要因の1つであると考えられるからである。したがって、適切な非感染バイオフィルムは、キナーゼのためのマトリックスとして、好ましくは、血清、スクロース溶液、水性ゲル、またはバイオフィルムを刺激する他の手段を用いて、プロセスがこの汚染形態に対して有効であることを確実にするように用いられ得る。このようなプロセスを検証するのに適した他のタイプのインジケータは、前に記載したものと同様であり、ここでは、キナーゼが、化学結合(例えば、ジスルフィド結合、アミド結合、またはカルボニル結合)を生じるように支持体表面に共有結合されている。これらの場合、洗浄および/または滅菌剤の効果は、キナーゼを、それがもはや活性でないように改変することにより発揮される。このことは、ペプチド結合の破壊、タンパク質の架橋、またはタンパク質の構造をかき乱す関連方法により作用する化学滅菌剤に特に関連している。
【0086】
本発明のさらなる実施態様では、インジケータは、洗浄消毒器(例えば、病院で使用されるもの)で慣用の清浄性能をモニタリングするために使用される(実施例19を参照のこと)。
【0087】
本発明の別の実施態様では、インジケータは、グルタルアルデヒドまたはオルトフタルデヒド(OPA)処理をモニタリングするために使用される。グルタルアルデヒドおよびホルムアルデヒドが、長年にわたって滅菌剤として広範に使用されている。化学消毒剤は、それらの機能を破壊するために非特異的様式でタンパク質を多架橋させることにより作用する。オルトフタルデヒド(OPA)は、このファミリーにおいて新規な消毒剤として近年見出され、そしてこれはグルタルアルデヒドと関連した毒性問題のいくつかを回避するので広範に使用されつつある。本発明のインジケータは、このクラスの化学消毒剤の全てをモニタリングするのに適している。これは、キナーゼが、この種の非特異的架橋に感受性であるからである。このタイプのインジケータでは、キナーゼは、適切な表面に共有結合され、滅菌されるべき他の品目と共に化学滅菌剤に曝露される。プロセスの有効性は、インジケータを取り出して残余酵素活性を測定することによって評価される。この活性は、プロセスの正確な性能を示す規定の閾値と比較される。
【0088】
異なるタイプのキナーゼの使用は、種々の適用に必要とされ得るように、プロセスに対する付加的な感度または感受性を提供し得る。本明細書中に記載の熱安定性アデニル酸キナーゼは、それらの分子構造に基づいて、2つの群に広範に分類され得る。したがって、Sulfolobus種由来の酵素は、高温でそれらの活性を維持するのに主要な決定基である中心の疎水性コアを有する三量体構造を有する酵素の例である。第二の群の酵素は、Thermotoga種由来のアデニル酸キナーゼにより例示される、単量体であるが、活性部位に影響する付加的な「蓋形」ドメインを有するわずかにより長いポリペプチド鎖を有する。これらの異なるタイプの熱安定性酵素は、酵素作用の間のそれらのペプチド鎖の可変的なフレキシビリティーに起因して、このタイプの化学滅菌剤に対して差異のある感度を示す。任意の特定の滅菌剤および/または濃度について、経験的スクリーンにより、これらのタイプの化学物質をモニタリングおよび検証するために適切な感受性を有する酵素が同定される。
【0089】
本発明のさらなる実施態様では、インジケータは、エチレンオキサイド、過酸化水素、または他の気相プロセスについての超高速読み取りモニターとして使用される。
【0090】
現在、広範な気相滅菌剤は、細菌およびウイルス因子の慣用的な消毒のために、種々の製造業者によって使用されつつある。現行の方法は、気体の酸化特性を利用して、ペプチド結合を破壊している。したがって、本発明のキナーゼは、それらの強い物理化学特性から、不活性化の非常に迅速な読み取りを提供するのに理想的である。本実施例におけるインジケータは、例えば、TSEのような因子のオゾン不活性化に関して、前に記載したものと同様である。
【0091】
滅菌および汚染除去のプロセスについて特に興味深い点は、種々の医薬または他の薬剤製品の製造で必要とされ得るような、大量のバルク液の滅菌を検証する能力である。現行の方法は、特定プロセスの温度、時間、および/または圧力のパラメーターを(その正確な性質に依存して)モニタリングするが、バルク液内で現実の滅菌を検証するために利用可能な方法は、あるとしてもほとんどない。これは、約1リットルの容量内でさえも難しいが、より多い容量ではほぼ不可能である。
【0092】
本発明は、この問題に取り組む多数の可能な溶液を提供する(実施例20を参照のこと)。その最も簡易な形態では、キナーゼが、プロセスの終了時にキナーゼ不活性化の規定のレベルを測定しそしてこれを滅菌のレベルと同一視するのに適した濃度で、滅菌される液体に添加され得る。これは、特定のタイプのプロセスにおいては望ましくはないが、キナーゼの不活性な性質および全ての生物における等価な酵素活性の遍在的な存在によって受容可能になり得る。この受容可能性は、多くの熱安定性酵素が非常に濃縮され、したがって、動物への接種後の免疫原性が非常に低くなることにより、改善され得る。
【0093】
このような直接的な添加が受容可能でない場合、キナーゼは、透析袋、多孔質コンテナ中のバルク液に添加され得るか、または酵素が一部分もバルク液に放出されないように適切な支持体に固定化され得るが、滅菌条件は、試料全体についてと同様にインジケータで作用し得る。液体試料の一般的な拡散を可能にするが、インジケータ試料の動きを制限するように、タンパク質を含有するかまたは固定化する広範に種々の可能な方法が、当業者に公知である。可能な例としては、透析膜、ビスキングチューブ(Visking tubing)、多孔質膜、タンパク質結合樹脂、剛性ゲル、または議論した他のインジケータについて記載したような固体支持体が挙げられるが、これらに限定されない。インジケータは、前に記載した方法のいずれか1つによって表面に付着され得るか、または付着させることなく適切な膜内に単に入れられ得る。これにより、インジケータは、プロセスの完了時にバルク液から簡単に取り出され得る。
【0094】
(定義の項)
用語「生物学的因子」とは、感染因子および非感染因子の両方を含む。本発明に関連した生物学的因子の特定の例としては、細菌、ウイルス、胞子、タンパク質、ペプチド、およびプリオン(感染性PrPSc型および非感染性PrP型の両方)、ならびにまた実施例14〜20に記載した特定の因子が挙げられる。本発明の好ましい実施態様では、生物学的因子は、伝染性海綿状脳症である。
【0095】
用語「処理」または「処理プロセス」は、試料中の生物学的因子の量または活性を減少するように設計される任意のプロセスを含む。
【0096】
適切な処理は、以下の1つ以上を含む:選択されたpH、温度、または圧力、プロテアーゼもしくは他の酵素への試料の曝露、界面活性剤、化学滅菌剤もしくは気相滅菌剤への試料の曝露。好ましい実施態様では、処理は、感染性生物学的因子(例えば、TSE)の感染活性(infectious activity)(感染度(infectivity)としても知られる)を減少させるように設計される。特に好ましい実施態様では、処理は、50〜120℃の間、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上の温度で試料をプロテアーゼに曝露する工程、および/または少なくとも9のpHに、好ましくは少なくとも12のpHに試料を曝露する工程を含む。用語「処理」はまた、湿流または乾流の高温オートクレーブ滅菌、オゾン滅菌、H滅菌、レンダリング、または生物学的因子を除去または不活性化するように設計された他の方法のような清浄プロセスおよび不活性化プロセスを含む。
【0097】
用語「試料」は、任意の品目、器具、表面、流体、または材料を含む。例としては、手術器具および医療器具、院内室内着、寝具、バルク液、廃棄動物由来材料、薬剤、作業台、壁、および床が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
用語「RLU」とは、相対発光量を意味する。当業者は、相対発光量は、信頼性のある(絶対的ではない)測定値であることを認識する。本明細書に示した数値は、ルシフェラーゼ/ルシフェリン試薬の添加直後の2秒間の光測定の「フラッシュ」法を用いるインジェクターシステムを備えたBerthold Orion 96ウェルマイクロプレートルミノメーター(300〜650nmの波長で放射された光を測定する技術仕様光電子増倍管)を用いて求めた測定値に関する。この点に取り組むために、製造業者は、RLU「係数」についてのデータを作成しており、所定のルミノメーターにより生じたデータを、較正標準に対して正規化させる。したがって、異なる器具間で、比較がなされ得る。本明細書中に記載した実験で使用したBerthold Orion 96ウェルマイクロプレートルミノメーターについてのRLU係数は1である。したがって、本明細書中で示されたRLU値は、標準化/正規化されたRLU値としてみなされ得る。
【0099】
絶対値の点では、RLU値は、本方法(例えば、実施例1の方法)に記載されるような試薬を用いて該値を得るのに必要なATP濃度に関連し得る。適切な変換として、そしてRLU値とATP濃度との間の線形関係を考慮すると、以下の値が用いられ得る:
【0100】
【数1】

【0101】
ここで、本発明を、以下の実施例でおよび添付の図面を参照して、特定の実施態様において記載する。
【0102】
図1は、70℃(A)、80℃(B)、および90℃(C)での処理後のアデニル酸キナーゼ(AK)酵素の活性を示す。
【0103】
図2は、種々の濃度のアルカリプロテアーゼによるアデニル酸キナーゼ(AK)消化後の残余酵素活性を示す;および
【0104】
図3は、酵素活性とアデニル酸キナーゼ(AK)の残余濃度との相関を示す標準曲線を示す。
【0105】
図4は、E. coliで組換え発現した種々のAK酵素の熱安定性を示す。実施例4に記載するように、AK酵素をコードする遺伝子をクローニングし、そして発現させた。S. acidocaldariusクローンIを除いて、全ての遺伝子をベクターpET28aから発現させた。S. acidocaldariusクローンIは、前に記載したように、pET3aから発現させた。発現レベルは、各クローンについて同様であったが、Pyrococcus furiosus (P.fu)酵素の一部は、不溶性画分中にあった。このことは、この酵素のアッセイされる量を減少させたと考えられる。1mg/ml総細胞タンパク質からの10倍系列希釈で(これにより、カラム12は、1fg/mlの総タンパク質に等価となる)、E. coli粗溶解物中で80℃にて30分間インキュベートした後に、組換え酵素の熱安定性を測定した。Thermotoga maritimaおよびArchaeoglobus fulgidus由来の酵素は、試験した他の酵素よりも有意に大きな安定性を示したが、残りの酵素(Sulfolobus solfataricus(S.so P2)、Aeropyrum pernix、およびP.fu)は、以前のアッセイの基準として用いたS. acidocaldarius酵素(S.ac Iと記載したデータ)と同様の活性を示した。
【0106】
図5は、固体支持体への熱安定性アデニル酸キナーゼ(tAK)の結合差異を示す。固体支持体への精製組換え熱安定性アデニル酸キナーゼの相対結合を評価するために、ブロックしたプレートへの酵素の結合を評価し、このことにより、直接吸光度タイプのインジケータに対するそれらの使用可能性が示される。標準ポリスチレンマイクロタイタープレートの表面を、5%スキムミルクの添加によりブロックした。このミルクを除去し、そしてArchaeoglobus fulgidus(Afu)、Thermotoga maritima(Tma)、およびSulfolobus acidocaldarius(Sac)由来のtAKの希釈液をプレートに塗布した。洗浄後、結合したtAKの量を、標準アッセイ法について記載のようにして測定した(実施例1)。この結果は、Sac tAKが、2つの別のtAKのいずれよりも、ブロックしたプレートに対して有意に高い結合を示したことを示している。これらの酵素の比活性は同一ではなかったが、AfuおよびTmaのtAKはともに、Sac由来の酵素よりも高い活性を示し、そのため結合における現実の差は、図面に示したよりもずっと大きい。スキムミルクは、プレートへ結合するタンパク質を減少させるために一般に用いられるブロッキング剤であるので、これらの結果は、Sac tAKが、これらの実験において使用した表面(ポリスチレン)への疎水性吸着に非常に強い傾向を有することを示している。酵素のこの特性は、スチール表面へのプリオン分子について観察されたものと同様であり、それが、広範なTSE不活性化および/または除去プロセスを評価するための非常に有効なインジケータであることを意味する。
【0107】
図6は、プリオンを不活性化するためのプロテアーゼ消化処理についての較正曲線の作成を示す。
【0108】
図7は、プリオンを不活性化するための気相オゾン処理についての較正曲線の作成を示す。
【0109】
図8は、標準的な汚れを除去するための院内用洗浄消毒器についての較正曲線の作成を示す。
【0110】
図9は、tAKインジケータの迅速読み取り評価を可能にする手持形衛生モニターの改変を示す。
【0111】
配列番号1:Sulfolobus solfataricus由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号2:Sulfolobus acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号3:Sulfolobus tokodaii由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号4:Pyrococcus furiosus由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号5:Pyrococcus horikoshii由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号6:Pyrococcus abyssi由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号7:Methanococcus thermolithotrophicus由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号8:Methanococcus voltae由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号9:Methanococcus jannaschii由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号10:Methanopyrus kandleri由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号11:Methanotorris igneus由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号12:Pyrobaculum aerophilum由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号13:Thermotoga maritima由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号14:Aeropyrum pernix由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号15:Archaeoglobus fulgidus由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号16:Pyrococcus abyssi由来のアデニル酸キナーゼ(単量体アデニル酸キナーゼ(AdkE))のタンパク質配列
配列番号17:改善された安定性を提供するように遺伝子操作されたPyrococcus furiosus由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号18:改善された安定性を提供するように遺伝子操作されたPyrococcus horikoshii由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号19:改善された安定性を提供するように遺伝子操作されたSulfolobus acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号20:Thermatoga maritima由来の酢酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号21:Pyrococcus horikoshii由来のピルビン酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号22:Sulfolobus solfataricus由来のピルビン酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号23:Thermotoga maritima由来のピルビン酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号24:Pyrococcus furiosus由来のピルビン酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号25:Methanosarcina thermophila由来の酢酸キナーゼのタンパク質配列
配列番号26:Sulfolobus acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼをコードするDNA配列
配列番号27:Sulfolobus acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼをコードするDNA配列であり、コドン使用はE. coliでの遺伝子の発現のために最適化されている
配列番号28:Thermotoga maritima由来のアデニル酸キナーゼをコードするDNA配列
配列番号29:Thermotoga maritima由来のアデニル酸キナーゼをコードするDNA配列であり、コドン使用はE. coliでの遺伝子の発現のために最適化されている
配列番号30:Archaeoglobus fulgidus由来のアデニル酸キナーゼをコードするDNA配列であり、コドン使用はE. coliでの遺伝子の発現のために最適化されている
【実施例】
【0112】
(実施例1)
(Sulfolobus acidocaldarius AKのためのアッセイプロトコル)
適切な固体支持体上の1mg/mlのアデニル酸キナーゼの100μl処方物がインジケータであり、そしてこれを、必要とされる処理プロセスに供する。
【0113】
熱不活性化工程は任意である。これは、試料を、インジケータのAKには許容であるが、いずれの中温性AKも変性される温度を上回る温度に加熱することを含む。代表的には、これは、80℃にて10分間のインキュベーションによる。
【0114】
洗浄工程は任意である。これは、処理を実施するために用いられる材料が微量であってもアッセイを妨害することが分かっている場合、それらを除くために組み込まれ得る。
【0115】
次いで、インジケータを、15mM MgAc、1mM EDTA緩衝液、pH6.8で13.5μMの濃度に希釈したADP基質(例えば、Celsis, Biothema, Promegaからの試薬)を含むチューブに添加し、そして70℃にて20分間インキュベートする。
【0116】
試料を室温まで冷却し、そしてルシフェリン/ルシフェラーゼ基質(ATP試薬、Thermo Life Science)を添加する。アッセイを必要な長さの時間インキュベートし、ルミノメーターを用いて試料を読み取る。
【0117】
(実施例2)
(天然型アデニル酸キナーゼ酵素の精製)
24の種々の好熱性微生物および超好熱性微生物からバイオマスを生成した(表1)。
【0118】
古細菌の8つのメンバーを、16の種々の好気性細菌および嫌気性細菌とともに表した。これらの生物の各々に由来するAKを、Cibacron Blue 3A(Blue Sepharose)から選択的吸着および脱着を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。全ての酵素をさらに特徴付け、そしてゲル濾過(Superdex G200)によって精製した。これは、主要なAK画分の同定および分子量の推定を可能にした。
【0119】
(実施例3)
(天然型アデニル酸キナーゼの熱安定性の分析)
好熱性生物に由来するバイオマスから単離したアデニル酸キナーゼの70℃、80℃、および90℃での熱安定性を評価し、そしてそれらの結果を図1に示した。
【0120】
アデニル酸キナーゼを、Cibacron Blue 3A(Blue Sepharose)から選択的吸着および脱着を用いるアフィニティークロマトグラフィーによってバイオマスから単離した。カラムから溶出した試料を1:10000希釈し、次いで各々10μlをマイクロタイターウェルに添加した。2.5μlのアピラーゼを各ウェルに添加し、溶出緩衝液から存在するATPを破壊し、そして37℃にて30分間インキュベートした。アピラーゼを65℃にて20分間の熱処理によって不活性化した。
【0121】
ADP基質を添加し、そして70℃(パネルA)、80℃(パネルB)、または90℃(パネルC)のいずれかにて30分間インキュベートし、そして25℃まで冷却し、その後10μlのD−ルシフェリン−ルシフェラーゼ試薬を添加した。生じたATPを、プレートルミノメーターでRLUとして測定した。
【0122】
(実施例4)
(組換えアデニル酸キナーゼの発現および精製)
代表的な熱安定性AKを発現するクローンを獲得し、そして好熱酸性古細菌Sulfolobusacidocaldariusおよび好熱性細菌Bacillus stearothermophilus由来の組換え熱安定性AKを生成した。プラスミドをE. coliに形質転換し、そして細胞抽出物は、AKの予測分子量に相当する電気泳動でのタンパク質バンドを含有することが示された。適切な温度(Sulfolobus acidocaldarius AKは80℃およびBacillus stearothermophilus AKは60℃)でのインキュベーション後に、熱安定性AK活性を測定した。
【0123】
両方の熱安定性AKについての精製方法は確立されている。この方法には、80℃で20分間のインキュベーションの初期熱処理によりE. coli由来のタンパク質を不活性化して凝集し、その後アフィニティークロマトグラフィーおよびゲル濾過を行うことが含まれた。アフィニティークロマトグラフィーは、Blue Sepharoseへの酵素の吸着、次いで低濃度のAK補因子(AMP+ATPおよびマグネシウムイオン)を用いる特異的溶出を含んだ。溶出緩衝液中のATPおよびAMP(Sigma)を、中温性アピラーゼとのインキュベーションにより分解した。中温性アピラーゼは引き続く熱処理によって容易に不活性化される。ゲル濾過クロマトグラフィーをスケールアップし、分取用Superdexカラムを使用して、両酵素を大量に調製できるようにした。
【0124】
候補の天然型酵素のスクリーニングの間に同定された好熱性生物由来のAK遺伝子のPCR増幅のために、プライマーを設計した。
【0125】
熱安定性微生物を個々に既定されている増殖条件を用いて増殖させ、そしてゲノムDNAを単離し、そして各生物由来のアデニル酸キナーゼ遺伝子のPCR増幅の鋳型として使用した。好熱性生物であるThermotoga maritima、Aeropyrum pernix、Sulfolobus acidocaldariusおよびSulfolobus solfataricus由来のPCR増幅したアデニル酸キナーゼ遺伝子をベクターpET28aにサブクローニングし、そして稀なtRNA(rare tRNA)を発現するコドン増強E. coli株(Zdanovskyら、2000)に形質転換した。このE. coli株は、ATリッチ遺伝子の発現レベルの増強に適している。
【0126】
形質転換の成功をミニ発現試験によって評価し、そしてこの結果を、IPTGでの誘導の前および後に、培養上清のSDS−PAGEによって分析した。SDS−PAGEは、熱処理工程を含んだ後の上清の分析にも使用した。この熱処理工程は、SDS−PAGEゲルに流す前に試料を80℃まで20分間加熱して、試料中に存在する熱不安定タンパク質を除去することからなる。
【0127】
配列:
配列番号
1−Sulfolobus solfataricus由来のアデニル酸キナーゼ
MKIGIVTGIP GVGKTTVLSF ADKILTEKGI
SHKIVNYGDY MLNTALKEGY VKSRDEIRKL
QIEKQRELQA LAARRIVEDL SLLGDEGIGL
IDTHAVIRTP AGYLPGLPRH VIEVLSPKVI
FLLEADPKII LERQKRDSSR ARTDYSDTAV
INEVIQFARY SAMASAVLVG ASVKVVVNQE
GDPSIAASEI INSLM
【0128】
2−Sulfolobus acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼ
MKIGIVTGIP GVGKSTVLAK VKEILDNQGI
NNKIINYGDF MLATALKLGY AKDRDEMRKL
SVEKQKKLQI DAAKGIAEEA RAGGEGYLFI
DTHAVIRTPS GYLPGLPSYV ITEINPSVIF
LLEADPKIIL SRQKRDTTRN RNDYSDESVI
LETINFARYA ATASAVLAGS TVKVIVNVEG
DPSIAANEII RSMK
【0129】
3−Sulfolobus tokodaii由来のアデニル酸キナーゼ
MSKMKIGIVT GIPGVGKTTV LSKVKEILEE
KKINNKIVNY GDYMLMTAMK LGYVNNRDEM
RKLPVEKQKQ LQIEAARGIA NEAKEGGDGL
LFIDTHAVIR TPSGYLPGLP KYVIEEINPR
VIFLLEADPK VILDRQKRDT SRSRSDYSDE
RIISETINFA RYAAMASAVL VGATVKIVIN
VEGDPAVAAN EIINSML
【0130】
4−Pyrococcus furiosus由来のアデニル酸キナーゼ
MPFVVIITGI PGVGKSTITR LALQRTKAKF
RLINFGDLMF EEAVKAGLVK HRDEMRKLPL
KIQRELQMKA AKKITEMAKE HPILVDTHAT
IKTPHGYMLG LPYEVVKTLN PNFIVIIEAT
PSEILGRRLR DLKRDRDVET EEQIQRHQDL
NRAAAIAYAM HSNALIKIIE NHEDKGLEEA
VNELVKILDL AVNEYA
【0131】
5−Pyrococcus horikoshii由来のアデニル酸キナーゼ
MPFVVIITGI PGVGKSTITK LALQRTRAKF
KLINFGDLMF EEALKLKLVK HRDEMRKLPL
EVQRELQMNA AKKIAEMAKN YPILLDTHAT
IKTPHGYLLG LPYEVIKILN PNFIVIIEAT
PSEILGRRLR DLKRDRDVET EEQIQRHQDL
NRAAAITYAM HSNALIKIIE NHEDKGLEEA
VNELVKILDL AVKEYA
【0132】
6−Pyrococcus abyssi由来のアデニル酸キナーゼ
MSFVVIITGI PGVGKSTITR LALQRTKAKF
KLINFGDLMF EEAVKAGLVN HRDEMRKLPL
EIQRDLQMKV AKKISEMARQ QPILLDTHAT
IKTPHGYLLG LPYEVIKTLN PNFIVIIEAT
PSEILGRRLR DLKRDRDVET EEQIQRHQDL
NRAAAIAYAM HSNALIKIIE NHEDKGLEEA
VNELVEILDL AVKEYA
【0133】
7−Methanococcus thermolithotrophicus由来のアデニル酸キナーゼ
MKNKLVVVTG VPGVGGTTIT QKAMEKLSEE
GINYKMVNFG TVMFEVAQEE NLVEDRDQMR
KLDPDTQKRI QKLAGRKIAE MVKESPVVVD
THSTIKTPKG YLPGLPVWVL NELNPDIIIV
VETSGDEILI RRLNDETRNR DLETTAGIEE
HQIMNRAAAM TYGVLTGATV KIIQNKNNLL
DYAVEELISV LR
【0134】
8−Methanococcus voltae由来のアデニル酸キナーゼ
MKNKVVVVTG VPGVGSTTSS QLAMDNLRKE
GVNYKMVSFG SVMFEVAKEE NLVSDRDQMR
KMDPETQKRI QKMAGRKIAE MAKESPVAVD
THSTVSTPKG YLPGLPSWVL NELNPDLIIV
VETTGDEILM RRMSDETRVR DLDTASTIEQ
HQFMNRCAAM SYGVLTGATV KIVQNRNGLL
DQAVEELTNV LR
【0135】
9−Methanococcus jannaschii由来のアデニル酸キナーゼ
MMMMKNKVVV IVGVPGVGST TVTNKAIEEL
KKEGIEYKIV NFGTVMFEIA KEEGLVEHRD
QLRKLPPEEQ KRIQKLAGKK IAEMAKEFNI
VVDTHSTIKT PKGYLPGLPA WVLEELNPDI
IVLVEAENDE ILMRRLKDET RQRDFESTED
IGEHIFMNRC AAMTYAVLTG ATVKIIKNRD
FLLDKAVQEL IEVLK
【0136】
10−Methanopyrus kandleri由来のアデニル酸キナーゼ
MGYVIVATGV PGVGATTVTT EAVKELEGYE
HVNYGDVMLE IAKEEGLVEH RDEIRKLPAE
KQREIQRLAA RRIAKMAEEK EGIIVDTHCT
IKTPAGYLPG LPIWVLEELQ PDVIVLIEAD
PDEIMMRRVK DSEERQRDYD RAHEIEEHQK
MNRMAAMAYA ALTGATVKII ENHDDRLEEA
VREFVETVRS L
【0137】
11−Methanotorris igneus由来のアデニル酸キナーゼ
MKNKVVVVTG VPGVGGTTLT QKTIEKLKEE
GIEYKMVNFG TVMFEVAKEE GLVEDRDQMR
KLDPDTQKRI QKLAGRKIAE MAKESNVIVD
THSTVKTPKG YLAGLPIWVL EELNPDIIVI
VETSSDEILM RRLGDATRNR DIELTSDIDE
HQFMNRCAAM AYGVLTGATV KIIKNRDGLL
DKAVEELISV LK
【0138】
12−Pyrobaculum aerophilum由来のアデニル酸キナーゼ
MKIVIVALPG SGKTTILNFV KQKLPDVKIV
NYGDVMLEIA KKRFGIQHRD EMRKKIPVDE
YRKVQEEAAE YIASLTGDVI IDTHASIKIG
GGYYPGLPDR IISKLKPDVI LLLEYDPKVI
LERRKKDPDR FRDLESEEEI EMHQQANRYY
AFAAANAGES TVHVLNFRGK PESRPFEHAE
VAAEYIVNLI LRTRQKS
【0139】
13−Thermotoga maritima由来のアデニル酸キナーゼ
MMAYLVFLGP PGAGKGTYAK RIQEKTGIPH
ISTGDIFRDI VKKENDELGK KIKEIMEKGE
LVPDELVNEV VKRRLSEKDC EKGFILDGYP
RTVAQAEFLD SFLESQNKQL TAAVLFDVPE
DVVVQRLTSR RICPKCGRIY NMISLPPKED
ELCDDCKVKL VQRDDDKEET VRHRYKVYLE
KTQPVIDYYG KKGILKRVDG TIGIDNVVAE
VLKIIGWSDK
【0140】
14−Aeropyrum pernix由来のアデニル酸キナーゼ
MKVRHPFKVV VVTGVPGVGK TTVIKELQGL
AEKEGVKLHI VNFGSFMLDT AVKLGLVEDR
DKIRTLPLRR QLELQREAAK RIVAEASKAL
GGDGVLIIDT HALVKTVAGY WPGLPKHVLD
ELKPDMIAVV EASPEEVAAR QARDTTRYRV
DIGGVEGVKR LMENARAASI ASAIQYASTV
AIVENREGEA AKAAEELLRL IKNL
【0141】
15−Archaeoglobus fulgidus由来のアデニル酸キナーゼ
MNLIFLGPPG AGKGTQAKRV SEKYGIPQIS
TGDMLREAVA KGTELGKKAK EYMDKGELVP
DEVVIGIVKE RLQQPDCEKG FILDGFPRTL
AQAEALDEML KELNKKIDAV INVVVPEEEV
VKRITYRRTC RNCGAVYHLI YAPPKEDNKC
DKCGGELYQR DDKEETVRE RYRVYKQNTE
PLIDYYRKKG ILYDVDGTKD IEGVWKEIEA
ILEKIKS
【0142】
16−Pyrococcus abyssi由来の単量体アデニル酸キナーゼ(AdkE)
MNILIFGPPG SGKSTQARRI TERYGLTYIA
SGDIIRAEIK ARTPLGIEME RYLSRGDLIP
DTIVNTLIIS KLRRVRENFI MDGYPRTPEQ
VITLENYLYD HGIKLDVAID IYITKEESVR
RISGRRICSK CGAVYHVEFN PPKVPGKCDI
CGGELIQRPD DRPEIVEKRY DIYSKNMEPI
IKFYQKQGIY VRIDGHGSID EVWERIRPLL
DYIYNQENRR
【0143】
(実施例5)
(組換えアデニル酸キナーゼの熱安定性の分析)
組換えtAK酵素の熱安定性をE. coli粗細胞溶解物で評価した。
【0144】
細胞を、本質的に実施例4に記載と同様に増殖させ、そして超音波処理によって溶解した。粗抽出物のAK活性を80℃にて30分間の熱処理の前および後の両方で決定し、引き続き10倍系列希釈を行った。
【0145】
結果(図4を参照のこと)は、広範な種々の組換え酵素が本発明の方法での使用に適していることを示している。特に好ましいAKは、T. maritima、A. fulgidus、およびS. solfataricus由来の酵素である。このような酵素は、生物発光アッセイについてより大きなダイナミックレンジを提供し、必要な場合、なおさらなる感度を提供すると思われる。
【0146】
(実施例6)
(特定の熱安定性アデニル酸キナーゼの特性はTSE不活性化についてのインジケータとしての価値を示す)
プリオン分子は、スチール表面に固着する顕著に高い性質を示す。
【0147】
プリオン汚染除去手順の検証のためのインジケータを開発するために、プリオン分子と同様の特性を有するキナーゼが有益である。この概念を探求するために、所定の表面への種々の組換え熱安定性アデニル酸キナーゼの結合を評価した(図5を参照のこと)。
【0148】
予めブロックしたプレートへのキナーゼの結合を評価した。標準のポリスチレンマイクロタイタープレートの表面を5%スキムミルクの添加によりブロックした。このミルクを除去し、そしてArchaeoglobus fulgidus(Afu)、Thermotoga maritime(Tma)およびSulfolobus acidocaldarius(Sac)由来の熱安定性アデニル酸キナーゼの希釈物をプレートに塗布した。洗浄後、結合したキナーゼの量を、標準的なアッセイ方法(実施例1)について記載のようにして測定した。結果は、Sacキナーゼが、ブロックされたプレートに対して、2つの別のキナーゼのいずれよりも有意に高い結合を示したことを示している。酵素の比活性は同一ではないが、AfuキナーゼおよびTmaキナーゼはともにSac由来のキナーゼよりも高い活性を示し、このため、結合における現実の差異は、図に示すよりもずっとさらに大きい。
【0149】
スキムミルクは、プレートに結合するタンパク質を減少させるためのブロッキング剤として一般に用いられるので、これらの結果は、Sacキナーゼが、これらの実験で使用した表面(ポリスチレン)への疎水性吸着に非常に強い傾向を有することを示している。酵素のこの特性は、スチール表面に対してプリオン分子について観察された特性と同様であり、それが、広範なTSE不活性化および/または除去プロセスを評価するための非常に有効なインジケータであることを意味している。Sacキナーゼは、ステンレススチールに対してまさに同様の様式で結合し、そして結合の協同性を示す(すなわち、結合活性と低濃度の酵素の量との間には(線形ではなく)対数形の関係があり、このことは、それが、プリオン分子について見られるのと同様に、この表面で凝集特性を有することを示唆している)。
【0150】
酵素のこの特徴は、キナーゼが、共有結合されているのではなく、適切な支持体上に直接吸着されている直接吸着型のインジケータである可能性を示している。この場合のインジケータは、プロセスが表面から材料を除去する能力を評価することによって機能し、そして洗浄および汚染除去プロセスのモニタリングに広範に適用可能である。
【0151】
(実施例7)
(安定性を改善するためのアデニル酸キナーゼの遺伝子改変)
当業者に公知の標準的な方法を用いて、P. furiosus、P. horikoshii、およびS. acidocaldarius由来のAK遺伝子において、それぞれ実施例8〜10および配列番号17〜19に示すように、部位特異的変異体を構築した。
【0152】
各遺伝子で同定した特定の変更に加えて、S. acidocaldarius配列で下線を付した領域は、古細菌アデニル酸キナーゼ三量体構造のコアパッキング領域を形成している。したがって、この領域のパッキングを妨げるアミノ酸置換は、酵素の熱安定性および物理的安定性を減少させるのに大きな効果を有していると思われる。逆に、コアパッキングを改善するアミノ酸置換(特に、大きな側鎖を有する疎水性残基)は、熱または他のプロセスに対して酵素を安定化させ得る。したがって、既に記載された特定の変異に加えて、これらの領域において関連した遺伝子配列の局在遺伝子シャッフリング(本質的にStemmer (1994) Nature 370: 389-391およびCrameriら (1996) Nature Biotech. 14: 315-319に記載のように)および縮重オリゴヌクレオチドまたは改変したヌクレオチド混合物を用いるランダムPCRに基づく変異誘発(例えば、Vartanianら (1996) Nucleic Acid Res. 24: 2627-2633)を用いる、多くの「選択的」アプローチを使用した。これらの改変の多くは、E. coliでの組換え発現、および高温での溶解した細胞中のアデニル酸キナーゼ活性の迅速アッセイにより評価した場合に、変化した安定性を示している。
【0153】
(実施例8)
(改善された安定性を提供するように遺伝子操作されたPyrococcus furiosus由来のアデニル酸キナーゼ(配列番号17))
MPFVVIITGI PGVGKSTITR LALQRTKAKF
RLINFGDLMF EEAVKAGLVK HRDEMRKLPL
(KからE)IQRELQMKA AKKI(TからA)EMAKE
HPILVDTHAT IKTPHGY(MからL)LG
LPYEVVKTLN PNFIVIIEAT PSEILGRRLR
DLKRDRDVET EEQIQRHQDL NRAAAIAYAM
HSNALIKIIE NHEDKGLEEA VNELVKILDL
AVNEYA
【0154】
示した部位の1つ以上または全てでの変異が、酵素の熱安定性を改変する。強調した3つの規定の変更に加えて、157位のアラニンの別の小さな疎水性残基、例えば、I、Lまたはより大きな疎水性残基、例えば、Fへの改変は、組換えタンパク質の熱安定性を増大させる。したがって、これらの部位での改変の組み合わせによって可能な35の改変体が存在する。アミノ酸157の極性残基、例えば、T(P. horikoshiiのAdkAでの等価な位置に見られる)、S、Y、D、E、K、Rへの改変は、安定性の減少を生じる。
【0155】
(実施例9)
(改善された安定性を提供するように遺伝子操作されたPyrococcus horikoshii由来のアデニル酸キナーゼ(配列番号18))
太字および下線で示した残基のいずれかまたは両方の改変は、酵素の熱安定性を増大さ
せる(3つの改変体が可能である)。
【0156】
MPFVVIITGI PGVGKSTITK LALQRTRAKF
KLINFGDLMF EEALKLLVK HRDEMRKLPL
EVQRELQMNA AKKIAEMAKN YPILLDTHAT
IKTPHGYLLG LPYEVIKILN PNFIVIIEAT
PSEILGRRLR DLKRDRDVET EEQIQRHQDL
NRAAAIYAM HSNALIKIIE NHEDKGLEEA
VNELVKILDL AVKEYA
【0157】
(実施例10)
(改善された安定性を提供するように遺伝子操作されたSulfolobus acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼ(配列番号19))
示した下線の残基の改変は、酵素の熱安定性を増大させ得る。
【0158】
MKIGIVTGIP GVGKSTVLAK VKEILDNQGI
NNKIINYGDF MLATALKLGY AKDRDEMRKL
SVEKQKKLQI DAAKGIAEEA RAGGEGYLFI
DTHAIRTPS GY(AからM)PGPSYV ITEINPSIF
LEADPKIIL SRQKRDTTRN RNDYSDESVI
TINFARYA ATASAVLAGS TVKVIVNVEG
DPSIAANEII RSMK
【0159】
(実施例11)
(TSEの不活性化の検証のためのアデニル酸キナーゼインジケータ)
高い温度およびpHでのTSE材料のプロテアーゼ不活性化について使用するために、AKベースのプリオンインジケータを開発した。
【0160】
(インジケータ1)
ポリカーボネート支持体を、精製組換えS. acidocaldarius AK(実施例4に記載)の処方物でコーティングした。この酵素を、リン酸緩衝化生理食塩水pH7.4(PBS)中に5%(w/v)ソルビトール、10mg/mlウシ血清アルブミン(Fraction V; Sigma chemical company)の存在下に1mg/mlの濃度で処方した。100μlの容量を、22℃にて1時間支持体上で乾燥させた。
【0161】
(インジケータ2)
ポリスチレン支持体を、Tris緩衝化生理食塩水(TBS)pH7.4中に1mg/mlのS. acidocaldarius AK、1mMトリプトファン、5%(w/v)ソルビトールを含有する100μlの処方物でコーティングし、そして4℃にて24時間乾燥させた。
【0162】
(インジケータ3)
第三のインジケータを、ジスルフィド結合形成に基づく方法を用いて、可撓性ポリスチレン細棒上でS. solfataricus由来の熱安定性アデニル酸キナーゼの1mg/mlの処方物の100μlを架橋させることにより調製した。組換え熱安定性アデニル酸キナーゼを、ヘテロ二官能剤のスルホスクシンイミジル6-(3'-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート(SPDP;Pierce chemical company, UK)を1:1〜3:1の間のSPDP:タンパク質比で用いて誘導体化した。次いで、誘導体化したキナーゼを、還元剤のジチオスレイトール(DTT)との反応により還元し、還元剤を透析により除去し、そしてキナーゼを、マレイミド誘導体化したポリスチレン細棒と反応させた。
【0163】
(プロテアーゼ処理)
器具洗浄浴を60℃で作動するように設定し、そしてアルカリプロテアーゼ処方物を添加して、pH12(浴温で測定)に緩衝化された酵素1.5〜2mg/mlを得た。所望であれば、適切なアニオン性界面活性剤もまた処方物中に含まれ得る。インジケータを、記載の条件下で30分間インキュベートした。次いで、インジケータを取り出し、そして蒸留水で1回リンスした。次いで、酵素活性を実施例1に記載のように測定し、そして蛍光をルミノメーターを用いて測定した。
【0164】
(アデニル酸キナーゼ酵素の標準曲線)
AK酵素の標準曲線を以下のようにして作成した。10μg/mlから1fg/mlまでの精製Sulfolobus acidocaldarius AKの系列希釈を、50mM Tris、25mM MESNA、pH7.3中で調製した。100μlの酵素をマイクロタイタープレートの各ウェルに添加し、そして100μlの135μM ADP、15mM MgAc、1mM EDTAを各ウェルに添加した。30℃、50℃、および70℃にて20分間のアッセイプレートのインキュベーションについて、3つの別々の標準曲線を作成した。インキュベーション後、30μlのルシフェリン/ルシフェラーゼ試薬(Biothema)を添加し、そしてシグナルをルミノメーター(Orion, Berthold)で読み取り、そしてその結果を図3に示した。
【0165】
(TSE不活性化の検証)
キナーゼ活性のレベルを、キナーゼの標準曲線に対して評価した。標準曲線から評価されるように、1,000,000相対発光量(RLU)より大きな蛍光値を有する100μgのキナーゼを有するインジケータについては、4000RLU未満の蛍光値はキナーゼ濃度の6対数減少に相当し、そして500RLU未満の蛍光値はキナーゼ濃度の8対数減少に相当する。
【0166】
上記プロテアーゼ消化条件(pH12の緩衝液処方物中にMC3と称するアルカリプロテアーゼを2mg/mlとし、60℃で30分間消化)下では、本発明者らは、VMマウスでバイオアッセイしたBSE-301V株の感染度レベルで約8対数の減少を示した。同じ条件下で、上記のように処方したAKインジケータは、1,000,000超(未処理)から500未満のRLUへのRLUの減少を示した。したがって、キナーゼの濃度の8対数減少は、BSEの感染度の8対数減少に相当する。この事実を用いて、キナーゼ濃度をモニタリングし、この濃度をBSE感染度のレベルの減少と関連付けることが可能である。
【0167】
(検証された手順の使用)
いかなる型のCJDが潜伏しているかが不明である患者に対して慣用の手術または神経手術で使用される手術器具のセットを、使用した後に院内滅菌サービスユニットに戻す。これらの器具を、アルカリプロテアーゼMC3の処方物を用いて、60℃にて30分間作動するように設定した洗浄/消毒器中で、通常通り清浄を行うために準備する。1つ以上の上記AKインジケータを処理浴中に入れておく。処理後、および器具が通常のオートクレーブ滅菌のために回送される前に、インジケータを取り出し、そして迅速アッセイを行い、プロセスが有効であることを確認する。プロセスのパラメーターとして規定された6対数または8対数の活性の減少を示すアッセイ結果が、器具がさらに処理される前に必要である。成功したプロセス後、器具は、必要に応じて、オートクレーブ滅菌のような他の滅菌手順に準備され得る。
【0168】
(実施例12)
(酢酸キナーゼおよびピルビン酸キナーゼの発現)
実施例4の方法に従って、本発明者らは、酢酸キナーゼおよびピルビン酸キナーゼを発現させた:
【0169】
20−Thermatoga maritima由来の酢酸キナーゼ
MRVLVINSGS SSIKYQLIEM EGEKVLCKGI
AERIGIEGSR LVHRVGDEKH VIERELPDHE
EALKLILNTL VDEKLGVIKD LKEIDAVGHR
VVHGGERFKE SVLVDEEVLK AIEEVSPLAP
LHNPANLMGI KAAMKLLPGV PNVAVFDTAF
HQTIPQKAYL YAIPYEYYEK YKIRRYGFHG
TSHRYVSKRA AEILGKKLEE LKIITCHIGN
GASVAAVKYG KCVDTSMGFT PLEGLVMGTR
SGDLDPAIPF FIMEKEGISP QEMYDILNKK
SGVYGLSKGF SSDMRDIEEA ALKGDEWCKL
VLEIYDYRIA KYIGAYAAAM NGVDAIVFTA
GVGENSPITR EDVCSYLEFL GVKLDKQKNE
ETIRGKEGII STPDSRVKVL VVPTNEELMI
ARDTKEIVEK IGR
【0170】
21−Pyrococcus horikoshii由来のピルビン酸キナーゼ
MRRMKLPSHK TKIVATIGPA TNSKKMIKKL
IEAGMNVARI NFSHGTFEEH AKIIEMVREQ
SGKLDRRVAI LADLPGLKIR VGEIKGGYVE
LERGEKVTLT TKDIEGDETT IPVEYKDFPK
LVSKGDVIYL SDGYIVLRVE DVKENEVEAV
VISGGKLFSR KGINIPKAYL PVEAITPRDI
EIMKFAIEHG VDAIGLSFVG NVYDVLKAKS
FLERNGAGDT FVIAKIERPD AVRNFNEILN
AADGIMIARG DLGVEMPIEQ LPILQKRLIR
KANMEGKPVI TATQMLVSMT MEKVPTRAEV
TDVANAILDG TDAVMLSEET AVGKFPIEAV
EMMARIAKVT EEYRESFGIT RMREFLEGTK
RGTIKEAITR SIIDAICTIG IKFILTPTKT
GRTARLISRF KPKQWILAFS TREKVCNNLM
FSYGVYPFCM EEGFNENDIV RLIKGLGLVG
SDDIVLMTEG KPIEKTVGTN SIKIFQIA
【0171】
22−Sulfolobus solfataricus由来のピルビン酸キナーゼ
MRKTKIVATL GPSSEEKVKE LAEYVDVFRI
NFAHGDETSH RKYFDLIRTY APESSIIVDL
PGPKLRLGEL KEPIEVKKGD KIVFSQKDGI
PVDDELFYSA VKENSDILIA DGTIRVRVKS
KAKDRVEGTV IEGGILLSRK GINIPNVNLK
SGITDNDLKL LKRALDLGAD YIGLSFVISE
NDVKKVKEFV GDEAWVIAKI EKSEALKNLT
NIVNESDGIM VARGDLGVET GLENLPLIQR
RIVRTSRVFG KPVILATQVL TSMINSPIPT
RAEIIDISNS IMQGVDSIML SDETAIGNYP
VESVRTLHNI ISNVEKSVKH RPIGPLNSES
DAIALAAVNA SKVSKADVIV VYSRSGNSIL
RVSRLRPERN IIGVSPDPRL AKKFKLCYGV
IPISINKKMQ SIDEIIDVSA KLMQEKIKDL
KFKKIVIVGG DPKQEAGKTN FVIVKTLEQQ
KK
【0172】
23−Thermotoga maritima由来のピルビン酸キナーゼ
MRSTKIVCTV GPRTDSYEMI EKMIDLGVNV
FRINTSHGDW NEQEQKILKI KDLREKKKKP
VAILIDLAGP KIRTGYLEKE FVELKEGQIF
TLTTKEILGN EHIVSVNLSS LPKDVKKGDT
ILLSDGEIVL EVIETTDTEV KTVVKVGGKI
THRRGVNVPT ADLSVESITD RDREFIKLGT
LHDVEFFALS FVRKPEDVLK AKEEIRKHGK
EIPVISKIET KKALERLEEI IKVSDGIMVA
RGDLGVEIPI EEVPIVQKEI IKLSKYYSKP
VIVATQILES MIENPFPTRA EVTDIANAIF
DGADALLLTA ETAVGKHPLE AIKVLSKVAK
EAEKKLEFFR TIEYDTSDIS EAISHACWQL
SESLNAKLII TPTISGSTAV RVSKYNVSQP
IVALTPEEKT YYRLSLVRKV IPVLAEKCSQ
ELEFIEKGLK KVEEMGLAEK GDLVVLTSGV
PGKVGTTNTI RVLKVD
【0173】
24−Pyrococcus furiosus由来のピルビン酸キナーゼ
MRRVKLPSHK TKIVATIGPA TNSRKMIKQL
IKAGMNVARI NFSHGSFEEH ARVIEIIREE
AQKLDRRVAI LADLPGLKIR VGEIKGGYVE
LKRGEKVILT TKDVEGDETT IPVDYKGFPN
LVSKGDIIYL NDGYIVLKVE NVRENEVEAV
VLSGGKLFSR KGVNIPKAYL PVEAITPKDF
EIMKFAIEHG VDAIGLSFVG SVYDVLKAKS
FLEKNNAEDV FVIAKIERPD AVRNFDEILN
AADGIMIARG DLGVEMPIEQ LPILQKKLIR
KANMEGKPVI TATQMLVSMT TEKVPTRAEV
TDVANAILDG TDAVMLSEET AIGKFPIETV
EMMGKIAKVT EEYRESFGLS RIREFMEIKK
GTIKEAITRS IIDAICTIDI KFILTPTRTG
RTARLISRFK PKQWILAFST NERVCNNLMF
SYGVYPFCLE EGFDENDIVR LIKGLGLVES
DDMVLMTEGK PIEKTVGTNS IKIFQIA
【0174】
25−Methanosarcina thermophila由来の酢酸キナーゼ
MKVLVINAGS SSLKYQLIDM TNESALAVGL
CERIGIDNSI ITQKKFDGKK LEKLTDLPTH
KDALEEVVKA LTDDEFGVIK DMGEINAVGH
RVVHGGEKFT TSALYDEGVE KAIKDCFELA
PLHNPPNMMG ISACAEIMPG TPMVIVFDTA
FHQTMPPYAY MYALPYDLYE KHGVRKYGFH
GTSHKYVAER AALMLGKPAE ETKIITCHLG
NGSSITAVEG GKSVETSMGF TPLEGLAMGT
RCGSIDPAIV PFLMEKEGLT TREIDTLMNK
KSGVLGVSGL SNDFRDLDEA ASKGNRKAEL
ALEIFAYKVK KFIGEYSAVL NGADAVVFTA
GIGENSASIR KRILTGLDGI GIKIDDEKNK
IRGQEIDIST PDAKVRVFVI PTNEELAIAR
ETKEIVETEV KLRSSIPV
【0175】
(実施例13)
(TSE因子のタンパク質分解不活性化のためのインジケータとしての熱安定性アデニル酸キナーゼ)
アルカリプロテアーゼの20mg/mlストックを緩衝化0.2M KCl(pH12)中の10μg/mlの組換えS. acidocaldarius AKの溶液を用いて希釈し、2mg/mlから減少させて0.001μg/mlまでの範囲のプロテアーゼ濃度を生成した。100μlの容量の材料をポリスチレンサーモサイクラープレートに添加し、そして60℃にて10分間インキュベートし、アルカリプロテアーゼによってAKを消化した。10μlの10×リン酸緩衝液(pH7)の添加により、この溶液を中和した。15mM MgAc、1mM EDTA緩衝液中135μM ADPを100μl/ウェルで添加した。次いで、これらのウェルをサーモサイクラー中で70℃にて20分間インキュベートした。ルシフェリン/ルシフェラーゼ(ATP)試薬(Biothema)を30μl/ウェルで添加し、そしてこれらのウェルをルミノメーターで即時に読み取った。アッセイの結果を図2に示す。
【0176】
これらの結果は、手術器具の汚染除去のために有用であると同定された条件下で、アルカリプロテアーゼによる消化に対するAK酵素の顕著な安定性を示している。アルカリプロテアーゼでの消化後に見られた減少を処理後に残存する活性のレベルに関連付けるために、図3に示すような標準曲線を用いる。次に、これは、TSEの滴定曲線を用いて感染度のレベルの減少度に関連付けられる。インジケータとしての使用のために、アッセイは、酵素活性の標準曲線が、プロセスによる汚染除去の受容可能なレベルに相当する限界/閾値が明確に示されるように設計される。
【0177】
(実施例14)
(生物学的界面活性剤を用いる衣服洗浄サイクルの性能の検証)
(インジケータ1の調製)
第一のインジケータを、ジスルフィド結合形成に基づく方法を用いて、可撓性ポリスチレン細棒上にS. solfataricus由来の熱安定性アデニル酸キナーゼを架橋させることにより調製する。この方法では、熱安定性アデニル酸キナーゼを、スルホスクシンイミジル6-(3'-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート(SPDP;Pierce chemical company, UK)のようなヘテロ二官能剤を1:1〜3:1の間のSPDP:タンパク質比で用いて誘導体化させる。次いで、誘導体化したキナーゼを、ジチオスレイトール(DTT)または2-メルカプトエタンスルホン酸(MESNA)のような還元剤との反応により還元し、還元剤を透析により除去し、そしてキナーゼを、マレイミド誘導体化したポリスチレン表面と反応させる。代表的には、0.1mgのキナーゼがインジケータ上に存在する。
【0178】
(インジケータ2の調製)
第二のインジケータを、高タンパク質結合性ポリスチレンストリップ上へのS. acidocaldarius由来の熱安定性アデニル酸キナーゼの非特異的接着により調製する。キナーゼを、必要に応じて安定化剤のソルビトールを0.1〜2%w/vで含む炭酸水素緩衝液(pH9.6)中で0.5〜2mg/mlの濃度で調製する。次いで、結合緩衝液中のキナーゼを高タンパク質結合性ポリスチレンストリップと22℃にて1〜2時間(または4℃にて終夜)インキュベートする。残余キナーゼをリン酸緩衝化生理食塩水中での洗浄により除去する。代表的には、0.1mgのキナーゼがインジケータ上に存在する。
【0179】
(洗浄サイクルの検証)
洗浄機に洗浄する品目を入れ、そして洗浄機の内部にある適切なホルダー内にインジケータを固定する(その回収を容易にするため)。次いで、洗浄サイクルを行う。サイクルの完了後、インジケータを取り出し、そしてキナーゼの残余活性を、実施例1に記載のアッセイ方法に基づく「読み取り機」を用いて評価する。この読み取り機は、インジケータ内で受容可能な「閾値」レベルの残余キナーゼ活性を示すように較正される。この「閾値」レベルは、プロセス内での以前の較正および適切な性能の評価から導き出される。
【0180】
残余キナーゼ活性がこの閾値レベル以下であることを読み取り機が示す場合、投入物は清浄化されており、さらに処理される。
【0181】
(実施例15)
(プロテアーゼ処方物を用いる硬質表面上でのノーウォーク様ウイルス(ノロウイルス、ノーウォークウイルス、または冬季嘔吐病とも呼ばれる)の不活性化のためのプロセスの検証)
(インジケータの調製)
実施例14に記載のようなジスルフィド介在架橋を用いて、S. acidocaldarius由来の熱安定性アデニル酸キナーゼ0.1mgを薄片ポリスチレンストリップ上に固定化することにより、インジケータを調製する。
【0182】
(検証)
インジケータストリップを、汚染の可能性のある表面上に置く。次いで、表面およびインジケータストリップの両方を、ペースト中に処方された高活性アルカリプロテアーゼであるプロテイナーゼKでコーティングする。(プロテイナーゼKをペーストに処方することは、酵素と表面/インジケータとの間の接触を改善する。)このペーストを1〜2時間、表面/インジケータ上に放置する。
【0183】
処理の終了時、インジケータを取り出し、そして残余キナーゼ活性のレベルを、実施例14に記載と同様に、「読み取り機」を用いて評価する。残余キナーゼ活性が読み取り機の「閾値」レベル以下である場合、表面は、使用に安全であるように清浄化されている。
【0184】
(実施例16)
(リシンのプロテアーゼ分解の検証)
(インジケータの調製)
テキストおよび実施例14に記載される標準的なスルフヒドリル−マレイミドカップリング方法を用いて、Thermotoga maritima由来の熱安定性酢酸キナーゼ0.1mgをポリカーボネートストリップ上に固定化することにより、インジケータを調製する。
【0185】
(検証)
このインジケータストリップを、実施例11と同様に、汚染除去される対象物と一緒にプロテアーゼ溶液中に浸漬するか、または実施例15と同様に、汚染除去される表面に取り付けるかのいずれかを行う。
【0186】
次いで、対象物/表面を、必要な長さの時間、プロテアーゼ溶液で処理する。処理の終了時、インジケータを取り出し、そして残余キナーゼ活性のレベルを、実施例14に記載と同様に、「読み取り機」を用いて評価する。残余キナーゼ活性が読み取り機の「閾値」レベル以下である場合、対象物/表面は、使用に安全であるように清浄化されている。
【0187】
(実施例17)
(TSE因子の気相オゾン不活性化の検証)
(インジケータ1の調製)
第一のインジケータを、実施例14に記載のようなSPDP−マレイミド方法を用いて、S. acidocaldarius由来の熱安定性アデニル酸キナーゼ0.1mgを剛性ポリ塩化ビニル(PVC)支持体上に共有結合架橋させることにより調製する。
【0188】
(インジケータ2の調製)
第二のインジケータを、アミン反応性PVC表面の存在下でS. acidocaldariusアデニル酸キナーゼをビス-[β-(4-アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド(BASED;Pierce chemicals)と反応させることにより調製する。これにより、キナーゼは、アミド結合を介して表面に迅速に共有結合される。
【0189】
(検証)
インジケータおよびTSE汚染物品を、気相オゾン不活性化プロセスに曝露する。プロセスの終了時、インジケータを取り出し、そして残余キナーゼ活性のレベルを、実施例14に記載と同様に、「読み取り機」を用いて評価する。残余キナーゼ活性が読み取り機の「閾値」レベル以下である場合、この物品は、使用に安全であるように清浄化されている。
【0190】
(実施例18)
(内視鏡清浄のための液体化学滅菌システム(例えば、Endoclens)の検証)
(インジケータ1の調製)
A. fulgidus由来の熱安定性アデニル酸キナーゼ0.1mgを内視鏡チューブと同様の総内直径のチューブの内表面に(実施例14に記載のSPDPベースの方法を用いて)化学架橋させることにより、インジケータを調製する。
【0191】
(インジケータ2の調製)
第二のインジケータを、アデニル酸キナーゼを誘導体化することなく調製する。Pyrococcus furiosus由来のアデニル酸キナーゼの遺伝子配列を、組換えタンパク質が、配列番号4に示すような配列のアミノ末端に付加システインを含むように改変する。組換えタンパク質を前に記載したように発現および精製し、そしてDTTで還元し、スルフヒドリル基が利用可能であることを確定にする。次いで、これをマレイミド反応性プラスチックと直接反応させて、必要な架橋を生成し得る。約1〜2mg/mlのシステイン含有酵素の処方物は、実施例14に記載の誘導体化方法に必要とした処方物と同様である。
【0192】
(検証)
インジケータ装置を、自動化再処理装置上で内視鏡に直列に連結し、そして次いで、内視鏡を通常通りに動かす。プロセスの終了時、インジケータを外し、そして残余キナーゼ活性のレベルについて、実施例14に記載と同様に「読み取り機」を用いて評価する。残余キナーゼ活性が読み取り機の「閾値」レベル以下である場合、内視鏡は、使用に安全であるように清浄化されている。
【0193】
(実施例19)
(院内洗浄消毒器での手術器具の清浄の検証)
(インジケータ1の調製)
S. acidocaldarius由来の熱安定性アデニル酸キナーゼ0.1mgをステンレススチール表面に非共有結合にて付着させることにより、インジケータを調製する。本実施例では、インジケータが、プロセスによる表面汚れの除去を測定するように設計されるので、タンパク質をインジケータデバイスに共有結合によって連結させない。キナーゼを、好ましくは、約pH9.6の炭酸水素緩衝液中に、1〜2mg/mlで処方する。材料を、室温にて1〜2時間インキュベートすることにより、金属表面上に吸着させる。金属表面は、必要に応じて、より疎水性となるように改変され得る(例えば、厳しさの高い洗浄については、インジケータに十分なシグナルが保持されるのを確実にするために、さらなる付着が必要とされ得る)。付着されていないキナーゼは、接着したインジケータキナーゼの大部分を外すことのないような条件下でインジケータを洗浄することにより除去される。
【0194】
(インジケータ2の調製)
第二のインジケータを、このタイプの清浄プロセスを検証するために現在使用されている標準汚れを含む処方物の一部として、ステンレススチール表面に、S. acidocaldarius由来のアデニル酸キナーゼ0.1mgを、(インジケータ1について記載の方法を用いて)接着させることにより調製する。このことにより、インジケータ技術を、洗浄消毒器の慣用的な検証および維持の一部として規制機関に受容可能な方法と相関させることが可能になる。
【0195】
(検証)
インジケータを、処理される手術器具のバッチに入れ、そして洗浄消毒器サイクルを実行する。実行の終了時、インジケータを取り出し、そして残余キナーゼ活性のレベルについて実施例14に記載と同様に「読み取り機」を用いて評価する。残余キナーゼ活性が読み取り機の「閾値」レベル以下である場合、器具は、使用に安全であるように清浄化されている。
【0196】
(実施例20)
(バルク液を滅菌するためのプロセスの検証)
(インジケータ1の調製)
第一のインジケータを、Sulfolobus solfataricus由来のピルビン酸キナーゼ0.1mgをポリスチレンストリップに共有結合で付着させることにより調製する。
【0197】
(インジケータ2の調製)
第二のインジケータを、A. fulgidus由来の熱安定性アデニル酸キナーゼ0.1mgを透析チューブのような半透過性膜の内表面に付着させることにより調製する。A. fulgidusキナーゼは、天然に存在する反応性システイン残基を含み(すなわち、天然型酵素内ではジスルフィド結合されていない)、これは、BMPH(Pierce)と反応し得る。これは、例えば、適切な酸化剤でのビスキングチューブの処理によって生じるような、酸化された糖質と反応し得る基を生じる。この酵素を実施例14に記載のように処方し、そして酸化された膜表面と反応させて、共有結合したインジケータを生成する。
【0198】
(検証)
次いで、インジケータを、バルク液内に付着させ、そして滅菌プロセス(例えば、オートクレーブ処理、酸化ガスの通過、または他の化学滅菌)を行う。
【0199】
プロセスの完了時に、バルク液からインジケータを取り出し、そしてキナーゼの残余活性を実施例14に記載のように規定の閾値と比較する。
【0200】
(実施例21)
(プロテアーゼ消化後の残余アデニル酸キナーゼ酵素活性の較正)
プリオン因子の不活性化の適切なレベルの評価のための較正曲線の図を、図6に示す。
【0201】
示した例は、pH12で30℃にて30分間として規定した条件下の手術器具のプロテアーゼ処理についてである。
【0202】
プロテアーゼ濃度は、記載の条件下で種々の濃度のプロテアーゼでプリオン不活性化のレベルを評価することにより規定される(パネルA)。図では、プロテアーゼMC3は、規定された条件下で1mg/mlの濃度で、感染量の6対数減少に等価な不活性化のレベルを提供し得る。プロテアーゼの等価な濃度で、かつ同じ条件下で、本質的に実施例11に記載したように調製したS. acidocaldariusインジケータに残っているアデニル酸キナーゼの残余活性は、10RLUの桁である(パネルB)。したがって、一バッチの器具を再利用のために通過させるには、10RLU未満の値が必要である。
【0203】
必要に応じて、1未満のRLU値が必要であるように、さらなる安全性余裕が組み込まれる。これは、プリオン感染度の7対数減少(設定標準より1対数さらに不活性化)を示すプロテアーゼ濃度でのインジケータの処理後の残余アデニル酸キナーゼ活性のレベルに相関している。
【0204】
(実施例22)
(オゾン処理後の残余アデニル酸キナーゼ酵素活性の較正)
オゾン処理方法によるプリオン因子の不活性化の適切なレベルの評価のための較正曲線の図を、図7に示す。
【0205】
示した例は、規定の時間にわたって滅菌チャンバー中に定速でオゾンを放出するオゾン処理についてである。次いで、時間を増減させることによりオゾンレベルを算定し、付随してオゾン濃度が増減する。
【0206】
パネルAには、標準サイクル時間の分数または倍数によって、プリオン不活性化のレベルを示す。したがって、2.5標準サイクルは、プリオンの6対数不活性化を表す。等価倍数のオゾンサイクルでは、本質的に実施例17に記載のように調製したインジケータに残っているアデニル酸キナーゼの残余レベルは、1000RLUの桁である。
【0207】
したがって、一バッチの器具を再利用のために通過させるには、1000RLU未満の値が必要である。必要に応じて、100未満のRLU値が必要であるように、さらなる安全性余裕がインジケータについて組み込まれる。これは、プリオン感染度の7対数減少(設定標準より1対数さらに不活性化)を示すオゾン濃度でのインジケータの処理後の残余アデニル酸キナーゼ活性のレベルに相当している。
【0208】
(実施例23)
(院内洗浄消毒器での手術器具の慣用の清浄をモニタリングするために設計されたインジケータについての較正)
図8は、生物学的(酵素含有)処方物または界面活性剤ベースの処方物のいずれかを用いる手術器具の慣用の清浄を評価するための較正曲線の図を示す。
【0209】
インジケータデバイスを、実施例19に記載するように調製する。
【0210】
パネルAは、規定の洗浄機用処方物を用いた洗浄消毒器実行による規定の医用器具からの標準汚れの除去率を示す。洗浄サイクルの時間は、適切な性能レベルを決定するために変更される。パネルBは、実施例17に記載のように調製し、そして標準的に汚れている器具に関して同じ条件下で洗浄したインジケータデバイスからの残余S. acidocaldariusキナーゼ活性を示す。
【0211】
汚れの残余レベルは、この試験における出発物の0.1%であると規定され、そしてこれは、25分間の洗浄時間と相関している。25分間洗浄したインジケータについてのRLU値は、約100RLUである。したがって、インジケータは、30分洗浄サイクル内で使用され、100のRLU閾値を有する上記0.1%レベルまたは約25のRLUカットオフを有する0.05%レベルが、受容可能な「汚れ」除去であるとの指標を提供し得る。
【0212】
(実施例24)
(キナーゼインジケータの迅速読み取り評価を可能にする手持型衛生モニターの改変)
本発明のインジケータに関連したキナーゼ活性のレベルを評価するために、多くのアッセイ形式が潜在的に利用可能である。これらには、チューブ状ルミノメーター、マイクロタイタープレートルミノメーター、および種々の他の形式が含まれる。
【0213】
本発明のインジケータ上のキナーゼ活性の評価に格別な実用性を有する1つの形式は、手持型衛生モニターである。現行の技術は、ルシフェリン−ルシフェラーゼ酵素システムを介して、表面上で直接的にか、または表面から取り出した細菌または他の細胞を溶解することによるかのいずれかで、ATPを検出する。
【0214】
当業者は、システムがATPの存在に応じて光を生成および測定する能力を既に備えるので、このシステムがインジケータデバイス上でのキナーゼの検出用に適合可能であることを認識する。キナーゼについてのADP基質を添加するように試薬処方を変更することにより、インジケータ上の酵素の存在を迅速に測定することが可能である。
【0215】
実施の際、インジケータを一バッチの材料に添加し、そして処理する。次いで、インジケータを取り出し、そして試薬チューブに入れ、ATPを生成させる。この試薬チューブの処方は、高純度ADP試薬を用いて、本質的に実施例1の方法に記載の通りである。チューブを、モニタリングされるインジケータおよびプロセスのタイプについて規定されるように、規定の長さの時間インキュベートする。インキュベーションの終了時、残余tAKの存在により生成したATPを含む試薬試料を、ルシフェリン−ルシフェラーゼを含む第二のコンパートメントに放出し、そして測定可能な光を生じさせる。
【0216】
このデバイスは、第一のATP生成工程がATPの検出に必要でないので、標準的な衛生モニターとは異なる。このようなデバイスを構築する最も簡易な方法は、図9に示すように、破断可能な隔膜によって分離された2つのコンパートメントを有するチューブを有することである。第一の位置(工程1)でチューブに挿入されたインジケータは、ATP生成を可能にし、そしてインキュベーションの終了時に、自動的にまたは手動のいずれかで、工程2に示される位置に押し出され、そこで光生成が生じる。このようなデバイスの広範な種々の別の構築物も可能である。必要に応じて、内因性キナーゼ活性を除く熱変性工程および/または内因性ATPを除くアピラーゼ処理が実施され得る。ATP生成工程は、必要とされる場合に高温で実施され得る。
【0217】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1は、70℃(A)、80℃(B)、および90℃(C)での処理後のアデニル酸キナーゼ(AK)酵素の活性を示す。
【図2】図2は、種々の濃度のアルカリプロテアーゼによるアデニル酸キナーゼ(AK)消化後の残余酵素活性を示す。
【図3】図3は、酵素活性とアデニル酸キナーゼ(AK)の残余濃度との相関を示す標準曲線を示す。
【図4】図4は、E. coliで組換え発現した種々のAK酵素の熱安定性を示す。
【図5】図5は、固体支持体への熱安定性アデニル酸キナーゼ(tAK)の結合の差異を示す。
【図6】図6は、プリオンを不活性化するためのプロテアーゼ消化処理についての較正曲線の作成を示す。
【図7】図7は、プリオンを不活性化するための気相オゾン処理についての較正曲線の作成を示す。
【図8】図8は、標準的な汚れを除去するための院内用洗浄消毒器についての較正曲線の作成を示す。
【図9】図9は、tAKインジケータの迅速読み取り評価を可能にする手持形衛生モニターの改変を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるための処理プロセスを検証するためのインジケータとしてのキナーゼの使用。
【請求項2】
キナーゼが固体支持体中に固定化されているか、または固体支持体上に固定化されている、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記キナーゼが熱安定性である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記キナーゼが、アデニル酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、またはピルビン酸キナーゼである、請求項1から3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
前記キナーゼが、ADPを含む基質からのATPの形成を触媒する、請求項1から4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
前記固体支持体がマトリックスであり、そして前記キナーゼが該マトリックス内に分散されている、請求項2から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記固体支持体がポリマーマトリックスを含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記固体支持体が、インジケータストリップ、ディップスティック、またはビーズである、請求項2から7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
前記インジケータが、前記キナーゼを安定化する薬剤をさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
前記安定化剤が、金属イオン、糖、糖アルコール、およびゲル形成剤から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記支持体を表面に取り付ける手段をさらに含む、請求項2から10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
ねじ、ナットおよびボルト、またはクランプによって前記支持体を表面に取り付けるための突起部、凹部、または開口部を備える、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記生物学的因子が感染性生物学的因子であり、そして前記処理が、該因子の感染活性を減少させるためである、前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項14】
前記生物学的因子が伝染性海綿状脳症である、前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項15】
前記処理プロセスが、高温、高pH、高圧、プロテアーゼへの曝露、界面活性剤への曝露、化学滅菌処理、または気相滅菌処理の1つ以上を含む、前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項16】
前記処理プロセスが、少なくとも60℃の温度でかつ少なくとも9のpHで、熱安定性プロテアーゼに前記試料を曝露する工程を含む、前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項17】
前記キナーゼが、配列番号1〜25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または配列番号26〜30からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、前記いずれかの請求項に記載の使用。
【請求項18】
キナーゼを含む、試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるための処理プロセスを検証するための生物学的プロセスインジケータ。
【請求項19】
さらに固体支持体を含み、前記キナーゼが該固体支持体中に固定化されているか、または該固体支持体上に固定化されている、請求項18に記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項20】
前記キナーゼが熱安定性である、請求項18または19に記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項21】
前記キナーゼが、アデニル酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、またはピルビン酸キナーゼである、請求項18から20のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項22】
前記キナーゼが、配列番号1〜25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または配列番号26〜30からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、請求項18から21のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項23】
前記キナーゼが、ADPを含む基質からのATPの形成を触媒する、請求項18から22のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項24】
前記固体支持体がマトリックスであり、そして前記キナーゼが該マトリックス内に分散されている、請求項19から23のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項25】
前記支持体がポリマーマトリックスを含む、請求項24に記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項26】
前記支持体が、インジケータストリップ、ディップスティック、またはビーズである、請求項19から25のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項27】
前記キナーゼを安定化する薬剤をさらに含む、請求項18から24のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項28】
前記安定化剤が、金属イオン、糖、糖アルコール、およびゲル形成剤から選択される、請求項27に記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項29】
前記インジケータを表面に取り付ける手段をさらに含む、請求項18から28のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項30】
ねじ、ナットおよびボルト、またはクランプによって前記インジケータを表面に取り付けるための突起部、凹部、または開口部を備える、請求項29に記載の生物学的プロセスインジケータ。
【請求項31】
試料中の生物学的因子の量または活性を減少させるための処理プロセスを検証することに用いられるキットであって、
(i)請求項18から30のいずれかに記載の生物学的プロセスインジケータ、および
(iii)キナーゼに対する基質
を備える、キット。
【請求項32】
ATPを検出する手段をさらに備える、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
ルシフェリン/ルシフェラーゼをさらに備える、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
ルミノメーターをさらに備える、請求項31から33のいずれかに記載のキット。
【請求項35】
前記インジケータのキナーゼ活性と前記生物学的因子の量または活性の減少との相関を示す照合表をさらに備える、請求項31から34のいずれかに記載のキット。
【請求項36】
TSE不活性化をモニタリングするための、請求項31から35のいずれかに記載のキット。
【請求項37】
請求項31から36のいずれかに記載の携帯用キット。
【請求項38】
処理プロセスを検証する方法であって、
(ii)生物学的因子を含むか、または含む疑いのある試料を得る工程;
(ii)該試料を、規定量のキナーゼの存在下で処理に供する工程であって、該処理が、該生物学的因子の量または活性を減少させる、工程;
(iii)残余キナーゼ活性を測定し、そして必要に応じて、キナーゼ活性の減少を算定する工程;および
(iv)該残余活性を所定のキナーゼ活性と比較するか、または該キナーゼ活性の減少をキナーゼ活性の所定の減少と比較する工程であって、該所定のキナーゼ活性またはキナーゼ活性の所定の減少が、同じ処理条件下での該生物学的因子の量または活性の確認された減少に相当する、工程
を含む、方法。
【請求項39】
前記試料が、前記生物学的因子を含むことが分かっている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記生物学的因子が感染性生物学的因子であり、そして該処理が、該生物学的因子の感染活性を減少させる、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記生物学的因子が伝染性海綿状脳症である、請求項38から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記キナーゼが熱安定性キナーゼである、請求項38から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記キナーゼが、アデニル酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、またはピルビン酸キナーゼである、請求項38から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記キナーゼが、配列番号1〜25からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または配列番号26〜30からなる群から選択される核酸配列によってコードされる、請求項38から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記処理が、高温、高pH、高圧、プロテアーゼへの曝露、界面活性剤または化学滅菌剤への曝露の1つ以上を含む、請求項38から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記処理が、前記試料を熱安定性プロテアーゼに50〜120℃の範囲の温度で曝露する工程を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記処理が、前記試料を前記プロテアーゼに60℃以上の温度で曝露する工程を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記試料を前記プロテアーゼに9以上のpHで曝露する工程を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記キナーゼが、前記処理の前に、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり少なくとも10,000,000相対発光量の活性を有する、請求項38から48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記キナーゼが、前記処理の前に、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり少なくとも5,000,000相対発光量の活性を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記キナーゼが、前記処理の前に、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり少なくとも1,000,000相対発光量の活性を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記キナーゼが、前記処理の前に、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり少なくとも500,000相対発光量の活性を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記所定のキナーゼ活性が、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり10,000相対発光量未満である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記所定のキナーゼ活性が、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり1000相対発光量未満である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記所定のキナーゼ活性が、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり100相対発光量未満である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記所定のキナーゼ活性が、ルミノメーターによってルシフェリン/ルシフェラーゼの存在下で測定した場合に1mgキナーゼ当たり10相対発光量未満である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、6対数減少以上である、請求項38から56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、7対数減少以上である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、8対数減少以上である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、キナーゼの量または濃度の少なくとも6対数減少に相当する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、キナーゼの量または濃度の少なくとも7対数減少に相当する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、キナーゼの量または濃度の少なくとも8対数減少に相当する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、少なくとも900,000RLUの相対発光量の減少に相当する、請求項38から62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、少なくとも990,000RLUの相対発光量の減少に相当する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、少なくとも999,000RLUの相対発光量の減少に相当する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、少なくとも999,900RLUの相対発光量の減少に相当する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記キナーゼ活性の所定の減少が、少なくとも999,990RLUの相対発光量の減少に相当する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記生物学的因子の量または活性の確認された減少が、少なくとも6対数減少である、請求項38から67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記生物学的因子の量または活性の確認された減少が、少なくとも7対数減少である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記生物学的因子の量または活性の確認された減少が、少なくとも8対数減少である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記試料を処理する前および前記試料を処理した後にキナーゼ活性を測定する工程を含む、請求項38から70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記キナーゼの残余活性を測定する前に、前記試料を少なくとも10分間80℃で処理する工程を含む、請求項38から71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記キナーゼの残余活性を測定する工程が、前記残余キナーゼにADPを含む基質を添加する工程、およびATPの形成を測定する工程を含む、請求項38から72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記残余キナーゼ活性または前記キナーゼ活性の減少が、少なくとも6対数の前記生物学的因子の量または活性の確認された減少に相当するまで、前記処理を続ける工程を含む、請求項38から73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記残余キナーゼ活性または前記キナーゼ活性の減少が、少なくとも7対数の前記生物学的因子の量または活性の確認された減少に相当するまで、前記処理を続ける工程を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記残余キナーゼ活性または前記キナーゼ活性の減少が、少なくとも8対数の前記生物学的因子の量または活性の確認された減少に相当するまで、前記処理を続ける工程を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
試料中の生物学的因子の量または活性の減少と、請求項18から30のいずれかに記載のインジケータのキナーゼ活性とを相関させる方法であって、
(i)規定量の該生物学的因子を含有する試料および規定量の該キナーゼを含有する試料を調製する工程;
(ii)該試料を処理に供する工程;
(vi)該キナーゼの残余活性を測定し、必要に応じてキナーゼ活性の減少を算定する工程;
(vii)該生物学的因子の残余量または残余活性を測定し、必要に応じて該生物学的因子の量または活性の減少を算定する工程;
(viii)該処理パラメーターの少なくとも1つを変更して、工程(i)から(v)を繰り返す工程
を含む、方法。
【請求項78】
前記生物学的因子が感染性生物学的因子であり、そして前記処理が、該因子の感染活性を減少させる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記生物学的因子が伝染性海綿状脳症である、請求項77または78に記載の方法。
【請求項80】
前記処理パラメーターが、時間、温度、pH、圧力、プロテアーゼ濃度、および滅菌剤または界面活性剤の濃度の1つ以上を含む、請求項77から79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
前記処理が、50〜140℃、好ましくは134〜138℃の間の温度で前記試料を加熱する工程を包含し;
前記処理パラメーターが時間であり;
そして1分、5分、10分、20分、40分、および60分の間、該試料を該処理に供することにより、工程(i)から(iv)が繰り返される、
請求項77から80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記処理が、9〜14のpH、好ましくは約pH12に前記試料を曝露する工程を包含し;
前記処理パラメーターが時間であり;
そして1分、5分、10分、20分、40分、および60分の間、該試料を該処理に供することにより、工程(i)から(iv)が繰り返される、
請求項77から81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記処理が、0.5〜2mg/ml、好ましくは1mg/mlの濃度のプロテアーゼに前記試料を曝露する工程を包含し;
前記処理パラメーターが時間であり;
そして1分、5分、10分、20分、40分、および60分の間、該試料を該処理に供することにより、工程(i)から(iv)が繰り返される、
請求項77から82のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−530025(P2007−530025A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504461(P2007−504461)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001056
【国際公開番号】WO2005/093085
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(503191210)ヘルス プロテクション エージェンシー (19)
【Fターム(参考)】