説明

生物学的対象物を受ける収容デバイス用のホルダおよび該ホルダとともに機能する顕微鏡システム

本発明は、例えばレーザ顕微解剖システムにおける回収用デバイス(30)として使用可能な、生物学的対象物を受ける収容デバイスのためのサンプルホルダ(20)に関する。前記サンプルホルダ(20)はコード(23)を備え、該手段によりホルダはレーザ顕微解剖システム内で明確に識別可能であり、従って切除すべき生体材料(43)を識別された収容デバイス(30)または識別されたサンプルホルダ(20)の個々の収容コンテナ(31)に適正に割り当てることが可能となり、よって顕微解剖法を完全に自動的に実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的対象物(生物学的試料)を受ける収容デバイス用のホルダであって、該収容デバイスが生物学的対象物を受ける1つまたは複数の収容コンテナを備えていることを特徴とするホルダに関する。さらに、本発明は、かかるホルダまたはかかる収容デバイスとともに機能するように設計されている顕微鏡システムに関する。特に、本発明は、レーザ顕微解剖システムとして設計されている顕微鏡システムであって、該レーザ顕微解剖システムにより生体材料から切除された生物学的対象物を回収するデバイスを支持するようにホルダが設計されていることを特徴とする顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ顕微解剖システムは、顕微鏡でしか見えない微細な生物学的対象物を処理、分離、および/または採取するために用いられる。本出願人らのかかる従来型レーザ顕微解剖システムは、例えば特許文献1または特許文献2に記載されている。これらの明細書に開示されているレーザ顕微解剖システムを用いて、平面状の対象物担体上に載置された個々の生物学的対象物が、コンピュータ支援により選択され、レーザ光線によって処理され得る。このシステムについては、選択された対象物は、例えばレーザ光線によって周囲の物質から少なくとも部分的に分離され、次いで、該生物学的対象物へと向けられたレーザ・ショットを用いるレーザ誘起輸送法により、対象物担体から回収デバイスへと打ち込まれるようになっていることもある。対象物担体として、例えば、処理すべき生体材料を有する高分子膜がクランプで固定されたガラスの対象物担体を使用することができる。膜のみの調製物の使用も可能である。
【0003】
上述の方法により、生物学的対象物の分離、分類および採取が可能であるが、ここで、本発明の特許出願に関して、「生物学的対象物」という表現は、生きている、もしくは固定されたあらゆる生物細胞、あるいは、例えば細胞組織、塗沫標本または細胞培養物等の液体もしくは固体の生体材料の一部を構成する細胞構成成分を意味するものと理解されたい。上述の方法により、それぞれの場合で選択される生物学的対象物は、接触を伴わないレーザ・マイクロインクジェクションによって、選択された物質とともに選択的に装荷され、次いで、首尾よく注入された生物学的対象物が選別され得る。生物学的対象物は、対象物担体上に並べて載置することが可能であり、それによって、上述の処理作業を迅速にかつ接触せずに実施することができる。この場合、生物学的対象物の生存能力および形態が保証される。すなわち、生物学的対象物は、マイクロインジェクション法、ならびに分離処理および打ち込み処理による破損または損傷を受けない。
【0004】
個々のレーザ・ショットを放つときに、このレーザ・ショットのもたらす衝撃力が、周囲の塊から事前に選択された生物学的対象物を取り出して回収デバイスへと輸送するのに十分であるように、レーザ・エネルギーおよび/またはレーザ焦点が選択されている場合には、原理上、上記のレーザ誘起輸送法、すなわち事前に選択された個々の生物学的対象物を該対象物ごとの周囲の生体材料から打ち出す方法を、選択された生物学的対象物ごとに事前に遊離させる処理をせずに実施することが可能である。
【0005】
前述の方法を手動により所望の精度で実施することは比較的煩雑であるため、レーザ顕微解剖システムは通常、コンピュータ支援されるように設計される。すなわち、選択された対象物の切除および/または打ち出し(いわゆる解剖)が、コンピュータ支援方式で実施され、コンピュータ支援方式とは、切除および/または打ち出しの働きをなすレーザ光線を生成するレーザ光源が自動的に操作され、切除および/または打ち出しに必要な、レ
ーザ光線と生体材料を含む対象物担体との相対的な動きが自動的に生じて制御されることを意味する。詳細には、対象物担体上に載置された所望の生物学的対象物をコンピュータ支援により選択および/またはマーキングすることが可能であり、引き続きこれらの対象物をレーザ顕微解剖システムにより自動的に処理することができる。この目的のために、レーザ顕微解剖システムは画面すなわちモニタを備え、このモニタ上に、対象物担体上に載置された生体材料をデジタルカメラで記録したビデオ画像が表示される。次いで、ユーザが、画面すなわちビデオ画像上に、適切なグラフィック・ツールを用いて所望の切除輪郭線を描くことが可能であり、次いで、このようにして選択された生物学的対象物を切除するために、該輪郭線を、コンピュータ支援方式でレーザ光線が自動的にたどる。同様にして、打ち出すべき所望の生物学的対象物に画面すなわちビデオ画像上でマーキングして、次いで個々のレーザ刺激すなわちレーザ・ショットを生体材料の所望部位に放つことも可能である。
【0006】
上記の既知のレーザ顕微解剖システムを用いての、対象物担体上に載置された生体材料のコンピュータ支援による自動処理は、原理上は既に実施可能となっているが、完全自動方式で実施することが可能な顕微解剖法が必要不可欠である。このことは、レーザ顕微解剖システムだけでなく、生物学的対象物の検査または処理を可能な限り完全自動で実施しようとする顕微鏡システム全般にも関係する。
【特許文献1】国際公開公報第97/29355A1号パンフレット
【特許文献2】国際公開公報第01/73398A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、顕微鏡システム、特にレーザ顕微解剖システムにより、生物学的対象物の自動処理および/または検査を改善する実施可能な方法であって、生物学的対象物の完全自動観察および/または処理を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する生物学的対象物を受ける収容デバイス用のホルダ、および、請求項11に記載の特徴を有する、かかるホルダまたはかかる収容デバイスとともに機能するように設計されている顕微鏡システムによって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい有利な各実施形態を定義する。
【0009】
本発明によれば、ホルダは、1つまたは複数の生物学的対象物を受けるために提供された収容デバイス用に提供され、該ホルダは、顕微鏡システムで用いられる際、該顕微鏡システム内において同システムによる観察および/または処理に適した方法および手段で収容デバイスを支持するように設計される。これに関しては、ホルダはコードを有し、このコードにより、ホルダおよび/または該ホルダにより支持される収容デバイスを明確に識別することができる。詳細には、コードは、該コードにより様々な種類の収容デバイスおよび/またはホルダを区別することができるようなものとすることができる。
【0010】
これに関して、コードは、光学的に、ならびに誘導的または容量的に走査することができるように考案すればよい。ホルダにより保持される収容デバイスは、原理上、生物学的対象物を受けるための1つまたは複数の収容コンテナを有する任意の適した種類の収容デバイスとすることができる。具体的には、収容デバイスとして、エッペンドルフ容器類のキャップ、エッペンドルフ容器類のチューブ、かかるキャップまたはチューブのストリップまたはマトリックス状構成物(アレイ)、サイファージェン社のチップ、ウェハまたはマイクロタイタープレート等を挙げることができる。
【0011】
本発明により提供される顕微鏡システムは、本発明のホルダにより支持される収容デバ
イスを、対応するコードを評価することにより識別する識別手段と、識別された収容デバイスに応じて、顕微鏡システムの機能のうち少なくとも1つを該収容デバイス特異的に自動調整する制御手段とを備える。収容デバイス特異的な顕微鏡システムの機能とは、例えば、識別された収容デバイスの図式的画像を顕微鏡システムの再生機器に自動表示することであってもよく、この自動表示に次いで、ユーザが、該顕微鏡システムで観察または処理するために、識別された収容デバイスについて個々の収容コンテナを具体的に選択することができ、続いて、観察または処理を選択的に進めることができる。
【0012】
本発明による顕微鏡システムは好ましくはレーザ顕微解剖システムであり、該システムでは対象物担体上に載置された生体材料の生物学的対象物をレーザ光線により選択的に切除し、収容デバイスに搬送することができる。前述したように、このことは、詳細には、選択された生物学的対象物を打ち出して識別された収容デバイスの所望の収容コンテナへ収容するために、個々のレーザ・ショットを切除すべき生物学的対象物に向けることにより行われ得る。レーザ顕微解剖システムが、使用されたホルダおよび該ホルダにより支持された収容デバイスを識別した後、識別された収容デバイスの画像を再生機器上に示すことができ、それにより、ユーザは、続いて、対象物担体上に載置された生体材料のどの生物学的対象物を、識別された収容デバイスのどの収容コンテナに搬送すべきかを、コンピュータ支援方式で指定することができる。このことは、例えば、本出願人らのドイツ連邦共和国特許出願公開第101 52 404 A1号明細書(当該明細書の全体を援用する)に記載および開示されているように、個々のユーザによりコンピュータ支援方式で確立される処理リストにより行われ得る。
【0013】
好ましくは、レーザ顕微解剖システムはまた、レーザ顕微解剖システムによる切除処理後に、いずれの場合にもレーザ顕微解剖システム内に設けられている画像化手段を、識別された収容デバイス全体に対して作動させ、内部に切除物(切除された生体材料)が入っている収容デバイスについて1つまたは複数の概略的画像を生成するようにし、次いで、この画像を再生機器上に表示して、表示された概略的画像を評価することによって切除の質を評価することができるように設計される。この目的のために、レーザ顕微解剖システムが、識別された収容デバイスに応じて切除プロトコルを自動的に用意することも有用である。
【0014】
完全に自動化された顕微解剖法は、本発明により実現されるホルダおよび/または収容デバイスを用いた自動認識に基づいて行うことができる。対応するレーザ顕微解剖システムのソフトウェアパラメータを、さらなるホルダおよび/または収容デバイスを組み込むように適合させることは容易である。操作上の誤りを回避することができ、ワークフローを早めることができる。さらに、各手順を標準化し、良好な再現性を得ることが保証される。
【0015】
本発明は、既に前述したような、処理すべき生物学的対象物について列挙した概略的な分類と特に有利に組み合わせることができ、所望の対象物を、例えばそれらのタイプに応じてグループ分けすることによって、完全自動処理と、(レーザ顕微解剖システムの場合は)識別された収容デバイスの収容コンテナ内に所望の切除物を採取および回収することとを達成可能であり、このとき収容デバイスおよび/または収容デバイス内部に備えた収容コンテナの煩雑な交換を必要としない。顕微鏡システムは、それぞれの場合で用いられる回収デバイス、例えばマイクロタイタープレートを自動的に認識し、対応する自動機能ワークフローを用いて対処するが、このワークフローでは、対応する画面構成をもとに、選択された生物学的対象物を識別された収容デバイスの個々の収容コンテナへと割当てることによって、最終的には識別された収容デバイスの所望の収容コンテナを自動コンピュータ支援操作することが可能となる。
【0016】
本発明は、レーザ顕微解剖システムにおける使用に限定されず、原理上、自動および/またはコンピュータ支援式の顕微鏡システムにおいて使用することができる収容デバイス用のホルダにも適用することができる。
【0017】
実施態様の好ましい例を補助的に示し、また添付の図面を参照して、本発明を以下に詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に示すレーザ顕微解剖システムは、レーザ光線を生成するレーザ光源を有するレーザ装置4を備えている。さらに、レーザ装置4にはレンズ系6が設置されており、レンズ系6を介して、レーザ光線を顕微鏡1へと繋げることができ、対象物面上でレーザ焦点を顕微鏡1の光焦点に合わせることができる。レーザ光源は、例えばUVパルス窒素レーザとすることができる。
【0019】
レーザ・エネルギーを厳密に調整するために、石英フィルタ5がレーザ光線の光路に対し垂直に配置され、この石英フィルタは、レーザ・エネルギーの設定に合うように手動で調整することが可能であり、また自動的に調整することも可能である。レーザ・エネルギーの設定に加え、レーザの焦点を顕微鏡の焦点とは関係なく調整することも可能であり、すなわちレーザ光線の焦点を顕微鏡1の対象物面に対してz方向にずらすことが可能であり、このため、図1に示すレンズ系6を手動でまたは自動的に調整することが可能である。
【0020】
レーザ光線は、コーティングされた複数のビーム・スプリッタにより顕微鏡1へと繋げられ、レンズ12に偏向される。対象物面に入射するレーザ光線の直径は、レンズ12の口径数に大きく左右される。
【0021】
レンズ12を介して照射されたレーザ光線は最終的に、処理すべき生体材料を備えた対象物担体が並べられた、電動かつコンピュータ制御された顕微鏡台すなわち担体台3の上に達する。担体台3の上には、電動かつコンピュータ制御された調整装置2(マニピュレータとも呼ばれる)が設置されている。担体台3は、x方向およびy方向に沿って動かすことが可能であることが好ましく、原理上、z方向への調整も考えられる。生物学的対象物のマイクロインジェクション用の針またはマイクロピペットを、調整装置2に設置することができる。しかしながら、本発明の範囲内では、対象物担体から打ち出された生物学的対象物を捕捉するために、回収デバイスを調整装置2の上に設置することが想定されている。電動の調整装置2は、x/y方向ならびにz方向にコンピュータ支援方式で駆動可能である。
【0022】
顕微鏡1は、任意の適切な仕様の顕微鏡とすることができる。図1に示すレーザ顕微解剖システムは倒立型であり、対象物担体上に載置された生物学的対象物を、回収デバイス(図1には図示せず)に向かって上方へ打ち出すために、レーザ光線が下方から対象物担体に当たるようになっている。しかしながら、正立の配置の場合ではレーザ光線は上方から対象物担体に当たり、そのため、生体材料から切除された生物学的対象物は下方に落下して、対象物担体の下方に置かれた回収デバイス上に載る。
【0023】
顕微鏡1は、特にレンズ12の上側の対象物担体の領域を記録するビデオ・カメラ、特にCCD(「電荷結合素子」)ビデオ・カメラを備える。このビデオ・カメラからのビデオ信号は、市販の通常型コンピュータ7に伝わり、同コンピュータで処理されることによって、対応するビデオ画像がコンピュータ7の画面すなわちモニタ8にリアルタイムに表示され得る。同様に、個々のビデオ画像を、コンピュータ7の適切な記憶媒体上に格納(保存)することが可能である。これに加えて、ビデオ・カメラが提供したビデオ画像を録
画するために、アナログまたはデジタルのビデオ・レコーダをコンピュータ7に連結することも可能である。
【0024】
以下に詳述するように、種々の機能が、コンピュータ7上で、および/または、コンピュータ7により作動するソフトウェアによって実行され、このことによって、レーザ装置4および顕微鏡1を、コンピュータ支援により、すなわち自動的に操作することが可能となり、その結果、例えばレーザを自動的に起動することが可能であり、また調整装置2および/または担体台3を自動的に駆動することが可能である。同様に、これらのコンピュータ支援機能により、対象物担体台上に載置された生体材料について所望の生物学的対象物を、ユーザが特に簡単に選択し処理することが可能になる。これらの機能を調整および/または選択するために、例えばキーボード9またはコンピュータ・マウス10等の従来の入力手段が提供される。さらに、レーザ装置4に足踏み式スイッチ11が連結され、この足踏み式スイッチにより、レーザを手動で作動させることが可能である。
【0025】
図2Aは、図1に示したレーザ顕微解剖システムにおける使用のために提供された収容デバイス30を示し、図の例では、複数の凹部、いわゆる「ウェル」を有するマイクロタイタープレートの形態の収容デバイス30を示す。この場合の収容デバイス30は、ホルダ20の周囲フレーム21により支持され、該ホルダにおいてはフレーム21の一方の側から櫛状突起23を有する付属部22が突出している。この付属部22は一方では、図1に示す調整装置2にホルダ20を収容デバイス30と一緒に固定または装着する役割を果たす。他方では、この付属部22の櫛状突起23が、ホルダ20の種類およびホルダ20により支持される収容デバイス30の種類を識別するコードとしての役割を果たす。収容デバイス30は、ホルダ20のフレーム21内に単に置かれてもよいし、またはフレームの内部にクランプで固定されてもよい。ウェルとして形成された収容デバイス30の収容コンテナ31は、対象物担体上に載置された生体材料からレーザ光線により切除された切除物を受ける役割を果たす。
【0026】
図5は、図1に示した調整装置2のアーム30を例として示す。アーム30は受容部31を有し、この受容部31に、ホルダ20の付属部22を差し込むようになっている。光源(例えば発光ダイオード)を有するストリップ状またはマトリックス状の装置32がこの受容部31の領域内に配置され、この装置32の対向側にフォトダイオードを有する対応装置33が設けられる。装置32の光源は光線を発し、光線は装置33のフォトダイオードによって受け取られ、電気信号に変換される。それぞれの場合で用いられるホルダ20の付属部22の櫛状突起23の配列に応じて、複数のこれらの光線それぞれが遮断されるかあるいは通過可能となることによって、装置33の個々のフォトダイオードにより生成される電気信号に応じて、その信号パターンを予めコンピュータ7に保存された所定の信号パターンと比較し、ホルダ20の種類および/または該ホルダにより支持される収容デバイス30の種類に関する情報を得ることができる。櫛状突起23により形成されるコードの光学的走査に関して他の実施可能性も考えられることは明らかである。したがって、例えば櫛状突起の画像を記録する画像検出手段を設け、コンピュータ7および/またはコンピュータ7により実行されるソフトウェアが、使用されるホルダ20の種類および/または使用される収容デバイス30の種類を自動的に判定することができるようにしてもよい。
【0027】
エッペンドルフ容器類のキャップを複数備えたストリップであって、キャップが収容コンテナ31としてストリップ内部で用いられるものを、収容デバイス30の一例として図2Bに示す。
【0028】
この場合も、フレーム21に取り付けられた付属部22はコードとして櫛状突起を備えているが、この櫛状突起は、見て分かるように、図2Aに示した櫛状突起とはデザインお
よび配列が異なっているため、これらの櫛状突起を確認することによって、2つの収容デバイス30を明白に区別することができる。
【0029】
図3は、光学的に走査可能なコードのさらなる一例を示し、この図に示した付属部22にはコード23としてバーコードが用いられている。
本発明は、光学的に走査可能なコードに限定されず、原理上、あらゆる種類のコードに用いられ得ることは明らかである。図4に示すように、付属部22にコード23として一体化され得る誘導的トランスポンダまたは容量的トランスポンダの使用が特に有利であり、その使用により、これらのトランスポンダは、例えば図5に示す受容部31に差し込まれると、受容部内に発生する電磁界を所定の方法で変更することができ、その結果としての電磁界の変化から、用いるホルダ20の種類または用いる収容デバイスの種類に関する情報を得るようになっている。
【0030】
原理上、コードは、ホルダ20の任意の適所に設けることが可能であり、また収容デバイス30に直接設けてもよい。また、ホルダ20および収容デバイスが一つの部品になるように形成されてもよい。同様に、利用可能なホルダまたは種々の収容デバイスのそれぞれの確実な認識を行うために、実施可能な異なるコードを互いに組み合わせることも考えられる。例えば、レーザ顕微解剖用の従来のホルダとは別に、それ自体としてコードされるが構造上は同一な(識別のために適した二次的措置による内部コードである)、種々のMALDI(マトリックス支援レーザ脱離イオン化法)用のボードまたは種々のSELDI(表面増強レーザ脱離イオン化法)用の担体を含んでなるホルダも挙げられる。
【0031】
前述した種類のホルダまたは収容デバイスを有するレーザ顕微解剖システム(図1に示す)の基本動作は、以下の通りである。
所望の収容デバイス30が、対応するホルダ20によりレーザ顕微解剖システムの調整装置2に設置された後、用いられたホルダ20および用いられた収容デバイス30は、上述のように自動的に識別され、コンピュータ7が、図6に例として示すように、対応する画面表示で、識別された収容デバイスに応答する。
【0032】
図6から明らかなように、対象物担体上に載置され、多数の生物学的対象物43を含む生体材料のビデオ画像が、コンピュータ7のソフトウェアにより画面8の第1の画面領域すなわちウィンドウ40に表示される。識別された収容デバイスの概略図が第2の画面区域すなわちウィンドウ44に表示されるが、図6に示す実施形態の場合、識別された収容デバイスは、切除すべき生物学的対象物43のための収容コンテナとして複数のウェル(図6に示す)を有するマイクロタイタープレートであると想定する。前述したドイツ連邦共和国特許出願公開第101 52 404.8 A1号明細書において説明されている種類のリストが、別の画面区域すなわちウィンドウ45に示され、このリストにより、ユーザは、識別された収容デバイスの所望の収容コンテナに個々の選択された生物学的対象物43を割り当てることができる。さらに、種々の制御キーすなわちソフトウェア機能46が図6に示されており、このソフトウェア機能により、ユーザは、例えば、既に作成済のリストを保存、削除、または転送してもよく、あるいは顕微解剖手順を開始させるといったようにしてもよい。
【0033】
次に、レーザ顕微解剖システムのユーザは、画面セクション40において、レーザ顕微解剖システムのソフトウェアのグラフィック・ツールにより、所望の生物学的対象物の周りに描いた区画ライン41および42で図6に例として示すように、処理すべき個々の生物学的対象物43に印を付ける(マーキングする)ことができる。上述した特許文献の明細書に開示されているように、処理しようとする生物学的対象物ごとにどのように動作を行うべきかを指定することができる。すなわち、例えば、単純に切除してから別個のレーザ・ショットで打ち出すべきであるのか、または単に個々のレーザ・ショットを放つこと
によって直接打ち出すべきであるのかを決定することができる。選択された生物学的対象物ごとに処理の形式をリスト45に明記することができる。さらに、選択された生物学的対象物を、リスト45を用いて組み合わせてグループにすることも可能であり、この場合、対象物のグループまたはマーキング/色に基づいた組み合わせが可能である。すなわち、特定の色または特定のマーキング、例えば、図6に示すような四角形または三角形により識別された生物学的対象物が全て、それぞれ1つのグループになるように組み合わされる。1グループに組み合わされた選択された生物学的対象物の総数およびそれらの総表面積もまた、グループごとにリスト45に明記されることが好ましい。リスト45は、前述したように保存可能であるが、その場合、既に先に検査された生体材料を備えた対象物担体が再使用されるときに、選択されてマーキングされた生物学的対象物を適正に操作し位置決めすることが確実にできるように、リストに含まれている先に選択された生物学的対象物ごとに、各生体材料の選択済みの基準位置に関する位置も保存することが好ましい。
【0034】
リスト45の各個々の要素または生物学的対象物は、制御ボタン46によってレーザ光線により別個に処理され得ることが好ましい。さらに、リスト45に含まれる生物学的対象物を、まとめて処理することが可能であることも明らかである。すなわち、ユーザにより1つのグループになるように組み合わされた生物学的対象物を、ホルダ20によって調整装置2に支持されている収容デバイス30の所望の収容コンテナ31へと搬送するために、レーザ装置4および担体台すなわち顕微台3の自動操作により自動的に移動させる。
【0035】
選択された生物学的対象物をグループになるように組み合わせることは、特に、同じ種類の生物学的対象物をまとめて処理するのに有利であり、おそらくは、共通の収容コンテナまたは共同の収容コンテナ群へ向けて打ち出すのに有利である。例えば、腫瘍細胞を1つの収容コンテナ内に入れ、健全な細胞を別の収容コンテナ内に入れようとする場合は、腫瘍細胞の区画ラインが第1の色すなわち第1のマーキング材で描かれ、健全な細胞の区画ラインが第2の色すなわち第2のマーキング材で描かれるように、画面区域40上で所望の細胞または生物学的対象物にマーキングするとよい。したがって、腫瘍細胞および健全な細胞が、リスト45内で別個のグループになるようにそれぞれ組み合わされて表示されるため、腫瘍細胞をすべて1グループとしてレーザ光線によって処理し、また、それぞれの場合で調整されたレーザの機能に応じて、所望の収容コンテナ内へと打ち出すことができる。次いで、健全な細胞を別個の収容コンテナ内に回収することができる。
【0036】
レーザ顕微解剖システムのソフトウェアにより識別された収容デバイスを画面区域44に表示することは、特に有利である。というのも、該表示により、ユーザが、識別された収容デバイス30の個々の利用可能な収容コンテナへ処理すべき生物学的対象物43を適正に割当てることが可能になるからである。画面区域45に表示されたリストに従って処理すべき生物学的対象物ごとに、ユーザが、対応するソフトウェア機能により、識別された収容デバイス30のどの収容コンテナ31に所望の生物学的対象物を輸送すべきかを指定する。このようにして、例えば第1の収容コンテナ内に健全な細胞すべてを回収し、第2の収容コンテナに腫瘍細胞すべてを回収すること等を目的として、個々の選択された生物学的対象物を上述のように共通の収容コンテナに割り当てることも可能であることは明らかである。選択された生物学的対象物を利用可能な収容コンテナへ割当てることは、例えば、リスト45の作成時に、選択された生物学的対象物それぞれについて、識別された収容デバイス30の所望の収容コンテナ31をコンピュータ・マウス10でクリックして選択することにより、容易に実施可能である。リスト45の複数の選択された生物学的対象物を共通の収容コンテナへの割当てることも、このようにして同様に行うことができる。
【0037】
使用される収容デバイスが自動的に識別され、その識別された収容デバイスに対応する概略図が画面区域44に表示されることにより、使用される収容デバイスが自動的にユー
ザに通知されるので誤操作が確実に回避される。このことにより、識別された収容デバイスに応じて、同デバイスに予め割り当てられ、画面区域44において適正に配列している収容コンテナのみが顕微解剖のためにユーザに提供されるため、作業の流れ全体の速度を速めることができる。
【0038】
ユーザは、識別された収容デバイス30の所望の収容コンテナ31への選択された生物学的対象物の割当てを指定した後、対応するボタン46を作動させて自動顕微解剖を開始させることができる。こうすることにより、リスト45に含まれ、予め選択済みの生物学的対象物について、それぞれ所望の処理がレーザ装置4および担体台3の対応する操作により行われる。識別された収容デバイス30の所望の収容コンテナ31も同様にリスト45の選択された生物学的対象物ごとに指定された後、ホルダ20が対応する収容デバイス30とともに設置された調整装置2が同時に操作されるが、該操作は、レーザ顕微解剖システムのソフトウェアにより、処理すべき生物学的対象物ごとに、同生物学的対象物と関連付けられた収容コンテナがレーザ光線を介して自動的に移動され、所望の生物学的対象物を所望の収容コンテナに搬送することができるようになっている。この一連の作業は完全に自動的に行われるため、ユーザが別途何らかの介入をすることなく、リスト45に含まれるすべての生物学的対象物を関連した収容コンテナに入れることができる。
【0039】
かかる顕微解剖が完了したら、レーザ顕微解剖システムのソフトウェアは、処理された収容コンテナ31を顕微鏡1に一体化されたビデオ・カメラまたは他の画像記録装置とともに移動させて、ナビゲータ機能により収容コンテナ31の概略的画像を生成し、レーザ顕微解剖システムの画面8上に表示するようにする。このようにして、ユーザは、これらの概略的画像を評価することにより、行われた切除手順の質を判定する機会を得る。
【0040】
同様に、一般的な切除プロトコルはレーザ顕微解剖システムのソフトウェアにより自動的に用意されるが、このソフトウェアは、切除手順のデータに関する詳細情報を提供し、例えば、統計データ、ならびに個々の収容コンテナへの切除物の割当てが記載されたリスト45に関する情報および個々の収容コンテナに含まれる切除物群に関する情報等を含む。こうして、この一般的な切除プロトコルは特に、識別された収容デバイスの種類に応じて用意される。
【0041】
原理上、ユーザは、手動操作または自動操作のどちらにするか決めることができるが、その場合、識別された収容デバイスに応じて差が生じ得る。
手動操作では、ユーザは、個々の所望の生物学的対象物または対応する収容コンテナを直接操作することにより、走査手順の場合、担体台3または調整装置2を操作することにより任意選択で手動または自動の調整を後で行うことができる。自在な手動手順により、用いる収容デバイス30の個々の収容コンテナ31を手動で微調整して、ユーザが対応する収容コンテナを目視することや、例えば、打ち出された切除物を再認識するために収容コンテナをわずかに動かすことが可能である。
【0042】
使用される収容デバイスの自動識別と組み合わせて前述のリスト45を使用することにより、例えば、特に有利な方法で、濃縮工程(例えば、臨床的な較正手順での後の検査において用いられ得る)を完全に自動化して行うことが可能となる。したがって、個々の割り当てられた収容コンテナ内に異なる濃度の切除物を回収するために、例えば、1つの生物学的対象物から始めて特定数の生物学的対象物とする特定の濃縮処理を、種々の収容コンテナ(図6では、例えば、識別された収容デバイスの左側の列の収容コンテナ)において行うことができる。
【0043】
完全を期して、同様にここで言及できることは、前述のナビゲータ機能(この機能により、使用された収容コンテナ31が切除処理後に「走査」される)を、使用された1つの
収容コンテナに対してだけ、および使用された収容コンテナ群または使用された収容コンテナの全領域に対して実行することができ、その場合、このナビゲータ機能により映し出される概略的画像は、例えば100倍または63倍の倍率の高倍率レンズを例えば用いて、レーザ顕微解剖システムの画面8上に、個々の概略的画像を隣接する列になるように配列して表示されることを特徴とすることである。概略的画像は、一般的な切除プロトコル(該プロトコルでは選択された生物学的対象物が所望の収容コンテナとともに列挙されている)とともに、品質保証および資料作成の目的のために保存され得る。使用される収容コンテナ31のすべて、すなわち切除物が搬送される収容コンテナのすべてが、切除処理後に上述のナビゲータ機能により自動的に「走査」されることが特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の好適な一実施形態によるレーザ顕微解剖システムの構成を示す図。
【図2A】櫛状突起の形態の光学的に走査可能なコードを有する、本発明の一実施形態によるホルダを示す図。
【図2B】櫛状突起の形態の光学的に走査可能なコードを有する、本発明の一実施形態によるホルダを示す図。
【図3】バーコードの形態の光学的に走査可能なコードを有する、本発明の一実施形態によるホルダを示す図。
【図4】容量的または誘導的トランスポンダの形態のコードを有する、本発明の一実施形態によるホルダを示す図。
【図5】本発明のホルダに結合されるように設計されている、本発明のレーザ顕微解剖システムの調整装置のアームの概略図。
【図6】本発明のレーザ顕微解剖システムの画面構成を概略形態で示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的対象物を受ける収容デバイス用のホルダであって、
該ホルダ(20)は、前記収容デバイス(30)を支持して顕微鏡システムとともに機能させるために、該顕微鏡システムで使用するように設計されており、
該ホルダ(20)は、前記収容デバイス(30)の種類を識別するコード(23)を有することを特徴とするホルダ。
【請求項2】
該ホルダ(20)は、前記収容デバイス(30)を支持するフレーム(21)を有することを特徴とする、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記コード(23)は光学的に走査可能なコードであることを特徴とする、請求項1または2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記コードは、ホルダ(20)から延びる櫛状突起を含んでなり、前記突起の配列により前記収容デバイス(30)が識別されることを特徴とする、請求項3に記載のホルダ。
【請求項5】
前記コード(23)はバーコードを含んでなることを特徴とする、請求項3または4に記載のホルダ。
【請求項6】
前記コード(23)は誘導的コードを含んでなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のホルダ。
【請求項7】
前記コード(23)は容量的コードを含んでなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のホルダ。
【請求項8】
前記コード(23)はトランスポンダを含んでなることを特徴とする、請求項6または7に記載のホルダ。
【請求項9】
ホルダ(20)は、キャップ、チューブ、マイクロタイタープレートおよびそれらの構成物からなる群から選択される収容デバイス(30)を支持するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のホルダ。
【請求項10】
ホルダ(20)は、前記収容デバイス(30)を支持してレーザ顕微解剖システムとともに機能させ、該レーザ顕微解剖システムにより生体材料から切除された生物学的対象物を前記収容デバイスに受けさせるために、該レーザ顕微解剖システムで使用するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のホルダ。
【請求項11】
顕微鏡システムであって、
対象物担体(3)上に載置された生体材料(43)を観察するための顕微鏡(1)と、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のホルダ(20)によって支持された、顕微鏡システムで使用される収容デバイス(30)を、該ホルダ(20)のコード(23)を評価することにより識別する識別手段(32、33)と、
前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該顕微鏡システムの機能のうち少なくとも1つを収容デバイス特異的に自動調整する制御手段(7)と
を備える顕微鏡システム。
【請求項12】
前記識別手段(32、33)は、前記ホルダ(20)の前記コード(23)を光学的に走査するように設計されていることを特徴とする、請求項11に記載の顕微鏡システム。
【請求項13】
前記識別手段(32、33)は、前記ホルダ(20)の前記コード(23)を誘導的に走査するように設計されていることを特徴とする、請求項11または12に記載の顕微鏡システム。
【請求項14】
前記識別手段(32、33)は、前記ホルダ(20)の前記コード(23)を容量的に走査するように設計されていることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
【請求項15】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該識別された収容デバイス(30)の画像を再生機器(3)上に形成するように設計されていることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
【請求項16】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、該収容デバイス(30)を自動操作するための機能を選択するように設計されていることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
【請求項17】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、前記ホルダ(20)が接続される該顕微鏡システムの調整装置(2)を、該調整装置(2)により該顕微鏡システム内に前記収容デバイス(30)が位置決めされるよう操作するように設計されていることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項18】
前記顕微鏡システムは、レーザ放射により前記生体材料(43)から生物学的対象物を切除するレーザ装置(4)を備えたレーザ顕微解剖システムであることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載の顕微鏡システム。
【請求項19】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、切除しようとする個々の生物学的対象物を前記収容デバイス(30)の個々の収容コンテナ(31)に割り当てるための機能を選択し、次いで、前記ホルダ(20)と接続される調整装置(2)を操作することによって、前記個々の生物学的対象物に応じて割り当てられた前記収容デバイス(30)の収容コンテナ(31)内の生物学的対象物を自動的に切除するように設計されていることを特徴とする、請求項18に記載の顕微鏡システム。
【請求項20】
前記収容デバイス(30)の画像を記録するために画像記録手段が提供されることと、
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、該収容デバイス(30)の画像を記録するために該収容デバイス(30)を自動的に移動させるように前記画像記録手段を操作するように設計されていることと
を特徴とする請求項18または19に記載の顕微鏡システム。
【請求項21】
前記制御手段(7)は、切除処理後、少なくとも前記生物学的対象物が切除された前記収容コンテナ(31)の領域について前記収容デバイス(30)の画像が記録されるように、前記画像記録手段を自動的に操作するように設計されていることを特徴とする、請求項20に記載の顕微鏡システム。
【請求項22】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的に、該収容デバイス(30)に関して行われる切除作業の流れについて切除プロトコルを用意するように設計されていることを特徴とする、請求項18〜21のいずれか
1項に記載の顕微鏡システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ顕微解剖システムであって、
対象物担体(3)上に載置された生体材料(43)を観察するための顕微鏡(1)と、
レーザ放射により前記生体材料(43)から生物学的対象物を切除するレーザ装置(4)と、
生体材料から切除された生物学的対象物を受けるための収容デバイス(30)を支持してレーザ顕微解剖システムとともに機能させるように、該レーザ顕微解剖システムで使用するように設計されている少なくとも1つのホルダ(20)と
を備え、
該少なくとも1つのホルダ(20)は、前記収容デバイス(30)の種類を識別するコード(23)を有することと、
ホルダ(20)によってそれぞれ支持された収容デバイス(30)を、該ホルダ(20)のコード(23)を評価することにより識別するための識別手段(32、33)が提供されることと、
制御手段(7)が提供され、該制御手段(7)は、それぞれ識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、生体材料から切除しようとする個々の生物学的対象物を前記それぞれ識別された収容デバイス(30)の個々の収容コンテナ(31)に割り当てるための機能を選択するように設計されていることと
を特徴とするレーザ顕微解剖システム。
【請求項2】
前記識別手段(32、33)は、前記ホルダ(20)の前記コード(23)を光学的に走査するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項3】
前記識別手段(32、33)は、前記ホルダ(20)の前記コード(23)を誘導的に走査するように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項4】
前記識別手段(32、33)は、前記ホルダ(20)の前記コード(23)を容量的に走査するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項5】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該識別された収容デバイス(30)の画像を再生機器(3)上に形成するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項6】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、該収容デバイス(30)を自動操作するための機能を選択するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項7】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、前記ホルダ(20)が接続される該顕微鏡システムの調整装置(2)を、該調整装置(2)により該顕微鏡システム内に前記収容デバイス(30)が位置決めされるよう操作するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項8】
前記収容デバイス(30)の画像を記録するために画像記録手段が提供されることと、
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、該収容デバイス(30)の画像を記録するために該収容デバイス(30)を自動的に移動させるように前記画像記録手段を操作するように設計されていることと
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項9】
前記制御手段(7)は、切除処理後、少なくとも前記生物学的対象物が切除された前記収容コンテナ(31)の領域について前記収容デバイス(30)の画像が記録されるように、前記画像記録手段を自動的に操作するように設計されていることを特徴とする、請求項8に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項10】
前記制御手段(7)は、前記識別された収容デバイス(30)に応じて、該収容デバイス特異的な方法で、該収容デバイス(30)に関して行われる切除作業の流れについて切除プロトコルを用意するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項11】
前記ホルダ(20)は、前記収容デバイス(30)を支持するフレーム(21)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項12】
前記コード(23)は光学的に走査可能なコードであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項13】
前記コード(23)は、ホルダ(20)から延びる櫛状突起を含んでなり、前記突起の配列により前記収容デバイス(30)が識別されることを特徴とする、請求項12に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項14】
前記コード(23)はバーコードを含んでなることを特徴とする、請求項12または13に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項15】
前記コード(23)は誘導的コードを含んでなることを特徴とする、請求項1〜14の
いずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項16】
前記コード(23)は容量的コードを含んでなることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項17】
前記コード(23)はトランスポンダを含んでなることを特徴とする、請求項15または16に記載のレーザ顕微解剖システム。
【請求項18】
ホルダ(20)は、キャップ、チューブ、マイクロタイタープレートおよびそれらの構成物からなる群から選択される収容デバイス(30)を支持するように設計されていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載のレーザ顕微解剖システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−506672(P2006−506672A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552672(P2004−552672)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013013
【国際公開番号】WO2004/045768
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(502349944)ペー.アー.エル.エム.マイクロレーザー テヒノロギース アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】P.A.L.M. Microlaser Technologies AG
【Fターム(参考)】