説明

生物学的材料の固定のための生体適合性三次元マトリクス

本発明は、生物学的材料を保持する固体被覆担体を製造する方法に関する。さらに、本発明は、生物学的材料が接着する固体被覆担体に関するものであり、そして医薬品の調製のために固体被覆担体を使用することに関するものである。さらに、本発明は、患者の血液、リンパ液、または髄液と接触し、それを濾過し、または清浄化するための方法、疾患の診断、そして診断用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、生物学的材料を保持する固体被覆担体を作製する方法に関する。さらに、本発明は、生物学的材料が接着する固体被覆担体および医薬品の調製のための固体被覆担体の使用に関する。さらに、本発明は、患者の血液、リンパ液、または髄液、またはその一部と接触し、それを濾過し、または清浄化するための方法、疾患の診断のための方法、そして診断用組成物を提供する。
【0002】
様々な文献が、本明細書全体にわたり引用されている。製造者のマニュアルを含めこれらの文献の開示内容は、その全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0003】
例えば、モノクローナル抗体またはその他の分子の全身的適用は、腫瘍患者、代謝性障害、免疫疾患、またはその他の疾患の治療のための重要でそして成長しつつある分野である。しかしながら、これらの分子の全身的適用は、極めて費用がかかるものであり、そしてしばしば重篤な副作用や死亡率の増加と関連する。さらに、注射された生物学的製剤(biologicals)の最終的な結果はしばしば不明確であり、そして重篤な副作用を個々の患者において予見することができない。
【0004】
新規な治療手順の適用のための選択肢は、固定化抗体を伴う(医学的)装置を使用することである。この手順は、全身的適用についての可能性のある有害作用なしに、抗体の機能特性を使用する標準的な治療法よりも利点を有する。したがって、抗体を全身的に使用する場合にしばしば観察される重篤な副作用は、(医学的)装置に基づくこの安全な手順を使用する場合には見られない。血液または流動的な腫瘍細胞の生理学、免疫系構成、免疫細胞またはその他の構成成分を操作することを目的として、例えば規定容量中に規定密度の生物学的材料を含む、高度に規定された量の生物学的材料を規定の表面上に固定化して、血流内でそのような装置を一過性にまたは永続的に適用すること、は特定の薬物の全身的適用の重大な負荷を回避する可能性がある。
【0005】
Remicade(登録商標)などの不活性化抗体を使用することにより、TNFαを不活性化するといった治療が、当該技術分野において記載される。しかしながら、そのような抗体を患者に対して単純に投与することには、重篤な致死的でさえある副作用(失明、ショック、アレルギー反応など)を伴うことが知られている。さらに、完全な抗体または抗体の断片または誘導体を投与するためには、抗体に対するヒト患者の免疫反応による抗体の不活性化を低減しまたは回避するため、抗体のヒト化および/またはその他の修飾が必要とされる。
【0006】
当該技術分野において記述されるさらなるアプローチは、“TheraSorb(登録商標)”の名前で知られている(Miltenyi Biotech GmbH, Bergisch-Gladbach, Germany);R. Bambauer et al., Ther Apher Dial. 2003, 7(4):382-90およびG. Wallukat et al., International Journal of Cardiology, 1996, 54 (2):191-195を参照。TheraSorb(登録商標)を使用して、LDL-コレステロール、免疫グロブリン、免疫複合体、抗体断片またはフィブリノーゲンを除去する。この方法において使用されるアフェレーシスカラムは、ポリクローナル抗体を結合させたセファロースを含有する。この手順では、カラムに血漿を送達するために、細胞分離が必要とされる。これは、このシステムの主要な欠点である。というのも、これが非常に高価なものだからである。流速は低く、そしてしたがって、僅かな量の血漿しか処理できない。このシステムはまた、その複雑性のゆえにも非常に高価なものである。
【0007】
上述の検討から、上述した疾患の治療のためにこれまでに利用可能であった方法およびシステムは、重篤な副作用を伴うものであるか、または実施するために大きな負荷をもたらすか、のいずれかであることが示される。したがって、本発明の裏にある技術的課題は、患者の疾患を改善する細胞およびタンパク質などの生物学的材料を利用した患者の治療を可能にする手段および方法を提供することであった。この技術的課題に対する解決策は、特許請求の範囲において特徴づけられる態様によって達成される。
【0008】
したがって、本発明は、第一の態様において、生物学的材料を保持する固体被覆担体を作製する方法を提供し、この方法は、以下の工程:
(a) 固体担体を、0.1〜10%(w/w)または0.1〜10%(v/v)の少なくとも一つのシランを含む溶液と共にインキュベートし、そして続いてその溶液を除去する工程;
(b) 担体を、生物学的材料を含有する好ましく緩衝化した水溶液と共にインキュベートすることにより、生物学的材料を担体に対して接着させ、そして続いてその水溶液を除去する工程;
(c) (ポリ)ペプチド、アミノ酸、スターチ、糖類、ホスフェート、ポリアルコール類、ポリエチレングリコール類(PEG)、またはこれらの混合物から選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液中で担体をインキュベートする工程;
を含む。
【0009】
工程(a)、工程(b)、および工程(c)は、上述された順番通りに実行される。
【0010】
用語“固体担体”は、本発明の文脈において、固体材料の担体を規定する。担体の材料は、緻密構造であっても、または多孔性構造であってもいずれでもよい。本明細書の以下において記載するように、担体は、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチックまたはガラス、および網状プラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造体からなる群から選択される材料の担体であることが好ましい。
【0011】
本発明に従って、用語“好ましく緩衝化”は、好ましく緩衝化されている溶液のことをいう。
【0012】
本発明の文脈において、用語“生物学的材料”は、人工的生物学的システムにおいて生体または死体またはそれらの一部から単離された材料およびそれらの化学的修飾誘導体を記述する。人工的生物学的システムについての例は、核酸分子または(ポリ)ペプチドのin vitro合成または組換えDNA技術による生産のための手段を含む。本明細書の以下において詳細を記載するように、そのような生物学的材料についての例は、真核細胞、真核細胞の断片、原核生物、原核生物の断片、古細菌、古細菌の断片、ウィルス、およびウィルスの断片を含む。記載される真核細胞の断片、原核生物、古細菌、およびウィルスは、1またはそれ以上の(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖、またはそれらのいずれかの組合せを含む。天然に対応物が見いだされないならば、そして例えば(半)合成的にまたは組換え的に産生されるならば、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖は、あるいはそして依然として、生物学的材料との用語に包含される(以下を参照)。
【0013】
本明細書中で使用する場合、用語“(ポリ)ペプチド”は、ペプチドのグループ、並びにポリペプチドのグループを含む分子のグループを記述する。ペプチドのグループは、30アミノ酸までの分子からなり、ポリペプチドのグループは30より多いアミノ酸を伴う分子からなる。本発明にしたがって、“ポリペプチド”のグループは、“タンパク質”を含む。同様に、この定義にしたがって、用語“(ポリ)ペプチド”は、タンパク質断片を記述する。用語の定義は、二量体、三量体、およびそれより高次のオリゴマー、すなわち、一本以上のアミノ酸分子鎖からなるもの(結合アミノ酸の鎖)、であるポリペプチドをさらに含む。本明細書において上述したように、タンパク質は、タンパク質が真核細胞、原核生物、古細菌、およびウィルスから単離される場合に、真核細胞の断片、原核生物の断片、古細菌の断片、およびウィルスの断片としても理解される。この用語はまた、組換えDNA技術またはその他の技術、例えば、記載される化合物の生産のために細胞を使用する技術、により生産される(ポリ)ペプチドにも適用される。
【0014】
用語“オリゴヌクレオチド”は、本発明の文脈において、少なくとも10個から30個までのヌクレオチドからなる核酸分子を記述する。用語“ポリヌクレオチド”は、30個より多いヌクレオチドからなる核酸分子を記述する。本明細書中で記載されるオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、DNA、RNA、PNAなどであってもよい。ポリヌクレオチドに包含される分子グループはまた、完全な遺伝子または染色体およびそれらの断片を含む。同様に、その定義には、クローニングベクターや発現ベクターなどのベクターも含まれる。
【0015】
用語“多糖”は、本発明の文脈において、2またはそれ以上の糖からなるポリマーを規定し、そしてしたがって、それにはオリゴサッカライドとして当該技術分野において知られる分子が含まれる。前記多糖は、分岐糖または非分岐糖からなってもよい。
【0016】
用語“シラン”は、本発明の文脈において、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)の定義にしたがって使用され、そしてケイ素マトリクスおよび水素からなる化合物グループを記述する。この定義にしたがったシランは、分岐型(iso-シランおよびneo-シラン)または非分岐型(n-シラン)のいずれであってもよい。
【0017】
用語“体液”は、本発明の文脈において、患者由来のサンプル、好ましくはヒト患者由来のサンプル中で誘導できる液体を規定する。そのような体液についての例は、血液、リンパ液、または髄液、またはそれらの一部、例えば、血漿またはアルブミン並びに濃縮された白血球(例えば、白血球アフェレーシス由来)を含む液体画分を含む。
【0018】
本発明の全体にわたり使用される場合、用語“患者”は、病気を持っている患者または疾患を有する患者、並びに健康な被検体を含む。本発明にしたがう患者は、医学的配慮、ケア、または治療を受けるいずれかのヒトである。このヒトは、ほとんどの場合、しかし常にではないが、病気であるかまたは傷害を有しており、そしてそのような場合、医師またはその他の医療専門家による治療を必要としている。言い換えると、用語“患者”は、病気であってもなくてもよい“被検体”と互換的に使用される。被検体は、動物であってもよく、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。上述にしたがって、患者はまた、例えば、疾患状態または健康状態について、緊急にまたは日常的に診断される健康なヒトである。言い換えると、本発明を使用して、患者が特定の疾患(または疾患の組合せ)を患っているかどうか、または疾患またはその組合せを発症する傾向があるかないか、を見いだすことができる。
【0019】
溶液の除去は、溶液の定量的な除去と理解される。したがって、少なくとも残存溶液が本発明の方法のそれ以降の工程において使用される溶液の量を実質的に変化させない程度に、溶液を除去する。例えば、吸引により、例えば、ピペットなどを接続することができる従来型のポンプ、圧縮、または吹きつけを使用することにより、除去を行うことができる。場合によっては、そのような工程を組合せ、そしてさらに風乾と組み合わせることができる。好ましくは、溶液は、容量にして、少なくとも95%、例えば少なくとも98%または少なくとも99%、99.5%または99.8%まで除去される。
【0020】
用語“インキュベート”は、工程(a)〜工程(c)において記載された化合物を、担体に対してまたは工程(a)および/または(b)において言及された場合には、担体に対して結合した分子レイヤーに対して、場合によっては間接的結合を介して、結合させることができる条件下でのインキュベーションのことをいう。インキュベーション条件には、インキュベーションが工程および温度に依存して20分〜12時間かけて行われる条件が含まれる。一般的には、抗体は、IgM抗体が安定である最高温度である37℃で、1時間インキュベーションする。IgG抗体は50℃までインキュベートすることができる。温度範囲は、工程およびインキュベーション時間に依存して、4℃〜50℃であってもよく、好ましくは20〜37℃である。インキュベーションは、工程(a)においては室温にて20分間、工程(b)においては37℃で1時間、そして工程(c)においては室温にて1時間行われることが好ましい。手順を促進するためまたは結果を改善するため、インキュベーション時間および温度をインキュベーションにおいて使用される物質にしたがって変更することができることは理解される。例えば、メタノールを工程(a)において溶媒として使用する場合、温度を、メタノールを蒸発させないように、20℃付近、例えば、約15〜約25℃、で、低く維持すべきである。
【0021】
用語“室温”が位置および外部温度に依存して、異なる温度を意味することができることを、当業者は知っている。温度は、通常は、17〜23℃の範囲である。
【0022】
本発明の方法の工程(a)において記載される溶液は、水溶液であってもまたは非水溶液であってもよい。本発明の方法にしたがう工程(a)における水溶液は、シランに加えて、希釈タンパク質および糖類またはアルコールなどのさらなる希釈構成成分を含んでいてもよい。この文脈における好ましいタンパク質はアルブミンである。アルブミンは、本発明にしたがって、動物由来のアルブミン、好ましくは哺乳動物由来のアルブミン、より好ましくはヒト由来のアルブミン、および植物種子由来のアルブミンを含む。アルブミン類は、哺乳動物において、血清の主要構成成分を形成する。本発明にしたがうアルブミン類のさらなる例は、動物におけるα-ラクトアルブミンおよびオボアルブミン、エンドウ豆由来のレギュメリン(legumelin)、コムギ、ライ麦、または大麦由来のロイコシン(leucosin)、またはマメ科植物由来のレギュメリンである。潜在的なアレルゲンの場合、アルブミンは加水分解され、特にヒトまたはその他の動物の身体との適合性を向上することが好ましい。同一のことが工程(a)の選択的な態様における非-水溶液についても当てはまる。
【0023】
本発明の文脈において、用語“水性溶媒”は、H2Oには限定されず(しかしこれを含むが)、しかし水と混合可能な、したがって均一相を形成することができる、親水性溶媒にまで拡張される。
【0024】
水性溶媒の例は、H2Oには限定されず、メタノール、エタノール、またはより高次のアルコールまたはそれらの混合物を含む。非-水性溶媒の例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンを含み、またはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、またはこれらの組合せなどの脂肪族溶媒を含むが、これらには限定されない。
【0025】
工程(a)における溶液の溶媒は、H2O、メタノール、エタノール、またはこれらの組合せ、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン、またはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、またはこれらの混合物であることが好ましい。工程(a)の溶液の最も好ましい溶媒は、メタノールまたはエタノールである。したがって、溶液は、溶媒を含む溶液を意味し、そして水溶液は、親水性溶媒を含む溶液を意味する。
【0026】
本発明にしたがって、この方法の工程(a)における少なくとも一つのシランの濃度は、0.1〜10%(w/w)または(v/v)の範囲であり、ここで、この範囲は、溶液中のすべてのシラン類の濃度を同時に規定する。言い換えると、1つ以上のシランを使用する場合、すべてのシランの寄与を一緒にすると、0.1〜10%(w/w)または(v/v)の範囲である。好ましくは、濃度は、0.5〜5%(w/w)または(v/v)の範囲である。
【0027】
本発明の方法の工程(b)にしたがう生物学的材料の固体担体への結合は、材料の担体上への固定として理解される。固定は、生物学的材料の固体担体への直接的結合を介して行われてもよい。あるいは、固定は、固体担体を覆う1またはそれ以上のシランの層などの第3の化合物を介した間接的結合を介して行われてもよい。本発明にしたがって用語“覆う”は、固体担体を完全に被覆すること、および固体担体を部分的に被覆することを含む。両方の選択肢において、結合は、共有結合を介した結合であっても、非共有結合を介した結合であってもよい。本発明にしたがって、共有結合は、例えば、生物学的材料と担体材料とのあいだの化学反応またはシラン(被覆担体材料)と生物学的材料とのあいだの化学反応により、達成することができる。後者の場合、シランは、分子架橋の様に作用する。非共有結合についての例は、ファン-デル-ワールス結合またはその他の極性結合などの弱い結合を含む。そのような非共有結合は、例えば、(ポリ)ペプチドとポリエチレン表面を有する固体担体とのあいだで生じる。
【0028】
好ましくは、例えば抗体などの生物学的材料の結合のための水溶液は、緩衝化されており、そして低塩含有量である。本発明にしたがう低塩含有量は、0.9%(w/w)またはそれ未満の塩濃度として定義され、好ましくは0.2%(w/w)未満として定義される。一般的には、しかし排他的にではなく、IgG型およびIgY型については、より塩基性のバッファー、例えば、水中15 mM炭酸ナトリウムおよび35 mM炭酸水素ナトリウムから構成されるバッファー(pH 9)が有用である一方、IgMの結合のためには、より中性のバッファー(pH 7.0〜7.4)、例えば、PBSなどのリン酸バッファーが好ましい。
【0029】
工程(b)中の生物学的材料が本発明の方法の工程(c)にしたがって水溶液中で結合する担体のインキュベーションのために、生物学的材料をコーティング層/コーティングマトリクス中に包埋する。包埋により、生物学的材料の接触可能な表面は最小化される。
【0030】
工程(c)の水溶液は、好ましくは、上述したように低塩分含量のものである。場合によっては、それは緩衝化されていてもよい。
【0031】
本発明の方法の工程は、それぞれの溶液を交換するバッチ中で行うことができる。
【0032】
本発明の方法は、マトリクスでコーティングされる固体担体を提供し、その中に記載される生物学的材料を包埋する。包埋された生物学的材料を含むそのような固体被覆担体の一態様は、図1のスキーム図中に示される切片中で例示される。
【0033】
本発明の方法により製造される固体担体は、治療および診断において使用することができる。
【0034】
そのような治療は、ダイオキシン、ボツリヌス毒素、破傷風毒素、LPS、腐敗毒などの毒素から、体液の解毒をすることを含む。担体はまた、細菌性疾患またはウィルス性疾患の治療において有用であってもよい。本発明の方法により製造される担体の想定される代わりの用途の一つは、患者の特定の細胞の刺激、排出、または除去を必要とする治療における用途である。特定の細胞集団の排出は、例えば、増殖性疾患の治療において(例えば、一般的には癌の治療において、そして具体的には微小残存癌の治療において)、自己免疫疾患の治療において、または器官移植後の疾患の治療において、意図される場合がある。特定の細胞集団の刺激は、例えば、刺激後に特定の疾患細胞集団を排出するために適している免疫系の細胞の活性化により行われる疾患の治療において、想定される可能性がある。さらなる治療アプローチは、遺伝子的に操作されたか、またはその他の方法で操作された(例えば、サイトカイン、酪酸、ホルボールミリスチン酸アセテート、またはすべてトランスのレチノイン酸などの合成化合物または天然化合物と一緒のインキュベーションにより、または熱ショック、冷凍保存、遠心分離などの物理的操作により、識別された)組換えドナー細胞または非操作ドナー細胞を包埋した固体被覆担体を使用する。包埋された細胞は、内分泌性障害または代謝的障害を低減しまたは治療するホルモンなどの化合物を分泌することができる。上述した治療のための例は、本明細書の以下に詳細に記載する。治療アプローチは、(医療用)装置の文脈において本発明の方法により製造された担体のin vivo用途並びにex vivo用途を含んでもよい。したがって、固体被覆担体を含む装置を、in vivo用途のために患者体内に移植することができる。ex vivoのためには、固体被覆担体を含む装置を処置すべき体液の循環と接続することができる。患者の動脈または静脈に由来する血液を、例えば、そのような装置を介して導き、そしてその後患者体内に導管から戻すことができる(血流との接続)。あるいは、体液サンプルは、in vitroで担体と共にインキュベーションすることができる。後者の処置の次の工程において、体液を患者の体内に再導入することができる。
【0035】
本発明の方法により製造された固体担体の診断用途は、例えば、体液中の毒素または特定の細胞集団の検出を必要とする診断方法である。本発明にしたがって製造される固体被覆担体を使用する診断用途は、毒素または特定の細胞集団の定量的検出において有用である可能性がある。そのような用途において、抗体などの単一のタイプの生物学的材料を結合させた担体を使用することができる。患者由来の規定量の体液とともにそのような担体をインキュベーションすることにより、サンプル中の結合された生物学的材料により検出される化合物量を解析した後、患者の完全な身体に対して化合物量を定量的に外挿することができる。例えば、多数の異なる種類の生物学的材料を結合させた担体を使用することにより、毒素または特定の細胞集団の定性的検出を行うことができる。固体被覆担体を患者由来の体液と共にインキュベーションしたのち、どの毒素または細胞集団がサンプル中の結合した生物学的材料により特異的に結合され/検出されるかを、当業者は解析することができる。
【0036】
上述の治療アプローチにおいて、包埋された生物学的材料は、固体担体上での生物学的材料の固定のため、体液中に結合/固定化生物学的材料を放出することなく、例えば、血液、リンパ、または溶液(liquor)に対する治療的影響力を有するだろう。有意な量の結合/固定化生物学的材料が体液中に放出されないことが好ましい。したがって、治療用または診断用生物学的材料の必要とされる量を最小化する。治療用または診断用生物学的材料を固定化することにより、循環性の活性生物学的材料により引き起こされる薬物動態的問題もまた、最小化される。
【0037】
本発明の方法により、明確に規定した密度の生物学的材料を担体の表面に包埋した担体を製造することができる。したがって、製造された担体のマトリクス中に包埋された生物学的材料の効率を、明確にそして再現性よく規定することができる。さらに、本発明の方法にしたがって作製した担体を使用する治療により、例えば、担体を含む(医療用)装置を体液循環と接続することにより治療の明確な開始を可能にし、そして例えば、装置を体液循環から切断することにより、治療の明確な終了を可能にする。
【0038】
本発明の方法により作製した担体のさらに優れた特徴は、従来法により作製された材料と比較して、包埋された生物学的材料の安定性(保管寿命)が改善されたことである。出願人はどのような理論によって縛られることも求めていないが、この改善は、変性プロセスのための生物学的材料の接触可能な表面を減少させるコーティングマトリクスを提供することにより達成されると考えられる。この理解にしたがって、周辺のコーティングマトリクスにより、包埋された生物学的材料を、その構造中で保護し、そして支持する。例えば、抗体をコーティングしたのちに担体に対して適用された第2層がそれらを保護しそして安定化しているため、本発明の担体にコーティングした抗体の分解または変質を、遅らせまたは阻害する。
【0039】
本発明の方法および作製されたコーティングされた担体の別の優れた特徴は、本発明の方法の工程(c)における担体に適用されるコーティング層が、作製された担体の滅菌に対して効力を有するという事実である。したがって、本発明は、一般的には同等に不安定でありそして変化しやすい生物学的材料によりコーティングされた固体コーティング担体を作製する方法を初めて開示する。このコーティング担体を滅菌し、そしてしたがって患者の治療において、または無菌の環境が必要である方法において、適用することができる。第2層またはコーティングマトリクスは、上述したようにそして添付の実施例において示されるようにその安定性を向上させることに加えて、担体にコーティングした生物学的材料がβ線照射、γ線照射、またはX線照射により分解することを防ぐだろう。
【0040】
本発明の好ましい態様において、この方法はさらに工程(c)の後に工程(d)を含む:
(d) 残留水分含量が<20%(w/w)になるまで担体を乾燥させる工程。
【0041】
本発明のこの好ましい態様にしたがって、木材の水分含量を決定するために既知である方法にて、残留水分含量を算出することができる。木材の場合、木材の水分含量%(x)を、サンプル中の水分量(mw)と水含有木材サンプル量(mu)とのあいだの比率に100を掛けることで算出することにより、決定する。サンプル中の水分量(mw)を、水分含有木材サンプル量(mu)からその乾燥後のサンプル量を差し引くことにより、決定することができる。したがって、木材の水分含量%は、以下の式により算出される:
【0042】
【数1】

【0043】
担体調製物の残留水分含量を、同様にして決定することができ、ここでmwは担体サンプル中の水分量であり、そしてmuはサンプルの完全な乾燥後の担体サンプル量である。海綿状担体の場合、mwはポアの過剰量の水を絞り出した後に測定する。
【0044】
本発明の別の好ましい態様において、この方法はさらに工程(a)の後に工程(a')を含む:
(a') 残留溶液含量がもともと適用した溶液の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、例えば1%未満、0.5%未満、または0.2%未満、になるまで担体を乾燥させる工程。好ましい乾燥方法は、上述されるとおりである。風乾により乾燥させることが最も好ましい。
【0045】
本発明の方法は、工程(b)に続いて、そして工程(c)の前に、工程(b')をさらに含んでもよい:
(b') ブロッキング剤を含有する緩衝化水溶液中で担体をインキュベートし、そして水溶液を除去する工程。
【0046】
この方法の次の工程において添加される材料の非特異的結合を防止するため、ブロッキング剤を、固体担体を製造するためのこの方法において使用することができる。このブロッキングは、工程(c)にしたがって水溶液中の担体のインキュベーションの前に、生物学的材料の立体配座安定性に対する積極的な作用を有する可能性もある。
【0047】
本発明にしたがうブロッキング剤は、ヒトまたは動物の血清およびその血清のタンパク質(例えば、アルブミン)を含むが、これらには限定されず、ミルク、卵タンパク質、植物由来タンパク質(例えば、ダイズ、コムギ)、それらのタンパク質の加水分解物(例えば、ゼラチン、コラーゲン)、を含む。そのブロッキング剤を含有する緩衝化水溶液はまた、アミノ酸(好ましくはグリシン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、カルニチン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、システイン、ホモシステイン、シトルリン、イヌリン、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、メチオニン、セリン、バリン、チロシン、トレオニン、トリプトファン)、またはこれらのアミノ酸の誘導体(例えば、n-アセチル-トリプトファン、β-アラニン、メラニン、DOPA)、糖類(好ましくはグルコース、サッカロース、スクロース)、ポリアルコール(好ましくはソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、ホスフェート(例えば、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム)、両親媒性物質(好ましくはポリソルベートやTriton X-100、バッファー(好ましくはTRIS、HEPES)など)を含むことができる。
【0048】
好ましくは、ブロッキング剤を含む水溶液は、緩衝化されそして上述したように低塩含有量のものである。本発明にしたがうブロッキング剤を含む緩衝化水溶液についての例は、添付する実施例において記載する。ブロッキングは、通常は1〜4時間、好ましくは1時間、好ましくは室温で行う。
【0049】
工程(b')の代わりに、本発明の方法は、工程(b)に続いて、そして工程(c)の前に行われる、工程(b'')を含む:
(b'') (ポリ)ペプチド(例えば、アルブミン、ゼラチン、またはコラーゲン)、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトールおよびポリエチレングリコール(PEG)、ミルク、ダイズ、コムギまたは卵由来タンパク質からなる群から選択される物質、0.5〜10%(w/w)を含有する水溶液を使用して、非結合の結合部位をブロッキングする工程。
【0050】
さらにずっと好ましい態様において、上述した工程(b)のために適したものとして規定される、水溶液を用いた1またはそれ以上の洗浄工程を、ブロッキングの後に行うことを、工程(b')または工程(b'')はさらに含む。この態様において適した水溶液は、例えば、1%ヒトアルブミンを含むPBSである。この1またはそれ以上の洗浄工程は、過剰なブロッキング剤を除去するために行われる。洗浄は、通常は、10秒間〜10分間、好ましくは室温で、担体の表面に依存して、行われる。
【0051】
さらに好ましい態様において、工程(c)における担体は、アルブミン、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトール、およびポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される、1またはそれ以上の物質を含む水溶液中でインキュベートされる。
【0052】
本発明にしたがって、本発明の方法により作製される担体の材料は、多孔性構造のものであることがさらに好ましい。
【0053】
(医療用)製品として使用されるべきコーティングされた担体のコンパクト設計を実現するため、その全体の寸法と比較して、担体が総体的に大きな表面を示すことが好ましい。このことは、例えば、開放多孔性構造、フリース(ワディング)、または多数の並列する微少チューブまたは繊維を使用する設定、例えば血液透析において現在死傷されている多孔質中空繊維デザインに類似するもの(例えば、http://www.fmc-ag.com/internet/fmc/fmcag/agintpub.nsf/Content/Modern_hemodialysis_+the_first_hollow-fiber_dialyzers_2004)を伴う発泡体を使用することにより、実現することができる。このデザインは、好ましくは、全血液または上述したその他の体液の自由な流れを可能にし、そして担体は、好ましくは、流入と流出とのあいだの圧力差を最小にし、そして装置中のどの部位においても血液流量を<1 m/secとすることにより、流動学的に最適化される。それは、好ましくは“行き止まり”がなく、そして血液構成成分をマトリクスの活性表面と接触させるために最適化される。多孔性構造を有する担体の特異的な利点は、生物学的材料を結合させることができる担体表面を増加させることである。すなわち、担体容積あたりの担体表面を増加させることにより、担体に結合/包埋させることができる生物学的材料量を増加させる。
【0054】
より好ましくは、担体の材料は、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることを特徴とする。担体の表面は、すべての小柱(trabeculae)の表面の合計として理解される。気体体積は、多孔性構造を有する担体のすべての小柱中の気体体積の合計として理解される。
【0055】
表面/気体体積比は、例えば、規定の全体の寸法により、発泡体の小片を切断することにより決定することができる。発泡体の小片のすべての小柱をカウントし、そして顕微鏡的に測定する。小柱の平均の長さと直径およびcm3あたりの小柱数を使用することにより、特異的な表面(xx cm2/cm3、これはcm-1であり、そして規定体積の材料の内部表面を記述する)を数学的に得ることができる(小柱が丸い形状をしていることを前提とする)。
【0056】
多孔性構造を有する担体の材料は、好ましくは、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であることを特徴とする。
【0057】
用語“材料体積比”は、本発明の文脈において、固体成分と気体成分とを含む非圧縮多孔性材料と圧縮多孔性材料との比として理解される。
【0058】
例えば、PU-フォームなどの多孔性で弾力性の発泡体の場合、この比を、例えば、原理的には以下の様に決定することができる。20 mlの体積を有する円筒形の発泡体小片(非圧縮)を、20 mlの体積を有するシリンジ中に入れ、そしてプランジャーを完全に押し込んだ後、圧縮された体積をシリンジのマーク上で読みとることができる。材料を圧縮するために使用される力(PU多孔性フォームの場合)は、少なくとも20 kg/cm2と規定される。体積減少の終点は、圧縮圧を2倍にすることにより(PU多孔性フォームの場合、圧力がそれぞれ40 kg/cm2となる)10%までのさらなる体積減少が結果として生じないような体積として規定される。この手順(圧力を二倍にする)を、材料が10%までのさらなる体積減少を起こさなくなるまで、繰り返すことができる。
【0059】
本発明の方法にしたがって、担体の材料が、ガラス、ポリウレタン(PU)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチックまたはガラス、および網状プラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造体からなる群から選択されることがさらに好ましい。例えば、ポリエステルフリースは、装置LG6(Pall, Dreieich, Germany)について記載される様に使用することができる。ガラス-繊維についての限定的ではない例には、Nanjing Shuangwei Science & Technology Industries Co. LTD.により流通されてものなど、白血球除去フィルター(Leukocyte Removal Filter)をセットされた輸血用のバイオフィルター膜が含まれる。適切な海綿の例は、例えば、D. Green et al., Tissue Engineering. (2003) Vol. 9, No. 6: 1159-1166中に記載される。
【0060】
本発明の方法において使用することができる材料は、中空繊維の構造を有していてもよい。中空繊維パッケージは、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であることおよび/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることを特徴とする。
【0061】
本発明の方法のさらに好ましい態様において、工程(a)における溶液は、水溶液である。本発明の方法の代わりの好ましい態様において、工程(a)における溶液は非水溶液である。対応する溶液についての例および好ましい溶液についての例は、本明細書中で上述した。
【0062】
本発明の方法にしたがって、少なくとも一つのシランが、アルコキシシラン類、有機官能シラン類、水素化シランまたは水素化シロキサン、シロキサン、およびその他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シラン類からなる群から選択されることが好ましい。
【0063】
本発明の文脈において使用されるシラン類の記載されたグループについての例は、以下のものを含む:
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
N-シクロヘキシルアミノメチルメチルジエトキシシラン
N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン
N-フェニルアミノメチルトリメトキシシラン
(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン
メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン
(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン
メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン
(イソシアナートメチル)メチルジメトキシシラン
N-トリメトキシシリルメチル-O-メチルカルバメート
N-ジメトキシ(メチル)シリルメチル
O-メチル-カルバメート
N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
3-アミノプロピルトリエトキシシラン
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン
3-アミノプロピルトリメトキシシラン
3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
3-メタクリルオキシプロピルトリアセトキシシラン
3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
3-(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(bernsteinsaureanhydrid)
3-アミノプロピル)tris[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]シラン
(3-アミノプロピル)tris(トリメチルシロキシ)シラン
(4-メトキシフェニル)トリ(O-トリル)シラン
(4-フェノキシフェニル)(フェニル)(O-トリル)シラン
ジシクロヘキシル-メチル-シラン
ジメチル(3-フェニルプロピル)シラン
ジメチルbis(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン
ジフェニル(3-フェニルプロピル)シラン
ジフェニル(4-メトキシフェニル)シラン
ジフェニル(4-フェノキシフェニル)シラン
ジフェニル(ジフェニルメトキシ)(ジフェニルメチル)シラン
ジフェニル(ジフェニルメチル)シラン
ジフェニル(M-トリル)シラン
ジフェニル(O-トリル)(4-トリメチルシリル)フェニル)シラン
ジフェニル(P-トリル)シラン
ジフェニルジ(M-トリル)シラン
ジフェニルジ(O-トリル)シラン
ジフェニルメチル(O-トリル)シラン
ジフェニルフェネチル(O-トリル)シラン
ドデシルtris(2-ビフェニリル)シラン
ドデシルtris(2-シクロヘキシルエチル)シラン
ドデシルtris(3-フルオロフェニル)シラン
ドデシルtris(M-トリル)シラン
エトキシトリ(O-トリル)シラン
エトキシtris(2-メトキシフェニル)シラン(1)
エチル-bis-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-シラン(1)
エチレンbis(tris(デシル)シラン)(1)
ヘキサデシルスルファニルエチニル-トリメチル-シラン
イソブチル(トリメトキシ)シラン(2)
メチル-tris(トリメチルシロキシ)シラン(1)
メチルフェニル(4-(トリメチルシリルメチル)フェニル)シラン(1)
メチルフェニル(M-トリル)シラン(1)
メチルtris(2-メトキシエトキシ)シラン
フェニル(O-トリル)シラン(1)
フェニル-tris(トリメチルシロキシ)シラン(1)
フェニルトリ(M-トリル)シラン(1)
フェニルトリ(O-トリル)シラン(1)
フェニルトリ(P-トリル)シラン
フェニルtris(2-シクロヘキシルエチル)シラン
フェニルtris(2-エチルヘキシル)シラン
フェニルtris(2-メトキシエトキシ)シラン
フェニルtris(4-(トリメチルシリル)フェニル)シラン
フェニルtris(9-エチル-3-カルバゾリル)シラン
トリ(O-トリル)シラン
トリアセトキシ(エチル)シラン
トリアセトキシ(メチル)シラン
トリアセトキシ(ビニル)シラン
トリエトキシ(1-フェニルエテニル)シラン
トリエトキシ(3-イソシアナートプロピル)シラン
トリエトキシ(3-チオシアナートプロピル)シラン
トリエトキシ(4-メトキシフェニル)シラン
トリエトキシ[4-(トリフルオロメチル)フェニル]シラン
トリエトキシ(エチル)シラン
トリエトキシ(イソブチル)シラン
トリエトキシ(オクチル)シラン
トリエチル(シラン-d)
トリヘキサデシル(4-(トリメチルシリル)フェニル)シラン
トリメトキシ[2-(7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト-3-イル)エチル]シラン
トリメトキシ(2-フェニルエチル)シラン
トリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シラン
トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン
トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン
トリメトキシ(オクタデシル)シラン
トリメトキシ(オクチル)シラン
トリメトキシ(プロピル)シラン
トリメトキシ(ビニル)シラン
トリメチル(1,2,3,4,5-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン
トリメチル-(1-メチル-1-フェニル-プロポキシ)-シラン
トリメチル(1-プロペニル)シラン
トリメチル(2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)シラン
トリメチル(2-フェニル-1,1-bis(トリメチルシリル)エチル)シラン
トリメチル-(4'-ナフタレン-1-イル-ビフェニル-4-イル)-シラン
トリメチル-(4-ニトロ-フェニルエチニル)-シラン
トリメチル(4-(トリメチルシリル)ブトキシ)シラン
トリメチル(メチルチオ)シラン
トリメチル(フェノキシ)シラン
トリメチル(フェニル)シラン
トリメチル(フェニルセレノメチル)シラン
トリメチル(フェニルチオ)シラン
トリメチル(フェニルチオメチル)シラン
トリメチル(プロパルギル)シラン
トリメチル(プロポキシ)シラン
トリメチル(ビニル)シラン
トリフェニル(1,2,2-トリフェニルエチル)シラン
トリフェニル(3-(トリフェニルゲルミル)プロピル)シラン
トリフェニル(トリフェニルメチル)シラン
トリフェニル(ビニル)シラン
Tris(1-ナフチル)シラン
Tris(2-ビフェニル)シラン
Tris(4-(トリメチルシリル)フェニル)シラン
Tris(デシル)シラン
Tris(ヘキサデシル)シラン
Tris(イソプロピルチオ)シラン
Tris(フェネチル)シラン
Tris(トリメチルシロキシ)シラン
Tris(トリメチルシリル)シラン
トリエチルシラン
1-(ジメチルシリル)-2-フェニルアセチレン
3-(トリエトキシシリル)プロピルイソシアナート
3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート
3-[Tris(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート
アリル(4-メトキシフェニル)ジメチルシラン
ジメトキシ-メチル-オクタデシルシラン
メトキシポリエチレングリコール5,000トリメチルシリルエーテル
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン
プロパルギルトリメチルシラン
シリコン2,3-ナフタロシアニンbis(トリヘキシルシリルオキシド)
tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート
テトラアリルオルソシリケート
テトラアリルシラン
テトラキス(ジメチルシリル)オルソシリケート
テトラメチル-d12オルソシリケート
トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート
Tris(ジメチルシロキシ)フェニルシラン
ビニルトリメトキシシラン
ビニルトリメチルシラン
ビニルトリメチルシラン
3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル-ジメトキシメチルシラン
[3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン
アリルトリメチルシラン、および
メチル2-(トリメチルシリル)プロピオネート。
【0064】
本発明の方法にしたがって、生物学的材料は、真核細胞、真核細胞の断片、原核生物、原核生物の断片、古細菌、古細菌の断片、ウィルスおよびウィルスの断片からなる群から選択されることが、さらに好ましい。記載される真核細胞の断片、原核生物、古細菌およびウィルスは、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、多糖類、およびこれらの組合せを含む。
【0065】
真核細胞の群には、酵母細胞、下等植物細胞および高等植物細胞、および昆虫、並びに高等動物細胞が含まれる。好ましくは、高等動物のこの細胞は、哺乳動物細胞であり、より好ましくはヒト細胞である。
【0066】
真核細胞、原核生物および古細菌の断片は、本発明にしたがって、膜画分(膜小胞)の調製物または真核細胞由来の核またはオルガネラなどの細胞構成成分の調製物、またはリポ多糖(LPS)、ペプチドグリカン、およびリポタイコ酸などの最近細胞壁の構成成分の調製物を含むと理解される。真核細胞の断片、原核生物の断片および古細菌の断片の群は、線毛、プロテアーゼ、ヒートショックタンパク質、ホルミル-メチオニルペプチド、および毒素などの抗原タンパク質、Toll-様受容体(TLR)、ヌクレオチド-結合オリゴマー化ドメインタンパク質(Nod)、およびG-タンパク質結合型受容体、ホルミル-メチオニルペプチド受容体、プロテアーゼ-活性化受容体、そして糖タンパク質などの(ポリ)ペプチドもまた含まれてもよい。糖タンパク質の群には、免疫受容体およびリガンドが含まれる。免疫受容体およびリガンドは、MHC複合体(抗原ペプチドで負荷されたものまたはMHC分子のみ)および共刺激分子を含む。
【0067】
ウィルスの断片の例は、本発明にしたがって宿主細胞膜との相互作用および融合のために重要な、ウィルスの外部膜のポリペプチド(例えば、エンベロープタンパク質)等の分子を含むが、これらには限定されない。ウィルスの断片についてのさらなる例は、コアウィルスタンパク質およびその断片をも含む。
【0068】
本発明の方法の別の態様において、生物学的材料は、合成的、または半合成的、または組換え的に生成される、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される。この本発明の方法において使用される生物学的材料の代わりの定義により、天然の対応物がない(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖が含まれ、並びに天然に存在する(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖の化学的に修飾された誘導体、並びに人工的な(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖が含まれる。(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖の合成的生成、または半合成的生成、または組換え的生成の方法は、当該技術分野において既知である。
【0069】
本発明にしたがって、(ポリ)ペプチドが受容体であることが特に好ましい。対応する受容体の例は、膜結合型受容体および細胞内受容体、並びに可溶性受容体を含む。そのような受容体の特に好ましい態様は、抗体である。受容体は、本発明の文脈において、リガンドと特異的に相互作用するものと理解される(受容体の対応物;抗体の場合には抗原)。機能的受容体(非-伝達性受容体または短縮型受容体とは対照的に、好ましくはシグナル伝達性受容体)とそのリガンドとの相互作用は、シグナル伝達カスケードの初期化をもたらすことができる。そのような機能的受容体の例は、T細胞受容体(TCR)およびB細胞受容体(BCR)、または免疫システム細胞の活性化に関与する共刺激受容体(例えば、CD28)を含む。機能的受容体とそのリガンドとの相互作用は、アポトーシスなどの異なる細胞シグナルの開始、伝達、例えば、Fas(CD95)またはTNF-α受容体ファミリー、TRAIL、Death Receptors、Toll様受容体およびFc-受容体を含むその他のTNF-スーパーファミリーの受容体を結果として生じてもよい。さらに、本発明にしたがって、リガンドと機能的受容体との相互作用は、CTLA-4を介したシグナルなどの阻害性シグナルの開始も結果として生じることができる。
【0070】
上述したように、前記受容体は抗体、抗体断片または抗体の誘導体であることがさらに好ましい。
【0071】
本発明の文脈において記載される抗体は、エピトープと特異的に結合/相互作用することができる。エピトープは、ポリペプチド構造であってもアミノ酸を含まない化合物であってもよい。本発明にしたがって使用される場合、用語“〜と特異的に結合/相互作用する”は、抗体または抗体断片が同様の構造のエピトープとは交差反応しないかまたは本質的に交差反応しないことを意味する。研究中の抗体パネルの交差反応性は、例えば、従来条件下でのその抗体パネルの、目的とするエピトープに対する結合や、多かれ少なかれ(構造的におよび/または機能的に)非常に類似するエピトープに対する結合を評価することにより、試験することができる。エピトープの関連する文脈(例えば、タンパク質の構造中の特異的モチーフ)中の目的とするエピトープに対して結合するが、その他のエピトープのいずれに対しても結合しないかまたは本質的には結合しないそのような抗体のみが、目的とするエピトープに対して特異的であると考えられる。対応する方法は、例えば、以下の文献中に記載される(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988またはHarlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999)。
【0072】
抗体または抗体断片または抗体誘導体は、抗原の立体構造的エピトープまたは連続的エピトープと特異的に結合し/相互作用する。立体構造的エピトープまたは不連続的エピトープは、一次配列中では別個であるが、ポリペプチドが天然タンパク質/抗原中に畳み込まれる際に分子の表面で一緒になるような2またはそれ以上の別個のアミノ酸残基の存在により、ポリペプチド抗原として特徴づけられる(Sela, (1969) Science 166, 1365およびLaver, (1990) Cell 61, 553-6)。エピトープに寄与するこの2またはそれ以上の別個のアミノ酸残基は、1またはそれ以上の(ポリ)ペプチド鎖の別個の部分上に存在する。これらの残基は、(1または複数の)(ポリ)ペプチド鎖が三次元構造に畳み込まれて、エピトープを構成する場合、分子の表面で一緒になる。対照的に、直鎖エピトープまたは連続的エピトープは、(ポリ)ペプチド鎖の一本鎖直鎖部分に存在する2またはそれ以上の別個のアミノ酸残基からなる。
【0073】
抗体は、どのようなクラスの抗体のモノクローナル抗体であってもまたはポリクローナル抗体であってもよい。
【0074】
用語“抗体”は、結合特異性を依然として保持するそれらの誘導体または断片をも含む。本発明の抗体には、合成抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、およびヒト化抗体、および抗体断片等の態様もまた含まれる。
【0075】
用語“抗体断片”は、Fab、F(ab2)'またはFv断片などの断片に関連する。用語“抗体誘導体”は、本発明の文脈において、科学的に修飾された抗体および抗体断片を規定する。これには、scFv断片、一本鎖ドメイン抗体(single domain antibody)などが含まれるしたがって、抗体誘導体はしばしば、抗体分子に由来する(ポリ)ペプチドおよび/または化学的方法/生化学的方法または分子生物学的方法により修飾される(ポリ)ペプチドである。抗体断片のその特異的抗原に対する特異的相互作用についての最低限の要求性は、抗体断片およびエピトープの適合性を可能にする文脈において、親抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖可変鎖(VL)由来の1またはそれ以上のCDRの存在である。そのような文脈は、抗体の適切なフレームワークを使用することにより、提供することができる。当該技術分野において知られている様に、用語“フレームワーク”は、抗体または抗体誘導体の文脈において、CDR間のスペーサーとして機能し、そしてそのN-末端側およびC-末端側に伸長し、そしてCDRによる抗原結合部位の形成を可能にする構造を提供するアミノ酸配列である。例えば、分子生物学的方法により結合親和性を向上するためのフレームワーク配列またはCDR配列の修飾は、当該技術分野において知られている従来技術を使用して、例えば、当該技術分野において既知の、アミノ酸の(1または複数の)欠失、(1または複数の)挿入、(1または複数の)置換、(1または複数の)付加、および/または(1または複数の)組換えおよび/または何らかの他の(1または複数の)修飾(例えば、糖鎖付加やリン酸化などの翻訳後修飾および化学的修飾)を単独でまたは組み合わせて使用することにより、(ポリ)ペプチドを修飾することを含んでもよい。そのような修飾を免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列を裏付けるDNA配列中に導入するための方法は、当業者には周知である;(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd edition 1989および3rd edition 2001;Gerhardt et al., Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press, 1994;Lefkovits, Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, Academic Press, 1997;またはGolemis, Protein-Protein Interactions: A Molecular Cloning Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2002を参照)。
【0076】
本明細書中で上述したように、抗体はモノクローナル抗体であることがさらに好ましい。
【0077】
(モノクローナル)抗体がIgGクラス、IgMクラスまたはIgYクラスのものであることが最も好ましい。
【0078】
本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、工程(b)において接着された生物学的材料は、前記担体に対して共有結合される。生物学的材料が担体に対して共有結合を介して接着することをどのようにして行うかの方法は、本明細書中で上述した。
【0079】
本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、工程(a)〜工程(c)は、担体を含有する回転するチューブのシステムにおいて実現される。
【0080】
さらに、本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、溶液は、ポンプを介してチューブのシステム中を回転する。
【0081】
本発明の方法の別の具体的に好ましい態様において、多孔性構造を有する材料から構成される担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含む。例えば、本発明の担体が上述した材料の一つから構成され、それにより1またはそれ以上の化学的成分を提供する場合、1またはそれ以上のその他の材料を添加して、異なる化学的成分を提供したり、または担体の特性を変更することができる。同じことが、担体が2種、3種またはそれ以上の材質から構成される場合においても当てはまる。言い換えると、上述した物質に加えて、本発明に従ってコーティングするために使用される担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含む。そのような材料は、担体の作製時に、有効成分を混合することにより、または担体を1またはそれ以上の追加の材料を用いて充填することにより、担体中で機能させることができる。好ましくは、前記少なくとも一つのさらなる材料は、炭素、SiO2、ヒドロキシエチルスターチ(HES)およびビオチンからなる群から選択される。1種のさらなる材料を含む多孔性担体についての例には、例えば、Kinetic Concepts Inc.(KCI, Texas, USA)から入手した、炭素充填された(carbonfilled)ポリウレタン、およびポリエーテルフォームが含まれる。
【0082】
本発明の方法のさらに好ましい態様にしたがって、工程(a)〜工程(c)における溶液は、0.5〜10%アルブミン(v/v)および0.5〜5%マンニトール(v/v)を含む水溶液である。工程(a)〜(c)における水溶液は、0.6〜3%アルブミン(v/v)を含むことが、本発明にしたがって特に好ましい。水溶液は、好ましくは、0.6〜3%の糖(例えば、マンニトール)(v/v)を含む。
【0083】
代わりの一態様において、工程(a)における溶液は、シラン0.1〜10%(v/v)を含むアルコールであり、工程(b)におけるものは、生物学的材料(例えば抗体)を含む水溶液であり、そして工程(c)におけるものは、0.5〜10%アルブミン(v/v)および0.5〜5%マンニトール(v/v)を含む水溶液である。工程(a)〜工程(c)における水溶液は、0.6〜3%アルブミン(v/v)を含むことが、本発明にしたがって特に好ましい。そのような水溶液は、好ましくは、0.6〜3%の糖(例えば、マンニトール)(v/v)を含む。
【0084】
本発明の方法は、固体被覆担体を滅菌する工程(e)をさらに含んでもよい。本発明の方法により作製した固体被覆担体を滅菌する能力は、とりわけ、非-滅菌条件または半-滅菌条件下での固体被覆担体の作製を可能にする。この場合、そのようにして作製された担体は、固体被覆担体を体液とin vivoまたはex vivoで接触させることに関する本発明の方法において依然として使用することができる。このことは、この方法のそしてそのようにして作製された本発明の担体のさらに優れた特徴を表す。というのも、その特徴により、滅菌されていない場合がある担体の作製のコストと比較して、固体担体を作製するためのコストを、低減することができるためである。これは、作製プロセスにおいて、滅菌条件を必要としないためである。周知であるように、従来法により調製された担体は、滅菌に適しておらず、そして完全滅菌条件下で作製しなければならない。さらに、コストに関連する特徴は、この担体が、滅菌によりそれらを使用した後にリサイクルすることができる、ということである。リサイクルされた担体は、それに引き続いて、同一の患者または異なる患者のさらなる処理において、または再び担体と体液とをin vivoまたはex vivoで接触させることに関する診断のためのさらなる方法または同一の方法において、使用することができる。
【0085】
好ましくは、担体の滅菌またはリサイクルは、担体材料に依存してエチレンオキシド(EO)、β線、γ線、X線、加熱不活性化、オートクレーブ、またはプラズマ滅菌により行う。担体が、β線またはγ線により滅菌されることが最も好ましい。この態様において、10 MeVを有する電子加速器を使用した、25 kグレイの線量のβ線が適している。ある程度は、エチレンオキシドを用いた滅菌を、本発明の担体に対して適用することができる。一般的には、コーティングされた生物学的材料の所望の活性に悪影響を与えないために、滅菌方法が選択されなければならない。このことは、細胞の断片、(ポリ)ペプチド、特に抗体または受容体、ポリヌクレオチドまたは多糖類、または上述した様なこれらの複合体を用いて行うことができる。どのような種の細胞に対しても、滅菌の適切な手段は現段階で知られていない。従って、生細胞を生物学的材料として使用しそして担体を滅菌する態様は、本発明の一部ではない。
【0086】
さらなる態様において、本発明は、本発明の方法により作製することができる固体被覆担体または作製された固体被覆担体を提供する。
【0087】
さらなる代替の態様において、本発明は、生物学的材料が接着される固体被覆担体を提供する。この場合、生物学的材料は、被覆マトリクス中に包埋されており、この被覆マトリクスは、担体と直接的に接触する少なくとも一つのシランの第1層、および少なくとも一つの(ポリ)ペプチド、少なくとも一つのアミノ酸、スターチ、少なくとも一つの糖、少なくとも一つのホスフェート、少なくとも一つのポリアルコールおよびポリエチレングリコール(PEG)またはこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも一つの物質からなる第1層を覆う第2層、とからなる。より好ましくは、第2層の少なくとも一つの物質が、とりわけ、ヒトまたは動物の血清およびそのような血清のタンパク質(例えば、アルブミン)、ミルク、卵タンパク質、植物由来タンパク質(例えば、ダイズ、コムギ)、そのようなタンパク質の加水分解物(例えば、ゼラチン、コラーゲン)を含む群、アミノ酸の群(好ましくはグリシン、アスパラギン酸および/またはグルタミン酸、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、カルニチン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、システイン、ホモシステイン、シトルリン、イヌリン、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、メチオニン、セリン、バリン、チロシン、トレオニン、トリプトファン)、またはアミノ酸の誘導体(例えば、n-アセチル-トリプトファン、β-アラニン、メラニン、DOPA)、糖類の群(好ましくはグルコース、サッカロース、スクロース)、ポリアルコール類(好ましくはソルビトール、マンニトール、グリセロール、キシリトール)、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、ホスフェートの群(例えば、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム)またはこれらの混合物、からなる群から選択される。
【0088】
固体被覆担体が、本発明の方法にしたがって、作製されることが好ましい。
【0089】
本発明の方法にしたがって提供される担体、生物学的材料、生物学的材料の接着、そしてコーティングマトリクスの材料の定義および説明は、とりわけ、必要に応じて、本発明の固体被覆担体に対して適用される。
【0090】
同様に、本発明の固体被覆担体の特定の優れた特徴は、本発明の方法の特徴の文脈において、本明細書中で上述した。
【0091】
同様に本発明の固体被覆担体を製造する方法の文脈において記載されるように、担体の材料が、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチック、網状プラスチックおよび海綿(海綿動物)由来の構造からなる群から選択されることも、好ましい。
【0092】
本発明の固体被覆担体の好ましい態様にしたがって、生物学的材料は、真核細胞、真核細胞の断片、原核生物、原核生物の断片、古細菌、古細菌の断片、ウィルスおよびウィルスの断片からなる群から選択される。好ましくは、真核細胞の断片、原核生物の断片、古細菌の断片、またはウィルスの断片は、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される。
【0093】
本発明の固体被覆担体の代わりの態様において、生物学的材料は、合成的に、または半合成的に、または組換え的に作製される、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される。
【0094】
本発明の担体の同様に好ましい態様において、第2層の少なくとも一つの(ポリ)ペプチドはアルブミンであり、第2層のスターチはヒドロキシエチルスターチ(HES)であり、および/または第2層の少なくとも一つの糖はマンニトールまたはソルビトールである。
【0095】
多孔性構造を有する担体の材料が、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることにより特徴づけられることが好ましい。
【0096】
多孔性構造を有する担体の材料が、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であることにより特徴づけられることもまた好ましい。
【0097】
さらに好ましい態様において、担体の材料は中空繊維である。中空繊維パッケージは、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比および/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることにより特徴づけられる。
【0098】
第1層の少なくとも一つのシランが、アルコキシシラン類、有機官能シラン類、水素化シランまたは水素化シロキサン、シロキサン類、その他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シラン類からなる群から選択されることはさらに好ましい。適切なシラン類の例は、上述したとおりである。
【0099】
本発明にしたがって、担体の第2層は、好ましくはアルブミンおよびマンニトールを含む乾燥混合物であってもよい。好ましくは、この混合物は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。具体的には、本発明にしたがって、この混合物を液体形状の担体に対して適用し、そしてそれに引き続き本発明の担体の表面上で乾燥させる。乾燥は、好ましくは風乾により行われる。
【0100】
本発明のさらに好ましい態様において、生物学的材料が、前記担体に対して共有結合される。生物学的材料の固体担体に対する共有結合を実現するための方法は、本明細書中で記載され、記載する実施例2において記載される。
【0101】
本発明の固体被覆担体に関して、(b)における(ポリ)ペプチドは、コーティングマトリクス中に包埋されているが、受容体であることがさらに好ましい。より好ましくは、前記受容体は、抗体または抗体断片である。本発明のさらに好ましい態様にしたがって、抗体がモノクローナル抗体であることが特に想定される。
【0102】
本発明の担体のコーティングマトリクス中に包埋される(モノクローナル)抗体は、どのような抗体クラスの抗体であってもよい。好ましくは、抗体は、IgGクラス、IgYクラスまたはIgMクラスの抗体である。
【0103】
本発明の担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含むことが特に好ましい。例えば、本発明の担体が1またはそれ以上の化学的成分を提供する上述した材料の一つから構成される場合、1またはそれ以上のその他の材料を添加して、異なる化学的成分を提供することができ、または担体の特性を変更することができる。担体が2、3またはそれ以上の材料から構成される場合にも、同様のことが当てはまる。言い換えると、上述した物質に加えて、本発明に従うコーティングのために使用される担体は、少なくとも一つのさらなる材料を含む。この材料を、有効成分を混合することにより、または担体を1またはそれ以上の追加の材料により充填することにより、その生成に際して、担体中で機能させることができる。好ましくは、この少なくとも一つのさらなる材料は、炭素、SiO2、HESおよびビオチンからなる群から選択される。
【0104】
本発明の別の好ましい態様において、担体は、β線またはγ線により滅菌される。10 MeVを有する電子加速器を使用した、25 kグレイのβ線が、この態様において適切である。
【0105】
さらなる代替の態様において、本発明は、本発明に従う固体被覆担体を、患者の血液、リンパ液、または髄液と接触し、それを濾過し、または清浄化するための、(医療用)装置の調製のために使用することを提供する。用語“(医療用)装置”は、本発明の文脈において、本発明に従う固体被覆担体を含む装置または本発明の方法により生成された装置を規定する。そのような装置の例は、本明細書の以下において例示される。装置は、例えば(固体被覆担体の製造のための方法の文脈において)、装置を患者の体液の循環系に接続する工程、そしてそれにより上述したように患者を治療する工程により、患者の血液、リンパ液、または髄液を接触させ、それを濾過し、または清浄化することを可能にするために適している。さらに、(医療用)装置は、化合物の定量的または定性的検出のために適していてもよく、そして本明細書中で一部を上述した、患者の体液サンプル中の特定の細胞(例えば幹細胞)を捕捉するために適していてもよい。幹細胞は、多能性幹細胞、多分化能幹細胞、または全能性幹細胞を含む。体液サンプル中にて、特定の細胞または1またはそれ以上の細胞集団の一部と接触させることにより、これらの細胞または(1または複数の)細胞集団に対して特異的に結合する、1またはそれ以上の上述の生物学的材料を用いて適切にコーティングされた本発明の担体を用いて、特定の細胞または1またはそれ以上の細胞集団を捕捉することにより、少なくともこれらの特定の細胞または(1またはそれ以上の)細胞集団の一部をサンプルから取り出すことができる。一般的には、異なる細胞株、細胞種、または細胞の分化段階を、細胞表面上に異なる抗原が存在することにより識別することができる。このことにより、本発明の担体を、例えば、抗原に対する対応する受容体またはその抗原に対する抗体によりコーティングすることにより、所望の細胞の選択的捕捉が可能になる。
【0106】
本件出願全体にわたり使用されている用語“接触し、それを濾過し、または清浄化する”は、溶液から1またはそれ以上の化合物を取り出す代替手段のことをいう。したがって、用語“接触する”は、濾過および清浄化の最初の工程であってもよい。
【0107】
開示された好ましい医学的装置は、ダイオキシン、ボツリヌス毒素、破傷風毒素、LPS、腐敗毒などの毒素からの体液の解毒を含む治療において有用である。これは、細菌性疾患またはウィルス性疾患の治療において有用であり、特に血液中またはその他の体液中に負荷された主要なウィルスによる疾患(例えば、出血熱、a型、b型、c型、d型、e型の肝炎、HIV、デング熱)または血液または代替性体液中に負荷された主要な細菌による疾患(例えば、メニンゴ細菌またはニューモコッカス細菌による敗血症)の治療において有用である。開示された医学的装置のさらに想定される代わりの用途は、患者の特定の細胞の活性化または排除を必要とする治療における用途である。特定の細胞集団の排除は、例えば、増殖性疾患(例えば、微小残存癌)の治療、自己免疫疾患の治療、または臓器移植により引き起こされる疾患の治療において意図される。特定の細胞集団の刺激は、例えば、細胞免疫系の活性化により治癒されるかまたは軽減される疾患の治療において意図される。活性化された細胞集団は、疾患細胞の特異的な集団を排除するために適している。
【0108】
さらに、固体担体に固定化された適切な抗体(例えば、抗-CD34または抗-CD133)を使用して幹細胞を捕捉することが、装置の有用な応用である。捕捉の後、酵素的放出、冷えた液体、機械的な力(振動など)、またはこれらの技術の組合せにより、細胞を回収する。
【0109】
開示された(医療用)装置の態様についての例は、図3および図4において概略的に示される。
【0110】
(医療用)装置の一態様には、それ自体が固体被覆担体である表面または本発明に従う固体被覆担体または本発明の方法に従って製造された固体被覆担体が接着された表面により特徴づけられる、一過性インプラントまたは永久的インプラントが含まれる。これには、骨接合術装置、再建術などのために使用される材料、並びに新規のクラスのステントが含まれる。そのような新規のクラスのステントは、免疫によりサポートされる特徴(上述したような活性化の特徴、阻害性の特徴、または排除性の特徴)を有していてもよい。
【0111】
(医療用)装置のさらなる態様には、体外システム中に導入されるカテーテル、回路、装置が含まれ、例えば、動脈フィルター、人工心肺、タンク、白血球阻害モジュール(Leukocyte Inhibition Module;LIM)、白血球活性化モジュール(Leukocyte Stimulation Module;LSM)、耐性誘導モジュール(Tolerance Induction Module)または固体被覆担体を含むか、または本発明に従う固体被覆担体または本発明の方法に従って作成される固体被覆担体を接着する人工リンパ節が含まれる。そのようなモジュールは、例えば、以下の文献により記載された(Scholz M et al. ASAIO J 2005;51:144-7;Scholz M, Cinatl J Med Res Rev 2005;25:331-42;Scholz M et al. J Thorac Cardiovasc Surg 2004; 127:1735-42;Moreno JB et al. Perfusion 2004;19:11-6)。
【0112】
さらに、(医療用)装置のさらに代わりの態様は、内部壁が、固体被覆担体である装置であるか、または固体被覆担体が接着された装置であり、ex vivoワクチン接種用容器、アフェレーシス装置、幹細胞単離装置、パージ装置、シリンジ、および一過性または永続的な血液保存のための装置(例えば、血液バンクにおけるもの、そして日常的な施設または研究施設における研究装置におけるもの)を含むものである。診断用(医療用)装置の例は、ELISAプレートであり、ここでプレートの表面(または少なくとも反応ウェルの表面)は固体被覆担体であるか、または固体被覆担体が接着されたものである。
【0113】
上述した疾患の例は、様々な由来の重症脂質異常症、ホモ接合性家族性高コレステロール血症、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症、Apo B-100欠損、単離リポタンパク質(a)上昇、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、混合結合組織病、拡張型心筋症(DCM)、凝固因子阻害剤と関連する疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性溶血性貧血、高ガンマグロブリン血症における過粘稠度症候群、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、血漿タンパク異常症多発性神経炎(dysproteinemic polyneuropathies)、骨髄移植、内分泌性眼窩疾患(endocrine orbitopathy)、I型糖尿病(IDDM)、グッドパスチャー症候群、イムノグロブリンまたは免疫複合体沈着による腎症、クリオグロブリン血症、天疱瘡、アトピー性皮膚炎、移植片-対-宿主(GvH)疾患、宿主-対-移植片(HvG)疾患、および様々な形態の脈管炎を含む。
【0114】
本発明は、血液、リンパ液、または髄液を本発明に従う固体被覆担体と接触させることを含む、患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物を操作するための方法もまた提供する。
【0115】
用語、体液の“組成物の操作”は、体液の特徴または異なる体液サンプルの特徴に影響を与える方法を規定する。このことは、液体を濾過し、または清浄化することを含む。そのような場合、担体上の生物学的材料、例えば(1または複数の)受容体が体液の(1または複数の)構成成分と結合し、そしてその(1または複数の)構成成分を保持する。この工程は、好ましくは上述した生理学的条件下で行われる。同様に、この定義には、サンプル中に含まれる細胞の活性化状態の変化を誘導すること、並びに1またはそれ以上の特異的な細胞集団を除去することも含まれる。
【0116】
患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物の操作は、本発明にしたがって、in vivo、ex vivo、またはin vitroにて行うことができる。
【0117】
患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物の操作のための方法のex vivoまたはin vitro態様のそれに続く工程において、血液、リンパ、または溶液を固体被覆担体と接触させた後、それらを担体から取り出す。
【0118】
生物学的材料が細胞(例えば、ドナーまたは遺伝子操作された細胞/組換え細胞)である態様において、包埋された生物学的材料を含む担体の接触により、患者の体液中の包埋された細胞により産生される物質の分泌が可能になる。分泌された物質は、患者の疾患の治療の際に有効な物質である。そのようなアプローチにより治療することができる疾患は、例えば、糖尿病(膵島細胞またはインスリンを分泌するその他の細胞を使用すること)、内分泌疾患(例えば、甲状腺または松果体または疾患の治療に役に立つホルモンを分泌するその他の細胞を使用すること)を含む。従って、本明細書中で記載される患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物の操作のための方法により、副作用のリスクを最小化しつつ、患者の治療を可能にする。このことは、ドナーまたは遺伝子操作した細胞/組換え細胞をin vitro/ex vivoの状況で適用した場合、それらの細胞が患者に入らないためである。in vivoで適用された場合であっても、上述したように、本発明にしたがう態様を形成するが、これらの細胞は、固体担体への記載された接着様式により、血流またはその他の体液中には放出されない。
【0119】
好ましくは、本発明の上述した用途および本発明の方法は、固体被覆担体を含有するバッチコンテナ中で行われる、血液、リンパまたは脳脊髄液の組成物の操作を特徴とする。あるいは、血液、リンパ液、または髄液の組成物の操作は、固体被覆担体を含有するフロースルーコンテナ中で行われる。
【0120】
さらなる態様において、本発明は、疾患の診断のための方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む:
(a) 病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質が包埋された受容体へ特異的に結合するための適切な条件下、患者の体液を、受容体が包埋されている本発明に従う固体被覆担体と接触させる工程;そして
(b) 病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質が包埋された受容体に対して結合しているかどうかを検出する工程;
を含む。
【0121】
記載される方法は、in vivo、ex vivoまたはin vitroにおいて、実行することができる。好ましくは、受容体は、抗体またはその断片または誘導体である。最も好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。
【0122】
用語“受容体が包埋される、本発明に従う固体被覆担体”は、本発明の方法に従って生成可能であるかまたは生成された、本発明にしたがう固体被覆担体のことを意味する。ここで、この方法の工程(b)における生物学的材料は、前記受容体を構成するかまたは含む。
【0123】
本発明の診断方法を用いて診断される疾患の例は、本発明の医薬用途および治療方法の文脈において、本明細書中で記載された疾患を含む。記載された病原体またはマーカータンパク質は、例えば、抗-p24(HIV)(例えば、Schupbach et al. J Aquir Immune Defic Syndr 2005;40:250-6を参照)または抗-gB(HCMV)(例えば、Just-Nubling G et al. Infection 2003;31:318-23を参照)の様な抗体を使用することにより、検出することができる。
【0124】
病原体または疾患の指標であるマーカータンパク質が接着抗体に対して特異的に結合するための適切な条件は、患者の体液サンプルを本発明に従う抗体被覆表面と、生理学的条件下にて接触させることにより、達成することができる。
【0125】
本発明の診断方法は、ウィルス、細菌、または単一細胞真核生物病原体などの病原体を濃縮するため、細胞培養条件下で体液サンプルの材料をインキュベートする工程を含んでもよい。
【0126】
さらに、本発明は、本発明に従う固体被覆担体を含む診断用組成物を提供する。本発明の診断用組成物は、好ましくは、疾患の診断のために使用することができる。
【0127】
本発明の診断用組成物を用いて診断される疾患の例は、本明細書中で上述したとおりである。
【0128】
さらに、本発明は、精製すべき化合物を含む混合物を、本発明に従う固体被覆担体と接触させることを含む、化合物を精製するための方法を提供する。担体に接着されまたはコーティングされた分子に依存して、そして化合物に特異的に結合する分子に依存して、本発明の方法を適用して、例えば、タンパク質、核酸、タンパク質複合体または生物学的由来または非有機物由来のその他の分子を精製することができる。
【0129】
本発明の方法は、本発明のコーティングされた担体を使用して、異なるリン酸化状態を有するかまたは異なる翻訳後修飾を有する同種のタンパク質を分離するためにも適しており、ここで担体に被覆された分子は、これらの状態または修飾の一つを特異的に認識するものである。
【0130】
本発明の方法の原理は、当業者に一般的に知られている親和性精製の原理に対応する。当業者は、異なる形式を使用して、本発明の方法を実行することができることを認識する。例えば、一般的に適用される形式は、親和性材料(すなわち、本発明のコーティングされた担体)でパッキングされたカラムである。
【0131】
本発明の方法の好ましい態様において、担体に結合させた分子は、例えば、上述したもののような抗体である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図面は以下のことを示す:
【図1】図1:生物学的材料の固定化についての被覆手順のスキーム。抗体または細胞(またはそれらの断片)等の生物学的材料についての手順、およびストレス条件下でのそれらの機能的維持を例示する。
【図2】図2:記載の実施例1において記述された実験結果を示すフローサイトメトリードットブロット解析。解析は、EO-滅菌後の抗体-媒介性アポトーシス誘導の維持を示す。
【図3】図3:治療的毒素トラップ(例えば、ジオキシントラップ)についての例のスキーム図。例示されたデザインは、低血流量および低初期量を可能にする。したがって、Sheldonカテーテルなどの様々なカテーテルシステムにおいて使用することもでき、例えば、救命救急診療における外傷、ショック、および敗血症、およびその他の状況の後/あいだに、使用することもできる。
【図4】図4:固定化抗体(例えば、抗CD95抗体)を伴うポリウレタンフォームを保持するプラスチックハウジングからなる(医学的)装置についての例のスキーム図。好中球は、被覆中に包埋された抗体に対して一過的に結合することができる。抗体の結合は、好中球の不活性化のためのシグナルを刺激することができる。
【発明を実施するための形態】
【0133】
図面は以下のことを示す:
【実施例】
【0134】
実施例は本発明を説明する。
【0135】
実施例1:本発明の固体被覆担体を使用した、細胞集団におけるアポトーシスの誘導
実験的アプローチの目的は、エチレンオキシドまたはβ線を用いた滅菌の後の、固定化抗-Fas(CD95;APO-1)IgM-抗体の機能活性に関する、被覆手順の防護的効果を決定することであった。
【0136】
NUNC 8-ウェルチャンバースライドの被覆および抗-Fas IgMの固定化:
2つの8-ウェルチャンバースライドを被覆のために使用した。それぞれのウェルを、4%(2〜5%)N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンを含む250μlメタノールを用いて、室温にて30分間処理した。逆向きで遠心分離しそして10分間ラミナフロー中で乾燥させたのち、一部のウェルを、200μlの抗体含有バッファー(1:100が、0.64 cm2のウェルあたり1μgの抗体を示す)を用いて、37℃で90%湿度のもと、1時間インキュベートした。非処置ウェルは、対照として機能した。次に、ウェルをブロッキング溶液(5%血清および5%マンニトールを追加したPBS)を用いて、30分間処理し、ブロッキング溶液を用いて3回洗浄し、そして上述したように乾燥させた。被覆されたウェルは、4℃で数週間保存することができる。滅菌は、1.7 bar、45℃、180分間、6% EO、94% CO2で、最高温度47℃で行われた。
【0137】
Jurkat細胞を用いたアッセイ:
分割してから3〜5日後、1×105個のJurkat細胞を、2%血清の存在下で(上述したように)調製した各ウェルに添加し、そして一晩インキュベートした。48時間後、8μlのヨウ化プロピジウム(PI)および1μlアネキシンVを各ウェルに添加した。アポトーシス細胞は、アネキシンVと結合し、そして壊死細胞はPIを取り込む。15分後、細胞を優しくウェルから取り出し、そして蛍光をフローサイトメトリーによって決定した(アポトーシス:FL1;壊死:FL2)。
【0138】
ウェルをPBSを用いて注意深く洗浄し、そして4℃で保存して、後の時点で被覆手順の保管寿命を試験した。
【0139】
結果:
図2において代表的に示すように、自発的アポトーシスを起こすJurkat細胞の比率(A)は、6.9%(範囲:6〜8%)であった。固定化抗体の非存在下で滅菌を行った被覆ウェルにより攻撃を受けるJurkat細胞(B)では、アポトーシスが若干増加することが示された(17.9%;範囲:16〜20%)。上述した被覆手順にしたがって固定化された抗-Fas(C)は、54.7%の細胞においてアポトーシスを誘導した(範囲:54〜58%)。エチレンオキシド(EO)を用いて滅菌した後、Jurkat細胞中での抗体-媒介性のアポトーシス誘導(D)は、43.1%(範囲:40〜44%)であった。したがって、EO-媒介性の抗体機能低下は、非滅菌対照(EOガスなしの手順)と比較して約25%であった。ドットブロット解析(図2)は、それぞれの細胞集団についての蛍光分布を示す(FL1=アポトーシス;FL2=壊死)。
【0140】
実施例2:白血球阻害モジュール(LIM)の作製
LIMを作製するため、フォーム(泡状物)を98%メタノールおよび2%(3-グリシジル-オキシプロピル)トリメトキシシラン(Sigma)の混合物中に20分間浸漬し、次いで乾燥させ、その後水中15 mM炭酸ナトリウムおよび35 mM炭酸水素ナトリウムからなるバッファー(ph 9)中で、2時間、37℃で、100μgの抗体のインキュベートを行った。あるいは、PBSを抗体のためのバッファーとして使用することができる。その後、2%ヒトアルブミンタンパク質濃度を含む等張NaCl溶液の追加を行い、さらに1時間インキュベートした。次いで、1%ヒトアルブミンを含有する等張塩化ナトリウム溶液を使用する10回の洗浄サイクルを行う。少なくとも、5%ヒトアルブミンおよび5%マンニトールを含有する等張性ナトリウム溶液を用いて30分間インキュベートしたのち、乾燥させる。エチレンオキシド-滅菌により、抗体活性は約60%低下した(Jurkat細胞を用いて試験した)。10 MeVの電子加速器を用いて25 kGrayの線量を伴うβ線を照射した後、抗体活性は、滅菌なしの活性と比較して、約70%保存された。あるいは、滅菌は、γ線を使用して、例えば、Co60線源を使用して、行うことができる。
【0141】
LIMのスキームを図4に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 固体担体を、0.1〜10%(w/w)または0.1〜10%(v/v)の少なくとも一つのシランを含む溶液と共にインキュベートし、そして続いてその溶液を除去する工程;
(b) 担体を、生物学的材料を含有する好ましく緩衝化した水溶液と共にインキュベートすることにより、生物学的材料を担体に対して接着させ、そして続いてその水溶液を除去する工程;
(c) (ポリ)ペプチド、アミノ酸、スターチ、糖類、ホスフェート、ポリアルコール類、ポリエチレングリコール類(PEG)、またはこれらの混合物から選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液中で担体をインキュベートする工程;
を含む、生物学的材料を保持する固体被覆担体を製造する方法。
【請求項2】
工程(d):
(d) 残留水分含量が<20%(w/w)になるまで担体を乾燥させる工程;
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a'):
(a') 残留溶液含量がもともと適用した溶液の10%未満になるまで担体を乾燥させる工程;
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)に続いて、そして工程(c)の前に、工程(b'):
(b') ブロッキング剤を含有する緩衝化水溶液中で担体をインキュベートし、そして水溶液を除去する工程;
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)に続いて、そして工程(c)の前に、工程(b''):
(b'') (ポリ)ペプチド、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトール、およびポリエチレングリコール(PEG)、ミルク由来タンパク質、ダイズ由来タンパク質、コムギ由来タンパク質、または卵由来タンパク質からなる群から選択される物質を、0.5〜10%(w/w)を含有する水溶液を使用して、非結合の結合部位をブロッキングする工程;そしてブロッキング後に水溶液を使用して1回またはそれ以上の洗浄工程を行ってもよい工程;
をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)における担体を、アルブミン、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、マンニトール、ソルビトール、およびポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される1またはそれ以上の物質を含む水溶液中でインキュベートする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
担体の材料が、多孔性構造のものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
担体の材料が、30 cm-1〜300 cm-1の範囲内の表面/気体体積比であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
担体の材料が、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
担体の材料が、1〜10の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比および/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることを好ましくは特徴とする中空繊維の構造を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
担体の材料が、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチックまたはガラス、および網状プラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造体からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程(a)における溶液が水溶液である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程(a)における溶液が非水溶液である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも一つのシランが、アルコキシシラン、有機官能シラン、水素化シランまたは水素化シロキサン、シロキサン、およびその他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シランからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
生物学的材料が、真核細胞、真核細胞の断片、原核生物、原核生物の断片、古細菌、古細菌の断片、ウィルス、およびウィルスの断片からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
真核細胞の断片、原核生物の断片、古細菌の断片、またはウィルスの断片が、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
生物学的材料が、合成的にまたは組換え的に作製される(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
(ポリ)ペプチドが受容体である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
受容体が、抗体、抗体断片、または抗体誘導体である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
抗体が、IgGクラス抗体、IgYクラス抗体、またはIgMクラス抗体である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
生物学的材料が、工程(b)における前記担体に対して、共有結合を介して接着される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
工程(a)〜工程(c)が、担体を含有する回転するチューブのシステム中で行われる、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
溶液が、チューブのシステム内でポンプを介して回転される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
多孔性構造を有する材料から構成される担体が、少なくとも一つのさらなる材料を含む、請求項7〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも一つのさらなる材料が、炭素、SiO2、HES、およびビオチンからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程(a)〜工程(c)における溶液が、0.5〜10%のアルブミン(v/v)および0.5〜5%のマンニトール(v/v)を含む水溶液である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
工程(a)における溶液がシラン0.1〜10%(v/v)を含むアルコールであり、工程(b)における溶液が生物学的材料を含む水溶液であり、そして工程(c)における溶液が0.5〜10%のアルブミン(v/v)および0.5〜5%のマンニトール(v/v)を含む水溶液である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
固体被覆担体を滅菌する工程(e)をさらに含む、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
担体の滅菌が、エチレンオキシド(EO)、β線、γ線、X線、加熱不活性化、オートクレーブ、またはプラズマ滅菌により行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法によって作製することができるかまたは作製される、固体被覆担体。
【請求項32】
生物学的材料が、担体と直接接触している少なくとも一つのシランの第1層と、少なくとも一つの(ポリ)ペプチド、少なくとも一つのアミノ酸、スターチ、少なくとも一つの等、少なくとも一つのホスフェート、少なくとも一つのポリアルコール、およびポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの混合物から選択される少なくとも一つの物質からなる群から選択される、第1層を覆う第2層とからなる被覆マトリクス中に包埋される、生物学的材料が接着された固体被覆担体。
【請求項33】
担体の材料が多孔性構造のものである、請求項32に記載の担体。
【請求項34】
担体の材料が、ガラス、ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチック、網状プラスチック、および海綿(海綿動物)由来の構造体からなる群から選択される、請求項32または33に記載の担体。
【請求項35】
生物学的材料が、真核細胞、真核細胞の断片、原核生物、原核生物の断片、古細菌、古細菌の断片、ウィルス、およびウィルスの断片からなる群から選択される、請求項32〜34のいずれか1項に記載の担体。
【請求項36】
真核細胞の断片、原核生物の断片、古細菌の断片、またはウィルスの断片が、(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される、請求項35に記載の担体。
【請求項37】
生物学的材料が、合成的または半合成的または組換え的に作製される(ポリ)ペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、および多糖からなる群から選択される、請求項32〜34のいずれか1項に記載の担体。
【請求項38】
第2層の少なくとも一つの(ポリ)ペプチドがアルブミンであり、第2層のスターチがヒドロキシエチルスターチ(HES)であり、および/または第2層の少なくとも一つの糖がマンニトールまたはソルビトールである、請求項32〜37のいずれか1項に記載の担体。
【請求項39】
多孔性構造を有する担体の材料が、30 cm-1〜300 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることを特徴とする、請求項32〜38のいずれか1項に記載の担体。
【請求項40】
多孔性構造を有する担体の材料が、4〜40の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比であることを特徴とする、請求項33〜39のいずれか1項に記載の担体。
【請求項41】
担体の材料が中空繊維であり、好ましくは1〜10の範囲の非圧縮/圧縮材料体積比および/または200 cm-1〜2000 cm-1の範囲の表面/気体体積比であることを特徴とする中空繊維である、請求項33〜39のいずれか1項に記載の担体。
【請求項42】
第1層の少なくとも一つのシランが、アルコキシシラン、有機官能シラン、水素化シランまたは水素化シロキサン、シロキサン、その他の官能基を有するシリル化合物を含む有機シランからなる群から選択される、請求項32〜41のいずれか1項に記載の担体。
【請求項43】
第2層が、アルブミンおよびマンニトールを含む好ましく乾燥された混合物である、請求項32〜42のいずれか1項に記載の担体。
【請求項44】
第2層がポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項43に記載の担体。
【請求項45】
生物学的材料が、共有結合を介して担体に接着する、請求項32〜44のいずれか1項に記載の担体。
【請求項46】
(ポリ)ペプチドが受容体である、請求項36〜45のいずれか1項に記載の担体。
【請求項47】
受容体が、抗体、抗体断片、または抗体誘導体である、請求項46に記載の担体。
【請求項48】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項47に記載の担体。
【請求項49】
抗体が、IgGクラス抗体、IgYクラス抗体、またはIgMクラス抗体である、請求項47または48に記載の担体。
【請求項50】
担体が、少なくとも一つのさらなる材料を含む、請求項32〜49のいずれか1項に記載の担体。
【請求項51】
少なくとも一つのさらなる材料が、炭素、SiO2、HESおよびビオチンからなる群から選択される、請求項50に記載の担体。
【請求項52】
担体がβ線またはγ線により滅菌される、請求項32〜51のいずれか1項に記載の担体。
【請求項53】
患者の血液、リンパ液、または髄液と接触し、それを濾過し、または清浄化するための医薬品の調製のための、請求項32〜52のいずれか1項に記載の固体被覆担体の使用。
【請求項54】
血液、リンパ液、または髄液を、請求項32〜52のいずれか1項に記載の固体被覆担体と接触させる工程を含む、患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物を操作するための方法。
【請求項55】
患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物の操作が、固体被覆担体を含有するバッチコンテナ中で行われる、請求項53に記載の使用または請求項52に記載の方法。
【請求項56】
患者の血液、リンパ液、または髄液の組成物の操作が、固体被覆担体を含有するフロースルーコンテナ中で行われる、請求項53に記載の使用または請求項52に記載の方法。
【請求項57】
(a) 病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質の、包埋された受容体に対する特異的結合のために適切な条件下で、患者の体液を請求項46〜52のいずれか1項に記載の固体被覆担体と接触させる工程;そして
(b) 病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質が、包埋された受容体に対して結合するかどうかを検出する工程;
を含む、疾患の診断のための方法。
【請求項58】
受容体が、抗体、抗体断片、または抗体誘導体である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項32〜52のいずれか1項に記載の固体被覆担体を含む、診断用組成物。
【請求項60】
精製すべき化合物を含む混合物を、請求項32〜52のいずれか1項に記載の固体被覆担体と接触させる工程を含む、化合物を精製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−536025(P2009−536025A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508232(P2009−508232)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004016
【国際公開番号】WO2007/128550
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508329885)ロイコケア・アクチェンゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】