説明

生鮮物収納容器

【課題】 故紙の回収・最良が全国的に確立されて回収率が著しく高く、極めて容易に資源リサイクル効果を得ることができる上、強度低下が生じ難く、しかも、特に、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに至極好適に利用できる上、環境に穏やかで、しかも安全性が極めて高い生鮮物収納容器を提供することを目的とする。
【構成】 トロ箱内に内張りされた内面層5が通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムで形成されている。トロ箱はその内面を形成する内面層5の外側に第1から第3の紙層5、7、8を積層した積層体9において、その第1と第2の紙層5、7の間に活性炭からなる機能性物質層6が積層されている。又、裁断することにより至極容易に、かつ安価に再生紙原料にすることができるので、極めて容易に資源リサイクル効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生利用がすこぶる容易であり、強度低下が生じ難く、特に、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに至極好適に利用できる上、環境に穏やかで、しかも安全性が極めて高い生鮮物収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鮮魚の貯蔵、保存、輸送、販売などに用いられる生鮮物収納容器としては、間伐材を製材した木材からなる木箱が用いられていたが、現代においては、間伐材の不足を解消するために、発泡スチロール製の生鮮物収納容器が多用されている。
【0003】
しかし、発泡スチロール製の生鮮物収納容器は、消費者や小売店舗から回収して生鮮物収納容器として再利用されることはほとんどない。又、廃棄物として回収された発泡スチロール製生鮮物収納容器は、これを合成樹脂製品の原料に再生するには膨大な処理費用が掛かるので、ほとんど再生されることなく、廃却処理され、環境破壊の原因となっている。
【0004】
発泡スチロール廃棄物は嵩高い廃棄物であり、又、焼却による廃却処分には有害ガスが発生し、大気を汚染する恐れがある。このため、現在、発泡スチロール製の生鮮物収納容器は、廃棄物問題を通じて社会の厄介者になっている。
【0005】
更に、発泡スチロール製の生鮮物収納容器を廃却処分することは、石油資源などの資源を次々と消費することになるので、資源の枯渇を早めることになり、将来に対する課題を残すことになる。
【0006】
そこで、資源を再利用して枯渇を遅らせるという観点から、発泡スチロール製の生鮮物収納容器に代わり、後掲する特許文献1に開示されているように、紙、不織布、織布などと、有孔又は無孔の樹脂製フィルムの複合体からなり、抗菌機能及び脱臭機能を有する水性の分散体組成物を含浸または被覆せしめたシート状物体を用いた生鮮物収納容器が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−1936376号公報
【0008】
紙、不織布、織布、有孔または無孔のプラスチックフィルム等の複合体から選ばれたシート状物体に、金属酸化物セラミックス微粒子または、重金属イオン含有酸化物セラミックス微粒子、有機高分子粘結剤を必須成分として含有している水性の分散体組成物を含浸または被覆せしめて抗菌性、脱臭性を有するシート状物体が提案されている。
【0009】
しかしながら、この特許文献1のシート状物体においては、有孔のプラスチックフィルムが用いられているが、その要約には、「ドリップ吸収性を有する」、と記載されており、又、特許文献1、第2頁、左欄の[0001]において、「ドリップ吸収性を有するシート状物体」、との記載があり、更に、特許文献1、第2頁、左欄、下から2行目には、「生鮮食品等から惨出するドリップの吸収性」、との記載があり、特に、特許文献1の[0006]において、「ドリップ吸収体という観点から考えれば、プラスチックフィルム単体の使用では、その性能は期待できないために、プラスチックフィルムを使用する場合には、紙、不織布、織布等との複合体シートとして用いることが好ましい。」、と記載されているように、特許文献1に記載の有孔のプラスチックフィルムは通水性を有することが明らかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されている複合体はドリップ吸収体に利用されるので、容器内面に内張りされる合成樹脂製フィルムが通水性を有する結果、この通水性合成樹脂製フィルムを透過したドリップなどの水分を紙に吸収させるように構成している。
【0011】
このため、紙がふやけて強度が低下し、生鮮物収納容器を引きずった時に生鮮物収納容器が破れたり、生鮮物収納容器を持ち上げた時に生鮮物収納容器が中折れして内容物がこぼれたり、生鮮物収納容器を積み重ねたときに生鮮物収納容器の形が崩れて荷崩れを起こしたりすることがある。
したがって、耐久性が不十分になるという課題が避けられない。
【0012】
一方、無孔の合成樹脂製フィルムを用いると、通気性がないので、生鮮物収納容器の内外にわたる空気の流通が遮断される結果、生鮮物収納容器内に収納した生鮮品の品質低下が早められたり、生鮮物収納容器内に臭気がこもったりするという課題が生じる。
【0013】
特に、果物や生鮮野菜等の青果物更に生け花などの植物の場合、その保存中に呼吸に伴って植物ホルモンの一種であるエチレンガスを発生し、このエチレンガスが果物の追熟や植物の枯れを促進する結果、青果物や植物の長期保存性には適さないなどの致命的な課題がある。
【0014】
本発明は、従来技術のこれらの課題を解決し、故紙の回収・再利用が全国的に確立されて回収率が著しく高く、極めて容易に資源リサイクル効果を得ることができる上、強度低下が生じ難く、しかも、特に、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに至極好適に利用できる上、環境に穏やかで、しかも安全性が極めて高い生鮮物収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成するため、本発明に係る生鮮物収納容器においては、生鮮食料品、切り花などの植物を収納するための生鮮物の収納容器であって、この生鮮物の収納容器が、紙層で形成された容器本体と、この容器本体内に内張りされた内面層とからなり、この内面層が、通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムからなり、しかも前記紙層及び/又は前記内面層には機能性物質である活性炭が担持されていることを特徴とする、という技術的手段を採用する。
【0016】
本発明によれば、容器本体が紙層で構成されているので、使用済みの生鮮物収納容器を、簡単に適当なサイズの小片に裁断して再生紙原料にすることができる。
【0017】
そして、この再生紙原料を用いて、例えばこう解、サイズ液、目止剤、着色剤などの添加、仕上げのこう解(精整ともいう。)、スクリーンなどによるろ過などの工程を踏んで多孔質合成樹脂製フィルムの小片を除去することによって極めて容易に再生原質を得ることができる。
【0018】
更に、この再生原質の水漉し、乾燥などの工程、あるいは、この再生原質の担持物への吹付け、乾燥などの工程を踏んで極めて容易に再生紙を製造することができる。
【0019】
もちろん、上述のようにして得た再生紙原料、水漉し前の再生原質、あるいは再生紙の用途は、特に限定されるものではないが、本発明の生鮮物収納容器における容器本体を構成する紙層に用いられる紙として再生することができる。
【0020】
次に、本発明によれば、容器本体の内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルムは通気性を有するが、通水性を有しないので、紙層が生鮮物収納容器内の水分を吸収して強度低下することを防止できるのであり、十分に長期間にわたって、生鮮物収納容器を引きずった時に生鮮物収納容器が破れたり、生鮮物収納容器を持ち上げた時に生鮮物収納容器が中折れして内容物がこぼれたり、生鮮物収納容器を積み重ねたときに生鮮物収納容器の形が崩れて荷崩れを起こしたりすることを防止できるのである。
【0021】
又、本発明によれば、容器本体の内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルムは通気性を有するが、通水性を有しないので、容器内面の水洗いが可能であるうえ、生鮮物収納容器内の水分が内面層を浸透して紙層に滲み込むおそれがないので、生鮮物収納容器が魚や肉から発生したドリップにより浸潤される恐れがないのであり、従って、生鮮物収納容器外にドリップが滲出したりすることを確実に防止できる結果、生鮮物収納容器及びその周囲の衛生性を高めることができるのである。
【0022】
即ち、本発明に係る生鮮物収納容器においては、その内面の水洗いが可能であり、しかも生鮮物収納容器の内部及び外側面に浸潤したドリップに含まれる栄養素により、生鮮物収納容器の内部及び外側面に細菌、黴などの微生物が繁殖することを確実に防止して、微生物の繁殖による悪臭の発生を確実に防止できると共に、生鮮物収納容器の外側面がドリップやこれにより繁殖した微生物により汚染されることを確実に防止されるのである。
【0023】
つまり、特許文献1に記載の発明においては、生鮮物収納容器外に滲出したドリップに細菌、黴などの微生物が繁殖したり、この微生物の繁殖により悪臭が発生したり、生鮮物収納容器外に滲出したドリップやこれに繁殖した微生物により生鮮物収納容器の周囲が汚染されたりするのである。
【0024】
これに対して、本発明においては、特許文献1のこのような課題を一挙に解決できるのである。
【0025】
更に、本発明によれば、生鮮物収納容器の内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルム及び紙層に通気性があるので、当該内面層及び紙層を透過して、生鮮物収納容器の内外にわたって空気を流通させて、湿度以外の生鮮物収納容器内の雰囲気を、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに一層適した雰囲気にコントロールすることができる上、容器本体を構成する紙層及び/又はその表面に内張りされた内面層には機能性物質である活性炭を担持させているので、機能性物質である活性炭が植物ホルモンの一種であるエチレンガスを吸収して青果物や植物の鮮度を長期間にわたって保持したり、又、この活性炭に起因する遠赤外線の照射によって細菌や黴の発生ないし繁殖が抑制されるから、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに最も適した生鮮物収納容器を得ることができるのである。
【0026】
本発明において、機能性物質である活性炭は、臭気成分を物理的に吸着すると共に、イオン化学反応的に収着する上、マイナスイオンを照射したり、遠赤外線照射機能を備えているので、至極優れた効率のよい消臭機能及び脱臭機能を備える上、後述するように殺菌機能、消毒機能、抗菌機能、防黴機能などの防疫的機能を備え、しかも、物理的吸着による調湿機能や吸水機能も備えているので、本発明の機能性物質として特に必須のものである。
【0027】
なお、活性炭の原料としては、ヤシ殻、コーヒー殻、おから、籾殻、茶殻などが用いられるが、特に、ヤシ殻活性炭が望ましい。
【0028】
以下、本発明の生鮮物収納容器について更に詳細な説明をする。
本発明において、前記内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルムとしては、通気性を有するが、通水性を有しないものであれば特に限定されるものではなく、このような性質を有するものであれば発泡又は非発泡の通気性フィルムが挙げられる。
【0029】
本発明で用いられる多孔質合成樹脂製フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン系合成樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合けん化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などが用いられるが、これらの中では、安価で、しかも使用後の生鮮物収納容器から製紙原料を再生する際に容易に細片への裁断やこう解ができる上、延伸によって極めて容易に、通気性を有するが、通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムが得られるなどの理由から、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン系合成樹脂を用いるのが望ましい。
【0030】
前記発泡の合成樹脂製フィルムとしては、発泡により形成された表裏両面に開かれた独立気泡又は連続気泡を有するものと、発泡時にフィルム内に形成され、発泡後にフィルムを圧迫して破裂させることにより表裏両面に連通させた独立気泡又は連続気泡を有するものと、これらを併せ持つものとがある。
【0031】
非発泡の合成樹脂製フィルムに通気性を与える方法としては、フィルムを形成する際に1軸延伸又は2軸延伸させて通気孔を形成する方法、フィルムから特定成分を溶剤で抽出して通気孔を形成する方法など公知の方法が挙げられる。
【0032】
しかしながら、フィルム形成後にパンチングや極細針などによる穿孔により機械的に通気孔を形成する方法では、合成樹脂製フィルムに通水性を与える程度に大きな通気孔が形成されるので採用できない。
【0033】
これらの通気孔形成方法の中では、機能性物質として、少なくとも活性炭を配合した合成樹脂製フィルムを形成する際に1軸延伸又は2軸延伸させて通気孔を形成する方法が、延伸率を制御することによって、得られた多孔質合成樹脂製フィルムの通気性を高精度に且つ極めて容易にコントロールできる上、至極安価で、しかも短時間で、所望の多孔質合成樹脂製フィルムが得られるので最も望ましい。この場合、延伸によって、活性炭などの機能性物質が露出し、用いられた機能性物質と生鮮物収納容器内の雰囲気との接触が極めて良好になって当該機能性物質の機能が充分に発現するのである。
【0034】
ところで、本発明に係る生鮮物収納容器において、その通気性を制御する場合、以下の点について充分に配慮する必要がある。
【0035】
即ち、本発明において、生鮮物とは生鮮魚介類、食肉類、生鮮野菜類又は生鮮果実類などの生鮮食料品や切り花などの植物等を含む意味であり、本発明の生鮮物収納容器とはこれらの生鮮物を収納し、流通に供するものであり、これらは呼吸によって水分を発したり、そのものから水分が発生する。
【0036】
そこで、本発明者らは、この点に着目して長年にわたって鋭意検討を重ねた結果、この種、生鮮物収納容器内の雰囲気を生鮮物の保存に適している状態に制御するには、通気度で管理するよりも、透湿度で管理するのが望ましいとの知見を得たのである。
【0037】
そして、本発明で用いられる多孔質合成樹脂製フィルムとしては、通気性を有するが、通水性を有しないものであれば特に限定されるものではないか、これらのうち、特に、公知のリッシー法(L80−4000H型リッシー法透湿度測定器)により測定される透湿度が50〜3,500g/m2・24hrの範囲のものが好ましく、又、100〜2,750g/m2・24hrの範囲のものが一層好ましく、更に、150〜2,500g/m2・24hrの範囲のものが最も好ましい。
【0038】
ところで、本発明において、通気性を有するが、通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムとしては、同じ透湿度でもその厚さによって、通水性を有する場合と、通水性を有しない場合があり、又、用いられる合成樹脂の疎水性(発水性)によっても異なるので、この点も配慮する必要がある。
【0039】
この透湿度が50g/m2・24hr未満であると、容器本体を透過する空気(湿り空気)と機能性物質である活性炭(更に、他の機能性物質を添加する場合、活性炭と他の機能性物質)との接触効率が低くなり過ぎて、機能性物質を添加する効果が薄れるので好ましくなく、一方、3,500g/m2・24hrを超えると、生鮮物収納容器内の生鮮物からの水分が内面層を透過して、容器本体を構成する紙層に滲み込み、当該紙層(容器本体)の強度を低下させるおそれがある上、機能性物質の有効期間が短縮される恐れがあるので好ましくない。
【0040】
ここで、リッシー法とは、世界各国の工業規格に準拠した方法であり、所定の温度に保たれ、試料フィルムで区画された高湿度室から低湿度室に該試料フィルムを透過する水分により低湿度室の湿度が所定値だけ増加する時間を測定し、同じ条件で測定される透湿度が既知の標準フィルムのその時間と対比して試料フィルムの透湿度を求める方法である。
【0041】
実際には、L80−4000H型リッシー法透湿度測定器を使用し、JIS Z0208で規定されている温度40℃で、相対湿度差90%RHの条件を満たすように、高湿度室(下部チャンバー)の相対湿度を水を充填することにより100%RHに保ち、この高湿度室と試料フィルム又は標準フィルムで区画された空の低湿度室(上部チャンバー)の相対湿度が10%RHを中心にして±1%RHの幅で増加する時間、即ち、9%RHから11%RHに増加するに要した時間を測定し、透湿度既知の標準フィルムについて測定された時間と試料フィルムのそれとを比較して試料フィルムの透湿度を求める、方法である。
【0042】
ところで、この内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルムの厚さは、特に限定されないが、10〜3,000μmとすることが好ましく、その厚さが、10μm未満であれば、必要な機械的強度が得られなくなる上、膜厚を均一にすることが困難になるので好ましくなく、一方、3,000μmを超えると、意味が無いだけでなく、コストが高く不経済である上、必要とされる通気性を得ることが困難になるので好ましくないのである。
【0043】
ところで、容器本体を構成する紙層としては、予め製紙された紙で構成してもよいが、後述するように、原料繊維をこう解して水に懸濁させ、所要の添加物の添加、仕上げのこう解による均質化、ろ過による粗大繊維や夾雑物の除去、濃度調整などの処理を施した原質(懸濁液)を、当該容器本体の形状をした金型に吹付け、要求される強度やコスト等に配慮しつつ、繊維を平らに絡み合わせて乾燥させるという手順で形成することもできる。
【0044】
前記紙は、原料繊維を水に懸濁させ、水漉しをして薄く平らに絡み合わせた後乾燥させたものを言い、原料繊維としては、砕木パルプ、ケミグラウンドパルプ、サルファイドパルプ等の木材パルプ、コウゾ、ミツマタ、ガンピなどの靭皮繊維に代表される植物繊維が用いられるが、本発明においては、再利用されるレーヨンや再利用合成樹脂繊維が混じったものでもよい。
【0045】
言い換えると、多孔質合成樹脂製フィルムと紙層とからなる本発明の生鮮物収納容器を適当な大きさに裁断し、こう解、即ち、水中で機械力により叩いて紙層の紙に適した性質を与えることにより、再生利用することができるのである。
即ち、本発明においては、このように再生した再生紙で容器本体を構成しても良いのである。
【0046】
原料繊維を水に懸濁させた懸濁液には、必要に応じて、サイズ液、目止剤、着色剤などの添加物が添加されるが、特に、後述する活性炭以外の機能性物質を添加し、これによって、容器本体を構成する紙層に当該機能性物質を担持させるのが望ましい。
【0047】
前記サイズ液とは、紙の吸水性を抑制し、紙面に筆記されたり印刷されたりするインキが滲むことを防止するために添加されるものであり、原料繊維の表面や隙間を覆って液体の浸透拡散するのを防ぐ耐水性のコロイド物質を含んでいる。このサイズ液としては、ほとんどの場合ロジン(松脂)を含むロジン系のものが用いられるが、澱粉系のもの、ゼラチン系のもの、ラテックス系のもの、ビスコース系のものなどを用いてもよい。
【0048】
前記目止剤は、紙に不透明感を与えると共に、表面の平滑性を高めるために添加されるものであり、カオリン、タルク、石膏、白亜などの天然鉱物や、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸塩などの人造鉱物の粉末が用いられる。
【0049】
前記着色剤としては、鉱物性着色剤である顔料と、有機性着色剤である染料が用いられる。顔料は色が丈夫で、紙の嵩を増して紙価を低くできるなどの利点があり、染料は色の種類が豊富で、色調が鮮明であり、染色力が強く、添加量が多くても紙の強さが低下しないなどの利点がある。
【0050】
ところで、添加剤として、空気処理以外の機能を有する紫外線吸収剤、防腐剤、界面活性剤、老化防止剤又は艶だし剤などの他、後述する機能性物質を配合しても良いのである。
【0051】
ところで、本発明において、紙層に用いる紙の種類は、特に限定されず、洋紙、和紙、板紙、これらの中の1種類又は複数種類のものを積層したもののいずれでもよいのである。
【0052】
つまり、本発明においては、容器本体を構成する紙層が、複数の紙層の積層体で形成されているものが好ましいのであり、このように構成することによって、容器本体の強度を向上させたり、この複数の紙層の積層体において、機能性物質である活性炭を担持させた層、或いは他の機能性物質、例えば遠赤外線照射体や磁性体等の機能性物質を担持させた層などに分けて、各種機能を発現する紙層を形成しても良いのである。
【0053】
この場合、添加する機能性物質(後述する活性炭以外の機能性物質を含む場合は全機能性物質)の量は、紙材料の種類、或いは作成後の生鮮物収納容器に求められる強度によって、適宜決定されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的には、紙材料100重量部に対して、機能性物質5〜150重量部程度であることが好ましく、特に、7.5〜100重量部とするのが好ましい。
【0054】
本発明において、機能性物質の配合割合が、紙材料100重量部に対して、5重量部未満では少な過ぎて当該機能性物質の機能を充分に発揮できないので好ましくなく、一方、150重量部を超えると、機能性物質の効果に限界が生じるだけでなく、成形体の強度や経済性に課題が発生するので好ましくない。
【0055】
ところで、本発明においては、前述のように、前記した機能性物質である活性炭の粉末に、更に他の機能性物質が混合されてなる生鮮物収納容器も好ましく、このように構成すると、この他の機能性物質が発現するので一層望ましい。
【0056】
この機能性物質としては、前記生鮮物収納容器の用途、利用方法に応じて、脱臭剤、消臭剤、殺菌剤、抗菌剤、防黴剤、脱酸素剤、芳香剤等を、機能性物質である活性炭と共に、併用しても良く、これによって、各種機能の向上を実現できるのである。
【0057】
本発明においては、前述のように、活性炭以外の機能性物質を前記紙層及び/又は前記内面層に担持されたものが望ましいか、この機能性物質としては、殺菌・抗菌作用を発現したり、空気中の特定成分を吸着、収着したり、空気を調湿したり、空気中の特定成分と化学反応したり、遠赤外線を照射して防黴作用を発現したり、磁気を発生したりすることにより、空気を改質する機能を備えるものを言い、その機能としては、例えば殺菌機能(滅菌機能)、消臭機能、脱臭機能、消毒機能、抗菌機能、防黴機能、遠赤外線照射機能、酸化防止機能、脱酸素機能、芳香機能、調湿機能、吸水機能又は磁気発生機能などを有する機能性物質が挙げられる。
【0058】
これらの機能性物質を前記紙層及び/又は前記内面層に担持させると、生鮮物収納容器やこれに収納されている生鮮物に黴、菌などの微生物が繁殖することを防止したり、この微生物の繁殖により生鮮物収納容器や収納物から悪臭が発生することを防止したり、生鮮物収納容器内から防疫上問題のある微生物が周囲に放散されたりすることを防止することができる。
【0059】
更に、酸化防止機能や脱酸機能を有する機能性物質、例えば鉄粉などの金属粉を主成分とする脱酸素剤を前記紙層及び/又は前記内面層に担持させると、生鮮物収納容器内の酸素を吸収して低酸素濃度の雰囲気にして、酸化による生鮮物の劣化を防止できると共に、好気性微生物を死滅させたり、その繁殖を抑制したりして、長期間にわたって好気性微生物の繁殖による臭気の発生、収納物の劣化などを防止することができるものであり、更に、芳香機能としては、芳香、即ち、人が心地よく嗅覚することができる匂い、例えばハーブ、ミント、シナモン、ジャスミン、ラベンダー、フラボノイド類、プロポリス又はメントールなどの清涼感を与える匂いを放出する機能をいい、芳香機能を有する機能性物質としては、例えばゼオライトナドの多孔質セラミックスなどに芳香成分を含浸させたものが挙げられる。
【0060】
加えて、調湿機能や吸水機能を有する機能性物質を前記紙層及び/又は前記内面層に担持させると、生鮮物収納容器内の湿度雰囲気を生鮮物に適した最良の状態に維持できるのである。
【0061】
消臭機能あるいは脱臭機能を有する機能性物質としては、多孔質体、無機系イオン化学吸着型消臭剤があり、無機系イオン化学吸着型消臭剤にはプラスイオン型とマイナスイオン型とがある。
【0062】
又、前記吸着剤としては、変性し難く、水分や臭い成分を吸着・保持する物質、臭気成分を物理的に吸着し、又はこれに加えて臭気成分をイオン化学反応的に吸着(このイオン化学反応的吸着は、物理的な吸着と区別するために、特に収着と言う場合がある。)したりするものであれば特に限定されるものではないのである。
【0063】
具体的には、例えば活性炭(ブラックカーボン)の他に、竹炭、木炭、籾殻炭、酸化カルシウムや酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属や遷移金属の酸化物、水酸化物或いは塩化物、更に、シリカゲル、ゼオライト、パーライト、パーミキュライト、アルミナ、活性白土、珪藻土又は含水アルミノケイ酸塩鉱物等が挙げられるのであり、これらの物質から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができる。
【0064】
本発明において、プラスイオン型の無機系イオン化学吸着型消臭剤は、臭気成分と反応して無臭化するプラスイオンを発生するものであり、プラスイオン発生体とも呼ばれている。例えば亜鉛イオン、銅イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、銀イオン、鉄イオンなどの金属イオンが挙げられるのであり、これらのうち、特に、安全で、しかもあらゆる菌に対して優れた殺菌能力を発現する銀イオンを発生する銀イオン発生体が望ましい。
【0065】
マイナスイオン型の無機系イオン化学吸着型消臭剤は、臭気成分と反応して無臭化するマイナスイオンを発生するものであり、マイナスイオン発生体とも呼ばれている。例えばトルマリン、レアアース鉱石、希陽石、コハク、ブラックカーボン、ガーネット、サンゴ石、トロン、珪藻土、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化クロム、ゲルマニウム、金などがその例として挙げられる。
【0066】
特に、トルマリンは、電気石とも呼ばれ、細かく粉砕しても自発的に結晶の両端に正極(+極)と負極(−極)が存在し、負極から正極に流れるマイナスイオンを半永久的に発生するので好ましい。
【0067】
前記レアアース鉱石は、天然照射性元素であるウラン、トリウムなどを極微量含む鉱石であり、その照射エネルギーにより空気中の水分、酸素、窒素などをマイナスイオン化させて消臭又は脱臭する作用を備え、又、常温においても多量の遠赤外線を放出し、この遠赤外線で臭気の原因となる微生物を死滅させることにより消臭あるいは脱臭する作用を備える。
【0068】
なお、前記プラスイオンやマイナスイオンは、消臭機能だけではなく、殺菌などの防疫的機能も備える。
【0069】
前記遠赤外線照射機能とは、常温で、又は加熱により電磁波である遠赤外線を照射する機能のことであるが、この遠赤外線の波長領域については共通の見解が確立されているとは言えない。そこで、本発明では、赤外線の波長領域、即ち、0.75μm〜1,000μmの波長領域の中で、2.5μm〜1,000μmの範囲に属する電磁波を遠赤外線ということにする。
【0070】
この遠赤外線は、遠赤外線照射機能を有する機能性物質と接触している微生物はもとより、遠赤外線照射機能を有する空気処理体と接触していない微生物であっても、遠赤外線が到達する範囲内に存在する微生物の体内の水分子を励起して発熱させ、この発熱により微生物を死滅させる殺菌機能を備える。又、発臭源である微生物を死滅させることによる消臭機能又は脱臭機能を備える。
【0071】
遠赤外線照射機能を有する機能性物質としては、特に限定されないが、遠赤外線を照射する金属の酸化物、炭化物、窒化物又は炭酸塩などから選ばれる少なくとも1種類の非金属を含有する無機質固体(遠赤外線照射セラミックス)が多用される。
【0072】
前記金属としては、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、イットリウム(Y)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、クローム(Cr)、セレン(Se)、亜鉛(Zr)、カルシウム(Ca)、タンタリウム(Ta)又はニオビウム(Nb)などから選ばれた少なくとも1種の金属あるいは合金が用いられる。
【0073】
本発明に係る生鮮物収納容器おいて、機能性物質である活性炭は、その吸着・浄化効果、保水・保肥効果、遠赤外線照射効果、マイナスイオン発生効果及び調湿効果等を有し、環境に穏やかで、しかも無害且つ安全性が極めて高い上、故紙の回収・再利用ルートは全国的に確立されて回収率が著しく高く、したがって、生活分野、産業分野及び環境分野等の多分野において大きく貢献、利用される。
【0074】
そして、本発明においては、容器本体を構成する紙層が複数の紙層の積層体からなり、この複数の紙層のうち少なくとも1層が、機能性物質である活性炭を分散させた紙層に構成したり、又、前述のように、生鮮物収納容器には、更に活性炭以外の機能性物質が担持されて当該機能性物質に起因する各種、機能が発現するように構成するのが望ましい。
【0075】
ところで、本発明においては、容器本体を構成する紙層と紙層の間には、アルミニウム箔等の金属箔からなる断熱層が設けられているものが望ましく、又、この容器本体を構成する紙層における機能性物質である活性炭が、分散、塗工、圧入又は接着によって当該紙層に担持されているものも望ましい。
【0076】
これらの中では、保形性に優れた板紙を用いることが好ましく、板紙を積層したものを用いることが更に好ましい。この板紙は、洋紙や和紙と同様に1枚漉きにより形成したもの、2枚以上を漉き合わせたもの、漉き上げた紙を貼り合わせるものが挙げられる。
【0077】
板紙を積層したものの1種であるダンボールは、板紙からなる中心原紙(フルート)を波状に形成し、その両面または片面に表板紙(ライナー)を貼り付けたものが代表的であるが、この他に厚みと強度を大きくするために2段フルートダンボール、3段フルートダンボールなどと呼ばれる複数層の中心原紙を備えるもの、複数層の中心原紙の間に平坦な板紙を挟んだものなど種々の形態のものが知られている。
【0078】
このダンボールは、安価である上、特に保形力が強く、しかも、内部に空気層からなる断熱層が形成されているので、収納物を保冷又は保温する機能が優れており、本発明の紙層として特に好ましい。
【0079】
即ち、本発明に係る生鮮物収納容器においては、断熱層が、容器本体を構成する紙層の内部に形成された空気層であるものが、容器本体の断熱性に優れるので好ましい。
【0080】
本発明において、前記の内面層と紙層とを積層する方法としては、2つの方法があり、その一つは、それぞれ予め形成された内面層、即ち、通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルム層と紙層とを公知のラミネート技術(積層技術)により積層する方法であり、この方法で作られた積層体は、所定の形状に裁断(板取り)された後、折畳んだり、接着したりして所定の有底形状に形成される。
【0081】
又、前記の内面層と紙層とを積層する他の方法は、内面層を型に沿わして展開し、前記型に倣う形状に形成した後、原料繊維の懸濁液を内面層の外面に吹付け、乾燥させて紙層を形成する方法である。
【0082】
この方法においては、原料繊維をこう解して得た懸濁液に、必要に応じて、サイズ液、目止剤、着色剤、機能性物質などを添加して調合原質(俗にたねという。)を得るが、この調合原質は繊維の塊や、粗大繊維や夾雑物を含んでいるので、まず、仕上げのこう解を行って繊維の塊をほぐしたり、繊維の大きさを揃えたりして、均質化する。この後、濃度調整をし、スクリーンやリフラーにより粗大繊維や夾雑物を除去してから得た原質を内面層に吹付ける。
【0083】
つまり、前記調合原質を紙漉機で水漉きする前に行う処理と同様の処理が行われた原質を型に合わせた内面層に吹付けるのである。
【0084】
なお、内面層を型に合わせる方法としては、特に限定されないが、例えばレジンを主成分とする多孔質体で型を作り、この型に沿って展開させた内面層を型に真空吸着する方法や、帯電可能な材質で型を作り、この型に沿って展開させた内面層を型に静電吸着する方法を採用すればよく、又、この方法において、必要に応じて、例えばコーナー部などに生じる皺を取り除くために、加熱して内面層の一部分又は全部を収縮させる方法を採用すればよいのである。
【0085】
又、内面層に原質を吹付けて紙層を形成する方法では、生鮮物収納容器を一体物として形成してもよく、例えば横周面部分と底部分というように複数の部分に分割して形成した後、分割形成された部分を組合せ、必要に応じて、接着するようにしてもよい。
【0086】
もちろん、内面層への原質の吹付け量は適宜設計すればよく、内面層に吹付ける原質の中に例えばダンボールなどの紙を埋入して、強度と、紙層の厚さと、断熱性を増大させるようにしてもよい。
【0087】
本発明において、生鮮物収納容器としては、上端(上面)が開口(開放)された有底箱形に形成されたものが多用されているが、本発明においてはこのような形状のものに限定されるものではなく、あらゆる生鮮物の容器が挙げられる。
【0088】
即ち、本発明に係る生鮮物収納容器においては、その用途は多岐にわたるため、本発明においては、その用途を一概に限定することはできないが、具体的には、例えば当該生鮮物収納容器が、生鮮魚介類、食肉類、鶏卵又は青果物などの食品を梱包・保護するための食品用トレイやトロ箱などの上端(上面)が開口(開放)の容器、冷蔵・冷凍用容器、クーラーボックスなどの容器又は切り花などの植物を収納する植物収納容器が挙げられる。ところで、生鮮物収納容器として、上端(上面)が開口(開放)された有底箱形に形成された生鮮物収納容器の場合には、上面を蓋や、積み重ねた他の生鮮物収納容器の底により閉塞される。
【0089】
ところで、本発明に係る生鮮物収納容器においては、その外面に通水性を有しない無孔の高分子材料製フィルムからなる外面層が積層されているものが、例えば当該生鮮物収納容器を洗浄したり、屋外に積み重ねて保存したり、地面や床面を引きずる事ができる等、その取扱性が極めて容易になるので望ましく、この場合、この無孔の高分子材料製フィルムとしては、合成樹脂や天然或いは合成のゴムなどで形成された1層或いは2層以上の無孔の積層フィルムが用いられるが、これらのうち、特に、2層以上の無孔の積層フィルムが強度が高く、しかも耐水性が長期間にわたって保持できるので、生鮮物収納容器の耐久性が著しく向上するので望ましい。
【0090】
この外面層を構成する無孔の高分子材料製フィルムの厚さとしては、所要の強度及び耐久性を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般に、30〜5,000μmの範囲とするのが好ましく、又、50〜3,500μmの範囲とするのが一層好ましく、更に、75〜3,000μmの範囲とするのが最も好ましく、その厚さが、30μm未満であれば、必要な機械的強度が得られなくなる恐れがある上、所要の耐久性が得られないないので好ましくなく、一方、5,000μmを超えると、意味が無いだけでなく、コストが高く不経済であるので好ましくないのである。
【0091】
又、本発明に係る生鮮物収納容器においては、容器本体が紙層で成形されていることによってその担持された機能性物質の機能を充分に発現できるのであり、しかも従来の発泡スチロールが用いられていた分野において、当該発泡スチロールに代えて、この生鮮物収納容器を用いることができるので、再生・再利用が可能になる上、環境を破壊しないので極めて有用である。
【発明の効果】
【0092】
以上に説明したように、本発明の生鮮物収納容器においては、紙層で形成された容器本体と、この容器本体内に内張りされた内面層とからなり、この内面層が、通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムからなり、しかも前記紙層及び/又は前記内面層には機能性物質である活性炭が担持されており、この生鮮物収納容器おいては、容器本体が紙層で形成されて多孔質であるから、表面部の機能性物質だけでなく、当該容器本体の内部に埋没した機能性物質も充分に機能を発現する結果、添加した機能性物質が極めて有効に利用されるなどの効果を奏するのである。
【0093】
又、本発明に係る生鮮物収納容器おいては、その容器本体が紙層で形成されているから、当該紙層の回収・再利用が極めて容易であり、又、微生物によって分解され易く、空気中、水中などでも分解したり溶解したりする結果、環境に穏やかで、埋め立て処分等を行うことができるうえ、燃焼させても焼却炉内を傷めることがなく、しかも焼却の際にダイオキシン等の有毒ガスを発生することもなく、安全・衛生性等の観点からも極めて優れるなどの効果を奏するのである。
【0094】
更に、本発明に係る生鮮物収納容器おいて、容器本体は紙層で形成されていることから、故紙の回収・再利用ルートは全国的に確立されて回収率が著しく高く、したがって、素材回収性及び廃棄処理性に優れ、取り扱いが簡便で、二次公害の発生がなく、環境に悪影響を与えることがないなどの効果を奏するのである。
【0095】
即ち、本発明において、使用済みの生鮮物収納容器を適当なサイズの小片に裁断することによって容易に再生紙原料を得ることができるのであり、この再生紙原料を用いて、公知の製紙技術により至極容易に再生紙を得ることができるなどの効果などを得ることができる。又、この場合、この再生紙の用途は、特に限定されるものではなく、例えば本発明の生鮮物収納容器の紙層に用いる紙として再利用することができるのである。
【0096】
加えて、本発明に係る生鮮物収納容器においては、容器本体を構成する紙層と、この容器本体内に内張りされた内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルムが、通気性を有し且つ通水性を有しないので、紙層が生鮮物収納容器内の水分を吸収して強度低下となることを防止できるのであり、したがって、長期間にわたって充分な強度を保持したり、この生鮮物収納容器を引きずった時に当該生鮮物収納容器が破れたり、生鮮物収納容器を持ち上げた時に生鮮物収納容器が中折れして内容物がこぼれたり、生鮮物収納容器を積み重ねたときに生鮮物収納容器の形が崩れて荷崩れを起こしたりすることを防止できるなどの効果を奏するのである。
【0097】
又、本発明によれば、容器本体の内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルムは通気性を有するが、通水性を有しないので、容器内面の水洗いが可能であるうえ、生鮮物収納容器内の水分が内面層を浸透して紙層に滲み込むおそれがないので、生鮮物収納容器が魚類や食肉類から発生したドリップにより浸潤される恐れがないのであり、従って、生鮮物収納容器外にドリップが滲出したりすることを確実に防止できる結果、生鮮物収納容器及びその周囲の衛生性を高めることができるなどの効果を奏するのである。
【0098】
即ち、本発明に係る生鮮物収納容器においては、その内面の水洗いが可能であり、しかも生鮮物収納容器の内部及び外側面に浸潤したドリップに含まれる栄養素により、生鮮物収納容器の内部及び外側面に細菌、黴などの微生物が繁殖することを確実に防止して、微生物の繁殖による悪臭の発生を確実に防止できると共に、生鮮物収納容器の外側面がドリップやこれにより繁殖した微生物により汚染されることを確実に防止されるなどの効果を奏するのである。
【0099】
更に、本発明に係る生鮮物収納容器においては、この生鮮物収納容器の内面層を構成する多孔質合成樹脂製フィルム及び紙層に通気性があるので、この内面層及び紙層を透過して、生鮮物収納容器の内外にわたって空気を流通させて、湿度以外の生鮮物収納容器内の雰囲気を、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに一層適した状態にコントロールすることができる上、容器本体を構成する紙層及び/又はその表面に内張りされた内面層には機能性物質である活性炭を担持させているので、機能性物質である活性炭が植物ホルモンの一種であるエチレンガスを速やかに吸収して生鮮物の鮮度を長期間にわたって保持し得るのであり、又、この活性炭に起因する遠赤外線の照射によって細菌や黴の発生ないし繁殖が抑制されるから、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに最も適した生鮮物収納容器を得ることができるなどの効果を奏するのである。
【0100】
本発明に係る生鮮物収納容器において、機能性物質である活性炭は、至極効率良く、臭気成分を物理的に吸着すると共に、臭気成分をイオン化学反応的に収着する上、マイナスイオンを照射したり、遠赤外線照射機能を備えているので、殺菌機能、消毒機能、抗菌機能、防黴機能などの防疫的機能を備えるのであり、しかも、物理的吸着による調湿機能や吸水機能も備えているのであり、又特に、容器本体を構成する紙層との関連において、環境に穏やかで、無害且つ安全性が極めて高く、生活分野及び環境分野等の多分野において大きく貢献、利用されるなどの効果を奏するのである。
【0101】
又、本発明に係る生鮮物収納容器においては、容器本体を構成する紙層及び/又はその内面に内張りされる多孔質の内面層には機能性物質である活性炭が担持されていることによってその担持された機能性物質の機能を充分に発現できるのであり、しかも従来の発泡スチロールが用いられていた分野において、当該発泡スチロールに代えて、この生鮮物収納容器を用いることができるので、再生・再利用が可能になる上、環境を破壊しないのでこの点からも有用であるなどの効果を奏するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0102】
以下、本発明に係る実施例をトロ箱に適用した場合を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下に説明する実施例によって限定されるものではない。
【0103】
図面において、図1は一部分を切り欠いた本発明の1実施例に係るトロ箱の斜視図であり、図2はそのトロ箱の製造に用いられる型の斜視図であり、図3はそのトロ箱における内面層を型に合わせて設ける手順を示す斜視図であり、図4は型に支持された内面層に第1紙層を吹付ける手順を示す斜視図であり、図5は第1紙層に機能性物質層を積層する手順を示す斜視図であり、図6は機能性物質層に第2紙層を積層する手順を示す斜視図であり、図7は第2紙層に第3紙層を積層する手順を示す斜視図である。
【0104】
図1に示すように、このトロ箱は、平面視において長方形に形成された底面1とその四方の端縁から立ち上げた4面の立面2を備え、図2に示す型3を用いて上面が開放されたほぼ直方形の有底箱形に形成されている。
【0105】
この型3は、水平な長方形に形成された頂面3aと、この頂面3aの四方の端縁3bからほぼ垂直に垂れ下げた所定の高さを有する4面の懸崖面3cと、各懸崖面3cの下縁から水平に張り出すように形成された角環状のつば面3dと、このつば面3dの四方の端縁からほぼ垂直に立ち上げられた4面の外周面3eを備えている。
【0106】
もちろん、前記懸外面3cと前記外周面3eはトロ箱の離型を容易にするための抜き勾配を付けてあるが、図面上は垂直面として示している。
【0107】
図3に示すように、前記頂面3aと、この頂面3aの互いに背反する1対の端縁3bから垂れ下がる2面の懸崖面3c,3cと、これらに順次連続するつば面3dと外周面3eとの部分に沿うように、例えばポリエチレンなどのポリオレフィン系合成樹脂からなり、しかも通気性を有し且つ通水性を有しない第1の多孔質フィルム4aを展開し、更に、この第1の多孔質フィルム4aに前記頂面3a上で十文字に重ねられ、他の一対の端縁3bから垂れ下がる別の2面の懸崖面3c,3cと、これらに順次連続するつば面3dと外周面3eの部分に沿うように、例えばポリエチレンなどのポリオレフィン系合成樹脂からな、しかも通気性を有し且つ通水性を有しない第2の多孔質フィルム4bを展開する。
【0108】
前記型3は前記頂面3a、懸崖面3c、つば面3d及び外周面3eにわたって平均的に分散して開口する無数の微細な真空吸引口を有し、真空源にこれらの真空吸引口を接続することにより、前記第1・第2の両多孔質フィルム4を前記頂面3a、懸崖面3c、つば面3d及び外周面3eに吸着して固定する。
【0109】
前記頂面3a、懸崖面3c、つば面3d及び外周面3eに吸着固定された第1・第2の両多孔質フィルム4は、これらが継目で重なり合う幅を有し、例えば各端縁3bで重なり合う部分と、各懸崖面3cが交差する稜線3fで重なり合う部分を互いに接着又は粘着することにより、一体化される。
【0110】
この後、原料繊維をこう解し、所定の添加物を添加した後、仕上げのこう解により均質化され、ろ過により粗大繊維や夾雑物を除去され、更にこの後、濃度を調整された原質を、図4に示すように、前記第1・第2両多孔質フィルム4の外側に所定の厚さに吹付けて第1紙層5を形成する。
【0111】
この後、第1紙層5が乾燥しきらないうちに、図5に示すように、例えばヤシ殻活性炭からなる活性炭を第1紙層5の外面に吹付け、活性炭からなる機能性物質層6を形成する。
【0112】
機能性物質層6である活性炭を吹付ける範囲は、トロ箱の底面1と四方の立面2に対応する部分であり、第1紙層5とこれに積層される第2紙層7及び第3紙層8との積層強度を高めるために、前記型3のつば面3d及び外周面3eに対応する部分には活性炭を吹付けなくても良いのである。
【0113】
この機能性物質層(活性炭層)6は適当に粒度を調整された活性炭からなり、乾燥後には通気性を備える。
【0114】
なお、機能性物質層(活性炭層)6の第1紙層5への積層強度を増加させるために、乾燥後に通気性を備える結合剤、接着剤あるいは粘着剤を活性炭に配合した配合物を第1紙層5に吹付けてもよく、活性炭以外の機能性物質を配合した配合物を用いてもよい。
【0115】
更にこの後、第1紙層5が乾燥しきらないうちに、図6に示すように、板紙(例えばダンボール)からなる第2紙層7を機能性物質層(活性炭層)6にオーバーレイする。
第2紙層7は、前記頂面3aを覆う底面部7aと、長辺側の懸崖面3cを覆う長周面部7bと、短辺側の懸崖面3cを覆う短周面部7cとに分割して形成される。
【0116】
前記底面部7aは必要に応じて張り合わせられる内外2重の板紙からなり、内側、即ち、機能性物質層(活性炭層)6に直接に接する側の板紙の四方の各端縁には、各懸崖面3cに沿って折り曲げられたフラップ7dが各端縁の全長にわたって連設される。
【0117】
又、図7に示すように、外側の板紙は、前記型3の頂面3aの四辺から適当な大きさだけ控えさせ、トロ箱を積み重ねるときに下側のトロ箱の上面開口内にこの外側板紙及びこれにオーバーレイされた第3紙層8の部分が位置決めされて嵌まり込むようにする。
【0118】
前記長周面部7bは、懸崖面3cの高さよりも前記フラップ7dの分だけ高さが低い内側板紙7eと、懸崖面3cと同じ高さの外側板紙7fとを必要に応じて貼り合せたものであり、底面部7aと長周面部7bは、外側板紙7fの内側で前記フラップ7dと内側板紙7eとが突き付けられるようにして機能性物質層6である活性炭に重ねて置かれている。
【0119】
前記外側板紙7fの長手方向の両端縁には、短辺側の懸崖面3cに沿って折り曲げられるフラップ7gがその全高にわたって連設されている。
【0120】
前記短周面部7cは、短辺側の懸崖面3cと同じ形状及び大きさを有する外側板紙7hと、これの三方から底面部7aのフラップ7dの高さ又は長周面部7bのフラップ7gの長さだけ控えた内側板紙7iを必要に応じて貼り合せたものであり、この控えた部分に底面部7aのフラップ7d又は長周面部7bのフラップ7gを差込むようにして前記短辺側懸崖面7cに吹付けられた機能性物質層(活性炭層)6に重ねて置かれる。
【0121】
これら第2紙層7を構成する底面部7a、長周面部7b及び短周面部7cは予め、又は積層時にステープルで綴合したり、好ましくは乾燥後に通気性を有する接着剤又は粘着剤で貼り合せたりしてから機能性物質層6である活性炭に被せるようにしてもよい。
【0122】
しかし、この実施例では、機能性物質層6である活性炭と第2紙層7の間に空隙が生じないようにするため、まず、機能性物質層6である活性炭に底面部7aを貼り付けてから四方のフラップ7dを機能性物質層6に密に沿うように折り曲げ、次いで長周面部7bを長辺側懸崖面3cの空気処理層6及びフラップ7dに密に沿うように貼り付けてからフラップ7gを短辺側懸崖面3cの機能性物質層6である活性炭に密に沿うように折り曲げ、最後に短周面部7cを短辺側懸崖面3cの機能性物質層6及びフラップ7gに貼り付けるという手順を採用している。
【0123】
この第2紙層7の積層に際しては、底面部7a、長周面部7b及び短周面部7cをフラップ7d、7gの部分でのみ接着または粘着させることが好ましいが、乾燥後に通気性を有する接着剤又は粘着剤を使用する場合には、これらの部分以外を機能性物質層(活性炭層)6に接着又は粘着させてもよい。
【0124】
第2紙層7のオーバーレイが終了すると、好ましくは第1紙層5が乾燥しきる前に、図7に示すように、第3紙層8を、第1紙層5を内面層4に積層した手順と同様の手順で、第2紙層7に積層する。
【0125】
なお、この実施例では、トロ箱を使用する時にトロ箱の底面から前記積層体9内に水分が滲み込まないようにするために、必要に応じて、トロ箱を前記型3から外す前に、頂面3aに積層された第3紙層8の上面に例えば無孔合成樹脂製フィルムからなる外面層(底面防水層)10を積層されてなる。
【0126】
この外面層(底面防水層)10を構成する無孔の高分子材料製フィルムの厚さとしては、所要の強度及び耐久性を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般に、30〜5,000μmの範囲とするのが好ましいのである。
【0127】
前記第1紙層5、第3紙層8がある程度乾燥すると、前記第1・第2両多孔質フィルム4と、第1紙層5、機能性物質層(活性炭層)6、第2紙層7及び第3紙層8からなる積層体9を前記型3から外し、余分な多孔質フィルム4を切除することにより、図1に示す、トロ箱が得られる。
【0128】
このトロ箱によれば、前記積層体9が、通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムからなる内面層4と第1ないし第3の紙層5、7、8及び機能性物質(活性炭)層6で構成されているので、使用済みのトロ箱を、すこぶる簡単に適当なサイズの小片に裁断して再生紙原料にすることができる。
【0129】
そして、この再生紙原料を用いて、例えばこう解、サイズ液、目止剤、着色剤などの添加、仕上げのこう解(精整ともいう。)、スクリーンなどによるろ過などの公知の製紙技術の工程を踏んで、至極容易に原質を得ることができる。
【0130】
更に、この原質の水漉し、乾燥などの公知の製紙技術の工程、あるいは、この原質の担持物への吹付け、乾燥などの工程を踏んですこぶる容易に再生紙を製造することができる。
【0131】
もちろん、上述のようにして得た再生紙原料、水漉し前の原質、あるいは再生紙の用途は、特に限定されず、例えば本実施例のトロ箱の紙層に用いる紙として再生することができる。
【0132】
次に、このトロ箱によれば、その内側に通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムで形成された内面層4が内張りされており、又、その外側に無孔合成樹脂製フィルムからなる底面防水層10が積層されているので、当該トロ箱の推薦が極めて容易に行えるのであり、また第1ないし第3の紙層5、7、8がトロ箱内の水分を吸収することがなく、よって、当該トロ箱の強度低下が発生することを防止できる上、長期間にわたって充分な強度を保持し得るのであり、しかもトロ箱を引きずった時にトロ箱が破れたり、トロ箱を持ち上げた時にトロ箱が中折れして内容物がこぼれたり、トロ箱を積み重ねたときにトロ箱の形が崩れて荷崩れを起こしたりすることを防止できるのである。
【0133】
ところで、前記内面層4は、例えばポリエチレンなどのポリオレフィン系合成樹脂を1軸延伸又は2軸延伸することにより形成されており、リッシー法により測定される透湿度が50〜3,500g/m2・24hrの範囲の多孔質フィルムで形成されており、通気性は有するが、通水性は有しないものである。
【0134】
又、第1、第2、第3の各紙層5、7、8は紙で形成されているので、通気性及び通水性を備えている。
【0135】
従って、このトロ箱によれば、前記内面層4を構成する多孔質合成樹脂製フィルムが通水性を有しないので、トロ箱内の水分が内面層4を透過して紙層5、7、8に滲込むおそれがなく、トロ箱がドリップにより浸潤されたり、トロ箱外にドリップが滲出したりすることを確実に防止できるので、トロ箱及びその周囲の衛生性を高めることができる。
【0136】
即ち、トロ箱の第1から第3の各紙層5、7、8にドリップが染み込むことがなく、したがって、トロ箱の内部及び外側面に細菌、黴などの微生物が繁殖することや、微生物の繁殖により悪臭が発生することを確実に防止することができると共に、トロ箱の外側面や周囲(トロ箱の外側)がドリップやこれにより繁殖した微生物により汚染されることを防止することができる。
【0137】
特に、機能性物質(活性炭)層6は各紙層5、7、8の湿度(含水量)を調整する作用があるので、青果物から発生した水分をコントロールして当該青果物に適した保存状態の湿度を確保し、これによって、青果物をその鮮度が長期間にわたって維持された状態で保存できるのである。
【0138】
更に、このトロ箱によれば、容器本体内に内張りされる内面層4を構成する多孔質合成樹脂製フィルム及び第1から第3の各紙層5、7、8に通気性があり、機能性物質(活性炭)層6は各紙層5、7、8の湿度(含水量)を調整する作用があるので、青果物から発生した水分をコントロールして当該青果物に適した保存状態の湿度を確保し得る結果、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに適した雰囲気にコントロールしたり、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに適したトロ箱を得ることができるのである。
【0139】
加えて、本発明によれば、前記積層体9に活性炭からなる機能性物質層6を積層しているので、この機能性物質層6の活性炭によりトロ箱内の雰囲気を殺菌処理すると共に消臭処理して、湿度以外のトロ箱内の雰囲気を生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに一層適した雰囲気にコントロールすることができる結果、生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに最適のトロ箱を得ることができる。
【0140】
ところで、図面において、図8は本発明の他の実施例に係るトロ箱の斜視図であり、図9はこのトロ箱の積層体の断面を模式的に示す断面図であり、図10はその積層体の展開図である。
【0141】
このトロ箱は、図8及び図9に示すように、防水処理を施した板紙からなる紙層11の片面に機能性物質層(活性炭層)6と、前記本発明の1実施例に用いた内面層4を順に積層した積層体12を所定の形状に裁断した台紙を折って、上面が開放された直方形箱形に形成したものである。
【0142】
図8及び図10に示すように、前記積層体12は、長方形の底面部12aと、その四辺にそれぞれ各辺の全長にわたって連設された同じ幅の周面部12bと、各辺の周面部12bの間に展開される正方形の隅折部12cとを備え、且つ前記底面部12aと各周面部12bとの境界及び各周面部12bと隅折部12cとの境界には破線で示す谷折線が設けられ、各隅折部12cは底面部12aに接する角から対角に伸びる1点鎖線で示す山折線が設けられる。
【0143】
又、前記各山折線で隅折部12cを折り、短辺側又は長辺側の周面部12bに各隅折部12cを折り重ねてステープル、接着、粘着などにより固定することにより、図8に示す、トロ箱を得ることができる。
【0144】
この実施例に係るトロ箱の作用ないし効果は前記本発明の1実施例に係るトロ箱のそれらと同様である。
【0145】
ところで、図面において、図11は本発明の又他の実施例に係るトロ箱の斜視図であり、図12はこのトロ箱の積層体の断面を模式的に示す断面図であり、図13はその積層体の展開図である。
【0146】
このトロ箱は、図12に示すように、板紙からなる紙層13の両面に機能性物質(活性炭)層6と、前記本発明の1実施例に用いた内面層4と同様に構成された表面層14を順に積層した積層体15を所定の形状に裁断した台紙を折って、上面が開放された直方形箱形に形成したものである。
【0147】
図11及び図13に示すように、前記台紙は、長方形の底面部15aと、その四辺にそれぞれ各辺の全長にわたって連設された同じ幅の外周面部15bと、各外周面部15bの間に展開される正方形の隅折部15cと、各外周面部15bの外側端縁にそれぞれ全長にわたって連設され、両端を45度隅取された上縁部15dと、各上縁部15dの外端縁に連設された内周面部15eと、更に各内周面部15eの外端縁に連設された折返し部15fとを備え、前記底面部15aと各外周面部15bとの境界、各外周面部15bと隅折部15cとの境界、各外周面部15bと各外周面部15bとの境界、各外周面部15bと各内周面部15eとの境界、内周面部15eと折返し部15fとの境界には谷折線が設けられ、各隅折部15cは底面部15aに接する角から対角に伸びる山折線が設けられる。
【0148】
例えば隅折部15cの山折線と、各外周面部15bと隅折部15cの境界の谷折線を折って、短辺側又は長辺側の周面部12bに各隅折部15cを折り重ねてステープル、接着、粘着などにより固定した後、各外周面部15bと各上縁部15dの境界の谷折線を折り、更に内周面部15eと折返し部15fの境界の谷折線及び各上縁部15dと各内周面部15eの境界の谷折線を適当な順で折ることにより、図11に示す、トロ箱を得ることができる。
【0149】
このトロ箱によれば、トロ箱の底面及び四方の周面の内外両面が通気性を有し且つ通水性を有しない表面層14で覆われるので、トロ箱外から紙層13に水分が浸透することを防止することができ、トロ箱に水を掛けたり、水に漬けたりしても、トロ箱の紙層14の強度が低下することがない。
【0150】
この実施例のその他の構成、作用ないし効果は、前記本発明の1実施例に係るトロ箱のそれらと同様である。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、生鮮魚介類、生鮮野菜、生鮮果実、食肉、切花などの生鮮物の貯蔵、保存、輸送、販売などに使用されるトロ箱等の青果物収納容器に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るトロ箱の一部切り欠き斜視図である。
【図2】図2は、そのトロ箱の製造に用いられる型の斜視図である。
【図3】図3は、そのトロ箱における内面層を型に合わせて設ける手順を示す斜視図である。
【図4】図4は、型に支持された内面層に第1紙層を吹付ける手順を示す斜視図である。
【図5】図5は、第1紙層に機能性物質層を積層する手順を示す斜視図である。
【図6】図6は、機能性物質層に第2紙層を積層する手順を示す斜視図である。
【図7】図7は、第2紙層に第3紙層を積層する手順を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例に係るトロ箱の斜視図である。
【図9】図9は、そのトロ箱の積層体の断面を模式的に示す断面図である。
【図10】図10は、その積層体の展開図である。
【図11】図11は、本発明の又他の実施例に係るトロ箱の斜視図である。
【図12】図12は、そのトロ箱の積層体の断面を模式的に示す断面図である。
【図13】図13は、その積層体の展開図である。
【符号の説明】
【0153】
4 内面層
5 第1紙層
6 機能性物質層
7 第2紙層
8 第3紙層
9 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮食料品、切り花などの植物を収納するための生鮮物の収納容器であって、この生鮮物の収納容器が、紙層で形成された容器本体と、この容器本体内に内張りされた内面層とからなり、この内面層が、通気性を有し且つ通水性を有しない多孔質合成樹脂製フィルムからなり、しかも前記紙層及び/又は前記内面層には機能性物質である活性炭が担持されていることを特徴とする生鮮物収納容器。
【請求項2】
内面層の多孔質合成樹脂製フィルムがポリオレフィン系多孔質合成樹脂製フィルムである請求項1に記載の生鮮物収納容器。
【請求項3】
紙層が再生紙で形成されている請求項1又は2に記載の生鮮物収納容器。
【請求項4】
容器本体を構成する紙層が、複数の紙層の積層体で形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器。
【請求項5】
容器本体を構成する紙層には、断熱層が設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器。
【請求項6】
断熱層が、容器本体を構成する紙層の内部に形成された空気層である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器。
【請求項7】
容器本体を構成する紙層における機能性物質である活性炭が、分散、塗工、圧入又は接着によって当該紙層に担持されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器。
【請求項8】
容器本体を構成する紙層が複数の紙層の積層体からなり、この複数の紙層のうち少なくとも1層が、機能性物質である活性炭を分散させた紙層である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器には、更に活性炭以外の機能性物質が担持されてなる生鮮物収納容器。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器が、生鮮魚介類、食肉類、鶏卵又は青果物などの食品を梱包・保護するための食品用トレイやトロ箱などの上端開口の容器、冷蔵・冷凍用容器、クーラーボックスなどの容器又は切り花などの植物を収納する植物収納容器である生鮮物収納容器。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の生鮮物収納容器には、その外面に通水性を有しない高分子材料製フィルムからなる外面層が積層されている生鮮物収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−27622(P2006−27622A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205190(P2004−205190)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(500072840)株式会社上田敷物工場 (2)
【Fターム(参考)】