説明

生鳥籠取扱装置

【課題】 生鳥籠から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷せず、また洗浄の際に生鳥籠の内部の汚れを充分に除去でき、且つ多段に積み上げられた複数の生鳥籠から成る生鳥籠群からの生鳥籠の取り出しから空の生鳥籠群の形成までの行程が自動化された生鳥籠取扱装置を提供する。
【解決手段】 多段に積み重ねられた複数の生鳥籠から成る生鳥籠群から生鳥籠を一つずつ取り出す生鳥籠取り出し出装置と、生鳥籠の本体から蓋を取り外す蓋取り外し装置と、生鳥が取り出された生鳥籠の本体を洗浄する本体洗浄装置と、生鳥籠の蓋を洗浄する蓋洗浄装置と、生鳥籠の本体に蓋を装着する蓋装着装置と、空の生鳥籠を多段に積み上げて空の生鳥籠群を形成する生鳥籠段積み装置と、生鳥籠取り出し出装置と蓋取り外し装置と本体洗浄装置と蓋装着装置と生鳥籠段積み装置とを順次接続する第1コンベアと、蓋取り外し装置と蓋洗浄装置と蓋装着装置とを順次接続する第2コンベアとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鳥籠取扱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
養鶏場から食鳥処理工場への生鳥の運搬に際して、生鳥を入れる生鳥籠が使用されている。
図1〜図7に示すように、生鳥籠100は一般に、格子構造の側壁と底壁とを有すると共に上端が開放された平面視略長方形の倒置四角錐台形状の籠本体101と、籠本体101の開放された上端に係止される格子構造の蓋102とを備えている。
図8に示すように、生鳥籠100は、多段に積み重ねられた複数の生鳥籠100から成る生鳥籠群100′として、食鳥処理工場に搬入される。生鳥籠群100′から生鳥籠100が一つずつ取り出され、生鳥籠100から生鳥が取り出される。空になった生鳥籠100は、段積みされて空の生鳥籠群100′となり、食鳥処理工場から搬出される。
図1〜図7に示すように、籠本体101の上端に狭幅の外フランジ101aが形成されている。外フランジ101aの外縁は下方へ屈曲している。
籠本体101の長辺側側壁外面上部に、側壁の延在方向に互いに間隔を隔てて、上下に延在する2対のリブ101bが形成されている。多段に積み重ねられた複数の生鳥籠100から成る生鳥籠群100′から、生鳥籠100を一つずつ取り出す際に、下から二番目の生鳥籠100のリブ101bの下端に生鳥籠取り出し装置の爪が係合して、下から二番目以上の複数の生鳥籠全体を保持する。
蓋102の外周縁102aは下方へ屈曲している。蓋102の長辺側外周縁の下端から、前記長辺の延在方向に互いに間隔を隔てて一対の係止爪102bが延びている。係止爪102bが籠本体101の外フランジ101aの外縁下端に係合した状態で、蓋102は籠本体101の上端に係止されている。引き戸102cにより開閉可能な開口102dが蓋102に形成されている。蓋102の上面に、二対の補強溝102eが形成されている。補強溝102eの底面が下方へ突出することにより、補強リブとして機能する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食鳥処理工場においては、従来、生鳥籠100が搬送コンベアにより食鳥処理装置の近傍まで搬送されると、作業員が引き戸102cを引いて開口102dを開き、生鳥籠100から開口102dを介して生鳥を一羽ずつ取り出し、食鳥処理装置のハンガーに掛けていた。この結果、生鳥籠100から生鳥を取り出す際に生鳥が開口102dの縁と干渉して損傷する事故が多発していた。また使用済みの空の生鳥籠100を蓋102を取り付けたまま洗浄していたので、生鳥籠内部の汚れを十分に除去できかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、生鳥籠100から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷せず、また洗浄の際に生鳥籠100の内部の汚れを充分に除去でき、且つ生鳥籠群100′からの生鳥籠100の取り出しから空の生鳥籠群100′の形成までの行程が自動化された生鳥籠取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、多段に積み重ねられた複数の生鳥籠から成る生鳥籠群から生鳥籠を一つずつ取り出す生鳥籠取り出し出装置と、生鳥籠の本体から蓋を取り外す蓋取り外し装置と、生鳥が取り出された生鳥籠の本体を洗浄する本体洗浄装置と、生鳥籠の蓋を洗浄する蓋洗浄装置と、生鳥籠の本体に蓋を装着する蓋装着装置と、空の生鳥籠を多段に積み上げて空の生鳥籠群を形成する生鳥籠段積み装置と、生鳥籠取り出し出装置と蓋取り外し装置と本体洗浄装置と蓋装着装置と生鳥籠段積み装置とを順次接続する第1コンベアと、蓋取り外し装置と蓋洗浄装置と蓋装着装置とを順次接続する第2コンベアとを備えることを特徴とする生鳥籠取扱装置を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る生鳥籠取扱装置は、生鳥籠の本体から蓋を取り外す蓋取り外し装置を備えているので、生鳥の取り出し作業は蓋を取り外した後の生鳥籠の本体からの取り出し作業となる。生鳥籠の本体の上端は大きな開口を形成しているので、生鳥籠の本体から生鳥を取り出す際に生鳥が損傷するおそれは無い。本体洗浄装置は蓋を取り外した後の生鳥籠の本体を洗浄し、蓋洗浄装置は蓋のみを洗浄するので、本体の内部、蓋の裏側も充分に洗浄される。従って、生鳥籠の内部の汚れも充分に除去される。
生鳥籠取り出し装置から生鳥籠段積み装置までの各装置が第1コンベアで接続され、蓋取り外し装置から蓋装着装置までの各装置が第2コンベアで接続されることにより、生鳥籠群からの生鳥籠の取り出しから空の生鳥籠群の形成までの行程が自動化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例に係る生鳥籠取扱装置を説明する。
【実施例1】
【0007】
図9に示すように、生鳥籠取扱装置は、蛇行する搬送コンベア200を備えている。搬送コンベア200は黒矢印で示す方向へ走行する。搬送コンベア200の始端近傍部に、多段に積み重ねられた複数の生鳥籠100から成る生鳥籠群100′から一つずつ生鳥籠100を取り出す生鳥籠取り出し装置10が配設されている。生鳥籠取り出し装置10の下流に、生鳥籠の本体101から蓋102を取り外す蓋取り外し装置1、作業員が生鳥籠の本体101から生鳥を取り出しオーバーヘッドコンベアCのハンガーに生鳥を一羽ずつ懸け止める懸鳥作業部20、生鳥籠の空の本体101を洗浄する本体洗浄装置30、生鳥籠の空の本体101に蓋102を装着する蓋装着装置40、空の生鳥籠100を多段に積み重ねて空の生鳥籠群100′を形成する生鳥籠段積み装置50が、搬送コンベア200に沿って順次配設されている。
生鳥籠取扱装置は、蓋取り外し装置1から蓋装着装置40まで延在する搬送コンベア300を備えている。搬送コンベア300の中間部に生鳥籠の蓋102を洗浄する蓋洗浄装置60が配設されている。搬送コンベア300は二重黒矢印で示す方向へ走行する。
【0008】
生鳥籠取り出し出装置10として、特公平3−25378号公報に開示された鳥籠の積みあげ積みおろし装置を使用している。構造詳細は上記公報に開示されているので説明を省略するが、構造の概略を以下に説明する。
生鳥籠取り出し出装置10は、図10に示すように、直方体の枠組11を有している。枠組11の4本の脚の下端は、食鳥処理工場の床面に固定されている。枠組11の対向する両側部に、水平に配設されて対向する一対のエアシリンダー12が取り付けられている。エアシリンダー12のピストンロッドにL断面の係止爪13が固定されている。枠組11の前記両側部に挟まれた第3の側部に、油圧シリンダー14が垂直に取り付けられている。油圧シリンダー14の下方へ差し向けられたピストンロッドにL断面の生鳥籠支持部材15が固定されている。
【0009】
生鳥籠取り出し出装置10の作動を説明する。
生鳥籠群100′から生鳥籠100を一つずつ取り出す際には、エアシリンダー12のピストンロッドを縮めて爪13を後退させ、油圧シリンダー14のピストンロッドを伸ばして生鳥籠支持部材15を下降させた後、油圧シリンダー14が取り付けられた側部に対向する側部から生鳥籠群100′を枠組11内へ搬入し、生鳥籠群100′を生鳥籠支持部材15に載置する。
油圧シリンダー14のピストンロッドを縮めて生鳥籠支持部材15を上昇させ、エアシリンダー12のピストンロッドを伸ばして、下から二段目の生鳥籠100のリブ101bに爪13を係合させ、下から二段目以上の生鳥籠100を爪13により支持する。
油圧シリンダー14のピストンロッドを伸ばして、生鳥籠支持部材15を最下段の生鳥籠100と共に下降させ、油圧シリンダー14が取り付けられた側部に対向する側部から生鳥籠100を枠組11外へ搬出する。
生鳥籠支持部材15の上昇下降と、爪13の進退とを繰り返して、生鳥籠群100′から最下段の生鳥籠100を順次取り出し、枠組11外へ搬出する。
【0010】
複数の生鳥籠100を多段に積み上げて生鳥籠群100′を形成する際には、エアシリンダー12を縮めて爪13を後退させ、油圧シリンダー14のピストンロッドを伸ばして生鳥籠支持部材15を下降させた後、油圧シリンダー14が取り付けられた側部に対向する側部から生鳥籠100を枠組11内へ搬入し、生鳥籠100を生鳥籠支持部材15に載置する。
油圧シリンダー14のピストンロッドを縮めて生鳥籠支持部材15を上昇させ、エアシリンダー12のピストンロッドを伸ばして、生鳥籠100のリブ101bに爪13を係合させ、生鳥籠100を爪13により支持する。
油圧シリンダー14のピストンロッドを伸ばして、生鳥籠支持部材15を下降させ、次の生鳥籠100を枠組11内に搬入して生鳥籠支持部材15に載置する。油圧シリンダー14のピストンロッドを縮めて生鳥籠支持部材15を上昇させ、爪13で支持した生鳥籠100に下から当接させて二段の生鳥籠群100′を形成する。エアシリンダー12のピストンロッドを縮めて爪13を後退させた後、油圧シリンダー14のピストンロッドを更に縮めて生鳥籠支持部材15を更に上昇させ、エアシリンダー12のピストンロッドを伸ばして、最下段の生鳥籠100のリブ101bに爪13を係合させ、生鳥籠群100′を爪13により支持する。
生鳥籠支持部材15の下降上昇と、爪13の進退とを繰り返して、所定数の生鳥籠100から成る生鳥籠群100′を形成する。
爪13を後退させ、生鳥籠支持部材15を下降させた後、油圧シリンダー14が取り付けられた側部に対向する側部から生鳥籠群100′を枠組11外へ搬出する。
【0011】
蓋取り外し装置1は、図11〜図13に示すように、搬送コンベア200の両側上方に配設された一対の第1無端チェーン2と、搬送コンベア200の両側に且つ第1無端チェーン2の上方に配設され、第1無端チェーン2と一体に組み付けられた一対の第2無端チェーン3とを備えている。
第1無端チェーン2の内側走行部2aと、第2無端チェーン3の内側走行部3aとは、図11、図12、図13に白抜矢印で示すように、搬送コンベア200と同一方向へ走行しつつ、図12に示すように搬送コンベア200に対して上方へ相対移動する。
【0012】
図13、図14に示すように、第1無端チェーン内側走行部2aはガイド2bにより案内されており、始端近傍部2a及び中央部2aは搬送コンベア200に略平行に走行し、終端近傍部2aは搬送コンベア200の側方且つ離隔方向へ移動する。
図13、図14に示すように、第2無端チェーン内側走行部3aはガイド2b、3b、3c、3dにより案内されており、始端近傍部3aは搬送コンベア200の側方且つ近接方向へ移動し、中央部3aは搬送コンベア200の側方且つ離隔方向へ往復移動し、終端近傍部3aは搬送コンベア200に略平行に走行する
【0013】
図11〜図13に示すように、多数の爪4が、第2無端チェーン3の延在方向に互いに微少隙間を隔てて、第2無端チェーン3に取り付けられている。爪4は、第2無端チェーン内側走行部3aから搬送コンベア200の中心方向へ突出している。爪4の先端部は上方へ屈曲している。
【0014】
図11〜図13に示すように、一対の第3無端チェーン5が、第2無端チェーン内側走行部3aよりも搬送コンベア200の中心側に配設されている。第3無端チェーン5は、第2無端チェーン内側走行部3aの中央部3a及び終端近傍部3aの近傍上方に且つ第2無端チェーン内側走行部3aに略平行に配設されている。図12に二重白抜き矢印で示すように、第3無端チェーン5の下側走行部5aは、第2無端チェーン内側走行部3aと同一方向に走行する。
【0015】
図11〜図13に示すように、一対の第4無端チェーン6が、第2無端チェーン内側走行部3aよりも搬送コンベア200の中心側に配設されている。第4無端チェーン6は、第2無端チェーン内側走行部3aの終端部近傍に配設されている。第4無端チェーン6は、第2無端チェーン内側走行部3aの終端部を越えて延在している。第4無端チェーン6の上側走行部6aの始端部は、第2無端チェーン内側走行部3aの終端近傍部3aと略同一高さに位置決めされている。第4無端チェーン6の上側走行部6aは、図12に二重黒矢印で示すように、第2無端チェーン内側走行部3aと同一方向に走行しつつ、第2無端チェーン内側走行部3aよりも大きな傾斜で搬送コンベア200に対して上方へ相対移動する。
【0016】
図12に示すように、搬送コンベア200の、第2無端チェーン3内側走行部の終端近傍部3aに隣接する部位から終端部に至る領域の上方に、搬送コンベア200に沿って延在する覆部材7が配設されている。
【0017】
蓋取り外し装置1の作動を説明する。
生鳥籠取り出し装置10により、生鳥籠群100′から取り出され、搬送コンベア200上に載置された生鳥籠100は、搬送コンベア200の走行に伴って、蓋取り外し装置1に到達する。
【0018】
図15(a)に示すように、搬送コンベア200と同一方向に同一速度で走行する第1無端チェーン内側走行部2aの始端近傍部2aが、籠本体101の長辺側側壁のリブ101b下部に当接する。次いで、図15(b)に示すように、搬送コンベア200と同一方向に同一速度で走行する第2無端チェーン内側走行部3aの始端近傍部3aから、搬送コンベア200の中心方向へ向けて突出する爪4が、籠本体101の長辺側側壁のリブ101b上部に当接する。
第2無端チェーン内側走行部3aの始端近傍部3aが、搬送コンベア200に対して上方へ相対移動しつつ搬送コンベア200の側方且つ近接方向へ移動するのに伴って、爪4は、図15(c)に示すように、リブ101bを内側へ押圧し籠本体101の長辺側側壁を内側へ弾性変形させて、蓋102の係止爪102bと籠本体101のリブ101bとの間の側面視の隙間Sを押し広げつつ、生鳥籠100に対して上方へ相対移動する。
第3無端チェーン下側走行部5aの始端近傍部が生鳥籠の蓋102上面に当接する。
【0019】
図16(a)〜(c)に示すように、爪4は、搬送コンベア200と同一方向へ走行しつつ、生鳥籠100に対して上方へ相対移動し続け、蓋102の係止爪102bに下方から係合すると共にリブ101bに形成された突起に下方から係合する。
爪4は、蓋102の係止爪102bと籠本体101のリブ101bとの間の側面視の隙間Sを押し広げつつ、生鳥籠100に対して上方へ相対移動するので、係止爪102bに容易に係合することができる。爪4は、図12に示すように、生鳥籠100を搬送コンベア200から持ち上げる。
【0020】
図17(a)〜(c)、図18(a)〜(c)に示すように、第2無端チェーン内側走行部3aの中央部3aが、搬送コンベア200の側方且つ離隔方向へ往復移動する際に、第2無端チェーン内側走行部3aの中央部3aから搬送コンベア200の中心方向へ向けて突出する爪4に係合する蓋102の係止爪102bは、所定時間に亘って弾性変形し、側面視で籠本体側壁のリブ101bから離れる。第1無端チェーン内側走行部2aが、籠本体側壁のリブ101bに当接しているので、籠本体101の長辺側側壁の、外方へのスプリングバックが防止される。この結果、係止爪102bは、側面視で籠本体側壁のリブ101bから容易に離れることができる。蓋102の係止爪102bが側面視で籠本体側壁のリブ101bから離れることにより、係止爪102bと籠本体101の上端に形成された外フランジ101aの外縁下端との係合が解除される。
蓋102に形成された係止爪102bと籠本体101の上端に形成された外フランジ101aの外縁下端との係合が、搬送コンベア200により搬送される生鳥籠100の進行方向前方の係止爪102bから後方の係止爪102bへ向けて順次解除され、生鳥籠100の蓋102が籠本体101から取り外される。
第3無端チェーン5の下側走行部5aが、生鳥籠の蓋102を上方から押さえるので、蓋102を籠本体101から取り外す際に蓋102の挙動は不安定にならない。
【0021】
蓋102の係止爪102bとの係合が解除された籠本体101は、図12に示すように、自重で下方へ移動する。
第1無端チェーン内側走行部2aの終端近傍部2aが、搬送コンベア200と同一方向に走行しつつ搬送コンベア200の側方且つ離隔方向へ移動し、図19(a)に示すように、第1無端チェーン内側走行部2aの終端近傍部2aが、籠本体側壁のリブ101bから離れる。生鳥を収容した籠本体101が自重により下方へ移動する際の抵抗が減少するので、籠本体101は速やかに搬送コンベア200上に戻る。
【0022】
第2無端チェーン内側走行部3aが搬送コンベアコンベア200に対して上方へ相対移動するのに伴って、第2無端チェーン内側走行部3aから搬送コンベア200の中心方向へ突出する爪4に係合した蓋102は、図12に示すように、自重で下方へ移動し搬送コンベア200上に戻った籠本体101から上方へ遠ざかる。
【0023】
図12、図19(b)に示すように、蓋102は、第2無端チェーン内側走行部3aの終端近傍部3aから、第4無端チェーン上側走行部6aの始端近傍部に乗り移る。
蓋102が、第2無端チェーン3から第4無端チェーン6に乗り移ることにより、第2無端チェーン内側走行部3aの終端近傍で、蓋102が両方の第2無端チェーン内側走行部3aに引っ張られて破損する事態の発生が防止される。
第4無端チェーン上側走行部6aに乗り移った蓋102は、第4無端チェーン上側走行部6aの終端部から搬送コンベア300に乗り移る。
【0024】
生鳥籠100の生鳥を収容した本体101は、搬送コンベア200に乗って、懸鳥作業部20へ送られる。懸鳥作業部20において、生鳥籠の本体101から生鳥が一羽ずつ取り出され、オーバーヘッドコンベアCのハンガーに懸け止められる。生鳥籠の本体101の上端は、広く開口しているので、本体101から生鳥を取り出す際に、生鳥が本体100上端の開口の縁に干渉して損傷するおそれは無い。
生鳥籠100の空になった本体101は、搬送コンベア200に乗って本体洗浄装置30へ送られる。
生鳥籠の蓋102は搬送コンベア300に乗って蓋洗浄装置60へ送られる。
【0025】
本体洗浄装置30は、搬送コンベア200に沿って配設された複数の図示しない洗浄水噴射ノズルを備えている。生鳥籠の本体101は、側壁の外側から洗浄水の噴射を受けると共に、上端の開口側からも洗浄水の噴射を受けて、洗浄される。この結果、外側の汚れのみならず内側の汚れも充分に除去される。
蓋洗浄装置60は、搬送コンベア300に沿って配設された複数の図示しない洗浄水噴射ノズルを備えている。生鳥籠の本体101は、洗浄水の噴射を受けて洗浄される。
【0026】
蓋装着装置40は、図20に示すように、生鳥籠100の蓋102を傾斜させた状態で多段に積み上げて収容する蓋ストッカー41を有している。蓋ストッカー41は洗浄済の蓋102を搬送する搬送コンベア300の終端に近接して配設されている。
【0027】
蓋ストッカー41の下端部に、蓋102を挟んで対向する2対のエアシリンダー42aと、2対のエアシリンダー42bとが配設されている。二対のエアシリンダー42aは、ピストンロッドが最下段の蓋102の両側部直下に進退し、両側部直下に進出した際に両側部下面に当接して最下段の蓋102を下方から支持するように配設されており、二対のエアシリンダー42bは、最下段の蓋102の上面に形成された補強溝102eにピストンロッドが侵入して下から二段目の蓋102の両側部直下に進退し、両側部直下に進出した際に両側部下面に当接し、下から二段目の蓋102を下方から支持するように配設されている。
【0028】
蓋ストッカー41の直下に、蓋押出エアシリンダー43と、蓋保持エアシリンダー44とが配設されている。蓋押出エアシリンダー43のピストンロッドと蓋保持エアシリンダー44のピストンロッドとに、蓋保持装爪45と蓋保持装爪46とが取り付けられている。
蓋保持爪45は、蓋ストッカー41から取り出された蓋102の搬送コンベア200進行方向後端部に係合する第1位置と、蓋102を搬送コンベア200進行方向前方へ向けて斜め下方へ押し出した第2位置との間で往復移動する。
蓋保持爪46は、押し出された蓋102の搬送コンベア200進行方向前端部に係合する第1位置と、第1位置よりも搬送コンベア200進行方向前方上方の第2位置との間で往復移動する。蓋保持爪46は図示しないバネにより、蓋102の前端部に係合する方向へ回転付勢されている。
蓋ストッカー41の下方に蓋ガイドバー47が配設されている。
蓋押出エアシリンダー43、蓋保持エアシリンダー44、蓋保持爪45、46、蓋ガイドバー47は、蓋保持装置を形成している。
【0029】
蓋装着装置40は、蓋保持爪46よりも搬送コンベア200進行方向前方に配設された、蓋押さえローラー48と蓋押さえコンベア49とにより形成される蓋押圧装置を備えている。
蓋装着装置40は、洗浄済の籠本体101を搬送する搬送コンベア200の直上に配設されている。搬送コンベア200は、爪201を籠本体101の後端下部に当接させた状態で籠本体101を搬送する。
【0030】
蓋装着装置40の作動を説明する。
蓋ストッカー41は、搬送コンベア300により搬送された蓋102を、搬送コンベア200進行方向前端部が搬送コンベア200進行方向後端部よりも下方になるように傾斜させた状態で、多段に積み上げて収容する。
蓋102の取り出し時を除いて、図21(a)に示すように、エアシリンダー42aのピストンロッドが伸びて、最下段の蓋102の両側部直下に進出して両側部を下方から支持し、多段に積み上げられた複数の蓋102全体を支持している。エアシリンダー42bのピストンロッドは縮んでおり、蓋102とは係合していない。
蓋102の取り出し時には、図21(b)に示すように、エアシリンダー42bのピストンロッドが伸びて最下段の蓋102の補強溝102eに侵入し、下から二段目の蓋102の両側部直下に進出して両側部を下方から支持し、ひいては下から二段目以上の複数の蓋102全体を下方から支持する。
次いで、図21(c)に示すように、エアシリンダー42aのピストンロッドが縮んで最下段の蓋102の両側部直下から退出し、最下段の蓋102が蓋ストッカー41の下端から排出される。図20(a)から分かるように、蓋102は傾斜した状態で排出される。
次いで、図21(d)に示すように、エアシリンダー42aのピストンロッドが伸びる。
次いで、図21(e)に示すように、エアシリンダー42bのピストンロッドが縮んで蓋ストッカー41内に残存する複数の蓋中の最下段の蓋102の両側部直下から退出し、蓋ストッカー41内に残存する複数の蓋102全体が、エアシリンダー42aのピストンロッドまで落下する。最下段の蓋102の両側部がエアシリンダー42aのピストンロッドにより下方から支持され、蓋ストッカー41内に残存する複数の蓋102全体がエアシリンダー42aのピストンロッドにより下方から支持される。
エアシリンダー42a、42bの伸縮が繰り返されて、蓋ストッカー41内に傾斜した状態で多段に積み上げられて収容された複数の蓋102が、蓋ストッカー41の下端から一つずつ順次取り出される。
【0031】
図22(a)に示すように、蓋ストッカー41の下端から取り出された蓋102は、第1位置に在る蓋押出シリンダー43の蓋保持爪45と蓋ガイドバー47とにより傾斜した状態で支持される。
蓋押出シリンダー43のピストンロッドが伸びるのに伴って、蓋保持爪45は蓋102を搬送コンベア200の進行方向前方へ向けて斜め下方へ押し出す。蓋102は、第1位置にある蓋保持シリンダー44の蓋保持爪46に接近する。図22(b)に示すように、最終的に蓋102は、第2位置に到達した蓋押出シリンダー43の蓋保持爪45と、第1位置に在る蓋保持シリンダー44の蓋保持爪46と、蓋ガイドバー47とにより、傾斜した状態で保持される。
図22(b)に示すように、搬送コンベア200に乗った空の籠本体101が、蓋押出シリンダー43の蓋保持爪45と蓋保持シリンダー44の蓋保持爪46と蓋ガイドバー47とにより傾斜した状態で保持された蓋102に後方から接近し、籠本体101の上端前端部が蓋102に衝突し、蓋102の前端部に嵌合する。
搬送コンベア200の走行に伴って生鳥籠の籠本体101が更に前進すると、図22(c)に示すように、生鳥籠の籠本体101に押されて蓋保持シリンダー44の蓋保持爪46が、図示しないバネの付勢力に抗して回転し、爪46と蓋102の係合状態が解除される。
図22(d)に示すように、搬送コンベア200の走行に伴って生鳥籠の籠本体101が更に前進し、蓋押出エアシリンダー43のピストンロッドと、蓋保持エアシリンダー44のピストンロッドとが縮み、蓋保持爪46は第2位置へ向けて搬送コンベア200進行方向前方上方へ移動し、蓋保持爪45は第1位置へ向けて搬送コンベア200進行方向後方上方へ移動して、蓋102から離脱する。
生鳥籠の籠本体101が更に前進すると、蓋102も本体101に従動して前進し、蓋ガイドバー47から離脱して、本体101に乗り移る。
生鳥籠の籠本体101と、籠本体101に乗った蓋102とが、蓋保持シリンダー44を通り過ぎると、蓋保持シリンダー44のピストッロッドが伸び、爪46が図示しないバネの付勢力により回転して、図22(a)に示すように、蓋ストッカー41から排出された蓋102と係合可能な状態となる。
【0032】
生鳥籠の籠本体101と、籠本体101に乗った蓋102とが、蓋押さえローラー48に到達すると、図20(a)に示すように、蓋押さえローラー48は、蓋102を籠本体101へ向けて下方へ押圧し、蓋102全体を本体101の上端に嵌合係止させる。蓋押さえコンベア49は、蓋102全体を本体101へ向けて押し付け、蓋102を完全に本体101の上端に嵌合係止させる。
【0033】
生鳥籠段積み装置50は、生鳥籠取り出し装置10と同一構成なので、説明を省略する。生鳥籠段積み装置50は、複数の空の生鳥籠100を多段に積み上げて空の生鳥籠群100′を形成する。
空の生鳥籠群100′は、搬送コンベア200の終端部から、図示しないトラックに積み込まれ、食鳥処理工場から搬出される。
【0034】
上記説明から分かるように、本実施例に係る生鳥籠取扱装置は、生鳥籠の本体101から蓋102を取り外す蓋取り外し装置1を備えているので、生鳥の取り出し作業は蓋102を取り外した後の生鳥籠の本体101からの取り出し作業となる。本体101の上端は広く開口しているので、本体101から生鳥を取り出す際に生鳥が本体101上端の前記開口の縁に干渉して損傷するおそれは無い。
本体洗浄装置30は蓋102を取り外した後の上端が広く開口した本体101を洗浄し、蓋洗浄装置60は蓋102のみを洗浄するので、本体101の内部、蓋102の裏側も充分に洗浄される。従って、生鳥籠100の内部の汚れも充分に除去される。
生鳥籠取り出し装置10から生鳥籠段積み装置50までの各装置が搬送コンベア200で接続され、蓋取り外し装置1から蓋装着装置40までの各装置が搬送コンベア300で接続されることにより、生鳥籠群100′からの生鳥籠100の取り出しから空の生鳥籠群100′の形成までの行程が自動化される。
【0035】
生鳥籠取り出し装置、蓋取り外し装置、本体洗浄装置、蓋洗浄装置、蓋装着装置、生鳥籠段積み装置は、上記実施例で説明したものに限定されない。他の構成を有するものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、食鳥処理工場に搬入された生鳥籠の処理に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】籠本体と蓋とを分離した状態での生鳥籠の正面図である。
【図2】籠本体と蓋とを分離した状態での生鳥籠の側面図である。
【図3】生鳥籠の上面図である。
【図4】生鳥籠の上面図である。
【図5】図1のV−V矢視図である。
【図6】蓋を籠本体に取り付けた状態での生鳥籠の構造図である。(a)は蓋の係止爪位置での生鳥籠の横断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図7】蓋を籠本体に取り付けた状態での生鳥籠の構造図である。(a)は籠本体のリブ位置での生鳥籠の横断面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【図8】段積みされた生鳥籠の正面図である。
【図9】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置の上面図である。
【図10】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える生鳥籠取り出し装置の概略構造図である。(a)外観斜視図であり、(b)は正面図である。
【図11】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の上面図である。
【図12】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の側面図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢視図である。
【図14】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置が有する第1無端チェーンと第2無端チェーンの平断面図である。
【図15】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の作動状態の断面図である。
【図16】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の作動状態の断面図である。
【図17】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の作動状態の断面図である。
【図18】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の作動状態の断面図である。
【図19】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋取り外し装置の作動状態の断面図である。
【図20】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋装着装置の正面図である。
【図21】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋装着装置の作動を示す図である。
【図22】本発明の実施例に係る生鳥籠処理装置が備える蓋装着装置の作動を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 蓋取り外し装置
10 生鳥籠取り出し装置
20 懸鳥作業部
30 本体洗浄装置
40 蓋装着装置
50 生鳥籠段積み装置
60 蓋洗浄装置
100 生鳥籠
101 籠本体
102 蓋
200、300 搬送コンベア
C オーバーヘッドコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段に積み重ねられた複数の生鳥籠から成る生鳥籠群から生鳥籠を一つずつ取り出す生鳥籠取り出し出装置と、生鳥籠の本体から蓋を取り外す蓋取り外し装置と、生鳥が取り出された生鳥籠の本体を洗浄する本体洗浄装置と、生鳥籠の蓋を洗浄する蓋洗浄装置と、生鳥籠の本体に蓋を装着する蓋装着装置と、空の生鳥籠を多段に積み上げて空の生鳥籠群を形成する生鳥籠段積み装置と、生鳥籠取り出し出装置と蓋取り外し装置と本体洗浄装置と蓋装着装置と生鳥籠段積み装置とを順次接続する第1コンベアと、蓋取り外し装置と蓋洗浄装置と蓋装着装置とを順次接続する第2コンベアとを備えることを特徴とする生鳥籠取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−44826(P2006−44826A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225018(P2004−225018)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(391021879)ゴーデックス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】