説明

用時希釈型の化粧料

【課題】 浴用剤やボディーリンスという、用時水性担体で希釈して用いる、希薄油性成分の分散系において、界面活性剤量を減量する技術を提供する。
【解決手段】 1)1気圧25℃で液状の油脂5〜40質量%と2)アルコール60〜85質量%と3)非イオン界面活性剤0.1〜1質量%を、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料に含有させる。前記1気圧25℃で液状の油脂としては、シリコーン、脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸アルキルエステルから選択される1種乃至は2種以上が好ましく、前記アルコールとしては、エタノール、1.3−ブタンジオール、平均分子量が800以下のポリエチレングリコール及びジプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には、浴用剤やボディーリンスなどに好適な用時水性担体希釈型の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料の大きな目的の一つに、皮膚の保湿性を保つ、或いは、乾燥した皮膚に保湿性を付与することがある。これは、皮膚に於いて水分がバリア機能の維持など、皮膚機能の発現に必須の成分であるため、このものの欠如は皮膚機能の欠如に直結してしまうためである。特に、皮膚水分の欠如による皮膚機能の低下は、アトピー性皮膚炎のような、皮膚刺激に過敏な病態を誘導する。この意味において、皮膚を保湿することは、皮膚科学上重要な行為となっている。一度、アトピー性皮膚炎のような刺激に過敏な病態になると、医薬や化粧料の皮膚への投与すら刺激となり、炎症を増悪するからである。
【0003】
発症したアトピー性皮膚炎の処置には、通常、有効成分であるステロイドをベヒクルである、ワセリンに単純分散したステロイド軟膏の投与が適用される。これは、必要最低限の処置しかアトピー性皮膚炎が許容しないためである。即ち、クリームなどの製剤化のために使用される界面活性剤などがアトピー性皮膚炎には起炎因子として働く蓋然性が高いためである。ステロイド軟膏は有効成分を均一に皮膚に投与する点では、アトピー性皮膚炎に対して有用に働くが、皮膚保湿機能の付与という意味では、ワセリンによる閉塞効果しかないためあまり有効な手段とは言えない。ステロイド製剤は安全性の面でその使用が制限されるため、ステロイドによらないアトピー性皮膚炎への対処も求められていた。
【0004】
特に身体部におけるアトピー性皮膚炎への対処においては、界面活性剤を使用しないか、極めて少量の使用で、皮膚保湿作用を維持し、防御バリアを構築する技術を開発することが望まれていた。この時、防御バリアが必要以上に厚くならないことや、身体全表面に一様に防御バリアが構築されることが必要とされる。
【0005】
身体部の皮膚全面に化粧料組成物を投与する手段としては、浴用剤やボディーリンスという、希薄油性成分の分散系を投与する方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)が存するが、希薄油性成分分散系であるが故に界面活性剤の使用量が増えるので、この点でアトピー性皮膚炎への適用に適していない。
【0006】
【特許文献1】特開2000−128768号公報
【特許文献2】特開2005−97153号公報
【特許文献3】特開平6−80558号公報
【特許文献4】特開平6−80557号公報
【特許文献5】特開平6−80556号公報
【特許文献6】特開平8−53342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、浴用剤やボディーリンスという、用時水性担体で希釈して用いる、希薄油性成分の分散系において、界面活性剤量を減量する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、浴用剤やボディーリンスという、用時水性担体で希釈して用いる、希薄油性成分の分散系において、界面活性剤量を減量する技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料において、1)1気圧25℃で液状の油脂5〜40質量%と2)アルコール60〜85質量%とを含有する構成を採用することにより、使用時の乳化分散に要する界面活性剤の含有量を、希釈前の化粧料の総量に対して、0.1〜1質量%に減量できることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は次に示す通りである。
(1)1)1気圧25℃で液状の油脂5〜40質量%と2)アルコール60〜85質量%と3)非イオン界面活性剤0.1〜1質量%を含有する、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料。
(2)前記1気圧25℃で液状の油脂が、シリコーン、脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸アルキルエステルから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(1)に記載の化粧料。
(3)前記シリコーンが、ジメチコン、フェニルメチコン及びシクロメチコンから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧料。
(4)前記アルコールが、エタノール、1.3−ブタンジオール、平均分子量が800以下のポリエチレングリコール及びジプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の化粧料。
(5)浴用剤又はボディーリンスであることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の化粧料。
(6)アトピー性皮膚炎の改善のための化粧料であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴用剤やボディーリンスという、用時水性担体で希釈して用いる、希薄油性成分の分散系において、界面活性剤量を減量する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明の化粧料の必須成分である油脂
本発明の化粧料は、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料であって、1気圧25℃で液状の油脂5〜40質量%、より好ましくは7〜25質量%を、必須成分として、含有することを特徴とする。ここで、本発明に言う油脂とは、化粧料に通常使用される、炭化水素、シリコーン、高級アルコール、脂肪酸、少なくとも高級アルコール乃至は脂肪酸を構成要素とする1価乃至は多価のエステル、アミド又はエーテル、多価カルボン酸の多価エステルを基本構成要素とし、水とは任意の割合では混合しないものを意味する。具体的には、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、イソステアリルアルコール、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等が好ましく例示できる。これらの中では、シリコーン、脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸アルキルエステルから選択されるものが好ましく例示でき、シリコーンとしては、ジメチコン、フェニルメチコン、シクロメチコンが好ましく例示できる。脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸アルキルエステルとしては、構造の何処かに分岐のアルキル基を有することが好ましい。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。特に、希釈前の化粧料全量に対して、シリコーンを8〜23質量%含有する形態が好ましい。この様な構成を取ることにより、低界面活性剤配合下、希釈時に安定にエマルションを形成するためである。
【0011】
(2)本発明の化粧料の必須成分であるアルコール
本発明の化粧料は、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料であって、アルコールを60〜85質量%、より好ましくは65〜80質量%を必須成分として含有することを特徴とする。本発明で言うアルコールとは、少なくとも1個の水酸基で水素原子を置換した炭化水素であって、前記水酸基の少なくとも1個は1級の水酸基であり、且つ、水と任意の割合で混合するものを意味する。又、かかるアルコールとしては、1気圧25℃の条件で液状であることが好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、平均分子量100〜1000000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、ヘキシレングリコール(2,4−ヘキサンジオール)、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが例示でき、エタノール、1.3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。かかるアルコールの組成としては、アルコール全量の少なくとも40質量%が25℃、1気圧の条件下液体であるもので構成されることが好ましい。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。かかる成分は、前記液状の油脂を低含有量の非イオン界面活性剤の存在下で一様に、且つ、容易に水性担体に分散せしめる作用を有する。
【0012】
(3)本発明の化粧料の必須成分である非イオン界面活性剤
本発明の化粧料は、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料であって、非イオン界面活性剤0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0.7質量%を、必須成分として含有することを特徴とする。かかる量比は用時希釈時に乳化して白濁をするための最低必要量である。前記非イオン界面活性剤としては、化粧料で使用されているものであれば、特段の限定を受けず、親水性のものであっても、親油性のものであっても良く、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル等が例示できる。これらの非イオン界面活性剤は唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。
【0013】
(4)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記必須成分を含有し、用時に水性担体で希釈して用いるものであって、使用時に白濁状態を呈することを特徴とする。前記白濁状態は、少なくとも使用温度において10時間維持される安定性を有することが必要である。本発明の化粧料としては、その使用形態が、希釈過程を経て投与する行為を含むものであれば、特段の限定はされず、この様な形態で使用する化粧料としては、浴用剤(入浴剤)、入浴後の上がり湯において、本発明の化粧料を希釈して用い、更なる洗い流しを行ったり、そのまま入浴作業を終了したりする形態で使用する、ボディーリンスなどが好適に例示できる。使用における希釈倍率は、1000〜25万倍希釈程度が適当である。即ち、ボディーリンスとして用いる場合には、希釈率は1000〜10000倍希釈が適当であり、浴用剤として用いる場合には、5000〜25万倍希釈が適当である。この様な形態で使用することにより、皮膚上には前記油脂成分による保湿バリア層が構築されるが、かかる保湿バリア層に含有される非イオン界面活性剤の量は無視できる程度の低容量となる。この為、アトピー性皮膚炎の人に適用しても、前記非イオン界面活性剤が炎症を誘導する蓋然性は極めて低い。又、油脂成分に対する非イオン界面活性剤の量も極めて低くなり、油脂による保湿バリア層も強固なものになる。この為、アトピー性皮膚炎の増悪因子を低減化することが出来る。故に、本願発明の化粧料はアトピー性皮膚炎の人に、アトピー性皮膚炎を改善する目的で使用するのに好適である。勿論、通常の肌状態の人に本発明の化粧料を手今日するメリットは大きいし、デメリットは存しないので、本発明の化粧料を通常の肌状態の人に適用することの阻害要因は存しない。本発明の化粧料を使用時に希釈するのに用いる水性担体としては、実用的に入浴や身体の濯ぎに使用される水性担体であれば特段の限定無く適用することが出来、例えば、通常の30〜50℃の温水、浴用剤を使用した前日の残り湯の炊き直し品などが好適に例示できる。アトピー性皮膚炎の人に適用する場合には、水性担体は新湯とすることが好ましい。
【0014】
本発明の化粧料に於いては、前記必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲において含有することが出来る。この様な任意成分としては、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。本発明の化粧料は、これらの必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0015】
以下に、実施例を挙げて本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
以下に示す、表1の処方に従って、本発明の化粧料を製造した。即ち、処方成分を70℃で加熱下、攪拌混合し、攪拌冷却し本発明の化粧料である、化粧料1〜8を得た。希釈状態は20000倍に40℃のお湯を水性担体として希釈した場合の性状を示す。
【0017】
【表1】

【0018】
(比較例1)
化粧料4のフェニルメチコンの総量を40質量%とし、エタノール量を59.5質量%に減量して比較例1を製造した。このものは化粧料の性状としては濁りは認められなかったが、希釈状態では、表面に油滴が出現した。
【0019】
(比較例2)
化粧料4のPOP(34)ステアリルエーテルを1.5質量%に増量し、エタノールの量を78.5質量%に減量した比較例2を製造した。このものは化粧料の性状としては濁りは認められなかったが、希釈状態でも、均一な白濁分散系を呈した。
【0020】
<試験例1>
化粧料4、比較例1及び比較例2を用いて、テープストリッピング損傷モデルでのTEWL抑制作用を調べた。即ち、有志のパネラー1名の前腕内側部の2cm×3cmの部位を設けた後、「テヴァメーター」(インテグラル社製)で経皮的水分散逸量(TEWL)を測定し、サージカルテープで10回深くテープストリッピングを行い、前記化粧料の20000倍希釈液を部位と同じ大きさのリント布に含浸させ、5分間貼付し、しかる後、部位を軽く温水で濯いで、水分をタオルで拭った後、10分静置し、再びTEWLを計測した。投与部位以外にコントロール部位を設け、コントロール部位は温水を貼付した。(コントロール部位のTEWL−検体投与部位のTEWL)/(コントロール部位のTEWL−損傷前のTEWL)×100を計算し、TEWL抑制率と(%)した。結果を表2に示す。これより、本発明の化粧料が優れたTEWL抑制効果を有することが判る。即ち、界面活性剤量が多いと、界面活性剤によりTEWL抑制が阻害される場合が存し、油脂成分が多いと保湿層が不均一に形成される場合が存する。
【0021】
【表2】

【0022】
<試験例2>
化粧料4、比較例1及び比較例2について、有志のパネラー(5人)を用いたラウリル硫酸ナトリウム損傷皮膚における、刺激誘起性試験を行った。即ち、前腕内側部に2cm×4cmの部位を4つ設け、5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を4時間閉塞貼付して化学損傷をおこさせ、部位を水洗し、20分静置した後、検体を24時間閉塞貼付し、検体除去後30分に皮膚反応を本邦パッチテスト基準に従い判定した。即ち、無反応:−、微弱な紅斑を伴う反応:±、明瞭な紅斑を伴う反応:+、浮腫、丘疹を伴う反応:++の判定基準である。結果を表3に示す。これより、本発明の化粧料は刺激を発現する蓋然性が低いことが判る。
【0023】
【表3】

【実施例2】
【0024】
実施例1と同様に、表3に従って本発明の化粧料を製造した。又、その性状についても表3に記した。
【0025】
【表4】

【実施例3】
【0026】
実施例1と同様に、以下に示す表4に従って、本発明の化粧料、及び、本発明の化粧料の油脂を増量し、アルコールを減じた比較例3の化粧料を製造した。その性状についても、表5に示す。
【0027】
【表5】

【実施例4】
【0028】
実施例1と同様に、以下に示す表5に従って、本発明の化粧料を製造した。又、その性状についても、表6に示す。
【0029】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、浴用剤やボディーリンスに応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)1気圧25℃で液状の油脂5〜40質量%と2)アルコール60〜85質量%と3)非イオン界面活性剤0.1〜1質量%を含有する、用時水性担体希釈型の、使用時に白濁状態を呈する化粧料。
【請求項2】
前記1気圧25℃で液状の油脂が、シリコーン、脂肪酸トリグリセライド及び脂肪酸アルキルエステルから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記シリコーンが、ジメチコン、フェニルメチコン及びシクロメチコンから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記アルコールが、エタノール、1.3−ブタンジオール、平均分子量が800以下のポリエチレングリコール及びジプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
浴用剤又はボディーリンスであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
アトピー性皮膚炎の改善のための化粧料であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2007−99652(P2007−99652A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289593(P2005−289593)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】