説明

用紙供給装置及び記録材処理装置

【課題】本発明は、用紙束の側面からの空気流を用紙積載方向に変化させる用紙供給装置にて、用紙積載方向の装置高さを抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明の用紙供給装置は、用紙を積載する給紙用積載部と、用紙積載部に積載された用紙の束である用紙束の上から順に用紙を送り出す用紙送出し部と、用紙束の側面に開口部から空気流を供給するブロアと、ブロアと用紙束との間に設けられた流路開閉部材100と、開口部と流路開閉部材100との相対位置を用紙の積載方向と異なる方向へ変化させることによって、ブロアからの空気流を用紙の積載方向に対して変化させる機構とを有する用紙供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙供給装置および記録材処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙供給装置として、積載されたシート束の側面に対向して開口する吹出し口と、この吹出し口から吹出されるエア流路をシート表面に対して垂直方向に往復運動させるエア流路移動手段とを備えるものが存在する(特許文献1参照)。また、他の用紙供給装置として、エア吹付手段から吹き出されるエアの流路を用紙面垂直方向に移動させる流路移動手段を備えたものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−128300号公報
【特許文献2】特開平11−5643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、用紙束の側面からの空気流を用紙積載方向に変化させる用紙供給装置にて、用紙積載方向の装置高さを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、用紙を積載する用紙積載部と、前記用紙積載部に積載された用紙の束である用紙束の上から順に用紙を送り出す用紙送出部と、前記用紙束の側面に開口部から空気流を供給する空気流供給部と、前記開口部と前記用紙束との間に設けられた遮蔽部材と、前記開口部と前記遮蔽部材との相対位置を用紙の積載方向と異なる方向へ変化させることによって、前記空気流供給部からの空気流を当該用紙の積載方向に対して変化させる機構とを有する用紙供給装置である。
請求項2記載の発明は、前記遮蔽部材は、前記空気流供給部からの空気流の一部を遮断し、かつ前記用紙の積載方向に対して傾斜する部分である傾斜部を有することを特徴とする請求項1記載の用紙供給装置である。
請求項3記載の発明は、前記遮蔽部材は、前記機構の移動する方向に沿って延伸する板状の部材であることを特徴とする請求項1または2記載の用紙供給装置である。
請求項4記載の発明は、前記遮蔽部材は、前記傾斜部に設けられ、前記空気流供給部からの空気流を通過させる長穴を有することを特徴とする請求項2または3記載の用紙供給装置である。
請求項5記載の発明は、前記機構は、前記用紙の積載方向と交差する方向において往復運動をすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の用紙供給装置である。
請求項6記載の発明は、用紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に送り出す用紙を積載する用紙積載部と、前記用紙積載部に積載された用紙の束である用紙束の上から順に前記画像形成部に向けて用紙を送り出す用紙送出部と、前記用紙束の側面に空気流を供給する空気流供給部と、前記空気流供給部と前記用紙束との間に設けられ、前記空気流供給部からの空気流を当該用紙束の前記側面に向けて通過させるよう貫通して設けられた空気流吹出し口を有し、かつ当該用紙束の端部を揃えるよう用紙の積載方向に沿う面を有する用紙端案内部と、前記空気流供給部と前記用紙束との間に設けられ、前記用紙の積載方向と異なる方向へ移動することによって、前記空気流吹出し口を通して供給される空気流を当該用紙の積載方向に対して変化させる流路開閉部材とを有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、用紙束の側面からの空気流を用紙積載方向に変化させる用紙供給装置にて、用紙積載方向の装置高さを抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、用紙積載方向において空気流を順次拡大することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、設置領域の増加を抑制しながら、供給する用紙の積載方向における高さを減少させた用紙供給装置が提供できる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、より確実に用紙を一枚ずつ供給することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、供給する用紙の積載方向と交差する方向における長さをより減少させた用紙供給装置が提供できる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、用紙束の側面からの空気流を用紙積載方向に変化させる用紙供給装置を有する画像形成装置にて、用紙積載方向の装置高さを抑制しながら、用紙一枚ずつに確実に画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態が適用される用紙供給装置の概略正面図である。
【図3】本発明の実施の形態が適用される用紙供給装置の概略上面図である。
【図4】本発明の実施の形態が適用されるブロアとエア調整部の概略上面図である。
【図5】本発明の実施の形態が適用されるエア調整部の概略図であり、(a)は図4のV方向から見た流路開閉部材周辺を示す概略構成図を示し、(b)は流路開閉部材の説明図である。
【図6】エア吹出し口が解放された状態の流路開閉部材周辺を示す概略構成図である。
【図7】本発明の実施の形態が適用される流路開閉部材の他の例を示す正面図であり、(a)は曲線を有する例、(b)は階段状の形状を有する例、(c)はスリットを有する例をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1>
図1を用いて、画像形成装置1について説明する。ここで、図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、画像を読み取るスキャナなどの画像読み取り装置2と、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部機器3と、画像読み取り装置2および外部機器3などと通信回線4によって接続される受信部5と、この受信部5からの画像情報を取り込み、かつ画像形成装置1全体を制御する画像記録制御部7とを備える。なお、詳細は後述するが、画像記録制御部7は例えば給紙開始信号を出力する。
【0009】
また、画像形成装置1は、この画像記録制御部7が取りこんだ画像情報に基づき画像を書き込む画像書き込み装置6を備え、画像書き込み装置6によって静電潜像の書き込まれる円筒状の像保持体8と、この像保持体8の円周方向に沿って配設される帯電器9と、像保持体8に書き込まれた静電潜像をトナーを用いて現像する像現像装置10とを備える。さらに、画像形成装置1は、像保持体8に残存するトナーを除去するクリーナ11と、像保持体8に形成された画像を用紙Sへ転写する転写ローラ12と、用紙Sへ転写された画像を定着させる定着装置13と、この定着装置13から用紙Sを排出する排出ローラ14と、この排出ローラ14によって排出された用紙Sを積載する排出用積載部15とを備える。
さらにまた、画像形成装置1は、像保持体8及び転写ローラ12へ用紙搬送部16を介して用紙Sを供給する複数の用紙供給装置17とを備える。
【0010】
<用紙供給装置17>
次に、図2及び図3を用いて、用紙供給装置17について説明する。ここで、図2は、本発明の実施の形態が適用される用紙供給装置17の概略正面図であり、図3は、本発明の実施の形態が適用される用紙供給装置17の概略上面図である。
各用紙供給装置17は、用紙Sを内部に揃えて積載する給紙用積載部19と、給紙用積載部19に積載された用紙Sを上から順に像保持体8に向けて送り出す用紙送出し部21とを有する。
ここで、給紙用積載部19と用紙送出し部21とをさらに説明するが、まず用紙送出し部21について説明した後に、給紙用積載部19について説明する。
【0011】
<用紙送出し部21>
用紙送出し部21は、用紙Sを順次送り出すピックアップローラ22と、このピックアップローラ22よりも用紙Sの給紙方向(矢印A参照)の下流側に配置されるフィードローラ29及びリタードローラ30と、フィードローラ29及びリタードローラ30よりもさらに用紙Sの給紙方向の下流側に配置される一組のテイクアウェイローラ31と、ピックアップローラ22、フィードローラ29、及びリタードローラ30に接続されそれぞれに駆動力を供給するフィードモータ(図示せず)と、用紙Sの束の積載方向の高さを検知するレベルセンサ34と、用紙Sの通過を検知するためのフィードアウトセンサ28とを有する。
以下、それぞれの部材について説明する。
【0012】
まず、ピックアップローラ22は、用紙Sを給紙方向(矢印A参照)に送り出すよう回転可能に備えられる。さらに、ピックアップローラ22は、ソレノイド(図示せず)によって、支持アーム32を介して揺動自在(矢印B参照)に設けられている。
次に、レベルセンサ34は、ピックアップローラ22の一部に対向する位置に設けられ、ピックアップローラ22の位置を検出することより、底板20に積載された用紙Sの束の高さを検知できるよう構成されている。
【0013】
また、フィードローラ29は、ピックアップローラ22よりも給紙方向下流側において、給紙方向に回転可能(矢印D参照)に設けられており、ピックアップローラ22から送り出された用紙Sをさらに給紙方向下流側に送り出すよう構成される。
次に、リタードローラ30は、ピックアップローラ22よりも給紙方向下流側であって、フィードローラ29と対向するよう配置され、給紙方向及びその反対方向の両方向に回転可能に設けられる。そして、リタードローラ30は、給紙方向とは反対方向にトルクリミッタ(図示せず)から一定限度のトルクが付加されるよう設けられる。
【0014】
さらにまた、一組のテイクアウェイローラ31は、フィードローラ29およびリタードローラ30よりも給紙方向下流側に互いに対向して配置される。このそして一組のテイクアウェイローラ31は、給紙方向に回転可能(矢印C参照)であり、フィードローラ29から搬送された用紙Sを受けさらに下流側へと搬送するよう構成されている。
【0015】
<給紙用積載部19>
次に、図2乃至図5を用いて、給紙用積載部19について説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態が適用されるブロア95とエア調整部60の周辺の概略上面図である。また、図5は、本発明の実施の形態が適用されるエア調整部60の概略図であり、(a)は図4における矢印Vの方向から見た流路開閉部材100周辺を示す概略構成図を180°回転させた図を示し、(b)は流路開閉部材100を説明するための説明図である。なお、図5においては明瞭化のためブロア95及びノズル97を省略し、さらに用紙Sの一番上の用紙S1以外の用紙Sについても省略している。
【0016】
給紙用積載部19は、用紙Sの束をその内部に配置する給紙用皿部26と、この給紙用皿部26の底部に配置され用紙Sを積載する底板20と、この底板20と一方の端部が連結されたワイヤ(図示せず)と、このワイヤの他方の端部と接続された底板用モータ(図示せず)と、底板20に積載された用紙Sの束の移動を制限するエンドガイド23、第1サイドガイド24、及び第2サイドガイド25とを有する。さらに、給紙用積載部19は、用紙Sの束の側面にエアを吹き付けるブロア95と、このブロア95から吹きつけられるエアを調整するするエア調整部60とを有する。
以下、それぞれの部材について説明する。
【0017】
まず、エンドガイド23について説明すると、エンドガイド23は、底板20に積載される用紙Sの端部であって給紙方向と反対側の端部に接するよう配置される。そしてこのエンドガイド23は、底板20の上に積載された用紙Sの束における各端部を揃えるよう用紙Sの積載方向に沿う面を有する。なお、このエンドガイド23は、積載される用紙Sのサイズに応じて移動可能に設置されても良い。
【0018】
次に、第1サイドガイド24及び第2サイドガイド25について説明する。
第1サイドガイド24及び第2サイドガイド25は、底板20に積載される用紙Sの端部であって用紙Sの給紙方向に沿う2つの端部に接するよう配置される。より具体的には、第1サイドガイド24と第2サイドガイド25とは、底板20を挟んで互いに対向するよう配置されている。例えば、図2においては、第1サイドガイド24は図2における用紙Sの束に対して紙面手前側に設けられ(第1サイドガイド24は図2には図示せず)、第2サイドガイド25は図2用紙Sの束に対して紙面奥側に設けられている。
そして、第1サイドガイド24及び第2サイドガイド25は、底板20の上に積載された用紙Sの束における各端部を揃えるよう用紙Sの積載方向に沿う面を有する。なお、第1サイドガイド24及び第2サイドガイド25の両方あるいはいずれか一方が、積載される用紙Sのサイズに応じて移動可能に設置されても良い。
さらに第2サイドガイド25は、第2サイドガイド25における用紙Sの束と接触する側の面から、この用紙のSと接触する側と対向する側の面へ貫通し、用紙Sの束の側面に対向して開口するエア吹出し口51を有する。このエア吹出し口51は、用紙Sの束における一番上の用紙S1にエアを供給することができるよう配置される。
【0019】
次に、ブロア95について説明する。
ブロア95は、第2サイドガイド25に対向する位置に配置され、エア吹出し口51を通して用紙Sの束の側面にエアを吹き付けるよう構成される。
より具体的には、ブロア95は、ブロア95内に備えられ、回転することによってエアを発生する羽根(図示せず)と、羽根によって発生したエアをブロア95外の一方向に向けて排出させるノズル97を有している。そして、このノズル97には、エア吹出し口51に対向する開口部99が設けられている。エア吹出し口51と開口部99とが対向することにより、ブロア95から用紙Sの束に向けたエア流路62が形成される。
なお、この実施例においては、ノズル97の開口部99の形状及びエア吹出し口51の形状は同一であり、互いの開口部分が揃うよう配置されている(図4参照)。このことにより、ブロア95から排出されたエアが妨げられることなくエア吹出し口51を通過することが可能となる構成である。
【0020】
次に、エア調整部60について説明する。
エア調整部60は、第2サイドガイド25とブロア95との間に設けられる。
本実施の形態におけるエア調整部60は、エア流路62と交差するよう移動可能に設けられる流路開閉部材100と、この流路開閉部材100を駆動するための駆動手段と、流路開閉部材100の移動を検知するフォトセンサ107と、エア調整部60を支持する支持部材109とを有する。ここで、駆動手段は、この流路開閉部材100を移動させるための動力を供給する駆動モータ110と、駆動モータ110によって生じた動力を流路開閉部材100へ伝達する駆動ギア112、第1伝達ギア113及び第2伝達ギア114と、第2サイドガイド25に備えられ流路開閉部材100の移動方向を案内するガイドピン103とを含む。
以下、各部材について説明する。
【0021】
まず、流路開閉部材100は、エア吹出口51を開閉するシャッタとして機能し、エア吹出口51へと通じるエア流路62を開閉させるものである。具体的には、流路開閉部材100は、エア流路62と交差する方向に延伸する面を有する板状の部材として構成される。そして、この流路開閉部材100は、ブロア95のノズル97と第2サイドガイド25との間で往復運動可能である。より具体的には、流路開閉部材100は、エア流路62と交差する方向であって、底板20の上に積載された用紙Sのサイドガイド側の端部に沿う方向(以下、用紙端部方向とする。図4の矢印E参照)に往復で移動するよう設けられている。
流路開閉部材100は、用紙Sの積載方向の幅(図5における上下方向の高さ)によって、幅狭部100a、傾斜部100b、および幅広部100cの3つの部分に分けられる。すなわち、図5(b)に示すように、流路開閉部材100は、流路開閉部材100の用紙端部方向における一方の端部側であって用紙Sの積載方向の幅が短い幅狭部100a、流路開閉部材100の用紙端部方向における他方の端部側であって用紙Sの積載方向の幅が広い幅広部100c、および幅狭部100aと幅広部100cとの間に設けられ用紙Sの積載方向の幅が変化する傾斜部100bとからなる。後述するように、流路開閉部材100が用紙端部方向に移動するに従い、エア吹出し口51に対向する流路開閉部材100の部分が、幅広部100c、傾斜部100b、および幅狭部100aと変化するよう構成されている。
【0022】
ここで、図5(b)に示すように、流路開閉部材100の下側の端部は後述する遮光部115を除き直線である。
一方、流路開閉部材100の上側の端部は、直線ではなく、幅広部100c、傾斜部100b、及び幅狭部100aの順番で、流路開閉部材100の下側の端部に近づく構成である。より具体的には、流路開閉部材100の上側の端部は、幅広部100c及び幅狭部100aにおいては、流路開閉部材100の下側の端部との距離はそれぞれ一定である。それに対して、傾斜部100bにおいては、流路開閉部材100の下側の端部との距離は変化し、幅狭部100aの用紙Sの積載方向における上側の端部と、幅広部100cの上側の端部とを用紙Sの積載方向と交差する直線で結ぶよう形成されている。
【0023】
さらに、流路開閉部材100の幅広部100cは、エア吹出し口51に対向する位置に配置されると、エア流路62を遮ることが可能となるよう設けられている。また、流路開閉部材100の幅狭部100aは、エア吹出し口51に対向する位置に配置されると、エア流路62を遮ることがないよう設けられている。
【0024】
さらにまた、流路開閉部材100は、用紙Sの積載方向における底板20側にガイドスリット105を有する。このガイドスリット105は、用紙端部方向に沿って延伸する。そして、このガイドスリット105には、第2サイドガイド25に備えられた2つのガイドピン103が配置され、流路開閉部材100の用紙端部方向の軌跡を規制するよう構成される。
さらにまた、流路開閉部材100は、底板20側の端部にラックギア102を備える。このラックギア102は、用紙端部方向に沿って延伸するよう設けられており、後述するように駆動モータ110によって供給された動力を、流路開閉部材100の直線方向の運動として伝える。
さらにまた、流路開閉部材100は、幅狭部100a側の端部であって、フォトセンサ107と対向する位置に遮光部115を備える。この遮光部115の位置をフォトセンサ107が検知することにより、流路開閉部材100が流路62を閉じたことを検出するよう構成される。
【0025】
次に、駆動モータ110などについて説明する。
流路開閉部材100が移動するよう動力を供給する駆動モータ110は駆動軸を有し、この駆動軸と同軸に、駆動ギア112を設ける。そして、この駆動ギア112に第1伝達ギア113を噛合させ、さらに第1伝達ギア113と第2伝達ギア114を噛合させるよう配置する。そして、この第2伝達ギア114が流路開閉部材100の一側縁に設けられたラックギア102と噛合するよう配置する。このようにして、駆動モータ110からの駆動力を流路開閉部材100に伝達するよう構成されている。
【0026】
<用紙供給装置17の動作>
次に、用紙供給装置17の給紙方法の動作について、図6を参照しながら説明する。ここで、図6は、エア吹出し口51が解放された状態の流路開閉部材100周辺を示す概略構成図である。なお、図6においては、明瞭化のため用紙Sの一番上の用紙S1以外の用紙Sについては省略している。
まず、用紙供給装置17の動作としては、用紙供給装置17が駆動していない状態である待機状態と、用紙供給装置17が駆動している状態である駆動状態と、用紙Sが用紙供給装置17に積載されていない状態である用紙切れ状態がある。以下それぞれの状態について説明する。
【0027】
まず、用紙供給装置17の用紙切れ状態においては、給紙用皿部26に用紙Sは積載されておらず、ソレノイド(図示せず)によって押下されたピックアップローラ22は下降しており、図2に示す破線で描かれた位置に配置される。
次に、待機状態について説明する。用紙供給装置17を、上述の用紙切れ状態を待機状態へと変化させるために、用紙Sが供給される。具体的には、用紙Sの供給のため、画像形成装置1の外部に取り出された給紙用皿部26の底板20に用紙Sが積載され、給紙用皿部26が画像形成装置1に挿入されると、底板用モータ(図示せず)が駆動する。そして、底板用モータの駆動軸にワイヤ(図示せず)が巻きつくことにより底板20が上昇する。そして、用紙Sの束における一番上の用紙S1が、ソレノイド(図示せず)によって押下されたピックアップローラ22に接するよう配置される。そして用紙Sがピックアップローラ22に接することによって、ピックアップローラ22が上昇する。このピックアップローラ22の上昇を検知したレベルセンサ34が検出信号を出力し、この検出信号に基づき底板用モータ(図示せず)とソレノイド(図示せず)がオフとなる。この状態が、用紙供給装置17の待機状態である。
【0028】
なお、用紙切れ状態及び待機状態においては、用紙供給装置17の各部材は次のようになる。すなわち、ブロア95はオフであり、かつ駆動モータ10もオフである。さらに、流路開閉部材100は、エア吹出し口51に幅広部100cが対向するよう配置されており、エア吹出し口51を塞いでいる。すなわちエア流路62が流路開閉部材100によって遮られる状態である(図5(a)参照)。さらにまた、遮光部115はフォトセンサ107の光軸を遮光している。なお、用紙切れ状態及び待機状態に流路開閉部材100がエア吹出し口51を塞いでいるのは、エア吹出し口51から異物、ごみ、埃等が入らないようにするためである。
【0029】
次に、用紙供給装置17の駆動状態における動作を説明する。
ここではまず、用紙供給装置17の流路開閉部材100の動作について説明した後に、用紙供給装置17全体の動作について説明する。
【0030】
流路開閉部材100の動作について説明すると、まず画像記録制御部7から出力された給紙開始信号をトリガーとして、駆動モータ110が図5におけるCCW方向に駆動ギア112を回転させる。駆動モータ110が回転することにより、流路開閉部材100が図5における左方向(矢印G参照)に移動し始める。すなわち、流路開閉部材100がエア吹出し口51に対して、傾斜部100b及び幅狭部100aを順次対向するよう移動し始める。そして、流路開閉部材100が移動するに従い、塞がれているエア吹出し口51が順次解放される。
【0031】
具体的には、流路開閉部材100の傾斜部100bが図6におけるaの位置に来たときには、図6におけるエア吹出し口51の右端でかつ上側の角から順次解放される。すなわち、流路開閉部材100の進行方向(矢印G参照)とは反対側であって、用紙Sの積載方向の上側からエア吹出し口51が解放される。
さらに、流路開閉部材100が移動して、図6におけるb及びcの位置へと移動することによって、用紙Sの積載方向における上側から下側に向けてエアが吹きつけられる領域が広がる。また、積載した用紙Sの上側の用紙は、流路開閉部材100が移動するに従い、用紙端部方向においてより幅広くエアが吹き付けられるようになる。このことにより、用紙Sの束における用紙Sは上方から、順次浮揚分離しやすくなる。
そして、流路開閉部材100がdの位置まで移動することによって、エア吹出し口51の開口全てからエアが吹き出すことになる。すなわち、エア流路62が全て解放される。
【0032】
流路開閉部材100の動作についての説明を続けると、流路開閉部材100はdの位置まで到達すると、駆動モータ110は一旦停止する。
そして、流路開閉部材100は反対方向に移動を開始する。すなわち、図5の矢印Gとは反対に移動する。より具体的には、駆動モータ110が図5におけるCW方向に駆動ギア112を回転させることで、流路開閉部材100が図5における右方向に移動することで傾斜部100bがエア吹出し口51を序々に遮断する。そして、図6におけるc、b及びaの位置へと移動した後に、エア吹出し口51に幅広部100cが対向するよう配置されて、遮光部115がフォトセンサ107を遮光した位置で停止する。
用紙供給装置17は、以上の動作を給紙動作中は繰り返す、つまり用紙供給装置17は用紙端部方向に沿って往復運動することにより、用紙Sの束における上部の用紙Sは分離された状態を維持し続けることができる。
【0033】
次に、用紙供給装置17全体の動作について説明する。
まず、画像記録制御部7から出力された給紙開始信号をトリガーとして、ブロア95が駆動するとともに、用紙送出し部21が駆動する。これにより、用紙Sの束の一番上の用紙S1は、ピックアップされ捌かれた後、給紙方向に送り出される。なお、上述のように画像記録制御部7から出力された給紙開始信号をトリガーとして、流路開閉部材100も図5における左方向(矢印G参照)に移動し始める。
【0034】
ここで、用紙送出し部21の動作について詳細に説明をする。
まず、画像記録制御部7から出力された給紙開始信号をトリガーとして、フィードモータ(図示せず)によってピックアップローラ22、フィードローラ29、及びリタードローラ30が回転する。そして、ピックアップローラ22によって、ピックアップされた一番上の用紙S1は、ピックアップローラ22の給紙方向の下流に配置されたフィードローラ29とリタードローラ30とによって、分離/搬送される。すなわち、給紙方向に回転する(矢印D参照)フィードローラ29と、反給紙方向へトルクリミッタ(図示せず)によって一定限度のトルクが付加されつつ両方向に回転可能なリタードローラ30とが予め定められた圧力で接触し相互作用によって用紙Sは分離/搬送される。なお、このリタードローラ30は、フィードローラ29との接触部に用紙Sが1枚だけある場合は給紙方向に回転し、2枚以上の場合は反給紙方向に回転する。
【0035】
フィードローラ29とリタードローラ30とによって給紙方向に送り出された用紙Sは、用紙Sはテイクアウェイローラ31に受け渡され、さらに下流側へと搬送される。そして用紙Sが搬送されることは、フィードアウトセンサ28によって検知される。なお、用紙Sがテイクアウェイローラ31で搬送されている際フィードローラ29の駆動は停止されており、図示しないワンウエイクラッチによって連れ回っている状態である。
【0036】
そして、用紙Sの束の用紙Sが上から順次送付される際に、上述のように用紙供給装置17は用紙端部方向に沿って往復運動することにより、用紙Sの束における上側の用紙Sは分離された状態を維持し続けることができる。
【0037】
給紙動作が繰り返されると、用紙Sの束の高さが次第に低くなり、それにつれて押下時のピックアップローラ22の高さも低くなる。これよりピックアップローラ22の支持アーム32をレベルセンサ34が検出(受光)し、底板用モータ(図示せず)で底板20を上昇させて、給紙動作を継続させる。
以上の動作を繰り返すことにより底板20上の全ての用紙Sを送り出し、再び用紙切れ状態となる。
【0038】
なお、本実施の形態の構成により、用紙Sの束の一番上の用紙S1とその他の下側にある一枚あるいは複数枚の用紙Sとが一体となってピックアップされることを低減できる。なお、本実施の形態の構成は、例えばコーティングされた用紙S等、特殊紙が用いられた場合であって、用紙Sの表面が粘着性を有する場合などにおいて、特に顕著な効果を有する。
また、本実施の形態の流路開閉部材100が傾斜部100bを有することにより、流路開閉部材100が移動する方向が用紙Sの積載方向に交差する方向となる。このことにより、流路開閉部材100が移動する方向が用紙Sの積載方向である場合と比較して、用紙供給装置17の高さを低くすることが可能である。さらに、流路開閉部材100は、用紙Sの束の側部の空間に配置されるため、流路開閉部材100の画像形成装置1の小型化が可能である。
【0039】
ここで、本実施の形態の流路開閉部材100は、上記構成に限定されない。このことを、図7を用いて以下で説明する。ここで、図7は、本発明の実施の形態が適用される流路開閉部材100の他の例を示す正面図であり、(a)は傾斜部100bが曲線を有する例、(b)は傾斜部100bが階段状の形状を有する例、(c)は流路開閉部材100がスリットを有する例をそれぞれ示す。
【0040】
まず、図7(a)及び(b)に示すように、流路開閉部材100の傾斜部100bは、曲線および階段状を有するように形成されてもよい。すなわち、流路開閉部材100の接続部101の形状は、流路開閉部材100が移動することによって、エア吹出し口51が開口する部分の用紙Sの積載方向における高さを変化させる形状であればよい。
【0041】
より具体的には、例えば図7(a)に示すように、流路開閉部材100の接続部101は、幅狭部100aの用紙Sの積載方向における上側の端部と、幅広部100cの用紙Sの積載方向における上側の端部とを、曲線で結ぶような構成であってもよい。ここでは、図7(a)における上側に凸の曲線を有するよう形成されている。そして、流路開閉部材100の傾斜部100bが上側に凸の曲線を有することで、上部の用紙Sがエアを吹きつけられる領域がより広がり、用紙Sの分離の信頼性がより向上する。
【0042】
また、例えば、図7(b)に示すように、流路開閉部材100の接続部101は、幅狭部100aの用紙Sの積載方向における上側の端部と、幅広部100cの用紙Sの積載方向における上側の端部とを、階段状の形状で結ぶような構成であってもよい。
流路開閉部材100の傾斜部100bが階段状の形状を有することで、流路開閉部材100が移動するに従い、エア吹出し口51が開口する部分が非連続的に変化することで、用紙Sの分離の信頼性がより向上する。
【0043】
さらに、図7(c)に示すように、流路開閉部材100の傾斜部100bの構成としては、複数の直線部を有しても良い。具体的には、傾斜部100bが複数のエアスリット116を有する構成であってもよい。ここで、エアスリット116は、用紙S側の面から、ブロア95側へ貫通する開口部99であり、その開口部99が、用紙Sの積載方向に対して傾斜する直線部を持つ構成である。
そして、流路開閉部材100の傾斜部100bが複数のエアスリット116を有することにより、流路開閉部材100が移動するに従い、エアが吹き付けられる部分とエアが遮断される部分とがエア吹出し口51を交互に通過する。このことにより、用紙Sが吹きつけられるエアに変化を与えることが可能となり、結果として用紙Sの分離の信頼性がより向上する。
【0044】
なお、上述の説明では、ブロア95に対して流路開閉部材100が移動する構成として説明をしたが、流路開閉部材100に対して、ブロア95が移動する構成や、流路開閉部材100及びブロア95の両方が移動する構成であってもよい。より具体的には、ラックギア102がブロア95に設けられ、駆動モータ110の駆動力を伝達するよう構成されてもよい。
【0045】
また、上述の説明では、第2サイドガイド25に設けられたエア吹出し口51と、流路開閉部材100の傾斜部100bとの関係について述べたが、ブロア95の開口部99と流路開閉部材100の傾斜部100bとの関係も同様である。すなわち、流路開閉部材100の傾斜部100bが移動することによって、ブロア95の開口部99が開口する部分の用紙Sの積載方向における高さが変化する。ブロア95の開口部99及び第2サイドガイド25のエア吹出し口51を設けることにより、ブロア95の開口部99及び第2サイドガイド25のエア吹出し口51のいずれか一方を設ける場合と比較して、エアが吹き付けられる部分とエアが吹き付けられない部分とをより確実に切り替えることが可能となる。
なお、本発明は、ブロア95の開口部99及び第2サイドガイド25に設けられたエア吹出し口51のいずれか一方のみを設ける構成であってもよい。
【0046】
さらに、上述の説明では、画像形成装置1の下部に用紙供給装置17を備える構成として説明したがこれに限定しない。例えば、用紙供給装置17を画像形成装置1の側面に備えられてもよく、例えば画像形成装置1の側面に手差し用紙積載部を設け、その手差し用紙積載部に用紙供給装置17を備える構成であってもよい。あるいは画像形成装置1とは別体である用紙供給装置17であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…画像形成装置、2…画像読み取り装置、3…外部機器、6…画像書き込み装置、7…画像記録制御部、8…像保持体、10…像現像装置、12…転写ローラ、13…定着装置、15…排出用積載部、16…用紙搬送部、17…用紙供給装置、19…給紙用積載部、20…底板、21…用紙送出し部、22…ピックアップローラ、23…エンドガイド、24…第1サイドガイド、25…第2サイドガイド、29…フィードローラ、30…リタードローラ、31…テイクアウェイローラ、32…支持アーム、51…エア吹出し口、62…エア流路、95…ブロア、97…ノズル、99…開口部、100…流路開閉部材、105…ガイドスリット、110…駆動モータ、116…エアスリット、113…第1伝達ギア、114…第2伝達ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載する用紙積載部と、
前記用紙積載部に積載された用紙の束である用紙束の上から順に用紙を送り出す用紙送出部と、
前記用紙束の側面に開口部から空気流を供給する空気流供給部と、
前記開口部と前記用紙束との間に設けられた遮蔽部材と、
前記開口部と前記遮蔽部材との相対位置を用紙の積載方向と異なる方向へ変化させることによって、前記空気流供給部からの空気流を当該用紙の積載方向に対して変化させる機構と
を有する用紙供給装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記空気流供給部からの空気流の一部を遮断し、かつ前記用紙の積載方向に対して傾斜する部分である傾斜部を有することを特徴とする請求項1記載の用紙供給装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記機構の移動する方向に沿って延伸する板状の部材であることを特徴とする請求項1または2記載の用紙供給装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記傾斜部に設けられ、前記空気流供給部からの空気流を通過させる長穴を有することを特徴とする請求項2または3記載の用紙供給装置。
【請求項5】
前記機構は、前記用紙の積載方向と交差する方向において往復運動をすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の用紙供給装置。
【請求項6】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に送り出す用紙を積載する用紙積載部と、
前記用紙積載部に積載された用紙の束である用紙束の上から順に前記画像形成部に向けて用紙を送り出す用紙送出部と、
前記用紙束の側面に空気流を供給する空気流供給部と、
前記空気流供給部と前記用紙束との間に設けられ、前記空気流供給部からの空気流を当該用紙束の前記側面に向けて通過させるよう貫通して設けられた空気流吹出し口を有し、かつ当該用紙束の端部を揃えるよう用紙の積載方向に沿う面を有する用紙端案内部と、
前記用紙端案内部と前記空気流供給部との間に設けられ、前記用紙の積載方向と異なる方向へ移動することによって、前記空気流吹出し口を通して供給される空気流を当該用紙の積載方向に対して変化させる流路開閉部材と
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−6716(P2012−6716A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144438(P2010−144438)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】