説明

用紙処理装置、用紙折り装置、用紙処理方法、及びプログラム

【課題】折り処理を行った用紙に対しても良好な積載状態を保ちつつ、積載枚数を増加させることができる用紙処理装置、用紙折り装置、用紙処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げさせ、用紙が所定の厚さに積み上がると、用紙の下流で待機させていた前端側積載保持ストッパーを用紙の前端まで上流側に移動させ、用紙の積載状態を保持したまま後端側積載保持ストッパー及び前端側積載保持ストッパーを下流側に向かって移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り処理後の用紙を処理するための用紙処理装置、用紙折り装置、用紙処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙に対して整合、揃え、仕分け、綴じ、穿孔、折りなどの所定の処理を施す用紙処理装置や画像形成装置が開発されている。用紙の積載はトレイに傾斜を持たせ後端基準フェンスに突き当てて整合し積み上げる方式が一般的である(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
特許文献1には、排紙積載部へ積載可能となる用紙の最大積載枚数を増減可能とし、かつ装置の外形寸法が排紙積載部への用紙積載枚数の増加分に応じた長さだけ増加する画像形成装置を提供する目的で、用紙を装置本体内から外部へ排出する排出手段と、前記排出手段により排出された用紙が積載される排紙積載部と、画像記録された用紙を用紙搬送路に沿って前記排出手段まで搬送する搬送手段と、前記排出手段を排紙積載部上へ積載される用紙の積み重ね方向へ位置調整可能に支持した積載量可変手段と、を有する構成が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の発明によれば、排紙積載部へ積載可能となる用紙の最大積載枚数を増減可能とすると共に、装置の外形寸法が排紙積載部への最大積載枚数の増加に応じた長さだけ増加する画像形成装置を提供できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般の積載トレイでは折り処理を行った用紙の積載数量が少ないという問題があった。これは、折り処理を行った用紙は元に戻ろうとして膨らむ性質を有するため用紙積載性が悪くなり、しかも積載可能高さにすぐに到達してしまう。
また、特許文献1に記載の発明では、用紙積載性が低いという問題は解消できていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、折り処理を行った用紙に対しても良好な積載状態を保ちつつ、積載枚数を増加させることができる用紙処理装置、用紙折り装置、用紙処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げるための積載トレイと、前記用紙を積み上げるときは後端側積載保持ストッパーを前記後端基準フェンスで待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記後端側積載保持ストッパーを上流側から下流側に向かって移動させる後端側積載保持ストッパー移動手段と、前記用紙を積み上げるときは前記用紙の前端から下流側に離れた位置で前端側積載保持ストッパーを待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記前端側積載保持ストッパーを前記後端側積載保持ストッパーに併せて上流側から下流側まで移動させる前端側積載保持ストッパー移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記後端側積載保持ストッパー移動手段は、前記積載トレイの真下にて前記搬送方向に平行に配置された複数の後端側案内ロッドと、前記複数の各後端側案内ロッドに摺動自在に設けられ前記積載トレイに搬送方向に沿って形成された長穴を貫通する前記後端側積載保持ストッパーの基部が固定された後端側スライダと、前記複数の後端側スライダを連結する後端側連結部材と、前記いずれかの後端側スライダに固定され、一部が前記後端側案内ロッドに平行になるように複数の後端側プーリーに巻き掛けられた後端側ベルトと、前記後端側ベルトを巻掛け伝動させるため何れかの後端側プーリーを回転駆動する後端側モータと、を備え、前記前端側積載保持ストッパー移動手段は、前記積載トレイの真下にて前記搬送方向に平行に配置された複数の前端側案内ロッドと、前記複数の各前端側案内ロッドに摺動自在に設けられ前記積載トレイに搬送方向に沿って形成された長穴を貫通する前記前端側積載保持ストッパーの基部が固定された前端側スライダと、前記複数の前端側スライダを連結する前端側連結部材と、前記いずれかの前端側スライダに固定され、一部が前記前端側案内ロッドに平行になるように複数の前端側プーリーに巻き掛けられた前端側ベルトと、前記前端側ベルトを巻掛け伝動させるため何れかの前端側プーリーを回転駆動する前端側モータと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の用紙処理装置を用いたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げさせ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記用紙の下流で待機させていた前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記後端側積載保持ストッパー及び前記前端側積載保持ストッパーを前記下流側に向かって移動させることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、コンピュータに、後端側積載保持ストッパー移動手段が、上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げるための積載トレイ上の上流側で前記用紙を積み上げるときは後端側積載保持ストッパーを前記後端基準フェンスで待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記後端側積載保持ストッパーを上流側から下流側に向かって移動させる手順、前端側積載保持ストッパー移動手段が、前記用紙の積み上げ中は前記用紙の前端から離れた位置で前端側積載保持ストッパーを待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記前端側積載保持ストッパーを上流側から下流側まで移動させる手順、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、折り処理後の用紙をガイド部材にて案内して積載し、満杯になったら積載された用紙をガイド部材とともにトレイの下流側に移動させてトレイスペースを有効に活用するので、折り処理を行った用紙に対しても良好な積載状態を保ちつつ、積載枚数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る用紙処理装置の一実施の形態を示す外観透視図である。
【図2】図1に示した用紙処理装置に用いられる後端側積載保持ストッパー移動手段510bの一例を示す外観斜視図である。
【図3】図1に示した処理装置の側面概念図である。
【図4】図1に示した用紙処理装置を搭載した用紙折り装置の概念図である。
【図5】図4に示した折り装置のブロック図の一例である。
【図6】図1に示した用紙処理装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【図7】図1に示した処理装置の説明図である。
【図8】図7に示した積載トレイ131の上流側に折り処理後の用紙が積み重ねられた状態を示す図である。
【図9】図8に示した積載トレイ131に積み重ねられた折り処理後の用紙を下流側に移動させた後の状態を示す図である。
【図10】折り処理後搬送方向用紙長さがトレイの搬送方向の長さの1/2以下の場合の説明図である。
【図11】折り処理後搬送方向用紙長さがトレイの搬送方向の長さの1/2以下の場合の説明図である。
【図12】折り処理後搬送方向用紙長さがトレイの搬送方向の長さの1/2以下の場合の説明図である。
【図13】折り処理後搬送方向用紙長さがトレイの搬送方向の長さの1/2以下の場合の説明図である。
【図14】観音四つ折りの3回目の折り動作について説明するための説明図である。
【図15】(a)〜(d)は、内三つ折りのめくれ防止について説明するための説明図である。
【図16】(a)〜(f)は、各折り方の概要について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る用紙処理装置の一実施の形態を示す外観透視図であり、図2は、図1に示した用紙処理装置に用いられる後端側積載保持ストッパー移動手段510bの一例を示す外観斜視図である。
【0015】
図1において、上流(図の右下)から下流(図の左上)に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンス131bに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げるための積載トレイイ131が示されている。
積載トレイ131の上流側には後端側積載保持ストッパー移動手段510bが配置され、積載トレイ131の下流側には前端側積載保持ストッパー移動手段510fが配置されている。
後端側積載保持ストッパー移動手段510b及び前端側積載保持ストッパー移動手段510fは、後端側案内ロッド501br、501blと、後端側スライダ530br、530blとが平行かつ中心軸がずれるように相手側の領域に一部が食い込むように配置されている。尚、図では中心軸がずれているが、ずれていなくても良い。
【0016】
後端側積載保持ストッパー移動手段510bの後端側積載保持ストッパー500br、500bl及び前端側積載保持ストッパー移動手段510fの前端側積載保持ストッパー500fr、500flは、積載トレイ131の底部に形成され搬送方向(矢印P1)に平行な長穴521br、521bl、521fr、521flを貫通するように配置され、後述するように長穴521br、521bl、521fr、521flに沿って往復移動できるようになっている。
【0017】
図2において、後端側積載保持ストッパー移動手段510bは、複数(図では2つであるが限定されない)の後端側案内ロッド501br、501blと、後端側スライダ530br、530blと、後端側連結部材520bと、後端側ベルト502bと、後端側モータ503bとを有する。
【0018】
複数(図では2つであるが限定されない)の後端側案内ロッド501br、501blが積載トレイ131の真下に図には示されない用紙の搬送方向(矢印P2方向)に平行に配置されている。
後端側案内ロッド501brには後端側スライダ530brが摺動自在に設けられており、後端側案内ロッド501blには後端側スライダ530blが摺動自在に設けられている。後端側スライダ530brと後端側スライダ530blとは後端側連結部材520bで連結されている。
【0019】
後端側案内ロッド501brには後端側積載保持ストッパー500brの基部が後端側案内ロッド501br及び後端側連結部材520bに直交するように固定されている。後端側案内ロッド501blには後端側積載保持ストッパー500blの基部が後端側案内ロッド501bl及び後端側連結部材520bに直交するように固定されている。これら、後端側積載保持ストッパー500br、500blは、図1に示した長穴521br、521blを貫通すると共に長穴521br、521blに沿って搬送方向(矢印P1:図1、P2:図2)に往復移動できるようになっている。
【0020】
後端側ベルト502bが後端側スライダ530blに固定され、後端側ベルト502bの一部が後端側案内ロッド501blに平行になるように複数(図では4つ示されているが限定されない)の後端側プーリー531b、531bbに巻き掛けられている。
後端側プーリー531bbには、減速用のプーリー532bが同軸上に設けられており、プーリー532bは後端側モータ503bの出力軸側プーリー533bで回転駆動されるようになっている。この後端側モータ503bにはステッピングモータが用いられており、回転数及び回転角度を制御することで後端側積載保持ストッパー500br、500blの位置を制御することができる。
【0021】
すなわち、両モータ503b、503fの同期を取って積載保持ストッパー500fr、500flと積載保持ストッパー500fr、500flとの間が用紙の搬送方向の長さを保持したまま移動することで用紙の束Sを積載トレイ131上で上流から下流に搬送することができる。
【0022】
図3は、図1に示した処理装置の側面概念図である。
【0023】
図3において、後端側積載保持ストッパー移動手段510b及び前端側積載保持ストッパー移動手段510fが積載トレイ131の真下にほぼ対向するように位置しており、積載トレイ131の底面が下流側から上流側に下がっているのが分かる。
後端側の積載保持ストッパー500br、500blは、後端側モータ503bによりベルト502bを介してガイドロッド501br、501bl上を移動する。
前端側の積載保持ストッパー500fr、500flは、前端側モータ503fによりベルト502fを介してガイドロッド501fr、501fl上を移動する。
【0024】
図4は、図1に示した用紙処理装置を搭載した用紙折り装置の概念図である。
【0025】
図4において、筐体50の一方の面50aには折り処理前の用紙を受け入れる用紙受け入れ口52が設けられ、筐体50の他方の面50bに折り処理を行わない用紙をそのまま搬出する用紙搬出口53が設けられている。筐体50の内部の上側には折り処理済みの用紙を収容する用紙収容部131が設けられている。用紙収容部131の底面は後述する第9搬送路側109に向かって下る傾斜面となっており、第9搬送路側109の排出口の直下に後端基準フェンス131bが配置されている。
【0026】
筐体50内の用紙搬入口52の近傍には、用紙の搬入を検知する入口紙検知センサ51が設けられている。入口紙検知センサ51の下流側には用紙の搬送方向を第1搬送路101もしくは第8搬送路108に切り替える第1切替爪121が設けられている。第1搬送路101は第1切替爪121から筐体50のほぼ中央までほぼ鉛直に配置されている。第1搬送路101の下端には第1折りローラ111が設けられている。
【0027】
第1折りローラ111の斜め下側には第2折りローラ112が接触するように設けられており、第2折りローラ112の斜め上側には第3折りローラ113が接触するように設けられている。
【0028】
第1折りローラ111、第2折りローラ112、及び第3折りローラ113の下側には第2折りローラ112から筐体50の底面まで第2搬送路102がほぼ配置されている。第2搬送路の下端ストッパー手方向に沿って移動自在な第1ストッパー141が設けられている。
【0029】
第1折りローラ111、第2折りローラ112、及び第3折りローラ113の上側には第2折りローラ112から筐体中央までほぼ鉛直な第3搬送路103が配置されている。第3搬送路103の上端の近傍には長手方向に沿って移動自在な第2ストッパー142が設けられている。
【0030】
第2折りローラ112及び第3折りローラ113の斜め下側には第4搬送路104もしくは第5搬送路105に切り替える第2切替爪122が設けられている。
第4搬送路104は第2折りローラ112及び第3折りローラ113から筐体50の底部まで斜め下に向かって配置されている。
【0031】
第4搬送路104の下端には長手方向に移動ストッパー143が設けられている。
第4搬送路104の途中には用紙を観音四つ折りにするための観音四つ折りガイド部材151が設けられている。観音四つ折りガイド部材151の近傍には第4折りローラ114及び第5折りローラ115が接触するように設けられている。
【0032】
第4折りローラ114及び第5折りローラ115から上方に湾曲し、第5搬送路の端部と接触して用紙排出口51の近傍に向かって第6搬送路106が配置されている。
第6搬送路106の上端には第7搬送路107もしくは用紙排出口51に切り替える第3切替爪123が設けられている。第7搬送路107は第3切替爪123から湾曲して水平かつ第8搬送路108の端部まで配置されている。第7搬送路107の端部及び第8搬送路108の端部の近傍には、第8搬送路108もしくは第9搬送路109を切り替える第4切替爪124が設けられている。
第9搬送路109は第4切替爪124から斜め上方に向かい湾曲し用紙収容部131の後端基準フェンス131bの上部まで配置されている。
【0033】
これら各搬送路101〜109には図には示されないモータにより回転する駆動ローラと従動ローラとが配置され、第1折りローラ111〜第5折りローラ115と共に用紙を搬送するようになっている。
【0034】
第1切替爪121、第2切替爪122、第3切替爪123、及び第4切替爪124は、例えば図には示さないソレノイドを用いたアクチュエータが挙げられる。
【0035】
図5は、図4に示した折り装置のブロック図の一例である。
【0036】
第1搬送路用モータ201は第1搬送路101に沿って配置された駆動ローラを回転駆動するモータである。第2搬送路用モータ202〜第9搬送路用モータ209も第1搬送路用モータ201と同様、各搬送路に沿って配置された駆動ローラを回転駆動するモータである。
【0037】
第1折りローラ用モータ210は第1折りローラ111を回転駆動するモータであり、第2折りローラ用モータ211〜第5折りローラ214も第1折りローラ用モータ210と同様、第2折りローラ112〜第5折りローラ115を回転駆動するモータである。
【0038】
CPU(Central Processing Unit)215は、用紙折り装置を統括制御する機能を有する回路であり、例えばマイクロプロセッサが挙げられる。
【0039】
ROM(Read Only Memory)216は、用紙折り装置の制御プログラムが格納された回路であり、例えばマスクROMが用いられる。
【0040】
RAM(Random Access Memory)217は、用紙折り動作中に生じるデータ(折り動作の種類、処理枚数などのデータ)を一時的に格納する回路である。
【0041】
I/O(Input/Output)218は、外部の回路と接続するためのインターフェース回路であり、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子が挙げられる。
【0042】
操作部219は、オンオフスイッチ、テンキー、スタートキー等操作に必要なボタンを有する回路である。
【0043】
表示部220は、操作状況を把握するのに必要な情報を表示する回路であり、例えば、液晶パネルが挙げられる。
【0044】
第1ストッパー移動用モータ221は、第1ストッパー141を第2搬送路102に沿って移動させるためのモータであり、第2ストッパー移動用モータ222、第3ストッパー移動用モータ223も同様である。
【0045】
第1切替爪用ソレノイド224は、第1切替爪121を回動させるためのソレノイドであり、第2切替爪用ソレノイド225〜第4切替爪用ソレノイド227も第1切替爪用ソレノイド224と同様に第2切替爪122〜第4切替爪124を回動させるためのソレノイドである。
【0046】
各部材201〜230はバスライン231で接続されている。
尚、バスライン231には警告音発生部(例えばブザー)やパトライトを接続してもよい。
【0047】
このような構成により、二つ折り、Z折り、外三つ折り、内三つ折り、単純四つ折り、及び観音四つ折りの各折り動作が可能となる。
上流側の図示しない画像形成装置から搬送される画像形成された用紙は、用紙搬入口52から折り装置に搬送される。
【0048】
用紙搬入口52から搬入した用紙に対して折りを行わず、下流側の後処理装置へ搬送させる場合には、第1切替爪121により、直接、用紙搬出口53より排紙させる。用紙搬入口52から搬入した用紙に対して折りを行う場合には、第1切替爪121にて、用紙を折り装置内部の各搬送路へ導き、各折り動作を行う。
折りが完了した後、第6搬送路106の増し折り部により増し折りが行われる。
【0049】
図6は、図1に示した用紙処理装置の動作を説明するためのフローチャートの一例である。
【0050】
動作の主体は、CPU(図5参照)である。
CPU215は、後端側積載保持ストッパー500br、500blをホームポジション(後端基準フェンス131bの位置)に位置させる(ステップS1)。
CPU215は、前端側積載保持ストッパー500fr、500flを折り処理後の用紙の前端より下流側に移動させる(ステップS2)。
CPU215は、用紙折り装置にて各用紙に折り処理を施させる(ステップS3)。
CPU215は、折り処理後の用紙を積載トレイ131に排出する(ステップS4)。
CPU215は、折り処理後の用紙の厚さが所定の高さ(例えば、積載トレイ131の後端基準フェンス131bの高さ)に到達したか否かを判定する(ステップS5)。
【0051】
CPU215は、折り処理後の用紙の厚さが所定の高さに達していない場合には待機し(ステップS5/N)、折り処理後の用紙の厚さが所定の高さに達した場合にはステップS6に進む(ステップS5/Y)。
【0052】
CPU215は、後端側積載保持ストッパー500br、500bl及び前端側積載保持ストッパー500fr、500flを折り処理後の用紙の間隔を保持したまま排出位置まで移動させる(ステップS6)。
【0053】
CPU215は、折り処理後の用紙が処理装置の外部に取り出されたか否かを判定し(ステップS7)、外部に取り出されるまで待機し(ステップS7/N)、外部に取り出されたと判定した場合(ステップS7/Y)、後端側積載保持ストッパー500br、500blをホームポジションに移動させる(ステップS8)。
【0054】
CPU215は、前端側積載保持ストッパー500fr、500flを折り処理後の用紙の前端から下流側に位置に移動させ(ステップS9)、ステップS5に戻る。
【0055】
図7は、図1に示した処理装置の説明図である。
【0056】
折り処理後の用紙は排紙ローラ510により積載トレイ131に排出される。積載トレイ131の上流にあたる排紙ローラ下の側面と、その面に対向する下流側の側面に積載保持手段である各積載保持ストッパー500br、500bl、500fr、500flが備え付けられている。積載保持ストッパー500br、500bl、500fr、500flは用紙搬送方向上に移動可能である。
【0057】
図8は、図7に示した積載トレイ131の上流側に折り処理後の用紙が積み重ねられた状態を示す図であり、図9は、図8に示した積載トレイ131に積み重ねられた折り処理後の用紙を下流側に移動させた後の状態を示す図である。
【0058】
図10〜図13は、折り処理後の搬送方向の用紙の長さがトレイの搬送方向の長さの1/2以下の場合の説明図である。
【0059】
折り処理後の搬送方向の用紙の長さがトレイの搬送方向の長さの1/2以下の場合、前端側積載保持ストッパー500fr、500flを予め定められた位置に移動させる。
折り処理後の用紙は第9搬送路109を通って排紙ローラ510により積載トレイ131に排出され、積載トレイ131が一杯になると用紙の排出を一時停止させる(図10)。
【0060】
次に前端側積載保持ストッパー500fr、500flにて用紙の搬送方向の先端部550を、後端側積載保持ストッパー500br、500blにて用紙の搬送方向後端部551を保持する(図11)。
順狂い、用紙端部のズレが起きないよう用紙積載性を保持したまま用紙束Sを積載トレイ131の下流側へ移動させる(図12)。
再び用紙排出を開始し折り処理後の用紙束Sの他に新たな用紙束S‘を積載トレイ131に積載する。積載トレイ131が一杯になると折り処理部からの積載トレイ131への用紙の排出を停止し、オペレータに図には示されていない表示部に積載トレイ131の用紙束Sを取り出すよう促す表示を行うか、または、図には示されていないパトライトを点滅させたり、警告音を発生させたりする(図13)。
【0061】
図16(a)〜(f)は、各折り方の概要について説明するための説明図である。
【0062】
<Z折り>
図16(a)において、第1切替爪121によって第1搬送路101へ用紙を案内する。
図示しないガイド部材が第1折りローラ111及び第2折りローラ112のニップ部21に出没する。
用紙は第1折りローラ111と第2折りローラ112のニップ部21を通過する。
用紙の先端が第3搬送路103に配置されている折り位置に移動可能な第2ストッパー142に突き当たる。
【0063】
用紙の撓み部分が第2折りローラ112及び第3折りローラ113のニップ部22に進入し、1回目の折りを行った後、第2切替爪122により、第4搬送路104に搬送される。
用紙の先端が第4搬送路104に配置されている折り位置に移動可能な第3ストッパー143に突き当たる。
用紙の撓み部分を第4折りローラ114及び第5折りローラ115のニップ部に進入させて2回目の折りを行いZ折り完了となる。
【0064】
折り完了後、第6搬送路106を通過し、第3切替爪123によって第7搬送路107へ導かれ、用紙収容部131にスタックされる。
用紙を図示しない後処理機へ搬送する場合は、第3切替爪123によって後処理機へ搬送される。
【0065】
<二つ折り>
図16(b)において、第1切替爪121によって第1搬送路101へ用紙を案内する。
用紙の先端が第2搬送路102に配置されている折り位置に移動可能な第1ストッパー141に突き当たる。
用紙の撓み部分を第1折りローラ111及び第2折りローラ112のニップに進入させて1回目の折りを行い、二つ折り完了となる。
【0066】
図示しないガイド部材が出没し、折り完了後の二つ折り用紙は、第3搬送路103へは進入せずに、第2折りローラ112と第3折りローラ113のニップを通過する。
第2切替爪122により、第5搬送路105へ案内される。
第6搬送路106を通過し、第3切替爪123によって第7搬送路107へ導かれ、用紙収容部131にスタックされる。
後処理機へ搬送する場合は、第3切替爪123によって図示しない後処理機へ搬送される。
【0067】
<外三つ、内三つ、単純四つ>
図15(a)〜(d)は内三つ折りの説明図である。
【0068】
第1切替爪121によって第1搬送路101へ用紙を案内する。
用紙の先端が第2搬送路102に配置されている折り位置に移動可能な第1ストッパー141に突き当たる。用紙の撓み部分を第1折りローラ111と第2折りローラ112のニップに進入させて1回目の折りを行った後、第3搬送路103に搬送される。
【0069】
用紙の先端が第3搬送路103に配置されている折り位置に移動可能な第2ストッパー142に突き当たり、用紙の撓み部分を第2折りローラ112と第3折りローラ113のニップ部22に進入させて2回目の折りを行い、折り完了となる。
【0070】
用紙の折り完了後、第2切替爪122により、第5搬送路105へ案内される。
第6搬送路106を通過し、第3切替爪123によって第7搬送路107へ導かれ、用紙収容部131にスタックされる。後処理機へ搬送する場合は、第3切替爪123によって図示しない後処理機へ搬送される。
【0071】
ここで、本実施の形態では第1ストッパー、第2ストッパー、及び第3ストッパーは板金で形成した場合で説明したが、本発明はこれに限定されず、用紙を突き当てて停止されるものであれば、例えばローラに突き当てる構成としてもよい。
【0072】
図14(a)〜(d)、図16(f)は、観音四つ折りの3回目の折り動作について説明するための説明図である。
【0073】
<観音四つ折り>
第1切替爪121によって第1搬送路101へ用紙を案内する。
用紙の先端が第2搬送路102に配置されている折り位置に移動可能な第1ストッパー41に突き当たる。
用紙の撓み部分を第1折りローラ111と第2折りローラ112のニップに進入させて1回目の折りを行った後、第3搬送路103に搬送される。
用紙の先端が第3搬送路103に配置されている折り位置に移動可能な第2ストッパー142に突き当たり、用紙の撓み部分を第2折りローラ112と第3折りローラ113のニップに進入させて2回目の折りを行った後、第2切替爪122により、第4搬送路104に搬送される。
用紙の先端が第4搬送路104に配置されている折り位置に移動可能な第3ストッパー143に突き当たり、用紙の撓み部分を第4折りローラ114のニップと第5折りローラ115のニップに進入させて3回目の折りを行い、観音四つ折り完了となる。
【0074】
用紙の先端が第4搬送路104に配置されている折り位置に移動可能な第3ストッパー143に突き当たり、用紙の撓み部分を第4折りローラ114と第5折りローラ115のニップに進入させるときに、観音四つ折りガイド部材151が動作し、巻き込まれる用紙の端部は第4折りローラ114と第5折りローラ115のニップに確実に進入する。
【0075】
折り完了後、第6搬送路106を通過し、第3切替爪123によって第7搬送路107へ導かれ、積載と例131にスタックされる。後処理機へ搬送する場合は、第3切替爪123によって後処理機へ搬送される。
【0076】
図15(a)〜(d)は、内三つ折りのめくれ防止について説明するための説明図である。
【0077】
内三つ折りは図15(a)〜(d)のようになる。
第2折りローラ112と第3折りローラ113のニップに進入させて2回目の折りを行う際に、第2搬送路センサ50の検知情報によりタイミングを計って、めくれ防止爪145を挿入し、第2ニップへ進入する際に内側がめくれ上がることを防止する。
【0078】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかる用紙処理装置は、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばマイクロプロセッサなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0079】
コンピュータに、
(1)後端側積載保持ストッパー移動手段が、上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げるための積載トレイ上の上流側で前記用紙を積み上げるときは後端側積載保持ストッパーを前記後端基準フェンスで待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記後端側積載保持ストッパーを上流側から下流側に向かって移動させる手順、
(2)前端側積載保持ストッパー移動手段が、前記用紙の積み上げ中は前記用紙の前端から離れた位置で前端側積載保持ストッパーを待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記前端側積載保持ストッパーを上流側から下流側まで移動させる手順、
を実行させるプログラムが挙げられる。
【0080】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる用紙処理装置を実現することができる。
【0081】
<記憶媒体>
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0082】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0083】
50 筐体
50b、50f 面
51 入口紙検知センサ
52 用紙受け入れ口
53 用紙搬出口
101 第1搬送路
102 第2搬送路
103 第3搬送路
104 第4搬送路
105 第5搬送路
106 第6搬送路
107 第7搬送路
108 第8搬送路
109 第9搬送路
111 第1折りローラ
112 第2折りローラ
113 第3折りローラ
114 第4折りローラ
115 第5折りローラ
121 第1切替爪
122 第2切替爪
123 第3切替爪
124 第4切替爪
131 積載トレイ
131b 後端基準フェンス
141 第1ストッパー
142 第2ストッパー
143 第3ストッパー
144 第4ストッパー
151 観音四つ折りガイド部材
201 第1搬送路用モータ
202 第2搬送路用モータ
203 第3搬送路用モータ
204 第4搬送路用モータ
205 第5搬送路用モータ
206 第6搬送路用モータ
207 第7搬送路用モータ
208 第8搬送路用モータ
209 第9搬送路用モータ
210 第1折りローラ用モータ
211 第2折りローラ用モータ
212 第3折りローラ用モータ
213 第4折りローラ用モータ
214 第5折りローラ用モータ
215 CPU
216 ROM
217 RAM
218 I/O
219 操作部
220 表示部
221 第1ストッパー移動用モータ
222 第2ストッパー移動用モータ
223 第3ストッパー移動用モータ
224 第1切替爪用ソレノイド
225 第1切替爪用ソレノイド
226 第2切替爪用ソレノイド
227 第3切替爪用ソレノイド
500br、500bl 後端側積載保持ストッパー
500fr、500fl 前端側積載保持ストッパー
501br、501bl 後端側案内ロッド
501fr、501fl 前端側案内ロッド
503b 後端側モータ
503f 前端側モータ
510b 後端側積載保持ストッパー移動手段
510f 前端側積載保持ストッパー移動手段
520b 後端側積載保持ストッパー
530br、530bl 後端側スライダ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開平11−236154号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げるための積載トレイと、
前記用紙を積み上げるときは後端側積載保持ストッパーを前記後端基準フェンスで待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記後端側積載保持ストッパーを上流側から下流側に向かって移動させる後端側積載保持ストッパー移動手段と、
前記用紙を積み上げるときは前記用紙の前端から下流側に離れた位置で前端側積載保持ストッパーを待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記前端側積載保持ストッパーを前記後端側積載保持ストッパーに併せて上流側から下流側まで移動させる前端側積載保持ストッパー移動手段と、
を備えたことを特徴とする用紙処理装置。
【請求項2】
前記後端側積載保持ストッパー移動手段は、前記積載トレイの真下にて前記搬送方向に平行に配置された複数の後端側案内ロッドと、前記複数の各後端側案内ロッドに摺動自在に設けられ前記積載トレイに搬送方向に沿って形成された長穴を貫通する前記後端側積載保持ストッパーの基部が固定された後端側スライダと、前記複数の後端側スライダを連結する後端側連結部材と、前記いずれかの後端側スライダに固定され、一部が前記後端側案内ロッドに平行になるように複数の後端側プーリーに巻き掛けられた後端側ベルトと、前記後端側ベルトを巻掛け伝動させるため何れかの後端側プーリーを回転駆動する後端側モータと、を備え、
前記前端側積載保持ストッパー移動手段は、前記積載トレイの真下にて前記搬送方向に平行に配置された複数の前端側案内ロッドと、前記複数の各前端側案内ロッドに摺動自在に設けられ前記積載トレイに搬送方向に沿って形成された長穴を貫通する前記前端側積載保持ストッパーの基部が固定された前端側スライダと、前記複数の前端側スライダを連結する前端側連結部材と、前記いずれかの前端側スライダに固定され、一部が前記前端側案内ロッドに平行になるように複数の前端側プーリーに巻き掛けられた前端側ベルトと、前記前端側ベルトを巻掛け伝動させるため何れかの前端側プーリーを回転駆動する前端側モータと、を備えたことを特徴とする請求項1記載の用紙処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の用紙処理装置を用いたことを特徴とする用紙折り装置。
【請求項4】
上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げさせ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記用紙の下流で待機させていた前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記後端側積載保持ストッパー及び前記前端側積載保持ストッパーを下流側に向かって移動させることを特徴とする用紙処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
後端側積載保持ストッパー移動手段が、上流から下流に向かって上る傾斜面の上流側の後端基準フェンスに折り処理後の用紙を突き当てて整合し積み上げるための積載トレイ上の上流側で前記用紙を積み上げるときは後端側積載保持ストッパーを前記後端基準フェンスで待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記後端側積載保持ストッパーを上流側から下流側に向かって移動させる手順、
前端側積載保持ストッパー移動手段が、前記用紙の積み上げ中は前記用紙の前端から離れた位置で前端側積載保持ストッパーを待機させ、前記用紙が所定の厚さに積み上がると、前記前端側積載保持ストッパーを前記用紙の前端まで上流側に移動させ、前記用紙の積載状態を保持したまま前記前端側積載保持ストッパーを上流側から下流側まで移動させる手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−157203(P2011−157203A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22142(P2010−22142)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】