説明

用紙処理装置及び画像形成システム

【課題】比較的簡易な構成、かつ、静穏性に優れ、かつ、高速で、中折りを含む複数の用紙処理を行うことができる用紙処理装置を提供する。
【解決手段】搬入した用紙は、用紙の搬入方向と同一方向の第1方向D1と、この第1方向D1に直交する第2方向D2と、のいずれかに切り替えて搬送される。第2方向D2には、用紙に対して中折り処理を含む処理を施す第2用紙処理部100が配置されている。第1方向D1には、用紙に対して中折り以外の処理を施す第1用紙処理部50が配置されている。これにより、無駄な用紙移動を省略しつつ、用紙の中折りを含む用紙処理と、用紙の中折りを含まない用紙処理とを行うことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の中折り等の処理を行う用紙処理装置及び用紙処理装置を具備する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙の中折りを含む用紙処理を行う装置として、特許文献1及び特許文献2で開示されたものがある。
【0003】
特許文献1には、用紙の姿勢を変えてから、中折り処理及び中綴じ処理を行う技術が開示されている。特許文献1は、用紙の姿勢の変え方を工夫することで、様々な用紙サイズに対して、高速かつ安定した用紙の姿勢変換を実現している。
【0004】
特許文献2には、用紙の搬入方向と直交する方向に折り目を入れ、この折り目の方向(すなわち搬入方向と直交する方向)に用紙を搬送する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−96913号公報
【特許文献2】特開2011−111243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の装置は、用紙の姿勢を3回変えるようになっている。よって、用紙の姿勢を変換するための構成が複雑化し、また用紙の姿勢を変換するための余分なスペースが必要となるので、その分だけ装置が大型化し易いと考えられる。
【0007】
それに対して、特許文献2のように、用紙の搬入方向と直交する方向に折り目を入れ、この折り目の方向に用紙を搬送する装置は、用紙の姿勢をほとんど変える必要はないので、構成を小型化でき、好ましい。
【0008】
しかし、特許文献2で開示された用紙処理装置は、用紙を折るための専用機であり、例えば、複写機、レーザービームプリンター等の画像形成装置の後処理装置としては実用上不十分であると考えられる。つまり、画像形成装置の後処理装置として用いる場合には、用紙の中折りのモードの他に、中綴じのモードやそのまま排紙するモードを選択できると便利である。
【0009】
しかし、特許文献2を含む従来の用紙処理装置においては、用紙の中折りと、中折り以外の他の処理と、の両方を複合的に行うことができる構成については、十分な検討がなされていなかった。例えば、中折りを行う部分と、中折り以外の他の処理を行う部分と、を装置内でどのようにレイアウトし、どのような搬送を行えばよいかについては、十分な検討が行われていない。このレイアウト及び搬送経路によっては、搬送経路が複雑化して装置全体の構成が複雑化及び大型化し、また搬送時の用紙の擦過音が増加するなどの問題が生じる。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、用紙の中折り及びそれ以外の用紙処理を行うことができる用紙処理装置において、レイアウト及び搬送経路を適正化することで、比較的簡易な構成、かつ、静穏性に優れ、かつ、高速で、中折りを含む複数の用紙処理を行うことができる用紙処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の用紙処理装置の一つの態様は、搬入した用紙を、用紙の搬入方向と同一方向の第1方向と、この第1方向に直交する第2方向と、のいずれかに切り替えて搬送する用紙搬送手段と、前記第2方向に配置され、前記用紙に対して中折り処理を含む処理を施す第2用紙処理部と、前記第1方向に配置され、前記用紙に対して中折り以外の処理を施す第1用紙処理部と、を具備する。
【0012】
また、本発明の用紙処理装置の一つの態様は、前記第2用紙処理部は、前記第1方向への搬送経路と前記第2方向への搬送経路との分岐点である共通搬送経路を含んで構成されており、前記中折り処理は、前記共通搬送経路にて行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、中折り処理を含む処理を施す第2用紙処理部を搬入方向と直交する方向に配置し、かつ、中折り以外の処理を施す第1用紙処理部を搬入方向と同一の方向に配置し、かつ、どちらの方向に用紙を搬送するかを切り替え可能としたので、無駄な用紙移動を省略しつつ、用紙の中折りを含む用紙処理と、用紙の中折りを含まない用紙処理とを行うことができるようになる。この結果、比較的簡易な構成、かつ、静穏性に優れ、かつ、高速で、中折りを含む複数の用紙処理を行うことができる用紙処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態の用紙処理装置が用いられた画像形成システムの全体構成を示す略線的平面図
【図2】画像形成システムの外観構成を示す略線的斜視図
【図3】第1方向及び第2方向に搬送される用紙の状態を示す図
【図4】共通経路の搬送機構及び中折り機構の構成を示す側面図
【図5】用紙位置決め時の先端規制部材及び搬送ベルトの様子を示す側面図
【図6】用紙位置決め時の付勢部材及び搬送ローラーの様子を示す側面図
【図7】中折り時の、搬送機構及び中折り機構の様子を示す側面図
【図8】先端規制部材が突出した状態を示す側面図
【図9】先端規制部材が退避した状態を示す側面図
【図10】第2方向への用紙排出動作の説明に供する図
【図11】鞍掛機構及び中綴じ機構の構成を示す斜視図
【図12】バッファ鞍の移動の様子を示す側面図
【図13】バッファ鞍の移動の様子を示す側面図
【図14】鞍掛機構及び中綴じ機構の動作の説明に供する上面図
【図15】断裁ユニットの配置を示す図
【図16】断裁ユニット、排紙積載部及び昇降部の配置を示す斜視図
【図17】断裁ユニット、排紙積載部及び昇降部の配置を示す側面図
【図18】方向転換部の説明に供する側面図
【図19】方向転換部の説明に供する側面図
【図20】昇降部における把持位置の変更の説明に供する斜視図
【図21】昇降部における把持位置の変更の説明に供する斜視図
【図22】スクエアフォールド処理の説明に供する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[1]システムの全体構成
図1は、本実施の形態の用紙処理装置が用いられた画像形成システムの全体構成を示す略線的平面図である。また、図2は、画像形成システムの外観構成を示す略線的斜視図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成システム10は、画像形成ユニット20と、用紙処理ユニット30と、を有する。
【0017】
画像形成ユニット20は、用紙にトナー像でなる画像を形成するものであり、いわゆる複写機や、プリンターと呼ばれる部分である。画像形成ユニット20は、例えば、スキャナー、露光装置、感光ドラム、現像装置、定着装置などを有し、用紙上にトナー像を形成し、トナー像が形成された用紙を排出するようになっている。
【0018】
用紙処理ユニット30は、重ね合わせ部40と、第1用紙処理部50と、第2用紙処理部100と、を有する。
【0019】
用紙処理ユニット30は、搬入された用紙(つまり画像形成ユニット20から排出された印刷済の用紙)を、用紙の搬入方向と同一方向の第1方向D1と、この第1方向D1に直交する第2方向D2と、のいずれかに切り替えながら搬送できるようになっている。
【0020】
第1方向D1には、第1用紙処理部50が配置されている。第2方向D2には、第2用紙処理部100が配置されている。加えて、第2用紙処理部100は、第1用紙処理部50と第2用紙処理部100との搬送分岐点K0である共通経路を含むように構成されている。つまり、印刷済の用紙は、第2用紙処理部100の一部を介して、第1用紙処理部50に搬入されるようになっている。
【0021】
第1用紙処理部50は、用紙に対して中折り以外の処理を施す。第1用紙処理部50は、例えば、排紙トレイ、平綴じのステイプラー、穴開け機、くるみ製本(糊付け製本)機であり、印刷済の用紙に対して、大量積載処理、平綴じ処理、穴開け処理、くるみ製本処理などを施す。なお、第1用紙処理部50の構成は、上記の処理を行うものに限らず、要は、中折り以外の処理を行うものであればよい。
【0022】
第2用紙処理部100は、用紙に対して中折り処理を含む処理を施す。図3は、第1方向D1及び第2方向D2に搬送される用紙1の状態を示すものである。第1方向D1に搬送される用紙1は中折りされていない用紙であり、第2方向D2に搬送される用紙1は中折りされている用紙である。本実施の形態の場合、第2用紙処理部100は、用紙1に対して順次、中折り処理、中綴じ処理、断裁処理、積載処理を施すようになっている。第2用紙処理部100の詳細な構成については、後述する。
【0023】
重ね合わせ部40は、所定枚数の用紙を重ね合わせ、その用紙を、図中矢印で示す方向、つまり搬送分岐点K0の方向(第2用紙処理部100の方向と言ってもよい)に排出する。これにより、第2用紙処理部100によって、重ね合わせ部40で重ね合わされた例えば5枚の用紙が一気に中折りされるようになる。また、重ね合わせ部40を設けたことにより、重ね合わせ以降に、第1用紙処理部50及び第2用紙処理部100において時間を要する場合においても、重ね合わせ部40に印刷済の用紙をストックしておけるので(つまり重ね合わせ部40がバッファの機能を果たすので)、前段側の画像形成ユニット20の処理を停止しなくてもよくなり、生産性の低下を抑制できる。
【0024】
[2]第2用紙処理部の構成
[2−1]共通経路の搬送機構、及び、中折り機構
ここでは、第2用紙処理部100のうち、図1の分岐点K0を含む共通経路の搬送機構、及び、中折り機構について詳しく説明する。
【0025】
図4は、共通経路の搬送機構及び中折り機構の構成を示す図である。図4は、第2用紙処理部100を、図1の矢印D1に沿って側面視した側面図である。つまり、図4の右方には重ね合わせ部40が配置され、左方には第1用紙処理部50が配置され、紙面手前側が第2方向D2である。
【0026】
図4の搬送機構は、大きく分けて、用紙搬入ユニット110と、用紙搬出ユニット120と、中折りユニット130と、に分けられる。
【0027】
用紙搬入ユニット110は、上下で対になっている搬送ローラー111を有する。用紙は、搬送ローラー111の間に狭持され、搬送ローラー111の回転力によって第1方向D1に搬送される。なお、搬送ローラー111は、駆動ギア112によって駆動される。
【0028】
また、用紙搬入ユニット110は、付勢部材113を有する。付勢部材113は、駆動プーリ114に懸架されたタイミングベルト115の表面に固着されており、タイミングベルト115と共に、図の時計方向及び反時計方向に移動可能とされている。
【0029】
用紙搬出ユニット120は、上下で対になっている搬送ベルト121を有する。用紙は、上下の搬送ベルト121の間に狭持され、搬送ベルト121の回転力によって第1方向D1に搬送される。因みに、搬送ベルト121は、紙面と直交する方向に、所定の間隔をおいて複数個並設されている(搬送ローラー111及び搬送ベルト121の配置については、図10参照)。
【0030】
また、用紙搬出ユニット120は、先端規制部材122を有する。先端規制部材122は、用紙の先端に当接して、用紙先端位置を規制する。また、先端規制部材122は、搬送経路に出没可能とされている。因みに、図4では、先端規制部材122が搬送経路から退避した状態が示されている。さらに、先端規制部材122は、搬入される用紙サイズに応じて、第1方向D1又はそれとは逆方向に移動できるようになっている。
【0031】
中折りユニット130は、2本のニップローラー131と、ニップローラー131に用紙を押し込む薄板状の折りナイフ132と、を有する。ニップローラー131の回転軸は、搬送ローラー111及び駆動ギア112の回転軸と並行である。これにより、駆動ギア112によって、搬送ローラー111及びニップローラー131の両方を駆動できる。このように、第2用紙処理部100を、第1方向D1への搬送経路と第2方向D2への搬送経路との分岐点である共通搬送経路を含んだ構成とし、中折り処理を、共通搬送経路にて行うようにしたので、用紙搬送と中折りの駆動源を共用し易くなる。なお、ニップローラー131のニップ線は、第1方向D1と直交している。具体的には、ニップ線は紙面に直交する方向に形成されている。
【0032】
搬送中折り機構の行う代表的な動作は、次の通りである。
(i) 用紙搬入動作
(ii) 用紙位置決め動作
(iii) 中折り動作
(iv) 第1方向D1への用紙排出動作
(v) 第2方向D2への用紙排出動作
【0033】
以下に、各動作について詳しく説明する。
(i) 用紙搬入動作
図4に示すように、上下の搬送ローラー111が圧着状態で駆動され、かつ、上下の搬送ベルト121が圧着状態で駆動される。用紙は、上下の搬送ローラー111及び上下の搬送ベルト121に狭持されて、第1方向D1に搬送される。この用紙搬入動作は、用紙のセンターが折りナイフ132に到達する若干手前で終了する。
【0034】
(ii) 用紙位置決め動作
用紙位置決め動作は、中折り処理が行われる場合の前処理として行われるものである。図5に示すように、上下の搬送ベルト121が離間し、かつ、用紙1の前方に先端規制部材122が突出する。また、図6に示すように、上下の搬送ローラー111が離間する。このように搬送ベルト121及び搬送ローラー111が離間するので、用紙1は第1方向D1に開放された状態となる。この状態において、駆動プーリ114によってタイミングベルト115が図の時計方向に周回される。これにより、付勢部材113は、用紙1の後端を押して、用紙1の先端を先端規制部材122に付勢する。用紙1の先端が先端規制部材122に到達すると、駆動プーリ114が停止して、用紙1の位置決めが終了する。ここで、先端規制部材122の第1方向D1での突出位置、及び、付勢部材113の停止位置(先端規制部材122と付勢部材113との間隔と言ってもよい)は、搬入される用紙1のサイズによって設定される。つまり、用紙1のセンターが折りナイフ132の位置に位置決めされるように、用紙1のサイズに基づいて、先端規制部材122の突出位置、及び、付勢部材の113の停止位置が設定される。
【0035】
(iii) 中折り動作
図7は、中折り動作時の様子を示す図である。図7に示すように、用紙位置決め動作時と同様に上下の搬送ベルト121及び上下の搬送ローラー111が離間した状態で(つまり用紙1が開放された状態で)、折りナイフ132が上方に移動する。これにより、用紙1がニップローラー131に押し込まれる。ニップローラー131は、用紙1がニップ位置から上方に突出するまで回転する。これにより、ニップローラー131の圧着力によって、用紙1には折り目が形成される。次に、ニップローラー131が逆回転することで、折り目が形成された用紙がニップローラー131から落下し、搬送経路上に戻される。
【0036】
(iv) 第1方向D1への用紙排出動作
第1方向D1への用紙排出動作が行われる場合には、上述した用紙位置決め動作及び中折り動作は行われず、用紙搬入動作時と同様に、用紙1は、上下の搬送ローラー111及び上下の搬送ベルト121に狭持されて、第1方向D1に搬送され、排出される。このとき、先端規制部材122は、図8のように突出した状態では用紙の排出ができないので、図9に示すように搬送経路から退避して第1方向D1の搬送経路を開けるようになっている。
【0037】
(v) 第2方向D2への用紙排出動作
折り目が形成され、ニップローラー131から搬送経路に戻された用紙1は、図10に示すように、押し出し爪134によって、第2方向D2に押し出される。押し出し爪134は、搬送ベルト133に固着されており、搬送ベルト133と共に第2方向D2に移動可能とされている。つまり、押し出し爪134が中折りされた用紙1の側面に当接しながら第2方位D2に移動することで、中折りされた用紙1が第2方向D2に押し出される。なお、この第2方向D2への用紙の押し出し動作は、用紙位置決め動作時や中折り動作時と同様に上下の搬送ベルト121及び上下の搬送ローラー111が離間した状態で(つまり用紙1が開放された状態で)行われる。
【0038】
[2−2]鞍掛及び中綴じ機構
図11は、本実施の形態の鞍掛機構及び中綴じ機構の構成を示す斜視図である。本実施の形態の鞍掛及び中綴じ機構は、メイン鞍140と、ステイプラー150と、バッファ鞍160と、を有する。
【0039】
メイン鞍140は、上述した中折り機構から排出された中折りされた用紙1を載置する。
【0040】
ステイプラー150は、メイン鞍140の上方に設けられ、メイン鞍140の方向に下降することにより、メイン鞍140に載置された用紙を中綴じするようになっている。なお、メイン鞍140及びステイプラー150は、第2方向D2への位置が固定となっている。
【0041】
バッファ鞍160は、メイン鞍140とは別体に設けられ、中綴じされた用紙を載置して移動可能とされている。メイン鞍140とバッファ鞍160は、中折りされた用紙の折り目方向に直列に配置されている。バッファ鞍160は、スライド軸161に軸支されており、駆動ベルト162によって第2方向D2及びそれとは逆方向に移動される。また、バッファ鞍160の基台163は、スライド軸164に軸支されており、駆動ベルト165によって第2方向D2に直交する方向D3及びそれとは逆方向に移動される。
【0042】
また、鞍掛及び中綴じ機構には、第1搬送部材171、第2搬送部材172及び位置決め部材173が設けられている。第1搬送部材171、第2搬送部材172及び位置決め部材173は、それぞれ、第2方向D2及びそれとは逆方向に移動可能とされている。
【0043】
図12及び図13は、バッファ鞍160の移動の様子を示すものである。図12は、バッファ鞍160がメイン鞍140に最も近づいた状態を示すもので、この状態でステイプラー150による中綴じが行われる。図13は、バッファ鞍160がメイン鞍140から第2方向D2に最も離れた状態を示すものである。なお、図13の状態にあるときには、バッファ鞍160には中綴じ後の用紙が載置されている。図13のようにバッファ鞍160がメイン鞍140から第2方向D2に最も離れた状態になった後に、バッファ鞍160はスライド軸164に沿って方向D3(図13の紙面手前側)に移動される。
【0044】
次に、図14を用いて、本実施の形態の鞍掛機構及び中綴じ機構の動作を説明する。図14は、鞍掛機構及び中綴じ機構を上方から見た略線図である。
【0045】
先ず、図14Aに示すように、メイン鞍140に載置された中折りされた用紙1は、先端位置が第2搬送部材172によって規制され、ステイプラー150によって第1個目のステイプル処理が施される。
【0046】
次に、図14Bに示すように、第1搬送部材171によって用紙1の後端が押されることにより、用紙1は第2方向D2に移動される。このとき、用紙1の先端側には位置決め部材173が移動されており、用紙1は第1搬送部材171と位置決め部材173とにより第2個目のステイプル位置に位置決めされ、この位置で第2個目のステイプル処理が施される。なお、第2個目のステイプル処理が施されているときには、用紙1の先端側の一部は、バッファ鞍160に載置されている。また、図に示すように、第2搬送部材172は、メイン鞍140を回避しつつ、用紙1の後端側に回り込む。
【0047】
次に、図14Cに示すように、中綴じ後の冊子は、第2搬送部材172によって後端が押されて、バッファ鞍160の方向に移動される。このとき、第1搬送部材171は、次の用紙1を受け入れるために、後方へ退避する。
【0048】
やがて、図14Dに示すように、用紙(冊子)1は、第2搬送部材172によって後端が押されて、バッファ鞍160の上に完全に載った状態とされる。このとき、バッファ鞍160は冊子1を載置して独立して移動可能な状態となり、メイン鞍140は次の用紙1を受け入れ可能となる。
【0049】
次に、図14Eに示すように、バッファ鞍160は冊子1を載置して、次の処理位置まで搬送する。この間、メイン鞍140には次の用紙1が載置され中綴じ処理が開始される。
【0050】
このように、中折りされた用紙1が搬入され、この中折りされた用紙1を載置するメイン鞍140と、メイン鞍140の上方に設けられ、メイン鞍140に載置された用紙1を中綴じするステイプラー150と、メイン鞍140とは別体に設けられ、中綴じされた用紙1を載置して移動可能なバッファ鞍160と、を設けたことにより、中綴じ処理はメイン鞍140に受け持たせ、用紙1の搬送はバッファ鞍160に受け持たせることができる。この結果、用紙の中綴じ及び搬送の両方を行う必要がある鞍掛機構を、簡易な構成で実現でき、かつ、処理の高速化も実現できる。
【0051】
また、ステイプラー150及びステイプル時にメイン鞍140側でステイプラー150を受ける部材の第2方向D2への位置を固定とし、第1搬送部材171及び第2搬送部材172によって第2方向D2に用紙1を移動させて、ステイプル位置を設定したことにより、ステイプラー150とステイプル時にメイン鞍140側でステイプラー150を受ける部材との位置関係がずれることなく、ステイプル時の針の折り曲げを精度良く安定して行うことができる。この結果、中綴じの精度が向上する。また、静粛性も高めることができる。
【0052】
[2−3]断裁ユニット、排紙積載部及び昇降部の構成
図15に示すように、バッファ鞍160が移動する方向D3には、断裁ユニット180が配置されている。断裁ユニット180は、断裁刃(図示せず)を有し、中綴じされた冊子のうち、中綴じされた側と反対側の端部を断裁する。
【0053】
図16に、断裁ユニット、排紙積載部及び昇降機の配置を示す。断裁ユニット180は、バッファ鞍160よりも下方位置に配置されている。排紙積載部190は、断裁ユニット180よりも上方に配置されている。本実施の形態の場合、排紙積載部190は、第2用紙処理部100の上面に設けられている。昇降部200は、バッファ鞍160から中綴じされた冊子を受け取り、この冊子を垂直に把持した状態で、断裁ユニット180に下降させ、及び、断裁ユニット180から排紙積載部190へと上昇させる。
【0054】
このように、排紙積載部190を、断裁ユニット180の上方に配置したことにより、ユーザーによる冊子の取り出しが容易となる。また、装置の設置面積を小さくできる。
【0055】
図17、図18及び図19に示すように、排紙載置部190の入り口には、方向転換部210が設けられている。方向転換部210は、クランプ機構でなり、昇降部200によって垂直に把持された冊子1を、略水平に方向転換して、排紙積載部190に載せる。
【0056】
ここで、図20及び図21に示すように、昇降部200は、冊子1を把持する位置を、第1の把持位置と、第1の把持位置よりも下方の第2の把持位置と、で変更するようになっている。昇降部200は、冊子1を断裁ユニット180から排紙積載部190へと上昇させる時に、冊子1を把持する位置を、第1の把持位置から第2の把持位置へと変更する。
【0057】
この把持位置の変更を行うために、本実施の形態では、保持板220が設けられている。
【0058】
動作について説明する。先ず、昇降部200は、図20に示すような、冊子1の上端(折り目)近くを把持した状態で、図22に示すように、スクエアフォールド部材230によってスクエアフォールド処理を行い、その後、冊子1を断裁ユニット180に下降させ、断裁ユニット180の断裁刃181により断裁処理を行う。そして裁断後の冊子1を上昇させていく。このとき、保持板220は、図20に示すように、鉛直な状態である。
【0059】
やがて、昇降部200がある位置まで上昇すると、図21に示すように、保持板220が水平な状態となるように回転され、保持板220の上面に冊子1が載置される。このように、保持板220に冊子1が保持された状態で、昇降部200は、第1の把持位置よりも下方の第2の把持位置へと、把持位置を変更する。
【0060】
このように、冊子1の上端(折り目)付近を把持して冊子1を正確に閉じた状態にすることにより、正確なスクエアフォールド処理や断裁処理を行うことができる。また、第1の把持位置より下方の第2の把持位置へと把持位置を変更することにより、断裁ユニット180の上方に位置する方向転換部210が冊子1を適切に受け取ることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、搬入した用紙1を、用紙1の搬入方向と同一方向の第1方向D1と、この第1方向D1に直交する第2方向D2と、のいずれかに切り替えて搬送する用紙搬送手段(搬送ローラー111、搬送ベルト121、押し出し爪134)と、第2方向D2に配置され、用紙1に対して中折り処理を含む処理を施す第2用紙処理部100と、第1方向D1に配置され、用紙1に対して中折り以外の処理を施す第1用紙処理部50と、を設けた。これにより、無駄な用紙移動を省略しつつ、用紙の中折りを含む用紙処理と、用紙の中折りを含まない用紙処理とを行うことができるようになる。この結果、比較的簡易な構成、かつ、静穏性に優れ、かつ、高速で、中折りを含む複数の用紙処理を行うことができる用紙処理装置を実現できる。
【0062】
また、第2用紙処理部100を、第1方向D1への搬送経路と第2方向D2への搬送経路との分岐点である共通搬送経路を含んだ構成とし、中折り処理を、共通搬送経路にて行うようにしたので、用紙搬送と中折りの駆動源を共用し易くなり、構成を簡単化できる。
【0063】
また、第1方向D1への搬送経路と第2方向D2への搬送経路との分岐点である共通搬送経路は、同一面内に配置されており、用紙1は、同一面内で、第1方向D1と第2方向D2へと分岐して搬送されるので、小さなスペースで用紙を分岐させることができ、装置を小型化できる。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0065】
上述の実施の形態では、搬入した用紙1を、用紙1の搬入方向と同一方向の第1方向D1と、この第1方向D1に直交する第2方向D2と、のいずれかに切り替えて搬送する用紙搬送手段として、搬送ローラー111、搬送ベルト121、押し出し爪134を用いた場合について述べたが、用紙搬送手段の構成はこれに限らない。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 用紙(冊子)
10 画像形成システム
20 画像形成ユニット
30 用紙処理ユニット
40 重ね合わせ部
50 第1用紙処理部
100 第2用紙処理部
110 用紙搬入ユニット
111 搬送ローラー
112 駆動ギア
113 付勢部材
120 用紙搬出ユニット
121 搬送ベルト
122 先端規制部材
130 中折りユニット
131 ニップローラー
132 折りナイフ
134 押し出し爪
140 メイン鞍
150 ステイプラー
160 バッファ鞍
171 第1搬送部材
172 第2搬送部材
173 位置決め部材
180 断裁ユニット
190 排紙積載部
200 昇降部
210 方向転換部
220 保持板
D1 第1方向
D2 第2方向
K0 搬送分岐点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入した用紙を、用紙の搬入方向と同一方向の第1方向と、当該第1方向に直交する第2方向と、のいずれかに切り替えて搬送する用紙搬送手段と、
前記第2方向に配置され、前記用紙に対して中折り処理を含む処理を施す第2用紙処理部と、
前記第1方向に配置され、前記用紙に対して中折り以外の処理を施す第1用紙処理部と、
を具備する用紙処理装置。
【請求項2】
前記第2用紙処理部は、前記第1方向への搬送経路と前記第2方向への搬送経路との分岐点である共通搬送経路を含んで構成されており、
前記中折り処理は、前記共通搬送経路にて行われる、
請求項1に記載の用紙処理装置。
【請求項3】
前記共通搬送経路は、同一面内に配置されており、
前記用紙は、同一面内で、前記第1方向と前記第2方向へと分岐して搬送される、
請求項1又は請求項2に記載の用紙処理装置。
【請求項4】
前記第2用紙処理部は、中折り部を有し、
前記中折り部は、2本のニップローラーと、前記ニップローラーに前記用紙を押し込む板状の折りナイフと、を有し、
前記ニップローラーの回転軸は、前記用紙を前記第1方向に搬送するための第1用紙搬送部の回転駆動軸と並行に配置され、かつ、前記ニップローラーのニップ線は、前記第1方向と直交する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の用紙処理装置。
【請求項5】
前記用紙を前記第1方向に搬送するための第1用紙搬送部は、
前記第1方向に亘って前記用紙を挟む位置に配置された、搬送ローラー対又は搬送ベルト対でなり、前記用紙を狭持して前記第1方向に搬送する、狭持搬送手段を、具備し、
前記狭持搬送手段は、前記用紙を狭持した狭持状態と、前記用紙を開放した開放状態とを切り替え可能とされている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の用紙処理装置。
【請求項6】
前記用紙を前記第2方向に搬送するための第2用紙搬送部は、
中折りされた前記用紙の側面に当接しながら前記第2方位に移動することで、中折りされた前記用紙を前記第2方向に押し出す押し出し手段を有し、
前記押し出し手段は、前記第1用紙搬送部の前記狭持搬送手段が前記開放状態とされているときに、中折りされた前記用紙を前記第2方向に押し出す、
請求項5に記載の用紙処理装置。
【請求項7】
前記第1用紙搬送部は、用紙を位置決めする位置決め手段を有し、
前記位置決め手段は、
搬入された前記用紙の先端に当接して、前記用紙先端位置を規制する先端規制部材と、
前記用紙の後端を押して、前記用紙の先端を前記先端規制部材に付勢する付勢部材と、
を有し、
前記先端規制部材及び前記付勢部材は、
搬入される用紙サイズに応じた位置に移動可能、かつ、搬送経路に出没可能に構成されており、
前記用紙が中折り処理される場合には、前記搬送経路に突出して中折り位置に用紙を位置決めし、前記用紙が前記第1方向に移動される場合には、前記搬送経路から退避して前記第1方向への搬送経路を開ける、
請求項5又は請求項6に記載の用紙処理装置。
【請求項8】
前記用紙が中折りされる場合、
前記先端規制部材は、前記搬送経路の所定位置に突出され、
前記狭持搬送手段は、前記用紙の先端が前記先端規制部材に到達する手前位置までは前記用紙を狭持しながら前記第1方向に搬送し、前記手前位置で前記用紙を開放し、
前記付勢部材は、前記狭持搬送手段によって開放された前記用紙の後端を押しながら、前記用紙の先端が前記先端規制部材に到達するまで、前記用紙を前記第1方向に搬送する、
請求項7に記載の用紙処理装置。
【請求項9】
前記共通搬送経路の上方に配置された2本のニップローラーと、
前記共通搬送経路の下方から前記ニップローラーに向かって出没自在に配置され、突出したときに前記用紙を前記ニップローラーに押し込む板状の折りナイフと、
を具備し、
前記ニップローラーは、正回転することで前記用紙を引き込んで前記用紙に折り目を形成し、逆回転することで折り目の形成された用紙を前記共通搬送経路上に戻す、
請求項2に記載の用紙処理装置。
【請求項10】
用紙に画像を形成する画像形成ユニットと、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の用紙処理装置と、
を具備する画像形成システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−103814(P2013−103814A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249596(P2011−249596)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】