説明

用紙束プリンタおよび用紙束プリンタの制御方法

【課題】用紙が排出口に臨むまでの時間を短縮することを課題とする。
【解決手段】プラテンローラ25により用紙束Hから1枚ずつ捲り上げる捲上げ動作と、捲り上げた用紙H1を印刷ヘッド26との間に挟持するプラテン往動動作と、挟持した用紙H1に印刷ヘッド26により印刷を行う印刷送り動作と、印刷送りを完了した後、プラテンローラ25を元に位置に移動させるプラテン復動動作と、から成る印刷処理動作を実行する用紙束プリンタ2において、プラテンローラ25が、印刷位置31にある状態を印刷処理動作の動作開始位置として設定し、動作開始位置から印刷処理動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付箋紙束等の用紙束から1枚ずつ用紙を引き剥がして印刷する用紙束プリンタおよび用紙束プリンタの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用紙束印刷システムを適用した付箋紙プリンタ(用紙束プリンタ)として、セットした付箋紙束の最上位の付箋紙にプラテンローラが接触した状態を、印刷待機状態とするものが知られている(特許文献1参照)。この付箋紙プリンタでは、印刷キーが押されると、プラテンローラにより、最上位の付箋紙を捲り上げた後、捲り上げた付箋紙をプラテンローラと印刷ヘッドとの間に挟持するよう移動させ、挟持した付箋紙をプラテンローラにより排出口に向かって送りながら印刷ヘッドにより印刷を行う。そして、ユーザは、排出口に臨んだ印刷済みの付箋紙を取り去ることで、所望の印刷が施された付箋紙を得ることができる。
【特許文献1】特開2003−212367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、付箋紙は、メモ用紙として使用されることがあり、その用途からして、付箋紙プリンタは、ユーザが付箋紙を必要とした時に、つまり、ユーザにより付箋紙の供給指令が出されたら、直ぐにユーザに付箋紙を供給するべく、付箋紙をより早く排出口に臨ませる構成にすることが、好ましい。
しかしながら、上記の付箋紙プリンタでは、印刷処理動作の開始が、付箋紙の捲上げ動作から開始されるため、付箋紙が排出口に臨むまで時間がかかっていた。これにより、付箋紙プリンタの使用上において、ユーザにとって使い勝手が悪い問題がある。
【0004】
本発明は、用紙が排出口に臨むまでの時間を短縮することができる用紙束プリンタおよび用紙束プリンタの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の用紙束プリンタは、一方の端部を剥離可能に粘着した多数枚の用紙から成る用紙束に臨み、用紙束の最上位の用紙を1枚ずつ捲り上げるプラテンローラと、プラテンローラと協働して用紙を引き剥がしながら排出口に向かって送ると共に送られてゆく用紙に印刷を行う印刷ヘッドと、プラテンローラを、最上位の用紙に臨む捲上げ位置と印刷ヘッドに接触する印刷位置との間で往復移動させるプラテン移動手段と、プラテンローラ、プラテン移動手段、印刷ヘッドを制御し、用紙の捲上げ動作、プラテンローラの捲上げ位置から印刷位置へのプラテン往動動作、プラテンローラによる用紙の排出口への送りと印刷ヘッドの駆動とを同期させる印刷送り動作、およびプラテンローラの印刷位置から捲上げ位置へのプラテン復動動作から成る印刷処理動作を実行させる制御手段と、を備え、制御手段は、プラテンローラが印刷位置にある状態を印刷処理動作の動作開始位置として設定し、動作開始位置から印刷処理動作を実行させることを特徴とする。
【0006】
本発明の用紙束プリンタの制御方法は、一方の端部を剥離可能に粘着した多数枚の用紙から成る用紙束の最上位の用紙に臨んだ捲上げ位置において、プラテンローラにより最上位の用紙から1枚ずつ捲り上げる捲上げ動作と、プラテンローラを捲上げ位置から印刷ヘッドに接触する印刷位置まで移動させ、捲り上げた用紙を印刷ヘッドとの間に挟持するプラテン往動動作と、挟持した用紙をプラテンローラにより引き剥がしながら排出口に向かって送り、且つこの送られてゆく用紙に印刷ヘッドにより印刷を行う印刷送り動作と、印刷送り動作を完了した後、プラテンローラを印刷位置から捲上げ位置に移動させるプラテン復動動作と、から成る印刷処理動作を実行する用紙束プリンタの制御方法において、プラテンローラが、印刷位置にある状態を印刷処理動作の動作開始位置として設定し、動作開始位置から印刷処理動作を実行することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、プラテンローラが印刷位置にある状態を動作開始位置に設定しているため、プラテンローラと印刷ヘッドとにより用紙が挟持された状態が印刷待機状態となる。すなわち用紙の捲上げ動作およびプラテン往動動作は、印刷処理動作前に予め実行されている。このため、印刷指令が出されると、先ず印刷送り動作により用紙を排出口に向かって送りながら印刷を行う。この後、プラテン復動動作を行った後、捲上げ動作およびプラテン往動動作を行なって、プラテンローラを再び動作開始位置へ移動させて、一連の印刷処理動作を終了する。これにより、印刷処理動作の開始から用紙が排出口に臨むまで、捲上げ動作およびプラテン往動動作の分、時間を短縮することができるため、用紙をより早く排出口に臨ませることができる。なお、用紙束としては、付箋紙束やメモパッド等がある。
【0008】
この場合、動作開始位置において、プラテンローラにより捲り上げられた用紙の有無を検出する検出手段と、印刷処理動作の実行前に、検出手段が、用紙の「無」を検出した場合、プラテンローラにより用紙が捲り上げられていない旨を報知する報知手段と、を更に備えたことが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、用紙束の交換や捲上げ不良等により、動作開始位置において、プラテンローラにより用紙が捲り上げられていない場合、この旨をユーザに報知することができる。
【0010】
この場合、プラテンローラ、プラテン移動手段、印刷ヘッドおよび検出手段を備えた用紙束プリンタ本体と、制御手段および報知手段を備えたコンピュータと、から成ることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、コンピュータを利用して用紙束プリンタ本体を制御することにより、プラテンローラの印刷位置を動作開始位置とすることができ、用紙が排出口に臨むまでの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本実施形態に係る用紙束プリンタを付箋紙プリンタに適用した場合について説明する。付箋紙プリンタは、パソコンで編集した印刷データに基づいて、付箋紙プリンタ本体により、これにセットした付箋紙束(用紙束)から最上位の付箋紙を捲り上げ、捲り上げた付箋紙を引き剥がしながら印刷を行って、装置外部に印刷済みの付箋紙を排出するものである。
【0013】
図1に示すように、付箋紙プリンタ1は、付箋紙束Hがセットされる付箋紙プリンタ本体2と、付箋紙プリンタ本体2にUSBケーブル4等で接続され、付箋紙H1に印刷するための印刷データを作成・編集すると共に、付箋紙プリンタ本体2の各種駆動を制御するパソコン(制御手段)3とから構成されている。
【0014】
パソコン3は、パソコン本体5と、パソコン本体5に接続され、データを入力するキーボード6およびマウス7と、入力結果等を表示するディスプレイ8とを有しており、パソコン本体5には、付箋紙プリンタ本体2に関するアプリケーションソフト(プログラム)やデバイスドライバ等のデータを記憶したCD−ROM9が着脱自在にセットされている。そして、キーボード6等から各種検出信号、各種指令、各種データ等が入力されると、パソコン3は、CD−ROM9内のプログラムに従って、各種データを処理し、付箋紙プリンタ本体2を制御するようになっている。また、詳細は後述するが、ディスプレイ8は、付箋紙プリンタ本体2内部に設けられた検出センサ23の検出結果に基づく警告等を、画像表示または音声等により報知する報知手段として構成されている。
【0015】
なお、当然ではあるが、付箋紙プリンタ本体2に印刷データの作成・編集機能や各部の制御機能を設け、付箋紙プリンタ本体2を単体として用いて、付箋紙H1に対する印刷を行うようにしてもよい。
【0016】
図2に示すように、付箋紙プリンタ本体2は、装置ケース15により外殻が形成され、装置ケース15の内部に付箋紙束Hがセットされる構成となっている。そして、付箋紙プリンタ本体2は、セットした付箋紙束Hから1枚ずつ引き剥がした付箋紙H1に対し、パソコン3で作成した所望のキャラクタ列を印刷し、これを装置ケース15に形成した排出部13から送り出すようにしている。
【0017】
装置ケース15は、全体として小型に形成されており、装置ケース15の下部前面には、後述する付箋紙ホルダ20をケース内部に前方から引出し式で導入するための付箋紙導入開口17が形成されている。排出部13は、上部前面中央に設けられると共に印刷済み付箋紙H1をケース外部に送り出すための水平スリット状の排出口16と、排出口16を境にケース内部からケース外部へ延在し、引き剥がされた印刷済み付箋紙H1を受け留める受け部14と、が形成されている。また、装置ケース15の上面には、インクリボンRを収容したリボンカートリッジCを装着すると共に、メンテナンスのための開閉蓋18が取り付けられている。
【0018】
図3に示すように、付箋紙束Hは、裏面の基端部Hkを部分糊付けした長方形状の複数枚の付箋紙H1を積層したものである。付箋紙H1は、付箋紙束Hから剥離されると共に、剥離後に、この基端部の糊付け部を介して、手帳等に貼着可能に構成されている。
【0019】
付箋紙プリンタ本体2は、付箋紙束Hをセットする付箋紙ホルダ20と、プラテンローラ25を有し、セットした付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を捲上げ位置30において捲り上げた後、付箋紙H1を引き剥がして排出口16に向かって搬送する付箋紙搬送手段21と、サーマルヘッド(印刷ヘッド)26を有し、プラテンローラ25と協働して搬送されてゆく付箋紙H1に印刷を行う印刷手段22と、印刷位置31において、付箋紙H1の有無を検出する検出センサ23と、を備え、これらは上記した装置ケース15内に収容されている。つまり、上記のプラテンローラ25は、付箋紙搬送手段21の送りローラと印刷手段22のプラテンローラとを兼ねた構成となっている。
【0020】
図3に示すように、付箋紙ホルダ20は、上面を開放すると共にボックス状に形成された付箋紙束ケース35と、付箋紙束ケース35に収容され、付箋紙束Hを水平に載置する載置ステージ36と、で構成され、載置ステージ36と付箋紙束ケース35の底面との間には、載置ステージ36を上方に付勢するコイルバネ37が介設されている。また、付箋紙ホルダ20は、装置ケース15に対し、引き出し式で装着する構成となっており、付箋紙導入開口17を介して着脱自在に装着する。このため、付箋紙束Hの交換または取替えを行う際には、付箋紙ホルダ20ごと取り出して、付箋紙束Hをセットする。
【0021】
付箋紙束ケース35は、載置ステージ36をスライドするように案内する四周枠状のケース本体38と、ケース本体38の上端部に設けられ、付箋紙束Hの先端部Hsおよび基端部Hkを押さえるよう内向きに突設された一対の位置規制部39と、で一体に形成されている。
【0022】
載置ステージ36は、板状に形成され、例えば4つのコイルバネ37により上方に付勢されており、これにセットされた付箋紙束Hは、付箋紙H1が1枚ずつ送り出され目減りしても、一対の位置規制部39により、その最上位に位置する付箋紙H1の高さレベルが一定となっている。このとき、付箋紙束Hをセットした位置が、付箋紙搬送手段21により捲り上げられる捲上げ位置30となる。
【0023】
この付箋紙ホルダ20に、付箋紙束ケース35の上方から付箋紙束Hを載置ステージ36上にセットすると、付箋紙束Hは、コイルバネ37により上方に付勢されると共に、その先端部Hsおよび基端部Hkが一対の位置規制部39により、水平に載置された状態で捲上げ位置30に位置規制される。
【0024】
付箋紙搬送手段21は、捲上げ位置30に臨んだ付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を捲り上げるよう構成されており、最上位の付箋紙H1に転接してこれを捲り上げると共に捲り上げた付箋紙H1を引き剥がすプラテンローラ25と、プラテンローラ25を捲上げ位置30とサーマルヘッド26に接触する印刷位置31との間で移動させるプラテン移動手段45と、プラテンローラ25およびプラテン移動手段45の駆動源となる駆動モータ46と、駆動モータ46の駆動力をプラテンローラ25およびプラテン移動手段45に伝達する減速ギヤ列47と、を備えている。
【0025】
プラテンローラ25は、捲り上げた付箋紙H1の先端側の裏面に転接すると共に、印刷位置31において付箋紙H1を引き剥がしながら回転送りするものであり、付箋紙H1に直接転接するローラ本体50と、ローラ本体50の回転軸となるローラ駆動軸51とを有している。ローラ駆動軸51は、減速ギヤ列47を介して伝達される駆動モータ46の動力により回転する。
【0026】
プラテン移動手段45は、先端部でローラ駆動軸51を回転自在に保持すると共に、基端部を中心に回動(揺動)自在に構成された一対の回動アーム52を有しており、例えば、一方の回動アーム52をキャリアとし、且つ上記の減速ギヤ列47を構成する一部のギヤを利用した遊星歯車機構と、そのギヤの回転力を回動アーム52の回動動作に変換するカム機構とにより構成されている。すなわち、遊星歯車機構による円運動が、カム機構により回動アーム52の往復回動運動に変換されるようになっている。この回動アーム52の往復回動運動により、プラテンローラ25が、捲上げ位置30と印刷位置31との間で往復移動、つまり、捲上げ位置30から印刷位置31まで移動するプラテン往動動作、印刷位置31から捲上げ位置30まで移動するプラテン復動動作を行なう。また、プラテン移動手段45は、初期状態(印刷待機状態)において、プラテンローラを印刷位置31に位置するようにしており、印刷位置31を動作開始位置として、一連のプラテン往復動動作を開始するよう構成されている。
【0027】
印刷手段22は、排出口16に近傍に配設されたサーマルヘッド26と、装着されたリボンカートリッジCのインクリボンRを巻き取るリボン巻取り機構(図示省略)とを有している。リボンカートリッジCは、インクリボンRを繰り出し自在に巻回したリボン繰出しリール55と、インクリボンRを巻き取るリボン巻取りリール56と、これらを回転自在に収容するカートリッジケース(図示省略)とから構成されている。また、リボン巻取り機構は、プラテンローラ25が印刷位置31へ移動すると、上記の減速ギヤ列47と連結して駆動モータ46からの動力が入力するようになっており、付箋紙H1の送りと併せて、インクリボンRの巻取り(送り)を開始するようになっている。
【0028】
このようにして構成された印刷手段22は、パソコン3からの制御信号により、サーマルヘッド26および駆動モータ46が制御されながら、付箋紙H1に対する印刷送り動作を行う。すなわち、印刷位置31に移動したプラテンローラ25とサーマルヘッド26との間で、付箋紙H1とインクリボンRとを挟み込み、これらを同方向に送りつつ、サーマルヘッド26の発熱駆動により付箋紙H1の表面に印刷を行う。
【0029】
検出センサ23は、受光素子60および発光素子61から成る光学センサで構成されており、印刷位置31において、プラテンローラ25により捲り上げられた付箋紙H1の有無を検出するため、捲り上げた付箋紙H1の先端部Hsを挟むように排出口16近傍に配設されている。
【0030】
動作開始位置(印刷位置31)において、検出センサ23が付箋紙の「無」を検出すると、その検出結果がパソコン3に入力され、プラテンローラ25により付箋紙H1が捲り上げられていない旨の警告をパソコン3のディスプレイ8上において表示する。これにより、付箋紙H1が無いまま印刷が実行されることをユーザは事前に知ることができ、また、これを視認したユーザは、マニュアル操作により付箋紙プリンタ本体2に捲上げ動作およびプラテン往動動作を行なわせて、プラテンローラ25とサーマルヘッド26との間に付箋紙H1が挟み込まれた状態とする(例えば、リセットキーの操作により、捲上げ動作およびプラテン往動動作を行なわせる)。
【0031】
ここで、図4を参照して、本実施形態の付箋紙H1の一連の印刷処理動作について説明すると共に、図5を参照して、従来の付箋紙の一連の印刷処理動作と比較する。印刷待機状態において、プラテンローラ25は、印刷位置31にあり、付箋紙ホルダ20にセットされた付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を、プラテンローラ25とサーマルヘッド26との間に挟み込んだ状態になっている(図4(a)参照)。このとき、検出センサ23により付箋紙H1の「無」を検出した場合は、ディスプレイ8に付箋紙H1が捲り上げられていない旨の警告を表示する。
【0032】
検出センサ23が付箋紙の「有」を検出した状態で、パソコン3により印刷開始を指示すると、プラテンローラ25は、サーマルヘッド26と協働して、挟み込んだ付箋紙H1を付箋紙束Hから引き剥がし、先端側を先にして排出口16に向けて回転送りすると同時に、付箋紙H1の表面に先端側から印刷を行う印刷送り動作を開始する(図4(b)および(c)参照)。
【0033】
そして、付箋紙H1の糊付け部がプラテンローラ25に達すると、プラテンローラ25は、印刷位置31から捲上げ位置30に移動するプラテン復動動作を開始し、その移動過程において、印刷済みの付箋紙H1を受け部14に受け渡す(図4(d)参照)。この時点において、受け部14に受け渡された印刷済みの付箋紙H1は、ユーザにより取り去り可能となる。
【0034】
次いで、捲上げ位置30に臨んだプラテンローラ25は、回転して付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を捲り上げる捲上げ動作を開始する。すると、プラテンローラ25が最上位の付箋紙H1に対し、表面の先端側に転接することで、その長手方向の中間部が次第に上方へと湾曲するように撓んでいく(図4(e)参照)。
【0035】
捲り上がっていく付箋紙H1の先端がプラテンローラ25の下側を通過した直後、付箋紙H1は、プラテンローラ25の回転により、プラテンローラ25の上側に撥ね上げられ、付箋紙H1の先端部がプラテンローラ25に乗り上げる(図4(f)参照)。
【0036】
この後、プラテン移動手段45により、プラテンローラ25は、捲上げ位置30から印刷位置31まで移動し、付箋紙H1をプラテンローラ25とサーマルヘッド26とにより挟み込んだ状態で、一連の印刷処理動作を終了する(図4(g)参照)。
【0037】
以上の構成によれば、動作開始位置が印刷位置31に設定されているため、付箋紙H1が予め捲り上げられ、印刷位置31に移動した状態から、印刷処理動作を開始することができる。これにより、従来(図5参照)と比較して、印刷処理動作の開始から付箋紙H1が排出口16に臨むまで、捲上げ動作およびプラテン往動動作の分、時間を短縮することができるため、付箋紙H1をより早く排出口16に臨ませることができる。なお、本実施形態では、用紙束として付箋紙束Hを用いたが、これに代えてメモパッド等を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態に係る付箋紙プリントシステムの模式図である。
【図2】本実施形態に係る付箋紙プリンタの外観斜視図である。
【図3】本実施形態に係る付箋紙プリンタの内部模式図である。
【図4】付箋紙プリンタの一連の印刷処理動作の説明図である。
【図5】本実施形態の付箋紙プリンタの印刷処理動作と、従来の付箋紙プリンタの印刷処理動作とを比較したチャート図である。
【符号の説明】
【0039】
1…付箋紙プリンタ 2…付箋紙プリンタ本体 3…パソコン 16…排出口 23…検出センサ 25…プラテンローラ 26…サーマルヘッド 30…捲上げ位置 31…印刷位置 45…プラテン移動手段 H…付箋紙束 H1…付箋紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部を剥離可能に粘着した多数枚の用紙から成る用紙束に臨み、前記用紙束の最上位の前記用紙を1枚ずつ捲り上げるプラテンローラと、
前記プラテンローラと協働して前記用紙を引き剥がしながら排出口に向かって送ると共に送られてゆく用紙に印刷を行う印刷ヘッドと、
前記プラテンローラを、最上位の前記用紙に臨む捲上げ位置と前記印刷ヘッドに接触する印刷位置との間で往復移動させるプラテン移動手段と、
前記プラテンローラ、前記プラテン移動手段、前記印刷ヘッドを制御し、前記用紙の捲上げ動作、前記プラテンローラの前記捲上げ位置から前記印刷位置へのプラテン往動動作、前記プラテンローラによる前記用紙の前記排出口への送りと前記印刷ヘッドの駆動とを同期させる印刷送り動作、および前記プラテンローラの前記印刷位置から前記捲上げ位置へのプラテン復動動作から成る印刷処理動作を実行させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記プラテンローラが前記印刷位置にある状態を前記印刷処理動作の動作開始位置として設定し、前記動作開始位置から前記印刷処理動作を実行させることを特徴とする用紙束プリンタ。
【請求項2】
前記動作開始位置において、前記プラテンローラにより捲り上げられた前記用紙の有無を検出する検出手段と、
前記印刷処理動作の実行前に、前記検出手段が、前記用紙の「無」を検出した場合、前記プラテンローラにより前記用紙が捲り上げられていない旨を報知する報知手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の用紙束プリンタ。
【請求項3】
前記プラテンローラ、前記プラテン移動手段、前記印刷ヘッドおよび前記検出手段を備えた用紙束プリンタ本体と、
前記制御手段および前記報知手段を備えたコンピュータと、から成ることを特徴とする請求項2に記載の用紙束プリンタ。
【請求項4】
一方の端部を剥離可能に粘着した多数枚の用紙から成る用紙束の最上位の前記用紙に臨んだ捲上げ位置において、プラテンローラにより最上位の前記用紙から1枚ずつ捲り上げる捲上げ動作と、
前記プラテンローラを前記捲上げ位置から印刷ヘッドに接触する印刷位置まで移動させ、捲り上げた前記用紙を前記印刷ヘッドとの間に挟持するプラテン往動動作と、
挟持した前記用紙を前記プラテンローラにより引き剥がしながら排出口に向かって送り、且つこの送られてゆく前記用紙に前記印刷ヘッドにより印刷を行う印刷送り動作と、
前記印刷送りを完了した後、前記プラテンローラを前記印刷位置から前記捲上げ位置に移動させるプラテン復動動作と、から成る印刷処理動作を実行する用紙束プリンタの制御方法において、
前記プラテンローラが、前記印刷位置にある状態を前記印刷処理動作の動作開始位置として設定し、前記動作開始位置から前記印刷処理動作を実行することを特徴とする用紙束プリンタの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−74511(P2008−74511A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253342(P2006−253342)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】