説明

用紙残量検出装置、画像形成装置

【課題】用紙残量の検出の確実性を向上させることが可能な用紙残量検出装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】被取出用紙STが取出ローラー212に当接するように、載置台211Aを基準位置P1から取出ローラー212に向けて上方向に移動させる駆動部102と、所定の基準方向Xの先頭から、第1の極性に帯磁された第1の帯磁領域、帯磁されていない第1の非帯磁領域、及び、第1の極性とは逆極性の第2の極性に帯磁された第2の帯磁領域が、この順に設けられた変位部材106と、変位部材106を、用紙の残量の増大に応じて基準方向に沿って変位させるアクチュエーター104と、変位部材106の一部と対向して配置され、変位部材106における対向位置の磁力の有無及び極性を検出する磁力検出部107と、磁力検出部107の検出結果に基づき、用紙残量を判断する残量判断部109と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙残量検出装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、特許文献1及び2のように、変位部材の変位を用いて、画像形成装置に残っている用紙残量を検出することがある。
【0003】
特許文献1記載の給紙制御装置は、磁気出力部が配置された可動板が用紙残量に応じて上下方向に移動すると、誘導コイルにより検出される、磁気出力部の磁力の強さが変化する。そして、前記給紙制御装置が、この磁力の強さの変化に基づき、用紙残量を検出する。
【0004】
特許文献2記載のアクチュエーターセンサーでは、ロール紙の残量に応じてアクチュエーターが揺動すると、磁石とホール素子との距離が変化するから、ホール素子は、アクチュエーターの角度位置に対応する信号を出力する。そして、前記アクチュエーターセンサーは、アクチュエーターの角度位置に対応する信号に基づき、ロール紙の残量を検出する。
【0005】
そして、特許文献3には、磁気センサーから、変位検出対象の変位を表す信号を出力させ、この信号に基づき、変位検出対象の変位を検出する変位検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−61646号公報
【特許文献2】特開平3−10103号公報
【特許文献3】国際公開WO00/05548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、検出される磁力の強さは、例えば磁石の温度特性を原因として、周囲温度に応じて変動する。そして、検出される磁力の強さを表す電圧値は、電源電圧の変動に応じて変動する。
【0008】
そのため、特許文献1〜3のように、用紙残量を、磁力の強さのようなアナログ量の変化によって検出する構成では、周囲温度や電源電圧の影響を受けて、用紙残量を誤検出するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、用紙残量の検出の確実性を向上させることが可能な用紙残量検出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る用紙残量検出装置は、複数枚の用紙からなる用紙束を収容する用紙収容部と、前記用紙収容部に配置され、前記用紙束を載置するための載置台と、前記載置台上の前記用紙束の最も上に位置する用紙である被取出用紙を取り出す取出ローラーと、 前記被取出用紙が前記取出ローラーに当接するように、前記載置台を、予め定められた基準位置から前記取出ローラーに向けて上方向に移動させる駆動部と、所定の基準方向の先頭から、第1の極性に帯磁された第1の帯磁領域、帯磁されていない第1の非帯磁領域、及び、前記第1の極性とは逆極性の第2の極性に帯磁された第2の帯磁領域が、この順に設けられた変位部材と、前記変位部材を、前記用紙の残量の増大に応じて前記基準方向に沿って変位させるアクチュエーターと、前記変位部材の一部と対向して配置された磁力検出部であって、前記変位部材における対向位置の磁力の有無及び極性を検出する磁力検出部と、前記磁力検出部の検出結果に基づき、前記用紙残量を判断する残量判断部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、アクチュエーターは、用紙残量の変化に応じて、磁力検出部に対向する変位部材を変位させるので、第1の帯磁領域、第1の被帯磁領域、及び第2の帯磁領域のいずれが磁力検出部に対向するかが変化する。これにより、磁力検出部により検出される磁力の有無及び極性が、用紙残量の変化に応じて変化する。
【0012】
残量判断部は、磁力検出部により検出される磁力の有無及び極性に基づき用紙の残量を判断するから、変位部材の変位を磁力の強さの変化で表し、磁力の強さをさらに電圧値の変化によって表す構成と比べて、用紙残量の変化を精度良く検出することが可能となる。
【0013】
上記構成において、前記アクチュエーターは、一端が前記用紙束の上面と当接し、前記上面の位置に応じた前記一端の変位運動を、前記変位部材に伝達することにより前記変位部材を変位させることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、アクチュエーターは、その一端が用紙束の上面の位置に応じて変位運動し、その変位運動を変位部材に伝達する。これにより、アクチュエーターは、変位部材を、用紙の残量に応じて変位させることができる。
【0015】
上記構成において、前記変位部材には、前記第1の帯磁領域の前記基準方向先頭側に、帯磁されていない第2の非帯磁領域が隣接して配置され、前記アクチュエーターは、前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記載置台に前記用紙が載置されていない場合には、前記第2の非帯磁領域を、前記磁力検出部よりも前記基準方向後方側に位置させ、 前記残量検出部は、前記駆動部によって、前記載置台を前記基準位置から上方向に移動させ、前記移動を開始させてから予め定められた設定時間内に、前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出されないときには、前記用紙の残量が無と判断することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、用紙の残量が無であることを判断することが可能となる。
【0017】
上記構成において、前記載置台が前記基準位置に位置することを検出する基準位置検出部と、前記被取出用紙が前記取出ローラーに当接したことを検出する当接検出部と、をさらに備え、前記アクチュエーターは、前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙収容部に収容されている用紙の残量が予め設定された第1レベルであるときには、前記第2の非帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙の残量が前記第1レベルよりも多い第2レベルであるときには、前記第1の帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙の残量が前記第2レベルよりも多い第3レベルであるときには、前記第1の非帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙の残量が前記第3レベルよりも多い第4レベルであるときには、前記第2の帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、前記残量判断部は、前記基準位置検出部によって前記載置台が前記基準位置に位置していると検出され、且つ前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出されたときには、前記用紙の残量が前記第2レベルと判断し、前記基準位置検出部によって前記載置台が前記基準位置に位置していると検出され、且つ前記磁力検出部によって前記第2の極性が検出されたときには、前記用紙残量が前記第4レベルと判断し、前記基準位置検出部により前記載置台が前記基準位置に位置していることが検出され、且つ前記磁力検出部により磁力が検出されない場合、前記駆動部によって前記載置台を前記基準位置から前記取出ローラーに向けて上方向に移動させ、前記載置台の上方向への移動を開始させてから、前記当接検出部によって前記被取出用紙が前記取出ローラーに当接していると検出されるまでの移動期間の間に、前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出された後に前記第2の極性が検出されたときには、前記用紙の残量が前記第1レベルと判断し、前記移動期間の間に、前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出されず前記第2の極性が検出されたときには、前記用紙の残量が前記第3レベルと判断することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、残量判断部は、基準位置検出部、当接検出部、及び磁力検出部それぞれの検出結果を用いて、用紙残量を4段階で判断することができる。
【0019】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、先述の用紙残量検出装置と、原稿の画像データを取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された前記画像データを用紙に形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、先述の用紙残量検出装置を備えるから、用紙残量を精度良く検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、用紙残量を精度良く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置の要部構成の一例を示した図である。
【図3】アクチュエーターの要部構成の一例を示した図である。
【図4】載置台が基準位置に位置しているときにおける、磁力検出部と変位部材との位置関係の変化について説明するための図である。
【図5】残量判断部による残量判断処理の概要の一例について説明したフローチャートである。
【図6】残量判断部による残量判断処理の概要の一例について説明したフローチャートである。
【図7】最上位置の用紙がピックアップローラーに当接したときにおける、磁力検出部と変位部材との位置関係について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置Aの全体構成の一例を示した断面図である。尚、この画像形成装置Aは、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置1を備える。
【0024】
画像形成装置Aは、略直方体形状の筐体構造を有し胴内空間を備えた装置本体2を備える。装置本体2は、シートに対して画像形成処理を行う。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容され、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための各種機器が収容されている。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための排出口961が設けられている。
【0025】
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、排出口961から排出されたシートが積載される。
【0026】
上部筐体22の上には、画像が読み取られる原稿を押さえる押さえカバー(不図示)が配設されている。当該押さえカバーは、その後端縁において上部筐体22に対して回動可能に取り付けられている。
【0027】
下部筐体21には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット211(用紙収容部)が装着されている。給紙カセット211は、下部筐体21(装置本体2)の前面から手前方向に引出可能である。この給紙カセット211は、自動給紙用に設けられたカセットである。
【0028】
装置本体2の右側面には、ユーザに手差し給紙を行わせるためのマルチトレイユニットMが装着されている。マルチトレイユニットMは、手差しシートが載置される給紙トレイ30と、前記手差しシートを下部筐体21内の画像形成部へ搬入する給紙ユニット40とを含む。給紙トレイ30は、その下端部において下部筐体21に対して開閉自在に取り付けられており、不使用時は閉状態とされる。ユーザは、手差し給紙を行う場合、給紙トレイ30を開き、その上にシートを載置する。
【0029】
下部筐体21の内部には、上方から順に、トナーコンテナ99Y、99M、99C、99K、中間転写ユニット92、画像形成部93、露光ユニット94、及び上述の給紙カセット211が収容されている。
【0030】
画像形成部93は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを備える。各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲に配置された、帯電器12、現像装置13、一次転写ローラー14及びクリーニング装置15とを含む。
【0031】
感光体ドラム11は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム11としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器12は、感光体ドラム11の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム11の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。
【0032】
現像装置13は、感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム11の周面にトナーを供給する。現像装置13は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー16、17、磁気ローラー18、及び現像ローラー19を含む。攪拌ローラー16、17は、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラー18の周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラー19の周面には、磁気ローラー18と現像ローラー19との間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー19上のトナーは、感光体ドラム11の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
【0033】
一次転写ローラー14は、中間転写ユニット92に備えられている中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム11とニップ部を形成し、感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置15は、トナー像転写後の感光体ドラム11の周面を清掃する。
【0034】
イエロー用トナーコンテナ99Y、マゼンタ用トナーコンテナ99M、シアン用トナーコンテナ99C、及びブラック用トナーコンテナ99Kは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCK各色に対応する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置13に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0035】
露光ユニット94は、画像形成部93の一部を構成している。露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの各々に設けられた感光体ドラム11の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0036】
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラー922及び従動ローラー923を備える。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム11からトナー像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされたトナー像は、給紙カセット211又は給紙トレイ30から供給されるシートに、二次転写部98において二次転写される。中間転写ベルト921を周回駆動させる駆動ローラー922及び従動ローラー923は、下部筐体21によって回転自在に支持される。
【0037】
給紙カセット211は、複数のシートが積層されてなる用紙束を収容する。給紙カセット211の右端側の上部には、ピックアップローラー212(取出ローラー)が配置されている。ピックアップローラー212の駆動により、給紙カセット211内の用紙束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬入搬送路26へ搬入される。一方、給紙トレイ30に載置されたシートは、給紙ユニット40の給紙ローラー41の駆動によって、搬入搬送路26へ搬入される。
【0038】
搬入搬送路26の下流側には、二次転写部98、定着ユニット97及び排紙ユニット96を経由して排出口961まで延びるシート搬送路28が設けられている。シート搬送路28の上流部分は、下部筐体21に形成された内壁と、反転搬送ユニット29の内側面を形成する内壁との間に形成されている。なお、反転搬送ユニット29の外側面は、両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路291の片面を構成している。シート搬送路28の、二次転写部98よりも上流側にはレジストローラー対27が配置されている。シートは、レジストローラー対27にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、二次転写部98に送り出される。
【0039】
連結筐体23の内部には、定着ユニット97と排紙ユニット96とが収容されている。定着ユニット97は、定着ローラーと加圧ローラーとを含み、二次転写部98においてトナー像が二次転写されたシートを加熱及び加圧することで、定着処理を施す。定着処理されたカラー画像付のシートは、定着ユニット97の下流に配置されている排紙ユニット96により、排出口961から胴内排紙部24に向けて排出される。
【0040】
上部筐体22の上面には、第1コンタクトガラス222と第2コンタクトガラス223とが嵌め込まれている。第1コンタクトガラス222は、自動原稿給送装置(ADF;図示せず)が上部筐体22上に配置される場合に、ADFから自動給送される原稿シートの読取用に設けられている。第2コンタクトガラス223は、手置きされる原稿シートの読取用に設けられている。
【0041】
上部筐体22の内部には、原稿情報を光学的に読み取るための走査機構224と撮像素子225(画像取得部)とが収容されている。走査機構224は、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含み、原稿からの反射光を撮像素子225に導く。撮像素子225は、前記反射光を基にして画像データを生成する。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態に係る用紙残量検出装置1の要部構成の一例を示した図である。図3は、アクチュエーター104の要部構成の一例を示した図である。
【0043】
給紙カセット211内には、用紙束Sを載置する載置台211Aが配置されている。載置台211Aは、一端が支点部O1において支持されている。載置台211Aはまた、他端が支持部211Bにより支持されている。支持部211Bは、モーター102(駆動部)による駆動力を所定のギア機構を介して受け付けて、支点部O2を中心にして回動する。
【0044】
かくして、載置台211Aは、モーター102の駆動力によって、支点部O1を中心にして上下方向に回動する。
【0045】
そして、給紙カセット211の底面に基準位置P1が予め設定されている。また、載置台211Aが基準位置P1に位置することを検出する基準位置検出部111が配置されている。かくして、載置台211Aが下方向に回動して基準位置P1に到達したときには、載置台211Aが基準位置P1に位置していることが、基準位置検出部111によって検出される。
【0046】
給紙カセット211内には、ピックアップローラー212及びアクチュエーター104を支持する支持板100が配置されている。支持板100の一端にはアクチュエーター104が取り付けられている。また、支持板100の他端は、給紙カセット211のハウジングに取り付けられて支点部O3を形成している。支持板100は、支点部O3を中心にして回動する。
【0047】
また、給紙カセット211のハウジングには、付勢バネ101の一端が取り付けられている。付勢バネ101の他端は、支持板100に取り付けられている。付勢バネ101は、その弾性復元力により、支持板100を、給紙カセット211内の下方向に押す。
【0048】
ピックアップローラー212は、支持板100に取り付けられている。載置台211Aが上方向に回動して、用紙束Sの最上位置の用紙ST(被取出用紙)がピックアップローラー212に当接すると、ピックアップローラー212は、付勢バネ101の弾性復元力に逆らって、支持板100ごと上方向に押し上げられる。尚、最上位置の用紙STは、用紙束Sの最も上に位置する用紙である。
【0049】
当接検出部103は、例えば、光センサーやマイクロスイッチにより構成されている。この当接検出部103は、例えば、ピックアップローラー212と対向配置されるとオンするようになっている。
【0050】
当接検出部103は、用紙STがピックアップローラー212に当接していないときには、ピックアップローラー212に対向しない位置に配置されている。当接検出部103は、ピックアップローラー212が上方向に押し上げられたとき、ピックアップローラー212が当接検出部103の対向位置に位置付けられてオンし、用紙STがピックアップローラー212に当接したことを検出する。
【0051】
アクチュエーター104は、アーム105Aを備える。アーム105Aの先端105B(一端)は、用紙束Sの上面と当接する。アーム105Bの後端105Cは、支点部O4として支持板100に取り付けられている。また、後端105Cには、扇状の変位部材106が設けられている。
【0052】
アクチュエーター104は、アーム105Aの先端105Bが用紙STと当接した状態で載置台211Aが上方向に回動すると、支点部O4を中心として基準方向X(反時計回り方向)に回動する。また、載置台211A上の用紙の残量が増大すると、用紙STと当接している先端105Bが基準方向Xに回動するので、アクチュエーター104が支点部O4を中心として基準方向Xに回動する。このとき、アーム105Aの後端105Cが、先端105Bの回動方向とは同方向(基準方向X)に回転する。これにより、変位部材106が、アーム105Aの回動方向と同方向に回動する。尚、アーム105Aの長さは、載置台211Aに用紙がないときには、載置台211Aの底面と接触しない長さとされている。
【0053】
変位部材106には、基準方向Xの先頭側(矢印の先)から、帯磁されていない非帯磁領域106D(第2の非帯磁領域)、N極(第1の極性)に帯磁された帯磁領域106C(第1の帯磁領域)、帯磁されていない非帯磁領域106B(第1の非帯磁領域)、S極(第2の極性)に帯磁された帯磁領域106A(第2の帯磁領域)が、この順に設けられている。
【0054】
給紙カセット211内では、磁力の有無及び極性を検出する磁力検出部107が、変位部材106の対向位置に配置されている。尚、磁力検出部107としては、例えば、S極及びN極の両方を検出可能な両極検出ホールICを用いることができる。
【0055】
アクチュエーター104は、載置台211Aが基準位置P1に位置しているときに、磁力検出部107と変位部材106との位置関係が、載置台211Aの用紙残量に応じて、以下のように変化するよう構成されている。これについて、図4を用いて説明する。
【0056】
図4は、載置台211Aが基準位置P1に位置しているときにおける、磁力検出部107と変位部材106との位置関係の変化について説明するための図である。尚、図4において、載置台211Aが上方向に回動すると、アーム105Aの先端105Bが用紙最上面により押し上げられて、アーム105Aが基準方向Xに回動する。
【0057】
アクチュエーター104は、載置台211Aが基準位置P1に位置しており、且つ用紙残量が「多」(第4レベル)のときには、図4(a)のように、アーム105Aが基準方向Xに目一杯回転して、磁力検出部107の対向位置に、S極の帯磁領域106Aが位置するよう構成されている。
【0058】
また、アクチュエーター104は、載置台211Aが基準位置P1に位置しており、且つ用紙残量が「中の多」(第3レベル)のときには、図4(b)のように、アーム105Aの破線位置(図4において破線で示される位置;先端105Bが用紙最上面により押し上げられていないときのアーム105Aの位置)からの基準方向Xの回転量が、用紙残量が「多」のときよりも小さくなり、磁力検出部107の対向位置に、非帯磁領域106Bが位置するよう構成されている。
【0059】
さらに、アクチュエーター104は、載置台211Aが基準位置P1に位置しており、且つ用紙残量が「中の少」(第2レベル)のときには、図4(c)のように、アーム105Aの破線位置からの基準方向Xの回転量が、用紙残量が「中の多」のときよりも小さく、磁力検出部107の対向位置に、N極の帯磁領域106Cが位置するよう構成されている。
【0060】
さらに、アクチュエーター104は、載置台211Aが基準位置P1に位置しており、且つ用紙残量が「少」(第1レベル)のときには、図4(d)のように、アーム105Aの破線位置からの基準方向Xの回転量が、用紙残量が「中の少」のときよりも小さく、磁力検出部107の対向位置に、非帯磁領域106Dが位置するよう構成されている。
【0061】
さらに、アクチュエーター104は、載置台211Aが基準位置P1に位置しており、且つ用紙残量が「無」のときには、図4(e)のように、アーム105Aが破線位置から基準方向Xに全く回転せず、非帯磁領域106Dが、磁力検出部107よりも基準方向Xの後方側(矢印の根元側)の位置であって、変位部材106に対向しない位置に位置するよう構成されている。
【0062】
用紙残量検出装置1は、残量判断部109を備える。残量判断部109は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されており、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより実現される。残量判断部109は、当接検出部103、基準位置検出部111、及び磁力検出部107それぞれの検出結果を用いて、載置台211A上の用紙の残量を検出する。
【0063】
以下、用紙残量検出装置1における用紙残量の検出処理について、図5〜図7を用いて説明する。
【0064】
図5及び図6は、残量判断部109による残量判断処理の概要の一例について説明したフローチャートである。
【0065】
残量判断部109は、給紙カセット211が下部筐体21にセットされたとき、或いは、電源スイッチが投入されたときには(ステップS1のYES)、モーター102を回転させて、載置台211Aを基準位置P1に位置させる(ステップS2)。尚、載置台211Aが基準位置P1に位置したことは、基準位置検出部111による検出結果により判る。
【0066】
このとき、磁力検出部107によりS極が検出されていれば(ステップS3のYES)、図4(a)に示すように、用紙残量が「多」であるから、残量判断部109は、用紙残量が「多」と判断し(ステップS4)、用紙残量を図示しない表示パネルにより表示させる(ステップS7)。
【0067】
一方で、磁力検出部107によりN極が検出されていれば(ステップS3のNO、ステップS5のYES)、図4(c)に示すように、用紙残量は「中の少」であるから、残量判断部109は、用紙残量が「中の少」と判断し(ステップS6)、用紙残量を表示パネルにより表示させる(ステップS7)。
【0068】
そして、残量判断部109は、載置台211Aを上方向に回動させ、用紙STをピックアップローラー212に当接させて、ピックアップローラー212による用紙取出に対して備える(ステップS8)。
【0069】
一方で、磁力検出部107により検出される極性が「S」でも「N」でもないときには(ステップS3のNO、ステップS5のNO)、図4(b)、図4(d)、及び図4(e)のように、磁力検出部107は磁性を検出できないから、用紙残量が、「中の多」であるのか、「少」であるのか、「無」であるのかが判らない。
【0070】
また、用紙STがピックアップローラー212に当接したときには、図7(a)及び図7(b)のように、用紙残量が「中の多」であるか「少」であるかに関わらず、磁力検出部107には、S極の帯磁領域106Aが対向する。したがって、用紙STがピックアップローラー212に当接したときには、用紙残量が「中の多」であるのか「少」であるのかが判らない。尚、図7は、用紙STがピックアップローラー212に当接したときにおける、磁力検出部107と変位部材106との位置関係について示した図である。
【0071】
そこで、残量判断部109は、図6に示す処理を行って、用紙残量が、「中の多」であるのか、「少」であるのか、「無」であるのかを判断する。
【0072】
残量判断部109は、モーター102を回転させて、載置台211Aを基準位置P1から上方向に回動させる(ステップS10)。
【0073】
載置台211Aが基準位置P1に位置するときには、図4(d)及び図4(e)から判るように、磁力検出部107とN極の帯磁領域106Cとの距離は、用紙残量が「少」のときよりも用紙残量が「無」のときのほうが大きい。
【0074】
載置台211Aが基準位置P1から上方向に回動したときには、アクチュエーター104は、変位部材106を基準方向Xに回動させることになるが、前記回動を開始させてから、N極の帯磁領域106Cが磁力検出部107の対向位置に位置するまでの時間は、用紙残量が「少」のときよりも用紙残量が「無」のときのほうが長いことが判る。
【0075】
したがって、残量判断部109は、載置台211Aの上方向の回動を開始させて、変位部材106を回動させる(ステップS10)。そして、残量判断部109は、予め設定された設定時間の計測を開始する(ステップS11)。その後、磁力検出部107によりN極もS極も検出されずに設定時間が経過したときには(ステップS12のNO、ステップS13のNO、ステップS14のYES)、残量判断部109は、用紙残量が「無」と判断する(ステップS15)。そして、残量判断部109は、用紙残量を表示パネルにより表示する(ステップS21)。
【0076】
また、残量判断部109は、磁力検出部107によりN極が検出されずS極が検出され(ステップS12のNO、ステップS13のYES)、その後、当接検出部103により、用紙STがピックアップローラー212に当接したことが検出されたときには(ステップS16のYES)、用紙残量が「中の多」と判断する(ステップS17)。そして、残量判断部109は、用紙残量を表示パネルにより表示させる(ステップS21)。
【0077】
さらに、残量判断部109は、磁力検出部107によりN極及びS極が検出され(ステップS12のYES、ステップS18のYES)、その後、当接検出部103により、用紙STがピックアップローラー212に当接したことが検出されたときには(ステップS19のYES)、用紙残量が「少」と判断する(ステップS17)。そして、残量判断部109は、用紙残量を表示パネルにより表示させる(ステップS21)。
【0078】
尚、磁力検出部107によりN極が検出されたにも関わらず、その後、S極が検出されないとき(ステップS18のNO)には、アクチュエーター104の回動不良などのエラーが考えられるので、所定のエラー報知を行う。
【0079】
また、磁力検出部107によりN極及びS極が検出されたにも関わらず、その後、当接検出部103により、用紙STがピックアップローラー212に当接したことが検出されないときには(ステップS19のNO)、当接検出部103の検出不良などのエラーが考えられるので、所定のエラー報知を行う。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る用紙残量検出装置1によれば、残量判断部109は、磁力検出部107により検出される磁力の有無及び極性に基づき用紙の残量を判断するから、変位部材の変位を磁力の強さの変化で表し、磁力の強さをさらに電圧値の変化によって表す構成と比べて、用紙残量の変化を精度良く検出することが可能となる。
【0081】
また、回転体の回転に応じて、発光ダイオードから放射され回転体の穴を透過する光を光センサーが検知する回数に基づき、用紙残量を検出する構成のように、磁石と比べて寿命の短い光センサーを用いないから、長寿命化を図ることも可能となる。
【0082】
さらにまた、回転体の表面に沿うようにN極及びS極を交互に配置し、回転体が回転している間は用紙残量が一定値以上であることを認識し、回転体が回転していないときに用紙残量が一定値未満であることを認識する構成のように、多数の磁石を必要としないから、コストを削減することが可能となる。
【0083】
尚、本実施形態において、変位部材106において、S極の帯磁領域106AとN極の帯磁領域106Cとが入れ替わっていてもよい。この場合、残量判断部109は、載置台211Aが基準位置P1に位置している際に、磁力検出部107により検出された磁力が「N」なら用紙残量が「多」と判断し、「S」なら用紙残量が「中の少」と判断する。
【0084】
また、残量判断部109は、載置台221が基準位置からの回動を開始してから、用紙STがピックアップローラー212に当接するまでの間に、磁力検出部107により検出される磁力が、「無」から「N」に変化する場合には用紙残量が「中の多」と判断し、「無」、「S」、「無」、「N」の順に変化する場合には用紙残量が「少」と判断する。
【0085】
さらに、本実施形態において、アクチュエーター104が用紙残量に応じて直線的に上下移動してもよい。この場合、帯磁領域106A、非帯磁領域106B、帯磁領域106C、及び非帯磁領域106Dは、変位部材106において上下方向に沿って区分される。
【符号の説明】
【0086】
P1 基準位置
S 用紙束
ST 最上位置の用紙
A 画像形成装置
X 基準方向
1 用紙残量検出装置
93 画像形成部
102 モーター
103 当接検出部
104 アクチュエーター
105A アーム
106 変位部材
106A 帯磁領域(S極)
106B、106D 非帯磁領域
106C 帯磁領域(N極)
107 磁力検出部
109 残量判断部
111 基準位置検出部
211 給紙カセット
211A 載置台
212 ピックアップローラー
225 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙からなる用紙束を収容する用紙収容部と、
前記用紙収容部に配置され、前記用紙束を載置するための載置台と、
前記載置台上の前記用紙束の最も上に位置する用紙である被取出用紙を取り出す取出ローラーと、
前記被取出用紙が前記取出ローラーに当接するように、前記載置台を、予め定められた基準位置から前記取出ローラーに向けて上方向に移動させる駆動部と、
所定の基準方向の先頭から、第1の極性に帯磁された第1の帯磁領域、帯磁されていない第1の非帯磁領域、及び、前記第1の極性とは逆極性の第2の極性に帯磁された第2の帯磁領域が、この順に設けられた変位部材と、
前記変位部材を、前記用紙の残量の増大に応じて前記基準方向に沿って変位させるアクチュエーターと、
前記変位部材の一部と対向して配置された磁力検出部であって、前記変位部材における対向位置の磁力の有無及び極性を検出する磁力検出部と、
前記磁力検出部の検出結果に基づき、前記用紙残量を判断する残量判断部と、
を備えることを特徴とする用紙残量検出装置。
【請求項2】
前記アクチュエーターは、一端が前記用紙束の上面と当接し、前記上面の位置に応じた前記一端の変位運動を、前記変位部材に伝達することにより前記変位部材を変位させる
ことを特徴とする請求項1に記載の用紙残量検出装置。
【請求項3】
前記変位部材には、前記第1の帯磁領域の前記基準方向先頭側に、帯磁されていない第2の非帯磁領域が隣接して配置され、
前記アクチュエーターは、前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記載置台に前記用紙が載置されていない場合には、前記第2の非帯磁領域を、前記磁力検出部よりも前記基準方向後方側に位置させ、
前記残量検出部は、前記駆動部によって、前記載置台を前記基準位置から上方向に移動させ、前記移動を開始させてから予め定められた設定時間内に、前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出されないときには、前記用紙の残量が無と判断する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の用紙残量検出装置。
【請求項4】
前記載置台が前記基準位置に位置することを検出する基準位置検出部と、
前記被取出用紙が前記取出ローラーに当接したことを検出する当接検出部と、をさらに備え、
前記アクチュエーターは、
前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙収容部に収容されている用紙の残量が予め設定された第1レベルであるときには、前記第2の非帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、
前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙の残量が前記第1レベルよりも多い第2レベルであるときには、前記第1の帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、
前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙の残量が前記第2レベルよりも多い第3レベルであるときには、前記第1の非帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、
前記載置台が前記基準位置に位置しており、且つ前記用紙の残量が前記第3レベルよりも多い第4レベルであるときには、前記第2の帯磁領域を前記磁力検出部に対向させ、
前記残量判断部は、
前記基準位置検出部によって前記載置台が前記基準位置に位置していると検出され、且つ前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出されたときには、前記用紙の残量が前記第2レベルと判断し、
前記基準位置検出部によって前記載置台が前記基準位置に位置していると検出され、且つ前記磁力検出部によって前記第2の極性が検出されたときには、前記用紙残量が前記第4レベルと判断し、
前記基準位置検出部により前記載置台が前記基準位置に位置していることが検出され、且つ前記磁力検出部により磁力が検出されない場合、前記駆動部によって前記載置台を前記基準位置から前記取出ローラーに向けて上方向に移動させ、前記載置台の上方向への移動を開始させてから、前記当接検出部によって前記被取出用紙が前記取出ローラーに当接していると検出されるまでの移動期間の間に、前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出された後に前記第2の極性が検出されたときには、前記用紙の残量が前記第1レベルと判断し、前記移動期間の間に、前記磁力検出部によって前記第1の極性が検出されず前記第2の極性が検出されたときには、前記用紙の残量が前記第3レベルと判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の用紙残量検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の用紙残量検出装置と、
原稿の画像データを取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記画像データを用紙に形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−246091(P2012−246091A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118212(P2011−118212)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】