説明

用紙積載装置および画像形成装置

【課題】画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れて排紙用紙受けに排出する用紙積載装置において、用紙サイズに応じて用紙搬送装置の用紙吸着手段を停止することで消費電力を低減させる。
【解決手段】用紙搬送装置Aは、画像形成装置100から送り出された画像記録済みの用紙を走行ベルト上に載せて搬送する。用紙吸着手段は、画像形成装置100から送り出された画像記録済みの用紙の搬送方向の長さが、画像形成装置100の排紙ローラ18,18から用紙排出手段Bまでの距離である所定長さLより短いときには用紙を走行ベルト上に吸着し、所定長さLより長いときには用紙を走行ベルト上に吸着しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙積載装置および画像形成装置に関し、特にインクジェット方式により用紙に画像を記録する画像形成装置に取り付けられる用紙積載装置,およびその用紙積載装置が取り付けられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、プリンタ,複写機,ファクシミリ装置またはそれらの複合機などで代表される画像形成装置では、普通紙,OHP(Over Head Projector)フィルム等の用紙(記録媒体)に画像を記録して用紙排出口から排出するようになっている。用紙の用紙排出口への排出には、ゴムローラ対のようにニップ圧を利用した用紙搬送装置が使用されている。
【0003】
また、用紙を高速で搬送しながら画像を記録する画像形成装置、特に大型の画像形成装置には、用紙前処理装置や用紙後処理装置といった装置が取り付けられて使用される。用紙後処理装置には、画像形成装置の用紙排出口から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れ、昇降トレイ等の排出用紙受け上に積載する用紙積載装置が含まれる。用紙積載装置にも、ゴムローラ対のようにニップ圧を利用した用紙搬送装置が組み込まれている。
【0004】
従来の画像形成装置のうち、いわゆるインクジェット方式により用紙に画像を記録する画像形成装置では、用紙の印刷領域が制限を受けずに全領域で良好な印刷が可能となるように、インクジェット式印刷ヘッド(インクジェットヘッド)の少なくとも直下位置を通過する用紙を用紙搬送面に吸着する用紙吸着手段を設ける技術が知られている。例えば、特許文献1には、用紙搬送面を構成する吸引ボックスと、吸引モータにより回転される吸引ファンとで構成され、吸引ボックスの上面部には多数の吸引用孔が設けられた用紙吸着手段を備える用紙搬送装置が開示されている。すなわち、従来の用紙吸着手段を備える用紙搬送装置は、吸引モータを用いて吸引ファンを回転させることで吸引ボックス内を減圧させ、吸引ボックスから搬送ベルトの上面より上方のエアを吸引することで用紙を走行ベルトに吸着させて搬送している。
【0005】
また、ゴムローラ対のようなニップ圧を利用した用紙排出手段を使用する用紙積載装置では、インクジェット方式により用紙に画像を記録する画像形成装置、特に高速の画像形成装置に取り付けられて使用される場合、用紙排出口から送り出された画像記録済みの用紙上の未乾燥のインクが用紙排出手段に付着して画像の乱れが生じるのを防止するために、用紙を走行ベルトに吸着させる用紙吸着手段を備える用紙搬送装置が一般的に用いられている。
【特許文献1】特開2002-103705号公報(図4,段落0048)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の用紙積載装置では、用紙搬送装置における用紙吸着手段の吸引ファンが常時駆動されるようになっていたので、多くの電力を消費することが避けられないという問題があった。
【0007】
本発明の第1の目的は、画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙の用紙搬送方向の長さが、画像形成装置の用紙排出手段から用紙積載装置の用紙排出手段までの距離である所定長さより長いときには、用紙の前端または後端のいずれかが常に用紙排出手段によってニップ搬送されており、用紙吸着手段により用紙を吸着する必要性がからなずしもないことに着目し、このような場合に用紙吸着手段を停止することで消費電力を低減させるようにした用紙積載装置を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、排紙用紙受けに排出用紙の積載高さに応じて上下動する受け昇降手段を設けるようにした用紙積載装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第3の目的は、用紙搬送方向に沿って配置した複数のベルトによって走行ベルトを構成し、これら複数の走行ベルトを共通のベルト駆動手段で駆動することにより、用紙の下面の複数箇所に面接触する複数の走行ベルトの同期した回動によって用紙を確実に搬送する用紙積載装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第4の目的は、画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れて、エアを用いた簡単な用紙吸着手段で走行ベルト上にすべりなく吸着し、走行ベルトと一体的に確実に用紙を搬送する用紙積載装置を提供することにある。
【0011】
本発明の第5の目的は、画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れて、静電気を用いた簡単な用紙吸着手段で走行ベルト上にすべりなく吸着し、走行ベルトと一体的に確実に用紙を搬送する用紙積載装置を提供することにある。
【0012】
本発明の第6の目的は、用紙サイズに応じて用紙吸着手段を停止することで消費電力を低減させる用紙積載装置を取り付ける画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0013】
請求頃1に記載の用紙積載装置は、インクジェット方式により用紙に画像記録を行う画像形成装置に取り付けて使用される用紙積載装置であって、画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を走行ベルト上に載せて搬送するベルト搬送手段と、前記ベルト搬送手段によって搬送される用紙をニップ搬送により排出する用紙排出手段と、前記用紙排出手段により排出された用紙を受けて積載する排出用紙受けと、前記画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙の用紙搬送方向の長さが、前記画像形成装置の用紙排出手段から当該用紙積載装置の前記用紙排出手段までの距離である所定長さより短いときには画像記録済みの用紙を前記走行ベルト上に吸着し、前記所定長さより長いときには画像記録済みの用紙を前記走行ベルト上に吸着しない用紙吸着手段を備えることを特徴とする。請求頃1に記載の用紙積載装置によれば、インクジェット方式により用紙に画像記録を行う画像形成装置に取り付け、その画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れて排紙用紙受けに排出する用紙積載装置において、用紙のサイズに応じて用紙吸着手段を停止することで消費電力を低減させることができる。詳しくは、画像形成装置の用紙排出手段の位置から用紙積載装置の用紙排出手段までの距離(所定長さ)Lを、画像形成装置の使用可能用紙の最大長さより短く設定する。例えば、距離LをB4サイズの用紙の長さ364mm以下に設定すると、B4サイズ以上の長さの用紙を搬送するときには、少なくとも画像形成装置の用紙排出手段もしくは用紙積載装置の用紙排出手段のどちらか一方によって用紙を搬送できるため、用紙搬送装置の用紙吸着手段を停止させても用紙を搬送可能となり、用紙搬送装置の用紙吸着手段を停止することで消費電力を低減させることができる。
【0014】
請求頃2に記載の用紙積載装置は、請求項1記載の用紙積載装置において、前記排紙用紙受けは、排出用紙の積載高さに応じて上下動する受け昇降手段を有することを特徴とする。請求項2に記載の用紙積載装置によれば、排出用紙の積載高さに応じて排紙用紙受けを上下動させることにより、排出用紙をきちんと整合させて積載することができる。
【0015】
請求項3に記載の用紙積載装置は、請求項1または2記載の用紙積載装置において、前記ベルト搬送手段は、用紙搬送方向に沿って配置された複数の走行ベルトからなり、前記複数の走行ベルトは共通のベルト駆動手段によって駆動されることを特徴とする。請求項3に記載の用紙積載装置によれば、用紙搬送方向に沿って配置した複数のベルトによって走行ベルトを構成し、これら複数の走行ベルトを共通のベルト駆動手段で駆動するので、用紙の下面の複数箇所に面接触する複数の走行ベルトの同期した回動によって用紙を確実に搬送することができる。
【0016】
請求項4に記載の用紙積載装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙積載装置において、前記用紙吸着手段として、用紙を前記走行ベルトにエアにより吸着するエア吸着手段を備えることを特徴とする。請求項4に記載の用紙積載装置によれば、画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れて、エアを用いた簡単な用紙吸着手段で走行ベルト上にすべりなく吸着するので、用紙を走行ベルトと一体的に確実に搬送することができる。
【0017】
請求項5に記載の用紙積載装置は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙積載装置において、前記用紙吸着手段として、用紙を前記走行ベルトに静電的に吸着する静電吸着手段を備えることを特徴とする。請求項5に記載の用紙積載装置によれば、画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を受け入れて、静電気を用いた簡単な用紙吸着手段で走行ベルト上にすべりなく吸着するので、用紙を走行ベルトと一体的に確実に搬送することができる。
【0018】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の用紙積載装置を用紙排出口位置に取り付けることを特徴とする。請求項6に記載の画像形成装置によれば、用紙を受け入れて、その用紙を汚すことなく、かつ排出用紙受け上に確実に積載する用紙積載装置を取り付け、高速で搬送しながらインクジェット方式により用紙に画像記録を行う低消費電力の画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
用紙吸着手段を備える用紙搬送装置により用紙を搬送する用紙積載装置の消費電力を低減するという目的を、用紙のサイズに応じて用紙吸着手段の駆動を停止することにより達成した。
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る用紙積載装置200を取り付けた画像形成装置100の要部概略構成を示す。図1中、符号100は、高速で搬送しながらインクジェット方式により普通紙,OHPフィルム等の用紙pに画像を記録する画像形成装置であり、符号200は、その画像形成装置100に取り付けられた用紙積載装置である。
【0022】
画像形成装置100は、いわゆるインクジェットプリンタであり、その画像形成部10には、複数のローラ11,11間に搬送ベルト12を掛けまわしてなるベルト搬送手段13と、例えばファン14をまわして矢示方向aに風を発生する用紙吸着手段15と、複数のノズルから選択的にインクを噴射するインクジェットヘッド16とを備える。画像形成装置100は、キャスタ17を介して設置面上に載置され、必要に応じて適宜移動可能とする。
【0023】
画像形成装置100は、ホスト機器(図示せず)からのプリン卜信号を受けて、用紙収納カセット(図示せず)から用紙pを繰り出して画像形成部10に送り込み、ベルト搬送手段13の搬送ベルト12上に載せて用紙吸着手段15によりエアを吸引して用紙pを搬送ベルト12に吸着する。そして、ローラ11,11の回転にともなう搬送ベルト12の走行とともに用紙pを矢示方向bに搬送すると同時に、インクジェットヘッド16のノズルからインクを噴射して搬送される用紙pに文字,図形等の画像を記録する。画像記録済みの用紙pは、排紙ローラ18,18により用紙排出口19から用紙積載装置200に送り出される。
【0024】
用紙積載装置200は、キャスタ20付きのスタンド21で支持されて画像形成装置100の用紙排出口19の高さ位置に取り付けられ、キャスタ20を介してスタンド21を設置面上に載置し、画像形成装置100と同様に必要に応じて適宜移動可能とする。
【0025】
図2は、用紙積載装置200の内部機構の全体概略構成を示す。図2に示すように、用紙積載装置200は、画像形成装置100から送り出された画像記録済みの用紙pを受け入れて搬送する用紙搬送装置Aと、ニップ搬送で搬送速度を速めて用紙pを排出する用紙排出手段Bと、用紙排出手段Bで排出した用紙pを受けて排出用紙pを積載する排出用紙受けCと、排出用紙受けCを用紙排出方向と直交する方向にシフトして排出用紙pを仕分けする用紙仕分け手段Dと、排出用紙受けC上の排出用紙pの積載高さに応じて排出用紙受けCを上下動する受け昇降手段Eとを含んで構成されている。
【0026】
図3および図4は、用紙搬送装置Aの概略構成を示す側面図および平面図である。図3および図4に示すように、用紙搬送装置Aは、画像形成装置100から送り出された画像記録済みの用紙pを受け入れ画像面を上にした状態で2本の走行ベルト23,23上に載せて搬送するベルト搬送手段24と、画像記録済みの用紙pを走行ベルト23,23上に吸着する用紙吸着手段25とを含んで構成されている。
【0027】
ベルト搬送手段24は、用紙積載装置200内に設けて用紙搬送方向dに長い直方体形状の筐体26に備える。筐体26は、上面を、用紙pを案内するガイド板27で形成し、ガイド板27には、用紙搬送方向dに細長い吸込み開口28と、用紙搬送方向d前後にあけた四角いローラ開口29,29とを直列に並べ、左右に平行して2列に穿設する。
【0028】
筐体26内には、用紙搬送方向dの前後に、用紙搬送方向dと直交する方向に向けて駆動ローラ軸30と従動ローラ軸31とを回転自在に掛け渡す。そして、両ローラ軸30,31上の駆動ローラ32,32と従動ローラ33,33とをそれぞれ前後左右のローラ開口29から外部にのぞかせ、それらの対応する駆動ローラ32,32と従動ローラ33,33との間にエンドレスの走行ベルト23,23を掛けまわし、各々吸込み開口28,28を被うように設ける。走行ベルト23,23には、複数の通気孔34が穿設されている。
【0029】
また、筐体26内には、搬送モータ35を設置する。搬送モータ35の回転は、エンドレスの伝達ベルト36を介して駆動ローラ軸30に伝達する。そして、搬送モータ35により駆動ローラ32,32を回転して従動ローラ33,33を従動回転しながら走行ベルト23,23を走行させ、画像形成装置100から送り出された画像記録済みの用紙pを受け入れて画像面を上にした状態で走行ベルト23,23上に載せ、走行ベルト23,23の走行とともにガイド板27で案内しながら搬送する。
【0030】
他方、用紙吸着手段25としては、図3に示すように、エア吸着手段を備え、ファン37を設けて、ファン37の回転により矢示方向eのエアの流れを発生し、筐体26底部の不図示の孔、走行ベルト23,23の通気孔34およびガイド板27の吸込み開口28,28を通してエアを吸引し、画像記録済みの用紙pを走行ベルト23,23にエアで吸着する。
【0031】
なお、ベルト搬送手段24の走行ベルト23,23の走行速度を画像形成装置100の用紙搬送速度とほぼ同一とする。これにより、用紙積載装置200での走行ベルト23,23の走行速度が画像形成装置100のインクジェットヘッド16の位置での用紙搬送速度を乱すことなく、一定速度の搬送を保持して用紙p上の画像品質の低下を防止することができる。
【0032】
図4において、符号38は、ガイド板27で案内して搬送する用紙pの走行状態を検知する非接触の反射型フォトセンサ等の搬送検知手段であり、両吸込み開口28,28間であって駆動ローラ軸30と従動ローラ軸31との間に設けられている。
【0033】
図2に示すように、用紙搬送装置Aの用紙搬送方向dの下流には、用紙排出手段Bを備える。用紙排出手段Bは、駆動排出コロ40と、駆動排出コロ40に不図示のスプリングにより押し当てられる従動排出コロ41と、駆動排出コロ40にエンドレスの伝達ベルト42を介して回転を伝達する排出モータ43とを含んで構成されている。
【0034】
用紙排出手段Bは、排出モータ43の回転を伝達ベルト42を介して駆動排出コロ40に伝達し、従動排出コロ41を従動回転させながら駆動排出コロ40を回転して、駆動排出コロ40と従動排出コロ41との間のニップ搬送により、用紙搬送装置Aで搬送されてきた用紙pを排出用紙受けC上に排出する。
【0035】
ところで、用紙積載装置200では、両排出コロ40,41の上流位置に反射型フォトセンサ等の用紙検知手段44を備え、通過する用紙pを検知する。そして、用紙検知手段44の検知結果に基づき、後述する制御手段であるCPU(Central Processing Unit)45(図11参照)で用紙排出手段Bにより1枚の用紙pの先端を増速し、後端を減速して搬送する。すなわち、用紙排出手段Bの両排出コロ40,41のニップ搬送ですべりなく確実に増速し、スタック乱れを生ずることなく、かつ搬送速度を速めて、排出する用紙pの前後の間隔を拡げて用紙仕分け手段Dや受け昇降手段Eの駆動時間を確保し、用紙pを排出用紙受けC上に高品質に仕分けして積載する。また、用紙pの後端を減速して搬送することにより、排出するときは増速したままではなく増速した分の何分の一か減速して少し速度を落とし、排出する用紙pが勢いで排出用紙受けCから飛び出ることを防止する。
【0036】
図5には、画像形成装置100の排紙ローラ18,18(用紙排出手段)の位置から用紙積載装置200の用紙排出手段Bまでの距離L(所定長さ)を示す。この距離Lは、画像形成装置100の使用可能用紙の最大長さより短く設定する。例えば、距離LをB4サイズの用紙pの長さ364mm以下に設定すると、B4サイズ以上の長さの用紙pを搬送するときには、少なくとも画像形成装置100の排紙ローラ18,18もしくは用紙積載装置200の用紙排出手段Bのどちらか一方によって用紙pを搬送できるため、用紙搬送装置Aの用紙吸着手段25を停止させても用紙pを搬送可能となる。
【0037】
図6は、用紙仕分け手段Dを示す。用紙仕分け手段Dは、正逆回転可能なシフトモータ50と、シフトモータ50の回転を伝達するタイミングベルト51と、タイミングベルト51を介して回転が伝達されるウォーム52と、ウォーム52とかみ合うウォームホイール53と、ウォームホイール53と同軸に設ける回転検知板54と、回転検知板54のスリット55を検出するフォトインタラプタ等のスリット検出手段56(図11参照)と、ウォームホイール53の偏心位置に立てたピン57と、ピン57が係合する上下方向に長い長孔58を有する部材59を取り付けたエンドフェンス60とを含んで構成されている。エンドフェンス60には、排出用紙受けCとしての昇降トレイ62が取り付けられている。エンドフェンス60の背面(図6で見て)は、整合面となっている。
【0038】
用紙仕分け手段Dは、シフトモータ50でウォームホイール53を回転し、エンドフェンス60とともに昇降トレイ62を矢印fで示す左右方向にシフトする。これにより、ウォームホイール53の1回転で昇降トレイ62を左右に1往復する構成とし、スリット検出手段56がスリット55を検出する位置で部ごとに分けて昇降トレイ62を適宜位置決めすることにより、排出用紙pの仕分けを行う。
【0039】
図7は、排出用紙受けCである昇降トレイ62を昇降する受け昇降手段Eと、昇降トレイ62のホーム位置を検出する受け位置検出手段Fとを示す。
【0040】
受け昇降手段Eは、正逆回転可能な昇降モータ64の回転をギア65,66のかみ合いを介してシャフト67に伝達し、シャフト67の両端に固定する第1プーリ68,68と各々の上方に設ける第2プーリ69,69との間に上下に掛けまわして設ける昇降ベルト70,70を同期して走行する構成である。用紙積載装置200内の両側に互いに平行に設ける昇降ベルト70,70には、昇降トレイ62の両側を固定して昇降トレイ62を矢印gで示す上下方向に平行移動する。
【0041】
受け位置検出手段Fは、回動自在に支持する水平な回動軸72と、回動軸72から昇降トレイ62上に向けてのびるレバー73と、回動軸72の一端からのびるフィラー74と、フィラー74によりオンオフするフォトインタラプタ等の位置検知手段75とを含んで構成されている。受け位置検出手段Fは、昇降トレイ62の上昇とともに、昇降トレイ62またはその上に積載された用紙pでレバー73の先端を押し上げ、回動軸72をまわしてフィラー74を回動し、フィラー74の先端が位置検知手段75内に入ることにより昇降トレイ62が、排出用紙pを受ける適宜の位置となったことを検知する。その後、昇降トレイ62上に1枚または数枚の用紙pが排出されるごとに昇降トレイ62をいったん下降してから上昇し、上昇位置を位置検知手段75で検知して停止する。
【0042】
図8は、用紙整合手段Gを分解して示す。用紙整合手段Gには、保持部材80を設ける。保持部材80には、左右に突出して軸部81,81を形成してある。それらの軸部81,81には、各々左右から用紙整合部材としてスポンジ製のリバースローラ82,82を回転自在に取り付ける。リバースローラ82,82は、芯金と一体で同軸にギア部83,83を有し、サイレンサ84,84で抜け止めされている。ギア部83,83は、保持部材80にて回転自在に保持する中間ギア85,85とかみ合う。そして、保持部材80の一部を、上述した用紙排出手段Bを構成する駆動排出コロ40のコロ軸86の外周にはめ付け、保持部材80をコロ軸86まわりに回動自在に掛けるとともに、中間ギア85,85をコロ軸86上に固定する伝達ギア87,87とかみ合わす。これにより、用紙整合手段Gの駆動排出コロ40のコロ軸86にぶら下げるように設ける一方、駆動排出コロ40の回転を伝達ギア87,87から中間ギア85,85を介してギア部83,83に伝達してリバースローラ82,82を回転する。すなわち、用紙整合手段Gは、用紙排出手段Bに連動して駆動される。
【0043】
図9は、用紙整合手段Gで整合しながら、昇降トレイ62上に用紙pを積載した状態を示す。昇降トレイ62上には、用紙排出手段Bから用紙pを排出するが、用紙排出手段Bから排出された用紙pは、斜めの昇降トレイ62上を自重により落下する。そして、リバースローラ82,82の回転でリバースローラ82,82により掻かれて、整合面であるエンドフェンス60に突き当てられ、後端を揃えて整合され、図示するごとく順次積載される。そして、昇降トレイ62上の用紙pの積載高さの増加とともに受け昇降手段Eにより昇降トレイ62を昇降し、用紙排出手段Bの用紙排出位置から昇降トレイ62上の最上位の用紙pの表面までの落差をほぼ一定として、積載用紙pのスタック性を損なわないようにする。昇降トレイ62が最下位の位置になったときには、それをフォトインクラプタ等の受け下限検知手段76(図11参照)で検知して、それ以上の用紙pの排出を停止する。その後、昇降トレイ62上の用紙pを除去すると、次に排出される用紙pを受けるべく、昇降トレイ62は、上昇し、受け位置検出手段Fで検出して最上位の位置で停止する。また、昇降トレイ62上に用紙pを積載するとき、必要に応じて用紙仕分け手段Dで、用紙搬送方向dと直交する方向fに昇降トレイ62をシフトして積載用紙pを部ごとに互い違いに仕分けする。これにより、画像形成装置100から送り出された画像記録済みの用紙pを受け入れて用紙排出手段Bで排出し、排出用紙pを用紙仕分け手段Dで仕分けして排出用紙受けCである昇降トレイ62上に積載することができる。
【0044】
なお、用紙整合手段Gとしてリバースローラ82,82を用いたが、リバースローラ82,82に代えて、公知のリバースベルトを用いることもできる。
【0045】
図10は、リバースローラ82,82ヘの回転伝達として伝達ギア87,87,中間ギア85,85,ギア部83,83によるギアのかみ合いに代えて、リバースベルトを用いた用紙整合手段Gの変形例を示す。図10に示すように、駆動排出コロ40のコロ軸86の回転を、タイミングベルト89を介してリバースローラ82,82に伝達するようにしている。そして、同様に、用紙整合手段Gを駆動排出コロ40のコロ軸86にぶら下げるように設け、リバースベルトの一部を昇降トレイ62上に突出し、昇降トレイ62上に排出される用紙pを、走行するリバースベルトで掻いて整合面であるエンドフェンス60に突き当て、後端を揃えて用紙pを整合するようにする。
【0046】
図11は、用紙積載装置200の電気的構成を示す。用紙積載装置200には、全体を制御するメイン制御板90を備える。メイン制御板90には、制御手段としてマイクロコンピュータでなるCPU45を設ける。CPU45には、用紙搬送装置Aの搬送検知手段38と、用紙排出手段Bの用紙検知手段44と、用紙仕分け手段Dのスリット検出手段56と、受け位置検出手段Fの位置検知手段75と、受け昇降手段Eの受け下限検知手段76とを接続する。
【0047】
また、CPU45には、正逆ドライバ91を介して用紙搬送装置Aの搬送モータ35と、正逆ドライバ92を介して用紙排出手段Bの排出モータ43と、正逆ドライバ93を介して用紙仕分け手段Dのシフトモータ50と、正逆ドライバ94を介して受け昇降手段Eの昇降モータ64と、ドライバ95を介して用紙吸着手段25のファン37を駆動するファンモータ39とを接続する。
【0048】
さらに、CPU45には、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)96を接続し、加えてI/F(Interface)ケーブル98を介して画像形成装置100の制御部97とも電気的に接続する。これにより、画像形成装置100から用紙積載装置200の電源を得るとともに、用紙搬送速度,用紙サイズ,仕分け要不要,用紙pの送り込みタイミング,用紙間隔などの通紙搬送情報を入手する。
【0049】
図12には、用紙積載装置200の動作フローチャートを示す。
【0050】
次に、このように構成された実施例1に係る用紙積載装置100の動作について、図12に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0051】
用紙積載装置200の電源オンとともに、CPU45は、画像形成装置100との初期通信を行い(S101)、用紙積載装置100において通紙が開始されるのを待機する(S102:NO)。用紙積載装置100において通紙が開始されると(S102:YES)、CPU45は、画像形成装置100から通紙用紙情報として用紙搬送速度V,用紙サイズなどの通紙搬送情報を入手する(S103)。
【0052】
このとき、用紙pの用紙搬送方向dのサイズが図5の距離である所定長さLより小さい場合は(S104:YES)、CPU45は、ファンモータ39を駆動し(S106)、所定長さLより大きい場合は(S104:YES)、ファンモータ39を駆動しない(S105)。このように、用紙pの用紙搬送方向dのサイズが所定長さLより大きい場合には、用紙pの前端または後端のいずれかが常に画像形成装置100の排紙ローラ18,18または用紙積載装置200の用紙排出手段Bによってニップ搬送されており、用紙吸着手段25により用紙を吸着する必要性がからなずしもないので、用紙吸着手段25を停止することで消費電力を低減させている。
【0053】
次に、CPU45は、搬送モータ35および排出モータ43を用紙搬送速度Vで駆動してから(S107)、通紙終了であるかどうかを判定する(S108)。通紙終了でなければ(S108:NO)、CPU45は、再び画像形成装置100から通紙用紙情報として用紙サイズ,仕分け要求の有無などの情報を得た後(S109)、画像形成装置100から用紙pを受け入れる(S111)。
【0054】
続いて、CPU45は、用紙搬送装置Aにより搬送されてきた用紙pの先端を用紙検知手段44で検知したかどうかを判定し(S112)、用紙pの先端を用紙検知手段44で検知すると(S112:YES)、時間計測を開始(またはパスル数を確認)し(S113)、所定時間が経過するのを待機する(S114:NO)。所定時間が経過すると(S114:YES)、CPU45は、排出モータ43を速度V1(V1>V)に増速して用紙pの先端を増速して搬送(スルーアップ実施)し(S115)、時間計測を開始(またはパスル数を確認)し(S116)、所定時間が経過するのを待機する(S117:NO)。
【0055】
所定時間が経過すると(S117:YES)、CPU45は、今度は反対に排出モータ43を速度V2(V2<V)に減速して用紙pの後端を減速して搬送し(S118)、時間計測を開始(またはパスル数を確認)し(S119)、用紙排紙が完了する所定時間が経過するのを待機する(S120:NO)。用紙pの後端を減速して搬送することで、排出するときは増速したままではなく、増速した分の何分の一か速度V2を落として、排出用紙pが勢いで排出用紙受けCである昇降トレイ62から飛び出ることを防止する。所定時間が経過すると(S120:YES)、CPU45は、排出モータ43を初期の用紙搬送速度Vに戻す(S121)。
【0056】
次に、CPU45は、仕分け要求の有無を判定し(S122)、仕分け要求無しの場合には(S122:NO)、昇降トレイ62上に用紙pが連続して2枚排出されるごとに(S123:YES)、受け昇降手段Eで昇降トレイ62の高さを調整する。すなわち、CPU45は、昇降トレイ62上に用紙pが連続して2枚排出されると(S123:YES)、昇降モータ64を駆動して昇降トレイ62を下降し(S124)、位置検知手段75がオフとなったところで(S125:YES)、昇降モータ64を逆駆動して昇降トレイ62を上昇し(S126)、位置検知手段75がオンとなったところで(S127:YES)、昇降モータ64をオフして(S128)、昇降トレイ62を停止する。
【0057】
他方、仕分け要求有りの場合には(S122:YES)、CPU45は、シフトモータ50をオンして昇降トレイ62のシフトをはじめ(S129)、スリット検出手段56がオンからオフに変化したところで(S130:YES)、シフトモータ50をオフして昇降トレイ62のシフトを停止する(S131)。これにより、用紙pが部ごとに分けて昇降トレイ62上に積載される。
【0058】
そして、CPU45は、通紙の終了とともに(S108:YES)、搬送モータ35,排出モータ43およびファンモータ39をオフする(S110)。
【0059】
なお、用紙仕分け手段Dの駆動制御と受け昇降手段Eの駆動制御とがたまたま重なったときには、用紙仕分け手段Dの駆動制御を優先して実施するようにすると、高速で排出される前後の用紙p間の限られた排出時間内に、用紙仕分け手段Dの駆動制御のみを優先して実施するようにし、一度くらい行わずに飛ぼしてもさほど問題のない受け昇降手段Eの駆動制御をキャンセルして、高生産性を維持しながらスタック性の向上を図ることができる。
【0060】
また、排出モータの増加減速制御を行い、高速で搬送しながら用紙pに画像記録を行うインクジェット方式の画像形成装置においても、インクジェットヘッド16の位置での画像記録を乱すことなく、用紙排出手段Bで用紙pの搬送速度を速めて排出することで、排出用紙pの前後の間隔を拡げて用紙仕分け手段Dや受け昇降手段Eの駆動時間を確保して用紙pを排出するときには昇降トレイ62のシフトや昇降を完全に終了しているようにし、用紙pを排出用紙受けCである昇降トレイ62上に高品質に仕分けして積載する。
【0061】
なお、上述した実施例1では、用紙吸着手段25として、ファン37を有するエア吸着手段を備えたが、図示省略するが、静電発生装置を設け、画像記録済みの用紙pを走行ベルト23,23上に静電的に吸着する静電吸着手段を備えて、受け入れた用紙pを簡単な用紙吸着手段25で走行ベルト23,23上に吸着し、走行ベルト23,23の走行とともに走行ベルト23,23と一体的にすべりなく確実に搬送するようにすることもできる。
【0062】
ところで、上記実施例では、用紙積載装置100が搭載される装置(前段装置)を画像形成装置200として説明したが、前段装置は画像形成装置200に限られるわけではなく、用紙排紙装置,用紙処理装置,用紙後処理装置等の通紙を行う他の装置であってもよいことはいうまでもない。
【0063】
以上、本発明の実施例を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1に係る用紙積載装置を取り付けた画像形成装置の要部概略構成図。
【図2】用紙積載装置の内部機構の全体概略構成図。
【図3】用紙積載装置に備える用紙繊送装置の概略構成を示す側面図。
【図4】用紙搬送装置に備えるベルト搬送手段の平面図。
【図5】図1の画像形成装置の排紙ローラ位置から用紙積載装置の用紙排出手段までの距離を示す説明図。
【図6】用紙積載装置に備える用紙仕分け手段を示す斜視図。
【図7】用紙積載装置に備える受け昇降手段および受け位置検出手段を示す斜視図。
【図8】用紙積載装置に備える用紙整合手段の分解図。
【図9】用紙整合手段で整合しながら、昇降トレイ上に用紙を積載した状態を示す斜視図。
【図10】用紙整合手段の変形例を示す構成図。
【図11】用紙積載装置の電気的構成を示すブロック図。
【図12】用紙積載装置の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
16 インクジェットヘッド
18 排紙ローラ
19 用紙排出口
23 走行ベルト
24 ベルト搬送手段
25 用紙吸着手段
37 ファン
44 用紙検知手段
46 CPU(制御手段)
60 エンドフェンス(整合面)
100 画像形成装置
200 用紙積載装置
A 用紙搬送装置
B 用紙排出手段
C 排出用紙受け
D 用紙仕分け手段
d 用紙排出方向
E 受け昇降手段
F 受け位置検出手段
G 用紙整合手段
L 排紙ローラ位置から用紙排出手段までの距離(所定長さ)
p 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式により用紙に画像記録を行う画像形成装置に取り付けて使用される用紙積載装置であって、
画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙を走行ベルト上に載せて搬送するベルト搬送手段と、
前記ベルト搬送手段によって搬送される用紙をニップ搬送により排出する用紙排出手段と、
前記用紙排出手段により排出された用紙を受けて積載する排出用紙受けと、
前記画像形成装置から送り出された画像記録済みの用紙の用紙搬送方向の長さが、前記画像形成装置の用紙排出手段から当該用紙積載装置の前記用紙排出手段までの距離である所定長さより短いときには画像記録済みの用紙を前記走行ベルト上に吸着し、前記所定長さより長いときには画像記録済みの用紙を前記走行ベルト上に吸着しない用紙吸着手段と
を備えることを特徴とする用紙積載装置。
【請求項2】
前記排紙用紙受けは、排出用紙の積載高さに応じて上下動する受け昇降手段を有する請求項1に記載の用紙積載装置。
【請求項3】
前記ベルト搬送手段は、用紙搬送方向に沿って配置された複数の走行ベルトからなり、前記複数の走行ベルトは共通のベルト駆動手段によって駆動される請求項1または2に記載の用紙積載装置。
【請求項4】
前記用紙吸着手段として、用紙を前記走行ベルトにエアにより吸着するエア吸着手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙積載装置。
【請求項5】
前記用紙吸着手段として、用紙を前記走行ベルトに静電的に吸着する静電吸着手段を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙積載装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の用紙積載装置が用紙排出口位置に取り付けられたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−44694(P2008−44694A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219740(P2006−219740)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】