説明

甲状腺刺激ホルモン(TSH)の治療的投与のための配合物

本開示は、一般に、従来技術の配合物と比して修正された薬物動態学的プロファイルを有する有効処方成分である甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含有する新規な配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年9月19日出願の米国仮特許出願第60/846,077号明細書の利益を主張する。上記出願の全教示は参照により本明細書において援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般に、従来技術の配合物と比して修正された薬物動態学的プロファイルを有する、有効処方成分である甲状腺刺激ホルモン(TSH)を含有する新規配合物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
甲状腺腫は甲状腺の肥大である。甲状腺種の症状としては、甲状腺肥大、首の膨満、呼吸障害、咳嗽、喘鳴、嚥下障害、頸静脈拡張、および眩暈が挙げられる。時間と共に、甲状腺種は、正常な甲状腺組織が自己免疫性または他の甲状腺疾病により破壊されるために甲状腺機能低下症を生じる可能性がある。あるいは、甲状腺種は、中毒性結節性甲状腺種に進行する可能性がある。この場合、中毒性結節性甲状腺種は、追加的な甲状腺ホルモンを生成する可能性があり、患者は、甲状腺機能亢進症に進展する可能性がある。また、甲状腺肥大または甲状腺種からの硬化結節の発達は甲状腺悪性腫瘍に進展する可能性があり、または甲状腺癌が、既存の甲状腺種無しで発達する可能性がある。患者へのTSHの投与は、甲状腺種および甲状腺癌を含む種々の甲状腺疾病に対する診断上のまたは治療的アプローチに関与することができる。これらの疾病について、投与されたTSHの薬物動態学的プロファイルは、診断上のまたは治療的処置の最適な成功のために重要であり得る。
【0004】
現在、甲状腺種の治療は、放射性ヨウ素の投与または甲状腺の一部あるいはすべての手術的除去を含む。放射性ヨウ素治療からの副作用は、甲状腺ホルモンによる日々の治療が必要である終生甲状腺機能低下症である。甲状腺の手術的除去もまた終生甲状腺機能低下症をもたらす可能性がある。しかも、甲状腺付近の構造に対する外傷を含めて、手術には関連するリスクが存在する。
【0005】
甲状腺腫は、甲状腺が、身体が必要とする量を満たす十分な甲状腺ホルモンを産生することができない場合に生じる可能性がある。他の甲状腺種患者は、角に活動性の甲状腺を有する可能性がある。
【0006】
甲状腺機能低下症は身体が十分な甲状腺ホルモンに欠く状態であり、遅い新陳代謝が、通常は、この状態の特徴である。臨床的症状としては、疲労、脱力感、体重増加、乾燥髪、乾燥肌、脱毛、寒冷不耐性、筋肉痙攣、便秘、うつ状態、過敏症、記憶喪失、および異常な月経周期が挙げられる。確定診断は高いレベルのTSHを示す血液検査によりなされることができ、ここで、通常レベルのTSHは一般に約0.4〜約4.5mIU/Lの間である。合衆国人口を反映する約17,000人の患者のサンプル研究では、約4.6%が甲状腺機能低下症と報告された。
【0007】
甲状腺機能亢進は、身体の組織への過剰な量の甲状腺ホルモンの作用により生じる状態である。臨床的症状としては、動悸、高熱不耐性、神経衰弱、不眠症、息切れ、便通の増加、軽微な月経期または月経期の欠如、および疲労が挙げられる。甲状腺機能亢進は、TSHのレベルを計測する血液検査で診断することが可能である。低血中TSHが甲状腺が自然にホルモンを過剰産生していることを強く示唆し、ここで、TSHの正常なレベルは、一般に、約0.4〜約4.5mIU/Lの間である。サンプル研究によると、母集団の0.5〜6.3%の範囲の甲状腺機能亢進症の全体罹患率が報告されている。
【0008】
甲状腺癌は、甲状腺由来の細胞の非制御的な増殖が存在する疾病の一群である。甲状腺癌は、通例、乳頭状、濾胞性および好酸性細胞癌を含む分化型甲状腺癌、ならびに、髄様および未分化癌を含む他の甲状腺癌として区分されている。時間と共に、いくつかの分化型甲状腺癌は高度に分化されなくなり、脱分化型または低分化型癌として区分され得る。種々のタイプの甲状腺癌を有する患者へのTSHの投与は、甲状腺癌の診断または治療において役立つ可能性がある。TSHの正確な薬物動態学が、診断上のおよび/または治療的処置の最適化に重要であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、一般に、従来技術の配合物と比して修正された薬物動態学的プロファイルを有する、有効処方成分であるTSHを含有する新規配合物に関する。
【0010】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを混合し、これにより放出調節製剤を提供するステップを含む、TSHの放出調節製剤を提供する方法を提供する。
【0011】
一実施形態は、必要とする患者における甲状腺疾患を治療する方法を提供し、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む有効量の医薬組成物を患者に送達するステップが含まれる。
【0012】
一実施形態は、甲状腺疾患を患う患者においてTSHの血漿中濃度を2.0mIU/Lに維持する方法であって、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む有効量の医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供し、ここで、TSHの血清中濃度または血漿中濃度が、投与後約6時間より長く約2.0mIU/L超に維持される。
【0013】
一実施形態は、TSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容する医薬組成物を提供し、ここで、患者に投与されたときに、医薬品投与量形態は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Tmaxより少なくとも約20%長い患者の血清中のTSHの有効Tmaxをもたらす。
【0014】
一実施形態は、TSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容する医薬組成物を提供し、ここで、患者に投与されたときに、医薬品投与量形態は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Cmaxより少なくとも約20%低い患者の血清中のTSHの有効Cmaxをもたらす。
【0015】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物を提供し、ここで、組成物は、少なくとも約40cpsの粘度を室温で有する。
【0016】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物を提供し、ここで、必要とする患者への投与後に、組成物は、少なくとも6時間の有効Tmaxをもたらす。
【0017】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物を提供し、ここで、必要とする患者への投与後に、組成物は、48時間の間にわたって2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす。
【0018】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物を提供し、ここで、必要とする患者への投与後に、組成物は、患者の血清中に、約2.0mIU/L超の有効Cmaxをもたらす。
【0019】
一実施形態は、甲状腺疾患(例えば、甲状腺種、甲状腺癌)を治療するための薬剤の製造のための、開示の実施形態の医薬組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ラットにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。各ラットに対して、注射用滅菌水(「SWFI」として標識した);0.25%メチルセルロース(「0.25%MC」として標識した);0.1%メチルセルロース(「0.1%MC」として標識した);3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3%NaCMC」として標識した);2%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「2%NaCMC」として標識した);または1%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「1%NaCMC」として標識した)のいずれか中に、1mg/kgのrhTSHを単一用量で投与した。値は平均±SDを示す。
【図2】ラットにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。各ラットに対して、注射用滅菌水(「SWFI」として標識した);0.25%メチルセルロース(「0.25%MC」として標識した);または3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3%NaCMC」として標識した)のいずれか中に、1mg/kgのrhTSHを単一用量で投与した。
【図3】ラットにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。各ラットに対して、注射用滅菌水(「SWFI」として標識した);ヘラクレス(Hercules)製の2%中粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(「2%MV NaCMC、149cps」として標識した);ヘラクレス(Hercules)製の1.5%%中粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(「1.5%MV NaCMC、79cps」として標識した);ルガー(Ruger)製の3%低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3%LV NaCMC、76cps」として標識した);ヘラクレス(Hercules)製の3%低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3%LV NaCMC、46cps」として標識した);または2%低粘度カルボキシメチルセルロースナトリウム(「2%LV NaCMC、18cps」として標識した)のいずれか中に、1mg/kgのrhTSHを単一用量で投与した。
【図4】ラットにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。各ラットに対して、注射用滅菌水(「SWFI」として標識した);2.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「2.5%NaCMC、41cps」として標識した);3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3.0%NaCMC、97cps」として標識した);または3.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3.5%NaCMC、159cps」として標識した)のいずれか中に、0.1mg/kgのrhTSHを単一用量で投与した。値は平均±SDを示している。
【図5】イヌにおける、rhTSHの様々な配合物および/または投与量の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。各イヌに対して、1mg/kgのrhTSHを単一用量で投与した。イヌに、注射用滅菌水中の0.15ml/kgのrhTSH(「SWFI(0.15mL/kg)」として標識した);3%カルボキシメチルセルロースナトリウム中の0.15ml/kgのrhTSH(「3%NaCMC(0.15mL/kg)」として標識した);または3%カルボキシメチルセルロースナトリウム中の0.07ml/kgのrhTSH(「3%NaCMC(0.07mL/kg)」として標識した)のいずれかを投与した。
【図6】イヌにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。イヌに、注射用滅菌水(「SWFI中の0.05mg/kg rhTSH」として標識した)または93cpsでの3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3%NaCMC中の0.05mg/kg rhTSH、93cps」として標識した)のいずれか中の0.05mg/kgのrhTSHを投与した。
【図7】イヌにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。イヌに、注射用滅菌水中の0.1mg/kgのrhTSH(「SWFI中の0.1mg/kg rhTSH」として標識した);93cpsでの3%カルボキシメチルセルロースナトリウム中の0.1mg/kgのrhTSH(「3%NaCMC中の0.1mg/kg rhTSH、93cps」として標識した);または54cpsでの3%カルボキシメチルセルロースナトリウム中の0.1mg/kgのrhTSH(「3%NaCMC中の0.1mg/kg rhTSH、54cps」として標識した)を投与した。
【図8】イヌにおける、rhTSHの様々な配合物の筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。イヌに、注射用滅菌水(「SWFI中の0.2mg/kg rhTSH」として標識した)または93cpsでの3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(「3%NaCMC中の0.2mg/kg rhTSH、93cps」として標識した)のいずれか中の0.2mg/kgのrhTSHを投与した。
【図9】ヒトにおける、0.1mgのrhTSH(チロゲン(Thyrogen)(登録商標))または3%カルボキシメチルセルロース中の0.1mgのrhTSH(「MR−rhTSH」として標識した)の筋肉内投与(IM)後の、特定の時点(投与前〜96時間)でのTSHの平均未補正血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。
【図10】ヒトにおける、0.1mgのrhTSH(チロゲン(Thyrogen)(登録商標))または3%カルボキシメチルセルロース中の0.1mgのrhTSH(「MR−rhTSH」として標識した)の筋肉内投与(IM)後の、特定の時点(投与前〜96時間)でのTSHの平均補正済血清中濃度(ng/mL)を示すグラフである。
【図11】0.1mgのrhTSH(チロゲン(Thyrogen)(登録商標))または3%カルボキシメチルセルロース中の0.1mgのrhTSH(「MR−rhTSH」として標識した)の筋肉内投与(IM)後の、ヒト患者におけるT(トリヨードチロニン)の濃度を示すグラフである。*は、ブートストラップ法を用いてマルチテストに調整したTテストを用いた治療グループ間の統計的有意差(p<0.05)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本開示を通して、種々の文献、特許および公開特許公報は引用を特定することにより参照される。これらの文献、特許および公開特許公報における開示は、本発明が関連する技術分野における状態をより完全に記載するために、参照により本開示中に援用される。
【0022】
本明細書において用いられるところ、一定の用語は、以下に定義される意味を有する。
【0023】
定義
本明細書において用いられるところ、「を含む」という用語は、組成物および方法は、言及された構成要素を包含し、他のものも除外されないことを意味することが意図される。組成物および方法の定義に用いられる場合、「から本質的に構成される」とは、組み合わせに対していずれかの本質的な重要性を有する他の構成要素を除外することを意味すべきである。それ故、本明細書において定義される構成要素から本質的に構成される組成物は、単離および精製法に由来する微量な汚染物、ならびにリン酸−緩衝生理食塩水、防腐剤等などの薬学的に許容可能な担体を除外しないであろう。「からなる」とは、他の処方成分の構成要素のトレース量以上および本発明の組成物を投与するための実質的な方法ステップが除外されることが意味されるべきである。これらの翻訳用語の各々により定義される実施形態は、本発明の範囲内に包含される。
【0024】
範囲を含む、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量といったすべての数値指定は、0.1の増分により(+)または(−)に変化される近似値である。常に明確に規定されてはいないが、すべての数値指定は「約」という用語により先行されていると理解されるべきである。また、常に明確に規定されてはいないが、本明細書に記載の試薬は単に例示的であり、およびこのようなものの等価物が技術分野において公知であると理解されるべきである。
【0025】
「単離された」という用語は、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはこれらのフラグメントが通常は性質的に関連している、細胞その他といった構成成分から分離されることを意味する。当業者には明らかであるとおり、非天然のポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはこれらのフラグメントは、その天然の対応物と識別するために「単離」を必要としない。加えて、「濃縮された」、「分離された」または「希釈された」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはこれらのフラグメントは、体積当たりの濃度または分子数が、その天然の対応物のものより大きい(「濃縮された」)または未満(「分離された」)という点において、その天然の対応物から識別可能である。その一次配列でまたは例えばそのグリコシル化パターンにより天然の対応物とは異なるポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはこれらのフラグメントは、その一次配列により、またはあるいは、グリコシル化パターンなどの他の特徴によりその天然の対応物とは識別可能であるために、その単離形態中に存在している必要はない。それ故、非天然ポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドからの個別の実施形態として提供される。細菌細胞中で産生されるタンパク質は、自然に産生される真核細胞から単離された天然タンパク質からの個別の実施形態として提供される。
【0026】
「組換え型」という用語は、合成された、またはそうでなければインビトロで処理された(例えば「組換えポリヌクレオチド」)ポリヌクレオチド、および、組換えポリヌクレオチドを用いて細胞または他の生物学的系において遺伝子産物を産生させる方法、および、組換えポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチド(「組換えタンパク質」)を指す。
【0027】
「医薬組成物」とは、有効薬剤と、組成物を、インビトロ、インビボまたはエキソビボでの診断または治療的用途に好適とさせる不活性または活性な担体との組み合わせが包含されることが意図される。
【0028】
本明細書において用いられるところ、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水などの標準的な医薬品担体、水、および油/水または水/油エマルジョンなどのエマルジョン、ならびに種々のタイプの湿潤剤のいずれかを含む。組成物はまた、安定化剤および防腐剤を含むことが可能である。担体、安定化剤および補助剤の例については、マーチン(Martin)、Remington’s Pharm.Sci.、第15版(Mack Publ.Co.、イーストン(Easton)(1975年))を参照のこと。
【0029】
「賦形剤」とは、有効処方成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される非有効物質を指す。
【0030】
本明細書において用いられるところ、「粘性ビヒクル」という用語は、流動性に対して比較的高い抵抗を有する場合に物質を希釈するために用いられる非有効物質を意図する。ニュートン液体(例えば水)は、力が作用された直後に流れることが知られている。粘度は、せん断速度にかかわらず一定のままである。粘度は、流体が攪拌または流される時のせん断(運動)に対する抵抗をもたらす、流体の内部摩擦の尺度を指す。内部摩擦力が大きいほど(すなわち粘度が高い)、流体の易流動性は低くなる。
【0031】
粘度は、最も一般的には、回転円筒粘度計または毛細管装置で計測される。回転円筒粘度計は流体に関連するせん断力を計測し、それ故、絶対粘度を測定する。絶対粘度は、通常はセンチポアズであるメートル単位で測定される。次いで、動粘性率を得ることができるよう、流体の密度が計測されなければならい。動粘性率は、メートル法でのセンチストークで表記される。絶対粘度がセンチポアズで表記され、および密度がグラム/ccで表記される場合、この比はセンチストークとなるであろう。液体の粘度は、大きく温度に依存する。温度の上昇は、粘度の低下をもたらすこととなる。本明細書における粘度の計測は、室温(例えば、20〜25℃)で考慮される。
【0032】
本明細書において用いられるところ、「薬学的に許容可能なポリマー」という用語は、TSHの、インビトロ、インビボまたはエキソビボでの薬学的に許容可能な投与用の粘性ビヒクルを提供するポリマーを指す。
【0033】
本明細書において用いられるところ、「放出調節製剤」という用語は、対応するTSHの水溶液と比して遅延性のTmaxおよび/または低減されたCmaxをもたらす粘性ビヒクル中のTSHの溶液および/またはTSHの調製物を指す。
【0034】
本明細書において用いられるところ、「放出調節rhTSH」という用語は、対応するrhTSHの水溶液と比して遅延性のTmaxおよび/または低減されたCmaxをもたらす粘性ビヒクル中の組換え型ヒトTSH(rhTSH)の溶液および/またはrhTSHの調製物を指す。
【0035】
本明細書において用いられるところ、「対応するTSHの水溶液」という用語は、TSHを溶解させることができる水または緩衝剤中のTSHの溶液を指す。対応するTSHの水溶液は、粘性ビヒクルを実質的に含まない。
【0036】
本明細書において用いられるところ、「代謝的に排除可能な」という用語は、身体の正常なプロセスまたは新陳代謝を介した身体からの化合物の排除を指す。
【0037】
「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な量である。有効量は、1回以上の投与、施用、または投与量で投与されることが可能である。
【0038】
「対象」、「個体」または「患者」は本明細書において同義に用いられており、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。哺乳動物としては、これらに限定されないが、マウス、ラット、サル、ヒト、家畜、競技用動物、および愛玩動物が挙げられる。
【0039】
薬物の薬物動態学的プロファイルは、血中(または血清あるいは血漿中)濃度時間曲線により測定することが可能であり、アンセル(Ansel)ら、「医薬品投与量形態および薬物送達系(Pharmaceutical Dosage Forms And Drug Delivery Systems)」、第7版(リッペンコック(Lippencock)、ウィリアムズ(Williams)、およびウィルケンス(Wilkens)、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia,PA)(1999年))を参照のこと。血中(または血清あるいは血漿中)濃度時間曲線は、投与割合の割合を示す縦軸と時間を示す横軸とで経時的な薬物の濃度を追う。アンセル(Ansel)ら(1999年、前述の第113ページ)は、「薬物が最初に投与されるとき(時間ゼロ)、薬物の血中濃度もまたゼロであるあるべきである。薬物は、胃および/または腸管を通過するに伴って、投与量形態から開放され、最終的には溶解すると共に吸収される。サンプリングおよび分析が継続するに伴って、血液サンプルが、最大(ピーク)濃度(Cmax)に達するまでの薬物の濃度の上昇を明らかにする。次いで、追加的な投与量が与えられなければ、薬物の血中レベルは連続的に低下し、最終的にはゼロにまで低下する。」と報告している。アンセル(Ansel)は、薬物の胃および/または腸管への放出を開示するが、薬物の放出は、投与経路に応じて、他の場所でも生じる可能性があることが理解される。
【0040】
血中レベル曲線の比較評価に対するパラメータの考慮において、コドス(Chodos)およびサント(Santo)(生物学的利用能の基礎(Basics of Bioavailability)、ミシガン州カラマズー(Kalamazoo,MI)、ザ・アップジョンカンパニー(The Upjohn Company)(1973年))は、以下を列挙する。
1.ピーク高さ濃度(Cmax);
2.ピーク高さ濃度(Tmax)の時間;および
3.血中(または血清あるいは血漿中)濃度−時間曲線下の面積(AUC)。
【0041】
これに関して、アンセル(Ansel)ら(1999年、前述の第115ページ)もまた「薬物吸収速度の変化は、CmaxおよびTmaxの両方の値の変化によることとなる。各生成物は、その独自の特徴的な吸収速度を有する。吸収速度が低下するとき、Cmaxが低下し、Tmaxがその後に生じる。」と報告している。
【0042】
本明細書において用いられるところ、「有効Tmax」とは、関連している組成物の特徴である「ピーク高さ濃度の時間」を指す。本明細書において用いられるところ、「有効Cmax」とは、関連している組成物の特徴である「ピーク高さ濃度」を指す。多くの場合、有効TmaxおよびCmaxは、薬物の濃度が治療的範囲内にある血中(または血清あるいは血漿中)濃度時間曲線をもたらす。
【0043】
TSHの投与は、甲状腺種および甲状腺癌などの甲状腺疾患に対する診断上のおよび/または治療的アプローチである。患者に対するTSHの投与は、甲状腺種組織、正常な甲状腺組織、および/または甲状腺癌組織の新陳代謝を変化させることが可能である。組織新陳代謝の変化は、特にこれらに限定されないが、放射性ヨウ素(123−I、124−I、131−I)、放射線標識化グルコース(PETスキャンに用いられるものなど)などの放射性同位元素、ならびに、非放射性ストラテジー(TSHによる組織新陳代謝の刺激、次いでサイログロブリンなどの血液中の腫瘍マーカの計測など)の利用を度々可能とさせる、これらの甲状腺疾病についての診断上のおよび/または治療的処置の実施を許容することができる。
【0044】
血流中のTSHの出現の薬物動態学は、診断上のおよび/または治療的処置の有効性に作用する可能性がある。それ故、TSHの薬物動態学を調整するための配合物の使用は、甲状腺種、甲状腺癌または他の甲状腺疾病を有する患者に対する診断上のおよび/または治療的アプローチを最適化するための重要なストラテジーである。この原理の甲状腺種への適用においては、TSH血清レベルの急激なスパイクは患者において甲状腺機能亢進症をもたらす可能性があるため、例えば、1日または2日にわたる血中へのTSHのより漸進的な放出が所望される。一定の状況(例えば甲状腺種)については、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45時間または場合により50時間もの長時間などの数時間にわたる血中へのTSHの漸次的な放出が有用であり得る。あるいは、甲状腺癌などの一定の状況については、1、2、3、4、5、10、15、20、25日間または場合により30日間もの長期などの数日間にわたる血中へのTSHの漸次的な放出が、腫瘍マーカまたは核薬物または他のスキャンの使用により検出されおよび/または位置が特定されることが可能であるよう、身体中に残留する甲状腺癌組織の新陳代謝の刺激に有用であり得、この腫瘍の刺激はまた、放射線または他の手段を用いて癌をより治療可能とさせ得る。それ故、TSH放出の薬物動態学を最適化するTSH含有配合物に対する要求が存在する。
【0045】
TSHの投与は、大部分(約99.5%)が担体タンパク質に結合している血中を循環する甲状腺ホルモンであるT(トリヨードチロニン)の放出に作用する。未結合のTが、生物学的作用および新陳代謝の制御に関与していると考えられている。正常な甲状腺機能において、担体タンパク質の濃度が変化可能であると共に総Tレベルが変化可能であるが、遊離Tのレベルは一定に維持される。Tレベルの定常性は異常に機能している甲状腺に対する場合ではない可能性がある。従って、遊離Tのレベルは、臨床的状態に相関する可能性がある。遊離Tレベルにおけるスパイクは、甲状腺機能亢進症状および/または心臓病症をもたらす可能性がある。例えば、遊離Tレベルにおけるスパイクは、患者(例えば、高齢の患者、病気の患者)に対する懸念である可能性がある心拍数の増加をもたらす可能性がある。それ故、TSHの投与においては、血清TSHレベルの急激なスパイクは遊離Tレベルにおける急激なスパイクをもたらす可能性があり、これは、次いで、患者に甲状腺機能亢進症および/または心臓病症をもたらす可能性がある。従って、特定の実施形態においては、遊離Tレベルがより一定のレベルで維持されるようTSHを投与することが望ましい。
【0046】
一実施形態において、出願人らの開示は、有効量のTSHと有効量の粘性ビヒクルとを混合することによる、TSHの投与のための放出調節製剤を提供する方法を提供する。TSHが配合される媒体の粘度を高めることで、注射周囲の組織へのTSHの吸収速度を著しく低下させることが可能であり、これは、次いで、血清中におけるTSHレベルのより漸次的な増加をもたらすことが可能である。血清TSHレベルのより漸次的な放出は、遊離T(チロキシン)、T、Tおよび/または遊離Tの速効的な放出を抑えることが可能であると共に、より少ない甲状腺機能亢進症の急性徴候および症状を生じさせる。
【0047】
薬学的に許容可能なポリマーは、有害な副作用を伴うことなく粘度を高めることが可能である。従って、薬学的に許容可能なポリマーを用い、TSHの水溶液と比した時に、TSHの薬物動態学的プロファイルの変性は好結果であるように見られた。好適な薬学的に許容可能なポリマーの例としては、これらに限定されないが、セルロース誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルソール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、およびカルボキシメチルセルロースカルシウムなどの多糖類、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリプロリン、アガロース、キトサン、カラゲナン、高分子キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン−4−硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、グリコサミノグリカン、寒天、ペクチン、膠、アルギン酸、デキストラン、α−アミロース、アミロペクチン、キトサン、またはこれらの塩あるいはエステルが挙げられる。一実施形態においては、薬学的に許容可能なポリマーは、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される。他の実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーはカルボキシメチルセルロースである。
【0048】
本開示は、薬学的に許容可能なポリマーを含み、TSHの水溶液と比した時にTSHの薬物動態学的プロファイルを変更することができる組成物を提供する。一実施形態においては、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容するTSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬品投与量形態が提供され、ここで、患者に投与されたときに、医薬品投与量形態は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Tmaxより少なくとも約20%長い患者の血清中のTSHの有効Tmaxをもたらす。他の実施形態において、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容するTSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬品投与量形態が提供され、ここで、患者に投与されたときに、医薬品投与量形態は、対応するTSHの水溶液が投与された場合に、患者におけるTSHの有効Cmaxより少なくとも約20%低い患者の血清中のTSHの有効Cmaxをもたらす。
【0049】
一実施形態において、出願人らの開示は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを混合することによる、TSHの投与のための放出調節製剤を提供する方法を提供する。他の実施形態において、出願人らの開示は、有効量のTSHと有効量のメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースとを混合することによる、TSHの投与のための放出調節製剤を提供する方法を提供する。他の薬学的に許容可能なポリマーは、種々の濃度のポリマーと、本明細書に記載のTSHとを混合することにより同定され得る。同一のまたは同様のCmaxおよび/またはTmaxを有するポリマーが、次いで、同定され、本明細書に記載の方法において利用されることが可能である。例えば、図2は、1)TSHおよび水;2)TSHおよびメチルセルロース;および3)TSHおよびカルボキシメチルセルロースを含む組成物の放出動態学を比較する。
【0050】
クロロキンの放出速度に対するポリマー、メチルセルロースの粘度の影響が、プラコンパン(Prakongpan)ら(1989年)「筋肉内投与用のクロロキンの向上した配合物:ウサギにおける吸収動態学(An improved formulation of chloroquine for intramuscular administration: absorption kinetics in rabbits)」、J.Pharm.Pharmacol.、41:726〜728ページに報告された。著者らにより報告されているとおり、クロロキンは、合計分布容積より数桁小さい分布の中央見かけ容積、および筋肉内または皮下注射後の急速な吸収を含む特異な薬物動態学的プロファイルを有する。Id.従って、クロロキンの過渡的に高い血中濃度が、脆弱性の対象に対して致命的である可能性のある血圧の低下を生じさせる可能性がある。Id.ここで、著者らは、放出速度対数と、担体として用いられたポリマーメチルセルロース(2%)の粘度対数との間の直線関係を報告している。
【0051】
出願人らは、TSHと薬学的に許容可能なポリマーとの組み合わせが、甲状腺疾患の治療に好適である修正された薬物動態学的プロファイルを有する組成物を提供することを予想外にも発見した。本明細書において既述し、例示したとおり、配合物は、予想外にも、低いCmaxおよび高いTmaxを薬物の生物学的利用能を変化させることなく提供する。
【0052】
組成物を得るために、約10μg〜約5000μgのTSHが、約0.2%〜約5.0%w/v溶液の薬学的に許容可能なポリマーと混合される。一実施形態においては、約300μg/ml〜約1500μg/mlのTSHが薬学的に許容可能なポリマーと混合される。他の実施形態においては、薬学的に許容可能なポリマーの量は、ポリマーの約0.25%および約5.0%;約1%および約4.5%;約2%および約4.0%;約2.5%および約3.5%;または約0.2%;約0.25%;約0.3%;約0.35%;約0.4%;約0.45%;約0.5%、約1%、約2%、約3%、または約4%である。
【0053】
配合物用のTSHは、ウシ、ブタの、霊長類、またはヒトなどの天然哺乳類源から精製されることができ、または、代替的に、米国特許第5,840,566号明細書および米国特許第6,365,127号明細書に記載のものなどの技術分野において公知である方法を用いて非天然源から単離されることができる。ヒト組換え−産生TSHが以下に提供されている例において利用されてきているが、本開示の本発明は、これらの例において提供されているソースに限定されるべきではない。しかも、当業者には明らかであるとおり、タンパク質に対する軽微な修正は、組成物が本明細書に規定のパラメータの範囲内の薬物動態学的プロファイルを提供する限りにおいて、本発明の思想および範囲から逸脱せずに成すことが可能である。
【0054】
チロゲン(Thyrogen)(登録商標)(ゲンザイム社(Genzyme Corp.)、NDA2−898)は、甲状腺癌の診断および/または治療のために現在市販されている組換え型ヒトTSH(rhTSH)である。これは、筋肉内投与に先立って水で還元されるための凍結乾燥された粉末として販売されている。2〜8℃で保管されている場合、もしチロゲン(Thyrogen)(登録商標)薬物生成物が36月間安定であれば、これは、現在の配合物用のTSHのソースとして好適である。
【0055】
媒体の粘度を高めるために粘性ビヒクルが用いられる。薬学的に許容可能なポリマーが粘性ビヒクルとして作用することができる。粘性ビヒクルおよびその濃度は、少なくとも約5cps、少なくとも約10cps;少なくとも約15cps;少なくとも約20cps;少なくとも約25cps;少なくとも約30cps;少なくとも約35cps;少なくとも約40cps;少なくとも約45cps;少なくとも約50cps;少なくとも約55cps;少なくとも約60cps;少なくとも約65cps;少なくとも約70cps;少なくとも約75cps;少なくとも約80cps;少なくとも約85cps;少なくとも約90cps;少なくとも約95cps;少なくとも約100cps;少なくとも約105cps;少なくとも約110cps;少なくとも約115cps;少なくとも約120cps;少なくとも約125cps;少なくとも約130cps;少なくとも約135cps;少なくとも約140cps;少なくとも約145cps;少なくとも約150cps;少なくとも約155cps;少なくとも約160cps;少なくとも約165cps;少なくとも約170cps;少なくとも約175cps;少なくとも約180cps;少なくとも約185cps;少なくとも約190cps;少なくとも約195cps;少なくとも約200cps;またはあるいは約40〜90cpsの最終粘度を有する配合物を達成するよう選択される。一定の実施形態において、粘性ビヒクルおよびその濃度は、約15〜150cps、約40〜160cps、約45〜125cps、または約40〜90cpsの最終粘度を達成するよう選択される。特定の実施形態において、粘性ビヒクルおよびその濃度は、約45〜125cpsの最終粘度を達成するよう選択される。
【0056】
本開示はまた、数々の実施形態において、放出調節薬物動態学的プロファイルを示す組成物または配合物を提供する。
【0057】
一実施形態は、患者の血清中へのTSHの調節された放出を許容する、TSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬品投与量形態を提供する。一実施形態においては、薬学的に許容可能なポリマーは、本明細書に定義されているとおり、粘性ビヒクルまたは薬学的に許容可能な希釈剤である。
【0058】
一実施形態においては、組成物は、薬学的に許容可能なポリマー中にTSHを含有する。一実施形態においては、薬学的に許容可能なポリマーはカルボキシメチルセルロースナトリウムである。一実施形態においては、組成物は、約10μg/ml〜約5000μg/mlのTSHを薬学的に許容可能なポリマー中に含有する。他の実施形態においては、組成物は、約10μg/ml〜約1500μg/ml、約10μg/ml〜約1000μg/ml、約10μg/ml〜約800μg/ml、約10μg/ml〜約500μg/ml、約10μg/ml〜約300μg/ml、約10μg/ml〜約200μg/ml、約10μg/ml〜約100μg/ml、または約10μg/ml〜約90μg/mlのTSHを薬学的に許容可能なポリマー中に含有する。一実施形態においては、組成物は、約40μg/ml〜約80μg/mlのTSHを薬学的に許容可能な担体中に含有する。他の実施形態においては、組成物は、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、または約90μg/mlのTSHを薬学的に許容可能な担体中に含有する。特定の実施形態において、組成物は約60μg/mlのTSHを薬学的に許容可能な担体中に含有する。
【0059】
組成物は、任意により、防腐剤等などの他の薬剤を含有し得る。さらなる実施形態において、組成物は、担当医または患者により組み合わせについて個別にパッケージ化される。パッケージは、任意により、シリンジおよび針などの組成物を投与する手段を含有し得る。それ故、本開示はまた、TSHのソース、好適な薬学的に許容可能なポリマーのソース、説明書および還元された後の組成物を投与するための手段を含有する製造物品を提供する。さらに、組成物は、予め混合され、投与のための手段と共に、その投与のための説明書有りまたは無しで販売される。
【0060】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを混合することによる、TSHの投与のための放出調節製剤を提供する方法を提供する。
【0061】
一実施形態において、TSHは哺乳動物(例えばヒト)から単離されたTSHである。他の実施形態において、TSHは組換え型哺乳類TSHである(例えば、組換え型ヒトTSH)。
【0062】
一実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーは代謝的に排除可能なポリマーである。他の実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーは身体中に注射可能である。
【0063】
一実施形態においては、投与量形態は少なくとも約20cpsの粘度を有する。他の実施形態において、投与量形態は少なくとも約40cpsの粘度を有する。一定の実施形態において、組成物は、少なくとも約50cps、少なくとも約70cpsまたは少なくとも約90cpsの粘度を有する。一定の実施形態において、投与量形態は、約15〜150cps、約40〜160cps、約45〜125cps、または約40〜90cpsの粘度を有する。特定の実施形態において、投与量形態は約45〜125cpsの粘度を有する。
【0064】
一実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーは、約90,000〜約700,000の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。他の実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーは、約0.05〜約5%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。
【0065】
本明細書に既述のとおり、本発明の配合物および組成物は、薬学的に許容可能なポリマー(例えば、本明細書に記載のもの)を含む。特定の一例において、薬学的に許容可能なポリマーは:約90,000;約250,000;および約700,000からなる群から選択される平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムである。他の好適なポリマー(例えば、本明細書に記載のもの)は、約70,000、約90,000、約100,000、約150,000、約200,000、約250,000、約300,000、約350,000、約400,000、約450,000、約500,000、約550,000、約600,000、約650,000、約700,000、約750,000、約800,000、約850,000、約900,000、または約950,000の範囲内の分子量を有する。さらに、約70,000〜約950,000の範囲内に分子量を有するポリマーを用いることができ、または、さらに約90,000〜約900,000である。
【0066】
組成物は、任意により、防腐剤等などの他の薬剤を含有し得る。さらなる実施形態において、組成物は、担当医または患者により組み合わせについて個別にパッケージ化される。パッケージは、任意により、シリンジおよび針などの組成物を投与する手段を含有し得る。それ故、本開示はまた、TSHのソース、好適な薬学的に許容可能なポリマーのソース、説明書および還元された後の組成物を投与するための手段を含有する製造物品を提供する。さらに、組成物は、予め混合され、投与のための手段と共に、その投与のための説明書有りまたは無しで販売される。
【0067】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを混合することによる、TSHの投与のための放出調節製剤を提供する方法を提供する。
【0068】
一実施形態においては、TSHは哺乳動物(例えばヒト)から単離されたTSHである。他の実施形態において、TSHは組換え型哺乳類TSHである(例えば、組換え型ヒトTSH)。
【0069】
一実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーは代謝的に排除可能であるポリマーである。他の実施形態において、薬学的に許容可能なポリマーは身体中に注射可能である。
【0070】
他の実施形態は、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容するTSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬品投与量形態を提供し、ここで、患者に投与されたときに、医薬品投与量形態は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Tmaxより少なくとも約20%長い患者の血清中のTSHの有効Tmaxをもたらす。
【0071】
一実施形態においては、医薬組成物は有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含み、ここで、この組成物は、必要とする患者への投与の後に少なくとも6時間の有効Tmaxをもたらす。
【0072】
一実施形態は、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容するTSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬品投与量形態を提供し、ここで、患者に投与されたときに、医薬品投与量形態は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Cmaxより少なくとも約20%低い患者の血清中のTSHの有効Cmaxをもたらす。
【0073】
他の実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物を提供し、ここで、組成物は、約2.0mIU/Lを超える有効な血清Cmaxを必要とする患者にもたらす。
【0074】
一実施形態は、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物を提供し、ここで、組成物は、投与後48時間の間にわたって必要とする患者において2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす。
【0075】
他の実施形態において、必要とする患者は、甲状腺種および甲状腺癌から選択される甲状腺疾患を患う患者である。
【0076】
当業者には明らかであるとおり、1種以上の好適な薬学的に許容可能な希釈剤を、本明細書に記載の配合物の調製における使用のために組み合わせることが可能である。組成物は、任意により、防腐剤等などの他の薬剤を含有し得る。さらなる実施形態において、組成物は、担当医または患者により組み合わせについて個別にパッケージ化される。パッケージは、任意により、シリンジおよび針などの組成物を投与する手段を含有し得る。それ故、本開示はまた、TSHのソース、好適な希釈剤のソース、説明書および還元された後の組成物を投与するための手段を含有する製造物品を提供する。さらに、組成物は、予め混合され、投与のための手段と共に、その投与のための説明書有りまたは無しで販売される。
【0077】
本発明の組成物は、必要とする患者(例えば、甲状腺癌患者、甲状腺種を患っている患者、他の甲状腺疾患を患っている患者)に投与されたとき、示された用途のために調整されたTSHの血清中濃度をもたらすであろう。一実施形態においては、組成物は、48時間の間にわたって必要とする患者において2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす。他の実施形態において、組成物は、必要とする患者への投与の後に少なくとも6時間の有効Tmaxをもたらす。他の実施形態において、組成物は、約2.0mIU/Lを超える有効Cmaxを必要とする患者にもたらす。
【0078】
一実施形態において、治療されるべき甲状腺疾患は甲状腺種であり、TSHの血清Cmaxは、投与から1時間後から約2.0mIU/Lを超えるべきである。他の実施形態において、TSHの血清Cmaxは、投与から1時間後から約5mIU/Lを超える。さらに他の実施形態において、治療されるべき甲状腺疾患は甲状腺種であり、配合物は、甲状腺ホルモンの急性放出を生じさせることなく放射性ヨウ素の甲状腺吸収を最適化させるために、TSH血清Cmaxが投与の後約数時間(例えば約8〜12時間)後に生じるよう調整される。一定の徴候(例えば甲状腺種)について、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45時間およびおそらくは最長で50時間などの数時間にわたる血中へのTSHの漸次的な放出が有用であり得る。
【0079】
他の徴候(例えば甲状腺癌)について、血清TSHの異なる最適な薬物動態学は、1、2、3、4、5、10、15、20、25日間およびおそらくは最長で30日間にわたる数日間にわたる血中へのTSHの緩徐な放出の達成などの、試みられる診断上のおよび/または治療的用途について維持され得る。配合物は、筋肉内注射などのいずれかの好適な方法により送達されることが可能である。
【0080】
特定の実施形態において、本発明は、甲状腺疾患を治療するための本発明の組成物の使用である。他の実施形態においては、本発明は、甲状腺疾患を治療するための薬剤を製造するための本発明の組成物の使用である。多くの場合において、甲状腺疾患は、TSHのレベル変化に起因する。TSHのレベルは、TSHの量を計測する血液検査で監視し、および分析することが可能であり、ここで、正常なTSHの血清レベルは、一般に、成人で約0.4〜約4.5mIU/Lであり、新生児で約3〜約20mIU/Lである。従って、TSHのレベル変化は、TSHの正常なレベルから外れたレベルである。TSHのレベル変化に起因する状態としては、甲状腺種および甲状腺機能低下症が挙げられる。甲状腺機能低下症の確定診断は、高いレベルのTSHを示す血液検査で成されることが可能であり、ここで、TSHの正常なレベルは、一般に、成人で約0.4〜約4.5mIU/Lであり、新生児で約3〜約20mIU/Lである。甲状腺種の確定診断は、TSHのレベル変化を示す血液検査で確認されることが可能である。特定の実施形態において、甲状腺疾患は、甲状腺種および甲状腺癌からなる群から選択される。
【0081】
他の実施形態において、本発明は、有効量の開示の医薬組成物を患者に投与するステップを含む、甲状腺疾患を患う患者において2.0mIU/L超にTSHの血漿中濃度を維持する方法であり、ここで、TSHの血漿中濃度は、投与の後、約1時間維持される。一定の徴候(例えば、甲状腺種)について、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45時間およびおそらくは最長で50時間などの数時間にわたる血中へのTSHの漸次的な放出が有用であり得る。あるいは、甲状腺癌などの一定の状況について、1、2、3、4、5、10、15、20、25日間およびおそらくは最長で30日間などの数日間にわたる血中へのTSHの漸次的な放出が有用であり得る。
【0082】
一実施形態は、有効量のTSHおよび有効量の薬学的に許容可能なポリマーを含む有効量の医薬組成物患者に送達させるステップを含む、必要とする患者における甲状腺疾患を治療する方法を提供する。
【0083】
一実施形態においては、医薬組成物は筋肉内注射を介して送達される。
【0084】
他の実施形態において、医薬組成物は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Tmaxと比して少なくとも約20%長い患者の血清中のTSHの有効Tmaxを送達する。
【0085】
他の実施形態において、医薬組成物は、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Cmaxより少なくとも約20%低い患者の血清中のTSHの有効Cmaxを送達する。
【0086】
他の実施形態において、医薬組成物は、投与後48時間の間にわたって必要とする患者において2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす。
【0087】
他の実施形態は、有効量のTSHおよび有効量の薬学的に許容可能なポリマーを含む有効量の医薬組成物を患者に投与するステップを含む、甲状腺疾患を患う患者において2.0mIU/L超にTSHの血漿中濃度を維持する方法を提供し、ここで、TSHの血清中濃度または血漿中濃度が、投与後約6時間より長く約2.0mIU/L超に維持される。
【0088】
他の実施形態において、TSHの血漿中濃度は、投与の後、約10時間より長く、約15時間より長く、約1日より長く、約2日間より長くまたは約4日間より長い間、高く維持される。
【0089】
他の実施形態は、有効量の本開示の実施形態の医薬組成物を患者に投与するステップを含む、患者における甲状腺疾患を治療するための方法を提供し、ここで、組成物は、投与後48時間の間にわたって必要とする患者において2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす。
【実施例】
【0090】
本発明は、例示のために本明細書に記載された実施形態に限定されず、上記開示の範囲内にある限りにおいて、これらのすべてのこのような形態を包含することが理解される。
【0091】
以下の実施例において、ならびに本明細書全体を通して、以下の略語は以下の意味を有する。定義されていない場合には、その用語は、一般に受け入れられている意味を有する。
【0092】
【表1】

【0093】
実施例1:カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはメチルセルロースを含有する溶液の調製
カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびメチルセルロースをスペクトルファーマシューティカルズ(Spectrum Pharmaceuticals)(カリフォルニア州アーバイン(Irvine,CA))から入手した。3%カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび1%カルボキシメチルセルロースナトリウムの溶液を調製した。0.5%メチルセルロースの溶液を調製した。
【0094】
3%マンニトール、0.2%塩化ナトリウム、20mmリン酸緩衝剤のTSHの溶液、pH7.0(1mLの0.9mg/ml溶液)を、3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(1ml)の溶液および0.5%メチルセルロース(1ml)の溶液に添加した。溶液をボルテックスし、白色および黒色の背景を有する蛍光照明に対して観察した。混合した溶液の各々は発泡性であった。約5分間静置させた後、溶液の各々は清透であると共に、溶液中に視認可能な粒子はなかった。溶液を振盪したところ、発泡が出現したが、それでも視認可能な粒子はなかった。
【0095】
TSHの凍結乾燥したケーキを、3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(10ml)の溶液および0.5%メチルセルロース(10ml)の溶液で還元した。還元した溶液の各々は乳色または乳白色ではなかった。カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液がTSHの凍結乾燥ケーキをメチルセルロース溶液より速く還元したが、最終的には両方の溶液がTSHの凍結乾燥ケーキを還元した。両方の溶液について発泡が観察された。両方の溶液において、粒子はなかった。
【0096】
ラットに投与したrhTSHの薬物動態学:およびメチルセルロース濃度の効果
この実施例においては、rhTSHの6種の様々な配合物の薬物動態学(PK)を比較した。研究デザインは、6つのグループに分けた18匹の頚動脈カニューレ処置したラットを含んでいた。すべてのラットに、単一用量の1mg/kg組換え型ヒトTSH(rhTSH)を筋肉内注射(IM)を介して投与した。6種の投与用ビヒクルは、メチルセルロース(MC)が異なる割合の注射用滅菌水、または約0.9mg/mLでのカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)であった。特に:
グループ1には、注射用滅菌水(SWFI)中のrhTSHを投与し;
グループ2には、0.25%MC中のrhTSHを投与し;
グループ3には、0.1%MC中のrhTSHを投与し;
グループ4には、3%NaCMC中のrhTSHを投与し;
グループ5には、2%NaCMC中のrhTSHを投与し;および
グループ6には、1%NaCMC中のrhTSHを投与した。
【0097】
血清サンプルを、PK分析(n=3)のために、0、30、60、120、240、480、および1440分間で採取した。血清サンプルをrhTSH ELISAを用いて評価した。
【0098】
材料および方法
この実施例において用いたラットは、約250gの体重の、メスのスプラーグドーリーラット(マサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington,MA)のチャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories))であった。示したとおり、すべてのラットに、単一用量の1mg/kg組換え型ヒトTSH(rhTSH)を筋肉内注射(IM)を介して投与した。6種のテスト物品を、注射用滅菌水または異なる割合のメチルセルロース(MC)またはカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)と共に約0.9mg/mLで配合した。具体的には、ラットに、注射用滅菌水(SWFI)中のrhTSH、0.25%MC中のrhTSH、0.1%MC中のrhTSH、3%NaCMC中のrhTSH、2%NaCMC中のrhTSH、または1%NaCMC中のrhTSHを投与した。
【0099】
rhTSH ELISA
マウス抗hCG抗体およびビオチン化マウス抗rhTSH抗体を用いる比色サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を利用して、ラット血清中のrhTSHの量を定量化した。プレートをマウス抗hCG抗体(カリフォルニア州サンティー(Santee,CA)のスキャンティボディーズラボラトリーズ社(Scantibodies Laboratories Inc.))でコートし、一晩2〜8℃でインキュベートした。基準曲線を、5.556ng/mlから開始し、1:1.5から0.488ng/mlに連続的に希釈したrhTSHを用いて用意した。一連の希釈物を、各テストサンプルについて希釈用緩衝剤中に調製した。基準、対照、およびサンプルを重複させてプレートに追加し、振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。プレートを、ELISAプレート洗浄溶液(1×リン酸緩衝生理食塩水および0.5%トゥイーン(Tween)20(商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート);パーキンエルマーライフサイエンスプロダクツ(Perkin Elmer Life Sciences Products))で洗浄した。ビオチン化マウス抗rhTSHをサンプル希釈用緩衝剤中に適切に希釈し、各ウェルに追加し、および振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。プレートをELISAプレート洗浄溶液で6回洗浄した。ストレプトアビジン標識化された西洋わさび由来ペルオキダーゼ(イリノイ州ロックフォード(Rockford,IL)のピアースバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology,Inc.))をサンプル希釈用緩衝剤(1×リン酸緩衝生理食塩水、0.5%トゥイーン(Tween)20(商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、0.1%BSA;パーキンエルマーライフサイエンスプロダクツ(Perkin Elmer Life Sciences Products))中に適切に希釈し、各ウェルに追加し、および暗中に、室温で15分間インキュベートした。プレートをELISAプレート洗浄溶液で洗浄した。オルト−フェニレンジアミン(OPD)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO)のシグマ(Sigma))を添加し、振盪しながら37℃で30分間インキュベートした。4.5M硫酸停止溶液(ニューハンプシャー州ハンプトン(Hampton,NH)のフィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific))を用いて反応を停止させた。各サンプル中のrhTSHの量を、490nmの吸光度読み取り値で計測した。
【0100】
データ分析
サンプルについての吸光度読み取り値は、490nmでの吸光度計測値が、最高rhTSH基準(5.556ng/ml)により達成したものより大きいか、または最低rhTSH基準(0.488ng/ml)について得た読み取り値未満である場合には、除外した。このような読み取り値はデータ分析に含まなかった。
【0101】
各サンプル希釈におけるrhTSHの量(ng/mlで計測)を、基準曲線から補間した。各サンプルにおけるrhTSHの量を、適切な希釈係数に補間結果を乗じることにより算出した。rhTSHの量は、血清のrhTSH/mlのngとして表記されている。表1は、研究に関するパラメータのまとめを提供する。動物における異常は、研究の生存中または検屍では観察されなかった。
【0102】
【表2】

【0103】
薬物動態学的パラメータ
薬物動態学的分析を、個別の動物に対して実施した。血清中濃度−時間データの薬物動態学的分析を、ウィンノンリン(WinNonlin)(登録商標)コンピュータソフトウェア(カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA)の、ファーサイトコーポレーション(Pharsight Corporation))を用いて実施した。最終消失半減期(t1/2)は直線(対数−線形スケール)上のいずれかの点での薬物濃度が半分に減るために必要とされる時間を表し、0.693/nにより求められ、ここで、nは消失速度定数(2.303と終末勾配との積)である。Cmaxは、ng/mLでの最大血清中濃度である。Tmaxは、分間での最高濃度が観察された時間(Cmaxでの時間)である。Cmax、Tmax、最終消失半減期(t1/2)、曲線下面積(AUC)およびクリアランス(Cl)パラメータが表2にまとめられている。図1は、rhTSHの異なるMCまたはNaCMC配合物のラットへの筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示す。
【0104】
【表3】

【0105】
薬物動態学的パラメータのまとめ
各rhTSH調製物のボーラスIM投与の後、濃度対時間の片対数プロットは、投与経路に一致する吸収、および消失プロファイルを示した。3%NaCMC中に還元したrhTSHの投与は、SWFI中のrhTSHと比してCmaxの統計的に有意なシフトをもたらした(例えば表2および図1を参照のこと)。MC中に還元されたrhTSHでの効果の徴候もまたあった。
【0106】
実施例3:ラットにおけるカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびメチルセルロースの比較
この実施例においては、rhTSHの3種の様々な配合物の薬物動態学(PK)を比較した。研究デザインは、3つのグループに分けた、14匹の頚動脈カニューレ処置したラットを含んでいた。すべてのラットに、単一用量の1mg/kg rhTSHを筋肉内注射(IM)を介して投与した。3種の投与用ビヒクルは、注射用滅菌水(SWFI)、0.25%メチルセルロース(MC)および約0.9mg/mLでの3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)であった。特に:
グループ1には、注射用滅菌水(SWFI)中のrhTSHを投与し;
グループ2には、0.25%MC中のrhTSHを投与し;および
グループ3には、3%NaCMC中のrhTSHを投与した。
【0107】
血清サンプルを、PK分析(n=3)のために、0、30、60、90、120、150、180、240、480、1440、および1920分間で採取した。血清サンプルをrhTSH ELISAを用いて評価した。
【0108】
材料および方法
実施例2に記載のとおり実験を実施した。
【0109】
表3は、研究に関するパラメータのまとめを提供する。動物における異常は、研究の生存中または検屍では観察されなかった。
【0110】
【表4】

【0111】
薬物動態学的パラメータ
薬物動態学的分析を、個別の動物に対して実施した。血清中濃度−時間データの薬物動態学的分析を、ウィンノンリン(WinNonlin)(登録商標)コンピュータソフトウェア(カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA)の、ファーサイト(Pharsight Corporation))を用いて実施した。直線(対数−線形スケール)上のいずれかの点での薬物濃度が半分に減るために必要とされる時間を表す最終消失半減期(t1/2)は0.693/nによって求められ、ここで、nは消失速度定数(2.303と終末勾配との積)である。Cmaxは、ng/mLでの最大血清中濃度である。Tmaxは、分間での最高濃度が観察された時間(Cmaxでの時間)である。Cmax、Tmax、最終消失半減期(t1/2)、曲線下面積(AUC)、およびクリアランス(Cl)パラメータが表4にまとめられている。図2は、rhTSHの0.25%MCまたは3%NaCMC配合物のラットへの筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示す。
【0112】
【表5】

【0113】
薬物動態学的パラメータのまとめ
各rhTSH調製物のボーラスIM投与の後、濃度対時間の片対数プロットは、投与経路に一致する吸収、および消失プロファイルを示した。この研究の条件下では、3%NaCMC中に還元したrhTSHのIM投与は、SWFI中のrhTSHと比してCmaxの統計的に有意なシフトをもたらした。SWFI中のrhTSHと比して、0.25%MC中の放出調節rhTSHとの間に統計的有意差はなかった。
【0114】
実施例4:ラットに投与したrhTSHの薬物動態学:
カルボキシメチルセルロースナトリウムの粘度およびタイプの効果
この実施例においては、rhTSHの6種の様々な配合物の薬物動態学(PK)を比較した。研究デザインは、6つのグループに分けた30匹の頚動脈カニューレ処置したラットを含んでいた。すべてのラットに、単一用量の1mg/kg組換え型ヒトTSH(rhTSH)を筋肉内注射(IM)を介して投与した。6種の投与用ビヒクルは、注射用滅菌水、および約0.9mg/mLで異なる粘度のカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)である。特に:
グループ1には、注射用滅菌水(SWFI)中のrhTSHを投与し;
グループ2には、ヘラクレス(Hercules)製の2%媒体粘度のNaCMC中のrhTSHを投与し;
グループ3には、ヘラクレス(Hercules)製の1.5%媒体粘度のNaCMC中のrhTSHを投与し;
グループ4には、ルガー(Ruger)製の3%低粘度のNaCMC中のrhTSHを投与し;
グループ5には、ヘラクレス(Hercules)製の3%低粘度のNaCMC中のrhTSHを投与し;および
グループ6には、ヘラクレス(Hercules)製の2%低粘度のNaCMC中のrhTSHを投与した。
【0115】
血清サンプルを、PK分析(n=3)のために、0、30、60、90、120、150、180、240、480および1440分間で採取した。血清サンプルをrhTSH ELISAを用いて評価した。
【0116】
材料および方法
実施例2に記載のとおり実験を実施した。
【0117】
表5は、研究に関するパラメータのまとめを提供する。動物における異常は、研究の生存中または検屍では観察されなかった。
【0118】
【表6】

【0119】
薬物動態学的パラメータ
薬物動態学的分析を、個別の動物に対して実施した。血清中濃度−時間データの薬物動態学的分析を、ウィンノンリン(WinNonlin)(登録商標)コンピュータソフトウェア(ファーサイトコーポレーション(Pharsight Corporation)、カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA))を用いて実施した。直線(対数−線形スケール)上のいずれかの点での薬物濃度が半分に減るために必要とされる時間を表す最終消失半減期(t1/2)は0.693/nによって求められ、ここで、nは消失速度定数(2.303と終末勾配との積)である。Cmaxは、ng/mLでの最大血清中濃度である。Tmaxは、分間での最高濃度が観察された時間(Cmaxでの時間)である。Cmax、Tmax、最終消失半減期(t1/2)、曲線下面積(AUC)、およびクリアランス(Cl)パラメータが表6にまとめられている。図3は、rhTSHの種々のNaCMC配合物のラットへの筋肉内投与(IM)後の特定の時点でのTSHの平均血清中濃度(ng/mL)を示す。
【0120】
【表7】

【0121】
薬物動態学的パラメータのまとめ
各rhTSH調製物のボーラスIM投与の後、濃度対時間の片対数プロットは、投与経路に一致する吸収、および消失プロファイルを示した。放出調節rhTSHサンプルの各々についてのウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータを、rhTSHウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータに対して比較するスチューデントT検定を実施した。Cmax終末半減期(t1/2)、および曲線下面積(曝露)はテストしたNaCMCビヒクルのすべてについて統計的に著しく異なっており、投与するrhTSH溶液の粘度の変更は、薬物動態学的パラメータを著しく変化させることを示していた。
【0122】
この研究の条件下では、薬物動態学的分析は、NaCMC中に投与されたrhTSHとSWFI中に投与されたrhTSHとの間には、テストしたすべての粘度で、統計的に有意な変化を実証した。
【0123】
実施例5:ラットに投与されたrhTSHの薬物動態学:
カルボキシメチルセルロースの粘度/濃度の効果
この実施例においては、rhTSHの4種の様々な配合物の薬物動態学(PK)を比較した。研究デザインは、4つのグループに分けた40匹の頚動脈カニューレ処置したメスのスプラーグドーリーラットを含んでいた。各グループに、指定したrhTSH配合物の単回の筋肉内(IM)注射を受けさせた。特に:
グループ1は、0.1mg/kgで注射用滅菌水(SWFI)中にrhTSHを受け;
グループ2は、0.1mg/kgで、2.5%カルボキシメチルセルロース(NaCMC)中に、41センチポアズ(cps)でrhTSHを受け;
グループ3は、0.1mg/kgで、3.0%NaCMC中に、97cpsでrhTSHを受け;および
グループ4は、0.1mg/kgで、3.5%NaCMC中に、159cpsでrhTSHを受けた。
【0124】
投薬の後、すべての動物を、頚動脈カニューレを介して連続的に出血させた。すべての血液サンプルを血清用に処理し、血清を、対応するラベルを付した微量遠心チューブに移した。すべてのサンプルは、分析時まで−80℃で保存した。
【0125】
材料および方法
実施例2に記載のとおり実験を実施した。
【0126】
表7は、研究に関するパラメータのまとめを提供する。動物における異常は、研究の生存中または検屍では観察されなかった。
【0127】
【表8】

【0128】
薬物動態学的パラメータ
薬物動態学的分析を、ウィンノンリン(WinNonlin)(登録商標)ソフトウェアバージョン5.0(カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA)のファーサイト社(Pharsight Corp.))で、ノンコンパートメント法を用いて各動物について実施した。各濃度対時間曲線の終末対数−線形相の勾配(β)を、線形回帰分析により測定した。この勾配を用いて、見かけの消失半減期を算出した。時間ゼロから最後に検出可能な濃度までの血清中濃度曲線下面積(AUC)を線形台形法により測定し、無限大まで補外した。見かけのクリアランスを総AUCにより除したrhTSHの投与した投与量として算出し、および分布の見かけの体積を、βにより除したクリアランスとして算出した。各テスト物品に対するrhTSHの平均血清中濃度対時間曲線が図4に示されている。薬物動態学的パラメータを各テスト物品について平均化し、表8に示されている。
【0129】
【表9】

【0130】
薬物動態学的パラメータのまとめ
一元配置分散分析に続いて、放出調節TSHサンプルの各々についてのウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータを対照rhTSHに対して比較する、ダネット(Dunnett)のポストホックテストを実施した。PK分析は、対照rhTSHと比して、放出調節rhTSHの3種の濃度のすべてに関連する平均Cmaxとの間に統計的有意差を見出した。加えて、データは、平均t1/2は、放出調節テスト物品において異なっていたことを示している。4種のテスト物品に対する平均AUC間に統計的有意差はなく、これは、放出調節rhTSHグループにおける平均曝露は、対照rhTSHの投与後の平均曝露とは識別可能ではなかったことを示唆する。
【0131】
これらのデータは、他のラットでの研究から得られた観察された結果を証明する、すなわち、Cmaxが低減し、およびAUC(曝露)の変化を伴わずにTmaxが後の時点にシフトする。具体的には、2.5%(41cps)、3%(97cps)および3.5%(159cps)NaCMC中に投与されるrhTSHのIM投与は、SWFI中に投与されたrhTSHと比して、Cmax、Tmax、t1/2、およびAUCの有意なシフトをもたらした。
【0132】
実施例6:イヌに投与したrhTSHの薬物動態学:注射体積/rhTSH濃度の効果
この研究においては、ビーグル犬に、3%NaCMC中およびSWFI中に投与されたrhTSHの薬物動態学(PK)を比較した。研究デザインは、3つのグループに分けた15匹のイヌを含んでいた。すべてのイヌに、0.1mg/kg rhTSHを単一用量で投与した。特に:
グループ1には、SWFI中の0.15ml/kgのrhTSHを投与し;
グループ2には、3%NaCMC中の0.15ml/kgのrhTSHを投与し;および
グループ3には、3%NaCMC中の0.07ml/kgのrhTSHを投与した。
【0133】
血清サンプルを、PK分析(n=3)のために、0、15、30、60、90、120、150、180、240、300、360、480、1440、および2160分間で採取した。血清サンプルをrhTSH ELISAを用いて評価した。
【0134】
方法および材料
rhTSH ELISA
マウス抗hCG抗体およびビオチン化マウス抗rhTSH抗体を用いる比色サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を利用して、イヌ血清中のrhTSHの量を定量化した。プレートをマウス抗hCG抗体でコートし、2〜8℃で一晩インキュベートした。基準曲線を、5.556ng/mlから開始し、1:1.5から0.488ng/mlに連続的に希釈したrhTSHを用いて用意した。一連の希釈物を、各テストサンプルについて希釈用緩衝剤中に調製した。基準、対照、およびサンプルを重複させてプレートに追加し、振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。プレートをELISAプレート洗浄溶液で洗浄した。ビオチン化マウス抗rhTSHをサンプル希釈用緩衝剤中に適切に希釈し、各ウェルに追加し、および振盪しながら37℃で1時間インキュベートした。プレートをELISAプレート洗浄溶液で6回洗浄した。ストレプトアビジン標識化された西洋わさび由来ペルオキダーゼをサンプル希釈用緩衝剤中に適切に希釈し、各ウェルに追加し、および暗中に、室温で15分間インキュベートした。プレートをELISAプレート洗浄溶液で洗浄した。オルト−フェニレンジアミン(OPD)を添加し、振盪しながら37℃で30分間インキュベートした。4.5M硫酸停止溶液を用いて反応を停止させた。各サンプル中のrhTSHの量を、490nmの吸光度読み取り値で計測した。
【0135】
データ分析
サンプルについての吸光度読み取り値は、もし、490nmでの吸光度計測値が、最高rhTSH基準(5.556ng/ml)により達成したものより大きいか、または最低rhTSH基準(0.488ng/ml)について得た読み取り値未満である場合には、除外した。このような読み取り値はデータ分析に含まなかった。
【0136】
各サンプル希釈におけるrhTSHの量(ng/mlで計測)を、基準曲線から補間し、適切な希釈率で乗じ、および血清のrhTSH/mlのngとして表記した。各サンプルにおけるrhTSHの量を、適切な希釈係数に補間結果を乗じることにより算出した。rhTSHの量は、血清のrhTSH/mLのngとして表記されている。
【0137】
ウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)分析
薬物動態学的パラメータ推定値を得るために、血清中rhTSH濃度−時間データを、非線形最小二乗曲線適合プログラム、ウィンノンリン(WinNonlin)(登録商標)(ファーサイトコーポレーション(Pharsight Corporation)、カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA))を用いて分析した。直線(対数−線形スケール)上のいずれかの点での薬物濃度が半分に減るために必要とされる時間を表す最終消失半減期(t1/2)は0.693/nによって求められ、ここで、nは消失速度定数(2.303と終末勾配との積)である。Cmaxは、ng/mlでの最大血清中濃度である。Tmaxは、分間での最高濃度が観察された時間(Cmaxでの時間)である。最終消失半減期(t1/2)、曲線下面積(AUC)、クリアランス、Cmax、およびTmaxパラメータがまとめられている。
【0138】
各テスト物品についてのTSHの平均血清中濃度対時間曲線が、図5に示されている。薬物動態学的パラメータを各テスト物品について平均化し、表9に示されている。
【0139】
結論
放出調節rhTSHサンプルの各々についてのウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータを、rhTSHウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータに対して比較するスチューデントT検定を実施した。分析は、CmaxおよびTmaxにおいて、注射用滅菌水中に投与されたrhTSHと比して3%NaCMC中に投与されたrhTSHの両方の濃度について統計的有意差を実証した。グループ間にAUCにおける有意差はなく、3つのグループについて曝露に差異はなかったことを示唆している。グループ3の動物においてはより高いCmaxがあったことに注目したが、これは、この投与量グループにおけるrhTSHのより高い濃度と一致していた。この研究からの結果は、注射用滅菌水中に投与されたrhTSHと比して、3%NaCMC中に投与されたrhTSHについてCmaxの低下およびTmaxのシフトを実証した。
【0140】
【表10】

【0141】
実施例7:イヌに投与したrhTSHの薬物動態学:
NaCMCビヒクルの投与量および粘度の効果
この研究においては、単回の筋肉内(IM)注射後のビーグル犬における、3%NaCMC中に投与されたrhTSHの薬物動態学(PK)を、SWFI中に投与されたrhTSHのPKと比較した。93cpsおよび54cpsの、2種の異なる粘度の粘性ビヒクルをテストした。研究デザインは、7つのグループに分けた35匹のイヌを含んでいた(n=5/グループ)。イヌに、テスト物品を、0、0.05、0.1、または0.2mg/kgのいずれかで投与した。特に:
グループ1には、SWFI中の0.05mg/kg rhTSHを投与し;
グループ2には、93cpsでの3%NaCMC中の0.05mg/kg rhTSHを投与し;
グループ3には、SWFI中の0.1mg/kg rhTSHを投与し;
グループ4には、93cpsでの3%NaCMC中の0.1mg/kg rhTSHを投与し;
グループ5には、0.1mg/kg 3%NaCMC中に54cpsでrhTSHを投与し;
グループ6には、SWFI中の0.2mg/kg rhTSHを投与し;および
グループ7には、93cpsでの3%NaCMC中の0.2mg/kg rhTSHを投与した。
【0142】
血清サンプルを、PK分析(n=3)のために、0、15、30、60、90、120、150、180、240、300、360、480、および1440分間で採取した。血清サンプルをrhTSH ELISAを用いて評価した。
【0143】
材料および方法
実施例6に記載のとおり実験を実施した。
【0144】
テスト物品についてのTSHの平均血清中濃度対時間曲線が図6、7および8に示されている。薬物動態学的パラメータを各テスト物品について平均化し、表10に示されている。
【0145】
結論
NaCMCサンプル中に投与されたrhTSHの各々についてのウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータを、SWFI中に投与されたrhTSHのウィンノンリン(WinNonLin)(登録商標)パラメータに対して比較するスチューデントT検定を実施した。分析は、Cmax、Tmaxおよびt1/2において、同一の投与量で注射用滅菌水中に投与されたrhTSHと比して、0.05mg/kgでの3%NaCMC中に投与されたrhTSHについては統計的有意差があることを実証した。加えて、分析は、Cmax、Tmaxおよびt1/2において、同一の投与量で注射用滅菌水中に投与されたrhTSHと比して、0.1mg/kg(54および93cpsで)での3%NaCMC中に投与されたrhTSHについて統計的有意差があることを実証した。93cpsでの3%NaCMC中に投与されたrhTSHと比して、54cpsでの3%NaCMC中に投与されたrhTSHの薬物動態学的パラメータに差異はなかった。最後に、分析は、同一の投与労で注射用滅菌水中に投与されたrhTSHと比して、0.2mg/kgで3%NaCMC中に投与されたrhTSHのCmax、Tmaxおよびt1/2において統計的有意差があったことを実証した。しかしながら、このより高い投与量では、この投与量での統計的に有意なクリアランスの増加を伴う、統計的に有意なAUCの低下がみられた。
【0146】
【表11】

【0147】
実施例8:ヒトに投与したrhTSHの薬物動態学
この研究は、健常なヒト被験者における0.1mgのチロゲン(Thyrogen)(登録商標)の単回の筋肉内(IM)投与対0.1mgの、3%カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)中の放出調節rhTSH(MRrhTSH)配合物の単回のIM投与の薬物動態学を評価しおよび比較した。研究は、健常なヒト被験者における0.1mgのチロゲン(Thyrogen)(登録商標)の単回のIM投与対単一用量の3%NaCMC中の0.1mgのMRrhTSH配合物後の、安全性プロファイル、薬力学的(PD)効果、および放射性ヨウ素(123I)の甲状腺吸収をさらに評価しおよび比較した。
【0148】
方法論および主題
この研究は、単回投与、無作為化、単純盲検、併用グループ、比較生物学的利用能デザインを有していた。合計で、46人の健常な成人の被験者を無作為に指定して、単一用量のチロゲン(Thyrogen)(登録商標)、0.1mg IM、または単一用量のMR3%NaCMC中のrhTSH、0.1mg IMを受けさせた。合計で46人の被験者を計画し;46人の被験者を登録し;および45人の被験者に研究薬物を受けさせ、および安全性、薬物動態学、および薬力学について分析した。
【0149】
被験者のサブグループ(n=10)に、甲状腺による放射性ヨウ素吸収(RAIU)が計測されることが可能であるよう、より微量の投与量の放射性ヨウ素(約400μCi123I)を受けさせた。研究薬物を受ける前に中止したRAIUグループにおける1人の被験者についての結果を記載したが、総括の統計値には含めなかった。
【0150】
スクリーニング評価を以下のとおり実施した:すべての被験者について、研究薬物投与前の14日間以内;およびRAIUサブグループについては、研究薬物投与前の1週間以内に実施したベースラインRAIU計測の14日間以内。
【0151】
被験者は投薬の前日の夜にクリニックにチェックインさせ、投薬後は96時間クリニックに拘束した。被験者は、投薬前に一晩、少なくとも10時間の間絶食させた。一連の血清サンプルを、研究薬物の投与後336時間にわたって、甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度レベルの測定のために採取した。
【0152】
包含に関する診断および主判断基準
肥満度指数(BMI)<30kg/mを有すると共に、スクリーニング時で正常な物理的検査、バイタルサイン、実験用評価、心電図(ECG)、およびホルター結果の健常な成人男性または女性被験者。123I吸収に影響することが知られている非甲状腺状態(例えば、うっ血性心不全クラスIIIまたはIV、腎不全)の被験者、または甲状腺または腎性機能に影響し得る薬物(例えば、副腎皮質ステロイド、利尿薬、リチウム、アミオダロン、または他の既述のヨウ素−含有投薬)を服用中の被験者は除外した。
【0153】
配合物
被験者に、同一の有効原体を含有するが異なる希釈剤中に還元したチロゲン(Thyrogen)(登録商標)または3%NaCMC中のMRrhTSH配合物を投与した。両方の配合物は、凍結乾燥の前に、0.2%塩化ナトリウムを含有する、20mmリン酸ナトリウム緩衝剤中に、pH7.0で配合した。凍結乾燥した薬物/バイアルの定量的組成は、1.1mg甲状腺刺激ホルモンα、36mgマンニトール、1.4mgリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、3.7mgリン酸ナトリウム(二塩基性、七水和物)、および2.4mg塩化ナトリウムであった。
【0154】
チロゲン(Thyrogen)(登録商標)を、5.5mL注射用滅菌水(SWFI)、欧州薬局方(EP)/米国薬局方(USP)で還元した。MRrhTSHは、5.5mL無菌、SWFI中の3%NaCMCの非発熱性溶液、E/PUSPで還元した。MRrhTSH用の希釈剤である3%NaCMCはバイアル中に無菌液体として提供され、2〜8℃(36〜46°F)で補間された。すべての研究薬物および希釈剤は調製前に室温(約30分間)に戻した。研究薬物バイアルの内容物を通気させ、無菌的技術を用いて還元した。研究薬物を反転させることにより混合し、穏やかに、凍結乾燥した生成物が溶解するまで穏やかに回旋させた。還元後、両方の研究薬物中の甲状腺刺激ホルモンαの濃度は0.2mg/mLであった。研究薬物の各バイアルは単回使用用であった。
【0155】
安全性
有害事象(AE)、臨床実験用テスト、バイタルサイン計測値、物理的検査、ECG、ホルターモニター、甲状腺超音波、およびTSHレベルの監視を通して安全性を評価した。治療は、この研究においては被験者によって良好に許容された。AEはほとんど報告されず、2つの治療グループにおける発現率は同一であった(それぞれ3人の被験者、13%)。研究薬物に関連すると考えられる現象は、腹痛、下痢、眩暈、頭痛、および高血圧症(すべてはそれぞれ1人の被験者により報告された)を含んでいた。すべてのAEは軽度または中程度であり、研究の中断には至らなかった。
【0156】
本研究における多重血液−サンプリング法の影響と一致して、多くの血液学的パラメータ(ヘモグロビン、ヘマトクリット、RBC、WBC、好中球、およびリンパ球)に関する平均値は、研究の最後に低い傾向を有していた。しかしながら、明らかな治療関連傾向は実験結果の分析では観察されなかった。
【0157】
4日目には、ECG異常を有する3人の被験者がいたが、臨床的に有意にではなかった。他の点では、12誘導ECG、ホルターモニターおよび甲状腺超音波評価の結果は、いかなる新たな安全性問題も明らかにせず、および治療関連傾向も識別されなかった。
【0158】
統計学的方法
全ての分析は、統計学的分析システム(Statistical Analysis System)(SAS)、バージョン8.2以降を用いて実施した。主な効果は、0.05レベルでテストした。
【0159】
薬物動態学的分析
以下の薬物動態学(PK)パラメータをTSHについて算出した:最大実測薬物濃度(Cmax)、Cmaxに達するまでの時間(Tmax)、最終計測可能濃度(Clast)、最小処理速度定数(λ)、消失半減期(t1/2)、時間ゼロからClastの時間までの濃度−時間曲線下面積(AUC0〜t)、および時間ゼロから無限大までのAUC(AUC0〜∞)。ベースラインの内在性TSHに対する補正を伴って、および伴わずに、標準的な、ノンコンパートメント法を用いて、TSHについてPKパラメータを算出した。計算は、ウィンノンリン(WinNonlin)(登録商標)(バージョン4.1)コンピュータソフトウェア(ファーサイトコーポレーション(Pharsight Corporation)、カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA))を用いて実施した。
【0160】
所与の被験者についてのベースラインTSH値は、時間12時間および時間ゼロ時間(投与前)TSH値の平均であった。ベースライン減算後に<0であった個別の濃度時点を、PK可変要素の推定および記述統計の算出のために0に設定した。PKパラメータ、個別の被験者TSH濃度、および実際のサンプリング時間は、ベースライン補正をしたおよびしない治療グループにより、記述統計を用いて列挙し、まとめた。
【0161】
PKパラメータにおける差異を、すべての被験者およびRAIUサブグループについて、治療グループ間でのCmax、Tmax、t1/2、AUC0〜t、およびAUC0〜∞の平均および中央値を調べることにより評価した。以下の対数−変換(自然対数)、AUC0〜∞、AUC0〜t、およびCmax結果を、p値および相乗平均比を中心とした90%信頼区間(CI)を用いて治療グループ間で比較した。SAS(登録商標)におけるPROC MIXED(バージョン8.2)を、以下のとおり、モデルにおける固定効果として治療と共に用いた。
PK可変推定値=治療
【0162】
TSH、T、遊離T、T、および遊離Tのレベルの薬力学的分析および判定
甲状腺機能テスト(TFT)は、遊離チロキシン(T)、総T、遊離トリヨードチロニン(T)、および総Tレベルの計測を含んでいた。CmaxおよびTmaxをこれらのパラメータについて測定した。400μCi123Iの微量投与を受けた後の甲状腺によるRAIUを被験者のサブセットにおいて測定した。
【0163】
TSH濃度およびT、遊離T、T、および遊離Tのレベルを、ベイヤーADVIAセントールアナライザー(Bayer ADVIA Centaur Analyzer)で実施される検証された直接化学発光アッセイ法を用いて血清サンプルから測定した。このアッセイはインビトロ診断試験のためのFDA−承認アッセイである。機器は、機器がアッセイを実施することができる前に必要である、アッセイ精密運動、較正、検証および直線性運転のボリュームを有する。
【0164】
TFT(遊離T、総T、遊離T、および総T)の結果を記述統計を用いて治療グループにより列挙し、まとめた。CmaxおよびTmaxを試験することにより、効力(わずかな増加)および安全性(大きな増加の欠如)の両方について結果を評価した。これらの結果を、治療グループ間におけるCmaxおよびTmax平均および中央値における差異を、t検定およびウィルコクソン順位和検定を用いて調べることにより分析した。
【0165】
放射性ヨウ素吸収
RAIUサブグループについて、甲状腺による、ベースライン評価からのRAIUの増加の測定および比較を研究薬物の投与に続いて行った。RAIUに対する治療の絶対値および相対的効果をまとめた。ベースライン吸収、治療後吸収、ベースラインから治療後までの吸収の変化、およびベースラインから治療後までの吸収の変化割合の平均、標準偏差、中央値、範囲を、各時点で算出した。同様に、各時点での治療後吸収:ベースライン吸収の比を両方の治療グループについてまとめた。
【0166】
結果
薬物動態学的分析
PKを、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループにおける23人の被験者およびMRrhTSHグループにおける22人の被験者について評価した。本研究において観察されたところ、外因性のTSHの投与は、血漿中濃度プロファイルにおける後期にベースラインを超える漸次的な血漿中TSHのリバウンドまたは「オーバーシュート」を伴って、血漿中TSHの急速な増加およびその結果生じるTSHレベルの低下をもたらした。内在性のTSHによるこれらの増加したTSH濃度は、外因性の投与された薬物についてのPK推定値を混乱させる可能性がある。従って、本研究におけるデータは、ベースライン補正有りおよび無しで供される。投薬の後、ゼロ未満となる補正された値(およびすべてのその後の評価)は、PK可変要素の推定については除外した。この研究において、被験者の大部分が投薬後96時間でこの点に到達していた。
【0167】
未補正血漿中濃度データからの推定AUC0〜∞は、後の時点で増加しているTSH濃度により推定することができなかった。同様に、AUC0〜tは、内在性および外因性のTSHに対する曝露を計測し、および特に、プロファイルにおける後期の内在性のリバウンドによるTSH曝露を反映する。外因的に投与されたTSHからのTSH曝露をより良好な定量化するために、部分AUCを、時間ゼロから、投薬後24、48、72、および96時間で算出した。
【0168】
ベースラインでは、血漿中濃度は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSH治療グループのそれぞれについて、1.69および1.63μIU/mL TSHの平均濃度で、治療間で同等であった。平均TSH濃度は、研究薬物の注射の後増加し、その後の4日間にわたって徐々に低下して、投薬後約96時間ではベースラインレベル未満の平均濃度となった。配合物における変化と同様に、MRrhTSH治療グループについての最大TSH濃度は著しく低く、最大TSH濃度には約3時間後に達し、TSHレベルは、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照配合物を投薬した後に見られるものより遅い速度で低下した。
【0169】
未補正データ
ベースラインでは、血漿中濃度は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSH治療グループのそれぞれについて、1.69および1.63μIU/mL TSHの平均濃度で、治療間で同等であった。平均TSH濃度は、研究治療の注射の後増加し、その後の4日間にわたって徐々に低下して、投薬後約96時間ではベースラインレベル未満の平均濃度となった。最大TSH濃度はMRrhTSH治療グループについては低く、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループのものより約3時間後に達成された。放出調節製剤においては、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照配合物と比して、Tmaxの後、血漿中TSHの減少は被験者にとってより漸次的であるように見えた。このより漸次的な減少は、放出調節製剤注射部位からの継続および遷延性のTSHの吸収によるものであった。
【0170】
TSH PKパラメータを、未補正TSH濃度およびベースライン−補正濃度を用いて推定した。未補正血漿データについてt1/2およびAUC0〜∞を推定することはできないため、未補正PK値はAUC0〜t、Cmax、およびTmaxを含んでいた。96時間時点経過後のTSH濃度の増加の影響を評価するために、追加の部分的なAUC可変要素を、AUC0〜24、AUC0〜48、AUC0〜72、およびAUC0〜96を含む未補正データから推定した。
【0171】
未補正PKパラメータの結果は、すべての時間間隔で、MRrhTSH治療の生物学的利用能はチロゲン(Thyrogen)(登録商標)の場合より低いが、これらの値は、経時的に経時的に収束に向かう傾向を見せることを示した(表11)。
【0172】
【表12】

【0173】
投薬後の最初の96時間にわたる平均未補正血漿中TSH濃度が、図9における治療による直尺でプロットされている。
【0174】
ベースライン−補正データ
血漿中濃度は、投薬後336時間計測した。未補正データについて見られたとおり、平均TSH濃度は、研究治療の注射後約6〜9時間でピークに達し、投薬後約96時間でベースライン未満のレベルまで漸次的に減少した。96時間時点の後、平均ベースライン−補正濃度はベースラインレベル超に増加した。
【0175】
ベースライン−補正TSH濃度を用いて推定した算術平均TSH PKパラメータが表12に示されている。
【0176】
【表13】

【0177】
MRrhTSH治療に対する15.68μIU/mL TSHのCmaxと比して、平均Cmaxはチロゲン(Thyrogen)(登録商標)治療については約57%高く、24.58μIU/mL TSHの平均値であった。ピーク濃度は、それぞれ、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSHグループに対する6時間および9時間の中位時間で達成された。より低いピーク濃度にかかわらず、MRrhTSHグループに対するより長いt1/2(13.17時間対9.88時間)は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループのものに匹敵するAUC値をもたらした。MRrhTSHおよびチロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループに対する平均AUC0〜t値は、それぞれ、464.42μIU×hr/mLおよび474.50μIU×hr/mLで匹敵するものであった。
【0178】
相対的生物学的利用能の分析
相対的生物学的利用能の分析を、AUCおよびCmaxの対数−変換PKパラメータで実施した。ベースライン−補正結果は、それぞれ、AUC0〜∞およびAUC0〜tについての0.8987(0.7334、1.1012;p=0.3810)および0.8739(0.6858、1.1137;p=0.3553)の比率(90%CI)で、合計曝露(すなわちAUC)は放出調節製剤について約10〜13%低かったことを示した。放出調節製剤の投与後の平均Cmaxは、統計的に有意(p=0.0002)である0.5237の比率および0.3999、0.6859の90%CIで、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)の投与後に見出されたものよりも約50%低かった。
【0179】
【表14】

【0180】
未補正データに対するPK結果は、0.5692のCmax比率およびp=0.0002で、補正データのものと匹敵していた。部分AUCに対する結果は、AUC0〜24に対する0.6271の比率(p=0.0004)およびAUC0〜96に対する0.9136の比率(p=0.3241)で、投薬後間隔にわたって収束していた。AUC0〜tに対する結果は、0.9887の比率(90%CI)(0.8382、1.1663;p=0.9087)で生物学的同等性に対する判断基準を満たしていたが、このAUCパラメータの推定値は、PKプロファイル後期における視床下部−下垂体−甲状頚動脈応答に対する二次的なTSHの内在性の放出によって混乱され、および投与量形態から放出された薬物を正確に表していない。
【0181】
放出調節製剤で見出された投薬後のCmaxの減少と一致して、2種の配合物間のTmaxにおける差異もまた、それぞれ、ウィルコクソン順位和検定およびt検定により、統計的に有意(p=0.0003および0.0009)であった。MRrhTSHおよびチロゲン(Thyrogen)(登録商標)治療グループに対する平均Tmax(SD)値は、それぞれ、10.73(5.70)時間および5.92(2.06)時間であった。
【0182】
配合物における差異と一致して、MRrhTSHの血漿中プロファイルは、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照配合物で観察されるものと比して、より低いピークTSH濃度ならびにより遅い吸収速度およびクリアランス速度により特徴付けられていた。MRrhTSHの投与後の平均ベースライン−補正平均Cmaxは、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)より約40%低いが(24.58μIU/mL TSHに対して15.68μIU/mL TSH)、これらの2種の配合物の生物学的利用能は、AUC0〜∞およびAUC0〜tに対して0.8987(0.7334、1.1012)および0.8739(0.6858、1.1137)の比率(90%CI)でおよそ匹敵していた。
【0183】
ベースラインでは、血漿中TSH濃度は、それぞれ、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSH治療グループに対する1.69および1.63μIU/mLの平均濃度で治療間で匹敵していた。投薬の後、MRrhTSH治療グループについて最大TSH濃度は低く、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照グループのものから約3時間遅れて達成された。MRrhTSHグループにおける平均TSH濃度は、注射の後増加すると共にその後の4日間にわたって漸次的に減少し、平均濃度は投薬後約96時間ではベースラインレベル未満に落ちた。血漿中TSHにおける減少は、放出調節製剤注射部位からのTSHの継続および遷延性の吸収により、放出調節製剤の投与後はより漸次的であるように見えた。
【0184】
平均Cmax(ベースライン補正済)は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)治療に対する24.58μIU/mL TSHのCmaxと比して、15.68μIU/mL TSHの平均値で、MRrhTSH治療については約40%低かった。ピーク濃度は、それぞれ、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSHグループについて6時間および9時間の中位時間で達成された。より低いピーク濃度にかかわらず、MRrhTSHグループに対するより長いt1/2(13.17時間対9.88時間)は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループのものに匹敵するAUC値をもたらした。MRrhTSHおよびチロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループに対する平均AUC0〜t値は、それぞれ、464.42μIU*hr/mLおよび474.50μIU*hr/mLであった。
【0185】
ベースライン−補正データを用いた相対的生物学的利用能の分析は、0.1mg MRrhTSHでの注射が、0.5237のCmax比率および0.3999〜0.6859の90%CI(p=0.0002)での吸収速度の低下をもたらしたことを実証した。2つの治療間でのTmaxにおける差異はまた、統計的に有意(p=0.0003)であると見出された。総合生物学的利用能は、ベースライン−補正AUC0〜∞およびAUC0〜tに対して0.8987(0.7334、1.1012;p=0.3810)および0.8739(0.6858、1.1137;p=0.3553)の比率(90%CI)で、放出調節製剤については低かった。
【0186】
未補正データについての結果は、0.5692のCmax比率および1.0以外の90%CIを示した。部分AUCについての結果は、AUC0〜24については0.6271の比率でおよびAUC0〜96については0.9136の比率で、投薬後間隔にわたって値の収束を示した。AUC0〜24およびAUC0〜48についての治療間の差異は統計的に有意であったが(それぞれp=0.0004および0.0202)、0〜72および0〜96時間の残りの間隔についての結果は有意には異なっていなかった(それぞれp=0.1503および0.3241)。
【0187】
薬力学
遊離T、総T、遊離T、および総Tの濃度に対する、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSHの単回の0.1mg投与量の効果は、注射の後24時間もの早期に計測した場合治療間で同等であり、平均ピーク濃度は24〜48時間に観察され、続いて、投薬後約168時間までにベースラインレベルへ定常的に減少した。普通、ピーク濃度は、ベースラインレベルを超えて1.5倍〜2倍の増加を示した。注射の後の早い時点での総Tレベルを評価するために凍結血清を回収することが決定され、これらの早い時間では、以下に記載のとおり、総Tの血清レベルは、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)後よりMRrhTSH後に漸次的に増加した。
【0188】
ベースラインでのパーセントRAIUに対する結果は、123I投与後6、24および48時間に、それぞれ、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSHグループについて、10.82および10.86、23.70および25.72、および24.32および27.30の平均吸収値で、治療間で同等であった。チロゲン(Thyrogen)(登録商標)またはMRrhTSHでの治療の後、RAIUは、123I投与量の投与後、それぞれ、6時間で225%および277%、24時間で125%および123%、ならびに48時間で126%および122%の増加で、2つの治療において匹敵する速度で増加した。
【0189】
チロゲン(Thyrogen)(登録商標)治療およびMRrhTSH治療ヒト被験者におけるT(トリヨードチロニン)レベルの分析
チロゲン(Thyrogen)(登録商標)およびMRrhTSHの両方が、健常な被験者によって良好に許容されたが、ホルターモニターは、研究薬物が投与された後3日目、約48時間に、両方の治療グループの平均心拍数のわずかな増加を明らかにした(それぞれ、スクリーニングおよび3日目に、すべてのチロゲン(Thyrogen)(登録商標)患者について72.7〜78.2bpm、ならびにすべてのMRrhTSH患者について72.9〜79.0bpm)。心拍数の増加は、特に高齢およびより病気の患者中において、安全上の懸念である可能性がある。本研究における健常な被験者はこの心拍数における変化について不具合を訴えず、彼らが心臓関連症状を経験することもなかったことに留意すべきである。平均心拍数データの追加の分析は、この平均心拍数の上昇は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)被験者(76.0bpmの平均)において2日目(研究薬物から24時間後)に明らかであったが、MRrhTSH被験者(72.8bpmの平均)ではそうでなかったことを示した。最初の24時間におけるこの急性の効果は、その後のMRrhTSH投与よりも急速な、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)投与後の甲状腺からのトリヨードチロニン(T)の放出に起因し得る。経口トリヨードチロニン後または乾燥甲状腺(TおよびTの両方を含有する)が投与された後の吸収フェーズの最中の血清Tの急速な上昇は、報告によれば、甲状腺ホルモン補充療法の最中に動悸、過敏症、神経衰弱、眩暈、および振戦を生じさせる(スミスR.N.(Smith,R.N.)ら、Br.Med.J.4:145〜48ページ(1970年);ビエルシンガW.M.(Wiersinga,W.M.)、Horm.Res.56(S1):74〜81ページ(2001年)、ジークムントW.(Siegmund,W.)ら、Clin.Endocrinol.60:750〜57ページ(2004年))。
【0190】
と心拍数との間の可能性のある関係をよりよく理解するために、ヒト被験者における合計血清Tレベルを、投与前12時間〜投与後24時間の間の複数の時点で、保管した血清サンプルを用いて計測した。研究薬物を受けた45人の被験者の全員について、−12時間、0分、2、3、4、5、6、8、12、および24時間の時点からの保管した血清を回収し、評価した。合計Tを、同一の実験的な、機器、総Tアッセイならびに上記において実施した総T試験について用いた方法論を用いて各血清サンプルにおいて計測した。−12時間、0分、および24時間サンプルの再試験は品質検査を許容し、既に計測されたTレベルが実際に、サンプルの再試験の最中に再度計測された。
【0191】
要するに、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)被験者(n=23)およびMRrhTSH被験者(n=22)におけるベースライン平均血清Tレベルは同一であった。平均血清Tレベルは、MRrhTSHグループより、2時間までにはチロゲン(Thyrogen)(登録商標)グループにおいて高く、24時間にわたって高いままに維持される傾向にあった。平均Tレベルは、3、4、および6時間では、2つの治療グループ間で著しく異なっていた(p<0.05)(図11)。それ故、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)ではなくMRrhTSHを受けた患者は、投与後最初の24時間の間での血清Tレベルにおけるより遅い増加を有することとなり、これは、心拍数の急性の増加のより低い可能性をもたらし得および何人かの患者に対しては重要な要件であり得る。
【0192】
考察
要するに、本研究は、ヒト被験者に投与される場合には、MRrhTSHの重要なPKパラメータはチロゲン(Thyrogen)(登録商標)とは異なることを実証した。配合物をより高い粘度に調整することにより、MRrhTSHは最高濃度(Tmax)までの遅延時間を有した。0.1mgチロゲン(Thyrogen)(登録商標)のIM注射の後、血清TSHのTmaxは約6時間で生じたが、一方で、0.1mg MRrhTSHのIM注射の後、Tmaxは約9時間で生じた。血清TSH(約14mU/L)の最高血漿中濃度(Cmax)は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)(Cmax約21mU/L)の投与と比して、MRrhTSHの投与に約33%減であったが、血清TSHの曲線下面積(AUC)(注射時〜96時間)は、MRrhTSHについてのものよりわずかに少ないのみであった。甲状腺による24時間放射性ヨウ素吸収の刺激により、および血清甲状腺機能テストにおける過渡的な増加により実証されるとおり、MRrhTSHおよびチロゲン(Thyrogen)(登録商標)の両方は薬力学的に有効であった。両方の薬は、一般に良好に許容されると共に、0.1mg IMの投与量では安全であった。
【0193】
それ故、本研究は以下を実証した。
i)MRrhTSH配合物に対する平均ピーク濃度は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照配合物のものよりも約40%低かった;
ii)合計曝露により計測したところ、放出調節製剤の相対的生物学的利用能は、チロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照配合物のものより約10〜13%低かった;
iii)放出調節製剤とチロゲン(Thyrogen)(登録商標)対照配合物との間のTmaxにおける差異は統計的に有意であった;
iv)チロゲン(Thyrogen)(登録商標)またはMRrhTSHでの治療の後、治療間ではRAIUが同等の速度で増加した;および
v)0.1mg MRrhTSHの単回の注射の投与は、如何なる新たな安全上の懸念をも提起しなかった。
【0194】
上記の実施形態と併せて本発明を説明してきたが、前述の記載および実施例は例示を目的とし、本発明の範囲を制限することを意図しないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の態様、利点および改良は、本発明に関する当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む有効量の医薬組成物を患者に投与するステップを含む、必要とする患者における甲状腺疾患を治療する方法。
【請求項2】
医薬組成物が、投与後48時間の間にわたって患者において2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
甲状腺疾患が、甲状腺種および甲状腺癌からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
医薬組成物が筋肉内注射を介して送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者の血清中のTSHの有効Tmaxが、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Tmaxと比して少なくとも約20%長い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者の血清中のTSHの有効Cmaxが、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Cmaxと比して少なくとも約20%低い、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
組成物が、投与後48時間の間にわたって患者において2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
甲状腺疾患を患う患者において2.0mIU/L超にTSHの血漿中濃度を維持する方法であって、有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む有効量の医薬組成物を患者に投与するステップを含み、TSHの血清中濃度または血漿中濃度が、投与後約6時間を超えて約2.0mIU/L超に維持される方法。
【請求項9】
TSHの血漿中濃度が、投与の後、約10時間より長い間高く維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
TSHの血漿中濃度が、投与の後、約15時間より長い間高く維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
TSHの血漿中濃度が、投与の後、約1日より長い間高く維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
TSHの血漿中濃度が、投与の後、約2日間より長い間高く維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
TSHの血漿中濃度が、投与の後、約4日間より長い間高く維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
甲状腺疾患が、甲状腺種および甲状腺癌からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを混合し、これにより放出調節製剤を提供するステップを含むTSHの放出調節製剤を提供する方法。
【請求項16】
TSHが哺乳動物から単離されたTSHである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
TSHが組換え型哺乳類TSHである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
哺乳動物がヒトである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
薬学的に許容可能なポリマーが代謝的に排除可能であるポリマーである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
薬学的に許容可能なポリマーが身体中に注射可能である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
薬学的に許容可能なポリマーが約40〜約125cpsの粘度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
薬学的に許容可能なポリマーがカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
カルボキシメチルセルロースナトリウムが約70,000〜約950,000の間の平均分子量を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
薬学的に許容可能なポリマーが約3%カルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
TSHの濃度が、約40μg/ml〜約80μg/mlの間である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
TSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容する医薬組成物であって、患者に投与されたときに、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Tmaxより少なくとも約20%長い患者の血清中のTSHの有効Tmaxをもたらす医薬組成物。
【請求項27】
TSHと薬学的に許容可能なポリマーとを含む、患者の血流中へのTSHの調節された放出を許容する医薬組成物であって、患者に投与されたときに、対応するTSHの水溶液が投与された場合の患者の血清中のTSHの有効Cmaxより少なくとも約20%低い患者の血清中のTSHの有効Cmaxをもたらす医薬組成物。
【請求項28】
TSHが哺乳動物から単離されたTSHである、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
哺乳動物がヒトである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
TSHが組換え型哺乳類TSHである、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
哺乳動物がヒトである、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
薬学的に許容可能なポリマーが、多糖類、セルロース誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルソール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリプロリン、アガロース、キトサン、カラゲナン、高分子キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン−4−硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、グリコサミノグリカン、寒天、ペクチン、膠、アルギン酸、デキストラン、α−アミロース、アミロペクチン、キトサンおよび前述のいずれかのものの塩またはエステルからなる群から選択される、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項33】
薬学的に許容可能なポリマーがカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項34】
組成物が、約0.05%〜約5%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項35】
カルボキシメチルセルロースナトリウムが、約70,000〜約950,000の分子量を有する、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項36】
組成物が、少なくとも約40cpsの粘度を有する、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項37】
組成物が約40〜約125cpsの粘度を有する、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項38】
有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物であって、少なくとも約40cpsの粘度を有する組成物。
【請求項39】
組成物が、少なくとも約50cpsの粘度を有する、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
組成物が、少なくとも約70cpsの粘度を有する、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項41】
組成物が、少なくとも約90cpsの粘度を有する、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項42】
有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物であって、必要とする患者への投与後48時間の間にわたって2.5ng/ml以下の血清Tレベルをもたらす組成物。
【請求項43】
有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物であって、必要とする患者への投与の後に少なくとも6時間の有効Tmaxをもたらす組成物。
【請求項44】
有効量のTSHと有効量の薬学的に許容可能なポリマーとを含む医薬組成物であって、必要とする患者への投与後に、約2.0mIU/L超の血清中の有効Cmaxをもたらす組成物。
【請求項45】
必要とする患者が、甲状腺種および甲状腺癌からなる群から選択される甲状腺疾患を患う患者である、請求項42〜44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
TSHが哺乳動物から単離されたTSHである、請求項42〜44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
哺乳動物がヒトである、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
TSHが組換え型哺乳類TSHである、請求項42〜44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
哺乳動物がヒトである、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
薬学的に許容可能なポリマーが、約70,000〜約950,000の間の平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項42〜44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
甲状腺疾患を治療する薬剤の製造のための、請求項26、27、38および42〜44のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項52】
甲状腺疾患が、甲状腺種および甲状腺癌からなる群から選択される、請求項51に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2010−503689(P2010−503689A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528340(P2009−528340)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/020221
【国際公開番号】WO2008/036271
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(591042816)ジェンザイム コーポレーション (20)
【Fターム(参考)】