説明

画像を表示する方法及び画像を表示するシステム

【課題】同一地図上での複数のレイヤの生成は煩雑になり、一部の情報が曖昧になるか又は視覚化が難しくなる可能性を解消するための複数の画像の同期表示方法を提供すること。
【解決手段】主画像がタッチセンシティブ面に表示され、その間にタッチセンシティブ面の第1の位置及び第2の位置における接触が感知される。第1の位置と第2の位置との間の基線が決まる。この基線は或る長さ及び向きを有する。主画像と比較し得る副画像が表示される。副画像は、基線の長さ及び向きにそれぞれ対応する或るサイズ及び視点を有する。複数のユーザが主画像と同時に対話することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはグラフィカルユーザインタフェースに関し、特に複数の同期画像の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
Google Earth及びMicrosoft Virtual Earth等のグラフィカルユーザインタフェースは、インタラクティブな地図及び他の地理画像をユーザに提供する。1つの欠点として、これらのインタフェースは、一度に1つのビューしか提示することができない。2Dの地図では、ユーザは、道路地図、衛星ビュー、又はこれら2つのハイブリッド合成を選択することができる。3Dの地図では、ユーザは、道路、政治的境界、及び他の内容等のレイヤを指定することができる。同一地図でもビューが異なると、表示される内容により見かけが異なり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
同一地図上での複数のレイヤの生成は煩雑になり、一部の情報が曖昧になるか又は視覚化が難しくなる可能性がある。異なるビューを異なる同期画像に分離することが1つの解決策となる。2Dビュー及び3Dビューを同期させる場合、ビュー同士が大きく異なるため、分離が一層不可欠になる。通常、主ビューは2Dであり、副ビューは2D又は3Dとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施の形態は、複数の同期画像を表示する方法を提供する。一実施の形態において、画像は地図又は他の地理画像、例えば衛星写真及び航空写真である。
【0005】
主画像(primary image)がタッチセンシティブ面に表示され、その間にタッチセンシティブ面の第1の位置及び第2の位置における接触が感知される。第1の位置と第2の位置との間の基線が決まる。この基線は或る長さ及び向きを有する。主画像と比較できる副画像(secondary image)が表示される。副画像は、基線の長さ及び向きにそれぞれ対応する或るサイズ及び視点を有する。
【0006】
従来のインタラクティブマップとは対照的に、多点接触ジェスチャは、ユーザが直接対話している主ビュー(primary view)に影響しない。主ビューは接触中に静止している。その代わりに、副画像が操作される。この改善の新規な点は、両手によるジェスチャが副ビュー(secondary view)にしか影響を及ぼさないということ、並びに副ビューの回転、位置及び倍率の全てを単純な手振りで同時に制御できることの組み合わせである。
【0007】
副地図ビューを同時にパン(panning)、ズーム(zooming)及び回転(rotating)することが容易であるため、エンドユーザが地図を探索する能力を大幅に高める。本システムは、複数の同期した2D又は3Dの副画像があってもよいように設計されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、主表示画像に触れることによって副表示画像の視点を変える方法を提供する。本システムは、複数の同時接触を区別することができるタッチセンシティブ面を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図3は、複数の同期画像を表示する方法及びシステムを示す。主画像101をタッチセンシティブ面110上に表示する(310)。主画像を表示している間にタッチセンシティブ面上の第1の位置111及び第2の位置112における接触を感知する(320)。第1の位置と第2の位置との間の基線113を決める(330)。基線113は或る長さ114及び或る向き115を有する。位置を感知している間に主画像と比較できる副画像102を同期させて表示する(340)。副画像のサイズ及び視点はそれぞれ基線の長さ及び向きに対応する。副画像の中心105は基線113の中心に対応する。
【0010】
図4に示すように、第3の位置107の接触を用いて、副ビューの方位角すなわち「傾き」を制御することができる。例えば、第3の位置が基線に近い場合、視点は主画像の平面に対して直角となる。距離が大きい場合、ビューは略水平となる。図4はまた、本発明による接触位置とマウスベースのナビゲーション制御機構400との関係を示す。しかしながら、主画像に触れても、主画像の見かけは基線113を重ねることを除いて変わらないことに留意すべきである。これは、マウスコマンドにより主画像の見かけが変わる従来のインタラクティブな地図表示と対照的である。
【0011】
図1に示すように、複数の副画像を同時に表示することができる。主画像101は通常、多点接触による対話中は静止しており、例えば、上部から見た2D道路地図、地形図又は衛星画像である。画像102は道路地図上に位置する建物の3Dビューである。画像103は詳細な大判の2D道路地図である。画像104は3D衛星画像である。本発明の一実施形態では、全ての画像がタッチセンシティブ面に表示される。しかしながら、比較し得る画像は、他の場所、例えば縦に配置された表示面に表示することもできる。
【0012】
一実施形態において、タッチセンシティブ面は、複数のユーザによる複数の同時接触を区別し、個々の接触を特定のユーザと一意に対応付けすることができる。これにより、ユーザ毎に異なる副画像を表示しながら複数のユーザが同時に主画像と対話することができる。
【0013】
ユーザは、多点接触による対話中に通常は静止している主ビュー101と対話する。ユーザは、主ビューの2つの位置111及び112に触れる。この2つの位置により基線113が決まる。副画像のサイズ及び視点は基線113の長さ及び向きに対応する。例えば、長さが長ければ接近ビューを示し、長さが短ければ離れたビューを示す。副画像105の中心は基線の中心にある。両方の接触位置を同時に動かすと、パン(panning)及び/又は拡大縮小(scaling)される。
【0014】
基線の向きは約180度転回可能であることを理解することができる。したがって、矢印115によって示すように、2つの位置に先に触れる順序を用いて、ビュー又は基線の向きを分析(resolve)する。この例では、向きは通常「上」すなわち北である。例えば、右の位置に先に右手の指で触れた場合、視点は北となる。ユーザが南を見たい場合には、ユーザは左の位置に先に触れる。注目に値すべきこととして、これは、手を交差させて、左の指で触れた位置が他方の接触位置の右側であったとしても機能する。これは、タッチ面が接触を一意に識別できるために成り立つ。他の接触順の規則も用いることができることを理解すべきである。
【0015】
一方の指を他方の指の周りで回転させると、視点は旋回位置、すなわち基線の中心を軸に回転又はパンした。これらの接触ジェスチャを同時に行うことは自然であり、ユーザが副ビューをインタラクティブに操作している間に主画像を見ずとも行うことができる。
【0016】
この技法を用いれば、ユーザは、或る地域を選択しその地域を上から見た後、下にズームして特定の道路を見下ろした時のビューを見て、次にビューを転回させて道路を反対方向に見下ろした時のビューを見ることができる。これらのジェスチャは、従来のマウス及びキーボードによる対話を用いるよりも遥かに素早く自然に行うことができる。
【0017】
2点接触により示される緯度、経度、回転及び倍率に関する情報、並びにアプリケーション間統合に役立つ他の情報がウェブサービスに送られる。通常、主ビューのアプリケーションはウェブサービスを用い、それに従ってビューを更新する。
【0018】
1つ又は複数のクライアントアプリケーションがウェブベースのサーバアプリケーションに変更をポーリングすることができる。クライアントアプリケーションはウェブアプリケーションと同じくらい容易にウェブサービスを使用することができるため、本システムの拠点をウェブサーバに置くことにより、多様なクライアントアプリケーションを確実に同期させることができた。
【0019】
図2は、主画像を表示するアプリケーションを実行するプロセッサ205に接続される卓上用タッチセンシティブ表示装置201を示す。プロセッサはまた、サーバ230上のアプリケーションを更新する。このプロセッサは、ネットワーク220に接続されてサーバアプリケーションにアクセスすることができる。サーバアプリケーションは、タッチセンシティブ表示装置201に直接つながったプロセッサ205から各ユーザの基線113に関する情報で更新される。ローカルプロセッサ205又はリモートプロセッサ210上で動作するクライアントアプリケーションは、基線に関する情報をフェッチして副ビュー202を生成する。
【0020】
複数の同時ユーザにも対応することができる。例えば、2人のユーザが、主画像の異なる位置に同時に触れて、独立した別個の副ビューをそれぞれ同時に制御することができる。各ユーザには独自の基線113〜113’が対応付けられる。当然、このモードでは、主画像が静止したままであることが非常に重要(essential)である。これらの基線は異なる色で表示することができる。この同時ユーザモードは、従来のタッチセンシティブ表示面では不可能である。
【0021】
別の類似画像を表示する代わりに、副ディスプレイは代替情報を表示することができる。例えば、副ビューは、動的に指定される特定地域の年齢別人口の棒グラフを表示することができる。
【0022】
地図に無関係のアプリケーションも実行することができる。例えば、インタラクティブな情報視覚化システムにより、ユーザは、スプレッドシートの領域を選択して、選択した領域の動的な棒グラフ及び放射状のグラフを2つの副ビューに表示することができる。位置、角度及び倍率の制御に加えて、方位角すなわち傾きも制御し、全てのビュー又は特定のビューに対してレイヤ、例えば道路、建物、ランドマーク、政治的境界、水域、ナビゲーションエイド等を追加又は削除することができる。
【0023】
本発明を好ましい実施形態の例として説明してきたが、本発明の精神及び範囲内で様々な他の適応及び変更を行うことができることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲の目的は、本発明の真の精神及び範囲に入る変形及び変更を全て網羅することである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による複数の画像の表示である。
【図2】本発明の一実施形態による、複数の画像を表示するシステムのブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による、画像を表示する方法のフロー図である。
【図4】本発明の実施形態による接触位置をマウスベースのナビゲーション制御機構と比較する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する方法であって、
主画像をタッチセンシティブ面に表示すること、
前記主画像を表示している間に前記タッチセンシティブ面上の第1の位置及び第2の位置における接触を感知すること、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の基線を決めることであって、該基線は或る長さ及び向きを有する、決めること、及び、
前記主画像に比較し得る副画像を表示することであって、該副画像のサイズ及び視点は前記基線の前記長さ及び前記向きにそれぞれ対応する、表示すること
を含む、画像を表示する方法。
【請求項2】
前記第1の位置及び前記第2の位置が変化する間に前記接触を感知すること、及び
前記第1の位置及び前記第2の位置が変化する間に前記副画像を表示すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記副画像の中心は前記基線の中心に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第3の位置における接触を感知すること、
前記第3の位置と前記基線との間の距離を求めること、及び
前記副画像を表示することであって、該副画像の傾きは前記距離に対応する、表示すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記主画像を表示している間に複数のユーザが前記タッチセンシティブ面に触れ、
前記接触を前記複数のユーザと共に一意に識別すること、
ユーザ毎に前記基線を決めること、及び
各ユーザに対応付けされた前記基線に対応するユーザ毎に異なる副画像を表示すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記副画像は、前記タッチセンシティブ面とは異なる表示面に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記主画像は静止している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の位置及び前記第2の位置に先に触れる順序により前記基線の前記向きを分析する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記主画像に関する情報を前記副画像に重ねることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記主画像及び前記副画像は地理情報を表示する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記異なる副画像を表示する間、前記主画像は静止したままである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
各副画像は異なる表示面上に表示される、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
画像を表示するシステムであって、
タッチセンシティブ面と、
主画像を前記タッチセンシティブ面に表示する手段と、
前記主画像を表示している間に前記タッチセンシティブ面上の第1の位置及び第2の位置における接触を感知する手段と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の基線を決める手段であって、該基線は或る長さ及び向きを有する、決める手段と、
前記主画像と比較し得る副画像を表示する手段であって、該副画像のサイズ及び視点は前記基線の前記長さ及び前記向きにそれぞれ対応する、表示する手段と
を備える、画像を表示するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−43237(P2009−43237A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−146927(P2008−146927)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】