説明

画像コンテンツ最適化のための第一転写の転写制御に対する閉ループ制御

【課題】好ましくない再転写の影響を回避する静電転写制御方法を提供する。
【解決手段】プリント装置は複数の制御パッチを現像し転写する。パッチは異なる静電設定ポイントで転写され、制御方式により一つ以上の濃度センサを用いて転写されたトナーパッチを測定する。これにより得られた濃度情報を用いて静電転写バイアスの最適な値を計算することができる。プリント操作者は、所定の基準に関する好みに基づいてバイアス値を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリンタ、複写機、多機能装置等における多色文書処理システムに関し、又それを操作する制御技術に関する。多色トナーベースの静電プリントシステムでは、一般に複数の静電マーキング装置を用いて、所与の色のトナーをドラムやベルト等の中間転写構造に、それぞれ転写(第一転写操作と呼ぶ)し、続いて(第二転写操作で)そのトナーを中間媒体からシート又はその他の最終プリント媒体に転写し、その後二回転写されたトナーを定着して最終的にプリントする。
【背景技術】
【0002】
前工程、上流マーキング装置からの中間ベルトのトナーが完全に又は部分的に取り除かれた(清掃された)ときに、進行中の転写ニップ内の高い転写磁界により再転写が発生する。下流マーキング装置の転写ニップ内の高磁界では、空気の絶縁破壊のメカニズムにより中間転写ベルト(ITB)のトナー帯電状態が悪い方向に変化し、さらには再転写の状態を悪化させる。これが発生すると、所望の量の1色以上のトナーの色が、最終のプリントシートに転写されず、色の数が多くなるほどこの再転写の不具合は、悪化する。所与のマーキング装置での転写磁界の強度を低くすることによりその装置での再転写を抑えるこが可能であるが、画像形成中その装置における転写が十分に行われない恐れがある。すなわち、クロス処理方向(画像形成)内の一つの領域でITBへのトナーを転写できる転写ニップでは高い磁場が必要であり、それは同時に別の領域ITBトナーを清掃(再転写)する。さらに、顧客により再転写及び不完全な転写の悪影響のない、改良されたプリント能力が求められており、多色文書処理システムに対する品質要求は、ますます増つづけている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在の静電転写制御では、相対湿度や構成部品の老朽化等の多くの雑音指数に対しては最適化されている。しかし、静電写真制御では、エンドユーザ及び顧客にとって最も重要である画像コンテンツに関して最適化されていない場合がある。転写は画像形成に関して安定しているが、このような不具合により画像品質を低下させ、無駄なトナーを消費(ランニングコストの増加)するため再転写には未だに問題がある。また製品の色が4色より多くなると、再転写の問題は増加する。
【0004】
本実施形態は、転写効率、色域、及び画質を最適化する静電転写制御の方法を開示する。より具体的には、好ましくない再転写の影響を補正する。プリント装置は、複数の制御パッチを現像し転写する。パッチは異なる静電が設定されたポイントで転写され、転写されるトナーパッチを測定する濃度センサを一つ以上含む制御方式が用いられる、これにより得られる濃度情報を用いて静電転写バイアスの最適な値を計算することができる。主題の制御方式によりプリント操作者は、所定の基準を選択してバイアス値を調整することができる。本実施形態により、5色以上を使用するIBTマーキングエンジンにも適用可能な、より安定した第一転写システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の実施形態は、第一転写操作としてマーキング材料を中間転写構造に別々に転写する複数の異なる色マーキング装置を有する文書処理システムを操作する方法を含む。この方法は(a)複数の静電転写バイアスが設定されたポイントでそれぞれ取り込まれ、あらかじめ選択された色の複数の制御パッチを取り込む工程と、(b)制御パッチの濃度を感知する工程と、(c)別々に取り込まれたパッチの最も高い濃度の色を検知する工程と、(d)検知された最も高い濃度に基づいて、最適な第一転写バイアス決定する工程と、を含み、これにより、続く文書プリントシステムの操作において最適な第一転写バイアスを選択的に用いることができる。
【0006】
その他の実施形態では、プリント転写を制御するシステムが含まれる。このシステムは、複数の1色プリントモジュールを備えるプリンタを含み、各モジュールはプリントヘッド及び隣接するニップを含み、それぞれ1色に関連する。少なくとも1つのセンサが、それぞれ各色に関連する。センサにより集められたデータに基づいて、アルゴリズムが最適な転写バイアスを計算する。グラフィカル・ユーザ・インターフェースにより、ユーザデータの入力及び確認データの承認が容易になる。プロセッサは、センサにより集められたデータ、ユーザが入力した設定データをさらに受信し、受信したデータを用いてアルゴリズムを実行する。プリンタは、計算された最適な転写バイアスに応じてプリントアウトされる少なくとも一つのテストパッチをプリントする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示の一つ以上の様態による文書処理システムを操作する例示的な方法を示すフロー図である。
【図2】プリント装置に関するプリントヘッド、ローラ、ニップ及び検知センサを示す文書プリントシステムの簡易概略図である。
【図3】共有の中間転写構造(ITB)に転写した複数の色を示す図である。
【図4】本開示による図2のシステムの例示的な多色の実施形態を示す詳細な側面の立面図である。
【図5】プリントニップ及びシステム制御プロセッサを近くで見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書では、本開示の異なる様態のいくつかの実施形態又は実施例を図面と併せて説明する。図面全般にわたり同じ参照番号は同様の要素を示し、種々の特徴、構造、及びグラフィカル表現は必ずしも同じ縮小率で描く必要はない。以下に、複数の静電マーキング装置又はステーションを用いた例示的な多色文書処理システムを例示して、いくつかの実施形態を説明し、記載する。この多色文書処理システムでは、プリント作業に従ってトナーのマーキング材料が中間構造に第一転写され、最終的に最終プリント媒体に転写されてその上に画像が作られている。しかし、本開示の技術及びシステムは、あらゆる形態のマーキング材料を用いた文書処理システム又はプリントシステム、及びインクベースのプリンタ等の材料転写に関して用いられるマーキング装置の分野の技術等の別の形態で実行することが可能であり、これらの実施例及び変更例は、本開示の趣旨に逸脱することなく実施することができる。
【0009】
図1には、例示的な方法100が示され、図2〜図5には、例示的な方法100により操作することができる複数のマーキング装置を有する例示的な直列の多色文書処理システム200の様々な様態が示されている。本明細書で使用されるマーキング装置は、マーキングエンジン、マーキングステーション等を制限なく含んでいる。この方法100では、通常モードでプリント作業に従って、第一設定(即ち、転写バイアス)の磁場レベルで操作する装置の転写磁界要素を用いてマーキング材料を中間転写媒体に選択的に転写し、第二又は改良モードで最も濃度の高い色を作る。または操作者が選択的に適用する好みに従って、転写バイアスを調整するマーキング装置を操作する。
【0010】
一連の動作又は事象の形態で、例示的な方法100を説明し記載しているが、本開示の種々の方法は、特に注記したときを除いて、これらの動作又は事象の説明する順番に限定されず、本明細書で説明し記載したものは別にして、いくつかの動作又は事象は、他の動作又は事象異なる順番、及び又は同時に行うことができ、例示する全ての工程が本開示による処理又は方法を実行するために必要とは限らない。さらに例示の方法100は、本明細書に記載される文書処理システムに動作可能に関連する、所与のプリント作業に関する機能性を選択的に提供するための、図2〜図5に示すプリントシステム等の、一つ以上の制御要素におけるハードウェア、プロセッサで実行できるソフトウェア又はその組合せで実行することができ、本開示は、本明細書に説明及び記載した、特定な用途及び実施例には限定されない。
【0011】
図2〜図5を参照すると、文書処理システム200は、通常プリントモードで方法100に従って操作することができるシステム制御装置122及びマーキング装置102を含む多機関のマーキング組立体を含む。このシステム200は複数の静電マーキング装置102を含み、制御装置122が、これらの静電マーキング装置102をそれぞれ操作してトナーマーキング材料を中間転写構造103に転写する。この場合、共有の中間転写ベルト(ITB)103は、静電マーキング装置102(マーキングエンジンマーキング要素、マーキングステーション等とも呼ぶ)を通過して図の中で反時計方向に移動する。他の実施形態では、円筒形のドラムを中間転写構造として使用し、第一転写操作においてマーキング装置102をドラムの外周の周りに配置してそこへ選択的にマーキング材料を転写することができる。
【0012】
図5において最もよく示されている通り、各例示的な静電マーキング装置102は、感光体ドラム104、転写前帯電サブシステム106を含み、それにより、所与の色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、又はオレンジ又はバイオレット等の一つ以上のスポットトナー又は拡張色域の色)のトナー画像が感光体104上に現像され、中間転写ベルト103の内側に配置されたバイアス転写ローラ(BTR)105により中間転写構造103に静電的に転写される。装置102がマーキング材料(この場合はトナー)を構造103に転写するために使用する転写磁界を設定するために、制御装置122により第一転写磁界レベルの信号又は値が提供され、この第一転写磁界レベルの信号又は値に応じて提供される転写磁界の値で磁場強度制御装置がBTR105を動作させる。装置102の操作では、マーキング材料(例えば、図2に詳細に示した第一(イエロー)の装置112ではトナー114)がドラム104に供給される。第一転写操作では、中間媒体103の表面はドラム104と隣接及び/又は接触し、バイアス転写ローラ105がトナー114を媒体103に転写する。BTR105がBTR及び中間構造の表面103を帯電させて、ドラム104及び帯電転写ローラ105により形成されたニップをベルトが通過するとき、ドラム104からベルトの表面103に、逆帯電したトナー114を引き付ける。システム制御装置122が操作するバイアス制御101により転写帯電は制御される。理想的にはニップを通過した後、トナー114はITB103の表面に残り、次工程の転写(下流装置102により転写された他の全てのトナーと共に)を行い、最終的に第二転写装置107及び定着器110を通り最終プリント媒体108に定着する。
【0013】
図2に示す通り、各マーキング装置102は、トナーの粘着度、トナーの単位面積質量、又はその他のドラム104及び/又は中間転写構造103に関連するマーキング材料の転写の特性を感知する一つ以上のセンサ160を含むことができる。図2内の装置固有のセンサ160には、入力信号又は値を制御装置122に送信する、これらのセンサには、BTR105の下流に配置される、ドラム104からベルト103に転写されていないマーキング材料(トナー等)114の剰余単位面積質量(RMA)を感知する光(反射等)センサ160、及びBTR105の上流に配置される、現像されるトナーの単位面積質量(DMA)を感知する任意のセンサ160、又はBTR105の下流に配置される、ITB103に転写される単位面積質量を感知する任意のセンサ(光反射率センサ等)160等が含まれる。全てのマーキング装置102から分離した媒体114のマーキング材料転写の状態を測定するために、図2に示すセンサ160等の一つ以上のセンサ160を提供することができる。トナーの状態特性を測定する又は感知するセンサ又は複数のセンサ160を用いることができ、そこからマーキング装置102のトナーの転写状態を検知することができる。
【0014】
通常操作では、マーキング装置102(例えば図4)において、特に低い転写磁界レベルでは少量のトナー114がBTR105の下流のドラム104に残ってしまい転写が完全に行われないことがあり得る。例示的なセンサ160は制御装置122に動作可能に接続し、ドラム104の下流側に近接して、ドラム104に残る転写されなかったトナー114の量を検知する。図示された例では、ドラム104がBTR105のニップを通過した後にドラム表面に残る所与の面積毎の剰余トナー114の質量を測定する又は感知する剰余単位面積質量(RMA)センサとしてセンサ160が提供される。装置102(又は一般にはシステム200)では、中間媒体103に転写されるトナー114の量を感知する転写質量/面積(TMA)センサ、及びBTRのニップの上流のドラム104に供給されたトナー114の量を検知するための現像質量/面積(DMA)センサ等のセンサを任意に追加することができる。
【0015】
図2及び図4に示す通り、図1のシステム200は、あらゆる整数の数N個のマーキング装置102を含むことができる(但しNは2以上)。ある例示的な実施例では、システム200は、図4に例示する通り、6個のそのようなマーキング装置102を含むことができ、一般的なシステム200は、それぞれイエロー(Y、トナー114)、マゼンタ(M、トナー124)、シアン(C、トナー134)及びブラック(K、トナー144)の4個の装置102を含むことができる。マーキング装置102は、それぞれ少なくとも一つの第一転写磁界の構成部品(図5の106等)を含み、これにより制御装置122から第一転写磁界レベル信号又は値101を受信する転写磁界制御入力装置を用いて、マーキング材料を中間転写構造103に転写するための第一転写磁界を制御する。各静電マーキング装置102は、制御装置122の制御のもとで動作して対応する色のトナーを中間転写ベルト103に転写する。ある事例では、ITB103に対する第一の装置102は、イエローのトナー114を提供し、次の装置はマゼンタのトナー124を提供し、その次はシアンのトナー134、そして最後の装置102はブラックのトナー144を提供する。別の機構及び構成では、二つ以上マーキング装置102を提供することも可能である。
【0016】
図4のシステム200は、上記の図2に示す、転写ステーション106に沿う6個のマーキングステーション102、最終プリント媒体108の供給器、及び定着器110を有する文書処理システム100の実施形態が含を含む。通常操作では、スキャナ等の内部の供給源、及び/又は一つ以上のネットワーク124と付随するケーブル120又は無線の供給源を通してシステム200に接続する一つ以上のコンピュータ116等の外部の供給源から、制御装置122はプリント作業118を受け取る。そして、ユーザは、システム200に関連する及び/又はコンピュータ116を有するユーザインターフェース123を用いて、命令及び選択を行うことができる。
【0017】
図2及び図4に示す通り、システム
200は中間ベルト経路の下部に沿ってマーキング装置102の下流に配置された第二転写構成部品106(図2)も含んで、第二転写操作においてマーキング材料をベルト103から、媒体供給器(図4)から経路に沿って移動してくる最終プリント媒体108(例えば、ある実施形態では事前にカットされたペーパシート)の上側に転写する。転写ステーション107において、トナーがプリント媒体108に転写された後、最終プリント媒体108は経路上の定着器型貼付け装置110へ送られ、転写されたマーキング材料がプリント媒体108に定着される。システム200は、第二転写構成部品106の下流にスキャナ又はその他の好適な画像感知装置を含んで、第一転写操作及び第二転写操作により作られる画像を感知し、対応する画像の信号又は値を制御装置122に送信することができる。
【0018】
制御装置122が動作して種々の制御機能を行い、システム200に関するデジタル・フロント・エンド(DFE)の機能を実行することができる。制御装置122はハードウェア、プロセッサで実行するソフトウェアを有する処理構成部品、プロセッサで実行するファームウェア、プログラマブル論理又はそれらの組合せのあらゆる好適な形態でよい。それらが単一のユニットでも、又は複数の構成部品の供給された方法でも、開示及び付随する請求項の趣旨を逸脱することなく、全てのこのような実施例を実行することができる。通常プリントモードでは、制御装置122は着信するプリント作業118を受け取り、プリント作業118に従って、具体的には、第一転写磁界レベルの信号又は値101を供給して第一転写磁界の構成部品105の転写磁界を制御することにより、マーキング装置102を操作してマーキング材料を中間媒体103に転写する。例示の実施形態において、制御装置122はさらに、第二転写の構成部品107、定着器110、及び種々のセンサ160及びネットワーク124を有するインターフェースを操作する。
【0019】
特に図2を参照すると、まずセンサ160によりケービング張力調整180を行った状態で転写ベルトが190の方向に移動する。イエロー114、マゼンタ124、シアン134及びブラック144のインクに各々対する各プリントドラム112、122、132、及び142に付与された、あらかじめ選択された静電磁場を介して、イエロー110、マゼンタ120、シアン130及びブラック140の色パッチが色現像部170により転写される。ニップ109が第一接点に配置され、そこでプリントドラム112が、ベルト103及び支持ロール105と交わる。これらイエロー116、マゼンタ126、シアン136及びブラック146のニップにおいて感光体が中間転写ベルト103に接する。イエロー118、マゼンタ128、シアン138及びブラック148に対してインクが供給されると色の転写は完了する。通常は主題の再転写を含む2つの工程の処理により、リードパッチ138が、イエローパッチ及びマゼンタのパッチから作られる。
【0020】
さらに具体的には、一度の再転写工程がシアンのニップ136で行われ、もう一度はブラックのニップ146で行われる。再転写中、第一の転写ニップ内で空気の絶縁破壊が発生し、間違ったサインのトナーが転写される。間違ったサインのトナーが本来意図された中間転写ベルトから離れ感光体ドラムへ再転写される。再転写の不具合は空間的に均一ではなく最終プリントに色むらや不均一が生じる。プリント処理中(処理を通常再転写履歴と呼ぶ)、特定の画像が通過する再転写ニップの量のため、この不具合は、レッド(Y+M)やグリーン(Y+C)等の混合した色のパッチでは特に顕著に現れる。再転写されるインクの濃度はセンサ160により測定され、インクドラム間の距離を調節することにより変更することができる。
【0021】
プリンタでは、いくつかの制御パッチが現像され転写される。これらのパッチは異なる静電の設定ポイントで転写される。提案されている制御方式では、一つ以上の濃度センサを用いて、転写されるトナーパッチを測定し、その濃度情報を使用して静電転写バイアスの最適な値を計算する。この制御方式により、プリント操作者は、自分の好みに基づいて静電転写バイアスの最適な値を調整することができ、安定した第一転写システムを提供する。この制御方式は、4色より多い静電中間転写ベルト103のマーキングエンジンに適用することができる。
【0022】
図3には、この用途、提案されている操作200の効果が示されている。中間転写ベルト150は、色を制御し、260方向に向かって移動する二つのセクション270、280を含む。プリント作業前のセットアップ処置中、プリンタは、3色以上の、イエロー210、マゼンタ220、レッド230、及びグリーン240の制御パッチを現像する。制御パッチの色は、マーキングエンジンのアーキテクチャに応じて設計される。パッチは、バイアス設定ポイントを用いて転写される。
バイアス設定ポイントとは、第一転写が行われる電圧レベルであり、マイクロアンペア又はボルトのいずれかお用いて測定される。最初の値は公称値であり、続くパッチが公称値の±10%、±20%(これに限定しないが)等の様々なポイントの3つ以上の静電転写バイアス設定ポイントに設定される。濃度センサ250が最後の第一転写ニップの後に配置され、これらのパッチの濃度を測定する。次いで、制御アルゴリズムにより、転写バイアス設定ポイントが全て調べられ、転写関数を通して各色のパッチの最も高い濃度が決定され、最適な第一転写バイアスが計算される。制御パッチは、第二転写で下地され得る、又はされ得ない。第二転写をスキップする決定がなされた場合、制御パッチは、中間転写
ベルト(ITB)103の清掃過程で取り除かれる。
【0023】
最適な第一転写ポイントは最高の単層であり、関数を利用することにより、ユーザは、性能を最大限に利用するために一連の複雑な色の重みづけを指定し、入力することができる。この場合、重みをつける色はシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックである。別の実施形態では、この4色は別の色で、4色より多くても又少なくてもよい。センサからの応答を用いて、最終的に出力する色を決定する。
【0024】
次の転写関数により、最適な第一転写バイアスを計算する。
最適な第一転写バイアス=(0.5*(R+G)−0.5*(M+Y))*X+0.5*(M+Y)で表すことができる。
但し、
R=レッドのパッチの濃度が最も高いときの転写バイアスである。
G=グリーンのパッチの濃度が最も高いときの転写バイアスである。
M=マゼンタパッチの濃度が最も高いときの転写バイアスである。
Y=イエローパッチの濃度が最も高いときの転写バイアスである。
X=0から1の範囲の重みづけであり、0では単一の分離色域がより所望され、1では混合色がより所望される。操作者の好みに基づいてXを調整することがきる。初期設定では、Xは0.5に設定されている。
【0025】
最適な第一転写バイアスが加えられると、操作者はサンプルをプリントし、それを見て変更することができる。プリントの画質に問題がなければ、次に操作者はその設定のままプリント作業を行う。設定に問題がある場合、操作者はプリンタのグラフィカル・ユーザ・インターフェースからXレベルを調整する。次いで、入力値に従ってプリンタは再調整され、プリントサンプルを再プリントし、操作者がそれを確認する。別の構成では、操作者は入力しないでプリンタが自動的にプリント作業を開始することができる。操作者が、設定及びプリント画質に問題がないと判断する、又は操作者のデータの入力又は選択を中止する、若しくは他のことを示すまでこの過程を繰り返すことができる。
【0026】
例えば、セットアップ中、混合色は30uAで最適に転写され、単一色は20uAで最適に転写される。プリンタは、最適な第一転写バイアスとして25μAを算出する。次いで操作者はプリントサンプルを確認する。操作者がモノクロでプリントしたい場合、Xの重み値を0に調整することができる。次いでプリンタは最適な第一転写バイアスを再調整して20μAとし、サンプルをプリントする。操作者が新しいプリントに問題がないと判断すれば、操作者はプリント作業を開始する。問題がある場合、操作者はプリントサンプルに問題がなくなるまでこの過程を繰り返す。
【0027】
エンドユーザ及び顧客にとって最も重要である画像コンテンツを考慮するため、提案されている実施形態は、現状の静電中間転写ベルト103転写制御方式に関して、著しく優位である。更に、提案されている方法は、現在プリントシステムの既存のハードウェアを用いるため、きわめて簡単で組み合わせるためのコストがかからない。
【0028】
図5はニップ109の詳細図である。プリントヘッド104がプリント媒体151に作用し、プリント媒体の裏面がニップ109の下でローラ105により支持される。センサ160は、プリント媒体151に付着したインクの濃度を測定し、データをシステム制御装置122に送信する。この情報を用いて信号101を接地された制御装置ユニット161に送信する。
【0029】
図1には、方法10が行われる実施形態が示されている。この方法では、転写バイアスを抑えるように、センサ160を用いて転写バイアス値を入力し、結果を測定する。第一に、3つの転写バイアスが選択され(11)、転写バイアスの設定ポイントが選択される(20)。次いで、転写バイアスと設定ポイントを用いてテストパッチをプリントする(30)。次いでセンサ160がテストパッチの濃度を測定する(40)。この値から、制御アルゴリズムにより各色のパッチの最も高い濃度が決定され(50)、そのデータを用いて最適な第一転写バイアスが計算される(60)。一般的に最も高い濃度は最も低い再転写の不具合に関連する可能性がある。設定が終了すると、サンプルがプリントされ評価される(70)。操作者は評価し(80)(ユーザインターフェース123等を用いて)、サンプルのプリントに問題がなければ(97)、次いで設定は保存されてプリント作業を行うために用いられる。しかし、設定を評価し問題があれば(93)、次いでこの過程は繰り返され(95)、転写バイアスポイントを選択するところ(20)から開始される。この方法ではコンピュータプロセッサを用いて、ユーザが入力したデータを組み込むために必要な計算、そのデータ又はその他のデータに関する計算、及びセンサからのあらゆるデータを読取り、それに関する計算を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一転写操作において、それぞれがマーキング材料を中間転写構造に転写する、異なる色の複数のマーキング装置を有する文書処理システムを操作する方法であって、
a)あらかじめ選択された色の複数の制御パッチを取り込む工程であって、前記色は複数の静電転写バイアス設定ポイントで取り込まれる、工程と、
b)前記制御パッチの濃度を感知する工程と、
c)前記それぞれ取り込まれたパッチの最も濃度の高い色を検知する工程と、
d)前記検知された最も高い濃度に基づいて最適な第一転写バイアスを決定する工程であって、これにより前記文書プリントシステムの続く操作において、選択的に前記最適な第一転写バイアスが用いられる、工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記決定する工程が、最適な第一転写バイアス=(0.5*(R+G)−0.5*(M+Y))*X+0.5*(M+Y)の関数であり、
R=レッドのパッチの濃度が最も高いときの転写バイアス、
G=グリーンのパッチの濃度が最も高いときの転写バイアス、
M=マゼンタのパッチの濃度が最も高いときの転写バイアス
Y=イエローパッチの濃度が最も高いときの転写バイアスであり
X=0から1の範囲の重みづけであり、0では単一の分離色域がより所望され、1では混合色がより所望される、関数により前記最適な第一転写バイアス(OFTB)を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重みづけXは操作者が調整可能な、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重みづけXは0から1の間で変更可能で、前記取り込む工程は、操作者が重みづけXを調整した複数の第二の制御パッチを取り込むことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記重みづけXの値を、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを用いて操作者が調整できる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記感知する工程が、前記中間転写構造上で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記取り込む工程が、第二転写で前記テストパッチを前記中間転写構造から下地に再転写することを含み、前記感知する工程が前記下地上で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記感知する工程が、前記中間転写構造又は前記制御パッチの転写を前記中間転写構造から受け取る下地のいずれかで前記制御パッチを感知するために選択的に配置される拡張したトナー面積カバーセンサを用いて前記制御パッチを感知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の静電転写バイアス設定ポイントは、公称の+/−10%又は+/−20%のうちの一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
プリント転写を制御するシステムであって、
複数の1色プリントモジュールから成り、各モジュールがプリントヘッド及び隣接するニップを含み、それぞれの1色に関連するプリンタと、
各1色に関連する少なくとも一つのセンサと、
前記センサにより集められたデータに基づいてアルゴリズムを行って前記最適な転写バイアスを計算するプロセッサと、
ユーザのデータ入力及び確認データ承認を容易にするためのグラフィカル・ユーザ・インターフェースと、を含み、
前記プロセッサが、前記センサにより集められた前記データをさらに受信し、ユーザにより入力された設定データを受け取り、前記受け取ったデータを用いて前記アルゴリズムを実行し、
前記プリンタが、計算された最適な転写バイアスに応じてプリントアウトされる少なくとも一つのテストパッチをプリントする、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−226322(P2012−226322A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68195(P2012−68195)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】