説明

画像入力検知装置及びプログラム

【課題】表示媒体に書き込まれた画像が現実に書き換えられたかどうかを特定する。
【解決手段】制御部110は、画像書き換えの処理が行われているときに、振動センサ部170が表示媒体200の振動を検知したか否かを判定する。振動センサ部170が表示媒体200の振動を検知した場合には、制御部110は、振動センサ部170が検知した振動の波形から、外乱用振動センサ部172が検知した振動の波形を減算する。そして、制御部110は、その減算して得た波形が、記憶部160に記憶されている波形と一致するか否かを判定する。この結果、両者が一致すれば、画像の書き換えが現実に行われたことになるから、制御部110は、画像書き換え前に表示媒体200に表示されていた画像が消去されたことを示す消去フラグを、記憶部160の管理テーブル162に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像入力検知装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光書込型の表示媒体に対して光を照射するとともに電圧を印加することにより、その表示媒体に画像を書き込む技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−299016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、表示媒体に対する電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動とを区別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、決められた波形の電圧を表示媒体に印加する印加手段と、前記表示媒体において発生した振動の波形を取得する第1の取得手段と、前記印加手段によって印加される電圧の波形に応じて決められた波形を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の取得手段によって取得された波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する第2の記憶手段と、を備えることを特徴とする画像入力検知装置を提供する。
【0005】
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の構成において、前記第2の記憶手段が、前記表示媒体に画像を書き込む書込装置において発生した振動の波形を取得する第2の取得手段を備え、前記第1の取得手段によって取得された波形から前記第2の取得手段によって取得された波形を減算して得た波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する。
【0006】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の構成において、前記第2の記憶手段が、各々の画像情報と、当該画像情報に応じた画像を前記表示媒体において書き換えたことを特定するか否かを表す特定可否情報とを対応付けて記憶しており、前記表示媒体に書き込まれている画像が、画像を書き換えたことを特定することを表す前記特定可否情報に対応付けて記憶されており、当該画像が書き換えられた場合には、当該画像が書き換えられたことを記憶する。
【0007】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられた場合に、当該画像が書き換えられたことを出力する出力手段を備える。
【0008】
また、請求項5に係る発明は、コンピュータを、決められた波形の電圧を表示媒体に印加する印加手段と、前記表示媒体において発生した振動の波形を取得する第1の取得手段と、前記印加手段によって印加される電圧の波形に応じて決められた波形を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の取得手段によって取得された波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する第2の記憶手段として機能させるためのプログラム、を提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、表示媒体に対する電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動とを区別することができる。
請求項2に係る発明によれば、表示媒体に対する電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動と区別するときに、書込装置の外部の要因による振動の影響を小さくすることができる。
請求項3に係る発明によれば、表示媒体に対する電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動とを区別する必要があるときに、その電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動と区別することができる。
請求項4に係る発明によれば、表示媒体に対する電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動と区別することができる。。
請求項5に係る発明によれば、表示媒体に対する電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動とを区別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の一実施形態について説明する。
(1)構成
図1は、本実施形態における、光書込型の表示媒体200の構成を示す図である。
表示媒体200は、画像が表示される表示領域に、フィルム基板210及び270と、透明電極220及び260と、光導電層230と、着色層240と、表示素子層250とを備え、照射される光に応じた表示を行う。また、表示媒体200は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)などの無線タグと呼ばれる記憶手段を備えている。この無線タグには、表示媒体200に割り当てられた識別情報である媒体IDが記憶されている。
【0011】
この表示媒体200においては、画像の書き換えが複数回行えるようになっている。ここでいう「画像の書き換え」とは、既に書き込まれている画像を消去する、つまり背景色の画像を表示領域の全域に書き込むまでの処理と、既に書き込まれている画像を消去した後に新たに別の画像を書き込むまでの処理の双方を含む概念である。表示媒体200に画像を書き込んだりその画像を消去するには、透明電極220と透明電極260との間に予め決められた波形の電圧を印加した状態で光源132より光を照射し、電圧の印加を停止すればよい。
【0012】
フィルム基板210、270は、表示媒体200の表面を保護するために設けられた層である。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる。フィルム基板210は、この表示媒体に画像を書き込む書込装置によって光が照射される側に設けられている。フィルム基板270は、書き込まれた画像を使用者が観察する側に設けられている。透明電極220、260は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)からなる層である。透明電極220、260に接続された図示されていない電極と、書込装置側の電極とが接続された状態で、書込装置によって電極に電圧が印加されると、透明電極220と透明電極260との間に電位差が生じる。
【0013】
光導電層230は、照射される光の強度に応じてその導電率を異ならせる導電体からなる層である。光導電層230としては、例えば、有機光導電体を用いる。着色層240は、表示素子層250が光を透過する場合に観察される層であり、あらかじめ決められた色(例えば、黒)になっている。表示素子層250は印加される電圧に応じて光の反射状態を異ならせる表示素子を含む層である。表示素子層250は、バインダー樹脂中にマイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子を分散させたものである。コレステリック液晶表示素子は、配向状態として、プレーナ配向状態とフォーカルコニック配向状態とになりうる。コレステリック液晶表示素子は、プレーナ配向状態の場合は光を反射(ブラッグ反射)して、あらかじめ決められた色を呈し、フォーカルコニック配向状態にある場合は光を透過して着色層240の色を呈する。
【0014】
図2は、表示媒体200に対して画像の書き込みを行う書込装置1の構成を示すブロック図である。
書込装置1は、書込ユニット100、制御部110、通信部150、記憶部160、振動センサ部170、外乱用振動センサ部172、タグ情報読取部180及び操作部190を備える。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置やメモリなどの記憶手段を備え、書込装置1の各部の動作を制御する。この制御部110及び記憶部160は、表示媒体200に書き込まれていた画像が書き換えられたか否かを判定する画像入力検知装置として機能する。通信部150は、通信回路やネットワークインタフェースからなり、この通信部に通信可能に接続された通信装置と通信を行う。記憶部160は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部110が実行するコンピュータプログラムや、各種画像を表す画像情報のほか、管理テーブル162を記憶している。、この管理テーブル162には、どの表示媒体200にどのような画像が書き込まれているかとか、その画像がその表示媒体200から消去されたか否かを管理するための情報が記述されている。タグ情報読取部180は、無線タグリーダであり、表示媒体200の無線タグから、その無線タグに記憶されている情報を読み取り、制御部110に供給する。操作部190は、使用者の操作を受け付けて、その操作に応じた信号を制御部110に供給する。
【0015】
書込ユニット100は、光発生部130と、電圧印加部140とを備えている。光発生部130は、光源132を備えており、表示媒体200に対する画像の書き込み乃至画像の書き換え時に照射する光を発生する。この光源132は、例えば、ライン状に配置された複数のLEDと、画像を書き込む解像度に応じた範囲に各LEDの光を収束するレンズとを備えたLEDアレイである。制御部110は、光源132の各LEDの明滅を制御するとともに、その光源132を移動させて表示媒体200の表示面を走査させる。電圧印加部140は、電極142と、例えばバイポーラ高電圧アンプなどの昇圧手段を備えている。表示媒体200が書込ユニット100の所定の位置に保持されると、表示媒体200側の電極に書込ユニット100側の電極142が接触した状態となる。この状態で、電圧印加部140によって、電極142を介して表示媒体200に電圧が印加されるようになっている。
【0016】
ここで、図3(A)は、電圧印加部140によって表示媒体200に印加される電圧の波形の一例を示したものである。
同図に示す波形W1は、表示媒体200に既に書き込まれている画像を消去するときに、表示媒体200に印加される電圧の波形である。図に示した正の電圧V1が印加される期間は例えば300msであり、負の電圧V2が印加される期間は例えば200msである。このような波形W1の電圧が印加されているときに、予め決められた強度の光が光発生部130から表示媒体200の全域に照射され、同一背景色の画像が表示領域全体に書き込まれることで、上記画像が消去される。
【0017】
一方、波形W2は、画像情報に応じた画像を表示媒体200に新たに書き込むときに、その表示媒体200に印加される電圧の波形である。このときの正の電圧が印加される期間は例えば1000msである。このような波形W2の電圧が印加されているときに、画像情報に応じた光が光発生部130から表示媒体200に照射されて、画像が書き込まれる。
【0018】
前述したように、表示媒体200に用いられている表示素子層250には、コレステリック液晶表示素子などが使用されている。マイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子に電圧が印加されると、そのカプセル内に封入されている液晶分子が移動するが、このときの液晶分子の移動により、表示素子層250が微少に振動するという現象が生じ、この振動が表示媒体200全体に伝わる。媒体押さえ部120には、加速度センサなどにより構成される振動センサ部170が設けられており、この振動センサ部170が、表示媒体200の振動を検知し、検知した振動の波形を制御部110に供給する。制御部110はこの振動波形を取得する。つまり、制御部110は、照射される光に応じた表示を行う表示媒体200において発生した振動の波形を取得する取得手段(第1の取得手段)の一例として機能する。
【0019】
ただし、書込装置1は、例えば自装置の近傍を人が歩いたときとか、人に触られたときなどのように、書込装置1の外部の要因によって振動することもある。このため、書込装置1に設けられた振動センサ部170が検知した振動には、電圧印加に応じて表示媒体200に発生した振動のほか、上記のような外乱による振動も含まれていることがある。そこで、外乱用振動センサ部172は、外乱による振動の影響を排除するべく、表示媒体200の振動が極力伝わらないような、筺体101の一部分に設けられている。この外乱用振動センサ部172が検知した振動の波形は、制御部110に供給され、制御部110はこれを取得する。つまり、制御部110は、表示媒体200に画像を書き込む書込装置1において発生した振動の波形を取得する取得手段(第2の取得手段)の一例として機能する。そして、制御部110は、振動センサ部170から取得した振動の波形から、外乱用振動センサ部172から取得した振動の波形を減算する。これにより、振動センサ部170により検知した振動に対する外乱による振動の影響が少なくなる。
【0020】
ここで、図3(B)は、図3(A)に示したような波形の電圧が印加されたときに、制御部110が算出した振動波形の一例を示している。つまり、制御部110が、振動センサ部170から取得した振動の波形から外乱用振動センサ部172から取得した振動の波形を減算して得た振動波形である。図3(A)と図3(B)とを比較すると分かるように、表示素子層250に電圧が印加された場合は、表示素子層250は振動し、表示素子層250に電圧が印加されていない場合には、表示素子層250は振動していない。これら電圧波形と振動波形との間には或る対応関係が存在している。図の例では、電圧波形W1と振動波形w1とが対応しており、電圧波形W2と振動波形w2とが対応している。どのような電圧波形に対してどのような振動波形の振動が発生するかは、計算或いは実験により予め求められるので、その求めた振動波形が記憶部160に記憶される。本実施形態では、図3(B)に示した振動波形w1が記憶部160に予め記憶されている。この振動波形w1は、表示媒体200に対して印加される電圧の波形に応じて決められた振動の波形の一例である。よって、記憶部160は、印加される電圧の波形に応じて決められた振動の波形を記憶する記憶手段(第1の記憶手段)の一例として機能する。
【0021】
ここで、図4は、表示媒体200を保持しているときの書込ユニット100の側方断面図である。
書込ユニット100の筐体101は、遮光性部材で構成されており、光発生部130および電圧印加部140の各構成を保持している。媒体押さえ部120は、表示媒体200の上方を覆い、書込ユニット100に対して表示媒体200が動かないように保持する。光発生部130は、表示媒体200の下方から光を照射する。媒体押さえ部120の、表示媒体200に接する位置には、振動センサ部170が設けられている。一方、外乱用振動センサ部172は、表示媒体200の振動をあまり検知しないような位置、つまり、表示媒体200からできるだけ離れた位置において筐体101に固定されている。
【0022】
(2)動作
図5は、制御部110が記憶部160に記憶されているプログラムを実行するときの処理を示すフローチャートであり、同図を参照して本実施形態の動作を説明する。なお、以下の動作開始時点においては、表示媒体200には既に画像情報に応じた画像が書き込まれているものとする。
表示媒体200に画像が書き込まれている状態で、使用者が操作部190を操作して、別の画像に書き換えるよう指示したとする。制御部110は、画像の書換を指示する操作があったことを検出すると(ステップS1;YES)、画像の書換処理を行う(ステップS2)。具体的には、制御部110は、電圧印加部140を制御し、書込ユニット100に固定された表示媒体200に対して、図3(A)の波形W1の電圧を印加する。つまり、制御部110は、決められた波形の電圧を表示媒体200に印加する印加手段の一例として機能する。これとともに、制御部110は、光発生部130を制御し、予め決められた強度の光を表示媒体200の全域に照射させる。これにより、表示素子層250の液晶分子の相状態が揃えられ、同一背景色の画像が表示領域全体に書き込まれる。つまり、操作前に表示されていた画像が、背景色の画像に書き換えられることになる。このときの制御部110及び書込ユニット100は、画像が書き込まれている表示媒体200に対して、決められた波形の電圧を印加するとともに光を照射して、当該画像を書き換える書換手段の一例として機能する。次に、制御部110は、次に書き込むべき画像の画像情報を記憶部160から読み出し、図3(B)の波形W2の電圧を表示媒体200に印加するとともに、光発生部130を制御し、読み出した画像情報に応じた光を表示媒体200に照射させる。これにより、表示媒体200には新たな画像が表示されることになる。このときの制御部110及び書込ユニット100は、表示媒体200に対して電圧を印加するとともに画像情報に応じた光を照射して、表示媒体200に画像を書き込む書込手段の一例として機能する。
【0023】
ステップS2の画像書換の処理が行われているときに、振動センサ部170及び外乱用振動センサ部172は、それぞれ振動の検出を試みている。そして、制御部110は、ステップS2の画像書き換えの処理が行われているときに、振動センサ部170が表示媒体200の振動を検出したか否かを判定する(ステップS3)。振動センサ部170が表示媒体200の振動を検出していた場合には(ステップS3;YES)、制御部110は、振動センサ部170から取得した振動の波形から、外乱用振動センサ部172から取得した振動の波形を減算する。そして、制御部110は、減算によって得られた波形が、記憶部160に記憶されている波形と一致するか否かを判定する(ステップS4)。ここでいう「一致」とは、必ずしも完全一致でなくてもよく、減算によって得られた波形と、記憶部160に記憶されている波形との差分が閾値以内にあればよい。この閾値は、記憶部160に予め記憶されているか、プログラムに記述されているので、制御部110はそれを参照すればよい。
【0024】
この結果、両者が一致すれば(ステップS4;YES)、画像の書換が現実に行われたことになるから、制御部110は、画像書換前に表示媒体200に表示されていた画像が消去されたことを記憶部160に記憶する(ステップS5)。
【0025】
ここで、図6は、記憶部160に記憶されている管理テーブル162の内容の一例を示す図ある。
管理テーブル162には、表示媒体200の無線タグからタグ情報読取部180が読み取った媒体IDごとに、各画像情報にそれぞれ割り当てられた固有の画像ID、各画像情報の画像が表示媒体に書き込まれたか否かを示す書込フラグ、及び、その画像が消去されたか否かを示す消去フラグが記述されている。図6の場合、画像ID「10001」の画像は、書込フラグが「1」であるから、表示媒体200に書き込まれたことがあるが、消去フラグが「0」であるから、表示媒体200からは消去されていない、ということになる。つまり、この画像ID「10001」の画像は、現在、表示媒体200に表示されている状態であることがわかる。また、画像ID「10002」の画像は、書込フラグが「1」であるから、表示媒体200に書き込まれたことがあるし、また、消去フラグも「1」であるから、表示媒体200から消去されたということになる。つまり、この画像ID「10002」の画像は、現在、表示媒体200に表示されていない状態であることがわかる。また、画像ID「10003」の画像は、書込フラグが「0」であるから、表示媒体200に書き込まれたこともないし、また、消去フラグも「0」であるから、表示媒体200から消去されてもいない、ということになる。つまり、この画像ID「10003」の画像は、現在、表示媒体200に表示されていない状態であることがわかる。例えば、上述のステップS2において、画像ID「10002」の画像を画像ID「10003」の画像に書き換えたとすると、画像ID「10002」に対応する書込フラグが「1」で消去フラグが「1」となり、画像ID「10003」に対応する書込フラグが「1」で消去フラグが「0」となる。
【0026】
一方、ステップS3において振動センサ部170により振動が検出されなかった場合とか(ステップS3;NO)、ステップS4において、振動センサ部170が検出した振動の波形から外乱用振動センサ部172が検出した振動の波形を減算して得た波形と、記憶部160に記憶されている波形とが一致しなかった場合には(ステップS4;NO)、画像書換を指示する操作があったにも関わらず、画像が実際には書き換えられていないことになる。この場合、制御部110は、画像が書き換えられなかったことを、音声や画像或いは光で報知するとか、その旨の通知を管理者の通信装置に対して通信部150から送信するなどのエラー処理を行う(ステップS6)。例えば、不正の目的を持った使用者が、ゴム等の絶縁物を表示媒体200側の電極と書込装置1側の電極142の間に挿入しておき、書込装置1を操作して画像書換処理を指示した場合には、表示媒体200に電圧が印加されないので、画像が書き換えられないことになる。ただし、そのときには、ステップS3において振動センサ部170により所定の波形の振動が検出されないことになるから、制御部110は上述したようなエラー処理を行うことで、画像が書き換えられなかったことを通知することになる。
【0027】
(3)変形例
上記実施形態を次のように変形してもよい。また、以下の各変形例を互いに組み合わせて実施してもよい。
(3−1)変形例1
実施形態では、制御部110が表示媒体200に書き込まれている画像を別の画像に書き換える場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、制御部110が表示媒体200に書き込まれている画像を単に消去するだけ、つまり背景色の画像を表示領域全体に書き込む場合に上記実施形態の仕組みを適用してもよい。
【0028】
(3−2)変形例2
実施形態において、制御部110は、表示媒体200に書き込まれていた画像が書き換えられたと判定した場合には、その旨を管理テーブル162に記述していた。これに限らず、制御部110は、表示媒体200に書き込まれていた画像が書き換えられたことを音声、画像又は光によって出力するとか、書込装置1と通信可能な通信装置に対して通信部150から画像が書き換えられたことを出力するようにしてもよい。つまり、制御部110は、表示媒体200に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する第2の記憶手段の一例として機能するほか、表示媒体200に書き込まれていた画像が書き換えられたことを出力する出力手段の一例として機能する。
【0029】
(3−3)変形例3
実施形態では、制御部110は全ての画像情報の画像について、画像書き換えの判定を行っていたが、これに限らず、特定の画像情報の画像について画像書き換えの判定を行うようにしてもよい。画像が書き換えられたかどうかを特定する対象となる画像は、例えば機密性の高い画像とか、プライバシーに関する画像とか、不特定の人に見られたくない画像というように、一定範囲の画像に限定される場合も考えられる。そこで、管理テーブル162において、制御部110は、この種の画像の画像情報に対応付けて、その画像が表示媒体200において書き換えられたことを特定するか否かを表す特定可否情報を予め記述しておく。どの画像情報にどのような特定可否情報を対応付けるかは、使用者が操作部190を操作して指定してもよいし、画像情報の作成者、作成日、付記コメントなどの属性に応じて制御部110が判定してもよい。そして、制御部110は、表示媒体200に書き込まれている画像が、画像を書き換えたことを特定することを表す特定可否情報に対応付けられている場合には、当該画像が書き換えられたことを出力又は記憶する。
【0030】
(3−4)変形例4
実施形態では、制御部110が、図3(A)に示した画像消去時の電圧波形に応じた振動を検出して画像の書換の有無を判定していたが、次のようにしてもよい。
制御部110は、図3(A)に示した波形の電圧に代えて、図7に示すような、予め決められた波形の電圧を表示媒体に印加する。
ここで、図7に示す波形には、図3(A)に示した波形W1と波形W2との間に、波形W3がある。この波形W3は、高周波数の交流波形であるから、このような波形W3の電圧が印加されると、表示媒体200における液晶分子の振動の周波数も高くなり、表示媒体200の振動周波数も高くなる。よって、波形W3の電圧印加に応じた振動と、それ以外の振動と区別しやすくなる。この場合、記憶部160には、波形W3に応じて実験或いは計算により決められた振動波形が記憶されている。要するに、記憶部160は、印加される電圧の波形に応じて決められた振動の波形を記憶していればよい。
この波形W3の電圧印加期間において画像が書き換えられるわけではないが、画像を消去するための波形W1の直後に、この波形W3の電圧が印加されるから、波形W3に対応する振動がされたときには、画像が書き換えられたとみなしてもよい。よって、制御部110は、波形W3の電圧を表示媒体200に印加させ、振動センサ部170から取得した振動の波形と、記憶部160に記憶されている振動の波形との差分が閾値以内であれば、表示媒体200に書き込まれていた画像が書き換えられたことを出力又は記憶する。
【0031】
(3−5)変形例5
画像が書き換えられたか否かを判定する根拠として、表示媒体200の振動に加えて、その他の根拠を併用するようにしてもよい。例えば、表示媒体200に対する電圧印加により、表示素子層250の液晶分子が振動するときに、小さな音が発生することがある。そこで、書込装置1に収音手段を設けておき、制御部110は、収音手段によって収音された音と記憶部160に記憶されている音と比較して、両者の差分が閾値以内である場合には、画像が書き換えられたと判定するようにしてもよい。また、表示媒体200への電圧印加時には、表示媒体200に電流が流れるから、制御部110は、電流検知手段によりその電流を検知することにより、画像が書き換えられたと判定するようにしてもよい。
【0032】
(3−6)変形例6
実施形態では、人の移動等の外部要因による振動の影響を考慮していたが、このような外部要因による振動の影響が無いとか無視できるような場合には、外乱用振動センサ部172を除いた構成としてもよい。
振動センサ部170や外乱用振動センサ部172の位置は、図4に例示したものに限らない。例えば、振動センサ部170は電極142の近傍の位置でもよい。
【0033】
(3−7)変形例7
実施形態では、コレステリック液晶表示素子を備える光書込型の表示媒体を用いていたが、表示媒体の種類は、これに限らず、電圧印加時に振動が発生するようなものであれば、どのようなものでもよい。例えば、図8に示すような電気泳動型の表示媒体であってもよい。図8において、表示媒体152は、第1基板1521、第2基板1522、電気泳動素子Pおよびバインダ1523により構成されている。図8においては、上方向が表示面の表面側であり、下方向が裏面側である。表示媒体152は、利用者によって表面側の例えば矢線Vの方向から視認される。第1基板1521は、例えばガラス基板であり、その上方の表面には複数の画素電極PEが規則的な格子状に配列されている。この画素電極PEは、例えば低温ポリシリコン膜を用いたTFTで形成されたアクティブマトリックス型素子である。また、第1基板1521に対向する第2基板1522は、例えばポリエチレンテレフタラート(Polyethylene terephthalate)などの透明な樹脂基板であり、その下方には、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)などの透明な共通電極CEが設けられている。複数の画素電極PEと共通電極CEの間には、複数の電気泳動素子Pが、光透過性を有するバインダ1523により固定されている。この電気泳動素子Pは、例えば、約数十ミクロン程度の大きさで略球状である。電気泳動素子Pの内部には、例えばプラス(+)に帯電した黒色顔料粒子およびマイナス(−)に帯電した白色顔料粒子を含む、液体の分散媒が封入されている。黒色顔料粒子および白色顔料粒子の位置は、外部から与えられる電界により規定され、さらに分散媒により安定的に維持される。
【0034】
(3−8)変形例8
制御部110が実行するプログラムは、コンピュータを、決められた波形の電圧を表示媒体に印加する印加手段と、前記表示媒体において発生した振動の波形を取得する第1の取得手段と、前記印加手段によって印加される電圧の波形に応じて決められた波形を記憶する第1の記憶手段と、前記第1の取得手段によって取得された波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する第2の記憶手段として機能させるためのプログラムである。このプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。また、図5に示した各処理は、制御部110のCPU以外の構成、例えば専用のプロセッサなどが行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態に係る表示媒体の構成を示す説明図である。
【図2】実施形態に係る書込装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(A)電圧の波形の一例を示す図であり、(B)振動の波形の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係る書込ユニットの構成を示す説明図である。
【図5】実施形態に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】電圧の波形の一例を示す図である。
【図8】変形例に係る表示媒体の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1…書込装置、100…書込ユニット、110…制御部、130…光発生部、132…光源、140…電圧印加部、142…電極、150…通信部、160…記憶部、162…管理テーブル、170…振動センサ部、172…外乱用振動センサ部、200…表示媒体、101…筺体、120…媒体押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
決められた波形の電圧を表示媒体に印加する印加手段と、
前記表示媒体において発生した振動の波形を取得する第1の取得手段と、
前記印加手段によって印加される電圧の波形に応じて決められた振動の波形を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の取得手段によって取得された波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する第2の記憶手段と、
を備えることを特徴とする画像入力検知装置。
【請求項2】
前記第2の記憶手段が、
前記表示媒体に画像を書き込む書込装置において発生した振動の波形を取得する第2の取得手段を備え、
前記第1の取得手段によって取得された波形から前記第2の取得手段によって取得された波形を減算して得た波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する
ことを特徴とする請求項1記載の画像入力検知装置。
【請求項3】
前記第2の記憶手段が、
各々の画像情報と、当該画像情報に応じた画像を前記表示媒体において書き換えたことを特定するか否かを表す特定可否情報とを対応付けて記憶しており、
前記表示媒体に書き込まれている画像が、画像を書き換えたことを特定することを表す前記特定可否情報に対応付けて記憶されており、当該画像が書き換えられた場合には、当該画像が書き換えられたことを記憶する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像入力検知装置。
【請求項4】
前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられた場合に、当該画像が書き換えられたことを出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像入力検知装置。
【請求項5】
コンピュータを、
決められた波形の電圧を表示媒体に印加する印加手段と、
前記表示媒体において発生した振動の波形を取得する第1の取得手段と、
前記印加手段によって印加される電圧の波形に応じて決められた波形を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の取得手段によって取得された波形と、前記第1の記憶手段に記憶されている波形との差分が閾値以内であれば、前記表示媒体に書き込まれていた画像が書き換えられたことを記憶する第2の記憶手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−78913(P2010−78913A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247198(P2008−247198)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】