説明

画像再生装置、撮像装置およびプログラム

【課題】 画像編集による編集元の画像と編集後の画像とをユーザーが容易に比較できる手段を提供する
【解決手段】 第1画像と、第1画像に画像編集を施した第2画像とを再生可能な画像再生装置である。この画像再生装置は、第1画像のデータを含む第1画像ファイルおよび第2画像のデータを含む第2画像ファイルを読み込むデータ読込部と、画像の再生表示を行う表示部と、ユーザーの入力を受け付ける操作部と、操作部の入力に応じて再生表示を制御する制御部とを備える。そして、制御部は、第1画像から生成した第2画像を示す第1識別データが第1画像ファイルに含まれる場合および第2画像の編集元の第1画像を示す第2識別データが第2画像ファイルに含まれる場合の少なくとも一方のときに、第1識別データおよび第2識別データの少なくとも一方に基づいて、画像編集前後の第1画像および第2画像を同時に表示する比較画面を表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の再生表示機能を有する画像再生装置および撮像装置、画像再生装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、撮像した画像をモニタに再生表示する機能を有する電子カメラが知られている。また、電子カメラの一部の機種では、撮像した画像に画像編集を行って、編集元の画像とは別に編集後の画像を記録する機能を有するものも知られている。
【特許文献1】特開2003−158646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の電子カメラでは、編集元の画像と編集後の画像とが連番で記録されるとは限らない。したがって、画像編集の効果を再生表示で確認するときには、編集元の画像または編集後の画像をコマ送りで探索する必要などが生じ、ユーザーに煩雑な作業を強いる点で改善の余地があった。
【0004】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためのものである。本発明の目的は、画像編集による編集前後の画像をユーザーが容易に比較できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、第1画像と、第1画像に画像編集を施した第2画像とを再生可能な画像再生装置である。この画像再生装置は、第1画像のデータを含む第1画像ファイルおよび第2画像のデータを含む第2画像ファイルを読み込むデータ読込部と、画像の再生表示を行う表示部と、ユーザーの入力を受け付ける操作部と、操作部の入力に応じて再生表示を制御する制御部とを備える。そして、制御部は、第1画像から生成した第2画像を示す第1識別データが第1画像ファイルに含まれる場合および第2画像の編集元の第1画像を示す第2識別データが第2画像ファイルに含まれる場合の少なくとも一方のときに、第1識別データおよび第2識別データの少なくとも一方に基づいて、画像編集前後の第1画像および第2画像を同時に表示する比較画面を表示部に表示させる。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、制御部は、比較画面の表示中に第1画像または第2画像を指定する入力があるときに、指定された画像を拡大表示する画面へ表示部の表示状態を遷移させる。
【0007】
第3の発明は、第1の発明において、第1画像が元画像に画像編集を施して生成された画像であって、第1画像ファイルが元画像を示す第3識別データをさらに含むときに、制御部は、第3識別データに基づいて、元画像の存在を示すマークを比較画面に表示する。また、制御部は、操作部の入力に応じて元画像および第1画像を同時に表示する状態に比較画面を変化させる。
【0008】
第4の発明は、第1の発明において、第2画像に画像編集を施して生成された第3画像が存在し、第2画像ファイルが第3画像を示す第4識別データをさらに含むときに、制御部は、第4識別データに基づいて、第3画像の存在を示すマークを比較画面に表示する。また、制御部は、操作部の入力に応じて第2画像および第3画像を同時に表示する状態に比較画面を変化させる。
【0009】
第5の発明は、第1の発明において、第1画像ファイルが第1識別データを複数含むときに、制御部は、第1画像に対して第2画像が複数存在することを示すマークを比較画面に表示する。また、制御部は、操作部の入力に応じて比較画面の第2画像を変更する。
【0010】
第6の発明は、第1の発明において、第2画像ファイルが第2識別データを複数含むときに、制御部は、第2画像に対して第1画像が複数存在することを示すマークを比較画面に表示する。また、制御部は、操作部の入力に応じて比較画面の第1画像を変更する。
【0011】
第7の発明は、第1の発明において、第2画像ファイルは、第2画像に関する画像編集の内容を示すデータをさらに含む。そして、制御部は、比較画面に画像編集の内容を表示する。
【0012】
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、第1画像のデータに画像編集を施して第2画像のデータを生成する画像処理部を画像再生装置がさらに備える。そして、制御部は、画像編集のときに第1識別データを第1画像ファイル内に記録するとともに、第2識別データを第2画像ファイル内に記録する。
【0013】
第9の発明の撮像装置は、被写体を撮像して第1画像のデータを生成する撮像部と、第1から第8の発明のいずれかの画像再生装置とを備える。
【0014】
なお、上記の各発明に関する構成を、コンピュータを画像再生装置として機能させるプログラムや、上記のプログラムを記憶した記憶媒体、コンピュータを用いた画像再生方法などに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子カメラでは、画像ファイルに記録された識別データに基づいて、画像編集前後の第1画像および第2画像が比較画面上で同時に表示され、画像編集の効果をユーザーが容易に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本実施形態の電子カメラの構成を示すブロック図である。電子カメラは、撮像光学系11と、撮像素子12と、AFE13と、画像処理部14と、バッファメモリ15と、記録I/F16と、CPU17と、モニタ18と、操作部材19と、バス20とを有している。ここで、画像処理部14、バッファメモリ15、記録I/F16、CPU17およびモニタ18は、それぞれバス20を介して接続されている。また、操作部材19は、CPU17に接続されている。
【0017】
撮像光学系11は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数のレンズ群で構成されている。図1では、簡単のため撮像光学系11を1枚のレンズとして図示する。なお、一眼レフレックス式の電子カメラの場合には、撮像光学系11を含むレンズユニットは、電子カメラに対して交換可能に構成される。
【0018】
撮像素子12は、撮像光学系11を通過した光束による被写体像を光電変換してアナログの画像信号を生成する。この撮像素子12の出力はAFE13に接続されている。なお、電子カメラの動作モードの一つである撮影モードにおいて、撮像素子12は後述のレリーズ釦の全押し操作に応答して記録画像(本画像)を撮像する。
【0019】
AFE13は、撮像素子12の出力に対してアナログ信号処理を施すアナログフロントエンド回路である。このAFE13は、相関二重サンプリングや、画像信号のゲインの調
整や、画像信号のA/D変換を行う。また、AFE13の出力は画像処理部14に接続されている。
【0020】
画像処理部14は、デジタルの画像信号に対して各種の画像処理(ホワイトバランス補正、色補間処理、色補正、色変換処理、階調変換、輪郭強調処理、色空間変換など)を施すASICである。また、画像処理部14は、画像の解像度変換処理なども行う。
【0021】
さらに、画像処理部14は、後述の画像編集モードにおいて本画像のデータの画像編集処理を実行する。上記の画像編集処理では、画像処理部14は、編集元の画像のデータに画像処理を施して、編集元の画像とは別に新たな編集画像(編集元の画像に画像処理を施した画像)のデータを生成する。
【0022】
バッファメモリ15は、画像処理部14による画像処理の前後で画像のデータなどを一時的に記録する。
【0023】
記録I/F16には、記憶媒体21を接続するためのコネクタが形成されている。そして、記録I/F16は、コネクタに接続された記憶媒体21に対してデータの書き込み/読み込みを実行する。上記の記憶媒体21は、ハードディスクや、半導体メモリを内蔵したメモリカードなどで構成される。なお、図1では記憶媒体21の一例としてメモリカードを図示する。
【0024】
CPU17は、電子カメラの統括的な制御を行うプロセッサである。このCPU17は、動作モード(一例として撮影モード、再生モード、画像編集モードなど)に対応するシーケンスプログラムに従って、電子カメラの各部動作を制御する。例えば、撮影モードでのCPU17は、本画像の撮像処理や、撮像前に必要となる各種演算(AF演算、AE演算、オートホワイトバランス演算など)を実行する。
【0025】
また、CPU17は、Exif(Exchangeable image file format for digital still
cameras)規格に準拠して画像ファイルを生成する。CPU17が生成した画像ファイルは上記の記憶媒体21に記録される。
【0026】
ここで、図2に、画像ファイルのデータ構造を模式的に示す。画像ファイルは、撮像条件(露光時間、絞り値、撮像感度など)をはじめとするメタデータを記憶するヘッダ領域と、画像のデータを記憶する画像領域とを有している。また、画像ファイルのヘッダ領域は、TIFFヘッダとデータ領域(IFD)とで構成される。なお、画像ファイルに含まれるデータのうち、Exif規格に定められていないデータは、Exif規格のMakerNoteタグを利用して画像ファイルのヘッダ領域に記録される。また、編集画像に関する画像ファイルを生成するとき、CPU17は、編集元の画像ファイルの撮像条件を用いてメタデータを生成することとなる。
【0027】
なお、再生モードでのCPU17は、記憶媒体21から画像ファイルのデータを読み込んで、再生画像をモニタ18に表示させる。
【0028】
モニタ18は、CPU17の指示に応じて各種画像を表示する。本実施形態でのモニタ18は、カメラ筐体の背面に設けられた液晶ディスプレイで構成される。なお、モニタ18の構成は、接眼部を備えた電子ファインダなどであってもよい。なお、CPU17は、各種の設定項目の入力が可能なメニュー画面をモニタ18に表示させることもできる。
【0029】
操作部材19は、ユーザーから各種の入力操作を受け付ける。本実施形態での操作部材19には、レリーズ釦と、十字状のカーソルキーと、決定釦とが含まれる。操作部材19
のレリーズ釦は、撮影モードにおいて、半押し操作によるAFの指示入力と全押し操作による本画像の撮像開始の指示入力とをユーザーから受け付ける。また、操作部材19のカーソルキーおよび決定釦は、各々の動作モードに応じた各種の操作をユーザーから受け付ける。例えば、画像編集モードでのCPU17は、GUI(Graphical User Interface)形式でモニタ18に表示されたアイコンの操作(項目の選択および項目の決定)を、操作部材19のカーソルキーおよび決定釦を介してユーザーから受け付ける。
【0030】
以下、本実施形態の電子カメラの画像編集モードでの動作例を説明する。例えば、再生モードでモニタ18に画像を再生している状態において、CPU17は画像編集モードを立ち上げる操作を検知すると、画像編集モードのメニュー画面をモニタ18に表示する。
【0031】
図3は、画像編集モードのメニュー画面の一例を示す図である。このメニュー画面では、画像編集モードで選択できる処理項目が一覧表示される。具体的には、図3のメニュー画面では、「D−ライティング」、「赤目補正処理」、「トリミング」、「モノトーン」、「フィルタ効果」、「カラーカスタマイズ」、「画像合成処理」、「編集前後の画像比較」の各項目が表示される。なお、上記のメニュー画面での表示処理などはいずれもCPU17によって制御される。
【0032】
上記の各項目のうち、「D−ライティング」、「赤目補正処理」、「トリミング」、「モノトーン」、「フィルタ効果」、「カラーカスタマイズ」、「画像合成処理」は、それぞれ画像編集処理の内容に関する項目である。なお、「編集前後の画像比較」の項目は、再生モードのときに表示されていた再生画像が画像編集に関係しない場合(画像ファイル内に後述の識別データを有しない場合)には選択不能の状態となる。
【0033】
ここで、上記のメニュー画面における画像編集処理の内容を説明する。「D−ライティング」では、画像処理部14が、編集元の画像の暗部またはハイライト部を画像解析で特定し、その暗部またはハイライト部を中心として画像の階調を調整して編集画像を生成する。「赤目補正処理」では、画像処理部14が、編集元の画像に含まれる人物の赤目を画像処理によって軽減して編集画像を生成する。例えば、画像処理部14は、公知の顔検出処理によって画像内の顔領域から赤目領域を検出するとともに、検出した赤目領域の明度または彩度を低下させる補正を行う。「トリミング」では、画像処理部14が、処理対象の画像を部分的に切り出して編集画像を生成する。「モノトーン」では、画像処理部14が、編集元の画像を単一色の濃淡・明暗で表現した編集画像を生成する。「フィルタ効果」では、画像処理部14が、編集元の画像に画像処理を施してフィルタ装着時と同様な編集画像を生成する。例えば、画像処理部14は、編集元の画像の青みを抑える画像処理(スカイライト)や、編集元の画像を暖色にする画像処理(ウォームトーン)などを「フィルタ効果」として実行する。「カラーカスタマイズ」では、画像処理部14が、編集元の画像の色調を調整して編集画像を生成する。また、「画像合成処理」では、画像処理部14が2つの編集元の画像を合成して1つの編集画像を生成する。
【0034】
また、編集画像の画像ファイルを生成するときには、CPU17は、編集元の画像を示す識別データをヘッダ領域内に記録する。具体的には、CPU17は、編集画像の画像ファイルのヘッダ領域に編集元の画像ファイル名を記録する。特に、「画像合成処理」の場合には、CPU17は、2つの編集元の画像ファイル名をそれぞれヘッダ領域に記録する。また、CPU17は、編集画像の画像ファイルのヘッダ領域に、画像編集処理の内容(トリミングなど)を記録する。なお、画像編集モードで生成された編集画像の画像ファイルは、CPU17の制御によって最終的に記憶媒体21に記録されることとなる。
【0035】
一方、CPU17は、編集元の画像ファイルのヘッダ領域にも元画像から生成された編集画像を示す識別データ(編集画像の画像ファイル名)を記録する。なお、画像の改竄防
止のために編集元の画像ファイルがデータ書き込み禁止の状態であるときには、CPU17は編集元の画像ファイルに対する識別データの記録を省略する。
【0036】
ここで、1つの画像に対して複数の異なる画像編集処理が施された場合には、1つの画像ファイル内に編集画像の画像ファイル名が複数記録されることとなる。また、上記の編集画像に対してさらに画像編集処理を行った場合には、その画像に対して編集元となる画像ファイル名と、その画像からさらに派生した編集画像の画像ファイル名とが1つの画像ファイル内にそれぞれ記録されることとなる(図2参照)。
【0037】
次に、図4の流れ図を参照しつつ、「編集前後の画像比較」の項目が選択された場合の電子カメラの動作例を詳細に説明する。この「編集前後の画像比較」では、CPU17の制御によって、画像編集処理の前後の2つの画像を同時に表示する比較画面がモニタ18に表示される。
【0038】
ステップS101:CPU17は、画像編集モードを立ち上げる前にモニタ18に表示されていた再生画像を基準画像に指定する。
【0039】
ステップS102:CPU17は、基準画像(S101)の画像ファイルのヘッダ領域を参照し、この画像ファイル内に含まれる識別データ(編集元の画像ファイル名または編集画像の画像ファイル名)を取得する。これにより、CPU17は、基準画像に関連する編集元の画像および編集画像を記憶媒体21から探索することが可能となる。
【0040】
ステップS103:CPU17は、記憶媒体21に記憶されている画像ファイルのうちで、識別データ(S102)のファイル名に合致する画像ファイルを抽出する。
【0041】
ここで、CPU17は、上記の画像ファイルを抽出した後に、画像ファイル内のヘッダ領域を確認し、基準画像とは無関係の画像を排除する。一例として、CPU17は、Exif規格の画像ファイルに含まれるヘッダ領域の「総レリーズ回数」に注目する。そして、抽出した画像ファイルの「総レリーズ回数」が基準画像の画像ファイルの値と異なる場合には、CPU17はその画像ファイルを排除する。元画像などが記憶媒体21から削除された後に、別の画像が元画像と同じファイル名で記録される可能性もあるからである。なお、CPU17は、基準画像の画像ファイルを示す識別データがある場合には、基準画像と関連する画像ファイルと判定してもよい。
【0042】
ステップS104:CPU17は、識別データ(S102)に対応する画像ファイルを全て発見できたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)にはS107に移行する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)にはS105に移行する。
【0043】
ステップS105:CPU17は、識別データ(S102)に対応する画像ファイルを全く発見できなかったか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には、CPU17は、基準画像に関係する他の画像がない旨のメッセージをモニタ18に表示し、上記の比較画面を表示することなく図4の処理を終了する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)にはS106に移行する。
【0044】
ステップS106:CPU17は、基準画像の画像ファイルに含まれる識別データのうち、画像ファイルを発見できない識別データを処理対象から除外する。ここで、S106で処理対象から除外された識別データは、後述のリンクデータの生成に使用されない。
【0045】
ステップS107:CPU17は、S103の処理結果に応じて、画像ファイル間での編集前後の対応関係を示すリンクデータを生成する。このリンクデータは、比較画面上で
比較する画像を切り替えるときにCPU17によって用いられる。
【0046】
すなわち、CPU17は、記憶媒体21に記憶されている画像ファイルのうち、基準画像の画像ファイルと、S103で抽出された画像ファイル(基準画像の編集元の画像ファイルまたは基準画像の編集画像の画像ファイル)とを対象としてリンクデータを生成する。
【0047】
また、CPU17は、S103で抽出された画像ファイルからも識別データを読み出して、これらの画像ファイルに対して編集元の画像や編集画像がいくつ存在するかをリンクデータ内に記録する。
【0048】
ステップS108:CPU17は、編集前後の画像比較を行うための比較画面をモニタ18に表示する。上記の比較画面には、CPU17の制御によって、画像編集処理の前後の2つの画像(編集元の画像および編集画像)が縮小状態で左右に並べて同時に表示される。なお、本実施形態の比較画面では、左側に編集元の画像が表示され、右側に編集画像が表示される。
【0049】
また、比較画面には、CPU17の制御によって、各々の表示画像の画像ファイル名と、編集画像の画像ファイルに記憶されていた画像編集の内容とが表示される。なお、CPU17は、上記のリンクデータ(S107)に基づいて、比較する画像を切り替えるためのポインタを比較画面上に表示する。
【0050】
図5にS108での比較画面の一例を示す。ここで、以下の例において、基準画像N1は、画像N2に画像編集処理を施して生成された編集画像である。また、画像N2には、基準画像N1とは別の編集画像N3が存在するものとする。また、画像N4,N5は、それぞれ基準画像N1に画像編集処理を施して生成された編集画像である。上記の画像N5は、基準画像N1と画像N6とを合成して生成された編集画像(合成画像)とする。さらに、画像N7は、画像N4に画像編集処理を施して生成された編集画像とする。
【0051】
CPU17は、S108の比較画面の初期状態(図5)のときに、基準画像N1(図5左側)と、画像N1に対する編集画像N4(図5右側)とをモニタ18上に並べて表示する。また、比較画面の基準画像N1の上には、CPU17の制御によって選択用のカーソルが重ねて配置される。
【0052】
また、CPU17は、リンクデータ(S107)に基づいて、基準画像N1に関連する他の画像を示すポインタと、表示中の編集画像N4に関連する他の画像を示すポインタとを比較画面に表示する。図5において基準画像N1の左側には、基準画像N1の編集元の画像N2を示すポインタが表示される。また、図5において編集画像N4の下側には、基準画像N1の編集画像N5を示すポインタが表示される。さらに、図5において編集画像N4の右側には、編集画像N7を示すポインタが表示される。
【0053】
なお、一例として記憶媒体21に編集画像N5の画像ファイルがなかった場合には、画像N5に関するリンクデータをCPU17が生成しないため(S106)、図5の比較画面において編集画像N5を示すポインタが表示されなくなる。
【0054】
そして、ユーザーは操作部材19を介して画面上のカーソルを操作することで、比較画面上の表示画像の選択や、各々のポインタの指定をCPU27に対して行うことができる。CPU17は、比較画面の表示画像にカーソルを合わせた状態で拡大指示の入力を受け付けると、カーソルで指定されている画像を拡大表示する。また、CPU17は、比較画面上の表示画像にカーソルを合わせた状態でポインタの方向を指定する入力をさらに受け
付けると、比較画面の表示切替を実行する。
【0055】
ステップS109:CPU17は、比較画面の一方の画像の拡大指示の入力を受け付けたか否かを判定する。上記入力がある場合(YES側)にはS110に移行する。一方、上記入力がない場合(NO側)にはS111に移行する。
【0056】
ステップS110:CPU17は、比較画面のカーソルで指定された画像を拡大表示する。例えば、CPU17は、通常の再生モードでの再生と同様の形式で、比較画面の一方の画像をモニタ18に全画面表示する。なお、S110での拡大表示の解除後には、CPU17はS113に処理を移行する。
【0057】
ステップS111:CPU17は、比較画面上のポインタに関する入力を受け付けたか否かを判定する。上記入力がある場合(YES側)にはS112に移行する。一方、上記入力がない場合(NO側)にはS113に移行する。
【0058】
ステップS112:CPU17は、比較画面(S108)の表示の切り替えを実行する。具体的には、CPU17は、元の比較画面に含まれる一方の画像を残して、他方の画像を指定されたポインタに対応する画像と入れ替える。そして、CPU17は、入れ替え後の2つの画像を比較画面に並べて表示する。また、CPU17は、上記のS102からS108までの処理と同じ要領で新たなリンクデータを生成し、S112の新たな比較画面においてもリンクデータに基づくポインタを表示する。
【0059】
図6から図8は、図5の比較画面からポインタの入力に応じて遷移した新たな比較画面をそれぞれ示した図である。図6は、画像N2を示すポインタによって遷移した新たな比較画面を示す。図6の比較画面では、編集元の画像N2(図6左側)と、画像N2の編集画像である画像N1(図6右側)とが左右に並んで表示される。そして、図6において画像N1の下側には、画像N2の編集画像である画像N3を示すポインタが表示される。また、図6において画像N1の右側には、画像N1の編集画像である画像N4を示すポインタが表示される。
【0060】
図7は、画像N5を示すポインタによって遷移した新たな比較画面を示す。図7の比較画面では、一方の編集元の画像N1(図7左側)と、画像N1を用いた合成画像である画像N5(図7右側)とが左右に並んで表示される。そして、図7において画像N1の左側には、画像N1の編集元の画像である画像N2を示すポインタが表示される。また、図7において画像N1の下側には、画像N5に対する他方の編集元の画像である画像N6を示すポインタが表示される。さらに、図6において画像N5の上側には、画像N1の編集画像である画像N4を示すポインタが表示される。
【0061】
図8は、画像N7を示すポインタによって遷移した新たな比較画面を示す。図8の比較画面では、編集元の画像N4(図8左側)と、画像N4の編集画像である画像N7(図8右側)とが左右に並んで表示される。そして、図8において画像N4の左側には、画像N4に対する編集元の画像である画像N1を示すポインタが表示されることとなる。
【0062】
ステップS113:CPU17は、比較画面の表示終了指示を受け付けたか否かを判定する。表示終了指示がある場合(YES側)には、CPU17は図4の処理を終了する。一方、表示終了指示がない場合(NO側)には、CPU17はS109に戻って上記動作を繰り返す。以上で、図4の説明を終了する。
【0063】
以下、本実施形態の電子カメラの作用効果を説明する。本実施形態の電子カメラでは、画像ファイルに記録された識別データに基づいて、CPU17が画像編集の前後の画像を
モニタ18に並べて表示する。そして、CPU17は、ユーザーの操作に応じて、比較画面に表示されている一方の画像を拡大して表示する。そのため、本実施形態の構成によれば、編集元の画像と編集画像とを対比観察することで、ユーザーが画像編集の効果を容易かつ迅速に確認することが可能となる。
【0064】
さらに、元画像と編集画像とが連番で記録されていない場合を考えると、通常の再生モードでは、ユーザーが2つの画像を対比するためには関連性のない画像を順次送る操作が必要となる。しかし、上記実施形態では、画像編集によって関連性を有する画像群を比較画面上で簡単に切り替えて表示できるので、電子カメラの利便性が一層向上する。
【0065】
(実施形態の補足事項)
(1)上記実施形態では電子カメラで画像の再生を行う例を説明した。しかし、本発明では、画像ファイルを再生する機能を備えるビューアー(例えばフォトストレージやPDAなど)や、携帯電話や、画像再生プログラムを実行する汎用コンピュータで上記実施形態の電子カメラと同様の機能を有する画像再生装置を構成してもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では、元画像の画像ファイルと、編集画像の画像ファイルとに相互にファイル名を記録する例を説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されず、編集画像または元画像の画像ファイルの一方のみに相手方のファイル名を記録してもよい。この場合は、特に編集画像の画像ファイルに元画像のファイル名を記録することが好ましい。
【0067】
(3)上記実施形態では編集前後の画像ファイルの対応付けをファイル名で管理する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU17は、一方のの画像ファイルのヘッダ領域に、他方の画像ファイルの所在を示す文字列情報(パス)を記録するようにしてもよい。
【0068】
(4)CPU17は、ヘッダ領域にファイル名の記録された画像ファイルを消去する場合には、消去対象と関連性のある編集画像や元画像の画像ファイルのファイル名を更新または削除してもよい。例えば、元画像が削除される場合に、CPU17は、残された編集画像の画像ファイルを、削除される画像よりも上位の元画像に関連付けし直してもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、画像編集モードにおける画像編集処理によって編集画像の画像ファイルが生成される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電子カメラが撮像時に自動的に生成した編集画像の画像ファイルについて本発明を適用してもよい。
【0070】
なお、本発明は、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施形態の電子カメラの構成を示すブロック図
【図2】画像ファイルのデータ構造を示す模式図
【図3】画像編集モードのメニュー画面の一例を示す図
【図4】編集前後の画像比較のときの電子カメラの動作例を説明する流れ図
【図5】S108での比較画面の一例を示す図
【図6】図5の比較画面から遷移した新たな比較画面を示す図
【図7】図5の比較画面から遷移した新たな比較画面を示す図
【図8】図5の比較画面から遷移した新たな比較画面を示す図
【符号の説明】
【0072】
12…撮像素子、14…画像処理部、16…記録I/F、17…CPU、18…モニタ、19…操作部材、21…記憶媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像と、前記第1画像に画像編集を施した第2画像とを再生可能な画像再生装置であって、
前記第1画像のデータを含む第1画像ファイルおよび前記第2画像のデータを含む第2画像ファイルを読み込むデータ読込部と、
画像の再生表示を行う表示部と、
ユーザーの入力を受け付ける操作部と、
前記操作部の入力に応じて前記再生表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1画像から生成した前記第2画像を示す第1識別データが前記第1画像ファイルに含まれる場合および前記第2画像の編集元の前記第1画像を示す第2識別データが前記第2画像ファイルに含まれる場合の少なくとも一方のときに、前記第1識別データおよび前記第2識別データの少なくとも一方に基づいて、画像編集前後の前記第1画像および前記第2画像を同時に表示する比較画面を前記表示部に表示させることを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像再生装置において、
前記制御部は、前記比較画面の表示中に前記第1画像または前記第2画像を指定する入力があるときに、前記指定された画像を拡大表示する画面へ前記表示部の表示状態を遷移させることを特徴とする画像再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像再生装置において、
前記第1画像が元画像に画像編集を施して生成された画像であって、前記第1画像ファイルが前記元画像を示す第3識別データをさらに含むときに、
前記制御部は、前記第3識別データに基づいて、前記元画像の存在を示すマークを前記比較画面に表示するとともに、前記操作部の入力に応じて前記元画像および前記第1画像を同時に表示する状態に前記比較画面を変化させることを特徴とする画像再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像再生装置において、
前記第2画像に画像編集を施して生成された第3画像が存在し、前記第2画像ファイルが前記第3画像を示す第4識別データをさらに含むときに、
前記制御部は、前記第4識別データに基づいて、前記第3画像の存在を示すマークを前記比較画面に表示するとともに、前記操作部の入力に応じて前記第2画像および前記第3画像を同時に表示する状態に前記比較画面を変化させることを特徴とする画像再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像再生装置において、
前記第1画像ファイルが前記第1識別データを複数含むときに、
前記制御部は、前記第1画像に対して前記第2画像が複数存在することを示すマークを前記比較画面に表示するとともに、前記操作部の入力に応じて前記比較画面の前記第2画像を変更することを特徴とする画像再生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像再生装置において、
前記第2画像ファイルが前記第2識別データを複数含むときに、
前記制御部は、前記第2画像に対して前記第1画像が複数存在することを示すマークを前記比較画面に表示するとともに、前記操作部の入力に応じて前記比較画面の前記第1画像を変更することを特徴とする画像再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像再生装置において、
前記第2画像ファイルは、前記第2画像に関する画像編集の内容を示すデータをさらに含み、
前記制御部は、前記比較画面に前記画像編集の内容を表示することを特徴とする画像再生装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像再生装置において、
前記第1画像のデータに画像編集を施して前記第2画像のデータを生成する画像処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記画像編集のときに前記第1識別データを前記第1画像ファイル内に記録するとともに、前記第2識別データを前記第2画像ファイル内に記録することを特徴とする画像再生装置。
【請求項9】
被写体を撮像して第1画像のデータを生成する撮像部と、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像再生装置と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像再生装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−165462(P2012−165462A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106636(P2012−106636)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【分割の表示】特願2007−201925(P2007−201925)の分割
【原出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】