説明

画像再生装置、画像再生方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】 複数の画像の中から特定の画像を検索して再生する際に、前記ユーザが所望する画像を容易に且つ迅速に検索することができるようにする。
【解決手段】 画像送りスイッチ68が所定の時間継続して押し続けられたときに、サムネイル画像を順次コマ送りして画像表示部28に表示し、前記サムネイル画像を表示している最中に、画像送りスイッチ68の押し下げ操作が解除された時には、そのときに表示しているサムネイル画像の1枚前に表示したサムネイル画像と同一の画像ファイル300内にある本画像を表示するようにすることにより、画像送りスイッチ68からユーザが指を離した時点と、目的のサムネイル画像が表示された時点とのタイムラグを勘案して、高解像度の本画像を表示することできるようにし、ユーザが所望する本画像を容易に且つ迅速に検索することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再生装置、画像再生方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関し、特に電子的に記録された静止画像や動画像を表示装置上に再生するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近時、静止画像や動画像を撮像素子で撮像し、前記撮像した静止画像や動画像を固体メモリ素子により構成されるメモリカードなどの記録媒体に記録して、前記記録した静止画像や動画像を再生するようにする技術が提案されている。
【0003】
このような静止画像や動画像を電子的に記録して再生する撮像機能を備えた電子カメラ等の画像再生装置は、一般市場において既に流通している。なお、以下の説明では、前記静止画像や動画像を必要に応じて単に画像と称する。
【0004】
ところで、前記画像再生装置には、通常、カラー液晶パネルなどの液晶表示パネルが具備されており、撮像時に被写体を確認するための電子ファインダー機能や、撮像後の画像ファイルの内容を確認するための再生画像表示機能を、この液晶表示パネルを用いてユーザに提供するようにしている。
【0005】
具体的に説明すると、前記電子ファインダー機能では、前記液晶表示パネルに表示した撮像時の被写体像の構図をユーザが決定することができるようにしている。
【0006】
また、前記再生画像表示機能では、撮影した画像を前記液晶表示パネルに再生表示して、思い通りの写真が撮影できたかなどをユーザが確認することができるようにしている。
【0007】
そして、このような再生画像表示機能において、大容量のメモリカードを使用すれば、大量の画像を画像ファイルとして記録しておくことができるようになるが、大容量のメモリカードに記録されている大量の画像の中から特定の画像を再生する際には、大量の画像ファイルの中からユーザが特定の画像を探し出す必要がある。
【0008】
そこで、画像をコマ送りして表示するための操作キーを継続して押下することなどにより、前記液晶表示パネルに画像を連続的にコマ送りして表示させるようにする早送り機能を有する電子カメラが提案されている。そして、このような早送り機能を有する電子カメラは、特定の画像を効率的に見つけ出すことができるので、ユーザに支持されている。
【0009】
また、この早送り機能については、米国特許第5933137号明細書(特許文献1)において開示されている。
これによれば、低解像の画像と高解像の画像との両方を1つの画像ファイルに内包している。
そして、ユーザが前記操作キーを継続して押下している間は、前記低解像の画像を連続して前記液晶表示パネルにコマ送りして表示する。
【0010】
その後、ユーザが前記操作キーを継続して押下することを止めたときには、そのときに表示されている低解像の画像に対応する(すなわち、前記低解像の画像と同一の画像ファイルに内包されている)高解像の画像を、前記液晶表示パネルの解像度に応じて前記液晶表示パネルに表示する。
このようにして前記米国特許第5933137号明細書に記載されている技術では、早送り機能を実現している。
【0011】
そして、このように構成することで、画像を高速でコマ送りするときには、伸長に時間のかからない低解像の画像を次々と液晶表示パネルに早送りして表示させておき、ユーザが見たい画像を表示するときには、前記早送りを止めたときに表示されている低解像の画像に対応する高解像の画像を伸長して、液晶表示パネルの解像度に最適な画像を表示させることが可能となる。
【0012】
なお、低解像の画像と高解像の画像との両方を1つのファイルに内包すること自体は、米国特許第5164831号明細書(特許文献2)等において開示されている。
【0013】
【特許文献1】米国特許第5933137号明細書
【特許文献2】米国特許第5164831号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このように、従来の電子カメラ等の画像再生装置では、画像をコマ送り(早送り)して表示するための操作キーを継続して押下することにより実行される前記早送り機能を使って、大量の画像の中から特定の画像を探すことになる。そして、目的の低解像の画像が表示されたところで、前記操作キーを離してコマ送り(早送り)を停止することになる。
【0015】
しかしながら、前記低解像の画像をコマ送り(早送り)する際の速度は非常に早いので、ユーザが目的の画像が表示されたと思ったときに、前記操作キーを離したとしても、現実には、前記操作キーを離すタイミングが、目的の画像を表示するタイミングよりも遅れてしまい、多くの場合は1〜2枚程度行き過ぎた画像を表示してしまうことが常であった。このような場合、コマ送り(早送り)を停止した後に、目的の画像が表示されるまで戻す操作を行う必要があり、ユーザにとっては操作感がよいものとは言えないという問題があった。
【0016】
このように、従来の技術では、複数の画像の中から特定の画像を検索して再生する際に、前記特定の画像を迅速に検索することが困難であるという問題点があった。
【0017】
本発明は前述の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の画像の中から特定の画像を検索して再生する際に、前記特定の画像を容易に且つ迅速に検索することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の画像再生装置は、画像ファイルから画像を表示する表示手段と、複数の画像ファイルから該表示手段に表示された画像をコマ送りするための操作部材と、画像ファイルの画像を表示させる制御手段とを有する画像再生装置において、前記画像ファイルは、ファイル内に同一画像の解像度の異なる複数の画像を包含するファイル構造を有するものであり、前記制御手段は、前記操作部材がユーザによって所定時間継続して操作状態にされていることを検知したときには、前記画像ファイルのうち低解像の画像を連続して表示手段に順次コマ送り表示し、前記操作状態が解除されたことを検知したときには、所定枚数前にコマ送り表示された低解像の画像に対応する高解像の画像のみを前記画像ファイルから抽出して伸長し、当該低解像の画像を再度表示することなく、表示手段に表示することを特徴とする。
また、本発明の他の特徴とするところは、記録媒体に記録された複数の画像ファイル内の画像を表示装置に表示する表示手段と、前記表示手段により前記表示装置に画像を表示する際にユーザにより操作される操作部材とを有する画像再生装置であって、前記複数の画像ファイルは、それぞれ第1の画像と、前記第1の画像よりも高い解像度の第2の画像とを含む同一内容の画像を複数包含し、前記表示手段は、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイル内の第1の画像をコマ送りで順次表示し、前記第1の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している第1の画像の所定枚数前に表示した第1の画像と同一の画像ファイル内にある第2の画像のみを抽出して伸長し、当該第1の画像を再度表示することなく、表示する点にある。
【0019】
本発明の画像再生方法は、ユーザによる操作部材の操作に基づいて、記録媒体に記録された複数の画像ファイル内の画像を表示装置に表示する表示処理を行う画像再生方法であって、前記複数の画像ファイルは、それぞれ第1の画像と、前記第1の画像よりも高い解像度の第2の画像とを含む同一内容の画像を複数包含し、前記表示処理は、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイル内の第1の画像をコマ送りで順次表示し、前記第1の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している第1の画像の所定枚数前に表示した第1の画像と同一の画像ファイル内にある第2の画像のみを抽出して伸長し、当該第1の画像を再度表示することなく、表示することを特徴とする。
【0020】
本発明のコンピュータプログラムは、ユーザによる操作部材の操作に基づいて、記録媒体に記録された複数の画像ファイル内の画像を表示装置に表示する表示処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記複数の画像ファイルは、それぞれ第1の画像と、前記第1の画像よりも高い解像度の第2の画像とを含む同一内容の画像を複数包含し、前記表示処理は、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイル内の第1の画像をコマ送りで順次表示し、前記第1の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している第1の画像の所定枚数前に表示した第1の画像と同一の画像ファイル内にある第2の画像のみを抽出して伸長し、当該第1の画像を再度表示することなく、表示することをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記コンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、複数の画像を順次高速で表示しつつ、目的の画像をユーザが見つけたところで解像度の高い画像を迅速に表示させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザによる操作部材の操作に基づいて、複数の画像ファイル内の画像を表示するに際し、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイルのそれぞれに含まれている低解像の画像をコマ送りで順次表示し、前記低解像の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している低解像の画像の所定枚数前に表示した低解像の画像と同一の画像ファイル内にある高解像の画像を、当該低解像の画像を再度表示することなく表示するようにしたので、ユーザが操作部材の操作状態を解除する時と、低解像の画像を表示する時との時間的なずれを考慮して、高解像の画像を表示することができる。
【0024】
したがって、複数の画像ファイル内の画像の中から所望の画像を検索する際に、検索対象外の画像については、低解像の画像をコマ送りして1枚の画像を表示するのに要する時間を短縮することができるようになり、検索対象の画像については、伸長に時間のかかる高解像の画像を迅速に表示することができるようになる。
これにより、大量の画像の中から、ユーザが所望する画像を、容易に且つ迅速に検索することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態における画像再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、100は画像再生装置全体をあらわす。10は撮影レンズである。12は、絞り機能を備えるシャッターである。14は、光学像を電気信号に変換する撮像素子である。16は、撮像素子14のアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0026】
18は、撮像素子14、A/D変換器16、及びD/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路である。このタイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0027】
20は画像処理回路である。この画像処理回路20は、A/D変換器16からのデータ、或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0028】
また、画像処理回路20は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行う。そして、前記演算処理を行うことにより得られた結果に基づいて、システム制御回路50から露光制御手段40と、測距制御手段42とに対して、公知のAF(オートフォーカス)処理や、AE(自動露光)処理等を行うようにしている。
【0029】
また、画像処理回路20は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、前記演算処理を行うことにより得られた結果に基づいて、公知のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。この他、画像処理回路20により行われる演算処理の結果に基づいて、システム制御回路50からズーム制御手段44に対して、所定のズーム処理も行うようにしている。
【0030】
22はメモリ制御回路である。このメモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、及び圧縮・伸長回路32を制御する。
【0031】
そして、A/D変換器16でA/D変換された画像データは、画像処理回路20とメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれたり、メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれたりする。
【0032】
24は画像表示メモリである。26はD/A変換器である。28はTFT(Thin Film Transistor)やLCD(liquid Crystal Display)等から成る画像表示部である。
【0033】
画像表示メモリ24に書き込まれた画像データは、D/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
ここで画像表示部28により画像データを逐次表示すれば、電子ファインダー機能を実現することが可能である。
【0034】
また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFF(オンまたはオフ)することが可能であり、表示をOFFにした場合には画像再生装置100の電力消費を低減することが出来る。
【0035】
30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリである。このメモリ30は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。
【0036】
これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影や、パノラマ撮影を行う場合にも、画像を高速にメモリ30に対して書き込むことが可能になるとともに、大量の画像をメモリ30に対して書き込むことが可能になる。
また、メモリ30は、システム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0037】
32は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路である。この圧縮・伸長回路32は、メモリ30に格納された画像データを読み出して圧縮処理或いは伸長処理を行い、これらの処理を終えた画像データをメモリ30に書き込む。
【0038】
50は、画像再生装置100全体を制御するシステム制御回路である。52は、システム制御回路50が動作する際に使用する定数、変数、及びプログラム等を記憶するメモリである。
【0039】
60、62、66及び68は、システム制御回路50に対して各種の動作指示を入力するための操作手段である。これらの操作手段60、62、66、68は、スイッチやダイアル等により構成される。
【0040】
ここで、これらの操作手段の具体的な説明を行う。
60はモード切り替えスイッチである。ユーザは、このモード切り替えスイッチ60を操作することで、撮影モード、再生モード、及びマルチ画面再生モード等の各モードを切り替え設定することが出来る。
【0041】
62はシャッタースイッチである。ユーザは、このシャッタースイッチ62を押下することで、撮像の開始を指示する。
66は画像表示ON/OFFスイッチである。ユーザは、この画像表示ON/OFFスイッチ66を操作することで、画像表示部28における表示のON/OFF(オンまたはオフ)を設定することが出来る。
【0042】
この画像表示ON/OFFスイッチを操作して画像表示部28における表示をオフすることにより、光学ファインダー104を用いて撮影を行う際に、TFTやLCD等から成る画像表示部22への電流供給を遮断することでき、省電力化を図ることが可能となる。
【0043】
68は、画像表示部28に表示されている画像を送るための画像送りSW(画像送りスイッチ)である。この画像送りスイッチ68は、モード切り替えスイッチ60により再生モードが設定されているときに操作されるものである。
【0044】
また、画像送りスイッチ68は、前の画像に送るためのスイッチ(SW)である左ボタン68aと、次の画像に送るためのスイッチ(SW)である右ボタン68bとから構成される(図2を参照)。
【0045】
80は電源制御手段である。この電源制御手段80は、着脱可能な電源86とコネクタ82、84を介して接続される。
【0046】
90は、メモリカードやハードディスク等の着脱可能な記録媒体200とのインタフェース(I/F)である。92は、前記メモリカードやハードディスク等の着脱可能な記録媒体200と接続を行うコネクタである。
【0047】
なお、インタフェース90およびコネクタ92は、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データを通信することができるようにも構成されている。
【0048】
200は、メモリカードやハードディスク等から成る着脱可能な記録媒体である。
この記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202と、画像再生装置100とのインタフェース(I/F)204と、画像再生装置100と接続を行うためのコネクタ206とを備えている。
また、画像再生装置100は、フラッシュ48や不揮発性メモリ56も備えている。
【0049】
図2は、本実施の形態における画像再生装置の背面における様子を主として示した外観図である。なお、図2において、図1に示したものと同一の部材については同一の符号を付している。
【0050】
特に、104は光学ファインダーである。この光学ファインダー104を覗くことにより、ユーザは、画像表示部28による電子ファインダー機能を使用することなく、被写体像を観察することが可能になる。
【0051】
また、98は、着脱可能な記録媒体200を着脱するための開閉蓋である。
また、前述したように、画像送りスイッチ68は、左ボタン68aと右ボタン68bとを有している。
【0052】
前記再生モード時に左ボタン68aが一度押下されると、一枚前の画像を画像表示部28に表示するようにしている。また、同じく再生モード時に右ボタン68bが一度押下されると、一枚後の画像を画像表示部28に表示するようにしている。なお、これら左ボタン68aと右ボタン68bにおける操作仕様の詳細については後述する。
【0053】
図3は、本実施の形態における画像再生装置100に記録される画像ファイルのファイル構造の一例を示す図である。なお、本実施の形態では、公知のJPEGフォーマットを用いて画像ファイルを構成する場合を例に挙げて説明する。
【0054】
図3において、300は一枚のJPEG画像ファイルを表す。
301は、このJPEG画像ファイル300に付随する撮影情報等の付加情報が記述される領域である。302は、画像表示部28に画像の一覧などを表示する場合に用いられる低解像の画像であるサムネイル画像を格納する領域である。
【0055】
303は、他のコンピュータ(PC)の画面上で画像を鑑賞する場合や、プリンタで画像をプリントする場合などに用いられる高解像の被写体像である本画像を格納する領域である。尚、本実施形態においては、後述するように、画像表示部28に表示する場合にも本画像を用いる。
【0056】
前記サムネイル画像や本画像は、圧縮・伸長回路32によって圧縮されて格納されており、表示の際にはそれぞれの領域の画像が伸長されて表示される。ただし、前記サムネイル画像は圧縮されないこともある。
【0057】
このような構成の画像ファイル300は、撮像後に記録媒体200に記録される。前記記録された画像ファイル300は、前記再生モード時に呼び出され、前記呼び出された画像ファイル300の必要領域が圧縮・伸長回路32で伸長されて、画像表示メモリ24に一旦格納される。
【0058】
そして、前記一旦格納された画像ファイル300の必要領域に記録されている画像が、D/A変換器26を介して画像表示部28に表示される。
なお、本実施の形態における撮像モードに関わるルーチンは、公知の撮像ルーチンであるので詳細な説明を省略する。
【0059】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本実施の形態における画像再生装置100における再生モード時の動作を説明する。
【0060】
まず、最初のステップS401において、ユーザによるモード切り替えスイッチ60の操作により、モードが再生モードに切り替えられると、再生モードのルーチンを開始する。
【0061】
次に、ステップS402において、メモリ制御回路22は、基準となる画像を画像表示部28に表示する(ステップS402)。前記基準となる画像とは、撮影直後であればその撮影した画像である。また、画像再生装置100の電源86がONの時であれば、記録媒体200に格納されている最初の画像である。
【0062】
なお、記録媒体200に格納されている複数の画像ファイルは、ファイル番号やファイル名によって順序付けられているものとする。
【0063】
次に、ステップS403において、システム制御回路50は、画像送りスイッチ68のうち、画像を逆順方向に送る(つまり、前記基準となる画像より前に順序付けられている画像ファイルの方向にコマ送りを進める)ための左ボタン68aが、ユーザによって押し下げられているかどうかを判断する。
【0064】
この判断の結果、左ボタン68aが押し下げられている場合には、ステップS404に進み、システム制御回路50は、さらに所定の時間継続して左ボタン68aが押し続けられているかどうかを判断する。
【0065】
この判断の結果、前記所定の時間継続して左ボタン68aが押し続けられていないときには(すなわち、左ボタン68aが短時間のうちに一回だけ押し下げられた場合には)、ステップS405に進む。
【0066】
そして、ステップS405において、メモリ制御回路22は、前記基準となる画像の一枚前にある画像ファイル300内の本画像データを、圧縮伸長回路32を用いて伸長して画像表示部28に表示する。
【0067】
なお、複数の画像ファイルのうち、前記基準となる画像が順序付けの最初に相当する場合には、最後に順序付けられている画像ファイル300内の本画像をサイクリックに表示するものとする。そして、ステップS415に進み、前記画像表示部28に表示した画像を継続して表示する。
【0068】
前記ステップS404において、前記所定の時間継続して左ボタン68aが押し続けられていると判断されたときには、画像ファイル300を逆順方向に高速に検索するためのステップS406とステップS407における表示処理を開始する。
【0069】
つまり、ステップS406では、メモリ制御回路22は、前記基準となる画像の一枚前にある画像ファイル300内のサムネイル画像を、圧縮伸長回路32を用いて伸長して画像表示部28に表示する。
【0070】
そして、ステップS407において、システム制御回路50は、左ボタン68aが引き続き押し下げ続けられているかどうかを判断し、押し下げ続けられている場合には、ステップS406に戻り、メモリ制御回路22は、さらに一枚前にある画像ファイル300内のサムネイル画像を、圧縮伸長回路32を用いて伸長して画像表示部28に表示する。
【0071】
そして、左ボタン68aが押し下げ続けられている間は、ステップS406とステップS407の処理を繰り返し、逆順方向に次々とサムネイル画像を伸長して画像表示部28に表示する。
【0072】
このように高速で次々と画像表示部28に表示されるサムネイル画像は、低解像であるために、画像の概略程度にしか確認できないものであるが、見たい画像であるか否かをユーザが判断するのには、十分なものである。
【0073】
したがって、見たい画像があったと確認できたときに、ユーザは、左ボタン68aから指を離して押し下げ操作を止める。これにより、画像ファイル300を高速に検索するためのステップS406とステップS407における表示処理を止めて、ステップS408に進む(ステップS407のYES)。
【0074】
このように、ユーザは、見たい画像に対応するサムネイル画像が画像表示部28に表示されたのを確認した後に、左ボタン68aから指を離すようにするが、前述したステップS406とステップS407の処理で行われる画像の送り動作は、1秒間に数コマ以上の速度で行われる。
【0075】
しがたって、ユーザが左ボタン68aから指を離したことを検知した時に画像表示部28に表示されているサムネイル画像は、ユーザが目的とする画像ではなく、前記ユーザが目的とする画像を既に行き過ぎていることが常である。
【0076】
そこで、このような両者のタイムラグに鑑み、ステップS408では、ユーザが左ボタン68aから指を離したことを検知したときに表示しているサムネイル画像に対応する画像ファイル300を一枚戻し、前記一枚戻した画像ファイル300内の本画像を伸長して画像表示部28に表示する。そして、ステップS415に進み、前記画像表示部28に表示した画像を継続して表示する。
【0077】
また、前記ステップS403において、左ボタン68aが押し下げられていないと検知判断されたときには、ステップS409に進み、システム制御回路50は、画像送りスイッチ68のうち、画像を正順方向に送る(つまり、前記基準となる画像より後に順序付けられている画像ファイルの方向にコマ送りを進める)ための右ボタン68bが、ユーザによって押し下げられているかどうかを判断する。
【0078】
この判断の結果、右ボタン68bが押し下げられていない場合には、ステップS415に進み、前記基準の画像を継続して画像表示部28に表示する。
【0079】
一方、前記ステップS409において、右ボタン68bが押し下げられている場合には、ステップS410に進み、システム制御回路50は、さらに所定時間継続して右ボタン68aが押し続けられているかどうかを判断する。
【0080】
この判断の結果、前記所定の時間継続して右ボタン68bが押しつづけられておらず、右ボタン68bが短時間のうちに一回だけ押し下げられた場合には、ステップS411に進む。
【0081】
そして、ステップS411において、メモリ制御回路22は、前記基準となる画像の一枚後にある画像ファイル300内の本画像を、圧縮伸長回路32を用いて伸長して画像表示部28に表示する。そして、ステップS415に進み、前記画像表示部28に表示した画像を継続して表示する。
【0082】
また、前記ステップS410において、前記所定の時間継続して右ボタン68bが押し続けられていると検知されたときには、画像ファイル300を順方向に高速に検索するためのステップS412とステップS413における表示処理を開始する。
【0083】
つまり、ステップS412では、メモリ制御回路22は、前記基準となる画像の一枚後にある画像ファイル300内のサムネイル画像を、圧縮伸長回路32を用いて伸長して画像表示部28に表示する。
【0084】
そして、ステップS413において、システム制御回路50は、右ボタン68bが引き続き押し下げ続けられているかどうかを検知し、押し下げ続けられている場合には、ステップS412に戻り、メモリ制御回路22は、さらに一枚後にある画像ファイル300内のサムネイル画像を、圧縮伸長回路32を用いて伸長して画像表示部28に表示する。
【0085】
そして、右ボタン68bが押し下げ続けられている間は、ステップS412とステップS413の処理を繰り返し、順方向に次々とサムネイル画像を伸長して画像表示部28に表示する。
【0086】
その後、ユーザが右ボタン68bの押し下げ操作を止めたときには、ステップS414に進み、ユーザが右ボタン68bから指を離したことを検知したときに表示しているサムネイル画像に対応する画像ファイル300から一枚戻した画像ファイル300内の本画像を伸長して画像表示部28に表示する。そして、ステップS415に進み、前記画像表示部28に表示した画像を継続して表示する。
【0087】
以上のように本実施の形態では、画像送りスイッチ68が所定の時間継続して押し続けられたときに、低解像度のサムネイル画像を順次コマ送りして画像表示部28に表示し、前記低解像度のサムネイル画像を表示している最中に、画像送りスイッチ68の押し下げ操作が解除された時には、そのときに表示しているサムネイル画像の1枚前に表示したサムネイル画像と同一の画像ファイル300内にある本画像を表示するようにしたので、画像送りスイッチ68からユーザが指を離したことを検知した時点と、目的のサムネイル画像を表示する時点とのタイムラグを勘案して、高解像度の本画像を表示することできる。したがって、記録媒体に記録されている大量の画像の中から目的の画像を表示させるときに、高速検索機能を利用しつつ快適に目的の画像に到達することが可能となる。
【0088】
すなわち、高速検索時にユーザは見たい画像のサムネイル画像が表示されたのを確認してから指を離しても、実際にはサムネイル画像表示は行き過ぎてしまうにもかかわらず、瞬時に所望の画像が高解像で表示されるので、画像の行き過ぎに対する不快感を緩和することができる。したがって、低解像のサムネイル画像をコマ送りで表示することにより一枚の画像を表示するまでに必要な時間を短縮して画像を高速に表示することと、ユーザが見たい高解像の本画像を迅速に表示することとを同時に実現することができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、ユーザが画像送りスイッチ68から指を離した時に画像表示部28に表示されているサムネイル画像に対応する画像ファイル300の一枚前または一枚後の画像ファイル300内の本画像を表示するようにした。すなわち、画像ファイル300の行き過ぎ量を1枚にした。
【0090】
しかしながら、この量(行き過ぎ量)は、サムネイル画像の表示を切り替える速度(コマ送り速度)によって変わってくるものである。また、ユーザが画像再生装置100の操作に慣れているか否か等によっても変わってくるものである。したがって、これら(1秒当たりのサムネイル画像の表示枚数(コマ送り速度)や操作の熟練度)に合わせて前記行き過ぎ量を変化(決定)させることも可能である。
【0091】
また、標準的なユーザの反応速度に応じて前記行き過ぎ量を決定することも可能である。さらに、ユーザの反応速度を画像再生装置100が学習し、上記学習した反応速度に応じて前記行き過ぎ量を変化(決定)することも可能である。
【0092】
また、前記行き過ぎ量をユーザの設定により任意に指定することできるようにしてもよい。さらには、画像送りスイッチ68により入力圧を検知することができるように設定し、ユーザの入力圧に応じてコマ送り速度を変化させ、さらにこれに応じて前記行き過ぎ量を可変とすることも可能である。
【0093】
また、本実施の形態においては、画像ファイル300を高速に検索する処理に入るための指示を、操作部材として配設される画像送りスイッチ68の押し下げ操作によって行うようにしたが、たとえば、操作部材として回転ダイアルを配設し、前記配設した回転ダイアルが所定の速度で回転動作されたときに、画像ファイル300を高速に検索する処理に入るようにしてもよい。
【0094】
また、上記おいて、操作部材として配設されるボタン形状の画像送りスイッチ68の入力圧によって前記行き過ぎ量を可変とする構成の代わりに、操作部材としてジョイスティック状の入力部材を配設し、前記配設したジョイスティック状の入力部材の倒し角によって前記行き過ぎ量を可変とする構成にすることも可能である。
【0095】
以上のように、操作部材の形態や、画像ファイル300を高速に検索する処理に入る際にユーザによって行われる前記操作部材の操作内容等は、前述した本実施の形態で説明したものに限定されるものではない。
【0096】
(本発明の他の実施形態)
上述した実施形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、前記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0097】
また、この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0098】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0099】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態を示し、画像再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態を示し、画像再生装置の背面における様子を主として示した外観図である。
【図3】本発明の実施の形態を示し、画像再生装置に記録される画像ファイルのファイル構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態を示し、画像再生装置における再生モード時の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
28 画像表示部
68 画像送りスイッチ
100 画像再生装置
200 記録媒体
300 画像ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ファイルから画像を表示する表示手段と、
複数の画像ファイルから該表示手段に表示された画像をコマ送りするための操作部材と、
画像ファイルの画像を表示させる制御手段とを有する画像再生装置において、
前記画像ファイルは、ファイル内に同一画像の解像度の異なる複数の画像を包含するファイル構造を有するものであり、
前記制御手段は、前記操作部材がユーザによって所定時間継続して操作状態にされていることを検知したときには、前記画像ファイルのうち低解像の画像を連続して表示手段に順次コマ送り表示し、前記操作状態が解除されたことを検知したときには、所定枚数前にコマ送り表示された低解像の画像に対応する高解像の画像のみを前記画像ファイルから抽出して伸長し、当該低解像の画像を再度表示することなく、表示手段に表示することを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
記録媒体に記録された複数の画像ファイル内の画像を表示装置に表示する表示手段と、前記表示手段により前記表示装置に画像を表示する際にユーザにより操作される操作部材とを有する画像再生装置であって、
前記複数の画像ファイルは、それぞれ第1の画像と、前記第1の画像よりも高い解像度の第2の画像とを含む同一内容の画像を複数包含し、
前記表示手段は、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイル内の第1の画像をコマ送りで順次表示し、前記第1の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している第1の画像の所定枚数前に表示した第1の画像と同一の画像ファイル内にある第2の画像のみを抽出して伸長し、当該第1の画像を再度表示することなく、表示することを特徴とする画像再生装置。
【請求項3】
前記所定の操作状態とは、前記操作部材が所定の時間継続して同一の状態になることであることを特徴とする請求項2に記載の画像再生装置。
【請求項4】
前記コマ送りにより表示される画像の速度に応じて、前記所定枚数を設定する設定手段を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像再生装置。
【請求項5】
前記所定枚数を入力するために前記ユーザにより操作される第2の操作部材と、
前記第2の操作部材の操作内容に基づいて、前記所定枚数を設定する設定手段とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像再生装置。
【請求項6】
ユーザによる操作部材の操作に基づいて、記録媒体に記録された複数の画像ファイル内の画像を表示装置に表示する表示処理を行う画像再生方法であって、
前記複数の画像ファイルは、それぞれ第1の画像と、前記第1の画像よりも高い解像度の第2の画像とを含む同一内容の画像を複数包含し、
前記表示処理は、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイル内の第1の画像をコマ送りで順次表示し、前記第1の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している第1の画像の所定枚数前に表示した第1の画像と同一の画像ファイル内にある第2の画像のみを抽出して伸長し、当該第1の画像を再度表示することなく、表示することを特徴とする画像再生方法。
【請求項7】
前記所定の操作状態とは、前記操作部材が所定の時間継続して同一の状態となることであることを特徴とする請求項6に記載の画像再生方法。
【請求項8】
前記第1の画像がコマ送りにより表示される画像の速度に応じて、前記所定枚数を設定する設定処理を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の画像再生方法。
【請求項9】
前記所定枚数を入力するために前記ユーザにより操作される第2の操作部材の操作内容に基づいて、前記所定枚数を設定する設定処理を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の画像再生方法。
【請求項10】
ユーザによる操作部材の操作に基づいて、記録媒体に記録された複数の画像ファイル内の画像を表示装置に表示する表示処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記複数の画像ファイルは、それぞれ第1の画像と、前記第1の画像よりも高い解像度の第2の画像とを含む同一内容の画像を複数包含し、
前記表示処理は、前記操作部材が所定の操作状態にされたときには、前記複数の画像ファイル内の第1の画像をコマ送りで順次表示し、前記第1の画像をコマ送りで順次表示している最中に、前記所定の操作状態が解除されたときには、そのときに表示している第1の画像の所定枚数前に表示した第1の画像と同一の画像ファイル内にある第2の画像のみを抽出して伸長し、当該第1の画像を再度表示することなく、表示することをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記請求項10に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−25456(P2006−25456A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262659(P2005−262659)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【分割の表示】特願2003−30383(P2003−30383)の分割
【原出願日】平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】