画像処理による地図作成方法、その装置及びそのコンピュータプログラム
【課題】撮像装置によって得られた写真画像データから、簡便で即時性のある地図を作成する方法を提供すること。
【解決手段】携帯性に優れ、高性能かつ安価で容易に入手可能なデジタルカメラ、GPS、電子コンパス、数値地図データベース及びパソコンを用い、カメラの位置・姿勢を取得し、写真画像と同じ方向を見た数値地図データから作成されたコンピュータ画像を作成し、このコンピュータ画像に写真画像を重ね合わせ、この重ね合わせ画像に位置情報を逆投影することにより、写真画像に対応する地図を得ることができる。ビデオ又はコマ送り画像を利用して動画を得ることも可能になる。
【解決手段】携帯性に優れ、高性能かつ安価で容易に入手可能なデジタルカメラ、GPS、電子コンパス、数値地図データベース及びパソコンを用い、カメラの位置・姿勢を取得し、写真画像と同じ方向を見た数値地図データから作成されたコンピュータ画像を作成し、このコンピュータ画像に写真画像を重ね合わせ、この重ね合わせ画像に位置情報を逆投影することにより、写真画像に対応する地図を得ることができる。ビデオ又はコマ送り画像を利用して動画を得ることも可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、民生用品を使用して災害監視などに利用される地図(位置情報を有する画像)を低価格、かつ、高性能で作成することのできる画像処理による地図作成方法、その装置及びそのコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火山噴火、雪崩、斜面崩壊、山火事、河川氾濫、津波などの災害が発生した場合の他、植生分布の変化を調査したい場合などには、飛行機、ヘリコプター、人工衛星などによって高度のある上空から特殊な専用の計測装置により撮影された写真画像を用いて災害状況などを示す画像の地図化がなされてきた。
しかし、緊急を要する場合には、人工衛星では地球を一周する周期が長くて間に合わず、たとえ、利用できたとしても高額な費用がかかる。飛行機やヘリコプターでは、天候によっては飛ばせなかったり、飛ばすのに許可を必要としたりするだけでなく、計測には多大な費用がかかり、緊急の場合には不向きである。
また、写真画像を用いて位置情報を有する地図画像に変換するには、地上に地図座標の既知点であるいわゆる基準点を設置しなければならず、緊急時に山岳地域に基準点を設置することは容易でなかった。スカイラインなどの輪郭を示す特徴線を利用した方法もあるが、雨、雲、霧、噴煙などが発生したときにはスカイラインを捉えられないなどの地図画像の取得方法に制限があり、また、写真画像の処理にも時間がかかるために、緊急な事態に対応する迅速な計測に難点があった。
【0003】
一方、地上から一般的な写真を撮影する方法は、撮影が容易で観察に便利なこともあり、広く利用されているが、これらはあくまで風景写真であるため、現象の概略は分かっても、その位置を即座に求めることができない。リアルタイムでの観測には、ビデオ映像や定点カメラが多くの現場で利用されているが、計測という観点からは不十分である。
例えば、噴煙の場所、火砕流や溶岩流の流下位置(一体標高何mまで降りてきたのか)、面積、方向、速度などは写真画像では分からない。さらに、これらの地上から撮影された写真を地図上の正確な位置に変換するには、撮影された写真画像内に最低3点の基準点を必要とするとともに、特殊な専用の装置を必要とするステレオ写真の撮影が不可欠である、という問題点があった。
【0004】
このような状況にあって、特殊な専用の装置を必要とせず、低価格かつ簡便で即時性のある計測装置と地図作成方法が望まれていた。特に、災害などの緊急を要する事態においては、航空機の利用が困難であり、また、長時間連続した計測を必要とする場合の有効、低価格、簡便性、即時性のある計測装置と地図作成方法が強く望まれていた。
【0005】
そこで、本発明者等は、図13及び図14に示すような市販のデジタルカメラと、カメラの撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力するGPSと、地形標高データベースと、パソコンとを具備し、前記GPSの緯度、経度、高度に基づき、パソコンにてカメラの方位角と上下角を演算し、これらにより山岳の透視画像(コンピュータ画像)を作成し、この透視画像とカメラの写真画像とを重ね合わせて幾何補正した地図を作成する地図の作成方法をすでに提案している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−139532号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は、特殊な専用の装置を必要とせず、低価格かつ簡便で即時性のある地図作成ができ、災害などの緊急を要する事態において、航空機の利用が困難であり、また、長時間連続した計測が必要な場合の有効、低価格、簡便性、即時性のある地図作成が可能である。
さらに詳しくは、図13及び図14において、デジタルカメラなどの撮像装置10の設置点をP、被写体である火山29をQ、これらの水平距離をD、水平ラインをL、撮像装置10の光軸をO、撮像装置10の焦点をF、焦点距離をf、方位角をα、火山29の俯角をθ、撮像装置10の上下角をβ、焦点Fから光軸Oまでの距離をm、γ=θ−βとすれば、α、β、γが演算処理で求められる。
また、回転、縮小、縮尺変換も座標変換により求められる。
【0007】
しかし、この方法では、被写体である火山29の点Qの位置を、予め調査し、かつ、GPSの緯度、経度、高度に基づき、パソコンにてカメラの方位角と上下角を演算して求めておかなければならないので、パソコンによる演算に時間がかかり、即時性にやや問題があるだけでなく、演算され方位角と上下角の精度にも問題があるという問題があった。
本発明の第1の目的は、本発明装置によって得られた写真画像データ、特に従来困難であった地上からの写真画像データに基づき、簡便で即時性のある地図を作成する方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、画像撮影と同時に、カメラの位置と姿勢を計測する簡便な装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、本発明装置によって得られたデータから、リアルタイムで地図投影済みのビデオ又はコマ送り画像を、撮影対象の動きや変化が地球上で動画として見える地図を作成する方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、本発明装置によって得られたデータから、デジタルの写真画像におけるすべての点の地図座標と、標高、対応する数値地形図上の位置が分かっているので、デジタルの写真の任意の位置、直線、曲線をリアルタイムで地図に投影する地図を作成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般的に市販されている民生用カメラ、衛星を利用して位置を計測する装置(GPSなど)、カメラの姿勢と方位を含む3軸を計測できる装置(電子コンパス)及びノート型パーソナルコンピュータが、近年の技術進歩により携帯性に優れ、高性能かつ安価で容易に入手可能であることに着目し、さらに地形標高データが格子状に数値化されている数値地図データが一般的に市販され容易に入手可能であることに着目し、写真画像とカメラの位置と姿勢が同時に取得できる装置により撮影された撮影対象の写真画像と同じ方向を見た数値地図データから作成されたコンピュータ画像を重ね合わせ、かつ、コンピュータ画像から位置情報を写真画像に与えるという逆投影をし、写真画像に対応する地図を得ることができる。近年の機器の精度の向上で重ね合わせによるずれはほとんど発生しない。しかし、目的によっては、拡大写真など更に高い精度を要する場合には、必要に応じて特徴点や特徴線を用いてより精密に重ね合わせ、地図に逆投影することにより、写真画像に対応するより精確な地図を得ることができる。このずれは少ないので、幾何補正したとしても短時間で処理できる。また、ビデオ又はコマ送り画像を利用することも可能になり、従来の課題が解決でき、本発明を達成されることを見出した。
【0009】
このことにより、すべての点の位置情報が即座に読み取れる風景画像の作成ができ、風景画像の任意の点を指すと、そこの経度、緯度が表示され、地図との位置関係が分かる。
本発明装置は、一般的に市販されている民生品を使用するために、従来の高価な専用機器を使うことなく対象物の計測が可能である。
本発明の地図作成方法は、基準点を設置しなくとも、また、どのような形状の地形に対しても可能であり、しかも、ノート型パーソナルコンピュータ等を用いてリアルタイムで処理することができる。パーソナルコンピュータに携帯電話などの通信機器を接続すれば、危険箇所にカメラを設置し、安全な任意の場所でデータを処理することが可能である。
【0010】
本発明の画像をインターネット上で配信すれば、災害画像を世界中でリアルタイムに監視することが可能である。
本発明に使用される写真画像は、デジタルカメラの他に、フィルムを使った写真をスキャンしたものやサーモグラフィーなどから得られる画像も用いることができる。
ビデオ等を利用することにより、リアルタイムに動く地図を作成することが可能であり、サーモグラフィーを利用することにより夜間の監視にも利用できる。
本発明により、基準点を取得することのできない特徴の少ない地形、例えば、雲のかかった画像、ズームした画像、サーモグラフィー画像、スカイラインなどの特徴線を抽出することのできない画像などにおいても、画像を重ねあわせ、かつ、逆投影することにより、地図作成が可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の画像処理による地図作成方法は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、このコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる工程と、この重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の画像処理による地図作成装置は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、このコンピュータ画像形成部23により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる重ね合わせ部24と、この重ね合わせ部24により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムは、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、この手段により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる手段、この手段により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の画像処理による地図作成方法は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する工程と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う工程と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の画像処理による地図作成装置は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する特徴抽出部26,27と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う幾何補正・重ね合わせ部28と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムは、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する手段、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う手段、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の画像処理による地図作成方法は、撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する工程を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の画像処理による地図作成装置は、撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する付加手段を具備したことを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムは、撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する手段として機能させるようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の請求項1,4又は7記載の画像処理による地図作成方法において、撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の請求項2,5又は8記載の画像処理による地図作成装置において、撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の請求項3,6又は9記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムにおいて、撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、パソコン15に、この動画により刻々と変化する画像を作成する手段として機能させるようにしたことを特徴とする。
【0023】
本発明は、以上のように構成したので、以下の特有な作用効果を有する。
(1)民生用品を組み合わせることにより、低価格かつ高性能の画像処理による地図作成方法、その装置及びそのコンピュータプログラムを作ることができる。
【0024】
(2)撮像装置10から撮影された撮影対象の画像を現地で即座に地図化することができる。このことにより、災害の監視などに計測や測量の機能を付加することができ、実際の距離を知ることができる。
【0025】
(3)従来、写真測量で必要とされた基準点や基準線を設置しなくても、撮像装置10と撮影対象の位置関係が分かっているので数値地図から作られたコンピュータ画像と重ね合わせることにより、幾何補正なしでも精確に重ね合わせができ、写真画像の幾何補正を自動的に行うことができる。
【0026】
(4)従来の方法では、スカイライン、建造物、地形の特徴点などの基準点が見えなければ幾何補正(写真測量では標定と呼ばれる)が不可能であったが、本発明では、特徴点や特徴線を抽出できなくても、重ね合わせが可能となる。
【0027】
(5)撮像装置10としてビデオカメラを利用することにより、リアルタイムで動く地図を作ることが可能である。災害などにおいて、刻々と変化する溶岩流、津波などの現況をリアルタイムで計測、監視できる。また、可視光線だけでなく、熱赤外線を用いたサーモグラフなどの電子イメージセンサによる写真画像が使用できる。サーモグラフを用いれば、昼夜間の熱映像を計測することが可能になる。さらに、赤外線カメラを用いれば、植生分布の変化を知ることもできる。
【0028】
(6)本発明により得られる幾何補正済みの地図を経時的にインターネット上に表示することにより、リアルタイムで多くの人々に災害状況を伝達することが可能である。また、携帯電話を利用した画像の伝達も可能である。
【0029】
(7)本発明は、固定カメラにも適用可能であり、数多く設置されていながら対象物や現象の位置が計測されていないモニタリングシステム(火山監視など)に情報の位置特定という価値を付加できる。
【0030】
(8)デジタル写真画像の情報は、すでに地図化され、表示されているのであるが、デジタルの写真上で対象物の同定を行う方が容易であることも多い。例えば、森林火災、雪の前線、溶岩流の到達範囲、噴火の場所など、デジタルの写真画像の中での方が認識が容易であるような場合には、デジタルの写真画像をコンピュータの表示部に表示し、そのデジタルの写真画像上で指定した点に対応する地図上の座標と標高を即座に表示することができ、デジタルの写真画像上での同定結果がそのまま地図上に記録できることになり、位置や範囲の把握が飛躍的に容易になる。逆に、地図上で指定した点を対応するデジタルの写真画像上で表示するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を実施するための装置は、一般的に使用されている民生用カメラ、衛星を利用して位置を計測する装置(GPSなど)、カメラの姿勢と方位を含む3軸を計測できる装置(電子コンパス)及びノート型パーソナルコンピュータからなる。
【0032】
本発明を実施するための地図作成方法は、カメラの位置と姿勢と数値地形図を用いてコンピュータ風景画像を得る工程と、カメラにより撮影された写真画像とコンピュータ風景画像を重ね合わせる工程と、重ね合わせた写真画像に逆投影することにより地図を作成する工程からなる。
【0033】
本発明は、撮像装置による写真画像としてビデオ画像を利用することによりリアルタイムに動く地図に関するものである。
【0034】
本発明は、コンピュータに、地図作成手段として機能させるコンピュータプログラムに関するものである。
【0035】
本発明は、いずれかの工程を、撮影位置から離れた位置に通信する工程を含み、その他の工程を、離れた位置で行うことを特徴とする生データ又は完成されたデータを転送する工程を含む地図作成方法に関するものである。
【実施例1】
【0036】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づき説明する。
図1において、本発明による画像処理による地図作成装置は、写真画像30を撮影する撮像装置10、衛星を使用して撮像装置10の設置位置(緯度、経度、高度)を計測するGPSなどの位置計測装置11、撮像装置10の姿勢と方位を含む3軸(方位(ヨー)角、ロール角、ピッチ角)を計測する電子コンパス12、地形標高データが格子状毎(例えば、50m×50m、10m×10mなど)に数値化されている数値地図データベース13、携帯に便利なノート型パソコンなどのパソコン15、LUTからなるメモリ40、これら撮像装置10,位置計測装置11、電子コンパス12、数値地図データベース13、メモリ40をパソコン15に接続するUSBハブ14からなる。
また、前記撮像装置10は、固定した写真画像や動画を撮像するデジタルカメラ16からなるが、フィルムカメラ17からなる場合にはスキャナ18にてデジタル信号に変換したものであっても良い。前記パソコン15は、インタフェース20、入力部21、表示部22を含むものとする。
【0037】
前記パソコン15は、さらに詳しくは、図2に示すように、コンピュータ画像形成部23、重ね合わせ部24、逆投影・地図作成部25、コンピュータ画像の特徴抽出部26、写真画像の特徴抽出部27、幾何補正・重ね合わせ部28、写真画像へ入力端子21aから入力するための付加手段41、地図画像へ入力端子21bから入力するための付加手段42を含んで構成されている。
また、前記メモリ40には、数値地図データベース13に基づき、位置計測装置11と電子コンパス12で計測された撮像装置10の設置位置、姿勢、方位に対応したコンピュータ画像に変換されたデータがLUTとして形成されて記憶されている。
【0038】
本発明による画像処理による地図作成方法の工程を以下に説明する。
工程1
本発明の画像処理による地図作成方法は、図1に示すように、一般的な民生用カメラからなる撮像装置10、衛星を利用して位置を計測するGPSなどの位置計測装置11、カメラの姿勢と方位を含む3軸を計測できる電子コンパス12、地形標高データが格子状に数値化されている数値地図データベース13、ノート型パーソナルコンピュータなどのパソコン15が用いられる。
前記撮像装置10、位置計測装置11、電子コンパス12、数値地図データベース13は、パソコン15により制御され、撮像装置10による撮影と同時に、そのときの撮像装置10の焦点距離、画素数などの撮影パラメータ及び撮影位置と方位を含む姿勢を制御できるような仕組みとなっている。前記撮像装置10の焦点距離、画素数などの撮影パラメータは、表示部22で表示するコンピュータ画像33の見た目の大きさである画角が決定される。
それぞれの機器は、詳細に時刻同期がなされている。固定カメラとして機能する場合は、カメラ10の位置は不変となるので、位置計測装置11は、計測の後、取り外すか、又は他の方法によって位置を計測しておいてもよい。
【0039】
工程2
工程1によって作成された画像処理による地図作成装置の撮像装置10により撮影を行い、図3に示す写真画像30を撮像する。この写真画像30には、火山29、溶岩流31、溶岩流先端部32などが撮影されているものとする。
この撮像装置10は、撮影した写真画像のデジタル信号を出力すると同時に、撮像装置10の画素数、焦点距離などの撮影パラメータをデジタル信号で出力する。また、位置計測装置11からは、撮像装置10の緯度、経度、高度のデジタルデータ信号を出力し、電子コンパス12からは、方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角のデジタルデータ信号を出力し、撮像装置10の位置、方位を含む撮影の情報を得る。この位置計測装置11と電子コンパス12の情報が得られるので、対象物の撮影は、地上、低空、斜め上空などのいかなる場所からの撮影においても対応できる。特に、地上から撮影された画像が最大限に利用可能である。
なお、前記撮像装置10による写真画像30の情報だけでは、溶岩流31がどこを流れ、溶岩流先端部32がどこまで達しているかなどを詳細に確認することができないが、本発明では、この写真画像30に基づく以下の工程によって詳細な確認を可能としている。
【0040】
工程3
撮像装置10による写真画像と同時に位置計測装置11,電子コンパス12により求められた撮像装置10の撮影パラメータ、位置、方位を含む姿勢の情報をアドレスとして用い、コンピュータ画像形成部23にて既知の数値地図データベース13より図6に示すような該当するコンピュータ画像33を得る。
さらに詳しくは、図5(a)に示すような格子状毎に数値化されている数値地図データにおいて、P点に設置された撮像装置10の水平視野角δ、光軸Oの方位角αとすると、この範囲内の数値地図データに基づきコンピュータ画像形成部23にて図6に示すようなコンピュータ画像33が形成される。このとき、、図5(b)において、P点の高度(Hx)により、上下視野角η内でQ1−Q2間、Q3−Q4間のデータ(図5(a)の斜線箇所)だけがコンピュータ画像33に表示される。すなわち、Q3より後方でP−Q3を結ぶ線の下側に隠れる箇所Q2−Q3、Q1より後方でP−Q1を結ぶ線の下側に隠れる箇所は、コンピュータ画像33には現れない。このような処理が撮像装置10の水平視野角δ及び上下視野角η内のすべての数値地図データに基づきコンピュータ画像形成部23にて図6に示すようなコンピュータ画像33が形成される。
従って、コンピュータ風景画像33は、P点に設置された撮像装置10の緯度、経度、高度、方位角、姿勢によって変化する。
P点のコンピュータ画像33は、撮像装置10がP点に固定的に設置されている場合、その位置P点において電子コンパス12の方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角をあらゆる角度に変化した状態のコンピュータ画像33を記憶したLUTを作成しておき、その中から該当するコンピュータ画像33を選択すれば、より迅速にコンピュータ画像33が形成される。
【0041】
工程4
図2の重ね合わせ部24により、撮像装置10の写真画像30を数値地図データベース13に基づくコンピュータ画像33に重ね合わせる。この重ね合わせは、コンピュータ画像33が写真画像30の位置データ等で得られたものであるから、両者は、本来一致しているので、単純に重ね合わせれば良い。
【0042】
工程5
重ね合わせ後、逆投影・地図作成部25にて重ね合わせた画像43に逆投影して図7に示すような目的の地図画像43を得る。ここで、逆投影とは、コンピュータ画像33から位置情報を写真画像30又は重ね合わせた画像に与えて地図を作成することをいう。そのため、この工程で、位置情報を持った地図画像43が得られる。
【0043】
工程6
図8は、地上から撮影された図3に示す写真画像30を、座標変換式を用いて真上から見た正射投影画像36に変換して、数値地図データベース13により作成した平面地図38に付加したものである。ここで、代表的な座標変換式としては、ヘルマート変換、アフィン変換が知られており、写真画像と数値地形図の間に成り立つ座標変換式(幾何学的関係を示す式である)を得、この座標変換を地上、低空、斜め上空などから撮影された撮影対象の写真画像全体に移動、回転、縮小、縮尺変換などの幾何補正を施すものである。
この図8によれば、図3の写真画像30では分からない火山29の火口から溶岩流先端部32までの溶岩流31の水平距離T(図4における水平距離T)を知ることができるだけでなく、実際の距離も知ることができる。
【0044】
工程7
図9は、地上から撮影された図3に示す写真画像30を、前記座標変換式を用いて地上からの撮影とは異なる方向、例えば、俯角δ方向から撮影された鳥かん画像37に変換して、数値地図データベース13により作成した俯角δ方向の鳥かん地図39に付加したものである。この図9によれば、図3の写真画像30では分からない火山29の火口から溶岩流先端部32までの溶岩流31の傾斜距離U(図4における傾斜距離U)を知ることができるだけでなく、実際の距離も知ることができる。
【0045】
工程8
最近の前記撮像装置10、位置計測装置11、電子コンパス12は、その精度に優れ、補正を必要とすることはほとんど必要としない。しかし、使用目的によっては、拡大写真としたため、写真画像30とコンピュータ画像33に不一致が生じ、より高精度の地図を必要とする場合がある。このような場合には、特徴点や特徴線を用いてより精密に重ね合わせて地図作成することができる。特徴点として撮影対象物の特徴的な形状(角、頂点、工作物等)や、特徴線として撮影対象物の輪郭を示すスカイライン、稜線、河川、線状の工作物などを抽出する。さらに詳しくは、コンピュータ画像形成部23にて作成されたコンピュータ画像33については特徴抽出部26にて、また、撮像装置10にて作成された写真画像30については特徴抽出部27にて、それぞれ図11に示すように、例えばスカイライン35を抽出する。そして、写真画像30とコンピュータ画像33の精密マッチングを行う。
この工程8で、もし、図10に示すように、写真画像30のスカイライン画像34aとコンピュータ画像33のスカイライン画像34bがマッチングしていなければ、幾何補正・重ね合わせ部28にて、写真画像と数値地形図の間に成り立つ座標変換式(幾何学的関係を示す式である)を得、この座標変換を地上、低空、斜め上空などから撮影された撮影対象の写真画像全体に移動、回転、縮小、縮尺変換などの幾何補正を施す。
この工程8で得られる移動量及び回転・縮小・縮尺変換を行う座標変換は、写真画像と数値地形図の地図座標系との間の座標変換式(ヘルマート変換、アフィン変換など)を与える。
この工程8において、カメラの画素数、焦点距離などの撮影パラメータ、位置、方位を含む姿勢は、位置計測装置11、電子コンパス12より得られているので、これらの値を精密マッチングの初期値として利用しマッチングの検索範囲を絞る。
最近の前記撮像装置10、位置計測装置11、電子コンパス12は、その精度に優れていることにより、補正は、限られたわずかな量だけであり補正のための演算は、短時間で済む。
このことにより、マッチングの自動化、処理時間の短縮、高精度化ができる。
【0046】
工程9
工程8で精密マッチングした後、工程6に示す正射投影画像36に変換して図8に示す平面地図38に作成し、または、工程7に示す鳥かん画像37に変換して図9に示す鳥かん地図39に作成すれば、より精密な地図を作成することができる。
【0047】
工程10
工程1から工程9において、デジタルカメラの代わりにビデオカメラ又はコマ送り画像を撮影し、リアルタイムで地図投影し、撮影対象の動きや変化が地図上で動画として見えるようにする。
例えば、カメラは定点に設置し、溶岩流31の先端部32が刻々と変化する動画として表示する。
具体的には、メモリとしてのLUT40が用いられる。このLUT40には、次のようなデータが記憶されている。
(1)撮像装置10がP点に固定的に設置されている場合、このP点の位置はそのままで、その位置P点において電子コンパス12の方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角をあらゆる角度に変化した状態のコンピュータ画像33を記憶したLUTを作成しておく。
(2)撮像装置10をこれから設置しようとする位置及び高度が複数点ある場合には、複数点毎に方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角をあらゆる角度に変化した状態のコンピュータ画像33を記憶したLUT40を作成しておく。
このようなLUT40のコンピュータ画像33を利用し、このコンピュータ画像33にビデオカメラ又はコマ送り画像を重ね合わせることにより、固定した風景画における溶岩流31等のミリ秒単位で変化する動画として表示することができる。また、変化する動画から溶岩流31等の進行速度や進行方向なども知ることができる。
また、LUT40のコンピュータ画像33も刻々と取り込んで動画とし、このコンピュータ画像33にビデオカメラ又はコマ送り画像を重ね合わせることにより、風景画像の首振り状態での溶岩流31等の変化する動画として表示することができる。
また、溶岩流31等の変化のみならず、サーモグラフィーや赤外線カメラなども利用して、夜間の温度変化等の変化する動画として表示することができる。また、変化する動画から溶岩流31等の進行速度や進行方向なども知ることができる。
【0048】
工程11
パーソナルコンピュータに携帯電話などの通信機器を接続し、任意の場所でデータを処理する。本発明の画像をインターネット上でリアルタイムに配信することが可能である。
このようにすれば、危険箇所などに設置したカメラのデータを安全な場所で演算処理し、全世界に発信することができる。
【0049】
工程12
図3に示したデジタル写真画像の情報は、すでに地図化され、図8又は図9に示すように表示されているのであるが、図8又は図9に示す地図よりも図3に示すデジタルの写真上で対象物の同定を行う方が容易であることも多い。
例えば、森林火災、雪の前線、溶岩流の到達範囲、噴火の場所など、デジタルの写真画像の中での認識が図8又は図9に示す地図よりも容易であるような場合には、図2に示すように、デジタルの写真画像30と図8(又は図9)に示す地図36(又は37)をコンピュータの表示部22に表示し、そのデジタルの写真画像30の上で指定した点に対応する図8(又は図9)の地図36(又は37)上の座標と標高を即座に表示することができ、また、デジタルの写真画像30上で雪の前線44を入力端子21aから付加手段41に付加すると、図8(又は図9)の地図36(又は37)上の対応する位置に雪の前線44が表示される。逆に、図8(又は図9)の地図36(又は37)上で雪の前線44を入力端子21bから付加手段42に付加すると、デジタルの写真画像30上の対応する位置に雪の前線44が表示される。このように、デジタル写真画像30(又は図8(又は図9)の地図36(又は37))上の同定結果がそのまま図8(又は図9)の地図36(又は37)(又はデジタル写真画像30)の上に記録できることになり、位置や範囲の把握が飛躍的に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による画像処理による地図作成装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1におけるパソコン15の詳細なブロック図である。
【図3】本発明による画像処理による地図作成装置の撮像装置10で撮影した写真画像30の説明図である。
【図4】図3の鉛直面図である。
【図5】(a)は、数値地図データベースに基づく平面図に撮像装置10を設置して方位角αの方向を観察している状態の説明図、(b)は、(a)の鉛直面図である。
【図6】数値地図データベース13と位置計測装置11,電子コンパス12に基づくコンピュータ画像33の説明図である。
【図7】重ね合わせ地図画像43の説明図である。
【図8】写真画像30を、座標変換式を用いて真上から見た正射投影画像36に変換して、数値地図データベース13により作成した平面地図38に付加した説明図である。
【図9】写真画像30を、座標変換式を用いて俯角δ方向から撮影された鳥かん画像37に変換して、数値地図データベース13により作成した俯角δ方向の鳥かん地図39に付加した説明図である。
【図10】写真画像30とコンピュータ画像33を重ね合わせたときの特徴線であるスカイライン35aとスカイライン35bの説明図である。
【図11】写真画像30又はコンピュータ画像33の特徴線であるスカイライン35の説明図である。
【図12】画像マッチングの説明図である。
【図13】従来の地図作成方法における方位角の説明図である。
【図14】図13における鉛直面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…撮像装置、11…位置計測装置、12…電子コンパス、13…数値地図データベース、14…USBハブ、15…パソコン、16…デジタルカメラ、17…フィルムカメラ、18…スキャナ、19…CPU、20…インタフェース、21…入力部、22…表示部、23…コンピュータ画像形成部、24…重ね合わせ部、25…逆投影・地図作成部、26…特徴抽出部、27…特徴抽出部、28…幾何補正・重ね合わせ部、29…火山、30…写真画像、31…溶岩流、32…溶岩流先端部、33…コンピュータ画像、34…スカイライン画像、35…スカイライン、36…正射投影画像、37…鳥かん画像、38…平面地図、39…鳥かん地図、40…メモリ(LUT)、41…付加手段、42…付加手段、43…重ね合わせ画像、44…雪の前線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、民生用品を使用して災害監視などに利用される地図(位置情報を有する画像)を低価格、かつ、高性能で作成することのできる画像処理による地図作成方法、その装置及びそのコンピュータプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火山噴火、雪崩、斜面崩壊、山火事、河川氾濫、津波などの災害が発生した場合の他、植生分布の変化を調査したい場合などには、飛行機、ヘリコプター、人工衛星などによって高度のある上空から特殊な専用の計測装置により撮影された写真画像を用いて災害状況などを示す画像の地図化がなされてきた。
しかし、緊急を要する場合には、人工衛星では地球を一周する周期が長くて間に合わず、たとえ、利用できたとしても高額な費用がかかる。飛行機やヘリコプターでは、天候によっては飛ばせなかったり、飛ばすのに許可を必要としたりするだけでなく、計測には多大な費用がかかり、緊急の場合には不向きである。
また、写真画像を用いて位置情報を有する地図画像に変換するには、地上に地図座標の既知点であるいわゆる基準点を設置しなければならず、緊急時に山岳地域に基準点を設置することは容易でなかった。スカイラインなどの輪郭を示す特徴線を利用した方法もあるが、雨、雲、霧、噴煙などが発生したときにはスカイラインを捉えられないなどの地図画像の取得方法に制限があり、また、写真画像の処理にも時間がかかるために、緊急な事態に対応する迅速な計測に難点があった。
【0003】
一方、地上から一般的な写真を撮影する方法は、撮影が容易で観察に便利なこともあり、広く利用されているが、これらはあくまで風景写真であるため、現象の概略は分かっても、その位置を即座に求めることができない。リアルタイムでの観測には、ビデオ映像や定点カメラが多くの現場で利用されているが、計測という観点からは不十分である。
例えば、噴煙の場所、火砕流や溶岩流の流下位置(一体標高何mまで降りてきたのか)、面積、方向、速度などは写真画像では分からない。さらに、これらの地上から撮影された写真を地図上の正確な位置に変換するには、撮影された写真画像内に最低3点の基準点を必要とするとともに、特殊な専用の装置を必要とするステレオ写真の撮影が不可欠である、という問題点があった。
【0004】
このような状況にあって、特殊な専用の装置を必要とせず、低価格かつ簡便で即時性のある計測装置と地図作成方法が望まれていた。特に、災害などの緊急を要する事態においては、航空機の利用が困難であり、また、長時間連続した計測を必要とする場合の有効、低価格、簡便性、即時性のある計測装置と地図作成方法が強く望まれていた。
【0005】
そこで、本発明者等は、図13及び図14に示すような市販のデジタルカメラと、カメラの撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力するGPSと、地形標高データベースと、パソコンとを具備し、前記GPSの緯度、経度、高度に基づき、パソコンにてカメラの方位角と上下角を演算し、これらにより山岳の透視画像(コンピュータ画像)を作成し、この透視画像とカメラの写真画像とを重ね合わせて幾何補正した地図を作成する地図の作成方法をすでに提案している(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−139532号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は、特殊な専用の装置を必要とせず、低価格かつ簡便で即時性のある地図作成ができ、災害などの緊急を要する事態において、航空機の利用が困難であり、また、長時間連続した計測が必要な場合の有効、低価格、簡便性、即時性のある地図作成が可能である。
さらに詳しくは、図13及び図14において、デジタルカメラなどの撮像装置10の設置点をP、被写体である火山29をQ、これらの水平距離をD、水平ラインをL、撮像装置10の光軸をO、撮像装置10の焦点をF、焦点距離をf、方位角をα、火山29の俯角をθ、撮像装置10の上下角をβ、焦点Fから光軸Oまでの距離をm、γ=θ−βとすれば、α、β、γが演算処理で求められる。
また、回転、縮小、縮尺変換も座標変換により求められる。
【0007】
しかし、この方法では、被写体である火山29の点Qの位置を、予め調査し、かつ、GPSの緯度、経度、高度に基づき、パソコンにてカメラの方位角と上下角を演算して求めておかなければならないので、パソコンによる演算に時間がかかり、即時性にやや問題があるだけでなく、演算され方位角と上下角の精度にも問題があるという問題があった。
本発明の第1の目的は、本発明装置によって得られた写真画像データ、特に従来困難であった地上からの写真画像データに基づき、簡便で即時性のある地図を作成する方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、画像撮影と同時に、カメラの位置と姿勢を計測する簡便な装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、本発明装置によって得られたデータから、リアルタイムで地図投影済みのビデオ又はコマ送り画像を、撮影対象の動きや変化が地球上で動画として見える地図を作成する方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、本発明装置によって得られたデータから、デジタルの写真画像におけるすべての点の地図座標と、標高、対応する数値地形図上の位置が分かっているので、デジタルの写真の任意の位置、直線、曲線をリアルタイムで地図に投影する地図を作成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般的に市販されている民生用カメラ、衛星を利用して位置を計測する装置(GPSなど)、カメラの姿勢と方位を含む3軸を計測できる装置(電子コンパス)及びノート型パーソナルコンピュータが、近年の技術進歩により携帯性に優れ、高性能かつ安価で容易に入手可能であることに着目し、さらに地形標高データが格子状に数値化されている数値地図データが一般的に市販され容易に入手可能であることに着目し、写真画像とカメラの位置と姿勢が同時に取得できる装置により撮影された撮影対象の写真画像と同じ方向を見た数値地図データから作成されたコンピュータ画像を重ね合わせ、かつ、コンピュータ画像から位置情報を写真画像に与えるという逆投影をし、写真画像に対応する地図を得ることができる。近年の機器の精度の向上で重ね合わせによるずれはほとんど発生しない。しかし、目的によっては、拡大写真など更に高い精度を要する場合には、必要に応じて特徴点や特徴線を用いてより精密に重ね合わせ、地図に逆投影することにより、写真画像に対応するより精確な地図を得ることができる。このずれは少ないので、幾何補正したとしても短時間で処理できる。また、ビデオ又はコマ送り画像を利用することも可能になり、従来の課題が解決でき、本発明を達成されることを見出した。
【0009】
このことにより、すべての点の位置情報が即座に読み取れる風景画像の作成ができ、風景画像の任意の点を指すと、そこの経度、緯度が表示され、地図との位置関係が分かる。
本発明装置は、一般的に市販されている民生品を使用するために、従来の高価な専用機器を使うことなく対象物の計測が可能である。
本発明の地図作成方法は、基準点を設置しなくとも、また、どのような形状の地形に対しても可能であり、しかも、ノート型パーソナルコンピュータ等を用いてリアルタイムで処理することができる。パーソナルコンピュータに携帯電話などの通信機器を接続すれば、危険箇所にカメラを設置し、安全な任意の場所でデータを処理することが可能である。
【0010】
本発明の画像をインターネット上で配信すれば、災害画像を世界中でリアルタイムに監視することが可能である。
本発明に使用される写真画像は、デジタルカメラの他に、フィルムを使った写真をスキャンしたものやサーモグラフィーなどから得られる画像も用いることができる。
ビデオ等を利用することにより、リアルタイムに動く地図を作成することが可能であり、サーモグラフィーを利用することにより夜間の監視にも利用できる。
本発明により、基準点を取得することのできない特徴の少ない地形、例えば、雲のかかった画像、ズームした画像、サーモグラフィー画像、スカイラインなどの特徴線を抽出することのできない画像などにおいても、画像を重ねあわせ、かつ、逆投影することにより、地図作成が可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の画像処理による地図作成方法は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、このコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる工程と、この重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の画像処理による地図作成装置は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、このコンピュータ画像形成部23により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる重ね合わせ部24と、この重ね合わせ部24により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムは、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、この手段により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる手段、この手段により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の画像処理による地図作成方法は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する工程と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う工程と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の画像処理による地図作成装置は、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する特徴抽出部26,27と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う幾何補正・重ね合わせ部28と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムは、撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する手段、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う手段、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の画像処理による地図作成方法は、撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する工程を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の画像処理による地図作成装置は、撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する付加手段を具備したことを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムは、撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する手段として機能させるようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項10記載の請求項1,4又は7記載の画像処理による地図作成方法において、撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項11記載の請求項2,5又は8記載の画像処理による地図作成装置において、撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項12記載の請求項3,6又は9記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラムにおいて、撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、パソコン15に、この動画により刻々と変化する画像を作成する手段として機能させるようにしたことを特徴とする。
【0023】
本発明は、以上のように構成したので、以下の特有な作用効果を有する。
(1)民生用品を組み合わせることにより、低価格かつ高性能の画像処理による地図作成方法、その装置及びそのコンピュータプログラムを作ることができる。
【0024】
(2)撮像装置10から撮影された撮影対象の画像を現地で即座に地図化することができる。このことにより、災害の監視などに計測や測量の機能を付加することができ、実際の距離を知ることができる。
【0025】
(3)従来、写真測量で必要とされた基準点や基準線を設置しなくても、撮像装置10と撮影対象の位置関係が分かっているので数値地図から作られたコンピュータ画像と重ね合わせることにより、幾何補正なしでも精確に重ね合わせができ、写真画像の幾何補正を自動的に行うことができる。
【0026】
(4)従来の方法では、スカイライン、建造物、地形の特徴点などの基準点が見えなければ幾何補正(写真測量では標定と呼ばれる)が不可能であったが、本発明では、特徴点や特徴線を抽出できなくても、重ね合わせが可能となる。
【0027】
(5)撮像装置10としてビデオカメラを利用することにより、リアルタイムで動く地図を作ることが可能である。災害などにおいて、刻々と変化する溶岩流、津波などの現況をリアルタイムで計測、監視できる。また、可視光線だけでなく、熱赤外線を用いたサーモグラフなどの電子イメージセンサによる写真画像が使用できる。サーモグラフを用いれば、昼夜間の熱映像を計測することが可能になる。さらに、赤外線カメラを用いれば、植生分布の変化を知ることもできる。
【0028】
(6)本発明により得られる幾何補正済みの地図を経時的にインターネット上に表示することにより、リアルタイムで多くの人々に災害状況を伝達することが可能である。また、携帯電話を利用した画像の伝達も可能である。
【0029】
(7)本発明は、固定カメラにも適用可能であり、数多く設置されていながら対象物や現象の位置が計測されていないモニタリングシステム(火山監視など)に情報の位置特定という価値を付加できる。
【0030】
(8)デジタル写真画像の情報は、すでに地図化され、表示されているのであるが、デジタルの写真上で対象物の同定を行う方が容易であることも多い。例えば、森林火災、雪の前線、溶岩流の到達範囲、噴火の場所など、デジタルの写真画像の中での方が認識が容易であるような場合には、デジタルの写真画像をコンピュータの表示部に表示し、そのデジタルの写真画像上で指定した点に対応する地図上の座標と標高を即座に表示することができ、デジタルの写真画像上での同定結果がそのまま地図上に記録できることになり、位置や範囲の把握が飛躍的に容易になる。逆に、地図上で指定した点を対応するデジタルの写真画像上で表示するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を実施するための装置は、一般的に使用されている民生用カメラ、衛星を利用して位置を計測する装置(GPSなど)、カメラの姿勢と方位を含む3軸を計測できる装置(電子コンパス)及びノート型パーソナルコンピュータからなる。
【0032】
本発明を実施するための地図作成方法は、カメラの位置と姿勢と数値地形図を用いてコンピュータ風景画像を得る工程と、カメラにより撮影された写真画像とコンピュータ風景画像を重ね合わせる工程と、重ね合わせた写真画像に逆投影することにより地図を作成する工程からなる。
【0033】
本発明は、撮像装置による写真画像としてビデオ画像を利用することによりリアルタイムに動く地図に関するものである。
【0034】
本発明は、コンピュータに、地図作成手段として機能させるコンピュータプログラムに関するものである。
【0035】
本発明は、いずれかの工程を、撮影位置から離れた位置に通信する工程を含み、その他の工程を、離れた位置で行うことを特徴とする生データ又は完成されたデータを転送する工程を含む地図作成方法に関するものである。
【実施例1】
【0036】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づき説明する。
図1において、本発明による画像処理による地図作成装置は、写真画像30を撮影する撮像装置10、衛星を使用して撮像装置10の設置位置(緯度、経度、高度)を計測するGPSなどの位置計測装置11、撮像装置10の姿勢と方位を含む3軸(方位(ヨー)角、ロール角、ピッチ角)を計測する電子コンパス12、地形標高データが格子状毎(例えば、50m×50m、10m×10mなど)に数値化されている数値地図データベース13、携帯に便利なノート型パソコンなどのパソコン15、LUTからなるメモリ40、これら撮像装置10,位置計測装置11、電子コンパス12、数値地図データベース13、メモリ40をパソコン15に接続するUSBハブ14からなる。
また、前記撮像装置10は、固定した写真画像や動画を撮像するデジタルカメラ16からなるが、フィルムカメラ17からなる場合にはスキャナ18にてデジタル信号に変換したものであっても良い。前記パソコン15は、インタフェース20、入力部21、表示部22を含むものとする。
【0037】
前記パソコン15は、さらに詳しくは、図2に示すように、コンピュータ画像形成部23、重ね合わせ部24、逆投影・地図作成部25、コンピュータ画像の特徴抽出部26、写真画像の特徴抽出部27、幾何補正・重ね合わせ部28、写真画像へ入力端子21aから入力するための付加手段41、地図画像へ入力端子21bから入力するための付加手段42を含んで構成されている。
また、前記メモリ40には、数値地図データベース13に基づき、位置計測装置11と電子コンパス12で計測された撮像装置10の設置位置、姿勢、方位に対応したコンピュータ画像に変換されたデータがLUTとして形成されて記憶されている。
【0038】
本発明による画像処理による地図作成方法の工程を以下に説明する。
工程1
本発明の画像処理による地図作成方法は、図1に示すように、一般的な民生用カメラからなる撮像装置10、衛星を利用して位置を計測するGPSなどの位置計測装置11、カメラの姿勢と方位を含む3軸を計測できる電子コンパス12、地形標高データが格子状に数値化されている数値地図データベース13、ノート型パーソナルコンピュータなどのパソコン15が用いられる。
前記撮像装置10、位置計測装置11、電子コンパス12、数値地図データベース13は、パソコン15により制御され、撮像装置10による撮影と同時に、そのときの撮像装置10の焦点距離、画素数などの撮影パラメータ及び撮影位置と方位を含む姿勢を制御できるような仕組みとなっている。前記撮像装置10の焦点距離、画素数などの撮影パラメータは、表示部22で表示するコンピュータ画像33の見た目の大きさである画角が決定される。
それぞれの機器は、詳細に時刻同期がなされている。固定カメラとして機能する場合は、カメラ10の位置は不変となるので、位置計測装置11は、計測の後、取り外すか、又は他の方法によって位置を計測しておいてもよい。
【0039】
工程2
工程1によって作成された画像処理による地図作成装置の撮像装置10により撮影を行い、図3に示す写真画像30を撮像する。この写真画像30には、火山29、溶岩流31、溶岩流先端部32などが撮影されているものとする。
この撮像装置10は、撮影した写真画像のデジタル信号を出力すると同時に、撮像装置10の画素数、焦点距離などの撮影パラメータをデジタル信号で出力する。また、位置計測装置11からは、撮像装置10の緯度、経度、高度のデジタルデータ信号を出力し、電子コンパス12からは、方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角のデジタルデータ信号を出力し、撮像装置10の位置、方位を含む撮影の情報を得る。この位置計測装置11と電子コンパス12の情報が得られるので、対象物の撮影は、地上、低空、斜め上空などのいかなる場所からの撮影においても対応できる。特に、地上から撮影された画像が最大限に利用可能である。
なお、前記撮像装置10による写真画像30の情報だけでは、溶岩流31がどこを流れ、溶岩流先端部32がどこまで達しているかなどを詳細に確認することができないが、本発明では、この写真画像30に基づく以下の工程によって詳細な確認を可能としている。
【0040】
工程3
撮像装置10による写真画像と同時に位置計測装置11,電子コンパス12により求められた撮像装置10の撮影パラメータ、位置、方位を含む姿勢の情報をアドレスとして用い、コンピュータ画像形成部23にて既知の数値地図データベース13より図6に示すような該当するコンピュータ画像33を得る。
さらに詳しくは、図5(a)に示すような格子状毎に数値化されている数値地図データにおいて、P点に設置された撮像装置10の水平視野角δ、光軸Oの方位角αとすると、この範囲内の数値地図データに基づきコンピュータ画像形成部23にて図6に示すようなコンピュータ画像33が形成される。このとき、、図5(b)において、P点の高度(Hx)により、上下視野角η内でQ1−Q2間、Q3−Q4間のデータ(図5(a)の斜線箇所)だけがコンピュータ画像33に表示される。すなわち、Q3より後方でP−Q3を結ぶ線の下側に隠れる箇所Q2−Q3、Q1より後方でP−Q1を結ぶ線の下側に隠れる箇所は、コンピュータ画像33には現れない。このような処理が撮像装置10の水平視野角δ及び上下視野角η内のすべての数値地図データに基づきコンピュータ画像形成部23にて図6に示すようなコンピュータ画像33が形成される。
従って、コンピュータ風景画像33は、P点に設置された撮像装置10の緯度、経度、高度、方位角、姿勢によって変化する。
P点のコンピュータ画像33は、撮像装置10がP点に固定的に設置されている場合、その位置P点において電子コンパス12の方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角をあらゆる角度に変化した状態のコンピュータ画像33を記憶したLUTを作成しておき、その中から該当するコンピュータ画像33を選択すれば、より迅速にコンピュータ画像33が形成される。
【0041】
工程4
図2の重ね合わせ部24により、撮像装置10の写真画像30を数値地図データベース13に基づくコンピュータ画像33に重ね合わせる。この重ね合わせは、コンピュータ画像33が写真画像30の位置データ等で得られたものであるから、両者は、本来一致しているので、単純に重ね合わせれば良い。
【0042】
工程5
重ね合わせ後、逆投影・地図作成部25にて重ね合わせた画像43に逆投影して図7に示すような目的の地図画像43を得る。ここで、逆投影とは、コンピュータ画像33から位置情報を写真画像30又は重ね合わせた画像に与えて地図を作成することをいう。そのため、この工程で、位置情報を持った地図画像43が得られる。
【0043】
工程6
図8は、地上から撮影された図3に示す写真画像30を、座標変換式を用いて真上から見た正射投影画像36に変換して、数値地図データベース13により作成した平面地図38に付加したものである。ここで、代表的な座標変換式としては、ヘルマート変換、アフィン変換が知られており、写真画像と数値地形図の間に成り立つ座標変換式(幾何学的関係を示す式である)を得、この座標変換を地上、低空、斜め上空などから撮影された撮影対象の写真画像全体に移動、回転、縮小、縮尺変換などの幾何補正を施すものである。
この図8によれば、図3の写真画像30では分からない火山29の火口から溶岩流先端部32までの溶岩流31の水平距離T(図4における水平距離T)を知ることができるだけでなく、実際の距離も知ることができる。
【0044】
工程7
図9は、地上から撮影された図3に示す写真画像30を、前記座標変換式を用いて地上からの撮影とは異なる方向、例えば、俯角δ方向から撮影された鳥かん画像37に変換して、数値地図データベース13により作成した俯角δ方向の鳥かん地図39に付加したものである。この図9によれば、図3の写真画像30では分からない火山29の火口から溶岩流先端部32までの溶岩流31の傾斜距離U(図4における傾斜距離U)を知ることができるだけでなく、実際の距離も知ることができる。
【0045】
工程8
最近の前記撮像装置10、位置計測装置11、電子コンパス12は、その精度に優れ、補正を必要とすることはほとんど必要としない。しかし、使用目的によっては、拡大写真としたため、写真画像30とコンピュータ画像33に不一致が生じ、より高精度の地図を必要とする場合がある。このような場合には、特徴点や特徴線を用いてより精密に重ね合わせて地図作成することができる。特徴点として撮影対象物の特徴的な形状(角、頂点、工作物等)や、特徴線として撮影対象物の輪郭を示すスカイライン、稜線、河川、線状の工作物などを抽出する。さらに詳しくは、コンピュータ画像形成部23にて作成されたコンピュータ画像33については特徴抽出部26にて、また、撮像装置10にて作成された写真画像30については特徴抽出部27にて、それぞれ図11に示すように、例えばスカイライン35を抽出する。そして、写真画像30とコンピュータ画像33の精密マッチングを行う。
この工程8で、もし、図10に示すように、写真画像30のスカイライン画像34aとコンピュータ画像33のスカイライン画像34bがマッチングしていなければ、幾何補正・重ね合わせ部28にて、写真画像と数値地形図の間に成り立つ座標変換式(幾何学的関係を示す式である)を得、この座標変換を地上、低空、斜め上空などから撮影された撮影対象の写真画像全体に移動、回転、縮小、縮尺変換などの幾何補正を施す。
この工程8で得られる移動量及び回転・縮小・縮尺変換を行う座標変換は、写真画像と数値地形図の地図座標系との間の座標変換式(ヘルマート変換、アフィン変換など)を与える。
この工程8において、カメラの画素数、焦点距離などの撮影パラメータ、位置、方位を含む姿勢は、位置計測装置11、電子コンパス12より得られているので、これらの値を精密マッチングの初期値として利用しマッチングの検索範囲を絞る。
最近の前記撮像装置10、位置計測装置11、電子コンパス12は、その精度に優れていることにより、補正は、限られたわずかな量だけであり補正のための演算は、短時間で済む。
このことにより、マッチングの自動化、処理時間の短縮、高精度化ができる。
【0046】
工程9
工程8で精密マッチングした後、工程6に示す正射投影画像36に変換して図8に示す平面地図38に作成し、または、工程7に示す鳥かん画像37に変換して図9に示す鳥かん地図39に作成すれば、より精密な地図を作成することができる。
【0047】
工程10
工程1から工程9において、デジタルカメラの代わりにビデオカメラ又はコマ送り画像を撮影し、リアルタイムで地図投影し、撮影対象の動きや変化が地図上で動画として見えるようにする。
例えば、カメラは定点に設置し、溶岩流31の先端部32が刻々と変化する動画として表示する。
具体的には、メモリとしてのLUT40が用いられる。このLUT40には、次のようなデータが記憶されている。
(1)撮像装置10がP点に固定的に設置されている場合、このP点の位置はそのままで、その位置P点において電子コンパス12の方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角をあらゆる角度に変化した状態のコンピュータ画像33を記憶したLUTを作成しておく。
(2)撮像装置10をこれから設置しようとする位置及び高度が複数点ある場合には、複数点毎に方位角(ヨー角)、ロール角、ピッチ角をあらゆる角度に変化した状態のコンピュータ画像33を記憶したLUT40を作成しておく。
このようなLUT40のコンピュータ画像33を利用し、このコンピュータ画像33にビデオカメラ又はコマ送り画像を重ね合わせることにより、固定した風景画における溶岩流31等のミリ秒単位で変化する動画として表示することができる。また、変化する動画から溶岩流31等の進行速度や進行方向なども知ることができる。
また、LUT40のコンピュータ画像33も刻々と取り込んで動画とし、このコンピュータ画像33にビデオカメラ又はコマ送り画像を重ね合わせることにより、風景画像の首振り状態での溶岩流31等の変化する動画として表示することができる。
また、溶岩流31等の変化のみならず、サーモグラフィーや赤外線カメラなども利用して、夜間の温度変化等の変化する動画として表示することができる。また、変化する動画から溶岩流31等の進行速度や進行方向なども知ることができる。
【0048】
工程11
パーソナルコンピュータに携帯電話などの通信機器を接続し、任意の場所でデータを処理する。本発明の画像をインターネット上でリアルタイムに配信することが可能である。
このようにすれば、危険箇所などに設置したカメラのデータを安全な場所で演算処理し、全世界に発信することができる。
【0049】
工程12
図3に示したデジタル写真画像の情報は、すでに地図化され、図8又は図9に示すように表示されているのであるが、図8又は図9に示す地図よりも図3に示すデジタルの写真上で対象物の同定を行う方が容易であることも多い。
例えば、森林火災、雪の前線、溶岩流の到達範囲、噴火の場所など、デジタルの写真画像の中での認識が図8又は図9に示す地図よりも容易であるような場合には、図2に示すように、デジタルの写真画像30と図8(又は図9)に示す地図36(又は37)をコンピュータの表示部22に表示し、そのデジタルの写真画像30の上で指定した点に対応する図8(又は図9)の地図36(又は37)上の座標と標高を即座に表示することができ、また、デジタルの写真画像30上で雪の前線44を入力端子21aから付加手段41に付加すると、図8(又は図9)の地図36(又は37)上の対応する位置に雪の前線44が表示される。逆に、図8(又は図9)の地図36(又は37)上で雪の前線44を入力端子21bから付加手段42に付加すると、デジタルの写真画像30上の対応する位置に雪の前線44が表示される。このように、デジタル写真画像30(又は図8(又は図9)の地図36(又は37))上の同定結果がそのまま図8(又は図9)の地図36(又は37)(又はデジタル写真画像30)の上に記録できることになり、位置や範囲の把握が飛躍的に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による画像処理による地図作成装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1におけるパソコン15の詳細なブロック図である。
【図3】本発明による画像処理による地図作成装置の撮像装置10で撮影した写真画像30の説明図である。
【図4】図3の鉛直面図である。
【図5】(a)は、数値地図データベースに基づく平面図に撮像装置10を設置して方位角αの方向を観察している状態の説明図、(b)は、(a)の鉛直面図である。
【図6】数値地図データベース13と位置計測装置11,電子コンパス12に基づくコンピュータ画像33の説明図である。
【図7】重ね合わせ地図画像43の説明図である。
【図8】写真画像30を、座標変換式を用いて真上から見た正射投影画像36に変換して、数値地図データベース13により作成した平面地図38に付加した説明図である。
【図9】写真画像30を、座標変換式を用いて俯角δ方向から撮影された鳥かん画像37に変換して、数値地図データベース13により作成した俯角δ方向の鳥かん地図39に付加した説明図である。
【図10】写真画像30とコンピュータ画像33を重ね合わせたときの特徴線であるスカイライン35aとスカイライン35bの説明図である。
【図11】写真画像30又はコンピュータ画像33の特徴線であるスカイライン35の説明図である。
【図12】画像マッチングの説明図である。
【図13】従来の地図作成方法における方位角の説明図である。
【図14】図13における鉛直面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…撮像装置、11…位置計測装置、12…電子コンパス、13…数値地図データベース、14…USBハブ、15…パソコン、16…デジタルカメラ、17…フィルムカメラ、18…スキャナ、19…CPU、20…インタフェース、21…入力部、22…表示部、23…コンピュータ画像形成部、24…重ね合わせ部、25…逆投影・地図作成部、26…特徴抽出部、27…特徴抽出部、28…幾何補正・重ね合わせ部、29…火山、30…写真画像、31…溶岩流、32…溶岩流先端部、33…コンピュータ画像、34…スカイライン画像、35…スカイライン、36…正射投影画像、37…鳥かん画像、38…平面地図、39…鳥かん地図、40…メモリ(LUT)、41…付加手段、42…付加手段、43…重ね合わせ画像、44…雪の前線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、このコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる工程と、この重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成方法。
【請求項2】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、このコンピュータ画像形成部23により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる重ね合わせ部24と、この重ね合わせ部24により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成装置。
【請求項3】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、この手段により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる手段、この手段により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させるための画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項4】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する工程と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う工程と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成方法。
【請求項5】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する特徴抽出部26,27と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う幾何補正・重ね合わせ部28と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成装置。
【請求項6】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する手段、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う手段、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させるための画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項7】
撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する工程を具備したことを特徴とする請求項1又は4記載の画像処理による地図作成方法。
【請求項8】
撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する付加手段を具備したことを特徴とする請求項2又は5記載の画像処理による地図作成装置。
【請求項9】
撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する手段として機能させるようにしたことを特徴とする請求項3又は6記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項10】
撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする請求項1、4又は7記載の画像処理による地図作成方法。
【請求項11】
撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする請求項2,5又は8記載の画像処理による地図作成装置。
【請求項12】
撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、パソコン15に、この動画により刻々と変化する画像を作成する手段として機能させるようにしたことを特徴とする請求項3,6又は9記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項1】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、このコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる工程と、この重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成方法。
【請求項2】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、このコンピュータ画像形成部23により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる重ね合わせ部24と、この重ね合わせ部24により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成装置。
【請求項3】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、この手段により作成されたコンピュータ画像の上に前記写真画像を重ね合わせる手段、この手段により重ね合わせた写真画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させるための画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項4】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する工程と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する工程と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う工程と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する工程とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成方法。
【請求項5】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを具備し、前記パソコン15は、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成するコンピュータ画像形成部23と、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する特徴抽出部26,27と、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う幾何補正・重ね合わせ部28と、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する逆投影・地図作成部25とを含むことを特徴とする画像処理による地図作成装置。
【請求項6】
撮影したデジタルの写真画像を出力する撮像装置10と、この撮像装置10の撮影位置における緯度、経度、高度に対応したデジタル位置信号を出力する位置計測装置11と、前記撮像装置10の撮影時の方位と姿勢に対応したデジタル方位・姿勢信号を出力する電子コンパス12と、数値地図データを記憶した数値地図データベース13と、これらのデジタル信号に基づく演算、加工処理を行うパソコン15とを使用し、前記パソコン15に、前記デジタル位置信号及びデジタル方位・姿勢信号に対応した前記数値地図からコンピュータ画像を作成する手段、前記写真画像とコンピュータ画像におけるそれぞれの特徴を抽出する手段、この特徴に基づき重ね合わせて幾何補正を行う手段、前記重ね合わせて幾何補正した画像に逆投影し地図を作成する手段として機能させるための画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項7】
撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する工程を具備したことを特徴とする請求項1又は4記載の画像処理による地図作成方法。
【請求項8】
撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する付加手段を具備したことを特徴とする請求項2又は5記載の画像処理による地図作成装置。
【請求項9】
撮像装置10により撮影したデジタルの写真画像を表示部22に表示し、デジタルの写真画像の指定した個所に対応する地図上の座標と標高を前記表示部22に表示し、かつ、デジタルの写真画像に書き込み付加した情報を地図上に表示する手段として機能させるようにしたことを特徴とする請求項3又は6記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【請求項10】
撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする請求項1、4又は7記載の画像処理による地図作成方法。
【請求項11】
撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、この動画により刻々と変化する画像を作成するようにしたことを特徴とする請求項2,5又は8記載の画像処理による地図作成装置。
【請求項12】
撮像装置10は、動画の可能な装置からなり、パソコン15に、この動画により刻々と変化する画像を作成する手段として機能させるようにしたことを特徴とする請求項3,6又は9記載の画像処理による地図作成用コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−271869(P2007−271869A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96832(P2006−96832)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(306013142)株式会社デジタルサービスインターナショナル (1)
【出願人】(306013175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(306013142)株式会社デジタルサービスインターナショナル (1)
【出願人】(306013175)
【Fターム(参考)】
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