説明

画像処理サーバ装置

【課題】画像データの送信時間を削減する。
【解決手段】画像処理クライアント装置から送信され、像域分離の性能が低下しない最小画質度である、画像処理対象の元画像データから生成される像域分離用データを像域分離し、像域分離された像域分離用データに対して、高画質度データが必要な高画質度像域があるか否かを判断し、高画質度像域があると判断すると、該高画質度像域に対応した高画質度データを画像処理クライアント装置に送信させ、高画質度像域以外の像域の像域分離用データ、および、画像処理クライアント装置に送信させた高画質度データそれぞれに対して所定の画像処理を施し、合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理クライアント装置から送信された画像データに対して所定の画像処理を行う画像処理サーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像処理クライアント装置と画像処理サーバ装置とで構成される画像処理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像処理システムでは、画像処理機能の負荷分散のために、画像処理クライアント装置には、画像処理機能が具備されておらず、画像処理サーバ装置に複数の画像処理手段(画像処理機能)が具備されている。そして、特許文献1のシステムでは、以下のステップ(1)〜(4)の処理が行われる。
【0003】
ステップ(1)まず画像処理クライアント装置が、画像処理対象の画像データを像域分離用データとして、画像処理サーバ装置に送信する。
ステップ(2)次に、画像処理サーバ装置が、送信された像域分離用データに対して、像域分離処理を行う。
ステップ(3)そして、画像処理サーバ装置内の画像処理手段が、像域分離された画像データそれぞれに対して、画像処理を施す。
ステップ(4)そして、画像処理サーバ装置は、画像処理が施された画像データそれぞれを合成して、画像処理クライアント装置に転送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の技術では、ステップ(1)で、画像処理クライアント装置は、全ての像域分離用データを画像処理サーバ装置に送信する必要がある。従って、画像データ送信に要する時間が多大になるという問題があった。
【0005】
そこで、この問題を鑑みて、本発明では、像域分離用データ送信に要する時間を削減する画像処理サーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、画像処理クライアント装置に接続されている画像処理サーバ装置において、前記画像処理クライアント装置から送信され、該像域分離手段の像域分離の性能が低下しない最小画質度である、画像処理対象の元画像データから生成される像域分離用データを像域分離する像域分離手段と、前記像域分離された像域分離用データに対して、高画質度データが必要な高画質度像域があるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が、前記高画質度像域があると判断すると、該高画質度像域に対応した前記高画質度データを前記画像処理クライアント装置に送信させる要求手段と、前記高画質度像域以外の像域の前記像域分離用データ、および、前記画像処理クライアント装置に送信させた前記高画質度データそれぞれに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理が施された前記像域分離用データ、および、前記高画質度データを合成することで、合成画像データを生成して、該合成画像データを前記画像処理クライアント装置に転送する転送手段と、を有する画像処理サーバ装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明画像処理サーバ装置によれば、像域分離用データ送信に要する時間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例の画像処理システムの機能構成例を示す図。
【図2】本実施例の画像処理クライアント装置および画像処理サーバ装置の機能構成例を示した図。
【図3】本実施例の元画像データなどの流れを模式的に示した図。
【図4】本実施例のシーケンス図。
【図5】元画像データの画像の一例を示した図。
【図6】別の実施例の元画像データなどの流れを模式的に示した図(その1)。
【図7】別の実施例のシーケンス図(その1)。
【図8】別の実施例のシーケンス図(その2)。
【図9】別の実施例のシーケンス図(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、各実施形態について説明する。また、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行う過程には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
[実施形態1]
図1に本実施形態1の画像処理システムの機能構成例を示す。図1に示すように、画像処理サーバ装置200と画像処理クライアント装置100とは接続手段300で接続されている。接続手段300とは、例えば、ネットワークである。以下では、画像処理サーバ装置200を単に「サーバ装置200」といい、画像処理クライアント装置100を単に「クライアント装置100」という。
【0010】
本実施例の画像処理システムでは、画像処理機能の負荷を分散させるために、クライアント装置100には高度な画像処理機能を具備させず、サーバ装置200が、この高度な画像処理機能を具備させている。ここで、高度な画像処理機能とは、例えば、像域分離処理や、高度なフィルタ処理や高度な階調変換処理を行う機能のことである。
【0011】
クライアント装置100とは、例えば、画像形成装置である。画像形成装置とは例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などである。以下では、クライアント装置100が画像形成装置であるとして、説明する。この場合には、クライアント装置100には、シェーディング補正や、RGBライン間補正などの原稿を読み取るための必要最小限の画像処理機能や、比較的容易な2値化処理などの階調変換処理の機能が具備されている。
【0012】
図2に、クライアント装置100の機能構成例、サーバ装置200の機能構成例を示し、図3に、クライアント装置100とサーバ装置200間での元画像データなどの流れを模式的に示し、図4に、クライアント装置100とサーバ装置200とのシーケンス図を示す。
【0013】
まず、クライアント装置100の取得手段106は、画像処理対象の画像データを取得する(ステップS2、ステップA)。以下では、画像処理対象の画像データを「元画像データ」として説明する。図5に、取得手段106が取得した元画像データについての画像の一例を示す。図5に示す画像では、文字像域αと写真像域βとが含まれている。ここで、「像域」とは、元画像データについての全領域のうち、画像が存在する領域をいう。また。「画像」とは、例えば、文字、図形、記号、写真等である。文字像域αとは、文字が属している像域であり、写真像域βとは、写真が属している像域である。また、文字像域α、写真像域βについての画像データをそれぞれ文字データ、写真データという。
【0014】
元画像データの取得については、使用者はクライアント装置100(画像形成装置)の原稿台に原稿を置き、カラーコピーのモードを選択し、スキャン開始のスタートボタンを押す。クライアント装置100の読取手段112はスキャンを開始して、原稿を読み取る。そして、読取手段112の画像処理手段(図示せず)はシェーディング補正やRGBライン間補正などの必要最小限の画像処理を行う。また、この読取手段112の読取解像度は600×600dpiであるとし、階調数は8bitであるとする。ここで、「600×600dpi」の1番目の600は主走査方向ラインについての解像度を示し、2番目の600は副走査方向ラインについての解像度を示す。600×600dpiの元画像データは、一旦、記憶手段110に記憶される。
【0015】
次に、クライアント装置100の生成手段108が、記憶手段110に記憶された元画像データから、像域分離用データを生成する(ステップS4、ステップB)。ここで、元画像データが、サーバ装置200の像域分離手段202(後述する)の像域分離処理の性能が低下しない最小の画質度の画像データになるように、生成手段108は、該元画像データから像域分離用データを生成する。ここで、画質度とは、画像データの画質の度合いを示す情報であり、例えば、「解像度」または/および「階調度」などを含むものをいう。以下では、「画質度」を「解像度」であるとして説明する。また、最小の画質度を「最小画質度」という。
【0016】
解像度が小さくなると、像域分離手段202の像域分離処理の性能は低下する。理由は、解像度が小さくなると、像域を囲む境界線が曖昧になる傾向にあることから、像域分離手段202の像域分離処理の性能は低下するからである。図5の例では、解像度が小さくなると、像域αを囲む境界線Sαと、像域βを囲む境界線Sβが曖昧になる傾向にある。
【0017】
像域分離用データの生成手法の一例を説明する。生成手段108は、元画像データに対して、副走査ラインを間引く間引き処理を行う。この例では、該間引き処理とは、奇数番目の副走査ラインを間引き、偶数番目の副走査ラインを残す処理のことである。この間引き処理により生成された元画像データ(奇数番目の副走査ラインが間引かれた元画像データ)を像域分離用データとする。つまり、像域分離用データの解像度は、600×300dpiであり、副走査偶数ラインが残されている画像データである。この最小の解像度である600×300dpiは予め実験的に求められ、記憶手段110に記憶される。生成された像域分離用データは、記憶手段110に記憶される。以下では、副走査偶数ラインが残されており、解像度が600×300dpiである像域分離用データを副走査偶数ライン(600×300dpi)と示す。
【0018】
次に、クライアント装置100の送信手段102は、生成された像域分離用データをサーバ装置200に送信し、サーバ装置200の受信手段104は、像域分離用データを受信する(ステップC)。このステップCの詳細を説明する。
【0019】
クライアント装置100の送信手段102は、画像処理が行えるか否かを問い合わすための画像処理可否問い合わせ信号をサーバ装置200に送信する(ステップS6)。サーバ装置200の受信手段206が、画像処理可否問い合わせ信号を受信し、制御手段232が画像処理を行える状況であると判定すれば、サーバ装置200の送信手段212は、画像処理を行うことが可能であることを示す画像処理可能信号をクライアント装置100に送信する(ステップS8)。
【0020】
クライアント装置100の受信手段104が、画像処理可能信号を受信すると、送信手段102は、サーバ装置200に対して、画像内容情報と画像処理内容情報とを送信する(ステップS10)。
【0021】
ここで、画像内容情報と画像処理内容情報の一例を示す。また、画像内容情報とは、元画像データの内容を示す元画像データ内容情報と、像域用分離データの内容を示す像域用分離データ内容情報であるとする。
(A)元画像データ内容情報
解像度600dpi×600dpi
カラー情報 RGBカラー
1画素1成分のビット数 8bit
原稿サイズ 210×297mm(4960×7016画素)
(B)像域用分離データ内容情報
解像度600dpi×300dpi
カラー情報 RGBカラー
1画素1成分のビット数 8bit
原稿サイズ 210×297mm(4960×3508画素)
転送ライン: 偶数ライン
(C)画像処理内容情報
出力解像度600dpi×600dpi
出力カラー CMYK
出力画素 1成分のビット数 2bit
出力用紙サイズ 210×297mm(4960×3508画素)
階調変換方法: 文字:誤差拡散、写真:誤差拡散
文字像域処理: 高解像度処理
像域分離機能: ON
アプリケーション: コピー
クライアント装置100の送信手段102は、画像内容情報(元画像データ内容情報および像域用分離データ内容情報)と画像処理内容情報をサーバ装置200に送信する。
【0022】
サーバ装置200の受信手段206が、画像内容情報と画像処理内容情報を受信すると、サーバ装置200の制御手段232が、像域分離手段202による像域分離用データの像域分離処理が可能か否かを判断する。そして、制御手段232が、像域分離処理が可能であると判断すると、送信手段212は、像域分離用データの受信が可能であることを示す像域分離用データ受信可能信号をクライアント装置100に送信する(ステップS12)。
【0023】
クライアント装置100の送信手段102は、記憶手段110に記憶されている像域分離用データをサーバ装置200に送信する(ステップS14)。サーバ装置200の受信手段200が、送信された像域分離用データを受信すると、該像域分離用データを記憶手段230に記憶させる。
【0024】
そして、サーバ装置200の送信手段212は、像域分離用データを適切に受信できたことを示す像域分離用データ受信信号をクライアント装置100に送信する(ステップS16)。このように、ステップS6〜ステップS16の処理を行うことで、クライアント装置100は、サーバ装置200に像域分離用データを送信することが出来る。
【0025】
次に、像域分離手段202は、像域分離用データを像域ごとに分離する(ステップS18、ステップD)。図5の例では、写真像域αと文字像域αとに分離される。
【0026】
次に、判断手段204は、像域分離された像域分離用データに対して、高画質度データが必要な高画質度像域があるか否かを判断する(ステップS19)。また、高画質度像域とは、高画質度データが必要な領域をいい、高画質度データとは、画質度が、予め定められた所定値より大きい画像データをいう。また、画質度を解像度としていることから、高画質度像域を「高解像度像域」といい、高画質度データを「高解像度データ」という。また、「高解像度像域」は「高解像度領域」としてもよい。
【0027】
一般的に、網点で構成された写真像域βについては、網点を平滑化することもあり、高解像度の画像である必要はない。しかし、文字像域αについては、鮮鋭性が高い画質が望まれることから、高解像度の画像が必要である。従って、文字像域αは、高解像度データが必要な高解像度像域となる。そして、サーバ装置200の画像処理手段208は、文字像域αについては、解像度が600×600dpiである元画像データで画像処理を行い、写真像域βについては、解像度が600×300dpiである像域分離用データで画像処理を行う。
【0028】
ここで、高解像度像域があるか否かの第1判断手法として、高解像度像域を予め定めておき、記憶手段230に記憶させるようにしても良い。この例では、高解像度像域は文字像域であるということを予め記憶手段230に記憶させておく。そして、判断手段204が、記憶されている高解像度像域と、分離された像域とが一致するか否か判断し、該分離された像域と、該記憶されている像域と、が一致すれば、該分離された像域は、高解像度像域であると判断する。
【0029】
また、高解像度像域があるか否かの第2判断手法として、例えば、ステップS10において、送信される画像内容情報に、高解像度像域を示す情報を含ませるようにしても良い。このようにすれば、判断手段204は、画像内容情報を解析することで、高解像度像域を認識することが出来る。そして、判断手段204が、画像内容情報に含まれた高解像度像域と、分離された像域とが一致するか否か判断し、該分離された像域と、該画像内容情報に含まれた像域と、が一致すれば、該分離された像域は、高解像度像域の像域であると判断する。なお、上述した(C)画像処理内容情報には、「文字像域処理:高解像度処理」という、高解像度像域を示す情報が含まれていることから、判断手段204は、文字像域については、高解像度像域であると、判断できる。
【0030】
このようにして、判断手段204は、高解像度像域があるか否かの判断を行う。そして、この例では、判断手段204は、文字像域αが高解像度像域であることから、「高解像度像域がある」と判断する。
【0031】
ところが、サーバ装置200は、文字像域αについては、クライアント装置100から、低解像度(600×300dpi)の画像データである像域分離用データしか受信しておらず、高解像度(600×600dpi)の元画像データを保有していない。
【0032】
そこで、サーバ装置200の要求手段205が、高画質度像域(この例では、高解像度像域)に対応する高画質度データ(この例では、高解像度データ)をクライアント装置100に送信要求する(ステップE)。このステップEについて詳細に説明する。ここで、「高画質度像域に対応する高画質度データ」とは、「高画質度像域に属する部分の元画像データ」をいう。
【0033】
要求手段205は、高解像度データの送信させるための高解像度データ送信依頼信号を生成し、サーバ装置200の送信手段212は、該高解像度データ転送依頼信号をクライアント装置100に送信する(ステップS20)。クライアント装置100の受信手段104が、高解像度データ送信依頼信号を受信すると、高解像度データの内容情報を要求するための高解像度データ内容情報要求信号をサーバ装置200に送信する(ステップS22)。サーバ装置200の受信手段206が、高解像度データ内容情報要求信号を受信すると、サーバ装置200の送信手段212は、高解像度データの内容情報をクライアント装置100に送信する(ステップS24)。以下に、高解像度データの内容情報を示す。
【0034】
(D)高解像度データ内容情報
要求解像度: 600dpi×600dpi
転送ライン: 元画像データ
単色送信機能: OFF
階調処理: OFF
1画素1成分のビット数 8bit
原稿サイズ 210×297mm(4960×3508画素)
高解像度像域数:n
・高解像度データ1
像域の種類: 文字像域
有彩/無彩情報: 有彩
座標: 開始座標 x座標、y座標、終了座標 x座標、y座標
・高解像度データ2
像域の種類: 文字像域
有彩/無彩情報: 無彩
座標: 開始座標 x座標、y座標、終了座標 x座標、y座標
………
・高解像度データn
像域の種類: 文字像域
有彩/無彩情報: 有彩
座標: 開始座標 x座標、y座標、終了座標 x座標、y座標
この高解像度データ内容情報の例では、高解像度像域数はn個(nは2以上の整数)である。図5に示す例では図面簡略化のために、文字像域の数は1個であるとしているが、文字像域などの高解像度像域が複数ある場合には、n個の文字像域分の内容情報をサーバ装置200に送信すればよい。この場合には、n個の高解像度データが存在する。
【0035】
クライアント装置100の受信手段104が、高解像度データ内容情報を受信すると、生成手段108は、高解像度データを生成する(ステップS26、ステップF)。具体的には、生成手段108は、高解像度データ内容情報に基づいて、元画像データから、高解像度像域の部分を切り出して、該切り出された元画像データを高解像度データとする。この例では、高解像度データとは、文字データであることから、生成手段108は、元画像データから文字像域の画像データ(文字データ)を切り出して、該文字像域の画像データを高解像度データとする。生成された高解像度データは、一旦、記憶手段110に記憶される。
【0036】
次に、クライアント装置100の送信手段102が、サーバ装置200に対して、高解像度データを送信する(ステップG)。ステップGについて詳細に説明する。クライアント装置100の送信手段102は、高解像度データを送信することが可能であることを示す高解像度データ送信可能信号をサーバ装置200に送信する(ステップS28)。サーバ装置200の受信手段206が、高解像度データ送信可能信号を受信すると、「クライアント装置100が高解像度データを送信することが可能であること」をサーバ装置200は、認識する。そして、サーバ装置200の送信手段212は、高解像度データを要求するための高解像度データ要求信号をクライアント装置100に送信する(ステップS30)。
【0037】
クライアント装置100の受信手段104が、高解像度データ要求信号を受信すると、送信手段102は、送信する高解像度像域について示す高解像度像域情報をサーバ装置200に送信する(ステップS32)。高解像度像域情報には、高解像度像域の座標などが含まれている。更に、クライアント装置100の送信手段102は、記憶手段110に記憶されている高解像度データをサーバ装置200に送信する(ステップS32)。送信された高解像度データは、受信手段206で受信され、該高解像度データは、記憶手段230に記憶される。
【0038】
サーバ装置200の制御手段232は、n個全ての高解像度データを受信したか否かを判断する(ステップS34)。具体的には、送信手段102が、最後の高解像度データをサーバ装置200に送信する際に、全ての高解像度データを送信したことを示す全高解像度データ送信信号も送信する。そして、制御手段232は、全高解像度データ送信信号を受信すると、全ての高解像度データを受信したと判断する。
【0039】
そして、サーバ装置200が全ての高解像度データを受信するまで、ステップS28〜S32の処理を繰り返す(ステップS34のNo)。
【0040】
そして、サーバ装置200が、全高解像度データ送信信号を受信すると、制御部232は、全ての高解像度データが送信されたことを認識する。そして、送信手段212は、全ての高解像度データを受信できたことを示す全高解像度データ受信信号をクライアント装置100に送信する(ステップS36)。クライアント装置100の制御手段116は、全高解像度データ受信信号を受信すると、全ての高解像度データの送信が完了したことを認識する。
【0041】
そして、画像処理手段208は、高画質度像域以外の像域の像域分離用データ、および、クライアント装置100から送信された高解像度データそれぞれに対して所定の画像処理を施す(ステップS38、ステップH)。この例では、「高画質度像域以外の像域の像域分離用データ」とは、「写真データ(解像度600×300dpi)」であり、「クライアント装置100から送信された高解像度データ」とは、「文字データ(解像度600×600dpi)」である。また、画像処理手段208は、写真データについては、変倍処理として、補間演算処理をすることで、写真データの解像度600×300dpiから、解像度600×600dpiにする。そして、画像処理手段208は、文字データおよび変倍処理後の写真データに対して、所定の画像処理を行う(ステップ38、ステップH)。
【0042】
所定の画像処理とは、文字データ、写真データそれぞれに対して、最適な画質となるように、画像処理のパラメータを設定して、γ変換処理、色変換処理、フィルタ処理、書込み手段114のための階調処理など、画像形成で必要な各種画像処理などである。また、クライアント装置100が画像形成装置でない場合には、画像処理手段208は他の画像処理を行うようにしても良い。
【0043】
なお、図2の例では、画像処理手段208は1つのみ記載しているが、m個(mは2以上の整数)の画像処理手段2081〜208mを設けるようにしても良い。この場合には、画像処理手段2081〜208mのうちの少なくとも1つが、文字データに対して、所定の画像処理を行う(ステップ38、ステップH)。また、画像処理手段2081〜208mのうちの少なくとも1つが、写真データに対して、所定の画像処理を行う(ステップ38、ステップH)。
【0044】
そして、転送手段220が、画像処理が施された像域分離用データ、および、高解像度データを合成することで、合成画像データを生成して、該合成画像データをクライアント装置100に転送する(ステップI、ステップJ)。
【0045】
ここで、図2に示すように、転送手段220は、第1合成手段210と送信手段212を含むものである。
【0046】
まず、第1合成手段210は、画像処理された文字データ、および、画像処理された写真データ、を合成する(ステップI)。具体的には、画像処理後の文字像域、写真像域を画像処理前の文字像域、写真像域の座標に配置させる。合成された文字データおよび写真データを合成画像データとする。そして、サーバ装置200の送信手段212は、画像処理が終了したことを示す画像処理終了通知信号をクライアント装置100に送信する(ステップS42)。
【0047】
クライアント装置100の受信手段104が、画像処理終了通知信号を受信すると、制御手段116が、合成画像データを受信できるか否かを判断する。そして、制御手段116が、合成画像データを受信できると判断すると、クライアント装置100の送信手段102が、合成画像データを受信することが可能であることを示す画像データ受信可能通知信号をサーバ装置200に送信する(ステップS44)。
【0048】
サーバ装置200の受信手段206が、画像データ受信可能通知信号を受信すると、送信手段212が、合成画像データをクライアント装置100に送信する(ステップS46)。
【0049】
この実施形態1によれば、ステップCでのクライアント装置100からサーバ装置200に送信される像域分離用データは、像域分離手段202の像域分離の性能が低下しない最小画質度である。従って、ステップCで、送信される像域分離用データのデータ容量を削減でき、画像データ送信に要する時間を削減することが出来る。
【0050】
また、像域分離用データのうち、高解像度データが必要な高解像度像域がある場合には、該高解像度データをクライアント装置100から送信させる。そして、高解像度像域については、高解像度データに対して画像処理を行い、それ以外の像域については、像域分離用データについて画像処理を行う。従って、サーバ装置200は、高品質な画像処理を行うことが出来る。
[実施形態2]
次に、実施形態2のサーバ装置200について説明する。図6に実施形態2のクライアント装置100とサーバ装置200間での元画像データなどの流れを模式的に示し、図7に、実施形態2のクライアント装置100とサーバ装置200とのシーケンス図を示す。また、実施形態2のクライアント装置100とサーバ装置200との機能構成例図2に示す。
【0051】
ステップA〜DとステップS19の処理については、実施形態1と同様である。実施形態1で説明したように、ステップCで、サーバ装置200が受信した像域分離用データは、副走査偶数ラインが間引かれ、副走査奇数ライン(600×300dpi)が残存された画像データである。そして、文字像域αは高解像度像域であることから、文字像域αについては、高解像度データが必要である。ところが、サーバ装置200は、文字データについては、副走査奇数ライン(600×300dpi)の像域分離用データしか保持していない。
【0052】
サーバ装置200は、文字データについては、副走査奇数ライン(600×300dpi)の像域分離用データを保持していることから、元画像データに対して不足している副走査偶数ライン(600×300dpi)の文字データを取得できれば、この副走査偶数ライン(600×300dpi)の文字データと、副走査奇数ライン(600×300dpi)の文字データと、を合成することで、高解像度の文字データ、つまり、元画像データと同等の解像度の文字データを得ることが出来る。実施形態2では、この不足分の文字データである副走査偶数ライン(600×300dpi)の文字データを差分データとして、クライアント装置100に送信させる。
【0053】
実施形態1では、文字データについては、文字像域αの元画像データの全てを高解像度データとして、クライアント装置100からサーバ装置200へ送信させていた。実施形態2では、文字像域αの差分データのみをクライアント装置100からサーバ装置200へ送信させればよいので、実施形態1と比較して、送信データ量を削減することが出来、送信時間を削減することが出来る。以下、具体的に説明する。
【0054】
ステップS19で、判断手段204が、「像域分離された像域分離用データに対して、高画質度データが必要な高画質度像域がある」と判断すると、要求手段205は、クライアント装置100に対して差分データを要求する(ステップI)。
【0055】
ここで、差分データとは、高画質度像域の像域分離用データと、高画質度像域の元画像データとの差分である画像データをいう。この例では、「高画質度像域の像域分離用データ」とは、文字像域の像域分離用データであり、副走査奇数ラインが残存された600×300dpiの画像データである。また、「高画質度像域の元画像データ」とは、文字像域の元画像データであり、間引かれる前の状態であり、つまり、副走査奇数ラインおよび副走査偶数ラインが存在する600×600dpiの画像データである。
【0056】
ステップIの詳細について説明する。サーバ装置200の送信手段212は、差分データの送信を依頼するための差分データ送信依頼信号をクライアント装置100に送信する(ステップS50)。クライアント装置100の受信手段104が、差分データ送信依頼信号を受信すると、クライアント装置100の送信手段102は、差分データの内容情報を要求するための差分データ内容情報要求信号をサーバ装置200に送信する(ステップS52)。サーバ装置200の受信手段206が、差分データ内容情報要求信号を受信すると、サーバ装置200の送信手段212は、差分データの内容情報を送信する(ステップS54)。差分データの内容情報とは、この例では、文字像域αの副走査偶数ライン(600×300dpi)であること示す情報である。
【0057】
そして、生成手段108は、差分データを生成する(ステップS56、ステップJ)。差分データの生成手法について説明する。上述のように、この例では差分データは、「600×300dpiの副走査偶数ラインの画像データ」となる。
【0058】
生成手段108は、元画像データから、高画質度像域(この例では、文字像域α)の画像データである文字データを切り出す。そして、ステップS4(図4参照)で像域分離用データを生成する際に、残存させたライン(この例では、副走査奇数ライン)を、文字データから間引くことで、差分データ(この例では、副走査偶数ラインを残存させた文字データ)を生成する。生成された差分データは、記憶手段110に記憶される。
【0059】
生成手段108が、差分データを生成すると、クライアント装置100の送信手段102が、差分データを送信することが可能であることを示す差分データ送信可能信号をサーバ装置200に送信する(ステップS58)。サーバ装置200の受信手段206が、差分データ送信可能信号を受信すると、サーバ装置200の送信手段212は、差分データを要求するための差分データ要求信号をクライアント装置100に送信する(ステップS60)。
【0060】
クライアント装置100の受信手段206が、差分データ要求信号を受信すると、クライアント装置100の送信手段102は、記憶手段110に記憶されている差分データをサーバ装置200に送信する。そして、サーバ装置200の制御手段232が、全ての差分データを受信したか否かを判断する(ステップS64)。全ての差分データを受信した場合には(ステップS64のYes)、サーバ装置200の送信手段212は、全ての差分データを受信したことを示す全差分データ受信信号をクライアント装置100に送信する(ステップS66)。なお、差分データの個数について、文字像域がn個ある場合には、差分データもn個存在する。
【0061】
そして、第2合成手段234は、高解像度像域の像域分離用データ(この例では、600×300dpiの副走査奇数ラインの文字データ)と、クライアント装置100から送信された差分データ(この例では、600×300dpiの副走査偶数ラインの文字データ)、を合成することで部分合成画像データを生成する(ステップS68、ステップL)。
【0062】
ここで、部分合成画像データとは、元画像データの部分的な像域(この例では、文字像域α)が、第2合成手段234による合成処理により生成される画像データである。該部分合成画像データの画質度(この例では、解像度)は、元画像データの画質度と同一になる。
【0063】
そして、画像処理手段208は、高画質度像域以外の像域(この例では、写真像域β)の像域分離用データ(写真データ)、および、部分合成画像データ(文字データ)それぞれに対して所定の画像処理を施す(ステップS38、ステップH)。
【0064】
第1合成手段210は、画像処理が施された前記像域分離用データ、および、部分合成画像データを合成することで、合成画像データを生成する(ステップS40)。そして、送信手段212は、合成画像データをクライアント装置100に転送する(ステップJ)。以下の処理は、実施形態1と同様なので、省略する。
【0065】
この実施形態2によれば、高解像度像域に必要な高解像度データについて、実施形態1のように高解像度データではなく、差分データを、クライアント装置100はサーバ装置200に対して送信する。従って、実施形態1と比較して、更に、送信時間を削減することが出来る。
【0066】
また、この説明では、ステップS4において、生成手段108は、元画像データから副走査奇数ラインを間引くことで、像域分離用データを生成し、元画像データから副走査偶数ラインを間引くことで、差分データを生成した。しかし、生成手段108は、元画像データから副走査偶数ラインを間引くことで、像域分離用データを生成し、元画像データから副走査奇数ラインを間引くことで、差分データを生成するようにしてもよい。
[実施形態3]
次に、実施形態3について説明する。実施形態1で説明したように、ステップS24で、「(D)高解像度データ内容情報」を送信しているが、この例では、高解像度像域が文字像域αであり、この文字像域αがn個ある。そして、文字像域1〜nごとに、有彩/無彩情報が含まれている。
【0067】
ここで、有彩/無彩情報とは、文字像域内の文字が、有彩か無彩を示す情報である。有彩とは、単色ではない、つまり複数色で構成されていることを示し、無彩とは、単色、つまり、一色で構成されていることを示す。一色とは、黒、赤、緑、青など他の色も含む。また、文字像域ごとの有彩か無彩の判断は、判断手段204が(D)高解像度データ内容情報を解析することで行えばよい。
【0068】
そして、クライアント装置100の送信手段102は、有彩である文字データについては、RGBデータを送信する。また、生成手段108は、無彩である文字データについては、RGBデータから単色データを生成する。単色データの算出は、例えば、RGBに重みをつけた算出式で求める方法や、例えば、Gデータ(グリーンデータ)を単色データとみなす方法がある。
【0069】
この実施形態3によれば、像域分離された像域分離用データについて、高解像度データごとに、無彩または有彩かを判断手段204が判断する。そして、ステップS24で送信される高解像度データ内容情報に、高解像度データごとに、無彩または有彩かを示す情報を含ませる。そして、ステップS32で、クライアント装置100は、無彩である高解像度データ(この例では、文字データ)については単色データのみを送信する。従って、実施形態1と比較して、更に、高解像度データのデータ量を削減することが出来るので、送信時間を削減することが出来る。
【0070】
また、この実施形態3では、実施形態1で説明した高解像度データが無彩の場合に、単色データを送信する、として説明した。その他にも実施形態2で説明した差分データが無彩の場合に、単色データを送信するようにしても良い。
[実施形態4]
次に、実施形態4について説明する。実施形態2では、図7で説明したようにステップS62で、差分データがクライアント装置100からサーバ装置200へ送信される。実施形態4では、クライアント装置100の階調変換手段118が、この差分データに対して、階調変換処理を施した後に、サーバ装置200に送信する。これにより、差分データのデータ容量を削減し、更に、高解像度データの送信時間を削減することが出来る。以下の説明では、実施形態2(差分データを送信する実施形態)についてであり、かつ、文字データが全て単色データである場合について説明する。階調変換処理とは、画像データの階調度を変換する処理であり、例えば、単純2値化やディザ処理、誤差拡散処理などをいう。
【0071】
図7記載のステップS10において、送信される画像処理内容情報に、以下の「階調変換方法」も含ませる。
階調変換方法:文字:単純2値化、写真:誤差拡散
つまり、この例では、画像処理手段208は、文字データについては単純2値化処理を行い、写真データについては誤差拡散処理を行う。
【0072】
次に、図7記載のステップS54で送信される差分データ内容情報には、階調処理についての情報を含ませる。この例では、階調処理として単純2値化を行うことを含ませる。そして、クライアント装置100の階調変換手段118は、差分データ内容情報内の階調変換方法に従って、差分データ(副走査偶数ライン(600×300dpi)の文字データ)に階調変換処理(この例では単純2値化処理)を行う。
【0073】
そして、ステップKでは、単純2値化処理された文字データ(副走査偶数ライン(600×300dpi)が、サーバ装置200に送信される。このように、ステップKにおいて、階調変換処理(この例では、単純2値化処理)された差分データが送信されることから、差分データのデータ量を削減することが出来、送信時間を削減することが出来る。
【0074】
一方、サーバ装置200の階調変換手段236は、差分データの像域分離用データ(副走査奇数ライン(600×300dpi))から文字データを切り出して、該切り出された文字データに対して単純2値化処理を行う。
【0075】
そして、第2合成手段234は、単純2値化された差分データ(副走査偶数ライン(600×300dpi)の文字データ)と、切り出された文字データ(副走査奇数ライン(600×300dpi))を合成することで、単純2値化された文字データ(600×300dpi)つまり部分合成画像データを生成することが出来る。以下の処理については、実施形態2と同様なので説明を省略する。
【0076】
この実施形態4によれば、例えば、実施形態2について、クライアント装置100で生成された差分データについて、階調変換処理を行うことで、更に、差分データのデータ量を削減することが出来、送信時間を削減することが出来る。
【0077】
また、この実施形態4の階調変換処理については、実施形態1で説明した高解像度データについても適用できる。つまり、図4記載のステップGで送信される高解像度データに対して、階調変換処理を行うことで、高解像度データのデータ量を削減することが出来、高解像データの送信時間を削減することが出来る。
【0078】
また、単純2値化やディザ処理など、前画素の処理結果に依存しない階調変換処理のときは、高解像度データ(実施形態1で説明)や、差分データ(実施形態2で説明)に対して適用可能である。しかし、階調変換処理が、誤差拡散処理の場合には、前画素の誤差のデータが必要となるので、差分データに対しては適用できず、高解像データに対して適用できる。
[実施形態5]
次に、実施形態5について説明する。実施形態1〜4までは、高解像像域がある場合に(ステップS19)、要求手段205は、高解像度データをクライアント装置100から送信させる(実施形態1で説明)。または、要求手段205は、差分データをクライアント装置100から送信させる(実施形態2で説明)。また、実施形態1〜4では、画質度とは、解像度または/および解像度を含むものであると説明した。
【0079】
この実施形態5では、判断手段204が、高階調度のデータである高階調度データが必要な像域である高階調度像域があるか否かを判断する。そして、高階調度像域があると判定された場合には、サーバ装置200は、クライアント装置100に対して、高階調度データを送信させる。
【0080】
まず、実施形態1の構成に実施形態5の構成を統合させたものを実施形態5−1として説明する。図8に実施形態5のシーケンス図を示す。図8の例では、図4のステップS19〜ステップS36、ステップE、F、Gが、ステップS69〜96、ステップM、N、Pに変更されている。更に、ステップS19〜ステップS36、ステップE、F、G内の「高解像度データ」が「高階調度データ」に変更されている。
【0081】
また、クライアント装置100(画像形成装置)の読取手段112の読取解像度は600×600dpiであり、階調数は16bitであり、書込み手段114の出力解像度は600×600dpiであり、階調数は2bitであるとする。書込み手段114とは、例えば、感光体(図示せず)に静電潜像を書き込むものである。
【0082】
まず、図8記載のステップS4で、生成手段108は、元画像データから副走査ラインの間引き処理と、ビット数を削除するビット削除処理を行う。この例では、生成手段108は、元画像データから副走査奇数ラインを間引き、副走査偶数ラインを残存させる。更に、生成手段108は上位8bitを削除して、下位8bitのデータにする。つまり、生成手段108は、600×300dpi:副走査偶数ラインであり、下位8bitの像域分離用データを生成する。
【0083】
次に、ステップS10で送信される画像内容情報と画像処理内容情報の一例を示す。また、画像内容情報とは、元画像データの内容と、像域用分離データの内容を示す情報であるとする。
(A')元画像データ内容情報
解像度600dpi×600dpi
カラー情報 RGBカラー
1画素1成分のビット数 16bit
原稿サイズ 210×297mm(4960×7016画素)
(B')像域用分離データ内容情報
解像度600dpi×300dpi
カラー情報 RGBカラー
1画素1成分のビット数 8bit
原稿サイズ 210×297mm(4960×3508画素)
転送ライン: 偶数ライン
(C')画像処理内容情報
出力画像特性
出力解像度600dpi×600dpi
出力カラー CMYK
出力画素 1成分のビット数 2bit
出力用紙サイズ 210×297mm(4960×3508画素)
階調変換方法: 文字:誤差拡散、写真:誤差拡散
文字像域処理: OFF
写真像域処理: 高階調処理
像域分離機能: ON
アプリケーション: コピー
(C)画像処理内容情報と(C')画像処理内容情報の異なる主な点は、写真像域処理が高階調処理になっている点である。理由は後述する。
【0084】
また、ステップS79で、判断手段204は、像域分離された像域分離用データに対して、高階調度データが必要な高階調度像域があるか否かを判断する。
【0085】
一般的に、書込み手段114で表現できる階調数が高くないため、必ずしも高階調の画像である必要はない。しかし、写真像域βについては、γ変換処理による階調飛びがないように、高階調度データが必要な場合がある。この例では、16bitの写真データが必要である。そのためサーバ装置200では写真像域βついては、元画像データの階調数と同一の階調数の画像データで画像処理を行なう。
【0086】
ここで、高階調度像域があるか否かの第1判断手法として、高階調度像域を予め定めておき、記憶手段230に記憶させるようにしても良い。この例では、高階調度像域は写真像域βであるということを予め記憶手段230に記憶させておく。そして、判断手段204が、記憶されている高階調度像域と、分離された像域とが一致するか否か判断し、該分離された像域と、該記憶されている像域と、が一致すれば、該分離された像域は、高階調度像域の像域であると判断する。
【0087】
また、高階調度像域があるか否かの第2判断手法として、例えば、ステップS10において、送信される画像内容情報に、高階調度像域を含ませるようにしても良い。このようにすれば、判断手段204は、画像内容情報を解析することで、高階調度像域を認識することが出来る。そして、判断手段204が、画像内容情報に含まれた高階調度像域と、分離された像域とが一致するか否か判断し、該分離された像域と、該画像内容情報に含まれた像域と、が一致すれば、該分離された像域は、高階調度像域であると判断する。
【0088】
そして、ステップS84で、送信手段212は、クライアント装置100に対して、高階調度データ内容情報を送信する。高階調度内容情報の一例を以下に示す。
【0089】
(D')高階調度データ内容情報
要求階調度: 600dpi×600dpi
転送データ: 下位8bit
単色送信機能: OFF
階調処理: OFF
1画素1成分のビット数 16bit
原稿サイズ 210×297mm(4960×3508画素)
高階調度像域数:n
・高解像度データ1
像域の種類: 写真像域
有彩/無彩情報: 有彩
座標: 開始座標 x座標、y座標、終了座標 x座標、y座標
・高解像度データ2
像域の種類: 写真像域
有彩/無彩情報: 無彩
座標: 開始座標 x座標、y座標、終了座標 x座標、y座標
………
・高解像度データn
像域の種類: 写真像域
有彩/無彩情報: 有彩
座標: 開始座標 x座標、y座標、終了座標 x座標、y座標
そして、ステップMの処理終了後、ステップNにおいて、生成手段108は、高階調度データの生成を行う。具体的には、生成手段108は、(D')高階調度データ内容情報に基づいて、元画像データから、高階調度データを切り出す。この例では、高階調度データとは、写真データであることから、生成手段108は、元画像データから写真データを切り出して、写真データを高階調度データとする。生成された高階調度データは、一旦、記憶手段110に記憶される。
【0090】
そして、ステップPで、記憶手段110に記憶された高階調度データは送信される。そして、画像処理手段208は、高階調度像域以外の像域(この例では文字像域α)の像域分離用データ(この例では文字データ)、および、クライアント装置100に送信させた高階調度データ(この例では、写真データ)それぞれに対して所定の画像処理を施す。
【0091】
次に、実施形態2の構成に実施形態5の構成を統合させたものを実施形態5−2として説明する。図9にシーケンス図を示す。図9では、図7記載の「ステップA〜DとステップS19」が「ステップA〜DとステップS79」に変更されている。ステップS79は、図8で説明したとおりである。
【0092】
実施形態2と実施形態5−2とで相違する点は、差分データの内容である。実施形態5−1で説明したように、ステップS14で送信された像域分離用データは、副走査ライン(600×300dpi)であり、下位8bitであり、サーバ装置200の記憶手段230には、この像域分離用データが記憶されている。ところが、写真像域については、高階調度像域であるが、上位8bitの階調数が足りない。そこで、差分データとして、副走査ライン(600×300dpi)であり、上位8bitの差分データをサーバ装置200は、クライアント装置100に対して送信させる。
【0093】
具体的には、生成手段108は、ステップS56(ステップJ)において、元画像データから、間引き処理と、ビット削除処理を行う。ここで、間引き処理は、像域分離用データを生成する際に間引いた副走査ラインと同一の副走査ラインを間引く。この例では、生成手段108は、副走査奇数ラインを間引く。一方、ビット削除処理については、像域分離用データを生成する際に残存させたビットを削除し、像域分離用データを生成する際に削除したビットを残存させるようにする。この例では、生成手段108は、下位8bitを削除し、上位8bitを残存させる。
【0094】
つまり、生成手段108が生成する差分データは、副走査偶数ライン(600×300dpi)であり、上位8bitの写真データである。
【0095】
そして、ステップKで、サーバ装置200に全ての差分データが送信される。第2合成手段234は、像域分離用データから、写真データを切り出す。該切り出された写真データは、副走査偶数ライン(600×300dpi)であり、下位8bitである。
【0096】
そして、第2合成手段234は、該切り出された写真データ(副走査偶数ライン(600×300dpi)であり、下位8bit)と、差分データ(副走査奇数ライン(600×300dpi)であり、上位8bit)を合成する(ステップS68、ステップL)。該合成により、写真データについての部分合成画像データが生成される。
【0097】
そして、画像処理手段208は、文字データと写真データについての部分合成画像データに対して所定の画像処理を施す。以下の処理は、実施形態2と同様なので省略する。また、実施形態1で説明したように、文字像域については、高解像度処理を行う。
【0098】
この実施形態5によれば、元画像データから解像度のみではなく、階調度も下げて、像域分離用データを生成する。従って、実施形態1〜4と比較して、更に、像域分離用データのデータ容量を削減することが出来るので、更に、送信時間を削減することが出来る。
[実施形態6]
次に、実施形態6について説明する。例えば、実施形態1で説明した高解像度データは、例えば、文字データであるとして説明した。この文字データにおいて、像域分離手段202による像域分離処理後に、n個の文字像域が重畳している場合には、
n個の文字像域の文字データ(つまり、画像データの高画質度像域に対応した高画質度データ)のデータ容量W>元画像データのデータ容量Q (1)
になる場合がある。この場合には、高解像度データとして文字データをサーバ装置200に送信するのは送信効率が悪く、元画像データを高解像度データとして送信する方が送信効率がよい。
【0099】
そこで、実施形態6では、W>Qになる場合には、高解像度データとして元画像データを送信する。上記式(1)が成り立つか否かの判別手法について説明する。ステップS19で、高解像度データが必要であると判断された場合に、判断手段204が、ステップS18の像域分離処理後のn個の文字像域の文字データのデータ容量Wが予め定められた第1閾値V1より大きいか否かを判断する。ここで、第1閾値V1とは、元画像データのデータ容量Qとしてもよく、その他の値としても良い。第1閾値V1は、記憶手段230に記憶されている。
【0100】
データ容量Wが、閾値V1より大きいということは、文字像域が重なって、元画像データについての元画像の全像域よりも大きいということである。従って、この場合には、上記式(1)が成り立つ。よって、ステップGにおいて、高解像度像域に対応した高画質度データ(文字データ)を送信させるのではなく、元画像データを送信させる。そして、要求手段208は、送信された元画像データから、文字データ(高解像度像域に対応する高解像度データ)を切り出す。そして、画像処理手段208は、切り出した文字データに対して、所定の画像処理を施す。
【0101】
また、データ容量Wが、第1閾値V1以下である場合には、実施形態1で説明したように、ステップGでは、高画質度像域に対応した高画質度データを送信する。つまり、要求手段205は、高画質度データのデータ量と、第1閾値V1に基づいて、クライアント装置100に高画質度像域に対応した高画質度データを送信させるか、クライアント装置100に元画像データを送信させるか、を切り換えるものである。
【0102】
この実施形態6によれば、要求手段205が要求した高解像度データのデータ容量が閾値V1より大きい場合には、元画像データを送信させる。これにより、更に、送信時間を削減することが出来る。
【0103】
また、この実施形態6では、実施形態1について説明したが、実施形態2〜5について適用しても良い。
[実施形態7]
次に、実施形態7について説明する。実施形態7では、クライアント装置100とサーバ装置200とを接続する接続手段300の画像データの転送速度Xに応じて、ステップCにおいて、像域分離用データとして、最小画質度である像域分離用データを送信するか、元画像データを送信するかを切り換える。
【0104】
クライアント装置100の判断手段120は、接続手段300の転送速度Xを測定する。そして、転送速度Xが、予め定められた第2閾値V2以上であれば、接続手段Xの転送速度は比較的大きいということである。従って、データ量の多い画像データ(この例では、元画像データ)を送信した場合の送信時間は、データ量の少ない画像データ(この例では、最小画質度である像域分離用データ)を送信した場合の送信時間と比較しても、殆ど変わらない。よって、X≧V2が成り立つ場合には、ステップS14で、送信手段102は、像域分離用データとして、元画像データをサーバ装置200に送信する。
【0105】
このように、像域分離用データとして、元画像データを送信すると、図4記載のステップS19〜ステップS36までの処理を省略することが出来る。この場合には、像域分離手段202は、元画像データを像域分離して、画像処理手段208は該像域分離された元画像データに対して画像処理を行う。
【0106】
また、X<V2であれば、実施形態1で説明したように、ステップS14で送信手段102は、最小画質度である像域分離用データをサーバ装置200に送信する。以下の処理は実施形態1と同様なので、説明を省略する。
【0107】
この実施形態7によれば、接続手段300の転送速度Xが大きければ、像域分離用データとして、元画像データを送信する。接続手段300の転送速度Xが大きければ、データ容量が大きい元画像データを送信する送信時間と、最小画質度である像域分離用データを送信する送信時間とは殆ど変わらない。従って、実施形態1と同様の送信時間の削減を行うことが出来る。更に、元画像データに対して像域分離を行う場合には、ステップS19〜ステップS36の処理を削減できる。従って、画像処理効率を向上させることが出来る。
【0108】
また、この実施形態7は、実施形態1について説明したが、他の実施形態2〜6についても適用できる。
【符号の説明】
【0109】
102 送信手段
104 受信手段
106 取得手段
108 生成手段
110 記憶手段
112 読取手段
114 書込み手段
202 像域分離手段
204 判断手段
205 要求手段
206 受信手段
208 画像処理手段
220 転送手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開平10−276323号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理クライアント装置に接続されている画像処理サーバ装置において、
前記画像処理クライアント装置から送信され、該像域分離手段の像域分離の性能が低下しない最小画質度である、画像処理対象の元画像データから生成される像域分離用データを像域分離する像域分離手段と、
前記像域分離された像域分離用データに対して、高画質度データが必要な高画質度像域があるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記高画質度像域があると判断すると、該高画質度像域に対応した前記高画質度データを前記画像処理クライアント装置に送信させる要求手段と、
前記高画質度像域以外の像域の前記像域分離用データ、および、前記画像処理クライアント装置に送信させた前記高画質度データそれぞれに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理が施された前記像域分離用データ、および、前記高画質度データを合成することで、合成画像データを生成して、該合成画像データを前記画像処理クライアント装置に転送する転送手段と、を有する画像処理サーバ装置。
【請求項2】
前記要求手段は、階調変換処理された前記高画質度データを前記画像処理クライアント装置に送信させることを特徴とする請求項1記載の画像処理サーバ装置。
【請求項3】
前記要求手段は、前記高画質度データのデータ量と、予め定められた第1閾値に基づいて、前記画像処理クライアント装置に前記高画質度像域に対応した前記高画質度データを送信させるか、前記画像処理クライアント装置に前記元画像データを送信させるか、を切り換えることを特徴とする請求項1または2記載の画像処理サーバ装置。
【請求項4】
前記要求手段は、前記高画質度データが単色データである場合に、該高画質度データの単色データを要求することを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の画像処理サーバ装置。
【請求項5】
画像処理クライアント装置に接続されている画像処理サーバ装置において、
前記画像処理クライアント装置から送信され、該像域分離手段の像域分離の性能が低下しない最小画質度である、画像処理対象の元画像データから生成される像域分離用データを像域分離する像域分離手段と、
前記像域分離された像域分離用データに対して、高画質度データが必要な高画質度像域があるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が、前記高画質度像域があると判断すると、該高画質度像域の像域分離用データと該高画質度像域の前記元画像データとの差分データを送信させる要求手段と、
前記高画質度像域の像域分離用データと、前記画像処理クライアント装置に送信させた前記差分データと、を合成することで部分合成画像データを生成する合成手段と、
前記高画質度像域以外の像域の前記像域分離用データ、および、前記部分合成画像データそれぞれに対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理が施された前記像域分離用データ、および、前記部分合成画像データを合成することで、合成画像データを生成して、該合成画像データを前記画像処理クライアント装置に転送する転送手段と、を有する画像処理サーバ装置。
【請求項6】
前記要求手段は、誤差拡散処理以外の階調変換処理された前記差分データを前記画像処理クライアント装置に送信させることを特徴とする請求項5記載の画像処理サーバ装置。
【請求項7】
前記要求手段は、前記差分データのデータ量と、予め定められた第1閾値に基づいて、前記画像処理クライアント装置に前記差分データを送信させるか、前記画像処理クライアント装置に前記元画像データを送信させるか、を切り換えることを特徴とする請求項5または6記載の画像処理サーバ装置。
【請求項8】
前記要求手段は、前記差分データが単色データである場合に、該差分データの単色データを前記画像処理クライアント装置に送信させることを特徴とする請求項5〜7何れか1項に記載の画像処理サーバ装置。
【請求項9】
前記画像処理クライアント装置と前記画像処理サーバ装置とを接続する接続手段のデータ転送速度と、予め定められた第2閾値に基づいて、前記画像処理クライアント装置から前記最小画質度である像域分離用データが送信されるか、前記元画像データである像域分離用データが送信されるか、が切り換えられることを特徴とする請求項1〜8何れか1項に記載の画像処理サーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114674(P2012−114674A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261912(P2010−261912)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】