説明

画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラム

【課題】重ね合わせ画像を生成することで、2つの画像間のいずれの部分が相互に一致していないのかを容易に把握する。
【解決手段】印刷画像取得部101は、スキャナにより読み込まれた印刷画像を取得する。二値化部102は、印刷画像取得部101が取得した印刷画像を二値化する。画像保管部103は、二値化部102により二値化された後の第1印刷画像と第2印刷画像を保管する。補正係数算出部104は、第1印刷画像と第2印刷画像との間の幾何学的な補正を行うための係数を算出する。変換画像生成部105は、補正係数算出部104が算出した補正係数を利用し、第1印刷画像の変換を行う。重ね合わせ画像生成部106は、画像保管部103が保管している第2印刷画像と、変換された第1印刷画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、同一と思われる印刷データを異なる印刷装置で印刷し、それらが真に一致しているか否かを評価する画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネス分野において帳票は欠かすことのできないツールである。帳票とは、帳簿や伝票類の総称であり、流通、経理などさまざまな場所で利用されている。このため、帳票のデータは膨大となり、その管理方法に関する技術が多く知られている。
【0003】
現在は、帳票もデジタル化が進み、デジタルデータとして保存されているが、帳票を印刷する機会も多い。印刷機器の交換により、帳票データの印刷物における位置ずれなどの誤りが発生する場合がある。そこで、管理者が膨大な帳票データを印刷し、交換前後の印刷物の違いを目視により検査し、誤り等がないことをチェックしている。
【0004】
また、このような2つの画像間の差分をチェックする技術として、差分画像を作成するものが知られている(たとえば、特許文献1〜4を参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−287682号公報
【特許文献2】特開2005−33656号公報
【特許文献3】特開2005−197792号公報
【特許文献4】特開2003−99021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、文書画像から加筆部分を抽出し、加筆の有無を所定領域ごとに判断した上で差分画像を作るものである。しかし、この技術は、印刷物を評価することはできず、差分画像のみしか得られないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術は、医療用画像において、同一患者の同一部位の写真の差分画像を生成し、病気の進行具合の確認に用いるものである。しかし、この技術は、差分画像で差異は見えるが、差分がもとの画像に対してどの位置を占めるのかを一目で把握することはできないという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の技術は、医療用画像において、2枚の画像の経時変化を独立成分分析により解析するものである。しかし、この技術は、色分けした重ね合わせ画像生成はできず、どの部分が相違しているのかを容易に見極めることができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献4に記載の技術は、医療用画像において、関連する複数の画像を表示する際に、拡大表示する領域の画像の位置ずれを補正するものである。しかしながら、この技術は、2枚の画像を並べて表示する際に、画像の一部拡大時に同じ場所が拡大されるようにするための工夫がなされているだけで、画像を重ね合わせて表示することができず、どの部分が相違しているのかを容易に見極めることができないという問題がある。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、重ね合わせ画像を生成することで、2つの画像間のいずれの部分が一致していないのかを容易に把握することができる画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる画像処理システムは、2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得手段と、前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記幾何学的補正係数に基づいて前記第1画像の幾何学的補正を行う変換画像生成手段と、補正された第1画像と前記第2画像との重ね合わせ画像を生成する重ね合わせ画像生成手段と、前記重ね合わせ画像を表示する表示手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明にかかる画像処理システムは、請求項1に記載の発明において、前記第1,第2画像を二値化する二値化手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明にかかる画像処理システムは、請求項1または2に記載の発明において、前記重ね合わせ画像を印刷出力する印刷手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明にかかる画像処理システムは、請求項1〜3のいずれかひとつに記載の発明において、前記重ね合わせ画像生成手段が、対応する位置に存在する前記補正された第1画像および前記第2画像それぞれの画素値に応じて、異なる画素色を設定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明にかかる画像処理システムは、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の発明において、前記補正された第1画像または前記第2画像の少なくとも一方の画像中の線をより太くする処理を行う線幅変換手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明にかかる画像処理システムは、請求項1〜5のいずれかひとつに記載の発明において、前記補正された第1画像と前記第2画像との相違度を算出し、当該相違度が所定の値よりも大きい場合に前記補正された第1画像と前記第2画像とが相違すると判断する画像間相違度算出手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明にかかる画像処理システムは、画像の印刷を行う印刷手段と、前記印刷手段で印刷された2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得手段と、前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記幾何学的補正係数に基づいて印刷媒体に対する前記第2画像の印刷位置を調整する印刷位置調整手段と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明にかかる画像処理方法は、2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得工程と、前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出工程と、前記幾何学的補正係数に基づいて前記第1画像の幾何学的補正を行う変換画像生成工程と、補正された第1画像と前記第2画像との重ね合わせ画像を生成する重ね合わせ画像生成工程と、前記重ね合わせ画像を表示する表示工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明にかかる画像処理方法は、請求項8に記載の発明において、前記第1,第2画像を二値化する二値化工程を含むことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明にかかる画像処理方法は、請求項8または9に記載の発明において、前記重ね合わせ画像を印刷出力する印刷工程を含むことを特徴とする。
【0021】
また、請求項11の発明にかかる画像処理方法は、請求項8〜10のいずれかひとつに記載の発明において、前記重ね合わせ画像生成工程が、対応する位置に存在する前記補正された第1画像および前記第2画像それぞれの画素値に応じて、異なる画素色を設定することを特徴とする。
【0022】
また、請求項12の発明にかかる画像処理方法は、請求項8〜11のいずれかひとつに記載の発明において、前記補正された第1画像または前記第2画像の少なくとも一方の画像中の線をより太くする処理を行う線幅変換工程を含むことを特徴とする。
【0023】
また、請求項13の発明にかかる画像処理方法は、請求項8〜12のいずれかひとつに記載の発明において、前記補正された第1画像と前記第2画像との相違度を算出し、当該相違度が所定の値よりも大きい場合に前記補正された第1画像と前記第2画像とが相違すると判断する画像間相違度算出工程を含むことを特徴とする。
【0024】
また、請求項14の発明にかかる画像処理方法は、画像の印刷を行う印刷工程と、前記印刷工程で印刷された2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得工程と、前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出工程と、前記幾何学的補正係数に基づいて印刷媒体に対する前記第2画像の印刷位置を調整する印刷位置調整工程と、を含むことを特徴とする。
【0025】
また、請求項15の発明にかかる画像処理プログラムは、請求項8〜14のいずれかひとつに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明にかかる画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムによれば、同一と思われる2枚の二値画像間の位置ずれ、回転、伸縮を検出し、その結果からアフィン変換の係数(補正係数)を求め、その係数を利用して両者の重ね合わせ画像を生成することで、容易に当該2枚の画像が一致するかどうかを検証することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
(実施の形態1)
電子データをプリンタに送って印字する際、プリンタによって印字結果に差異が出る場合があり、以前利用していたプリンタを別のプリンタに置き換える場合に問題となることがある。つまり、印字結果が一致することを確認する必要があるが、従来はこれを目視で行っていた。しかし、印字結果である2枚の紙を目視で比較することは目線の移動量が大きいため比較しにくく時間もかかることになる。
【0029】
印刷結果の紙を2枚重ね合わせ、透かして確認する手段も考えられるが、紙の透明度はそれほど高くないので細かい部分のチェックは難しい。また、たとえば僅かな伸縮はあまり問題にならない場合も多く、この場合はある部分が一致するように重ね合わせても、別の部分がずれて見えてしまい、目視での比較は難しい。プリンタの入れ替えとは別の用途として、プリンタの開発時や修理後の復旧時の確認でも同じことがいえる。
【0030】
そこで、この実施の形態では、印刷結果を取り込み、それらの幾何学的な小さなゆがみや位置のずれを補正した上で重ね合わせた画像を生成して表示することで、簡単な操作で目視確認にかかる手間を大幅に軽減させるものである。
【0031】
図1は、実施の形態1にかかる画像処理システム全体の構成を示す図である。この画像処理システムは、画像処理装置10と、ディスプレイ12と、第1サーバ20と、第1プリンタ21と、第2プリンタ22と、変換装置23と、第2サーバ24と、スキャナ30と、を備えている。
【0032】
第1サーバ20は、印刷データ200を第1プリンタ21へ送信する。また、第1サーバ20は、印刷データ200を変換装置23へ送信する。変換装置23は、印刷データ200を所定の形式に変換し(印刷データ201)、これを第2サーバ24へ送信する。第2サーバ24は、印刷データ201を第2プリンタ22へ送信する。第1プリンタ21および第2プリンタ22は、それぞれ取得した印刷データを印刷媒体、すなわち印刷用紙に印刷する。スキャナ30は、第1プリンタ21により出力された第1印刷物210と、第2プリンタ22により出力された第2印刷物220を読み込む。画像処理装置10は、スキャナ30によりデータ化された第1印刷画像および第2印刷画像の間に位置ずれを可視化できる重ね合わせ画像230を作成する。この重ね合わせ画像230は、ディスプレイ12に表示される。管理者は、この重ね合わせ画像230のみを目視することで、第1印刷物210と第2印刷物220との一致状態を確認することができる。なお、この実施の形態1では、印刷データ200を第2サーバ24が取り扱えるような形式に変換しているが、第2サーバ24が印刷データ200を取り扱うことが可能な場合には、あえて変換せずに印刷データ200をそのまま第2サーバ24で処理する。
【0033】
図2は、実施の形態1にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、印刷画像取得部101と、二値化部102と、画像保管部103と、補正係数算出部104と、変換画像生成部105と、重ね合わせ画像生成部106と、結果表示部107と、を備えている。
【0034】
印刷画像取得部101は、スキャナ30により読み込まれた印刷画像を取得する。具体的には、第1プリンタ21により出力された第1印刷物210をデータ化した第1印刷画像と、第2プリンタ22により出力された第2印刷物220をデータ化した第2印刷画像を取得する。
【0035】
二値化部102は、印刷画像取得部101が取得した印刷画像を二値化する。たとえば、一定の明度を閾値とし、これより明るい画素を白、暗い画素を黒とする。この処理は、得られた印刷画像が多値画像である場合に行われる。スキャナ30で二値画像を取り込む場合はこの処理は不要である。
【0036】
画像保管部103は、二値化部102により二値化された後の第1印刷画像と第2印刷画像を保管する。
【0037】
補正係数算出部104は、第1印刷画像と第2印刷画像との間の幾何学的な補正を行うための係数を算出する。第1印刷画像および第2印刷画像のうち一方の画素位置を(x,y)、他方の画像の対応する位置を(X,Y)とすると、補正係数(a〜f)は、次の(式1)により算出される。なお、補正係数(a〜f)は、一方の画像の画素位置から他方の画像の対応する位置を算出する際に利用する係数である。
【0038】
【数1】

【0039】
この補正係数は、比較的小さな位置ずれ、回転、ゆがみを補正して、2枚の画像が重なり合うようにできるものである。より詳しくは、特許第3636809号公報、特許第3600380号公報、および特開平10−340348号公報などに記載された方法を参照するとよい。
【0040】
上記文献に記載の方法は、2画像で対応する点(同一の位置にあると考えられる点)を自動抽出した上で補正係数を算出するものである。具体的には、黒画素の連結部分を抽出し、抽出した連結部分中の対応する点をさらに抽出する。また、他の例としては、対応する座標を算出する。しかし、対応する点の抽出に失敗する場合も考えられる。この場合には、対応する点を位置座標として管理者が入力し、この情報に基づいて確実に補正係数を求めることとしてもよい。
【0041】
変換画像生成部105は、補正係数算出部104が算出した補正係数を利用し、第1印刷画像または第2印刷画像のうちいずれか一方の画像の変換を行う。具体的には、対象となる印刷画像の各画素の位置を補正係数により再計算し、変換した画像を求める。なお、この実施の形態では、第1印刷画像を変換することとする。そして、変換後の第1印刷画像を補正第1画像ということにする。
【0042】
重ね合わせ画像生成部106は、画像保管部103が保管している第2印刷画像と、補正第1画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する。重ね合わせ画像は、第2印刷画像および補正第1画像それぞれの画素値によって色を変えるとわかりやすい。画素値は、図3に示すような画素値決定テーブルに規定されている条件により設定するとよい。
【0043】
図3は、画素値決定テーブルのデータ構成の一例を示す図である。画素値決定テーブルは、補正第1画像の画素値と、第2印刷画像の画素値と、これらにより定まる画素値とを対応付けて保持している。この画素値決定テーブルによれば、補正第1画像の画素値が「黒」であり、かつ第2印刷画像の画素値が「黒」である場合には、この画素に割り当てる画素値は「緑」である。また、補正第1画像の画素値が「黒」であり、かつ第2印刷画像の画素値が「白」である場合には、この画素に割り当てる画素値は「黄」である。同様に、補正第1画像の画素値が「白」であり、かつ第2印刷画像の画素値が「黒」である場合には、この画素に割り当てる画素値は「赤」である。また、補正第1画像の画素値が「白」であり、かつ第2印刷画像の画素値が「白」である場合には、この画素に割り当てる画素値は「白」である。
【0044】
重ね合わせ画像生成部106で生成された画像は、結果表示部107に表示される。また、重ね合わせ画像は画像保管部103で保管してもよいし、印刷出力してもよい。
【0045】
図4は、実施の形態1にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。まず、画像処理システムの第1サーバ20は、第1プリンタ21に印刷データ200を送信する(ステップS401)。次に、第1プリンタ21は、受信した印刷データ200を印刷媒体に印刷する(ステップS402)。さらに、第2サーバ24は、第2プリンタ22に印刷データ201を送信する(ステップS403)。ここで、送信される印刷データ201は、あらかじめ変換装置23により第2サーバ24で処理可能なように印刷データ200から変換されたデータである。次に、第2プリンタ22は、受信した印刷データ201を印刷媒体に印刷する(ステップS404)。
【0046】
次に、スキャナ30は、第1プリンタ21により得られた第1印刷物および第2プリンタ22により得られた第2印刷物を読み込む(ステップS405)。読み込まれた各印刷物は、印刷画像取得部101に取り込まれる。次に、二値化部102は、印刷画像取得部101が取得した印刷画像を二値化する(ステップS406)。次に、補正係数算出部104は、補正係数を算出する(ステップS407)。次に、変換画像生成部105は、第1印刷画像を変換し補正第1画像を得る(ステップS408)。
【0047】
次に、重ね合わせ画像生成部106は、第2印刷画像と、補正第1画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS409)。そして、結果表示部107は、重ね合わせ画像を表示する(ステップS410)。最後に、プリンタ(第1プリンタ21、第2プリンタ22)は、重ね合わせ画像を印刷する(ステップS411)。なお、ステップS411の処理は必要に応じて行われる。
【0048】
図5は、第1印刷画像の変換処理(ステップS408)を説明するための図である。たとえば、画像の位置が水平方向にずれている場合には、図5に示すように補正係数に基づいて再計算により画像を水平にシフトする。
【0049】
たとえば、帳票データにおいては、罫線の位置が僅かにずれているなど軽微な画像の不一致は問題とならない。そこで、重ね合わせ画像を作成する前に、第1印刷画像を補正しておく。これにより、問題となる画像の不一致のみを認識可能な重ね合わせ画像を作成することができる。
【0050】
図6は、重ね合わせ画像生成処理(ステップS409)を説明するための図である。前述した画素値決定テーブルにより、補正第1画像と第2印刷画像のいずれの画素も黒である領域241には、緑を示す画素値が割り当てられる。補正第1画像の画素値が黒であり、第2印刷画像の画素値が白である領域242には、黄色が割り当てられる。また、補正第1画像の画素値が白であり、第2印刷画像の画素値が黒である領域243a,243bには、赤が割り当てられる。
【0051】
このように、重ね合わせ画像において黄色や赤の画素をチェックすれば、どこがずれているかが一目で確認できることになり、2枚の画像や印刷結果を並べて目視する場合に比べて、手間が大幅に低減される。
【0052】
また、主にチェックしたい差異を示す領域に目立つ色が割り当てられるように画素値決定テーブルの色を設定してもよい。これにより目視チェックが容易になる。本実施の形態では、補正第1画像の画素値が白で第2印刷画像の画素値が黒である領域を、補正第1画像の画素値が黒であり第2印刷画像の画素値が白である領域に比べても目立つようにしてある。具体的には、補正第1画像の画素値が白であり、第2印刷画像の画素値が黒である領域には赤を割り当てている。一方、補正第1画像の画素値が黒であり、第2印刷画像の画素値が白である領域には黄色を割り当てている。黄色は白と見た目の区別がつきにくい。したがって、赤と黄色では相対的に赤が目立っている。このように色相、明度等の違いの大きい色を割り当てることにより、目視を容易にすることができる。
【0053】
図7は、重ね合わせ画像の一例を示す図である。図7に示す補正第1画像212と第2印刷画像222から、重ね合わせ画像232が作成される。補正第1画像212と第2印刷画像222において「様」の位置がずれている。このため、重ね合わせ画像232においては、補正第1画像212の「様」に対応する「様」252には黄色が割り当てられている。また、第2印刷画像222の「様」に対応する「様」250には赤色が割り当てられている。
【0054】
また、「1000」の次の「―」は、第2印刷画像222にのみ存在する。したがって、重ね合わせ画像232における「―」には赤色が割り当てられている。さらに「1」の右側には補正第1画像212の「1」と第2印刷画像222の「1」が重ならない部分が存在し、この部分には赤色が割り当てられている。なお、これら以外の文字部分はすべて一致しており、緑色が割り当てられている。
【0055】
このように、重ね合わせ画像には、補正第1画像と第2印刷画像の各画素の一致状態に応じて色が割り当てられるので、目視により容易に画素の一致状態を認識することができる。
【0056】
ところで、チェックしたい結果が複数組ある場合、すなわち印刷結果が各プリンタで複数枚ずつ存在する場合は、それらの印刷物を重ねて原稿読み取り台にセットすればよい。たとえば、10組の印刷物を比較したい場合、第1プリンタ21の印刷結果を上半分、第2プリンタ22の印刷結果を下半分になるよう紙を重ね合わせて、原稿読み取り台(自動原稿送り装置付)にセットした上で処理をスタートさせる。画像処理装置10側は、読み取った画像の前半10枚と後半10枚とを比較するとよい(前半1枚目と後半1枚目、前半2枚目と後半2枚目、という順番で順に処理を行う)。
【0057】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1の場合と同様の処理を行うが、ここでは重ね合わせを行う画像中の線を太くする処理も合わせて行うものとする。以下、具体的に説明する。
【0058】
図8は、実施の形態2にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、実施の形態1の画像処理装置10の機能的構成に加え、線幅変換部108を備えている。この線幅変換部108は、補正第1画像または第2印刷画像のうち少なくとも一方の画像中の線をより太くする。なお、線を太くする対象の画像は、補正第1画像または第2印刷画像のいずれであってもよい。いずれの画像を処理の対象にするかはあらかじめ設定しておくとよい。本実施の形態では補正第1画像を処理の対象とした例を示す。重ね合わせ画像生成部106は、線幅変換部108により線が太くされた後の画像と、画像保管部103が保管している第2印刷画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する。重ね合わせ画像の画素値によって色を変える手法は実施の形態1と同様である。
【0059】
図9は、実施の形態2にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。まず、画像処理システムの第1サーバ20は、第1プリンタ21に印刷データ200を送信する(ステップS401)。次に、第1プリンタ21は、受信した印刷データ200を印刷媒体に印刷する(ステップS402)。さらに、第2サーバ24は、第2プリンタ22に印刷データ201を送信する(ステップS403)。ここで、送信される印刷データ201は、あらかじめ変換装置23により第2サーバ24で処理可能なように印刷データ200から変換されたデータである。次に、第2プリンタ22は、受信した印刷データ201を印刷媒体に印刷する(ステップS404)。
【0060】
次に、スキャナ30は、第1プリンタ21により得られた第1印刷物および第2プリンタ22により得られた第2印刷物を読み込む(ステップS405)。読み込まれた各印刷物は、印刷画像取得部101に取り込まれる。次に、二値化部102は、印刷画像取得部101が取得した印刷画像を二値化する(ステップS406)。次に、補正係数算出部104は、補正係数を算出する(ステップS407)。次に、変換画像生成部105は、第1印刷画像を変換し補正第1画像を得る(ステップS408)。
【0061】
次に、線幅変換部108は、補正第1画像中の線を太くする(ステップS901)。そして、重ね合わせ画像生成部106は、線幅変換部108により線が太くされた後の画像と、画像保管部103が保管している第2印刷画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS409)。最後に、結果表示部107は、重ね合わせ画像をディスプレイ12に表示する(ステップS410)。この後、重ね合わせ画像を印刷出力してもよい。
【0062】
図10は、補正第1画像中の線を太くする処理(ステップS901)を説明するための図である。図10に示す例では、線の左右をともに1画素ずつ太くしている。このように、あらかじめ定められた線だけを太くする。なお、太くする程度は任意である。
【0063】
図11は、実施の形態2における重ね合わせ画像生成処理(ステップS409)を説明するための図である。前述した画素値決定テーブルにより、太め処理後の補正第1画像と第2印刷画像のいずれの画素も黒である領域245には、緑を示す画素値が割り当てられる。太め処理後の補正第1画像の画素値が黒であり、第2印刷画像の画素値が白である領域246a,246b,246cには、黄色が割り当てられる。また、太め処理後の補正第1画像の画素値が白であり、第2印刷画像の画素値が黒である領域247には、赤が割り当てられる。
【0064】
本実施の形態においては、図11の領域246a,246b,246cのように太め処理が施された画像が黒の領域に目立たない色を割り当てることにより、問題とならない程度の位置ずれの部分を目立たなくしている。これにより、目視検出すべき程度の位置ずれをしている部分のみを目立たせることができる。
【0065】
図12は、重ね合わせ画像の一例を示す図である。図12に示す太め処理後の補正第1画像212と第2印刷画像222から、重ね合わせ画像234が作成される。補正第1画像212は太め処理が施されているため、補正第1画像212のみが黒となる画素が多く存在し、重ね合わせ画像234においては緑で示される各文字の周囲に黄色の領域が多く存在する。しかし、黄色は目立たないので、目視においてはこれらの領域は判別し難い。このような僅かなずれは問題とならないため、このような目立たない色が割り当てられる。
【0066】
また、実施の形態1において図7を参照して説明した例においては、「1」の右側に赤色の領域が存在しているが、このような位置ずれは問題とならないため、この領域は目立たなくすることが望ましい。実施の形態2においては、太め処理を施すことにより、「1」の右側も黄色の領域となっている。このようにあらかじめ線を太くする処理を行うことにより、赤色の領域を減らすことができるので、注目すべき領域のみに目立つ色を割り当てることができる。
【0067】
図12において、「様」の領域250と、1000の次の「―」の領域のみに赤色が割り当てられる。これらはいずれも注目すべき領域である。このように、実施の形態2においては、注目すべき領域のみに目立つ色を割り当てることができる。
【0068】
(実施の形態3)
図13は、実施の形態3にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態3にかかる画像処理装置10は、実施の形態1にかかる画像処理装置10の機能的構成に加え、画像間相違度算出部109を備えている。画像間相違度算出部109は、補正第1画像と第2印刷画像との間の相違度を算出する。具体的には、画像間相違度は、双方の画像の白画素、黒画素の一致数と不一致数との割合を算出する処理で得ることができる。すなわち、対応する画素値が一致しない画素数をカウントし、画素数が閾値以上である場合には一致しないと判定する。重ね合わせ画像生成部106は、画像間相違度算出部109により画像が一致しないと判定された場合に、補正第1画像と、画像保管部103が保管している第2印刷画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する。重ね合わせ画像の画素値によって色を変える手法は実施の形態1と同様である。
【0069】
図14は、実施の形態3にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。まず、画像処理システムの第1サーバ20は、第1プリンタ21に印刷データ200を送信する(ステップS401)。次に、第1プリンタ21は、受信した印刷データ200を印刷媒体に印刷する(ステップS402)。さらに、第2サーバ24は、第2プリンタ22に印刷データ201を送信する(ステップS403)。ここで、送信される印刷データ201は、あらかじめ変換装置23により第2サーバ24で処理可能なように印刷データ200から変換されたデータである。次に、第2プリンタ22は、受信した印刷データ201を印刷媒体に印刷する(ステップS404)。
【0070】
次に、スキャナ30は、第1プリンタ21により得られた第1印刷物および第2プリンタ22により得られた第2印刷物を読み込む(ステップS405)。読み込まれた各印刷物は、印刷画像取得部101に取り込まれる。次に、二値化部102は、印刷画像取得部101が取得した印刷画像を二値化する(ステップS406)。次に、補正係数算出部104は、補正係数を算出する(ステップS407)。次に、変換画像生成部105は、第1印刷画像を変換し補正第1画像を得る(ステップS408)。重ね合わせ画像生成部106は、補正第1画像と第2印刷画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS409)
【0071】
次に、画像間相違度算出部109は、補正第1画像と第2印刷画像との間の相違度を算出する(ステップS1401)。そして、画像間相違度算出部109は、補正第1画像と第2印刷画像とが一致するか否かを判定する(ステップS1402)。ステップS1402において補正第1画像と第2印刷画像とが一致する場合(ステップS1402:Yes)は、処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS1402において補正第1画像と第2印刷画像とが一致しない場合(ステップS1402:No)は、結果表示部107は、重ね合わせ画像を表示する(ステップS410)。
【0073】
このように、実施の形態3では、第1印刷画像と第2印刷画像とが一致しないと判断された場合にのみ、重ね合わせ画像が表示され、管理者による目視検査を促すので、管理者の処理負担を軽減することができる。この実施の形態3では、とくに膨大な量の印刷物が検査対象となっている場合に、管理者の負担が軽くなるので、効率的な検査が行えることになる。
【0074】
(実施の形態3の変形例)
図15は、実施の形態3の変形例にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態3の変形例にかかる画像処理装置10は、実施の形態3にかかる画像処理装置10の機能的構成に加え、線幅変換部108を備えている。この線幅変換部108の処理は、実施の形態2で説明したものと同様である。
【0075】
この線幅変換部108による太め処理は、図14に示したフローチャートにおけるステップS408とステップS409との間で実行される。すなわち、この画像処理装置10では、線幅変換部108によって、補正第1画像の画像中の線を太くした後、画像間相違度算出部109で、太め処理された補正第1画像と第2印刷画像との間の相違度を算出する。その後の処理は、実施の形態3と同様である。
【0076】
したがって、この実施の形態3の変形例によれば、太め処理が施された補正第1画像と第2印刷画像との一致、不一致の判定を行うことができる。
【0077】
(実施の形態4)
図16は、実施の形態4にかかる画像処理システムの全体構成を示す図である。この画像形成システムは、サーバ20と、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)25とを備えている。複合機25は、プリンタ機能とスキャナ機能とを有している。本実施の形態では、実施の形態1で示した処理を複合機で実現しようとしたものである。すなわち、印刷結果を複合機25でスキャンし、それらの幾何学的な小さなゆがみや位置のずれを補正した上で重ね合わせた画像を生成して表示することで、簡単な操作で目視確認にかかる手間を大幅に軽減させることにした。
【0078】
第1給紙トレイ26と第2給紙トレイ27には、プレ印刷された印刷媒体が格納されている。第1給紙トレイ26と第2給紙トレイ27が格納している印刷媒体それぞれに印刷データ200を印刷する。そして、第1給紙トレイ26から排出された第1印刷媒体に印刷データ200が印刷された第1印刷物と、第2給紙トレイ27から排出された第2印刷媒体に印刷データ200が印刷された第2印刷物とをそれぞれスキャナによって読み込む。そして、これらの印刷物を重ね合わせた画像を生成して表示することで、画像の一致、不一致を容易に判断することができる。
【0079】
図17は、実施の形態4にかかる画像処理システムの複合機25の機能的構成を示すブロック図である。この複合機25は、複合機の機能と実施の形態1に示した画像処理装置10の機能を併せ持つ。すなわち、この複合機25は、第1給紙トレイ26と、第2給紙トレイ27と、印刷部28と、スキャナ30と、二値化部102と、画像保管部103と、補正係数算出部104と、変換画像生成部105と、重ね合わせ画像生成部106と、結果表示部107と、を備えている。
【0080】
図18は、実施の形態4にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。まず、印刷データ200を複合機25に送信する(ステップS1801)。次に、印刷部28は、第1給紙トレイ26が格納している印刷媒体に印刷データ200を印刷する(ステップS1802)。なお、前提として、複合機25から排出された印刷媒体への印刷データ200の出力において、印刷位置が適切な位置となるようにあらかじめ設定を行っておく。そして、実際にプレ印刷用紙として印刷媒体に印刷データ200を印刷する。管理者は、印刷結果に基づいて複合機25の設定状態を微調整する。同様に、印刷部28は、第2トレイ給紙27が格納している印刷媒体に印刷データ200を印刷する(ステップS1803)。
【0081】
次に、複合機25のスキャナ機能により、第1給紙トレイ26から排出された第1印刷媒体に印刷データ200が印刷された第1印刷物と、第2給紙トレイ27から排出された第2印刷媒体に印刷データ200が印刷された第2印刷物とを読み込む(ステップS1804)。次に、二値化部102は、スキャナ30が取得した印刷画像を二値化する(ステップS406)。次に、補正係数算出部104は、補正係数を算出する(ステップS407)。次に、変換画像生成部105は、第1印刷画像を変換し補正第1画像を得る(ステップS408)。
【0082】
次に、重ね合わせ画像生成部106は、第2印刷画像と、補正第1画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS409)。そして、結果表示部107は、重ね合わせ画像を表示する(ステップS410)。この結果表示部107は、複合機25の操作パネルに設けられる。最後に、重ね合わせ画像を印刷する(ステップS411)。なお、この処理は必要に応じて行う。
【0083】
このようにすることで、複合機を用いて2枚の画像の一致、不一致を判定することができる。なお、複合機25では、スキャナ読み込みのための原稿読み取り台(不図示)に印刷物をセットし、複合機25の操作パネル(不図示)を操作することにより(たとえば、「画像比較」命令を選択した後適当なオプションをさらに選択し、「スタート」ボタンを押下する)、自動的に処理が実行される。
【0084】
(実施の形態4の変形例)
図19は、実施の形態4の変形例にかかる画像処理システムの複合機25の機能的構成を示すブロック図である。この例は、実施の形態2で示した処理を複合機で実現しようとしたものである。この複合機25は、複合機の機能と実施の形態2で示した画像処理装置10の機能を併せ持つ。すわわち、本実施の形態にかかる複合機25は、第1給紙トレイ26と、第2給紙トレイ27と、印刷部28と、印刷データ取得部29と、スキャナ30と、二値化部102と、画像保管部103と、補正係数算出部104と、変換画像生成部105と、重ね合わせ画像生成部106と、結果表示部107と、線幅変換部108と、を備えている。
【0085】
図20は、実施の形態4の変形例にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。まず、印刷データ200を複合機25に送信する(ステップS1801)。次に、印刷部28は、第1給紙トレイ26が格納している印刷媒体に印刷データ200を印刷する(ステップS1802)。なお、前提として、複合機25から排出された印刷媒体への印刷データ200の出力において、印刷位置が適切な位置となるようにあらかじめ設定を行っておく。そして、実際にプレ印刷用紙として印刷に印刷データ200を印刷する。管理者は、印刷結果に基づいて複合機25の設定状態を微調整する。同様に、印刷部28は、第2トレイ給紙27が格納している印刷媒体に印刷データ200を印刷する(ステップS1803)。
【0086】
次に、複合機25のスキャナ機能により、第1給紙トレイ26から排出された第1印刷媒体に印刷データ200が印刷された第1印刷物と、第2給紙トレイ27から排出された第2印刷媒体に印刷データ200が印刷された第2印刷物とを読み込む(ステップS1804)。次に、二値化部102は、スキャナ30が取得した印刷画像を二値化する(ステップS406)。次に、補正係数算出部104は、補正係数を算出する(ステップS407)。次に、変換画像生成部105は、第1印刷画像を変換し補正第1画像を得る(ステップS408)。
【0087】
次に、線幅変換部108は、補正第1画像中の線を太くする(ステップS901)。そして、重ね合わせ画像生成部106は、線幅変換部108により線が太くされた後の補正第1画像と、画像保管部103が保管している第2印刷画像とを重ね合わせた重ね合わせ画像を生成する(ステップS409)。最後に、結果表示部107は、重ね合わせ画像を表示する(ステップS410)。この結果表示部107は、複合機25の操作パネルに設けられる。最後に、重ね合わせ画像を印刷する(ステップS411)。なお、この処理は必要に応じて行う。
【0088】
(実施の形態5)
図21は、実施の形態5にかかる画像処理システムの全体構成を示す図である。この画像処理システムは、画像処理装置10と、複合機25とを備えている。複合機25は、プリンタ機能とスキャナ機能とを有している。本実施の形態では、複合機25は、第1給紙トレイ26から出力される印刷画像の位置調整を管理者が行い、複合機25が第1給紙トレイ26と第2給紙トレイ27それぞれから出力される印刷画像の位置ずれを調整する。各給紙トレイにより印刷位置が変動する場合がある。本実施の形態では、このような位置ずれを調整することができる。
【0089】
たとえば、帳票などのプレ印刷された用紙の印刷対象枠内に数字などを印刷する場合がある。プレ印刷された用紙への印刷においては、所定の給紙トレイで印字位置が合うようにプリンタの設定で位置を調整しても、別の給紙トレイでは別個に位置合わせを行う必要がある。
【0090】
第1給紙トレイ26と第2給紙トレイ27には、印刷媒体が格納されている。第1給紙トレイ26と第2給紙トレイ27が格納している印刷媒体それぞれに印刷データ200を印刷する。そして、第1給紙トレイ26から排出された第1印刷媒体に印刷データ200が印刷された第1印刷物と、第2給紙トレイ27から排出された第2印刷媒体に印刷データ200が印刷された第2印刷物とをそれぞれスキャナによって読み込む。そして、これらの印刷物における位置ずれを検出し、位置ずれを補正するため画像の印刷位置を調整する。
【0091】
図22は、実施の形態5にかかる画像処理システムの画像処理装置10および複合機25の機能的構成を示すブロック図である。まず、画像処理装置10は、画像データ供給部2201と、二値化部102と、画像保管部103と、補正係数算出部104と、を備えている。画像データ供給部2201は、複合機25で印刷処理を行うための基となる画像データを供給するためのものである。二値化部102、画像保管部103、および補正係数算出部104は、実施の形態1で示したものと同様の機能を有している。また、複合機25は、第1給紙トレイ26と、第2給紙トレイ27と、印刷部28と、スキャナ30と、印刷位置調整部2202と、を備えている。印刷位置調整部2202は、補正係数算出部104が算出した係数に基づき、第2給紙トレイ27に格納されている印刷媒体に対する画像の印刷位置を調整する。
【0092】
図23は、実施の形態5にかかる画像処理システムの画像処理の手順を示すフローチャートである。まず、印刷データ200を複合機25に送信する(ステップS1801)。次に、印刷部28は、第1給紙トレイ26が格納している印刷媒体に印刷データ200を印刷する(ステップS1802)。同様に、印刷部28は、第給紙トレイ27が格納している印刷媒体に印刷データ200を印刷する(ステップS1803)。
【0093】
次に、第1給紙トレイ26から排出された第1印刷媒体に印刷データ200が印刷された第1印刷物と、第2給紙トレイ27から排出された第2印刷媒体に印刷データ200が印刷された第2印刷物とを読み込む(ステップS1804)。次に、二値化部102は、スキャナ30が取得した印刷画像を二値化する(ステップS406)。次に、補正係数算出部104は、補正係数を算出する(ステップS407)。最後に、印刷位置調整部2202は、補正係数算出部104が算出した補正係数に基づき、第2給紙トレイ27に格納されている印刷媒体に対する画像の印刷位置を調整する(ステップS2201)。
【0094】
以上のような処理を行うことにより、第2給紙トレイ27に格納されている第2印刷媒体に印刷される第2印刷物の印刷位置を補正する。その結果、第2印刷媒体に対する第2印刷物の印刷位置と、第1給紙トレイ26に格納されている第1印刷媒体に対する第1印刷物の印刷位置とを一致させることができる。本実施の形態では、他の実施の形態のように2つの画像の重ね合わせ画像を生成せず、印刷位置を調整することにより、一致した画像が得られる。
【0095】
なお、本実施の形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、この発明にかかる画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムによれば、2つの画像間のいずれの部分が相互に一致していないのかを容易に把握することに有用であり、特に、迅速な処理が望まれる場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施の形態1にかかる画像処理システム全体の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1にかかる画像処理システム画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】画素値決定テーブルのデータ構成の一例を示す図である
【図4】実施の形態1にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】第1印刷画像の補正処理(ステップS408)を説明するための図である。
【図6】重ね合わせ画像生成処理(ステップS409)を説明するための図である。
【図7】重ね合わせ画像の一例を示す図である。
【図8】実施の形態2にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態2にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】補正第1画像中の線を太くする処理(ステップS901)を説明するための図である。
【図11】実施の形態2における重ね合わせ画像生成処理(ステップS409)を説明するための図である。
【図12】重ね合わせ画像の一例を示す図である。
【図13】実施の形態3にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【図14】実施の形態3にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態3の変形例にかかる画像処理システムの画像処理装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態4にかかる画像処理システムの全体構成を示す図である。
【図17】実施の形態4にかかる画像処理システムの複合機25の機能的構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態4にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態4の変形例にかかる画像処理システムの複合機25の機能的構成を示すブロック図である。
【図20】実施の形態4の変形例にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態5にかかる画像処理システムの全体構成を示す図である。
【図22】実施の形態5にかかる画像処理システムの画像処理装置10および複合機25の機能的構成を示すブロック図である。
【図23】実施の形態5にかかる画像処理システムにおける画像処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
10 画像処理装置
12 ディスプレイ
20 第1サーバ
21 第1プリンタ
22 第2プリンタ
23 変換装置
24 第2サーバ
25 複合機
26 第1給紙トレイ
27 第2給紙トレイ
28 印刷部
30 スキャナ
101 印刷画像取得部
102 二値化部
103 画像保管部
104 補正係数算出部
105 変換画像生成部
106 重ね合わせ画像生成部
107 結果表示部
108 線幅変換部
109 画像間相違度算出部
200,201 印刷データ
2201 画像データ供給部
2202 印刷位置調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得手段と、
前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記幾何学的補正係数に基づいて前記第1画像の幾何学的補正を行う変換画像生成手段と、
補正された第1画像と前記第2画像との重ね合わせ画像を生成する重ね合わせ画像生成手段と、
前記重ね合わせ画像を表示する表示手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記第1,第2画像を二値化する二値化手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記重ね合わせ画像を印刷出力する印刷手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記重ね合わせ画像生成手段は、対応する位置に存在する前記補正された第1画像および前記第2画像それぞれの画素値に応じて、異なる画素色を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記補正された第1画像または前記第2画像の少なくとも一方の画像中の線をより太くする処理を行う線幅変換手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかひとつに記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記補正された第1画像と前記第2画像との相違度を算出し、当該相違度が所定の値よりも大きい場合に前記補正された第1画像と前記第2画像とが相違すると判断する画像間相違度算出手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかひとつに記載の画像処理システム。
【請求項7】
画像の印刷を行う印刷手段と、
前記印刷手段で印刷された2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得手段と、
前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記幾何学的補正係数に基づいて印刷媒体に対する前記第2画像の印刷位置を調整する印刷位置調整手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得工程と、
前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出工程と、
前記幾何学的補正係数に基づいて前記第1画像の幾何学的補正を行う変換画像生成工程と、
前記補正された第1画像と前記第2画像との重ね合わせ画像を生成する重ね合わせ画像生成工程と、
前記重ね合わせ画像を表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記第1,第2画像を二値化する二値化工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記重ね合わせ画像を印刷出力する印刷工程を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記重ね合わせ画像生成工程は、対応する位置に存在する前記補正された第1画像および前記第2画像それぞれの画素値に応じて、異なる画素色を設定することを特徴とする請求項8〜10のいずれかひとつに記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記補正された第1画像または前記第2画像の少なくとも一方の画像中の線をより太くする処理を行う線幅変換工程を含むことを特徴とする請求項8〜11のいずれかひとつに記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記補正された第1画像と前記第2画像との相違度を算出し、当該相違度が所定の値よりも大きい場合に前記補正された第1画像と前記第2画像とが相違すると判断する画像間相違度算出工程を含むことを特徴とする請求項8〜12のいずれかひとつに記載の画像処理方法。
【請求項14】
画像の印刷を行う印刷工程と、
前記印刷工程で印刷された2枚の略同一な画像を第1,第2画像として取得する画像取得工程と、
前記第1,第2画像間の幾何学的補正係数を算出する補正係数算出工程と、
前記幾何学的補正係数に基づいて印刷媒体に対する前記第2画像の印刷位置を調整する印刷位置調整工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれかひとつに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−102639(P2010−102639A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275687(P2008−275687)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】