説明

画像処理システム及び画像処理プログラム

【課題】 遠隔側の対象物と関連性を有する実物体側の対象物の詳細な画像を容易に取得して、円滑な対話を可能にする画像処理システム及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の対象物140を撮像する第1のビデオカメラ120と、第1の対象物140と関連性を有する第2の対象物310を撮像する第2のビデオカメラ320と、第1のビデオカメラ120の撮像領域内の所望の位置における視野に対応した第2のビデオカメラ320による撮像画像を取得する取得手段と、第2のビデオカメラ320による撮像画像を所定の位置で表示する表示装置110とを有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔側から実物体側へ向けて作業手順の指示等の各種指示を行う画像処理システムが知られている。このような画像処理システムとしては、例えば、特許文献1や特許文献2で示すように、実物体側に存在する対象物をビデオカメラで撮像しつつその撮像画像を遠隔側の端末に送信すると共に、その端末において撮像画像に基づいて指示されたアノテーション画像を実物体側でプロジェクタにより実物体側対象物へ投影する技術が開示されている。
また、特許文献3に示すように、離れた位置に配置されるロボットに対して、操作者が表示装置を観察しながら作業を教示する技術や、特許文献4に示すように、故障した車両の診断結果を画像として遠隔地の表示装置に送信する技術も知られている。
【特許文献1】米国特許公開2004/0070674号公報
【特許文献2】特開2005−33756号公報
【特許文献3】特開平9−212228号公報
【特許文献4】特開2002−331884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した画像処理システムを利用した会議等では、例えば遠隔側の端末で受信する撮像画像上の対象物と、遠隔側の利用者の手元に配布される対象物の設計図面等とを対比しながら遠隔指示を行い会議が進められる場合がある。さらに、遠隔側の利用者によっては、設計図面上の詳細な箇所に対応する対象物の撮像画像を要求したい場合もある。しかしながら、上述した画像処理システムにおける撮像手段の撮像条件は固定されているため、このような撮像画像を取得することはできない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遠隔側の対象物と関連性を有する実物体側の対象物の詳細な画像を容易に取得して、円滑な対話を可能にする画像処理システム及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、第1の対象物を撮像する第1の撮像手段と、第1の対象物と関連性を有する第2の対象物を撮像する第2の撮像手段と、第1の撮像手段の撮像領域内の所望の位置における視野に対応した第2の撮像手段による撮像画像を取得する取得手段と、所定の位置において、第2の撮像手段による撮像画像を表示する表示手段とを有することを特徴とする画像処理システムである。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1の撮像手段による撮像画像に基づいて、第2の撮像手段の撮像条件を変化させて取得することを特徴としている。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、第2の撮像手段の撮像領域内に、第2の撮像手段による撮像画像に基づいてされた指示に応じたアノテーション画像を投影する投影手段を有することを特徴としている。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、表示手段は、二次元識別情報を備え、取得手段は、第1の撮像手段による撮像画像上での二次元識別情報の向き及び大きさに基づいて、取得することを特徴としている。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、表示手段は、第1の撮像手段を一体形成しており、取得手段は、第1の撮像手段による撮像画像上での第1の対象物の向き及び大きさに基づいて、取得することを特徴としている。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、取得手段は、表示手段の移動に応じて移動量を算出し、移動後の位置における視野に対応した第2の撮像手段による撮像画像を取得することを特徴としている。
【0010】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、第2の撮像手段に代えて、第1の撮像手段による撮像画像に対応する第2の対象物の画像を記憶する記憶手段を有することを特徴としている。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれかに記載の発明において、表示手段は、第2の撮像手段による撮像画像上に表れる第2の対象物に関する仕様をさらに表示することを特徴としている。
【0012】
請求項9に記載の発明は、第1の対象物を第1の撮像手段に撮像させるステップと、第1の対象物に関連する第2の対象物を第2の撮像手段に撮像させるステップと、第1の撮像手段の撮像領域内の所望の位置における視野に対応した第2の撮像手段による撮像画像を取得するステップと、所定の位置において、撮像画像を表示手段に表示させるステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、第1の対象物と関連性を有する第2の対象物の詳細な画像が容易に取得され、表示手段に表示されるので、円滑な対話が可能となる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、第1の撮像手段による撮像画像に応じて、リアルタイムに第2の撮像手段による撮像画像が取得されるようになる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、第2の撮像手段の撮像領域内に、当該第2の撮像手段による撮像画像に基づいてされた指示に応じたアノテーション画像を投影することできる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、表示手段に付される二次元識別情報を第1の撮像手段が撮像することで、第2の対象物の詳細な画像が容易に取得できる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、表示手段に第1の撮像手段を一体形成し、当該第1の撮像手段による第1の対象物の撮像画像に基づいて、第2の対象物の詳細な画像が容易に取得できる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、表示手段が第1の対象物上で移動することにより、表示手段の位置における視野に対応した第2の撮像画像を取得できる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、予め記憶手段に第1の対象物と関連性を有する第2の画像を記憶させておいてもよい。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、第1の対象物に対応する仕様を取得するようにしてもよい。
【0021】
請求項9に係る発明によれば、第1の対象物と関連性を有する第2の対象物の詳細な画像が容易に取得され、表示手段に表示されるので、円滑な対話が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る画像処理システムの構成図である。
このシステムは、図1に示すように、遠隔側装置100、実物体側装置300等から構成されており、遠隔側装置100と実物体側300とは、ネットワーク200を介して接続される。
【0023】
遠隔側装置100は、表示手段としての表示装置110、第1の撮像手段としての第1のビデオカメラ120、制御手段としてのコンピュータ130等から構成される。
【0024】
表示装置110は、携帯性があるものが望ましく、例えば携帯電話、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳等であって、画像を表示する表示画面と、表示装置110を識別する二次元識別情報としてのQRコード112とを有する。尚、二次元識別情報はPDF417、DataMatrix、MaxiCode等、相対位置(二次元座標)を特定できる特性を持つ二次元コードであれば、QRコードに限られない。
【0025】
第1のビデオカメラ120は、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラで構成される。また、第1のビデオカメラ120は、表示装置110及び表示装置110より下に配置された第1の対象物140を撮像可能な位置に配置されていると共に、撮像した撮像画像はコンピュータ130に取り込まれる。第1の対象物140には、例えば設計図面等がある。また、第1の対象物140には識別情報141が付されており、当該識別情報141によって種々の設計図面と区別できるようになっている。尚、識別情報には、例えば設計図面から製造される型番号等があり、図1において「ABC−01」と記載される。
【0026】
コンピュータ130は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)、ハードディスク等の記憶装置及びソフトウェア等により構成され、ネットワーク200を介して、後述するサーバ330に接続される。コンピュータ130は第1のビデオカメラ120の動作を制御すると共に第1のビデオカメラ120による撮像画像をサーバ330に送信し、また、サーバ330からの画像等を受信して表示装置110に電波や赤外線等の無線通信で送信する。
【0027】
実物体側装置300は、第2の撮像手段としての第2のビデオカメラ320、制御手段としてのサーバ330を有する。
【0028】
第2のビデオカメラ320は、例えばCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)カメラで構成される。また、第2のビデオカメラ320は、第2の対象物310を撮像可能な位置に配置されていると共に、撮像した撮像画像はサーバ330に取り込まれる。第2の対象物310は、第1の対象物140と関連性を有するものが該当し、例えば、第1の対象物140が設計図面である場合には、第2の対象物310は、当該設計図面により製造される回路基板等が該当する。
【0029】
サーバ330は、CPU等の処理装置、DRAM、SRAM、ハードディスク等の記憶装置及びソフトウェア等により構成され、ネットワーク200を介して、コンピュータ130に接続される。サーバ330は、コンピュータ130からの画像を受信して、所定の処理を行い、第2のビデオカメラ320の動作を制御すると共に、第2のビデオカメラ320による撮像画像をコンピュータ130に送信する。
【0030】
さらに、上述したサーバ330について図2を参照して説明する。
図2は第1実施形態に係るサーバ330の要部を示す機能ブロック図である。尚、図2に示す各機能ブロックは、CPU等の処理装置、SRAMやDRAM等の半導体記憶装置、ハードウェア及び所要のソフトウェアによりそれぞれ構成される。
【0031】
サーバ330は、識別情報受信部331、対象物特定部333、撮像画像受信部339、撮像条件算出部341、撮像手段制御部343、撮像画像取得部345、撮像画像送信部347等を備える。尚、撮像画像受信部339、撮像条件算出部341、撮像手段制御部343、撮像画像取得部345等から本発明の取得手段が構成される。
【0032】
識別情報受信部331は、コンピュータ130から送信される第1の対象物140の型番号等の識別情報141を受信し、対象物特定部333に送信する。
【0033】
対象物特定部333は、識別情報141に基づいた第2の対象物310に関する識別情報を特定する。例えば、型番号「ABC−01」を受信した場合には、当該型番号「ABC−01」に対応する第2の対象物310の識別情報を特定する。特定された第2の対象物310の識別情報は、撮像手段制御部343へ送信される。尚、第1の対象物140に関する識別情報と、第2の対象物310に関する識別情報は同じであることが望ましい。
【0034】
撮像画像受信部339は、第1のビデオカメラ120によって撮像された撮像画像を受信して、当該撮像画像を撮像条件算出部341に送信する。当該撮像画像には、QRコード112が付された表示装置110及び第1の対象物140等が撮像されている。
【0035】
撮像条件算出部341は、撮像画像に基づいて表示装置110等の撮像条件を算出する。すなわち、撮像画像にはQRコード112が撮像されているため、撮像画像に対するQRコード112の占有する割合や、QRコード112の切り出しシンボルを解析することによって、第1のビデオカメラ120と表示装置110との相対的な位置を算出する。例えば、撮像画像におけるQRコード112の占有する割合を解析することで、第1のビデオカメラ120から表示装置110までの距離、または、第1の対象物140から表示装置110までの距離を算出したり、切り出しシンボルを解析することで、第1のビデオカメラ120を基準とした表示装置110の回転角度を算出したりする。
【0036】
撮像手段制御部343は、特定された第2の対象物310に関する識別情報及び算出された撮像条件に応じて、第2のビデオカメラ320の動作を制御する。より詳しくは、第2のビデオカメラ320を特定された識別情報に対応する第2の対象物310に近づけたり、撮像条件に従って当該第2の対象物310から遠ざけたり、また、第2の対象物310の上を水平移動させたりする。尚、第2のビデオカメラ320を第2の対象物310に近づける代わりに、第2のビデオカメラ320にズーム機能等を搭載し、当該ズーム機能を制御することによって、第2の対象物310を拡大して撮像するようにしてもよい。
【0037】
撮像画像取得部345は、第2のビデオカメラ320によって撮像される撮像画像を取得する。取得した撮像画像は撮像画像送信部347へ送信される。
撮像画像送信部347は、例えばモデム等で構成され、受信した撮像画像を遠隔側端末100へ送信する。
【0038】
続いて、第1実施形態に係るサーバの動作について図面を参照して説明する。
図3はサーバ330における処理の一例を示すフローチャートである。
サーバ330は、まず、第1の対象物140に関する識別情報を受信したか否かを判断する(ステップS1)。識別情報を受信した場合には、サーバ330は、次に、識別情報から第2の対象物310の識別情報を特定する(ステップS2)。
【0039】
サーバ330は、次に、第1のビデオカメラ120による撮像画像を受信したか否かを判断する(ステップS3)。撮像画像を受信した場合には、サーバ330は、次に、第1のビデオカメラ120による第1の対象物140の撮像条件を算出する(ステップS4)。例えば、第1のビデオカメラ120によって撮像された表示装置110のQRコード112の撮像画像から、第1のビデオカメラ120と表示装置110との距離、第1の対象物140と表示装置110との距離等を算出する。算出した撮像条件は第2のビデオカメラ320を制御する際に使用される。
【0040】
サーバ330は、次に、特定された識別情報及び算出された撮像条件に応じて、第2のビデオカメラ320を移動させる(ステップS5)。撮像条件は、第1のビデオカメラ120からの表示装置110の距離、及び、第1のビデオカメラ120を基準とした表示装置110の位置を有するため、サーバ330は、第2の対象物310からの第2のビデオカメラ320の高さ、及び、第2の対象物310を基準とした第2のビデオカメラ320の位置を撮像条件に合わせるように、第2のビデオカメラ320を移動させる。
【0041】
サーバ330は、サーバ330からの指示に従って移動した第2のビデオカメラ320に、その位置における第2の対象物310を撮像させ、第2のビデオカメラ320による撮像画像を取得する(ステップS6)。当該撮像画像は、第1の対象物140上の所定の位置及び高さに位置する表示装置110の表示画面に表示される画像と概ね同様となる。
【0042】
サーバ330は、撮像画像を遠隔側装置100へ送信する(ステップS7)。遠隔側装置100では、コンピュータ130が当該撮像画像を受信して、表示装置110に送信する。従って、表示装置110の表示画面では、第1の対象物140に対応した第2の対象物310の画像が表示される。
【0043】
さらに、上述した処理に応じた画像処理システムの動作について図4乃至図7を参照して説明する。
まず、表示装置110を第1の対象物140の上で水平移動させた場合について図4及び図5を参照して説明する。
図4は表示装置110に表示される画像の一例、図5は実物体側装置300における第2のビデオカメラ320の移動の一例である。
【0044】
例えば表示装置110は、図4に示すように、第1の対象物140より上の位置Aで第1の対象物140に応じた電子部品312aを表示する。ここで、例えば表示装置110を位置Bに水平移動させた場合、第1のビデオカメラ120によりQRコード112が移動に応じて撮像され、当該撮像画像がサーバ330へ送信される。
【0045】
サーバ330は、図5に示すように、位置A´で撮像領域R1内の第2の対象物310を撮像するよう第2のビデオカメラ320を制御しているが、コンピュータ130からの撮像画像を受信することで、サーバ330では撮像条件が算出され、サーバ330は位置B´で撮像領域R2内の第2の対象物310を撮像するよう第2のビデオカメラ320を撮像させながら水平移動させる。その結果、位置B´で撮像された撮像画像はサーバ330に取り込まれ、コンピュータ130に送信される。
【0046】
コンピュータ130は、第2のビデオカメラ320の位置B´における撮像画像を受信すると、当該撮像画像を表示装置110に送信する。したがって、表示装置110の表示画面は、図4に示すように、位置Bにおいて、第1の対象物140に対応する電子部品312bの画像を表示する。
【0047】
次に、表示装置110を第1の対象物140から遠ざけた場合について図6及び図7を参照して説明する。
図6は表示装置110に表示される画像の一例、図7は実物体側装置300における第2のビデオカメラ320の移動の一例である。
【0048】
例えば表示装置110は、図6に示すように、第1の対象物140より上の位置Aで第1の対象物140に応じた電子部品312aを表示する。ここで、例えば表示装置110を位置Cにまで第1の対象物140から遠ざけた場合、第1のビデオカメラ120によりQRコード112が移動に応じて撮像され、当該撮像画像がサーバ330へ送信される。
【0049】
サーバ330は、図7に示すように、位置A´で撮像領域R1内の第2の対象物310を撮像するよう第2のビデオカメラ320を制御しているが、コンピュータ130からの撮像画像を受信することで、サーバ330では撮像条件が算出され、サーバ330は位置C´で撮像領域R3内の第2の対象物310を撮像するよう第2のビデオカメラ320を第2の対象物310から遠ざける。第2のビデオカメラ320は第2の対象物310から遠ざかった結果、撮像領域R1より広い撮像領域R3を撮像するようになる。位置C´で撮像された撮像画像はサーバ330に取り込まれ、コンピュータ130に送信される。
【0050】
コンピュータ130は、第2のビデオカメラ320の位置C´における撮像画像を受信すると、当該撮像画像を表示装置110に送信する。したがって、表示装置110の表示画面は、図6に示すように、位置Cにおいて、第1の対象物140に対応する電子部品312c〜312eの画像を表示する。
【0051】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係る画像処理システムについて図面を参照して説明する。
図8は本発明の第2実施形態に係る画像処理システムの構成図である。尚、図1に示される画像処理システムの各部と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
本システムは、図8に示すように、遠隔側装置100、実物体側装置300等から構成されており、遠隔側装置100と実物体側300とは、ネットワーク200を介して接続される。
【0052】
遠隔側装置100は、第1のビデオカメラ付表示装置114、コンピュータ130等から構成される。すなわち、第1実施形態に係る画像処理システムにおいては、遠隔側装置100が表示装置110と第1のビデオカメラ120とを別として備えていたが、第2実施形態に係る画像処理システムにおいては、それらの代わりに、第1のビデオカメラ付表示装置114が使用される。
【0053】
第1のビデオカメラ付表示装置114は、表示手段としての表示装置に、第1の撮像手段としての第1のビデオカメラが一体形成されて構成される。第1のビデオカメラ付表示装置114は第1の対象物140を撮像し、より詳しくは、所定の撮像領域R内の第1の対象物140を撮像する。尚、当該撮像画像は、静止画または動画のどちらでもよい。撮像した撮像画像は無線通信によってコンピュータ130に取り込まれる。
【0054】
コンピュータ130は、第1のビデオカメラ付表示装置114による撮像画像を受信して、当該撮像画像をサーバ330に送信すると共に、サーバ330から送信される画像等を第1のビデオカメラ付表示装置114に無線通信で送信する。
【0055】
次にサーバ330の各機能について図9を参照して説明する。
図9は第2実施形態に係るサーバ330の要部を示す機能ブロック図である。尚、図9に示す各機能ブロックは、CPU等の処理装置、SRAMやDRAM等の半導体記憶装置、ハードウェア及び所要のソフトウェアによりそれぞれ構成される。また、図2に示されるサーバの各部と同様の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
サーバ330は、識別情報受信部331、対象物特定部333、図面画像記憶部335、撮像画像受信部339、撮像条件算出部341、撮像手段制御部343、撮像画像取得部345、撮像画像送信部347等を備える。尚、撮像画像受信部339、撮像条件算出部341、撮像手段制御部343、撮像画像取得部345等から本発明の取得手段が構成される。
【0057】
図面画像記憶部335は、種々の第1の対象物140の全体画像や、電子部品の性能、仕様(スペック)や資料等をデータベース化して記憶しており、対象物特定部333からの制御に基づいて当該全体図面を抽出し、撮像条件算出部341へ送信する。これらの画像や仕様等は、サーバ330を管理する管理者等によって予め記憶させておく。尚、記憶させておく第1の対象物140の画像は、第1の対象物140の全体が表示される画像、または、第1の対象物140の部分的な画像のいずれでもよい。
【0058】
撮像条件算出部341は、図面画像記憶部335から抽出された第1の対象物140の全体図面の画像と、コンピュータ130から受信した撮像画像上の第1の対象物140とを照合する。照合は、画像の位相情報を用いたレジストレーションやFFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)オーバーサンプリング法、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)と呼ばれる画像の雑音、回転、拡大・縮小等に対して頑健な局所特徴量を算出する手法等、既知のアルゴリズムによって実現される。これにより、受信した撮像画像上の第1の対象物140の拡大または縮小倍率が判断でき、第2のビデオカメラ320の撮像条件を制御できる。
【0059】
続いて、第2実施形態に係るサーバの処理について図10を参照して説明する。
図10はサーバ330における処理の一例を示すフローチャートである。
サーバ330は、まず、第1の対象物140に関する識別情報を受信したか否かを判断する(ステップS11)。識別情報を受信した場合には、サーバ330は、次に、図面画像記憶部335から第1の対象物140の全体図を抽出する(ステップS12)。
【0060】
サーバ330は、次いで、第1のビデオカメラ付表示装置114によって撮像された第1の対象物140の撮像画像を受信したか否かを判断する(ステップS13)。当該撮像画像を受信した場合には、サーバ330は、図面画像記憶部140から抽出された第1の対象物140の全体図及び受信した撮像画像上の設計図とを照合し、照合結果に応じた撮像条件を算出する(ステップS14)。
【0061】
例えば、サーバ330は、第1のビデオカメラ付表示装置114によって撮像領域R内の第1の対象物140の撮像画像を受信し、また、当該撮像画像に応じた第1の対象物の画像を図面画像記憶部335から抽出するが、撮像画像と第1の対象物140の画像とを照合することで、第1のビデオカメラ付表示装置114の第1の対象物140に対する撮像条件を算出することができる。算出された撮像条件は第2のビデオカメラ320を制御する際に使用される。
【0062】
サーバ330は、次に、算出された撮像条件に基づき、第2のビデオカメラ320の移動させる(ステップS15)。すなわち、撮像条件は、第1の対象物140からの第1のビデオカメラ付表示装置114の高さ、及び、第1の対象物140を基準としたビデオカメラ付携帯端末114の位置を有するため、サーバ330は、第2の対象物310からの第2のビデオカメラ320の高さ、及び、第2の対象物310を基準とした第2のビデオカメラ320の位置を撮像条件に合わせるように、第2のビデオカメラ320を撮像させながら移動させる。
【0063】
第2のビデオカメラ320は、サーバ330からの指示に従って移動した位置において、電子部品312を搭載した第2の対象物310を撮像する。サーバ330は、第2のビデオカメラ320による撮像画像を取得する(ステップS16)。当該撮像画像は、第1のビデオカメラ付表示装置114によって撮像された第1の対象物140の撮像画像に基づいた第2の対象物310の撮像画像となる。
【0064】
サーバ330は、撮像画像を遠隔側装置100へ送信する(ステップS17)。遠隔側装置100では、コンピュータ130が当該撮像画像を受信して、第1のビデオカメラ付表示装置114に送信する。従って、第1のビデオカメラ付表示装置114の表示画面では、撮像領域R内の第1の対象物140に応じた第2の対象物310の画像が表示される。
【0065】
第1のビデオカメラ付表示装置114を使用し、上述したような処理を行うことによって、QRコード112を使用しないでも、例えば、図4に示すように第1のビデオカメラ付表示装置114を第1の対象物140上で水平移動させると、図5に示すように第2のビデオカメラ320が移動し、その結果、第1のビデオカメラ付表示装置114の表示画面に第2のビデオカメラ320による撮像画像が表示され、また、図6に示すように第1のビデオカメラ付表示装置114を第1の対象物140から遠ざけるように移動させると、図7に示すように第2のビデオカメラ320が移動し、その結果、第1のビデオカメラ付表示装置114の表示画面に第2のビデオカメラ320による撮像画像が表示される。
【0066】
尚、本発明は、上述した第1実施形態、第2実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。例えば、上述した第1実施形態、第2実施形態においては、第1の対象物として設計図面、第2の対象物として当該設計図面に対応する回路基板を使用したが、第1の対象物として回路基板、第2の対象物として当該回路基板に対応する設計図面とするようにしてもよい。
【0067】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態においては、実物体側装置における1つのサーバによって第2のビデオカメラを制御する実施形態としたが、例えば、2台以上のサーバによって第2のビデオカメラをそれぞれ制御する実施形態としてもよい。また、実物体側装置において、第2のビデオカメラを使用した即時(リアルタイム)の撮像画像送信とせず、予め第2のビデオカメラによる撮像画像を記憶させておき、遠隔側装置からの指示があった際に、その指示に応じた部分的な画像を送信するようにしてもよい。これによりネットワークの輻輳が回避されるようになる。また、第2のビデオカメラの撮像領域内に、第2のビデオカメラによる撮像画像に基づいてされた指示に応じたアノテーション画像を投影する投影手段を形成するようにしてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態においては、表示装置の表示画面に、サーバから送信される第2の対象物の画像を表示させるようにしたが、例えば、画像表示用のアプリケーションソフトウェアをPC(Personal Computer)等の端末にインストールして、受信した第2の対象物の画像を当該アプリケーションソフトウェアに表示させる実施形態としてもよい。PCに予め第1の対象物の画像を記憶しておくことによって、その第1の対象物の画像に応じた第2の対象物の画像をアプリケーションソフトウェアに表示させ、これらを対比して参照することもできる。この場合、アプリケーションソフトウェアに移動があった場合には、撮像条件を算出し、実物体側装置の第2のビデオカメラを制御し、第2のビデオカメラによる撮像画像をアプリケーションソフトウェアに表示させるようにする。
【0069】
また、上述した実施形態において、実物体側装置300に投影手段としてのプロジェクタが、第2のビデオカメラ320と画角(視野)がほぼ同一となるように配置され、さらに、コンピュータ130により制御される表示装置や入力装置が遠隔側装置100に配置されるようにしてもよい。表示装置は例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等が該当し、入力装置はキーボードやマウス等が該当する。例えば、本発明の取得手段により、第2のビデオカメラ320により撮像画像を取得し、遠隔側装置100の表示装置に表示させる。当該撮像画像に応じて入力装置からアノテーション画像の投影指示が行われた場合には、サーバ330の制御によりプロジェクタに投影指示されたアノテーション画像を第2の対象物310に投影させることも可能である。尚、プロジェクタによる投影は、小型化のためにハーフミラーを介して行われることが望ましく、その際には第2のビデオカメラ320と同主点となることが望ましい。アノテーション画像を用いた円滑な対話が可能となる。
【0070】
さらに、例えば、本発明のプログラムを通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。コンピュータと表示装置等との通信は、有線による通信であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上説明したように、本発明によれば、遠隔側の対象物と関連性を有する実物体側の対象物の詳細な画像が容易に取得され、表示手段に表示されるので、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第1実施形態に係る画像処理システムの構成図である。
【図2】サーバの要部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】サーバにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】遠隔側装置における表示装置の表示画面の一例を説明するための図である。
【図5】実物体側装置における第2のビデオカメラの動作の一例を説明するための図である。
【図6】遠隔側装置における表示装置の表示画面の一例を説明するための図である。
【図7】実物体側装置における第2のビデオカメラの動作の一例を説明するための図である。
【図8】第2実施形態に係る画像処理システムの構成図である。
【図9】サーバの要部構成を示す機能ブロック図である。
【図10】サーバにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100 遠隔側装置
110 表示装置
112 QRコード
113 表示画面
114 第1のビデオカメラ付表示装置
120 第1のビデオカメラ
130 コンピュータ
140 第1の対象物
141 識別情報
200 ネットワーク
300 実物体側装置
310 第2の対象物
312、312a〜312e 電子部品
320 第2のビデオカメラ
330 サーバ
331 識別情報受信部
333 対象物特定部
335 画像記憶部
339 撮像画像受信部
341 撮像条件算出部
343 撮像手段制御部
345 撮像画像取得部
347 撮像画像送信部
R、R1〜R3 撮像領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の対象物を撮像する第1の撮像手段と、
前記第1の対象物と関連性を有する第2の対象物を撮像する第2の撮像手段と、
前記第1の撮像手段の撮像領域内の所望の位置における視野に対応した前記第2の撮像手段による撮像画像を取得する取得手段と、
前記所定の位置において、前記第2の撮像手段による撮像画像を表示する表示手段と
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記第1の撮像手段による撮像画像に基づいて、前記第2の撮像手段の撮像条件を変化させて取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記第2の撮像手段の撮像領域内に、前記第2の撮像手段による撮像画像に基づいてされた指示に応じたアノテーション画像を投影する投影手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記表示手段は、二次元識別情報を備え、
前記取得手段は、前記第1の撮像手段による撮像画像上での二次元識別情報の向き及び大きさに基づいて、取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記表示手段は、前記第1の撮像手段を一体形成しており、
前記取得手段は、前記第1の撮像手段による撮像画像上での第1の対象物の向き及び大きさに基づいて、取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記取得手段は、前記表示手段の移動に応じて移動量を算出し、移動後の位置における視野に対応した前記第2の撮像手段による撮像画像を取得することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記第2の撮像手段に代えて、前記第1の撮像手段による撮像画像に対応する前記第2の対象物の画像を記憶する記憶手段を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記表示手段は、前記第2の撮像手段による撮像画像上に表れる第2の対象物に関する仕様をさらに表示することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
第1の対象物を第1の撮像手段に撮像させるステップと、
前記第1の対象物に関連する第2の対象物を第2の撮像手段に撮像させるステップと、
前記第1の撮像手段の撮像領域内の所望の位置における視野に対応した前記第2の撮像手段による撮像画像を取得するステップと、
前記所定の位置において、前記第2の撮像手段による撮像画像を表示手段に表示させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−131174(P2008−131174A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311609(P2006−311609)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】