説明

画像処理回路

【課題】簡単なテスト装置を用意するだけで、そのテストが行える、回路規模をさほど大きくすることなく実現可能な画像処理回路を、提供する。
【解決手段】画像処理回路10を、圧縮・伸張回路11等のデータ処理回路と、第1データが繰り返される部分を含むテストデータを回路的に生成して出力するテストデータ生成回路12aと、テストデータを入力したときに,正常に機能しているデータ処理回路が出力するデータと一致する比較データであって、第2データが繰り返される部分を含む比較データを、回路的に生成して出力する比較データ生成回路12bと、テストデータが供給されているデータ処理回路が出力する処理済データが,比較データ生成回路12bが出力する比較データと一致しているか否かを示す検証結果データを出力するデータ比較回路13とを、備えた回路としておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理するための画像処理回路に、関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理回路(画像データに対して特定の処理を行うための半導体集積回路)を備えた装置(プリンタ,ファクシミリ等)の製造時には、画像処理回路を装置に実際に組み込む前に、画像処理回路が正常に機能するものであるか否かのテストが、行われている。
【0003】
そして、一般的な画像処理回路は、テスト用の回路を備えていないものであるため、一般的な画像処理回路に対する上記テストは、図5に示したような構成のテスト装置、すなわち、テストデータを,テスト対象とされている画像処理回路に供給し、その結果として画像処理回路が出力するデータ(図では、処理結果)が比較データ〔正常に機能する画像処理回路がテストデータ入力時に出力するデータ〕と一致するか否かを比較する機能を有する装置を用意することにより行われている(例えば、特許文献1参照。)が、画像処理回路が,DMA転送データを入力とする回路(高速にデータを供給しなければテストを行えない回路)であるため、この種のテスト装置は、その用意(製造,プログラミング等)に、結構、コストがかかるものとなっている。
【0004】
このため、図6に示した構成を採用した画像処理回路、すなわち、テスト装置としての機能する回路も実装した画像処理回路(例えば、特許文献2参照。)も、提案されているが、この構成は、テストデータ及び比較データを記憶するための回路(図における“内蔵メモリ”)を必要とするものであるため、画像処理回路の回路規模(画像処理回路の総ゲート数)が大きくならざるをえないという問題を有するものとなっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−259356号公報
【特許文献2】特開2006−71373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、簡単なテスト装置を用意するだけで、そのテストが行える画像処理回路であって、回路規模をさほど大きくすることなく実現可能な回路構成を有する画像処理回路を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、画像処理回路を、入力されたデータに対して所定の処理を施すことによって処理済データを出力するデータ処理回路と、第1データが繰り返される部分を含むテストデータを生成して出力するテストデータ生成回路と、テストデータを入力したときに,正常に機能しているデータ処理回路が出力するデータと一致する比較データであって、第2データが繰り返される部分を含む比較データを、生成して出力する比較データ生成回路と、外部から入力されたデータ,或いは,テストデータ生成回路が出力するテストデータをデータ処理回路に供給するセレクタ回路と、テストデータが供給されているデータ処理回路が出力する処理済データが,比較データ生成回路が出力する比較データと一致しているか否かを示す検証結果データを出力するデータ比較回路とを、備え、テストデータ生成回路が、第1データを出力する第1データ出力回路と、第1データ出力回路を繰り返し動作させるテストデータ生成回路用制御回路とを含む回路であり、比較データ生成回路が、第2データを出力する第2データ出力回路と、第2データ出力回路を繰り返し動作させる比較データ生成回路用制御回路とを含む回路である回路としておく。
【0008】
すなわち、本発明の画像処理回路は、テストデータ,比較データを記憶させておく(図6参照)代わりに、データ処理回路用のテストデータ,比較データとして,それぞれ,第1データが繰り返される部分を含むデータ,第2データが繰り返される部分を含むデータを特定しておき、そのようなテストデータ,比較データを生成・出力する回路を設けた回路となっている。そして、第1データが繰り返される部分を含むテストデータを生成・出力する回路や,第2データが繰り返される部分を含む比較データを生成・出力する回路は、比較的に少数のゲートで実現できるものであるため、本発明の画像処理回路は、簡単なテスト装置を用意するだけで(図5のようなテスト装置を用意する必要がない形で)、そのテストが行える画像処理回路であって、回路規模をさほど大きくすることなく実現可能な回路構成を有する画像処理回路となっていると言うことが出来る。
【0009】
本発明の画像処理回路を実現するに際しては、テストデータ生成回路の第1データ出力回路を、記憶した第1データを出力する回路ではなく,その動作時に第1データを出力するように構成された回路(例えば、出力値を“1”ずつインクリメントさせながら、“00”から“ff”までを出力する回路)としておくことが、出来る。
【0010】
また、本発明の画像処理回路は、どのような用途の回路としても実現可能であるが、圧縮処理を行う画像処理回路(データ処理回路)は、一般に、上記のようなテストデータ,比較データの組合せを簡単に特定できるものとなっている。このため、本発明の回路構成は、圧縮処理用の画像処理回路に、特に適したものとなっていると言うことも出来る。
【0011】
また、本発明の画像処理回路を、他機能の回路として実現する場合には、各機能について(機能毎に)、第1データ出力回路,第2データ出力回路,比較データ生成回路等を設けておけば良いが、本発明の画像処理回路を、圧縮機能と伸張機能とを有する回路(圧縮処理と伸張処理とを実行可能なデータ処理回路を備えた回路)として実現する場合には、セレクタ回路を、外部から入力されたデータ,テストデータ生成回路が出力するテストデータ,或いは,比較データ生成回路が出力する比較データをデータ処理回路に供給する回路とし、データ比較回路を、テストデータが供給されているデータ処理回路が出力する処理済データが,比較データ生成回路が出力する比較データと一致しているか否かを示す検証結果データを出力する圧縮処理用機能と、比較データが供給されているデータ処理回路が出力する処理済データが,テストデータ生成回路が出力するテストデータと一致しているか否かを示す検証結果データを出力する伸張処理用機能とを有する回路(第1データ出力回路及び第2データ出力回路が、圧縮機能のテスト時にも伸張機能のテスト時にも使用される回路)としておくことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る画像処理回路10は、圧縮・伸張回路11とデータ生成回路12とデータ比較回路13とセレクタ14とを備えた回路である。なお、図示は省略してあるが、画像処理回路10は、外部からデータを書込可能な処理モードレジスタ,動作モードレジスタ及びテスト開始指示用レジスタ(各レジスタの用途は後述)も備えた回路となっている。
【0014】
この画像処理回路10は、プリンタや複合機に使用するものとして開発した,1ページ分(或いは1バンド分)の画像データを圧縮/伸張するための回路(ASIC)である。
【0015】
圧縮・伸張回路11は、画像データを圧縮/伸張する処理を実際に行う回路である。この圧縮・伸張回路11は、処理モードレジスタに,圧縮モードで動作すべきことを指示するデータ(以下、圧縮モード指示データと表記する)が記憶されている場合には、圧縮処理を行い、処理モードレジスタに,伸張モードで動作すべきことを指示するデータ(以下、伸張モード指示データと表記する)が記憶されている場合には、伸張処理を行う回路となっている。
【0016】
セレクタ14は、画像処理回路10の端子に入力されているデータ,或いは,データ生成回路12からのデータ(詳細は後述)を,圧縮・伸張回路11へ供給することとが可能な回路である。このセレクタ14は、動作モードレジスタに,通常モードで動作すべきことを示すデータが設定されている場合に、画像処理回路10の端子に入力されているデータを圧縮・伸張回路11へ供給し、動作モードレジスタに,テストモードで動作すべきことを示すデータが設定されている場合に、データ生成回路12からのデータを圧縮・伸張回路11へ供給する回路となっている。
【0017】
データ比較回路13は、圧縮・伸張回路11が出力するデータとデータ生成回路12からのデータ(詳細は後述)とを比較し、両データが一致しているか否かを示す検証結果データを出力する回路である。
【0018】
データ生成回路12は、テストデータ生成回路12aと比較データ生成回路12bとを含む回路である。
【0019】
このデータ生成回路12に含まれるテストデータ生成回路12aは、図2及び図3(A)に模式的に示してあるように、簡単な回路にて生成可能な回路生成可能データを時系列的にn個並べたテストデータであって、正常に機能している圧縮・伸張回路11に供給した場合、先頭データの後ろに同一データをm個並べた後,最終データを並べたデータ(比較データ)が,圧縮・伸張回路11から出力されることになるテストデータを生成・出力するように構成(設計)された回路である。なお、本実施形態に係る画像処理回路10のテストデータ生成回路12aは、出力値を“1”ずつインクリメントさせながら、“00”(all 0の1バイトデータ)から“ff”(all 1の1バイトデータ)までを出力する回路と、その回路を,n回動作させる回路とを主な構成要素とする回路となっている。
【0020】
データ生成回路12に含まれる比較データ生成回路12bは、図2及び図3(B)に模式的に示してあるように、上記テストデータが供給された圧縮・伸張回路11(正常に機能するもの)が出力するデータ(先頭データの後ろに同一データをm個並べた後,最終データを並べたデータ)を生成・出力するように構成(設計)された回路である。この比較データ生成回路12bは、図3(B)に模式的に示してあるように、先頭データ(図2における"a21f")を出力する先頭データ用回路と、先頭データ用回路の動作後に機能する,繰り返しデータ(図2における"02cf63")をm回出力する繰り返し回路〔繰り返しデータを出力する回路と,当該回路をm回動作させる回路とからなる繰り返し回路)と,繰り返し回路の動作後に機能する,最終データ(図2における"167489af00")を出力する回路とを、主な構成要素とする回路となっている。
【0021】
そして、本実施形態に係る画像処理装置10に設けられているデータ生成回路12は、このようなテストデータ生成回路12a及び比較データ生成回路12bを含む回路であると共に、図4に模式的に示してあるように、処理モードレジスタに,圧縮モード指示データが記憶されている場合(圧縮・伸張回路11が圧縮モードで動作している場合)には、テストデータ生成回路12aの出力データ,比較データ生成回路12bの出力データを,それぞれ、セレクタ14,データ比較回路13へ出力する状態(図4(A))となり、処理モードレジスタに,伸張モード指示データが記憶されている場合(圧縮・伸張回路11が伸張モードで動作している場合)には、テストデータ生成回路12aの出力データ,比較データ生成回路12bの出力データを,それぞれ、データ比較回路13,セレクタ14へ出力する状態(図4(B))となるように構成された回路となっている。
【0022】
また、データ生成回路12は、処理モードレジスタに,圧縮モード指示データが記憶されている状態で、所定内容のテスト開始指示データがテスト開始指示用レジスタに書き込まれた場合には、テストデータ生成回路12aの動作を開始させた後、所定時間の経過後に(圧縮・伸張回路11からの処理結果の出力と同期するタイミングで),比較データ生成回路12bの動作を開始させ、処理モードレジスタに,伸張モード指示データが記憶されている状態で、テスト開始指示データがテスト開始指示用レジスタに書き込まれた場合には、比較データ生成回路12bの動作を開始させた後、所定時間の経過後に、テストデータ生成回路12aの動作を開始させるように構成された回路ともなっている。
【0023】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る画像処理回路10は、テストデータ,比較データを記憶させておく(図6参照)代わりに、データ処理回路11用のテストデータ,比較データとして,それぞれ,同一データ(図2,3における“回路生成可能データ)”が繰り返される部分を含むデータ,同一データ(図2,3における“02cf64”,“繰り返しデータ”)が繰り返される部分を含むデータを特定しておき、そのようなテストデータ,比較データを生成・出力するテストデータ生成回路12a,比較データ生成回路12bを設けた回路となっている。そして、同一データが繰り返される部分を含むデータ(テストデータ,比較データ)を生成・出力する各回路12a,12bは、比較的に少数のゲートで実現できるものである。従って、この画像処理回路10は、簡単なテスト装置を用意するだけで(図5のようなテスト装置を用意する必要がない形で)、そのテストが行える画像処理回路であって、回路規模をさほど大きくすることなく実現可能な画像処理回路となっていると言うことが出来る。
【0024】
《変形形態》
上記した画像処理回路10は、各種の変形を行うことが出来る。例えば、画像処理回路10を、圧縮処理のみを行える回路や、他の画像処理を行う回路に変形することが出来る。また、画像処理回路10を、記憶しているデータを繰り返し出力するテストデータ生成回路12aを備えた回路に変形することも出来る。ただし、そのようなテストデータ生成回路12aは、回路生成可能データを繰り返し出力するテストデータ生成回路12aよりも規模が大きなものとならざるを得ないため、上記構成を採用しておくことが望ましい。
【0025】
また、上記した画像処理回路10で用いられている技術に基づき、各種の処理を行える画像処理回路(テストデータ生成回路12a等を実行可能な処理毎に備えた回路)や、複数のテストデータを出力可能なテストデータ生成回路12a(例えば、n値を指定可能な回路)、各テストデータに対する比較データを出力可能な比較データ生成回路12b等を備えた画像処理回路等を製造しても良いことなどは、当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理回路の構成図。
【図2】実施形態に係る画像処理回路が備えるテストデータ生成回路,比較データ生成回路の機能を説明するための図。
【図3】実施形態に係る画像処理回路が備えるテストデータ生成回路,比較データ生成回路の構成を説明するための図。
【図4】実施形態に係る画像処理回路が備えるデータ生成回路の機能の説明図。
【図5】従来の一般的な画像処理回路のテスト方法の説明図。
【図6】従来の,テスト回路を備えた画像処理回路の構成図。
【符号の説明】
【0027】
10 画像処理回路、 11 圧縮・伸張回路、 12 データ生成回路
12a テストデータ生成回路、 12b 比較データ生成回路
13 データ比較回路、 14 セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたデータに対して所定の処理を施すことによって処理済データを出力するデータ処理回路と、
第1データが繰り返される部分を含むテストデータを生成して出力するテストデータ生成回路と、
前記テストデータを入力したときに,正常に機能している前記データ処理回路が出力するデータと一致する比較データであって、第2データが繰り返される部分を含む比較データを、生成して出力する比較データ生成回路と、
外部から入力されたデータ,或いは,前記テストデータ生成回路が出力する前記テストデータを前記データ処理回路に供給するセレクタ回路と、
前記テストデータが供給されている前記データ処理回路が出力する処理済データが,前記比較データ生成回路が出力する比較データと一致しているか否かを示す検証結果データを出力するデータ比較回路と
を、備え、
前記テストデータ生成回路が、
前記第1データを出力する第1データ出力回路と、
前記第1データ出力回路を繰り返し動作させるテストデータ生成回路用制御回路とを含む回路であり、
前記比較データ生成回路が、
前記第2データを出力する第2データ出力回路と、
前記第2データ出力回路を繰り返し動作させる比較データ生成回路用制御回路とを含む回路である
ことを、特徴とする画像処理回路。
【請求項2】
前記テストデータ生成回路の前記第1データ出力回路が、
記憶した第1データを出力する回路ではなく、その動作時に前記第1データを出力するように構成された回路である
ことを、特徴とする請求項1記載の画像処理回路。
【請求項3】
前記データ処理回路が、
入力されたデータに対して圧縮処理を施すことによって処理済データを出力する回路である
ことを、特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理回路。
【請求項4】
前記データ処理回路が、
入力されたデータに対して圧縮処理を施すことによって処理済データを出力する機能と、入力されたデータに対して伸張処理を施すことによって処理済データを出力する機能とを有する回路であり、
前記セレクタ回路が、
外部から入力されたデータ,前記テストデータ生成回路が出力する前記テストデータ,或いは,前記比較データ生成回路が出力する前記比較データを前記データ処理回路に供給する回路であり、
前記データ比較回路が、
前記テストデータが供給されている前記データ処理回路が出力する処理済データが,前記比較データ生成回路が出力する比較データと一致しているか否かを示す検証結果データを出力する圧縮処理用機能と、前記比較データが供給されている前記データ処理回路が出力する処理済データが,前記テストデータ生成回路が出力するテストデータと一致しているか否かを示す検証結果データを出力する伸張処理用機能とを有する回路である
ことを、特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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