画像処理方法および画像処理プログラム
【課題】少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示する場合に、オブジェクトの表示/非表示を操作性よく切り替えることができる画像処理方法および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】Altキーを押すと、表示切り替えモードに移行し、全ての注釈表示が表示される。この時、元々表示属性が非表示に設定されており、表示されていなかった注釈表示が半透明に表示される。すなわち、通常モードでは表示されていなかった装置名11、カラーバー12および患者名14が半透明で表示される。このように、Altキーを押すことにより、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えることができるので、表示属性の変更を希望する注釈表示を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【解決手段】Altキーを押すと、表示切り替えモードに移行し、全ての注釈表示が表示される。この時、元々表示属性が非表示に設定されており、表示されていなかった注釈表示が半透明に表示される。すなわち、通常モードでは表示されていなかった装置名11、カラーバー12および患者名14が半透明で表示される。このように、Altキーを押すことにより、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えることができるので、表示属性の変更を希望する注釈表示を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示させる画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いた画像処理技術の進展により人体の内部構造を直接観測することを可能にしたCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の出現は医療分野に革新をもたらし、生体の断層画像を用いた医療診断が広く行われている。さらに、近年では、断層画像だけでは分かりにくい複雑な人体内部の3次元構造を可視化する技術として、例えば、CT装置により得られた物体の3次元デジタルデータから3次元構造のイメージを直接描画するボリュームレンダリングが医療診断に使用されている。
【0003】
図7は、医療画像処理装置において、撮影した画像と、その画像に重ねられて画像の状態や条件などを表示する注釈表示(annotation)が表示された画面を示す。図7では、撮影した画像10(この場合は胸部)と、その注釈表示として、撮影した装置名11、画像の濃淡及び表示色と計測値を対応付けるためのカラーバー12、撮影時の放射線強度及び撮影枚数13、撮影した患者名、年齢および撮影日14、画像の寸法を判断するためのルーラー15、画像の表示方向を示す方向表示16、ウィンドウレベルWW/WL(画像コントラスト)17が表示されている。
【0004】
しかしながら、特定の診断において必ずしも全ての注釈表示が必要ではないので、一部の注釈表示を非表示にすることができる。その場合、従来は、注釈表示の表示属性を、ダイヤログボックスやメニューで表示または非表示に設定することが一般的であった。
【0005】
図8は、注釈表示の表示属性をダイヤログボックスで設定する場合を示す。図8に示すダイヤログボックスにおいて、患者名、放射線強度、方向表示2、カラーバー1,2,3にチェックを入れることにより、それらの注釈表示の表示属性を表示に設定することができる。また、チェックを外すことにより、それらの注釈表示の表示属性を非表示に設定することができる。
【0006】
また、図9は、注釈表示の表示属性をメニューで設定する場合を示す。図9に示すプルダウンメニューの補助メニューにおいて、ルーラーおよびカラーバーにチェックを入れることにより、それらの表示属性を表示に設定することができる。また、チェックを外すことにより、それらの注釈表示の表示属性を非表示に設定することができる。
【0007】
図10は、ダイヤログボックスあるいはメニューの設定に従って、一部の注釈表示が表示されている状態を示す。すなわち、図10では、診断対象の画像10に重ねて、注釈表示として、放射線強度13、ルーラー15、方向表示16、ウィンドウレベル表示17が表示されている状態(表示属性が表示となっている状態)を示す。
【0008】
図11は、このような注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャートである。従来の画像処理方法では、ユーザから、表示する注釈表示を変更する要求が発行されたときに、まず、表示できる注釈表示の種類を入力するためのダイヤログボックスを表示する(ステップS21)。ここでユーザは表示する注釈表示の種類をダイヤログボックスあるいはメニューで設定する(ステップS22)。これにより、設定された注釈表示が表示される(ステップS23)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来は、表示させる注釈表示の種類を変更する場合は、ダイヤログボックスあるいはメニューの設定を変更する必要があり操作が煩雑であった。特に、ユーザが、元々非表示に設定されている注釈表示のイメージを想像できない場合、あるいはそのイメージを忘れている場合に、ダイヤログボックス等で設定し直して表示/非表示を判断するのは困難であった。
【0010】
また、元々非表示に設定されている注釈表示と、ダイヤログボックス等の項目の対応関係が必ずしも明瞭ではなく、どの項目にチェックを入れれば希望する注釈表示が表示されるか判断に迷う場合が多かった。特に、医療診断においては、表示する医療画像の種類に応じて異なる注釈表示が必要になる場合が多く、また、注釈表示の種類が多いためダイヤログボックスやメニューが膨大になり、それらを別画面で呼び出すのに手間がかかり操作が面倒であった。
【0011】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、複数のオブジェクトで構成される医療画像の表示/非表示を操作性よく切り替えることができる画像処理方法および画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示させる画像処理方法であって、前記表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、前記表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えるステップと、前記表示切り替えモードにおいて、オブジェクトの指定を受け付けるステップと、指定されたオブジェクトの前記表示属性を切り替えるステップと、を有する。
【0013】
上記構成によれば、例えば、Altキーを押すことにより、表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替え、ポインティングデバイス等でオブジェクトを指定することにより、オブジェクトの表示属性を表示または非表示に切り替えることができるので、ダイヤログボックスあるいはメニューを呼び出してオブジェクトの表示属性を変更する必要がなくなり、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示/非表示とするオブジェクトを操作性良く切り替えることができる。特に、オブジェクトの表示位置が表示属性に関わらず同一とすることが出来るのでオブジェクトの把握及び指定が容易になる。
【0014】
また、本発明の画像処理方法は、前記表示切り替えモードにおけるオブジェクトの指定が、ポインティングデバイスにより行われるものである。
【0015】
また、本発明において、前記オブジェクトは、注釈表示を含む。また、前記オブジェクトは、画像操作GUIを含む。また、前記オブジェクトは、画像診断オブジェクトを含む。
【0016】
また、本発明では、所定のキーが押下されている間、前記表示切り替えモードとなる。また、本発明では、所定のキーを打鍵する毎に、前記表示切り替えモードと前記通常モードを切り替える。また、本発明では、GUIを介した入力により、前記表示切り替えモードと前記通常モードとを切り替える。
【0017】
上記構成によれば、所定のキーを押下する等の単一の操作で、通常モードと表示切り替えモードを切り替えることができるので、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示属性の表示/非表示を切り替えるオブジェクトを容易に指定することができる。
【0018】
また、本発明において、前記表示切り替えモード時、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性毎に区別して表示される。また、本発明では、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性に応じた透明度で表示される。また、本発明では、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性に応じた色で表示される。また、本発明では、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性に応じた表示サイズで表示される。
【0019】
上記構成によれば、表示切り替えモード時に、オブジェクトは、設定されている表示属性に従って区別して表示されるので、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示属性を切り替えるオブジェクトを容易に見つけることができる。
【0020】
また、本発明は、コンピュータに、本発明の画像処理方法を実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば、Altキーを押すことにより、表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替え、ポインティングデバイス等でオブジェクトを指定することにより、オブジェクトの表示属性を表示または非表示に切り替えることができるので、ダイヤログボックスあるいはメニューを呼び出してオブジェクトの表示属性を変更する必要がなくなり、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示/非表示とするオブジェクトを操作性良く切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態にかかる画像処理方法は、少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクト(画像、注釈表示およびGUI等)で構成される医療画像において、オブジェクトの表示/非表示を操作性よく切り替えることができる。
【0023】
本実施形態の画像処理方法では、表示属性の設定に従って、表示属性が表示であるオブジェクトを表示し表示属性が非表示であるオブジェクトを表示しない通常モードから、表示属性の値にかかわらずすべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えることが可能である。通常モードから表示切り替えモードへの切り替えは、例えば、Altキーを押すことにより行われる。
【0024】
表示切り替えモードでは、表示属性が表示に設定されているオブジェクトが通常通りに表示されるとともに、表示属性が非表示に設定されているオブジェクトが、例えば半透明で表示される。これにより、ユーザは、表示可能なすべてのオブジェクトのイメージを容易に把握しつつ、それらのオブジェクトの現在の表示属性の値を適確に認識し設定することができる。
【0025】
ユーザが、オブジェクトの表示属性を変更する場合は、表示切り替えモードにおいて、マウス等のポインティングデバイスでオブジェクトを指定する。これにより、指定したオブジェクトの表示属性が切り替えられる。すなわち、表示切り替えモードにおいて半透明で表示された表示属性が非表示に設定されているオブジェクトは、表示属性が表示に変更され、表示切り替えモードにおいて不透明で表示された表示属性が表示に設定されているオブジェクトは、表示属性が非表示に変更される。
【0026】
これにより、ユーザは、ダイヤログボックスあるいはメニューを呼び出してオブジェクトの表示属性を変更する必要がなくなり、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示/非表示とするオブジェクトを操作性良く切り替えることができる。
【0027】
(実施例1)
次に、本実施形態の画像処理方法について、図面に従って詳細に説明する。本実施形態の画像処理方法の通常モードでは、表示属性が表示である注釈表示が表示され、表示属性が非表示である注釈表示が表示されない。尚、従来と同様に、ダイヤログボックスまたはメニューの設定に従って、注釈表示の表示属性を設定することも出来る。
【0028】
図10は、一部の注釈表示が表示されている状態を示す。すなわち、図10では、診断対象の画像10に重ねて、表示属性に設定されている放射線強度13、ルーラー15、方向表示16、ウィンドウレベルWW/WL17が表示されている。
【0029】
本実施形態の画像処理方法では、表示された医療画像を見ながら診断を行っている医師等が、注釈表示の表示属性の変更を希望する場合に、Altキーを指で押すことにより、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードに切り替え、Altキーが押下されている間表示切り替えモードとなる例を説明する。
【0030】
図1は、本実施形態の画像処理方法の表示切り替えモードにおける表示状態を示す。Altキーを押すと、表示切り替えモードに移行し、全ての注釈表示が表示される。この時、表示属性が非表示に設定されており、元々表示されていなかった注釈表示が半透明に表示される。すなわち、通常モードでは表示されていなかった装置名11、カラーバー12および患者名14が半透明で表示される。
【0031】
このように本実施形態の画像処理方法によれば、Altキーを押すことにより、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替え、この場合すべての注釈表示を表示することができるので、表示属性の変更を希望する注釈表示を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0032】
特に、表示切り替えモードでは、表示属性が非表示となっている注釈表示が半透明と区別して表示されるため、各オブジェクトのそれぞれの表示属性がユーザにとって一目瞭然である。したがって、ダイヤログボックスあるいはメニューでそれらの注釈表示の名称を指定する従来の方法に比べ、注釈表示とその名称の対応関係を把握できない場合であっても、はるかに容易に注釈表示を指定することができる。
【0033】
次に、表示切り替えモードにおいて、ユーザは、表示属性の変更を希望する注釈表示を、例えば、マウスでクリックして指定する事によって変更する。図2は、変更を希望する注釈表示をクリックして注釈表示の表示属性を非表示から表示に切り替えた状態を示す。この場合、表示切り替えモードであるので注釈表示の半透明表示から不透明表示に切り替わることで表示属性の変化が表現される。すなわち、表示切り替えモードにおいて半透明表示になった注釈表示(装置名11)をクリックすることにより、半透明表示から不透明表示に切り替える。
【0034】
次に、指をAltキーから離すことにより、表示切り替えモードから通常モードに切り替える。図3は、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替わった状態を示す。ユーザが指をAltキーから離すと、表示切り替えモードが終了し、表示切り替えモードにおいて半透明で表示されていた注釈表示(図2のカラーバー12および患者名14)が透明(非表示)となり、表示切り替えモードにおいて不透明の注釈表示のみが残される。
【0035】
このように、本実施形態の画像処理方法によれば、Altキーを押して表示切り替えモードに切り替え、通常モードで非表示となっていた表示属性が非表示のオブジェクトを半透明で表示するので、表示属性の変更を希望するオブジェクトの表示属性の変更を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0036】
(実施例2)
本実施例においても、通常モードでは、従来と同様に、表示属性が表示である注釈表示が表示され、表示属性が非表示である注釈表示が表示されない(図10を参照)。
【0037】
次に、表示された医療画像を見ながら診断を行っている医師等が、注釈表示の変更を希望する場合に、例えば、Altキーを押して、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードに切り替える(図1を参照)。
【0038】
表示切り替えモードでは、図1に示したように、元々表示属性が非表示に設定されており通常モードでは表示されていなかった装置名11、カラーバー12および患者名14が半透明で表示される。
【0039】
次に、表示切り替えモードにおいて、ユーザは、表示属性の変更を希望する注釈表示を、例えば、マウスでクリックして指定する事によって変更する。図4は、不透明表示の注釈表示をクリックして注釈表示の表示属性を表示から非表示に切り替えた状態を示す。この場合、表示切り替えモードであるので注釈表示の不透明表示から半透明表示に切り替わることで表示属性の変化が表現される。すなわち、図4では、不透明表示のルーラー15(表示属性を有するオブジェクト)をクリックすることにより、半透明表示に切り替えた状態を示す。これにより、ルーラー15は表示属性を非表示に切り替えられる。
【0040】
次に、指をAltキーから離すことにより、表示切り替えモードから通常モードに切り替える。図5は、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替えた後の状態を示す。指をAltキーから離すと、表示切り替えモードが終了し、表示切り替えモードにおいて半透明で表示されていた注釈表示(図4の装置名11、患者名14およびルーラー15)は透明(非表示)となる。
【0041】
このように、本実施形態の画像処理方法によれば、表示切り替えモードにおいてすべての注釈表示が表示され、表示属性の変更を希望するオブジェクトをクリックするだけで、そのオブジェクトの表示属性を変更することができるので、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0042】
図6aは、本実施形態の画像処理方法における注釈表示の表示属性切り替え処理を説明するためのフローチャートであり、図6bは、本実施形態の画像処理方法における注釈表示の描画処理を説明するためのフローチャートである。本実施形態の画像処理方法において、初期設定に従って注釈表示の表示属性が表示/非表示と設定されている。初期設定は、表示する注釈表示の種類をダイヤログボックスあるいはメニューで設定する事が出来る。また、画像種にあわせたシステム設定値を用いても良い。また、前回作業終了時の表示属性を復元しても良い。
【0043】
図6aを参照して、注釈表示の表示属性切り替え処理を説明する。注釈表示がクリックされた場合、表示切り替えモードであるかどうかを判断し(ステップS111)、表示切り替えモードである場合(Yes)、注釈表示の表示属性の値が、表示であるか非表示であるかを判断する(ステップS112)。注釈表示の表示属性が表示である場合、クリックされた注釈表示の表示属性を非表示とする(ステップS113)。一方、注釈表示の表示属性が非表示である場合、クリックされた注釈表示の表示属性を表示とする(ステップS114)。なお、ステップS111で表示切り替えモードでない場合(No)、処理を行わず終了する。
【0044】
次に、図6bを参照して、注釈表示の描画処理を説明する。注釈表示を描画する場合、注釈表示の表示属性の値が表示であるか非表示であるかを判断し(ステップS121)、表示属性が非表示である場合、表示切り替えモードであるかどうかを判断し(ステップS122)、表示切り替えモードである場合(Yes)、注釈表示を半透明に描画する(ステップS123)。一方、表示切り替えモードでない場合(ステップS122:No)、描画は行わず処理を終了する。なお、ステップS121において、注釈表示の表示属性が表示である場合は、注釈表示を不透明に描画する(S124)。
【0045】
このように、本実施形態の画像処理方法によれば、Altキーを押すことにより、表示切り替えモードへ切り替えてすべての注釈表示を表示することができるので、表示属性の変更を希望する注釈表示を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0046】
なお、通常モードと表示切り替えモードとの切り替えは、Altキーの押下を例示したが、いかなるキーボードのキーが押下されている間表示切り替えモードとしても良いし、複数のキー入力を組み合わせても良いし、キーを打鍵する毎にモードを切り替えても良い。また、画面上のアイコン、チェックボックス、ボタンをマウス等のポインティングデバイスの操作等により指定することによってモードを切り替えても良い。マウス等のポインティングデバイスの例えば中ボタンの押下のようにアイコン等を用いなくても良い。また、それ以外の入力装置を用いても良い。また、上記の組み合わせであっても良い。
【0047】
また、表示切り替えモード時のオブジェクトは、不透明と半透明で表示することにより設定されている属性毎に区別して表示する他、設定されている属性に応じた色や表示サイズで表示しても良いし、所定の文字または記号を重ねるか否かにより、設定されている属性毎に区別して表示しても良い。
【0048】
また、表示切り替えの対象となるオブジェクトとして注釈表示の他に、画像操作のためのスクロールバーやダイヤル、画像回転や表示断面位置制御等の画像操作GUIがある。例えば、方向表示注釈表示とほぼ同じ外観の方向入力GUIがあっても良い。方向入力GUI上でマウスにてドラッグ操作を行うと画像を回転させることが出来る。ウィンドウレベルWW/WL注釈表示とほぼ同じ外観のウィンドウレベルWW/WL入力GUIがあっても良い。WW/WL入力GUI上でマウスにてドラッグ操作を行うとウィンドウレベルを変化させることが出来る。これらの画像操作GUIはそれぞれの表示属性が表示の時にのみ当該画像操作GUIの操作ができるようになるので、不必要な画像操作GUIが画面上に乱立して誤操作を招くことを防ぐことも出来る。
【0049】
また、表示切り替えの対象となるオブジェクトとして、注釈表示の他に、ボリュームレンダデータに対して設定されたパス、ボクセルの計測結果、3Dメッシュ、マスク、例えば、血管の中心線を表現するパス、腫瘍の石灰化を計測するためのCT値計測、臓器輪郭を表現する3Dメッシュ、抽出した臓器の領域にそれぞれ割り当てられたマスクなどの画像診断オブジェクトがある。特に、これらの画像診断オブジェクトは、作業に応じてユーザが任意に作成するので、動的にわかりやすい名称を与えることが難しく、ダイヤログボックスやメニューで表示/非表示を設定するのに適していないが、本手法を用いると容易に操作できる。
【0050】
更に、本発明の実施形態は、表示属性を切り替える場合について説明したが、本発明は、画面に表示されていないオブジェクト、あるいは画面に表示されてはいるがポイントすることが難しいオブジェクトに対する操作を容易に行う場合に適用可能である。
【0051】
例えば、高速にアニメーションしているオブジェクトを表示切り替えモードにすることによって停止させ操作することが出来る。また、小さく表示されているオブジェクトを表示切り替えモードにすることによってポイントしやすい大きさにすることによって操作することが出来る。また、背面に表示されているオブジェクトを表示切り替えモードにすることによって前面に移動させることによって操作することが出来る。
【0052】
また、1つの画像内において、予め関連付けた複数のオブジェクトを一括して表示/非表示させてもよい。また、複数ウィンドウ(画像)間で予め関連付けた複数のオブジェクトを一括して表示/非表示させてもよい。また、複数ウィンドウ(画像)にまたがって表示される一つのオブジェクトを表示属性を一括して変更させても良い。
【0053】
また、表示属性は、表示/非表示に加え他の属性を有していても良い。例えば、表示属性に縮小表示が更にあれば重要度の低いオブジェクトを縮小表示することによって目立たなくしておくことが出来る。尚、この場合はオブジェクトの属性を変更する時に「表示、非表示、縮小表示、表示・・」と表示属性を循環させる形にすれば使いやすい。
【0054】
また、一つのオブジェクトが複数の表示属性を保有していても良い。この場合、複数の表示属性に対応する複数の表示切り替えモードを持つことによって、一の表示切り替えモードになったときに対応する一の表示属性に関わらずオブジェクトは表示するが、依然として他方の表示属性が非表示のオブジェクトは非表示にする。このようにすることによって表示属性を階層化、多重化し、より複雑な操作が出来るようになる。
【0055】
また、各実施例では表示切り替えモードにおいて表示属性が非表示のオブジェクトを半透明表示したが、表示属性が表示のオブジェクトと区別がつけば表示の仕方は何でも良い。例えば、点線表示、異なる字体を使用した表示、異なる色を使用した表示等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の画像処理方法の表示切り替えモードにおける表示状態を示す図
【図2】本実施形態の画像処理方法において、変更を希望する注釈表示をクリックして半透明表示から不透明表示に切り替えた状態を示す図
【図3】本実施形態の画像処理方法において、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替わった状態を示す図
【図4】本実施形態の画像処理方法において、不透明表示の注釈表示をクリックして半透明表示に切り替えた状態を示す図
【図5】本実施形態の画像処理方法において、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替えた後の状態を示す図
【図6a】本実施形態の画像処理方法における注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャート
【図6b】本実施形態の画像処理方法における注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャート
【図7】医療画像処理装置において、撮影した画像とその画像に重ねられて画像の状態や条件などを表示する注釈表示が表示された画面
【図8】従来の注釈表示の表示/非表示をダイヤログボックスで設定する場合を示す図
【図9】従来の注釈表示の表示/非表示をメニューで設定する場合を示す図
【図10】一部の注釈表示が表示されている状態を示す図
【図11】従来の注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0057】
10 診断画像
11 装置名
12 カラーバー
13 放射線強度
14 患者名
15 ルーラー
16 方向表示
17 透明度表示
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示させる画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いた画像処理技術の進展により人体の内部構造を直接観測することを可能にしたCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置の出現は医療分野に革新をもたらし、生体の断層画像を用いた医療診断が広く行われている。さらに、近年では、断層画像だけでは分かりにくい複雑な人体内部の3次元構造を可視化する技術として、例えば、CT装置により得られた物体の3次元デジタルデータから3次元構造のイメージを直接描画するボリュームレンダリングが医療診断に使用されている。
【0003】
図7は、医療画像処理装置において、撮影した画像と、その画像に重ねられて画像の状態や条件などを表示する注釈表示(annotation)が表示された画面を示す。図7では、撮影した画像10(この場合は胸部)と、その注釈表示として、撮影した装置名11、画像の濃淡及び表示色と計測値を対応付けるためのカラーバー12、撮影時の放射線強度及び撮影枚数13、撮影した患者名、年齢および撮影日14、画像の寸法を判断するためのルーラー15、画像の表示方向を示す方向表示16、ウィンドウレベルWW/WL(画像コントラスト)17が表示されている。
【0004】
しかしながら、特定の診断において必ずしも全ての注釈表示が必要ではないので、一部の注釈表示を非表示にすることができる。その場合、従来は、注釈表示の表示属性を、ダイヤログボックスやメニューで表示または非表示に設定することが一般的であった。
【0005】
図8は、注釈表示の表示属性をダイヤログボックスで設定する場合を示す。図8に示すダイヤログボックスにおいて、患者名、放射線強度、方向表示2、カラーバー1,2,3にチェックを入れることにより、それらの注釈表示の表示属性を表示に設定することができる。また、チェックを外すことにより、それらの注釈表示の表示属性を非表示に設定することができる。
【0006】
また、図9は、注釈表示の表示属性をメニューで設定する場合を示す。図9に示すプルダウンメニューの補助メニューにおいて、ルーラーおよびカラーバーにチェックを入れることにより、それらの表示属性を表示に設定することができる。また、チェックを外すことにより、それらの注釈表示の表示属性を非表示に設定することができる。
【0007】
図10は、ダイヤログボックスあるいはメニューの設定に従って、一部の注釈表示が表示されている状態を示す。すなわち、図10では、診断対象の画像10に重ねて、注釈表示として、放射線強度13、ルーラー15、方向表示16、ウィンドウレベル表示17が表示されている状態(表示属性が表示となっている状態)を示す。
【0008】
図11は、このような注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャートである。従来の画像処理方法では、ユーザから、表示する注釈表示を変更する要求が発行されたときに、まず、表示できる注釈表示の種類を入力するためのダイヤログボックスを表示する(ステップS21)。ここでユーザは表示する注釈表示の種類をダイヤログボックスあるいはメニューで設定する(ステップS22)。これにより、設定された注釈表示が表示される(ステップS23)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来は、表示させる注釈表示の種類を変更する場合は、ダイヤログボックスあるいはメニューの設定を変更する必要があり操作が煩雑であった。特に、ユーザが、元々非表示に設定されている注釈表示のイメージを想像できない場合、あるいはそのイメージを忘れている場合に、ダイヤログボックス等で設定し直して表示/非表示を判断するのは困難であった。
【0010】
また、元々非表示に設定されている注釈表示と、ダイヤログボックス等の項目の対応関係が必ずしも明瞭ではなく、どの項目にチェックを入れれば希望する注釈表示が表示されるか判断に迷う場合が多かった。特に、医療診断においては、表示する医療画像の種類に応じて異なる注釈表示が必要になる場合が多く、また、注釈表示の種類が多いためダイヤログボックスやメニューが膨大になり、それらを別画面で呼び出すのに手間がかかり操作が面倒であった。
【0011】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、複数のオブジェクトで構成される医療画像の表示/非表示を操作性よく切り替えることができる画像処理方法および画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示させる画像処理方法であって、前記表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、前記表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えるステップと、前記表示切り替えモードにおいて、オブジェクトの指定を受け付けるステップと、指定されたオブジェクトの前記表示属性を切り替えるステップと、を有する。
【0013】
上記構成によれば、例えば、Altキーを押すことにより、表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替え、ポインティングデバイス等でオブジェクトを指定することにより、オブジェクトの表示属性を表示または非表示に切り替えることができるので、ダイヤログボックスあるいはメニューを呼び出してオブジェクトの表示属性を変更する必要がなくなり、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示/非表示とするオブジェクトを操作性良く切り替えることができる。特に、オブジェクトの表示位置が表示属性に関わらず同一とすることが出来るのでオブジェクトの把握及び指定が容易になる。
【0014】
また、本発明の画像処理方法は、前記表示切り替えモードにおけるオブジェクトの指定が、ポインティングデバイスにより行われるものである。
【0015】
また、本発明において、前記オブジェクトは、注釈表示を含む。また、前記オブジェクトは、画像操作GUIを含む。また、前記オブジェクトは、画像診断オブジェクトを含む。
【0016】
また、本発明では、所定のキーが押下されている間、前記表示切り替えモードとなる。また、本発明では、所定のキーを打鍵する毎に、前記表示切り替えモードと前記通常モードを切り替える。また、本発明では、GUIを介した入力により、前記表示切り替えモードと前記通常モードとを切り替える。
【0017】
上記構成によれば、所定のキーを押下する等の単一の操作で、通常モードと表示切り替えモードを切り替えることができるので、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示属性の表示/非表示を切り替えるオブジェクトを容易に指定することができる。
【0018】
また、本発明において、前記表示切り替えモード時、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性毎に区別して表示される。また、本発明では、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性に応じた透明度で表示される。また、本発明では、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性に応じた色で表示される。また、本発明では、前記オブジェクトが、設定されている前記表示属性に応じた表示サイズで表示される。
【0019】
上記構成によれば、表示切り替えモード時に、オブジェクトは、設定されている表示属性に従って区別して表示されるので、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示属性を切り替えるオブジェクトを容易に見つけることができる。
【0020】
また、本発明は、コンピュータに、本発明の画像処理方法を実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば、Altキーを押すことにより、表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替え、ポインティングデバイス等でオブジェクトを指定することにより、オブジェクトの表示属性を表示または非表示に切り替えることができるので、ダイヤログボックスあるいはメニューを呼び出してオブジェクトの表示属性を変更する必要がなくなり、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示/非表示とするオブジェクトを操作性良く切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態にかかる画像処理方法は、少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクト(画像、注釈表示およびGUI等)で構成される医療画像において、オブジェクトの表示/非表示を操作性よく切り替えることができる。
【0023】
本実施形態の画像処理方法では、表示属性の設定に従って、表示属性が表示であるオブジェクトを表示し表示属性が非表示であるオブジェクトを表示しない通常モードから、表示属性の値にかかわらずすべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えることが可能である。通常モードから表示切り替えモードへの切り替えは、例えば、Altキーを押すことにより行われる。
【0024】
表示切り替えモードでは、表示属性が表示に設定されているオブジェクトが通常通りに表示されるとともに、表示属性が非表示に設定されているオブジェクトが、例えば半透明で表示される。これにより、ユーザは、表示可能なすべてのオブジェクトのイメージを容易に把握しつつ、それらのオブジェクトの現在の表示属性の値を適確に認識し設定することができる。
【0025】
ユーザが、オブジェクトの表示属性を変更する場合は、表示切り替えモードにおいて、マウス等のポインティングデバイスでオブジェクトを指定する。これにより、指定したオブジェクトの表示属性が切り替えられる。すなわち、表示切り替えモードにおいて半透明で表示された表示属性が非表示に設定されているオブジェクトは、表示属性が表示に変更され、表示切り替えモードにおいて不透明で表示された表示属性が表示に設定されているオブジェクトは、表示属性が非表示に変更される。
【0026】
これにより、ユーザは、ダイヤログボックスあるいはメニューを呼び出してオブジェクトの表示属性を変更する必要がなくなり、画像を見ながら医療診断を行う場合に、表示/非表示とするオブジェクトを操作性良く切り替えることができる。
【0027】
(実施例1)
次に、本実施形態の画像処理方法について、図面に従って詳細に説明する。本実施形態の画像処理方法の通常モードでは、表示属性が表示である注釈表示が表示され、表示属性が非表示である注釈表示が表示されない。尚、従来と同様に、ダイヤログボックスまたはメニューの設定に従って、注釈表示の表示属性を設定することも出来る。
【0028】
図10は、一部の注釈表示が表示されている状態を示す。すなわち、図10では、診断対象の画像10に重ねて、表示属性に設定されている放射線強度13、ルーラー15、方向表示16、ウィンドウレベルWW/WL17が表示されている。
【0029】
本実施形態の画像処理方法では、表示された医療画像を見ながら診断を行っている医師等が、注釈表示の表示属性の変更を希望する場合に、Altキーを指で押すことにより、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードに切り替え、Altキーが押下されている間表示切り替えモードとなる例を説明する。
【0030】
図1は、本実施形態の画像処理方法の表示切り替えモードにおける表示状態を示す。Altキーを押すと、表示切り替えモードに移行し、全ての注釈表示が表示される。この時、表示属性が非表示に設定されており、元々表示されていなかった注釈表示が半透明に表示される。すなわち、通常モードでは表示されていなかった装置名11、カラーバー12および患者名14が半透明で表示される。
【0031】
このように本実施形態の画像処理方法によれば、Altキーを押すことにより、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替え、この場合すべての注釈表示を表示することができるので、表示属性の変更を希望する注釈表示を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0032】
特に、表示切り替えモードでは、表示属性が非表示となっている注釈表示が半透明と区別して表示されるため、各オブジェクトのそれぞれの表示属性がユーザにとって一目瞭然である。したがって、ダイヤログボックスあるいはメニューでそれらの注釈表示の名称を指定する従来の方法に比べ、注釈表示とその名称の対応関係を把握できない場合であっても、はるかに容易に注釈表示を指定することができる。
【0033】
次に、表示切り替えモードにおいて、ユーザは、表示属性の変更を希望する注釈表示を、例えば、マウスでクリックして指定する事によって変更する。図2は、変更を希望する注釈表示をクリックして注釈表示の表示属性を非表示から表示に切り替えた状態を示す。この場合、表示切り替えモードであるので注釈表示の半透明表示から不透明表示に切り替わることで表示属性の変化が表現される。すなわち、表示切り替えモードにおいて半透明表示になった注釈表示(装置名11)をクリックすることにより、半透明表示から不透明表示に切り替える。
【0034】
次に、指をAltキーから離すことにより、表示切り替えモードから通常モードに切り替える。図3は、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替わった状態を示す。ユーザが指をAltキーから離すと、表示切り替えモードが終了し、表示切り替えモードにおいて半透明で表示されていた注釈表示(図2のカラーバー12および患者名14)が透明(非表示)となり、表示切り替えモードにおいて不透明の注釈表示のみが残される。
【0035】
このように、本実施形態の画像処理方法によれば、Altキーを押して表示切り替えモードに切り替え、通常モードで非表示となっていた表示属性が非表示のオブジェクトを半透明で表示するので、表示属性の変更を希望するオブジェクトの表示属性の変更を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0036】
(実施例2)
本実施例においても、通常モードでは、従来と同様に、表示属性が表示である注釈表示が表示され、表示属性が非表示である注釈表示が表示されない(図10を参照)。
【0037】
次に、表示された医療画像を見ながら診断を行っている医師等が、注釈表示の変更を希望する場合に、例えば、Altキーを押して、すべてのオブジェクトを表示する表示切り替えモードに切り替える(図1を参照)。
【0038】
表示切り替えモードでは、図1に示したように、元々表示属性が非表示に設定されており通常モードでは表示されていなかった装置名11、カラーバー12および患者名14が半透明で表示される。
【0039】
次に、表示切り替えモードにおいて、ユーザは、表示属性の変更を希望する注釈表示を、例えば、マウスでクリックして指定する事によって変更する。図4は、不透明表示の注釈表示をクリックして注釈表示の表示属性を表示から非表示に切り替えた状態を示す。この場合、表示切り替えモードであるので注釈表示の不透明表示から半透明表示に切り替わることで表示属性の変化が表現される。すなわち、図4では、不透明表示のルーラー15(表示属性を有するオブジェクト)をクリックすることにより、半透明表示に切り替えた状態を示す。これにより、ルーラー15は表示属性を非表示に切り替えられる。
【0040】
次に、指をAltキーから離すことにより、表示切り替えモードから通常モードに切り替える。図5は、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替えた後の状態を示す。指をAltキーから離すと、表示切り替えモードが終了し、表示切り替えモードにおいて半透明で表示されていた注釈表示(図4の装置名11、患者名14およびルーラー15)は透明(非表示)となる。
【0041】
このように、本実施形態の画像処理方法によれば、表示切り替えモードにおいてすべての注釈表示が表示され、表示属性の変更を希望するオブジェクトをクリックするだけで、そのオブジェクトの表示属性を変更することができるので、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0042】
図6aは、本実施形態の画像処理方法における注釈表示の表示属性切り替え処理を説明するためのフローチャートであり、図6bは、本実施形態の画像処理方法における注釈表示の描画処理を説明するためのフローチャートである。本実施形態の画像処理方法において、初期設定に従って注釈表示の表示属性が表示/非表示と設定されている。初期設定は、表示する注釈表示の種類をダイヤログボックスあるいはメニューで設定する事が出来る。また、画像種にあわせたシステム設定値を用いても良い。また、前回作業終了時の表示属性を復元しても良い。
【0043】
図6aを参照して、注釈表示の表示属性切り替え処理を説明する。注釈表示がクリックされた場合、表示切り替えモードであるかどうかを判断し(ステップS111)、表示切り替えモードである場合(Yes)、注釈表示の表示属性の値が、表示であるか非表示であるかを判断する(ステップS112)。注釈表示の表示属性が表示である場合、クリックされた注釈表示の表示属性を非表示とする(ステップS113)。一方、注釈表示の表示属性が非表示である場合、クリックされた注釈表示の表示属性を表示とする(ステップS114)。なお、ステップS111で表示切り替えモードでない場合(No)、処理を行わず終了する。
【0044】
次に、図6bを参照して、注釈表示の描画処理を説明する。注釈表示を描画する場合、注釈表示の表示属性の値が表示であるか非表示であるかを判断し(ステップS121)、表示属性が非表示である場合、表示切り替えモードであるかどうかを判断し(ステップS122)、表示切り替えモードである場合(Yes)、注釈表示を半透明に描画する(ステップS123)。一方、表示切り替えモードでない場合(ステップS122:No)、描画は行わず処理を終了する。なお、ステップS121において、注釈表示の表示属性が表示である場合は、注釈表示を不透明に描画する(S124)。
【0045】
このように、本実施形態の画像処理方法によれば、Altキーを押すことにより、表示切り替えモードへ切り替えてすべての注釈表示を表示することができるので、表示属性の変更を希望する注釈表示を迅速に指定することができ、画像による医療診断を円滑に行うことができる。
【0046】
なお、通常モードと表示切り替えモードとの切り替えは、Altキーの押下を例示したが、いかなるキーボードのキーが押下されている間表示切り替えモードとしても良いし、複数のキー入力を組み合わせても良いし、キーを打鍵する毎にモードを切り替えても良い。また、画面上のアイコン、チェックボックス、ボタンをマウス等のポインティングデバイスの操作等により指定することによってモードを切り替えても良い。マウス等のポインティングデバイスの例えば中ボタンの押下のようにアイコン等を用いなくても良い。また、それ以外の入力装置を用いても良い。また、上記の組み合わせであっても良い。
【0047】
また、表示切り替えモード時のオブジェクトは、不透明と半透明で表示することにより設定されている属性毎に区別して表示する他、設定されている属性に応じた色や表示サイズで表示しても良いし、所定の文字または記号を重ねるか否かにより、設定されている属性毎に区別して表示しても良い。
【0048】
また、表示切り替えの対象となるオブジェクトとして注釈表示の他に、画像操作のためのスクロールバーやダイヤル、画像回転や表示断面位置制御等の画像操作GUIがある。例えば、方向表示注釈表示とほぼ同じ外観の方向入力GUIがあっても良い。方向入力GUI上でマウスにてドラッグ操作を行うと画像を回転させることが出来る。ウィンドウレベルWW/WL注釈表示とほぼ同じ外観のウィンドウレベルWW/WL入力GUIがあっても良い。WW/WL入力GUI上でマウスにてドラッグ操作を行うとウィンドウレベルを変化させることが出来る。これらの画像操作GUIはそれぞれの表示属性が表示の時にのみ当該画像操作GUIの操作ができるようになるので、不必要な画像操作GUIが画面上に乱立して誤操作を招くことを防ぐことも出来る。
【0049】
また、表示切り替えの対象となるオブジェクトとして、注釈表示の他に、ボリュームレンダデータに対して設定されたパス、ボクセルの計測結果、3Dメッシュ、マスク、例えば、血管の中心線を表現するパス、腫瘍の石灰化を計測するためのCT値計測、臓器輪郭を表現する3Dメッシュ、抽出した臓器の領域にそれぞれ割り当てられたマスクなどの画像診断オブジェクトがある。特に、これらの画像診断オブジェクトは、作業に応じてユーザが任意に作成するので、動的にわかりやすい名称を与えることが難しく、ダイヤログボックスやメニューで表示/非表示を設定するのに適していないが、本手法を用いると容易に操作できる。
【0050】
更に、本発明の実施形態は、表示属性を切り替える場合について説明したが、本発明は、画面に表示されていないオブジェクト、あるいは画面に表示されてはいるがポイントすることが難しいオブジェクトに対する操作を容易に行う場合に適用可能である。
【0051】
例えば、高速にアニメーションしているオブジェクトを表示切り替えモードにすることによって停止させ操作することが出来る。また、小さく表示されているオブジェクトを表示切り替えモードにすることによってポイントしやすい大きさにすることによって操作することが出来る。また、背面に表示されているオブジェクトを表示切り替えモードにすることによって前面に移動させることによって操作することが出来る。
【0052】
また、1つの画像内において、予め関連付けた複数のオブジェクトを一括して表示/非表示させてもよい。また、複数ウィンドウ(画像)間で予め関連付けた複数のオブジェクトを一括して表示/非表示させてもよい。また、複数ウィンドウ(画像)にまたがって表示される一つのオブジェクトを表示属性を一括して変更させても良い。
【0053】
また、表示属性は、表示/非表示に加え他の属性を有していても良い。例えば、表示属性に縮小表示が更にあれば重要度の低いオブジェクトを縮小表示することによって目立たなくしておくことが出来る。尚、この場合はオブジェクトの属性を変更する時に「表示、非表示、縮小表示、表示・・」と表示属性を循環させる形にすれば使いやすい。
【0054】
また、一つのオブジェクトが複数の表示属性を保有していても良い。この場合、複数の表示属性に対応する複数の表示切り替えモードを持つことによって、一の表示切り替えモードになったときに対応する一の表示属性に関わらずオブジェクトは表示するが、依然として他方の表示属性が非表示のオブジェクトは非表示にする。このようにすることによって表示属性を階層化、多重化し、より複雑な操作が出来るようになる。
【0055】
また、各実施例では表示切り替えモードにおいて表示属性が非表示のオブジェクトを半透明表示したが、表示属性が表示のオブジェクトと区別がつけば表示の仕方は何でも良い。例えば、点線表示、異なる字体を使用した表示、異なる色を使用した表示等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の画像処理方法の表示切り替えモードにおける表示状態を示す図
【図2】本実施形態の画像処理方法において、変更を希望する注釈表示をクリックして半透明表示から不透明表示に切り替えた状態を示す図
【図3】本実施形態の画像処理方法において、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替わった状態を示す図
【図4】本実施形態の画像処理方法において、不透明表示の注釈表示をクリックして半透明表示に切り替えた状態を示す図
【図5】本実施形態の画像処理方法において、表示切り替えモードが終了し、通常モードに切り替えた後の状態を示す図
【図6a】本実施形態の画像処理方法における注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャート
【図6b】本実施形態の画像処理方法における注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャート
【図7】医療画像処理装置において、撮影した画像とその画像に重ねられて画像の状態や条件などを表示する注釈表示が表示された画面
【図8】従来の注釈表示の表示/非表示をダイヤログボックスで設定する場合を示す図
【図9】従来の注釈表示の表示/非表示をメニューで設定する場合を示す図
【図10】一部の注釈表示が表示されている状態を示す図
【図11】従来の注釈表示の切り替え処理を説明するためのフローチャート
【符号の説明】
【0057】
10 診断画像
11 装置名
12 カラーバー
13 放射線強度
14 患者名
15 ルーラー
16 方向表示
17 透明度表示
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示させる画像処理方法であって、
前記表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、前記表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えるステップと、
前記表示切り替えモードにおいて、オブジェクトの指定を受け付けるステップと、
指定されたオブジェクトの前記表示属性を切り替えるステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項2】
前記表示切り替えモードにおけるオブジェクトの指定は、ポインティングデバイスにより行われる請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記オブジェクトは、注釈表示を含む請求項1記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記オブジェクトは、画像操作GUIを含む請求項1記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記オブジェクトは、画像診断オブジェクトを含む請求項1記載の画像処理方法。
【請求項6】
所定のキーが押下されている間、前記表示切り替えモードとなる請求項1記載の画像処理方法。
【請求項7】
所定のキーを打鍵する毎に、前記表示切り替えモードと前記通常モードとを切り替える請求項1記載の画像処理方法。
【請求項8】
GUIを介した入力により、前記表示切り替えモードと前記通常モードとを切り替える請求項1記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記表示切り替えモード時、前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性毎に区別して表示される請求項1記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性に応じた透明度で表示される請求項9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性に応じた色で表示される請求項9記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性に応じた表示サイズで表示される請求項9記載の画像処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項1ないし12のいずれか一項記載の各ステップを実行させるための画像処理プログラム。
【請求項1】
少なくとも表示または非表示の表示属性をそれぞれ有する複数のオブジェクトで構成される医療画像を表示させる画像処理方法であって、
前記表示属性に従ってオブジェクトを表示する通常モードから、前記表示属性にかかわらずオブジェクトを表示する表示切り替えモードへ切り替えるステップと、
前記表示切り替えモードにおいて、オブジェクトの指定を受け付けるステップと、
指定されたオブジェクトの前記表示属性を切り替えるステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項2】
前記表示切り替えモードにおけるオブジェクトの指定は、ポインティングデバイスにより行われる請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記オブジェクトは、注釈表示を含む請求項1記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記オブジェクトは、画像操作GUIを含む請求項1記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記オブジェクトは、画像診断オブジェクトを含む請求項1記載の画像処理方法。
【請求項6】
所定のキーが押下されている間、前記表示切り替えモードとなる請求項1記載の画像処理方法。
【請求項7】
所定のキーを打鍵する毎に、前記表示切り替えモードと前記通常モードとを切り替える請求項1記載の画像処理方法。
【請求項8】
GUIを介した入力により、前記表示切り替えモードと前記通常モードとを切り替える請求項1記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記表示切り替えモード時、前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性毎に区別して表示される請求項1記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性に応じた透明度で表示される請求項9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性に応じた色で表示される請求項9記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記オブジェクトは、設定されている前記表示属性に応じた表示サイズで表示される請求項9記載の画像処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項1ないし12のいずれか一項記載の各ステップを実行させるための画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−79960(P2007−79960A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267229(P2005−267229)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(500109320)ザイオソフト株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(500109320)ザイオソフト株式会社 (59)
【Fターム(参考)】
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