説明

画像処理装置、および画像処理方法、並びにコンピュータ・プログラム

【課題】超解像処理において品質の高い高解像度画像を生成を可能とする装置および方法を提供する。
【解決手段】入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行し、これらの処理を施した画像を超解像処理部に入力して超解像処理を実行する。すなわち、超解像処理において画質劣化の原因となる画像の特徴を検出して予め画像補正を実行して超解像処理部に出力して超解像処理を実行する。本構成により、高品質な高解像度画像の生成が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、および画像処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。特に、画像の解像度を高める超解像処理を実行する画像処理装置、および画像処理方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
低解像度の画像から高解像度の画像を生成する手法として超解像処理が知られている。超解像処理は、重なりを持つ複数の低解像度の画像から、1フレームの高解像度の画像におけるそれぞれの画素の画素値を求める処理である。
【0003】
超解像処理により、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子によって撮影された画像から、これらの撮像素子が有する解像度以上の解像度の画像を再構成することが可能となる。具体的には、高解像度の衛星写真を生成するときなどに超解像が用いられる。なお、超解像処理については例えば非特許文献1に記載されている。
【0004】
図1および図2を参照して超解像の原理について説明する。図1(1),(2)の上方に示されるa,b,c,d,e,fは、ある被写体を撮像して得られた低解像度の画像(LR(Low Resolution)画像)から求めようとする高解像度の画像(SR(Super Resolution)画像)の画素値、すなわち、SR画像の解像度と同じ解像度で被写体を画素化したときのそれぞれの画素の画素値を表す。
【0005】
例えば、撮像素子の1つの画素の幅が、被写体を構成する画素の2つ分の幅だけあり、被写体を、その解像度のまま取り込むことができない場合、図1(1)に示されるように、撮像素子の3つの画素のうちの左側の画素においてはaとbの画素値を混合したAの画素値が取り込まれ、中央の画素においてはcとdの画素値を混合したBの画素値が取り込まれる。また、右側の画素においてはeとfの画素値を混合したCの画素値が取り込まれる。A,B,Cは、撮像して得られたLR画像を構成する画素の画素値を表す。
【0006】
手ぶれなどにより、図1(1)の被写体とともに、図1(1)の被写体の位置を基準として、被写体を構成する画素の0.5画素分の幅だけシフトさせた位置の被写体が図1(2)に示されるようにして取り込まれた場合(シフトさせながら取り込まれた場合)、撮像素子の3つの画素のうちの左側の画素においてはaの半分とbの全体とcの半分の画素値を混合したDの画素値が取り込まれ、中央の画素においてはcの半分とdの全体とeの半分の画素値を混合したEの画素値が取り込まれる。また、右側の画素においてはeの半分とfの全体の画素値を混合したFの画素値が取り込まれる。D,E,Fも、撮像して得られたLR画像を構成する画素の画素値を表す。
【0007】
このようなLR画像の撮像結果から下式(式1)が求められる。(式1)からa,b,c,d,e,fをそれぞれ求めることによって、撮像素子が有する解像度より高い解像度の画像を得ることが可能になる。
【0008】
【数1】

・・・(式1)
【0009】
従来から知られる超解像処理の一方式として、バックプロジェクション(Back Projection)による超解像処理について図2を参照して説明する。図2に示す画像処理装置1は例えばデジタルカメラに設けられ、撮像して得られた静止画の処理を行う。
【0010】
図2に示されるように、画像処理装置1は、超解像処理部11a〜11c、合算処理部12、加算処理部13、およびSR画像バッファ14から構成される。例えば撮像して得られた低解像度のLR画像であるLR0は超解像処理部11aに入力され、LR1は超解像処理部11bに入力される。また、LR2は超解像処理部11cに入力される。LR0〜LR2は連続して撮像された画像であり、それぞれ撮像範囲に重なりを有している。連続して撮像が行われた場合、通常、撮像結果の画像に写る被写体の範囲はそれぞれ手ぶれなどにより若干ずれたものとなり、完全に一致せずに重なりを一部に有するものとなる。
【0011】
超解像処理部11aは、低解像度画像LR0と、SR画像バッファ14に記憶されている高解像度画像SR画像に基づいて、それらの差分を表す差分画像を生成し、フィードバック値を合算処理部12に出力する。フィードバック値は、SR画像と同じ解像度の差分画像を表す値になっている。
【0012】
なお、SR画像バッファ14には、直前に行われた超解像処理によって生成された高解像度画像であるSR画像が記憶されている。処理の開始直後であり、SR画像がまだ1フレームも生成されていない場合、例えば、LR0を、SR画像と同じ解像度の画像にアップサンプリングして得られた画像がSR画像バッファ14に記憶される。
【0013】
同様に、超解像処理部11bは、次のフレームの低解像度画像LR1とSR画像バッファ14に記憶されている高解像度画像SR画像に基づいて、それらの差分を表す差分画像を生成し、生成した差分画像を表すフィードバック値を合算処理部12に出力する。
【0014】
さらに、超解像処理部11cは、次の低解像度画像LR2とSR画像バッファ14に記憶されている高解像度画像SR画像に基づいて、それらの差分を表す差分画像を生成し、生成した差分画像を表すフィードバック値を合算処理部12に出力する。
【0015】
合算処理部12は、超解像処理部11a〜11cから供給されたフィードバック値を平均化し、平均化して求められた、SR画像と同じ解像度の画像を加算処理部13に出力する。加算処理部13は、SR画像バッファ14に記憶されているSR画像と合算処理部12から供給されたSR画像を加算し、加算して得られたSR画像を出力する。加算処理部13の出力は、超解像処理の結果として画像処理装置1の外部に供給されるとともに、SR画像バッファ14に供給され、記憶される。
【0016】
図3は、超解像処理部11(超解像処理器11a〜c)の構成例を示すブロック図である。図3に示されるように、超解像処理部11は、動きベクトル検出部21、動き補償処理部22、ダウンサンプリング処理部23、加算処理部24、アップサンプリング処理部25、逆方向動き補償処理部26から構成される。
【0017】
SR画像バッファ14から読み出された高解像度画像SR画像は動きベクトル検出部21と動き補償処理部22に入力され、撮像して得られた低解像度画像LRnは動きベクトル検出部21と加算処理部24に入力される。
【0018】
動きベクトル検出部21は、入力された高解像度画像であるSR画像と低解像度画像であるLRnに基づいて、SR画像を基準とした動きベクトルを検出し、検出した動きベクトルを動き補償処理部22と逆方向動き補償処理部26に出力する。例えば過去の撮影画像に基づいて生成されたSR画像と、新規入力したLRn画像のブロックマッチングにより、SR画像の各ブロックが新規入力したLRn画像において移動した先を示すベクトルを生成する。
【0019】
動き補償処理部22は、動きベクトル検出部21から供給された動きベクトルに基づいて高解像度画像SR画像に動き補償を施して動き補償(MC:Motion Compensation)画像を生成し、生成した動き補償画像(MC画)をダウンサンプリング処理部23に出力する。動き補償処理は、動きベクトルに応じて、SR画像の画素位置を動かして、新規入力したLRn画像に対応する位置を持つ補正したSR画像を生成する処理である。すなわちSR画像の画素位置を動かして、SR画像に写るオブジェクトの位置をLRnに写るオブジェクトの位置に併せた動き補償画像(MC画)を生成する。
【0020】
ダウンサンプリング処理部23は、動き補償処理部22から供給された画像をダウンサンプリングすることによってLRnと同じ解像度の画像を生成し、生成した画像を加算処理部24に出力する。SR画像とLRnから動きベクトルを求め、求めた動きベクトルによって動き補償して得られた画像をLR画像と同じ解像度の画像にすることは、撮像して得られる画像を、SR画像バッファ14に記憶されているSR画像に基づいてシミュレートすることに相当する。
【0021】
加算処理部24は、LRnと、そのようにしてシミュレートされた画像の差分を表す差分画像を生成し、生成した差分画像をアップサンプリング処理部25に出力する。
【0022】
アップサンプリング処理部25は、加算処理部24から供給された差分画像をアップサンプリングすることによってSR画像と同じ解像度の画像を生成し、生成した画像を逆方向動き補償処理部26に出力する。逆方向動き補償処理部26は、動きベクトル検出部21から供給された動きベクトルに基づいて、アップサンプリングフィルタ25から供給された画像に逆方向の動き補償を施し、逆方向の動き補償を施して得られた画像を表すフィードバック値を、図2に示す合算処理部12に出力する。逆方向の動き補償を施して得られた画像に写るオブジェクトの位置は、SR画像バッファ14に記憶されているSR画像に写るオブジェクトの位置に近い位置になる。
【0023】
このような超解像処理を実行する画像処理装置の全体構成例を図4に示す。CCDやCMOSなどの撮像部31において取得された画像は、画質調整部32において、コントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整の後、画像圧縮部33においてMPEG圧縮などの予め設定された圧縮アルゴリズムに従って圧縮されてDVDやテープ、フラッシュメモリなどの記録メディア34に記録される。
【0024】
記録メディア34に記録された画像を復号し、再生する際に超解像処理が実行される。記録メディア34に記録された画像は画像復号部35において、復号処理が実行され、その後、超解像処理部36において、図1〜図3を参照して説明した超解像処理が実行され、高解像度の画像が生成されて表示部37において表示される。
【0025】
なお、この超解像処理による画像出力は、動画像に限らず静止画でも可能である。動画像の場合は、複数のフレーム画像を用い、静止画の場合は、連続撮影された静止画を用いる。連続撮影された静止画において手振れなどにより、撮影画像の領域は少しずつ、ずれが発生しており上述の図1〜図3を参照して説明した超解像処理により高解像度の画像を生成することが可能となる。
【0026】
なお、図4に示す例は、例えばビデオカメラやスチルカメラにおける処理構成であるが、例えばデジタル放送などの放送画像データについても、受信器側で受信画像に対して超解像処理を実行して、高解像度の画像を生成して出力することが可能である。例えば、図5に示す例は、低解像度の画像を送信するデータ送信装置40と、データ送信装置40からのデータを受信して超解像処理を実行して高解像度画像を生成して表示するデータ受信装置50の構成を示している。
【0027】
データ送信装置40では、CCDやCMOSなどの撮像部41において取得された画像を、画質調整部42においてコントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整を実行し、画像圧縮部43においてMPEG圧縮などの予め設定された圧縮アルゴリズムに従って圧縮し、送信部44から送信する。
【0028】
送信部44から送信されたデータは、データ受信装置50の受信部51において受信され、画像復号部52が受信データを復号し、その後、超解像処理部53において、図1〜図3を参照して説明した超解像処理が実行され、高解像度の画像が生成されて表示部54において表示される。
【0029】
このように、超解像処理は、カメラ撮影画像や送受信される画像データに対して適用可能である。しかし、図4、図5を参照して説明したように、超解像処理の施される画像データは、画像調整部において、コントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整が実行された画像である。すなわち主観的画質が向上するように画質を調整され、さらにその後の画像圧縮処理によりブロックノイズ、リンギングノイズが発生している可能性が大きい。
【0030】
しかし、超解像処理は、先に図1〜図3を参照して説明したように、複数画像間で画像間の相関等を用いて高解像度の画像を再構成する処理が含まれる。画質調整や、画像圧縮等の処理が施された画像データに対してこのような超解像処理を施すと、広域が過度に強調された画像や、圧縮ノイズが強調されてしまい、画質が劣化する結果となる場合がある。
【0031】
【非特許文献1】"Improving Resolution by Image Registration",MICHAL IRANI AND SHMUEL PELEG,Department of Computer Science, The Hebrew University of Jerusalem, 91904 Jerusalem, Israel, Communicated by Rama Chellapa, Received June 16, 199; accepted May 25, 1990
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、画質調整や、画像圧縮等の処理が施された画像データに対して超解像処理を施して高解像度画像を生成する構成において、超解像処理を実行する前処理として画像補正を実行し補正画像に対して超解像処理を実行する構成とすることで、高品質な高解像度画像を生成可能とした画像処理装置、および画像処理方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明の第1の側面は、
画像処理装置であり、
入力画像の補正を実行して補正画像を生成する画像補正処理部と、
前記画像補正処理部において生成した補正画像を入力し、超解像処理により解像度を高めた高解像度画像を生成する超解像処理部を有し、
前記画像補正処理部は、
時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行する構成であることを特徴とする画像処理装置にある。
【0034】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像補正処理部は、入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定する構成であることを特徴とする。
【0035】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像補正処理部は、入力画像の構成画素の特徴解析処理として、時間方向相関情報、またはエッジ情報、または空間方向画素特徴情報の少なくともいずれかの情報の解析を実行し、該解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定する構成であることを特徴とする。
【0036】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像補正処理部は、前記空間方向画素特徴情報として、処理対象画素の周囲画素を含む画素領域における画素値最大値と、画素値最小値と、分散値、平均値、設定閾値以上の高輝度画素数、設定閾値以下の低輝度画素数の少なくともいずれかの情報を取得する構成であることを特徴とする。
【0037】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記超解像処理部は、前記画像補正処理部から入力する低解像度画像(LR画)と、予め生成済みの全レーム対応の高解像度画像(SR画)とに基づいて、入力画像に対応する高解像度画像を生成する構成であり、前記高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)から算出される動きベクトルに基づいて前記高解像度画像(SR画)の動き補償を実行し、動き補償高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)との差分画像を生成して、差分画像のアップサンプリングおよび逆動き補償処理により高解像度差分画像を生成する高解像度差分画像生成部と、前記高解像度差分画像に対する低周波成分除去画像に対して時間方向のノイズ除去処理を実行する時間方向ノイズ除去処理部と、前記時間方向ノイズ除去処理部の処理画像と、前記高解像度差分画像の低周波成分画像を加算する第1の加算処理部と、前記第1の加算処理部の出力と、前記高解像度画像(SR画)との加算処理を実行して、入力低解像度画像(LR画)に対応する高解像度画像の生成を実行する第2加算処理部とを有する構成であることを特徴とする。
【0038】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記時間方向ノイズ除去処理部は、IIR(Infinite−duration Impulse Response)フィルタを適用したフィルタリング処理を実行する構成であることを特徴とする。
【0039】
さらに、本発明の第2の側面は、
画像処理装置において高解像度画像生成処理を実行する画像処理方法であり、
画像補正処理部が、入力画像の補正を実行して補正画像を生成する画像補正ステップと、
超解像処理部が、前記補正画像を入力し、超解像処理により解像度を高めた高解像度画像を生成する超解像処理ステップを有し、
前記画像補正ステップは、
時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行するステップであることを特徴とする画像処理方法にある。
【0040】
さらに、本発明の画像処理方法の一実施態様において、前記画像補正ステップは、入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定することを特徴とする。
【0041】
さらに、本発明の画像処理方法の一実施態様において、前記画像補正ステップは、入力画像の構成画素の特徴解析処理として、時間方向相関情報、またはエッジ情報、または空間方向画素特徴情報の少なくともいずれかの情報の解析を実行し、該解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定することを特徴とする。
【0042】
さらに、本発明の画像処理方法の一実施態様において、前記画像補正ステップは、前記空間方向画素特徴情報として、処理対象画素の周囲画素を含む画素領域における画素値最大値と、画素値最小値と、分散値、平均値、設定閾値以上の高輝度画素数、設定閾値以下の低輝度画素数の少なくともいずれかの情報を取得することを特徴とする。
【0043】
さらに、本発明の画像処理方法の一実施態様において、前記超解像処理ステップは、前記画像補正処理部から入力する低解像度画像(LR画)と、予め生成済みの全レーム対応の高解像度画像(SR画)とに基づいて、入力画像に対応する高解像度画像を生成するステップであり、前記高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)から算出される動きベクトルに基づいて前記高解像度画像(SR画)の動き補償を実行し、動き補償高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)との差分画像を生成して、差分画像のアップサンプリングおよび逆動き補償処理により高解像度差分画像を生成する高解像度差分画像生成ステップと、前記高解像度差分画像に対する低周波成分除去画像に対して時間方向のノイズ除去処理を実行する時間方向ノイズ除去処理ステップと、前記時間方向ノイズ除去処理部の処理画像と、前記高解像度差分画像の低周波成分画像を加算する第1の加算処理ステップと、前記第1の加算処理ステップにおける出力と、前記高解像度画像(SR画)との加算処理を実行して、入力低解像度画像(LR画)に対応する高解像度画像の生成を実行する第2加算処理ステップとを有することを特徴とする。
【0044】
さらに、本発明の画像処理方法の一実施態様において、前記時間方向ノイズ除去処理ステップは、IIR(Infinite−duration Impulse Response)フィルタを適用したフィルタリング処理を実行するステップであることを特徴とする。
【0045】
さらに、本発明の第3の側面は、
画像処理装置において高解像度画像生成処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
画像補正処理部に、入力画像の補正を実行して補正画像を生成させる画像補正ステップと、
超解像処理部に、前記補正画像を入力し、超解像処理により解像度を高めた高解像度画像を生成させる超解像処理ステップを有し、
前記画像補正ステップは、
時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行させるステップであることを特徴とするコンピュータ・プログラムにある。
【0046】
なお、本発明のコンピュータ・プログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な汎用コンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なコンピュータ・プログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、コンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0047】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0048】
本発明の一実施例の構成によれば、入力画像の解像度を高めた高解像度画像を生成する画像処理装置において、解像度を向上させる処理を実行する超解像処理部に入力する画像に対して、事前に画像補正処理部(PreFilter)において補正を行う構成とした。具体的には、入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行し、これらの処理を施した画像を超解像処理部に入力して超解像処理を実行する。本構成により、高品質な高解像度画像の生成が実現される。
【0049】
すなわち、コントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整や圧縮された画像を伸張して超解像処理を実行した場合、広域が過度に強調された画像や、圧縮ノイズが強調されてしまい、画質が劣化する場合があるが、本発明の構成では、画像補正処理部(PreFilter)において、このような画質劣化の原因となる画像の特徴を検出して予め画像補正を実行して超解像処理部に出力して超解像処理を実行する構成としたので、高品質な高解像度画像の生成が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、図面を参照しながら本発明の画像処理装置、および画像処理方法、並びにコンピュータ・プログラムの詳細について説明する。
【0051】
本発明の画像処理装置は、例えばコントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整や、画像圧縮等の処理が施された画像データに対して超解像処理を施して高解像度画像を生成する構成を有する。なお、処理画像は、動画像、静止画いずれでもよい。本発明の画像処理装置は、超解像処理を実行する前処理として画像補正を実行し補正画像に対して超解像処理を実行する構成とすることで、高品質な高解像度画像を生成する。
【0052】
図6、図7を参照して本発明の画像処理装置の構成例について説明する。図6は、例えばビデオカメラやスチルカメラによって構成される画像処理装置100である。CCDやCMOSなどの撮像部101において取得された画像は、画質調整部102において、コントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整の後、画像圧縮部103においてMPEG圧縮などの予め設定された圧縮アルゴリズムに従って圧縮されてDVDやテープ、フラッシュメモリなどの記録メディア104に記録される。
【0053】
記録メディア104に記録された画像を復号し、再生する際に超解像処理が実行される。記録メディア104に記録された画像は画像復号部105において、復号処理が実行され、その後、画像補正処理部(PreFilter)106において、画像補正処理が実行され、補正画像が超解像処理部107に入力され、超解像処理部107において超解像処理が実行され、高解像度の画像を生成して表示部108に表示される。
【0054】
この図6に示す構成は、先に図4を参照して説明した構成と異なり、画像補正処理部(PreFilter)106を有する。すなわち、本発明の画像処理装置は、画像補正処理部(PreFilter)106において画像補正処理が実行し、補正画像を超解像処理部107に入力して超解像処理を実行する。この画像補正処理部(PreFilter)106の処理については後述する。
【0055】
図6に示す例は、例えばビデオカメラやスチルカメラにおける処理構成であるが、例えばデジタル放送などの放送画像データについても、受信器側で受信画像に対して超解像処理を実行して、高解像度の画像を生成して出力することが可能である。例えば、図7に示す例は、低解像度の画像を送信するデータ送信装置110と、データ送信装置110からのデータを受信して超解像処理を実行して高解像度画像を生成して表示する画像処理装置120の構成を示している。
【0056】
データ送信装置110では、CCDやCMOSなどの撮像部111において取得された画像を、画質調整部112においてコントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整を実行し、画像圧縮部113においてMPEG圧縮などの予め設定された圧縮アルゴリズムに従って圧縮し、送信部114から送信する。
【0057】
送信部114から送信されたデータは、画像処理装置120の受信部121において受信され、画像復号部122が受信データを復号し、その後、画像補正処理部(PreFilter)123において、画像補正処理が実行され、補正画像が超解像処理部124に入力され、超解像処理部124において、超解像処理が実行され、高解像度の画像が生成されて表示部125に表示される。
【0058】
この図7に示す構成においても画像処理装置120は、画像補正処理部(PreFilter)123を有する。すなわち、画像補正処理部(PreFilter)123において画像補正処理を実行し、補正画像を超解像処理部124に入力して超解像処理を実行する。
【0059】
本発明の画像処理装置における画像補正処理部(PreFilter)の詳細構成および処理について、図8以下を参照して説明する。図8は、本発明の画像処理装置における画像補正処理部(PreFilter)の詳細構成を示すブロック図である。
【0060】
図8に示すように、画像補正処理部(PreFilter)250は、画像復号部240から復号された画像を入力し、補正画像を超解像処理部260に出力する。画像補正処理部250は、時間方向相関算出部251、エッジ検出部252、空間方向画素特徴算出部253、フィルタ選択部254、フィルタ処理実行部255、画像バッファ256を有する。
【0061】
なお、画像補正処理部250は、画像復号部240から復号された画像を順次入力して、入力画像に対応する補正画像を順次生成して超解像処理部260に出力する。例えば動画像の時間的に連続するフレームであり、静止画の場合は連続撮影された静止画フレームである。画像復号部240から入力される新たなフレーム画像を入力画像(Cur画)とし、そのフレーム画像の入力前に入力され、フィルタ処理実行部255においてフィルタ処理が実行され画像バッファ256に格納される処理済み画像を前処理画像(Pre画)と呼ぶことにする。
【0062】
まず、画像補正処理部250の処理の概要に説明し、その後、各処理部における処理の詳細について個別に説明する。画像復号部240から入力された入力画像(Cur画)は、時間方向相関検出部251、エッジ検出部252、空間方向画素特徴算出部253、フィルタ処理実行部255に入力される。画像バッファ256は、前フレームでの処理画を蓄積し、その画像を時間方向相関検出部251、フィルタ処理実行部255に入力する。
【0063】
時間方向相関検出部251では、入力画像(Cur画)と、前処理画像(Pre画)を比較し、時間方向の相関値を画素単位で出力する。例えば、ある画素を中心とした区分された画素領域であるブロック単位の共分散を計算し、この共分散値をその画素の時間方向相関として算出し、フィルタ選択部254に出力する。
【0064】
エッジ検出部252は、入力画像(Cur画)に対し、例えばsobel filter等で、入力画像(Cur画)のエッジ強度を画素単位で算出してフィルタ選択部254に出力する。
【0065】
空間方向画像特徴検出部253は、入力画像(Cur画)のある画素を中心とした区分された画素領域であるブロック単位の構成画素の特徴を示すブロック特徴量を算出してフィルタ選択部254に出力する。例えば、ブロック内の画素分散値、最大、最小値,閾値以上の画素個数、閾値以下の画素個数等を空間方向画像特徴として出力する。
【0066】
フィルタ選択部254は、時間方向相関検出部251と、エッジ検出部252と、空間方向画素特徴算出部253の出力に基づいて、画素単位で適用するフィルタの選択を実施する。例えば、時間方向相関検出部251と、エッジ検出部252と、空間方向画素特徴算出部253の出力情報と、予め設定した閾値との比較処理などによって、フィルタ処理実行部255において適用すべきフィルタを決定し、フィルタ処理実行部255に対してフィルタ指定情報としてのフィルタIDを出力する。なお、時間方向相関検出部251と、エッジ検出部252と、空間方向画素特徴算出部253の出力情報と、適用フィルタを対応付けたフィルタ選択テーブルを参照して、テーブルに基づいてフィルタ選択を行い、フィルタ処理実行部255に対して、適用すべきフィルタ指定情報としてのフィルタIDを出力する構成としてもよい。
【0067】
フィルタ処理実行部255は、フィルタ選択部254の出力した適用すべきフィルタ指定情報としてのフィルタIDに基づいて、適用するフィルタを決定し、さらに、前処理画像(Pre画)を画像バッファ256から入力して、入力画像(Cur画)に対する画像補正処理としてのフィルタ処理を実行して補正画像を生成して出力する。出力画像は超解像処理部260に入力され、超解像処理部260では補正画像を利用した超解像処理を実行する。なお、フィルタ処理実行部255の生成した補正画像は、画像バッファ256に入力され、次の入力画像(Cur画)に対する前処理画像(Pre画)として画像バッファ256に格納される。
【0068】
以下、各構成部の処理の詳細について説明する。
[時間方向相関検出部]
図9を参照して時間方向相関算出部251の処理について説明する。時間方向相関算出部251は、入力画像(Cur画)と、前処理画像(Pre画)を比較し、時間方向の相関値を画素単位で出力する。例えば、ある画素を中心とした区分された画素領域であるブロック単位の共分散を計算し、この共分散値をその画素の時間方向相関として算出し、フィルタ選択部254に出力する。具体的な処理について、図9を参照して説明する。具体的には以下の処理ステップ1〜4を実行する。
【0069】
(ステップ1)
入力画像(Cur画)301のある注目画素に対し、注目画素及びその周辺画素数画素を取り出す。図9に示す取得画素302である。取得画素302の画素数をN個とする。
(ステップ2)
前処理画像(Pre画)311から、ステップ1において入力画像(Cur画)から取り出した画素位置と同位置の画素及び周辺画素を取り出す。図9に示す取得画素312である。取得画素312の画素数をN個とする。
(ステップ3)
ステップ1,2において取り出した画素群302,312の画素値に基づく共分散値を算出する。この共分散値算出は以下の式(式2)に従って実行する。
【数2】

・・・(式2)
上記式において、
ciは入力画像(Cur画)の注目画素+周辺画素の画素値、
ciバー(−)は入力画像(Cur画)の注目画素+周辺画素の画素値の平均値、
piは前処理画像(Pre画)の注目画素+周辺画素の画素値、
piは前処理画像(Pre画)の注目画素+周辺画素の画素値の平均値、
Nは計算に用いた画素数、
を示す
【0070】
(ステップ4)
算出した共分散値を共分散画像321の注目画素位置に設定する。
【0071】
時間方向相関算出部251は、上記のステップ1〜4の処理を入力画像(Cur画)の全画素に対して実行し、各画素対応の共分散値を全て算出して共分散画像321を生成してフィルタ選択部254に出力する。
【0072】
[エッジ検出部]
エッジ検出部252は、入力画像(Cur画)に対し、例えばsobel filter等で、入力画像(Cur画)のエッジ強度を画素単位で算出してフィルタ選択部254に出力する。画像のエッジ(Edge)強度の検出方法には過去に様々な手法が提案されており、本実施例では、Sobel Filterと呼ばれる検出手法を採用した。(なおSobel Filter以外の手法も適用可能である)
【0073】
図10に示すように、入力画像331に対して垂直方向エッジ強度検出部312において、垂直方向のエッジ強度を検出し、水平方向エッジ強度検出部313において、水平方向のエッジ強度を検出する。
【0074】
例えば、垂直方向エッジ強度検出部312は、図11(a)に示す2次元フィルタを画素毎に適用し、垂直方向エッジ強度を検出し、水平方向エッジ強度検出部313は、図11(b)に示す2次元フィルタを画素毎に適用し、水平方向エッジ強度を検出する。
【0075】
その後、図10に示すエッジ強度合算部334において、垂直方向エッジと、水平方向エッジに基づいてエッジ強度を計算する。エッジ強度[G]は、図11(c)に示すように、以下に示す式(式3)により算出する。
【数3】

・・・(式3)
【0076】
上記式において、
G:エッジ強度、
:水平方向エッジ強度、
:垂直方向エッジ強度、
である。
上記処理によって、入力画像(Cur画)の画素毎のエッジ強度が算出され、画素毎のエッジ強度情報を持つ出力335が、フィルタ選択部254に出力される。
【0077】
[空間方向画像特徴検出部]
空間方向画像特徴検出部253は、入力画像(Cur画)のある画素を中心とした区分された画素領域であるブロック単位の構成画素の特徴を示すブロック特徴量を算出してフィルタ選択部254に出力する。例えば、ブロック内の画素分散値、最大、最小値,閾値以上の画素個数、閾値以下の画素個数等を空間方向画像特徴として出力する。図12を参照して空間方向画像特徴検出部253の処理について説明する。
【0078】
空間方向画像特徴検出部253は、以下に説明する空間方向の特徴量(a)〜(f)を検出する。なお特徴検出処理は画素毎に実施され、各出力値の個数は入力画素数と等しい。
(a)入力画像341から選択した注目画素342を含む画素領域343から最大画素値を検出する。
(b)入力画像341から選択した注目画素342を含む画素領域343から最小画素値を検出する。
(c)入力画像341から選択した注目画素342を含む画素領域343から分散値を検出する。
(d)入力画像341から選択した注目画素342を含む画素領域343から平均値を検出する。
(e)入力画像341から選択した注目画素342を含む画素領域344から予め定められた閾値以上の画素値を持つ画素数を高輝度画素数として検出する。
(f)入力画像341から選択した注目画素342を含む画素領域344から予め定められた閾値以下の画素値を持つ画素数を低輝度画素数として検出する。
【0079】
なお、図12に示す例において、最大、最小、平均、分散の検出に用いる画素領域は、注目画素342を含む5×5の画素領域343であり、高輝度画素数、低輝度画素数の検出に用いる画素領域は、注目画素342を含む3×3の画素領域344としている。この画素領域の設定は、この例に限らず様々な設定が可能である。
【0080】
このようにして、算出した
(a)最大画素値
(b)最小画素値
(c)分散値
(d)平均値
(e)高輝度画素数
(f)低輝度画素数
これらの各値を出力345としてフィルタ選択部254に出力する。なお、空間方向画像特徴検出部は、必ずしもこれらのデータ(a)〜(f)の全てではなく、一部のデータを空間方向画像特徴として検出しフィルタ選択部254に出力する構成としてもよい。
【0081】
[フィルタ選択部]
フィルタ選択部254は、時間方向相関検出部251と、エッジ検出部252と、空間方向画素特徴算出部253の出力に基づいて、画素単位で適用するフィルタの選択を実施する。例えば、時間方向相関検出部251と、エッジ検出部252と、空間方向画素特徴算出部253の出力情報と、予め設定した閾値との比較処理などによって、フィルタ処理実行部255において適用すべきフィルタを決定し、フィルタ処理実行部255に対してフィルタ指定情報としてのフィルタIDを出力する。
【0082】
フィルタ選択部254の処理シーケンスについて、図13に示すフローチャートを参照して説明する。図13に示すフローチャートは、図8に示す画像処理部(PreFilter)250に入力する入力画像(Cur画)の各画素について繰り返し実行し、各画素単位でフィルタ処理実行部255において適用すべきフィルタを決定する。
【0083】
まず、ステップS101において、エッジ検出部252から入力する入力画像(Cur画)の処理対象画素のエッジ強度と、予め設定した閾値Aを比較する。
エッジ強度>閾値A
が成立する場合は、ステップS104に進み、成立しない場合は、ステップS102に進む。
【0084】
ステップS102では、時間方向相関検出部251から入力する入力画像(Cur画)の処理対象画素の時間方向相関値と、予め設定した閾値Bを比較する。
時間方向相関値>閾値B
が成立する場合は、ステップS111に進み、成立しない場合は、ステップS103に進む。
【0085】
ステップS103では、空間方向画素特徴算出部253から入力する入力画像(Cur画)の処理対象画素に対応して算出された分散値と、予め設定した閾値Cを比較する。
分散値>閾値C
が成立する場合は、ステップS113に進み、成立しない場合は、ステップS112に進む。
【0086】
また、ステップS104では、空間方向画素特徴算出部253から入力する入力画像(Cur画)の処理対象画素に対応して算出された高輝度画素数と低輝度画素数と、予め設定した閾値Dおよび閾値Eを比較し、
高輝度画素数>閾値D、かつ、
低輝度画素数>閾値E
これらが成立する場合は、ステップS115に進み、成立しない場合は、ステップS114に進む。
【0087】
なお、フロー中のステップS104では、空間方向画素特徴算出部253から入力する入力画像(Cur画)の処理対象画素に対応して算出された高輝度画素数と低輝度画素数と、予め設定した閾値Dおよび閾値Eの比較構成としているが、高輝度画素数や低輝度画素数のカウントの代わりに、
画素最大値>閾値F、かつ、
画素最小値<閾値G、
これらの比較を実行して判定を行う構成としてもよい。すなわち、これらが成立する場合は、ステップS115に進み、成立しない場合は、ステップS114に進む。
【0088】
以上の判定処理によって、入力画像(Cur画)の処理対象画素に対してフィルタ処理実行部255において適用すべきフィルタが決定する。すなわち、
(a)ステップS111に至った場合は、時間方向グレインノイズ除去フィルタ、
(b)ステップS112に至った場合は、フィルタ適用なし、
(c)ステップS113に至った場合は、空間方向グレインノイズ除去フィルタ、
(d)ステップS114に至った場合は、圧縮ノイズ除去フィルタ、
(e)ステップS115に至った場合は、アパコン補正用フィルタ、
これら(a)〜(e)のいずれかの適用フィルタが決定される。
【0089】
なお、これらの判定処理をテーブルとしてまとめると、図14のように示すことができる。フィルタ選択部254は、時間方向相関検出部251と、エッジ検出部252と、空間方向画素特徴算出部253の出力情報と、適用フィルタを対応付けた図14に示すようなフィルタ選択テーブルを参照して、テーブルに基づいてフィルタ選択を行い、フィルタ処理実行部255に対して、適用すべきフィルタ指定情報としてのフィルタIDを出力する構成としてもよい。
【0090】
フィルタ選択部254では、このように、入力画像の各画素単位でテキヨウフィルタを決定する。具体的には、まず、エッジ強度が一定値以上か、以下かを判断し、エッジ強度が一定値以上の場合、さらに、高輝度画素数、低輝度画素数が一定数以上存在するかどうかを判別し、高、低輝度画素数が一定数以上存在する場合、アパコンによる強調処理が大きいものと判断し、その補正処理に適したアパコン補正用フィルタ(S115)を適用した処理を行うことを決定する。
【0091】
一方、高、低輝度画素数が一定数以下の場合、MPEGやJPEG等の圧縮による圧縮ひずみが顕著であると判断され、その補正処理として圧縮ノイズ除去フィルタ(S114)を適用した処理を行うことを決定する。
【0092】
また、エッジ強度が閾値以下の場合には、画像のエッジ成分よりも画像撮影時に発生したグレインノイズ等が顕著であると考えその補正処理が施される。図13に示すフローに示されるように、この処理では、さらに時間方向の相関値が高いかどうかを判断し、時間方向相関値(共分散)が閾値以上の場合、時間方向のフィルタ(S111)を適用した処理を行うことを決定する。
【0093】
時間方向相関が低い場合には、注目画素の周辺画素との分散値をより、フィルタ適用有無を判断する。すなわち分散が高い場合には、空間方向のフィルタ適用による悪影響が懸念されるため、フィルタ適用を実施しない(S112)と判断する。分散値が一定値以下の場合、空間方向のフィルタ(S113)を適用した処理を行うことを決定する。
【0094】
このようにして、決定されたフィルタ情報は、フィルタ処理実行部255に出力され、フィルタ処理実行部255では、指定されたフィルタを適用した画像補正が実行される。
【0095】
[フィルタ処理実行部]
フィルタ処理実行部255は、フィルタ選択部254の出力した適用すべきフィルタ指定情報としてのフィルタIDに基づいて、適用するフィルタを決定し、さらに、前処理画像(Pre画)を画像バッファ256から入力して、入力画像(Cur画)に対する画像補正処理としてのフィルタ処理を実行して補正画像を生成して出力する。出力画像は超解像処理部260に入力され、超解像処理部260では補正画像を利用した超解像処理を実行する。なお、フィルタ処理実行部255の生成した補正画像は、画像バッファ256に入力され、次の入力画像(Cur画)に対する前処理画像(Pre画)として画像バッファ256に格納される。
【0096】
以下、フィルタ処理実行部255の実行する各種のフィルタ処理について説明する。
【0097】
(アパコン補正用フィルタ)
エッジ強度が一定値以上であり、さらに、高輝度画素数、低輝度画素数が一定数以上存在する場合、アパコンによる強調処理が大きいものと判断し、フィルタ処理実行部255では、その補正処理に適したアパコン補正用フィルタを適用した処理を行う。
【0098】
アパコン補正用フィルタを適用した処理について図15を参照して説明する。図15(A)に示すように、処理対象画素401と、処理対象画素の周囲画素を参照画素402とする画素領域を入力画像(Cur画)から選択する。この例では、参照画素402は5×5の画素領域を設定している。
【0099】
図15に示すステップS211〜S213の処理が、アパコン補正用フィルタを適用した処理である。
まず、ステップS211において、近傍一定範囲の参照画素領域に存在する画素から、低輝度画素、高輝度画素等を条件に合わない画像を除去する。例えば、(低輝度閾値<画素値<高輝度画素閾値)といった条件で判別し、画素を除去する。
【0100】
次に、ステップS212において、処理対象画素の近傍画素の参照画素領域に残った画素から画素値の中央値を算出する。なお、中央値の代わりに、最大値、最小値、平均値でも代用可能である。
次に、ステップS213において、算出した中央値を、処理対象画素の画素値として置き換える。
【0101】
このようにアパコン補正用フィルタを適用した処理は、例えば、Median Filter(中央値)等で画素値を選択、画素値の置き換えを実行する処理として実行される。
【0102】
(圧縮ノイズ除去フィルタ)
高、低輝度画素数が一定数以下の場合、MPEGやJPEG等の圧縮による圧縮ひずみが顕著であると判断され、その補正処理としてフィルタ処理実行部255では、圧縮ノイズ除去フィルタを適用した処理を行う。
【0103】
圧縮ノイズ除去フィルタを適用した処理について図16を参照して説明する。圧縮ノイズ除去フィルタでは、MPEG−4,H264等の圧縮アルゴリズムにおいて採用されているデブロッキングフィルタに代表されるDCTブロック境界のノイズを低減する処理を実施する。
【0104】
デブロッキング処理は、DCT処理されたブロック境界上での画素情報よりフィルタ選択を実施し、平滑化処理を施す手法が一般的である。また、DCT処理によるブロックノイズは、DCT境界面にのみ発生するため、処理はDCTブロック境界を中心に適用される。
【0105】
例えば、図16(A)に示すような2つの画素:a0,b0間のブロックノイズを低減する処理を低減する場合を考える。この場合、ブロックノイズを低減するため、図16(A)に矢印411で示すような水平方向の画素特徴量を検出し、平滑化処理を実施する。例えば、MPEG−4の場合、平滑化フィルタによる平滑化処理は、図16(B)に示すようにa0,b0を中心とした10画素(a4〜a0,b0〜b4)の画素値を用いて行われる。
【0106】
平滑化フィルタによる平滑化アルゴリズムの例を以下に示す。
eq_cnt=f(a4-a3)+f(a3-a2)+f(a2-a1)+f(a1-a0)+f(a0-b0)+f(b0-b1)+f(b1-b2)+f(b2-b3)+f(b3-b4),
wheref(g)=1 if|g|£THR1and0 otherwise.
If(eq_cnt3THR2)
DC offset mode is applied,
else
Default mode is applied.
【0107】
このアルゴリズムでは、DC offset modeは、図16(B)に示す画素[a0…a4,b0…b4]、これらの画素が平坦な画像で構成されているときに選択されるように設計されている。そのため、DC offset modeが選択された場合、強い平滑化フィルタが該当画素に対し適用される。
逆に、default modeの場合、画素が複雑な形状で構成されていると判断され、弱い平滑化処理が施され、平滑化処理による悪影響が発生しないようにしている。
【0108】
このように、圧縮ノイズ除去フィルタは、MPEG−4,H264等の圧縮アルゴリズムにおいて採用されているデブロッキングフィルタに代表されるDCTブロック境界のノイズを低減する処理を実施する。
【0109】
(時間方向グレイン除去フィルタ)
エッジ強度が閾値以下の場合には、画像のエッジ成分よりも画像撮影時に発生したグレインノイズ等が顕著であると考えその補正処理が施される。図13に示すフローに示されるように、時間方向相関値(共分散)が閾値以上の場合、フィルタ処理実行部255では時間方向のフィルタを適用した処理を行う。
【0110】
時間方向グレイン除去フィルタを適用した処理について図17を参照して説明する。時間方向グレイン除去フィルタを適用した処理は、時間方向にローパス(low pass)フィルタを適用してグイレンノイズ等の除去を行う処理である。
【0111】
例えば、図17に示す構成を適用して、時間方向にIIR(Infinite−duration Impulse Response)フィルタを適用し、グレインノイズ等の除去を実施する。現在の処理フレームが先頭フレームであった場合、何も処理が行われず、結果が出力される。また出力結果がバッファ423に蓄積される。
【0112】
入力画像は画素値補正部421において各画素値をβ倍し、その結果を後段の加算器422に入力する。バッファ423に保存された前フレームの処理結果は、その各画素を画素値補正部424でα倍し、加算器422へ入力される。加算器422では、これらの結果を加算した画像を出力する。加算された結果は出力画像とし、外部へ出力されると共に、バッファに蓄積され次フレームの処理に適用される。
【0113】
なお、画素値補正部421、画素値補正部424において適用する係数は、例えば、
α=1−γ
β=γ
(0<=γ<=1)
これらの値が適用される。
【0114】
このように、時間方向グレイン除去フィルタを適用した処理は、時間方向にローパス(low pass)フィルタを適用してグイレンノイズ等の除去を行う処理として実行される。
【0115】
(空間方向グレイン除去フィルタ)
図13に示すフローによって示されるように、エッジ強度が閾値以下であり、かつ、時間方向相関が低い場合には、注目画素の周辺画素との分散値をより、フィルタ適用有無を判断し、すなわち分散が高い場合には、空間方向のフィルタ適用による悪影響が懸念されるため、フィルタ適用を実施せず、分散値が一定値以下の場合、フィルタ処理実行部255では空間方向のフィルタを適用した処理を行う。
【0116】
空間方向グレイン除去フィルタを適用した処理では、画像の空間方向の特徴量を参照し、ノイズ除去フィルタを適用する。
【0117】
なお、空間方向の画素特徴量を利用したノイズ除去方法に関しては、既に多彩な手法が提案され、これらの手法を適用することが可能である。例えば、
空間方向にローパスフイルタを適用する処理、
空間方向にメディアンフィルタを適用する処理、
平坦性を検出しフィルタ強度を変更する処理、
エッジ領域を検出しフィルタ強度を変更する処理、
画像をウェーブレット(wavelet)変換等を用い、周波数成分毎に分解しノイズ除去を実施する処理、
これらの処理が存在し、フィルタ処理実行部255では、これらの処理のいずれかを適用した処理を行えばよい。
【0118】
フィルタ処理実行部255では、フィルタ選択部254において、図13に示すフローに従って決定したフィルタを適用して上述した処理を行い、その処理結果を、図8に示すように超解像処理部260に出力する。超解像処理部260では、画像補正処理部250のフィルタ処理実行部255でフィルタ処理が施された補正画像を適用して、超解像処理を実行する。
【0119】
[超解像処理部]
本発明の画像処理装置における超解像処理部の詳細構成および処理について図18を参照して説明する。
【0120】
図18に示すように、超解像処理部は高解像度差分画像生成部550、時間方向ノイズ除去処理部560を有し、超解像処理部には、画像補正処理部250のフィルタ処理実行部255でフィルタ処理が施された補正画像である入力画像(LR画像)と、直前に行われた超解像処理によって生成されたSR画像が、図示しないSR画像バッファから入力される。なお、LR画像は、低解像度画像であり、SR画像は、高解像度画像である。また、処理の開始直後であり、SR画像がまだ1フレームも生成されていない場合には、初期的な入力画像(LR画像)であるLR0を、SR画像と同じ解像度の画像にアップサンプリングして得られた画像がSR画像バッファに記憶され、供給される。
【0121】
SR画像は動きベクトル検出部(ME)501と動き補償処理部502と、マスキング処理部511と、加算回路514に入力され、画像補正処理部250のフィルタ処理実行部255でフィルタ処理が施された補正画像である入力画像(LR画像)は動きベクトル検出部(ME)501と、加算回路504と、マスキング処理部511に入力される。
【0122】
まず、図18に示す高解像度差分画像生成部550の処理について説明する。動きベクトル検出部501は、入力されたSR画像とLR画像に基づいて、SR画像を基準とした動きベクトルを検出し、検出した動きベクトル(MV)を動き補償処理部502と逆方向動き補償処理部506に出力する。
【0123】
動き補償処理部502は、動きベクトル検出部501から供給された動きベクトル(MV)に基づいてSR画像に動き補償を施し、動き補償を施して得られた画像をダウンサンプリング処理部503に出力する。動き補償を施して得られたSR画像に写るオブジェクトの位置は、入力画像(LR画像)に写るオブジェクトの位置に近い位置に補正される。
【0124】
ダウンサンプリング処理部503は、動き補償処理部502から供給された動き補償されたSR画像をダウンサンプリングすることによってLR画像と同じ低解像度の画像に変換し、変換した画像を加算回路504に出力する。なお、SR画像と入力画像(LR画像)から動きベクトルを求め、求めた動きベクトルによって動き補償して得られた画像をLR画像と同じ解像度の画像にすることは、撮像して得られる画像をSR画像に基づいてシミュレートすることに相当する。
【0125】
加算回路504は、入力画像(LR画像)と、SR画像をダウンサンプリングした画像の差分を表す差分画像を生成し、生成した差分画像をアップサンプリング処理部505に出力する。
【0126】
アップサンプリング処理部505は、加算回路504から供給された差分画像をアップサンプリングすることによってSR画像と同じ解像度の画像を生成し、生成した画像を逆方向動き補償処理部506に出力する。
【0127】
逆方向動き補償処理部506は、動きベクトル検出部501から供給された動きベクトル(MV)に基づいて、アップサンプリング処理部505から供給されたアップサンプリングされSR画像と同じ高解像度の差分画像に逆方向の動き補償を施し、フィードバックゲイン制御部507に出力する。
【0128】
フィードバックゲイン制御部507には、逆方向動き補償処理部506から、入力画像(LR画像)とSR画像の差分画像をアップサンプリングした画像に逆方向の動き補償を施すことによって得られた画像がフィードバック値として供給されてくる。フィードバックゲイン制御部507は、逆方向動き補償処理部506から供給された逆方向の動き補償を施した差分画像のゲインを調整し、ゲイン調整画像をハイパスフィルタ(HPF)508とローパスフィルタ(LPF)509に出力する。
【0129】
例えば、フィードバックゲイン制御部507は、逆方向動き補償処理部506から供給されたフィードバック値によって表されるSR画像の画像信号の全体の周波数成分を任意倍のものにすることによってゲインを調整したり、周波数成分毎に異なる値を乗算することによってゲインを調整したりする。
【0130】
また、フィードバックゲイン制御部507は、ゲインを上げてSR画像に加えたときに画質に悪影響を与えそうな周波数成分の信号については、逆にゲインを下げたりする。画質に悪影響を与えるものであるか否かは、例えば、逆方向動き補償処理部506から供給されたフィードバック値に含まれるノイズの量や、動きベクトル検出時に求められるSAD(Sum of Absolute Difference)等の動きベクトルの信頼度に基づいて判断される。なお、ゲインを調整する処理が画像全体に均一に施されるようにしてもよいし、領域毎に施されるようにしてもよい。
【0131】
時間方向ノイズ除去処理部560のハイパスフィルタ(HPF)508は、フィードバックゲイン制御部507からの出力から低周波成分を除去するHPF処理を行い、加算回路512、フレームバッファ510、マスキング処理部511を適用して、IIRフィルタリンク(Infinite−duration Impulse Response filtering)を実行する。なお。本構成例では、加算回路512、フレームバッファ510、マスキング処理部511を適用したIIRフィルタリンク(IIR filtering)構成としているが、処理としては、画像を時間方向にぼかす、時間方向のローパスフィルタリング処理を実行するものであり、時間方向ノイズ除去フィルタであればよくIIRフィルタに限らず、FIR(Finite−duration Impulse Response)フィルタの適用構成としてもよい。
【0132】
マスキング処理部511は、SR画像と、入力画像(LR画像)を入力して、その差分データから動物体検出を実行し、動物体領域の時間方向ノイズ除去(IIRフィルタ適用)を停止するためのマスキングを実行する。
【0133】
ハイパスフィルタ(HPF)508からの出力と、マスキング処理部からの出力は、加算回路512において、例えば0.25:0.75の比率で加算され、次の加算回路513に出力される。なお、ハイパスフィルタ(HPF)508からの出力と、マスキング処理部からの出力は、加算比率は一例であり、この他の比率を適用はてもよい。
【0134】
加算回路513は、低周波成分除去差分画像に対して、時間方向ノイズ除去(IIRフィルタ適用)が実行された画像と、フィードバックゲイン制御部507からローパスフィルタ(LPF)509を通過した低周波成分からなる差分画像とが加算され、加算された差分画像が、さらに加算回路514に出力される。
【0135】
加算回路514は、加算回路513から入力する差分画像と、1つ前の処理において生成されているSR画像とを加算し、新たな高解像度画像(SR画像)を生成して出力する。なお、このSR画像は、次の超解像処理に利用するためSR画像バッファにも格納される。
【0136】
以上の処理が本発明の画像処理装置における超解像処理部の処理である。なお、本発明の構成では、超解像処理部に入力する入力画像(LR画像)は、図8〜図17を参照して説明したように画像補正処理部(PreFilter)において補正された画像である。この補正された画像を適用して超解像処理を実行することで高品質な高解像度画像の生成が可能となる。
【0137】
すなわち、コントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整や圧縮された画像を伸張して超解像処理を実行した場合、広域が過度に強調された画像や、圧縮ノイズが強調されてしまい、画質が劣化する場合があるが、本発明の構成では、画像補正処理部(PreFilter)において、このような画質劣化の原因となる画像の特徴を検出して予め画像補正を実行して超解像処理部に出力して超解像処理を実行する構成としたので、高品質な高解像度画像の生成が実現される。
【0138】
最後に、図19を参照して、上述した処理を実行する装置の1つのハードウェア構成例としてパーソナルコンピュータのハードウェア構成例について説明する。CPU(Central Processing Unit)701は、ROM(Read Only Memory)702、または記憶部708に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。例えば、上述の実施例において説明した画像補正処理部(PreFilter)の画像補正処理や、超解像処理部における超解像処理などの処理プログラムを実行する。RAM(Random Access Memory)703には、CPU701が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU301、ROM702、およびRAM703は、バス704により相互に接続されている。
【0139】
CPU701はバス704を介して入出力インタフェース705に接続され、入出力インタフェース705には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部706、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部707が接続されている。CPU701は、入力部706から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部707に出力する。
【0140】
入出力インタフェース705に接続されている記憶部708は、例えばハードディスクからなり、CPU701が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部709は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0141】
入出力インタフェース705に接続されているドライブ710は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア711を駆動し、記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部708に転送され記憶される。
【0142】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0143】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0144】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、入力画像の解像度を高めた高解像度画像を生成する画像処理装置において、解像度を向上させる処理を実行する超解像処理部に入力する画像に対して、事前に画像補正処理部(PreFilter)において補正を行う構成とした。具体的には、入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行し、これらの処理を施した画像を超解像処理部に入力して超解像処理を実行する。本構成により、高品質な高解像度画像の生成が実現される。
【0146】
すなわち、コントラスト調整やアパコン(エッジ強調)などの画質調整や圧縮された画像を伸張して超解像処理を実行した場合、広域が過度に強調された画像や、圧縮ノイズが強調されてしまい、画質が劣化する場合があるが、本発明の構成では、画像補正処理部(PreFilter)において、このような画質劣化の原因となる画像の特徴を検出して予め画像補正を実行して超解像処理部に出力して超解像処理を実行する構成としたので、高品質な高解像度画像の生成が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】低解像度の画像から高解像度画像を生成する超解像処理について説明する図である。
【図2】低解像度の画像から高解像度画像を生成する超解像処理を実行する構成例について説明する図である。
【図3】低解像度の画像から高解像度画像を生成する超解像処理を実行する構成例について説明する図である。
【図4】超解像処理を実行する画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図5】超解像処理を実行する画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図6】本発明の一実施例に係る超解像処理を実行する画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図7】本発明の一実施例に係る超解像処理を実行する画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図8】本発明の一実施例に係る超解像処理を実行する画像処理装置における画像補正処理部(PreFilter)の構成例について説明する図である。
【図9】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)における時間方向相関算出部の処理について説明する図である。
【図10】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるエッジ検出部の処理について説明する図である。
【図11】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるエッジ検出部の処理について説明する図である。
【図12】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)における空間方向画素特徴検出部の処理について説明する図である。
【図13】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるフィルタ選択部の処理シーケンスを説明するフローチャートを示す図である。
【図14】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるフィルタ選択部の処理について説明する図である。
【図15】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるフィルタ処理実行部の処理(アパコン補正用フィルタを適用した処理)について説明する図である。
【図16】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるフィルタ処理実行部の処理(圧縮ノイズ除去フィルタを適用した処理)について説明する図である。
【図17】本発明の一実施例に係る画像処理装置の画像補正処理部(PreFilter)におけるフィルタ処理実行部の処理(圧縮ノイズ除去フィルタを適用した処理)について説明する図である。
【図18】本発明の一実施例に係る画像処理装置の超解像処理部の詳細構成例について説明する図である。
【図19】本発明の一実施例に係る画像処理装置のハードウェア構成例について説明する図である。
【符号の説明】
【0148】
1 画像処理装置
11 超解像処理部
12 合算処理部
13 加算処理部
14 SR画像バッファ
21 動きベクトル検出部
22 動き補償処理部
23 ダウンサンプリング処理部
24 加算処理部
25 アップサンプリング処理部
26 逆方向動き補償処理部
30 画像処理装置
31 撮像部
32 画質調整部
33 画像圧縮部
34 記録メディア
35 画像復号部
36 超解像処理部
37 表示部
40 データ送信装置
41 撮像部
42 画質調整部
43 画像圧縮部
44 送信部
50 データ受信装置
51 受信部
52 画像復号部
53 超解像処理部
54 表示部
100 画像処理装置
101 撮像部
102 画質調整部
103 画像圧縮部
104 記録メディア
105 画像復号部
106 画像補正処理部
107 超解像処理部
108 表示部
110 データ送信装置
111 撮像部
112 画質調整部
113 画像圧縮部
114 送信部
120 画像処理装置
121 受信部
122 画像復号部
123 画像補正処理部
124 超解像処理部
125 表示部
240 画像復号部
250 画像補正処理部
251 時間方向相関算出部
252 エッジ検出部
253 空間方向画素特徴検出部
254 フィルタ選択部
255 フィルタ処理実行部
256 画像バッファ
260 超解像処理部
332 垂直方向エッジ強度検出部
333 水平方向エッジ強度検出部
334 エッジ強度合算部
501 動きベクトル検出部
502 動き補償処理部
503 ダウンサンプリング処理部
504 加算回路
505 アップサンプリング処理部
506 逆動き補償処理部
507 フィードバックゲイン制御部
508 ハイパスフィルタ(HPF)
509 ローパスフィルタ(LPF)
510 フレームバッファ
511 マスキング処理部
512,513,514 加算回路
550 高解像度差分画像生成部
560 時間方向ノイズ除去処理部
701 CPU
702 ROM
703 RAM
704 バス
705 入出力インタフェース
706 入力部
707 出力部
708 記憶部
709 通信部
710 ドライブ
711 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であり、
入力画像の補正を実行して補正画像を生成する画像補正処理部と、
前記画像補正処理部において生成した補正画像を入力し、超解像処理により解像度を高めた高解像度画像を生成する超解像処理部を有し、
前記画像補正処理部は、
時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行する構成であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像補正処理部は、
入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定する構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像補正処理部は、
入力画像の構成画素の特徴解析処理として、
時間方向相関情報、またはエッジ情報、または空間方向画素特徴情報の少なくともいずれかの情報の解析を実行し、該解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定する構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像補正処理部は、
前記空間方向画素特徴情報として、処理対象画素の周囲画素を含む画素領域における画素値最大値と、画素値最小値と、分散値、平均値、設定閾値以上の高輝度画素数、設定閾値以下の低輝度画素数の少なくともいずれかの情報を取得する構成であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記超解像処理部は、
前記画像補正処理部から入力する低解像度画像(LR画)と、予め生成済みの全レーム対応の高解像度画像(SR画)とに基づいて、入力画像に対応する高解像度画像を生成する構成であり、
前記高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)から算出される動きベクトルに基づいて前記高解像度画像(SR画)の動き補償を実行し、動き補償高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)との差分画像を生成して、差分画像のアップサンプリングおよび逆動き補償処理により高解像度差分画像を生成する高解像度差分画像生成部と、
前記高解像度差分画像に対する低周波成分除去画像に対して時間方向のノイズ除去処理を実行する時間方向ノイズ除去処理部と、
前記時間方向ノイズ除去処理部の処理画像と、前記高解像度差分画像の低周波成分画像を加算する第1の加算処理部と、
前記第1の加算処理部の出力と、前記高解像度画像(SR画)との加算処理を実行して、入力低解像度画像(LR画)に対応する高解像度画像の生成を実行する第2加算処理部と、
を有する構成であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記時間方向ノイズ除去処理部は、
IIR(Infinite−duration Impulse Response)フィルタを適用したフィルタリング処理を実行する構成であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置において高解像度画像生成処理を実行する画像処理方法であり、
画像補正処理部が、入力画像の補正を実行して補正画像を生成する画像補正ステップと、
超解像処理部が、前記補正画像を入力し、超解像処理により解像度を高めた高解像度画像を生成する超解像処理ステップを有し、
前記画像補正ステップは、
時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行するステップであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
前記画像補正ステップは、
入力画像の構成画素の特徴を解析し、解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記画像補正ステップは、
入力画像の構成画素の特徴解析処理として、
時間方向相関情報、またはエッジ情報、または空間方向画素特徴情報の少なくともいずれかの情報の解析を実行し、該解析情報に応じて適用する画像補正処理態様を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画像補正ステップは、
前記空間方向画素特徴情報として、処理対象画素の周囲画素を含む画素領域における画素値最大値と、画素値最小値と、分散値、平均値、設定閾値以上の高輝度画素数、設定閾値以下の低輝度画素数の少なくともいずれかの情報を取得することを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記超解像処理ステップは、
前記画像補正処理部から入力する低解像度画像(LR画)と、予め生成済みの全レーム対応の高解像度画像(SR画)とに基づいて、入力画像に対応する高解像度画像を生成するステップであり、
前記高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)から算出される動きベクトルに基づいて前記高解像度画像(SR画)の動き補償を実行し、動き補償高解像度画像(SR画)と低解像度画像(LR画)との差分画像を生成して、差分画像のアップサンプリングおよび逆動き補償処理により高解像度差分画像を生成する高解像度差分画像生成ステップと、
前記高解像度差分画像に対する低周波成分除去画像に対して時間方向のノイズ除去処理を実行する時間方向ノイズ除去処理ステップと、
前記時間方向ノイズ除去処理部の処理画像と、前記高解像度差分画像の低周波成分画像を加算する第1の加算処理ステップと、
前記第1の加算処理ステップにおける出力と、前記高解像度画像(SR画)との加算処理を実行して、入力低解像度画像(LR画)に対応する高解像度画像の生成を実行する第2加算処理ステップと、
を有することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記時間方向ノイズ除去処理ステップは、
IIR(Infinite−duration Impulse Response)フィルタを適用したフィルタリング処理を実行するステップであることを特徴とする請求項11に記載の画像処理方法。
【請求項13】
画像処理装置において高解像度画像生成処理を実行させるコンピュータ・プログラムであり、
画像補正処理部に、入力画像の補正を実行して補正画像を生成させる画像補正ステップと、
超解像処理部に、前記補正画像を入力し、超解像処理により解像度を高めた高解像度画像を生成させる超解像処理ステップを有し、
前記画像補正ステップは、
時間方向ノイズ除去、または空間方向ノイズ除去、または、圧縮ノイズ除去、または、アパコン補正の少なくともいずれかの処理を実行させるステップであることを特徴とするコンピュータ・プログラム。

【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−65535(P2009−65535A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232930(P2007−232930)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】