説明

画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラム

【課題】フィルタリング処理を簡略化した超解像処理を実現する装置および方法を提供する。
【解決手段】低解像度の入力画像を、高解像度画像の持つ画素数に合わせたアップサンプル画像を生成し、高解像度の参照画像をアップサンプル画像の被写体位置に合わせた動き補償画像を生成し、アップサンプル画像と動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定してアップサンプル画像と参照画像をブレンドしたブレンド画像を生成する。さらに、ブレンド画像と入力画像の差分を生成し、ブレンド画像と差分情報との合成処理により高解像度画像を生成する。差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下として、装置の小型化、処理の効率化を実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。特に、画像の解像度を高める超解像処理を実行する画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
低解像度の画像から高解像度の画像を生成する手法として超解像処理(SR:Super Resolution)が知られている。超解像処理(SR)は低解像度の画像から高解像度の画像を生成する処理である。
【0003】
超解像処理の一手法として、例えば、低解像度の画像の撮影画像に基づいて、「レンズ、大気散乱によるボケ」、「被写体、カメラ全体の動き」、「撮像素子によるサンプリング」等の撮影条件を示すパラメータを導き出して、これらのパラメータを用いて理想的な高解像度の画像を推定する再構成型超解像手法がある。
この超解像処理の手法について開示した従来技術としては、例えば、特許文献1(特開2008−140012号公報)がある。
【0004】
この再構成型超解像手法の手順の概要は以下の通りである。
(1)ボケ、動き、サンプリング等を考慮した画像撮影モデルを数式で表現する。
(2)上記の数式モデルで表現した画像撮影モデルから、コスト算出式を求める。この際、ベイズ理論を用いて事前確立等の正則化項を追加する場合もある。
(3)コストを最小とする画像を求める。
これらの処理によって、高解像度画像を求める手法である。この再構成型超解像手法によって得られる高解像度画像は入力画像に依存するものの、超解像効果(解像度復元効果)は高い。
【0005】
超解像処理を実行する回路構成例を図1に示す。図1は超解像処理装置10の回路構成例を示している。
超解像処理装置10には、解像度を高める処理の対象となる低解像度画像g31がアップサンプル部11に入力され、画素数の変換(画像拡大処理)が実行される。具体的には、アップサンプル部11では、入力画像の画素数を出力予定の画像(SR処理画像f32)の画素数に合わせる画像拡大処理、例えば1画素を複数画素に分割設定する処理を行う。
【0006】
動き推定/動き補償画像生成部12は、前フレームの処理において生成された高解像度画像fn−1、アップサンプリングした低解像度画像g間の動きの大きさを検出する。具体的には動きベクトルを計算する。さらに、検出した動きベクトルを利用して、高解像度画像fn−1に対する動き補償処理(MC)を行う。これにより高解像度画像fn−1に動き補償処理が施され、アップサンプリングした低解像度画像gと被写体の位置が同じに設定された動き補償画像が生成される。ただし、画像内部に動被写体等がある場合などには、動き補償画像にアップサンプリングした低解像度画像gと被写体位置のずれてしまう画像領域、すなわち動き補償失敗領域が発生することがある。
【0007】
動き判定部13では、動き補償(MC)処理により生成された動き補償高解像度画像、及びアップサンプルした低解像度画像を比較して、動き補償(MC)がうまく適用できていない領域、すなわち、上記の動き補償失敗領域を検出する。例えば上述したように被写体自身が動いている画像部分などに動き補償失敗領域が発生する。
【0008】
高解像度画像fn−1の動き補償画像と、アップサンプリングした低解像度画像gと被写体の位置が同じに設定された領域を動き補償成功領域とし、同じ位置に設定されなかった領域を動き領域失敗領域として区別した動き領域情報(αマップ[0:1])を生成して出力する。動き領域情報(αマップ[0:1])は、成功領域〜失敗領域の信頼度に応じて1〜0の範囲の値を設定したマップである。簡易的に例えば動き補償成功領域を1、動き補償失敗領域を0として設定したマップとして設定することも可能である。
【0009】
ブレンド処理部14は、動き推定/動き補償画像生成部12の生成した高解像度画像fn−1に対する動き補償結果画像、
アップサンプリング部11で低解像度画像(g)31に対してアップサンプリングされたアップサンプル画像、
動き領域情報(αマップ[0:1])、
これらを入力する。
【0010】
ブレンド処理部14は、これらの入力情報を利用して、以下の式に基づいてブレンド結果としてのブレンド画像を出力する。
ブレンド画像=(1−α)(アップサンプル画像)+α(動き補償結果画像)
このブレンド処理により、動き補償成功領域については動き補償結果画像のブレント比率が高まり、動き補償失敗領域については動き補償結果画像のブレント比率が低められたブレンド画像が生成される。
【0011】
ボケ付加部15は、ブレンド処理部14の生成したブレンド画像を入力して空間解像度の劣化をシミュレーションする処理を行う。例えば、あらかじめ測定しておいた点広がり関数(Point Spread Function)をフィルタとして画像へ畳み込みを行う。
【0012】
ダウンサンプル部16では、高解像度画像を入力画像と同じ解像度までダウンサンプリング処理を実行する。その後、差分器17では、ダウンサンプル部16、低解像度画像gnの画素毎の差分値を計算する。差分値は、アップサンプル部18でアップサンプル処理が実行される。さらに、逆ボケ付加部19で、ボケの付加処理と逆の処理を行う。動作としては、ボケ付加部15で用いた点広がり関数(PSF:Point Spread Function)との相関の計算に相当する処理を行う。
【0013】
逆ボケ付加部19の出力は、乗算器20において予め設定した帰還係数γと乗算後、加算器21に出力され、プレンド処理部14の出力するブレンド画像と加算され、出力される。
この加算器21の出力が入力画像gn31を高解像度化した画像(SR処理画像32)となる。
【0014】
この図1に示す超解像処理装置10の実行する処理を式で示すと以下のように表現することが可能である。
【0015】
【数1】

・・・(式1)
【0016】
なお、上記式(式1)において、各パラメータは以下のパラメータである。
n:フレーム番号(n−1フレームとnフレームは例えば動画の連続フレーム)
gn:入力画像(nフレームの低解像度画像)
SR:フレームnの超解像処理結果画像(=高解像度画像)
n−1SR:フレームn−1の超解像処理結果画像(=高解像度画像)
Wn:フレームnのフレームn−1に対する動き情報(動きベクトルまたは行列など)
H:ボケ付加処理(ボケフィルタ行列)
D:ダウンサンプル処理(ダウンサンプル処理行列)
(Wn−1SR)':ブレンド処理部の出力するブレンド画像
γSR:帰還係数
:Hの転置行列
:Dの転置行列
【0017】
図1に示す超解像処理回路10を実現するハードウェアを構成する場合の問題点として回路規模の増大や処理効率の低下といつた問題がある。例えば、図1に示すアップサンプル部,ダウンサンプル部、ボケ付加部、逆ボケ付加部の処理にはフィルタ処理が適用されることになり、これら多くのフィルタリング処理を行うためには画素値の記憶のためのRAMが必要となる。フィルタリングのタップ数が大きくなると、必要となるメモリ容量も大きくなり、メモリアクセスを高速に行うためには、高性能のCPU等が必要となり、ハードウェアの大型化、コストの増大が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2008−140012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、回路規模の縮小や処理の効率化を実現した超解像処理を実現する画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の側面は、
第1の解像度の入力画像を、前記第1の解像度より高い第2の解像度の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行するアップサンプル部と、
前記アップサンプル画像と、前記第2の解像度を持つ参照画像との差分情報を利用して、前記参照画像を前記アップサンプル画像の被写体位置に合わせる補正処理により動き補償画像を生成する動き補償画像生成部と、
前記アップサンプル画像と前記動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して、前記アップサンプル画像と前記参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成するブレンド処理部と、
前記ブレンド画像と前記入力画像の差分情報を生成し、前記ブレンド画像と前記差分情報との合成により第2の解像度を持つ高解像度画像を生成する出力画像生成部を有し、
前記出力画像生成部は、前記差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下とした構成を有する画像処理装置にある。
【0021】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記出力画像生成部は、前記ブレンド画像に対するボケ付加処理を実行するボケ付加部と、前記ボケ付加部の出力画像を前記第1の解像度の構成画素数まで低下させる画素間引き処理を実行するサブサンプル部と、前記入力画像と、前記サブサンプル部の出力画像との対応画素値の差分情報を出力する差分器と、差分器の出力する差分画像を前記第2の解像度の画素数に合わせるための0画素値のパディング処理を実行する0パディング処理部と、前記0パディング処理部の処理結果に対して、前記ボケ付加処理と逆の処理である逆ボケ付加処理を実行する逆ボケ付加部と、前記逆ボケ付加部の出力画像に対して予め設定した帰還係数を乗算する乗算器と、前記ブレンド画像と、前記乗算器の出力との対応画素値の加算処理を実行する加算器を有する。
【0022】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記出力画像生成部は、前記ブレンド画像を前記第1の解像度の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理を実行するダウンサンプル部と、前記入力画像と、前記ダウンサンプル部の出力画像との対応画素値の差分情報を出力する差分器と、差分器の出力する差分画像を前記第2の解像度の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行するアップサンプル部と、前記アップサンプル部の出力画像に対して予め設定した帰還係数を乗算する乗算器と、前記ブレンド画像と、前記乗算器の出力との対応画素値の加算処理を実行する加算器を有する。
【0023】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記出力画像生成部は、前記ブレンド画像を前記第1の解像度の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理と、前記第2の解像度の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行する統合フィルタと、前記統合フィルタの出力に対して、予め設定した帰還係数を乗算する第1乗算器と、前記ブレンド画像と、前記乗算器の出力との対応画素値の差分を算出する差分器と、前記入力画像に対するアップサンプル処理を実行するアップサンプル部の出力に対して、予め設定した帰還係数を乗算する第2乗算器と、前記差分器の出力と前記第2乗算器の出力との加算処理を実行する加算器を有する。
【0024】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記統合フィルタは、位相ごとに異なる値を畳み込むポリフェーズフィルタによって構成される。
【0025】
さらに、本発明の第2の側面は、
画像処理装置において解像度変換処理を実行する画像処理方法であり、
アップサンプル部が、第1の解像度の入力画像を、前記第1の解像度より高い第2の解像度の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行するアップサンプル処理ステップと、
動き補償画像生成部が、前記アップサンプル画像と、前記第2の解像度を持つ参照画像との差分情報を利用して、前記参照画像を前記アップサンプル画像の被写体位置に合わせる補正処理により動き補償画像を生成する動き補償画像生成ステップと、
ブレンド処理部が、前記アップサンプル画像と前記動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して、前記アップサンプル画像と前記参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成するブレンド処理ステップと、
出力画像生成部が、前記ブレンド画像と前記入力画像の差分情報を生成し、前記ブレンド画像と前記差分情報との合成により第2解像度を持つ高解像度画像を生成する出力画像生成ステップを有し、
前記出力画像生成ステップは、前記差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下とした処理により高解像度画像を生成するステップである画像処理方法にある。
【0026】
さらに、本発明の第3の側面は、
画像処理装置において解像度変換処理を実行させるプログラムであり、
アップサンプル部に、第1の解像度の入力画像を、前記第1の解像度より高い第2の解像度の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行させるアップサンプル処理ステップと、
動き補償画像生成部に、前記アップサンプル画像と、前記第2の解像度を持つ参照画像との差分情報を利用して、前記参照画像を前記アップサンプル画像の被写体位置に合わせる補正処理により動き補償画像を生成させる動き補償画像生成ステップと、
ブレンド処理部に、前記アップサンプル画像と前記動き補償画像を画像領域単位で比較させ、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して前記アップサンプル画像と前記参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成させるブレンド処理ステップと、
出力画像生成部に、前記ブレンド画像と前記入力画像の差分情報を生成させ、前記ブレンド画像と前記差分情報との合成により第2解像度を持つ高解像度画像を生成させる出力画像生成ステップを実行させ、
前記出力画像生成ステップは、前記差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下とした処理により高解像度画像を生成させるステップであるプログラムにある。
【0027】
なお、本発明のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0028】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施例の構成によれば、フィルタリング処理を簡略化した超解像処理を実現する装置および方法が提供される。例えば、以下の処理により高解像度画像を生成する。低解像度の入力画像を高解像度画像の持つ画素数に合わせたアップサンプル画像を生成し、高解像度の参照画像をアップサンプル画像の被写体位置に合わせた動き補償画像を生成する。さらに。アップサンプル画像と動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定してアップサンプル画像と参照画像をブレンドしたブレンド画像を生成する。さらに、ブレンド画像と入力画像の差分を生成し、ブレンド画像と差分情報との合成処理により高解像度画像を生成する。本発明の構成では、差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下として、装置の小型化や処理の効率化を実現した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】超解像処理を実行する従来の回路構成例について説明する図である。
【図2】超解像処理を実行する本発明の第1実施例に係る画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図3】超解像処理を実行する本発明の第2実施例に係る画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図4】超解像処理を実行する本発明の第3実施例に係る画像処理装置の構成例について説明する図である。
【図5】本発明の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の画像処理装置、および画像処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行う。
1.フィルタ処理部を統合した構成によって超解像処理を行う画像処理装置について
1−1.実施例1
1−2.実施例2
1−3.実施例3
2.画像処理装置のハードウェア構成例について
【0032】
[1.フィルタ処理部を統合した構成によって超解像処理を行う画像処理装置について]
フィルタ処理部を統合した構成によって超解像処理を行う画像処理装置について説明する。
【0033】
先に図1を参照して説明したように、超解像処理を実行する回路には、アップサンプル部,ダウンサンプル部、ボケ付加部、逆ボケ付加部などの処理部が含まれる。これらの処理にはフィルタ処理が適用される。これら多くのフィルタリング処理を行うためには画素値の記憶のためのRAMが必要となり、フィルタリングのタップ数が大きくなると必要となるメモリ容量も大きくなる。またメモリアクセスを高速に行うためには高性能のCPU等が必要となり、ハードウェアの大型化、コストの増大が懸念される。
以下において説明する画像処理装置は、超解像処理におけるフィルタリング処理の簡略化を実現するものである。
【0034】
(1−1.実施例1)
図2を参照して本発明の第1実施例に係る画像処理装置100の構成例について説明する。
図2に示す画像処理装置100は、先に図1を参照して説明した回路と同様、低解像度画像gn131を入力して、超解像処理を実行して高解像度画像fn(=SR処理画像132)を出力する。
【0035】
図1を参照して説明した構成との差異は、図2に示す出力画像生成部130の構成である。具体的には以下のような変更がなされている。
図1におけるダウンサンプル部16を、図2の構成では、単なる画素の間引き処理を実行するサブサンプル部116に変更したこと、
図1におけるアップサンプル部18を図2の構成では、画素数増加に伴う増加画素部分に画素値0を追加する0パディング処理部に変更したこと、
これらの構成変更である。
その他の構成は、図1に示す構成と同様の構成である。
【0036】
画像処理装置100には、解像度を高める処理の対象となる低解像度画像gがアップサンプル部111に入力され、画素数の変換(画像拡大処理)が実行される。具体的には、アップサンプル部111では、入力画像の画素数を出力予定の画像の画素数に合わせる画像拡大処理、例えば1画素を複数画素に分割設定する処理を行う。すなわち、第1の解像度(低解像度)の入力画像を、第1の解像度(低解像度)より高い第2の解像度(高解像度)の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行する。
【0037】
動き推定/動き補償画像生成部112は、前フレームの処理において生成され、参照画像として利用する高解像度画像fn−1、アップサンプリングした低解像度画像g間の動きの大きさを検出する。具体的には動きベクトルを計算する。さらに、検出した動きベクトルを利用して、参照画像として利用する高解像度画像fn−1に対する動き補償処理を行う。これにより高解像度画像fn−1に動き補償処理が施され、アップサンプリングした低解像度画像gと被写体の位置が同じに設定された動き補償画像が生成される。
【0038】
動き判定部113では、動き補正(MC)処理により生成された動き補償高解像度画像、及びアップサンプルした低解像度画像を比較して、動き補正(MC)がうまく適用できていない領域を検出する。例えば被写体自身が動いている場合、動き補償失敗領域が発生する。
【0039】
参照画像としての高解像度画像fn−1の動き補償画像と、アップサンプリングした低解像度画像gと被写体の位置が同じに設定された領域を動き補償成功領域とし、同じ位置に設定されなかった領域を動き領域失敗領域として区別した動き領域情報(αマップ[0:1])を生成して出力する。
【0040】
ブレンド処理部114は、動き推定/動き補償画像生成部12の生成した高解像度画像fn−1に対する動き補償結果画像、
アップサンプリング部11で低解像度画像gに対してアップサンプリングされたアップサンプル画像、
動き領域情報(αマップ[0:1])、
これらを入力する。
【0041】
ブレンド処理部114は、これらの入力情報を利用して、以下の式に基づいてブレンド結果としてのブレンド画像を出力する。
ブレンド画像=(1−α)(アップサンプル画像)+α(動き補償結果画像)
ブレンド処理部114は、アップサンプル画像と動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して、アップサンプル画像と参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成する。
【0042】
出力画像生成部130は、ブレンド画像と入力画像の差分情報を生成し、ブレンド画像と差分情報との合成により第2の解像度を持つ高解像度画像を生成する。
出力画像生成部130内の処理について説明する。
【0043】
ボケ付加部115は、ブレンド処理部14の生成したブレンド画像を入力してブレンド画像に対するボケ付加処理を実行する。具体的には、空間解像度の劣化のシミュレーションにより、ブレンド画像に対するボケ付加処理を行う。例えば、あらかじめ測定しておいた点広がり関数(Point Spread Function)をフィルタとして画像へ畳み込みを行う。
【0044】
サブサンプル部116では、高解像度画像を入力画像と同じ解像度までダウンサンプリングする処理を実行する。本実施例の構成のサブサンプル部116では、画素の単なる間引き処理を実行する。具体的には、ボケ付加部115の出力するブレンド画像を、入力画像と同じ第1の解像度(低解像度)の構成画素数まで低下させる画素間引き処理を実行する。
【0045】
その後、差分器117では、サブサンプル部116、低解像度画像gnの画素毎の差分値を計算する。差分器117は、入力画像と、サブサンプル部の出力画像との対応画素値の差分情報を出力する。
0パディング処理部118は、差分器117の出力する差分画像を第2の解像度(高解像度)の画像の画素数に合わせるための0画素値のパディング処理を実行する。すなわち、生成予定の高解像度画像に相当する画素数に変換する処理として、増加する画素位置に画素値0を設定する0パディング処理を行なう。
【0046】
さらに、逆ボケ付加部119で、ボケの付加処理と逆の処理を行う。動作としては、ボケ付加部115で用いた点広がり関数(PSF:Point Spread Function)との相関の計算に相当する処理を行う。
【0047】
逆ボケ付加部119の出力は、乗算器120において予め設定した帰還係数γと乗算後、加算器121に出力され、プレンド処理部114の出力するブレンド画像と加算され、出力される。
この加算器121の出力が入力画像gnを高解像度化した画像(SR処理画像)となる。
【0048】
この図2に示す構成において実行する処理を式で示すと以下のように表現することが可能である。
【0049】
【数2】

・・・(式2)
【0050】
なお、上記式(式2)において、各パラメータは以下のパラメータである。
n:フレーム番号(n−1フレームとnフレームは例えば動画の連続フレーム)
gn:入力画像(nフレームの低解像度画像)
SR:フレームnの超解像処理結果画像(=高解像度画像)
n−1SR:フレームn−1の超解像処理結果画像(=高解像度画像)
Wn:フレームnのフレームn−1に対する動き情報(動きベクトルまたは行列など)
H:ボケ付加処理(ボケフィルタ行列)
D:ダウンサンプル処理(ダウンサンプル処理行列)
(Wn−1SR)':ブレンド処理部の出力するブレンド画像
γSR:帰還係数
:Hの転置行列
:Dの転置行列
【0051】
上記式は、図1を参照して説明した式と同様の式である。
サブサンプル部116の実行する間引き処理が[D=ダウンサンプル処理]に対応し、0パディング処理部118の実行する処理が[DT=アップサンプル処理]に対応することになる。
【0052】
この図2に示す画像処理装置100では、
図1におけるダウンサンプル部16を、単なる画素の間引き処理を実行するサブサンプル部116に変更し、図1におけるアップサンプル部18を、画素数増加に伴う増加画素部分に画素値0を追加する0パディング処理部に変更している。
この処理により、これらの処理部では、フィルタリング処理が不要となり、画素値の記憶のためのメモリやメモリアクセス処理が不要となり、装置の小型化、処理の効率化が実現される。
【0053】
すなわち、出力画像生成部130内で実行するブレンド画像と入力画像(低解像度画像gn131)との差分情報の生成処理では、ボケ付加部115、逆ボケ付加部119においてのみフィルタリング処理が実行され、出力画像生成部130内で実行するフィルタリング処理は2回のみとなる。このように、本実施例の構成では、フィルタリング処理が削減され、画素値の記憶のためのメモリやメモリアクセス処理が不要となり、装置の小型化、処理の効率化が実現される。
【0054】
(1−2.実施例2)
次に、図3を参照して、本発明の第2実施例に係る画像処理装置150の構成例について説明する。
図3に示す画像処理装置150は、図1、図2を参照して説明した回路と同様、低解像度画像gn131を入力して、超解像処理を実行して高解像度画像fn(=SR処理画像132)を出力する。
図3に示す画像処理装置150は、図2に示す構成をさらに簡略化した構成を有する。
【0055】
図2に示す画像処理装置100との差異を中心として説明する。
図3に示す画像処理装置150は、図3に示す出力画像生成部140の構成が図2に示す構成と異なっている。具体的には以下のような変更がなされている。
図2に示すボケ処理部115と、サブサンプル部116を統合して図3に示すダウンサンプル部151としている。
図2に示す0パディング処理部118と、逆ボケ処理部119を統合して図3に示すアップサンプル部152としている。
【0056】
その他の処理部は、図2に示す構成と同様である。
図3に示すダウンサンプル部151は、図2に示すボケ処理部115と、サブサンプル部116の実行する2つの処理を1回のフィルタリング処理として実行する。
ダウンサンプル部151は、ブレンド処理部114の出力間するブレンド画像を第1の解像度(低解像度)の画像の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理を実行する。
【0057】
同様に、図3に示すアップサンプル部152は、図2に示す0パディング処理部118と、逆ボケ処理部119の実行する2つの処理を1回のフィルタリング処理として実行する。アップサンプル部152は、差分器117の出力する差分画像を第2の解像度(高解像度)の画像の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行する
【0058】
図3の構成において実行する処理を式で示すと以下のように表現することが可能である。
【0059】
【数3】

・・・(式3)
【0060】
この式(式3)は、図1、図2の構成において実行する処理を示す式と同様の式である。
図3の構成において、ダウンサンプル部151は、上述したように、図2に示すボケ処理部115と、サブサンプル部116の実行する2つの処理を1回のフィルタリング処理として実行し、ダウンサンプル部151の出力は、図3中に示すように以下のように示される。
DH(Wn−1SR)'
【0061】
また、差分器117の出力は、図3中に示すように以下のように示される。
−DH(Wn−1SR)'
さらに、アップサンプル部152の出力は、図3中に示すように以下のように示される。
(g−DH(Wn−1SR)')
【0062】
なお、各パラメータは、実施例1において説明したと同様のパラメータである。
【0063】
このように、図3に示す画像処理装置150では、ダウンサンプル部151において、図2に示すボケ処理部115と、サブサンプル部116の実行する2つの処理を1回のフィルタリング処理として実行し、アップサンプル部152において、図2に示す0パディング処理部118と、逆ボケ処理部119の実行する2つの処理を1回のフィルタリング処理として実行する。
【0064】
図2に示す構成に比較して、構成が簡略化し、またフィルタリング処理数も減少する。結果としてハードウェア構成の小型化、コストダウン、さらに処理の効率化むが実現される。
【0065】
(1−3.実施例3)
次に、図4を参照して、本発明の第3実施例に係る画像処理装置180の構成例について説明する。
図4に示す画像処理装置180は、図1〜図3を参照して説明した回路と同様、低解像度画像gn131を入力して、超解像処理を実行して高解像度画像fn(=SR処理画像132)を出力する。
図4に示す画像処理装置180は、図3に示す構成をさらに簡略化した構成を有する。
【0066】
図3に示す画像処理装置150との差異を中心として説明する。
図4に示す画像処理装置180は、図4に示す出力画像生成部170の構成が図3に示す構成と異なっている。具体的には以下のような変更がなされている。
図3に示す2つのアップサンプル部、すなわちアップサンプル部111と、アップサンプル部152をまとめて、図4に示す構成では、1つのアップサンプル部181としている。
さらに、図3に示すダウンサンプル部151と差分器117を、図4の構成では、統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182に置き換えている。
【0067】
統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182は、ブレンド処理部114の生成するブレンド画像を第1の解像度(低解像度)の画像の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理と、第2の解像度(高解像度)の画像の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行する。統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182は、例えばポリフェーズフィルタであり、位相毎に異なる値を畳み込むフィルタリング処理を行う。
【0068】
なお、この出力画像生成部170の構成変更に伴い、統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182の出力に対するSR帰還係数との乗算処理を実行する乗算器183、ブレンド処理部の出力するブレンド画像から乗算器183の出力を減算させる差分器184を設けている。
差分器184の出力が、加算器121に出力されてSRフィードバック値と加算される。
【0069】
図4に示す画像処理装置180の実行する処理を式で示すと以下のように表現することが可能である。
【0070】
【数4】

・・・(式4)
【0071】
この式(式4)の第1行は、図1〜図3の構成において実行する処理を示す式と同じ式である。第2行、第3行は、式の変形を行った結果であり、第3行の式が図4に示す構成と対応している。
【0072】
すなわち、アップサンプル部181では、逆ボケ付加処理(H)とアップサンプル処理(D)に相当する処理を実行し、アップサンプル部181の出力は、図4中に示すように、以下の式で示すことができる。

【0073】
また、統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182は、ブレンド画像を入力画像に相当する第1の解像度(低解像度)の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理と、第2の解像度(高解像度)の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行する。例えば位相毎に異なる値を畳み込むフィルタリング処理を行うポリフェーズフィルタによって構成される。
【0074】
このフィルタリング処理は、
DH、
として示すことができ、統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182の出力は、
(HDH)(Wn−1SR)'
となる。
【0075】
また、図4中の差分器184の出力は、図4の(A)に示すように、上記式(式4)の前半部分に対応し、
(1−γSRDH)(Wn−1SR)'
上記のように示すことができる。
また、乗算器120の出力は、図4の(B)に示すように、上記式(式4)の後半部分に対応し、
γSR
上記のように示すことができる。
【0076】
結果として、加算器121の出力は、上記式(式4)によって示される値、すなわち、
SR=(1−γSRDH)(Wn−1SR)'+γSR
となる。
この式は、前記した式4の展開から理解されるように、図1〜図3の構成における処理と等化であり、図4に示す構成を用いることで、超解像処理結果fSRが出力されることになる。
【0077】
この図4に示す画像処理装置180では、フィルタリング処理は、アップサンプル部181と、統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)182であり、図1に示す構成と比較して、フィルタ処理の必要となる構成が現象し、結果としてハードウェア構成の小型化、コストダウン、さらに処理の効率化が実現されることになる。
【0078】
[2.画像処理装置のハードウェア構成例について]
最後に、図5を参照して、上述した処理を実行する画像処理装置の1つのハードウェア構成例について説明する。CPU(Central Processing Unit)901は、ROM(Read Only Memory)902、または記憶部908に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。例えば、上述の各実施例において説明した超解像処理等の画像処理を実行する。RAM(Random Access Memory)903には、CPU901が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU901、ROM902、およびRAM903は、バス904により相互に接続されている。
【0079】
CPU901はバス904を介して入出力インタフェース905に接続され、入出力インタフェース905には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部906、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部907が接続されている。CPU901は、入力部906から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部907に出力する。
【0080】
入出力インタフェース905に接続されている記憶部908は、例えばハードディスクからなり、CPU901が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部909は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0081】
入出力インタフェース905に接続されているドライブ910は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア911を駆動し、記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部908に転送され記憶される。
【0082】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0083】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0084】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、フィルタリング処理を簡略化した超解像処理を実現する装置および方法が提供される。例えば、以下の処理により高解像度画像を生成する。低解像度の入力画像を高解像度画像の持つ画素数に合わせたアップサンプル画像を生成し、高解像度の参照画像をアップサンプル画像の被写体位置に合わせた動き補償画像を生成する。さらに。アップサンプル画像と動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定してアップサンプル画像と参照画像をブレンドしたブレンド画像を生成する。さらに、ブレンド画像と入力画像の差分を生成し、ブレンド画像と差分情報との合成処理により高解像度画像を生成する。本発明の構成では、差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下として、装置の小型化や処理の効率化を実現した。
【符号の説明】
【0086】
10 超解像処理装置
11 アップサンプル部
12 動き推定/動き補償画像生成部
13 動き判定部
14 ブレンド処理部
15 ボケ付加部
16 ダウンサンプル部
17 加算器
18 アップサンプル部
19 逆ボケ付加部
20 乗算器
21 差分器
31 低解像度画像
32 SR処理画像
110 画像処理装置
111 アップサンプル部
112 動き推定/動き補償画像生成部
113 動き判定部
114 ブレンド処理部
115 ボケ付加部
116 サブサンプル部
117 加算器
118 0パディング処理部
119 逆ボケ付加部
120 乗算器
121 差分器
131 低解像度画像
132 SR処理画像
150 画像処理装置
151 ダウンサンプル部
152 アップサンプル部
180 画像処理装置
181 アップサンプル部
182 統合フィルタ(ポリフェーズフィルタ)
182 乗算器
183 差分器
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 バス
905 入出力インタフェース
906 入力部
907 出力部
908 記憶部
909 通信部
910 ドライブ
911 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の解像度の入力画像を、前記第1の解像度より高い第2の解像度の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行するアップサンプル部と、
前記アップサンプル画像と、前記第2の解像度を持つ参照画像との差分情報を利用して、前記参照画像を前記アップサンプル画像の被写体位置に合わせる補正処理により動き補償画像を生成する動き補償画像生成部と、
前記アップサンプル画像と前記動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して、前記アップサンプル画像と前記参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成するブレンド処理部と、
前記ブレンド画像と前記入力画像の差分情報を生成し、前記ブレンド画像と前記差分情報との合成により第2の解像度を持つ高解像度画像を生成する出力画像生成部を有し、
前記出力画像生成部は、前記差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下とした構成を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記出力画像生成部は、
前記ブレンド画像に対するボケ付加処理を実行するボケ付加部と、
前記ボケ付加部の出力画像を前記第1の解像度の構成画素数まで低下させる画素間引き処理を実行するサブサンプル部と、
前記入力画像と、前記サブサンプル部の出力画像との対応画素値の差分情報を出力する差分器と、
差分器の出力する差分画像を前記第2の解像度の画素数に合わせるための0画素値のパディング処理を実行する0パディング処理部と、
前記0パディング処理部の処理結果に対して、前記ボケ付加処理と逆の処理である逆ボケ付加処理を実行する逆ボケ付加部と、
前記逆ボケ付加部の出力画像に対して予め設定した帰還係数を乗算する乗算器と、
前記ブレンド画像と、前記乗算器の出力との対応画素値の加算処理を実行する加算器を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記出力画像生成部は、
前記ブレンド画像を前記第1の解像度の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理を実行するダウンサンプル部と、
前記入力画像と、前記ダウンサンプル部の出力画像との対応画素値の差分情報を出力する差分器と、
差分器の出力する差分画像を前記第2の解像度の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行するアップサンプル部と、
前記アップサンプル部の出力画像に対して予め設定した帰還係数を乗算する乗算器と、
前記ブレンド画像と、前記乗算器の出力との対応画素値の加算処理を実行する加算器を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力画像生成部は、
前記ブレンド画像を前記第1の解像度の構成画素数まで低下させるダウンサンプル処理と、前記第2の解像度の画素数に合わせるアップサンプル処理を実行する統合フィルタと、
前記統合フィルタの出力に対して、予め設定した帰還係数を乗算する第1乗算器と、
前記ブレンド画像と、前記乗算器の出力との対応画素値の差分を算出する差分器と、
前記入力画像に対するアップサンプル処理を実行するアップサンプル部の出力に対して、予め設定した帰還係数を乗算する第2乗算器と、
前記差分器の出力と前記第2乗算器の出力との加算処理を実行する加算器を有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記統合フィルタは、位相ごとに異なる値を畳み込むポリフェーズフィルタによって構成される請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置において解像度変換処理を実行する画像処理方法であり、
アップサンプル部が、第1の解像度の入力画像を、前記第1の解像度より高い第2の解像度の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行するアップサンプル処理ステップと、
動き補償画像生成部が、前記アップサンプル画像と、前記第2の解像度を持つ参照画像との差分情報を利用して、前記参照画像を前記アップサンプル画像の被写体位置に合わせる補正処理により動き補償画像を生成する動き補償画像生成ステップと、
ブレンド処理部が、前記アップサンプル画像と前記動き補償画像を画像領域単位で比較し、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して、前記アップサンプル画像と前記参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成するブレンド処理ステップと、
出力画像生成部が、前記ブレンド画像と前記入力画像の差分情報を生成し、前記ブレンド画像と前記差分情報との合成により第2解像度を持つ高解像度画像を生成する出力画像生成ステップを有し、
前記出力画像生成ステップは、前記差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下とした処理により高解像度画像を生成するステップである画像処理方法。
【請求項7】
画像処理装置において解像度変換処理を実行させるプログラムであり、
アップサンプル部に、第1の解像度の入力画像を、前記第1の解像度より高い第2の解像度の画像の持つ画素数に合わせるアップサンプル処理を実行させるアップサンプル処理ステップと、
動き補償画像生成部に、前記アップサンプル画像と、前記第2の解像度を持つ参照画像との差分情報を利用して、前記参照画像を前記アップサンプル画像の被写体位置に合わせる補正処理により動き補償画像を生成させる動き補償画像生成ステップと、
ブレンド処理部に、前記アップサンプル画像と前記動き補償画像を画像領域単位で比較させ、領域単位の画素値一致度が高い領域ほど参照画像のブレンド比率を高く設定して前記アップサンプル画像と前記参照画像とのブレンド処理を実行してブレンド画像を生成させるブレンド処理ステップと、
出力画像生成部に、前記ブレンド画像と前記入力画像の差分情報を生成させ、前記ブレンド画像と前記差分情報との合成により第2解像度を持つ高解像度画像を生成させる出力画像生成ステップを実行させ、
前記出力画像生成ステップは、前記差分情報の生成処理に必要とするフィルタリング処理を2回以下とした処理により高解像度画像を生成させるステップであるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−237998(P2011−237998A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108408(P2010−108408)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】