説明

画像処理装置、レーダ装置、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】表示に視覚的な違和感が生じないように代表位置を決定する手法を実現した画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理部17は、画像メモリ16から入力した画像データとテンプレート画像データとのマッチングを行う。例えば、一致度が最も高いテンプレート画像データを選定する。各テンプレート画像データには、それぞれ位置データが定めれており、画像処理部17は、選定されたテンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて、入力した画像データの代表点を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された画像データの代表位置を決める画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダ装置等においては、測定した物標の画像(エコー画像)を画面表示する際に、例えば、図1(A)に示すように、エコー画像50の中から代表点501を決定し、その代表点501から物標の移動方向と移動量(速度)を示すベクトル画像502を表示することが行われている。
【0003】
代表点の決定手法は、例えば同図(A)に示すように、自船に最も近い位置を代表点とする手法や、同図(B)に示すように、重心位置を代表点とする手法も考えられる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−288846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、通常、レーダ装置の使用者は、エコー画像の中心位置付近に船舶が存在すると考えるため、同図(A)のように最も距離が近い位置を代表点とすると、視覚的に違和感が生じる。
【0006】
また、航跡(ひき波)の大きいエコー画像の場合、同図(B)のように重心位置を算出すると、後ろ寄りに代表点が定められるため、やはり視覚的に違和感が生じる。
【0007】
そこで、この発明は、表示に視覚的な違和感が生じないように代表位置を決定する手法を実現した画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、記憶手段、選定手段、および設定手段を備えている。記憶手段は、複数のテンプレート画像データと、各テンプレート画像の代表位置を示した位置データとをそれぞれ対応付けて記憶している。選定手段は、入力された画像データと前記各テンプレート画像データとをそれぞれ比較して一致度を算出し、前記一致度が所定の条件を満たすテンプレート画像データを選定する。所定の条件は、例えば「最も一致度が高いもの」である。設定手段は、選定手段で選定されたテンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて、入力された画像データの代表位置を出力する。各テンプレート画像データに対応付けられた代表位置を、例えばレーダ装置の使用者が経験的にその位置に船舶が存在すると判断する位置に設定しておくことで、視覚的な違和感が生じない位置に代表位置を設定することができる。
【0009】
さらに、本発明の画像処理装置は、入力された画像データを、当該入力された画像データの解像度よりも低解像度に変換する変換手段を備えていてもよい。この場合、記憶手段は、複数のテンプレート画像データについて、それぞれ異なる解像度を有するテンプレート画像データを記憶しておく。選定手段は、変換手段で変換された低解像度の画像データと、低解像度のテンプレート画像データの一致度を算出してテンプレート画像を選定する低解像度選定処理と、低解像度選定処理において比較した画像データよりも高解像度の画像データと、低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データと、の一致度を算出して、低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データを選定する高解像度選定処理と、を行う。このように、まず低解像度に変換した画像データと複数の低解像度用テンプレート画像データとでマッチングを行い、低解像度用テンプレート画像データを選定してから、選定された低解像度用テンプレート画像データに対応する高解像度用テンプレート画像データとだけマッチングを行うことで、マッチングを行う高解像度用テンプレート画像データの数の絞り込みを行い、処理負荷の大きい高解像度のマッチング処理時間を低減する態様とすることも可能である。
【0010】
また、選定手段は、テンプレート画像データを複数選定し、設定手段は、選定手段で選定された複数のテンプレート画像データのそれぞれに対応付けられている位置データに基づいて、入力された画像データの代表位置を設定する態様であってもよい。例えば、テンプレート画像データを選定する所定の条件を「あるしきい値以上の一致度を有するもの」あるいは「一致度の高い上位2つ」等とし、選定された複数のテンプレート画像データに対応付けされているそれぞれの位置データを単純平均する。この態様では、どのテンプレート画像データにも完全に一致しない複雑な形状を有するエコー画像が検出された場合であっても、複数のテンプレート画像データを融合したような新たなテンプレート画像データの代表位置を算出する態様となり、記憶しておくテンプレート画像データの数を増やさなくとも高精度に代表位置を定めることができる。
【0011】
また、設定手段は、選定手段で選定された複数のテンプレート画像データのそれぞれの一致度を係数として、それぞれの位置データの代表位置の重み付け平均を算出することにより画像データの代表位置を設定する態様であってもよい。例えば、単純平均するのではなく、算出した一致度に応じて一致度が高いテンプレート画像の代表位置により近くなるように、代表位置を設定する。また、例えば、テンプレート画像を選定する所定の条件を「全ての値」とした場合、全てのテンプレート画像を選定することになるが、一致度に応じた重み付け平均を算出することにより、一致度の高いテンプレート画像の代表位置により近い位置が画像データの代表位置として設定される。殆ど一致しなかった(一致度の極めて低い)テンプレート画像は、代表位置の設定には殆ど寄与しない。
【0012】
なお、位置データには、画素1点を示す情報だけ含まれていてもよいし、複数画素からなるある領域を示す情報が含まれていてもよい。位置データが1点を示す情報である場合、代表位置は、ある画素1点を示すことになり、位置データが領域を示す情報である場合、ある領域が代表位置となる。
【0013】
また、位置データが領域を示す情報であり、テンプレート画像データを複数選定した場合、各位置データで重複する領域を代表位置としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の画像処理装置によれば、表示に視覚的な違和感が生じないように代表位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のレーダ装置におけるレーダ表示画面を示した図である。
【図2】本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】切り出した画像データとテンプレート画像を示す図である。
【図4】切り出した画像データとテンプレート画像を示す図である。
【図5】本実施形態のレーダ装置におけるレーダ表示画面を示した図である。
【図6】位置データが所定領域を示す情報である場合の代表点設定態様を示す図である。
【図7】位置データが所定領域を示す情報である場合の代表位置設定態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明の画像処理装置を内蔵したレーダ装置の構成を示すブロック図である。レーダ装置は、例えば船舶に設置され、自船の周囲に電磁波を送受信し、他船等の物標を探知する装置である。
【0017】
同図において、レーダ装置は、アンテナ11、受信部12、A/D変換器13、スイープメモリ14、画像データ生成部15、画像メモリ16、画像処理部17、および表示器18を備えている。画像処理部17が本発明の画像処理装置に相当するものである。
【0018】
アンテナ11は、自船の周囲に電磁波を送受信し、受信部12は、アンテナ11の受信強度に応じた値をA/D変換器13に出力する。A/D変換器13は、入力されたアナログ値の受信強度をデジタル変換し、スイープメモリ14に出力する。
【0019】
スイープメモリ14は、測定1周期分(自船の周り360度分)の受信強度が記憶され、極座標系の座標と受信強度が対応付けて記憶されている。アンテナ11は、所定角度毎にパルス状に電磁波を送受信するため、スイープメモリ14には、アンテナ11の各送受信角度について、送信から受信までの時間差(距離)に応じた複数の受信強度の値が記憶される。
【0020】
画像データ生成部15は、スイープメモリ14に記憶されている極座標系の各受信強度を自船の位置を原点とした直交座標系に変換して、各受信強度に応じた階調の画像輝度値として出力する。この直交座標系の各座標の画像輝度値が画像データとして画像メモリ16に記憶される。
【0021】
表示器18では、画像メモリ16に記憶されている画像データがレーダ画像(エコー画像)としてユーザに表示される(図5を参照)。なお、本実施形態では、背景色が白で、画像輝度値が高い画素ほど黒く表示されるようにしているが、逆に、背景色が黒で、画像輝度値が高い画素ほど白く表示されるようにしてもよい。また、カラー画像として表示される態様であってもよい。
【0022】
画像処理部17は、画像メモリ16から画像データを入力し、エコー画像の代表点を設定する処理を行う。以下、画像処理部17の処理内容について説明する。
【0023】
図1において、画像処理部17は、目標切り出し部171、解像度変換部172、低解像度マッチング部173、高解像度マッチング部174、および代表点設定部175を備えている。
【0024】
目標切り出し部171は、画像メモリ16に記憶されている画像データのうち、受信強度がしきい値以上、すなわち画像輝度値がしきい値以上である画素を抽出する。目標切り出し部171は、さらに、抽出された画素について、隣接している画素の1つの固まりを1つの物標であるとして、所定の矩形エリア(特定の領域)の画像データを切り出す。
【0025】
切り出された画像データは、解像度変換部172に入力される。解像度変換部172は、入力された画像データを低解像度の画像データに変換する。例えば、512×512画素の画像データを32×32画素の画像データに変換する。変換した画像データは、低解像度マッチング部173に入力される。
【0026】
図3は、画像データとテンプレート画像データを示す図である。低解像度マッチング部173は、入力された低解像度の画像データと、予め記憶されている複数の低解像度用テンプレート画像データとを比較し、マッチングを行う。低解像度マッチング部173に記憶されている低解像度用テンプレート画像データは、解像度変換部172で変換される解像度と同じ解像度の画像データとして記憶されている。
【0027】
マッチング手法はどの様なものであってもよい。例えば、以下の様なテンプレートマッチングを行う。すなわち、低解像度マッチング部173は、記憶されている低解像度用テンプレート画像データを拡大、縮小し、それぞれのテンプレート画像データと入力された画像データとの相互相関係数(一致度)を求める。なお、低解像度用テンプレート画像データは、所定の角度(例えば45度)刻みで回転して、回転角度毎の一致度を算出し、最も高い一致度をそのテンプレート画像データの一致度とする。回転の有無、およびその角度分解能は、テンプレート画像データを記憶するメモリ容量と、処理能力に応じて適宜決定する。処理能力が高ければ、テンプレート画像データの数は少なく、角度分解能を高くすればよい。メモリ容量が大きければ、予め回転したテンプレート画像データを別のテンプレート画像データとして記憶しておく。
【0028】
そして、低解像度マッチング部173は、所定の条件を満たした低解像度用テンプレート画像データを選定し、高解像度マッチング部174に出力する。例えば、最も一致度の高い低解像度用テンプレート画像データを選定する。
【0029】
高解像度マッチング部174は、低解像度マッチング部173から入力された低解像度用テンプレート画像データに対応する複数の高解像度用テンプレート画像データを記憶している。つまり、低解像度マッチング部173に記憶されている複数のテンプレート画像データは、それぞれさらに複数の高解像度のテンプレート画像データ(例えば512×512画素の画像データ)として高解像度マッチング部174に記憶されており、テンプレート画像データは、いわゆるツリー構造として記憶されている。
【0030】
高解像度マッチング部174は、解像度変換部172から解像度変換前の画像データを入力して、低解像度マッチング部173から入力されたテンプレート画像データに対応する複数の高解像度用テンプレート画像とのマッチングを行う。マッチングの手法は、低解像度マッチング部173と同様である。
【0031】
そして、高解像度マッチング部174は、最も一致度の高い高解像度用テンプレート画像データを選定し、代表点設定部175に出力する。
【0032】
代表点設定部175は、入力された高解像度用テンプレート画像データに対応付けられている代表点の位置を示す位置データに基づいて、切り出した画像データの代表点を設定する。テンプレート画像データには、それぞれ代表点の位置(画像左端からの座標wと画像上端からの座標h)を示す位置データが対応付けて記憶されている。代表点は、各画像の特徴(画像表示した場合の形状)から、その位置に船舶が存在する可能性が高いと統計的に判断される位置に定められている。あるいはレーダ装置の使用者が経験的にその位置に船舶が存在すると判断する位置に(視覚的な違和感がない位置に)定められている。通常は、最も受信強度が強くなるような位置に定められている。
【0033】
なお、位置データは、ある画素1点の座標を示す情報だけでなく、図6に示すように、複数画素からなるある領域(画像左端からの座標wと画素数wx、および画像上端からの座標hと画素数hy)を示す情報であってもよい。この場合、代表点は、当該位置データが示すある領域(代表位置)となる。
【0034】
図3の例では、代表点設定部175は、高解像度マッチング部174から入力したテンプレート画像データに対応付けられている代表点の位置を、切り出した画像データの代表点とみなして設定する。設定した代表点の位置は、画像メモリ16に出力され、表示器18においてレーダ画像(エコー画像)上に表示される。これにより、図5に示すような代表点501がエコー画像50上に表示される。そして、代表点501から物標の移動方向と移動量(速度)を示すベクトル画像502が表示される。本実施形態の代表点設定手法では、図1(A)に示した様な最も距離が近い位置を代表点と設定する手法や、図1(B)のような重心位置を代表点と設定する手法に比べ、一致度の高いテンプレート画像データに対応付けられている代表点によって物標の代表点が設定されるため、視覚的な違和感が生じることがない。
【0035】
また、本実施形態の画像処理部17は、まず低解像度に変換した画像データと複数の低解像度用テンプレート画像データとでマッチングを行い、低解像度用テンプレート画像データを選定してから、選定された低解像度用テンプレート画像データに対応する高解像度用テンプレート画像データとだけマッチングを行うことで、マッチングを行う高解像度用テンプレート画像データの数の絞り込みを行い、処理負荷の大きい高解像度のマッチング処理時間を低減する態様としている。したがって、高速かつ高精度に代表点の位置を設定することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、低解像度用テンプレート画像データにも位置データが対応付けて記憶されており、例えば低解像度用テンプレート画像データとの一致度が非常に高い(一致度が1に近い)場合、高解像度用テンプレート画像データとのマッチングは行わずに、低解像度用テンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて代表点の位置を設定し、切り出した画像データの代表点として出力するようにしてもよい。
【0037】
また、低解像度、高解像度の2種類のマッチングに限らず、さらに複数段のツリー構造としてテンプレート画像データを記憶しておき、複数回のマッチングを行ってもよい。例えば、低解像度(32×32)、中解像度(128×128)、高解像度(512×512)の3段階にマッチングを行う態様であってもよい。
【0038】
また、許容される上限の処理時間(例えば自船の周り360度に電磁波を送受信する時間)と画像処理に要する時間に応じて、低解像度だけ、低解像度および高解像度、あるいは、低、中、高、全ての解像度についてマッチングを行うかを選択する態様としてもよい。例えば、複数の物標が存在して、複数の領域の画像データが切り出された場合、それぞれの画像データについて、まず低解像度のマッチングを行い、その後マッチング処理に要した時間が上限の処理時間に近い場合、低解像度用テンプレート画像データに対応付けられているそれぞれの位置データに基づいて、各画像データの代表点を設定する。あるいは、上限の処理時間に達した時点でマッチングを終了し、その時点で選定されているテンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて、各画像データの代表点を設定する。つまり、高解像度のマッチングが終了している画像データは、高解像度用テンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて代表点を設定し、低解像度のマッチングしか処理が行われていない画像データは、低解像度用テンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて代表点を設定する。
【0039】
なお、上記例では、画像データは、各画素毎に多値化された画像輝度値として入力される例を示しているが、画像データは2値化してからマッチングを行ってもよい。すなわち、目標切り出し部171は、画像輝度値がしきい値以上である画素を抽出するが、このしきい値以上の画素を全て1の値、他の値を0とする。この場合は、テンプレート画像データも画素毎に2値化されたデータとして記憶しておき、各画素の値の一致数が最も多いテンプレート画像データが最も一致度の高いテンプレート画像データに該当することになる。
【0040】
上述の例では、最も一致度の高いテンプレート画像データを1つ選定する例を示したが、以下に示すような複数のテンプレート画像データを選定する態様も可能である。図4は、複数のテンプレート画像データを選定した場合の代表点の設定手法を示した図である。この例においては、テンプレート画像データを選定するための所定の条件として「一致度が所定のしきい値以上である」テンプレート画像データを全て選定する態様とし、高解像度マッチング部174が2つのテンプレート画像データを選定した場合について説明する。例えば、同図に示すように、切り出された画像データが航跡(ひき波)の大きいブーメラン状のエコー画像と、楕円状のエコー画像を融合したような形状の画像を示す場合である。
【0041】
代表点設定部175は、高解像度マッチング部174から入力された2つのテンプレート画像データについて、それぞれに対応付けされている位置データを平均化し、平均化した位置データの示す座標を、切り出した画像データの代表点の位置として設定する。つまり、2つのテンプレート画像データのそれぞれに対応付けられている位置データの座標が(w1,h1),(w2,h2)である場合、切り出した画像データの代表点を(w=(w1+w2)/2,h=(h1+h2)/2)として設定する。
【0042】
この例では、代表点設定部175は、選定された複数のテンプレート画像データに対応付けされている位置データを単純平均する態様であるが、高解像度マッチング部174で算出した一致度に応じて重み付け平均をとる態様であってもよい。つまり、2つのテンプレート画像データのそれぞれの一致度をLv1,Lv2とすると、切り出した画像データの代表点は、(w=(w1・Lv1+w2・Lv2)/(Lv1+Lv2),h=(h1・Lv1+h2・Lv2)/(Lv1+Lv2))として設定される。この場合、一致度が高いテンプレート画像データに対応付けされている代表点に近い位置に、切り出した画像データの代表点が設定されるようになる。
【0043】
このように、複数のテンプレート画像データを選定し、それぞれに対応付けされている代表点を平均化することで、同図に示したような、どのテンプレート画像データにも完全に一致しない複雑な形状を有するエコー画像が切り出しされた場合であっても、複数のテンプレート画像データを融合したような新たなテンプレート画像データの代表点を算出する態様となり、記憶しておくテンプレート画像データの数を増やさなくとも高精度に代表点を定めることができる。
【0044】
なお、位置データが複数画素からなるある領域を示す情報である場合、図7に示すように、選定した複数のテンプレート画像データのそれぞれに対応付けられている位置データの重複位置を代表点(代表位置)とすることも可能である。例えば、一方の位置データが、画像左端からの座標w1と画素数wx1、および画像上端からの座標h1と画素数hy1を示し、他方の位置データが、画像左端からの座標w2と画素数wx2、および画像上端からの座標h2と画素数hy2を示す場合、切り出した画像データの代表位置を画面左端からの座標w2、画素数wx3(=w1+wx1−w2)、画面上端からの座標h1、画素数hy3(=h2+hx2−h1)として設定する。
【0045】
なお、図4および図7に示した例では、所定の条件として、一致度がしきい値以上であるものを選定する例を示したが、例えば「一致度の高い上位2つ」を選定する等、他の条件を設定してもよい。また、選定するテンプレート画像データの数は2つに限らず、さらに複数のテンプレート画像データを選定してもよい。
【0046】
さらに、全てのテンプレート画像データを所定の条件を満たしたもの(つまり所定の条件を「全ての値」)として、全てのテンプレート画像データを選定する態様としてもよい。すなわち、高解像度マッチング部174は、マッチングを行う全てのテンプレート画像データについて一致度を算出しているため、全てのテンプレート画像データに対応付けされている代表点の位置の重み付け平均をとる手法である。この場合も、一致度の高いテンプレート画像データの代表点に近い位置が画像データの代表点として設定され、殆ど一致しなかった(一致度の極めて低い)テンプレート画像データは、代表点の位置設定には殆ど寄与しないため、高精度に代表点の位置を設定することができる。
【符号の説明】
【0047】
11…アンテナ
12…受信部
13…A/D変換器
14…スイープメモリ
15…画像データ生成部
16…画像メモリ
17…画像処理部
171…目標切り出し部
172…解像度変換部
173…低解像度マッチング部
174…高解像度マッチング部
175…代表点設定部
18…表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテンプレート画像データと、各テンプレート画像データの代表位置を示した位置データとをそれぞれ対応付けて記憶する記憶手段と、
入力された画像データと前記各テンプレート画像データとをそれぞれ比較して一致度を算出し、前記一致度が所定の条件を満たすテンプレート画像データを選定する選定手段と、
前記選定手段で選定されたテンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて、入力された画像データの代表位置を出力する設定手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
入力された画像データを、当該入力された画像データの解像度よりも低解像度に変換する変換手段を備え、
前記記憶手段は、前記複数のテンプレート画像データについて、それぞれ異なる解像度を有するテンプレート画像データを記憶し、
前記選定手段は、前記変換手段で変換された低解像度の画像データと、低解像度のテンプレート画像データの一致度を算出してテンプレート画像データを選定する低解像度選定処理と、
前記低解像度選定処理において比較した画像データよりも高解像度の画像データと、前記低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データと、の一致度を算出して、前記低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データを選定する高解像度選定処理と、を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選定手段は、前記一致度が所定の条件を満たすテンプレート画像データを複数選定し、
前記設定手段は、前記選定手段で選定された複数のテンプレート画像データのそれぞれに対応付けられている位置データに基づいて、入力された画像データの代表位置を設定する請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記選定手段で選定された複数のテンプレート画像データのそれぞれの一致度を係数として、それぞれの位置データの代表位置の重み付け平均を算出することにより前記画像データの代表位置を設定する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像データは、画素毎に多値化されたデータであり、
前記選定手段は、前記多値化された各画素のデータを前記テンプレート画像データの各画素と比較することにより、前記一致度を算出する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像データの各画素を2値化する2値化手段を備え、
前記選定手段は、2値化された各画素の一致数に応じて一致度を算出する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像処理装置と、
前記設定手段が設定した代表位置を入力する代表位置入力手段と、
前記画像データの対応する位置に前記代表位置入力手段から入力した代表位置を表示する表示手段と、を備えた画像表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像処理装置と、
送信した電磁波のエコー信号を受信して、受信強度に応じた画像データを前記選定手段に入力する物標探知手段と、
前記設定手段が設定した代表位置を入力する代表位置入力手段と、
前記画像データの対応する位置に前記代表位置入力手段から入力した代表位置を表示する表示手段と、を備えたレーダ装置。
【請求項9】
複数のテンプレート画像データと、各テンプレート画像データの代表位置を示した位置データとをそれぞれ対応付けて記憶する記憶ステップと、
入力された画像データと前記各テンプレート画像データとをそれぞれ比較して一致度を算出し、前記一致度が所定の条件を満たすテンプレート画像データを選定する選定ステップと、
前記選定ステップで選定されたテンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて、入力された画像データの代表位置を出力する代表位置設定ステップと、
を備えた画像処理方法。
【請求項10】
前記選定ステップは、入力された画像データを、当該入力された画像データの解像度よりも低解像度に変換する変換ステップを含み、
前記記憶ステップは、前記複数のテンプレート画像データについて、それぞれ異なる解像度を有するテンプレート画像データを記憶し、
前記選定ステップは、前記変換ステップで変換された低解像度の画像データと、低解像度のテンプレート画像データの一致度を算出してテンプレート画像データを選定する低解像度選定ステップと、
前記低解像度選定ステップにおいて比較した画像データよりも高解像度の画像データと、前記低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データと、の一致度を算出して、前記低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データを選定する高解像度選定ステップと、を行う請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項11】
複数のテンプレート画像データと、各テンプレート画像データの代表位置を示した位置データとをそれぞれ対応付けて記憶する記憶ステップと、
入力された画像データと前記各テンプレート画像データとをそれぞれ比較して一致度を算出し、前記一致度が所定の条件を満たすテンプレート画像データを選定する選定ステップと、
前記選定ステップで選定されたテンプレート画像データに対応付けられている位置データに基づいて、入力された画像データの代表位置を出力する代表位置設定ステップと、
を画像処理装置に実行させる画像処理プログラム。
【請求項12】
前記選定ステップは、入力された画像データを、当該入力された画像データの解像度よりも低解像度に変換する変換ステップを含み、
前記記憶ステップは、前記複数のテンプレート画像データについて、それぞれ異なる解像度を有するテンプレート画像データを記憶し、
前記選定ステップは、前記変換ステップで変換された低解像度の画像データと、低解像度のテンプレート画像データの一致度を算出してテンプレート画像データを選定する低解像度選定ステップと、
前記低解像度選定ステップにおいて比較した画像データよりも高解像度の画像データと、前記低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データと、の一致度を算出して、前記低解像度選定処理において選定したテンプレート画像データよりも高解像度のテンプレート画像データを選定する高解像度選定ステップと、を行う請求項11に記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−158346(P2011−158346A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19916(P2010−19916)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【Fターム(参考)】