説明

画像処理装置、付加画像合成方法および付加画像合成プログラム

【課題】 複数の原稿画像それぞれの下地領域に付加画像を合成する操作を容易にする。
【解決手段】 MFPは、複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得部51と、複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出する下地領域検出部53と、複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出する共通下地領域抽出部55と、付加画像を取得する付加画像取得部93と、共通下地領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する下地領域候補決定部57と、決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示部65と、1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択部91と、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成する合成部95と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、付加画像合成方法および付加画像合成プログラムに関し、特に複数のページの原稿画像の同一位置に同一の画像を付加する画像処理装置、その画像処理装置で実行される付加画像合成方法および付加画像合成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数ページからなる原稿のすべてのページそれぞれの同一位置に同一の画像を付加する技術が要求されている。例えば、特開2007−221282号公報には、複数ページからなる原稿の全ページについて、ページ内の余白領域を検出する検出手段と、指定された付加画像を前記原稿の全ページに同一サイズで付加する際の前記付加画像の画像サイズを前記検出手段の検出結果に基づいて決定する決定手段と、前記決定手段で決定した画像サイズで前記付加画像を前記原稿の各ページに合成する合成手段とを有することを特徴とする画像処理装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、従来の画像処理装置は、付加画像を原稿の全ページに同一サイズで付加することはできるが、付加画像の画像サイズが複数ページからなる原稿の全ページについてのページ内の余白領域によって変動する。このため、付加画像の画像サイズを予め定められたサイズで合成することができないといった問題がある。
【特許文献1】特開2007−221282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、複数の原稿画像それぞれの下地領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成装置、付加画像合成方法および付加画像合成プログラムを提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、複数の原稿画像それぞれの低濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成装置、付加画像合成方法および付加画像合成プログラムを提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、複数の原稿画像それぞれの高濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成装置、付加画像合成方法および付加画像合成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上述した問題を解決するためになされたもので、この発明のある局面によれば、画像処理装置は、複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得手段と、複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出する検出手段と、複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出する抽出手段と、付加画像を取得する付加画像取得手段と、共通下地領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する下地領域候補決定手段と、決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示手段と、1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択手段と、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成する合成手段と、を備える。
【0008】
この局面に従えば、複数の原稿画像それぞれの下地領域が検出され、複数の原稿画像で共通する共通下地領域が抽出され、共通下地領域内に付加画像を付加するための1以上の候補位置が決定されて表示される。そして、複数の原稿画像それぞれに付加画像が、1以上の候補位置のうちから選択された候補位置に合成される。このため、複数の原稿画像の同一の位置に同一の付加画像を合成が合成される。付加画像が合成される位置は、複数の原稿画像で共通する共通下地領域のうちから決定された1以上の候補位置のうちから選択されるので、複数の原稿画像それぞれの下地領域に付加画像を合成する操作を容易にした画像処理装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、複数の原稿画像それぞれから下地領域以外の領域を抽出する非下地領域抽出手段と、複数の原稿画像のいずれか1つの非下地領域を移動または縮小することにより、共通下地領域を拡大する共通下地領域拡大手段と、をさらに備え、第1候補位置決定手段は、拡大された後の共通下地領域内に1以上の候補位置を決定する。
【0010】
この発明の他の局面によれば、画像処理装置は、複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得手段と、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出する論理和高濃度領域抽出手段と、付加画像を取得する付加画像取得手段と、抽出された論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する低濃度領域候補決定手段と、決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示手段と、1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択手段と、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成する合成手段と、を備える。
【0011】
この局面に従えば、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域が抽出され、論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置が決定され、表示される。そして、複数の原稿画像それぞれに付加画像が、1以上の候補位置のうちから選択された候補位置に合成される。このため、複数の原稿画像の同一の位置に同一の付加画像を合成が合成される。付加画像が合成される位置は、複数の原稿画像のいずれでも画像の濃度が所定の値より小さい低濃度領域のうちから決定された1以上の候補位置のうちから選択されるので、複数の原稿画像それぞれの低濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした画像処理装置を提供することができる。
【0012】
好ましくは、1以上の候補位置について、複数の原稿画像のうちで該候補領域が下地領域である原稿画像の数が多いほど高い優先順位を付与する下地順位付与手段をさらに備える。
【0013】
この局面に従えば、ユーザは、付加画像が合成される位置が下地領域となる原稿画像の数をできるだけ多くするように候補位置を選択することができる。
【0014】
好ましくは、複数の原稿画像それぞれから文字領域を検出する文字領域検出手段と、複数の原稿画像の1以上で文字領域として抽出された論理和文字領域を抽出する論理和文字領域抽出手段と、低濃度領域候補決定手段は、低濃度領域内であって、論理和文字領域以外の非文字領域内に候補位置を決定する。
【0015】
この局面に従えば、複数の原稿画像のいずれでも文字領域でない位置に付加画像を合成することができる。
【0016】
好ましくは、複数の原稿画像のいずれか1つの文字領域を移動または縮小することにより、非文字領域を拡大する非文字領域拡大手段と、をさらに備え、低濃度領域候補決定手段は、拡大された後の非文字領域内に1以上の候補位置を決定する。
【0017】
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理装置は、複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得手段と、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出する論理和高濃度領域抽出手段と、付加画像を取得する付加画像取得手段と、抽出された高濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する高濃度領域候補決定手段と、決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示手段と、1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択手段と、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成する合成手段と、を備える。
【0018】
この局面に従えば、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域が抽出され、高濃度領域内に、付加画像を付加するための1以上の候補位置が決定され、表示される。そして、複数の原稿画像それぞれに付加画像が、1以上の候補位置のうちから選択された候補位置に合成される。このため、複数の原稿画像の同一の位置に同一の付加画像を合成が合成される。付加画像が合成される位置は、複数の原稿画像の1以上で濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域のうちから決定された1以上の候補位置のうちから選択されるので、複数の原稿画像それぞれの高濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした画像処理装置を提供することができる。
【0019】
好ましくは、1以上の候補位置について、複数の原稿画像のうちで該候補領域が高濃度領域である原稿画像の数が多いほど高い優先順位を付与する高濃度順位付与手段と、をさらに備える。
【0020】
この局面に従えば、ユーザは、付加画像が合成される位置が高濃度領域となる原稿画像の数をできるだけ多くするように候補位置を選択することができる。
【0021】
好ましくは、複数の原稿画像それぞれから文字領域を抽出する文字領域抽出手段と、複数の原稿画像の1以上から抽出された文字領域となる論理和文字領域を抽出する論理和文字領域抽出手段と、高濃度領域候補決定手段は、抽出された高濃度領域内であって、論理和文字領域以外の非文字領域内に候補位置を決定する。
【0022】
この局面に従えば、複数の原稿画像のいずれでも文字領域でない位置に付加画像を合成することができる。
【0023】
好ましくは、複数の原稿画像のいずれか1つの文字領域を移動または縮小することにより、非文字領域を拡大する非文字領域拡大手段と、をさらに備え、高濃度領域候補決定手段は、拡大された後の非文字領域内に1以上の候補位置を決定する。
【0024】
好ましくは、決定された1以上の候補位置を、原稿の端部に近いほど高い優先順位を付与する端部順位付与手段をさらに備える。
【0025】
この局面に従えば、複数の原稿画像の端部に近い位置に付加画像を合成することができる。
【0026】
この発明のさらに他の局面によれば、付加画像合成方法は、複数ページの原稿画像を取得するステップと、複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出するステップと、複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出するステップと、付加画像を取得するステップと、共通下地領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、決定された1以上の候補位置を表示するステップと、1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成するステップと、を含む。
【0027】
この局面に従えば、複数の原稿画像それぞれの下地領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成方法を提供することができる。
【0028】
この発明のさらに他の局面によれば、付加画像合成方法は、複数ページの原稿画像を取得するステップと、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、付加画像を取得するステップと、抽出された論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、決定された1以上の候補位置を表示するステップと、1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成するステップと、を含む。
【0029】
この発明に従えば、複数の原稿画像それぞれの低濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成方法を提供することができる。
【0030】
この発明のさらに他の局面によれば、付加画像合成方法は、複数ページの原稿画像を取得するステップと、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、付加画像を取得するステップと、抽出された高濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、決定された1以上の候補位置を表示するステップと、1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成するステップと、を含む。
【0031】
この発明に従えば、複数の原稿画像それぞれの高濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成方法を提供することができる。
【0032】
この発明のさらに他の局面によれば、付加画像合成プログラムは、複数ページの原稿画像を取得するステップと、複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出するステップと、複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出するステップと、付加画像を取得するステップと、共通下地領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、決定された1以上の候補位置を表示するステップと、1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0033】
この局面に従えば、複数の原稿画像それぞれの下地領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成プログラムを提供することができる。
【0034】
この発明のさらに他の局面によれば、付加画像合成プログラムは、複数ページの原稿画像を取得するステップと、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、付加画像を取得するステップと、抽出された論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、決定された1以上の候補位置を表示するステップと、1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0035】
この発明に従えば、複数の原稿画像それぞれの低濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成プログラムを提供することができる。
【0036】
この発明のさらに他の局面によれば、付加画像合成プログラムは、複数ページの原稿画像を取得するステップと、複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、付加画像を取得するステップと、抽出された高濃度領域内に、取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、決定された1以上の候補位置を表示するステップと、1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、複数の原稿画像それぞれの選択された候補位置に付加画像を合成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0037】
この発明に従えば、複数の原稿画像それぞれの高濃度領域に付加画像を合成する操作を容易にした付加画像合成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】MFPの外観を示す斜視図である。
【図2】MFPのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】操作パネルの一例を示す平面図である。
【図4】MFPが備えるCPUの機能の概要を示すブロック図である。
【図5】(A)は付加画像設定画面の一例を示す図であり、(B)は下地領域設定画面の一例を示す図であり、(C)は濃度領域設定画面の一例を示す図である。
【図6】(A)は第1ページの原稿画像の一例を示す図であり、(B)は第2ページの原稿画像の一例を示す図である。
【図7】共通下地領域の一例を示す図である。
【図8】(A)は第2ページの原稿画像に含まれる画像を移動した後の原稿画像の一例を示す図であり、(B)は図6(A)に示した原稿画像と図8(A)に示した変更後の第2ページの原稿画像とから抽出される共通下地領域の一例を示す図である。
【図9】(A)は第2ページの原稿画像に含まれる画像を縮小した後の原稿画像の一例を示す図であり、(B)は図6(A)に示した原稿画像と図9(A)に示した変更後の第2ページの原稿画像とから抽出される共通下地領域の一例を示す図である。
【図10】(A)は選択画面の一例を示す第1の図であり、(B)は第1ページの原稿画像の一例を示す図であり、(C)は第2ページの原稿画像の一例を示す図である。
【図11】選択画面の一例を示す第2の図である。
【図12】選択画面の一例を示す第3の図である。
【図13】付加画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】下地領域候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】低濃度領域候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】高濃度領域候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0040】
図1は、MFPの外観を示す斜視図である。図1を参照して、MFP100は、操作パネル9と、自動原稿搬送装置(ADF)10と、原稿読取部20と、画像形成部30と、給紙部40と、を含む。
【0041】
ADF10は、原稿給紙トレイ11上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部20のプラテンガラス上に設定された所定の原稿読取位置まで搬送し、原稿読取部20により原稿画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ上に排出する。原稿読取部20は、原稿読取位置に搬送されてきた原稿に光を照射する光源と、原稿で反射した光を受光する光電変換素子とを含み、原稿のサイズに応じた原稿画像を走査する。光電変換素子は、受光した光を電気信号である画像データに変換して、メモリに記憶する、または画像形成部30に出力する。
【0042】
画像形成部30は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、原稿読取部20から入力される画像データにシェーディング補正などの各種のデータ処理を施し、データ処理後の画像データに基づいて、給紙部40により搬送される用紙に画像を形成する。給紙部40は、給紙トレイに収納された用紙を画像形成部30に搬送する。
【0043】
図2は、MFPのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、MFP100は、メイン回路101と、ADF10と、原稿読取部20と、画像形成部30と、給紙部40と、ユーザインターフェースとしての操作パネル9と、を含む。
【0044】
メイン回路101は、CPU111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、ファクシミリ部117と、ネットワークI/F118と、フラッシュメモリ119Aが装着されるカードI/F119とを含む。CPU111は、ADF10、原稿読取部20、画像形成部30、給紙部40および操作パネル9と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0045】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、およびそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。
【0046】
通信I/F部112は、MFP100を他の装置とシリアル通信ケーブルで接続するためのインターフェースである。なお、接続形態は、有線であっても無線であってもよい。
【0047】
ファクシミリ部117は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部117は、受信したファクシミリデータを、HDD116に記憶する、または画像形成部30に出力する。画像形成部30は、ファクシミリ部117により受信されたファクシミリデータを用紙に印刷する。また、ファクシミリ部117は、HDD116に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0048】
ネットワークI/F118は、MFP100をローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークに接続するためのインターフェースである。CPU111は、ネットワークI/F118を介して、ネットワークに接続されたコンピュータと通信可能である。ネットワークI/F118が接続されるネットワークは、LANに限らず、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網等であってもよい。
【0049】
カードI/F119は、フラッシュメモリ119Aが装着される。CPU111は、カードI/F119を介してフラッシュメモリ119Aにアクセス可能であり、フラッシュメモリ119Aに記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行可能である。なお、CPU111が実行するプログラムは、フラッシュメモリ119Aに記憶されたプログラムに限られず、HDD116に記憶されたプログラムであってもよく、さらに、ネットワークI/F118を介してネットワークに接続された他のコンピュータによりHDD116に書き込みされたプログラムであってもよい。
【0050】
なお、プログラムを記憶する記憶媒体としては、フラッシュメモリ119Aに限られず、光ディスク(CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などの半導体メモリでもよい。
【0051】
ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0052】
操作パネル9は、MFP100の上面に設けられ、表示部103と操作部105とを含む。図3は、操作パネルの一例を示す平面図である。図3を参照して、操作パネル9は、表示部103と、操作部105とを含む。表示部103は、液晶表示装置、有機ELD(Electroluminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した表示データに関する情報等を表示する。
【0053】
操作部105は、ユーザの操作を受け付け、受け付けられた操作をCPU111に出力する。操作部105は、表示部103の上に重畳して配置されたタッチパネル105Aと、後述する付加画像の合成処理の実行を指示する操作が割り当てられた付加画像キー105Bと、スキャン処理の実行を指示する操作が割り当てられたスキャンキー105Cと、コピー処理の実行を指示する操作が割り当てられたコピーキー105Dと、テンキー105Eと、入力内容をキャンセルするためのクリアキー105Fと、スタートキー105Gと、を含む。タッチパネル105Aは、透明な部材からなり、表示部103に重畳して配置される。タッチパネル105Aは、ユーザがタッチパネル105Aを指で触れると、触れられた位置を指示位置として検出し、CPU111に出力する。
【0054】
EEPROM115は、1以上の付加画像を予め記憶する。付加画像は、文字、図形またはそれらの組み合わせを含む画像であり、予め定められた画像である。付加画像は、例えば、会社のロゴマーク、ページ番号、年月日、データのファイル名などを含む画像である。また、付加画像は、MFP100が営業用に設置される場合には、広告情報を含む画像であってもよい。
【0055】
図4は、MFPが備えるCPUの機能の概要を示すブロック図である。図4に示すCPU111の機能は、CPU111がROM113、EEPROM115、HDD116またはフラッシュメモリ119Aに記憶された付加画像合成プログラムを実行することにより実現される。
【0056】
図4を参照して、CPU111は、処理条件を設定する条件設定部50と、複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得部51と、複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出する下地領域検出部53と、複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出する共通下地領域抽出部55と、共通下地領域内に1以上の候補位置を決定する下地領域候補決定部57と、1以上の候補位置を表示する候補位置表示部65と、1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択部91と、付加画像を取得する付加画像取得部93と、複数の原稿画像それぞれの候補位置に付加画像を合成する合成部95と、複数の原稿画像それぞれから下地領域以外の領域を抽出する非下地領域抽出部59と、共通下地領域を拡大する共通下地領域拡大部61と、原稿端順位付与部63と、を含む。
【0057】
条件設定部50は、ユーザが操作部105に入力する処理条件を設定する。具体的には、条件設定部50は、表示部103に、付加画像設定画面を表示し、表示された付加画像設定画面に従ってユーザが操作部105に入力する条件を受け付け、受け付けられた条件を設定する。
【0058】
図5(A)は、付加画像設定画面の一例を示す図である。図5(A)を参照して、付加画像設定画面201は、付加画像を設定する領域203と、付加領域の属性を設定する領域205とを含む。付加画像設定する領域203は、付加画像のファイル名が設定される。ここでは、ファイル名「aaa.jpg」の付加画像が設定されている場合を示している。上述したように、付加画像は、EEPROM115に予め記憶されている。領域203の右に示される逆三角印をユーザが指示することにより、EEPROM115に記憶された付加画像のファイル名のリストが表示され、そのリストのうちの1つをユーザが指示することにより、指示されたファイル名が領域203に表示され、そのファイル名の付加画像が処理対象に設定される。
【0059】
付加領域の属性を設定する領域205は、付加画像を合成する対象となる領域の属性が設定される。ここでは、「下地領域」、「下地領域+低濃度領域」および「高濃度領域」の3つの属性のうちから1つを選択可能となっている。下地領域は、原稿画像中で文字、図形または写真からなる画像が表されていない余白の領域である。低濃度領域は、原稿画像中で下地領域以外の領域であって、画素値が予め定められた所定の値Tより小さい画素を含む領域である。高濃度領域は、原稿画像中で下地領域以外の領域であって、画素値が所定の値T以上の画素を含む領域である。属性が「下地領域+低濃度領域」の領域は、下地領域と低濃度領域との両方の領域を含む領域を示す。
【0060】
なお、原稿画像中から文字が表された矩形の文字領域、図形が表された矩形の図形領域および写真が表された矩形の写真領域をそれぞれ抽出するようにし、抽出された文字領域、図形領域および写真領域中の画素の濃度によって、低濃度領域と高濃度領域とが定まる。
【0061】
付加領域の属性を設定する領域205において、「下地領域」が設定される場合、条件設定部50は、表示部103に下地領域設定画面を表示し、付加領域の属性を設定する領域205において、「下地領域+低濃度領域」、または「高濃度領域」が設定される場合、条件設定部50は、表示部103に濃度領域設定画面を表示する。
【0062】
図5(B)は、下地領域設定画面の一例を示す図である。図5(B)を参照して、下地領域設定画面211は、拡大条件を設定する領域213を含む。拡大条件を設定する領域213は、許可と不許可のいずれかを設定することが可能である。拡大条件は、付加画像を合成するための領域を拡大するか否かを設定するための領域である。付加領域の属性を設定する領域205において「下地領域」が設定される場合であって、拡大条件に許可が設定された場合、共通下地領域の拡大が許可されることを示す。
【0063】
図5(C)は、濃度領域設定画面の一例を示す図である。図5(C)を参照して、濃度領域設定画面221は、文字領域の重畳可否を設定する領域223と、拡大条件を設定する領域225と、を含む。文字領域の重畳可否を設定する領域223は、低濃度領域または高濃度領域に含まれる文字が表された文字領域の画像に、付加画像の重畳を許可するか否かを設定する領域である。許可が指示される場合には、文字領域の画像に付加画像の重畳を許可する設定がされ、不許可が指示される場合には、文字領域の画像に付加画像の重畳を許可しない設定がされる。
【0064】
拡大条件を設定する領域213は、文字領域の重畳可否を設定する領域223において不許可が指示された場合に設定することができ、付加画像を合成するための領域を拡大するか否かを設定するための領域である。拡大条件に許可が設定される場合、文字領域以外の非文字領域を拡大する設定がされ、拡大条件に不許可が設定される場合、文字領域以外の非文字領域を拡大しない設定がされる。
【0065】
図4に戻って、原稿画像取得部51は、原稿読取部20が複数ページの原稿を読み取って出力する複数の原稿画像を取得する。原稿画像取得部51は、取得された複数の原稿画像を、下地領域検出部53、後述する高濃度領域検出部73、文字領域抽出部79および合成部95にそれぞれ出力する。また、原稿画像取得部51は、HDD116に記憶された複数ページの原稿画像を含むデータが、ユーザが操作部105に入力する操作により指示されると、指示されたデータをHDD116から読み出すことにより複数の原稿画像を取得する。複数ページの原稿画像を含むデータは、HDD116に記憶されたデータに限らず、ネットワークI/F118が他のコンピュータから受信するデータであってもよいし、カードI/F119に装着されたフラッシュメモリ119Aに記憶されたデータであってもよい。
【0066】
付加画像取得部93は、条件設定部50により設定された付加画像のファイル名に基づいて、そのファイル名で特定される付加画像をEEPROM115から読み出し、読み出した付加画像を、後述する合成部95に出力する。また、付加画像取得部93により取得された付加画像は、下地領域候補決定部57、および後述する低濃度領域候補決定、77、および高濃度領域候補決定部87によっても用いられる。
【0067】
下地領域検出部53は、原稿画像取得部51から入力される複数の原稿画像それぞれから、下地領域を検出する。下地領域は、原稿画像に含まれる文字、図形または写真などが表されていない余白の領域である。例えば、原稿画像中から文字が表された矩形の文字領域、図形が表された矩形の図形領域および写真が表された矩形の写真領域をそれぞれ抽出し、抽出された文字領域、図形領域および写真領域以外の領域を下地領域とする。また、原稿画像の下地が白色のであれば、画素値が所定の値以上の画素を含む領域を下地領域とするようにしてもよい。下地領域検出部53は、複数の原稿画像ごとに検出した下地領域を共通下地領域抽出部55、および後述する下地順位付与部85に出力する。
【0068】
<付加領域の属性に「下地領域」が設定された場合>
共通下地領域抽出部55は、条件設定部50によって付加領域の属性に「下地領域」が設定された場合に、下地領域検出部53から入力される複数の原稿画像それぞれの下地領域に基づいて、複数の原稿画像で共通する下地領域を、共通下地領域として抽出する。例えば、下地領域検出部53から入力される下地領域が、原稿画像と同じ画素数からなり、下地領域の画素の値を「1」とし、下地領域でのない画素の値を「0」とする画像データとする場合、複数の下地領域それぞれの画像データの論理積をとることにより、共通下地領域の画像データを取得することができる。共通下地領域抽出部55は、共通下地領域を下地領域候補決定部57に出力する。
【0069】
<拡大条件が「不許可」の場合>
下地領域候補決定部57は、付加領域の属性に「下地領域」が設定され、かつ、拡大条件に「不許可」が設定される場合、共通下地領域抽出部55から入力される共通下地領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、下地領域候補として決定する。共通下地領域中に付加画像取得部93により取得された付加画像を配置することが可能な領域を、付加画像を共通下地領域内を移動させることにより抽出すればよい。下地領域候補決定部57は、共通下地領域中に付加画像を合成する領域が複数ある場合、複数の領域のすべてを下地領域候補に決定する。共通下地領域抽出部55は、決定した1以上の下地領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と共通下地領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を原稿端順位付与部63に出力する。共通下地領域中から候補位置を決定するので、複数の原稿画像すべての下地領域に候補位置が決定される。
【0070】
原稿端順位付与部63は、下地領域候補決定部57から1以上の下地領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い優先順位を付与する。ここでは、原稿端順位付与部63が付与する優先順位を原稿端順位という。原稿端順位付与部は、1以上の候補位置それぞれに付与した原稿端順位を、候補位置表示部65に出力する。
【0071】
候補位置表示部65は、付加領域の属性に「下地領域」が設定される場合、下地領域候補決定部57から1以上の候補位置と共通下地領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力される。候補位置表示部65は、原稿端順位と同じ優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。選択画面は、原稿画像全体における共通下地領域の位置と、共通下地領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、選択画面は、原稿画像全体を示す外枠を含み、外枠中に共通下地領域を配置し、共通下地領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0072】
<拡大条件が「許可」の場合>
非下地領域抽出部59は、下地領域検出部53から複数の原稿画像それぞれの下地領域が入力される。非下地領域抽出部59は、条件設定部50によって付加領域の属性に「下地領域」が設定され、かつ、拡大条件が「許可」に設定された場合に、下地領域以外の領域を非下地領域として抽出する。具体的には、下地領域の画像データが、下地領域の画素の値を「1」とし、下地領域でのない画素の値を「0」とする場合、画素の値が「1」の画素の値を「0」とし、画素の値が「0」の画素の値を「1」とすることにより、非下地領域の画像データを生成する。非下地領域抽出部59は、複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の非下地領域を共通下地領域拡大部61に出力する。
【0073】
共通下地領域拡大部61は、条件設定部50によって付加領域の属性に「下地領域」が設定され、かつ、拡大条件が「許可」に設定された場合に、非下地領域抽出部59から入力される複数の非下地領域に基づいて、共通下地領域を拡大する。具体的には、複数の非下地領域の画像データの論理積から複数の原稿画像で共通する共通非下地領域を求め、共通非下地領域に含まれない非下地領域を有する原稿画像の数が少ない原稿画像を特定する。そして、特定された原稿画像中の非下地領域を含む画像を移動または縮小することにより、共通下地領域を拡大する。
【0074】
ここで、共通下地領域の拡大について、具体的に説明する。図6(A)は第1ページの原稿画像の一例を示し、図6(B)は第2ページの原稿画像の一例を示す。第1ページの原稿画像301は、2つの画像303,305を含む。第1ページの原稿画像301において、2つの画像303,305の領域は非下地領域であり、2つの画像303,305以外の領域が下地領域である。第2ページの原稿画像311は、3つの画像313,315,317を含む。第2ページの原稿画像311において、3つの画像313,315,317の領域は非下地領域であり、3つの画像313,315,317以外の領域が下地領域である。
【0075】
図7は、共通下地領域の一例を示す図である。図7に示す共通下地領域221は、図6(A)に示した第1ページの原稿画像201の下地領域と、図6(B)に示した第2ページの原稿画像211の下地領域とで共通する領域である。図7においては、ハッチングされていない領域323が、共通下地領域である。
【0076】
共通下地領域の拡大は、非下地領域の画像を移動または縮小することにより実現される。ここでは、図6(B)に示した第2ページの原稿画像311に含まれる画像317を移動または縮小することにより共通下地領域を拡大する場合の一例を説明する。
【0077】
図8(A)は、第2ページの原稿画像に含まれる画像を移動した後の原稿画像の一例を示す図である。図8(A)を参照して、第2ページの原稿画像311Aは、図6(B)に示した第2ページの原稿画像311に含まれる画像317を、共通下地領域323側と反対側の左方向に移動させた画像317Aを含む。図8(B)は、図6(A)に示した第1ページの原稿画像と図8(A)に示した変更後の第2ページの原稿画像とから抽出される共通下地領域の一例を示す図である。図8(B)に示した共通下地領域323Aは、図7に示した共通下地領域323よりも拡大しているのがわかる。
【0078】
図9(A)は、第2ページの原稿画像に含まれる画像を縮小した後の原稿画像の一例を示す図である。図9(A)を参照して、第2ページの原稿画像311Bは、図6(B)に示した第2ページの原稿画像311に含まれる画像317を、縮小した画像317Bを含む。図9(B)は、図6(A)に示した第1ページの原稿画像と図9(A)に示した変更後の第2ページの原稿画像とから抽出される共通下地領域の一例を示す図である。図9(B)に示した共通下地領域323Bは、図7に示した共通下地領域323よりも拡大しているのがわかる。
【0079】
図4に戻って、下地領域候補決定部57は、付加領域の属性に「下地領域」が設定され、かつ、拡大条件に「許可」が設定される場合、共通下地領域拡大部61から入力される拡大された共通下地領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、下地領域候補として決定する。下地領域候補決定部57は、共通下地領域中に付加画像を合成する領域が複数ある場合、複数の領域のすべてを下地領域候補に決定する。共通下地領域抽出部55は、決定した1以上の下地領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と拡大後の共通下地領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を原稿端順位付与部63に出力する。
【0080】
候補位置表示部65は、付加領域の属性に「下地領域」が設定される場合、下地領域候補決定部57から1以上の候補位置と共通下地領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。選択画面は、原稿画像全体における共通下地領域の位置と、共通下地領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、選択画面は、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に共通下地領域を配置し、共通下地領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0081】
図10(A)は、選択画面の一例を示す第1の図である。図10(A)に示す選択画面は、図10(B)に一例として示す第1ページの原稿画像331と、図10(C)に一例として示す第2ページの原稿画像332とに基づいて生成される選択画面を示している。図10(A)を参照して、選択画面333は、原稿全体を示す外枠334と、外枠334中に配置された共通下地領域335と、共通下地領域335中に配置された4つの候補位置それぞれに配置された付加画像336〜339を含む。付加画像336〜339は、優先順位を示す番号が付されており、選択可能に表示される。ここでの優先順位は、原稿画像の外枠334に近いほど高い優先順位となっている。
【0082】
図4に戻って、選択部91は、候補位置表示部65によって表示部103に選択可能に表示された付加画像336〜339のうちから1つを選択する指示を、ユーザが操作部105に入力すれば、付加画像336〜339のうちから選択された付加画像に対応する候補位置を選択する。選択部91は、選択された候補位置を合成部95に出力する。
【0083】
合成部95は、原稿画像取得部51から複数の原稿画像が入力され、付加画像取得部93から付加画像が入力され、選択部91から候補位置が入力される。合成部95は、複数の原稿画像それぞれに付加画像を、候補位置で特定される位置に合成する。合成部95は、候補位置に付加画像が合成された複数の原稿画像を、画像形成部30に出力し、画像形成部30に複数の原稿画像の画像を形成させる。
【0084】
なお、合成部95は、非共通下地領域拡大部61により非下地領域が移動または縮小されたページの原稿画像については、非下地領域が移動または縮小されたページの原稿画像に、付加画像を候補位置で特定される位置に合成する。
【0085】
なお、ここでは複数の原稿画像を画像形成部30に画像形成させる例を示すが、原稿画像の出力先は、ユーザが操作部105に入力する指示によって定まる。例えば、原稿画像を送信する指示が入力される場合には、付加画像が合成された複数の原稿画像を、ネットワークI/F118を介して、ユーザにより指示された宛先に送信する。また、原稿画像を記憶する指示が入力される場合には、付加画像が合成された複数の原稿画像を、ユーザにより指示された記憶先、例えばHDD116またはカードI/F119に装着されたフラッシュメモリ119Aに記憶する。
【0086】
CPU111は、さらに、複数の原稿画像それぞれの高濃度領域を検出する高濃度領域検出部73と、論理和高濃度領域抽出部75と、複数の原稿画像それぞれから文字領域を抽出する文字領域抽出部79と、文字領域以外の非文字領域を拡大する非文字領域拡大部81と、論理和文字領域抽出部83と、低濃度領域候補決定部77と、下地順位付与部85と、を含む。
【0087】
<付加領域の属性に「下地領域+低濃度領域」OR「高濃度領域」が設定される場合>
高濃度領域検出部73は、原稿画像取得部51から入力される複数の原稿画像それぞれから、高濃度領域を検出する。高濃度領域は、原稿画像に含まれる文字、図形または写真などが表された領域であって、画素値が所定の値T以上の画素を含む領域である。例えば、原稿画像中から文字が表された矩形の文字領域、図形が表された矩形の図形領域および写真が表された矩形の写真領域をそれぞれ抽出し、抽出された文字領域、図形領域および写真領域のうち、画素値が所定の値T以下の画素を含む領域を高濃度領域とする。ここでの画素値と濃度との関係は、画素値が小さい程濃度が高く、画素値が大きいほど濃度が低い。高濃度領域検出部73は、複数の原稿画像ごとに検出した高濃度領域を論理和高濃度領域抽出部75、および後述する高濃度順位付与部89に出力する。
【0088】
論理和高濃度領域抽出部75は、高濃度領域検出部73から入力される複数の原稿画像それぞれの高濃度領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で高濃度領域とされる領域を論理和高濃度領域として抽出する。例えば、高濃度領域検出部73から入力される高濃度領域が、原稿画像と同じ画素数からなり、高濃度領域の画素の値を「1」とし、高濃度領域でのない画素の値を「0」とする画像データとする場合、複数の高濃度領域それぞれの画像データの論理和を算出することにより、論理和高濃度領域の画像データを取得することができる。論理和高濃度領域抽出部75は、論理和高濃度領域を低濃度領域候補決定部77および後述する高濃度領域候補決定部87に出力する。
【0089】
<文字領域の重畳が「許可」に設定される場合>
低濃度領域候補決定部77は、論理和高濃度領域抽出部75から入力される論理和高濃度領域以外の領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、低濃度領域候補として決定する。論理和高濃度領域以外の領域は、複数の原稿画像のいずれにおいても高濃度領域でない低濃度領域または下地領域である。
【0090】
低濃度領域候補決定部77は、付加画像を論理和高濃度領域以外の領域で付加画像を移動させることにより低濃度領域候補を抽出すればよい。低濃度領域候補決定部77は、論理和高濃度領域以外の領域中に付加画像を合成する領域が複数ある場合、複数の領域のすべてを低濃度領域候補に決定する。
【0091】
低濃度領域候補決定部77は、決定した1以上の低濃度領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と論理和高濃度領域以外の領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を原稿端順位付与部63および下地順位付与部85に出力する。
【0092】
下地順位付与部85は、下地領域検出部53から複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の下地領域が入力され、低濃度領域候補決定部77から1以上の低濃度候補の候補位置とが入力される。下地順位付与部85は、1以上の候補位置それぞれについて、複数の原稿画像のうちでその候補位置で特定される領域が下地領域である原稿画像の数が多いほど高い優先順位を付与する。ここでは、下地順位付与部85が付与する優先順位を下地順位という。下地順位付与部85は、1以上の候補位置に付与した下地順位を候補位置表示部65に出力する。
【0093】
原稿端順位付与部63は、低濃度領域候補決定部77から1以上の低濃度領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い原稿端順位を付与する。
【0094】
候補位置表示部65は、低濃度領域候補決定部77から1以上の候補位置と論理和高濃度領域以外の領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力され、下地順位付与部85から下地順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、下地順位付与部85から入力される下地順位と、原稿端順位付与部63から入力される原稿端順位とから決定される。ここでは、下地順位が原稿端順位よりも優先される。下地順位により、付加画像が合成される位置が下地領域となる原稿画像の数をできるだけ多くするように候補位置を選択することができる。また、原稿端順位により、付加画像が合成される位置が原稿の端部に近い候補位置を選択することができる。
【0095】
選択画面は、原稿画像全体における論理和高濃度領域以外の領域の位置と、論理和高濃度領域以外の領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、選択画面は、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に論理和高濃度領域以外の領域を配置し、論理和高濃度領域以外の領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0096】
<文字領域の重畳が「不許可」に設定される場合>
文字領域抽出部79は、原稿画像取得部51から複数の原稿画像が入力される。文字領域抽出部79は、条件設定部50によって付加領域の属性に「下地領域+低濃度領域」または「高濃度領域」が設定され、かつ、文字領域の重畳が「不許可」に設定された場合に、複数の原稿画像それぞれから文字領域を抽出する。文字領域抽出部79は、複数の原稿画像ごとに抽出した文字領域を非文字領域拡大部81および論理和文字領域抽出部83に出力する。
【0097】
論理和文字領域抽出部83は、文字領域抽出部79から複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の文字領域が入力される。論理和文字領域抽出部83は、文字領域抽出部79から入力される複数の文字領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で文字領域とされる領域を論理和文字領域として抽出する。例えば、文字領域抽出部79から入力される文字領域が、原稿画像と同じ画素数からなり、文字領域の画素の値を「1」とし、文字領域でのない画素の値を「0」とする画像データとする場合、複数の文字領域それぞれの画像データの論理和を算出することにより、論理和文字領域の画像データを取得することができる。論理和文字領域抽出部83は、論理和文字領域を低濃度領域候補決定部77および後述する高濃度領域候補決定部87に出力する。
【0098】
<拡大条件が「不許可」に設定される場合>
低濃度領域候補決定部77は、条件設定部50により付加領域の属性に「下地領域+低濃度領域」が設定され、かつ、文字領域の重畳が「不許可」に設定され、かつ、拡大条件に「不許可」が設定される場合、論理和高濃度領域抽出部75から入力される論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域抽出部83から入力される論理和文字領域以外の領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、低濃度領域候補として決定する。論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域は、複数の原稿画像のいずれにおいても高濃度領域でない低濃度領域または下地領域であって、文字領域でない領域である。このため、候補位置は、文字領域以外の低濃度領域または下地領域に決定されるので、文字が読めなくなるのを防止することができる。
【0099】
低濃度領域候補決定部77は、決定した1以上の低濃度領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を原稿端順位付与部63および下地順位付与部85に出力する。
【0100】
下地順位付与部85は、下地領域検出部53から複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の下地領域が入力され、低濃度領域候補決定部77から1以上の低濃度候補の候補位置とが入力される。下地順位付与部85は、1以上の候補位置それぞれについて、複数の原稿画像のうちでその候補位置で特定される領域が下地領域である原稿画像の数が多いほど高い下地順位を付与する。下地順位付与部85は、1以上の候補位置に付与した下地順位を候補位置表示部65に出力する。
【0101】
原稿端順位付与部63は、低濃度領域候補決定部77から1以上の低濃度領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い原稿端順位を付与する。
【0102】
候補位置表示部65は、低濃度領域候補決定部77から1以上の候補位置と論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力され、下地順位付与部85から下地順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、下地順位付与部85から入力される下地順位と、原稿端順位付与部63から入力される原稿端順位とから決定される。ここでは、下地順位が原稿端順位よりも優先される。
【0103】
選択画面は、原稿画像全体における論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域の位置と、論理和高濃度領域以外の領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、選択画面は、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域を配置し、論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像とを配置した画像を含む。
【0104】
<拡大条件が「許可」に設定される場合>
非文字領域拡大部81は、文字領域抽出部79から入力される複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の文字領域に基づいて、文字領域以外の非文字領域を拡大する。非文字領域を拡大は、複数の原稿画像のうちから選択された原稿画像の文字領域を移動または縮小する処理である。非文字領域拡大部81は、文字領域を移動または縮小した後の複数の原稿画像の文字領域を論理和文字領域抽出部83に出力する。ここで、文字領域を移動または縮小した後の複数の原稿画像の文字領域を、複数の原稿の非文字領域拡大後の文字領域という。
【0105】
具体的には、非文字領域拡大部81は、複数の文字領域の画像データの論理積から複数の原稿画像で共通する共通文字領域を求め、共通文字領域に含まれない文字領域を有する原稿画像の数が少ない原稿画像を特定する。そして、非文字領域拡大部81は、特定された原稿画像中の文字領域を移動または縮小する。
【0106】
非文字領域拡大部81が文字領域を移動する方向は、条件設定部50によって付加領域の属性に「下地領域+低濃度領域」が設定されている場合と、「高濃度領域」が設定されている場合とで異なる。付加領域の属性に「下地領域+低濃度領域」が設定されている場合は、論理和高濃度領域側であり、これにより、低濃度領域中の非文字領域が拡大される。付加領域の属性に「高濃度領域」が設定されている場合は、論理和高濃度領域側とは反対の下地領域の方向であり、これにより、高濃度領域中の非文字領域が拡大される。
【0107】
論理和文字領域抽出部83は、非文字領域拡大部81から複数の原稿の非文字領域拡大後の文字領域が入力される。論理和文字領域抽出部83は、入力される複数の原稿の非文字領域拡大後の文字領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で文字領域とされる領域を論理和文字領域として抽出する。例えば、非文字領域拡大部81から入力される複数の原稿の非文字領域拡大後の文字領域が、原稿画像と同じ画素数からなり、文字領域の画素の値を「1」とし、文字領域でのない画素の値を「0」とする画像データとする場合、複数の原稿の非文字領域拡大後の文字領域それぞれの画像データの論理和を算出することにより、非文字領域拡大後の論理和文字領域の画像データを取得することができる。論理和文字領域抽出部83は、非文字領域拡大後の論理和文字領域を低濃度領域候補決定部77および後述する高濃度領域候補決定部87に出力する。
【0108】
低濃度領域候補決定部77は、論理和高濃度領域抽出部75から入力される論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域抽出部83から入力される非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、低濃度領域候補として決定する。論理和高濃度領域以外の領域であって、論理和文字領域以外の領域は、複数の原稿画像のいずれにおいても高濃度領域でない下地領域または低濃度領域であって、文字領域でない領域である。このため、候補位置は、文字領域以外の低濃度領域または下地領域に決定されるので、文字が読めなくなるのを防止することができる。
【0109】
低濃度領域候補決定部77は、決定した1以上の低濃度領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と、論理和高濃度領域以外の領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を下地順位付与部85および原稿端順位付与部63に出力する。
【0110】
下地順位付与部85は、低濃度領域候補決定部77から入力される1以上の候補位置それぞれについて、複数の原稿画像のうちでその候補位置で特定される領域が下地領域である原稿画像の数が多いほど高い下地順位を付与する。下地順位付与部85は、1以上の候補位置に付与した下地順位を候補位置表示部65に出力する。
【0111】
原稿端順位付与部63は、低濃度領域候補決定部77から1以上の低濃度領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い原稿端順位を付与する。
【0112】
候補位置表示部65は、低濃度領域候補決定部77から1以上の候補位置と論理和高濃度領域以外の領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力され、下地順位付与部85から下地順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、下地順位付与部85から入力される下地順位と、原稿端順位付与部63から入力される原稿端順位とから決定される。ここでは、下地順位が原稿端順位よりも優先される。
【0113】
選択画面は、原稿画像全体における論理和高濃度領域以外の領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域の位置と、論理和高濃度領域以外の領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に論理和高濃度領域以外の領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域を配置し、論理和高濃度領域以外の領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0114】
CPU111は、さらに、高濃度領域内に1以上の候補位置を決定する高濃度領域候補決定部87と、高濃度順位付与部89と、を含む。
【0115】
<文字領域の重畳が「許可」に設定される場合>
高濃度領域候補決定部87は、論理和高濃度領域抽出部75から入力される論理和高濃度領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、高濃度領域候補として決定する。論理和高濃度領域は、複数の原稿画像の1以上において高濃度領域となる領域である。
【0116】
高濃度領域候補決定部87は、付加画像を論理和高濃度領域で付加画像を移動させることにより高濃度領域候補を抽出すればよい。高濃度領域候補決定部87は、論理和高濃度領域中に付加画像を合成する領域が複数ある場合、複数の領域のすべてを高濃度領域候補に決定する。
【0117】
高濃度領域候補決定部87は、決定した1以上の高濃度領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と論理和高濃度領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を原稿端順位付与部63および高濃度順位付与部89に出力する。
【0118】
高濃度順位付与部89は、高濃度領域検出部73から複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の高濃度領域が入力され、高濃度領域候補決定部87から1以上の高濃度領域候補の候補位置が入力される。高濃度順位付与部89は、1以上の候補位置それぞれについて、複数の原稿画像のうちでその候補位置で特定される領域が高濃度領域である原稿画像の数が多いほど高い優先順位を付与する。ここでは、高濃度順位付与部89が付与する優先順位を高濃度順位という。高濃度順位付与部89は、1以上の候補位置に付与した高濃度順位を候補位置表示部65に出力する。
【0119】
原稿端順位付与部63は、高濃度領域候補決定部87から1以上の高濃度領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い原稿端順位を付与する。
【0120】
候補位置表示部65は、高濃度領域候補決定部87から1以上の候補位置と論理和高濃度領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力され、高濃度順位付与部89から高濃度順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、高濃度順位付与部89から入力される高濃度順位と、原稿端順位付与部63から入力される原稿端順位とから決定される。ここでは、高濃度順位が原稿端順位よりも優先される。高濃度順位により、付加画像が合成される位置が高濃度領域となる原稿画像の数をできるだけ多くするように候補位置を選択することができる。
【0121】
選択画面は、原稿画像全体における論理和高濃度領域の位置と、論理和高濃度領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、選択画面は、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に論理和高濃度領域を配置し、論理和高濃度領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0122】
<文字領域の重畳が「不許可」に、拡大条件が「不許可」に設定される場合>
高濃度領域候補決定部87は、条件設定部50により付加領域の属性に「高濃度領域」が設定され、かつ、文字領域の重畳が「不許可」に設定され、かつ、拡大条件に「不許可」が設定される場合、論理和高濃度領域抽出部75から入力される論理和高濃度領域であって、論理和文字領域抽出部83から入力される論理和文字領域以外の領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、高濃度領域候補として決定する。論理和高濃度領域であって、論理和文字領域以外の領域は、複数の原稿画像の1以上において高濃度領域であって、複数の原稿画像のいずれにおいても文字領域でない領域である。このため、候補位置は、文字領域以外領域に決定されるので、文字が読めなくなるのを防止することができる。
【0123】
高濃度領域候補決定部87は、決定した1以上の高濃度領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と、論理和高濃度領域であって論理和文字領域以外の領域と、を候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を原稿端順位付与部63および高濃度順位付与部89に出力する。
【0124】
高濃度順位付与部89は、高濃度領域検出部73から複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の高濃度領域が入力され、高濃度領域候補決定部87から1以上の高濃度領域候補の候補位置とが入力される。高濃度順位付与部89は、1以上の候補位置それぞれについて、複数の原稿画像のうちでその候補位置で特定される領域が高濃度領域である原稿画像の数が多いほど高い高濃度順位を付与する。高濃度順位付与部89は、1以上の候補位置に付与した高濃度順位を候補位置表示部65に出力する。
【0125】
原稿端順位付与部63は、高濃度領域候補決定部87から1以上の高濃度領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い原稿端順位を付与する。
【0126】
候補位置表示部65は、高濃度領域候補決定部87から1以上の候補位置と論理和高濃度領域であって、論理和文字領域以外の領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力され、高濃度順位付与部89から高濃度順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、高濃度順位付与部89から入力される高濃度順位と、原稿端順位付与部63から入力される原稿端順位とから決定される。ここでは、高濃度順位が原稿端順位よりも優先される。
【0127】
選択画面は、原稿画像全体における論理和高濃度領域であって、論理和文字領域以外の領域の位置と、論理和高濃度領域であって、論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である、具体的には、選択画面は、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に論理和高濃度領域であって、論理和文字領域以外の領域を配置し、論理和高濃度領域であって、論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0128】
<文字領域の重畳が「不許可」に、拡大条件が「許可」に設定される場合>
高濃度領域候補決定部87は、論理和高濃度領域抽出部75から入力される論理和高濃度領域であって、論理和文字領域抽出部83から入力される非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域のうちから、付加画像取得部93により取得された付加画像を合成することが可能な領域を、高濃度領域候補として決定する。論理和高濃度領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域は、複数の原稿画像の1以上で高濃度領域であって、非文字領域拡大後の複数の原稿画像のいずれにおいても文字領域でない領域である。このため、候補位置は、文字領域以外の領域に決定されるので、文字が読めなくなるのを防止することができる。
【0129】
高濃度領域候補決定部87は、決定した1以上の高濃度領域候補の原稿画像中の位置を候補位置とし、1以上の候補位置と、論理和高濃度領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域とを候補位置表示部65に出力し、1以上の候補位置を高濃度位付与部87および原稿端順位付与部63に出力する。
【0130】
高濃度順位付与部89は、高濃度領域検出部73から複数の原稿画像にそれぞれ対応する複数の高濃度領域が入力され、高濃度領域候補決定部87から1以上の高濃度領域候補の候補位置とが入力される。高濃度順位付与部89は、1以上の候補位置それぞれについて、複数の原稿画像のうちでその候補位置で特定される領域が高濃度領域である原稿画像の数が多いほど高い高濃度順位を付与する。高濃度順位付与部89は、1以上の候補位置に付与した高濃度順位を候補位置表示部65に出力する。
【0131】
原稿端順位付与部63は、高濃度領域候補決定部87から1以上の高濃度領域候補の候補位置が入力され、1以上の候補位置それぞれに原稿画像の端部に近いものほど高い原稿端順位を付与する。
【0132】
候補位置表示部65は、高濃度領域候補決定部87から1以上の候補位置と論理和高濃度領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域とが入力され、原稿端順位付与部63から原稿端順位が入力され、高濃度順位付与部89から高濃度順位が入力される。候補位置表示部65は、優先順位を付した1以上の候補位置を選択可能な選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、高濃度順位付与部89から入力される高濃度順位と、原稿端順位付与部63から入力される原稿端順位とから決定される。ここでは、高濃度順位が原稿端順位よりも優先される。
【0133】
選択画面は、原稿画像全体における論理和高濃度領域であって非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域の位置と、論理和高濃度領域であって非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置を優先順位を付して示す画面である。具体的には、選択画面は、原稿全体を示す外枠を含み、外枠中に論理和高濃度領域であって非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域を配置し、論理和高濃度領域であって、非文字領域拡大後の論理和文字領域以外の領域中の1以上の候補位置に優先順位を付した付加画像を配置した画像を含む。
【0134】
図11は、選択画面の一例を示す第2の図である。図11に示す選択画面は、付加領域の属性に「下地領域+低濃度領域」が設定された場合における選択画面を示している。図11を参照して、選択画面341は、共通下地領域343と、論理和高濃度領域以外の領域であって、共通下地領域343以外の領域345と、1〜8の優先順位が付された低濃度領域候補を含む。図中共通下地領域343は、左下がりの斜線のハッチングで示し、領域345は、右下がりの斜線のハッチングで示している。優先順位が1〜4の低濃度領域候補が共通下地領域343の内部に表示される。優先順位が1〜4の低濃度領域候補は、原稿画像の端部に近いものほど優先順位が高くなっている。優先順位が5〜8の低濃度領域候補が領域345の内部に表示される。優先順位が5〜8の低濃度領域候補は、原稿画像の端部に近いものほど優先順位が高くなっている。
【0135】
図12は、選択画面の一例を示す第3の図である。図12に示す選択画面は、付加領域の属性に「高濃度領域」が設定された場合における選択画面を示している。図12を参照して、選択画面351は、論理和高濃度領域353,355と、1の優先順位が付された高濃度領域候補357と、を含む。論理和高濃度領域353内に高濃度領域候補357が表示される。論理和高濃度領域355は、付加画像のサイズよりも小さいため、高濃度領域候補が配置されない。
【0136】
図13、付加画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。図13に示す付加画像合成処理は、CPU111がROM113、EEPROM115、HDD116またはフラッシュメモリ119Aに記憶された付加画像合成プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。
【0137】
図13を参照して、CPU111は、付加画像を合成する指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS01)。操作部105に予め割り当てられた付加画像キー105Bが押下されたことを検出すると、付加画像を合成する指示を受け付ける。付加画像を合成する指示を受け付けるまで待機状態となり(ステップS01でNO)、付加画像を合成する指示を受け付けたならば(ステップS01でYES)、処理をステップS02に進める。
【0138】
ステップS02においては、付加画像設定画面を表示部103に表示する。ここでは、図5(A)〜図5(C)に示した付加画像設定画面を表示部103に表示する。ステップS03においては設定を終了する指示を受け付けたか否かを判断する。設定を終了する指示を受け付けたならば処理をステップS04に進めるが、そうでなければ処理をステップS02に戻す。換言すれば、付加画像設定画面における設定が終了するまで付加画像設定画面の表示をするが、付加画像設定画面における設定が終了すれば、処理をステップS04に進める。
【0139】
ステップS04においては、ステップS02において表示された付加画像設定画面においてユーザにより指定された付加画像を取得する。本実施の形態においては、EEPROM115に予め記憶された付加画像のうちから指定された付加画像を読み出すことにより付加画像を取得する。
【0140】
次のステップS05においては、原稿読取指示を受け付けるまで待機状態となり、原稿読取指示を受け付けると処理をステップS06に進める。操作部105が備えるスタートキー105Gの押下を検出すると原稿読取指示を受け付ける。
【0141】
ステップS06においては、原稿読取部20を制御して原稿を読み取り、原稿画像を取得する。次のステップS07においては、付加領域属性の設定により処理を分岐する。付加領域の属性が「下地領域」に設定されているならば処理をステップS08に進めるが、そうでなく付加領域の属性が「下地領域+低濃度領域」または「高濃度領域」に設定されているならば処理をステップS10に進める。ステップS08においては、ステップS06において原稿読み取ることにより得られた原稿画像から下地領域を検出し、処理をステップS09に進める。
【0142】
一方、ステップS10においては、ステップS08と同様に、原稿画像から下地領域を検出する。次のステップS11においては、原稿画像から高濃度領域を検出する。次のステップS12においては、原稿画像から文字領域を抽出し、処理をステップS09に進める。ステップS09においては、次の原稿が存在するか否かを判断する。次に読み取るべき原稿が存在するならば処理をステップS06に戻し、そうでなければ処理をステップS13に進める。
【0143】
ステップS13においては、ステップS07と同様に、付加領域属性の設定により処理を分岐させる。付加領域の属性が「下地領域」に設定されているならば処理をステップS14に進め、付加領域の属性が「下地領域+低濃度領域」に設定されているならば処理をステップS14に進め、付加領域の属性が「高濃度領域」に設定されているならば処理をステップS15に進める。
【0144】
ステップS14においては、下地領域候補決定処理を実行し、処理をステップS17に進める。下地領域候補決定処理の詳細は後述するが、ステップS08において検出された下地領域に付加画像を合成するための1以上の下地領域候補を決定する処理である。
【0145】
ステップS15においては、低濃度領域候補決定処理を実行し、処理をステップS17に進める。低濃度領域候補決定処理の詳細は後述するが、ステップS11において検出された高濃度領域以外の領域に付加画像を合成するための1以上の低濃度領域候補を決定する処理である。
【0146】
ステップS16においては、高濃度領域候補決定処理を実行し、処理をステップS17に進める。高濃度領域候補決定処理の詳細は後述するが、ステップS11において検出された高濃度領域に付加画像を合成するための1以上の高濃度領域候補を決定する処理である。
【0147】
ステップS17においては、ステップS14、S15、S16のいずれかにより決定された候補位置のうちからいずれか1つの選択を受け付けたか否かを判断する。候補位置の選択を受け付けるまで待機状態となり(ステップS17でNO)、候補位置の選択を受け付けると(ステップS17でYES)、処理をステップS18に進める。
【0148】
ステップS18においては、ステップS04において取得された付加画像を、ステップS06において読み取られた複数の原稿画像それぞれのステップS17においてユーザにより選択された候補位置に合成し、処理をステップS19に進める。ステップS19においては、付加画像が合成された複数の原稿画像を画像形成部30に出力し、複数の原稿画像を用紙に形成させる。
【0149】
図14は、下地領域候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。下地領域候補決定処理は、図13のステップS14において実行される処理である。図14を参照して、CPU111は、共通下地領域を抽出する。図13のステップS08において複数の原稿画像それぞれから検出された複数の下地領域に基づいて、複数の原稿画像で共通する下地領域を共通下地領域として抽出する。
【0150】
次のステップS22においては、図13のステップS02において表示された付加画像設定画面において、ユーザにより拡大設定が許可に設定されているか否かを判断する。拡大設定が許可に設定されているならば処理をステップS23に進めるが、そうでなければ処理をステップS25に進める。
【0151】
ステップS23においては、非下地領域を検出する。図13のステップS08において複数の原稿画像それぞれから検出された複数の下地領域に基づいて、下地領域でない領域を非下地領域として複数の原稿画像ことに検出する。次のステップS24においては、共通下地領域を拡大する。具体的には、ステップS23において検出された非下地領域に含まれる画像を下地領域とは異なる方向に移動させるか、または縮小させることにより共通下地領域を拡大する。ステップS24においては、複数の原稿画像の1以上が部分的に変更されることになる。
【0152】
ステップS25においては、共通下地領域から下地領域候補を決定する。共通下地領域中に、図13のステップS04において取得された付加画像を合成することが可能な位置を下地領域候補として決定する。複数の下地領域候補が存在する場合には、複数の下地領域候補を決定する。なお、処理がステップS24から進む場合、ステップS25においては、拡大された後の共通下地領域から下地領域候補を決定する。
【0153】
次のステップS26においては、ステップS25において決定された1以上の下地領域候補を原稿端に近いものから高い優先順位を付与し、処理をステップS27に進める。ステップS27においては、候補位置を表示し、処理を付加画像合成処理に戻す。候補位置は、共通下地領域中の下地領域候補の位置を示す。具体的には、共通下地領域中にステップS25において決定された1以上の下地領域候補を配置した選択画面を表示部103に表示する。
【0154】
図15は、低濃度領域候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。低濃度を領域候補決定処理は、図13に示した付加画像合成処理のステップS15において実行される処理である。図15を参照して、CPU111は、論理和高濃度領域を抽出する(ステップS31)。具体的には、図13のステップS11において複数の原稿画像それぞれから検出された高濃度領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で高濃度領域とされる領域を論理和高濃度領域として抽出する。次のステップS32においては、図13のステップS02において表示された付加画像設定画面において、ユーザにより文字領域の重畳が許可されているか否かを判断する。文字領域の重畳が許可されているならば処理をステップS33に進めるが、そうでなければ処理をステップS34に進める。
【0155】
ステップS33においては、低濃度領域候補を決定し、処理をステップS41に進める。具体的には、ステップS31において抽出された論理和高濃度領域以外の領域から、付加画像を合成可能な領域を低濃度領域として決定する。付加画像を合成可能な複数の領域が存在すれば、複数の領域のすべてを低濃度領域候補に決定する。
【0156】
一方、ステップS34においては、論理和文字領域を抽出する。図13のステップS12において複数の原稿画像それぞれから検出された文字領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で文字領域とされる領域を論理和文字領域として抽出する。次のステップS35においては、図13のステップS02において表示された付加画像設定画面において、ユーザにより拡大設定が許可に設定されているか否かを判断する。拡大設定が許可に設定されているならば処理をステップS36に進めるが、そうでなければ処理をステップS40に進める。
【0157】
ステップS36においては、複数の原稿画像のいずれかに含まれる文字領域のうちに、移動可能な文字領域が存在するか否かを判断する。移動可能な文字領域とは、論理和高濃度領域以外の領域に存在する文字領域を、論理和高濃度領域内に移動可能な文字領域をいう。複数の原稿画像のいずれかに含まれる文字領域のうちに移動可能な文字領域が存在するならば処理をステップS37に進めるが、そうでなければ処理をステップS38に進める。
【0158】
ステップS37においては、ステップS36において移動可能と判断された原稿画像の文字領域を移動させ、処理をステップS39に進める。移動させる文字領域が複数の原稿画像で重なる場合には、移動させる文字領域を含むすべての原稿画像において文字領域を移動させる。
【0159】
一方、ステップS38においては、複数の原稿画像のいずれかの文字領域を縮小し、処理をステップS39に進める。縮小の対象となる文字領域は、論理和高濃度領域以外の領域に存在する文字領域であればよい。ただし、文字領域を縮小した結果、論理和高濃度領域以外の領域の非文字領域が拡大しなければならないので、その文字領域と重なる文字領域を有する原稿画像のすべてにおいて文字領域を縮小する。
【0160】
ステップS39においては、論理和文字領域を更新し、処理をステップS40に進める。文字領域を移動した後の複数の原稿画像それぞれの文字領域に基づいて、ステップS34において抽出したのと同様にして論理和文字領域を抽出する。次のステップS40においては、高濃度領域以外の領域であって論理和文字領域以外の領域から付加画像を配置することが可能な領域を低濃度領域候補に決定し、処理をステップS41に進める。処理対象となる論理和文字領域は、処理がステップS35から進む場合には、ステップS34において抽出された論理和文字領域であり、処理がステップS39から進む場合には、ステップS39において更新された論理和文字領域である。
【0161】
ステップS41においては、処理がステップS33から進む場合はステップS33において決定された1以上の低濃度領域候補、処理がステップS40から進む場合はステップS40において決定された1以上の低濃度領域候補のうち、複数の原稿画像中で下地領域となる原稿画像の数が多いものから順に高い優先順位を付与する。
【0162】
次のステップS42においては、S33において決定された1以上の低濃度領域候補、またはステップS41において決定された1以上の低濃度領域候補を原稿端に近いものから高い優先順位を付与し、処理をステップS43に進める。
【0163】
次のステップS43においては、候補位置を表示し、処理を付加画像合成処理に戻す。候補位置は、論理和高濃度領域以外の領域中の低濃度領域候補の位置を示す。具体的には、論理和高濃度領域以外の領域中にステップS33またはステップS40において決定された1以上の低濃度領域候補を優先順位を付して配置した選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、ステップS41において付与された下地順位と、ステップS62において付与された原稿端順位とに基づいて決定され、下地順位が原稿端順位に優先する。なお、原稿端順位を下地順位に優先させてもよい。
【0164】
図16は、高濃度領域候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。高濃度を領域候補決定処理は、図13に示した付加画像合成処理のステップS16において実行される処理である。図16を参照して、CPU111は、論理和高濃度領域を抽出する(ステップS51)。具体的には、図13のステップS11において複数の原稿画像それぞれから検出された高濃度領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で高濃度領域とされる領域を論理和高濃度領域として抽出する。次のステップS52においては、図13のステップS02において表示された付加画像設定画面において、ユーザにより文字領域の重畳が許可されているか否かを判断する。文字領域の重畳が許可されているならば処理をステップS53に進めるが、そうでなければ処理をステップS54に進める。ステップS53においては、高濃度領域候補を決定し、処理をステップS61に進める。具体的には、ステップS51において抽出された論理和高濃度領域から、付加画像を合成可能な領域を高濃度領域候補として決定する。付加画像を合成可能な複数の領域が存在すれば、複数の領域のすべてを高濃度領域候補に決定する。
【0165】
一方、ステップS54においては、論理和文字領域を抽出する。図13のステップS12において複数の原稿画像それぞれから検出された文字領域に基づいて、複数の原稿画像の1以上で文字領域とされる領域を論理和文字領域として抽出する。次のステップS55においては、図13のステップS02において表示された付加画像設定画面において、ユーザにより拡大設定が許可に設定されているか否かを判断する。拡大設定が許可に設定されているならば処理をステップS56に進めるが、そうでなければ処理をステップS60に進める。
【0166】
ステップS56においては、複数の原稿画像のいずれかに含まれる文字領域のうちに、移動可能な文字領域が存在するか否かを判断する。移動可能な文字領域とは、論理和高濃度領域に存在する文字領域を、論理和高濃度領域外に移動可能な文字領域をいう。複数の原稿画像のいずれかに含まれる文字領域のうちに移動可能な文字領域が存在するならば処理をステップS57に進めるが、そうでなければ処理をステップS58に進める。
【0167】
ステップS57においては、ステップS56において移動可能と判断された原稿画像の文字領域を移動させ、処理をステップS59に進める。移動させる文字領域が複数の原稿画像で重なる場合には、移動させる文字領域を含むすべての原稿画像において文字領域を移動させる。
【0168】
一方、ステップS58においては、複数の原稿画像のいずれかの文字領域を縮小し、処理をステップS59に進める。縮小の対象な文字領域は、論理和高濃度領域に存在する文字領域であればよい。ただし、文字領域を縮小した結果、論理和高濃度領域内の非文字領域が拡大しなければならないので、その文字領域と重なる文字領域を有する原稿画像のすべてにおいて文字領域を縮小する。
【0169】
ステップS59においては、論理和文字領域を更新し、処理をステップS60に進める。文字領域を移動した後の複数の原稿画像それぞれの文字領域に基づいて、ステップS54において抽出したのと同様にして論理和文字領域を抽出する。ステップS60においては、論理和文字領域以外の高濃度領域から付加画像を配置することが可能な領域を高濃度領域候補に決定し、処理をステップS61に進める。処理対象となる論理和文字領域は、処理がステップS55から進む場合には、ステップS54において抽出された論理和文字領域であり、処理がステップS59から進む場合には、ステップS59において更新された論理和文字領域である。
【0170】
ステップS61においては、処理がステップS53から進む場合にはステップS53において決定された1以上の高濃度領域候補、処理がステップS60から進む場合はステップS60において決定された1以上の高濃度領域候補のうち、複数の原稿画像中で高濃度領域となる原稿画像の数が多いものから順に高い優先順位を付与する。
【0171】
ステップS62においては、ステップS53において決定された1以上の高濃度領域候補、またはステップS60において決定された1以上の高濃度領域候補を原稿端に近いものから高い優先順位を付与し、処理をステップS63に進める。
【0172】
次のステップS63においては、候補位置を表示し、処理を付加画像合成処理に戻す。候補位置は、論理和高濃度領域中の高濃度領域候補の位置を示す。具体的には、論理和高濃度領域中にステップS53またはステップS60において決定された1以上の高濃度領域候補を優先順位を付して配置した選択画面を表示部103に表示する。優先順位は、ステップS61において付与された高濃度順位と、ステップS62において付与された原稿端順位とに基づいて決定され、高濃度順位が原稿端順位に優先する。なお、原稿端順位を高濃度順位に優先させてもよい。
【0173】
なお、上述した実施の形態においては、画像処理装置の一例としてMFP100を説明したが、図13〜図16に示した付加画像合成処理をMFP100に実行させるための付加画像合成法または、その付加画像合成法をコンピュータに実行させるための付加画像合成プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0174】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0175】
<付記>
(1) 複数ページの原稿を読み取って、複数の原稿画像を出力する原稿読取手段を、さらに備え、
前記原稿画像取得手段は、前期原稿読取手段が出力する複数の原稿画像を取得する、請求項1〜11のいずれかに記載の画像処理装置。
(2) 前記候補位置表示手段は、前記共通下地領域中の候補位置に前記付加画像を重畳した画像を表示する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
(3) 前記候補位置表示手段は、前記低濃度領域中の候補位置に前記付加画像を重畳した画像を表示する、請求項3〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
(4) 前記候補位置表示手段は、前記高濃度領域の候補位置に前記付加画像を重畳した画像を表示する、請求項7〜11のいずれかに記載の画像処理装置。

【符号の説明】
【0176】
10 ADF、20 原稿読取部、30 画像形成部、40 給紙部、50 条件設定部、51 原稿画像取得部、53 下地領域検出部、55 共通下地領域抽出部、57 下地領域候補決定部、59 非下地領域抽出部、61 共通下地領域拡大部、63 原稿端順位付与部、65 候補位置表示部、73 高濃度領域検出部、75 論理和高濃度領域抽出部、77 低濃度領域候補決定部、79 文字領域抽出部、81 非文字領域拡大部、83 論理和文字領域抽出部、85 下地順位付与部、87 高濃度領域候補決定部、89 高濃度順位付与部、91 選択部、93 付加画像取得部、95 合成部、100 MFP、101 メイン回路、103 表示部、105 操作部、111 CPU、112 通信I/F部、113 ROM、114 RAM、115 EEPROM、116 HDD、117 ファクシミリ部、118 ネットワークI/F、119 カードI/F、119A フラッシュメモリ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得手段と、
前記複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出する検出手段と、
前記複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出する抽出手段と、
付加画像を取得する付加画像取得手段と、
前記共通下地領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する下地領域候補決定手段と、
前記決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示手段と、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択手段と、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成する合成手段と、を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の原稿画像それぞれから下地領域以外の領域を抽出する非下地領域抽出手段と、
前記複数の原稿画像のいずれか1つの非下地領域を移動または縮小することにより、前記共通下地領域を拡大する共通下地領域拡大手段と、をさらに備え、
前記第1候補位置決定手段は、前記拡大された後の共通下地領域内に1以上の候補位置を決定する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項3】
複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得手段と、
前記複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出する論理和高濃度領域抽出手段と、
付加画像を取得する付加画像取得手段と、
前記抽出された論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する低濃度領域候補決定手段と、
前記決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示手段と、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択手段と、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成する合成手段と、を備えた画像処理装置。
【請求項4】
前記1以上の候補位置について、前記複数の原稿画像のうちで該候補領域が下地領域である原稿画像の数が多いほど高い優先順位を付与する下地順位付与手段をさらに備えた、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の原稿画像それぞれから文字領域を検出する文字領域検出手段と、
前記複数の原稿画像の1以上で文字領域として抽出された論理和文字領域を抽出する論理和文字領域抽出手段と、
前記低濃度領域候補決定手段は、前記低濃度領域内であって、前記論理和文字領域以外の非文字領域内に前記候補位置を決定する、請求項3または4に記載に画像処理装置。
【請求項6】
前記複数の原稿画像のいずれか1つの文字領域を移動または縮小することにより、前記非文字領域を拡大する非文字領域拡大手段と、をさらに備え、
前記低濃度領域候補決定手段は、前記拡大された後の非文字領域内に1以上の候補位置を決定する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数ページの原稿画像を取得する原稿画像取得手段と、
前記複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出する論理和高濃度領域抽出手段と、
付加画像を取得する付加画像取得手段と、
前記抽出された高濃度領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定する高濃度領域候補決定手段と、
前記決定された1以上の候補位置を表示する候補位置表示手段と、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択する選択手段と、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成する合成手段と、を備えた画像処理装置。
【請求項8】
前記1以上の候補位置について、前記複数の原稿画像のうちで該候補領域が前記高濃度領域である原稿画像の数が多いほど高い優先順位を付与する高濃度順位付与手段と、をさらに備えた、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の原稿画像それぞれから文字領域を抽出する文字領域抽出手段と、
前記複数の原稿画像の1以上から抽出された文字領域となる論理和文字領域を抽出する論理和文字領域抽出手段と、
前記高濃度領域候補決定手段は、前記抽出された高濃度領域内であって、前記論理和文字領域以外の非文字領域内に前記候補位置を決定する、請求項7または8に記載に画像処理装置。
【請求項10】
前記複数の原稿画像のいずれか1つの文字領域を移動または縮小することにより、前記非文字領域を拡大する非文字領域拡大手段と、をさらに備え、
前記高濃度領域候補決定手段は、前記拡大された後の非文字領域内に1以上の候補位置を決定する、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記決定された1以上の候補位置を、原稿の端部に近いほど高い優先順位を付与する端部順位付与手段をさらに備えた、請求項1〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
複数ページの原稿画像を取得するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出するステップと、
前記複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出するステップと、
付加画像を取得するステップと、
前記共通下地領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、
前記決定された1以上の候補位置を表示するステップと、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成するステップと、を含む付加画像合成方法。
【請求項13】
複数ページの原稿画像を取得するステップと、
前記複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、
付加画像を取得するステップと、
前記抽出された論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、
前記決定された1以上の候補位置を表示するステップと、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成するステップと、を含む付加画像合成方法。
【請求項14】
複数ページの原稿画像を取得するステップと、
前記複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、
付加画像を取得するステップと、
前記抽出された高濃度領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、
前記決定された1以上の候補位置を表示するステップと、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成するステップと、を含む付加画像合成方法。
【請求項15】
複数ページの原稿画像を取得するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの下地領域を検出するステップと、
前記複数の原稿画像で共通する共通下地領域を抽出するステップと、
付加画像を取得するステップと、
前記共通下地領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、
前記決定された1以上の候補位置を表示するステップと、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成するステップと、をコンピュータに実行させる付加画像合成プログラム。
【請求項16】
複数ページの原稿画像を取得するステップと、
前記複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、
付加画像を取得するステップと、
前記抽出された論理和高濃度領域以外の低濃度領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、
前記決定された1以上の候補位置を表示するステップと、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成するステップと、をコンピュータに実行させる付加画像合成プログラム。
【請求項17】
複数ページの原稿画像を取得するステップと、
前記複数の原稿画像の1以上で画像の濃度が所定の値以上の論理和高濃度領域を抽出するステップと、
付加画像を取得するステップと、
前記抽出された高濃度領域内に、前記取得された付加画像を付加するための1以上の候補位置を決定するステップと、
前記決定された1以上の候補位置を表示するステップと、
前記1以上の候補位置のうちから1つを選択するステップと、
前記複数の原稿画像それぞれの前記選択された候補位置に前記付加画像を合成するステップと、をコンピュータに実行させる付加画像合成プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−250251(P2011−250251A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122606(P2010−122606)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】