説明

画像処理装置、制御方法、および制御プログラム

【課題】誤操作を抑えつつ、直感的な操作でファイルに対する動作を実行させることを可能とする画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、タッチパネルである操作パネル15とCPU10とを備え、CPU10は、処理対象のファイルを特定するための第1の特定部103と、実行する動作を特定するための第2の特定部106と、処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するための判断部107と、判断結果を表示するための表示部108とを含む。第1の特定部および第2の特定部のうちのいずれかの特定部が先に該当する操作を検出してファイルまたは動作を特定した場合、次に他方の特定部に該当する操作が検出されると、ファイルまたは動作の特定が完了するよりも以前に、判断の結果が表示装置に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、制御方法、および制御理プログラムに関し、特に、タッチパネルを有する画像処理装置、該画像処理装置の制御方法、および該画像処理装置を制御するための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や音楽再生機などの分野において、タッチパネルを有する機器が増えている。操作入力装置としてタッチパネルを利用することで、ユーザーは直感的な動作で機器に対する操作入力を行なうことが可能になるという利点がある。
【0003】
その一方で、タッチパネルに表示されたボタンなどの領域を指等でタッチして操作入力を行なうことから、誤操作の可能性もある。特に、携帯電話機などの小型の機器においてはタッチパネルの面積も制限されることから選択肢となる領域が小さかったり隣接する選択肢となる領域との隙間が小さかったりし、誤操作の可能性は高まる。
【0004】
この問題に対し、たとえば特開2005−44026号公報(以下、特許文献1)は複数の領域にまたがるタッチ操作を検知すると、その近傍のアイコン画像を拡大表示して、再度、拡大表示されたアイコン画像での操作を受け付ける技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−44026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法では、複数領域にまたがるタッチ操作が検知されるたびに拡大画像が表示されて再操作が必要となることから操作が煩雑になり、直感的な動作で操作入力を行なうことができないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、誤操作を抑えつつ、直感的な操作でファイルに対する動作を実行させることを可能とする画像処理装置、制御方法、および制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像処理装置は、タッチパネルと、表示装置と、タッチパネルでのタッチ位置に基づく処理を行なうための処理手段とを備える。処理手段は、タッチパネルを用いた第1の操作を検出することで、第1の操作でのタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定するための第1の特定手段と、タッチパネルを用いた第2の操作を検出することで、第2の操作でのタッチ位置に基づいて実行する動作を特定するための第2の特定手段と、処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するための判断手段と、表示装置に判断手段での判断結果を表示するための表示手段と、処理対象のファイルに対して特定された動作を実行するための実行手段とを含む。第1の特定手段および第2の特定手段のうちのいずれかの特定手段が、先に第1の操作または第2の操作を検出してファイルまたは動作を特定した場合、次に他方の操作が検出されると、ファイルまたは動作の特定が完了するよりも以前に、判断の結果が表示装置に表示される。
【0009】
好ましくは、第1の特定手段および第2の特定手段は、第1の操作または第2の操作の完了時のタッチ位置に基づいてファイルまたは動作を確定し、実行手段は、判断手段において、確定された処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正でないと判断された場合には処理対象のファイルに対して特定された動作を実行せず、確定された組み合わせが適正であると判断された場合に処理対象のファイルに対して特定された動作を実行する。
【0010】
好ましくは、判断手段は、当該画像処理装置で実行可能な動作ごとに当該動作の対象に関する情報を予め記憶している。
【0011】
好ましくは、上記他方の操作は第2の操作であって、第2の特定手段は、第2の操作の開始が検出されると少なくとも第2の操作の開始時のタッチ位置に基づいて動作を特定し、第2の操作の完了が検出されると少なくとも第2の操作の開始時のタッチ位置と完了時のタッチ位置とに基づいて動作を特定し、判断手段は、第1の特定手段で特定された処理対象のファイルに対して、少なくとも第2の操作の開始時のタッチ位置に基づいて第2の特定手段で特定された動作、および少なくとも第2の操作の開始時のタッチ位置と完了時のタッチ位置とに基づいて第2の特定手段で特定された動作が、適正であるか否かを、それぞれの特定された動作について判断する。
【0012】
好ましくは、上記他方の操作は第1の操作であって、第1の特定手段は、第1の操作の開始が検出されると少なくとも第1の操作の開始時のタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定し、第1の操作の完了が検出されると少なくとも第1の操作の開始時のタッチ位置と完了時のタッチ位置とに基づいて処理対象のファイルを特定し、判断手段は、第2の特定手段で特定された動作が、少なくとも第1の操作の開始時のタッチ位置に基づいて第1の特定手段で特定された処理対象のファイル、および少なくとも第1の操作の開始時のタッチ位置と完了時のタッチ位置とに基づいて第1の特定手段で特定された処理対象のファイルに対して適正であるか否かを、それぞれの特定された処理対象のファイルについて判断する。
【0013】
好ましくは、画像処理装置は他の装置と通信するための通信手段をさらに備え、第1の特定手段または第2の特定手段に替えて、他の装置において当該他の装置のタッチパネルを用いた操作によって特定された処理対象のファイルまたは動作を特定する情報を取得するための取得手段をさらに備える。
【0014】
好ましくは、第1の操作は、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する操作であり、第2の操作はタッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する操作である。
【0015】
本発明の他の局面に従うと、制御方法はタッチパネルを有する画像処理装置にファイルに対する動作を実行させるための画像処理装置の制御方法であって、タッチパネルを用いた第1の操作を検出することで、第1の操作でのタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定するステップと、タッチパネルを用いた第2の操作を検出することで、第2の操作でのタッチ位置に基づいて実行する動作を特定するステップと、処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するステップと、表示装置に判断結果を表示するステップと、処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正であると判断された場合に、処理対象のファイルに対して特定された動作を実行するステップとを備える。ファイルを特定するステップおよび動作を特定するステップのうちのいずれかのステップが、先に第1の操作または第2の操作を検出してファイルまたは動作を特定した場合、次に他方の操作が検出されると、ファイルまたは動作の特定が完了するよりも以前に、判断の結果が表示装置に表示される。
【0016】
本発明のさらに他の局面に従うと、制御プログラムはタッチパネルを有する画像処理装置にファイルに対する動作を実行させるためのプログラムであって、タッチパネルを用いた第1の操作を検出することで、第1の操作でのタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定するステップと、タッチパネルを用いた第2の操作を検出することで、第2の操作でのタッチ位置に基づいて実行する動作を特定するステップと、処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するステップと、表示装置に判断結果を表示するステップと、処理対象のファイルと特定された動作との組み合わせが適正であると判断された場合に、処理対象のファイルに対して特定された動作を実行するステップとを画像処理装置に実行させる。ファイルを特定するステップおよび動作を特定するステップのうちのいずれかのステップが、先に第1の操作または第2の操作を検出してファイルまたは動作を特定した場合、次に他方の操作が検出されると、ファイルまたは動作の特定が完了するよりも以前に、判断の結果が表示装置に表示される。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、誤操作を抑えつつ、直感的な操作でファイルに対する動作を実行させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態にかかる画像処理システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】画像処理システムに含まれるMFPのハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図3】画像処理システムに含まれる携帯端末のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図4】画像処理システムに含まれるサーバーのハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図5】MFPの操作パネルに表示される機能一覧画面の具体例を示す図である。
【図6】「つまむ」操作を説明するための図である。
【図7】「離す」操作を説明するための図である。
【図8】MFPの操作パネルでの表示画面の具体例を示す図である。
【図9】MFPの操作パネルでの表示画面の具体例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態にかかるMFPの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図11】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図12】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図13】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図14】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図15】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図16】MFPでの動作の具体例を示すフローチャートである。
【図17】変形例にかかるMFPの操作パネルでの表示画面の具体例を示す図である。
【図18】変形例にかかるMFPの操作パネルでの表示画面の具体例を示す図である。
【図19】第2の実施の形態にかかる画像処理システムでの動作の流れを表わした図である。
【図20】第2の実施の形態にかかる携帯端末の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図21】第2の実施の形態にかかるサーバーの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図22】第2の実施の形態にかかるMFPの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図23】変形例1にかかるMFPの操作パネルでの表示画面の具体例を示す図である。
【図24】変形例2にかかるMFPの操作パネルでの表示画面の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0020】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる画像処理システムの構成の具体例を示す図である。
【0021】
図1を参照して、本実施の形態にかかる画像処理システムは、画像処理装置の一例としてのMFP(multi-function peripheral)100と、端末装置として携帯端末300と、サーバー500とを含み、これらがLAN(Local Area Network)などのネットワークで接続されている。
【0022】
ネットワークは有線であっても無線であってもよい。一例として、図1に示されるように、MFP100とサーバー500とが有線LANに接続され、該有線LANにさらに無線LANアクセスポイント700が含まれ、携帯端末300が無線LANアクセスポイント700と無線LANで接続されている例が挙げられる。
【0023】
画像処理装置は操作入力を受け付けるための構成としてタッチパネルを有するものであればMFPに限定されず、どのような画像処理装置であってもよい。他の例として、複写機、プリンター、ファクシミリ装置などであってもよい。
【0024】
携帯端末300は操作入力を受け付けるための構成としてタッチパネルを有するものであればどのような装置であってもよい。たとえば、タッチパネルを備えた携帯電話機、パーソナルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistants)、音楽再生機であってもよいし、MFPなどの画像処理装置であってもよい。
【0025】
<MFPの構成>
図2は、MFP100のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0026】
図2を参照して、MFP100は、全体を制御するための演算装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM(Read Only Memory)11と、CPU10でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM(Random Access Memory)12と、図示しない原稿台に載置された原稿を光学的に読み取って画像データーを得るためのスキャナー13と、画像データーを印刷用紙上に固定するためのプリンター14と、情報を表示したり当該MFP100に対する操作入力を受け付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル15と、画像データーをファイルとして保存するためのメモリー16と、上記ネットワークを介した通信を制御するためのネットワークコントローラー17とを含む。
【0027】
操作パネル15は、図示しないタッチパネルと操作キー群とを含む。タッチパネルは、液晶表示装置などの表示装置と光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成され、操作画面を表示して、その操作画面上の指示位置を特定する。CPU10は予め記憶されている画面表示をさせるためのデーターに基づいてタッチパネルに操作画面を表示させる。
【0028】
特定されたタッチパネル上での指示位置(タッチされた位置)や、押下されたキーを示す操作信号はCPU10に入力される。CPU10は押下されたキー、または表示している操作画面と指示位置とから操作内容を特定し、それに基づいて処理を実行する。
【0029】
<携帯端末の構成>
図3は、携帯端末300のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0030】
図3を参照して、携帯端末300は、全体を制御するための演算装置であるCPU30と、CPU30で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM31と、CPU30でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM32と、画像データーをファイルとして記憶したり他の情報を記憶したりするためメモリー33と、情報を表示したり当該携帯端末300に対する操作入力を受け付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル34と、図示しない基地局との通信を制御するための通信コントローラー35と、上記ネットワークを介した通信を制御するためネットワークコントローラー36とを含む。
【0031】
操作パネル34は、MFP100の操作パネル15と同様の構成であってよい。すなわち、一例として、液晶表示装置などの表示装置と光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成されたタッチパネルを含む。
【0032】
CPU30は予め記憶されている画面表示をさせるためのデーターに基づいてタッチパネルに操作画面を表示させる。タッチパネルでは操作画面上の指示位置が特定され、その位置を示す操作信号がCPU30に入力される。CPU30は表示している操作画面と指示位置とから操作内容を特定し、それに基づいて処理を実行する。
【0033】
<サーバーの構成>
図4は、サーバー500のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0034】
図4を参照して、サーバー500は上述のように一般的なコンピューター等によって構成されるものであり、一例として、全体を制御するための演算装置であるCPU50と、CPU50で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM51と、CPU50でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM52と、ファイルなどを記憶するためのHD(Hard Disk)53と、上記ネットワークを介した通信を制御するためのネットワークコントローラー54とを含む。
【0035】
[第1の実施の形態]
<動作概要>
第1の実施の形態にかかる画像処理システムでは、MFP100が操作パネル15での操作に従って、いわゆるボックスと呼ばれるユーザーやユーザーグループと関連付けられているメモリー16の所定領域に格納されているファイルや図示しない外部メモリーにアクセスして該外部メモリーから読み出したファイルに対して印刷等の処理を行なう。
【0036】
このとき、ユーザーは、操作パネル15上で対象とするファイルを示すアイコンや該ファイルが格納されている格納場所を示すアイコンに対して「つまむ」操作を行なうことでそのファイルを処理対象のファイルとして指定する。
【0037】
MFP100は、この操作を受け付けることで、対象とされたファイルを特定し、処理対象のファイルとして予め規定されている一時的な記憶領域に保持する。
【0038】
ユーザーは、操作パネル15の表示を機能一覧画面に遷移させる。図5はMFP100の操作パネル15に表示される機能一覧画面の具体例を示す図である。一例として、該画面には、MFP100で可能な処理を示すアイコンとして、印刷処理を実行させるためのアイコン、スキャン動作を実行させるためのアイコン、画像データーをメールで送信する動作を実行させるためのアイコン、画像データーをサーバーに送信して保存させる動作を実行させるためのアイコン、画像データーをファクシミリ送信する動作を実行させるためのアイコン、ウェブサイトを表示させるためのブラウザアプリケーションを起動させるためのアイコン、および画像データーをメモリー16の所定領域であるフォルダに格納する動作を実行させるためのアイコンが表示される例が示されている。
【0039】
この中で、たとえば「印刷アイコン」などの実行させる処理を示すアイコンに対して「離す」操作を行なうことで、ユーザーは指定したファイルに対して実行させる処理を指定する。
【0040】
なお、以降の説明では、「つまむ」操作と「離す」操作とで、処理対象のファイルと動作とを指定するものとしている。
【0041】
しかしながら、この指定するための操作は必ずしも「つまむ」操作と「離す」操作とに限定されるものではない。少なくともこれら操作のうちの一方が、タッチパネルである操作パネルにタッチから開始される操作であって、所定の連続した動作による操作であれば、つまり、タッチから開始される一連の操作であれば、他の操作であってもよい。ここでの「連続した動作」は、最初のタッチ位置からタッチ状態を保持したままタッチ位置を移動させる動作も、タッチ状態が解除されて複数回のタッチを含む動作も含む。前者の動作としては、以下に説明するような「つまむ」操作、「離す」操作、「なぞる」操作、などが該当し、後者の動作としては、複数回のタップ操作などが該当する。
【0042】
ここで、上述のつまむ操作および離す操作について説明する。
図6は、「つまむ」操作を説明するための図である。図6を参照して、「つまむ」操作とは、たとえば2本の指などを用いて操作パネル上の2点P1、P2を指定し、続いて、その位置から直線状または略直線状に指を近づけ、近づいた位置である2点P’1、P’2で2本の指を操作パネルから離す操作を指す。
【0043】
CPUは、操作パネル上の2点P1、P2が同時に指示され、さらに、それぞれの位置から連続して直線状または略直線状に位置が変化し、元の2点間の間隔よりも短い間隔である2点P’1、P’2で両指定がほぼ同時に解除されたことが検出されると、「つまむ」操作がなされたと検出する。
【0044】
図7は、「離す」操作を説明するための図である。図7を参照して、「離す」操作とは、たとえば2本の指などを用いて操作パネル上の2点Q1、Q2を指定し、続いて、その位置から直線状または略直線状に指を遠ざけ、ある程度離れた位置である2点Q’1、Q’2で2本の指を操作パネルから離す操作を指す。
【0045】
CPUは、操作パネル上の2点Q1、Q2が同時に指示され、さらに、それぞれの位置から連続して直線状または略直線状に位置が変化し、元の2点間の間隔よりも長い間隔である2点Q’1、Q’2で両指定がほぼ同時に解除されたことが検出されると、「離す」操作がなされたと検出する。
【0046】
「つまむ」操作および「離す」操作の具体的な内容は、以降に説明する他の実施の形態でも同様であるものとする。
【0047】
MFP100は、操作パネル15で離す操作を受け付けることで、離す操作の対象とされた動作を特定する。特定された処理が処理対象のファイルとして保持されたファイルに対して実行可能な処理である場合、保持されたファイルに対して当該処理を実行する。
【0048】
このとき、図8に示されるように、MFP100の操作パネル15には、実行する画像処理を報知する情報が表示される。図8の例では、「印刷アイコン」が離す操作で指定されたと特定されて、「ファイルを印刷します」と記載されたポップアップ表示が指定されたアイコンの近傍になされる例が示されている。もちろん、その他の方法で動作が実行されることや、実行される動作の内容などを報知するようにしてもよい。たとえば、表示に限定されず、音声やランプ点灯などであってもよい。
【0049】
一方で、MFP100では、離す操作の対象と特定された動作が指定されたファイルに対する処理に適さないものである場合、当該ファイルに対する処理は実行しない。
【0050】
このとき、図9に示されるように、MFP100の操作パネル15には、指定された動作が実行できない旨の警告が表示される。図9の例では、「印刷アイコン」に隣接する「スキャンアイコン」が離す操作で指定されたと特定されて、「この機能は利用できません」と記載されたポップアップ表示が指定されたアイコンの近傍になされる例が示されている。もちろん、この場合も、その他の方法で動作が実行できないことや、指定された動作の内容などを報知するようにしてもよい。またこの場合も、表示に限定されず、音声やランプ点灯などであってもよい。
【0051】
<機能構成>
図10は、上記動作を実行するための、第1の実施の形態にかかるMFP100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図10に示される各機能は、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行することで、主にCPU10に形成される機能である。しかしながら、少なくとも一部の機能が図2に示されたハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0052】
図10を参照して、メモリー16には、上述の記憶領域であるボックス161と、指定されたファイルを一時的に保持するための保持領域162が含まれる。
【0053】
さらに図10を参照して、CPU10は、操作パネル15での指示を示す操作信号の入力を受け付けるための入力部101と、操作信号に基づいて上述のつまむ操作や離す操作を検出するための検出部102と、操作信号で表わされた指定された位置に基づいてつまむ操作で指定されたアイコンが表わすファイルを特定するための第1の特定部103と、特定されたファイルをボックス161から読み出して取得するための取得部104と、該ファイルをメモリー16の保持領域162に格納するための格納部105と、操作信号で表わされた指定された位置に基づいて離す操作で指定されたアイコンが表わす動作を特定するための第2の特定部106と、当該動作が指定されたファイルを処理可能な動作であるか否かを判断するための判断部107と、その判断に従って操作パネル15での表示を行なうための表示部108と、処理可能な動作である場合に指定されたファイルに対して特定された動作を実行するための実行部109とを含む。
【0054】
なお、この例の場合、ボックス161に記憶されているファイルの中から処理対象のファイルが指定されるものとしている。そのため、取得部104はボックス161にアクセスして当該ボックス161から指定されたファイルを取得するものとしている。しかしながら、上述のように、図示しない外部メモリーに記憶されたファイルの中から指定されてもよいし、携帯端末300などの他の装置に記憶されたファイルの中から指定されてもよい。その場合、取得部104は、ネットワークコントローラー17を介して他の記憶媒体や装置にアクセスしてファイルを取得する機能を有してもよい。
【0055】
第1の特定部103は、つまむ操作の最初に指定された2点(図6の2点P1、P2)と最後に指定された2点(図6の2点P’1、P’2)との少なくとも一方に基づいて定義される範囲に表示されるアイコンを、つまむ操作で指定されたアイコンとして特定する。
【0056】
第1の特定部103での、つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法は特定の方法に限定されない。図11〜図15は、第1の特定部103での、つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【0057】
一例として第1の特定部103は、図11に示されるように、最初に指定された2点P1、P2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その中に少なくとも一部が含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。または、図12に示されるように、最初に指定された2点P1、P2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その矩形内に完全に含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。このように特定されることで、ユーザーは意図するアイコンを挟むように2本の指を操作パネル15にタッチさせ、その状態からつまむ操作のための動作を行なうことで、当該意図するアイコンを直感的に指定することができる。また、アイコン画像が小さい場合であっても、正確に指定することが可能となる。
【0058】
他の例として第1の特定部103は、図13に示されるように、最後に指定された2点P’1、P’2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その中に少なくとも一部が含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。または、図14に示されるように、最後に指定された2点P’1、P’2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その矩形内に完全に含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。このように特定されることで、ユーザーは意図するアイコンが最後に2本の指の間に挟まれるように、それよりも広く離して2本の指を操作パネル15にタッチさせた後に近づけることで、当該意図するアイコンを直感的に指定することができる。また、アイコン画像が小さい場合であっても、正確に指定することが可能となる。
【0059】
他の例として第1の特定部103は、図15に示されるように、最初に指定された2点P1、P2から最後に指定された2点P’1、P’2までを結ぶ2本の線をつまむ操作で定義される範囲と特定し、いずれかの線が重なるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。このように特定されることで、ユーザーは意図するアイコンをつまむように2本の指を移動させることで、当該意図するアイコンを直感的に指定することができる。また、アイコン画像が小さい場合であっても、正確に指定することが可能となる。
【0060】
メモリー16の保持領域162は、つまむ操作で特定されたファイルが一時的に記憶される。この「一時的」な期間はたとえば24時間などと予め設定されており、その期間を経過しても当該ファイルに対する画像処理が実行されない場合には、CPU10は、メモリー16の所定領域から削除するようにしてもよい。
【0061】
さらに、上記一時的な期間内に当該ファイルに対する画像処理が実行されない場合には、CPU10は、メモリー16の所定領域からの削除に替えて、または削除に加えて、指定されたファイルに対して画像処理が実行されなかった旨を表わす警告を操作パネル15に表示させてもよい。
【0062】
第2の特定部106でも、図11〜図15で説明された方法と同様に、指の移動方向のみ逆になる方法(指が遠ざかる方向へ移動)で、離す操作によって指定されるアイコンを特定する。
【0063】
なお、第2の特定部106は、図11〜図15に表わされたいずれかの方法で指定されるアイコンを特定する際に、操作パネル15上の2点のタッチ(図7の2点Q1,Q2)を受け付け、そのタッチ位置が連続的に移動した時点で、リアルタイムに最初の2点Q1,Q2と移動後の2点とで定義される範囲に基づいて離す操作で指定されるアイコンを特定する。すなわち、第2の特定部106は、移動後に操作パネル15上の2点のタッチが解除されるまでの間、規定された時間間隔でリアルタイムで、最初の2点Q1,Q2と移動後の2点とで定義される範囲に基づいてアイコンを特定する。そのため、1回の離す操作の途中で、特定されるアイコンが変化する場合もある。
【0064】
このとき、少なくとも最初の2点Q1,Q2を用いてアイコンを特定する。一例として、最初の2点Q1,Q2の中点に最も近いアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。他の例として、いずれか一方の点に最も近いアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。
【0065】
さらに、第2の特定部106は、移動後のタッチの解除を検出することで離す操作の終了も検出し、終了時のタッチ位置(図7の2点Q1’,Q2’)を用いて最終的に指定されたアイコンを特定する。
【0066】
判断部107はつまむ操作の対象とされた動作を特定する情報が第2の特定部106から入力されるごとに、当該動作が指定されたファイルに対する動作に適したものであるか否かを判断する。
【0067】
判断部107は、特定された動作が指定されたファイルに適した動作であるか否かを判断するために対応テーブル71を記憶している。対応テーブル71には動作ごとの対象に関する情報が規定されている。たとえば、印刷動作やファクシミリ送信操作などに対してはファイル、テキストファイルなどが規定されており、スキャン動作やブラウザ起動動作などに対して対象となる情報がないと規定されている。
【0068】
たとえば、印刷動作が特定された場合、対応テーブル71において印刷動作に対してファイルやテキストファイルが規定されていることから、指定されたファイルが含まれ、その動作が当該ファイルに対する動作に適したものであると判断される。
【0069】
一方、スキャン動作が特定された場合、対応テーブル71においてスキャン動作に対して対象となる情報が規定されていることから指定されたファイルは該当せず、その動作が当該ファイルに対する動作に適したものではないと判断される。
【0070】
判断部107は、判断の度に判断結果を表示部108に入力する。表示部108は、その判断結果に従って図8または図9に示されたような表示を行なう。このとき、好ましくは、離す操作でタッチされている2点を対角とする範囲にポップアップ表示を行なわせる。そのため、離す操作に伴って該ポップアップ表示が徐々に大きくなる。
【0071】
上述のように、第2の特定部106では離す操作に伴ってリアルタイムに離す操作で指定されたアイコンを特定するために、特定される動作が離す操作の途中で変化する場合もある。そのため、表示部108によってされる報知画面(ポップアップ表示)は離す操作に伴って変化する場合がある。
【0072】
また、上述のように、第2の特定部106では離す操作に伴ってリアルタイムに離す操作で指定されたアイコンを特定するために、特定される動作が離す操作の途中で変化する場合もある。そのため、判断部107は、離す操作の終了時のタッチ位置(図7の2点Q1’,Q2’)を用いて最終的に特定された動作での判断結果が特定された動作が指定されたファイルの処理に適したものである場合に、実行部109に対して当該動作の実行を指示する。
【0073】
<動作フロー>
図16は、MFP100での動作の具体例を示すフローチャートである。図16のフローチャートに示される動作は、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行し、図10の各機能を発揮させることによって実現される。
【0074】
図16を参照して、CPU10は、操作パネル15にファイル一覧画面が表示されている状態においてつまむ操作がなされたことを検出すると(ステップS101でYES)、ステップS103でつまむ操作の対象とされたアイコンを特定することで指定されたファイルを特定する。当該ファイルは処理対象のファイルとしてメモリー16の保持領域162に一時的に保持される。
【0075】
CPU10は、操作パネル15に機能一覧画面が表示されている状態において離す操作が開始されたことを検出すると(ステップS105でYES)、ステップS107で離す操作開始時のタッチ位置と判断時のタッチ位置とから離す操作の対象とされるアイコンを特定することで指定された動作を特定する。
【0076】
なお、CPU10は、メモリー16の保持領域162にファイルが保持されているときに離す操作が検出されると上記ステップS107の処理へ進み、指定された動作を特定するようにしてもよい。
【0077】
CPU10は、上記ステップS107で特定された動作が上記ステップS103で指定されたファイルに対する動作として適した動作であるか否かを判断する。その結果、適した動作である場合には(ステップS109でYES)、ステップS111でCPU10は、たとえば図8のような画面表示を行なって、動作可能であることを報知する。適した動作でない場合には(ステップS109でNO)、ステップS113でCPU10は、たとえば図9のような画面表示を行なって、指定された動作を行なうことができない旨の警告を発する。
【0078】
CPU10は、上記ステップS107〜S113を離す操作の終了が検出するまで、予め規定された間隔で繰り返す。これによって、離す操作に伴って指定された動作の適否が操作パネル15に表示されることになる。
【0079】
離す操作の終了が検出されると(ステップS115でYES)、ステップS117でCPU10は、離す操作の終了時のタッチ位置に基づいて動作を特定し、その動作が指定されたファイルに対して適した動作であるか否かを最終的に判断する。
【0080】
その結果、適した動作である場合には(ステップS119でYES)、ステップS121でCPU10は、たとえば図8のような画面表示を行なって、動作可能であることを報知すると共に、ステップS123で指定されたファイルに対して特定された動作を実行する。このとき、実行の可否を選択するためのボタン等を操作パネル15に表示して、最終的な指示入力を受け付けてから当該動作を実行するようにしてもよい。
【0081】
適した動作でない場合には(ステップS119でNO)、ステップS125でCPU10は、たとえば図9のような画面表示を行なって、指定された動作を行なうことができない旨の警告を発した後、処理を上記ステップS105に戻して、再度の離す操作の検出を待機する。
【0082】
<第1の実施の形態の効果>
第1の実施の形態にかかるMFP100においてこのような動作がなされることで、ユーザーが意図しない動作がなされることを防止することができる。
【0083】
特に、MFPなどの表示領域の制約された操作パネルにアイコンが表示される場合、アイコンの面積が小さかったり、アイコン間が狭かったりするため、意図するアイコンに隣接したアイコンなど、離す操作によって意図しないアイコンが選択されてしまう場合もある。そのような場合であっても、指定されたファイルに対する動作として適さない動作である場合にはその動作がなされることなく、誤操作を防ぐことができる。
【0084】
また、MFP100では、離す操作に伴ってその動作が適しているか否かが表示されるため、離す操作の途中でその方向を調整するなどして、適正なアイコンが指定されるようにすることができる。そのため、再度操作する必要を抑えることができ、操作性を向上させることができる。
【0085】
<変形例>
なお、上の例では、つまむ操作で対象のファイルを指定した後に離す操作で実行させる動作を指定するものとしている。しかしながら、指定の順はこの順に限定されず、逆であってもよい。すなわち、先に動作が指定され、その後にファイルが指定されてもよい。その場合、つまむ操作、離す操作は上の例とは逆であってもよい。これは、後述する他の実施の形態でも同様である。
【0086】
さらに、上の例では、指定された動作が実行可能である場合、図8に表わされたように、その旨が表示されるものとしている。上述したように、実行させる動作を指定するための離す操作はつまむ操作で対象のファイルを指定するタイミングと異なるタイミングでなされるため、離す操作を行なう際に対象として指定したファイルが表示されていない。
【0087】
そこで、変形例にかかるMFP100は、図17のように、離す操作によって指定されたアイコンの近傍に、先のつまむ操作で指定されたファイルを表わす情報を表示するようにしてもよい。図17の例では、「印刷アイコン」を指定するための離す操作に連動させて、その2点のタッチ位置の間に、先のつまむ操作で指定されたファイルを表わすアイコン(図17の例ではPDFアイコン)が表示されている。好ましくは、CPU10は、当該アイコンを離す操作でのタッチ位置の移動に伴ってサイズを変形させながら表示させる。
【0088】
また、特定された動作が指定されたファイルに対する動作として適した動作でないと判断された場合にも、変形例にかかるMFP100は、図18のように、先のつまむ操作で指定されたファイルを表わすアイコン(図18の例ではPDFアイコン)を表示しつつ、さらに、その動作を行なうことができない旨の警告を表示する。好ましくは、このとき、図18に表わされたように、つまむ操作で指定されたファイルを表わすアイコンに対しても動作ができない旨の表示(図18の例では禁止マーク)を付加して表示させる。
【0089】
このようにすることで、離す操作の時点で、先のつまむ操作で指定されたファイルを確認することができ、ユーザーの操作性をより高めることができる。
【0090】
[第2の実施の形態]
<動作概要>
第1の実施の形態では、MFP100において対象とするファイルと、当該ファイルに対する動作との両方が指定されるものとしているが、それらが異なる装置で指定されて、MFP100にその情報が送信されるようにしてもよい。
【0091】
一例として、第2の実施の形態にかかる画像処理システムでは、携帯端末300の操作パネル34でのつまむ操作で処理対象のファイルを特定し、MFP100の操作パネル15での離す操作で実行させる処理を指定する。
【0092】
図19は、第2の実施の形態にかかる画像処理システムでの動作の流れを表わした図である。
【0093】
図19を参照して、携帯端末300の操作パネル34にファイル一覧を表示する画面が表示されている状態でつまむ操作がなされると(ステップS11)、ステップS12で携帯端末300において指定されたファイルが特定され、ステップS13で少なくともそのファイルを特定する情報を含む情報がサーバー500に対して送信される。以降の説明において、この情報を「つまむ情報」とも称する。
【0094】
つまむ情報に含まれるファイルを特定する情報として、たとえばファイル名が挙げられる。つまむ情報には、ファイルを特定する情報の他、たとえば当該つまむ操作を行なったユーザーを特定する情報としてたとえば携帯端末300に対応付けられたユーザー情報やログイン情報などが含まれてもよいし、携帯端末300の固有情報が含まれてもよい。
【0095】
サーバー500はこの情報を受信すると、ステップS21でメモリー55の所定領域に格納する。
【0096】
MFP100の操作パネル15に機能一覧画面(図5)が表示されている状態で離す操作がなされると(ステップS31)、ステップS32でMFP100において指定された動作が特定される。この離す操作を受けて、ステップS33でMFP100は、サーバー500に対して指定されたファイルに関して問い合わせる。ここで、この問い合わせに含めて、当該離す操作を行なったユーザーを特定する情報や、先につまむ操作を行なった携帯端末300を特定する情報を併せて送信するようにしてもよい。上記ユーザー情報としては、たとえば離す操作がなされた際のログイン情報などが該当する。
【0097】
サーバー500はこの問い合わせを受け付けると、上記ステップS21で格納されたつまむ情報を参照して対象のファイルを特定し、ステップS22でそのファイルに関する情報をファイル情報として送信する。ファイル情報は、MFP100において当該ファイルに対して指定された動作が適しているか否かを判断可能な情報であって、たとえば、「ファイル種類」「ファイル名」「格納日」などが該当する。
【0098】
なお、このとき、サーバー500において、上記問い合わせに併せて送信されたユーザー情報などと、つまむ情報に含まれたユーザー情報などとを用いて認証を行なってもよい。そして、認証成功の場合にファイル情報を送信するようにしてもよい。
【0099】
また、複数のつまむ情報が格納されている場合、上記問い合わせに併せて送信されたユーザー情報などを用いて該当するつまむ情報を抽出してもよい。
【0100】
上記ファイル情報を受信すると、MFP100はステップS34で、上記ステップS32で特定された動作が指定されたファイルに対する動作として適しているか否かを判断する。そして、その結果適していると判断された場合にはステップS35でサーバー500に対して指定されたファイルを要求し、その要求に応じてステップS23でサーバー500からMFP100に対して該ファイルが送信される。
【0101】
また、ステップS36でMFP100では、上記判断の結果が操作パネル15に表示される。そして、ステップS37で当該ファイルに対して指定された動作が実行される。
【0102】
<機能構成>
図20〜図22は、それぞれ、上記動作を実行するための携帯端末300、サーバー500、およびMFP100の機能構成の具体例を示すブロック図である。これら機能は、それぞれのCPUがROMに記憶されるプログラムを読み出してRAM上で実行することで、主にCPUに形成される機能である。しかしながら、少なくとも一部の機能が図に示されたハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0103】
なお、上に説明されたように、第2の実施の形態にかかる画像処理システムでは、第1の実施の形態にかかるMFP100での動作を携帯端末300、サーバー500、およびMFP100が連携して実現するものである。そのため、これら装置の機能は、概ね、図10に示された第1の実施の形態にかかるMFP100の機能構成をこれら装置で分担したものであって、一部、これら装置の間でやり取りするための機能が追加されたものである。
【0104】
詳しくは、図20を参照して、携帯端末300のCPU30は、操作パネル34での指示を示す操作信号の入力を受け付けるための入力部301と、操作信号に基づいて上述のつまむ操作を検出するための検出部302と、操作信号で表わされた指定された位置に基づいてつまむ操作で指定されたアイコンが表わすファイルを特定するための第1の特定部303と、特定されたファイルを表わす情報を含むつまむ情報をネットワークコントローラー36を介してサーバー500に送信するための送信部304とを含む。
【0105】
また、図21を参照して、サーバー500のHDD53には、携帯端末300から送信されたつまむ情報を保持するための領域である保持領域531と、ファイルを記憶するための記憶領域である記憶部532とが含まれる。
【0106】
さらに図21を参照して、サーバー500のCPU50は、ネットワークコントローラー54を介して携帯端末300やMFP100から送られた情報を受信するための受信部501と、携帯端末300から送信されたつまむ情報を上記保持領域531に格納するための格納部502と、MFP100からの上記ステップS33の問い合わせを受信して、指定されたファイルについてのファイル名等のファイル情報を特定するための特定部503と、MFP100からの上記ステップS35のファイルの要求を受信して、指定されたファイルを記憶部532から取得するための取得部504と、ネットワークコントローラー54を介して携帯端末300やMFP100に対して情報を送信するための送信部505とを含む。
【0107】
また、図22を参照して、MFP100のCPU10は、操作パネル15での指示を示す操作信号の入力を受け付けるための入力部101と、操作信号に基づいて上述の離す操作を検出するための検出部102と、操作信号で表わされた指定された位置に基づいて離す操作で指定されたアイコンが表わす動作を特定するための第2の特定部106と、離す操作に応じてネットワークコントローラー17を介してサーバー500に対して問い合わせを送信したり、ファイル要求を送信したりするための送信部110と、その問い合わせや要求に応じて、ネットワークコントローラー17をサーバー500から上記ステップS22のファイル情報や上記ステップS23の指定されたファイルを受信するための受信部111や、当該動作が指定されたファイルを処理可能な動作であるか否かを判断するための判断部107と、その判断に従って操作パネル15での表示を行なうための表示部108と、処理可能な動作である場合に指定されたファイルに対して特定された動作を実行するための実行部109とを含む。
【0108】
<動作フロー>
第2の実施の形態にかかるMFP100でも、図16に示された第1の実施の形態にかかるMFP100と概ね同様の動作が行なわれる。ただし、第2の実施の形態にかかるMFP100では、上記ステップS101、S103での自身の操作パネル15でのつまむ操作に基づくファイルの特定に替えて、離す操作によって動作が特定されたタイミングでサーバー500に記憶された、携帯端末300でのつまむ操作に応じたつまむ情報を問い合わせる、上記ステップS33の動作が行なわれる。
【0109】
また、第2の実施の形態にかかるMFP100でも、第1の実施の形態にかかるMFP100と同様に、CPU10が、操作パネル15に機能一覧画面が表示されている状態において離す操作が開始されたことを検出すると、上記問い合わせを行なってファイル情報を得、離す操作開始時のタッチ位置と判断時のタッチ位置とから離す操作の対象とされるアイコンを特定することで指定された動作を特定して、指定されたファイルに対する動作として適した動作であるか否かを判断する(上記ステップS34)。そして、その結果を、離す操作に伴って表示すると共に、離す操作の終了が検出されると、その状態で特定された動作が指定されたファイルに対する動作として適している場合に、サーバー500に対してファイルを要求する(上記ステップS35)。
【0110】
なお、この動作でも、図8や図9に示されたような画面が表示される。
<第2の実施の形態の効果>
第2の実施の形態にかかる画像処理システムでこのような動作が行なわれることで、異なる装置間で対象となるファイルの指定と行なわせる動作の指定とが行なわれる場合でも、ユーザーが意図しない動作がなされることを防止することができる。
【0111】
<変形例1>
上述の第1の実施の形態および第2の実施の形態において、つまむ操作を複数回行なうことで、複数のファイルを指定することもできる。
【0112】
第1の実施の形態にかかるMFP100は、上記ステップS101、S103を繰り返すことで、つまむ操作のたびに処理対象のファイルを特定し、メモリー16の保持領域162に一時的に保持する。
【0113】
第2の実施の形態にかかる携帯端末300は、つまむ操作のたびに処理対象のファイルを特定し、つまむ情報としてサーバー500に送信する。サーバー500には、これら複数のつまむ情報が記憶される。
【0114】
このとき、MFP100で離す操作が検出されると、これら複数回のつまむ操作で特定されたファイルが処理対象のファイルとして用いられる。すなわち、MFP100では、特定された動作がこれら複数のファイルのすべてに対する動作として適しているか否かが判断され、その結果が表示される。
【0115】
図23は、このときの画面表示の具体例を示す図である。図23を参照して、一例として、この場合、離す操作に伴って、特定された動作のアイコンの近傍に、処理対象とされた複数のファイルを表わす情報を表示するようにしてもよい。図23の例では、「印刷アイコン」を指定するための離す操作に連動させて、その2点のタッチ位置の間に、先のつまむ操作で指定された複数のファイルを表わす複数のアイコン(図23の例では複数のPDFアイコン)が表示されている。さらに、図23に示されるように、それぞれのファイル名などの識別情報や、それらが印刷対象であることを表示するようにしてもよい。
【0116】
このようにすることで、ユーザーの作業性を向上させることができる。
<変形例2>
上述のように、MFP100には、動作ごとの対象となる情報を規定する対応テーブル71が記憶されているため、CPU10は、処理対象のファイルが特定された時点で、対応テーブル71を参照して当該ファイルに対して可能な動作を特定することができる。
【0117】
このとき、たとえばつまむ操作でファイルが指定されると、そのファイルを表わすアイコンの近傍に当該ファイルに対して適切な動作を表示するようにしてもよい。
【0118】
さらに、そのとき、複数の動作が特定されると、図24のように、これら複数の動作を選択可能に表示してもよい。CPU10は図24の表示画面において動作の選択を受け付けることで、指定されたファイルに対して選択された動作を実行する。
【0119】
このようにすることでも、ユーザーの作業性を向上させることができる。
さらに、MFP100に上述の動作を実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピューターに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピューターに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0120】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0121】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0122】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0123】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
10,30,50 CPU、11,31,51 ROM、12,32,52 RAM、13 スキャナー、14 プリンター、15,34 操作パネル、16,33,55 メモリー、17,36,54 ネットワークコントローラー、35 通信コントローラー、71 対応テーブル、100 MFP、101,301 入力部、102,302 検出部、103,303 第1の特定部、104,504 取得部、105,502 格納部、106 第2の特定部、107 判断部、108 表示部、109 実行部、110,304,505 送信部、111,501 受信部、161 ボックス、162,531 保持領域、300 携帯端末、500 サーバー、503 特定部、532 記憶部、700 アクセスポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
表示装置と、
前記タッチパネルでのタッチ位置に基づく処理を行なうための処理手段とを備え、
前記処理手段は、
前記タッチパネルを用いた第1の操作を検出することで、前記第1の操作でのタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定するための第1の特定手段と、
前記タッチパネルを用いた第2の操作を検出することで、前記第2の操作でのタッチ位置に基づいて実行する動作を特定するための第2の特定手段と、
前記処理対象のファイルと前記特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するための判断手段と、
前記表示装置に前記判断手段での判断結果を表示するための表示手段と、
前記処理対象のファイルに対して前記特定された動作を実行するための実行手段とを含み、
前記第1の特定手段および前記第2の特定手段のうちのいずれかの特定手段が、先に前記第1の操作または前記第2の操作を検出して前記ファイルまたは前記動作を特定した場合、次に他方の操作が検出されると、前記ファイルまたは前記動作の特定が完了するよりも以前に、前記判断の結果が前記表示装置に表示される、画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の特定手段および前記第2の特定手段は、前記第1の操作または前記第2の操作の完了時の前記タッチ位置に基づいて前記ファイルまたは前記動作を確定し、
前記実行手段は、前記判断手段において、前記確定された前記処理対象のファイルと前記特定された動作との組み合わせが適正でないと判断された場合には前記処理対象のファイルに対して前記特定された動作を実行せず、前記確定された前記組み合わせが適正であると判断された場合に前記処理対象のファイルに対して前記特定された動作を実行する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、当該画像処理装置で実行可能な動作ごとに当該動作の対象に関する情報を予め記憶している、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記他方の操作は前記第2の操作であって、
前記第2の特定手段は、前記第2の操作の開始が検出されると少なくとも前記第2の操作の開始時のタッチ位置に基づいて前記動作を特定し、前記第2の操作の完了が検出されると少なくとも前記第2の操作の開始時のタッチ位置と前記完了時のタッチ位置とに基づいて前記動作を特定し、
前記判断手段は、前記第1の特定手段で特定された前記処理対象のファイルに対して、少なくとも前記第2の操作の開始時のタッチ位置に基づいて前記第2の特定手段で特定された前記動作、および少なくとも前記第2の操作の開始時のタッチ位置と前記完了時のタッチ位置とに基づいて前記第2の特定手段で特定された前記動作が、適正であるか否かを、それぞれの前記特定された動作について判断する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記他方の操作は前記第1の操作であって、
前記第1の特定手段は、前記第1の操作の開始が検出されると少なくとも前記第1の操作の開始時のタッチ位置に基づいて前記処理対象のファイルを特定し、前記第1の操作の完了が検出されると少なくとも前記第1の操作の開始時のタッチ位置と前記完了時のタッチ位置とに基づいて前記処理対象のファイルを特定し、
前記判断手段は、前記第2の特定手段で特定された前記動作が、少なくとも前記第1の操作の開始時のタッチ位置に基づいて前記第1の特定手段で特定された前記処理対象のファイル、および少なくとも前記第1の操作の開始時のタッチ位置と前記完了時のタッチ位置とに基づいて前記第1の特定手段で特定された前記処理対象のファイルに対して適正であるか否かを、それぞれの前記特定された処理対象のファイルについて判断する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
他の装置と通信するための通信手段をさらに備え、
前記第1の特定手段または前記第2の特定手段に替えて、前記他の装置において当該他の装置のタッチパネルを用いた操作によって特定された処理対象のファイルまたは動作を特定する情報を取得するための取得手段をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の操作は、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する操作であり、前記第2の操作は前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する操作である、請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
タッチパネルを有する画像処理装置にファイルに対する動作を実行させるための、前記画像処理装置の制御方法であって、
前記タッチパネルを用いた第1の操作を検出することで、前記第1の操作でのタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定するステップと、
前記タッチパネルを用いた第2の操作を検出することで、前記第2の操作でのタッチ位置に基づいて実行する動作を特定するステップと、
前記処理対象のファイルと前記特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するステップと、
表示装置に前記判断結果を表示するステップと、
前記処理対象のファイルと前記特定された動作との組み合わせが適正であると判断された場合に、前記処理対象のファイルに対して前記特定された動作を実行するステップとを備え、
前記ファイルを特定するステップおよび前記動作を特定するステップのうちのいずれかのステップが、先に前記第1の操作または前記第2の操作を検出して前記ファイルまたは前記動作を特定した場合、次に他方の操作が検出されると、前記ファイルまたは前記動作の特定が完了するよりも以前に、前記判断の結果が前記表示装置に表示される、制御方法。
【請求項9】
タッチパネルを有する画像処理装置にファイルに対する動作を実行させるためのプログラムであって、
前記タッチパネルを用いた第1の操作を検出することで、前記第1の操作でのタッチ位置に基づいて処理対象のファイルを特定するステップと、
前記タッチパネルを用いた第2の操作を検出することで、前記第2の操作でのタッチ位置に基づいて実行する動作を特定するステップと、
前記処理対象のファイルと前記特定された動作との組み合わせが適正であるか否かを判断するステップと、
表示装置に前記判断結果を表示するステップと、
前記処理対象のファイルと前記特定された動作との組み合わせが適正であると判断された場合に、前記処理対象のファイルに対して前記特定された動作を実行するステップとを前記画像処理装置に実行させ、
前記ファイルを特定するステップおよび前記動作を特定するステップのうちのいずれかのステップが、先に前記第1の操作または前記第2の操作を検出して前記ファイルまたは前記動作を特定した場合、次に他方の操作が検出されると、前記ファイルまたは前記動作の特定が完了するよりも以前に、前記判断の結果が前記表示装置に表示される、制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−25756(P2013−25756A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163145(P2011−163145)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】