説明

画像処理装置、及びその制御方法

【課題】 情報処理装置における設定値への高速アクセス。
【解決手段】 情報処理装置において、機器内に管理される設定情報に対して
データベースなどで適切に管理する一方で、装置に必要な速度を出すために
高速アクセスできるように、利用されるシーンにおいて、データのサブセットを
オンメモリにロードして高速アクセスさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さまざまな設定を必要とする情報処理装置における設定値に対する高速な読み書きのための制御方法、ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタル複合機は多機能化高機能化が進んだことに伴い、多くの設定を行うことが必要になっている。
【0003】
多くの設定項目を効率的に管理するために、組み込みのDBなどを用いてデータを管理することなどが行われている。組み込みDBは、検索性や信頼性に大きなメリットがある半面、その読み出しや書き込みに時間がかかるというデメリットもある。
【0004】
特にデジタル複合機に登録されている設定値は、コピーやプリントなどのいわゆるジョブ実行時に多く参照/更新されるため、データアクセスが遅くなるとそのままプリント出力等のユーザが体感する実行時のパフォーマンスに影響が出る。またユーザによるユーザインタフェース操作時にも、画面内に多くの設定項目が表示されるため、各データへのアクセスが遅くなることは、ユーザの快適性を損なうことにもなる。
【0005】
データのアクセスを高速に行わせるためにはファイルシステムやOSのキャッシュを利用してよく利用されるデータのアクセスを早めることなどはよく知られている。
【0006】
またこれとは別に、特開平7−6039などでは、ジョブ実行に際してジョブが指定する関連データを自動的に別のストレージに移動させて、アクセスすべきデータを自動的に自分の処理領域に事前に用意させて処理時間を短縮させるような提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−6039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらキャッシュでは、初めてアクセスするデータやアクセス頻度の低いデータは、高速にアクセスすることができないし、設定値の管理機構では特開平7−6039のように、動作時にユーザがあらかじめアクセスするデータを指定してくることがない。
【0009】
キャッシュのようなデータのオンメモリへロードする機能性をより細かく制御して、必要なデータを必要な際に高速アクセスできるような手段が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明の情報処理装置のもつ設定値管理機構は
前記設定値管理機構に保持される前記設定値群は利用されるケースのカテゴリにより階層化され管理できる構造を持ち
データを永続的に保存することが可能な第1のストレージと
前記第1のストレージよりも高速アクセスが可能で容量が小さい第2のストレージを具備し前記設定値群を前記第1のストレージに保持する
機器の状態変化時に、あらかじめ状態変化に紐づけられた前記設定値群のサブセットを
前記第1のストレージから、前記第2のストレージにロードして
前記第2のストレージに設定値が存在する場合は、前記設定値管理機構は前記第2のストレージのデータを参照する。
【0011】
前記機器の状態変化が終了した際には、以下の動作を行う
前記第2のストレージに対して書き込みの処理がなかった場合は前記第2のストレージのメモリデータは破棄する
前記第2のストレージに対して書き込みの処理があった場合は、前記第2のストレージの内容を前記第1のストレージに上書きする。
【0012】
前記の状態変化が複数同時に発生した際の
そのロード順や破棄順を制御する設定値ロード規則テーブルと
このテーブルに従ってロードを行う設定値ロード制御機構および
前記設定値ロード規則テーブルを更新可能な、テーブル情報入力手段
具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の発明により機器内にDBの検索性や信頼性を保持しつつ、かつ限られたサイズの高速アクセス可能なストレージであっても、アクセスが必要なデータに対して高速に更新や取得の処理を行うことができる。これによりユーザが投入したジョブのパフォーマンスや、ユーザの画面操作の快適性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る本願発明の情報処理装置として機能する、画像処理装置を含むシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置110のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像処理装置110の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の画像処理装置における設定値の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例における設定値データの階層管理と、サブセットロードのイメージ図である。
【図6】本発明の実施例におけるモジュール間のコラボレーション図である。
【図7】本発明の実施例におけるシーケンス図である。
【図8】本発明の実施例における設定値ロード規則テーブルの例である。
【図9】本発明の実施例における設定値ロード規則テーブルの別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を適用できる実施形態を詳細に説明する。なお、各図面において同様の機能を有する箇所には同一の符号を付し、説明の重複は省略する。
【0016】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態に係る本願発明の情報処理装置として機能する画像処理装置を含むシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0018】
システムは、画像処理装置110,120,PC130などの複数のネットワーク機器と、ネットワーク機器群が接続されているLAN100から構成される。
【0019】
画像処理装置110は、画像の入出力と送受信および各種の画像処理を行う複合機(MFP;Multi Function Peripheral)である。
【0020】
画像入力デバイスであるスキャナ113、画像出力デバイスであるプリンタ114、コントロールユニット111、およびユーザインタフェースである操作部112、外部ストーレジメモリメディア115を有する。
【0021】
スキャナ113、プリンタ114、操作部112、およびメモリメディア115は、それぞれ、コントロールユニット111に接続され、コントロールユニット111からの命令によって制御される。
【0022】
各画像処理装置120は、画像処理装置110と同様の機器構成を有し、それらは同様にLAN100に接続されている。画像処理装置120は、スキャナ123、プリンタ124、操作部122、およびスキャナ123、プリンタ124、操作部122のそれぞれを制御するコントロールユニット121を備える。またコントロールユニット121は111と同様にメモリメディア115を接続することが可能である。
【0023】
また、PC130は、画像処理装置110や120とLAN100を介して通信可能で、画像処理装置110や120にプリントジョブを投入したり、画像処理装置110や120でスキャンし生成された画像を受信することができる。
【0024】
次に、画像処理装置110のソフトウェア構成について図2を参照しながら説明する。図2は図1の画像処理装置110のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
ここでは、各画像処理装置110,120のソフトウェア構成は、同じであるので、画像処理装置110のソフトウェア構成を説明するものとする。
【0026】
画像処理装置110においては、ユーザインタフェース(以下、UI)モジュール201が搭載されている。
【0027】
このUIモジュール201は、オペレータが画像処理装置110に対する各種操作・設定を行う際に、機器とユーザ操作との仲介を行うモジュールである。このUIモジュール201は、オペレータの操作に従い、後述の各種モジュールに入力情報を転送して処理の依頼、またはデータの設定などを行う。
【0028】
また、アドレスブックモジュール202が搭載されており、このモジュール202は、データの送付先、通信先などを管理するデータベースモジュールである。
【0029】
アドレスブックモジュール202が管理するデータに関しては、UIモジュール201からの操作によりデータの追加、削除、取得が可能である。また、アドレスブックモジュール202は、オペレータの操作により後述の各モジュールにデータの送付・通信先情報を与える。
【0030】
また、ウェブサーバモジュール203が搭載されている。
【0031】
このモジュール203は、ウェブクライアント(例えばホストコンピュータ101)からの要求により、画像処理装置110の管理情報をウェブクライアントに通知するものである。
【0032】
上記管理情報は、統合送信部モジュール204、リモートコピースキャンモジュール209、リモートコピープリントモジュール210、制御APIモジュール218を介して取得される。
【0033】
そしてHTTPモジュール212、TCP/IP通信モジュール216、ネットワークドライバ217を介してウェブクライアントに通知される。
【0034】
また、ウェブブラウザモジュール211が搭載されており、このモジュールは、インターネットまたはイントラネット上の各種ウェブサイト(ホームページ)の情報を読み込んで表示を行うものである。
【0035】
各モジュールの詳細については後述する。
【0036】
統合送信部モジュール204は、データの配信を司るモジュールであり、このモジュール204は、UIモジュール201を介してオペレータによって指示されたデータを、同様にして指示された通信(出力)先に配布する。
【0037】
また、統合送信部モジュール204は、オペレータにより本機器のスキャナ機能を使用して配布データの生成が指示された場合は、制御APIモジュール218を介して機器を動作させ、データの生成を行う。
【0038】
統合送信部モジュール204は、(P550)モジュール205と、(E−mail)モジュール206と、(DB)モジュール207と、(DP)モジュール208とを含む。
【0039】
205は出力先にプリンタが指定された際に実行されるモジュール、206は通信先にE−mailアドレスが指定された際に実行されるモジュールである。
【0040】
また207は出力先にデータベースが指定された際に実行されるモジュール、208は出力先に本機器と同様の画像処理装置が指定された際に実行されるモジュールである。
【0041】
リモートコピースキャンモジュール209は、画像処理装置110のスキャナ機能を使用して画像情報を読み取り、読み取った画像情報をネットワーク等で接続された他の画像処理装置に出力する。これによって、画像処理装置単体で実現しているコピー機能を他の画像処理装置を使って行うことを可能にする。
【0042】
リモートコピープリントモジュール210は、ネットワーク等で接続された他の画像処理装置で得られた画像情報を、本画像処理装置110のプリンタ機能を使用して出力する。ことによって、画像処理装置単体で実現しているコピー機能を他の画像処理装置を使って行うことを可能にする。
【0043】
HTTPモジュール212は、画像処理装置110がHTTPによる通信を行なう際に使用され、後述のTCP/IP通信モジュール216を使って、ウェブサーバモジュール203やウェブブラウザモジュール211に通信機能を提供する。また、このモジュール212は、HTTPをはじめとするウェブで用いられる各種プロトコルに対応し、特にセキュリティ対応したプロトコルによる通信機能を提供する。
【0044】
また、lprモジュール213が搭載されており、このモジュールは、後述のTCP/IP通信モジュール216を使って、統合送信部モジュール204内のモジュール205に通信機能を提供するものである。
【0045】
また、SMTPモジュール214が搭載されており、このモジュールは、後述のTCP/IP通信モジュール216を使って、統合送信部モジュール204内のE−mailモジュール206に通信機能を提供する。
【0046】
また、SLM(Salutation−Manager)モジュール215が搭載されている。
【0047】
このモジュールは、後述のTCP/IP通信モジュール216を利用して、統合送信部モジュール204内のモジュール217およびモジュール218とに通信機能を提供する。
【0048】
また同様にリモートコピースキャンモジュール209と、リモートコピープリントモジュール210にも通信機能を提供する。
【0049】
TCP/IP通信モジュール216は、ネットワークドライバ217を用いて、前述の各種モジュールにネットワーク通信機能を提供する。ネットワークドライバ217は、ネットワークに物理的に接続される部分を制御するものである。
【0050】
制御API218は、統合送信部モジュール204などの上流モジュールに、後述のジョブマネージャモジュール219などの下流モジュールに対するインタフェースを提供するものである。これによって、上流および下流のモジュール間の依存関係が軽減され、それぞれの流用性を高めることができる。
【0051】
ジョブマネージャモジュール219は、前述の各種モジュールから制御API218を介して指示される様々な処理を解釈し、後述の各モジュール220,224,226に指示を与えるものである。また、ジョブマネージャモジュール219は、画像処理装置110内で実行されるハード的な処理を一元管理するものである。
【0052】
モジュール220は、コーデックマネージャモジュールであり、このモジュールは、ジョブマネージャモジュール219が指示する処理の中で、データの各種圧縮・伸長を管理・制御するものである。
【0053】
また、FBEエンコーダモジュール221が搭載されている。このモジュールは、ジョブマネージャモジュール219や後述のスキャンマネージャモジュール224によって実行されたスキャン処理によって読み込まれたデータを、FBEフォーマットを用いて圧縮する。
【0054】
さらに、JPEGコーデックモジュール222が搭載されている。
【0055】
このモジュールは、ジョブマネージャモジュール219やスキャンマネージャモジュール224によって実行されたスキャン処理において読み込まれたデータのJPEG圧縮処理を行うものである。
【0056】
また同様にプリントマネージャモジュール226によって実行された印刷処理において、印刷データのJPEG展開処理も行う。
【0057】
また、MMRコーデックモジュール223が搭載されている。
【0058】
このモジュールは、ジョブマネージャモジュール219やスキャンマネージャモジュール224によって実行されたスキャン処理において読み込まれたデータのMMR圧縮処理を行うものである。
【0059】
また同様にプリントマネージャモジュール226によって実行された印刷処理において、印刷データのMMR伸長処理も行う。
【0060】
スキャンマネージャモジュール224は、ジョブマネージャモジュール219が指示するスキャン処理を管理・制御するものである。スキャンマネージャモジュール224と画像処理装置110に内部的に接続しているスキャナ113との間の通信が、SCSIドライバ225を介して行われる。
【0061】
プリントマネージャモジュール226は、ジョブマネージャモジュール219が指示する印刷処理を管理・制御するものである。プリントマネージャモジュール226とプリンタ114との間のインタフェースがエンジンインタフェースモジュール227により提供される。
【0062】
また、パラレルポートドライバ228が搭載されており、パラレルポートを介して不図示の出力機器にデータを出力する際のI/Fを提供する。
【0063】
本発明における設定値管理機構は、230で示されている。ブロック図中のほぼすべてのモジュールから参照され、動作に必要な設定値の入出力、保持管理を担当する。
【0064】
次に、画像処理装置110の構成について図3を参照しながら説明する。図3は図1の画像処理装置110の詳細構成を示すブロック図である。ここでは、各画像処理装置110,120の構成は、同じであるので、画像処理装置110の構成を説明するものとする。
【0065】
画像処理装置110は、図3に示すように、装置全体を制御するコントロールユニット111を備える。コントロールユニット111は、画像入力デバイスであるスキャナ113や画像出力デバイスであるプリンタ114を接続し、これらを制御する一方、LANや公衆回線と接続され、これらを介して画像情報やデバイス情報の入出力を行うものである。
【0066】
コントロールユニット111は、CPU301を有する。
【0067】
CPU301は、システムバス307を介して、RAM302、ROM303、HDD(ハードディスク装置)304、イメージバスI/F305、操作部I/F306、ネットワークI/F308、およびモデム309と接続される。
【0068】
RAM302は、CPU301の作業領域を提供するためのメモリであり、また、画像データを一時記憶するための画像メモリとしても使用される。ROM303はブートROMであり、ROM303には、システムのブートプログラムが格納されている。HDD304には、システムソフトウェア、画像データなどが格納される。
【0069】
操作部I/F306は、操作部112との間で入出力を行うためのインタフェースであり、操作部112に表示する画像データを操作部112に対して出力し、ユーザが操作部112を介して入力した情報を、CPU301に伝送するなどの役割を果たす。
【0070】
ネットワークI/F308は、LANと接続され、LANに対して情報の入出力を行う。モデム309は、公衆回線と接続され、公衆回線に対して情報の入出力を行う。
【0071】
イメージバスI/F305は、システムバス307と画像データを高速で転送する画像バス310とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0072】
画像バス310には、RIP(ラスタイメージプロセッサ)311、デバイスI/F312、スキャナ画像処部313、プリンタ画像処理部314、画像回転部315、および画像圧縮部316が接続されている。
【0073】
RIP311は、LANから受信されたPDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F312は、スキャナ113およびプリンタ114とコントロールユニット111とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部313は、入力画像データに対し補正、加工、編集などを行う。プリンタ画像処理部314は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換などを行う。画像回転部315は、画像データの回転を行う。画像圧縮部316は、多値画像データに対してはJPEG圧縮伸長処理を行い、2値画像データに対してはJBIG,MMR,MHなどの圧縮伸長処理を行う。
【0074】
外部ストレージI/F317は、メモリメディア115と接続され、メモリメディア115へ機器内のデータや画像を保存する、あるいはメモリメディア115内のデータを機器内に書き込む際に利用される。
【0075】
図4は本願発明の第1実施の形態における画像処理装置の設定値の一例を列挙したものである。
【0076】
カテゴリ401は機器全体の共通設定でありデバイス全体の動作の制御に設定群である。
【0077】
カテゴリ402はコピーやスキャン動作に関する設定群であり、カテゴリ403はネットワークに接続する際に必要になるネットワーク関連の設定群であり、カテゴリ404はFAXなどのデータ送受信を行う際に必要になる設定群である。
【0078】
カテゴリ405はレポート仕様であり、送受信の結果などを履歴として残すレポートに関する設定項目群である。またシステム全体を管理するカテゴリ406のような設定情報も存在している。
【0079】
図5は、本願発明の実施例における設定値データの階層管理と、サブセットロードのイメージ図である。請求項1の通り、本実施例ではHDD304のようなデータを永続化できる第1のストレージと、第1のストレージより高速にアクセスできるRAM302のような第2のストレージの2つのストレージを具備している。
【0080】
第1のストレージであるHDD304に保持される設定値は502のような論理的なツリー構造を持ち、機能のまとまりごとに階層化されて管理された機構を持っている。この階層構造は具体的には図4に示したようなサブセットである。また、この設定値データ群はDBMSのような検索性に優れた機能性を具備するデータ管理体系によって管理されることが望ましい。これにより新規のデータ追加や、データマイグレーションを容易に行え、機器間やファームウェアアップデートに時などでも、設定値データを引き継ぐことなどが可能になる。
【0081】
本願発明ではこのカテゴライズされた設定値502から、データのサブセット501を切り出し、高速アクセス可能な第2のストレージであるRAM302などにロードすることを特徴としている。サブセット化の際は、上記で説明したようにデータは階層化されて管理されているため、階層の単位で容易にカテゴライズされたデータを切り出すことができる。
【0082】
図6は、本願発明の実施例における設定値管理モジュール230を中心としたコラボレーション図である。
【0083】
設定値管理モジュールを利用するモジュール601は、図2に記載されたほぼすべてのモジュールが対象になるが、設定値の読み書きを行うモジュールである。これらは設定値管理モジュール230が提供するアクセスのためのI/F602を通して、設定値データの参照や更新を行うことができる。設定値管理モジュール230は、データを永続化できるストレージであるHDD304と、高速アクセス可能なストレージであるRAM302を利用してデータの読み書きをつかさどる。
【0084】
設定値管理モジュール230に対してS6001でロード条件が発生した通知を受けると、必要に応じてデータのサブセットをS6002でロードする。細かい制御については図7を用いて後述する。
【0085】
S6002では図5の501のようにデータを切り出してRAM302に対してデータをロードしておく。
【0086】
S6003において設定値利用モジュール601がアクセスすると設定値管理モジュール230は、S6004においてデータがロードされていればRAM302から、そうでなければHDD304を利用して処理する。
【0087】
この時、利用モジュール601はどちらにデータがあるかは意識しない。事前にロード条件に紐づけられてRAM302にロードされているデータに関しては意識せずに高速アクセスが可能になる。その他のデータもアクセス速度は劣るにしても通常通りHDD304上のデータに対してアクセス可能である。
【0088】
また設定値管理モジュール230がS6005でSyncタイミングのイベントを受けると、RAM302にロードされていた間にデータの更新作業があればS6006でRAM302上のデータをHDD304上のデータにSyncする。
【0089】
図7は本発明の実施例における、データロードにおけるシーケンス図である。図6のS6001が発生してからS6002が起こるタイミングまでのロジックの詳細である。S6001でロードタイミングのイベントを受けると、S701ですでに他にもロード条件が発生しているかどうかを確認する。他にロード条件が発生していなければ、S702に進み、新規に発生したロード条件に従ってRAM302に対してデータをロードする。
【0090】
他にもロード条件が発生していて既にRAM302に対してデータロードされている場合はS703に進む。
【0091】
S703では新規で発生したロード条件に対応するロードデータ追加でロードできるだけのメモリ容量がRAM302にあるかどうかを確認する。もしロード可能であれば、S704に進む。
【0092】
この時点ではアンロード対象はないのでS704では何もせず、S702に進み、新規に発生したロード条件に従ってRAM302に対してデータをロードする。
【0093】
S703において新規の情報をすべてロードできない場合は、S705に進む。ここで請求項1に記載の設定値ロード規則テーブルの優先度を確認し新規に発生したロード条件よりも優先度が低いロード条件があるかを確認する。新規のロード条件が他に発生しているロード条件のどれよりも低い場合は、S706に進み、新規に発生したロード条件に紐づくデータのロードを行わない。
【0094】
S705では、新規に発生したロード条件より優先度の低いロード条件が発生していればS707に進み、発生しているロード条件の中で最も低い優先度のロード条件に紐づくデータのサブセットをアンロード対象とし、S703の処理に戻る。
【0095】
S703でアンロードしたデータを除いたデータサイズがメモリ上にロード可能になればS704に進む。
【0096】
S704でアンロード対象データをアンロードして、S702に進み、新規に発生したロード条件に従ってRAM302に対してデータをロードする。S703のチェックでなおロード可能サイズにならない場合はS703がYに進めるまで、S705からS707の処理を繰り返す。
【0097】
図8、9は請求項1に記載の設定値ロード規則テーブルの例である。項目はロード条件、ロード対象、Syncタイミング、優先度、ロードするデータサイズから構成されるテーブルである。
【0098】
図8の例では、機器内に特に状態変化が起きていない状態において管理画面などを操作する際は、デバイス管理関連の設定値が優先ロードされ高速利用できる状態になっている。
【0099】
ここで優先度の高いプリントジョブが投入されると、プリントに必要な設定項目が優先的にロードされる。デバイス設定配信アプリが動作を始めると、機器外との間で同期をとるデータが優先的にロードされたりするような設定である。
【0100】
図9では逆に管理画面遷移のロード条件の優先度が高く設定されているため、プリントジョブが動作中に管理画面に遷移すると、デバイス管理系の設定値が優先ロードされる。
【0101】
図7のシーケンス図の制御ロジックに従い、複数のロード条件が重なった際に全データがロードできないような状態の場合において、それぞれのテーブルでは下記のような動きになる。
【0102】
図8の設定値ロード規則テーブルでは、何か他の作業が競合していても、プリントジョブが投入されれば、他の条件のデータがアンロードされ、プリントジョブの設定データが優先的にアクセスできるようになる。また管理画面操作時は、他に競合動作が発生しなければデバイス管理設定がロードされる状態になる。
【0103】
逆に図9の設定値ロード規則テーブルでは、普段はプリントの設定値がロードされている状態だが、プリントジョブ実行中であっても管理画面に遷移した際にはデバイス管理設定が優先的にロードされるようになり、プリントの設定データはアンロードされる。
【0104】
上記のようにテーブルを切り替えることによって、ジョブに紐づくデータを優先したり、ユーザ操作を優先したりを選択的に切り替えることが可能である。
【0105】
以上、実施形態で、本願発明の情報処理装置として機能する、画像処理装置及びその制御方法について説明した。
【0106】
これらの制御方法を実現するための制御プログラム、及び上述した画像処理装置を含む画像形成システムも、本発明を適用できる実施形態の範疇であることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の機能を動作させるために必要な設定値群を管理する設定値管理機構(230)であって以下を含む。
前記設定値管理機構(230)に保持される前記設定値群は利用されるケースのカテゴリにより階層化され管理できる構造を持ち
データを永続的に保存することが可能な第1のストレージ(304)と
前記第1のストレージ(304)よりも高速アクセスが可能で容量が小さい第2のストレージ(303)を具備し前記設定値群を前記第1のストレージ(304)に保持する。
機器の状態変化時に、あらかじめ状態変化に紐づけられた前記設定値群のサブセットを
前記第1のストレージ(304)から、前記第2のストレージ(303)にロードして
前記第2のストレージ(303)に設定値が存在する場合は、前記設定値管理機構(230)は前記第2のストレージ(303)のデータを参照する。
前記機器の状態変化が終了した際には、以下の動作を行う。
前記第2のストレージ(303)に対して書き込みの処理がなかった場合は前記第2のストレージ(303)のメモリデータは破棄する。
前記第2のストレージ(303)に対して書き込みの処理があった場合は、前記第2のストレージ(303)の内容を前記第1のストレージに上書きする。
前記の状態変化が複数同時に発生した際の
そのロード順や破棄順を制御する設定値ロード規則テーブル(800,900)と
このテーブルに従ってロードを行う設定値ロード制御機構および
前記設定値ロード規則テーブルを更新可能な、テーブル情報入力手段を具備する。
【請求項2】
請求項1に記載の設定値ロード規則テーブルは、少なくとも機器に起こる状態変化、前記状態変化が起きた際にロードする設定値のサブセット、および、その状態変化の優先度情報を保持することを特徴とする設定値管理機構。
【請求項3】
請求項1に記載の設定値ロード制御機構であって、複数の状態変化が起きた際に、ロード先の前記第2のストレージの容量がフルになるまでは追加ロードを行い、
ロードできる容量を超えてしまう場合は、優先度の低い設定値をアンロードして、データ取得設定の問い合わせに対しては前記第1のストレージでアクセスを行うことを特徴とする設定値管理機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−123557(P2011−123557A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278693(P2009−278693)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】