画像処理装置、及び方法
【課題】データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う際に生じる信号のずれを解消すること。
【解決手段】本発明にかかる画像処理装置は、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行うものである。第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理部と、第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理部とを有する。第2のスケーリング処理部は、第2のスケーリング処理開始時にデータ比率の高い信号に対して第1のスケーリング率を用いて第2のスケーリング処理を実行し、データ比率の低い信号に対して第1のスケーリング率を補正した第2のスケーリング率を用いて第2のスケーリング処理を実行するものである。
【解決手段】本発明にかかる画像処理装置は、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行うものである。第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理部と、第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理部とを有する。第2のスケーリング処理部は、第2のスケーリング処理開始時にデータ比率の高い信号に対して第1のスケーリング率を用いて第2のスケーリング処理を実行し、データ比率の低い信号に対して第1のスケーリング率を補正した第2のスケーリング率を用いて第2のスケーリング処理を実行するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び方法に関し、特に、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う画像処理装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理の分野で画像データのアスペクト比を変換する技術が必要とされている。例えば、テレビジョン用の映像データに含まれる画像データは、アスペクト比4:3で配信されているが、これをアスペクト比16:9等にスケーリング処理を行って変換する等である。
【0003】
特許文献1には、アスペクト比4:3の映像データをアスペクト比16:9の映像表示装置向けに水平方向拡大を行う際、1画像の中央部分は、リニアに拡大させ、両端部分は、ノンリニアに拡大させるDDA(Digital Differential Analyzer:デジタル微分解析)演算部を備えることで、表示画面全体に連続性のあるより自然な拡大処理を行うことが可能な画像処理装置が開示されている。特に、特許文献1では、デスティネーション画像の画素データを生成するために、DDA演算部によりソース画像のリサンプリングポイントを制御している。
【0004】
図10は、特許文献1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置9に含まれる画像変換部90は、記憶部91と、リサンプリング部92と、DDA演算部93とを備える。記憶部91は、スケーリング処理対象のソース画像データを格納する。DDA演算部93は、デスティネーション画像データの位置に応じて、ソース画像データの取得位置であるリサンプリングポイントを算出する。その際、DDA演算部93は、一次関数、二次関数、及び三次関数演算処理により以前のリサンプリングポイントとその増分からリサンプリングポイントを算出し、記憶部91及びリサンプリング部92へ出力する。リサンプリング部92は、記憶部91からリサンプリングポイントに対応する画像データを取得し、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データを出力する。
【0005】
ここで、リサンプリングポイントの増分を示すDeltaは、リニアスケーリング時は一定の値となり、拡大率の逆数である。また、Deltaの増分をDelta2と、Delta2の増分であるDelta3と定義する事により、リサンプリングポイントが三次関数的に推移する事を可能としている。そして、両端部分でのノンリニアスケーリングを実現するために、デスティネーション画像の領域を3領域に分け、リサンプリングポイントを中央部分は一時関数的なリニアスケーリングを、また、両端部分では三次関数的に推移させ、ノンリニアスケーリングを行っている。
【0006】
図11は、特許文献1にかかるリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。まず、DDA演算部93は、各パラメータの初期化を行う(S901)。DstWidthは、デスティネーション画像データの処理終了位置を示す。また、LinearStart、及びLinearEndは、リニアスケーリングを開始及び終了するデスティネーション画像データの位置を示す。OutCountは、処理対象のデスティネーション画像データの現在位置を示す。
【0007】
次に、DDA演算部93は、OutCountがDstWidth未満であるか否かを判定する(S902)。OutCountがDstWidth以上であると判定された場合、処理を終了する。OutCountがDstWidth未満であると判定された場合、DDA演算部93は、ResamplingPointにDeltaを加算する(S903)。
【0008】
続いて、DDA演算部93は、OutCountが両端部分であるか否かを判定する(S904)。OutCountが両端部分であると判定された場合、DDA演算部93は、DeltaにDelta2を加算し、Delta2にDelta3を加算する(S905)。OutCountが両端部分でない、つまり、中央部分であると判定された場合、DDA演算部93は、OutCountがLinearStartと等しいか否かを判定する(S906)。OutCountがLinearStartと等しいと判定された場合、DDA演算部93は、Delta2の符号を反転させる(S907)。OutCountがLinearStart以外であると判定された場合、並びに、ステップS905及びS907の処理後、DDA演算部93は、OutCountに1を加算する(S908)。その後、ステップS902へ戻る。
【0009】
ここで、デスティネーション画像の画素番号をx(x=0、1、2、・・・)とし、その時のリサンプルポイントをf(x)とすると、Deltaは、以下の関係式(1)で表すことができる。
【数1】
また、Delta2は、関係式(2)で表すことができる。
【数2】
また、Delta3は、関係式(3)で表すことができる。
【数3】
【0010】
そして、関係式(1)、(2)、及び(3)は、図12のように変化する。ここで、f(x)は、ノンリニア区間、すなわち、三次処理区間では、xの三次式であり、リニア区間、すなわち、一次処理区間では、xの一次式となる。
【0011】
図12は、特許文献1における出力画素に対する各DDA被演算子の変化を示すグラフである。図12(a)は、リサンプリングポイントの変化を示すグラフである。図12(b)は、Deltaの変化を示すグラフである。図12(c)は、Delta2の変化を示すグラフである。
【0012】
また、関連する技術として、特許文献2及び特許文献3がある。特許文献2には、原アスペクト比を有する原画像データを出力アスペクト比へ変換する画像データ変換装置が開示されている。特許文献2にかかる画像データ変換装置は、出力アスペクト比に応じて、変換用パラメータを変化させるパラメータ生成手段を有する。
【0013】
特許文献3には、輝度信号と2つの色差信号が4:2:2のデータ比率であるコンポーネント信号で与えられる複数の画像データを合成する際に、色差信号が欠落する課題を解決するために、4:2:2コンポーネント信号を4:4:4コンポーネント信号に変換し、予め定められた優先順位に基づいて、より高い優先順位の画像のコンポーネント信号を優先して画像表示するように合成映像信号を生成する画像処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−189266号公報
【特許文献2】特開2007−60105号公報
【特許文献3】特開2007−74526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したデータ比率が異なる複数種類の信号を含む画像データに対して特許文献1の技術を適用すると、スケーリング処理後の画像データの信号にずれが生じるという問題点がある。
【0015】
例えば、輝度信号がYデータ、2つの色差信号がCb及びCr(以後、併せてCデータと呼ぶ)であるデータ比率が4:2:2で構成されるビデオデータの標準的なフォーマットとしてYCbCr4:2:2フォーマットがある。YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに対して特許文献1の技術を適用するためには、信号の種類ごとに分離独立してスケーリング処理を行い、その後、スケーリング処理後の画像データを合成するという処理が必要となる。
【0016】
そこで、図13に、YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに特許文献1の技術を適用してスケーリング処理を行う装置の構成例を示すブロック図を示す。図13に示す画像処理装置9aは、特許文献1にかかる画像処理装置9に改良を加えたものであり、画像変換部90aと画像変換部90bとを備える。画像変換部90aは、ソース画像データ7の内、Yデータ71の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ8としてYデータ81を出力する。また、画像変換部90bは、ソース画像データ7の内、Cデータ72の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ8としてCデータ82を出力する。
【0017】
この後、Yデータ81及びCデータ82を合成してデスティネーション画像データ8を生成した結果を図14に模式図として示す。図14では、ソース画像データ7は、有色領域710及び有色領域720等を含み、有色領域710及び有色領域720は、Yデータ及びCデータで表現されているものとする。また、画像処理装置9aによるスケーリング処理後のデータであるデスティネーション画像データ8は、有色領域810及び有色領域820等を含む。但し、有色領域810は、両端に信号のずれが顕著となっている色ずれ領域811を含む。また、有色領域820は、両端に色ずれ領域821及び色ずれ領域822を含む。
【0018】
この原因は、DDA演算の次数の切り替わるタイミング(例えば、三次関数から一次関数へ)において、Yデータに対応するCデータのリサンプリング位置が適切でないためである。例えば、リニアスケーリングからノンリニアスケーリングへ切り替わる際、三次関数によるDDA演算を行うための入力データは、一次関数によるDDA演算の結果を用いる。しかし、Cデータは、Yデータより比率が少ない(1/2)ため、入力となるデータ位置が対応しない。そのため、スケーリング処理を行った際に、色ずれが生じてしまう。
【0019】
また、特許文献2では、変換先のアスペクト比に応じた変換用パラメータを選択、又は、調整することはできるが、1つの画像情報を比率の異なる複数種類の信号で表現する画像フォーマットは考慮されておらず、対応できない。
【0020】
特許文献3では、YCbCr4:2:2のような画像フォーマットを対象としているが、予めCデータ部分を2倍に拡大した上で、処理を行っているため、Cデータのデータ量が2倍となり、多くのメモリが必要となり、回路規模が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明にかかる画像処理装置は、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行うものであって、第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理部と、前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理部とを有し、前記第2のスケーリング処理部は、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行するものである。
【0022】
本発明にかかる画像処理方法は、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行うものであって、第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理ステップと、前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理ステップとを有し、前記第2のスケーリング処理ステップは、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行するものである。
【0023】
上述した本発明にかかる画像処理装置及び方法によれば、第2のスケーリング処理部において、データ比率の低い信号に対して、データ比率の高い信号とは異なり第1のスケーリング率を補正した第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を実行することで、第2のスケーリング処理結果を調整することが可能となる。そのため、データ比率の高い信号及び低い信号について、スケーリング処理結果の信号のずれを解消することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う際に生じる信号のずれを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0026】
最初に、特許文献1において上述した問題点が発生する原因を分析し、発明者が本願発明を想到するに至った理由を明らかにする。
【0027】
まず、当該問題点が発生する画像データにおけるYCbCr4:2:2フォーマットは、水平方向のデータ量がYとCで異なるものである。そこで、説明のため、次の2つの定義をする。Cのn番目のデータに対応するYデータは、Yの2n番目のデータとする(定義1)。Cのn番目のリサンプリングポイントに対応するYのリサンプリングポイントは、Yの2n番目のリサンプリングポイントとする(定義2)。尚、Cのリサンプリングポイントは、Cのソース画像データに対する位置(ポイント)である。また、リサンプリングポイントの数は、デスティネーション画像のデータ量に相当し、デスティネーション画像もYCbCr4:2:2フォーマットであることから定義1と同様にリサンプリングポイントに関して定義する。
【0028】
また、定義1及び定義2から次の定義をする。「YとCでリサンプリング位置が等しい」とは、Cのリサンプリングポイントが、Yのリサンプリングポイントの1/2の場合とする(定義3)。
【0029】
ここで、Yに関してDeltaの初期値をα、Delta2の初期値をβ、Delta3をγ、及び、リサンプリングポイントの初期値をIとする。また、Delta3は、一定値とする。関係式(1)乃至(3)の漸化式と定義1及び定義2より、Yのリサンプリングポイントfy(x)は、関係式(4)で表すことができる。
【数4】
また、Cのリサンプリングポイントfc(x)は、関係式(5)で表すことができる。
【数5】
【0030】
さらに、リサンプリングポイントの増分であるDelta、Delta2、及びDelta3は、関係式(1)乃至(5)から導くことができる。YのDeltaであるd1y(x)は関係式(6)、YのDelta2であるd2y(x)は関係式(7)、YのDelta3であるd3y(x)は関係式(8)で表すことができる。
【数6】
【数7】
【数8】
【0031】
また、CのDeltaであるd1c(x)は関係式(9)、CのDelta2であるd2c(x)は関係式(10)、CのDelta3であるd3c(x)は関係式(11)で表すことができる。
【数9】
【数10】
【数11】
【0032】
続いて、Cのリサンプリングポイント数がnの時に、対応するYのリサンプリングポイントとCのリサンプリングポイントのDDA被演算子の比較を行う。YのDDA被演算子は、関係式(12)乃至(15)で表すことができる。
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【0033】
また、CのDDA被演算子は、関係式(16)乃至(19)で表すことができる。
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【0034】
ここで、関係式(12)と関係式(16)は、以下の関係式(20)の関係を満たしているので、YとCのリサンプリング位置が常に等しいことが言える。
【数20】
【0035】
更に、Delta、Delta2、及び、Delta3における関係式は、以下の関係式(21)、(22)、及び、(23)となる。尚、下記の関係式の導出は、帰納法で証明することができるが、ここでは証明を省略する。
【数21】
【数22】
【数23】
【0036】
関係式(4)乃至(23)は、γ=0とすることで二次関数処理として、また、β=0かつγ=0として一次関数処理として適応できる。
【0037】
ここで実際に、γ=0として関係式(12)乃至(14)、及び関係式(16)乃至(18)に代入し、二次関数処理の時のDDA被演算子を確認する。ここで、I2、α2、及び、β2をそれぞれ、二次処理開始時におけるリサンプリングポイント、Delta、及び、Delta2の値とする。二次関数処理時のYのDDA被演算子は、関係式(24)乃至(26)で表すことができる。
【数24】
【数25】
【数26】
【0038】
また、二次関数処理時のCのDDA被演算子は、関係式(27)乃至(29)で表すことができる。
【数27】
【数28】
【数29】
【0039】
ここからYとCの関係式を導くと、二次処理時のYとCにおける関係式は、以下の関係式(30)乃至(32)で表すことができる。
【数30】
【数31】
【数32】
関係式(30)より、より、YとCのリサンプリング位置は常に等しいことが言える。
【0040】
さらに、β=0かつγ=0として一次関数処理の時のDDA被演算子を確認する。ここで、I1、及びα1をそれぞれ、一次処理開始時におけるリサンプリングポイント、及び、Deltaの値とする。一次関数処理時のYのDDA被演算子は、関係式(33)及び(34)で表すことができる。
【数33】
【数34】
【0041】
また、一次関数処理時のCのDDA被演算子は、関係式(35)乃至(36)で表すことができる。
【数35】
【数36】
【0042】
ここからYとCの関係式を導くと、一次処理時のYとCにおける関係式は、以下の関係式(37)及び(38)で表すことができる。
【数37】
【数38】
関係式(37)より、YとCのリサンプリング位置は常に等しいと言える。
【0043】
以上のことを踏まえて、特許文献1において上述した問題点の発生を例示する。図15は、特許文献1における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図15において、Y及びCの"Dst.Data No."は、デスティネーション画像データの位置、言い換えれば、リサンプリングポイント数を表している。そして、"Dst.Data No."における"LS"は、Yにおける一次処理開始時のリサンプリングポイント数である。そして、図15は、"Dst.Data No."が"LS−2"から"LS+2"において、DDA処理を行った場合を示している。尚、図15においては、比較のためにYデータとCデータを横に並べて図示しているが、YデータとCデータはそれぞれ独立した処理であって構わない。
【0044】
ここでは、"Dst.Data No."が"LS"に対してYについての2ステップ前の"LS−2"におけるDDA被演算子を基準としてCにおけるDDA被演算子を定義している。すなわち、CにおけるDDA被演算子は、三次処理の関係式である関係式(20)乃至(23)により算出することができる。
【0045】
具体的には、図15のステップS151において、Yデータにおける"Dst.Data No."がLS−2の時、リサンプリングポイントをf、Deltaをa、Delta2をb、Delta3をcと定義する。そして、Cデータにおける"Dst.Data No."がLS/2−1の時、リサンプリングポイントをf/2、Deltaをa+b/2、Delta2を2b+2c、Delta3を4cと定義する。
【0046】
以下、処理の流れを説明する。まず、DDA演算部93は、ステップS151において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS−2"であり、図11のステップS903に相当する処理により、リサンプリングポイントにDeltaを加算する。そして、"LS−2"は、三次処理区間であるため、DDA演算部93は、図11のステップS904により、YESと判定し、図11のステップS905に相当する処理により、DeltaにDelta2を、Delta2にDelta3を加算する。また、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2−1"であり、Yデータと同様に、リサンプリングポイント、Delta、及びDelta2について加算を行う。尚、Yデータ及びCデータにおいて、Delta3は、共に一定である。
【0047】
次に、DDA演算部93は、ステップS152において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS−1"であり、ステップS151と同様に、リサンプリングポイント、Delta、及びDelta2について加算を行う。ここでは、Yデータに対応するCデータが存在しないため、Cデータについての処理は行われない。この時点では、DDA演算部93は、Yデータ及びCデータについて、三次処理を行い、当該三次処理の結果を次のステップへの入力値とする。
【0048】
続いて、DDA演算部93は、ステップS153において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS"であり、図11のステップS903に相当する処理により、リサンプリングポイントにDeltaを加算する。そして、"LS"は、一次処理区間であるため、DDA演算部93は、図11のステップS904により、NOと判定し、Delta及びDelta2の加算は行わない。また、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2 "であり、Yデータと同様に、リサンプリングポイントについて加算を行う。尚、Yデータ及びCデータにおいて、Deltaは、共に一定である。
【0049】
その後、DDA演算部93は、ステップS154において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS+1"であり、ステップS153と同様に、リサンプリングポイントについて加算を行う。ここでは、Yデータに対応するCデータが存在しないため、Cデータについての処理は行われない。そして、ステップS155以降についても、ステップS153及びS154が繰り返して実行される。
【0050】
ここで、ステップS155の処理開始時におけるYデータ及びCデータのリサンプリングポイントを比較する。Yデータのリサンプリングポイントは、f+4a+5b+2cである。また、Cデータのリサンプリングポイントは、f/2+2a+3b+2cである。そのため、関係式(20)のfc(n)=1/2fy(2n)を満たしておらず、リサンプリング位置が等しくないと言える。つまり、デスティネーション画像としては、輝度情報であるYデータに対して色差情報であるCデータが対応しておらず、色ずれが発生しており、すなわち、信号のずれが顕著となっていることを意味する。そして、このままステップS155以降の処理が続くことにより、色ずれが拡大することを意味する。
【0051】
また、ステップS153においては、色ずれが発生しておらず、ステップS155において初めて色ずれが発生していることがわかる。すなわち、ステップS155の入力値であるリサンプリングポイントを算出する際のDeltaの値が正しくないことを意味する。Deltaの値が正しくないとは、YデータとCデータで満たすべき関係式を満たしていないということである。具体的には、一次処理を行う場合、Deltaは、関係式(38)を満たす必要があるが、"Dst.Data No."が"LS"以降は、関係式(38)を満たしていない。
【0052】
以上のことから、色ずれが生じる原因は、処理の次数の切り替わりの境界における各DDA被演算子が、直前に処理した演算結果としての値という面と、次の処理での被演算子としての値という2つの面を持つためだと言える。そのため、DDA演算の処理の次数が切り替わる直前では、直前の処理の演算結果として直前の処理の次数が満たすべきYデータとCデータの関係式を満たしているが、処理の次数が切り替わった直後では、Deltaにおいて満たすべきYデータとCデータの関係式を満たさないという状態となってしまう。
【0053】
具体的には、図15の場合、ステップS151及びS152の演算結果は、三次処理の結果としてYとCの各DDA被演算子が関係式(20)乃至(23)を全て満たしており、ステップS153の入力値となっている。しかし、ステップS155の入力値となる被演算子は、満たすべき関係式(37)乃至(38)を全ては満たしていない。このことが原因で、一次処理以降で色ずれが起こり、その累積によりどんどん色ずれが拡大していくという構造になっている。このような理由から、発明者は、処理の次数の切り替わりの境界において、以下に示すような本願発明を想到するに至った。
【0054】
発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、ソース画像データ2を入力し、第1のスケーリング処理部101及び102により所定のスケーリング率に応じた拡大又は縮小処理であるスケーリング処理を行い、デスティネーション画像データ3を出力するものである。
【0055】
ここで、ソース画像データ2は、第1の領域21及び第1の領域21に隣接する第2の領域22を含むものである。そして、第1の領域21は、複数の異なる信号であるYデータ211及びCデータ212を含むものであり、ここでは、Yデータ211は、Cデータ212に比べてデータ比率が高いものである。また、第2の領域22は、複数の異なる信号であるYデータ221及びCデータ222を含むものであり、Yデータ221及びCデータ222のデータ比率は、Yデータ211及びCデータ212のデータ比率と同様である。
【0056】
また、デスティネーション画像データ3は、第1の領域21及び第2の領域22に対応する第1の領域31及び第2の領域32を含むものである。そして、第1の領域31は、Yデータ211及びCデータ212に対応するYデータ311及びCデータ312を含み、データ比率も同様である。また、第2の領域32は、Yデータ221及びCデータ222に対応するYデータ321及びCデータ322を含み、データ比率も同様である。
【0057】
第1のスケーリング処理部101は、第1の領域21に含まれるYデータ211及びCデータ212を処理対象とする。第1のスケーリング処理部101は、Yデータ211に対して第1のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Yデータ311を生成し、出力する。また、第1のスケーリング処理部101は、Cデータ212に対しても第1のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Cデータ312を生成し、出力する。そして、第1のスケーリング処理部101は、第1のスケーリング率を補正し、第1のスケーリング率、及び、補正済みの第1のスケーリング率を第2のスケーリング処理部102へ出力する。
【0058】
第2のスケーリング処理部102は、第1のスケーリング処理部101の処理後に実行され、第2の領域22に含まれるYデータ221及びCデータ222を処理対象とする。第2のスケーリング処理部102は、Yデータ221に対して第1のスケーリング率を用いて第2のスケーリング率を算出し、当該第2のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Yデータ321を生成し、出力する。また、第2のスケーリング処理部102は、Cデータ222に対して補正済みの第1のスケーリング率を用いて補正済みの第2のスケーリング率を算出し、当該補正済みの第2のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Cデータ322を生成し、出力する。
【0059】
尚、第1のスケーリング率の補正は、第2のスケーリング処理部102において、スケーリング処理の直前又は同時に行っても構わない。
【0060】
また、上述したスケーリング処理によりソース画像データ2のリサンプリングポイントを算出しても構わない。
【0061】
本発明の実施の形態1により、ソース画像データ2に含まれるYデータ211及びYデータ221、並びに、Cデータ212及びCデータ222といったデータ比率の異なる複数の信号を含む画像データにおいて、第2の領域22に含まれるデータ比率の低いCデータ222に対して、補正済みの第2のスケーリング率を用いることで、第1の領域21に含まれるCデータ212とは異なるスケーリング処理を行うことが可能となる。そのため、スケーリング処理を行う際に生じる色ずれ、すなわち、信号のずれを解消することができる。
【0062】
言い換えれば、本発明の実施の形態1にかかる第1のスケーリング処理部は、データ比率の低い信号について、第1のスケーリング率に対して第2のスケーリング処理を実行した値になるように第1のスケーリング率を補正して第2のスケーリング率を算出するものである。
【0063】
尚、上述した問題点が発生する画像データは、データ比率の異なる複数の信号を含むものである。具体的には、データ比率の高い信号は、輝度信号であり、データ比率の低い信号は、当該輝度信号との色差を示す色差信号であればよい。そして、より具体的には、輝度信号は、Yデータであり、色差信号は、Cb及びCrで表されるCデータであればよい。つまり、YCbCr4:2:2フォーマットは、水平方向のデータ量がYとCで異なるものである。尚、本発明が対象とする画像フォーマットは、YCbCr4:2:2フォーマットに限定されない。
【0064】
<実施例1>
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の実施例1として、YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに対するスケーリング処理を行う画像処理装置10aの例を説明する。本実施例1では、スケーリング処理が三次処理から一次処理へ切り替わる場合に、DDA被演算子を補正するものについて説明する。
【0065】
図2は、本発明の実施例1にかかる画像処理装置10aの構成を示すブロック図である。画像処理装置10aは、画像処理装置10に改良を加えたものであり、画像変換部11と画像変換補正部12とを備える。画像変換部11は、ソース画像データ2の内、Yデータ201の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ3としてYデータ301を出力する。尚、画像変換部11は、上述した画像変換部90aを適用しても構わない。また、画像変換補正部12は、ソース画像データ2の内、Cデータ202の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ3としてCデータ302を出力する。ここで、画像変換補正部12は、予め指定された領域に含まれるCデータに対して、対応する領域に含まれるYデータとは異なり、補正されたスケーリング率を適用してスケーリング処理を行うものである。
【0066】
図3は、本発明の実施例1にかかる画像変換補正部12の構成を示すブロック図である。画像変換補正部12は、記憶部121と、リサンプリング部122と、DDA演算部123とを備える。記憶部121は、スケーリング処理対象のソース画像データであるCデータの入力を受け付け、格納する。記憶部121は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び不揮発性記憶装置等の記憶装置であればよい。
リサンプリング部122は、DDA演算部123から入力されたリサンプリングポイントに対応する画像データを記憶部121から取得し、予め定められたデスティネーション画像データの領域に合わせて、スケーリング処理を行い、出力する。尚、記憶部121及びリサンプリング部122は、図10の記憶部91及びリサンプリング部92と同様であればよい。
【0067】
DDA演算部123は、図10のDDA演算部93の機能に加え、DDA被演算子補正部124を備える。DDA被演算子補正部124は、一次関数、二次関数、及び三次関数演算処理の次数の切り替わりの直前に、DDA被演算子であるDelta、Delta2、及び、Delta3に対して補正を行う。これにより、DDA演算部123は、次数の切り替わり後に補正後のDDA被演算子を用いてリサンプリングポイントを算出することができる。
【0068】
図4は、本発明の実施例1にかかる画像変換補正部12におけるリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。尚、図4のステップS101乃至S107並びにステップS110は、図11のステップS901乃至S908と同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、図11との違いを中心に説明する。
【0069】
DDA演算部123は、ステップS108において、処理の切り替わりか否かを判定する。具体的には、DDA演算部123は、OutCountが予め処理の切り替わりであると定めた値であるか否かを判定する。例えば、ノンリニアスケーリングである三次処理からリニアスケーリングである一次処理へ切り替わるデスティネーション画像の位置が該当する。
【0070】
処理の切り替わりであると判定された場合、DDA被演算子補正部124は、DDA被演算子を補正する(S109)。このとき、DDA演算部123は、DDA被演算子であるDelta、Delta2、及び、Delta3をDDA被演算子補正部124へ出力する。そして、DDA被演算子補正部124は、Delta、Delta2、及び、Delta3の内、処理の切り替わりに応じたDDA被演算子について、予め設定された補正値を加算して、補正されたDDA被演算子を算出する。例えば、三次処理から一次処理へ切り替わる場合、DDA被演算子補正部124は、DeltaにDeltaの補正値を加算する。そして、補正されたDeltaの値をDDA演算部123へ出力する。これにより、DDA演算部123は、次のリサンプリングポイントの算出の際に、補正されたDeltaの値を用いることができる。
【0071】
言い換えれば、DDA被演算子補正部124は、三次処理から一次処理へ切り替わるなど、DDA演算の処理の次数が切り替わるポイントでは、切り替わる前のDDA演算でYとCのリサンプリング位置がずれないように、CデータのDDA被演算子に関して補正値の加算を行う。
【0072】
具体例として、三次処理から一次処理へ処理が切り替わる時には、関係式(20)及び(21)と関係式(37)及び(38)のそれぞれの比較から、補正値を以下のように求める事ができる。
【0073】
Deltaの関係式(21)と関係式(38)とを比較すると、CのDeltaが1/2d2y(2n)分大きいことがわかる。しかし、YとCは処理的に独立させるため、当該関係式をそのまま使用することはせず、以下の式の変換により、YとCで独立して処理を行うようにする。そこで、関係式(22)より、関係式(39)を導出する。
【数39】
【0074】
さらに、関係式(3)より、関係式(40)を導出する。
【数40】
【0075】
そして、関係式(40)を関係式(39)に代入する事により、関係式(41)を導出する。
【数41】
【0076】
よって、Deltaの補正値は、補正値(42)で表すことができる。
【数42】
CのDDA被演算子と定数のみで補正値を表す事ができたので、YとCは独立した処理が可能と言える。
【0077】
そこで、三次処理から一次処理へ処理が切り替わる場合、DDA被演算子補正部124は、Deltaに補正値(42)を加算することで補正することができる。
【0078】
このように、本発明では、関係式の差分から補正値を算出する事が可能で、DDA被演算子補正部124は、処理が切り替わるタイミングで各DDA被演算子に適切な補正値を加算することにより、YCbCr4:2:2フォーマットにおいてリサンプリング位置がずれないノンリニアスケーリングが可能となる。
【0079】
次に、三次処理から一次処理に切り替わる時の補正値(42)を使って、具体的な補正値を算出する。ここでは、n=LS/2、γ=cとし、補正値は、補正値(43)と算出することができる。
【数43】
【0080】
図5は、本発明の実施例1における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図5では、図15と同様に"Dst.Data No."が"LS−2"から"LS+2"において、DDA処理を行った場合を示している。そして、Yデータは、画像変換部11により処理され、Cデータは、画像変換補正部12により処理されるものである。尚、図5のYデータにおけるステップS51乃至S55は、図15のステップS151乃至S155と同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、図15との違いであるCデータにおける処理を中心に説明する。
【0081】
まず、DDA演算部123は、ステップS51において、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2−1"であり、図4のステップS103、及びS105に相当する処理により、リサンプリングポイント、Delta、及びDelta2について加算を行う。さらに、DDA演算部123は、ステップS108において、"LS/2−1"がCデータにおける三次処理の最後の"Dst.Data No."であり、次数の切り替わりの直前であると判定する。そして、DDA被演算子補正部124は、図4のステップS109において、Deltaに補正値(43)を加算する。具体的には、図5の"Dst.Data No."が"LS/2"の場合のCデータの入力値となるDeltaは、a+2b+cとなる。
【0082】
次に、DDA演算部123は、ステップS53において、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2"であり、図4のステップS103に相当する処理により、リサンプリングポイントにステップS51で補正されたDeltaを加算する。そして、"LS/2"は、一次処理区間であるため、DDA演算部123は、図4のステップS104により、NOと判定し、Delta及びDelta2の加算は行わない。
【0083】
このように、三次処理と一次処理の境界で、CデータにおけるDeltaを補正する事により、ステップS55においてもYとCの関係式(37)及び(38)を満たしている。つまり、この方法で補正を行う事により、図6に示すように、色ずれを解消することが出来る。
【0084】
図6は、本発明の実施例1における画像データのスケーリング処理の結果の概要を示す模式図である。図6では、ソース画像データ2は、有色領域210及び有色領域220等を含み、有色領域210及び有色領域220は、Yデータ及びCデータで表現されているものとする。また、画像処理装置10aによるスケーリング処理後のデータであるデスティネーション画像データ3は、有色領域310及び有色領域320を含み。ここで、有色領域310及び有色領域320では、図14の有色領域810及び有色領域820とは異なり、色ずれが発生しないものとなる。
【0085】
本発明の実施例1により、ノンリニアスケーリング処理とリニアスケーリング処理との切り替え時における色ずれを解消することができる。
【0086】
また、上述したDDA被演算子補正部124は、言い換えれば、データ比率の低い信号であるCデータについて、第1のスケーリング率である三次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(21)と、第2のスケーリング率である一次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(38)との差分に基づいて補正するものである。
【0087】
同様に、DDA被演算子補正部124は、一次処理から三次処理への次数の切り替えにおいても、関係式(38)と関係式(21)との差分に基づいて補正するものである。
【0088】
また、上述したDDA被演算子補正部124は、言い換えれば、第1のスケーリング率である三次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(21)における次数に比べて、第2のスケーリング率である一次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(38)における次数が変化する場合に補正するものである。
【0089】
<実施例2>
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の実施例2として、スケーリング処理が二次処理から三次処理へ切り替わる場合に、DDA被演算子を補正するものについて説明する。尚、本実施例2にかかる画像処理装置の構成は、図3と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0090】
スケーリング処理が二次処理から三次処理へ切り替わる場合は、関係式(30)乃至(32)と関係式(20)乃至(22)とをそれぞれ比較することにより、三次処理切り替え時の補正値は、Delta2に対して2γとなる。そこで、当該補正値2γを用いて、具体的な補正値を算出する。ここでは、二次処理であるためγ=c(定数)となり、具体的な補正値は、2cとなる。
【0091】
図7は、本発明の実施例2における二次処理から三次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図7において、Y及びCの"RP.No."は、リサンプリングポイント数を表している。そして、"RP.No."における"CS"は、Yにおける三次処理開始時のリサンプリングポイント数である。そして、図7は、"RP.No."が"CS−2"から"CS+4"において、DDA処理を行った場合を示している。
【0092】
ここでは、"RP.No."が"CS"に対してYについての2ステップ前の"CS−2"におけるDDA被演算子を基準としてCにおけるDDA被演算子を定義している。すなわち、CにおけるDDA被演算子は、二次処理の関係式である関係式(30)乃至(32)により算出することができる。
【0093】
具体的には、図7のステップS71において、Yデータにおける"RP.No."がCS−2の時、リサンプリングポイントをf、Deltaをa、Delta2をb、Delta3をcと定義する。そして、Cデータにおける"RP.No."がCS/2−1の時、リサンプリングポイントをf/2、Deltaをa+b/2、Delta2を2b、Delta3を4cと定義する。但し、二次処理区間においてDelta3は使用されない。
【0094】
以下、処理の流れを説明するが、図5と同様の処理については、詳細な説明を省略し、以下では、図5との違いを中心に説明する。まず、図7では、ステップS71及びS72において、Yデータ及びCデータに対して共に、二次処理が行われる。また、ステップS73乃至S77において、Yデータ及びCデータに対して共に、三次処理が行われる。
【0095】
ここで、Cデータについて、DDA演算部123は、図4のステップS108において、二次処理から三次処理へ切り替わる場合、つまり、OutCountが"CS/2−1"である場合、YESと判定する。そして、DDA被演算子補正部124は、Delta2にDelta2の補正値2cを加算する。そして、補正されたDelta2の値をDDA演算部123へ出力する。具体的には、図7の"RP.No."が"CS/2"の場合のCデータの入力値となるDelta2は、2a+2bとなる。以後、ステップS75及びS77について、Yデータと同様に、三次処理が行われる。
【0096】
図7に示すとおり、三次処理区間において常に関係式(20)乃至(23)を満たしており、色ずれは起こらない。それは、ステップS71において、Delta2を補正して、ステップS73の入力値とすることにより、ステップS73において、関係式(20)乃至(23)が成立するためである。
【0097】
本発明の実施例2により、ノンリニアスケーリング処理間での次数の切り換え時における色ずれを解消することができる。
【0098】
また、上述したDDA被演算子補正部124は、言い換えれば、データ比率の低い信号であるCデータについて、第1のスケーリング率である二次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(31)に基づく差分Delta2を算出する式(32)と、第2のスケーリング率である三次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(21)に基づく差分Delta2を算出する式(22)との差分に基づいて補正するものである。
【0099】
<実施例3>
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の実施例3として、スケーリング処理が二次処理から一次処理へ切り替わる場合に、DDA被演算子を補正するものについて説明する。尚、本実施例3にかかる画像処理装置の構成は、図3と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0100】
スケーリング処理が二次処理から一次処理へ切り替わる場合は、関係式(31)と関係式(38)とを比較することにより、一次処理切り替え時の補正値は、Deltaに対して−(1/2)d2y(2n)となる。そこで、関係式(26)に当該補正値−(1/2)d2y(2n)を代入して、具体的な補正値を算出する。ここでは、β=β2(定数)であるため、具体的な補正値は、関係式(44)で表すことができる。
【数44】
よって、関係式(44)よりDeltaの補正値は、−(1/2)bとなる。
【0101】
図8は、本発明の実施例3における二次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図8は、図5と同様に、"Dst.Data No."が"LS−2"から"LS+2"において、DDA処理を行った場合を示している。
【0102】
ここでは、"Dst.Data No."が"LS"に対してYについての2ステップ前の"LS−2"におけるDDA被演算子を基準としてCにおけるDDA被演算子を定義している。すなわち、CにおけるDDA被演算子は、上述した図7と同様に、二次処理の関係式である関係式(30)乃至(32)により算出することができる。図8のステップS81における具体的な値は、図7のCSがLSに置き換わったものであるため、説明を省略する。
【0103】
以下、処理の流れを説明するが、図5と同様の処理については、詳細な説明を省略し、以下では、図5との違いを中心に説明する。まず、図8では、ステップS81及びS82において、Yデータ及びCデータに対して共に、二次処理が行われる。また、ステップS83乃至S85において、Yデータ及びCデータに対して共に、一次処理が行われる。
【0104】
ここで、Cデータについて、DDA演算部123は、図4のステップS108において、二次処理から一次処理へ切り替わる場合、つまり、OutCountが"LS/2−1"である場合、YESと判定する。そして、DDA被演算子補正部124は、DeltaにDeltaの補正値−(1/2)bを加算する。そして、補正されたDeltaの値をDDA演算部123へ出力する。具体的には、図8の"Dst.Data No."が"LS/2"の場合のCデータの入力値となるDeltaは、a+2bとなる。以後、ステップS85について、Yデータと同様に、一次処理が行われる。
【0105】
図8に示している通り、一処理区間において関係式(37)及び(38)を満たしているので、YとCのリサンプリング位置は常に等しくなっていると言える。
【0106】
本発明の実施例3により、二次処理のノンリニアスケーリング処理とリニアスケーリング処理との切り替え時における色ずれを解消することができる。
【0107】
その他の発明の実施の形態.
本発明の実施例1乃至3に示したように、DDA演算の処理が切り替わる際に、DDA被演算子に適切な補正値を加算すればYとCのリサンプリング位置を常に等しくすることができる。本発明における一次、二次、及び三次処理を相互に切り替える際の補正値を示す表を図9に示す。例えば、三次処理から二次処理に切り替える時の補正は、Delta2に対して−2γの補正値を加算することで実現できる。
【0108】
尚、YCbCr4:2:2フォーマットにおいて色ずれが発生する課題は、特許文献3に示すように、YCbCr4:4:4フォーマットにアップサンプリングしてからスケーリングすることによっても解決することができる。しなしながら、本発明では、アップサンプリングした場合に比べて、Cのデータ量が半分で良いためメモリの節約となり、スケーリング回路として規模の縮小ができるという効果を奏する。さらに、本発明では、スケーリング以降の画像処理においてもCデータのデータ量が半分であるため、画像処理システム全体としての回路規模縮小が見込めるという効果を奏する。
【0109】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる画像変換補正部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1にかかるリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施例1における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【図6】本発明の実施例1における画像データのスケーリング処理の結果の概要を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例2における二次処理から三次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【図8】本発明の実施例3における二次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【図9】本発明における一次、二次、及び三次処理を相互に切り替える際の補正値を示す表である。
【図10】関連する技術の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】関連する技術のリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。
【図12】関連する技術における出力画素に対する各DDA被演算子の変化を示すグラフである。(a)は、リサンプリングポイントの変化を示すグラフである。(b)は、Deltaの変化を示すグラフである。(c)は、Delta2の変化を示すグラフである。
【図13】YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに関連する技術を適用してスケーリング処理を行う装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】関連する技術における画像データのスケーリング処理の結果の概要を示す模式図である。
【図15】関連する技術における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
10 画像処理装置
10a 画像処理装置
101 第1のスケーリング処理部
102 第2のスケーリング処理部
11 画像変換部
12 画像変換補正部
121 記憶部
122 リサンプリング部
123 DDA演算部
124 DDA被演算子補正部
2 ソース画像データ
201 Yデータ
202 Cデータ
21 第1の領域
210 有色領域
211 Yデータ
212 Cデータ
22 第2の領域
220 有色領域
221 Yデータ
222 Cデータ
3 デスティネーション画像データ
301 Yデータ
302 Cデータ
31 第1の領域
310 有色領域
311 Yデータ
312 Cデータ
32 第2の領域
320 有色領域
321 Yデータ
322 Cデータ
7 ソース画像データ
71 Yデータ
72 Cデータ
710 有色領域
720 有色領域
8 デスティネーション画像データ
81 Yデータ
82 Cデータ
810 有色領域
811 色ずれ領域
812 色ずれ領域
820 有色領域
821 色ずれ領域
9 画像処理装置
9a 画像処理装置
90 画像変換部
90a 画像変換部
90b 画像変換部
91 記憶部
92 リサンプリング部
93 DDA演算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び方法に関し、特に、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う画像処理装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理の分野で画像データのアスペクト比を変換する技術が必要とされている。例えば、テレビジョン用の映像データに含まれる画像データは、アスペクト比4:3で配信されているが、これをアスペクト比16:9等にスケーリング処理を行って変換する等である。
【0003】
特許文献1には、アスペクト比4:3の映像データをアスペクト比16:9の映像表示装置向けに水平方向拡大を行う際、1画像の中央部分は、リニアに拡大させ、両端部分は、ノンリニアに拡大させるDDA(Digital Differential Analyzer:デジタル微分解析)演算部を備えることで、表示画面全体に連続性のあるより自然な拡大処理を行うことが可能な画像処理装置が開示されている。特に、特許文献1では、デスティネーション画像の画素データを生成するために、DDA演算部によりソース画像のリサンプリングポイントを制御している。
【0004】
図10は、特許文献1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。画像処理装置9に含まれる画像変換部90は、記憶部91と、リサンプリング部92と、DDA演算部93とを備える。記憶部91は、スケーリング処理対象のソース画像データを格納する。DDA演算部93は、デスティネーション画像データの位置に応じて、ソース画像データの取得位置であるリサンプリングポイントを算出する。その際、DDA演算部93は、一次関数、二次関数、及び三次関数演算処理により以前のリサンプリングポイントとその増分からリサンプリングポイントを算出し、記憶部91及びリサンプリング部92へ出力する。リサンプリング部92は、記憶部91からリサンプリングポイントに対応する画像データを取得し、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データを出力する。
【0005】
ここで、リサンプリングポイントの増分を示すDeltaは、リニアスケーリング時は一定の値となり、拡大率の逆数である。また、Deltaの増分をDelta2と、Delta2の増分であるDelta3と定義する事により、リサンプリングポイントが三次関数的に推移する事を可能としている。そして、両端部分でのノンリニアスケーリングを実現するために、デスティネーション画像の領域を3領域に分け、リサンプリングポイントを中央部分は一時関数的なリニアスケーリングを、また、両端部分では三次関数的に推移させ、ノンリニアスケーリングを行っている。
【0006】
図11は、特許文献1にかかるリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。まず、DDA演算部93は、各パラメータの初期化を行う(S901)。DstWidthは、デスティネーション画像データの処理終了位置を示す。また、LinearStart、及びLinearEndは、リニアスケーリングを開始及び終了するデスティネーション画像データの位置を示す。OutCountは、処理対象のデスティネーション画像データの現在位置を示す。
【0007】
次に、DDA演算部93は、OutCountがDstWidth未満であるか否かを判定する(S902)。OutCountがDstWidth以上であると判定された場合、処理を終了する。OutCountがDstWidth未満であると判定された場合、DDA演算部93は、ResamplingPointにDeltaを加算する(S903)。
【0008】
続いて、DDA演算部93は、OutCountが両端部分であるか否かを判定する(S904)。OutCountが両端部分であると判定された場合、DDA演算部93は、DeltaにDelta2を加算し、Delta2にDelta3を加算する(S905)。OutCountが両端部分でない、つまり、中央部分であると判定された場合、DDA演算部93は、OutCountがLinearStartと等しいか否かを判定する(S906)。OutCountがLinearStartと等しいと判定された場合、DDA演算部93は、Delta2の符号を反転させる(S907)。OutCountがLinearStart以外であると判定された場合、並びに、ステップS905及びS907の処理後、DDA演算部93は、OutCountに1を加算する(S908)。その後、ステップS902へ戻る。
【0009】
ここで、デスティネーション画像の画素番号をx(x=0、1、2、・・・)とし、その時のリサンプルポイントをf(x)とすると、Deltaは、以下の関係式(1)で表すことができる。
【数1】
また、Delta2は、関係式(2)で表すことができる。
【数2】
また、Delta3は、関係式(3)で表すことができる。
【数3】
【0010】
そして、関係式(1)、(2)、及び(3)は、図12のように変化する。ここで、f(x)は、ノンリニア区間、すなわち、三次処理区間では、xの三次式であり、リニア区間、すなわち、一次処理区間では、xの一次式となる。
【0011】
図12は、特許文献1における出力画素に対する各DDA被演算子の変化を示すグラフである。図12(a)は、リサンプリングポイントの変化を示すグラフである。図12(b)は、Deltaの変化を示すグラフである。図12(c)は、Delta2の変化を示すグラフである。
【0012】
また、関連する技術として、特許文献2及び特許文献3がある。特許文献2には、原アスペクト比を有する原画像データを出力アスペクト比へ変換する画像データ変換装置が開示されている。特許文献2にかかる画像データ変換装置は、出力アスペクト比に応じて、変換用パラメータを変化させるパラメータ生成手段を有する。
【0013】
特許文献3には、輝度信号と2つの色差信号が4:2:2のデータ比率であるコンポーネント信号で与えられる複数の画像データを合成する際に、色差信号が欠落する課題を解決するために、4:2:2コンポーネント信号を4:4:4コンポーネント信号に変換し、予め定められた優先順位に基づいて、より高い優先順位の画像のコンポーネント信号を優先して画像表示するように合成映像信号を生成する画像処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−189266号公報
【特許文献2】特開2007−60105号公報
【特許文献3】特開2007−74526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したデータ比率が異なる複数種類の信号を含む画像データに対して特許文献1の技術を適用すると、スケーリング処理後の画像データの信号にずれが生じるという問題点がある。
【0015】
例えば、輝度信号がYデータ、2つの色差信号がCb及びCr(以後、併せてCデータと呼ぶ)であるデータ比率が4:2:2で構成されるビデオデータの標準的なフォーマットとしてYCbCr4:2:2フォーマットがある。YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに対して特許文献1の技術を適用するためには、信号の種類ごとに分離独立してスケーリング処理を行い、その後、スケーリング処理後の画像データを合成するという処理が必要となる。
【0016】
そこで、図13に、YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに特許文献1の技術を適用してスケーリング処理を行う装置の構成例を示すブロック図を示す。図13に示す画像処理装置9aは、特許文献1にかかる画像処理装置9に改良を加えたものであり、画像変換部90aと画像変換部90bとを備える。画像変換部90aは、ソース画像データ7の内、Yデータ71の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ8としてYデータ81を出力する。また、画像変換部90bは、ソース画像データ7の内、Cデータ72の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ8としてCデータ82を出力する。
【0017】
この後、Yデータ81及びCデータ82を合成してデスティネーション画像データ8を生成した結果を図14に模式図として示す。図14では、ソース画像データ7は、有色領域710及び有色領域720等を含み、有色領域710及び有色領域720は、Yデータ及びCデータで表現されているものとする。また、画像処理装置9aによるスケーリング処理後のデータであるデスティネーション画像データ8は、有色領域810及び有色領域820等を含む。但し、有色領域810は、両端に信号のずれが顕著となっている色ずれ領域811を含む。また、有色領域820は、両端に色ずれ領域821及び色ずれ領域822を含む。
【0018】
この原因は、DDA演算の次数の切り替わるタイミング(例えば、三次関数から一次関数へ)において、Yデータに対応するCデータのリサンプリング位置が適切でないためである。例えば、リニアスケーリングからノンリニアスケーリングへ切り替わる際、三次関数によるDDA演算を行うための入力データは、一次関数によるDDA演算の結果を用いる。しかし、Cデータは、Yデータより比率が少ない(1/2)ため、入力となるデータ位置が対応しない。そのため、スケーリング処理を行った際に、色ずれが生じてしまう。
【0019】
また、特許文献2では、変換先のアスペクト比に応じた変換用パラメータを選択、又は、調整することはできるが、1つの画像情報を比率の異なる複数種類の信号で表現する画像フォーマットは考慮されておらず、対応できない。
【0020】
特許文献3では、YCbCr4:2:2のような画像フォーマットを対象としているが、予めCデータ部分を2倍に拡大した上で、処理を行っているため、Cデータのデータ量が2倍となり、多くのメモリが必要となり、回路規模が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明にかかる画像処理装置は、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行うものであって、第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理部と、前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理部とを有し、前記第2のスケーリング処理部は、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行するものである。
【0022】
本発明にかかる画像処理方法は、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行うものであって、第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理ステップと、前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理ステップとを有し、前記第2のスケーリング処理ステップは、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行するものである。
【0023】
上述した本発明にかかる画像処理装置及び方法によれば、第2のスケーリング処理部において、データ比率の低い信号に対して、データ比率の高い信号とは異なり第1のスケーリング率を補正した第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を実行することで、第2のスケーリング処理結果を調整することが可能となる。そのため、データ比率の高い信号及び低い信号について、スケーリング処理結果の信号のずれを解消することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う際に生じる信号のずれを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0026】
最初に、特許文献1において上述した問題点が発生する原因を分析し、発明者が本願発明を想到するに至った理由を明らかにする。
【0027】
まず、当該問題点が発生する画像データにおけるYCbCr4:2:2フォーマットは、水平方向のデータ量がYとCで異なるものである。そこで、説明のため、次の2つの定義をする。Cのn番目のデータに対応するYデータは、Yの2n番目のデータとする(定義1)。Cのn番目のリサンプリングポイントに対応するYのリサンプリングポイントは、Yの2n番目のリサンプリングポイントとする(定義2)。尚、Cのリサンプリングポイントは、Cのソース画像データに対する位置(ポイント)である。また、リサンプリングポイントの数は、デスティネーション画像のデータ量に相当し、デスティネーション画像もYCbCr4:2:2フォーマットであることから定義1と同様にリサンプリングポイントに関して定義する。
【0028】
また、定義1及び定義2から次の定義をする。「YとCでリサンプリング位置が等しい」とは、Cのリサンプリングポイントが、Yのリサンプリングポイントの1/2の場合とする(定義3)。
【0029】
ここで、Yに関してDeltaの初期値をα、Delta2の初期値をβ、Delta3をγ、及び、リサンプリングポイントの初期値をIとする。また、Delta3は、一定値とする。関係式(1)乃至(3)の漸化式と定義1及び定義2より、Yのリサンプリングポイントfy(x)は、関係式(4)で表すことができる。
【数4】
また、Cのリサンプリングポイントfc(x)は、関係式(5)で表すことができる。
【数5】
【0030】
さらに、リサンプリングポイントの増分であるDelta、Delta2、及びDelta3は、関係式(1)乃至(5)から導くことができる。YのDeltaであるd1y(x)は関係式(6)、YのDelta2であるd2y(x)は関係式(7)、YのDelta3であるd3y(x)は関係式(8)で表すことができる。
【数6】
【数7】
【数8】
【0031】
また、CのDeltaであるd1c(x)は関係式(9)、CのDelta2であるd2c(x)は関係式(10)、CのDelta3であるd3c(x)は関係式(11)で表すことができる。
【数9】
【数10】
【数11】
【0032】
続いて、Cのリサンプリングポイント数がnの時に、対応するYのリサンプリングポイントとCのリサンプリングポイントのDDA被演算子の比較を行う。YのDDA被演算子は、関係式(12)乃至(15)で表すことができる。
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
【0033】
また、CのDDA被演算子は、関係式(16)乃至(19)で表すことができる。
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【0034】
ここで、関係式(12)と関係式(16)は、以下の関係式(20)の関係を満たしているので、YとCのリサンプリング位置が常に等しいことが言える。
【数20】
【0035】
更に、Delta、Delta2、及び、Delta3における関係式は、以下の関係式(21)、(22)、及び、(23)となる。尚、下記の関係式の導出は、帰納法で証明することができるが、ここでは証明を省略する。
【数21】
【数22】
【数23】
【0036】
関係式(4)乃至(23)は、γ=0とすることで二次関数処理として、また、β=0かつγ=0として一次関数処理として適応できる。
【0037】
ここで実際に、γ=0として関係式(12)乃至(14)、及び関係式(16)乃至(18)に代入し、二次関数処理の時のDDA被演算子を確認する。ここで、I2、α2、及び、β2をそれぞれ、二次処理開始時におけるリサンプリングポイント、Delta、及び、Delta2の値とする。二次関数処理時のYのDDA被演算子は、関係式(24)乃至(26)で表すことができる。
【数24】
【数25】
【数26】
【0038】
また、二次関数処理時のCのDDA被演算子は、関係式(27)乃至(29)で表すことができる。
【数27】
【数28】
【数29】
【0039】
ここからYとCの関係式を導くと、二次処理時のYとCにおける関係式は、以下の関係式(30)乃至(32)で表すことができる。
【数30】
【数31】
【数32】
関係式(30)より、より、YとCのリサンプリング位置は常に等しいことが言える。
【0040】
さらに、β=0かつγ=0として一次関数処理の時のDDA被演算子を確認する。ここで、I1、及びα1をそれぞれ、一次処理開始時におけるリサンプリングポイント、及び、Deltaの値とする。一次関数処理時のYのDDA被演算子は、関係式(33)及び(34)で表すことができる。
【数33】
【数34】
【0041】
また、一次関数処理時のCのDDA被演算子は、関係式(35)乃至(36)で表すことができる。
【数35】
【数36】
【0042】
ここからYとCの関係式を導くと、一次処理時のYとCにおける関係式は、以下の関係式(37)及び(38)で表すことができる。
【数37】
【数38】
関係式(37)より、YとCのリサンプリング位置は常に等しいと言える。
【0043】
以上のことを踏まえて、特許文献1において上述した問題点の発生を例示する。図15は、特許文献1における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図15において、Y及びCの"Dst.Data No."は、デスティネーション画像データの位置、言い換えれば、リサンプリングポイント数を表している。そして、"Dst.Data No."における"LS"は、Yにおける一次処理開始時のリサンプリングポイント数である。そして、図15は、"Dst.Data No."が"LS−2"から"LS+2"において、DDA処理を行った場合を示している。尚、図15においては、比較のためにYデータとCデータを横に並べて図示しているが、YデータとCデータはそれぞれ独立した処理であって構わない。
【0044】
ここでは、"Dst.Data No."が"LS"に対してYについての2ステップ前の"LS−2"におけるDDA被演算子を基準としてCにおけるDDA被演算子を定義している。すなわち、CにおけるDDA被演算子は、三次処理の関係式である関係式(20)乃至(23)により算出することができる。
【0045】
具体的には、図15のステップS151において、Yデータにおける"Dst.Data No."がLS−2の時、リサンプリングポイントをf、Deltaをa、Delta2をb、Delta3をcと定義する。そして、Cデータにおける"Dst.Data No."がLS/2−1の時、リサンプリングポイントをf/2、Deltaをa+b/2、Delta2を2b+2c、Delta3を4cと定義する。
【0046】
以下、処理の流れを説明する。まず、DDA演算部93は、ステップS151において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS−2"であり、図11のステップS903に相当する処理により、リサンプリングポイントにDeltaを加算する。そして、"LS−2"は、三次処理区間であるため、DDA演算部93は、図11のステップS904により、YESと判定し、図11のステップS905に相当する処理により、DeltaにDelta2を、Delta2にDelta3を加算する。また、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2−1"であり、Yデータと同様に、リサンプリングポイント、Delta、及びDelta2について加算を行う。尚、Yデータ及びCデータにおいて、Delta3は、共に一定である。
【0047】
次に、DDA演算部93は、ステップS152において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS−1"であり、ステップS151と同様に、リサンプリングポイント、Delta、及びDelta2について加算を行う。ここでは、Yデータに対応するCデータが存在しないため、Cデータについての処理は行われない。この時点では、DDA演算部93は、Yデータ及びCデータについて、三次処理を行い、当該三次処理の結果を次のステップへの入力値とする。
【0048】
続いて、DDA演算部93は、ステップS153において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS"であり、図11のステップS903に相当する処理により、リサンプリングポイントにDeltaを加算する。そして、"LS"は、一次処理区間であるため、DDA演算部93は、図11のステップS904により、NOと判定し、Delta及びDelta2の加算は行わない。また、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2 "であり、Yデータと同様に、リサンプリングポイントについて加算を行う。尚、Yデータ及びCデータにおいて、Deltaは、共に一定である。
【0049】
その後、DDA演算部93は、ステップS154において、Yデータについては、"Dst.Data No."が"LS+1"であり、ステップS153と同様に、リサンプリングポイントについて加算を行う。ここでは、Yデータに対応するCデータが存在しないため、Cデータについての処理は行われない。そして、ステップS155以降についても、ステップS153及びS154が繰り返して実行される。
【0050】
ここで、ステップS155の処理開始時におけるYデータ及びCデータのリサンプリングポイントを比較する。Yデータのリサンプリングポイントは、f+4a+5b+2cである。また、Cデータのリサンプリングポイントは、f/2+2a+3b+2cである。そのため、関係式(20)のfc(n)=1/2fy(2n)を満たしておらず、リサンプリング位置が等しくないと言える。つまり、デスティネーション画像としては、輝度情報であるYデータに対して色差情報であるCデータが対応しておらず、色ずれが発生しており、すなわち、信号のずれが顕著となっていることを意味する。そして、このままステップS155以降の処理が続くことにより、色ずれが拡大することを意味する。
【0051】
また、ステップS153においては、色ずれが発生しておらず、ステップS155において初めて色ずれが発生していることがわかる。すなわち、ステップS155の入力値であるリサンプリングポイントを算出する際のDeltaの値が正しくないことを意味する。Deltaの値が正しくないとは、YデータとCデータで満たすべき関係式を満たしていないということである。具体的には、一次処理を行う場合、Deltaは、関係式(38)を満たす必要があるが、"Dst.Data No."が"LS"以降は、関係式(38)を満たしていない。
【0052】
以上のことから、色ずれが生じる原因は、処理の次数の切り替わりの境界における各DDA被演算子が、直前に処理した演算結果としての値という面と、次の処理での被演算子としての値という2つの面を持つためだと言える。そのため、DDA演算の処理の次数が切り替わる直前では、直前の処理の演算結果として直前の処理の次数が満たすべきYデータとCデータの関係式を満たしているが、処理の次数が切り替わった直後では、Deltaにおいて満たすべきYデータとCデータの関係式を満たさないという状態となってしまう。
【0053】
具体的には、図15の場合、ステップS151及びS152の演算結果は、三次処理の結果としてYとCの各DDA被演算子が関係式(20)乃至(23)を全て満たしており、ステップS153の入力値となっている。しかし、ステップS155の入力値となる被演算子は、満たすべき関係式(37)乃至(38)を全ては満たしていない。このことが原因で、一次処理以降で色ずれが起こり、その累積によりどんどん色ずれが拡大していくという構造になっている。このような理由から、発明者は、処理の次数の切り替わりの境界において、以下に示すような本願発明を想到するに至った。
【0054】
発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、ソース画像データ2を入力し、第1のスケーリング処理部101及び102により所定のスケーリング率に応じた拡大又は縮小処理であるスケーリング処理を行い、デスティネーション画像データ3を出力するものである。
【0055】
ここで、ソース画像データ2は、第1の領域21及び第1の領域21に隣接する第2の領域22を含むものである。そして、第1の領域21は、複数の異なる信号であるYデータ211及びCデータ212を含むものであり、ここでは、Yデータ211は、Cデータ212に比べてデータ比率が高いものである。また、第2の領域22は、複数の異なる信号であるYデータ221及びCデータ222を含むものであり、Yデータ221及びCデータ222のデータ比率は、Yデータ211及びCデータ212のデータ比率と同様である。
【0056】
また、デスティネーション画像データ3は、第1の領域21及び第2の領域22に対応する第1の領域31及び第2の領域32を含むものである。そして、第1の領域31は、Yデータ211及びCデータ212に対応するYデータ311及びCデータ312を含み、データ比率も同様である。また、第2の領域32は、Yデータ221及びCデータ222に対応するYデータ321及びCデータ322を含み、データ比率も同様である。
【0057】
第1のスケーリング処理部101は、第1の領域21に含まれるYデータ211及びCデータ212を処理対象とする。第1のスケーリング処理部101は、Yデータ211に対して第1のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Yデータ311を生成し、出力する。また、第1のスケーリング処理部101は、Cデータ212に対しても第1のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Cデータ312を生成し、出力する。そして、第1のスケーリング処理部101は、第1のスケーリング率を補正し、第1のスケーリング率、及び、補正済みの第1のスケーリング率を第2のスケーリング処理部102へ出力する。
【0058】
第2のスケーリング処理部102は、第1のスケーリング処理部101の処理後に実行され、第2の領域22に含まれるYデータ221及びCデータ222を処理対象とする。第2のスケーリング処理部102は、Yデータ221に対して第1のスケーリング率を用いて第2のスケーリング率を算出し、当該第2のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Yデータ321を生成し、出力する。また、第2のスケーリング処理部102は、Cデータ222に対して補正済みの第1のスケーリング率を用いて補正済みの第2のスケーリング率を算出し、当該補正済みの第2のスケーリング率に応じたスケーリング処理を行い、Cデータ322を生成し、出力する。
【0059】
尚、第1のスケーリング率の補正は、第2のスケーリング処理部102において、スケーリング処理の直前又は同時に行っても構わない。
【0060】
また、上述したスケーリング処理によりソース画像データ2のリサンプリングポイントを算出しても構わない。
【0061】
本発明の実施の形態1により、ソース画像データ2に含まれるYデータ211及びYデータ221、並びに、Cデータ212及びCデータ222といったデータ比率の異なる複数の信号を含む画像データにおいて、第2の領域22に含まれるデータ比率の低いCデータ222に対して、補正済みの第2のスケーリング率を用いることで、第1の領域21に含まれるCデータ212とは異なるスケーリング処理を行うことが可能となる。そのため、スケーリング処理を行う際に生じる色ずれ、すなわち、信号のずれを解消することができる。
【0062】
言い換えれば、本発明の実施の形態1にかかる第1のスケーリング処理部は、データ比率の低い信号について、第1のスケーリング率に対して第2のスケーリング処理を実行した値になるように第1のスケーリング率を補正して第2のスケーリング率を算出するものである。
【0063】
尚、上述した問題点が発生する画像データは、データ比率の異なる複数の信号を含むものである。具体的には、データ比率の高い信号は、輝度信号であり、データ比率の低い信号は、当該輝度信号との色差を示す色差信号であればよい。そして、より具体的には、輝度信号は、Yデータであり、色差信号は、Cb及びCrで表されるCデータであればよい。つまり、YCbCr4:2:2フォーマットは、水平方向のデータ量がYとCで異なるものである。尚、本発明が対象とする画像フォーマットは、YCbCr4:2:2フォーマットに限定されない。
【0064】
<実施例1>
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の実施例1として、YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに対するスケーリング処理を行う画像処理装置10aの例を説明する。本実施例1では、スケーリング処理が三次処理から一次処理へ切り替わる場合に、DDA被演算子を補正するものについて説明する。
【0065】
図2は、本発明の実施例1にかかる画像処理装置10aの構成を示すブロック図である。画像処理装置10aは、画像処理装置10に改良を加えたものであり、画像変換部11と画像変換補正部12とを備える。画像変換部11は、ソース画像データ2の内、Yデータ201の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ3としてYデータ301を出力する。尚、画像変換部11は、上述した画像変換部90aを適用しても構わない。また、画像変換補正部12は、ソース画像データ2の内、Cデータ202の入力を受け付け、スケーリング処理を実行し、デスティネーション画像データ3としてCデータ302を出力する。ここで、画像変換補正部12は、予め指定された領域に含まれるCデータに対して、対応する領域に含まれるYデータとは異なり、補正されたスケーリング率を適用してスケーリング処理を行うものである。
【0066】
図3は、本発明の実施例1にかかる画像変換補正部12の構成を示すブロック図である。画像変換補正部12は、記憶部121と、リサンプリング部122と、DDA演算部123とを備える。記憶部121は、スケーリング処理対象のソース画像データであるCデータの入力を受け付け、格納する。記憶部121は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び不揮発性記憶装置等の記憶装置であればよい。
リサンプリング部122は、DDA演算部123から入力されたリサンプリングポイントに対応する画像データを記憶部121から取得し、予め定められたデスティネーション画像データの領域に合わせて、スケーリング処理を行い、出力する。尚、記憶部121及びリサンプリング部122は、図10の記憶部91及びリサンプリング部92と同様であればよい。
【0067】
DDA演算部123は、図10のDDA演算部93の機能に加え、DDA被演算子補正部124を備える。DDA被演算子補正部124は、一次関数、二次関数、及び三次関数演算処理の次数の切り替わりの直前に、DDA被演算子であるDelta、Delta2、及び、Delta3に対して補正を行う。これにより、DDA演算部123は、次数の切り替わり後に補正後のDDA被演算子を用いてリサンプリングポイントを算出することができる。
【0068】
図4は、本発明の実施例1にかかる画像変換補正部12におけるリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。尚、図4のステップS101乃至S107並びにステップS110は、図11のステップS901乃至S908と同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、図11との違いを中心に説明する。
【0069】
DDA演算部123は、ステップS108において、処理の切り替わりか否かを判定する。具体的には、DDA演算部123は、OutCountが予め処理の切り替わりであると定めた値であるか否かを判定する。例えば、ノンリニアスケーリングである三次処理からリニアスケーリングである一次処理へ切り替わるデスティネーション画像の位置が該当する。
【0070】
処理の切り替わりであると判定された場合、DDA被演算子補正部124は、DDA被演算子を補正する(S109)。このとき、DDA演算部123は、DDA被演算子であるDelta、Delta2、及び、Delta3をDDA被演算子補正部124へ出力する。そして、DDA被演算子補正部124は、Delta、Delta2、及び、Delta3の内、処理の切り替わりに応じたDDA被演算子について、予め設定された補正値を加算して、補正されたDDA被演算子を算出する。例えば、三次処理から一次処理へ切り替わる場合、DDA被演算子補正部124は、DeltaにDeltaの補正値を加算する。そして、補正されたDeltaの値をDDA演算部123へ出力する。これにより、DDA演算部123は、次のリサンプリングポイントの算出の際に、補正されたDeltaの値を用いることができる。
【0071】
言い換えれば、DDA被演算子補正部124は、三次処理から一次処理へ切り替わるなど、DDA演算の処理の次数が切り替わるポイントでは、切り替わる前のDDA演算でYとCのリサンプリング位置がずれないように、CデータのDDA被演算子に関して補正値の加算を行う。
【0072】
具体例として、三次処理から一次処理へ処理が切り替わる時には、関係式(20)及び(21)と関係式(37)及び(38)のそれぞれの比較から、補正値を以下のように求める事ができる。
【0073】
Deltaの関係式(21)と関係式(38)とを比較すると、CのDeltaが1/2d2y(2n)分大きいことがわかる。しかし、YとCは処理的に独立させるため、当該関係式をそのまま使用することはせず、以下の式の変換により、YとCで独立して処理を行うようにする。そこで、関係式(22)より、関係式(39)を導出する。
【数39】
【0074】
さらに、関係式(3)より、関係式(40)を導出する。
【数40】
【0075】
そして、関係式(40)を関係式(39)に代入する事により、関係式(41)を導出する。
【数41】
【0076】
よって、Deltaの補正値は、補正値(42)で表すことができる。
【数42】
CのDDA被演算子と定数のみで補正値を表す事ができたので、YとCは独立した処理が可能と言える。
【0077】
そこで、三次処理から一次処理へ処理が切り替わる場合、DDA被演算子補正部124は、Deltaに補正値(42)を加算することで補正することができる。
【0078】
このように、本発明では、関係式の差分から補正値を算出する事が可能で、DDA被演算子補正部124は、処理が切り替わるタイミングで各DDA被演算子に適切な補正値を加算することにより、YCbCr4:2:2フォーマットにおいてリサンプリング位置がずれないノンリニアスケーリングが可能となる。
【0079】
次に、三次処理から一次処理に切り替わる時の補正値(42)を使って、具体的な補正値を算出する。ここでは、n=LS/2、γ=cとし、補正値は、補正値(43)と算出することができる。
【数43】
【0080】
図5は、本発明の実施例1における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図5では、図15と同様に"Dst.Data No."が"LS−2"から"LS+2"において、DDA処理を行った場合を示している。そして、Yデータは、画像変換部11により処理され、Cデータは、画像変換補正部12により処理されるものである。尚、図5のYデータにおけるステップS51乃至S55は、図15のステップS151乃至S155と同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、図15との違いであるCデータにおける処理を中心に説明する。
【0081】
まず、DDA演算部123は、ステップS51において、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2−1"であり、図4のステップS103、及びS105に相当する処理により、リサンプリングポイント、Delta、及びDelta2について加算を行う。さらに、DDA演算部123は、ステップS108において、"LS/2−1"がCデータにおける三次処理の最後の"Dst.Data No."であり、次数の切り替わりの直前であると判定する。そして、DDA被演算子補正部124は、図4のステップS109において、Deltaに補正値(43)を加算する。具体的には、図5の"Dst.Data No."が"LS/2"の場合のCデータの入力値となるDeltaは、a+2b+cとなる。
【0082】
次に、DDA演算部123は、ステップS53において、Cデータについては、"Dst.Data No."が"LS/2"であり、図4のステップS103に相当する処理により、リサンプリングポイントにステップS51で補正されたDeltaを加算する。そして、"LS/2"は、一次処理区間であるため、DDA演算部123は、図4のステップS104により、NOと判定し、Delta及びDelta2の加算は行わない。
【0083】
このように、三次処理と一次処理の境界で、CデータにおけるDeltaを補正する事により、ステップS55においてもYとCの関係式(37)及び(38)を満たしている。つまり、この方法で補正を行う事により、図6に示すように、色ずれを解消することが出来る。
【0084】
図6は、本発明の実施例1における画像データのスケーリング処理の結果の概要を示す模式図である。図6では、ソース画像データ2は、有色領域210及び有色領域220等を含み、有色領域210及び有色領域220は、Yデータ及びCデータで表現されているものとする。また、画像処理装置10aによるスケーリング処理後のデータであるデスティネーション画像データ3は、有色領域310及び有色領域320を含み。ここで、有色領域310及び有色領域320では、図14の有色領域810及び有色領域820とは異なり、色ずれが発生しないものとなる。
【0085】
本発明の実施例1により、ノンリニアスケーリング処理とリニアスケーリング処理との切り替え時における色ずれを解消することができる。
【0086】
また、上述したDDA被演算子補正部124は、言い換えれば、データ比率の低い信号であるCデータについて、第1のスケーリング率である三次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(21)と、第2のスケーリング率である一次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(38)との差分に基づいて補正するものである。
【0087】
同様に、DDA被演算子補正部124は、一次処理から三次処理への次数の切り替えにおいても、関係式(38)と関係式(21)との差分に基づいて補正するものである。
【0088】
また、上述したDDA被演算子補正部124は、言い換えれば、第1のスケーリング率である三次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(21)における次数に比べて、第2のスケーリング率である一次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(38)における次数が変化する場合に補正するものである。
【0089】
<実施例2>
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の実施例2として、スケーリング処理が二次処理から三次処理へ切り替わる場合に、DDA被演算子を補正するものについて説明する。尚、本実施例2にかかる画像処理装置の構成は、図3と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0090】
スケーリング処理が二次処理から三次処理へ切り替わる場合は、関係式(30)乃至(32)と関係式(20)乃至(22)とをそれぞれ比較することにより、三次処理切り替え時の補正値は、Delta2に対して2γとなる。そこで、当該補正値2γを用いて、具体的な補正値を算出する。ここでは、二次処理であるためγ=c(定数)となり、具体的な補正値は、2cとなる。
【0091】
図7は、本発明の実施例2における二次処理から三次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図7において、Y及びCの"RP.No."は、リサンプリングポイント数を表している。そして、"RP.No."における"CS"は、Yにおける三次処理開始時のリサンプリングポイント数である。そして、図7は、"RP.No."が"CS−2"から"CS+4"において、DDA処理を行った場合を示している。
【0092】
ここでは、"RP.No."が"CS"に対してYについての2ステップ前の"CS−2"におけるDDA被演算子を基準としてCにおけるDDA被演算子を定義している。すなわち、CにおけるDDA被演算子は、二次処理の関係式である関係式(30)乃至(32)により算出することができる。
【0093】
具体的には、図7のステップS71において、Yデータにおける"RP.No."がCS−2の時、リサンプリングポイントをf、Deltaをa、Delta2をb、Delta3をcと定義する。そして、Cデータにおける"RP.No."がCS/2−1の時、リサンプリングポイントをf/2、Deltaをa+b/2、Delta2を2b、Delta3を4cと定義する。但し、二次処理区間においてDelta3は使用されない。
【0094】
以下、処理の流れを説明するが、図5と同様の処理については、詳細な説明を省略し、以下では、図5との違いを中心に説明する。まず、図7では、ステップS71及びS72において、Yデータ及びCデータに対して共に、二次処理が行われる。また、ステップS73乃至S77において、Yデータ及びCデータに対して共に、三次処理が行われる。
【0095】
ここで、Cデータについて、DDA演算部123は、図4のステップS108において、二次処理から三次処理へ切り替わる場合、つまり、OutCountが"CS/2−1"である場合、YESと判定する。そして、DDA被演算子補正部124は、Delta2にDelta2の補正値2cを加算する。そして、補正されたDelta2の値をDDA演算部123へ出力する。具体的には、図7の"RP.No."が"CS/2"の場合のCデータの入力値となるDelta2は、2a+2bとなる。以後、ステップS75及びS77について、Yデータと同様に、三次処理が行われる。
【0096】
図7に示すとおり、三次処理区間において常に関係式(20)乃至(23)を満たしており、色ずれは起こらない。それは、ステップS71において、Delta2を補正して、ステップS73の入力値とすることにより、ステップS73において、関係式(20)乃至(23)が成立するためである。
【0097】
本発明の実施例2により、ノンリニアスケーリング処理間での次数の切り換え時における色ずれを解消することができる。
【0098】
また、上述したDDA被演算子補正部124は、言い換えれば、データ比率の低い信号であるCデータについて、第1のスケーリング率である二次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(31)に基づく差分Delta2を算出する式(32)と、第2のスケーリング率である三次処理におけるDeltaに基づく値を算出する関係式(21)に基づく差分Delta2を算出する式(22)との差分に基づいて補正するものである。
【0099】
<実施例3>
以下に、本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置10の実施例3として、スケーリング処理が二次処理から一次処理へ切り替わる場合に、DDA被演算子を補正するものについて説明する。尚、本実施例3にかかる画像処理装置の構成は、図3と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0100】
スケーリング処理が二次処理から一次処理へ切り替わる場合は、関係式(31)と関係式(38)とを比較することにより、一次処理切り替え時の補正値は、Deltaに対して−(1/2)d2y(2n)となる。そこで、関係式(26)に当該補正値−(1/2)d2y(2n)を代入して、具体的な補正値を算出する。ここでは、β=β2(定数)であるため、具体的な補正値は、関係式(44)で表すことができる。
【数44】
よって、関係式(44)よりDeltaの補正値は、−(1/2)bとなる。
【0101】
図8は、本発明の実施例3における二次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。図8は、図5と同様に、"Dst.Data No."が"LS−2"から"LS+2"において、DDA処理を行った場合を示している。
【0102】
ここでは、"Dst.Data No."が"LS"に対してYについての2ステップ前の"LS−2"におけるDDA被演算子を基準としてCにおけるDDA被演算子を定義している。すなわち、CにおけるDDA被演算子は、上述した図7と同様に、二次処理の関係式である関係式(30)乃至(32)により算出することができる。図8のステップS81における具体的な値は、図7のCSがLSに置き換わったものであるため、説明を省略する。
【0103】
以下、処理の流れを説明するが、図5と同様の処理については、詳細な説明を省略し、以下では、図5との違いを中心に説明する。まず、図8では、ステップS81及びS82において、Yデータ及びCデータに対して共に、二次処理が行われる。また、ステップS83乃至S85において、Yデータ及びCデータに対して共に、一次処理が行われる。
【0104】
ここで、Cデータについて、DDA演算部123は、図4のステップS108において、二次処理から一次処理へ切り替わる場合、つまり、OutCountが"LS/2−1"である場合、YESと判定する。そして、DDA被演算子補正部124は、DeltaにDeltaの補正値−(1/2)bを加算する。そして、補正されたDeltaの値をDDA演算部123へ出力する。具体的には、図8の"Dst.Data No."が"LS/2"の場合のCデータの入力値となるDeltaは、a+2bとなる。以後、ステップS85について、Yデータと同様に、一次処理が行われる。
【0105】
図8に示している通り、一処理区間において関係式(37)及び(38)を満たしているので、YとCのリサンプリング位置は常に等しくなっていると言える。
【0106】
本発明の実施例3により、二次処理のノンリニアスケーリング処理とリニアスケーリング処理との切り替え時における色ずれを解消することができる。
【0107】
その他の発明の実施の形態.
本発明の実施例1乃至3に示したように、DDA演算の処理が切り替わる際に、DDA被演算子に適切な補正値を加算すればYとCのリサンプリング位置を常に等しくすることができる。本発明における一次、二次、及び三次処理を相互に切り替える際の補正値を示す表を図9に示す。例えば、三次処理から二次処理に切り替える時の補正は、Delta2に対して−2γの補正値を加算することで実現できる。
【0108】
尚、YCbCr4:2:2フォーマットにおいて色ずれが発生する課題は、特許文献3に示すように、YCbCr4:4:4フォーマットにアップサンプリングしてからスケーリングすることによっても解決することができる。しなしながら、本発明では、アップサンプリングした場合に比べて、Cのデータ量が半分で良いためメモリの節約となり、スケーリング回路として規模の縮小ができるという効果を奏する。さらに、本発明では、スケーリング以降の画像処理においてもCデータのデータ量が半分であるため、画像処理システム全体としての回路規模縮小が見込めるという効果を奏する。
【0109】
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1にかかる画像変換補正部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1にかかるリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施例1における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【図6】本発明の実施例1における画像データのスケーリング処理の結果の概要を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例2における二次処理から三次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【図8】本発明の実施例3における二次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【図9】本発明における一次、二次、及び三次処理を相互に切り替える際の補正値を示す表である。
【図10】関連する技術の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】関連する技術のリサンプリングポイントの算出処理を示すフローチャート図である。
【図12】関連する技術における出力画素に対する各DDA被演算子の変化を示すグラフである。(a)は、リサンプリングポイントの変化を示すグラフである。(b)は、Deltaの変化を示すグラフである。(c)は、Delta2の変化を示すグラフである。
【図13】YCbCr4:2:2フォーマットの画像データに関連する技術を適用してスケーリング処理を行う装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】関連する技術における画像データのスケーリング処理の結果の概要を示す模式図である。
【図15】関連する技術における三次処理から一次処理へ切り替わる際のアルゴリズム及び値の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
10 画像処理装置
10a 画像処理装置
101 第1のスケーリング処理部
102 第2のスケーリング処理部
11 画像変換部
12 画像変換補正部
121 記憶部
122 リサンプリング部
123 DDA演算部
124 DDA被演算子補正部
2 ソース画像データ
201 Yデータ
202 Cデータ
21 第1の領域
210 有色領域
211 Yデータ
212 Cデータ
22 第2の領域
220 有色領域
221 Yデータ
222 Cデータ
3 デスティネーション画像データ
301 Yデータ
302 Cデータ
31 第1の領域
310 有色領域
311 Yデータ
312 Cデータ
32 第2の領域
320 有色領域
321 Yデータ
322 Cデータ
7 ソース画像データ
71 Yデータ
72 Cデータ
710 有色領域
720 有色領域
8 デスティネーション画像データ
81 Yデータ
82 Cデータ
810 有色領域
811 色ずれ領域
812 色ずれ領域
820 有色領域
821 色ずれ領域
9 画像処理装置
9a 画像処理装置
90 画像変換部
90a 画像変換部
90b 画像変換部
91 記憶部
92 リサンプリング部
93 DDA演算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う画像処理装置であって、
第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理部と、
前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理部とを有し、
前記第2のスケーリング処理部は、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
前記第1のスケーリング処理部は、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に対して前記第2のスケーリング処理を実行した値になるように前記第1のスケーリング率を補正して前記第2のスケーリング率を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1のスケーリング処理部は、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式と、前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のスケーリング処理部は、前記データ比率の低い信号について、前記第1の関係式に基づく差分を算出する式と、前記第2の関係式に基づく差分を算出する式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1のスケーリング処理部は、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式における次数に比べて前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式における次数が変化する場合に補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記データ比率の高い信号は、輝度信号であり、
前記データ比率の低い信号は、当該輝度信号との色差を示す色差信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記データ比率は、YCbCr4:2:2フォーマットに基づくことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う画像処理方法であって、
第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理ステップと、
前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理ステップとを有し、
前記第2のスケーリング処理ステップは、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行する、画像処理方法。
【請求項9】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に対して前記第2のスケーリング処理を実行した値になるように前記第1のスケーリング率を補正して前記第2のスケーリング率を算出することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式と、前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記データ比率の低い信号について、前記第1の関係式に基づく差分を算出する式と、前記第2の関係式に基づく差分を算出する式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式における次数に比べて前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式における次数が変化する場合に補正することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記データ比率の高い信号は、輝度信号であり、
前記データ比率の低い信号は、当該輝度信号との色差を示す色差信号であることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記データ比率は、YCbCr4:2:2フォーマットに基づくことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項1】
データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う画像処理装置であって、
第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理部と、
前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理部とを有し、
前記第2のスケーリング処理部は、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
前記第1のスケーリング処理部は、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に対して前記第2のスケーリング処理を実行した値になるように前記第1のスケーリング率を補正して前記第2のスケーリング率を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1のスケーリング処理部は、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式と、前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のスケーリング処理部は、前記データ比率の低い信号について、前記第1の関係式に基づく差分を算出する式と、前記第2の関係式に基づく差分を算出する式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1のスケーリング処理部は、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式における次数に比べて前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式における次数が変化する場合に補正することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記データ比率の高い信号は、輝度信号であり、
前記データ比率の低い信号は、当該輝度信号との色差を示す色差信号であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記データ比率は、YCbCr4:2:2フォーマットに基づくことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
データ比率の異なる複数の信号を含む画像データに対してスケーリング処理を行う画像処理方法であって、
第1の領域における第1のスケーリング率に応じた第1のスケーリング処理を実行する第1のスケーリング処理ステップと、
前記第1の領域と隣接する第2の領域における第2のスケーリング率に応じた第2のスケーリング処理を前記第1のスケーリング処理後に実行する第2のスケーリング処理ステップとを有し、
前記第2のスケーリング処理ステップは、当該第2のスケーリング処理開始時に前記データ比率の高い信号に対して前記第1のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行し、前記データ比率の低い信号に対して前記第1のスケーリング率を補正した前記第2のスケーリング率を用いて当該第2のスケーリング処理を実行する、画像処理方法。
【請求項9】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に対して前記第2のスケーリング処理を実行した値になるように前記第1のスケーリング率を補正して前記第2のスケーリング率を算出することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記データ比率の低い信号について、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式と、前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記データ比率の低い信号について、前記第1の関係式に基づく差分を算出する式と、前記第2の関係式に基づく差分を算出する式との差分に基づいて補正することを特徴とする請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
前記第1のスケーリング処理ステップは、前記第1のスケーリング率に基づく値を算出する第1の関係式における次数に比べて前記第2のスケーリング率に基づく値を算出する第2の関係式における次数が変化する場合に補正することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記データ比率の高い信号は、輝度信号であり、
前記データ比率の低い信号は、当該輝度信号との色差を示す色差信号であることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記データ比率は、YCbCr4:2:2フォーマットに基づくことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−20368(P2010−20368A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177561(P2008−177561)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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