説明

画像処理装置、及び画像処理プログラム

【課題】複数の場所での描画像を表した合成画像の中から描画像が消去される直前の合成画像を適切に抽出することが可能な画像処理装置及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】自拠点画像データ取得手段によって取得され自拠点画像データと受信画像データ受信手段によって受信された受信画像データとを用いて合成画像データを生成し、合成画像データが表す合成画像の経時的に変化する描画量が極大であるか否かを示すキーフレーム情報を決定する。キーフレーム情報の決定は、自拠点画像データのグループ情報と他拠点画像データのグループ情報に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自拠点で撮影された画像と他拠点で撮影された画像を用いて画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業や教育機関、行政機関等では、会議や講演等において、文字や数字、図形が描かれたホワイトボード等の描画対象物の画像を保存して利用する技術が知られている。たとえば、スキャナ装置および印刷装置を備え、ホワイトボードの画像を走査して印刷するホワイトボード装置や、ホワイトボードに描かれた画像をビデオカメラ等の撮影装置で撮影して取得し、会議や講演の終了後に、ホワイトボードに描かれた画像を再生する技術が知られている。
【0003】
また、会議中にはホワイトボードに対して文字、記号、図形等の描画像が描かれたり、消去されたりすることが繰り返されることが多い。このとき描画像が消去されずに描かれている間は描画量が増え、消去されると描画量が減ることになる。そして消去される直前の描画像には他の描画像よりも多くの情報が含まれているため、ユーザは消去される直前の描画像を参照したい機会が多いと考えられる。したがって、ビデオカメラによって撮影された撮影画像の中から、消去される直前の描画像を撮影した撮影画像(キーフレーム画像という)を抽出する技術が望まれている。
【0004】
これを実現する技術として特許文献1には、ホワイトボードを撮影して得られた撮影画像のうち白またはグレーでないセルをストロークセルとしている。そして、ストロークセルの数が最大となった撮影画像をホワイトボードに描かれた文字や数字、図形等の描画像が消去される直前の撮影画像であるキーフレーム画像として指定することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される技術を用いてテレビ会議を行い、、一の拠点で描画対象物(たとえばホワイトボード)に描画された描画像を表す画像データを他の拠点に送信し、他の拠点の描画対象物に一の拠点で撮影された画像を映し出す場合、他の拠点のビデオカメラは一の拠点で撮影された画像と他の拠点で描画対象物に描画された描画像とをともに撮影するので、他の拠点のビデオカメラによって撮影された画像の中から上記のように消去される直前の画像を適切に抽出することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、他の画像処理装置と情報を送受信する画像処理装置であって、他の画像処理装置から受信画像データを受信する受信画像データ受信手段と、前記受信画像データ受信手段によって受信された受信画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第一のグループ情報を決定する第一グループ情報決定手段と、自拠点で描画された画像を表す自拠点画像データを取得する自拠点画像データ取得手段と、前記自拠点画像データ取得手段によって取得された自拠点画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第二のグループ情報を決定する第二グループ情報決定手段と、前記自拠点画像データ取得手段によって取得された前記自拠点画像データと前記受信画像データ受信手段によって受信された前記受信画像データとを用いて合成画像データを生成する合成画像生成手段と、前記合成画像生成手段によって生成された合成画像データが表す合成画像の経時的に変化する描画量が極大であるか否かを示すキーフレーム情報を決定するキーフレーム情報決定手段と、を有し、前記キーフレーム情報決定手段は、前記第一グループ情報決定手段によって決定された前記第一のグループ情報と前記第二グループ情報決定手段によって決定された前記第二のグループ情報に基づいて前記合成画像データのキーフレーム情報を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、さらに、他の画像処理装置から受信画像データを受信し、自拠点で描画された自拠点画像データを取得し、それらを合成した合成画像のキーフレーム情報を決定するので、複数の場所での描画像を表した合成画像の中から描画像が消去される直前の合成画像を適切に抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理システムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。
【図4】自拠点画像管理テーブルを示す概念図である。
【図5】他拠点画像管理テーブルを示す概念図である。
【図6】合成画像管理テーブルを示す概念図である。
【図7】画像処理システムの処理を表すシーケンス図である。
【図8】各画像データが表す画像の例である。
【図9】差分画像を生成する処理を示した処理フロー図である。
【図10】無人判定処理を示した処理フロー図である。
【図11】本実施形態に係る画像処理システムの処理によって、決定される画像を示す概念図である。
【図12】代表画像を決定する処理で実施される無人画像のグループ決めをする処理を示した処理フロー図である。
【図13】合成画像のグループIDを決定する処理を示した処理フロー図である。
【図14】合成画像のキーフレーム画像を決定する処理を示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<実施形態の全体構成>>
以下、図1乃至図14を用いて、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システムの概略図であり、まずは図1を用いて、本実施形態の概略を説明する。
【0010】
図1に示す画像処理システム1は複数の画像処理装置(10a、10b)、各画像処理装置(10a、10b)の画像を照射する描画対象物(20a、20b)、撮影装置(30a、30b)、プロジェクタ(40a、40b)、通信ネットワーク50によって構築されている。なお、本実施形態では、画像処理装置(10a、10b)のうち任意の画像処理装置を示す場合には「画像処理装置10」といい、描画対象物(20a、20b)のうち任意の描画対象物を示す場合には「描画対象物20」といい、撮影装置(30a、30b)のうち任意の撮影装置を示す場合には「撮影装置30」といい、プロジェクタ(40a、40b)のうち任意のプロジェクタを示す場合には「プロジェクタ40」という。
【0011】
画像処理装置10は、撮影装置30及びプロジェクタ40とUSBケーブル等により接続され、撮影装置30が撮影した画像を記録し、通信ネットワーク50を経由して、他の画像処理装置10に送信する。
【0012】
また、描画対象物20aは、ユーザが文字や図形等の描画画像200aを描画するホワイトボードや黒板、紙等の物品である。さらに、描画対象物20aには、プロジェクタ40aが照射する画像が映される。ここで、描画対象物20aのうちユーザが描画する領域を描画領域201a、その描画領域201aの周辺部を周辺領域202aとする。撮影装置30aは、描画画像200aを含む描画領域201a、周辺領域202aとそれらの前面にある対象物を撮影して撮影画像を生成するカメラ等の装置である。プロジェクタ40aは、画像処理装置10aが記憶している画像を描画対象物20aに照射する。
【0013】
同様に、描画対象物20bは、ユーザが文字や図形等の描画画像200bを描画するホワイトボードや黒板、紙等の物品である。されに、描画対象物20bには、プロジェクタ40bが照射する画像が映される。また、ここで、描画対象物20bのうちユーザが描画する領域を描画領域201b、その描画領域201bの周辺部を周辺領域202bとする。撮影装置30bは、描画画像200aを含む描画領域201b、周辺領域202bとそれらの前面にある対象物を撮影して撮影画像を生成するカメラ等の装置である。プロジェクタ40bは、画像処理装置10bが記憶している画像を描画対象物20bに照射する。
【0014】
なお、本実施形態では、描画画像(200a、200b)のうち任意の描画対象物を示す場合には「描画領域200」といい、描画領域(201a、201b)のうち任意の描画対象物を示す場合には「描画領域201」といい、周辺領域(202a、202b)のうち任意の周辺領域を示す場合には「周辺領域202」という。
【0015】
また、通信ネットワーク50は、画像処理装置10aと画像処理装置10bにて、相互に各種データを送受信するためのものである。
【0016】
<<実施形態のハードウェア構成>>
次に、本実施形態のハードウェア構成を説明する。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成図である。画像処理装置10は、画像処理装置10全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)101、画像処理装置用プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)102、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)103、各種データを記憶するHD(Hard Disk)104、CPU101の制御にしたがってHD104に対する各種データの読み出し又は書込みを制御するHDD(Hard Disk Drive)105、フラッシュメモリ等の記録メディア106に対するデータの読み出し又は書込み(記憶)を制御するメディアドライブ107、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示するためのディスプレイI/F(Interface)108、通信ネットワークを利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F109、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボード111、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウス112、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)113に対するデータの読み出し又は書込みを制御するCD−ROMドライブ114、外部の装置と情報を送受信する外部装置I/F115、音声データに基づいて音声を出力するためのスピーカーI/F116、ディスプレイ117及び、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン110を備えている。
【0018】
なお、上記画像処理装置用プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア106やCD−ROM113等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0019】
<<実施形態の機能構成>>
次に、本実施形態の機能構成について説明する。図3は、本実施形態の画像処理装置10の機能ブロック図である。本実施形態の画像処理装置10は、送受信部11、画像取得部12、画像補正部13、差分画像生成部14、無人判定部15、代表画像決定部16、キーフレーム画像決定部17、表示制御部18a、音声出力制御部18b、記憶・読出処理部19、合成画像生成部21、情報統合部22、及び、表示部180を有している。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、ROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。また、画像処理装置10は、図2に示されているHDD105によって構築される記憶部1000を有している。
【0020】
(画像処理装置の各機能部)
次に、画像処理装置10の各部を詳細に説明する。画像処理装置10の送受信部11は、ネットワークI/F109によって実現され、通信ネットワークを介して他の端末、装置又はシステムと各種データ(情報)の送受信を行う。なお、送受信部は受信画像データ受信手段の一例である。
【0021】
画像取得部12は、外部装置I/F115によって実現され、ケーブル等を介して撮影装置30が撮影した撮影画像を表す撮影画像データを取得し、取得した撮影画像データを一意に識別する画像IDをその撮影画像データに付与する。画像IDは、撮影画像データを表す撮影画像が撮影された昇順に付与される。なお、画像取得部12は自拠点画像データ取得手段の有する撮影画像データ取得手段の一例である。
【0022】
画像補正部13は、画像取得部12で取得された撮影画像データを台形補正等によって補正する。
【0023】
差分画像生成部14は、画像補正部13で補正された撮影画像データが表す撮影画像から、他の拠点で撮影され画像処理装置10によって受信された受信画像データが表す画像を差し引いた差分画像を生成する。ここで、受信画像データとは、送受信部11が他の画像処理装置10から通信ネットワーク50を介して受信した画像データである。受信画像データには、それを一意に識別するための情報として画像IDが付与されている。この画像IDは、受信画像が生成された昇順に付与されている。
【0024】
差分画像生成部14は、輝度補正部14a、差分算出部14b、輝度値決定部14cによって構成される。輝度補正部14aは、差分画像を形成する各画素について、画素の周辺にある画素の輝度値の平均値に対するその画素の輝度値の比率に背景色の輝度値を掛け合わせることにより輝度平均値を算出し、さらに黄色の成分を除去することによって輝度値を補正する。なお、黄色の成分を除去する処理は、会議室内の照明によって、ホワイトボードの画像が黄色がかってしまうため、その影響を除去するために実施される。
【0025】
差分算出部14bは、輝度補正部14aが補正した輝度値から、受信画像データが表す受信画像の同じ位置にある画素の輝度値を減じることによって差分輝度値を算出する。輝度値決定部14cは、差分算出部14bが算出した差分輝度値に基づいて、差分画像の輝度値を決定する。なお、生成された差分画像は後述する記憶・読出処理部19によって自拠点画像管理DBに記憶される。また、画像IDは差分画像に対応して記憶・読出処理部19によって自拠点画像管理DBに記憶される。また、差分画像生成部14は差分画像生成手段の一例である。
【0026】
無人判定部15は、後述する合成画像生成部21によって合成された差分画像のうち、描画対象物20を除くものが撮影されていない差分画像を、無人画像として決定する。描画対象物20を除くものとは、たとえば、描画対象物20に描画画像を書き込む人物等である。無人判定部15は、輝度取得部15a、差分判定部15b、輝度変化画素数判定部15cによって構成される。輝度取得部15aは、差分画像生成部14が生成した差分画像の各画素の輝度を取得する。差分判定部15bは、輝度取得部15aが連続する2枚の画像についてそれぞれ取得した輝度の差分が閾値を超えているか否かを判定する。輝度変化画素数判定部15cは、差分判定部15bで輝度が閾値を超えているとされた画素の数が所定数以上であるか否かを判定し、所定数以上である場合には、その画像を無人画像でないとし、所定数以下である場合には、その画像を無人画像とする。
【0027】
なお、無人判定部15によって画像が無人画像であると判定された場合、記憶・読出処理部19は差分画像に対応する無人フラグを「true」として記憶する。また、無人判定部15によって差分画像が無人画像でないと判定された場合、記憶・読出処理部19は差分画像に対応する無人フラグを「false」として自拠点画像管理DB1003記憶する。
【0028】
代表画像決定部16は、無人判定部15で決定された無人画像のうち、同一の画像となる無人画像群に同一のグループIDを決定するグループ決めを行う。そして、代表画像決定部16は、同一のグループIDが対応付けられている無人画像群から任意の一の無人画像を代表画像として決定する。代表画像決定部16は、同一判定部16a、グループ決定部16bによって構成される。同一判定部16aは、無人判定部15で判定された無人画像が、直前に撮影された無人画像と同一であるか否かを判定する。ここで、直前に撮影された無人画像とは、その無人画像の画像IDが直前の画像IDに対応する無人画像である。
【0029】
グループ決定部16bは、同一判定部16aでの決定に基づいて、無人画像のグループIDを決定する。具体的には、無人画像が、その直前に撮影された無人画像と同一であれば、その無人画像に対応するグループIDを直前に撮影された無人画像のグループIDと同一にする。無人画像が、その直前に撮影された無人画像と同一であれば、その無人画像に対応するグループIDを直前に撮影された無人画像のグループIDに1を加算したものとする。このようにして、決定されたグループIDが同一の無人画像のうち一の画像が代表画像とされる。なお、グループ決定部16bによって決定されたグループIDはその無人画像である差分画像に対応づけて、記憶・読出処理部19が自拠点画像管理DB1003に記憶する。グループ決定部は第一グループ情報手段、第二グループ情報手段の一例である。
【0030】
キーフレーム画像決定部17は、撮影とともに経時的に変化する描画量が極大となる画像を、キーフレーム画像として決定する。キーフレーム画像決定部17は、描画量算出部17a、描画量判定部17b、最終決定部17cによって構成される。経時的に変化する描画量が極大となる代表画像とは、その描画量が直前に撮影された代表画像の描画量より多く、直後に撮影された代表画像の描画量より少ない代表画像である。このような代表画像をキーフレーム合成画像とし、キーフレーム合成画像を決定することによって、ユーザによって描画された描画物が消去される直前の画像を決定することができる。
【0031】
描画量算出部17aは、代表画像決定部16で決定された代表合成画像の描画量を算出する。ここで、描画量とは、描画領域201内にある画像を形成する各画素のうち、輝度値が所定の閾値より低い画素の数量である。描画量判定部17bは、描画量算出部17aによって算出された描画量が、直前に撮影された代表画像の描画量、及び直後に撮影された代表画像の描画量より多いか否かを判定し、多いと判定した場合には、最終決定部17cがその代表画像をキーフレーム画像とする。また、描画量判定部17bは、描画量算出部17aによって算出された描画量が、直前に撮影された代表画像の描画量より少ない、または直後に撮影された代表画像の描画量より少ないか否かを判定し、いずれかの描画量より少ないと判定した場合には、最終決定部17cがその代表画像をキーフレーム画像としないと決定する。
【0032】
なお、キーフレーム画像決定部17によってキーフレーム画像であると決定された場合、記憶・読出処理部19は差分画像に対応するキーフレームフラグを「true」として記憶する。また、キーフレーム画像決定部17によって差分画像がキーフレーム画像でないと判定された場合、記憶・読出処理部19は差分画像に対応するキーフレームフラグを「false」として自拠点画像管理DB1003記憶する。
【0033】
表示制御部18aは、図2に示されているディスプレイI/F108によって実現され、後述する表示部180に対して画像を表示させるための制御を行う。音声出力制御部18bは、図2に示されているスピーカーI/F116によって実現され、図示しないスピーカーに音声を出力させるための制御を行う。
【0034】
表示部180は、図2に示されているディスプレイ117によって実現され、表示制御部18aの制御によって画像を表示する。
【0035】
また、記憶・読出処理部19は、図2に示すHDD105として実現されている記憶部1000に各種データを記憶したり、記憶部1000に記憶された各種データを読み出したりする。記憶部1000には、カメラによって撮影された画像を表す画像データを記憶する撮影画像記憶部1001、他拠点から受信した受信画像記憶部1002がある。また、記憶部1000には、自拠点画像管理テーブルによって構成されている自拠点画像管理DB(Data Base)1003、他拠点画像管理テーブルによって構成されている他拠点画像管理DB1004、合成画像管理テーブルによって構成されている合成画像管理DB1005が構築されている。
【0036】
合成画像生成部21は、自拠点画像管理DB1003に記憶されている自拠点画像データが表す自拠点画像と、他拠点画像管理DB1004に記憶されている他拠点画像データが表す他拠点画像とを合成した合成画像を生成する。合成画像生成部は合成画像生成手段の一例である。
【0037】
情報統合部22は、自拠点画像管理DB1003に記憶されている情報と、他拠点画像管理DB1004に記憶されている情報に基づいて、合成画像管理DB1005に記憶する情報を決定する。情報統合部22は、合成画像グループ決定部22a、代表合成画像決定部22bによって構成される。
【0038】
合成画像グループ決定部22aは、自拠点画像管理DB1003に記憶されている無人フラグ、グループIDと、他拠点画像管理DB1004に記憶されている無人フラグ、グループIDとに基づいて、合成画像管理DB1004に記憶するグループIDを決定する。代表合成画像決定部22bは、同一のグループIDである合成画像から代表画像を決定する。
【0039】
ここまでで説明した各機能部は画像処理システム1の複数の画像処理装置10(画像処理装置10a、画像処理装置10b)のそれぞれが有している。以降の説明では上記の差分画像のうち拠点Aの画像処理装置10aによって生成されたものを自拠点画像、拠点Bの画像処理装置10bによって生成されたものを他拠点画像という。また、自拠点画像を表すデータを自拠点画像データ(差分画像データa)といい、他拠点画像を表すデータを他拠点画像データ(差分画像データb)という。
【0040】
(自拠点画像管理テーブル)
記憶部1000には、図4に示されているような自拠点画像テーブルによって構成されている自拠点画像管理DB1003が構築される。この自拠点画像管理テーブルでは、差分画像生成部14で生成された画像を一意に識別する画像IDごとに、画像名、無人フラグ、グループIDが対応付けられて記憶されている。例えば、図4に示されている自拠点画像管理テーブルにおいて、画像ID「1」の画像は、画像名「A00001.jpg」、無人フラグ「true」、グループID「1」であることを表している。ここで、画像IDは撮影装置によって撮影された昇順に付与されるものとする。具体的には、最初に生成された画像の画像IDが「1」、次に生成された画像の画像IDが「2」となり、以降、順に1を加えた値を画像IDとする。
【0041】
なお、無人フラグ、グループIDはそれぞれ自拠点の画像処理装置10の無人判定部15、グループ決定部16b、代表画像決定部16、キーフレーム画像決定部によって判定もしくは決定されるものであり、記憶・読出処理部1によって自拠点画像管理DB1003の自拠点画像管理テーブルに記憶される。
【0042】
(他拠点画像管理テーブル)
記憶部1000には、図5に示されているような他拠点画像テーブルによって構成されている他拠点画像管理DB1004が構築される。この他拠点画像管理テーブルでは、他拠点から受信した画像を一意に識別する画像IDごとに、画像の名称を表す画像名、無人無人フラグ、グループIDが対応付けられて記憶されている。例えば、図5に示されている画像データ管理テーブルにおいて、画像ID「1」の画像は、画像名「B00001.jpg」、無人フラグ「true」、グループIDは「1」であることを表している。
【0043】
なお、無人フラグ、グループIDはそれぞれ他拠点の画像処理装置10の無人判定部15、グループ決定部16b、代表画像決定部16、キーフレーム画像決定部によって判定もしくは決定されるものであり、差分画像、画像IDとともに自拠点の画像処理装置10に送信され、記憶・読出処理部1によって他拠点画像管理DB1004の他拠点画像管理テーブルに記憶される。
【0044】
ここでは、自拠点と他拠点で交互に画像が撮影されるものとし、自拠点で撮影された画像を識別する画像IDを「1」、次に他拠点で撮影された画像の画像IDを「1」、続いて、自拠点で撮影された画像の画像IDを「2」、次に他拠点で撮影された画像の画像IDを「2」とする。このようにすることによって、各拠点で撮影された順に画像IDが付与されることになり、また、自拠点で撮影された画像と、その直後に他拠点で撮影された画像には同じIDが付与されることになる。
【0045】
(合成画像管理テーブル)
記憶部1000には、図6に示されているような合成画像テーブルによって構成されている合成画像管理DB1005が構築される。この合成画像管理テーブルでは、合成画像を一意に識別する画像IDごとに、画像名、無人画像であるか否かを表す無人フラグ、グループID、代表画像であるか否かを表す代表フラグ、キーフレーム画像であるか否かをあらわすキーフレームフラグ、及び、描画量が対応付けられて記憶されている。例えば、図6に示されている画像データ管理テーブルにおいて、画像ID「1」の画像は、画像名「merge00001.jpg」、無人フラグ「true」、グループID「1」、代表フラグ「true」、キーフラグ「true」、描画量「3800」であることを表している。
【0046】
<<実施形態の処理・動作>>
以上が、本実施形態に係る画像処理システム1の構成及び機能(又は手段)の説明であり、続いて、図7乃至図13を用いて、第一の実施形態に係る画像処理システム1における処理方法を説明する。なお、図7は、画像処理システムの処理を表すシーケンス図である。図8は、各画像データが表す画像の例である。図9は、差分画像を生成する処理を示した処理フロー図である。図10は、無人判定処理を示した処理フロー図である。図11は、本実施形態に係る画像処理システムの処理によって、決定される画像を示す概念図である。図12は、代表画像を決定する処理で実施される無人画像をグループ決めする処理を示した処理フロー図である。図13は、合成画像のグループIDを決定する処理を示した処理フロー図である。図14は、第一の実施形態における合成画像のキーフレーム画像を決定する処理を示した処理フロー図である。
【0047】
図7を用いて、本実施形態に係る画像処理システム1の処理を説明する。撮影装置30aとしてのビデオカメラが描画対象物20aとしてのホワイトボード及びホワイトボードの前面にある光景を撮影して、撮影画像データaを生成する(ステップS1)。この撮影画像データaが表す撮影画像aは図8(1)に示すように、拠点Aで描かれた描画像「あ」と、拠点Bで描かれ、拠点Aのプロジェクタ40aによって照射されている描画像「い」を撮影した画像である。ここでの描画像「い」は拠点Bのカメラで撮影されたものをプロジェクタで映しているため、拠点Bのホワイトボードで直接見るものより、画質が劣化している。
【0048】
次に、画像取得部12が、ステップS1で撮影装置30aによって生成された撮影画像データaを取得し、撮影画像データaを一意に識別する画像IDを付与する(ステップS2)。画像IDは撮影装置から取得された昇順に付与されるものとする。具体的には、最初に撮影された画像の画像IDが「1」、次に撮影された画像の画像IDが「2」とされ、以降、順に1を加えた値を画像IDとされる。
【0049】
次に、画像補正部13が、ステップS2で画像取得部12によって取得された画像データaを台形補正等により補正する(ステップS3)。
【0050】
そして、差分画像生成部14が、ステップS3で補正された画像データaが表す画像aから、拠点Bの画像処理装置10bによって送信された画像データbが表す画像bを差し引いた差分画像(a−b)を表す差分画像データ(a−b)を生成する(ステップS4)。この処理について図9を用いて説明する。
【0051】
まず、記憶・読出処理部19が、ステップS2で取得された画像データaの画像IDを検索キーとして、他拠点画像管理DB1004に記憶されている画像データbを読み出す(ステップS41)。ここで画像データbは、あらかじめ拠点Bの画像処理装置10bから、描画対象物20bを撮影した画像データbが送信され(図7のステップS5’)たものである。拠点Aの画像処理装置10aの送受信部11が、その画像データbを受信し(図7のステップS5’)、記憶・読出処理部19が他拠点画像管理DB1004に他拠点画像データとして記憶されている(図7のステップS6’)。なお、ここで、拠点Bから送信される画像データbは、後述する拠点Aの画像処理装置10aで実施されるステップS1からステップS4の処理と同様の処理を経ているものである。また、ステップS5’、ステップS6’の処理は、それぞれ後述するステップS5、ステップS6と同様の処理である。つまり、画像データbは、図8(2)に示されるように、拠点Bのホワイトボードに描かれた描画像「い」が描画されている画像である。
【0052】
そして、差分算出部14bは、ステップS3で台形補正された画像データaが表す画像aの各画素の輝度値から、ステップS41で読み出された画像データbが表す画像bの同じ位置にある画素の輝度値を減じた値を差分値として算出する(ステップS42)。次に、差分値が所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS43)。ステップS43で、差分値が閾値より大きいと判定された場合には、その差分値を定数倍する等の所定の処理により増加させた値を、該当の位置の輝度値とする(ステップS44)。ステップS43で、差分値が閾値より小さいと判定された場合には、背景となる画素の輝度値より高い所定の値を輝度値とする(ステップS45)。このようにして得られた輝度値に背景色の輝度値を加算する(ステップS46)。ステップS41からステップS46までの処理を全ての画素に対して実施し、各画素に対して輝度値が決定された画像が差分画像(a−b)(以降、差分画像a’という。)となる。差分画像a’は、図8(3)に示されるように、拠点Aのホワイトボードに描かれた描画像「あ」が描画されている画像となる。これにより、劣化している描画像「い」が取り除かれ、拠点Aのカメラでのみ撮影されているため、劣化していない描画像「あ」だけが残る画像となる。
【0053】
このようにして生成された差分画像a’を表す差分画像データa’を、送受信部11が通信ネットワーク50を介して拠点Bの画像処理装置10bに対して送信する(ステップS5)。画像処理装置10bの送受信部11は受信した差分画像データa’を他拠点画像データとして、画像処理装置10bの他拠点画像管理DB1004に記憶する(ステップS6)
一方、ステップS4で生成された差分画像を表す差分画像データは、画像処理装置10aの記憶・読出処理部19によって、自拠点差分画像データとして自拠点画像管理DB1003に画像IDと関連付けて記憶される。
【0054】
続いて、ステップS4で生成され、自拠点画像管理DB1003に記憶されている差分画像データa’に対して、無人判定部15及び記憶・読出処理部19が、ホワイトボード上に描かれた描画画像200以外の撮影対象物(人物等)が含まれるか否かを判定する無人判定処理を実施する(ステップS7)。無人判定処理の詳細について図10を用いて説明する。ステップS5で生成された差分画像データa’が表す差分画像a’の画素ごとの輝度を、輝度取得部15aが取得する(ステップS71)。輝度取得部15aによって差分画像a’の輝度が取得されると、差分判定部15bは差分画像を形成する各画素の輝度と、その差分画像に対応する画像IDの直前の画像IDである画像の同じ位置にある画素の輝度との差分を算出し、その差分が閾値を超えているか否か判定する(ステップS72)。続いて、輝度変化画素数判定部15cが、それぞれの画像に対して算出された輝度の差分が閾値を超えている画素を輝度変化画素としてその数を算出し(ステップS73)、輝度変化画素の数が所定の値を超えているか判定する(ステップS74)。ステップS74で、輝度変化画素の数が所定の値を超えていると判定された場合、差分画像a’は無人でないとされ、記憶・読出処理部19が、その差分画像a’に対応している無人フラグの値を「false」とする(ステップS75)。ステップS74で輝度変化画素の数が所定の値以下である場合、差分画像a’は無人であるとされ、記憶・読出処理部19は、その画像に対応する無人フラグの値を「true」とする(ステップS76)。無人判定部15及び記憶・読出処理部19は、ステップS71からステップS76までの処理を、もっとも小さい画像IDの差分画像を除く、全ての差分画像に対して実施する。これにより、図11の(1)に示されるF1乃至F10の差分画像から、人物等が撮影されている差分画像F2、F5、F8を除いた差分画像が、図11の(2)に示されるように決定されることになる。
【0055】
次に、対応する無人フラグが「true」である差分画像(以降、無人画像という。)のうち、直前に撮影された無人画像と変化がないものに対してグループIDを決定するグループ決めの処理を行う(ステップS8)。グループIDを決定するグループ決めの処理の詳細について図12を用いて説明する。自拠点画像管理DB1003に記憶されている無人画像が、その画像の画像IDの、直前の画像IDの無人画像と同一であるかを、同一判定部16aが判定する(ステップS81)。ここで、画像が同一であるか否かを判定する方法としてはテンプレートマッチング等の技術が用いられる。また、ブロックマッチング法を用いて、描画対象物に描かれている描画像に変化はないが、描画像の位置がずれている画像を同一の画像として判定することにより、より精度の高い判定を行うことができる。ステップS81で、無人画像が直前の画像IDの無人画像と同一であると判定された場合には、グループ決定部16bは、直前の画像IDである無人画像のグループIDと同じグループIDである「1」として決定し、記憶・読出処理部19が自拠点画像管理テーブルに、その画像に関連付けて記憶する(ステップS82)。ステップS81で、無人画像が直前のグループIDの無人画像と同一でないと判定された場合には、グループ決定部16bは、判定対象の無人画像に対応するグループIDを、直前のグループIDに1を加算した「2」として決定し、この値を記憶・読出処理部19が自拠点画像管理テーブルに記憶する(ステップS83)。ステップ81からステップ83までの処理を、もっとも小さい画像IDの無人画像を除く、全ての無人画像に対して行う。これにより、図11の(3)に示すように、無人画像のうち、無人画像F1のグループIDは「1」、無人画像F3及びF4のグループIDは「2」、無人画像F6及びF7のグループIDは「3」、無人画像F9及びF10のグループIDは「4」となる。
【0056】
同様にして、画像処理装置10bは、拠点Bで撮影された画像を表す画像データbに対して、差分画像データ(画像データb’)を生成し、無人判定処理、グループ処理を行う。これらの処理の詳細は、上述した画像処理装置10aでの処理と同様であるため、説明を省略する。また、画像処理装置10bの送受信部11は、画像処理装置10bで生成された画像データb’と、画像データb’の画像名、無人フラグ、グループIDを表す情報を画像処理装置10aに送信する。そして、画像処理装置10aの記憶・読出処理部19が画像データb’とこれらの情報を他拠点画像管理DB1005に記憶する。なお、拠点Bで撮影された画像データbは、画像処理装置10aに送信され、画像処理装置10aが差分画像データ(画像データb’)を生成し、無人判定処理、グループ処理する処理を行ってもよい。
【0057】
上述のようにして、自拠点画像管理DB1003で管理されている自拠点差分画像データa’、他拠点画像管理DB1004で管理されている他拠点差分画像データb’のそれぞれに対応する無人フラグ、グループIDが決定されると、合成画像生成部21が、自拠点差分画像データa’と他拠点差分画像データb’を合成して、合成画像データ(a’+b’)を生成する(ステップS9)。具体的には、同一の画像IDの差分画像データa’と差分画像データb’を合成する。
【0058】
そして、情報統合部22及び記憶・読出処理部19が、ステップS9で生成された合成画像データ(a’+b’)に対応するグループID、及び、代表フラグを決定する。(ステップS10)。まず、グループIDを決定する処理について、図13を用いて説明する。図13に示されるように、まず、記憶・読出処理部19が、画像IDが同一の自拠点差分画像データa’、他拠点差分画像データb’について、関連付けられて記憶されている無人フラグを、それぞれ自拠点画像管理DB1003、他拠点画像管理DB1004から読み出す(ステップS101)。そして、合成画像グループ決定部22aは、読み出された自拠点差分画像データa’の無人フラグと他拠点差分画像データb’の無人フラグの両方とも「true」であるか否か判定する(ステップS102)。ステップS102で、無人フラグのいずれかが「true」でないと判定された場合、合成画像データ(a’+b’)に対応するグループIDはNullとされる(ステップS103)。
【0059】
ステップS102で、無人フラグが両方とも「true」であると判定された場合、合成画像グループ決定部22aは、自拠点差分画像データa’のグループIDと他拠点差分画像データb’のグループIDの組み合わせが、直前に生成された自拠点差分画像データa’のグループIDと他拠点差分画像データb’のグループIDの組み合わせと同一であるか否か判定する(ステップS104)。同一であると判定された場合には、合成画像データ(a’+b’)のグループIDは、直前に生成された合成画像データのグループIDと同じ値とされ、記憶・読出処理部19がその値を合成画像管理DB1005に記憶する(ステップS105)。
【0060】
ステップS104で同一でないと判定された場合には、合成画像データ(a’+b’)のグループIDは直前に生成された合成画像データのグループIDに1を加算した値とされ、記憶・読出処理部19がその値を合成画像管理DB1005に記憶する(ステップS106)。
【0061】
このようにして、合成画像グループ決定部22aが、合成画像データのグループIDを決定すると、代表合成画像決定部22bが、同一のグループIDである合成画像のうち、もっとも画像IDの小さい合成画像を代表画像と決定する。そして、記憶・読出処理部19が代表画像と決定された合成画像に対応する代表フラグ「true」を合成画像管理DB1005に記憶する。
【0062】
次に、ステップS10で決定された代表合成画像(a’+b’)のうち、キーフレーム合成画像を決定する処理を行う(ステップS11)。キーフレーム合成画像を決定する処理の詳細を、図14を用いて説明する。まず、描画量算出部17aが、代表合成画像(a’+b’)の描画量を算出する(ステップS111)。ここで、描画量の算出は輝度が閾値を超えている画素の数をカウントすることによって行われる。そして、描画量判定部17bが、その代表合成画像(a’+b’)の直前の画像IDの代表合成画像(a’+b’)の描画量より大きいか否かを判定する(ステップS112)。ステップS111で、代表合成画像(a’+b’)の描画量が直前の画像IDである代表画像(a’+b’)の描画量より大きい場合には、描画量判定部17bは、その代表合成画像(a’+b’)が、直後の画像IDである代表合成画像(a’+b’)の描画量より大きいか否かを判定する(ステップS113)。代表画像の描画量が直後の画像IDである代表画像(a’+b’)の描画量より大きい場合には、最終決定部17cが、その代表合成画像(a’+b’)をキーフレーム合成画像と決定し、記憶・読出処理部19が、画像データ管理テーブルの対応するキーフラグ「true」を記憶する(ステップS114)。
【0063】
一方、ステップS112で、代表合成画像(a’+b’)の描画量が直前の画像IDである代表合成画像(a’+b’)の描画量以下である場合には、最終決定部17cが、その代表合成画像(a’+b’)をキーフレーム合成画像でないと決定し、記憶・読出処理部19は、画像データ管理テーブルの対応するキーフラグ「false」を記憶する(ステップS115)。ステップ113で、代表合成画像(a’+b’)の描画量が直前の画像IDである画像の描画量以下である場合には、記憶・読出処理部19は、合成画像データ管理テーブルの対応するキーフラグ「false」とする(ステップS115)。ステップS111からステップS115までの処理を、もっとも小さい画像IDの代表合成画像(a’+b’)を除く、全ての代表合成画像(a’+b’)に対して行う。これにより、図11の(5)に示すように、画像F3及びF9がキーフレーム合成画像として決定される。
【0064】
<<実施形態の主な効果>>
以上説明したように、本実施形態よれば、描画対象物以外のものを含まない画像を決定し、それらの画像からキーフレーム画像を決定することによって、描画対象物に描かれた文字や数字、図形等の描画像が消去される直前の撮影画像であるキーフレーム画像を決定することが可能となる。
【0065】
さらに、複数の拠点で描画対象物に描かれた描画像を撮影した撮影画像を合成して合成画像を保存する場合に、その合成画像のキーフレーム画像を決定することが可能となる。複数の拠点で描画対象物に描かれた描画像を撮影した撮影画像を合成して合成画像を保存する場合に、その合成画像のキーフレーム画像を決定することが可能となる。
【0066】
<<実施形態の補足>>
上述の実施形態では、画像取得部12が自拠点で撮影された画像を取得する処理と、送受信部11が他拠点から画像を受信する処理が交互に行われ、記憶・読出部19が取得もしくは受信された順に1ずつ増加した画像IDを画像に対応付けて記憶する。そして、合成画像生成部21は同じ画像IDである自拠点の差分画像と他拠点の差分画像を合成するとしているが、それぞれの拠点でカメラによって画像が撮影された時刻に関する情報を対応付けて記憶し、自拠点差分画像と、その時間が最も近い他拠点差分画像を合成するようにしてもよい。
【0067】
また、代表フレームを決定する処理において、同一のグループIDを有する画像フレームのうち、もっとも撮影時刻が早い画像フレームの代表フレームフラグを「true」とし、それ以外の画像フレームの代表フレームフラグを「false」としたが、同一のグループIDを有する画像フレームのうち、任意の1つの画像フレームの代表フレームフラグを「true」とし、それ以外の画像フレームの代表フレームフラグを「false」としてもよい。
【0068】
また、無人判定処理の詳細において、輝度取得部12は、画像フレームが表す画像の周辺領域202内の、画素ごとの輝度を取得してもよい。周辺領域202の前面に描画する人が存在する場合が多いため、このように周辺領域202の輝度を測定するだけで、人のいる画像フレームであるか否かを判定するには十分であり、このようにすることで、描画領域201及び周辺領域202の画素の輝度を測定するより、処理量が減少しCPUの負荷の低減を図ることができる。
【0069】
また、上述の実施形態では、画像処理装置10aが、拠点Aで撮影された撮影画像が表す画像データ、拠点Bから受信された受信画像データに基づいて各処理を行っているが、画像処理装置10b、通信ネットワーク50に接続されているサーバ等の情報処理装置がそれらの処理を行ってもよい。
【0070】
また、黒板等の黒い描画対象物20に白いペンやチョーク等で描画画像200を形成する場合にも適用できる。この場合、描画量とは、描画領域201内にある各画素のうち、輝度値が所定の閾値より高い画素の数量とする。
【符号の説明】
【0071】
10 画像処理装置
11 送受信部
12 画像取得部
13 画像補正部
14 差分画像生成部
14a 輝度補正部
14b 差分算出部
14c 輝度値決定部
15 無人判定部
15a 輝度取得部
15b 差分判定部
15c 輝度変化画素数判定部
16 代表画像決定部
16a 同一判定部
16b グループ決定部
17 キーフレーム画像決定部
17a 描画量算出部
17b 描画量判定部
17c 最終決定部
18a 表示制御部
18b 音声出力制御部
180 表示部
19 記憶・読出処理部
20 描画対象物
200 描画画像
201 描画領域
202 周辺領域
21 合成画像生成部
22 情報統合部
22a 合成画像グループ決定部
22b 代表合成画像決定部
1000 記憶部
1001 撮影画像記憶部
1002 受信画像記憶部
1003 自拠点画像管理DB
1004 他拠点画像管理DB
1005 合成画像管理DB

30 撮影装置
40 プロジェクタ
50 通信ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2004−080750公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の画像処理装置と情報を送受信する画像処理装置であって、
他の画像処理装置から受信画像データを受信する受信画像データ受信手段と、
前記受信画像データ受信手段によって受信された受信画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第一のグループ情報を決定する第一グループ情報決定手段と、
自拠点で描画された画像を表す自拠点画像データを取得する自拠点画像データ取得手段と、
前記自拠点画像データ取得手段によって取得された自拠点画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第二のグループ情報を決定する第二グループ情報決定手段と、
前記自拠点画像データ取得手段によって取得された前記自拠点画像データと前記受信画像データ受信手段によって受信された前記受信画像データとを用いて合成画像データを生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像生成手段によって生成された合成画像データが表す合成画像の経時的に変化する描画量が極大であるか否かを示すキーフレーム情報を決定するキーフレーム情報決定手段と、
を有し、
前記キーフレーム情報決定手段は、前記第一グループ情報決定手段によって決定された前記第一のグループ情報と前記第二グループ情報決定手段によって決定された前記第二のグループ情報に基づいて前記合成画像データのキーフレーム情報を決定することを特徴とする前記画像処理装置。
【請求項2】
他の画像処理装置と情報を送受信する画像処理装置であって、
他の画像処理装置から受信画像データ、及び、前記受信画像データの第一のグループ情報を受信する受信画像データ受信手段と、
自拠点で描画された画像を表す自拠点画像データを取得する自拠点画像データ取得手段と、
前記自拠点画像データ取得手段によって取得された自拠点画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第二のグループ情報を決定する第二グループ情報決定手段と、
前記自拠点画像データ取得手段によって取得された前記自拠点画像データと前記受信画像データ受信手段によって受信された前記受信画像データとを用いて合成画像データを生成する合成画像生成手段と、
前記合成画像生成手段によって生成された合成画像データが表す合成画像の経時的に変化する描画量が極大であるか否かを示すキーフレーム情報を決定するキーフレーム情報決定手段と、
を有し、
前記キーフレーム情報決定手段は、前記受信画像データ受信手段によって受信された前記第一のグループ情報と前記第二グループ情報決定手段によって決定された前記第二のグループ情報に基づいて前記合成画像データのキーフレーム情報を決定することを特徴とする前記画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記自拠点画像データ取得手段は、
撮影された画像を表す撮影画像データを取得する撮影画像データ取得手段と、
前記撮影画像データ取得手段によって取得された前記撮影画像データが表す撮影画像から、前記受信画像データ受信手段によって受信された前記受信画像データが表す受信画像を除去した差分画像を表す差分画像データを自拠点画像データとして生成する差分画像データ生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記第二グループ情報決定手段は、前記差分画像データ生成手段によって生成された前記差分画像データが、直前に前記差分画像データ生成手段によって生成された差分画像データと同一であるか否かに基づいて前記グループ情報を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置であって、
前記第二グループ情報決定手段は、グループマッチング法を用いて、前記差分画像データ生成手段によって生成された前記差分画像データが、直前に前記差分画像データ生成手段によって生成された差分画像データと同一であるか否かに基づいて前記グループ情報を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
他の画像処理装置と情報を送受信する画像処理装置が実行する画像処理プログラムであって、
他の画像処理装置から受信画像データを受信する受信画像データ受信工程と、
前記受信画像データ受信工程によって受信された受信画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第一のグループ情報を決定する第一グループ情報決定工程と、
自拠点で描画された画像を表す自拠点画像データを取得する自拠点画像データ取得工程と、
前記自拠点画像データ取得工程によって取得された自拠点画像データのグループ決めをし、前記グループを表す第二のグループ情報を決定する第二グループ情報決定工程と、
前記自拠点画像データ取得工程によって取得された前記自拠点画像データと前記受信画像データ受信工程によって受信された前記受信画像データとを用いて合成画像データを生成する合成画像生成工程と、
前記合成画像生成工程によって生成された合成画像データが表す合成画像の経時的に変化する描画量が極大であるか否かを示すキーフレーム情報を決定するキーフレーム情報決定工程と、
を前記画像処理装置に実行させ、
前記キーフレーム情報決定工程は、前記第一グループ情報決定工程によって受信された前記第一のグループ情報と前記第二グループ情報決定工程によって決定された前記第二のグループ情報に基づいて前記合成画像データのキーフレーム情報を決定することを特徴とする前記画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理プログラムであって、
前記自拠点画像データ取得工程は、
撮影された画像を表す撮影画像データを取得する撮影画像データ取得工程と、
前記撮影画像データ取得工程によって取得された前記撮影画像データが表す撮影画像から、前記受信画像データ受信工程によって受信された前記受信画像データが表す受信画像を除去した差分画像を表す差分画像データを自拠点画像データとして生成する差分画像データ生成工程と、
を有することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理プログラムであって、
前記第二グループ情報決定工程は、前記差分画像データ生成工程によって生成された前記差分画像データが、直前に前記差分画像データ生成工程によって生成された差分画像データと同一であるか否かに基づいて前記グループ情報を決定することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理プログラムであって、
前記第二グループ情報決定工程は、グループマッチング法を用いて、前記差分画像データ生成工程によって生成された前記差分画像データが、直前に前記差分画像データ生成工程によって生成された差分画像データと同一であるか否かに基づいて前記グループ情報を決定することを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−134959(P2012−134959A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260933(P2011−260933)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】