画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラム
【課題】読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理システム1Aは、設定シート及び原稿を光学的に読み取り、必要に応じて設定シートの印刷を指示する画像読取装置2Aと、設定シート等を印刷する画像形成装置3Aと、これら相互接続するネットワーク4とから構成されている。画像読取装置2Aの制御部20は、設定シート画像データから設定シートの画質の劣化を示す劣化レベルを媒体記録情報として取得し、その劣化レベルが所定の範囲に含まれていないとき、その設定シートの画質は劣化していると判定する劣化レベル判定手段201、設定シートの画質が劣化していると判定されたとき、新たな設定シートの出力を指示する設定シート生成手段203A等として機能する。
【解決手段】画像処理システム1Aは、設定シート及び原稿を光学的に読み取り、必要に応じて設定シートの印刷を指示する画像読取装置2Aと、設定シート等を印刷する画像形成装置3Aと、これら相互接続するネットワーク4とから構成されている。画像読取装置2Aの制御部20は、設定シート画像データから設定シートの画質の劣化を示す劣化レベルを媒体記録情報として取得し、その劣化レベルが所定の範囲に含まれていないとき、その設定シートの画質は劣化していると判定する劣化レベル判定手段201、設定シートの画質が劣化していると判定されたとき、新たな設定シートの出力を指示する設定シート生成手段203A等として機能する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置を実行する際の設定モードを変更するための設定用シートに記入された内容を読み取って、その記入内容に応じてモード設定を行う画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この画像処理装置は、画像を読み取るスキャナによって設定用シートの画像を読み取り、この設定用シートに記入された内容に応じて自動的にモード設定を行う手段を備える。これにより、モード設定を行う際にパネル操作による入力操作を不要にすることができる。
【特許文献1】特開平5−112064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムを提供する。
【0006】
[1]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【0007】
[2]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な画質の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体の画質の劣化を示す画質劣化情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記画質劣化情報報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【0008】
[3]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な前記設定情報の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体に記録された前記設定情報の構造を示す構造情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記構造情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【0009】
[4]前記出力指示手段が出力を指示する前記新たな設定用媒体は、前記設定用媒体に対して指定された設定指定情報を既に指定された態様で出力する前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0010】
[5]前記設定用媒体は、前記画質の劣化を判定するためのパターン画像が記録されている前記[2]に記載の画像処理装置。
【0011】
[6]前記記憶手段が記憶する前記範囲情報及び前記取得手段が取得する前記構造情報は、複数の設定項目及び前記設定項目毎に対応する複数の候補からなり、前記出力指示手段は、前記範囲情報及び前記構造情報の両者に含まれない前記設定項目又は前記候補があるとき、前記構造情報に基づく前記新たな設定用媒体の出力を指示する前記[3]に記載の画像処理装置。
【0012】
[7]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定情報が指定された前記設定用媒体を読み取って画像情報を生成する読取手段と、前記読取手段により生成された前記画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段と、前記出力指示手段により出力された指示に基づいて、前記新たな設定媒体を印刷する印刷手段とを備えた画像処理システム。
【0013】
[8]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体を読み取って得られた画像情報から媒体記録情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記媒体記録情報が、前記設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示ステップとをコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る画像処理装置によれば、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0015】
請求項2に係る画像処理装置によれば、読み取られた設定用媒体の画質が劣化しているとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0016】
請求項3に係る画像処理装置によれば、読み取られた設定用媒体に記録された設定情報の構造が変更されているとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0017】
請求項4に係る画像処理装置によれば、新たな設定用媒体を出力する際に、既に指定された設定指定情報をその新たな設定用媒体に記録した状態で出力することができる。
【0018】
請求項5に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、設定用媒体の画質が劣化しているか否かの判定を簡便に行うことができる。
【0019】
請求項6に係る画像処理装置によれば、設定情報を構成する設定項目又は候補に差異があるとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0020】
請求項7に係る画像処理システムによれば、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0021】
請求項8に係る画像処理プログラムによれば、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。この画像処理システム1Aは、設定シート及び原稿を光学的に読み取るとともに、必要に応じて設定シートの印刷を指示する画像読取装置2Aと、設定された動作条件の下で印刷対象の印刷データに基づいて設定シート等を印刷する画像形成装置3Aと、これら画像読取装置2A及び画像形成装置3Aを相互に接続するネットワーク4とから構成されている。
【0023】
ここで、「設定シート」とは、画像形成装置3Aの動作条件を指定するために利用される設定用媒体である。なお、本実施の形態では、設定シートは、記録媒体として紙に印刷されるものであるが、設定シートと内容を含む情報を、例えば、電子メール等の通信手段を介して表示画面上に表示可能な情報として出力してもよいし、フラッシュメモリや光ディスク等の外部記録メディアに記憶可能な情報として出力するようにしてもよい。
【0024】
印刷データは、上記の設定シート、及び画像読取装置2Aにより読み取られた原稿と同等の内容を含む原稿等を印刷するために画像形成装置3Aで処理可能な形式(例えば、PDL)に変換されたデータである。なお、印刷データは、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等の端末装置(図示せず)からネットワーク4を介して送信されるデータに基づくものでもよい。
【0025】
ネットワーク4は、有線通信及び無線通信等によりデータの送受信を行うLAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネット等の通信網である。
【0026】
なお、図1では、画像読取装置2A及び画像形成装置3Aは、それぞれ1台であるが、2台以上であってもよい。
【0027】
(画像読取装置)
画像読取装置2Aは、この画像読取装置2Aの各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部20と、各種のプログラムやデータ等を記憶するROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部21と、ネットワーク4に接続された、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される通信部22と、ディスプレイの表面にタッチパネルを重畳して構成された、例えば、タッチパネルディスプレイや、スタートキー等のハードキーを備えた操作表示部23と、自動給紙装置(ADF)により供給される設定シート及び原稿をイメージセンサ等により光学的に読み取って、デジタルデータとしての画像データ(画像情報)を生成する読取部24とから構成されている。
【0028】
このような画像読取装置2Aは、例えば、スキャナ、デジタルカメラ等により構成することができる。なお、設定シートを読み取って得られた画像データを設定シート画像データといい、原稿を読み取って得られた画像データを原稿画像データという。
【0029】
記憶部21には、後述する図6のフローチャートに示すような画像処理プログラム210A及び範囲情報211等が記憶されている。
【0030】
制御部20は、画像処理プログラム210Aに従って動作することにより、読取部24により生成された画像データが、設定シート画像データであるか否かを判定する設定シート判定処理を行う設定シート判定手段200、設定シート画像データから設定シートの画質の劣化を示す劣化レベルを媒体記録情報として取得し、その劣化レベルが所定の範囲に含まれていないとき、その設定シートの画質は劣化していると判定する画質劣化判定処理を行う劣化レベル判定手段201、設定シート画像データに対して解析処理を行い、設定シートに対して指定された設定指定情報を取得する設定情報取得手段202A、及び劣化レベル判定手段201によりその設定シートの画質が劣化していると判定されたとき、新たな設定シートを印刷するための印刷データを生成し、その印刷データに基づく新たな設定シートの出力を指示する設定シート生成手段203A等として機能する。
【0031】
設定情報取得手段202Aによる解析処理は、例えば、設定シート画像データにおいて予め定められた領域の画像を切り出し、その画像に含まれるパターン、文字、マーク等と認識辞書とを、例えばパターンマッチング法により比較して、最も類似性の高いものを解析結果とするものである。なお、設定指定情報の詳細は後述する。
【0032】
範囲情報211には、設定シートが利用可能な所定の範囲を示す基準レベルが記憶されている。なお、本実施の形態では、基準レベルとして、設定シートエラーレベル及び設定済みシート発行レベルの2つを記憶しているが、1つでもよいし、さらに他の基準レベルを記憶していてもよい。
【0033】
(画像形成装置)
画像形成装置3Aは、この画像形成装置3Aの各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部30と、各種のプログラムやデータ等を記憶するROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部31と、ネットワーク4に接続された、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される通信部32と、ディスプレイの表面にタッチパネルを重畳して構成された、例えば、タッチパネルディスプレイや、スタートキー等のハードキーを備えた操作表示部33と、印刷データを紙等の記録媒体に印刷する印刷部34とから構成されている。
【0034】
このような画像形成装置3Aは、例えば、プリンタ、複合機及び複写機等により構成することができる。
【0035】
記憶部31には、この画像形成装置3Aの制御動作が実装された制御プログラム310A及び設定情報311A等が記憶されている。
【0036】
設定情報311Aには、設定シートを介して設定される動作条件として、画像処理を実行する際の機能や動作の詳細を定める設定項目毎に、現在設定されている設定値と、設定値となり得る複数の候補が記憶されている。なお、設定値は、複数の候補の中から選択されるものでもよいし、数値等により上限若しくは下限の値、又は範囲を指定されるものでもよい。
【0037】
制御部30は、制御プログラム310Aに従って動作することにより、設定情報311Aに記憶されている設定値に基づいて各部を制御し、例えば、通信部32を介して受信した印刷データに基づいて、印刷部34による印刷処理を制御する。
【0038】
印刷部34は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写方式等の各種の方式を用いることができる。
【0039】
図2は、画像形成装置3Aにより印刷された設定シートの一例を示す図である。この設定シート11Aには、その右上部に設定シート判定パターン110と、その左下部に画像劣化判定パターン111とが印刷されている。また、設定シート11Aの中央部には、設定情報311Aに含まれる設定項目112と、各設定項目112に対応する複数の候補113とが、例えば、ユーザによるチェックマーク115を記入するためのチェックボックス114とともに印刷されている。
【0040】
設定シート判定パターン110は、上記の設定シート判定処理の際に用いられるパターン画像であり、例えば、幅の異なる複数の線画像を所定の順に並べたものである。なお、そのパターン画像は、線画像の代わりに所定のマークでもよいし、文字列や機械可読符号を用いてもよい。
【0041】
また、設定シート判定パターン110は、所定のサイズで印刷するものとし、設定シート判定処理の際に設定シート画像データ上でそのサイズを検出することにより、例えば、設定シート11Aが拡大又は縮小されてコピーされたときの拡大率又は縮小率を算出可能に構成されている。そして、算出された拡大率又は縮小率は、画質劣化判定処理等の各種処理に用いられる。
【0042】
画像劣化判定パターン111は、上記の画質劣化判定処理の際に用いられる画像であって、設定シートの画質の劣化を判定するためのパターン画像である。画像劣化判定パターン111は、例えば、幅の異なる複数の線画像を幅の細い順に間隔を空けて並べたものである。なお、設定シート判定手段200が設定シート判定パターン110により設定シートが否かを判定した後に、劣化レベル判定手段201が画像劣化判定パターン111に基づく画質の劣化を判定するため、設定シート判定パターン110の線画像は、画像劣化判定パターン111の線画像の幅に対して、画質の劣化が起こりにくいように太く印刷されている方が好ましい。
【0043】
また、設定シート11Aにおいて複数の候補113のうちチェックマーク115が記入された候補である選択候補は、設定情報取得手段202Aによる解析処理において、設定項目112毎に指定された選択候補を示す設定指定情報として取得される。
【0044】
(第1の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの動作について、図3〜図6を参照し、図6のフローチャートに従って説明する。
【0045】
まず、ユーザが、必要に応じて読取対象の原稿の先頭に、図2に例示するように所望の候補113にチェックマーク115を記入した設定シート11Aを配置して、画像読取装置2Aの自動給紙装置にセットし、操作表示部23を操作して読取指示を行う。画像読取装置2Aの制御部20が、その操作指示を受け付けると、読取部24は、その自動給紙装置にセットされた設定シート11A及び原稿を読み取って画像データを生成する(S1)。
【0046】
なお、画像データは、設定シート及び原稿毎に読取順に生成され、原稿が複数のページからなる場合には、各ページに対応した複数の画像データが生成される。
【0047】
次に、設定シート判定手段200は、設定シート判定処理として、その生成された画像データのうち先頭の画像データが設定シート画像データであるか否かを判定する(S2)。具体的には、設定シート判定手段200は、先頭の画像データの特定の領域に対して、設定シート判定パターン110のマッチングを行い、設定シート判定パターン110を検出した場合には、その画像データは設定シート画像データであると判定する。
【0048】
そして、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データではないと判定した場合には(S2:No)、制御部20は、その画像データ、すなわち、原稿画像データを画像形成装置3Aで処理可能な形式(例えば、PDL)の印刷データに変換し、その印刷データを印刷ジョブとして通信部22を介して画像形成装置3Aに送信する(S3)。
【0049】
そして、画像形成装置3Aの制御部30は、その印刷ジョブを受信すると、設定情報311Aに基づいて各部を制御することにより、その印刷ジョブに含まれる印刷データをビットマップデータ等に展開し、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷(コピー)する。
【0050】
一方、上記ステップS2において、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データであると判定した場合には(S2:Yes)、劣化レベル判定手段201は、その設定シート画像データに対して画質劣化判定処理を行う(S10)。
【0051】
具体的には、劣化レベル判定手段201は、設定シート画像データに含まれている画像劣化判定パターン111をデジタルデータに変換し、その変換した読取ビット配列と、予め期待されている基準ビット配列とを、例えば、排他的論理和(XOR)演算により比較することにより、設定シート画像データの基となる設定シートの画質の劣化レベルを取得する。
【0052】
図3(a)は、画像劣化判定パターン111に基づいて読取ビット配列に変換した図である。読取ビット配列1110は、例えば、画像劣化判定パターン111に対する読取処理により線画像が存在する位置を「1」、存在しない位置を「0」として取得したものである。
【0053】
図3(b)及び(c)は、読取処理により得られた読取ビット配列と、基準ビット配列と、その両者のXOR演算の結果の一例を示す図である。図3(b)では、XOR演算の結果において、レベル3の範囲で読取ビット配列と基準ビット配列との間で不一致を示す「1」が検出されているため、劣化レベル1111は「4」と判定される。また、図3(b)では、レベル5の範囲で「1」が検出されているため、劣化レベルは「6」と判定される。なお、本実施の形態では、劣化レベルは、その値が低いほど設定シート画像データの画質が劣化していないと判断される値である。
【0054】
次に、劣化レベル判定手段201は、その取得した劣化レベルと、範囲情報211に記憶されている基準レベルである設定シートエラーレベル及び設定済みシート発行レベルの各々とを順に比較する(S11、S20)。ここで、基準レベルは、後述する判定レベル設定画面において事前にユーザにより指定された値である。
【0055】
図4は、基準レベルを指定する判定レベル設定画面の一例である。この判定レベル設定画面12は、基準レベルである設定シートエラーレベル120及び設定済みシート発行レベル121を指定するための画面であり、設定シートエラーレベル120及び設定済みシート発行レベル121に対するレベルをそれぞれ指定するためのレベル選択ボタン122A,122Bが表示されている。
【0056】
判定レベル設定画面12において、ユーザが所望のレベルに対応するレベル選択ボタン122A,122Bを押下すると、そのボタンに対応する選択レベル123A,123Bは、範囲情報211として記憶部21に記憶される。なお、この判定レベル設定画面12は、読取指示の際に表示されてもよい。
【0057】
そして、劣化レベル判定手段201は、劣化レベルと、上記の判定レベル設定画面12を介して指定された設定シートエラーレベルとを比較し(S11)、その結果劣化レベルが設定シートエラーレベル以下であると判定した場合には(S11:Yes)、設定情報取得手段202Aは、設定シート画像データに対して解析処理を行い、設定指定情報を抽出する(S12)。
【0058】
次に、制御部20は、原稿画像データから変換した印刷データとともに、その抽出された設定指定情報を印刷ジョブとして画像形成装置3Aに送信する(S13)。そして、画像形成装置3Aの制御部30は、その印刷ジョブに含まれる設定指定情報を設定情報311Aに反映し、その反映した設定情報311Aに基づいて、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷する。
【0059】
一方、上記ステップS11において、劣化レベル判定手段201が、劣化レベルが設定シートエラーレベル以下ではないと判定した場合には(S11:No)、さらに劣化レベルと設定済みシート発行レベルとを比較する(S20)。
【0060】
そして、劣化レベル判定手段201が、劣化レベルが設定済みシート発行レベル以下ではないと判定した場合には(S20:No)、制御部20は、設定シートの画質劣化のエラーを通知するとともに、新規の設定シートの出力指示を受付可能な劣化エラー画面を操作表示部23に表示する(S21)。
【0061】
図5(a)は、表示された劣化エラー画面の一例を示す図である。この劣化エラー画面13Aには、新規の設定シートの発行を指示する新規設定シート発行ボタン130と、その発行を指示しないキャンセルボタン131とが表示されている。
【0062】
そして、制御部20が、劣化エラー画面13Aにおいて操作表示部23を介してユーザにより押下されたボタンを示すボタン押下情報を受け付けると、そのボタン押下情報が新規設定シート発行ボタン130が押下された旨を示す場合には(S22:Yes)、設定シート生成手段203Aは、新規の設定シートを印刷するための印刷データを生成する。そして、制御部20は、設定シート生成手段203Aにより生成された印刷データを画像形成装置3Aに送信する(S23)。画像形成装置3Aは、その印刷データに基づいて新規の設定シートを印刷する。
【0063】
また、そのボタン押下情報がキャンセルボタン131が押下された旨を示す場合には(S22:No)、上述のステップS3に進み、設定シート画像データから設定指定情報を抽出することなく、原稿画像データに基づく印刷データを画像形成装置3Aに送信する(S3)。
【0064】
一方、上記ステップS20において、劣化レベル判定手段201が、劣化レベルが設定済みシート発行レベル以下であると判定した場合には(S20:Yes)、設定情報取得手段202Aは、上記ステップS12と同様にして設定指定情報を抽出する(S30)。
【0065】
次に、制御部20は、画質劣化の警告を通知するとともに、新規設定シート及び指定済み設定シートの出力指示を受付可能な劣化警告画面を表示する(S31)。
【0066】
図5(b)は、表示された劣化警告画面の一例を示す図である。この劣化警告画面13Bには、劣化エラー画面13Aと同様の新規設定シート発行ボタン130及びキャンセルボタン131の他に、新規の設定シートに対して、設定情報取得手段202Aにより抽出された設定指定情報に基づいて、既にユーザによる指定がされた旨を所定の指定済みマークで示す指定済み設定シートの発行を指示する指定済み設定シート発行ボタン132が表示されている。
【0067】
そして、制御部20が、劣化警告画面13Bに対するボタン押下情報を受け付け、そのボタン押下情報が指定済み設定シート発行ボタン132が押下された旨を示す場合には(S32:Yes)、設定シート生成手段203Aは、抽出された設定指定情報に基づいて、新たな設定シート上の所定の位置に既に指定された選択候補を示す態様として指定済みマークを合成することにより、指定済み設定シートを印刷するための印刷データを生成する。制御部20は、その生成された印刷データを画像形成装置3Aに送信する(S33)。そして、画像形成装置3Aは、その印刷データに基づいて指定済み設定シートを印刷する。
【0068】
また、そのボタン押下情報が指定済み設定シート発行ボタン132ではなく、新規設定シート発行ボタン130又はキャンセルボタン131が押下された旨を示す場合には(S32:No)、上述のステップS22に進み、上記と同様に、指定済み設定シート発行ボタン132の場合には(S22:Yes)、新規の設定シートの印刷データが送信され、キャンセルボタン131の場合には(S22:No)、原稿画像データに基づく印刷データが画像形成装置3Aに送信される(S3)。
【0069】
(画像劣化判定パターンの変形例)
図7は、画像劣化判定パターンの変形例を示す図である。図7(a)に例示する画像劣化判定パターン111Aは、各レベルに合わせてサイズを変更した複数の機械可読符号1112を並べたものである。機械可読符号とは、例えば、QRコード(登録商標)、グリフコード(登録商標)等の2次元コードやバーコード等の1次元コードであり、画像読取装置2Aにより読み取り可能なものをいう。
【0070】
図7(b)に例示する画像劣化判定パターン111Bは、各レベルに合わせて、例えば、フォントサイズを徐々に変更した複数の文字列1113を並べたものである。
【0071】
劣化レベル判定手段201は、上記の機械可読符号1112又は文字列1113を読み取って取得した読取情報と、基準となる基準情報とを比較し、その比較結果に応じて劣化レベルを判定する。なお、読取情報と基準情報とを比較する際には、読取情報と基準情報とが完全一致しているか否か(例えば、文字列が全て一致)に応じて判定してもよいし、一致率が所定の値以上であるか否か(例えば、全文字数のうち一致した文字数が50%以上)に応じて判定してもよい。
【0072】
なお、劣化レベル判定手段201は、設定シート11Aに画像劣化判定パターン111が含まれていない場合でも、例えば、設定シート画像データを2値化したときの白及び黒部分の割合が変化しているか否かに応じて判定してもよい。白部分の割合の増加は、設定シートの擦れを意味し、黒部分の割合の増加は、設定シートの汚れを意味する。また、設定シート画像データ内に含まれる文字列をパターンマッチングにより認識する際の類似度や認識率等に基づいて判定してもよい。
【0073】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。この画像処理システム1Bは、画像形成装置3Bに記憶されている設定情報311Bの構造が変更されたとき、その変更された構造に対応する新たな設定シートを印刷する印刷データを生成する画像読取装置2Bと、設定情報311Bの構造を必要に応じて変更する画像形成装置3Bと、第1の実施の形態のネットワーク4とから構成されている。
【0074】
(画像読取装置)
画像読取装置2Bは、第1の実施の形態と同様に、制御部20、記憶部21、通信部22、操作表示部23及び読取部24から構成されている。
【0075】
記憶部21には、後述する図15のフローチャートに示すような画像処理プログラム210B及び設定情報比較テーブル212A等が記憶されている。
【0076】
制御部20は、画像処理プログラム210Bに従って動作することにより、第1の実施の形態と同様の設定シート判定手段200の他に、設定シート画像データに対して解析処理を行うことにより、設定指定情報とともに、その設定シートに印刷された各設定項目及び複数の候補からなる抽出項目情報を媒体記録情報として取得する設定情報取得手段202B、設定情報取得手段202Bにより取得された抽出項目情報と、画像形成装置3Bから取得し、設定情報比較テーブル212Aに範囲情報として記憶されている設定情報311Bとを比較して差異があるか否かを判定する構造変更判定処理を行う構造判定手段204、及び構造判定手段204により差異があると判定されたとき、新たな設定シートを印刷するための印刷データを生成し、その印刷データに基づく新たな設定シートの出力を指示する設定シート生成手段203B等として機能する。
【0077】
なお、構造判定手段204が画像形成装置3Bの設定情報311Bを取得する方法は、設定情報311Bの送信命令を画像形成装置3Bに送り、その返信として設定情報311Bを取得してもよいし、画像形成装置3Bが主体的に送信した設定情報311Bを単に取得するだけでもよい。設定情報311Bの送信命令は、設定シートの読取指示を受け付けたときに送ってもよいし、定期的に送ってもよい。また、画像形成装置3Bが主体的に設定情報311Bを送信する場合としては、画像読取装置3Bの電源が投入されたときでもよいし、設定情報311Bの構造が変更されたときでもよい。
【0078】
設定情報比較テーブル212Aは、構造判定手段204により取得された設定情報311Bを記憶するとともに、設定情報取得手段202Bにより取得された抽出項目情報を記憶し、両者の間に差異があるか否かを判定する際に用いられる。なお、設定情報比較テーブル212Aの詳細は後述する。
【0079】
(画像形成装置)
画像形成装置3Bは、第1の実施の形態と同様に、制御部30、記憶部31、通信部32、操作表示部33及び印刷部34から構成されている。記憶部31には、制御プログラム310B及び設定情報311Bが記憶されている。
【0080】
制御部30は、制御プログラム310Bに従って動作することにより、第1の実施の形態と同様に、設定情報311Bに基づいて各部を制御するとともに、例えば、オプション部品の装着及び脱着、消耗品切れ及びその補充、故障箇所の検出及びその故障箇所の修理等の画像処理装置3Bの装置構成に変化があったことを検出し、その装置構成の変化に応じて設定情報311Bの構造を変更する。なお、装置構成の変化は、センサ、スイッチ等の検出部を介して制御部30により検出されてもよいし、ユーザにより操作表示部33を介して指示されてもよい。
【0081】
設定情報311Bの構造を変更する例としては、オプション装置の装着、消耗品の補充、故障箇所の修理等により、所定の機能が利用可能となった際には、その機能に対応する設定項目が追加される場合と、既に存在する設定項目に対する候補が追加される場合とが挙げられる。また、オプション装置の脱着、消耗品切れ、故障箇所の検出等により、所定の機能が利用不可能となった際には、その機能に対応する設定項目が削除される場合と、設定項目に対する複数の候補のうちの一部の候補が削除される場合とが挙げられる。
【0082】
また、制御プログラム310Bが、新しいバージョンにより書き換えられた際には、その書き換え後の制御プログラム310Bにより利用可能な設定情報311Bの構造に変更される。
【0083】
図9は、設定情報311Bの一例を示す図である。この設定情報311Bには、第1の実施の形態と同様に、設定項目3100毎に、現在設定されている設定値3101と、設定値となり得る複数の候補3102が記憶されている。
【0084】
図10は、画像形成装置3Bにより印刷された設定シートの一例を示す図である。この設定シート11Bは、設定情報311Bに基づいて印刷されたものであり、設定項目112と、各設定項目112に対応する複数の候補113とが、ユーザによりチェックマーク115を記入するためのチェックボックス114とともに印刷されている。
【0085】
(第2の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの動作について、図11〜図15を参照し、図15のフローチャートに従って説明する。
【0086】
まず、ユーザが、読取対象の原稿の先頭に図10に例示する設定シート11Bを配置して、画像読取装置2Aの自動給紙装置にセットして読取指示を行うと、画像読取装置2Aの読取部24は、そのセットされた設定シート11B及び原稿を読み取って画像データを生成する(S101)。
【0087】
次に、設定シート判定手段200は、その生成された画像データのうち先頭の画像データが設定シート画像データであるか否かを判定する(S102)。
【0088】
そして、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データではないと判定した場合には(S102:No)、制御部20は、その画像データを変換した印刷データを印刷ジョブとして通信部22を介して画像形成装置3Bに送信する(S103)。そして、画像形成装置3Bの制御部30は、その印刷ジョブを受信すると、設定情報311Bに基づいて、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷する。
【0089】
一方、上記ステップS102において、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データであると判定した場合には(S102:Yes)、設定情報取得手段202Bは、設定シート画像データに対して解析処理を行い、第1の実施の形態と同様の設定指定情報とともに、設定シート11Bに印刷されている各設定項目112及び複数の候補113からなる抽出項目情報を抽出する(S110)。
【0090】
次に、構造判定手段204は、設定情報比較テーブル212Aに記憶されている設定項目2110及び複数の候補2111と、その抽出された抽出項目情報を構成する設定項目及び複数の候補とを比較し、差異があるか否かを判定する(S111)。
【0091】
図11は、設定項目及び候補の追加により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。この設定情報比較テーブル212Aは、画像形成装置3Bから取得した設定情報311Bに基づいて更新される設定項目2110及び複数の候補2111と、設定シートから抽出された設定項目及び複数の候補を示す設定シート抽出項目2112とが記憶されている。構造判定手段204は、差異があるか、すなわち、候補2111及び設定シート抽出項目2112の列の両者に含まれない候補があるか否かを判定し、その結果を比較結果2113に書き込む。
【0092】
比較結果2113には、構造判定手段204により差異があると判定された行には、例えば、「×」印が付与されており、その「×」印が付与された行に対応する設定項目及び候補は、設定シート11Bを印刷したときに比較して新たに追加された追加項目2114A,2114B及び追加候補2115A,2115Bを示す。
【0093】
図12は、設定項目及び候補の削除により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。この設定情報比較テーブル212Bでは、比較結果2113において「×」印が付与された設定項目及び候補は、設定シート11Bを印刷したときに比較して削除された削除項目2116及び削除候補2117を示す。
【0094】
なお、構造判定手段204は、差異として、追加項目、追加候補、削除項目及び削除候補の少なくともいずれかを検出するものであり、例えば、図12において、削除項目2116及び削除候補2117の他に、追加項目及び追加候補をともに検出する場合もあり得る。
【0095】
そして、構造判定手段204が、比較結果に差異がないと判定した場合には(S111:No)、制御部20は、原稿画像データとともにその抽出された設定指定情報を印刷ジョブとして画像形成装置3Bに送信する(S112)。そして、画像形成装置3Bの制御30は、その印刷ジョブに含まれる設定指定情報を設定情報311Bに反映し、その反映した設定情報311Bに基づいて、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷する。
【0096】
一方、上記ステップS111において、構造判定手段204が、比較結果に差異があると判定した場合には(S111:No)、制御部20は、その旨を通知するとともに新規の設定シートの出力指示を受付可能な新規シート出力画面を表示する(S120)。
【0097】
そして、制御部20が、その新規シート出力画面において新規の設定シートの出力指示を受け付けた場合には(S121:Yes)、設定シート生成手段203Bは、新規の設定シートを印刷するための印刷データを生成し、制御部20は、その印刷データを画像形成装置3Bに送信する(S122)。そして、画像形成装置3Bは、その印刷データに基づいて設定シートを印刷する。
【0098】
また、制御部20が、新規の設定シートの出力指示を受け付けなかった場合には(S121:No)、上述のステップS112に進み、原稿画像データとともにその抽出された設定指定情報を印刷ジョブとして画像形成装置3Bに送信する(S112)。その際、画像形成装置3Bは、受信した設定指定情報において、利用不可能な選択候補が指定されている場合や、利用可能な設定項目に対して選択候補が指定されていない場合には、例えば、設定情報311Bの設定値3101に基づいて印刷してもよい。
【0099】
図13(a)は、設定項目及び候補の追加が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図である。この追加時の設定シート15Aは、構造判定手段204による比較結果が図11に例示する場合に印刷される設定シートである。したがって、設定シート15Aには、図10の設定シート11Bに比較して、追加項目116である設定項目「両面印刷」、「拡大縮小」と、追加候補117である設定項目「濃度調整」に対する候補「やや薄く」、「やや濃く」とが追加で印刷されている。
【0100】
図13(b)に例示する追加時の設定シート15Bは、図13(a)と同様の場合に印刷される設定シートであるが、さらに、抽出された設定指定情報が示す選択候補に対して既に指定済みであることを示す態様として指定済みマーク118が印刷されている。
【0101】
図14(a)は、設定項目及び候補の削除が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図である。この削除時の設定シート16Aは、構造判定手段204による比較結果が図12に例示する場合に印刷される設定シートである。したがって、設定シート16Aには、図10の設定シート11Bに比較して、削除項目である設定項目「濃度調整」と、削除候補である設定項目「給紙トレイ」に対する候補「トレイ2」とが印刷されていない。
【0102】
図14(b)に例示する削除時の設定シート16Bは、図14(a)と同様の場合に印刷される設定シートであるが、さらに、抽出された設定指定情報に対応する選択候補に対して指定済みマーク118が印刷されている。
【0103】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態では、設定シートの設定対象は、画像形成装置に記憶された設定情報としたが、画像読取装置等の他の画像処理装置に適用してもよい。また、画像読取装置は、原稿とともに設定シートを読み取ったが、設定シートだけを読み取るようにしてもよい。
【0104】
また、上記各実施の形態では、画像読取装置の制御部が有する各種の手段を、制御部と画像処理プログラムとによって実現したが、それらの一部または全部を特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific IC)等のハードウェアによって実現してもよい。
【0105】
また、上記各実施の形態では、画像読取装置の記憶部に画像処理プログラムが記憶されていたが、画像形成装置の記憶部に同様の画像処理プログラムを記憶し、画像形成装置の制御部と画像処理プログラムとによって、上記各実施の形態と同様の各手段を実現してもよい。
【0106】
また、上記各実施の形態で使用される画像処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体から装置内の記憶部に読み込んでもよく、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。
【0107】
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。例えば、上記各実施の形態における画像処理システムは、画像読取装置及び画像形成装置が有する機能やデータ等を画像処理システム全体として備えていればよく、それらの機能やデータ等が、1つの装置(例えば、スキャン、印刷(プリント)等の複数の機能を有する複合機)に備えられていてもよいし、3つ以上の装置(例えば、さらにサーバ等の管理装置を追加した構成)に分割して備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係る設定シートの一例を示す図である。
【図3】図3(a)は、画像劣化判定パターンに基づいて読取ビット配列に変換した図であり、図3(b)及び(c)は、読取処理により得られた読取ビット配列と、基準ビット配列と、その両者のXOR演算の結果の一例を示す図である。
【図4】図4は、基準レベルを設定する判定レベル設定画面の一例である。
【図5】図5(a)は、劣化エラー画面の一例を示す図であり、図5(b)は、劣化警告画面の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施の形態に係る画像読取装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)は、機械可読符号による画像劣化判定パターンの一例を示す図であり、図7(b)は、文字列による画像劣化判定パターンの一例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。
【図9】図9は、設定情報の一例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係る設定シートの一例を示す図である。
【図11】図11は、設定項目及び候補の追加により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。
【図12】図12は、設定項目及び候補の削除により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13(a)は、追加項目及び追加候補が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図であり、図13(b)は、図13(a)に対して指定済みマークが追加された設定シートの一例を示す図である。
【図14】図14(a)は、削除項目及び削除候補が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図であり、図14(b)は、図14(a)に対して指定済みマークが追加された設定シートの一例を示す図である。
【図15】図15は、第2の実施の形態に係る画像読取装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1A,1B…画像処理システム、2A,2B…画像読取装置、3A,3B…画像形成装置、4…ネットワーク、11A,11B…設定シート、12…判定レベル設定画面、13A…劣化エラー画面、13B…劣化警告画面、15A,15B…追加時の設定シート、16A,16B…削除時の設定シート、20…制御部、21…記憶部、22…通信部、23…操作表示部、24…読取部、30…制御部、31…記憶部、32…通信部、33…操作表示部、34…印刷部、110…設定シート判定パターン、111,111A,111B…画像劣化判定パターン、112…設定項目、113…候補、114…チェックボックス、115…チェックマーク、116…追加項目、117…追加候補、118…指定済みマーク、120…設定シートエラーレベル、121…シート発行レベル、122A,122B…レベル選択ボタン、123A,123B…選択レベル、130…新規設定シート発行ボタン、131…キャンセルボタン、132…指定済み設定シート発行ボタン、200…設定シート判定手段、201…劣化レベル判定手段、202A,202B…設定情報取得手段、203A,203B…設定シート生成手段、204…構造判定手段、210A,210B…画像処理プログラム、211…範囲情報,211A,211B…設定情報比較テーブル、310A,310B…制御プログラム、311A,311B…設定情報、1110…読取ビット配列、1111…劣化レベル、1112…機械可読符号、1113…文字列、2110…設定項目、2111…候補、2112…設定シート抽出項目、2113…比較結果、2114A,2114B…追加項目、2115A,2115B…追加候補、2116…削除項目、2117…削除候補、3100…設定項目、3101…設定値、3102…候補
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置を実行する際の設定モードを変更するための設定用シートに記入された内容を読み取って、その記入内容に応じてモード設定を行う画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この画像処理装置は、画像を読み取るスキャナによって設定用シートの画像を読み取り、この設定用シートに記入された内容に応じて自動的にモード設定を行う手段を備える。これにより、モード設定を行う際にパネル操作による入力操作を不要にすることができる。
【特許文献1】特開平5−112064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラムを提供する。
【0006】
[1]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【0007】
[2]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な画質の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体の画質の劣化を示す画質劣化情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記画質劣化情報報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【0008】
[3]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な前記設定情報の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体に記録された前記設定情報の構造を示す構造情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記構造情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【0009】
[4]前記出力指示手段が出力を指示する前記新たな設定用媒体は、前記設定用媒体に対して指定された設定指定情報を既に指定された態様で出力する前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0010】
[5]前記設定用媒体は、前記画質の劣化を判定するためのパターン画像が記録されている前記[2]に記載の画像処理装置。
【0011】
[6]前記記憶手段が記憶する前記範囲情報及び前記取得手段が取得する前記構造情報は、複数の設定項目及び前記設定項目毎に対応する複数の候補からなり、前記出力指示手段は、前記範囲情報及び前記構造情報の両者に含まれない前記設定項目又は前記候補があるとき、前記構造情報に基づく前記新たな設定用媒体の出力を指示する前記[3]に記載の画像処理装置。
【0012】
[7]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、前記設定情報が指定された前記設定用媒体を読み取って画像情報を生成する読取手段と、前記読取手段により生成された前記画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段と、前記出力指示手段により出力された指示に基づいて、前記新たな設定媒体を印刷する印刷手段とを備えた画像処理システム。
【0013】
[8]画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体を読み取って得られた画像情報から媒体記録情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記媒体記録情報が、前記設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示ステップとをコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る画像処理装置によれば、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0015】
請求項2に係る画像処理装置によれば、読み取られた設定用媒体の画質が劣化しているとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0016】
請求項3に係る画像処理装置によれば、読み取られた設定用媒体に記録された設定情報の構造が変更されているとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0017】
請求項4に係る画像処理装置によれば、新たな設定用媒体を出力する際に、既に指定された設定指定情報をその新たな設定用媒体に記録した状態で出力することができる。
【0018】
請求項5に係る画像処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、設定用媒体の画質が劣化しているか否かの判定を簡便に行うことができる。
【0019】
請求項6に係る画像処理装置によれば、設定情報を構成する設定項目又は候補に差異があるとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0020】
請求項7に係る画像処理システムによれば、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【0021】
請求項8に係る画像処理プログラムによれば、読み取られた設定用媒体が利用可能な範囲に含まれないとき、新たな設定用媒体を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。この画像処理システム1Aは、設定シート及び原稿を光学的に読み取るとともに、必要に応じて設定シートの印刷を指示する画像読取装置2Aと、設定された動作条件の下で印刷対象の印刷データに基づいて設定シート等を印刷する画像形成装置3Aと、これら画像読取装置2A及び画像形成装置3Aを相互に接続するネットワーク4とから構成されている。
【0023】
ここで、「設定シート」とは、画像形成装置3Aの動作条件を指定するために利用される設定用媒体である。なお、本実施の形態では、設定シートは、記録媒体として紙に印刷されるものであるが、設定シートと内容を含む情報を、例えば、電子メール等の通信手段を介して表示画面上に表示可能な情報として出力してもよいし、フラッシュメモリや光ディスク等の外部記録メディアに記憶可能な情報として出力するようにしてもよい。
【0024】
印刷データは、上記の設定シート、及び画像読取装置2Aにより読み取られた原稿と同等の内容を含む原稿等を印刷するために画像形成装置3Aで処理可能な形式(例えば、PDL)に変換されたデータである。なお、印刷データは、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等の端末装置(図示せず)からネットワーク4を介して送信されるデータに基づくものでもよい。
【0025】
ネットワーク4は、有線通信及び無線通信等によりデータの送受信を行うLAN(ローカルエリアネットワーク)、インターネット等の通信網である。
【0026】
なお、図1では、画像読取装置2A及び画像形成装置3Aは、それぞれ1台であるが、2台以上であってもよい。
【0027】
(画像読取装置)
画像読取装置2Aは、この画像読取装置2Aの各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部20と、各種のプログラムやデータ等を記憶するROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部21と、ネットワーク4に接続された、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される通信部22と、ディスプレイの表面にタッチパネルを重畳して構成された、例えば、タッチパネルディスプレイや、スタートキー等のハードキーを備えた操作表示部23と、自動給紙装置(ADF)により供給される設定シート及び原稿をイメージセンサ等により光学的に読み取って、デジタルデータとしての画像データ(画像情報)を生成する読取部24とから構成されている。
【0028】
このような画像読取装置2Aは、例えば、スキャナ、デジタルカメラ等により構成することができる。なお、設定シートを読み取って得られた画像データを設定シート画像データといい、原稿を読み取って得られた画像データを原稿画像データという。
【0029】
記憶部21には、後述する図6のフローチャートに示すような画像処理プログラム210A及び範囲情報211等が記憶されている。
【0030】
制御部20は、画像処理プログラム210Aに従って動作することにより、読取部24により生成された画像データが、設定シート画像データであるか否かを判定する設定シート判定処理を行う設定シート判定手段200、設定シート画像データから設定シートの画質の劣化を示す劣化レベルを媒体記録情報として取得し、その劣化レベルが所定の範囲に含まれていないとき、その設定シートの画質は劣化していると判定する画質劣化判定処理を行う劣化レベル判定手段201、設定シート画像データに対して解析処理を行い、設定シートに対して指定された設定指定情報を取得する設定情報取得手段202A、及び劣化レベル判定手段201によりその設定シートの画質が劣化していると判定されたとき、新たな設定シートを印刷するための印刷データを生成し、その印刷データに基づく新たな設定シートの出力を指示する設定シート生成手段203A等として機能する。
【0031】
設定情報取得手段202Aによる解析処理は、例えば、設定シート画像データにおいて予め定められた領域の画像を切り出し、その画像に含まれるパターン、文字、マーク等と認識辞書とを、例えばパターンマッチング法により比較して、最も類似性の高いものを解析結果とするものである。なお、設定指定情報の詳細は後述する。
【0032】
範囲情報211には、設定シートが利用可能な所定の範囲を示す基準レベルが記憶されている。なお、本実施の形態では、基準レベルとして、設定シートエラーレベル及び設定済みシート発行レベルの2つを記憶しているが、1つでもよいし、さらに他の基準レベルを記憶していてもよい。
【0033】
(画像形成装置)
画像形成装置3Aは、この画像形成装置3Aの各部を制御する、例えば、CPU等により実現される制御部30と、各種のプログラムやデータ等を記憶するROM,RAM,ハードディスク等により実現される記憶部31と、ネットワーク4に接続された、例えば、ネットワークインタフェースカードにより実現される通信部32と、ディスプレイの表面にタッチパネルを重畳して構成された、例えば、タッチパネルディスプレイや、スタートキー等のハードキーを備えた操作表示部33と、印刷データを紙等の記録媒体に印刷する印刷部34とから構成されている。
【0034】
このような画像形成装置3Aは、例えば、プリンタ、複合機及び複写機等により構成することができる。
【0035】
記憶部31には、この画像形成装置3Aの制御動作が実装された制御プログラム310A及び設定情報311A等が記憶されている。
【0036】
設定情報311Aには、設定シートを介して設定される動作条件として、画像処理を実行する際の機能や動作の詳細を定める設定項目毎に、現在設定されている設定値と、設定値となり得る複数の候補が記憶されている。なお、設定値は、複数の候補の中から選択されるものでもよいし、数値等により上限若しくは下限の値、又は範囲を指定されるものでもよい。
【0037】
制御部30は、制御プログラム310Aに従って動作することにより、設定情報311Aに記憶されている設定値に基づいて各部を制御し、例えば、通信部32を介して受信した印刷データに基づいて、印刷部34による印刷処理を制御する。
【0038】
印刷部34は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写方式等の各種の方式を用いることができる。
【0039】
図2は、画像形成装置3Aにより印刷された設定シートの一例を示す図である。この設定シート11Aには、その右上部に設定シート判定パターン110と、その左下部に画像劣化判定パターン111とが印刷されている。また、設定シート11Aの中央部には、設定情報311Aに含まれる設定項目112と、各設定項目112に対応する複数の候補113とが、例えば、ユーザによるチェックマーク115を記入するためのチェックボックス114とともに印刷されている。
【0040】
設定シート判定パターン110は、上記の設定シート判定処理の際に用いられるパターン画像であり、例えば、幅の異なる複数の線画像を所定の順に並べたものである。なお、そのパターン画像は、線画像の代わりに所定のマークでもよいし、文字列や機械可読符号を用いてもよい。
【0041】
また、設定シート判定パターン110は、所定のサイズで印刷するものとし、設定シート判定処理の際に設定シート画像データ上でそのサイズを検出することにより、例えば、設定シート11Aが拡大又は縮小されてコピーされたときの拡大率又は縮小率を算出可能に構成されている。そして、算出された拡大率又は縮小率は、画質劣化判定処理等の各種処理に用いられる。
【0042】
画像劣化判定パターン111は、上記の画質劣化判定処理の際に用いられる画像であって、設定シートの画質の劣化を判定するためのパターン画像である。画像劣化判定パターン111は、例えば、幅の異なる複数の線画像を幅の細い順に間隔を空けて並べたものである。なお、設定シート判定手段200が設定シート判定パターン110により設定シートが否かを判定した後に、劣化レベル判定手段201が画像劣化判定パターン111に基づく画質の劣化を判定するため、設定シート判定パターン110の線画像は、画像劣化判定パターン111の線画像の幅に対して、画質の劣化が起こりにくいように太く印刷されている方が好ましい。
【0043】
また、設定シート11Aにおいて複数の候補113のうちチェックマーク115が記入された候補である選択候補は、設定情報取得手段202Aによる解析処理において、設定項目112毎に指定された選択候補を示す設定指定情報として取得される。
【0044】
(第1の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの動作について、図3〜図6を参照し、図6のフローチャートに従って説明する。
【0045】
まず、ユーザが、必要に応じて読取対象の原稿の先頭に、図2に例示するように所望の候補113にチェックマーク115を記入した設定シート11Aを配置して、画像読取装置2Aの自動給紙装置にセットし、操作表示部23を操作して読取指示を行う。画像読取装置2Aの制御部20が、その操作指示を受け付けると、読取部24は、その自動給紙装置にセットされた設定シート11A及び原稿を読み取って画像データを生成する(S1)。
【0046】
なお、画像データは、設定シート及び原稿毎に読取順に生成され、原稿が複数のページからなる場合には、各ページに対応した複数の画像データが生成される。
【0047】
次に、設定シート判定手段200は、設定シート判定処理として、その生成された画像データのうち先頭の画像データが設定シート画像データであるか否かを判定する(S2)。具体的には、設定シート判定手段200は、先頭の画像データの特定の領域に対して、設定シート判定パターン110のマッチングを行い、設定シート判定パターン110を検出した場合には、その画像データは設定シート画像データであると判定する。
【0048】
そして、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データではないと判定した場合には(S2:No)、制御部20は、その画像データ、すなわち、原稿画像データを画像形成装置3Aで処理可能な形式(例えば、PDL)の印刷データに変換し、その印刷データを印刷ジョブとして通信部22を介して画像形成装置3Aに送信する(S3)。
【0049】
そして、画像形成装置3Aの制御部30は、その印刷ジョブを受信すると、設定情報311Aに基づいて各部を制御することにより、その印刷ジョブに含まれる印刷データをビットマップデータ等に展開し、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷(コピー)する。
【0050】
一方、上記ステップS2において、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データであると判定した場合には(S2:Yes)、劣化レベル判定手段201は、その設定シート画像データに対して画質劣化判定処理を行う(S10)。
【0051】
具体的には、劣化レベル判定手段201は、設定シート画像データに含まれている画像劣化判定パターン111をデジタルデータに変換し、その変換した読取ビット配列と、予め期待されている基準ビット配列とを、例えば、排他的論理和(XOR)演算により比較することにより、設定シート画像データの基となる設定シートの画質の劣化レベルを取得する。
【0052】
図3(a)は、画像劣化判定パターン111に基づいて読取ビット配列に変換した図である。読取ビット配列1110は、例えば、画像劣化判定パターン111に対する読取処理により線画像が存在する位置を「1」、存在しない位置を「0」として取得したものである。
【0053】
図3(b)及び(c)は、読取処理により得られた読取ビット配列と、基準ビット配列と、その両者のXOR演算の結果の一例を示す図である。図3(b)では、XOR演算の結果において、レベル3の範囲で読取ビット配列と基準ビット配列との間で不一致を示す「1」が検出されているため、劣化レベル1111は「4」と判定される。また、図3(b)では、レベル5の範囲で「1」が検出されているため、劣化レベルは「6」と判定される。なお、本実施の形態では、劣化レベルは、その値が低いほど設定シート画像データの画質が劣化していないと判断される値である。
【0054】
次に、劣化レベル判定手段201は、その取得した劣化レベルと、範囲情報211に記憶されている基準レベルである設定シートエラーレベル及び設定済みシート発行レベルの各々とを順に比較する(S11、S20)。ここで、基準レベルは、後述する判定レベル設定画面において事前にユーザにより指定された値である。
【0055】
図4は、基準レベルを指定する判定レベル設定画面の一例である。この判定レベル設定画面12は、基準レベルである設定シートエラーレベル120及び設定済みシート発行レベル121を指定するための画面であり、設定シートエラーレベル120及び設定済みシート発行レベル121に対するレベルをそれぞれ指定するためのレベル選択ボタン122A,122Bが表示されている。
【0056】
判定レベル設定画面12において、ユーザが所望のレベルに対応するレベル選択ボタン122A,122Bを押下すると、そのボタンに対応する選択レベル123A,123Bは、範囲情報211として記憶部21に記憶される。なお、この判定レベル設定画面12は、読取指示の際に表示されてもよい。
【0057】
そして、劣化レベル判定手段201は、劣化レベルと、上記の判定レベル設定画面12を介して指定された設定シートエラーレベルとを比較し(S11)、その結果劣化レベルが設定シートエラーレベル以下であると判定した場合には(S11:Yes)、設定情報取得手段202Aは、設定シート画像データに対して解析処理を行い、設定指定情報を抽出する(S12)。
【0058】
次に、制御部20は、原稿画像データから変換した印刷データとともに、その抽出された設定指定情報を印刷ジョブとして画像形成装置3Aに送信する(S13)。そして、画像形成装置3Aの制御部30は、その印刷ジョブに含まれる設定指定情報を設定情報311Aに反映し、その反映した設定情報311Aに基づいて、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷する。
【0059】
一方、上記ステップS11において、劣化レベル判定手段201が、劣化レベルが設定シートエラーレベル以下ではないと判定した場合には(S11:No)、さらに劣化レベルと設定済みシート発行レベルとを比較する(S20)。
【0060】
そして、劣化レベル判定手段201が、劣化レベルが設定済みシート発行レベル以下ではないと判定した場合には(S20:No)、制御部20は、設定シートの画質劣化のエラーを通知するとともに、新規の設定シートの出力指示を受付可能な劣化エラー画面を操作表示部23に表示する(S21)。
【0061】
図5(a)は、表示された劣化エラー画面の一例を示す図である。この劣化エラー画面13Aには、新規の設定シートの発行を指示する新規設定シート発行ボタン130と、その発行を指示しないキャンセルボタン131とが表示されている。
【0062】
そして、制御部20が、劣化エラー画面13Aにおいて操作表示部23を介してユーザにより押下されたボタンを示すボタン押下情報を受け付けると、そのボタン押下情報が新規設定シート発行ボタン130が押下された旨を示す場合には(S22:Yes)、設定シート生成手段203Aは、新規の設定シートを印刷するための印刷データを生成する。そして、制御部20は、設定シート生成手段203Aにより生成された印刷データを画像形成装置3Aに送信する(S23)。画像形成装置3Aは、その印刷データに基づいて新規の設定シートを印刷する。
【0063】
また、そのボタン押下情報がキャンセルボタン131が押下された旨を示す場合には(S22:No)、上述のステップS3に進み、設定シート画像データから設定指定情報を抽出することなく、原稿画像データに基づく印刷データを画像形成装置3Aに送信する(S3)。
【0064】
一方、上記ステップS20において、劣化レベル判定手段201が、劣化レベルが設定済みシート発行レベル以下であると判定した場合には(S20:Yes)、設定情報取得手段202Aは、上記ステップS12と同様にして設定指定情報を抽出する(S30)。
【0065】
次に、制御部20は、画質劣化の警告を通知するとともに、新規設定シート及び指定済み設定シートの出力指示を受付可能な劣化警告画面を表示する(S31)。
【0066】
図5(b)は、表示された劣化警告画面の一例を示す図である。この劣化警告画面13Bには、劣化エラー画面13Aと同様の新規設定シート発行ボタン130及びキャンセルボタン131の他に、新規の設定シートに対して、設定情報取得手段202Aにより抽出された設定指定情報に基づいて、既にユーザによる指定がされた旨を所定の指定済みマークで示す指定済み設定シートの発行を指示する指定済み設定シート発行ボタン132が表示されている。
【0067】
そして、制御部20が、劣化警告画面13Bに対するボタン押下情報を受け付け、そのボタン押下情報が指定済み設定シート発行ボタン132が押下された旨を示す場合には(S32:Yes)、設定シート生成手段203Aは、抽出された設定指定情報に基づいて、新たな設定シート上の所定の位置に既に指定された選択候補を示す態様として指定済みマークを合成することにより、指定済み設定シートを印刷するための印刷データを生成する。制御部20は、その生成された印刷データを画像形成装置3Aに送信する(S33)。そして、画像形成装置3Aは、その印刷データに基づいて指定済み設定シートを印刷する。
【0068】
また、そのボタン押下情報が指定済み設定シート発行ボタン132ではなく、新規設定シート発行ボタン130又はキャンセルボタン131が押下された旨を示す場合には(S32:No)、上述のステップS22に進み、上記と同様に、指定済み設定シート発行ボタン132の場合には(S22:Yes)、新規の設定シートの印刷データが送信され、キャンセルボタン131の場合には(S22:No)、原稿画像データに基づく印刷データが画像形成装置3Aに送信される(S3)。
【0069】
(画像劣化判定パターンの変形例)
図7は、画像劣化判定パターンの変形例を示す図である。図7(a)に例示する画像劣化判定パターン111Aは、各レベルに合わせてサイズを変更した複数の機械可読符号1112を並べたものである。機械可読符号とは、例えば、QRコード(登録商標)、グリフコード(登録商標)等の2次元コードやバーコード等の1次元コードであり、画像読取装置2Aにより読み取り可能なものをいう。
【0070】
図7(b)に例示する画像劣化判定パターン111Bは、各レベルに合わせて、例えば、フォントサイズを徐々に変更した複数の文字列1113を並べたものである。
【0071】
劣化レベル判定手段201は、上記の機械可読符号1112又は文字列1113を読み取って取得した読取情報と、基準となる基準情報とを比較し、その比較結果に応じて劣化レベルを判定する。なお、読取情報と基準情報とを比較する際には、読取情報と基準情報とが完全一致しているか否か(例えば、文字列が全て一致)に応じて判定してもよいし、一致率が所定の値以上であるか否か(例えば、全文字数のうち一致した文字数が50%以上)に応じて判定してもよい。
【0072】
なお、劣化レベル判定手段201は、設定シート11Aに画像劣化判定パターン111が含まれていない場合でも、例えば、設定シート画像データを2値化したときの白及び黒部分の割合が変化しているか否かに応じて判定してもよい。白部分の割合の増加は、設定シートの擦れを意味し、黒部分の割合の増加は、設定シートの汚れを意味する。また、設定シート画像データ内に含まれる文字列をパターンマッチングにより認識する際の類似度や認識率等に基づいて判定してもよい。
【0073】
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。この画像処理システム1Bは、画像形成装置3Bに記憶されている設定情報311Bの構造が変更されたとき、その変更された構造に対応する新たな設定シートを印刷する印刷データを生成する画像読取装置2Bと、設定情報311Bの構造を必要に応じて変更する画像形成装置3Bと、第1の実施の形態のネットワーク4とから構成されている。
【0074】
(画像読取装置)
画像読取装置2Bは、第1の実施の形態と同様に、制御部20、記憶部21、通信部22、操作表示部23及び読取部24から構成されている。
【0075】
記憶部21には、後述する図15のフローチャートに示すような画像処理プログラム210B及び設定情報比較テーブル212A等が記憶されている。
【0076】
制御部20は、画像処理プログラム210Bに従って動作することにより、第1の実施の形態と同様の設定シート判定手段200の他に、設定シート画像データに対して解析処理を行うことにより、設定指定情報とともに、その設定シートに印刷された各設定項目及び複数の候補からなる抽出項目情報を媒体記録情報として取得する設定情報取得手段202B、設定情報取得手段202Bにより取得された抽出項目情報と、画像形成装置3Bから取得し、設定情報比較テーブル212Aに範囲情報として記憶されている設定情報311Bとを比較して差異があるか否かを判定する構造変更判定処理を行う構造判定手段204、及び構造判定手段204により差異があると判定されたとき、新たな設定シートを印刷するための印刷データを生成し、その印刷データに基づく新たな設定シートの出力を指示する設定シート生成手段203B等として機能する。
【0077】
なお、構造判定手段204が画像形成装置3Bの設定情報311Bを取得する方法は、設定情報311Bの送信命令を画像形成装置3Bに送り、その返信として設定情報311Bを取得してもよいし、画像形成装置3Bが主体的に送信した設定情報311Bを単に取得するだけでもよい。設定情報311Bの送信命令は、設定シートの読取指示を受け付けたときに送ってもよいし、定期的に送ってもよい。また、画像形成装置3Bが主体的に設定情報311Bを送信する場合としては、画像読取装置3Bの電源が投入されたときでもよいし、設定情報311Bの構造が変更されたときでもよい。
【0078】
設定情報比較テーブル212Aは、構造判定手段204により取得された設定情報311Bを記憶するとともに、設定情報取得手段202Bにより取得された抽出項目情報を記憶し、両者の間に差異があるか否かを判定する際に用いられる。なお、設定情報比較テーブル212Aの詳細は後述する。
【0079】
(画像形成装置)
画像形成装置3Bは、第1の実施の形態と同様に、制御部30、記憶部31、通信部32、操作表示部33及び印刷部34から構成されている。記憶部31には、制御プログラム310B及び設定情報311Bが記憶されている。
【0080】
制御部30は、制御プログラム310Bに従って動作することにより、第1の実施の形態と同様に、設定情報311Bに基づいて各部を制御するとともに、例えば、オプション部品の装着及び脱着、消耗品切れ及びその補充、故障箇所の検出及びその故障箇所の修理等の画像処理装置3Bの装置構成に変化があったことを検出し、その装置構成の変化に応じて設定情報311Bの構造を変更する。なお、装置構成の変化は、センサ、スイッチ等の検出部を介して制御部30により検出されてもよいし、ユーザにより操作表示部33を介して指示されてもよい。
【0081】
設定情報311Bの構造を変更する例としては、オプション装置の装着、消耗品の補充、故障箇所の修理等により、所定の機能が利用可能となった際には、その機能に対応する設定項目が追加される場合と、既に存在する設定項目に対する候補が追加される場合とが挙げられる。また、オプション装置の脱着、消耗品切れ、故障箇所の検出等により、所定の機能が利用不可能となった際には、その機能に対応する設定項目が削除される場合と、設定項目に対する複数の候補のうちの一部の候補が削除される場合とが挙げられる。
【0082】
また、制御プログラム310Bが、新しいバージョンにより書き換えられた際には、その書き換え後の制御プログラム310Bにより利用可能な設定情報311Bの構造に変更される。
【0083】
図9は、設定情報311Bの一例を示す図である。この設定情報311Bには、第1の実施の形態と同様に、設定項目3100毎に、現在設定されている設定値3101と、設定値となり得る複数の候補3102が記憶されている。
【0084】
図10は、画像形成装置3Bにより印刷された設定シートの一例を示す図である。この設定シート11Bは、設定情報311Bに基づいて印刷されたものであり、設定項目112と、各設定項目112に対応する複数の候補113とが、ユーザによりチェックマーク115を記入するためのチェックボックス114とともに印刷されている。
【0085】
(第2の実施の形態の動作)
次に、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムの動作について、図11〜図15を参照し、図15のフローチャートに従って説明する。
【0086】
まず、ユーザが、読取対象の原稿の先頭に図10に例示する設定シート11Bを配置して、画像読取装置2Aの自動給紙装置にセットして読取指示を行うと、画像読取装置2Aの読取部24は、そのセットされた設定シート11B及び原稿を読み取って画像データを生成する(S101)。
【0087】
次に、設定シート判定手段200は、その生成された画像データのうち先頭の画像データが設定シート画像データであるか否かを判定する(S102)。
【0088】
そして、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データではないと判定した場合には(S102:No)、制御部20は、その画像データを変換した印刷データを印刷ジョブとして通信部22を介して画像形成装置3Bに送信する(S103)。そして、画像形成装置3Bの制御部30は、その印刷ジョブを受信すると、設定情報311Bに基づいて、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷する。
【0089】
一方、上記ステップS102において、設定シート判定手段200が、先頭の画像データが設定シート画像データであると判定した場合には(S102:Yes)、設定情報取得手段202Bは、設定シート画像データに対して解析処理を行い、第1の実施の形態と同様の設定指定情報とともに、設定シート11Bに印刷されている各設定項目112及び複数の候補113からなる抽出項目情報を抽出する(S110)。
【0090】
次に、構造判定手段204は、設定情報比較テーブル212Aに記憶されている設定項目2110及び複数の候補2111と、その抽出された抽出項目情報を構成する設定項目及び複数の候補とを比較し、差異があるか否かを判定する(S111)。
【0091】
図11は、設定項目及び候補の追加により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。この設定情報比較テーブル212Aは、画像形成装置3Bから取得した設定情報311Bに基づいて更新される設定項目2110及び複数の候補2111と、設定シートから抽出された設定項目及び複数の候補を示す設定シート抽出項目2112とが記憶されている。構造判定手段204は、差異があるか、すなわち、候補2111及び設定シート抽出項目2112の列の両者に含まれない候補があるか否かを判定し、その結果を比較結果2113に書き込む。
【0092】
比較結果2113には、構造判定手段204により差異があると判定された行には、例えば、「×」印が付与されており、その「×」印が付与された行に対応する設定項目及び候補は、設定シート11Bを印刷したときに比較して新たに追加された追加項目2114A,2114B及び追加候補2115A,2115Bを示す。
【0093】
図12は、設定項目及び候補の削除により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。この設定情報比較テーブル212Bでは、比較結果2113において「×」印が付与された設定項目及び候補は、設定シート11Bを印刷したときに比較して削除された削除項目2116及び削除候補2117を示す。
【0094】
なお、構造判定手段204は、差異として、追加項目、追加候補、削除項目及び削除候補の少なくともいずれかを検出するものであり、例えば、図12において、削除項目2116及び削除候補2117の他に、追加項目及び追加候補をともに検出する場合もあり得る。
【0095】
そして、構造判定手段204が、比較結果に差異がないと判定した場合には(S111:No)、制御部20は、原稿画像データとともにその抽出された設定指定情報を印刷ジョブとして画像形成装置3Bに送信する(S112)。そして、画像形成装置3Bの制御30は、その印刷ジョブに含まれる設定指定情報を設定情報311Bに反映し、その反映した設定情報311Bに基づいて、印刷部34により読取対象の原稿と同様の内容を印刷する。
【0096】
一方、上記ステップS111において、構造判定手段204が、比較結果に差異があると判定した場合には(S111:No)、制御部20は、その旨を通知するとともに新規の設定シートの出力指示を受付可能な新規シート出力画面を表示する(S120)。
【0097】
そして、制御部20が、その新規シート出力画面において新規の設定シートの出力指示を受け付けた場合には(S121:Yes)、設定シート生成手段203Bは、新規の設定シートを印刷するための印刷データを生成し、制御部20は、その印刷データを画像形成装置3Bに送信する(S122)。そして、画像形成装置3Bは、その印刷データに基づいて設定シートを印刷する。
【0098】
また、制御部20が、新規の設定シートの出力指示を受け付けなかった場合には(S121:No)、上述のステップS112に進み、原稿画像データとともにその抽出された設定指定情報を印刷ジョブとして画像形成装置3Bに送信する(S112)。その際、画像形成装置3Bは、受信した設定指定情報において、利用不可能な選択候補が指定されている場合や、利用可能な設定項目に対して選択候補が指定されていない場合には、例えば、設定情報311Bの設定値3101に基づいて印刷してもよい。
【0099】
図13(a)は、設定項目及び候補の追加が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図である。この追加時の設定シート15Aは、構造判定手段204による比較結果が図11に例示する場合に印刷される設定シートである。したがって、設定シート15Aには、図10の設定シート11Bに比較して、追加項目116である設定項目「両面印刷」、「拡大縮小」と、追加候補117である設定項目「濃度調整」に対する候補「やや薄く」、「やや濃く」とが追加で印刷されている。
【0100】
図13(b)に例示する追加時の設定シート15Bは、図13(a)と同様の場合に印刷される設定シートであるが、さらに、抽出された設定指定情報が示す選択候補に対して既に指定済みであることを示す態様として指定済みマーク118が印刷されている。
【0101】
図14(a)は、設定項目及び候補の削除が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図である。この削除時の設定シート16Aは、構造判定手段204による比較結果が図12に例示する場合に印刷される設定シートである。したがって、設定シート16Aには、図10の設定シート11Bに比較して、削除項目である設定項目「濃度調整」と、削除候補である設定項目「給紙トレイ」に対する候補「トレイ2」とが印刷されていない。
【0102】
図14(b)に例示する削除時の設定シート16Bは、図14(a)と同様の場合に印刷される設定シートであるが、さらに、抽出された設定指定情報に対応する選択候補に対して指定済みマーク118が印刷されている。
【0103】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、上記の各実施の形態では、設定シートの設定対象は、画像形成装置に記憶された設定情報としたが、画像読取装置等の他の画像処理装置に適用してもよい。また、画像読取装置は、原稿とともに設定シートを読み取ったが、設定シートだけを読み取るようにしてもよい。
【0104】
また、上記各実施の形態では、画像読取装置の制御部が有する各種の手段を、制御部と画像処理プログラムとによって実現したが、それらの一部または全部を特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific IC)等のハードウェアによって実現してもよい。
【0105】
また、上記各実施の形態では、画像読取装置の記憶部に画像処理プログラムが記憶されていたが、画像形成装置の記憶部に同様の画像処理プログラムを記憶し、画像形成装置の制御部と画像処理プログラムとによって、上記各実施の形態と同様の各手段を実現してもよい。
【0106】
また、上記各実施の形態で使用される画像処理プログラムは、CD−ROM等の記録媒体から装置内の記憶部に読み込んでもよく、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。
【0107】
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。例えば、上記各実施の形態における画像処理システムは、画像読取装置及び画像形成装置が有する機能やデータ等を画像処理システム全体として備えていればよく、それらの機能やデータ等が、1つの装置(例えば、スキャン、印刷(プリント)等の複数の機能を有する複合機)に備えられていてもよいし、3つ以上の装置(例えば、さらにサーバ等の管理装置を追加した構成)に分割して備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係る設定シートの一例を示す図である。
【図3】図3(a)は、画像劣化判定パターンに基づいて読取ビット配列に変換した図であり、図3(b)及び(c)は、読取処理により得られた読取ビット配列と、基準ビット配列と、その両者のXOR演算の結果の一例を示す図である。
【図4】図4は、基準レベルを設定する判定レベル設定画面の一例である。
【図5】図5(a)は、劣化エラー画面の一例を示す図であり、図5(b)は、劣化警告画面の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施の形態に係る画像読取装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)は、機械可読符号による画像劣化判定パターンの一例を示す図であり、図7(b)は、文字列による画像劣化判定パターンの一例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態に係る画像処理システムの概略構成の一例を示す全体図である。
【図9】図9は、設定情報の一例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係る設定シートの一例を示す図である。
【図11】図11は、設定項目及び候補の追加により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。
【図12】図12は、設定項目及び候補の削除により差異があると判定される場合の設定情報比較テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13(a)は、追加項目及び追加候補が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図であり、図13(b)は、図13(a)に対して指定済みマークが追加された設定シートの一例を示す図である。
【図14】図14(a)は、削除項目及び削除候補が検出された場合に印刷される設定シートの一例を示す図であり、図14(b)は、図14(a)に対して指定済みマークが追加された設定シートの一例を示す図である。
【図15】図15は、第2の実施の形態に係る画像読取装置における動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1A,1B…画像処理システム、2A,2B…画像読取装置、3A,3B…画像形成装置、4…ネットワーク、11A,11B…設定シート、12…判定レベル設定画面、13A…劣化エラー画面、13B…劣化警告画面、15A,15B…追加時の設定シート、16A,16B…削除時の設定シート、20…制御部、21…記憶部、22…通信部、23…操作表示部、24…読取部、30…制御部、31…記憶部、32…通信部、33…操作表示部、34…印刷部、110…設定シート判定パターン、111,111A,111B…画像劣化判定パターン、112…設定項目、113…候補、114…チェックボックス、115…チェックマーク、116…追加項目、117…追加候補、118…指定済みマーク、120…設定シートエラーレベル、121…シート発行レベル、122A,122B…レベル選択ボタン、123A,123B…選択レベル、130…新規設定シート発行ボタン、131…キャンセルボタン、132…指定済み設定シート発行ボタン、200…設定シート判定手段、201…劣化レベル判定手段、202A,202B…設定情報取得手段、203A,203B…設定シート生成手段、204…構造判定手段、210A,210B…画像処理プログラム、211…範囲情報,211A,211B…設定情報比較テーブル、310A,310B…制御プログラム、311A,311B…設定情報、1110…読取ビット配列、1111…劣化レベル、1112…機械可読符号、1113…文字列、2110…設定項目、2111…候補、2112…設定シート抽出項目、2113…比較結果、2114A,2114B…追加項目、2115A,2115B…追加候補、2116…削除項目、2117…削除候補、3100…設定項目、3101…設定値、3102…候補
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【請求項2】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な画質の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体の画質の劣化を示す画質劣化情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記画質劣化情報報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【請求項3】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な前記設定情報の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体に記録された前記設定情報の構造を示す構造情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記構造情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【請求項4】
前記出力指示手段が出力を指示する前記新たな設定用媒体は、前記設定用媒体に対して指定された設定指定情報を既に指定された態様で出力する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定用媒体は、前記画質の劣化を判定するためのパターン画像が記録されている請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段が記憶する前記範囲情報及び前記取得手段が取得する前記構造情報は、複数の設定項目及び前記設定項目毎に対応する複数の候補からなり、
前記出力指示手段は、前記範囲情報及び前記構造情報の両者に含まれない前記設定項目又は前記候補があるとき、前記構造情報に基づく前記新たな設定用媒体の出力を指示する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定情報が指定された前記設定用媒体を読み取って画像情報を生成する読取手段と、
前記読取手段により生成された前記画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段と、
前記出力指示手段により出力された指示に基づいて、前記新たな設定媒体を印刷する印刷手段とを備えた画像処理システム。
【請求項8】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体を読み取って得られた画像情報から媒体記録情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記媒体記録情報が、前記設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示ステップとをコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項1】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【請求項2】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な画質の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体の画質の劣化を示す画質劣化情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記画質劣化情報報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【請求項3】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な前記設定情報の範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定用媒体を読み取って得られた画像情報から前記設定用媒体に記録された前記設定情報の構造を示す構造情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記構造情報が、前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段とを備えた画像処理装置。
【請求項4】
前記出力指示手段が出力を指示する前記新たな設定用媒体は、前記設定用媒体に対して指定された設定指定情報を既に指定された態様で出力する請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定用媒体は、前記画質の劣化を判定するためのパターン画像が記録されている請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段が記憶する前記範囲情報及び前記取得手段が取得する前記構造情報は、複数の設定項目及び前記設定項目毎に対応する複数の候補からなり、
前記出力指示手段は、前記範囲情報及び前記構造情報の両者に含まれない前記設定項目又は前記候補があるとき、前記構造情報に基づく前記新たな設定用媒体の出力を指示する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報を記憶する記憶手段と、
前記設定情報が指定された前記設定用媒体を読み取って画像情報を生成する読取手段と、
前記読取手段により生成された前記画像情報から前記記憶手段に記憶された前記範囲情報に対応する媒体記録情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記媒体記録情報が、前記記憶手段に記憶された範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示手段と、
前記出力指示手段により出力された指示に基づいて、前記新たな設定媒体を印刷する印刷手段とを備えた画像処理システム。
【請求項8】
画像処理に関する設定情報を指定するための設定用媒体を読み取って得られた画像情報から媒体記録情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記媒体記録情報が、前記設定用媒体が利用可能な範囲を示す範囲情報に含まれないとき、新たな設定用媒体の出力を指示する出力指示ステップとをコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−224974(P2009−224974A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65775(P2008−65775)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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