説明

画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法

【課題】複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うこと。
【解決手段】本発明のある実施の形態において、画像処理装置5は、時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を色信号の更新時毎に処理する。この画像処理装置5において、明るさ検出部60は、色信号の更新時においてこの更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出し、検出した明るさレベルを時系列順に記憶しておく。変換部70は、明るさ検出部60において時系列順に記憶されている明るさレベルを用いて処理対象の画像信号に補正処理を行い、得られた補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する。そして、変換部70は、この階調変換特性を用いて補正画像信号に対して階調変換処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を処理する画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、CCD等の撮像素子で撮像された画像信号を入力し処理する際の階調幅は、デジタル信号処理の桁落ちによる画質劣化を防止するため、表示画像信号等として最終的に出力する際の階調幅(通常8Bit)に対して例えば10〜14ビット程度と広く設定されている。このため、画像信号を出力する際には、入力および処理時の階調幅から出力時の階調幅に合致するように画像信号に対して階調変換処理を行う必要がある。
【0003】
この階調変換処理の方法としては、例えば、標準的なシーンをもとに予め算出しておいた固定的な階調変換特性を用いる方法が知られている。また、撮影シーンに応じて階調変換特性を算出し、階調変換処理を適応的に行う方法も提案されている。例えば、特許文献1には、輝度値のヒストグラムをもとに階調補正特性(階調変換特性)を算出する方法が開示されている。この特許文献1では、階調変換特性の変更量が大きすぎることによって生じる動画像のちらつきを防止するため、階調変換特性の変更量の許容値を輝度値のヒストグラムから動的に生成することによって、動画像に対する適切な階調補正を保ちつつ階調補正の追従性を向上させている。
【0004】
一方で、被写体像をカラーで表示する電子内視鏡装置の照明方式として、面順次方式と同時方式とがある。面順次方式の照明方式を用いた場合、画素数が少ない場合にも解像度が比較的高くて色再現性に優れているため、微妙な色の変化を観察する必要がある医療分野では、面順次方式の電子内視鏡装置が広く用いられている。また、近年では、狭帯域の照明光を用いて狭帯域光観察像を得ることができる面順次方式の内視鏡装置が提案されている。この面順次方式の内視鏡装置は、例えば赤色(R),緑色(G),青色(B)の各色の色波長域の光を透過させる色透過フィルタを用い、R,G,Bそれぞれの単色の照明光を間欠的に照射しながらCCD等の撮像素子によって被写体の観察像を色毎に順次撮像していく。そして、得られたR,G,Bの各色信号を順次入力して同時化処理し、3板状態の画像信号としている。
【0005】
このように、面順次方式の撮像方式では、R,G,Bの各色信号がこの順に入力されて順次更新されていく。例えば、今回の更新時刻でRの色信号が更新された場合には、次の更新時刻ではGの色信号が更新され、さらに次の更新時刻ではBの色信号が更新される。そして、この間Rの色信号は前回値が保持され、その後の更新時刻で入力されたRの色信号によって更新されることとなる。そして、同時化処理は、このように入力されて順次更新されるR,G,Bの各色信号を保持し、更新時刻毎に3板状態に同時化することによって行う。このため、同時化処理された面順次方式の画像信号は、その色信号のうちの1つが該当する更新時刻で更新されたものとなる。例えばRの色信号が入力された場合にはRの色信号を更新するが、この更新したRの色信号と、前回更新されてそのまま保持されているGの色信号およびBの色信号とが同時化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−17321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のように各更新時刻で同時化処理される面順次方式の画像信号から輝度値を算出する場合、得られた値がその更新時刻における実際の被写体の明るさを再現していない場合があった。例えば赤色の被写体を撮像した場合、その輝度値はRの色信号値が支配的な値として算出されるため、Rの色信号の更新時刻では被写体の明るさを再現した値として得られる。しかしながら、Gの色信号やBの色信号の更新時刻では、Rの色信号が前回値となるため、必ずしもその更新時刻における実際の被写体の明るさを再現していない事態が生じ得る。
【0008】
さらに、実際の照明光が時系列順に滑らかに変化している場合であっても、算出される輝度値が被写体において支配的な特定の色信号の更新時刻で段階的に変化してしまい、画像信号を動画再生した際にちらつきが発生する場合がある。このため、面順次方式の画像信号では、特許文献1の技術を適用して輝度値をもとに各更新時刻における被写体の明るさを検出し、階調変換特性に反映させて階調変換処理を行うこととすると、動画再生の際のちらつきが増大してしまうという問題があった。また、特許文献1の技術では、階調補正特性(階調変換特性)の変更量の許容値を小さく設定した場合に、階調変換の効果を十分に得られないという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うことができる画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決し、目的を達成するための、本発明のある態様にかかる画像処理装置は、時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を前記色信号の更新時毎に処理する画像処理装置であって、前記色信号の更新時において、該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出する明るさレベル検出部と、前記明るさレベルを時系列順に記憶する明るさレベル記憶部と、前記明るさレベルを用いて前記処理対象の画像信号に補正処理を行い、該補正処理によって補正画像信号を生成する補正部と、前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する階調変換特性算出部と、前記階調変換特性算出部が前記処理対象の画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号に対して階調変換処理を行い、あるいは前記階調変換特性算出部が前記補正画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号に対して階調変換処理を行う階調変換部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この態様にかかる画像処理装置によれば、色信号の更新時において処理対象の画像信号の明るさレベルを検出して時系列順に記憶しておき、この明るさレベルを用いて処理対象の画像信号に補正処理を行って補正画像信号を生成することができる。そして、処理対象の画像信号をもとに階調変換特性を算出し、この階調変換特性を用いて補正画像信号に対して階調変換処理を行うことができる。あるいは、補正画像信号をもとに階調変換特性を算出し、この階調変換特性を用いて処理対象の画像信号または補正画像信号に対して階調変換処理を行うことができる。したがって、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うことができる。
【0012】
また、本発明の別の態様にかかる画像処理プログラムは、コンピュータに、時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を前記色信号の更新時毎に処理させるための画像処理プログラムであって、前記色信号の更新時において、該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出する明るさレベル検出手順と、前記明るさレベルを時系列順に記憶する明るさレベル記憶手順と、前記明るさレベルを用いて前記処理対象の画像信号に補正処理を行い、該補正処理によって補正画像信号を生成する補正手順と、前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する階調変換特性算出手順と、前記階調変換特性算出手順で前記処理対象の画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号に対して階調変換処理を行い、あるいは前記階調変換特性算出手順で前記補正画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号に対して階調変換処理を行う階調変換手順と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の別の態様にかかる画像処理方法は、時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を前記色信号の更新時毎に処理する画像処理方法であって、前記色信号の更新時において、該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出する明るさレベル検出工程と、前記明るさレベルを時系列順に記憶する明るさレベル記憶工程と、前記明るさレベルを用いて前記処理対象の画像信号に補正処理を行い、該補正処理によって補正画像信号を生成する補正工程と、前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する階調変換特性算出工程と、前記階調変換特性算出工程で前記処理対象の画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号に対して階調変換処理を行い、あるいは前記階調変換特性算出工程で前記補正画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号に対して階調変換処理を行う階調変換工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態1における内視鏡装置の全体構成例を模式的に示したブロック図である。
【図2】図2は、R,G,Bの各色信号の更新時刻を説明する説明図である。
【図3】図3は、明るさ検出部および変換部の動作原理を説明する説明図である。
【図4】図4は、実施の形態1における明るさ検出部の構成例を説明するブロック図である。
【図5】図5は、実施の形態1における変換部の構成例を説明するブロック図である。
【図6】図6は、変形例の内視鏡装置が備える画像処理装置の変換部の構成例を説明するブロック図である。
【図7】図7は、変形例におけるコンピューターシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図8】図8は、図7のコンピューターシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、変形例におけるCPUの処理手順を示す全体フローチャートである。
【図10】図10は、明るさ検出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、変換処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施の形態2の内視鏡装置が備える画像処理装置の変換部の構成例を説明するブロック図である。
【図13】図13は、実施の形態3の内視鏡装置が備える画像処理装置の変換部の構成例を説明するブロック図である。
【図14】図14は、実施の形態4の内視鏡装置が備える画像処理装置の明るさ検出部の構成例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明の画像処理装置を内視鏡装置に適用した場合について説明するが、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0017】
(実施の形態1)
先ず、実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1における内視鏡装置1の全体構成例を模式的に示したブロック図である。図1に示すように、実施の形態1の内視鏡装置1は、電子内視鏡3と、画像処理装置5と、光源装置9と、出力部11と、外部I/F部13とを備える。
【0018】
電子内視鏡3は、可撓性を有する細長の挿入部31と、この挿入部31の基端に設けられた操作部33と、一端が操作部33を介して挿入部31の基端と接続され、他端側が2股に分岐したケーブル35とを備える。このケーブル35の分岐した一方の先端にはコネクタ37が設けられ、挿入部31と画像処理装置5とを接続している。また、ケーブル35の分岐した他方の先端にはコネクタ39が設けられ、挿入部31と光源装置9とを接続している。
【0019】
挿入部31は、その先端部分が湾曲操作可能に構成されており、被検部位の観察等を行うために被検体内に挿入される。この挿入部31の先端部分には、対物レンズ41と、撮像素子である例えばCCD43とが取り付けられている。CCD43は、白黒の単板CCDで構成され、対物レンズ41の結像位置に配置されている。このCCD43には、駆動信号線45および出力信号線46が接続されており、これら駆動信号線45および出力信号線46は、ケーブル35およびコネクタ37を介して画像処理装置5と電気的に接続されている。
【0020】
また、挿入部31およびケーブル35の内部には、光源装置9からの照明光を挿入部31の先端まで伝達するライトガイド47が設けられている。なお、図1中では、ハッチングを付してライトガイド47を示している。このライトガイド47は、例えばグラスファイバ束等で実現され、入射端がコネクタ39を介して光源装置9と接続され、出射端が挿入部31の先端面に配置されるように挿入部31およびケーブル35内に配設されている。
【0021】
操作部33は、例えば挿入部31の先端部分の湾曲操作等を入力するためのものである。この操作部33は、各種機能が割り当てられたボタンスイッチ等の操作部材で実現される。医師等のユーザは、挿入部31を被検体内に挿入し、操作部33を操作することで挿入部31の先端部分を湾曲操作等しながら、被検体内を観察する。
【0022】
画像処理装置5は、CCD駆動部51と、前処理部52と、A/Dコンバーター53と、ゲイン調整部54と、同時化部55と、明るさ検出部60と、変換部70と、D/Aコンバーター56と、制御部57とを備える。なお、図1中において、画像処理装置5の各部間を接続してR,G,Bの各色信号やこれらの色信号が同時化された面順次方式の画像信号(以下、「RGB画像信号」と呼ぶ。)等のデータ信号を伝送するデータ信号線を実線で示し、制御信号を伝送する制御信号線を破線で示している。ここで、CCD43と接続される出力信号線46からは、色信号がR,G,Bの順に順次供給されるようになっており、この色信号は、コネクタ37を介して前処理部52に入力されるようになっている。一方、CCD駆動部51からの駆動信号は、コネクタ39を介し、CCD43と接続される駆動信号線45に供給されるようになっている。また、前処理部52、A/Dコンバーター53、ゲイン調整部54、同時化部55、変換部70およびD/Aコンバーター56はこの順に接続されている。また、同時化部55は明るさ検出部60に接続され、明るさ検出部60は、ゲイン調整部54、変換部70および絞り駆動部97にそれぞれ接続されている。そして、D/Aコンバーター56からは、各部によって処理されて得られたRGB画像信号が出力され、出力部11に入力されるようになっている。
【0023】
CCD駆動部51は、CCD43を駆動するための駆動信号を生成し、CCD43へ出力する。このようにして駆動されるCCD43からのR,G,Bの単色の色信号は、前述のように前処理部52へ入力される。
【0024】
前処理部52は、CCD43から入力された色信号に対して増幅処理や波形整形処理等を行う。処理後の色信号は、A/Dコンバーター53へ出力される。
【0025】
A/Dコンバーター53は、入力された色信号をA/D変換処理してデジタルデータ化する。ここでは、A/Dコンバーター53として、例えば入力された色信号を12ビットの階調幅でデジタル変換するものを用いる。処理後の色信号は、ゲイン調整部54へ出力される。
【0026】
ゲイン調整部54は、入力された色信号にゲイン調整処理を行う。このとき、ゲイン調整部54は、明るさ検出部60(詳細には図4の撮影条件算出部67)から入力されるゲイン調整値を用いてゲイン調整処理を行う。処理後の色信号は、同時化部55へ出力される。
【0027】
同時化部55は、入力された色信号の値(色信号値)を該当する色信号用のメモリ(予め用意されるR,G,Bの色毎のRメモリ,Gメモリ,Bメモリ)に入力し、各Rメモリ、Gメモリ、Bメモリの値を入力された色信号で順次更新しながら保持するとともに、これらRメモリ、GメモリおよびBメモリのR,G,Bの各色信号を3板状態のRGB画像信号として同時化する。例えば、今回の更新時刻でRの色信号が入力され、Rメモリを更新した場合には、この更新されたRの色信号と、現時点でGメモリおよびBメモリによってそれぞれ保持されているGの色信号およびBの色信号とを同時化する。この場合に現時点で保持されているBの色信号は直前の更新時刻で更新されたものであり、Gの色信号はそのさらに1つ前の更新時刻で更新されたものである。同時化されたRGB画像信号は、明るさ検出部60および変換部70にそれぞれ出力される。
【0028】
図2は、R,G,Bの各色信号の更新時刻を説明する説明図である。図2に示すように、例えば更新時刻を示す時刻t=1でR波長の信号値であるRの色信号値がR(1)に更新され、続く時刻t=2でG波長の信号値であるGの色信号値がG(2)に更新され、続く時刻t=3でB波長の信号値であるBの色信号値がB(3)に更新される。そして、次の時刻t=4では、Rの色信号値がR(1)からR(4)に更新され、以降同様にしてR,G,Bの各色信号値が順番に更新されていく。ここで、時刻t=3に着目すると、この時刻t=3で更新されたBの色信号値B(3)と、時刻t=1で更新されたRの色信号値R(1)と、時刻t=2で更新されたGの色信号値G(2)とが同時化され、RGB画像信号として出力される。また、続く時刻t=4に着目すると、この時刻t=4で更新されたRの色信号値R(4)と、時刻t=2で更新されたGの色信号値G(2)と、時刻t=3で更新されたBの色信号値B(3)とが同時化され、RGB画像信号として出力される。
【0029】
明るさ検出部60は、入力されたRGB画像信号から明るさレベルを検出し、検出した明るさレベルを内部のメモリ(図4の明るさレベル記憶部65)に記憶しておく。また、明るさ検出部60は、検出した明るさレベルをもとにゲイン調整値および絞り開閉値を算出する。算出されたゲイン調整値はゲイン調整部54へ出力され、絞り開閉値は絞り駆動部97へ出力される。
【0030】
変換部70は、明るさ検出部60に記憶されている明るさレベルを読み出し、読み出した明るさレベルを用いて入力されたRGB画像信号を階調変換処理する。処理後のRGB画像信号は、D/Aコンバーター56へ出力される。
【0031】
D/Aコンバーター56は、入力されたRGB画像信号をD/A変換処理してアナログデータ化する。処理後のRGB画像信号は、出力部11へ出力される。
【0032】
制御部57は、制御信号線によって画像処理装置5を構成する各部や光源装置9のモーター駆動部94および絞り駆動部97、出力部11、外部I/F部13等と電気的に接続され、各部の動作を統括的に制御する。この制御部57は、各部の動作制御に必要な各種データやプログラム等が記憶されるメモリを内蔵したマイクロコンピューター等で実現される。
【0033】
光源装置9は、電子内視鏡3に照明光を供給し、被写体(CCD43による撮像視野)を照明するためのものである。この光源装置9は、白色光を照射する光源ランプ91と、モーター92と、モーター92を駆動源とする回転フィルタ93と、モーター駆動部94と、集光レンズ95と、絞り96と、絞り駆動部97とを備える。
【0034】
回転フィルタ93は、R,G,B各色の色波長域の光を透過させる3枚の色透過フィルタ931を回転自在に保持する。この回転フィルタ93は、円板状の遮光板に形成された3つの装着穴にR,G,B各色の色透過フィルタ931がそれぞれ装着されて構成される。そして、回転フィルタ93は、モーター92の駆動力によって中心を軸中心として回転することによって、R,G,B各色の色透過フィルタ931を光源ランプ91から照射される白色光の光路上に順番に挿入する。光源ランプ91から照射された白色光は、この回転フィルタ93を経由することで間欠的に遮断され、順次R,G,Bそれぞれの単色の照明光となる。
【0035】
モーター駆動部94は、モーター92と電気的に接続され、このモーター92の駆動を制御する。絞り駆動部97は、絞り96と電気的に接続され、画像処理装置5の明るさ検出部60(詳細には図4の撮影条件算出部67)から入力される絞り開閉値を用いて絞り96の開閉駆動を制御する。
【0036】
内視鏡装置1は、この光源装置9を構成する回転フィルタ93のR,G,B各色の色透過フィルタ931を切り換えながら面順次方式で被写体の観察像を連続的に撮像していく。ここで、被写体の撮像動作について説明すると、先ず、光源ランプ91から照射された白色光が、回転フィルタ93を透過することによって順次R,G,Bの単色の照明光となって集光レンズ95に入射する。そして、この集光レンズ95によって集光されたR,G,Bの単色の照明光は、絞り96を通過してライトガイド47の入射端に入射される。その後、ライトガイド47の射出端から射出されて被写体(被検体内の被検部位)を照明する。そして、被写体を照明したR,G,Bの単色の照明光は、観察光として反射されて対物レンズ41に入射し、CCD43の撮像面に結像される。CCD43は、このようにして撮像面に結像された被写体の観察像を光電変換し、R,G,Bの単色の色信号として順次出力信号線に供給する。
【0037】
なお、回転フィルタ93は、制御部57の制御のもとでモーター駆動部94が駆動するモーター92によって、例えば20Hzの回転周波数で回転制御される。また、CCD43の露光と遮光とは、制御部57によって回転フィルタ93の回転動作と同期するように制御されており、例えば回転フィルタ93の回転周波数が20Hzの場合であれば、露光時間と遮光時間とが合わせて1/60秒となるように制御される。
【0038】
出力部11は、入力されたRGB画像信号をもとに被写体である被検体内の被検部位を撮影した画像(内視鏡画像)をカラー表示する不図示の表示部と、この内視鏡画像を記録する不図示の記録部とを含む。表示部は、例えばLCDやELディスプレイ等の表示装置で実現される。また、記録部は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵或いはデータ通信端子で接続されたハードディスク、例えばCD−ROM等の各種記録媒体およびその読取装置等によって実現される。
【0039】
外部I/F部13は、例えば撮影モード等の内視鏡装置1の各種モードの切換操作、撮影条件の設定操作、電源のON/OFFの切換操作等を行うためのインターフェース装置である。撮影条件の設定操作としては、例えば絞り96の開閉を自動的に制御する自動調光処理等に用いる基準値を必要に応じて予め設定される初期値から設定・変更できるようになっている。またこの他にも、ユーザは、外部I/F部13を介し、出力部11を構成する表示部へのメニュー画面の表示やカラーバー等のテスト画面の表示、文字情報やマスク画像の重畳表示等の指示を必要に応じて行えるようになっている。実施の形態1では、この外部I/F部13は、例えば、ボタンスイッチやダイヤル等の各種操作部材、マウス、タッチパネル、キーボードといった入力装置で実現され、これらに対する操作信号を制御部57へ出力する。
【0040】
ここで、画像処理装置5の明るさ検出部60および変換部70の動作原理について従来の問題点と併せて図3を参照して説明する。図3(a)は、横軸を各色信号の更新時刻を示す時刻tとし、縦軸を照明強度として、実際に撮像時に照射された照明光の照明強度をプロットした図である。図3(b)は、図3(a)の照明強度で得られたRGB画像信号の画像信号値の一例を示す図であり、各更新時刻におけるRGB画像信号の各色信号の色信号値をプロットして示している。図3(c)は、図3(b)の画像信号値をもとに算出された各更新時刻におけるRGB画像信号の輝度値を示す図である。
【0041】
上記したように、面順次方式の画像信号であるRGB画像信号は、その色信号のうちの1つが該当する更新時刻で更新されたものである。例えば、図3(b)に示すように、時刻t=7ではRの色信号値が更新される。この時刻t=7では、Gの色信号およびBの色信号値は前回更新された値がそのまま保持される。また、続く時刻t=8,9では、時刻t=7で更新されたRの色信号値が保持される。なお、時刻t=8ではGの色信号値が更新され、時刻t=9ではBの色信号が更新される。その後、時刻t=10においてRの色信号値が更新される。
【0042】
ところで、図3(b)では、赤色が支配的な被写体を撮像した場合の画像信号値を示しており、Rの色信号値がGの色信号やBの各色信号値に比べて大きい。このような場合、各更新時刻におけるRGB画像信号の輝度値は、Rの色信号値が支配的な値として算出される。例えば、図3(c)に示すように、時刻t=8,9における輝度値は、時刻t=7で更新されたRの色信号値が支配的な値として算出される。このように、赤色が支配的な被写体の場合、RGB画像信号の輝度値は、Rの色信号の更新時刻で段階的に変化する。ところが、時刻t=7〜9における実際の照明強度は、図3(a)に示すように滑らかに変化しており、時刻t=8,9における輝度値の変化と実際の照明強度の変化とにズレが生じてしまう。
【0043】
以上のように、面順次方式の画像信号を処理する場合、各更新時刻における輝度値が実際の被写体の明るさを忠実に再現していない事態が発生し、このRGB画像信号を動画再生した際にちらつきが発生する問題があった。特に、照明強度が急峻に変化する場合、輝度値は支配的な色信号の更新時刻間で大きく変化することとなり、問題であった。さらに、各更新時刻における輝度値をもとに被写体の明るさを検出し、階調変換特性に反映させて階調変換処理を行うと、動画再生の際のちらつきが増大してしまう。
【0044】
そこで、実施の形態1では、明るさ検出部60は、色信号の更新時刻毎に支配的な色(各色信号の中で輝度値に対する寄与率が最も高い色)を検出し、検出した支配的な色に応じて被写体の明るさレベルを算出する。例えば、赤色が支配的な場合、Rの色信号の更新時刻においては輝度値が被写体の明るさを表しているため、その更新時刻における輝度値を被写体の明るさレベルとする。一方、Gの色信号およびBの色信号の更新時刻においては、過去のRの色信号の更新時刻における明るさレベルをもとに補間することでその更新時刻における明るさレベルを算出する。なお、被写体において支配的な色が緑色の場合であれば、Gの色信号の更新時刻においてはそのときの輝度値を被写体の明るさレベルとする。また、RおよびBの色信号の更新時刻においては過去のGの色信号の更新時刻における明るさレベルをもとに補間することで、その更新時刻における明るさレベルを算出する。同様に、青色が支配的な場合には、Bの色信号の更新時刻においてはそのときの輝度値を被写体の明るさレベルとする。また、RおよびGの色信号の更新時刻においては過去のBの色信号の更新時刻における明るさレベルをもとに補間することで、その更新時刻における明るさレベルを算出する。そして、変換部70は、明るさ検出部60が前述のように色信号の更新時刻毎に算出した明るさレベルを用い、今回の更新時刻で同時化されたRGB画像信号を階調変換処理する。
【0045】
次に、これら明るさ検出部60および変換部70の具体的な構成について説明する。先ず、明るさ検出部60について説明する。図4は、実施の形態1における明るさ検出部60の構成例を説明するブロック図である。図4に示すように、明るさ検出部60は、輝度値算出部61と、明るさレベル算出部63と、明るさレベル記憶部65と、撮影条件算出部67とを備え、各部は制御部57の制御のもとで動作する。ここで、実施の形態1では、輝度値算出部61および明るさレベル算出部63が明るさレベル検出部に対応している。また、輝度値算出部61は、輝度値算出部に対応するとともに、寄与信号検出部に対応している。
【0046】
ここで、同時化部55からのRGB画像信号は、輝度値算出部61に入力されるようになっている。輝度値算出部61は明るさレベル算出部63に接続されている。また、明るさレベル算出部63は、撮影条件算出部67に接続されるとともに、明るさレベル記憶部65と双方向に接続されている。そして、撮影条件算出部67は、ゲイン調整部54および絞り駆動部97にそれぞれ接続されている。
【0047】
また、明るさレベル記憶部65は、明るさレベル算出部63によって算出された明るさレベルを記憶しておくためのメモリであり、明るさレベル算出部63によって算出された所定数個の明るさレベルの値が時系列順に記憶される。この明るさレベル記憶部65に記憶された明るさレベルは、明るさレベル算出部63や後段の変換部70によって読み出され、これら各部での処理に用いられる。
【0048】
輝度値算出部61は、同時化部55から入力されたRGB画像信号をもとに輝度値を算出し、算出した輝度値をもとに最大寄与信号を検出する。算出された輝度値および検出された最大輝度信号は、明るさレベル算出部63へ出力される。
【0049】
具体的には、輝度値算出部61は、入力されたRGB画像信号をもとに、R,G,Bの色信号毎に色平均値を算出する。この色平均値は、該当する色信号全体の平均値として算出する構成としてもよいし、該当する色信号の局所領域における平均値として算出する構成としてもよい。ここで、以下の説明において今回の更新時刻を時刻tと表記する。また、この時刻tにおける各色平均値をそれぞれRav(t),Gav(t),Bav(t)と表記する。輝度値算出部61は、このようにして算出した色平均値Rav(t),Gav(t),Bav(t)をもとに、時刻tにおける輝度値Y(t)を次式(1)〜(4)に従って算出する。
【数1】

【0050】
また、輝度値算出部61は、各色信号の中で輝度値Y(t)に対する寄与率が最も高い色を最大寄与信号S(t)として検出する。例えば、輝度値算出部61は、輝度値Y(t)を算出する際に式(1)〜(3)に従って算出したRy(t),Gy(t),By(t)の値が最も大きい色を輝度値Y(t)に対して最も寄与率が高い色として選び、最大寄与信号S(t)とする。例えば、Ry(t)の値が最も大きい場合には、最大寄与信号S(t)を“R”とする。同様に、Gy(t)の値が最も大きい場合には、最大寄与信号S(t)を“G”とし、By(t)の値が最も大きい場合には、最大寄与信号S(t)を“B”とする。
【0051】
明るさレベル算出部63は、輝度値算出部61から入力された輝度値および最大寄与信号S(t)をもとに、時刻tにおける明るさレベルを算出する。このとき、明るさレベル算出部63は、明るさレベル記憶部65に記憶されている過去の更新時刻での明るさレベルを必要に応じて読み出して用いる。算出された明るさレベルは、撮影条件算出部67へ出力されるとともに、明るさレベル記憶部65へ出力される。
【0052】
具体的には、明るさレベル算出部63は、輝度値Y(t)に対して最も寄与率が高い色として入力される最大寄与信号S(t)が今回更新された(時刻tで更新された)色信号の色と同じか否かを判定する。そして、明るさレベル算出部63は、最大寄与信号S(t)と同じと判定した場合には、輝度値Y(t)を時刻tにおける明るさレベル(以下、時刻tにおける明るさレベルをBL(t)と表記する。)とする。例えば、輝度値算出部61から入力される最大寄与信号S(t)が“R”であり、時刻tで更新された色信号がRの色信号の場合には、輝度値Y(t)を明るさレベルBL(t)とする。同様に、最大寄与信号S(t)が“G”であり、時刻tで更新された色信号がGの色信号の場合であれば輝度値Y(t)を明るさレベルBL(t)とする。また、最大寄与信号S(t)が“B”であり、時刻tで更新された色信号がBの色信号であれば輝度値Y(t)を明るさレベルBL(t)とする。ここで、制御部57は、モーター駆動部94に対して行う動作制御との同期信号(今回の照明光の色を示す同期信号)を明るさレベル算出部63へ出力するようになっており、明るさレベル算出部63は、この同期信号をもとに最大寄与信号S(t)と時刻tで更新された色信号の色とが同じか否かを判定する。
【0053】
一方、明るさレベル算出部63は、時刻tで更新された色信号が最大寄与信号S(t)と異なる場合には、過去の更新時刻で算出した明るさレベルを補間処理して時刻tにおける明るさレベルBL(t)を算出する。例えば、過去の更新時刻to1,to2における明るさレベルBL(to1),BL(to2)を明るさレベル記憶部65から読み出す。ここで、時刻to1は、時刻tよりも過去に最大寄与信号S(t)の色信号が更新された更新時刻であって、時刻tと直近の更新時刻を表す。また、時刻to2は、時刻to1よりも過去に最大寄与信号S(t)の色信号が更新された更新時刻であって、時刻to1と直近の更新時刻を表す。そして、明るさレベル算出部63は、次式(5)に従い、読み出した各明るさレベルBL(to1),BL(to2)を例えば外挿法により補間(外挿補間)して、時刻tにおける明るさレベルBL(t)を算出する。BL(to1)は、更新時刻to1における明るさレベルを表し、BL(to2)は、更新時刻to2における明るさレベルを表す。
【数2】

【0054】
図3を参照して具体的に説明する。例えば、今回の更新時刻を時刻t=9とすると、図3(b)に示すように、時刻t=9で更新される色信号は“B”である。ここで、時刻t=9において支配的な色は“R”であり、最大寄与信号S(t)は“R”となる。この場合には、時刻t=9よりも過去にRの色信号が更新された更新時刻であって、時刻t=9と直近の時刻t=7が更新時刻to1となる。そして、この時刻t=7よりも過去にRの色信号が更新された更新時刻であって、時刻t=7と直近の時刻t=4が更新時刻to2となる。明るさレベル算出部63は、この時刻t=7における明るさレベルBL(7)と、時刻t=4における明るさレベルBL(4)とを明るさレベル記憶部65から読み出し、これらの各値BL(7),BL(4)を用いた外挿補間によって時刻t=9での明るさレベルBL(9)を算出する。ここで、本例では、被写体において支配的な色が赤色の場合を例示しているため、Rの色信号が更新された更新時刻to1,to2である各時刻t=7,4では、そのときの輝度値(図3(c)を参照)が明るさレベルBL(7),BL(4)の値となる。この場合には、例えば図3(c)に示すように、同図(c)中に破線で示す明るさレベルBL(7),BL(4)の各値を結ぶ直線上の、今回の更新時刻である時刻t=9における点P1の値(輝度値)を、時刻t=9での明るさレベルBL(9)として算出する。
【0055】
このように、時刻tで更新された色信号が最大寄与信号S(t)と異なる場合には、最大寄与信号S(t)の色信号が更新された過去の更新時刻におけ明るさレベルを用いた補間処理を行い、時刻tにおける明るさレベルを算出することで、時刻tにおける明るさレベルBL(t)を比較的少ない演算量で低コストに算出できる。
【0056】
なお、ここでは、最大寄与信号S(t)の色信号が更新された過去の2回分の明るさレベルの外挿補間によって時刻tにおける明るさレベルBL(t)を算出することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、過去3回分以上の明るさレベルを用いた補間処理を行い、時刻tにおける明るさレベルBL(t)を算出することとしてもよい。また、実施の形態1では、色信号が入力されて更新される各更新時刻で各色信号を同時化し、随時RGB画像信号を出力する構成としているが、入力された色信号を時系列順に記憶しておき、後でこれら時系列の色信号を処理してRGB画像信号を出力する場合には、時刻tに対して過去の更新時刻における明るさレベルだけでなく、時刻tに対して未来の更新時刻における明るさレベルを用いた補間処理を行うことも可能である。そして、これら時刻tに対して過去および/または未来の明るさレベルをもとに行った補間処理によって、時刻tにおける明るさレベルBL(t)を算出することとしてもよい。あるいは、単に時刻tと近接する更新時刻における明るさレベルの値を複数用いて補間処理を行い、時刻tにおける明るさレベルBL(t)を算出することとしてもよい。
【0057】
また、明るさレベル記憶部65において過去の更新時刻で算出された全ての明るさレベルを記憶しておく必要はなく、この明るさレベル算出部63での補間処理と、後述する変換部70での処理とを実現するのに必要な数分の明るさレベルを記憶しておけばよい。
【0058】
撮影条件算出部67は、入力された明るさレベルが自動調光の基準値と一致するようにゲイン調整値および絞り開閉値を算出する。算出されたゲイン調整値はゲイン調整部54へ出力され、次回入力される色信号の処理に用いられる。一方、算出された絞り開閉値は絞り駆動部97へ出力され、次回の撮像時の絞り96の制御に用いられる。
【0059】
次に、変換部70について説明する。図5は、実施の形態1における変換部70の構成例を説明するブロック図である。図5に示すように、変換部70は、補正部71と、最大値算出部72と、領域分割部73と、ヒストグラム算出部74と、階調変換特性算出部75と、階調変換部76とを備え、各部は制御部57の制御のもとで動作する。
【0060】
ここで、同時化部55からのRGB画像信号は、補正部71に入力されるようになっている。この補正部71は、明るさ検出部60に接続されている。詳細には、補正部71は、明るさ検出部60の明るさレベル記憶部65(図4を参照)に接続されており、この明るさレベル記憶部65に記憶されている明るさレベルを読み出し可能に構成されている。また、補正部71は、最大値算出部72および階調変換部76にそれぞれ接続されている。最大値算出部72は領域分割部73に接続され、領域分割部73はヒストグラム算出部74に接続されている。そして、ヒストグラム算出部74は階調変換特性算出部75に接続され、階調変換特性算出部75は階調変換部76に接続され、階調変換部76はD/Aコンバーター56に接続されている。
【0061】
補正部71は、明るさレベル記憶部65に記憶されている明るさレベルを読み出して用い、同時化部55から入力されたRGB画像信号を補正して補正画像信号を生成する。生成された補正画像信号は、最大値算出部72および階調変換部76にそれぞれ出力される。
【0062】
具体的には、補正部71は、入力されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベル(今回の更新時刻である時刻t、この時刻tの直前の更新時刻およびそのさらに1つ前の更新時刻における明るさレベル)を明るさ検出部60の明るさレベル記憶部65から読み出す。各更新時刻でどの色信号が更新されたのかは、今回更新された(時刻tで更新された)色信号をもとに判定する。すなわち、各色信号は、R,G,Bの順に入力されるため、例えば今回更新された色信号が“B”であれば、直前の更新時刻で更新された色が“G”、さらに1つ前の更新時刻で更新された色が“R”となる。
【0063】
そして、補正部71は、読み出した各色信号の更新時刻における明るさレベルを用い、入力されたRGB画像信号を補正する。例えば、補正部71は、入力されたRGB画像信号の各画素信号値から次式(6)〜(8)に従って新たな画素信号値を算出し、補正画像信号を生成する。式(6)〜(8)では、入力されたRGB画像信号の各色信号の更新時刻をそれぞれtr,tg,tbと表記し、各時刻tr,tg,tbにおける明るさレベルをそれぞれBL(tr),BL(tg),BL(tb)と表記している。また、これらBL(tr),BL(tg),BL(tb)のうち、時刻tにおける明るさレベルをBL(t)とも表記している。また、RGB画像信号がm×n画素で構成されていることとし、座標(x,y)で示される画素のR,G,Bの各画素信号値をそれぞれR(x,y),G(x,y),B(x,y)と表記している。そして、補正画像信号のR,G,Bの各画素信号値をそれぞれcorR(x,y),corG(x,y),corB(x,y)と表記している。なお、各画素の座標(x,y)は、例えば画像中に向かって左上となる画素の座標を(0,0)とし、右方向をxの正方向、下方向をyの正方向として表したものである。
【数3】

【0064】
ここで、例えば時刻tで更新された色信号がBの色信号の場合、時刻tはBの色信号が更新された時刻tbに相当し、時刻tにおける明るさレベルBL(t)は時刻tbにおける明るさレベルBL(tb)に相当する。この場合には、式(8)に示すように、Bの画素信号値に乗じる係数は“1”となり、入力されたRGB画像信号のBの色信号の各画素信号値は変更されずにそのまま補正画像信号のBの色信号の各画素信号値となる。一方、補正画像信号のRの色信号の各画素信号値は、式(6)に示すように、時刻tにおける明るさレベルBL(t)と時刻trにおける明るさレベルBL(tr)との比率をRGB画像信号のRの色信号の各画素信号値に乗じた値として補正される。同様に、補正画像信号のGの色信号の各画素信号値は、式(7)に示すように、時刻tにおける明るさレベルBL(t)と時刻tgにおける明るさレベルBL(tg)との比率をRGB画像信号のRの色信号の各画素信号値に乗じた値として補正される。これによって、RGB画像信号から、各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルに応じて補正された補正画像信号が得られる。
【0065】
これによれば、RGB画像信号の各色信号を、それぞれの更新時刻における明るさレベルを用いて色信号毎に補正し、補正画像信号を生成することができる。したがって、急峻な輝度変化を抑えることができる。このとき、各色信号に対し、その更新時刻における明るさレベルと今回の更新時刻における明るさレベルとの比率を乗算することによって補正を行えるので、少ない演算量で低コストな処理が実現できる。
【0066】
最大値算出部72は、入力された補正画像信号をもとに、補正画像信号の各色信号の最大値を示す画像信号を生成し、最大値画像信号として得る。得られた最大値画像信号は、領域分割部73へ出力される。
【0067】
具体的には、最大値算出部72は、補正画像信号の各色信号を画素毎に比較し、最も大きい値を各画素の画素信号値とした最大値画像信号を生成する。例えば、最大値算出部72は、次式(9)に従って最大値画像信号の各画素の画素信号値を算出する。ここで、最大値画像信号の各画素の画素信号値をmaxV(x,y)と表記する。MAX(i,j,k)は、i,j,kの最大値を出力する関数である。
【数4】

【0068】
領域分割部73は、入力された最大値画像信号を局所領域に領域分割する。例えば、領域分割部73は、最大値画像信号を所定サイズの矩形領域に分割し、分割した各矩形領域を局所領域とする。この矩形領域のサイズは適宜設定できるが、ここでは例えば16×16画素単位とする。これら分割された局所領域は、ヒストグラム算出部74へ出力される。なお、領域分割の方法は上記した方法に限定されるものではない。例えば、テクスチュア解析に代表される公知の領域分割方法を適用して領域分割する構成としてもよい。
【0069】
ヒストグラム算出部74は、入力された局所領域毎にヒストグラムを算出する。算出された局所領域毎のヒストグラムは、階調変換特性算出部75へ出力される。
【0070】
階調変換特性算出部75は、入力された局所領域毎のヒストグラムの累積ヒストグラムを算出する。そして、階調変換特性算出部75は、得られた局所領域毎の累積ヒストグラムを階調変換部76の出力階調幅に適合するように正規化し、局所領域毎の階調変換特性として得る。これによって、各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルを反映させた局所領域毎の階調変換特性が得られる。本実施の形態1では、入力値(A/Dコンバーター53の階調幅)は12ビットである。例えば階調変換部76の出力階調幅を8ビットとする場合であれば、累積ヒストグラムをその最大値が8ビットになるように正規化する。得られた局所領域毎の階調変換特性は、階調変換部76へ出力される。
【0071】
階調変換部76は、補正部71から入力された補正画像信号に対し、階調変換特性算出部75から入力された局所領域毎の階調変換特性を作用させて階調変換処理を行う。例えば、階調変換部76は、補正画像信号の各画素を順次処理対象とし、処理対象の画素の座標からこの処理対象の画素が属する局所領域を特定する。そして、階調変換部76は、特定した局所領域の階調変換特性を用い、処理対象の画素に対して階調変換処理を行う。処理後の補正画像信号は、D/Aコンバーター56へ出力される。なお、ここでは画素毎に階調変換処理を行うこととしたが、補正画像信号の局所領域に相当する領域毎に、該当する局所領域の階調変換特性を用いて階調変換処理を行う構成としてもよい。
【0072】
以上説明したように、実施の形態1によれば、色信号の更新時刻毎に同時化されたRGB画像信号をもとに輝度値を算出し、支配的な色(各色信号の中で輝度値に対する寄与率が最も高い色)を検出することができる。そして、支配的として検出した色に応じて被写体の明るさレベルを算出することができる。具体的には、今回更新する色信号と支配的として検出した色信号とが同じ場合には、輝度値を明るさレベルとすることができる。一方、今回更新する色信号と支配的として検出した色信号とが異なる場合には、支配的として検出した色信号を更新した過去の更新時刻での明るさレベルを補間して明るさレベルを算出することができる。したがって、各色信号の更新時刻における被写体の明るさを、被写体の支配的な色に依存せずに精度良く適切に検出することができる。
【0073】
そして、実施の形態1によれば、同時化されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルをもとにRGB画像信号を補正し、被写体の明るさを忠実に再現した補正画像信号を生成することができる。そして、この補正画像信号をもとに、階調変換処理の際に作用させる階調変換特性を算出することができる。そして、算出した階調変換特性を用い、補正画像信号を階調変換処理することができる。これによれば、照明光の照明強度が急峻に変化した場合であっても、動画再生時のちらつきを抑えた時系列で滑らかな階調変換処理が実現できる。したがって、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うことができるという効果を奏する。
【0074】
また、今回の更新時刻における明るさレベルをもとに、ゲイン調整値および絞り開閉値を撮影条件として算出することができる。そして、算出したゲイン調整値を次回の色信号の処理に用いるとともに、算出した絞り開閉値を次回の撮像時の絞り96の制御に用いることができる。したがって、今回の更新時刻における明るさレベルを次回の撮影時の制御や信号処理に反映させることができるので、露出の制御を適正に行い、より鮮明な画像を取得できる。
【0075】
また、補正画像信号をもとに生成した最大値画像信号を局所領域毎に分割し、分割した局所領域毎に最適な階調変換特性を算出することができる。そして、算出した階調変換特性を用い、補正画像信号を、画素毎あるいは局所領域に対応する領域毎に階調変換処理することができるので、より精度の高い階調変換処理が実現できる。
【0076】
なお、上記した実施の形態1では、最大値画像信号を局所領域に分割し、この局所領域毎に算出したヒストグラムをもとに階調変換特性を算出することとした。これに対し、最大値画像信号を局所領域に分割せずに、最大値画像信号全体のヒストグラムから階調変換特性を算出する構成としてもよい。
【0077】
図6は、本変形例の内視鏡装置が備える画像処理装置の変換部70bの構成例を説明するブロック図である。本変形例の内視鏡装置は、実施の形態1で図1を参照して説明した内視鏡装置1と同様に構成され、図1の変換部70を図6に示す変換部70bに置き換えた構成で実現できる。ここで、図6において、実施の形態1で説明した変換部70の各部と同様に動作する構成については同一の符号を付する。本変形例の変換部70bは、実施の形態1で説明した領域分割部73を備えておらず、最大値算出部72はヒストグラム算出部74bに接続されている。そして、本変形例では、制御部57bは、このように構成される変換部70bの動作を制御する。
【0078】
ヒストグラム算出部74bは、最大値算出部72から入力された最大値画像信号全体のヒストグラムを算出する。算出された最大値画像信号全体のヒストグラムは、階調変換特性算出部75bへ出力される。
【0079】
階調変換特性算出部75bは、入力された最大値画像信号全体のヒストグラムを平坦化し、階調変換部76bの出力階調幅に適合するように正規化して階調変換特性として得る。得られた階調変換特性は、階調変換部76bへ出力される。
【0080】
階調変換部76bは、補正部71から入力された補正画像信号全体に階調変換特性算出部75bから入力された階調変換特性を一律に作用させて階調変換処理を行う。処理後の補正画像信号は、D/Aコンバーター56へ出力される。
【0081】
本変形例によれば、局所領域毎に階調変換特性を算出し、この局所領域毎の階調変換特性を用いてRGB画像信号を画素毎あるいは局所領域に対応する領域毎に階調変換処理する実施の形態1と比べて、処理速度を高速化できる。ただし、この場合は、明暗比の大きいシーンでは階調変換処理による改善効果が低下する。
【0082】
また、実施の形態1では、CCD43を用いて被写体である被検体内の被検部位を撮影し、内視鏡画像を出力する内視鏡装置について説明したが、本発明が適用可能な装置は、このようなCCD等の撮像素子を含む撮像装置が一体化された装置に限定されるものではない。例えば、別体の撮像装置によって撮像された画像信号を外部入力して処理する画像処理装置にも同様に適用が可能である。例えば、このような画像処理装置において、画像信号を可搬型の記録媒体を経由して、あるいは通信接続される外部機器から外部入力し、この画像信号を画像処理する構成としてもよい。
【0083】
具体的には、例えば記録媒体を経由して外部入力する場合であれば、別体の撮像装置によって撮像された未処理(Raw)の画像信号(面順次方式で順次撮像されたR,G,Bの各色信号)を連続した静止画像または動画像の形式で記録媒体に記録しておく。またこの際、ヘッダ情報として、各色信号の撮像時における照明光の同期信号や撮影モード情報、撮影条件、ゲイン調整値といった付随情報を併せて記録媒体に記録しておく。画像処理装置は、この記録媒体に記録された画像情報やヘッダ情報を読み出すことで外部入力し、処理を行う。
【0084】
また、実施の形態1では、画像処理装置5を構成する各部をハードウェアで構成することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、各部が行う処理をCPUが行う構成とし、CPUがプログラムを実行することによってソフトウェアとして実現することとしてもよい。あるいは、各部が行う処理の一部をソフトウェアで構成することとしてもよい。
【0085】
撮像装置を別体とし、画像処理装置5の各部が行う処理をソフトウェアとして実現する場合には、ワークステーションやパソコン等の公知のコンピューターシステムを画像処理装置として用いることができる。そして、画像処理装置5の各部が行う処理を実現するためのプログラム(画像処理プログラム)を予め用意し、この画像処理プログラムをコンピューターシステムのCPUが実行することによって実現できる。
【0086】
図7は、本変形例におけるコンピューターシステム100の構成を示すシステム構成図であり、図8は、このコンピューターシステム100における本体部110の構成を示すブロック図である。図7に示すように、コンピューターシステム100は、本体部110と、本体部110からの指示によって表示画面121に画像等の情報を表示するためのディスプレイ120と、このコンピューターシステム100に種々の情報を入力するためのキーボード130と、ディスプレイ120の表示画面121上の任意の位置を指定するためのマウス140とを備える。
【0087】
また、このコンピューターシステム100における本体部110は、図8に示すように、CPU111と、RAM112と、ROM113と、ハードディスクドライブ(HDD)114と、CD−ROM160を受け入れるCD−ROMドライブ115と、USBメモリ170を着脱可能に接続するUSBポート116と、ディスプレイ120、キーボード130およびマウス140を接続するI/Oインターフェース117と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)N1に接続するためのLANインターフェース118とを備える。
【0088】
さらに、このコンピューターシステム100には、インターネット等の公衆回線N3に接続するためのモデム150が接続されるとともに、LANインターフェース118およびローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1を介して、他のコンピューターシステムであるパソコン(PC)181、サーバ182、プリンタ183等が接続される。
【0089】
そして、このコンピューターシステム100は、所定の記録媒体に記録された画像処理プログラム(例えば図9〜図11を参照して後述する処理手順を実現するための画像処理プログラム)を読み出して実行することで画像処理装置を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、CD−ROM160やUSBメモリ170の他、MOディスクやDVDディスク、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク、ICカード等を含む「可搬用の物理媒体」、コンピューターシステム100の内外に備えられるHDD114やRAM112、ROM113等の「固定用の物理媒体」、モデム150を介して接続される公衆回線N3や、他のコンピューターシステム(PC)181またはサーバ182が接続されるローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1等のように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを記憶する「通信媒体」等、コンピューターシステム100によって読み取り可能な画像処理プログラムを記録するあらゆる記録媒体を含む。
【0090】
すなわち、画像処理プログラムは、「可搬用の物理媒体」「固定用の物理媒体」「通信媒体」等の記録媒体にコンピューター読み取り可能に記録されるものであり、コンピューターシステム100は、このような記録媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することで画像処理装置を実現する。なお、画像処理プログラムは、コンピューターシステム100によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピューターシステム(PC)181またはサーバ182が画像処理プログラムを実行する場合や、これらが協働して画像処理プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0091】
図9は、本変形例においてコンピューターシステム100のCPU111が行う処理手順を示す全体フローチャートである。なお、ここで説明する処理は、CPU111が上記した所定の記録媒体に記録された画像処理プログラムを実行することにより実現される。
【0092】
図9に示すように、先ず、例えば可搬型の記録媒体を経由して、あるいは通信接続される外部機器から時系列の画像信号のヘッダ情報を入力する(ステップS1)。続いて、記録媒体を経由して、あるいは通信接続される外部機器から、時系列順に連続したR,G,Bの各色信号を予め確保しておいた画像バッファに入力する(ステップS3)。そして、ステップS1でヘッダ情報として入力した照明光の同期信号を参照して同時化処理を行い、ステップS3で画像バッファに入力した各色信号を3板状態のRGB画像信号に同時化する(ステップS5)。
【0093】
続いて、ステップS5で同時化されたRGB画像信号をもとに明るさ検出処理を行い(ステップS7)、その後、ステップS5で同時化されたRGB画像信号の変換処理を行う(ステップS9)。
【0094】
そして、変換処理後のRGB画像信号を出力する(ステップS11)。ここでの処理によって、例えば変換処理後のRGB画像信号が図7に示したディスプレイ120に表示出力され、あるいはUSBメモリ170等の所定の記録媒体に記録される。
【0095】
続いて、全ての画像信号に対して処理を終了したか否かを判定する。終了していないと判定した場合には(ステップS13:No)、ステップS3に戻って次の色信号を入力し、同様の処理を繰り返し行う。そして、全ての画像信号に対して処理を終了した場合には(ステップS13:Yes)、本処理を終える。
【0096】
ここで、ステップS7の明るさ検出処理およびステップS9の変換処理について説明する。図10は、明るさ検出処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、明るさ検出処理では、先ず、図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号をもとに、上記した式(1)〜(4)に従って輝度値を算出する(ステップS71)。続いて、ステップS71で算出した輝度値をもとに、この輝度値に対する寄与率が最も高い色を最大寄与信号として検出する(ステップS73)。
【0097】
次に、ステップS73で最大寄与信号として検出された色信号の更新時刻が、図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号の各色信号の中で最先か否か(最後に更新されたか否か)を照明光の同期信号をもとに判定する。そして、最先ではないと判定した場合には(ステップS75:No)、上記した式(5)に従い、最大寄与信号の色信号の過去の更新時刻で算出した明るさレベルを例えば外挿補間して今回の更新時刻における明るさレベルを算出する(ステップS77)。そして、算出した明るさレベルを予め確保されるメモリ領域に記憶する(ステップS79)。
【0098】
一方、最先と判定した場合には(ステップS75:Yes)、ステップS77の処理を行わずにステップS79に進み、ステップS71で算出した輝度値を今回の更新時刻における明るさレベルとして前述のメモリ領域に記憶する。そして、図9のステップS7にリターンし、その後ステップS9へ進む。
【0099】
また、図11は、変換処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図11に示すように、変換処理では、先ず、図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルを図10のステップS79で記憶したメモリ領域から読み出す(ステップS91)。ここで、各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルが全て算出されていない場合には(ステップS92:No)、ステップS94へ進む。一方、各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルが全て算出されている場合には(ステップS91:Yes)、補正処理を行う(ステップS93)。具体的には、ステップS91で読み出した明るさレベルを用い、図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号を上記した式(6)〜(8)に従って補正して補正画像信号を生成する。
【0100】
その後、最大値算出処理を行い、上記した式(9)に従って補正画像信号から最大値画像信号を生成する(ステップS94)。なお、ここでは、補正画像信号をもとに最大値画像信号を生成することとしたが、図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号をもとに最大値画像信号を生成することとしてもよい。
【0101】
続いて、領域分割処理を行い、ステップS94で生成された最大値画像信号を局所領域に領域分割する(ステップS95)。なお、このステップS95での領域分割処理は必ずしも行う必要はない。例えば、後段の処理で最大値画像信号全体のヒストグラムから階調変換特性を算出し、この階調変換特性を補正画像信号に一律に作用させて階調変換処理を行うようにしてもよく、この場合にはステップS95の処理は行わずにステップS96に進む。そして、ステップS96では、ヒストグラム算出処理を行い、局所領域毎にヒストグラムを算出する。
【0102】
続いて、階調変換特性算出処理を行う(ステップS97)。具体的には、先ず、ステップS96で算出された局所領域毎のヒストグラムをもとに局所領域毎の累積ヒストグラムを算出する。そして、算出した累積ヒストグラムを後段のステップS98で行う階調変換処理後の階調幅に適合するように除算処理を行って正規化し、局所領域毎の階調変換特性として得る。
【0103】
その後、ステップS97で算出した階調変換特性を補正画像信号に作用させて階調変換処理を行う(ステップS98)。これによれば、同時化されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルを反映させて階調変換特性を算出するとともに、各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルを用いて補正した補正画像信号にこの階調変換特性を作用させて階調変換処理を行うことができる。
【0104】
なお、ステップS97で算出した階調変換特性を図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号に作用させて階調変換処理を行うこととしてもよい。これによれば、階調変換処理の際に作用させる階調変換特性に各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルを反映させることができる。
【0105】
あるいは、ステップS94において変形例として示したように、図9のステップS5で同時化されたRGB画像信号をもとに最大値画像信号を生成した場合には、ステップS98では、ステップS97で算出した階調変換特性を補正画像信号に作用させて階調変換処理を行う。これによれば、各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルを用いて補正した補正画像信号に対して階調変換処理を行うことができる。
【0106】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図12は、実施の形態2の内視鏡装置が備える画像処理装置の変換部70cの構成例を説明するブロック図である。実施の形態2の内視鏡装置は、実施の形態1で図1を参照して説明した内視鏡装置1と同様に構成され、図1の変換部70を図12に示す変換部70cに置き換えた構成で実現できる。ここで、図12において、実施の形態1で説明した変換部70の各部と同様に動作する構成については同一の符号を付する。
【0107】
実施の形態2の変換部70cでは、同時化部55からのRGB画像信号は補正部71および階調変換部76cに入力されるようになっている。補正部71は、実施の形態1で説明した明るさ検出部60の明るさレベル記憶部65(図4を参照)に接続されており、この明るさレベル記憶部65に記憶されている明るさレベルを読み出し可能に構成されている。また、補正部71は、最大値算出部72にそれぞれ接続されている。そして、本変形例では、制御部57cは、このように構成される変換部70cの動作を制御する。
【0108】
補正部71は、実施の形態1と同様に、明るさ検出部60から明るさレベルを読み出して同時化部55から入力されたRGB画像信号を補正し、補正画像信号を生成する。得られた補正画像信号は、最大値算出部72へ出力される。そして、最大値算出部72、領域分割部73、ヒストグラム算出部74および階調変換特性算出部75の各部は実施の形態1と同様に動作し、階調変換特性算出部75で得られた局所領域毎の階調変換特性が階調変換部76cへ出力される。
【0109】
そして、階調変換部76cは、同時化部55から入力されたRGB画像信号に対し、階調変換特性算出部75から入力された局所領域毎の階調変換特性を作用させて階調変換処理を行い、出力階調幅(8ビット)に適合するように減算処理を行う。処理後のRGB画像信号は、D/Aコンバーター56へ出力される。
【0110】
なお、実施の形態1の変形例として上記した構成と同様に、この変換部70cは、領域分割部73を備えていない構成としてもよい。そして、上記した変形例と同様に、最大値算出部72から入力された最大値画像信号全体のヒストグラムを算出し、この最大値画像信号全体のヒストグラムをもとに階調変換特性を算出する構成としてもよい。そして、この階調変換特性を同時化部55からのRGB画像信号全体に一律に作用させて階調変換処理を行う構成としてもよい。
【0111】
以上説明したように、実施の形態2によれば、同時化されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルをもとにRGB画像信号を補正することで、被写体の明るさを忠実に再現した補正画像信号を生成することができる。そして、この補正画像信号をもとに、階調変換処理の際に作用させる階調変換特性を算出することができる。そして、算出した階調変換特性を用い、同時化されたRGB画像信号を階調変換処理することができる。これによれば、照明光の照明強度が急峻に変化した場合であっても、動画再生時のちらつきを抑えた時系列で滑らかな階調変換処理が実現できる。したがって、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うことができるという効果を奏する。
【0112】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図13は、実施の形態3の内視鏡装置が備える画像処理装置の変換部70dの構成例を説明するブロック図である。実施の形態3の内視鏡装置は、実施の形態1で図1を参照して説明した内視鏡装置1と同様に構成され、図1の変換部70を図13に示す変換部70dに置き換えた構成で実現できる。ここで、図13において、実施の形態1で説明した変換部70の各部と同様に動作する構成については同一の符号を付する。
【0113】
実施の形態3の変換部70dでは、同時化部55からのRGB画像信号は補正部71および最大値算出部72dおよび階調変換部76に入力されるようになっている。補正部71は、実施の形態1で説明した明るさ検出部60の明るさレベル記憶部65(図4を参照)に接続されており、この明るさレベル記憶部65に記憶されている明るさレベルを読み出し可能に構成されている。また、補正部71は、階調変換部76に接続されている。そして、本変形例では、制御部57dは、このように構成される変換部70dの動作を制御する。
【0114】
補正部71は、実施の形態1と同様に、明るさ検出部60から明るさレベルを読み出して用い、同時化部55から入力されたRGB画像信号を補正し、補正画像信号を得る。得られた補正画像信号は、階調変換部76へ出力される。
【0115】
最大値算出部72dは、同時化部55から入力されたRGB画像信号をもとに、RGB画像信号の各色信号の最大値を示す画像信号を生成し、最大値画像信号として得る。得られた最大値画像信号は、領域分割部73へ出力される。領域分割部73、ヒストグラム算出部74および階調変換特性算出部75の各部は実施の形態1と同様に動作する。ただし、実施の形態3では、領域分割部73はRGB画像信号をもとにした最大値画像信号を局所領域に領域分割し、ヒストグラム算出部74はこの局所領域毎のヒストグラムを算出し、階調変換特性算出部75はこの局所領域毎のヒストグラムをもとに局所領域毎の階調変換特性を算出する。得られた局所領域毎の階調変換特性は、階調変換部76へ出力される。
【0116】
そして、階調変換部76は、実施の形態1と同様に、補正部71から入力された補正画像信号に対し、階調変換特性算出部75から入力された局所領域毎の階調変換特性を作用させて階調変換処理を行う。処理後のRGB画像信号は、D/Aコンバーター56へ出力される。
【0117】
なお、実施の形態1の変形例として上記した構成と同様に、この変換部70dは、領域分割部73を備えていない構成としてもよい。そして、上記した変形例と同様に、最大値算出部72dから入力された最大値画像信号全体のヒストグラムを算出し、この最大値画像信号全体のヒストグラムをもとに階調変換特性を算出する構成としてもよい。そして、この階調変換特性を同時化部55からのRGB画像信号全体に一律に作用させて階調変換処理を行う構成としてもよい。
【0118】
以上説明したように、実施の形態3によれば、同時化されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における明るさレベルをもとにRGB画像信号を補正することで、被写体の明るさを忠実に再現した補正画像信号を生成することができる。そして、同時化されたRGB画像信号をもとに算出した階調変換特性を用い、補正画像信号を階調変換処理を行うことができる。これによれば、照明光の照明強度が急峻に変化した場合であっても、動画再生時のちらつきを抑えた時系列で滑らかな階調変換処理が実現できる。したがって、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うことができるという効果を奏する。また実施の形態3では、最大値算出部72d、領域分割部73、ヒストグラム算出部74および諧調変換特性算出部75の各部の処理を補正部71の処理と並行して行えるため、変換部70d全体の処理に要する時間を短縮できる。
【0119】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。図14は、実施の形態4の内視鏡装置が備える画像処理装置の明るさ検出部60eの構成例を説明するブロック図である。実施の形態4の内視鏡装置は、実施の形態1で図1を参照して説明した内視鏡装置1と同様に構成され、図1の明るさ検出部60を図14に示す明るさ検出部60eに置き換えた構成で実現できる。ここで、図14において、実施の形態1で説明した構成と同様に動作する構成については同一の符号を付する。
【0120】
図14に示すように、実施の形態4の明るさ検出部60eは、明るさレベル算出部63eと、明るさレベル記憶部65eと、撮影条件算出部67eと、撮影条件記憶部69eとを備える。ここで、実施の形態4の明るさ検出部60eでは、同時化部55からのRGB画像信号は、明るさレベル算出部63eに入力されるようになっている。明るさレベル算出部63eは、撮影条件算出部67eに接続されるとともに、明るさレベル記憶部65eに接続されている。また、撮影条件算出部67eは、撮影条件記憶部69eに接続されるとともに、ゲイン調整部54および絞り駆動部97にそれぞれ接続されている。また、撮影条件記憶部69eは、明るさレベル算出部63eに接続されている。そして、本変形例では、制御部57eは、このように構成される明るさ検出部60eの動作を制御する。ここで、実施の形態4では、明るさレベル算出部63e、撮影条件算出部67eおよび撮影条件記憶部69eが明るさレベル検出部に対応している。撮影条件算出部67eは取得条件算出部に対応し、撮影条件記憶部69eは取得条件記憶部に対応している。
【0121】
また、明るさレベル記憶部65eは、明るさレベル算出部63eによって算出された明るさレベルを記憶しておくためのメモリであり、明るさレベル算出部63eによって算出された所定数個の明るさレベルの値が時系列順に記憶される。この明るさレベル記憶部65eに記憶された明るさレベルは、後段の変換部70によって読み出され、実施の形態1と同様にして用いられる。なお、明るさレベル記憶部65eにおいて過去の更新時刻で算出された全ての明るさレベルを記憶しておく必要はなく、変換部70での処理を実現するのに必要な数分の明るさレベルを記憶しておけばよい。
【0122】
そして、撮影条件記憶部69eは、撮影条件算出部67eによって算出された撮影条件を記憶しておくためのメモリであり、撮影条件算出部67eによって算出された所定数個の撮影条件が時系列順に記憶される。ここで、撮影条件は、次の色信号の取得条件の一例であり、実施の形態4では、取得条件としてゲイン調整値および絞り開閉値の2種類の撮影条件が撮影条件算出部67eによって算出されるようになっている。この撮影条件記憶部69eに記憶された撮影条件は、明るさレベル算出部63eによって読み出されて用いられる。なお、撮影条件記憶部69eにおいて過去の更新時刻で算出された全ての撮影条件を記憶しておく必要はなく、明るさレベル算出部63eでの処理を実現するのに必要な数分の明るさレベルを記憶しておけばよい。また、この撮影条件記憶部69eには、初期状態において、実施の形態4の画像処理装置が最初に処理する色信号の更新時刻における撮影条件として、CCD43による最初の撮像時の絞り96の制御に用いられる絞り開閉値(初期値)と、ゲイン調整部54が最初に入力される色信号に対するゲイン調整処理で用いるゲイン調整値(初期値)とが予め記憶される。
【0123】
明るさレベル算出部63eは、同時化部55から入力されたRGB画像信号と、撮影条件記憶部69eに記憶されている撮影条件とをもとに、今回の更新時刻における明るさレベルを算出する。算出された明るさレベルは、撮影条件算出部67eへ出力されるとともに、明るさレベル記憶部65eへ記憶される。
【0124】
具体的には、明るさレベル算出部63eは、入力されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における撮影条件(今回の更新時刻である時刻t、この時刻tの直前の更新時刻およびそのさらに1つ前の更新時刻における撮影条件)を撮影条件記憶部69eから読み出す。詳細には、明るさレベル算出部63eは、各色信号それぞれの更新時刻において算出されたゲイン調整値および絞り開閉値の各値を読み出す。各更新時刻でどの色信号が更新されたのかは、今回更新された(時刻tで更新された)色信号をもとに判定する。
【0125】
そして、明るさレベル算出部63eは、読み出した各色信号それぞれの更新時刻における撮影条件を用い、入力されたRGB画像信号の各画素信号値から次式(10)〜(12)に従って新たな画素信号値を算出し、撮影条件補正画像信号を得る。式(10)〜(12)では、入力されたRGB画像信号の各色信号の更新時刻をそれぞれtr,tg,tbと表記し、各時刻tr,tg,tbにおけるゲイン調整値をそれぞれGa(tr),Ga(tg),Ga(tb)と表記し、各時刻tr,tg,tbにおける絞り開閉値をそれぞれF(tr),F(tg),F(tb)と表記している。また、Ga(tr),Ga(tg),Ga(tb)のうち、時刻tにおけるゲイン調整値をGa(t),Ga(t),Ga(t)とも表記し、F(tr),F(tg),F(tb)のうち、時刻tにおける絞り開閉値をF(t),F(t),F(t)とも表記している。そして、撮影条件補正画像信号のR,G,Bの各画素信号値をそれぞれcorFR(x,y),corFG(x,y),corFB(x,y)と表記している。なお、各画素の座標(x,y)は、例えば画像中に向かって左上となる画素の座標を(0,0)とし、右方向をxの正方向、下方向をyの正方向として表したものである。
【数5】

【0126】
続いて、明るさレベル算出部63eは、撮影条件補正画像信号をもとに、R,G,Bの色信号毎に色平均値を算出する。この色平均値は、該当する色信号全体の平均値として算出する構成としてもよいし、該当する色信号の局所領域における平均値として算出する構成としてもよい。ここで、時刻tにおける各色平均値をそれぞれcorFRav(t),corFGav(t),corFBav(t)と表記する。明るさレベル算出部63eは、このようにして算出した色平均値corFRav(t),corFGav(t),corFBav(t)をもとに、時刻tにおける明るさレベルBL(t)を次式(13)に従って算出する。
【数6】

【0127】
撮影条件算出部67eは、入力された明るさレベルが自動調光の基準値と一致するようにゲイン調整値および絞り開閉値を算出する。算出されたゲイン調整値はゲイン調整部54へ出力され、次回入力される色信号の処理に用いられる。一方、算出された絞り開閉値は絞り駆動部97へ出力され、次回の撮像時の絞り96の制御に用いられる。また、このゲイン調整値および絞り開閉値は、次回の更新時刻において明るさレベル算出部63eが明るさレベルを算出する際に用いる撮影条件として撮影条件記憶部69eへ記憶される。
【0128】
以上説明したように、実施の形態4によれば、同時化されたRGB画像信号の各色信号それぞれの更新時刻における撮影条件をもとにRGB画像信号を補正することで、被写体の明るさを忠実に再現した撮影条件補正画像信号を生成することができる。そして、この撮影条件補正画像信号をもとに今回の更新時刻における明るさレベルを算出することができる。したがって、各色信号の更新時刻における撮影条件をもとに、今回の更新時刻における被写体の明るさを被写体の支配的な色に依存せずに精度良く適切に検出することができる。これによって、実施の形態1〜3と同様に、照明光の照明強度が急峻に変化した場合であっても、動画再生時のちらつきを抑えた時系列で滑らかな階調変換処理が実現できる。
【0129】
以上、本発明を適用した4つの実施の形態1〜4およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施の形態1〜4やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施の形態1〜4や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施の形態1〜4や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上のように、本発明の画像処理装置、画像処理プログラムおよび画像処理方法は、複数の色信号を含む面順次方式の画像信号に対し、各色信号の更新時における実際の被写体の明るさに応じた階調変換処理を行うのに適している。
【符号の説明】
【0131】
1 内視鏡装置
3 電子内視鏡
31 挿入部
41 対物レンズ
43 CCD
45 駆動信号線
46 出力信号線
47 ライトガイド
33 操作部
35 ケーブル
37,39 コネクタ
5 画像処理装置
51 CCD駆動部
52 前処理部
53 A/Dコンバーター
54 ゲイン調整部
55 同時化部
60,60e 明るさ検出部
61 輝度値算出部
63,63e 明るさレベル算出部
65,65e 明るさレベル記憶部
67,67e 撮影条件算出部
69e 撮影条件記憶部
70,70b,70c,70d 変換部
71 補正部
72,72d 最大値算出部
73 領域分割部
74,74b ヒストグラム算出部
75,75b 階調変換特性算出部
76,76b,76c 階調変換部
56 D/Aコンバーター
57,57b,57e 制御部
9 光源装置
91 光源ランプ
92 モーター
93 回転フィルタ
931 色透過フィルタ
94 モーター駆動部
95 集光レンズ
96 絞り
97 絞り駆動部
11 出力部
13 外部I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を前記色信号の更新時毎に処理する画像処理装置であって、
前記色信号の更新時において、該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出する明るさレベル検出部と、
前記明るさレベルを時系列順に記憶する明るさレベル記憶部と、
前記明るさレベルを用いて前記処理対象の画像信号に補正処理を行い、該補正処理によって補正画像信号を生成する補正部と、
前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する階調変換特性算出部と、
前記階調変換特性算出部が前記処理対象の画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号に対して階調変換処理を行い、あるいは前記階調変換特性算出部が前記補正画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号に対して階調変換処理を行う階調変換部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記処理対象の画像信号に含まれる前記複数の色信号それぞれに対し、該当する色信号の更新時において処理対象とした画像信号の明るさレベルと前記処理対象の画像信号の明るさレベルとを用いた補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記処理対象の画像信号に含まれる前記複数の色信号それぞれに対し、該当する色信号の更新時において処理対象とした画像信号の明るさレベルと前記処理対象の画像信号の明るさレベルとの比率を乗算する補正処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記明るさレベル検出部は、
前記処理対象の画像信号に含まれる前記複数の色信号をもとに輝度値を算出する輝度値算出部と、
前記輝度値に最も寄与する色信号を検出する寄与信号検出部と、
前記輝度値に最も寄与する色信号と、前記輝度値または前記明るさレベル記憶部に時系列順に記憶された前記明るさレベルとをもとに、前記処理対象の画像信号の明るさレベルを算出する明るさレベル算出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記明るさレベル検出部は、
前記処理対象の画像信号をもとに次の色信号の取得条件を算出する取得条件算出部と、
前記取得条件を時系列順に記憶する取得条件記憶部と、
前記処理対象の画像信号に含まれる前記複数の色信号と、該複数の色信号それぞれの更新時において処理対象とした画像信号の取得条件とをもとに、前記処理対象の画像信号の明るさレベルを算出する明るさレベル算出部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記明るさレベル算出部は、前記明るさレベル記憶部に時系列順に記憶された前記明るさレベルを補間処理し、該補間処理によって前記処理対象の画像信号の明るさレベルを算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記明るさレベル算出部は、前記輝度値に最も寄与する色信号の過去の更新時に算出された該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルをもとに、前記処理対象の画像信号の明るさレベルを算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号を複数の領域に分割する領域分割部を備え、
前記階調変換特性算出部は、前記領域分割部が分割した前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号の領域毎に階調変換特性を算出し、
前記階調変換部は、前記階調変換特性算出部が前記処理対象の画像信号を分割した領域毎に算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号を該当する領域毎に階調変換処理し、あるいは前記階調変換特性算出部が前記補正画像信号を分割した領域毎に算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号を該当する領域毎に階調変換処理することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を前記色信号の更新時毎に処理させるための画像処理プログラムであって、
前記色信号の更新時において、該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出する明るさレベル検出手順と、
前記明るさレベルを時系列順に記憶する明るさレベル記憶手順と、
前記明るさレベルを用いて前記処理対象の画像信号に補正処理を行い、該補正処理によって補正画像信号を生成する補正手順と、
前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する階調変換特性算出手順と、
前記階調変換特性算出手順で前記処理対象の画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号に対して階調変換処理を行い、あるいは前記階調変換特性算出手順で前記補正画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号に対して階調変換処理を行う階調変換手順と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
時系列順に複数の色信号が順次更新されて得られる面順次方式の画像信号を前記色信号の更新時毎に処理する画像処理方法であって、
前記色信号の更新時において、該更新時における処理対象の画像信号の明るさレベルを検出する明るさレベル検出工程と、
前記明るさレベルを時系列順に記憶する明るさレベル記憶工程と、
前記明るさレベルを用いて前記処理対象の画像信号に補正処理を行い、該補正処理によって補正画像信号を生成する補正工程と、
前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号をもとに階調変換特性を算出する階調変換特性算出工程と、
前記階調変換特性算出工程で前記処理対象の画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記補正画像信号に対して階調変換処理を行い、あるいは前記階調変換特性算出工程で前記補正画像信号をもとに算出した階調変換特性を用いて前記処理対象の画像信号または前記補正画像信号に対して階調変換処理を行う階調変換工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−10131(P2011−10131A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152896(P2009−152896)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】