説明

画像処理装置、画像処理プログラム及び画像処理方法

【課題】原稿の印刷を行う場合において、簡易な構成で適切な広告を付与すると同時に、処理負荷を低減し印刷時間を短縮すること。
【解決手段】印刷対象データが格納されているフォルダ名かつ/または印刷対象データのファイル名の、全部または一部に、印刷禁止文言が含まれている場合には広告の付与を行わず、印刷禁止文言が含まれていなければ、前記フォルダ名かつ/または前記ファイル名に基づいて印刷対象データに付与する広告の内容を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像処理装置、画像処理プログラム及び画像処理方法に関し、特に、画像処理装置の広告付与制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
上述したプリンタや複写機において原稿のコピーやプリントアウトなどの印刷を行う場合に、コピー紙の余白等に広告を付与して印刷を行い、広告主からの広告料によってインクや用紙を賄うことによって利用者の印刷料金を割引するといったシステムが提案されている。このようなシステムの例としては、印刷する文書の画像に対してOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)処理を行うことにより原稿に含まれる文字列を認識し、文字列を基にして付与する広告を決定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような方法では、OCR処理の認識精度に影響されるため、原稿とは無関係な内容の広告がコピー紙の余白等に印刷されてしまう場合がある。また、OCR処理のための演算処理負荷は大きく、さらに、OCR処理を施した文書データから広告を決定するための文字列を検索するための演算処理負荷も大きなものであり、印刷に多くの時間を要することになってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、原稿の印刷を行う場合において、簡易な構成で適切な広告を付与すると同時に、演算処理負荷を低減し印刷時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、画像形成装置において画像形成出力する対象の画像データに広告情報を付与する画像処理装置であって、前記画像データを含む画像形成出力の実効命令を取得する命令取得部と、前記取得された画像形成出力の実効命令から前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列を取得する文字列取得部と、前記取得された文字列に基づき、前記画像データに広告情報を付与するか否か判定する広告付与判定部と、前記広告情報を付与すると判定された場合に、前記取得された文字列に基き、前記画像データに付与する広告情報を決定する広告決定部と、前記決定された広告情報が前記画像データに付与されて画像形成出力が実行されるように前記画像形成出力の実効命令を前記決定された広告情報に基づいて修正する広告付与部とを有することを特徴とする
【0007】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置において画像形成出力する対象の画像データに広告情報を付与する画像処理プログラムであって、前記画像データを含む画像形成出力の実効命令を取得するステップと、前記取得された画像形成出力の実効命令から前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列を取得するステップと、前記取得された文字列に基づき、前記画像データに広告情報を付与するか否か判定するステップと、前記広告情報を付与すると判定された場合に、前記取得された文字列に基き、前記画像データに付与する広告情報を決定するステップと、前記決定された広告情報が前記画像データに付与されて画像形成出力が実行されるように前記画像形成出力の実効命令を前記決定された広告情報に基づいて修正するステップとを画像処理装置に実行させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の更に他の態様は、画像形成装置において画像形成出力する対象の画像データに広告情報を付与する画像処理方法であって、前記画像データを含む画像形成出力の実効命令を取得して記憶媒体に格納し、前記取得された画像形成出力の実効命令から前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列を取得し、前記取得された文字列に基づき、前記画像データに広告情報を付与するか否か判定し、前記広告情報を付与すると判定された場合に、前記取得された文字列に基づき、前記画像データに付与する広告情報を決定し、前記決定された広告情報が前記画像データに付与されて画像形成出力が実行されるように前記画像形成出力の実効命令を前記決定された広告情報に基づいて修正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿の印刷を行う場合において、簡易な構成で適切な広告を付与すると同時に、演算処理負荷を低減し印刷時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る印刷の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る広告付与判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る広告付与データベースのデータ構造の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る広告付与の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る広告付与データベースのデータ構造の例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成システムの例として、画像形成出力を実行する画像形成装置において広告を付与し、印刷を行うシステムを例として説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るシステムの運用形態の例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、画像形成装置1、クライアント端末2、データ管理サーバ3がネットワーク4を介して接続されて構成されている。
【0013】
画像形成装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。本実施形態において、画像形成装置1は、ネットワーク4を介してクライアント端末2から受信した印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行する。
【0014】
また、画像形成装置1は、ユーザが画像形成装置1に対して直接操作することにより生成された印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行することもできる。なお、画像形成装置1は、印刷対象となるデータが格納される構成としてもよい。その場合には、ユーザは、クライアント端末2からネットワーク4を介して画像形成装置1のデータ管理部(不図示)にアクセスすることにより、印刷したいデータを選択及び取得することができる。
【0015】
クライアント端末2は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現される。また、クライアント端末2は、印刷対象となるデータが格納されていて、ユーザがクライアント端末2に対して操作することにより、印刷したいデータを選択及び取得することができる。そして、取得したデータを印刷するための印刷ジョブを画像形成装置1へネットワーク4を介して送信することができる。
【0016】
データ管理サーバ3は、ネットワーク上に存在するファイル共有サーバであり、印刷対象となるデータが格納されている。なお、ユーザは、画像形成装置1やクライアント端末2からネットワーク4を介してデータ管理サーバ3にアクセスすることにより、印刷したいデータを選択及び取得することができる。尚、図1におけるネットワーク4は、例えばオフィスLAN(Local Area Network)等の限定されたネットワークであるが、インターネットや公衆回線等の広域ネットワークを介して接続される態様とすることも可能である。
【0017】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1、クライアント端末2及びデータ管理サーバ3のハードウェア構成について図2を参照して説明する。尚、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ等を実現するためのエンジンを備える。以下の説明においては、画像形成装置1のハードウェア構成を例として説明するが、クライアント端末2及びデータ管理サーバ3についても同様である。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
【0019】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0020】
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。尚、図1において説明したように、本実施形態に係るデータ管理サーバ3は共有サーバとして運用される。従って、LCD60及び操作部70等のユーザインタフェースは省略可能である。
【0021】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1、クライアント端末2及びデータ管理サーバ3の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0022】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、ディスプレイパネル104、給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107及びネットワークI/F108を有する。
【0023】
また、コントローラ100は、主制御部110、エンジン制御部120、画像処理部130、操作表示制御部140、入出力制御部150及び広告付与制御部160を含む。更に、広告付与制御部160は、広告付与データベース161を備える。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン106を有する複合機として構成されている。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙若しくは文書束の流れを破線の矢印で示している。
【0024】
ディスプレイパネル104は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し、若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル104は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ディスプレイパネル104は、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。本実施形態において、ユーザは、ディスプレイパネル104を操作してデータ管理サーバ3に格納された印刷対象データの選択及び取得を指示する。
【0025】
ネットワークI/F108は、画像形成装置1がネットワークを介してクライアント端末2やデータ管理サーバ3等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。ネットワークI/F108は、図2に示すI/F50によって実現される。
【0026】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って動作することにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0027】
主制御部110は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部120は、プリントエンジン106やスキャナユニット102等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。画像処理部130は、主制御部110の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン106が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
【0028】
また、画像処理部130は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1の記憶領域に格納され若しくはネットワークI/F108を介してデータ管理サーバ3に送信される情報である。
【0029】
操作表示制御部140は、ディスプレイパネル104に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル104を介して入力された情報を主制御部110に通知する。入出力制御部150は、ネットワークI/F108を介して入力される情報を主制御部110に入力する。また、主制御部110は、入出力制御部150を制御し、ネットワークI/F108及びネットワークを介してクライアント端末2やデータ管理サーバ3等の他の機器にアクセスする。
【0030】
広告付与制御部160は、主制御部110の制御に従い、広告付与データベース161に格納されている情報に基づいて印刷物に広告を付与するか否かを判定する。また、広告付与制御部160は、広告を付与すると判定した場合にはその広告の内容を決定して広告の内容が記述された情報を主制御部110に通知する。広告を付与しないと判定した場合には判定結果が記述された情報を主制御部110に通知する。
【0031】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部150がネットワークI/F108を介して印刷ジョブを受信する。即ち、入出力制御部150が、命令取得部及び命令受信部として機能する。入出力制御部150は、受信した印刷ジョブを主制御部110に転送する。主制御部110は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部130を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成する。
【0032】
画像処理部130によって描画情報が生成されると、エンジン制御部120は、プリントエンジン106を制御し、上記生成された描画情報に基づき、給紙テーブル105から搬送される用紙に対して画像形成を実行させる。即ち、画像処理部130、エンジン制御部120及びプリントエンジン106が画像形成出力部として機能する。プリントエンジン106の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン106によって画像形成が施された文書は排紙トレイ107に排紙される。
【0033】
以下、本実施形態において、広告が付与された印刷物が出力されるまでの処理について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る印刷の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態においては、ユーザがクライアント端末2を操作することにより前記クライアント端末2に格納されている印刷対象データを選択して、ネットワーク4を介して画像形成装置1でデータを印刷する場合において説明する
【0034】
なお、ユーザがクライアント端末2を操作することにより、ネットワーク4を介して画像形成装置1やデータ管理サーバ3に格納されている印刷対象データを選択して印刷を行う場合も同様の処理手順である。
【0035】
さらに、ユーザが画像形成装置1を直接操作することにより、ネットワーク4を介してクライアント端末2やデータ管理サーバ3に格納されている印刷対象データを選択して印刷を行う場合や、ユーザが画像形成装置1を直接操作することにより、前記画像形成装置1に格納されている印刷対象データを選択して印刷を行う場合も同様の処理手順である。
【0036】
ユーザがクライアント端末2に格納されている印刷対象データから印刷したいデータを決定して印刷を選択すると、クライアント端末2において印刷の実行を行うための実行命令として印刷ジョブが生成され、ネットワーク4を介して画像形成装置1に送信される。クライアント端末2において生成される印刷ジョブには、印刷対象データや印刷設定の情報に加え、印刷対象データのファイル名や印刷対象データが格納されているフォルダ名が含まれる。これらの情報は、印刷対象のデータが記憶されていた記憶領域を示す文字列であり、そのような文字列に基づいて付与する広告を決定することが本実施形態に係る要旨の1つである。
【0037】
画像形成装置1においては、主制御部110が入出力制御部150から印刷ジョブを受信し、広告付与制御部160へ印刷ジョブを送信する。即ち、ここでは広告付与制御部160が画像形成出力の実効命令を取得する命令取得部および文字列取得部として機能する。広告付与制御部160は印刷ジョブを受信すると、主制御部110の制御に従い、図4に示すように、印刷対象データが格納されているフォルダ名を印刷ジョブに含まれる情報に基づいてチェックする(S401)。このとき、広告付与判定部160は広告付与が可能か否かの判定を行う。即ち、ここでは広告付与制御部160が広告付与判定部として機能する。これについては、図5と図6を参照して後に詳述する。
【0038】
S401の結果、広告付与可能であり(S402/YES)、広告を印刷する場合には(S403/YES)、広告付与制御部160はフォルダ名に基づいて付与する広告の内容を決定し(S404)、付与する広告データを前記決定された印刷データに埋め込む(S405)。即ち、ここでは広告付与制御部160が広告決定部および広告付与部として機能する。S404、S405の処理については、図7と図8を参照して後に詳述する。
【0039】
次に、広告付与制御部160は、広告データを埋め込まれた印刷データを含む印刷ジョブを主制御部110へ送り返し、画像形成装置1は出力を実行(S406)して印刷を終了する。
【0040】
一方、S401の結果、広告付与不可と判断された場合(S402/NO)や、広告を印刷しない場合には(S403/NO)、広告付与制御部160は印刷データと広告を付与しないという情報を含む印刷ジョブを主制御部110へ送り返し、画像形成装置1は出力を実行(S406)して印刷を終了する。
【0041】
広告付与が可能か否かの判定は、ユーザが不利益となるような広告が印刷されることを回避するために実施される。以下、本実施形態において、広告付与の可否を判定する方法について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る広告付与判定の処理手順を示すフローチャートである。
【0042】
ユーザがクライアント端末2に格納されている印刷対象データから印刷したいデータを決定して印刷を選択すると、主制御部110は入出力制御部150から印刷ジョブを受信し、広告付与制御部160へ印刷ジョブを送信する。主制御部160は印刷ジョブを受信すると、主制御部110の制御に従い、図5に示すように、印刷データが格納されているフォルダ名を印刷ジョブに含まれる情報から取得する(S501)。なお、フォルダ名はどの階層のものをいくつでも取得しても良いが、本実施例においては印刷対象データが格納されているフォルダから3階層上までのものを取得するものとする。
【0043】
広告付与制御部160は、印刷対象データが格納されていたフォルダ名を取得すると、S501で取得されたフォルダ名の内、後述する禁止文言比較済みフラグが立っていない階層のフォルダ名を選択する(S502)。なお、フォルダ名の選択方法としては、禁止文言比較済みフラグが立っていない階層のフォルダ名の中から、階層が低い方から順番に選択しても良いし、ランダムに選択するなど、適宜実施形態に応じて適切な方法を採用すれば良い。
【0044】
次に、広告付与制御部160は、図6に示すような広告付与データベース161に格納されている印刷禁止文言とS502で選択された階層のフォルダ名とを比較する(S503)。そして、広告付与制御部160は、S503で比較した階層のフォルダ名に、あらかじめ定められた印刷禁止文言との比較が完了していることを示すための禁止文言比較済みフラグを立てる(S504)。
【0045】
図6は、本実施形態に係る広告付与データベース161のデータ構造の例を示す図であり、印刷禁止文言を識別するための項番とそれに対応する印刷禁止文言が関連付けて登録されている。即ち、広告付与データベース161には印刷禁止文言の一覧が定められている。なお、印刷禁止文言は広告付与データベース161に予め登録されていても良いし、外部から適宜最新の文言に更新されるように構成されていても良い。
【0046】
S503の結果、フォルダ名に印刷禁止文言が含まれている場合には(S505/YES)、広告付与制御部160は主制御部110に広告付与不可を通知し(S506)、広告付与の判定処理を終了する。S503の結果、フォルダ名に印刷禁止文言が含まれていない場合には(S505/NO)、S501で取得されたフォルダ名の内、禁止文言比較済みフラグが立っていない階層のフォルダ名についてS502〜S506までの処理と同様の処理を実行する(S507/NO)。
【0047】
全フォルダ名に印刷禁止文言が含まれていなければ(S507/YES)、広告付与制御部160は主制御部110に広告付与可を通知して(S508)、広告付与の判定処理を終了する。
【0048】
このように、印刷禁止文言が予め定められているので、ユーザが不利益となるような広告が印刷されることを回避することができる。例えば、報告書や履歴書といった文書は機密情報またはプライバシー情報であるため、不特定多数の人に配布することは想定し難く、従って、それらの文書に広告を付与することは不適切である。上記の処理により、このような事態を避けることができる。また、オフィシャルな文書の場合広告を付与することは不適切である。従って、オフィシャルな文書であることを示す文字列が含まれている場合に広告の付与を自動的に禁止することにより、ユーザの利便性を向上することができる。
【0049】
次に、本実施形態における広告の内容を決定する手順について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る広告付与の処理手順を示すフローチャートである。図5に示す動作により広告付与可能と判定されたら、図7に示すように、まず、広告付与制御部160は主制御部110の制御に従って、印刷データの全ページ数を取得する(S701)。そして、広告付与制御部160は、印刷対象のページから後述する選択済みフラグが立っていないページを選択する(S702)。
【0050】
なお、ページの選択方法としては、選択済みフラグが立っていないページの中から、ページ数が若い方から順番に選択しても良いし、ランダムに選択するなど、適宜実施形態に応じて適切な方法を採用すれば良い。S702で選択されたページには、選択されたことを示すための選択済みフラグが立てられる(S703)。
【0051】
次に、広告付与制御部160は、印刷対象データが格納されていたフォルダ名のうち、後述する決定文言比較フラグが立っていない階層のフォルダ名を選択し(S704)、図8に示すような広告付与データベース161に格納されている広告データ決定文言のうち、後述する使用済みフラグが立っていない項番に対応する広告データ決定文言と、S704で選択されたフォルダ名とを比較する(S705)。そして、広告付与制御部160は、S705で比較した階層のフォルダ名に、あらかじめ定められた広告データ決定文言との比較が完了していることを示すための決定文言比較済みフラグを立てる(S706)。
【0052】
図8は、本実施形態に係る広告付与データベース161のデータ構造の例を示す図である。ここには、広告データを識別するための項番とそれに対応する広告データ決定文言、広告タイトル及びその広告データの保管場所が登録されており、広告データと関連付けられている。広告データには、印刷対象データに付与する広告の内容が記述されている。即ち、ここでは広告付与データベース161は文字列対応テーブルとして機能する。なお、広告データとそれに対応する広告データ決定文言及びその広告データの保管場所は、広告付与データベース161に予め登録されていても良いし、外部から適宜最新のものに更新されるように構成されていても良い。
【0053】
S705の結果、フォルダ名の全部又は一部と、広告付与データベース161に格納されている広告データ決定文言の何れかとが一致した場合には(S707/YES)、広告付与制御部160は、一致した広告データ決定文言に対応する広告データをS702で選択されたページに設定する(S708)。
【0054】
広告付与制御部160は、広告データを設定されたページには設定済みフラグを立てる(S709)。これは、広告データが一度設定されたページには再び広告データが設定されることを防ぐためである。
【0055】
広告付与制御部160は、S708で設定された広告データに対応する項番には使用済みフラグを立てる(S710)。これは、一度採用された広告データが、他のページに採用されないための処理である。これにより、同じ広告が複数のページに設定されることを防ぐことができ、より多くの種類の広告を設定することができる。
【0056】
一方、S707の結果、フォルダ名の全部又は一部と、広告付与データベース161に格納されている広告データ決定文言の何れかとが一致しない場合には(S707/NO)、広告付与制御部160は、S501で取得されたフォルダ名のうち、決定文言比較済みフラグが立っていない階層のフォルダ名についてS704〜S710までと同様の処理を実行する(S711/NO)。ここでの処理は、デフォルトの広告データをできるだけ設定しないで済むように実施されるものである。つまり、S501で取得するフォルダ名の階層を増やすごとにデフォルト以外の広告データを設定する可能性を高めることができ、より適切で効果的な広告を設定することができる。
【0057】
S710の処理が完了、若しくは、S501で取得された全フォルダ名について、広告付与データベース161に格納されている広告データ決定文言との比較が完了したら(S711/YES)、広告付与制御部160は、S701で取得されたページ数分S702〜S711までと同様の処理を行う(S712/NO)。
【0058】
S701で取得された全ページについてS702〜S711の処理が完了したら(S712/YES)、広告付与制御部160は、S701で取得された全ページに広告データが設定されたか否かの判定を行う(S713)。広告データが設定されていないページがある場合には(S713/NO)、広告付与制御部160は、そのページにデフォルトの広告データを設定し(S714)、主制御部110に広告データが埋め込まれた印刷データを含む印刷ジョブを送信し(S715)、広告付与の処理を終了する。
【0059】
全ページに広告データが設定されている場合(S713/YES)、またはS714の処理が完了すると、広告付与制御部160は主制御部110に広告データが埋め込まれた印刷データを含む印刷ジョブを送信し(S715)、広告付与の処理を終了する。
【0060】
S708、S714において、広告付与制御部160は、印刷対象データの空きスペースや裏面等に選択された広告の画像が形成されるように印刷ジョブを編集することによって広告データを設定する。印刷対象データは、印刷ジョブにおいて例えばPDL(Page Description Language)と呼ばれる形式のデータで保存されている。広告付与制御部160は、そのPDL形式のデータを編集することにより、空きスペースに広告が挿入された画像が形成されるように広告データを設定する。このような広告データの設定態様により、印刷ジョブに基づいて描画情報を生成する画像処理部130には何ら変更を加えることなく広告データを設定することができる。
【0061】
この他、広告データ及び広告の挿入位置を示す情報を印刷ジョブに付加することによっても広告データの設定が可能である。このような場合、画像処理部130は、印刷ジョブに基づいた一般的な描画情報の生成処理の他、上述したように印刷ジョブに付加された広告のデータに基づいて描画情報を生成する機能を要する。
【0062】
なお、上記実施の形態では印刷対象データが格納されているフォルダの名前に基づいて広告データの内容を決定する旨を説明したが、フォルダの名前だけに基づくのではなく、印刷対象データのファイル名そのものに基づいて広告データの内容を決定しても良いし、フォルダ名とファイル名の両方に基づいて広告データの内容を決定しても良い。
【0063】
フォルダ名はそこに格納されているファイルの内容の特徴を捉えていることが多く、ファイル名においても同様である。従って、フォルダ名やファイル名に基づいて広告データの内容を決定する本発明においては、印刷対象データに最適な広告を付与することができる。
【0064】
上記実施の形態においては、クライアント端末2から公衆回線4を介して画像形成装置1に印刷ジョブを送信する場合を例として説明したが、図9に示すようにタブレット端末5や携帯電話端末6からでもネットワーク4を介して画像形成装置1に印刷ジョブ送信する構成としても良い。
【0065】
図9は、本実施の他の形態に係るシステムの運用形態を示す図である。図9に示すように、画像形成装置1、クライアント端末2、データ管理サーバ3の他に、タブレット端末5及び携帯電話端末6がネットワーク4を介して接続されて構成されている。
【0066】
また、図10に示すように、広告情報処理装置7が画像形成装置1とは独立していて、画像形成装置1には広告を付与する機能はなく、広告情報処理装置7がクライアント端末2から印刷ジョブを受信し、広告を付与図4、5、6において説明したような処理を実行した上で広告データが付与されるように編集された印刷ジョブを画像形成装置1に送信する処理を行う構成にしても良い。
【0067】
図10は、本実施の他の形態に係るシステムの運用形態を示す図である。図10に示すように画像形成装置1、クライアント端末2、データ管理サーバ3、タブレット端末5、携帯電話端末6の他に、広告情報処理装置7がネットワーク4を介して接続されて構成されている。
【0068】
図10に示すような構成の場合のハードウェア構成と広告付与の処理について説明する。ここでは、上記実施の形態と同様の構成及び処理については詳細な説明は省略する。広告情報処理装置7は、図2に示すハードウェア構成を備え、機能構成としてネットワークI/F108、主制御部110、入出力制御部150、広告付与制御部160及び広告付与データベース161が組み込まれている。
【0069】
このような構成の場合、画像形成装置1は、広告付与制御部160及び広告付与データベース161を持たない。従って、印刷データへの広告付与の処理は広告情報処理装置7が実行する。
【0070】
クライアント端末2などからネットワーク4を介して送信された印刷ジョブをまず広告情報処理装置7が受信する。そのため、クライアント端末2等においては、プリンタドライバ等の設定により、画像形成装置1での出力命令であっても印刷ジョブの送信先として広告情報処理装置7のネットワークアドレスが設定されている。印刷ジョブを受信した広告情報処理装置7は、上記実施の形態で詳述した図5、図7と同様の処理を行う。そして、S716で通知された印刷ジョブは、ネットワーク4を介して画像形成装置1に送信され、画像形成装置1は受信した印刷ジョブに基づいて印刷を実行する。
【0071】
このようなシステムの運用形態により、広告付与制御部160や広告付与データベース161等の広告付与機能は1組のみ設ければ良く、複数の画像形成装置1によってその機能を共有することができ、システムの構成を効率化することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
2 クライアント端末
3 データ管理サーバ
4 公衆回線
5 タブレット端末
6 携帯電話端末
7 広告情報処理装置
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 バス
100 コントローラ
101 ADF
102 スキャナユニット
103 排紙トレイ
104 ディスプレイパネル
105 給紙テーブル
106 プリントエンジン
107 排紙トレイ
108 ネットワークI/F
110 主制御部
120 エンジン制御部
130 画像処理部
140 操作表示制御部
150 入出力制御部
160 広告付与制御部
161 広告付与データベース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2010−136332号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において画像形成出力する対象の画像データに広告情報を付与する画像処理装置であって、
前記画像データを含む画像形成出力の実効命令を取得する命令取得部と、
前記取得された画像形成出力の実効命令から前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列を取得する文字列取得部と、
前記取得された文字列に基づき、前記画像データに広告情報を付与するか否か判定する広告付与判定部と、
前記広告情報を付与すると判定された場合に、前記取得された文字列に基き、前記画像データに付与する広告情報を決定する広告決定部と、
前記決定された広告情報が前記画像データに付与されて画像形成出力が実行されるように前記画像形成出力の実効命令を前記決定された広告情報に基づいて修正する広告付与部とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記広告付与判定部は、広告情報の付与の禁止が定められた文字列である禁止文言の一覧情報に基づき、前記取得された文字列の中に、前記禁止文言が含まれているか否かを判断することにより、前記広告情報を前記画像データに付与するか否か判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記広告決定部は、前記広告情報を識別するための識別情報とその広告情報に関連する文字列とが対応付けられた情報を記憶している文字列対応テーブルに基づき、前記取得された文字列に関連付けられた識別情報によって識別される広告情報を前記画像データに付与することを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記文字列取得部は、前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列として、前記画像データのファイル名及び前記画像データのフォルダ名の少なくとも一方を取得することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像形成装置において画像形成出力する対象の画像データに広告情報を付与する画像処理プログラムであって、
前記画像データを含む画像形成出力の実効命令を取得するステップと、
前記取得された画像形成出力の実効命令から前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列を取得するステップと、
前記取得された文字列に基づき、前記画像データに広告情報を付与するか否か判定するステップと、
前記広告情報を付与すると判定された場合に、前記取得された文字列に基き、前記画像データに付与する広告情報を決定するステップと、
前記決定された広告情報が前記画像データに付与されて画像形成出力が実行されるように前記画像形成出力の実効命令を前記決定された広告情報に基づいて修正するステップとを画像処理装置に実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項6】
画像形成装置において画像形成出力する対象の画像データに広告情報を付与する画像処理方法であって、
前記画像データを含む画像形成出力の実効命令を取得して記憶媒体に格納し、
前記取得された画像形成出力の実効命令から前記画像データが記憶されていた記憶領域を示す文字列を取得し、
前記取得された文字列に基づき、前記画像データに広告情報を付与するか否か判定し、
前記広告情報を付与すると判定された場合に、前記取得された文字列に基づき、前記画像データに付与する広告情報を決定し、
前記決定された広告情報が前記画像データに付与されて画像形成出力が実行されるように前記画像形成出力の実効命令を前記決定された広告情報に基づいて修正することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−22914(P2013−22914A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162168(P2011−162168)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】