説明

画像処理装置、画像処理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】本発明は、読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を高精度に検出することが可能な画像処理装置、画像処理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】検出部14は、読取媒体の第1面および第2面の読取画像の折目線をそれぞれ検出し、補正部15は、第1面の読取画像の折目線検出結果と第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、第1面および第2面の読取画像の折目線検出結果を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関し、詳細には、紙文書などの読取媒体を光学的に読み取って得られた画像情報から、読取媒体の折り目が原因で、読取画像に重畳するノイズを検出する処理を実行する画像処理装置、画像処理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
折り目の付いた紙文書を、スキャナなどの読取装置を用いて読み取ると、折り目の部分が細線(以降、折目線と称する)となって読み取られることがある。これらの細線は、原稿上に描かれたものではないため、殆どの利用者にとっては不要な情報のはずである。加えて、OCRや像域分離といった画像認識の用途があると、折目線が認識精度を落とす原因にもなり得る。このため、折目線は消去または目立たなくすることが望ましい。
【0003】
折目線を消去または目立たなくする技術としては、例えば、特許文献1の画像処理装置や特許文献2の画像情報の折目ノイズ除去装置などが提案されている。特許文献1では、読取画像の中から「周囲との明度差は大きいが、色差が小さい箇所」を探索し、それらが線状に連なっている場合に折目線として検出する。そして、折目線として検出した箇所に対して、周囲の明度に類似させることで折目線を目立たなくしている。
【0004】
また、特許文献2では、読取画像を白黒画像に変換し、「白黒画像の任意の1辺と平行な向きに所定以上のランレングスをもち、同様のランレングスが垂直な向きに連続する箇所」を折目線として検出している。そして、折目線として検出した箇所に対して、周囲の濃度に類似させることで折目線を目立たなくしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
両特許文献では、折目線の色や形といった見た目に注目して、読取画像の中から折目線を検出している。確かに、折目線には特徴的な色や形があるため、それらを検出条件として使うことは妥当と考えられる。しかしながら、紙文書には文字や線、図形といった様々な物が描かれるため、見た目だけに注目したのでは、折目線そっくりなものを折目線と誤検出する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を高精度に検出することが可能な画像処理装置、画像処理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を検出する画像処理装置であって、前記読取媒体の第1面の読取画像の折目線検出結果と、前記読取媒体の第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、前記第1面および前記第2面の読取画像の折目線検出結果を補正する補正手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を検出する画像処理方法であって、前記読取媒体の第1面の読取画像の折目線検出結果と、前記読取媒体の第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、前記第1面および前記第2面の読取画像の折目線検出結果を補正する補正工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる画像処理装置によれば、読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を検出する画像処理装置であって、前記読取媒体の第1面の読取画像の折目線検出結果と、前記読取媒体の第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、前記第1面および前記第2面の読取画像の折目線検出結果を補正する補正手段を備えているので、読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を高精度に検出することが可能な画像処理装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の原理を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の画像処理装置の構成例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の画像処理装置の動作シーケンス例を示す図である。
【図4】図4は、操作部の表示例を示す図である。
【図5】図5は、折目線検出結果の一例を示す図である。
【図6】図6は、記録部に記録されたデータの一例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、折目線検出結果の一例を示す図である。
【図7−2】図7−2は、折目線検出結果の一例を示す図である。
【図8】図8は、Correction動作のフロチャート例を示す図である。
【図9】図9は、グループ処理の実例を示す図である。
【図10−1】図10−1は、折目線の幾何学的な特徴の一例を示す図である。
【図10−2】図10−2は、折目線の幾何学的な特徴の一例を示す図である。
【図11−1】図11−1は、折目線の幾何学的な特徴の一例を示す図である。
【図11−2】図11−2は、折目線の幾何学的な特徴の一例を示す図である。
【図12】図12は、鏡面処理の実例を示す図である。
【図13】図13は、収縮処理の実例を示す図である。
【図14】図14は、膨張処理の実例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明にかかる画像処理装置、画像処理方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
(本発明の原理)
本発明は、紙文書などの読取媒体を光学的に読み取って得られた画像情報から、読取媒体の折り目が原因で読取画像に重畳するノイズを高精度に検出するものである。図1は、本発明の原理を説明するための図である。
【0013】
図1において、紙文書などの折り目は、紙が折り曲げられたことで起こる傷跡である(101参照)。紙文書の折り目は両面に入る。紙文書を光学的に読み取ると、第1面と第2面の読取画像に重畳する折目線は鏡面座標を持つことになる。同図では、折り目を広げた紙文書(第1面:101参照)を水平方向および垂直方向に裏返した(反転)させた状態(第2面:102、103参照)を示しており、第1面と第2面の折目線は、鏡面座標を有している。本発明では、読取媒体の第1面の読取画像の折目線検出結果と、読取媒体の第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴、すなわち、同一の読取媒体の第1面と第2面の折目線は鏡面関係を有しているという特徴を利用して、第1面および第2面の読取画像の折目線検出結果を補正することで、折目線の検出精度を向上させるものである。
【0014】
(実施の形態)
図2は、本発明の実施の形態にかかる画像処理装置の構成例を模式的に示した図である。画像処理装置1は、図2に示すように、読取部11と、出力部12と、操作部13と、検出部14と、補正部15と、記録部16と、制御部17等の各部位を備えている。
【0015】
読取部11は、読取媒体を光学的に読み取り、読取画像を生成する部位である。読取部11は、読取媒体を水平方向および/または垂直方向に反転させる機構を備えており、読取媒体の両面(第1面、第2面)を読み取り可能に構成されている。折り目の付いた紙文書を読み取ると、生成される読取画像に折目線が重畳する。
【0016】
検出部14は、読取画像の中から折目線を検出するための部位である。具体的には、検出部14は、読取画像を構成する各画素について、折目線であるか否かの判定を行い、読取画像と同サイズの2値データを検出結果として生成する。
【0017】
記録部16は、読取画像とその折目線検出結果とを関連づけて記録するための部位である。記録部16は、例えば、記録媒体としてのRAM(Random Access Memory)を使用することができ、記録情報を部分的に読み書きすることができる。また、記録部16の記録容量は、少なくとも読取画像と折目線検出結果とを各々2面分だけ記録可能な大きさである。
【0018】
補正部15は、検出部14の折目線検出結果を補正する部位である。具体的には、補正部15は、記録部16から折目線検出結果を読み出し、必要に応じて、検出結果を修正して、記録部16に書き戻す。
【0019】
出力部12は、読取画像と折目線検出結果とを出力するための部位である。出力部12は、例えば、画像処理(例えば、読取画像に重畳する折目線を目立たなくする処理)を実施する機器が接続される。
【0020】
操作部13は、画像処理装置1の利用者が種々の設定を行ったり、本画像処理装置1の利用者に種々の情報を提供したりするための部位である。操作部13は、例えば、タッチパネルのようなソフトキーを表示できる表示装置で構成することができる。
【0021】
制御部17は、CPU,ROM、RAM、A/D変換器、ポート等で構成されており、画像処理装置1の各部位の動作を制御するための部位である。制御部17は、後述する基本動作の開始から終了までの期間、それぞれの部位を制御する。
【0022】
図3〜図6を参照して、図2の画像処理装置1の基本動作を説明する。図3は、図2の画像処理装置1の動作シーケンスの一例を示している。特に、図3は各部位の動作及び情報の流れを時系列に表したものであり、Scan動作,Detection動作,本発明の特徴的部分であるCorrection動作、Output動作の4つに区別される。Correction動作では、同一原稿の表面と裏面の折目線検出結果が必要となるため、Correction動作を開始する以前に、同一原稿の表面と裏面についてのScan動作とDetection動作を各々実行する。図4は、操作部13の操作画面の一例を示している。図5は、折目線検出結果の一例を示す図である。図6は、記録部16に記録されたデータの一例を示す図である。
【0023】
図3において、まず、画像処理装置1では、紙文書を光学的に読み取って、その読取画像を記録部16に記録するScan動作が行われる。具体的には、利用者は読取部11に紙文書を設置し、操作部13を用いて設定情報(少なくとも、(1)紙文書の大きさ、(2)紙文書の見開き方向、(3)読取面の3種類)の設定を行い、確定ボタンを押すと設定情報が確定して、スキャン動作が開始される。操作部13の操作画面は、例えば、図4に示すように、(1)紙文書の大きさを選択するボタン(A3,B4,Letter)、(2)紙文書の見開き方向を選択するボタン(左右開き、上下開き)、(3)読取面を選択するボタン(表面、裏面)、確定ボタンを備えている。
【0024】
確定した設定情報は一旦、操作部13から制御部17に送信される(ステップS1)。制御部17は、受信した設定情報に基づいて、利用者の設定に従う動作を実現するための制御パラメーラを各部位に転送する(ステップS2)。制御情報を受け取った各部位は、ステータス信号1を制御部17に返信する(ステップS3)。
【0025】
制御部17は、全ての部位からステータス信号1を受け取ると、読取部11に対して読取動作の開始を指示する(ステップS4)。読取部11は、読取動作の開始の指示を受け取ると、紙文書の大きさだけ読取動作を行って読取画像を生成し、読取画像を記録部16に転送する(ステップS5)。記録部16は、紙文書の大きさ、見開き方向、読取面の3種類の情報を読取画像と関連付けて記憶する。読取画像の記録が終了すると、記録部16は、ステータス信号2を制御部に返信し(ステップS6)、制御部17は、ステータス信号2を受信するとScan動作を終了する。
【0026】
つぎに、画像処理装置1では、記録部16に記憶されている読取画像の中から折目線を検出するDetection動作が行われる。具体的には、まず、制御部17から検出部14に対して検出動作の開始が指示されると(ステップS7)、検出部14は記録部16から読取画像を読み出して(ステップS8)、各画素が折目線であるか否かの判定を行う。判定のアルゴリズムは、例えば、従来技術と同様とすることができるので詳細な説明を省略する。判定が終了すると、検出部14は、読取画像と同サイズの2値のビットマップデータを折目線検出結果として生成し、読取画像と関連付けて記録部16に蓄積する(ステップS9)。
【0027】
読取画像と同サイズの2値のビットマップデータは、読取画像の各画素について「0」または「1」の状態を表すことができるので、例えば、図5に示すように、折目線であれば「1」、折目線でなければ「0」を割り付けることとができる。また、記録部16には、図6に示すように、読取媒体の大きさ、見開き方向、読取面、折目線検出結果、読取画像が互いに関連付けられて記録されることになる。
【0028】
折目線検出結果の蓄積が終了すると、記録部16は、ステータス信号3を制御部17に返信する(ステップS10)。制御部17が、ステータス信号3を受信するとDetection動作を終了する。
【0029】
上記のScan動作とDetection動作は、同一原稿の表面と裏面について、各々実行される。
【0030】
記録部16に記録された折目線検出結果を補正するCorrection動作について説明する。制御部17から補正部15に対して補正動作の開始が指示されると(ステップS11)、補正部15は、記録部16に記録されている同一原稿の表面と裏面の折目線検出結果を適時読み出し(ステップS12)、折目線が持つ幾何学的な特徴を使って、両者の折目線検出結果を補正する。折目線検出結果を補正するアルゴリズムの詳細については後述する(図8〜図13参照)。補正部15は、折目線検出結果の補正が覆った箇所、すなわち、「0」が「1」に、または「1」が「0」に補正された箇所については、新しい結果を記録部16に上書きする(ステップS13)。補正部15は、全ての折目線検出結果について補正が終了すると、ステータス信号4を制御部17に返信する(ステップS14)。制御部17はステータス信号4を受信するとCorrection動作を終了する。
【0031】
最後に、画像処理装置1では、記録部16に蓄積されている読取画像と折目線検出結果を、出力部12から外部装置へ出力するOutput動作が行われる。具体的には、まず、制御部17から出力部12に対して出力動作の開始が指示されると(ステップS15)、出力部12は記録部16から読取画像と折目線検出結果を読み出し(ステップS16)、外部装置が解釈可能な形式に変換した後に外部装置に出力する(ステップS17)。読取画像と折目線検出結果が全て出力されると、出力部12は、ステータス信号5を制御部17に返信する(ステップS18)。制御部17がステータス信号5を受信するとOutput動作を終了する。
【0032】
図7−1〜図14を参照して、上記Correction動作の折目線検出結果を補正するアルゴリズムについて詳細に説明する。図7−1および図7−2は、折目線検出結果の一例を示す図である。図8は、Correction動作の一例を説明するためのフロチャートである。図9は、グループ処理の実例を示す図である。図10−1、図10−2、図11−1および図11−2は、折目線の幾何学的な特徴の一例を示す図である。図12は、鏡面処理の一例を説明するための図である。図13は、収縮処理の一例を説明するための図である。図14は、膨張処理の一例を説明するための図である。
【0033】
ここでは、一例として、図7−1に示すような左右開きの紙文書について、Scan動作とDetection動作を行った結果、図7−2に示すような折目線検出結果が2値データとして記録部16に記録されている場合について説明する。
【0034】
図8に示すように、Correction動作は、グループ処理と(ステップS21)、鏡面処理と(ステップS22)、収縮処理と(ステップS23)、膨張処理と(ステップS24)の4つの工程を含んでいる。
【0035】
グループ処理(ステップS21)では、連続して折目線と判定された領域が1単位となるように、折目線検出結果をグループ化する。例えば、図7−2に示すような折目線検出結果の場合は、図9に示すように、表面の折目線検出結果はグループA〜E、裏面の折目線検出結果はグループF〜Lにグループ化することができる。
【0036】
鏡面処理(ステップS22)では、裏面の折目線検出結果を水平方向または垂直方向に鏡面化したものを作成して、表面の折目線検出結果と重ね合わせる。この場合、鏡面化する向きは読取媒体の見開き方向によって切り替える。なぜなら、見開き方向によって、読取媒体と読取画像との天地が切り替わるからである。例えば、左右開きの読取媒体(図10−1参照)の場合は、表面と裏面の読取画像に重畳する折目線は水平方向に鏡面関係(図10−2参照)を有する。上下開き(図11−1参照)の場合は、垂直方向に鏡面関係(図11−2参照)を有する。図9の場合は、元となる紙文書(図7−1参照)が左右開きであるので、水平方向に鏡面化したものを重ねると、図12に示すような結果となる。なお、図12では、折目線検出結果の重なりが見易いように、少しだけズラして重ねた図としている。
【0037】
収縮処理(ステップS23)では、鏡面処理が済んだものに対してグループ単位で第1の補正を行う。具体的には、表面と裏面の両方で折目線と検出されていた箇所が重なっているグループは、そのままの検出結果(つまり折目線であるという判定結果のまま)とし、表面と裏面の両方で折目線と検出されていた箇所が重なっていないグループは検出結果を修正する(つまり折目線では無いという判定結果に変える)。
【0038】
例えば、鏡面処理の済んだものが図12とすると、表面のグループAは裏面のグループF,H、表面のグループBは裏面のグループI,J,K、表面のグループCは裏面のグループJ、表面のグループEは裏面のグループLと重なっているので、これらのグループは折目線であるという判定結果を変えない。他方、グループDとGは重なるグループが見つからないため折目線では無いという判定結果に変える。すなわち、図12に示す結果は、収縮処理により、図13に示す結果に補正される。
【0039】
膨張処理(ステップS24)では、収縮処理が済んだものに対して、画素単位で第2の補正を行う。具体的には、表面および裏面のいずれか一方で折目線と検出されていた箇所があれば、それは両面で折目線が検出されたものと補正する。例えば、収縮処理の済んだものが図13とした場合、膨張処理で図14に示すように補正される。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態によれば、検出部14は、読取媒体の第1面および第2面の読取画像の折目線をそれぞれ検出し、補正部15は、第1面の読取画像の折目線検出結果と第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、第1面および第2面の読取画像の折目線検出結果を補正することとしたので、折目線そっくりなものを折目線と誤検出することを防止でき、読取画像の折目線の検出結果を向上させることが可能となる。
【0041】
また、補正部15は、第1面の読取画像の折目線検出結果と第2面の読取画像の折目線検出結果とを比較する場合には、水平または垂直方向に鏡面関係を有する位置の結果同士を比較することとしたので、折目線が持つ幾何学的な特徴を利用した比較が可能になる。
【0042】
また、水平もしくは垂直方向に鏡面関係とする向きは、読取媒体と読取画像の天地の状態によって決定することとしたので、同一の折目線を正しく比較することが可能になる。
【0043】
また、補正部15は、第1面の読取画像の折目線検出結果と第2面の読取画像の折目線検出結果を比較する場合には、折目線として検出された箇所が連続する領域を最小単位とすることとしたので、折目線が持つ幾何学的な特徴を利用した比較の精度を高めることが可能となる。
【0044】
また、補正部15は、第1面の読取画像の折目線検出結果と第2面の読取画像の折目線検出結果のうち、両面で折目線が検出されない場合は、両面とも折目線が検出されなかったものと補正する収縮処理を実行することとしたので、折目線の過検出を補正することが可能となる。
【0045】
また、補正部15は、第1面の読取画像の折目線検出結果と前記第2面の読取画像の折目線検出結果のうち、少なくとも一方で折目線が検出されている場合は、両面で折目線が検出されたものと補正する膨張処理を実行することとしたので、折目線の検出不足を補正することが可能となる。
【0046】
また、補正部15は、収縮処理を実行した後に膨張処理を実行することとしたので、より多くの過検出と検出不足を補正することが可能となる。
【0047】
(プログラム)
なお、本発明の画像処理装置は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェイス機器、スキャナ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器から構成される装置(ホストコンピュータ等)に適用しても良い。
【0048】
また、本発明の目的は、上述した画像処理装置の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(または、CPU、MPU、DSP)が記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することによっても達成することが可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した画像処理装置の機能を実現することになり、そのプログラムコードまたはそのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、FD、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリ、ROMなどの光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体を使用することができる。
【0049】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した画像処理装置の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像処理装置の機能が実現される場合も含まれること言うまでもない。
【0050】
また、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した画像処理装置の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0051】
1 画像処理装置
11 読取部
12 出力部
13 操作部
14 検出部
15 補正部
16 記録部
17 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2002−77625号公報
【特許文献2】特許第3925851号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を検出する画像処理装置であって、
前記読取媒体の第1面の読取画像の折目線検出結果と、前記読取媒体の第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、前記第1面および前記第2面の読取画像の折目線検出結果を補正する補正手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記第1面の読取画像の折目線検出結果と前記第2面の読取画像の折目線検出結果とを比較する場合には、水平または垂直方向に鏡面関係を有する位置の結果同士を比較することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記水平もしくは垂直方向に鏡面関係とする向きは、前記読取媒体と前記読取画像の天地の状態によって決定されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記第1面の読取画像の折目線検出結果と前記第2面の読取画像の折目線検出結果を比較する場合には、折目線として検出された箇所が連続する領域を最小単位とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記第1面の読取画像の折目線検出結果と前記第2面の読取画像の折目線検出結果のうち、両面で折目線が検出されない場合は、両面とも折目線が検出されなかったものと補正する収縮処理を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記第1面の読取画像の折目線検出結果と前記第2面の読取画像の折目線検出結果のうち、少なくとも一方で折目線が検出されている場合は、両面で折目線が検出されたものと補正する膨張処理を実行することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、前記第1面の読取画像の折目線検出結果と前記第2面の読取画像の折目線検出結果のうち、両面で折目線が検出されない場合は、両面とも折目線が検出されなかったものと補正する収縮処理を実行した後、少なくとも一方の面で折目線が検出されている場合は、両面で折目線が検出されたものと補正する膨張処理を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
読取媒体を光学的に読み取って得られた読取画像の折目線を検出する画像処理方法であって、
前記読取媒体の第1面の読取画像の折目線検出結果と、前記読取り媒体の第2面の読取画像の折目線検出結果とを折目線の幾何学的な特徴を利用して比較し、前記第1面および前記第2面の読取画像の折目線検出結果を補正する補正工程を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−139371(P2011−139371A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298865(P2009−298865)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】