説明

画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体

【課題】蓄積画像出力時にカラー/モノクロ判定を適切に行うことが出来る画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】画像データを入力する画像入力手段と、前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、前記画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を利用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に蓄積画像出力時にカラー/モノクロ判定を適切に行う画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー原稿を読み取ってコピーするカラー複写機が知られている。この種の複写機においては、フルカラーモードと単色モードではコピー動作の所要時間が大幅に変わるので、操作者はカラーモードと単色モードの切り替えに注意を払う必要があり、原稿の種類に応じてコピーモードを適宜切替える操作を行わなければならない。
【0003】
この種のモードの切り替えの煩わしさを解消するために、原稿がカラーか白黒かを自動的に識別し、その識別結果に応じて複写機の動作モードを自動的に切替える機能(自動カラー判定;ACS)が知られている。
【0004】
ここで、コピー機やファクシミリ装置の画像読取りの際に原稿を移動させ、光学系を固定して読み取る自動原稿送り装置(ADF)が知られている。このようなADFにおいて、原稿の搬送が不安定になり、いわゆるジターが発生する場合がある。この原稿搬送の不安定さが、イメージスキャナ部において取り込んだRGB画像に影響を及ぼすことがある。また、原稿搬送の不安定さにより搬送速度が変動すると、RGB読み取りラインの位置ずれを発生させることとなる。この場合、白黒原稿を読んだときに、RGB読み取り位置ずれにより黒文字に色ずれが発生し、ACSの判定結果がカラー原稿であると誤判定される場合がある。その場合、白黒原稿であるにも関わらず、Bk、C、M、Yのフルカラー作像されてしまい、モノクロコピーよりも作像時間が長くなってしまう。
【0005】
そこで、読み取り画像領域の副走査方向位置を管理して、ジターによる黒文字等の色づきによるACS誤判定を防ぐことを目的とし、読み取り装置で読み取った原稿の無彩色領域と有彩色領域を判別する色判別手段によって後段の処理を変更する画像処理装置であって、読み取られた画像の副走査位置を管理することで、色判別手段の判別動作を切り替える制御手段を備える画像処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような技術には、以下の問題点がある。
【0007】
画像の再利用性を向上させるために、予め統一された画質で画像データをメモリ装置に蓄積し、メモリ装置に蓄積された画像データに対して、ユーザの変更要求に応じた画像加工が施された場合に、ACSの判定結果が覆ってしまう場合が想定されるため、メモリ装置の後段にACS機能を具備して、改めてACS判定することにより、適切な画像領域の判定結果を得ることが考え得る。
【0008】
しかし、ユーザの変更要求に応じて、蓄積した画像データに対してフィルタ機能のソフト/シャープ調整等を使用することも可能であり、この場合、メモリ装置の前段のACS機能は黒文字と判定しているにも関わらず、画像データの黒細線部が強調されることにより、後段のACS機能は色文字と判定してしまい、前段と後段でのカラー/モノクロ判定結果が覆ってしまうという問題があった。
【0009】
画像データを記憶装置の蓄積前後で判定しているが、使用しているパラメータが同じであるため、判定精度は同レベルである。そのため、蓄積後の画像データに対して、強調処理が実施された場合、黒細線部の色付きをカラー判定してしまい、判定結果が覆ってしまう。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、蓄積画像出力時にカラー/モノクロ判定を適切に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第1の画像処理装置は、画像データを入力する画像入力手段と、前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、前記画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を利用することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第2の画像処理装置は、画像データを入力する画像入力手段と、前記画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理手段と、前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、前記画像データと、前記像域分離処理手段による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、前記像域分離処理手段の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を利用することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る第3の画像処理装置は、画像データを入力する画像入力手段と、前記画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理手段と、前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、前記画像データと、前記像域分離処理手段による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、前記像域分離処理手段の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、前記フィルタ処理の後に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果とともに利用することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る第1の画像処理方法は、画像データを入力するステップと、前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定ステップと、前記入力した画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積するステップと、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理ステップと、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定ステップと、前記フィルタ処理された画像データを出力するステップと、を備え、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を利用することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る第2の画像処理方法は、画像データを入力するステップと、前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理ステップと、前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定ステップと、前記入力した画像データと、前記像域分離処理ステップによる分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積するステップと、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理ステップと、前記像域分離処理ステップの結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定ステップと、前記フィルタ処理された画像データを出力するステップと、を備え、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を利用することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る第3の画像処理方法は、画像データを入力するステップと、前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理ステップと、前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定ステップと、前記入力した画像データと、前記像域分離処理ステップによる分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積するステップと、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理ステップと、前記像域分離処理ステップの結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定ステップと、前記フィルタ処理された画像データを出力するステップと、を備え、前記フィルタ処理の後に、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を、前記第2のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果とともに利用することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第1の画像処理プログラムは、画像データを入力する処理と、前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定処理と、前記入力した画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定処理によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する処理と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理と、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定処理と、前記フィルタ処理された画像データを出力する処理と、をコンピュータに実行させ、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を利用することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る第2の画像処理プログラムは、画像データを入力する処理と、前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理と、前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定処理と、前記入力した画像データと、前記像域分離処理による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定処理によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する処理と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理と、前記像域分離処理の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定処理と、前記フィルタ処理された画像データを出力する処理と、を、コンピュータに実行させ、前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を利用することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る第3の画像処理プログラムは、画像データを入力する処理と、前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理と、前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定処理と、前記入力した画像データと、前記像域分離処理による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定処理によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する処理と、前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理と、前記像域分離処理の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定処理と、前記フィルタ処理された画像データを出力する処理と、をコンピュータに実行させ、前記フィルタ処理の後に、前記第1のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を、前記第2のカラー/モノクロ判定処理による判定結果とともに利用することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る記録媒体は、上記本発明に係る第1から第3のいずれかの画像処理プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、蓄積画像出力時にカラー/モノクロ判定を適切に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理の流れについて説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像加工によるカラー/モノクロ判定結果例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るフィルタ処理(強調処理)により黒細線が色付く例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフィルタ処理(強調処理)により黒細線が色付くときのフィルタUV成分を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカラー/モノクロ判定基準例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像処理装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像処理の流れについて説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像処理装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る画像処理の流れについて説明するための図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像処理装置の動作処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係るフィルタ処理(強調処理)により色文字が黒付く例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るフィルタ処理(強調処理)により色文字が黒付くときのフィルタUV成分を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係るユースケース別の判定結果例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る画像処理装置の動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0024】
以下に説明する実施形態は、蓄積後の画像データに対してフィルタ処理を実施した場合に、所定の画像加工に際して、フィルタ処理前に第1のカラー/モノクロ判定手段によって判定した判定結果を使わずに、改めて第2のカラー/モノクロ判定手段によって判定を行い、その判定結果を利用することを特徴とする。
【0025】
なお、第1のカラー/モノクロ判定手段はカラー/モノクロ判定部(A)、第2のカラー/モノクロ判定手段はカラー/モノクロ判定部(B)、と称す。
【0026】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能ブロック図である。図1に示す画像処理装置20は、原稿から画像データを読み込む読取部1、第1の画像データ処理部2A、バス制御部3、第2の画像データ処理部2B、HDD(Hard Disk Drive)5、CPU(Central Processing Unit)6、メモリ7、出力部I/F(インタフェース)8、出力部9、操作表示部10、回線I/F11、外部I/F12、S.B.(South Bridge)13、ROM(Read Only Memory)14、カードスロット15などを備えている。
【0027】
読取部1は、CCD(Charge Coupled Device)光電変換素子からなるラインセンサとA/D(Analog to Digital)コンバータとそれらの駆動回路を具備し、セットされた原稿をスキャンすることで得る原稿の濃淡情報から、RGB(Red, Green, Blue)各8ビットのデジタル画像データを生成し出力する。
【0028】
第1の画像データ処理部2Aは、読取部1から出力されたデジタル画像データに対し、予め定めた特性に統一する処理を施して出力する。統一する特性とは、画像データをHDD5に蓄積し、その後再利用する場合に、出力先の画像変換に適する特性である。
【0029】
バス制御部3は、デジタルカラー複合機内で必要な画像データや制御コマンド等の各種データのやり取りを行うデータバスの制御装置であり、複数種のバス規格間のブリッジ機能も有している。本実施形態においては、第1の画像データ処理部2A、第2の画像データ処理部2B、CPU6とは、PCI(Peripheral Component Interconnect)-Expressバスで接続し、HDD5とはATA(AT Attachment)バスで接続するものであって、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)化されている。
【0030】
第2の画像データ処理部2Bは、第1の画像データ処理部2Aで予め定めた特性を統一されたデジタル画像データに対し、ユーザから指定された出力先に適した画像処理を施し出力する。
【0031】
HDD5は、パーソナルコンピュータなどにも使用されている電子データを保存するための大型の記憶装置で、画像処理装置20では主にデジタル画像データおよびデジタル画像データの付帯情報(例えば、設定モードなど)を蓄積することが可能である。また、本実施形態においては、IDE(Integrated Device Electronics)を拡張して規格化されているATAバス接続のハードディスクを使用する。
【0032】
CPU6は、デジタルカラー複合機の制御全体を司るマイクロプロセッサである。
【0033】
メモリ7は、複数種のバス規格間をブリッジする際の速度差や、接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータを記憶したり、CPU6がデジタルカラー複合機の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶したりする揮発性メモリである。
【0034】
CPU6には高速処理が求められるため、通常起動時にROM14に記憶されたブートプログラムにてシステムを起動し、その後は高速にアクセス可能なメモリ7に展開されたプログラムによって処理を行う。
【0035】
本実施形態においては、規格化されたパーソナルコンピュータに使用されているDIMM(Dual Inline Memory Module)を使用する。
【0036】
出力部I/F8は、CPU6に汎用規格I/F経由で送られてくるCMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Black)からなるデジタル画像データを受け取ると、出力部9の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行う。本実施形態で使用している汎用規格I/FはPCI-Expressバスである。
【0037】
出力部9は、CMYKからなるデジタル画像データを受け取ると、レーザビームを用いた電子写真プロセスを使って、転写紙に受け取った画像データを出力する。
【0038】
S.B.13は、パーソナルコンピュータに使用されるチップセットの一つであり、South Bridgeと呼ばれる汎用の電子デバイスである。主に、PCI-ExpressとISA(Industry Standard Architecture)ブリッジを含むCPUシステムを構築する際に使用されるバスのブリッジ機能を汎用回路化したものであり、本実施の形態においてはROM14との間をブリッジしている。
【0039】
ROM14は、CPU6が画像処理装置20の制御を行う際の各種プログラム(ブートプログラムを含む)を格納するメモリである。ここで、プログラムとしては、コピー動作プロセスのプログラム(コピーアプリ)やスキャナ配信プロセスのプログラム(スキャナ配信アプリ)、ファックス送信プロセスのプログラム(ファックスアプリ)などがある。
【0040】
操作表示部10は、画像処理装置20とユーザのインタフェースを行う部分で、タッチパネルを設けたLCD(Liquid Crystal Display;液晶表示部)と各種処理モード設定キーや、置数キー、スタートキーなどを備えたキースイッチ群から構成され、装置の各種状態や操作方法をLCDに表示し、ユーザからのタッチパネルやキースイッチ群を介した入力を検知する。本実施形態では、PCI‐Expressバスを介してCPU6と接続されている。
【0041】
ここで、ユーザが選択することができる処理モードは、カラー/モノクロモード、アプリケーションモードや画質モードが考え得る。具体的には、カラー/モノクロモードは、フルカラーモード、シングルカラーモード、白黒モードなどがあり、アプリケーションモードは、コピーモード、スキャナモード、FAXモード、スキャナ配信モードなどがあり、画質モードは、文字モード、文字写真モード、写真モードなどがある。また、原稿を濃くする、薄くするなどのノッチ情報などがある。
【0042】
回線I/F11は、PCI-Expressバスと電話回線(公衆回線)とを接続する。回線I/F11により、画像処理装置20は、電話回線を介してFAX16等との各種データの授受を行うことが可能になる。
【0043】
外部I/F12は、PCI-Expressバスと、外部装置例えばパーソナルコンピュータ(PC)17とを接続する。外部I/F12により、画像処理装置20は、外部装置と各種データのやり取りを行うことが可能になる。本実施形態では、接続I/Fにネットワーク(Ethernet(登録商標))を使用する。すなわち、画像処理装置20は、外部I/F12を介してネットワーク(インターネット)に接続できる。なお、PC17は、インストールされたアプリケーションソフトやドライバを介して、画像処理装置20に対して各種制御や画像データの入出力を行う。また、外部I/F12は、カードスロット15を介して外部メディア18との接続を行う。
【0044】
外部メディア18は、デジタル画像データを含む各種電子データを記憶する。ここで、外部メディアとは、SD(Secure Digital)カードメモリやコンパクトフラッシュ(登録商標)カード等のメモリデバイスを想定している。
【0045】
(動作処理)
次に、本発明の実施形態に係る画像処理装置20の動作処理について各図を用いて説明する。
【0046】
〔実施例1〕
図2は、本実施形態に係る画像処理の流れについて説明するための図である。
【0047】
<画像データ処理部2A>
読取部1で読み取られた原稿データは入力画像データ201として、画像データ処理部2Aに入力される。デジタル化された画像データは、γ変換部203で反射率を基にした特性から予め定められた特性に変換される。このとき、カラー/モノクロ判定部(A)202は、入力画像データ201がカラーかモノクロかを判別する。判定結果(a)207は、バス制御部3を経由してHDD5へと蓄積される。
【0048】
次にフィルタ処理部204でフィルタ処理を施し、読取部1の持つMTF(Modulation Transfer Function)特性などの特性を予め定められた特性に補正する。
【0049】
色変換部205では、読取部1の色空間から予め定められた色空間へと変換する。
【0050】
さらに、解像度変換部206では、読取部1より入力された解像度から、予め定められた解像度へと変換する。本実施形態では、常に600dpiへと変換するが、もちろん他の解像度でも可能である。
【0051】
画像データ処理部2Aで特性を統一された画像データ(a)208(RGB)はバス制御部3を経由してHDD5へと蓄積される。
【0052】
<画像データ処理部2B>
HDD5に蓄積された画像データ(a)208は、画像データ処理部2Bへ入力され、フィルタ処理部209で画像データの鮮鋭性やS(Signal)/N(Noise)比を出力部9に出力する場合の再現性が良くなるように補正される。具体的には、所望するモード情報に従って鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば、文字モードでは文字をくっきりさせるために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは滑らかに階調性を表現するために平滑化処理を施す。
【0053】
色変換部212は、RGB各8bitのデータを受け取ると、出力部9用の色空間であるCMYK各8bitに変換する。解像度変換部213は、CMYK画像データの解像度の変換を出力部9の性能に従って行う。本実施形態では、出力部9の性能が600dpi出力であるため、特に変換は行われない。
【0054】
γ変換部214では、CMYK画像データのγ特性の変換を出力部9のプロセス特性に従って行う。
【0055】
中間調処理部215では、CMYK各8bitを受け取ると、出力部9の階調処理能力に従った中間調処理を行う。本実施形態では、CMYK各2bitとして、擬似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いる。
【0056】
ここで、通常は、カラー/モノクロ判定結果(a)207に基づいて、色変換部212でカラー(CMYK各8bit)、又はモノクロ(K単色8bit)へ変換されるが、本実施形態では、ユーザの変更要求によって画像加工部210において所定の画像加工が施された場合に、カラー/モノクロ判定結果(a)207を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)211で改めてカラー/モノクロ判定を実行し、その判定結果(カラー/モノクロ判定結果(b))を使用する。
【0057】
このように、カラー/モノクロ判定部(A)202による判定結果を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)211による判定結果を利用することにより、所定の画像加工を施した領域に対して、適切なカラー/モノクロ判定を実施することができる。
【0058】
例えば、図3に示す原稿(図中、画像加工前)を読み取り、カラー/モノクロ判定部(A)202による判定結果が「カラー」となった場合に、所定の画像加工を施したことにより、画像加工後の画像データ(図中、画像加工後)が「モノクロ」と判定され、カラー/モノクロ判定結果(a)と異なった(覆った)状態となってしまうことがある。そのため、本実施形態では、カラー/モノクロ判定部(B)211によって改めてカラー/モノクロ判定を行って得たカラー/モノクロ判定結果(b)を使用することで、適切なカラー/モノクロ判定の実施を実現する。
【0059】
ここで、図4に示す原稿(図中、フィルタ処理前)を読み取った場合に、ユーザの変更要求によって、フィルタ処理部209で強調処理を実施したとき、黒細線が色付くことがある(図中、画像加工後)。これは、黒細線のRGB成分をフィルタ処理でYUV成分に分解して強調をかけると、彩度成分のUVが無彩から有彩に振れるためである(図5参照)。
【0060】
従って、カラー/モノクロ判定部(A)202ではモノクロ判定となるが、画像加工後のカラー/モノクロ判定部(B)211ではカラー判定されてしまい、判定結果が異なってしまうことがある。これは、カラー/モノクロ判定部(A)202と、カラー/モノクロ判定部(B)211で使用しているパラメータが同じであるため生じる問題である。そこで、本実施形態では、カラー/モノクロ判定部(B)211において、モノクロ判定しやすいパラメータを使用すること(例えばカラー/モノクロ判定基準をモノクロ寄りに設定)が考え得る。
【0061】
このように、カラー/モノクロ判定部(B)211は、カラー/モノクロ判定部(A)202よりもモノクロ判定しやすいパラメータを使用することで、フィルタの強調処理による黒細線の色付きが発生しても、適切なカラー/モノクロ判定を実施することができる。
【0062】
ここで、カラー/モノクロ判定では、ある画像領域における有彩画素数をカウントして、そのカウンタ値がある閾値以上ならカラーと判定している。例えば、カラー/モノクロ判定基準C4(デフォルト)のとき、有彩画素カウンタが100以上でカラー画像と判定するが、カラー/モノクロ判定基準をモノクロ寄り(C1-C3)に設定することで、モノクロ判定しやすくなる(図6参照)。
【0063】
以上の画像処理の流れを図7のフローチャートに示して説明する。
【0064】
(S101)
読取部1の圧板、又は自動原稿送り装置(以下「ADF」と称す)に、原稿をセットする。
【0065】
(S102)
操作表示部10上で、コピーアプリの読み取り条件を設定する。
【0066】
(S103)
操作表示部10上の読み取り開始ボタンを押下する。
【0067】
(S104)
画像データ処理部2A内のカラー/モノクロ判定部(A)202で、読み取った画像データ(入力画像データ)がカラー/モノクロか判定する。
【0068】
(S105)
S104のカラー/モノクロ判定結果(a)と画像データ(a)をHDD5に蓄積する。
【0069】
(S106)
HDD5に蓄積された画像データ(a)は、バス制御部3を経由して、第2の画像データ処理部2Bに転送される。ユーザからの変更要求に応じて、フィルタ処理を実施する。
【0070】
(S107)
ユーザからの変更要求に応じて、画像加工を実施するか否かが指定される。
【0071】
(S108)
S107で画像加工を実施すると指定された場合は、カラー/モノクロ判定部(B)211で画像データ(a)がカラー/モノクロか判定される。このとき、カラー/モノクロ判定部(B)211の判定基準は、C1-C7の中から選択することができる。
【0072】
(S109)
S107で画像加工を実施しないと指定された場合は、カラー/モノクロ判定部(A)202による判定結果(a)207を使用する。
【0073】
(S110)
S108又はS109のカラー/モノクロ判定結果に応じた色変換を実施する。
【0074】
(S111)
出力部9から、一連の画像処理が実施された画像が出力される。
【0075】
〔実施例2〕
図8は、本発明の実施形態に係る画像処理の流れを説明するための図である。
【0076】
<画像データ処理部2A>
読取部1で読み取られた原稿は、入力画像データ301として、画像データ処理部2Aに入力される。
【0077】
デジタル化された画像データは、γ変換部304で反射率を基にした特性から予め定められた特性に変換される。
【0078】
そして、像域分離部303は、入力画像データ301を領域に分離する。このとき、カラー/モノクロ判定部(A)302で、入力画像データ301がカラーかモノクロかが判別される。その判定結果(a)308は、バス制御部3を経由してHDD5へ蓄積される。
【0079】
次にフィルタ処理部305でフィルタ処理を施し、読取部1の持つMTF(Modulation Transfer Function)特性などの特性を予め定められた特性に補正する。
【0080】
色変換部306では、読取部1の色空間から予め定められた色空間へと変換する。
【0081】
さらに、解像度変換部307では、読取部1より入力された解像度から、予め定められた解像度へと変換する。本実施形態では、常に600dpiへと変換するが、もちろん他の解像度でも可能である。
【0082】
画像データ処理部2Aで特性を統一された画像データ(a)310(RGB)はバス制御部3を経由してHDD5へと蓄積される。
【0083】
<画像データ処理部2B>
HDD5に蓄積された画像データ(a)310は、画像データ処理部2Bへと入力され、フィルタ処理部311で画像データの鮮鋭性やS(Signal)/N(Noise)比を出力部9に出力する場合の再現性が良くなるように補正される。
【0084】
具体的には、所望するモード情報に従って鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば、文字モードでは文字をくっきりさせるために鮮鋭化処理を施し、写真モードでは滑らかに階調性を表現するために平滑化処理を施す。
【0085】
色変換部314は、RGB各8bitのデータを受け取ると、出力部9用の色空間であるCMYK各8bitに変換する。
【0086】
解像度変換部315は、CMYK画像データの解像度の変換を出力部9の性能に従って行う。本実施形態では、出力部9の性能が600dpi出力であるため、特に変換は行われない。
【0087】
γ変換部316では、CMYK画像データのγ特性の変換を出力部9のプロセス特性に従って行う。
【0088】
中間調処理部317では、CMYK各8bitを受け取ると、出力部9の階調処理能力に従った中間調処理を行う。本実施形態では、CMYK各2bitとして、擬似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いる。
【0089】
ここで、通常の画像処理フローであれば、カラー/モノクロ判定結果(a)308に基づいて、色変換314でカラー(CMYK各8bit)、又はモノクロ(K単色8bit)へ変換されるが、ユーザの変更要求によって所定の画像加工が施された場合は、カラー/モノクロ判定結果(a)308を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)313でのカラー/モノクロ判定を実行して、その判定結果(カラー/モノクロ判定結果(b))を使用する。このとき、像域分離部303の分離結果309を考慮して判定を行う。
【0090】
これにより、カラー/モノクロ判定部(A)302による判定結果を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)313による判定結果を利用することで、所定の画像加工を施した領域、かつ画像の特徴に応じた領域に対して、適切なカラー/モノクロ判定を実施することができる。
【0091】
ここで、図4のような原稿を読み取った場合に、ユーザの変更要求によって、フィルタ処理部311で強調処理を実施したとき、黒細線が色付くことがある。このような場合、カラー/モノクロ判定部(A)302ではモノクロ判定していたにも関わらず、画像加工後にカラー/モノクロ判定部(B)313で改めて判定すると、カラー判定されてしまい、判定結果が異なってしまうことは上述した。
【0092】
そこで、本実施形態では、像域分離部303において、画像データのエッジ部を検出することにより、文字とそれ以外の領域に画像データを分離し、分離結果で得られた文字以外の領域に対して、カラー/モノクロ判定部(B)313で改めて判定することで、判定結果が異なってしまうという問題を回避することができる。
【0093】
すなわち、カラー/モノクロ判定部(A)302による判定結果を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)313による判定結果を利用することにより、所定の画像加工を施した領域、かつ文字判定以外の領域に対して、適切なカラー/モノクロ判定を実施することができる。
【0094】
以上の画像処理の流れを図9のフローチャートに示して説明する。
【0095】
(S201)
読取部1の圧板、または、ADFに原稿をセットする。
【0096】
(S202)
操作表示部10上で、コピーアプリの読み取り条件を設定する。
【0097】
(S203)
操作表示部10上の読み取り開始ボタンを押下する。
【0098】
(S204)
画像データ処理部2A内のカラー/モノクロ判定部(A)302で画像データがカラー/モノクロか判定する。
【0099】
(S205)
像域分離部303で、画像データを文字とそれ以外の領域に分離する。
【0100】
(S206)
S204のカラー/モノクロ判定結果(a)と、S205の分離結果と、画像データ(a)をHDD5に蓄積する。
【0101】
(S207)
HDD5に蓄積された画像データ(a)は、バス制御部3を経由して、第2の画像データ処理部2Bに転送される。ユーザからの変更要求に応じて、フィルタ処理を実施する。
【0102】
(S208)
ユーザからの変更要求に応じて、画像加工を実施するか否かが指定される。
【0103】
(S209)
S208で画像加工を実施する場合は、分離結果309を使用して、画像データの文字以外の領域に対して、カラー/モノクロ判定部(B)313で改めて、画像データ(a)がカラー/モノクロか判定される。
【0104】
(S210)
S208で画像加工を実施しない場合は、カラー/モノクロ判定部(A)302による判定結果(a)308を使用する。
【0105】
(S211)
S209又はS210のカラー/モノクロ判定結果に応じた色変換を実施する。
【0106】
(S212)
出力部9より、一連の画像処理が実施された画像が出力される。
【0107】
〔実施例3〕
図10は、本発明の実施形態に係る画像処理の流れについて説明するための図である。本実施形態に係る画像処理装置2Aと画像処理装置2Bの構成は、図8を用いて説明した上記実施例2の構成と同様である。本実施形態は、像域分離部303での処理が異なる。
【0108】
通常、カラー/モノクロ判定結果(a)408に基づいて、色変換部414でカラー(CMYK各8bit)又はモノクロ(K単色8bit)へ変換されるが、ユーザの変更要求によって所定の画像加工が施された場合は、カラー/モノクロ判定結果(a)408を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)413で判定を実行し、その判定結果(カラー/モノクロ判定結果(b))を使用する。このとき、像域分離部403による分離結果(文字/色)409を考慮して判定を行う。
【0109】
また、本実施形態に係る像域分離部403は、画像データのエッジ部を検出し、画像データが有彩か無彩かの色判定を行うことにより、黒文字と色文字とそれ以外の領域に画像データを分離することができるが、分離結果で得られた色文字以外の領域に対して、カラー/モノクロ判定部(B)413で改めて判定を行うことで、判定結果が異なるという問題を回避することができる。
【0110】
すなわち、カラー/モノクロ判定部(A)402による判定結果を使わずに、カラー/モノクロ判定部(B)413による判定結果を利用することで、所定の画像加工を施した領域、かつ黒文字判定や色文字判定以外の領域に対して、適切なカラー/モノクロ判定を実施することができる。
【0111】
以上の画像処理の流れを図11のフローチャートに示して説明する。
【0112】
(S301)
読取部1の圧板、または、ADFに原稿をセットする。
【0113】
(S302)
操作表示部10上で、コピーアプリの読み取り条件を設定する。
【0114】
(S303)
操作表示部10上の読み取り開始ボタンを押下する。
【0115】
(S304)
画像データ処理部2A内のカラー/モノクロ判定部(A)402で画像データがカラー/モノクロか判定する。
【0116】
(S305)
像域分離部403で画像データを黒文字と色文字とそれ以外の領域に分離する。
【0117】
(S306)
S304のカラー/モノクロ判定結果(a)と、S305の分離結果と、画像データ(a)をHDD5に蓄積する。
【0118】
(S307)
HDD5に蓄積された画像データ(a)は、バス制御部3を経由して、第2の画像データ処理部2Bに転送される。ユーザからの変更要求に応じて、フィルタ処理を実施する。
【0119】
(S308)
ユーザからの変更要求に応じて、画像加工を実施するか否かが指定される。
【0120】
(S309)
S308で画像加工を実施する場合は、分離結果409を使用して、画像データの文字以外の領域に対して、カラー/モノクロ判定部(B)413で改めて判定を行うことで、画像データ(a)がカラー/モノクロか判定される。
【0121】
(S310)
S308で画像加工を実施しない場合は、カラー/モノクロ判定部(A)402による判定結果(a)408を使用する。
【0122】
(S311)
S309又はS310のカラー/モノクロ判定結果に応じた色変換を実施する。
【0123】
(S312)
出力部9より、一連の画像処理が実施された画像が出力される。
【0124】
〔実施例4〕
図12は、フィルタ処理(強調処理)により色文字が黒付く例を示す図である。図12のような原稿を読み取った場合に、ユーザの変更要求によって、フィルタ処理部411で強調処理を実施したとき、色文字が黒付くことがある。これは、色文字のRGB成分をフィルタ処理でYUV成分に分解して強調をかけると、彩度成分のUVが有彩から無彩に振れるためである(図13参照)。図13は、フィルタ処理(強調処理)により色文字が黒付くときのフィルタUV成分について示す図である。
【0125】
そして、画像加工の有無に関係なく、カラー/モノクロ判定部(A)402ではカラー判定されたが、カラー/モノクロ判定部(B)413ではモノクロ判定されてしまい、判定結果が覆ってしまうことがある。こうした状況にも対処すべく、本実施形態では分離結果409と、カラー/モノクロ判定部(A)402と、カラー/モノクロ判定部(B)413のユースケースに応じて、カラー/モノクロ判定部(B)413で改めて判定することにより、適切な判定結果を得ることができる。
【0126】
すなわち、カラー/モノクロ判定部(A)402による判定結果と、カラー/モノクロ判定部(B)413による判定結果とを使用して、さらに分離結果も利用することで、フィルタ強調処理による色文字の黒付きが発生しても、適切なカラー/モノクロ判定を実施することができる。
【0127】
図14にユースケース別の判定結果表の一例を示す。このとき、画像加工が実施されている場合は、カラー/モノクロ判定部(A)402の判定結果は、画像加工後の領域のみ抽出して、カラー/モノクロ判定部(B)413の判定結果と比較することになる。
【0128】
さらに、上記のように、カラー/モノクロ判定部(A)402と、カラー/モノクロ判定部(B)413での判定結果に差異が生じた場合は、カラー/モノクロ判定結果が覆る旨をユーザに通知するために、操作表示部10上にアラートを表示することも考え得る。
【0129】
すなわち、カラー/モノクロ判定部(A)402によって判定された判定結果と、カラー/モノクロ判定部(B)413によって判定された判定結果に差異がある場合に、カラー/モノクロ判定が覆ってしまうことが操作表示装置上に表示されるため、ユーザは意図しない画像が出力される可能性があることを認識することができる。
【0130】
このとき、カラー/モノクロ判定部(A)402、若しくはカラー/モノクロ判定部(B)413の何れの判定結果を使用するかは、操作表示部10上でユーザが好みに応じて選択できるものとする。
【0131】
以上の画像処理の流れを図15のフローチャートに示して説明する。
【0132】
(S401)
読取部1の圧板、または、ADFに原稿をセットする。
【0133】
(S402)
操作表示部10上で、コピーアプリの読み取り条件を設定する。
【0134】
(S403)
操作表示部10上の読み取り開始ボタンを押下する。
【0135】
(S404)
画像データ処理部2A内のカラー/モノクロ判定部(A)402で画像データがカラー/モノクロか判定する。
【0136】
(S405)
像域分離部403で画像データを黒文字と色文字とそれ以外の領域に分離する。
【0137】
(S406)
S404のカラー/モノクロ判定結果(a)と、S405の分離結果と、画像データ(a)をHDD5に蓄積する。
【0138】
(S407)
HDD5に蓄積された画像データ(a)は、バス制御部3を経由して、第2の画像データ処理部2Bに転送される。ユーザからの変更要求に応じて、フィルタ処理を実施する。
【0139】
(S408)
カラー/モノクロ判定部(A)403と、カラー/モノクロ判定部(B)413の判定結果が一致しているかを判断する(図14、UC1,4,5,8に絞る)。
【0140】
(S409)
カラー/モノクロ判定部(A)403と、カラー/モノクロ判定部(B)413の判定結果がともにカラーであるかを判断する(図14、UC1,5 に絞る)。
【0141】
(S410)
分離結果409が黒文字であるかを判断する(図14、UC5,6,7 に絞る)。
【0142】
(S411)
分離結果409が色文字であるかを判断する(図14、UC2,3 に絞る)。
【0143】
(S412)
カラー/モノクロ判定部(B)413において、分離結果409の黒文字判定部を除いて判定を行う(図14、UC5,6,7に該当)。
【0144】
(S413)
カラー/モノクロ判定部(B)413において、分離結果409の色文字判定部を除いて判定を行う(図14、UC2,3に該当)。
【0145】
(S414)
カラー/モノクロ判定部(B)413の判定結果に応じた色変換を実施する。
【0146】
(S415)
出力部9より、一連の画像処理が実施された画像が出力される。
【0147】
なお、各図のフローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録する記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0148】
以上、本発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0149】
1 読取部
2A、2B 画像データ処理部
3 バス制御部
5 HDD
6 CPU
7 メモリ
8 出力部I/F
9 画像形成を行う出力部
10 操作表示部
11 回線I/F
12 外部I/F
13 S.B.
14 ROM
15 カードスロット
16 FAX
17 PC
18 外部メディア
20 画像処理装置
201、301、401 入力画像データ
202、302、402 カラー/モノクロ判定部(A)
203、214、304、316、404、416 γ変換部
204、209、305、311、405、411 フィルタ処理部
205、212、306、314、406、414 色変換部
206、213、307、315、407、415 解像度変換部
207、308、408 カラー/モノクロ判定結果(a)
208、310、410 画像データ(a)
210、312、412 画像加工部
211、313、413 カラー/モノクロ判定部(B)
215、317、417 中間調処理部
216、318、418 画像データ(b)
303、403 像域分離部
309 分離結果(文字)
409 分離結果(文字/色)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0150】
【特許文献1】特開2003−298859号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、
前記画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、
フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、
前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、
前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を利用することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理手段と、
前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、
前記画像データと、前記像域分離処理手段による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、
前記像域分離処理手段の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、
前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、
前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を利用することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記第2のカラー/モノクロ判定手段は、前記第1のカラー/モノクロ判定手段よりもモノクロ判定しやすいパラメータを使用することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記像域分離処理手段は、エッジを検出して文字と文字以外に画像データを分離して、その分離データをもとに前記第2のカラー/モノクロ判定手段でカラー/モノクロ判定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記像域分離処理手段は、さらに色判定することにより、黒文字と色文字とそれ以外に画像データを分離して、その分離データをもとに前記第2のカラー/モノクロ判定手段でカラー/モノクロ判定することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理手段と、
前記画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定手段と、
前記画像データと、前記像域分離処理手段による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定手段によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理手段と、
前記像域分離処理手段の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定手段と、
前記フィルタ処理された画像データを出力する画像出力手段と、を備え、
前記フィルタ処理の後に、前記第1のカラー/モノクロ判定手段による判定結果を、前記第2のカラー/モノクロ判定手段による判定結果とともに利用することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記第1のカラー/モノクロ判定手段によって判定された判定結果と、前記第2のカラー/モノクロ判定手段によって判定された判定結果に差異がある場合に、操作表示部上にカラー/モノクロ判定が異なる旨を通知する判定通知手段を備えることを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データを入力するステップと、
前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定ステップと、
前記入力した画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積するステップと、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理ステップと、
フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定ステップと、
前記フィルタ処理された画像データを出力するステップと、を備え、
前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を利用することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
画像データを入力するステップと、
前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理ステップと、
前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定ステップと、
前記入力した画像データと、前記像域分離処理ステップによる分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積するステップと、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理ステップと、
前記像域分離処理ステップの結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定ステップと、
前記フィルタ処理された画像データを出力するステップと、を備え、
前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を利用することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
画像データを入力するステップと、
前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理ステップと、
前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定ステップと、
前記入力した画像データと、前記像域分離処理ステップによる分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積するステップと、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理ステップと、
前記像域分離処理ステップの結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定ステップと、
前記フィルタ処理された画像データを出力するステップと、を備え、
前記フィルタ処理の後に、前記第1のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果を、前記第2のカラー/モノクロ判定ステップによる判定結果とともに利用することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
画像データを入力する処理と、
前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定処理と、
前記入力した画像データと、前記第1のカラー/モノクロ判定処理によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する処理と、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理と、
フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定処理と、
前記フィルタ処理された画像データを出力する処理と、をコンピュータに実行させ、
前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を利用することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項12】
画像データを入力する処理と、
前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理と、
前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定処理と、
前記入力した画像データと、前記像域分離処理による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定処理によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する処理と、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理と、
前記像域分離処理の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定処理と、
前記フィルタ処理された画像データを出力する処理と、を、コンピュータに実行させ、
前記フィルタ処理の後に、所定の画像加工を行った場合に、前記第1のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を使わずに、前記第2のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を利用することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項13】
画像データを入力する処理と、
前記入力した画像データを画像の特徴に応じた領域に分離する像域分離処理と、
前記入力した画像データがカラーかモノクロかを判定する第1のカラー/モノクロ判定処理と、
前記入力した画像データと、前記像域分離処理による分離結果と、前記第1のカラー/モノクロ判定処理によるカラー/モノクロ判定結果とを蓄積する処理と、
前記蓄積された画像データを強調するフィルタ処理と、
前記像域分離処理の結果を利用し、フィルタ処理された画像データがカラーかモノクロかを判定する第2のカラー/モノクロ判定処理と、
前記フィルタ処理された画像データを出力する処理と、をコンピュータに実行させ、
前記フィルタ処理の後に、前記第1のカラー/モノクロ判定処理による判定結果を、前記第2のカラー/モノクロ判定処理による判定結果とともに利用することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項記載の画像処理プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−288059(P2010−288059A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140100(P2009−140100)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】