説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体

【課題】辺を有する被写体を撮像した撮像画像において当該被写体の像の一部が欠けている場合、かつ、被写体が文書画像でない場合でも、補正度合いを手動で調整することなく被写体の歪み補正を行う。
【解決手段】画像処理装置10は、被写体を撮像した撮像画像から、被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分抽出部14と、線分抽出部14が生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形候補算出部15と、四辺形候補算出部15が特定した四辺形に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正部17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、特に、画像の歪みを補正する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを用いて被写体を斜め方向から見上げて撮像すると、カメラから遠い被写体の部分が小さく歪む、いわゆるアオリが生じる。特開平8−163427号公報(以下、特許文献1)に記載の「撮像装置」では、小さく歪んだ部分を画像処理により広げることでアオリが補正される。
【0003】
一方、デジタルカメラの普及に伴い、紙面などの書類、展示会でのポスター、観光地の案内図、会議などで使用された白板や黒板を撮像してデジタルデータとして利用する方法が広がりつつある。撮像データとしては被写体を正面から撮像したものが内容確認の容易さの観点からは望ましい。また、撮像データからOCR(光学文字読取装置)で文字を読み取る場合にも正面から撮像したものが認識精度向上の観点からは望ましい。
【0004】
しかし、被写体の配置などの物理的制約により正面から撮像できない場合がある。また、光源の方向などにより正面以外から撮像した方が良い場合もある。これらの場合、撮像データでは被写体の像が歪むため、内容確認やOCRでの文字読み取りが困難になる。特開2004−40395号公報(以下、特許文献2)に記載の「画像歪み補正装置」では、撮像画像中の歪んだ被写体の像から、被写体の像の元の縦横比と射影パラメータとが算出され、それらを用いて撮像画像の歪みが補正される。また、特開2008−257713号公報(以下、特許文献3)に記載の「透視変換歪み発生文書画像補正装置」では、文書画像から検出したラインセグメントを用いて撮像画像の歪みが補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−163427号公報(1996年6月21日公開)
【特許文献2】特開2004−40395号公報(2004年2月5日公開)
【特許文献3】特開2008−257713号公報(2008年10月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、歪みの補正度合いを装置の使用者が手動で調整しなければならず、また、被写体の像の縦横比は復元されない。一方、特許文献2に記載の装置では、被写体の像が撮像面に収まっている必要があるが、ビルやスケジュールボードのような細長い被写体を撮像面に収めることは困難である。また、特許文献3に記載の装置では、被写体が文書画像に限られるため、白板や案内図などラインセグメントを検出できない被写体に対しては歪みを補正できない。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、被写体を撮像した撮像画像において当該被写体の像の一部が欠けている場合、かつ、被写体が文書画像でない白板などの場合でも、補正度合いを手動で調整することなく被写体の像の歪み補正を行うことのできる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、上記の課題を解決するために、被写体を撮像した撮像画像から、上記被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成部と、上記線分画像生成部が生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および上記輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形特定部と、上記四辺形特定部が特定した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正部とを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る画像処理方法は、上記の課題を解決するために、画像処理装置における画像処理方法であって、被写体を撮像した撮像画像から、上記被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成工程と、上記線分画像生成工程において生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および上記輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形特定工程と、上記四辺形特定工程において特定した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正工程とを含むことを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、線分画像生成部は、被写体を撮像した撮像画像から被写体の像の輪郭を抽出する。そして線分画像生成部は、抽出した輪郭に含まれる線分(2点で区切られる直線の部分)である輪郭線分を抽出することにより、輪郭線分を示す線分画像を生成する。
【0011】
なお、上記被写体として、互いにほぼ平行な線分の組をその外縁に2組含み、それら線分の組が互いになす角度がほぼ直角であるもの(例えば、長方形または正方形の面を有する被写体)を想定している。また、撮像画像に含まれる被写体の像として、少なくとも2辺を有するものを想定している。
【0012】
四辺形特定部は、生成された線分画像に仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および線分画像に含まれる輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する。この処理によって、撮像画像に含まれる被写体の像の一部が欠落していても、仮想線分によってその欠落部分を補うことができ、被写体の像の外縁を形成する4辺を仮想的に形成することができる。
【0013】
画像補正部は、四辺形特定部が特定した四辺形に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する。例えば、画像補正部は、四辺形特定部が特定した四辺形の4角が直角となるように、かつ当該四辺形に対応する被写体の像の縦横比と同じ縦横比を当該四辺形が有するように当該四辺形を補正することで撮像画像の透視変換歪みを補正する。
【0014】
それゆえ、撮像画像に含まれる被写体の像の一部が欠落している場合でも、被写体の像が文書でない場合でも、撮像画像の透視変換歪みを適切に補正することができる。
【0015】
また、上記四辺形特定部は、上記線分画像の外縁を形成する四辺のうちの少なくとも一辺に沿ってまたは当該一辺に重なるように上記仮想線分を挿入することが好ましい。
【0016】
上記の構成により、撮像画像に含まれる被写体の像の欠落部分を効率良く補うことができる。なお、仮想線分は、所定の長さのものでよく、その長さは特に限定されない。
【0017】
また、上記四辺形特定部は、上記線分画像の外縁を形成する四辺のそれぞれに対して上記仮想線分を挿入することが好ましい。
【0018】
上記の構成により、撮像画像に含まれる被写体の像のどの部分が欠落しているかについての情報が得られない場合でも確実に欠落部分を補うことができる。
【0019】
また、上記画像処理装置は、上記仮想線分の挿入位置を示す挿入位置情報を使用者から受け付ける挿入位置情報取得部をさらに備え、上記四辺形特定部は、上記挿入位置情報取得部が取得した挿入位置情報が示す挿入位置に上記仮想線分を挿入することが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、挿入位置情報取得部は、仮想線分の挿入位置を示す挿入位置情報を使用者から受け付け、四辺形特定部は、挿入位置情報が示す挿入位置に仮想線分を挿入する。
【0021】
それゆえ、撮像画像に含まれる被写体の像の欠落部分を確実に補うことができるとともに不要な仮想線分を挿入することを避けることができ、四辺形を特定するための処理量を低減できる。
【0022】
また、上記画像処理装置は、上記撮像画像における上記被写体の像が、当該撮像画像の外縁を形成する四辺のいずれと接しているかを判定する判定部をさらに備え、上記四辺形特定部は、上記判定部が判定した辺に沿って、または当該辺に重なるように上記仮想線分を挿入することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、判定部は、撮像画像における被写体の像が、当該撮像画像の外縁を形成する四辺(外縁辺)のいずれと接しているかを判定する。この処理により、被写体の像の欠落が、撮像画像のどの外縁辺において生じているのかを判定することができる。外縁辺と接している被写体の像の部分において、当該被写体の像が欠落している可能性が高いからである。
【0024】
それゆえ、使用者から撮像画像の欠落部分を示す情報を取得しなくても、撮像画像の欠落部分の位置を判定することができ、適切な位置に仮想線分を挿入することができる。
【0025】
また、上記画像処理装置は、上記四辺形特定部が特定した四辺形が有する、上記仮想線分を含む辺が、対向する辺と平行になるように当該仮想線分を含む辺の位置を変更する四辺形整形部をさらに備え、上記画像補正部は、上記四辺形整形部が整形した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正することが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、四辺形整形部は、四辺形特定部が特定した四辺形が有する、仮想線分を含む辺(換言すれば、仮想線分によって形成されている辺)が、対向する辺と平行になるように当該仮想線分を含む辺の位置を変更する。そして、画像補正部は、四辺形整形部が整形した四辺形に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する。
【0027】
それゆえ、被写体の像が、撮像画像の外縁に対して回転している場合でも、画像の補正に用いる四辺形を適切に得ることができる。
【0028】
また、上記画像処理装置は、上記四辺形特定部が上記四辺形を複数特定した場合に、各四辺形に含まれる輪郭線分および仮想線分の長さを基準として、特定された複数の四辺形を順位付ける順位付け部をさらに備えることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、四辺形特定部が四辺形を複数特定した場合に、順位付け部によって、それらの四辺形が順位付けられる。この順位付けは、各四辺形に含まれる輪郭線分および仮想線分の長さを基準として行われる。例えば、各四辺形に含まれる線分の長さの合計が大きい順に四辺形を順位付ける。
【0030】
それゆえ、四辺形特定部によって四辺形が複数特定された場合でも、撮像画像の補正に用いる補正用四辺形として適切な順に四辺形を順位付けることができる。その後、最も順位の高い四辺形を補正用四辺形として用いてもよいし、順位に従って複数の四辺形を使用者に提示してもよい。
【0031】
また、上記四辺形特定部は、上記輪郭線分および上記仮想線分の長さと正の相関のある値を上記四辺形の評価値として用い、上記仮想線分の単位長さに対する評価値は、上記輪郭線分の上記単位長さに対する評価値よりも小さいことが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、四辺形特定部が用いる四辺形の評価値は、輪郭線分および仮想線分の長さと正の相関のあるものである。すなわち、線分の長さが大きくなれば、その線分を含む四辺形の評価値は大きくなる。また、仮想線分の単位長さに対する評価値は、輪郭線分の単位長さに対する評価値よりも小さく設定されている。
【0033】
被写体の像の輪郭から抽出される輪郭線分の長さは、被写体の像が部分的に歪んだり、被写体の像のコントラストが小さいために輪郭線分が断片化したりすることにより、短くなることがある。これに対して、仮想線分は、所定の長さを有するものであり、この所定の長さが長い場合には、統計的に輪郭線分の長さよりも仮想線分の長さが長くなることが考えられる。
【0034】
仮想線分の単位長さに対する評価値を、輪郭線分の単位長さに対する評価値よりも小さく設定することにより、不要な仮想線分が挿入され、その仮想線分を含む四辺形が特定された場合に、当該四辺形の評価値を小さくすることができる。
【0035】
また、上記画像処理方法における各工程をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム、当該画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明に係る画像処理装置は、被写体を撮像した撮像画像から、上記被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成部と、上記線分画像生成部が生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および上記輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形特定部と、上記四辺形特定部が特定した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正部とを備える構成である。
【0037】
本発明に係る画像処理方法は、画像処理装置における画像処理方法であって、被写体を撮像した撮像画像から、上記被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成工程と、上記線分画像生成工程において生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および上記輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形特定工程と、上記四辺形特定工程において特定した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正工程とを含む構成である。
【0038】
それゆえ、撮像画像に含まれる被写体の像の一部が欠落している場合でも、被写体の像が文書でない場合でも、撮像画像の透視変換歪みを適切に補正することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラの機能を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は撮像画像の一例を示す図であり、(b)は(a)に示す撮像画像から生成したエッジ画像を示す図である。
【図5】上記画像処理装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】上記画像処理装置が備える輪郭抽出部における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】(a)は輪郭抽出部が生成したエッジ画像の一例を示す図であり、(b)は(a)に示すエッジ画像から生成した線分画像を示す図である。
【図8】(a)はエッジ画像のxy座標系における点Aおよび点Bの位置を示すグラフであり、(b)はxy座標系の(x,y)座標を極座標系の座標(ρ,θ)に変換したときの点Aおよび点Bに対応する曲線を示すグラフである。
【図9】ハフ変換における投票を示す図である。
【図10】上記画像処理装置が備える線分抽出部おける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】仮想線分を4本挿入した線分画像を示す図である。
【図12】上記画像処理装置が備える四辺形候補算出部における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】四辺形候補の4辺を形成する直線を示す図である。
【図14】四辺形が凸型であるかどうかを判定する方法を説明するための図である。
【図15】(a)〜(d)は、被写体の像が撮像画像に収まっていない場合の撮像画像の例を示す図である。
【図16】四辺形候補の評価値を説明するための図である。
【図17】(a)および(b)は、評価値の異なる四辺形候補の具体例を示す図である。
【図18】仮想線分の評価値を小さくすることの意義を説明するための図である。
【図19】撮像画像および四辺形候補のモニタにおける表示例を示す図である。
【図20】操作ボタンの一例を示す図である。
【図21】透視変換における物体の位置関係を示す図である。
【図22】(a)は補正後の画像の一例を示す図であり、(b)は補正前の画像に含まれる四辺形の一例を示す図である。
【図23】上記画像処理装置が備える画像補正部における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図24】本発明の別の実施形態に係る画像処理装置が備える四辺形候補算出部における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図25】(a)は辺の位置を補正する前の四辺形を示す図であり、(b)は辺の位置を補正した後の四辺形を示す図である。
【図26】四辺形候補算出部における辺補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図27】本発明のさらに別の実施形態にかかる画像処理装置が備える四辺形候補算出部における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図28】(a)は仮想線分を選択するときのモニタの表示画面の一例を示す図であり、(b)は右端の仮想線分が選択されたときのモニタの表示画面を示す図である。
【図29】仮想線分の挿入位置を入力するための操作ボタンの一例を示す図である。
【図30】本発明のさらに別の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図31】上記画像処理装置が備える挿入位置判定部における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図32】(a)および(b)は、挿入位置判定部における挿入位置判定処理を説明するための図である。
【図33】本発明のさらに別の実施形態に係るコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図23に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここでは、本発明の画像処理装置をデジタルカメラで実施する形態を説明する。ただし、本発明の画像処理装置は、デジタルカメラに限定されず、内蔵する撮像装置または外部の装置から撮像画像データを取得し、その撮像画像データを処理する装置(例えば、スキャナー、プリンター、携帯電話)であれば、どのような装置であってもよい。
【0041】
(1.デジタルカメラ100の機能の説明)
図2は、本実施の形態のデジタルカメラ100の機能を説明するための図である。デジタルカメラ100で白板110を斜め方向から撮像すると、撮像画像111における白板の像112は歪む。また、スケジュールボードなどの被写体が大きい場合は被写体の像一部が撮像画像に収まらない場合がある。歪んだ撮像画像をデジタルカメラ100により補正すると補正後画像113のような歪みのない白板の像114を含む画像が得られる。特に、被写体の像一部が撮像画像に収まらない場合においても歪みのない画像が得られる。
【0042】
(2.デジタルカメラ100の構成)
図3は、デジタルカメラ100の構成を示す図である。同図に示すように、デジタルカメラ100は、光学系1、イメージセンサ2、メモリ3、カードリーダライタ4、CPU(中央処理装置)5、操作ボタン6、モニタ(表示部)7および画像処理装置10を備えている。
【0043】
光学系1は、被写体の像をイメージセンサ2の撮像面上に結像するためのレンズ(不図示)と、当該レンズの焦点を調節するレンズ駆動機構(不図示)とを備えている。光学系1は、撮像画像を撮像したときの焦点距離を示す焦点距離情報をCPU5へ出力する。
【0044】
イメージセンサ2は、複数のセンサがマトリクス状に配列された撮像面を有する撮像素子であり、光学系1を通して撮像面上に結像された被写体の光学的な像を画像信号に変換する。イメージセンサ2として、例えばCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサを使用することができる。イメージセンサ2は、生成した撮像画像をメモリ3に格納する。
【0045】
メモリ3は、撮像画像および補正後の撮像画像(補正後画像)などを格納するための記憶部であり、例えば、半導体メモリである。
【0046】
カードリーダライタ4は、メモリカード30に対して、撮像画像および補正後画像を読み書きする。
【0047】
CPU5は、デジタルカメラ100の主制御部であり、光学系1とイメージセンサ2とを制御することにより被写体を撮像し、その撮像画像をメモリ3に格納するとともにモニタ7に表示する。同時に、CPU5は、撮像画像と、当該撮像画像を撮像したときの焦点距離とを互いに関連付けて画像処理装置10に入力する。その後、CPU5は、歪みのない補正後画像を画像処理装置10から受け取り、メモリ3に格納するとともに、補正後画像をモニタ7に表示する。また、CPU5は、カードリーダライタ4を制御することにより補正後画像をメモリカード30に出力する。
【0048】
別の場合には、CPU5は、過去の撮像画像を、カードリーダライタ4を通してメモリカード30から読み出し、メモリ3に格納するとともにモニタ7に表示する。同時に、CPU5は、撮像画像と焦点距離とを画像処理装置10に入力し、歪みのない補正後画像を出力として受け取り、メモリ3に格納する。CPU5は、補正後画像をモニタ7に表示するとともにカードリーダライタ4を用いてメモリカード30に出力する。
【0049】
ズームなどにより焦点距離が変化する場合には、撮像した際に撮像画像データに焦点距離を埋め込んでおけばよい。通常、デジタルカメラの撮像画像データには撮像画像そのもののデータとともにExifと呼ばれる情報が埋め込まれており、Exifに焦点距離を格納しておけばよい。
【0050】
モニタ7は、撮像画像および補正後画像などを表示する表示部であり、例えば、液晶ディスプレイである。
【0051】
操作ボタン6は、デジタルカメラ100を操作する使用者からの指示を受け付ける指示入力部である。この操作ボタン6は、タッチパネルとして機能するモニタ7に表示されるソフトキーとして実現されてもよい。
【0052】
(3.画像処理装置10の構成)
図1は、画像処理装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、画像処理装置10は、焦点距離入力部11、画像入力部12、輪郭抽出部(線分画像生成部)13、線分抽出部(線分画像生成部)14、四辺形候補算出部(四辺形特定部、順位付け部)15、四辺形選択部16、画像補正部17および画像出力部18を備えている。
【0053】
焦点距離入力部11は、撮像画像を撮像したときの焦点距離を示す焦点距離情報をCPU5から入力として受け取り、受け取った焦点距離情報を画像補正部17へ出力する。
【0054】
画像入力部12は、イメージセンサ2が生成した撮像画像をCPU5から入力として受け取り、受け取った撮像画像を輪郭抽出部13へ出力する。
【0055】
輪郭抽出部13は、図4(a)および(b)に示すように、画像入力部12から受け取った撮像画像41から被写体の像の輪郭を抽出することによりエッジ画像42を生成する。なお、図4(a)は、撮像画像の一例を示す図であり、図4(b)は、図4(a)に示す撮像画像から生成したエッジ画像を示す図である。なお、エッジ画像とは、処理対象の画像(すなわち、撮像画像)において輝度値が急激に(不連続に)変化している点の列を示す画像であり、当該画像に含まれる被写体の像の境界を示す曲線または線分を示す画像である。
【0056】
線分抽出部14は、輪郭抽出部13が生成したエッジ画像から被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出し、当該輪郭線分を示す線分画像を生成する。
【0057】
このように、輪郭抽出部13および線分抽出部14は、被写体を撮像した撮像画像から、被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成部として機能する。
【0058】
四辺形候補算出部15は、線分抽出部14が生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および線分画像に含まれている輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形(四辺形候補)を特定する。
【0059】
このとき四辺形候補算出部15は、線分画像の外縁を形成する四辺のうちの少なくとも一辺に沿って(一辺に平行に)、または当該一辺に重なるように仮想線分を挿入する。挿入する仮想線分は、最低1本であるが、被写体の像の欠損部を確実に補うためには、線分画像の外縁を形成する四辺のそれぞれに対して仮想線分を挿入する(すなわち、4本の仮想線分を挿入する)ことが好ましい。この場合、四辺形候補算出部15は、線分画像の外縁を形成する四辺のそれぞれに対して1本ずつ仮想線分を挿入する。
【0060】
また、四辺形候補算出部15は、四辺形候補を複数特定した場合に、各四辺形に含まれる輪郭線分および仮想線分の長さを基準として、特定された複数の四辺形候補を順位付ける。
【0061】
四辺形選択部16は、順位付けられた四辺候補をその順位に従ってモニタ7に表示し、複数の四辺形候補から撮像画像の補正に用いる四辺形(補正用四辺形)を使用者に選択させ、その補正用四辺形を特定する情報を使用者から受け付ける。
【0062】
画像補正部17は、使用者が選択した補正用四辺形に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する。なお、画像補正部17は、四辺形候補算出部15が特定した四辺形候補が1つの場合には、その四辺形候補に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する。
【0063】
画像出力部18は、画像補正部17が補正した撮像画像(補正後画像)をCPU5へ出力する。この補正後画像は、モニタ7に表示されるとともにメモリ3に格納される。
【0064】
(画像処理装置10における処理の流れ)
次に画像処理装置10における処理の大まかな流れについて説明する。各処理の詳細については後述する。なお、ここでは、仮想線分を4本挿入する場合の処理について説明する。
【0065】
図5は、画像処理装置10における処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、光学系1およびイメージセンサ2によって撮像画像が撮像されると、当該撮像が画像入力部12に入力されるとともに、当該撮像画像を撮像したときの焦点距離を示す焦点距離情報が焦点距離入力部11に入力される(ステップS1)。
【0066】
画像入力部12は、取得した撮像画像を輪郭抽出部13へ出力する。一方、焦点距離入力部11は、取得した焦点距離情報を画像補正部17へ出力する。
【0067】
輪郭抽出部13は、画像入力部12から撮像画像を受け取ると、受け取った撮像画像から被写体の像の輪郭を示すエッジ画像を生成する(ステップS2)。輪郭抽出部13は、生成したエッジ画像を線分抽出部14へ出力する。
【0068】
線分抽出部14は、受け取ったエッジ画像から被写体の像の輪郭に含まれる輪郭線分を抽出し、当該輪郭線分を示す線分画像を生成する(ステップS3)。線分抽出部14は、生成した線分画像を四辺形候補算出部15に出力する。
【0069】
四辺形候補算出部15は、受け取った線分画像の外縁を形成する四辺のそれぞれに沿って仮想線分を1ずつ挿入し、挿入した4本の仮想線分と線分画像に含まれる輪郭線分とを含む集合から4本の線分を選択し、選択した4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形候補を算出する(ステップS4)。このとき四辺形候補算出部15は、後述する条件を満たす四辺形候補を算出する。
【0070】
そして、四辺形候補算出部15は、算出した四辺形候補が複数存在する場合(ステップS5においてYES)、各四辺形候補が有する輪郭線分および仮想線分の長さを基準として、複数の四辺形候補を順位付ける(ステップS6)。四辺形候補算出部15は、順位付けした四辺形候補を示す情報を四辺形選択部16へ出力する。
【0071】
四辺形選択部16は、順位付けられた四辺候補を撮像画像とともに順次モニタ7に表示することにより使用者に補正用四辺形を選択させ(ステップS7)、使用者が選択した補正用四辺形を特定する情報(補正用四辺形特定情報)を操作ボタン6を介して取得する(ステップS8)。四辺形選択部16は、取得した補正用四辺形特定情報を画像補正部17へ出力する。
【0072】
一方、四辺形候補が1つしか存在しない場合(ステップS5においてNO)、四辺形候補算出部15は、その四辺形候補を特定する補正用四辺形特定情報を画像補正部17へ出力する。
【0073】
画像補正部17は、四辺形候補算出部15または四辺形選択部16から出力された補正用四辺形特定情報が示す四辺形を用いて、透視変換の原理に従って撮像画像を補正する(ステップS9)。このとき画像補正部17は、撮像画像から焦点距離を算出できない場合には、焦点距離入力部11が取得した焦点距離情報を用いて撮像画像の補正を行う。
【0074】
画像出力部18は、画像補正部17が補正した撮像画像をCPU5へ出力する(ステップS10)。
【0075】
なお、輪郭抽出部13および線分抽出部14は、生成したエッジ画像、線分画像を画像処理装置10の各部が共通して利用可能なメモリに格納し、その画像を必要とする機能ブロックが当該メモリから当該画像を取得してもよい。
【0076】
(輪郭抽出部13における処理の詳細)
図6は、輪郭抽出部13における処理の流れの一例を示すフローチャートである。最初に、輪郭抽出部13は、画像入力部12から受け取った撮像画像から輝度画像を生成する(ステップS11)。輝度画像とは、撮像画像から輝度値の情報のみを抽出した画像であり、色情報を含まないモノクロ濃淡画像である。例えば、撮像画像の座標(x,y)のR(赤)、G(緑)、B(青)値(輝度値)がそれぞれr(x,y)、g(x,y)、b(x,y)であるとし、輝度画像の輝度をL値で表わすと、輝度画像の座標(x,y)の輝度値l(x,y)は下記式(1)によって表わされる。
【0077】
l(x,y)=c1×r(x,y)+c2×g(x,y)+c3×b(x,y) ・・・(1)
式(1)において、c1、c2、c3は係数である。輝度画像を得るためには、例えばc1、c2、c3をすべて1/3としてR、G、B値の平均を取る。別の場合には、c1=0.299、c2=0.587、c3=0.114としてYUVフォーマットのY値を算出してもよい。
【0078】
次に、輪郭抽出部13は、輝度画像からエッジ画像を生成する(ステップS12)。エッジ画像を生成する手法としてはSobel、Prewittなどの画像処理フィルタを用いる方法がある。ここではSobelフィルタを用いる方法を示す。Sobelフィルタはx、y方向の輝度値の変化量である一次微分値からエッジ強度値を算出する。エッジ画像の座標(x,y)の値e(x,y)は輝度画像の座標(x,y)の値l(x,y)を用いて下記式(2a)、(2b)、(2c)によって表わされる。
Δx=−1×l(x−1,y−1)−2×l(x−1,y)−1×l(x−1,y+1)+1×l(x+1,y−1)+2×l(x+1,y)+1×l(x+1,y+1) ・・・(2a)
Δy=−1×l(x−1,y−1)−2×l(x,y−1)−1×l(x+1,y−1)+1×l(x−1,y+1)+2×l(x,y+1)+1×l(x+1,y+1) ・・・(2b)
e(x,y)=(Δx×Δx+Δy×Δy)1/2 ・・・(2c)
ただし、ノイズを除去するためエッジの値e(x,y)が所定の閾値よりも小さい場合は、e(x,y)を0にする。
【0079】
(線分抽出部14における処理の詳細)
線分抽出部14は、四辺形を抽出するための前処理として、図7(a)および(b)に示すようにエッジ画像42から線分を抽出し、線分画像43を生成する。図7(a)は、輪郭抽出部13が生成したエッジ画像の一例を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示すエッジ画像から生成した線分画像を示す図である。線分抽出にはハフ変換を用いる。ハフ変換とはエッジ画像の座標(x,y)を極座標系の座標(ρ,θ)に変換することであり、下記式(3)によって座標(x,y)を(ρ,θ)に変換する。
【0080】
ρ=xcosθ+ysinθ ・・・(3)
式(3)を図で示すと図8(a)および(b)のようになる。図8(a)は、エッジ画像のxy座標系における点Aおよび点Bの位置を示すグラフであり、図8(b)は、xy座標系の(x,y)座標を極座標系の座標(ρ,θ)に変換したときの点Aおよび点Bに対応する曲線を示すグラフである。エッジ画像中の点A、点Bは、極座標系ではそれぞれ1本の曲線に対応し、エッジ画像中の点Aおよび点Bを通る直線は極座標系では2つの曲線の交点に対応する。ここで、ρはエッジ画像中の原点から直線への法線ベクトルの長さ、θは法線ベクトルとx軸が成す角度に相当する。ただし、θは0°≦θ<180°であり、180°以上の範囲ではρが負の値で表現される。
【0081】
値が0でないエッジ画像中の座標について、図9に示すようにハフ変換後の曲線上の座標を極座標系に投票していくと、投票数が極大となる極座標系の座標がエッジ画像中の直線に相当することになり、点Aおよび点Bを通る直線が検出される。なお、図9は、ハフ変換における投票を示す図である。
【0082】
図10は線分抽出部14における処理の流れの一例を示すフローチャートである。線分抽出部14はまず、ハフ変換における投票に使用されていないエッジ点があるかを確認する(ステップS21)。エッジ点とはエッジ画像においてエッジの値eが0でない画素のことを指す。
【0083】
投票に使用されていないエッジ点があれば(ステップS21においてYES)、線分抽出部14は、その中からエッジ点をランダムに選択する(ステップS22)。
【0084】
次に、線分抽出部14は、選択したエッジ点について極座標系の曲線上の座標に投票を行う(ステップS23)。
【0085】
そして、線分抽出部14は、直前のステップS23にて投票を行った中で最大投票数となる投票数について所定の閾値以上かどうかを確認する(ステップS24)。
【0086】
最大投票数が閾値以上であれば(ステップS24においてYES)、線分抽出部14は、投票数の極大とみなして対応する直線を算出し、算出した直線を複数の線分に変換する(ステップS25)。具体的にはエッジ画像において直線上の座標を走査し、エッジ点が連なっている部分を線分(輪郭線分)として抽出する。ただし、極端に短い線分はノイズとして抽出しない。
【0087】
線分抽出のときに線分抽出部14は、抽出した線分上のエッジ点は直線検出に使用済みとして値を0にして除去し(ステップS26)、ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0088】
一方、最大投票数が閾値未満であれば(ステップS24においてNO)、線分抽出部14は、ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0089】
一方、投票に使用されていないエッジ点がなければ(ステップS21においてNO)、線分抽出部14は、抽出した線分で線分画像を作成し(ステップS27)、処理を終了する。
【0090】
(四辺形候補算出部15における処理の詳細)
四辺形候補算出部15は、線分画像に含まれる線分から構成される複数の四辺形を、撮像画像の補正に用いる四辺形の候補として算出する。ただし、被写体の像が撮像画像に収まっていない場合を考慮して、線分画像の端に仮想線分を挿入する。図11は、仮想線分45・46・47・48を挿入した線分画像44を示す図である。同図では、線分画像44の外縁を形成する四辺に沿って4本の仮想線分が挿入されている。
【0091】
仮想線分の長さは、線分画像の長辺または短辺とほぼ同様の長さであってもよいし、それよりも短くてもよく、特に限定されない。また、仮想線分は、線分画像の外縁の辺に対して平行に挿入されることが好ましいが、後述する実施の形態のように仮想線分の角度を変更することもできるため、平行に挿入する必要は必ずしもない。
【0092】
図12は、四辺形候補算出部15における処理の流れの一例を示すフローチャートである。四辺形候補算出部15は、最初に線分画像に仮想線分を挿入する(ステップS31)。例えば、線分画像の上下端に当該線分画像の横幅と同じ長さの仮想線分を、画像の左右端に当該線分画像の縦幅と同じ長さの仮想線分を挿入する。仮想線分の4本すべてを挿入しても良いし、4本の仮想線分のうちの1〜3本を挿入してもよい。
【0093】
次に四辺形候補算出部15は、仮想線分を含めて、線分画像における線分の個数が4以上であるかどうかを確認する(ステップS32)。
【0094】
線分の個数が4未満であれば(ステップS32においてNO)、四辺形を構成できないので四辺形候補算出部15は処理を終了する。
【0095】
線分の個数が4以上であれば(ステップS32においてYES)、四辺形候補算出部15は、仮想線分を含む線分の集合から4本を選択する(ステップS33)。このときこれまでに選択していない組み合わせを選択する。選択した線分4本について四辺形を構成する4辺を算出可能かどうか確認する(ステップS34)。
【0096】
具体的な確認方法を以下に示す。図13は、四辺形候補の4辺を形成する直線を示す図である。線分を延長して直線として扱うと、図13に示すように4本の直線から生成される交点の数は最大6個である。交点が4個未満の時は、四辺形を構成する4辺は算出不可能とする。交点が4点以上であれば、その交点の中から任意の4点を選び、選んだ4点によって上記直線を区切ることによって得られる4本の線分を4辺とする四辺形が、以下の条件をすべて満たせば四辺形候補とする。1つでも満たさない条件があれば、四辺形候補を構成する4辺は算出不可能とする。
条件1:上記4辺で構成される四辺形が凸型である。
条件2:上記4辺で構成される四辺形の隣り合う頂点間に直線が存在する。
条件3:上記4辺で構成される四辺形の向かい合う頂点間に直線が存在しない。
条件4:上記4辺のうち仮想線分を含む辺は2本以下である。
条件5:上記4辺のうち仮想線分を含む辺が2本の場合は、仮想線分は4辺で構成される四辺形の向かい合う2辺に対応する。
【0097】
なお、条件1の判定を行う場合には、四辺形の辺を線分ベクトルと考え、隣り合う線分ベクトルで外積をとり、外積の符号がすべて一致すれば凸型と判定する。図14は、四辺形が凸型であるかどうかを判定する方法を説明するための図である。同図に示すように、ベクトルv1とv2との外積(v1×v2)の符号は、v1をv2に重ねるように時計まわりに回転させたときの角度θに対するsin θの符号となる。同図に示す例では、v1×v2、v2×v3、v3×v4、v4×v1のすべての符号が正となり(角度が180°未満)、四辺形は凸型であると判定する。ベクトルの取り方によってはすべての符号が負となる。
【0098】
図15(a)〜(d)は、被写体の像が撮像画像に収まっていない場合の撮像画像の例を示す図である。仮想線分を用いることで図15(a)〜(d)に示すように、被写体の像が撮像画像に収まっていない場合であっても、被写体の像の輪郭の一部を示す四辺形を算出できる。図15(a)、(b)、(c)は、被写体の像の輪郭を形成する4辺のうちの1辺が収まっていない場合、図15(d)は2辺が収まっていない場合を示している。
【0099】
選択された線分4本について四辺形候補を構成する4辺を算出可能であれば(ステップS34においてYES)、四辺形候補算出部15は、算出した4辺を四辺形候補として記憶する(ステップS35)。
【0100】
一方、四辺形を構成する4辺を算出不可能であれば(ステップS34においてNO)、四辺形候補算出部15は、ステップS36以降の処理を実行する。
【0101】
ステップS35の後、四辺形候補算出部15は、すべての線分の組み合わせを選択したかを確認する(ステップS36)。
【0102】
すべての線分の組み合わせを選択していれば(ステップS36においてYES)、四辺形候補算出部15は、四辺形候補を尤もらしい順番に順序付ける(ステップS37)。
【0103】
通常、デジタルカメラの使用者は被写体をできるだけ大きく撮像すると思われる。また、単純な線分の組み合わせでは、被写体の像の輪郭を形成する線分以外の線分を四辺形候補の辺の一部としている可能性がある。これらを考慮して、四辺形候補を形成する4辺にそれぞれ対応する線分(輪郭線分および仮想線分)の長さを評価値として、評価値の降順に四辺形候補を順序付ける。仮想線分は本来の線分ではないため、四辺形に含まれる長さに対して1以下の一定の割合を掛けることにより評価値が小さくなるようにしてもよい。すなわち、四辺形候補算出部15は、輪郭線分および仮想線分の長さと正の相関のある値を四辺形候補の評価値として用い、仮想線分の単位長さに対する評価値は、輪郭線分の上記単位長さに対する評価値よりも小さい。
【0104】
図16・17を用いて評価値の例を示す。図16は、四辺形候補の評価値を説明するための図である。図17(a)および(b)は、評価値の異なる四辺形候補の具体例を示す図である。図17において、太い破線で示す四辺形が四辺形候補を表している。図16において線分a、b、c、dの長さの合計が評価値となる。四辺形候補の辺よりも、当該辺を形成する線分の方が長い場合(線分b、dの場合)には、四辺形候補の辺を構成する当該線分の部分の長さについての評価値を用いる。
【0105】
図17(a)に示すように被写体の像の輪郭を形成する4辺に対応する四辺形候補は各辺が長く、各辺に含まれる線分が長いため評価値は大きくなる。一方、図17(b)に示すように被写体の像の輪郭以外の線分に由来する辺を有する四辺形候補の場合は、例えば、白板中の文字の一部から四辺形候補の辺が算出された場合は、当該辺に含まれる線分が短いため評価値は小さくなる。
【0106】
本発明では、上述のように撮像画像から被写体の像の輪郭を形成する輪郭線分を抽出する。しかし、実際には、図17(b)に示すように、被写体の像の輪郭を形成していない線分が輪郭線分として抽出されることがある。上記評価値は、輪郭線分として抽出されるべきでなかった線分に基づいて算出された四辺形候補の優先順位を下げるための値であると言える。
【0107】
そして、四辺形候補算出部15は、すべての線分の組み合わせを選択していなければ(ステップS36においてNO)、ステップS33以降の処理を繰り返す。
【0108】
なお、四辺形候補算出部15とは別に、四辺形を順位付ける順位付け部を設けてもよい。この順位付け部は、四辺形候補算出部15が特定した複数の四辺形候補について、各四辺形候補が有する輪郭線分および仮想線分の長さを基準として、特定された複数の四辺形を順位付けるものである。
【0109】
(仮想線分の評価値を小さくすることの意義)
ここで、四辺形に含まれる仮想線分の長さに対して1以下の一定の割合を掛けることにより評価値を小さくすることの意義について説明する。図18は、仮想線分の評価値を小さくすることの意義を説明するための図である。
【0110】
図18において検出すべき四辺形は、線分s1、s2、s3、s4をそれぞれ含む直線で囲まれる四辺形であるとする。線分s2は被写体の辺に比べて短いが、被写体が僅かに反っている場合やレンズ歪などにより被写体の辺そのものが厳密な直線ではない場合には抽出した線分が実際の辺よりも短くなる。
【0111】
四辺形に含まれる線分の長さをそのまま四辺形の評価値とした場合、図18の例では、線分s1、s2、s3、s4で構成される四辺形よりも、s1、仮想線分49、s3、s4で構成される四辺形の評価値の方が高くなってしまう。そのため補正用四辺形として適切な四辺形を四辺形候補の上位に順位付けることが困難となる。
【0112】
四辺形に含まれる仮想線分の単位長さに対する評価値を、輪郭線分の単位長さに対する評価値よりも小さくすることにより、被写体の像が撮像画像に収まらない場合にのみ、仮想線分を含む四辺形が四辺形候補の上位に順位付けられる可能性を高めることができる。
【0113】
(四辺形選択部16における処理の詳細)
図19は、撮像画像および四辺形候補のモニタ7における表示例を示す図である。四辺形選択部16は、図19に示すように、モニタ7に撮像画像81と四辺形候補82とを表示する。デジタルカメラ100の使用者が操作ボタン6を用いて複数の四辺形候補の中から1つの四辺形候補を選択すると、四辺形選択部16は、選択された四辺形候補を撮像画像の補正に用いる補正用四辺形として画像補正部17へ出力する。
【0114】
具体的には、四辺形選択部16は、最初に最も評価値の高い四辺形候補を表示する。操作ボタン6の例を図20に示す。次候補表示ボタン61が押下されるたびに評価値の降順に次の四辺形候補が表示される。前候補表示ボタン62が押下されるたびに評価値の昇順に次の四辺形候補が表示される。決定ボタン63は表示されている四辺形候補で画像を補正する場合に押下される。すなわち、その時点で表示されている四辺形候補を補正用四辺形として特定する場合に押下される。この操作によって補正用四辺形特定情報が入力されることになる。
【0115】
(画像補正部17における処理の詳細)
画像補正部17は、以下に説明する透視変換の原理にしたがって、被写体の縦横比を算出し、撮像画像上の歪んだ四辺形を長方形に補正する。
【0116】
(被写体の縦横比の算出方法)
まず被写体の縦横比の算出方法を示す。図21は、透視変換における物体の位置関係を示す図である。図21を用いて透視変換における物体の位置関係を、レンズの中心を原点Oとして3次元のベクトル空間で示す。撮像面51は光学系1の光軸52に垂直であり、レンズ中心から撮像面51までの距離が焦点距離dとなる。撮像面51とは、デジタルカメラ100では、イメージセンサ2における撮像面を意味する。物理的な位置関係では撮像面51はレンズの中心に対して被写体53とは反対の位置に存在するが、透視変換では理解の容易さの観点から図21に示す位置関係を用いることが一般的である。
【0117】
被写体53の長方形の頂点をq、q、q、qとし、撮像面51上の歪んだ四辺形51aの頂点をp、p、p、pとする。ここで、撮像面51は光軸52に垂直であることから、p(1≦i≦4)を下記式(4)で定義する。
【0118】
【数1】

【0119】
このとき、qはpを定数倍したものであるため、q(1≦i≦4)は、下記式(5)で表わされる。
【0120】
=t・・・(5)
被写体53は長方形であるため、下記式(6a)および(6b)が成り立つ。
【0121】
−q=q−q ・・・(6a)
(q−q)・(q−q)=0 ・・・(6b)
式(6b)において「・」はベクトルの内積を表す。式(6a)は平行四辺形となるための条件であり、式(6b)は隣り合う辺が直交するための条件である。
式(5)と式(6a)とにより、下記式(7)が得られる。
【0122】
【数2】

【0123】
焦点距離dは0でないため、式(7)の行列の第3行から下記式(8)が得られる。
【0124】
【数3】

【0125】
式(5)と式(6a)とにより下記式(9)が得られ、式(8)を用いてこれを変形すると下記式(10)が得られる。
【0126】
−t=t−t ・・・(9)
【0127】
【数4】

【0128】
ここで、下記式(11)のように変数変換すると、下記式(12)の等式が得られる。
【0129】
【数5】

【0130】
【数6】

【0131】
式(12)はk、kに関する連立方程式となっており、これを解くと下記式(13)が得られる。
【0132】
【数7】

【0133】
さらに式(6b)を変換すると下記式(14)が得られ、これを焦点距離dについて解くことで焦点距離が算出される。
【0134】
【数8】

【0135】
ただし、撮像面51において被写体53に対応する四辺形が台形上に歪んでいる場合には、下記式(15)において分母が0となり焦点距離dが算出できない。
【0136】
【数9】

【0137】
その場合には、焦点距離を外部から与えてやればよい。すなわち、焦点距離入力部11がCPU5から受け取った焦点距離情報が示す焦点距離を用いればよい。
【0138】
焦点距離dを用いて、被写体53の縦横比は下記式(16)で表わされる。
【0139】
【数10】

【0140】
(画像の補正方法)
次に歪んだ四辺形を長方形に補正する方法を示す。
【0141】
歪みを補正するために、まず被写体53の各頂点について撮像面51からの距離倍率t(1≦i≦4)を定める。実際の距離倍率を算出することはできないが、透視変換では距離倍率の比t:t:t:tが保たれるように被写体53の位置を自由に決めることができる。そこでt=1とすると、下記式(17)のようにt(1≦i≦4)を定めることができる。
【0142】
=1
=k ・・・(17)
=k
=k+k−1
補正後の画像として、式(16)で求めた縦横比に従う適当な大きさの長方形を用意する。このときの補正後の画素の値と補正前の歪んだ四辺形の画素との対応関係を図22(a)および(b)に示す。図22(a)は、補正後の画像の一例を示す図であり、図22(b)は、補正前の画像に含まれる四辺形の一例を示す図である。
【0143】
補正後画像としての長方形54の上下辺をm:(1−m)に内分し、左右辺をn:(1−n)に内分する画素値は、補正前画像に含まれる補正用四辺形55の上辺をt×m:t×(1−m)に内分し、下辺をt×m:t×(1−m)に内分し、左辺をt×n:t1×(1−n)に内分し、右辺をt×n:t×(1−n)に内分する画素値に対応する。
【0144】
撮像面上の物体の大きさは距離倍率に反比例するため、補正前画像に含まれる四辺形の内分比には距離倍率の逆比を掛けている。この対応関係にしたがって、バイリニア補間やバイキュービック補間などの補間法を用いることで補正後画像が算出される。バイリニア補間とは、補正前画像に含まれる四辺形において内分比にしたがって算出される位置の周辺4画素の重み付き平均画素値を補正後画像の画素値とする方法である。バイキュービック補間とは、周辺16画素を用いて補正後画像の画素値を算出する方法である。
【0145】
(画像補正部17における処理の流れ)
図23は画像補正部17における処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像補正部17は、最初に使用者によって選択された補正用四辺形から透視変換の原理に従って焦点距離を算出できるかどうかを確認する(ステップS41)。
【0146】
焦点距離を算出できたならば(ステップS41においてYES)、画像補正部17は、算出した焦点距離を用いて補正後画像の縦横比を算出する(ステップS42)。
【0147】
一方、焦点距離を算出できないならば(ステップS41においてNO)、画像補正部17は、焦点距離入力部11において入力された焦点距離を用いて補正後画像の縦横比を算出する(ステップS43)。
【0148】
その後、画像補正部17は、補正後画像の縦横比と距離倍率とを用いて透視変換の原理に従って補正後画像を作成する(ステップS44)。
【0149】
なお、輪郭抽出部13、線分抽出部14、四辺形候補算出部15、四辺形選択部16は、撮像画像を縮小した画像に対して上述の処理を行うことで処理コストを低減できる。
【0150】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図24〜図26に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。ここでは、四辺形候補算出部15において、四辺形候補の整形を行う実施形態について説明する。具体的には、四辺形候補算出部15は、自身が特定した四辺形候補が有する、仮想線分を含む辺が、対向する辺と平行になるように当該仮想線分を含む辺の位置(傾き)を変更する。それゆえ、本実施の形態では、四辺形候補算出部15は、四辺形整形部としての機能も有している。画像補正部17は、四辺形候補算出部15が整形した四辺形候補に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する。
【0151】
図24は本実施の形態に係る画像処理装置10が備える四辺形候補算出部15における処理の流れの一例を示すフローチャートである。四辺形候補算出部15は、第1の実施の形態における処理に加えて、図12に示したステップS34とステップS35との間に辺補正処理(ステップS55)を実行する。図24に示すステップS51〜54は、ステップS31〜34と同じであり、ステップS56〜58は、ステップS35〜37と同じである。
【0152】
ステップS55の辺補正処理では、画像補正部17は、四辺形候補において仮想線分を含む辺が向かい合う辺と平行になるように補正する。これにより、図25に示すようにデジタルカメラが被写体に対して回転した状態であっても補正に必要な四辺形が得られる。図25(a)は辺の位置を補正する前の四辺形候補を示す図であり、図25(b)は辺の位置を補正した後の四辺形候補を示す図である。図25(a)および(b)において、太い破線で示す四辺形が四辺形候補である。
【0153】
(辺補正処理の流れ)
図26は、辺補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。辺補正処理では最初に、四辺形候補算出部15は、四辺形を構成する4本の線分のうち仮想線分の個数が1かどうかを確認する(ステップS61)。
【0154】
仮想線分の個数が1であれば(ステップS61においてYES)、四辺形候補算出部15は、仮想線分を含む辺が向かい合う辺と平行になるように、仮想線分を含む辺の両端の頂点のいずれか一方の位置を修正する(ステップS62)。
【0155】
ここで、仮想線分を含む辺の両端の頂点のいずれの位置を修正してもよいが、生成される四辺形の面積が大きくなる方の頂点の位置を修正することが好ましい。その方が補正後画像に含まれる被写体の像の面積がより大きくなるからである。この場合、図25(b)に示すように、位置修正後の頂点が線分画像に収まらない可能性がある。このような場合には、線分画像と同一の座標系を有する、線分画像よりも大きな仮想的な画像(仮想画像)を形成し、その仮想画像における座標(画素の位置)を用いて四辺形候補の4つの頂点の位置を特定すればよい。
【0156】
その後、四辺形候補算出部15は、修正した頂点を含む四辺形の4辺を算出する(ステップS63)。
【0157】
一方、仮想線分の個数が1でなければ(ステップS61においてNO)、何もせず処理を終了する。ここで四辺形候補算出処理のステップS53(図23)における四辺形候補の選択条件4および5により、仮想線分の数は0、1または2である。仮想線分が2個であれば、それらは向かい合う平行な辺として既に配置されており、仮想線分が0個の場合はすべてが本来の線分であるため点を補正する必要がない。
【0158】
なお、四辺形候補算出部15とは、別に四辺形整形部を設け、四辺形候補算出部15が算出した四辺形候補のそれぞれについて四辺形整形部が上述の整形を行う構成にしてもよい。この場合、画像補正部17は、四辺形整形部が整形した四辺形に基づいて撮像画像の透視変換歪みを補正する。
【0159】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施形態について図27〜図29に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1・2と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0160】
本実施の形態では、仮想線分の挿入位置を示す挿入位置情報をデジタルカメラ100の使用者から受け付け、四辺形候補算出部15は、取得した挿入位置情報が示す挿入位置に仮想線分を挿入する。
【0161】
挿入位置情報は、操作ボタン6またはモニタ7に表示されたソフトキーを介して入力されるため、操作ボタン6またはモニタ7が挿入位置情報を取得する挿入位置情報取得部として機能する。
【0162】
図27は本実施の形態にかかる画像処理装置10が備える四辺形候補算出部15における処理の流れの一例を示すフローチャートである。この四辺形候補算出処理では、第1の実施の形態における処理に加えて、図12のステップS31の前に使用者による仮想線分の選択処理を実行する(ステップS71)。図27に示すステップS72〜78は、ステップS31〜37と同じである。
【0163】
図28(a)は、仮想線分を選択するときのモニタの表示画面の一例を示す図であり、図28(b)は、右端の仮想線分が選択されたときのモニタ7の表示画面を示す図である。仮想線分の挿入(ステップS71)では、使用者によって選択された仮想線分だけが挿入される。この仮想線分の選択では、図28(a)に示すように、四辺形候補算出部15は、モニタ7に撮像画像75を表示するとともに、仮想線分の挿入位置を示すカーソル71〜74を撮像画像75の上下左右の外縁部の近傍にそれぞれ表示する。
【0164】
デジタルカメラの使用者は、操作ボタン6を用いて仮想線分の挿入位置を決定する。使用者が右端の仮想線分を選択した場合、図28(b)に示すように右端の仮想線分に対応するカーソル72の色が変化する。
【0165】
仮想線分の挿入位置を入力するための操作ボタン6の例を図29に示す。右線分選択ボタン601が押下されると右端の仮想線分が選択される。再度、右線分選択ボタン601が押下されると右端の仮想線分の選択が解除される。同様に、操作ボタン6には左線分選択ボタン602、上線分選択ボタン603、下線分選択ボタン604が配置される。決定ボタン605が押下されると選択が完了する。
【0166】
なお、図29に示す操作ボタン6と図20に示す操作ボタン6とは部品を共通化してもよい。たとえば、右線分選択ボタン601と次候補表示ボタン61、左線分選択ボタン602と前候補表示ボタン62、決定ボタン605と決定ボタン63とは部品を共通化できる。
【0167】
また、操作ボタン6は必ずしも物理的なボタンとして実現する必要はない。例えば、モニタ7にタッチ位置を検出するタッチパネルを設け、モニタ7に表示されたカーソル71〜74などの図形のタッチを検出して、ボタン押下時と同じ処理を行うようにしてもよい。
【0168】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施形態について図30〜図32に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1〜3と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0169】
(画像処理装置20の構成)
図30は、本実施の形態に係る画像処理装置20の構成を示すブロック図である。同図に示すように画像処理装置20は、仮想線分を挿入する位置を判定する挿入位置判定部19を備えている点で画像処理装置10と異なっている。
【0170】
挿入位置判定部19は、撮像画像における被写体の像が、当該撮像画像の外縁を形成する四辺のいずれと交差しているかを判定することにより仮想線分の挿入位置を判定する。すなわち、挿入位置判定部19は、被写体の像が接している撮像画像の外縁の辺を、仮想線分の挿入位置として判定する。
【0171】
例えば、図4(a)に示すように被写体の像の右側が撮像画像の右端の辺と接している場合には、挿入位置判定部19は、撮像画像の右端を仮想線分の挿入位置として判定する。
【0172】
四辺形候補算出部15は、挿入位置判定部19が判定した辺の近傍または当該辺に重なるように仮想線分を挿入する。四辺形候補算出部15のその後の処理は、上述した実施の形態1における処理と同様である。
【0173】
(挿入位置判定部19における処理の詳細)
次に、挿入位置判定部19における挿入位置判定処理の詳細について説明する。図31は挿入位置判定部19における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図32(a)および(b)は、挿入位置判定部19における挿入位置判定処理を説明するための図である。
【0174】
まず、挿入位置判定部19は、撮像画像を二値化する(ステップS81)。二値化の方法として例えば大津の方法を用いることができる。大津の方法とは、撮像画像の輝度成分についてヒストグラムを取り、ある閾値によってヒストグラムを2つの領域に分類した場合の領域間分散が最大となるような閾値を選択する方式である。二値化により、各画素は白画素と黒画素に分類される。
【0175】
次に、挿入位置判定部19は、ノイズ除去のために二値化画像に対して膨張処理と収縮処理とを複数回施す(ステップS82)。膨張処理は白画素に隣接する黒画素を白画素にする処理であり、小さな黒画素領域を白画素領域に統合できる。収縮処理は、黒画素に隣接する白画素を黒画素にする処理であり、小さな白画素領域を黒画素領域に統合できる。複数回の膨張処理の後、同じ回数の収縮処理を施す手法をクロージングと呼び、複数回の収縮処理の後、同じ回数の膨張処理を施すことをオープニングと呼ぶ。クロージングとオープニングを順に施すことによりノイズを除去できる。
【0176】
図32(a)および(b)は、挿入位置判定部における挿入位置判定処理を説明するための図である。次に、挿入位置判定部19は、図32(a)に示すように、ノイズ除去ずみの二値化画像にラベリング処理を施す(ステップS83)。この処理では、連結した白画素領域または黒画素領域に数字を割り振る。
【0177】
その後、挿入位置判定部19は、図32(b)に示すように、ラベリングした領域の面積について、所定の閾値より小さい面積は周囲の領域に統合する(ステップS84)。
【0178】
そして、挿入位置判定部19は、画像の中心は被写体の像に属するものと考え、中心画素を含む領域が撮像画像の外縁の辺のうちのどの辺に隣接しているかを判定する(ステップS85)。そして、挿入位置判定部19は、被写体の像が隣接している撮像画像の辺の位置を仮想線分挿入位置として四辺形候補算出部15へ出力する。
【0179】
なお、ステップS85において、ノイズを考慮して、撮像画像の中心付近の複数画素で最も多いラベルの領域を被写体の領域としても構わない。
【0180】
また、ステップS85において、被写体の像がいずれの撮像画像の辺とも接していないと判定した場合には、挿入位置判定部19は、仮想線分を挿入する必要がない旨を示す情報を四辺形候補算出部15へ出力すればよい。この場合には、四辺形候補算出部15は、仮想線分を挿入せずに四辺形候補の算出を行う。
【0181】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施形態について図33に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0182】
(1.コンピュータの構成)
図33は、本実施の形態にかかるコンピュータ200の構成を示す図である。
【0183】
コンピュータ200は、入力装置であるキーボード201およびマウス202と、CPU(Central Processing Unit)204と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ206と、固定ディスク(記憶部)207と、出力インターフェース203とを備える。コンピュータ200は出力インターフェース203を通じて、表示画像をモニタ205に出力する。
【0184】
コンピュータ200は、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)212などの光ディスクからデータを読取可能な光ディスクドライブ209と、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)211からデータを読取可能なFDドライブ208と、外部装置とデータ授受可能な通信モジュール210とをさらに備える。
【0185】
CPU204に、画像処理装置10または画像処理装置20における上述の各処理を実行させるための画像処理プログラムは、CD−ROM212やフレキシブルディスク211などの記録媒体に格納されて流通し、光ディスクドライブ209やFDドライブ208などによって読取られて固定ディスク207にインストールされる。
【0186】
なお、コンピュータ200において画像処理プログラムを格納する記憶部は、固定ディスクに限定されず、SSD(Solid State Drive)などのフラッシュメモリ(半導体メモリ)であってもよい。
【0187】
このような形態に替えて、コンピュータ200が通信モジュール210を介してネットワーク接続されている場合には、ネットワーク上のサーバから送信される画像処理プログラムを受信して、固定ディスク207にインストールするようにしてもよい。
【0188】
なお、ネットワーク経由で画像処理プログラムを受信する場合には、固定ディスク207にインストールすることなくRAM上にロードした上で当該画像処理プログラムを実行してもよい。
【0189】
なお、画像処理プログラムを格納する記録媒体は、CD−ROM212やフレキシブルディスク211に限られず、たとえば、DVD−ROM(Digital Versatile Disk)やメモリカードであってもよく、その場合には、コンピュータ200にそのような記録媒体を読取可能なドライブ装置が設けられる。
【0190】
CPU204は、固定ディスク207にインストールされた画像処理プログラムを読み出して実行することにより、上述の焦点距離入力部11、画像入力部12、輪郭抽出部13、線分抽出部14、四辺形候補算出部15、四辺形選択部16、画像補正部17、画像出力部18および挿入位置判定部19としての機能を実現する。
【0191】
具体的には、CPU204は、デジタルカメラの撮像画像を固定ディスク207またはCD−ROM212またはフレキシブルディスク211から読み出し、メモリ206に格納するとともにモニタ205に表示する。そして、CPU204は、撮像画像から歪みのない補正後画像を作成し、メモリ206に格納するとともに出力インターフェース203を介してモニタ205に表示する。
【0192】
(2.コンピュータの処理の流れ)
本実施の形態にかかるコンピュータ200の処理の流れは、実施の形態1の画像処理装置10における処理の流れ(図5参照)とほぼ同様である。以下、各処理の詳細において、実施の形態1と異なる部分について説明する。
【0193】
焦点距離入力部11は、補正の対象となる撮像画像を撮像したときの焦点距離をメモリ206に格納する。焦点距離は撮像画像データに含まれるExifから読み取っても良いし、以前に撮像画像を補正した際に算出された焦点距離を、当該撮像画像と対応付けて固定ディスク207に保存しておき、その焦点距離をメモリ206に読み込んでもよい。
【0194】
画像入力部12、輪郭抽出部13、線分抽出部14、四辺形候補算出部15は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0195】
四辺形選択部16は、出力インターフェース203を介してモニタ205に撮像画像と四辺形候補とを表示し、コンピュータ200の使用者が操作ボタン6の代わりにキーボード201とマウス202とを用いて四辺形候補の中から四辺形を選択する。例えば図20で示した操作ボタンの図柄をモニタ205に表示し、マウス202でクリック操作がなされた際に操作ボタンが押下された場合に対応する処理を実行する。
【0196】
画像補正部17における処理は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0197】
画像出力部18は、補正後画像をメモリ206に格納するとともにモニタ205に表示する。
【0198】
なお、図33に示すコンピュータ200で行う処理の一部を、通信モジュールを介して接続された他のコンピュータで行ってもよい。例えば、コンピュータ200は撮像画像を送信し、他のコンピュータで算出された四辺形候補を受信してモニタ205に表示する。コンピュータ200は使用者によって選択された四辺形を送信し、他のコンピュータで作成された補正後画像を受信してモニタ205に表示する。
【0199】
別の場合には、コンピュータ200は撮像画像を送信し、最も評価値の高い四辺形候補を用いて他のコンピュータにより補正された補正後画像を受信してモニタ205に表示する。
【0200】
(その他の変更例)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0201】
また、上述したデジタルカメラ100の各ブロック、特に画像処理装置10・20の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0202】
すなわち、画像処理装置10・20は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置10・20の制御プログラム(画像処理プログラム)のプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像処理装置10・20に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0203】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0204】
また、画像処理装置10・20を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0205】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0206】
すなわち、本発明の画像処理装置は、画像入力部と、前記画像入力部にて入力された画像から線分を抽出する線分抽出部と、前記画像に仮想的な線分(仮想線分)を挿入する仮想線分挿入部と、前記線分抽出部により得られた線分(抽出線分)と前記仮想線分から四辺形候補を算出する四辺形候補算出部と、前記四辺形候補算出部にて算出された四辺形に基づいて画像の透視変換歪みを補正する画像補正部とを備えている。
【0207】
また、前記仮想線分挿入部は、前記仮想線分を前記画像の上下左右端の中から一つまたは複数の位置に挿入することが好ましい。
【0208】
また、前記仮想線分の挿入位置を画像処理装置の使用者に選択させるための選択指示部を備え、前記仮想線分挿入部は、前記選択指示部により選択された位置に前記仮想線分を挿入することが好ましい。
【0209】
また、前記四辺形候補算出部は、前記四辺形候補において前記仮想線分を含む辺の位置を向かい合う辺と平行になるように補正することが好ましい。
【0210】
また、前記四辺形候補算出部は、前記四辺形候補に含まれる前記抽出線分と前記仮想線分の長さに基づく評価値によって前記四辺形候補の順序付けを行うことが好ましい。
【0211】
また、前記評価値は、前記仮想線分の長さに基づく評価値を前記抽出線分の長さに基づく評価値よりも小さくすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明は、撮像画像に含まれる被写体の像の歪み補正を行う画像処理装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0213】
10 画像処理装置
13 輪郭抽出部(線分画像生成部)
14 線分抽出部(線分画像生成部)
15 四辺形候補算出部(四辺形特定部、四辺形整形部、順位付け部)
17 画像補正部
19 挿入位置判定部(判定部)
20 画像処理装置
41 撮像画像
44 線分画像
45・46・47・48・49 仮想線分
53 被写体
55 四辺形
100 デジタルカメラ(画像処理装置)
110 白板(被写体)
111 撮像画像
113 補正後画像
200 コンピュータ(画像処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像した撮像画像から、上記被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成部と、
上記線分画像生成部が生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および上記輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形特定部と、
上記四辺形特定部が特定した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正部とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記四辺形特定部は、上記線分画像の外縁を形成する四辺のうちの少なくとも一辺に沿ってまたは当該一辺に重なるように上記仮想線分を挿入することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記四辺形特定部は、上記線分画像の外縁を形成する四辺のそれぞれに対して上記仮想線分を挿入することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記仮想線分の挿入位置を示す挿入位置情報を使用者から受け付ける挿入位置情報取得部をさらに備え、
上記四辺形特定部は、上記挿入位置情報取得部が取得した挿入位置情報が示す挿入位置に上記仮想線分を挿入することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記撮像画像における上記被写体の像が、当該撮像画像の外縁を形成する四辺のいずれと接しているかを判定する判定部をさらに備え、
上記四辺形特定部は、上記判定部が判定した辺に沿って、または当該辺に重なるように上記仮想線分を挿入することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記四辺形特定部が特定した四辺形が有する、上記仮想線分を含む辺が、対向する辺と平行になるように当該仮想線分を含む辺の位置を変更する四辺形整形部をさらに備え、
上記画像補正部は、上記四辺形整形部が整形した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記四辺形特定部が上記四辺形を複数特定した場合に、各四辺形に含まれる輪郭線分および仮想線分の長さを基準として、特定された複数の四辺形を順位付ける順位付け部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
上記四辺形特定部は、上記輪郭線分および上記仮想線分の長さと正の相関のある値を上記四辺形の評価値として用い、
上記仮想線分の単位長さに対する評価値は、上記輪郭線分の上記単位長さに対する評価値よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像処理装置における画像処理方法であって、
被写体を撮像した撮像画像から、上記被写体の像の輪郭に含まれる線分である輪郭線分を抽出した線分画像を生成する線分画像生成工程と、
上記線分画像生成工程において生成した線分画像に仮想的な線分である仮想線分を少なくとも1本挿入し、挿入した仮想線分および上記輪郭線分の集合から4本の線分を選択し、その4本の線分をそれぞれ含む4本の直線によって囲まれる四辺形を特定する四辺形特定工程と、
上記四辺形特定工程において特定した四辺形に基づいて上記撮像画像の透視変換歪みを補正する画像補正工程とを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の上記各工程をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−97251(P2011−97251A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247788(P2009−247788)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【特許番号】特許第4630936号(P4630936)
【特許公報発行日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】