説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、入力画像データを一旦可変長圧縮してメモリに保管した後に該メモリの圧縮データを伸長して出力する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【解決手段】複合装置1は、スキャナ部2から入力される画像データを圧縮部3で可変長圧縮した可変長圧縮画像データを所定のブロック単位毎に、主記憶部10のライト用ディスクリプタに基づいて主記憶部10に転送して書き込み、主記憶部10に書き込まれた可変長圧縮画像データを、RDMAC7が、主記憶部10のリード用ディスクリプタに基づいてブロック単位で読み出して伸長部6に転送する際に、ブロック単位の可変長圧縮画像データの主記憶部10への転送が完了する毎に、RDMAC7がリード用ディスクリプタの情報を書き替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、入力画像データを一旦可変長圧縮してメモリに保管した後に該メモリの圧縮データを伸長して出力する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写装置、プリンタ装置、ファクシミリ装置、複合装置等の画像処理装置においては、スキャナで読み取られた原稿の画像データをプリンタで画像形成出力する場合、以下のような処理手順によって行われる。すなわち、画像処理装置は、スキャナで読み取られて出力される画像データを圧縮器で可変長圧縮して圧縮データとし、CPU(Central Processing Unit )を介することなく、DMAC(Direct Memory Access Controller)によってメモリに転送して出力用の圧縮データとして保存する。その後、画像処理装置は、メモリ上の圧縮データをDMACで読み出して伸長器で伸長し、必要な画像処理を施して、プリンタで印刷出力する。
【0003】
このような一連の画像データ処理においては、スキャナの動作が一定の速度で行われるため、メモリへのデータ転送を一定速度で行う必要がある。
【0004】
そして、処理速度を向上させるために、上記スキャナで読み取られた画像データを圧縮符号化してメモリに保存し、全ての圧縮データのメモリへの保存が完了する前に、メモリの圧縮データの読み出しを開始して、読み出した圧縮データを伸長してプロッタで印刷する処理を連続して行う。この場合、圧縮符号化してメモリに転送保存する圧縮転送処理とメモリの圧縮データを伸長してプロッタに転送する伸長転送処理を適切に連携させて全体の転送処理を速やかに行うことが、コピースピード、特に、1枚目のコピーであるファーストコピーの処理時間を短くする上で、重要である。
【0005】
そして、従来、読み取りデータを可変長圧縮画像データに圧縮してメモリへの転送が完了すると、伸長側に転送したことの通知を行い、伸長側が該転送通知に応じてメモリから可変圧縮データを読み出して伸長器に転送する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、圧縮データのメモリへの書き込みが完了したときに、転送パケット情報を伸長側に通知するのみであったため、圧縮転送処理と伸長転送処理を適切に連携させて高速でデータ転送を行う上で、改良の必要があった。
【0007】
すなわち、可変長圧縮画像データは、必ずしも原画像データよりもデータ量が少なくなるとは限らず、また、スキャナからのデータ転送は一定時間内に完了することを保障する必要があるため、バス使用権の優先度が、伸長器よりも圧縮器の方に高く設定されている。したがって、従来技術のように、メモリへの書き込みが完了したことの通知のみを行うだけでは、圧縮器からメモリへのデータ転送がメモリから伸長器への転送を追い抜くことがあり、圧縮転送処理と伸長転送処理の連携動作が適切に行われない場合が発生するおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、記憶手段への画像データの圧縮転送処理と記憶手段からの圧縮画像データの伸長転送処理を適切に連動させて、転送処理効率を向上させることのできる画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、入力される画像データを可変長圧縮して、圧縮データを所定のブロック単位毎に、ライト用ディスクリプタとリード用ディスクリプタ及びデータを記憶する記憶手段の該ライト用ディスクリプタに基づいて該記憶手段に転送して書き込み、記憶手段に書き込まれた圧縮データを該記憶手段のリード用ディスクリプタに基づいてブロック単位で読み出して伸長手段に転送する際に、ブロック単位の圧縮データの記憶手段への転送が完了する毎に、リード用ディスクリプタの情報を書き替えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、記憶手段へ転送するブロック単位の圧縮データのデータサイズを取得して、取得した該データサイズで、前記リード用ディスクリプタのデータサイズ情報を書き替えることを特徴としてもよい。
【0011】
さらに、本発明は、記憶手段へのブロック単位の圧縮データの転送が完了する毎に、データ転送終了通知を出力し、該データ転送終了通知に基づいて、前記記憶手段の前記圧縮データの読み出しを制御することを特徴としてもよい。
【0012】
また、本発明は、前記転送終了通知が入力される毎に該転送終了通知回数を加算し、前記リードDMA制御手段による前記圧縮データの読み出しが完了すると該転送終了通知回数を減算して、加減算する該転送終了通知回数に基づいて前記記憶手段の前記圧縮データの読み出しを制御することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記憶手段への圧縮画像データの転送処理と該記憶手段からの圧縮画像データの伸長側への読み出し転送を適切に連動させて処理効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を適用した複合装置の要部ブロック構成図。
【図2】WDMAC及びRDMACの詳細なブロック構成図。
【図3】画像データ転送におけるWDMACとRDMACの動作説明図。
【図4】画像データ転送制御処理を示すフローチャート。
【図5】WDMACとRDMACのデータ転送タイミング調整の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0016】
図1〜図5は、本発明の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した複合装置1の要部ブロック構成図である。
【0017】
図1において、複合装置1は、スキャナ部2、圧縮部3、WDMAC(Write Direct Memory Access Controller)4、プロッタ部5、伸長部6、RDMAC(Read Direct Memory Access Controller)7、転送トリガ発生部8、レジスタ9及び主記憶部10等を備えており、上記WDMAC4、RDMAC7、及び主記憶部10は、データバス11によって接続されている。なお、複合装置1は、上記各部以外に、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、操作表示部、通信部等の各部を備え、CPUの制御下で、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、データ転送機能等の各種機能を実行する。
【0018】
スキャナ部2は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したイメージスキャナ等が利用されており、一般に、ADF(自動原稿送り装置)を備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつスキャナ部2の原稿読み取り位置に送給する。スキャナ部2は、ADFから搬送されてきた原稿を走査し、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、RGBの画像信号をデジタル変換した後、圧縮部3に出力する。
【0019】
圧縮部(圧縮手段)3は、スキャナ部2の読み取った原稿の画像データを順次可変長圧縮する。転送トリガ発生部8は、レジスタなどで構成され、所定のレジスタにライト動作があると、WDMAC4への転送開始信号をアサートする。WDMAC(ライトDMA制御手段)4は、CPUを介することなく、圧縮部3の圧縮した圧縮データをデータバス11を介して主記憶部10に転送して、主記憶部10の指定のメモリアドレスに書き込む。この書き込みアドレスは、主記憶部10のライト用ディスディスクリプタによって指定されるアドレスである。
【0020】
RDMAC(リードDMA制御手段)7は、主記憶部10の指定アドレスの圧縮データを読み出して伸長部6に転送し、この読み出し指定アドレスは、主記憶部10のリード用ディスクリプタによって指定されるアドレスである。伸長部(伸長手段)6は、圧縮データを原画像データに伸長して、伸長した画像データをプロッタ部5に渡す。
【0021】
プロッタ部5は、所定の印刷方式、例えば、電子写真方式、インク噴射方式のプロッタ部が用いられており、カラー、または、モノクロで用紙に画像を印刷出力する。
【0022】
主記憶部(記憶手段)10は、RAMや不揮発性メモリ等で構成され、圧縮部3で圧縮された圧縮データがWDMAC4によって書き込まれて、RDMAC7によって読み出される。また、主記憶部10は、CPUによって、WDMAC4の用いるライトディスクリプタ及びRDMAC7の利用するリードディスクリプタが書き込まれる。
【0023】
上記WDMAC4及びRDMAC7は、図2に示すようにブロック構成されている。WDMAC4は、バッファ21、バッファ制御部22、転送サイズカウンタ部23及びDP情報書き込み制御部24等を備えており、RDMAC7は、バッファ31、バッファ制御部32、転送終了通知カウンタ部33及びDP情報通知制御部34等を備えている。
【0024】
まず、WDMAC4について説明する。WDMAC4のバッファ21は、少なくとも2つ以上のトグルバッファを備えており、一定量の可変圧縮データである圧縮データを圧縮部3から取り込んで、バッファ制御部22からの開始信号のアサートによってデータバス11を介して主記憶部10に圧縮データを書き込む。
【0025】
バッファ制御部22は、転送トリガ発生部8からの転送開始トリガによってWDMA開始信号(ライトDMA開始信号)をアサート(WDMA開始フラグON)してバッファ21の転送を開始させるとともに、バッファ21の制御を行う。バッファ制御部22は、主に、バッファ21の状態を監視し、バッファ21がフルになったとき、または、画像データの終了フラグを検知すると、画像データの転送を開始させる。
【0026】
転送サイズカウンタ部(データサイズ取得手段)23は、バッファ21に転送されたデータ量をカウントする。すなわち、転送サイズカウンタ部23は、データ転送が開始すると、カウント数をリセットして、データ量(データサイズ)のカウントを開始し、データ転送が終了すると、カウント値(データサイズ)を保持して、DP情報書き込み制御部24にカウント数(データサイズ)を通知する。
【0027】
DP情報書き込み制御部(ディスクリプタ情報書き替え手段、転送終了通知手段)24は、バッファ21に転送されたデータサイズを転送サイズカウンタ部23から受け取ると、主記憶部10上に書き込まれているリード用ディスクリプタを主記憶部10から読み取り、データサイズ情報を変更して、主記憶部10の該リード用ディスクリプタに書き戻す。また、DP情報書き込み制御部24は、データサイズ情報の書き戻しを終了すると、RDMAC7の転送終了通知カウンタ部33に転送終了通知を行う。
【0028】
このDP情報書き込み制御部24が使用するRDMAC7用の先頭ディスクリプタのポインタは、RDMAC7のDP情報通知制御部34から通知され、転送を繰り返す場合、上記ディスクリプタリード時に、該ディスクリプタに次のディスクリプタのポインタ情報があるので、該ポインタを取得して、データサイズを書き戻すという処理を繰り返し行う。
【0029】
次に、RDMAC7について説明する。RDMAC7のバッファ31は、少なくとも2つ以上のトグルバッファを備えており、主記憶部10のディスクリプタの指定するアドレスから一定量の可変長圧縮画像データを取り込んで、バッファ制御部32からの開始信号のアサートに応じて、該可変長圧縮画像データを伸長部6に出力する。
【0030】
バッファ制御部(リード転送制御手段)32は、転送終了通知カウンタ部33よりリードDMA開始信号が入力されると、バッファ31の制御を開始する。
【0031】
転送終了通知カウンタ部(終了通知回数カウント手段)33は、WDMAC4のDP情報書き込み制御部24からライト転送終了が通知されると、カウンタを「1」だけインクリメント(加算)し、また、バッファ制御部32からリード転送終了を通知されると、カウンタを、デクリメント(減算)する。転送終了通知カウンタ部33は、リード転送が終了しており、かつ、カウンタが「1」以上である場合に、バッファ制御部32への転送開始信号をアサートする。
【0032】
DP情報通知制御部34は、レジスタ9からRDMAC7用の先頭ディスクリプタのポインタ情報が通知され、レジスタ9から該ポインタ情報が通知されると、WDMAC4のDP情報書き込み制御部24に該RDMAC7用の先頭ディスクリプタのポインタを通知する。
【0033】
そして、複合装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像処理方法を実行する画像処理プログラムを読み込んでROMやハードディスク等に導入することで、後述する入力データを圧縮して主記憶部10に転送する圧縮転送処理を主記憶部10の圧縮データを転送して伸長する伸長転送処理を適切に連携させて、高速にデータ転送処理を行う画像処理方法を実行する画像処理装置として構築されている。この画像処理プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0034】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の複合装置1は、主記憶部10への画像データの圧縮転送処理と主記憶部10からの圧縮画像データの伸長転送処理を適切に連動させ処理効率を向上させる。
【0035】
すなわち、複合装置1は、スキャナ部2で読み取った画像データを圧縮部3で可変長圧縮し、WDMAC4によって主記憶部10のディスクリプタの指定するアドレスに可変長圧縮画像データを書き込む。また、複合装置1は、主記憶部10に書き込まれた可変長圧縮画像データをRDMAC7が読み出して伸長部6に渡し、伸長部6が伸長してプロッタ部5で伸長後の画像データに基づいて画像形成する。
【0036】
そして、上記画像データの転送においては、複合装置1は、図3に示すように、CPUによって主記憶部10に、リード用ディスクリプタが用意され、ディスクリプタには、次のディスクリプタの記載されているネクストディスクリプタポインタ(NDP)、データの記載されている最初のアドレスであるスタートアドレス(SA)、データサイズ(SIZE)及びその他の情報(etc)が記載される。
【0037】
DP情報通知制御部34は、このリード用ディスクリプタの先頭のディスクリプタポインタをWDMAC4のDP情報書き込み制御部24に通知し、WDMAC4は、1回の可変長圧縮画像データを主記憶部10に書き込む毎に、直前まで転送していたリード用ディスクリプタを読み込んで、データサイズ情報を変更して書き戻す。
【0038】
WDMAC4は、全ての圧縮画像データの主記憶部10に対する転送を終了すると、リード用ディスクリプタにあるその他の情報(etc)内の終了フラグを立てて、主記憶部10のリード用ディスクリプタに書き戻す。
【0039】
上記画像データの転送において、WDMAC4及びRDMAC7は、図4に示すように、画像データ転送制御処理を行う。すなわち、WDMAC4は、WDMA転送開始フラグがONになると(ステップS101)、バッファ21に圧縮部3から1ブロック分の可変長圧縮画像データが蓄積されるのを待って、主記憶部10へのWDMA転送を開始し(ステップS102)、DMA転送が完了するのを待つ(ステップS103)。このとき、WDMAC4は、転送サイズカウンタ部23により、転送されたデータ量をカウントする。
【0040】
WDMAC4は、WDMA転送(ライトDMA転送)が完了すると、DP情報書き込み制御部24が、RDMAC7のDP情報通知制御部34から通知されるリード用ディスクリプタの先頭ポインタに基づいてリード用ディスクリプタ(Readディスクリプタ)の読み込みを行い(ステップS104)、転送サイズカウンタ部23のカウント結果に基づいて、リード用ディスクリプタのデータサイズを書き替えて、リード用ディスクリプタを主記憶部10に書き戻す(ステップS105)。
【0041】
WDMAC4のDP情報書き込み制御部24は、リード用ディスクリプタの書き戻しを行うと、RDMAC7の転送終了通知カウンタ部33に転送終了を通知し(ステップS106)、全ての画像データのデータ転送が終了したかチェックし(ステップS107)、WDMAC4は、全ての画像データのデータ転送が終了していないときには、ステップS102に戻って次の画像データのDMA転送から上記同様に処理する(ステップS102〜S107)。
【0042】
ステップS107で、全ての画像データのデータ転送が終了すると、リード用ディスクリプタにあるその他の情報内の終了フラグを立てて、主記憶部10のリード用ディスクリプタに書き戻して処理を終了する。
【0043】
一方、RDMAC7は、主記憶部10から伸長部6への画像データの転送に際して、まず、ディスクリプタポインタの設定を行う(ステップS201)。RDMAC7は、このとき、DP情報通知制御部34が、リード用ディスクリプタの先頭ポインタをWDMAC4のDP情報書き込み制御部24に通知する。
【0044】
次に、RDMAC7は、リードDMA開始フラグをONにし(ステップS202)、WDMAC4のDP情報書き込み制御部24からライト転送終了が通知されて転送終了通知カウンタ部33のカウンタが「1」以上になるまで待機する(ステップS203)。
【0045】
RDMAC7は、転送終了通知カウンタ部33のカウンタが「1」以上になると、主記憶部10から可変長圧縮画像データを読み出してバッファ31を介して伸長部6に転送し(ステップS204)、1ブロック分の可変長圧縮画像データの転送が終了すると(ステップS205)、全ての画像データのデータ転送が終了したかチェックする(ステップS206)。
【0046】
RDMAC7は、全ての画像データのデータ転送が終了していないときには、ステップS203に戻って、終了通知カウンタが「1」以上になるのを待って、画像データを上記同様に転送する処理を全ての画像データの転送が完了するまで、繰り返し行う(ステップS203〜S206)。ステップS206で、全ての画像データの転送が完了すると、処理を終了する。
【0047】
すなわち、複合装置1のWDMAC4とRDMAC7とを用いたデータ転送でのタイミング調整においては、図5に示すように、RDMAC7の転送処理の方が早い場合(図5(a))とRDMAC7の転送処理の方が遅い場合(図5(b))がある。
【0048】
RDMAC7の転送処理の方がWDMAC4の転送処理よりも早い場合には、図5(a)に示すように、WDMAC4が1ブロック分の可変長圧縮画像データを転送すると、RDMAC7が1ブロック分の可変長圧縮画像データを転送を行う処理を順次繰り返し行い、このとき、RDMAC7の転送終了通知カウンタ部33は、「+1」と「±0」を繰り返しカウントすることになる。
【0049】
一方、RDMAC7の転送速度の方がWDMAC4の転送速度よりも遅い場合には、図5(b)に示すように、WDMAC4が1ブロック分の可変長圧縮画像データのWDMA転送を終了すると、RDMAC7がその1ブロック分の可変長圧縮画像データのRDMA転送を開始する。
【0050】
このRDMAC7によるRDMA転送が終了する前に、WDMA転送が終了すると、転送終了通知カウンタ部33が「+1」だけインクリメントされる。
【0051】
そして、RDMA転送が終了すると、RDMAC7は、転送終了通知カウンタ部33が「+1」であるため、次の1ブロック分の可変長圧縮画像データのRDMA転送を開始する。
【0052】
RDMAC7は、転送終了通知カウンタ部33のインクリメントとデクリメントの繰り返しにより、RDMA転送の開始を制御する。
【0053】
このように、本実施例の複合装置1は、入力される画像データを圧縮部3で可変長圧縮した可変長圧縮画像データを所定のブロック単位毎に、ライト用ディスクリプタとリード用ディスクリプタ及びデータを記憶する主記憶部10の該ライト用ディスクリプタに基づいて主記憶部10に転送して書き込み、主記憶部10に書き込まれた可変長圧縮画像データを主記憶部10のリード用ディスクリプタに基づいてブロック単位で読み出して伸長部6に転送する際に、ブロック単位の可変長圧縮画像データの主記憶部10への転送が完了する毎に、DP情報書き込み制御部24がリード用ディスクリプタの情報を書き替えている。
【0054】
したがって、主記憶部10への可変長圧縮画像データの転送処理と主記憶部10からの圧縮画像データの伸長側への読み出し転送を適切に連動させることができ、圧縮転送処理から転送伸長処理までの一連の処理の処理効率を向上させることができる。その結果、ファーストコピーの処理時間を短縮することができる。
【0055】
また、本実施例の複合装置1は、画像データの転送中にソフトウェア制御が介在しないため、転送時間を短縮することができる。
【0056】
さらに、本実施例の複合装置1は、WDMAC4の転送するブロック単位の圧縮データのデータサイズを転送サイズカウンタ部23でカウントして取得し、DP情報書き込み制御部24が、転送サイズカウンタ部23の取得したデータサイズで、主記憶部10のリード用ディスクリプタであるRDMAC7用ディスクリプタのデータサイズ情報を書き替えている。
【0057】
したがって、データサイズ情報によってデータ終了を知ることができ、次の転送の準備を行って、処理速度をより一層向上させることができる。
【0058】
また、本実施例の複合装置1は、WDMAC4によるブロック単位の可変長圧縮画像データの転送が完了する毎に、DP情報書き込み制御部24からRDMAC7に出力し、RDMAC7のバッファ制御部32が、該データ転送終了通知に基づいてRDMAC7による主記憶部10の可変長圧縮画像データの読み出しを制御している。
【0059】
したがって、圧縮処理後の主記憶部10への可変長圧縮画像データの転送が先行した場合であっても、伸長のための画像データの読み出しに影響を与えることなく、データ転送終了通知によってデータ終了が分かるようにして、次の転送の準備を行うことができ、圧縮開始から伸長終了までの処理時間を短縮することができる。
【0060】
さらに、本実施例の複合装置1は、RDMAC7の転送終了通知カウンタ部33が、WDMAC4のDP情報書き込み制御部24からデータ転送終了通知が入力される毎に転送終了通知回数を加算して、RDMAC7による可変長圧縮画像データの主記憶部10からの読み出しが完了すると該転送終了通知回数を減算し、バッファ制御部32が、転送終了通知カウンタ部33の加減算する転送終了通知回数に基づいてRDMAC7による主記憶部10の可変長圧縮画像データの読み出しを制御している。
【0061】
したがって、WDMAC4によるデータ書き込み回数(データ転送回数)と同じ回数だけ、RDMAC7にデータ読み出しを行わせることができ、処理の適切化、効率化を向上させることができる。
【0062】
また、本実施例の複合装置1は、バッファ制御部32が、RDMAC7による可変長圧縮画像データの転送待機状態で、転送終了通知カウンタ部33の加減算する転送終了通知回数が「1」以上であると、RDMAC7に可変長圧縮画像データの転送を開始させている。
【0063】
したがって、RDMAC7による転送タイミングがずれても、効率よくデータ転送を行うことができる。
【0064】
さらに、本実施例の複合装置1は、RDMAC7のDP情報通知制御部34が、RDMAC7の読み出したリード用ディスクリプタであるRDMAC7用ディスクリプタの先頭ディスクリプタアドレス(先頭ディスクリプタポインタ)を、WDMAC4のDP情報書き込み制御部24に通知している。
【0065】
したがって、WDMAC4のDP情報書き込み制御部24が、効率的にRDMAC7用ディスクリプタのディスクリプタ情報の書き換えを行うことができ、より一層処理効率を向上させることができる。
【0066】
また、本実施例の複合装置1は、RDMAC7のDP情報通知制御部34が、レジスタ9から先頭ディスクリプタアドレスの通知があると、自動的にWDMAC4のDP情報書き込み制御部24に該先頭ディスクリプタアドレスを通知している。
【0067】
したがって、ソフトウェアが介在することなく自動的に先頭アドレスの通知を行うことができ、画像データの転送時間をより一層短縮することができる。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、入力画像データを圧縮してメモリに転送し、メモリの圧縮画像データを伸長部に転送出力する複合装置、複写装置等の画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 複合装置
2 スキャナ部
3 圧縮部
4 WDMAC
5 プロッタ部
6 伸長部
7 RDMAC
8 転送トリガ発生部
9 レジスタ
10 主記憶部
11 データバス
21 バッファ
22 バッファ制御部
23 転送サイズカウンタ部
24 DP情報書き込み制御部
31 バッファ
32 バッファ制御部
33 転送終了通知カウンタ部
34 DP情報通知制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2009−33428号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライト用ディスクリプタとリード用ディスクリプタ及びデータを記憶する記憶手段と、
入力される画像データを可変長圧縮する圧縮手段と、
前記圧縮手段で可変長圧縮された圧縮データを所定のブロック単位毎に前記記憶手段の前記ライト用ディスクリプタに基づいて該記憶手段に転送して書き込むライトDMA制御手段と、
圧縮データを伸長する伸長手段と、
前記記憶手段に書き込まれた前記圧縮データを該記憶手段の前記リード用ディスクリプタに基づいて前記ブロック単位で読み出して前記伸長手段に転送するリードDMA制御手段と、
前記ライトDMA制御手段による前記ブロック単位の前記圧縮データの転送が完了する毎に、前記リード用ディスクリプタの情報を書き替えるディスクリプタ情報書き替え手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、
前記ライトDMA制御手段の転送する前記ブロック単位の前記圧縮データのデータサイズを取得するデータサイズ取得手段を、さらに備え、
前記ディスクリプタ情報書き替え手段は、前記データサイズ取得手段の取得したデータサイズで、前記リード用ディスクリプタのデータサイズ情報を書き替えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記ライトDMA制御手段による前記ブロック単位の前記圧縮データの転送が完了する毎に、データ転送終了通知を出力する転送終了通知手段と、
前記転送終了通知手段の出力する前記データ転送終了通知に基づいて前記リードDMA制御手段による前記記憶手段の前記圧縮データの読み出しを制御するリード転送制御手段と、
を、さらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
前記転送終了通知が入力される毎に該転送終了通知回数を加算し、前記リードDMA制御手段による前記圧縮データの読み出しが完了すると該転送終了通知回数を減算する終了通知回数カウント手段を、さらに備え、
前記リート転送制御手段は、前記終了通知回数カウント手段の加減算する前記転送終了通知回数に基づいて前記リードDMA制御手段による前記記憶手段の前記圧縮データの読み出しを制御することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記リード転送制御手段は、前記リードDMA制御手段による前記圧縮データの転送待機状態で前記終了通知回数カウント手段の加減算する前記転送終了通知回数が1以上であると、該リードDMA制御手段に該圧縮データの転送を開始させることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記リードDMA制御手段の読み出した前記リード用ディスクリプタの先頭ディスクリプタアドレスを前記ディスクリプタ情報書き替え手段に通知する先頭アドレス通知手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
入力される画像データを可変長圧縮する圧縮処理ステップと、
前記圧縮処理ステップで可変長圧縮された圧縮データを所定のブロック単位毎に、ライト用ディスクリプタとリード用ディスクリプタ及びデータを記憶する記憶手段の該ライト用ディスクリプタに基づいて該記憶手段に転送して書き込むライトDMA制御処理ステップと、
圧縮データを伸長する伸長処理ステップと、
前記記憶手段に書き込まれた前記圧縮データを該記憶手段の前記リード用ディスクリプタに基づいて前記ブロック単位で読み出して前記伸長処理ステップに転送するリードDMA制御処理ステップと、
前記ライトDMA制御処理ステップによる前記ブロック単位の前記圧縮データの転送が完了する毎に、前記リード用ディスクリプタの情報を書き替えるディスクリプタ情報書き替え処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
入力される画像データを可変長圧縮する圧縮処理と、
前記圧縮処理で可変長圧縮された圧縮データを所定のブロック単位毎に、ライト用ディスクリプタとリード用ディスクリプタ及びデータを記憶する記憶手段の該ライト用ディスクリプタに基づいて該記憶手段に転送して書き込むライトDMA制御処理と、
圧縮データを伸長する伸長処理と、
前記記憶手段に書き込まれた前記圧縮データを該記憶手段の前記リード用ディスクリプタに基づいて前記ブロック単位で読み出して前記伸長処理に転送するリードDMA制御処理と、
前記ライトDMA制御処理による前記ブロック単位の前記圧縮データの転送が完了する毎に、前記リード用ディスクリプタの情報を書き替えるディスクリプタ情報書き替え処理と、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項8記載の画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155448(P2011−155448A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15174(P2010−15174)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】