説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】生産能力を向上させる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置は、原稿を読取り、画像データを得る画像読取部101と、読取られた画像データの特定パターン領域を検出するパターン領域検出部103と、画像データとパターン領域検出部103により検出された領域とを関連づけて記憶するメモリ108及びHDD109と、記憶された画像データからパターン領域検出部103により検出された領域情報部分のみを読取り、特定パターンにより符号化されている情報を復号化する画像解読装置105と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化情報を解読する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Copled Device)ユニットからなるラインセンサ読み取り装置やレーザーによる書込み装置の発展により、アナログ複写機からデジタル化された画像データの処理を行うデジタル複写機が普及している。このデジタル複写機は、コピー機能のほかに、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を搭載して、マルチ・ファンクションを制御しており、デジタル複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)と呼ばれている。
【0003】
また、MFPはネットワークなどに接続されて使用されることがある。MFPの出力データなどは、この装置内のHDD(Hard Disk Drive)などに保存されており、このHDDに保存されている画像データを、ネットワーク等を介して送受信することができる。近年、オフィスの中でのMFPの使われ方も多種・多様化してきている。例えば、オフィスでは小型のMFP、中型のMFP、大型のMFP等が使用されている。小型のMFPは、例えば、PC(Personal Computer)の横にペアで設置され、各職務者が手軽に複写機・ファクシミリ・プリンター・スキャナの機能を使用することができる。中型のMFPは、例えば、部署や課単位の複数名で共有され、ある程度の生産性があり、やソート・パンチ・ステープル等の機能が使用できる。高生産性・高品位で、多機能な大型のMFPは、例えば、企業の中で複写関連業務を集中して行う部署、もしくは複写関連業務そのものを生業とする会社で使用されている。
【0004】
上述したように、小型クラスから大型クラスまで多様化してきているMFPであるが、各クラスに亘って共有できる機能も存在するが、クラスごとに要求が強い機能も存在する。例えば、大型MFPではパンチ・ステープル・紙折り等、プロット後の紙に対する後加工や、複写業務と同時に電子ファイリング化すること等が求められる。一方、小型MFPでは、インターネットFAXやPC−FAX等の充実、パーソナル的な使用目的として専用紙に対する高品位画像印刷等が求められる。このように多種・多様化してきているMFP市場に対して、従来は各クラスに必要な機能をセットにしたシステムを構築し、販売・提供していた。
【0005】
ビジネスにおける情報価値の重要性は既に認知されており、情報を早く・正確に・確実に伝えるだけでなく、分かりやすく・効果的に伝えることも要求されている。通信技術の高速化/普及化・メモリの大容量化/低コスト化/小型化・PCの高性能化にともない、デジタルデータを利用した情報を効率的に扱う新しい機能が提供されてきており、デジタルデータの一部であるデジタル画像データを扱うMFPにも、新機能の提供や融合が望まれてきている。
【0006】
ここで、MFPにおいての出力というのは、前述したように、コピーのように紙への出力や、スキャナやFAX送信のように電子データにおける送信がある。電子データによる送信でも、用途に応じて出力における出力形式というのは異なる。例えば、FAXなどはモノクロ2値による画像データ形式となるが、スキャナなどは、例えば、カラーRGBによる画像データである場合もある。このように、MFPには様々な出力手段によって画像データを出力するが、その際、それぞれの出力手段は、異なる出力特性を持っている。例えば、紙出力であれば書込みユニットの特性、スキャナ配信では表示するディスプレイの特性などである。
【0007】
また、原稿画像から抽出した付加情報に基づいて処理を実行する画像処理装置として、紙面に形成された画像を読み取る際に、同一紙面に形成されているバーコードや所定のパターンを読み取り、読み取ったバーコードや所定のパターンに応じて読み取った紙面を処理する画像処理装置などが開示されている(例えば、特許文献1)。例えば、読み取った原稿イメージの中の所定の箇所に付加されたコード情報を認識し、認識したコード情報に対応する各種複写条件を各種複写条件が登録された記憶部から呼び出し、読み取った原稿イメージを複写する際の複写条件として設定する複写装置等も開示されている。また、このような画像処理装置において、バーコードやQRコード等の所定のパターンを認識するために、あらかじめ認識のためのプレスキャンを行い、その認識後に本スキャンをするという技術も開示されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−202132号公報
【特許文献2】特開2008−113410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような技術において問題となるのは、読取りの生産性である。特にMFPのような多機能を備えた装置の場合、その認識結果に応じて動作するには、この認識時間が生産性に大きな影響を与える。すなわち、まずスキャナで読取り、その後、読み取ったバーコードや所定のパターンに付加されたコード情報を認識する。そして、その認識後に出力動作が決まるためである。
【0009】
また、この読み取った原稿イメージの中の所定の箇所に付加されたコード情報を認識するためには、読み取った原稿イメージの中のどこにコード情報があるのか認識する必要があり、時間がかかる。例えば、A3原稿において、スキャナの読取りの始めに近い位置に原稿に付加されているのであればすぐにコード認識ができるが、A3原稿においてスキャナ読取りにおいて終了位置に近い位置に付加されていると、原稿イメージ中のコード情報の場所を見つけるのに時間がかかってしまう。
【0010】
上述したコード情報の位置が予め指定されているのであれば問題にはならないが、原稿台においてユーザがどの方向におくのかはユーザの操作次第となり、また、原稿に対していつも同一の場所にコード情報が付加されているのかは原稿を出力するアプリケーションによって異なるという問題もあった。
【0011】
このように、コード情報の場所を探すだけでも時間がかかり、さらにその後、そのコード情報を認識し、出力動作をするということとなると、通常のMFPの出力において生産能力に大きな影響を与えてしまう。
【0012】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、生産能力を改善する画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像処理装置は、原稿を読取り、画像データを得る画像読取手段と、画像読取手段により読取られた画像データの特定パターン領域を検出するパターン領域検出手段と、画像読取手段により読取られた画像データとパターン領域検出手段により検出された領域とを関連づけて記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶された画像データからパターン領域検出手段により検出された領域情報部分を読取り、特定パターンにより符号化されている情報を復号化する画像解読手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像処理装置は、記憶手段は、画像読取手段により読取られた画像データを分割して分割画像データとして蓄積し、分割画像データとパターン領域検出手段により検出された領域とを関連づけて記憶し、パターン領域検出手段により検出された領域が、記憶手段により蓄積された分割画像データの何れに属するのかを判断するデータ領域判別手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像処理装置は、画像読取手段により読取られた画像データの解像度を変換する解像度変換手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の画像処理装置は、画像解読手段は、パターン領域検出手段により特定パターン領域が検出されなかった場合には動作しないことを特徴とする。
【0017】
本発明の画像処理方法は、原稿を読取り、画像データを得る画像読取ステップと、画像読取ステップにより読取られた画像データの特定パターン領域を検出するパターン領域検出ステップと、画像読取ステップにより読取られた画像データとパターン領域検出ステップにより検出された領域とを関連づけて記憶する記憶ステップと、記憶ステップにより記憶された画像データからパターン領域検出ステップにより検出された領域情報部分を読取り、特定パターンにより符号化されている情報を復号化する画像解読ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明のプログラムは、原稿を読取り、画像データを得る処理と、得る処理により読取られた画像データの特定パターン領域を検出する処理と、得る処理により読取られた画像データと前記検出する処理により検出された領域とを関連づけて記憶する処理と、記記憶する処理により記憶された画像データから前記検出する処理により検出された領域情報部分を読取り、特定パターンにより符号化されている情報を復号化する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、記憶手段から画像データをすべて読み取り、その膨大なデータの中からパターン領域を検出し解読する必要がなくなるので、解読に必要な情報のみで動作させることが可能となり、読取りから出力にいたるまでの生産性能力を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る画像処理装置の概略構成例を示すブロック図である。以下、本実施形態に係る画像処理装置としてデジタル複写機を例に挙げて説明する。このデジタル複写機は、本実施形態に係る画像処理装置及び画像処理システムを実施するものであり、いわゆる複合機(MFP)である。
【0022】
まず、図1を参照して、本実施形態に係るデジタル複写機の各部の概略および原稿を複写する際に原稿を読み取って印刷出力するまでの一連の処理の内容について説明する。ここに説明するデジタル複写機は、本実施形態に係る画像処理システムを実施するものであるので、画像データに基づいて後述するような所定の処理を行う。
【0023】
図示するように、本実施形態に係るデジタル複写機は、画像読取部101、読取画像補正部102、パターン領域検出部103、出力画像処理部104、画像解読装置105、画像書込み部106、CPU(Central Processing Unit)107、メモリ108、HDD109、外部インターフェース(I/F)制御部110、NIC(Network Interface Card)111、FAX部112、操作部113を備えており、外部PC114とネットワークなどを介して接続されている。尚、ネットワークへの接続は有線であっても無線であっても構わない。
【0024】
次に、原稿が読み取られ、紙に出力するまでの過程を説明する。画像読取部101は、原稿をCCD光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータとそれら駆動回路を具備し、セットされた原稿をスキャンすることで原稿の濃淡情報をRGB各8ビットからなるデジタル画像データを生成して出力する。また、CCDで読み取った値が、CCD素子毎の感度ばらつきによるムラを補正するシェーディング補正を行い、画像データを出力する。その画像読取部101で読み取られた画像データは、画像処理部102とパターン領域検出部103に送信される。
【0025】
図2は、本実施形態に係る画像処理部102の概略構成例を示す図である。次に、本実施形態に係る画像処理部102の詳細について、図2に示す図を用いて説明する。
【0026】
像域分離処理201において、原稿の持つ特徴的なエリアの抽出を行う。例えば、一般的な印刷によって形成されている網点部の抽出、文字などのエッジ部の抽出、その画像データの有彩/無彩の判定、背景画像が白であるかの白背景の判定などを行う。また、画像処理部102に入力された画像データはスキャナγ処理204に送信される。このスキャナγ処理204では、画像読取部101のγ特性から出力する空間特性になるように画像データに対してγ変換を行う。具体的には、画像読取部101から出力されるカラー信号に対して、無彩色の特性を出力の空間特性になるようなγ変換処理を行う。
【0027】
その後、この出力データがフィルタ処理部202に送信される。このフィルタ処理部202は、画像データの持つ空間周波数を変換する役割を担う。また、像域分離処理201で判定された結果を用いて、その抽出部分ごとに特徴的なフィルタ処理を施す。例えば、網点部と検出されているエリアでは、網点を平滑するような平滑処理を施し、エッジ部で白背景であるならば、そのエリアは文字部であろうと推定して、MTF特性のよくなるようなエッジ強調処理を施す。
【0028】
このようにフィルタ処理202で処理を施された画像データは、色変換処理部203に送信され、予め決められた色空間特性になるように色変換処理を施される。一旦蓄積する画像形成であるので、汎用RGB空間であっても良いし、画像処理装置で予め決められた色空間への色変換処理を行う。色変換処理としては、例えば、特許第3713352号に記載されているような周知の色補正処理装置を用いて色変換を行う。
【0029】
その後、色変換された画像データは、必要に応じて解像度変換部207にて入力解像度を、要求される出力解像度に変換する。具体的な処理方式としては、3次元コンボリューション法のような処理を行う。また、入力解像度と出力解像度が同じであればここでの処理は行わない。その後、画像データ圧縮部206にてデータ圧縮する。また、同時に分離データも分離データ圧縮部205にて圧縮される。この画像データ圧縮部206での圧縮方式は圧縮率がよいJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの非可逆方式でよいが、分離データ圧縮部205における圧縮方式は、MMRなど可逆圧縮である必要がある。これは、分離データはその画素ごとの情報であり、後段の処理で使う時に劣化すると正しい処理が施されないためである。
【0030】
このように読取画像補正部102で処理された画像データは、拡張バスを経由して、メモリ108やHDD109にも蓄積される。このとき、画像データと一緒に、像域分離処理201の出力結果も同時に保存される。
【0031】
ここでのHDD109の作用は、読取装置によって読み取られ続けている間、プロッタなど画像書込み部に画像データを同タイミングで送り続けることができるなら良いが、実際、出力準備中などの場合は結果的に画像データが入力される一方で出力できない状態となってしまい、限りあるメモリ108の容量を超えてしまう。メモリが十分にあればいいが、単純にハードのコストアップとなってしまう。そこで、大容量装置HDD109に一旦格納して、このメモリ容量オーバーを解消する。また、一時的な保存であれば、メモリ108で記憶すればよいが、長期的に保存するには、HDD109で保存したほうがよい。例えば、メモリ108が不揮発メモリであれば別だが、画像処理装置自身の電源をOFFにする場合、一般的なRAMメモリでは記憶されているデータが消えてしまうためである。
【0032】
次に、いったんメモリ108に格納された画像データを出力画像処理部104に拡張バスを通じてデータを送信する。この出力画像処理部104では、蓄積された画像データの特性から紙出力を行うための画像書込み特性、例えば、カラー書込み装置だとするとCMYK画像へと変換する。その詳細について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る出力画像処理部104の概略構成例を示す。
【0033】
まず、入力データには予め圧縮された画像データと像域分離処理の結果のデータが含まれている。まず、分離・画像データ伸張部301にて、拡張バスを経由してきた圧縮データを伸張する。このとき、伸長された画像データと分離データが画素単位で対応付けされて次処理部へとデータ出力される。この分離・画像データ伸張部301にて伸張された画像データと分離データは、フィルタ処理302において書込み部のMTF特性に合うようにフィルタ処理を施す。前述した読取画像補正部102内におけるフィルタ処理では、メモリ105もしくはHDD106などに蓄積するために予め定められた特性に補正されているが、今回のフィルタ処理部302では、予め定められた蓄積画像特性から画像書込み部の画像特性へとなるように変換を行う。また、原稿の特徴的な分離データを用いて、特徴的な変換を施す。
【0034】
フィルタ処理部での処理が行われた後に画像データは色変換処理部303に送信される。ここでもまた、像域分離処理201の結果である分離データを用いて、例えば、無彩であるならば黒文字と仮定でき、それに基づいてCMYK変換を行うときに、墨単色処理を施すことができる。この色変換処理部303で処理された画像信号は、解像度変換部304の処理で、任意の変倍処理が行われた後、γ処理部305へと伝わり、予め定められた蓄積画像特性から出力特性のγ変換を行う。
【0035】
また、γ処理部305の処理後のデータを用いて、中間調処理306では画像書込み部106の特性に合うような階調処理を施す。例えば、ディザ処理や誤差拡散処理を行う。また、画像書込み部106の階調の深さ(ビット数)の変換もここで行う。たとえば、1bitの出力であるならば、ここで、入力された8bitの信号に対してディザ処理を行いながら1bit化を行う。
【0036】
上述したように、出力画像処理部104で処理された画像データは、再度、メモリ108に又は必要に応じてHDD109に保存される。その後、画像書込み部106に入力され、CMYKからなるデジタル画像データを受け取るとレーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、用紙等の記録媒体に受け取った画像データを出力する。
【0037】
また、画像読取部101の出力画像データは、パターン領域検出部103にも入力される。画像読取部101からのデータは、前述したようにCCDなどラインセンサ等で読み取られるため、画像データとしてもライン順次でデータ出力されてくる。このライン順次で入力される画像データに対して、パターン領域検出部103では、画像データに画像として符号化されて埋め込まれているデータがどこにあるかを検出する。例えば、この符号化するデータが一般化されているQRコードのような場合、画像読取部101で読み取られた画像データをQRコードとしてマトリクス内に所定位置に配置されているパターンの位置決めシンボルを検出する。ここで検出されたシンボルの座標を記憶し、QRコードによって3箇所のシンボルが見つかれば、その領域はおのずと検出される。検出された領域は、先に読み取られた画像データと関連付けられたメモリ108やHDD109に記憶される。
【0038】
また、このQRコード等の特定パターンが原稿のおき方やそもそも特定パターンが回転された状態で付加されているような場合、この検出領域は、シンボルの位置から割り出された水平、垂直の範囲を領域として出力する。たとえば図4のようにQRコードが回転されていたらば、このQRコードが十分に納まる範囲をパターン領域として出力する。
【0039】
次に、HDD109やメモリ108に記憶されている画像データに対して、パターン領域検出部103で検出されたパターン領域を用い、その領域のみを読み出し、画像解読装置105にデータを転送する。この画像解読装置105では、領域内にあるイメージとして符号化された情報を復号化し、それらの情報をCPU107などに送る。尚、この画像解読装置105はCPU107などでの演算処理であってもよいし、本実施形態のように、ハード化され、バス上につながっていても問題はない。その後、その復号化された情報を元に、出力装置もしくは、出力画像処理部104に送る。
【0040】
ここで、図4のように示された領域の転送について、パターン領域検出部103では、あくまでもシンボルとなる位置情報のみの検出であってもよい。QRコードであれば、3つのシンボルを見つけ、その座標情報をCPU107に送る。その座標情報を元にパターン領域として必要な領域を検出して、その領域を読み取る。これは、生産性を考えた場合、ライン順次で処理されている画像データから、2次元的な処理をするためにはメモリがその処理をするための容量が必要になるが、QRコード全体をカバーするメモリ領域を保存するとメモリ量が多くなってしまう。また、ライン順次動作内での検出を行わないと、結果的にバッファメモリを増大に持つ必要になる。そこで、あくまでもライン順次で検出できる位置座標のみを検出し、そのほかの2次元的な処理が必要なことはメモリ蓄積時、もしくはCPU107などの処理で対応する。
【0041】
さて、画像読取部101、読取画像補正部102、出力画像処理部104、画像書込み部106へとデータの転送には画像データ拡張バスを経由して、それぞれの入出力が行われる。そのとき、これらを制御しているタイミングによっては、例えば、画像処理部によって施された画像データを画像書込み部で出力しようとしても、エンジンプロッタの状態では、まだ紙出力への準備ができていないことがある。
【0042】
上記したような場合は一旦、記憶装置に画像データを保持する。また、画像データ拡張バスは、各モジュールが共有するので、その入出力を調整するCPU107によって制御される。ここでは、前述した記憶装置もCPU107と拡張バスを経由して接続されており、記憶媒体であるRAMなどのメモリ108やHDD109などが接続されている。
【0043】
このメモリ108では、実際には、画像読取部101におけるラインスキャナによって読み取られ、出力画像処理部104に転送する際、転送速度とそのときの処理、例えば、画像読取部101で読み取りしているときに、出力画像処理部104では別の処理が施されているときに、メモリ105に画像データが保持される。その後、必要に応じて、HDD109へ画像データを格納して、データの再利用などに用いる。
【0044】
また、画像処理装置が、図1に示すような本実施形態の構成の場合、画像読取部101からの原稿読み取り動作と、画像書込み部106の出力動作が各々独立に動作することがある。例えば、ある原稿をHDD109に保存しながら、FAXとしてメモリ送信する。また、同時に、あらかじめ蓄積されている画像データを原稿に出力するような、同時動作が行われることがある。このような場合、まず原稿が画像読取部101で読み取られ、読取画像補正部102で処理され、同時にパターン領域検出部103で判定され、HDD109に画像が蓄積される。同時に、HDD109に予め蓄積されている別の画像データに対して、出力画像処理部104を使って画像書込み部106への出力用の画像データを作成する。その後、画像データを画像書込み部106へ出力する。
【0045】
このとき、画像書込み部106と画像読取部101は、メカ構造上、出力生産能力が出力画像処理部104などに比べて遅い。例えば、スキャナやプロッタは紙を読み取る、また、出力するといった紙搬送の時間があり、必然的に、ハードウェアなどで演算するような画像処理部に比べると遅くなる。
【0046】
そこで、図5に示すように、上記のような同時動作の場合、蓄積画像を出力するための画像データが、画像書込み部106が出力するまでに十分な時間的余裕がある場合に、読み取られた画像をFAX送信するための処理を出力画像処理部104では行う。その後、FAX送信用の画像データは、一度メモリ108もしくはHDD109に待避され、すべての画像データがそろった時点で、外部I/F制御部110を通じて、FAX部112からデータ送信を行う。
【0047】
このように、MFP内では同時に多数の処理が要求されることが必然で、その処理の順番等はCPU107で管理及び制御をする。尚、図5について補足するが、左に時間軸をとり、三角形の画像は、1枚あたりの画像のデータ蓄積量をイメージとして記している。実際に単位時間における画像データの蓄積量はハード能力により一定にたまるのであるが、あくまで図5はイメージとした蓄積量をあらわしているに過ぎない。
【0048】
ここで、画像読取部101により読取った画像データを蓄積する場合もある。以下に、画像データを蓄積後のそのデータを使った別の出力を行うような再利用を目的に、デバイス依存しない形式で蓄積することを目的とした画像処理システムについて説明する。
【0049】
まず、画像読取部101で読み取った画像データをデバイス依存しない形式に変換して蓄積するまでの処理動作について説明する。
【0050】
原稿が、スキャナなどの画像読取部101において画像データとして形成されたのち、読取画像補正部102においてデバイス依存しない画像データに変換される。具体的にこのデバイスに依存しない画像データの特性としては、例えば、色空間であれば、標準色空間であるsYCCや、AdobeRGB空間、または、予め定められたRGB空間である。また、空間周波数やなども定めている。そのような特性となるように画像処理部を使って変換される。その後、画像データ拡張バスを介して、HDD109に蓄積される。また、パターン領域検出部103において、バーコードなどの所定のコードの位置情報を検出する。そして、その検出された画像データの領域を読み出し画像解読装置でこの画像データが示すコードの情報を複合化する。
【0051】
次に蓄積された画像データを用いて、紙出力するまでの処理動作について説明する。
【0052】
蓄積された画像データは、まずHDD109に保持されており、メモリ108、拡張バスを介して出力画像処理部104に転送される。このとき、出力画像処理部104では、紙出力が目的であることから、デバイス依存しない形式の画像データの特性から画像書込み部106で出力するデータ特性に合った画像処理変換が行われる。その後、一旦メモリ108を介し、画像書込み部106によって紙出力がされる。
【0053】
尚、出力動作処理をする前に、画像解読装置105でこの復号化されたデータに、例えば、複写許可されているかなどのジョブロック機能や、原本は誰が出力したものなのかというユーザ情報などが含まれていたとする。その場合、ジョブロック機能においてユーザが許可したユーザにしか出力ができないような設定になっている場合には、蓄積された画像データを出力するための処理動作はされずに、例えば、その出力できないという情報を操作部113に表示したり、管理者などにこの印刷しようとしている状態を通知したりする。
【0054】
(実施形態2)
画像処理装置において読取り画像を一度蓄積する場合には、上記実施形態1において述べたとおり、例えば、JPEGなどの非可逆圧縮が用いられるが、これら圧縮は固定長圧縮ではない。そのため、パターン領域検出されたとしても、実際に記憶装置から読み出すためには全領域を一度圧縮解凍する必要が出てくることがある。そこで、記憶するときに、読み出す領域を少なくし、生産能力を落とさないようにするために、分割して記憶する手段を用いる例を以下に説明する。
【0055】
まず上記実施形態1において述べたように、画像読取部101で読み取られた画像データは、読取画像補正部102に入力される。この読取画像補正部102において処理されたデータを、画像データ圧縮部206で圧縮された画像データを処理するためのバンド単位で保存する。例えば、A4の画像を8分割に分けて、蓄積装置には8個の画像データとして保存する。なお、この分割はライン方向に分割されるのが好ましい。すなわち、読取装置がライン処理されてデータ転送されてくることにより、順次に保存処理できる方式が好ましい。
【0056】
その後、パターン領域検出部103によって検出されたパターン領域が上記分割されたデータのどの領域に属するのかを判別する。この判別手段は、CPU107などで行ってもよい。また、この判別する際において、画像分割する方向がライン方向に分割されているとするならば、判別手段も座標で表されるその一方方向の座標のみを用いて検出するための分割領域を算出すればよい。
【0057】
このデータ領域を判別された結果を用いて、その分割した画像データを読み出し、圧縮されている画像データを伸張して、その領域内に符号化されている画像データから情報を複合化して読み出す。これにより、画像解読に必要な最低限の画像データのみで動作することが可能になり、読取りから出力にいたるまでの生産性能力を向上させることが可能となる。
【0058】
(実施形態3)
MFPは画像データを拡大・縮小する変倍機能を備えている。この変倍機能は、読み取られた画像データに対して、コンボリューション法などを用いてデジタル処理する場合や、読取装置によって変倍処理される場合がある。多くの場合は、例えば、300dpi出力を行う場合、画像読取装置では副走査方向はメカ読取りを使って300dpi読取りをするものの、主走査方向はCCDが600dpiの解像力を持っている場合、そのままの読取出力を行い、その後、デジタル処理で300dpi化の解像度変換を行う。
【0059】
そこで、パターン領域検出部103において、入力される画像解像力は、上述するような場合は、処理をしないと600dpi×300dpiの画像解像度となる。このとき、埋め込まれている特定パターンは、イメージに対して回転された状態で入ることもある。このような場合、縦横の解像比が異なると検出アルゴリズムには解像度の違いを考慮した動作が求められる。そこで、パターン領域検出部103の最初の処理において、解像度変換をして縦横の比率を合わせる。これにより、パターン領域を検出するためのシンボル検出において、解像度の違いを気にせずに、検出処理をすることが可能となる。
【0060】
また、画像データとして画像周波数は、読み取られたときの解像度による。そこで、上記のような場合において、解像度変換は、主走査方向又は副走査方向の何れか低い解像力に合わせて変換する。パターン領域検出103として、また、符号化されたデータを復号して解読する場合にも最低解像度は絶対的なものがある。しかし、その絶対的な解像力は読み取り時に決まってしまい、それ以上の解像力で読み取られることが最低条件となっている。そこで、どちらか小さいほうの画像解像度になるように変換する。すなわち主走査もしくは副走査の画像解像度に基づいて、同一解像度に統一してパターン検出をする。
【0061】
また、絶対的な解像力の範囲になればよいので、それ以上の解像力は逆にデータが大きくなってしまい、パターン検出時間に影響を与えることがある。そこで、大きい解像力で読み取られた場合には、どちらか小さい画像解像度にあわせずに、その解像度を縮小して処理時間に有利な解像力に変換するようにしてもよい。
【0062】
また、読取りにおいて、上述したように主走査方向はCCDのラインセンサのために固定の解像度で読み込まれる。一方、副走査方向は、読取りの搬送スピードに応じて解像度が変化する。
【0063】
そこで、本実施形態では主走査方向のみ解像力変換を実行する。副走査方向に対して解像力変換をするためには、例えば、コンボリューション法であれば、少なくとも4ライン分程のデータが必要となり、メモリの容量が必要となってしまう。しかし、上述したように、絶対的な最低解像度で読み取られる読取装置において、その副走査方向の解像度に基づいて主走査方向のみを変倍して、そのデータにて検出処理をすることにより、解像力変換する方向を固定でき、かつ変倍処理機がひとつで済む。
【0064】
また、解像度が検出するために必要な解像度よりも十分に大きい場合には、検出するために必要なデータ量を増やしてしまうことになる。例えば、ラインセンサが1200dpiである場合には、必要な解像度が十分に大きい。しかし、データ量は大きくなってしまい、検出に必要なメモリ量も必然と増えてしまう。そこで、メモリ量を減らすためにも検出に必要な解像度に縮小変倍してパターン検出する。これにより、メモリ量を不要に増やすことを防ぐことが可能となる。
【0065】
(実施形態4)
本実施形態に係る画像処理装置において生産性を決める処理時間は、読取時間、画像解読時間及び出力処理時間の合計となる。ここで、画像出力における工程で、常に、処理が必要なのは、読取り処理と出力処理となる。画像解読処理に関しては、解読するための画像パターンが存在していれば処理は必要になるが、画像パターンが存在しない場合には処理は不要となる。
【0066】
読取画像補正部102において読取補正処理をすると同時に、パターン領域検出部103においてパターン領域検出し、パターン検出されなかった場合には処理動作として画像解読をする必要性はない。そこで、例えば、パターン検出しなかったという情報をCPU107に送信し、その情報に基づいて画像解読する処理を行わないという判断を行い、次の動作へと移行する。これにより、必要な場合のみ画像解読することができ、不要な動作を抑制し、生産性を向上することが可能となる。
【0067】
以上、上述した実施形態により、従来は記憶装置から画像データをすべて読み取り、その膨大なデータの中からパターン領域を検出し解読する必要があったが、解読に必要な情報のみで動作させることが可能になり、読取りから出力にいたるまでの生産性能力を向上させることが可能となる。
【0068】
また、画像データを分割して蓄積を行い、また、その画像データに含まれるパターンの領域を算出し、そのパターンが分割して蓄積されたデータのどこに属するかを検出し、その属された画像データのみ記憶装置から読み出し、画像解読装置でパターンに含まれている符号化された情報を複合化して、その情報に基づいて出力動作することを可能としたことにより、画像解読に必要な最低限の画像データのみで動作することが可能になり、読取りから出力にいたるまでの生産性能力を向上させることが可能となる。
【0069】
さらに、パターン領域検出部103に解像度変換機能を有することにより、画像読取部101及び画像処理全体で実現する変倍方式によらずに、パターンの領域に必要な画像データの縦横の解像力を統一することが可能となった。また、画像読取部101に解像能力が高い場合に小さい解像度変換をすることが可能となり、これによりパターン領域検出に必要なメモリ量を減らすことが可能となる。
【0070】
また、パターンの領域を検出できない場合には、その結果に基づいて画像解読装置105による画像解読の動作を停止し、出力動作に移行することにより、画像ごとに必要な動作のみ行うことができ、不要な動作を除いて生産性を向上させることが可能となる。
【0071】
尚、CPU107が実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0072】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の概略構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理装置の画像処理部の概略構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る画像処理装置の出力画像処理部の概略構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像処理装置のパターン領域検出部が検出するパターン領域の例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る画像処理装置における画像のデータ蓄積量と時間の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
101 画像読取部
102 読取画像補正部
103 パターン領域検出部
104 出力画像処理部
105 画像解読装置
106 画像書込み部
107 CPU
108 メモリ
109 HDD
110 外部I/F制御部
111 NIC
112 FAX部
113 操作部
114 外部PC
201 像域分離処理部
202 フィルタ処理部
203 色変換処理部
204 スキャナγ処理部
205 分離データ圧縮部
206 画像データ圧縮部
207 解像度変換部
301 分離・画像データ伸張部
302 フィルタ処理部
303 色変換処理部
304 解像度変換処理部
305 γ処理部
306 中間調処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取り、画像データを得る画像読取手段と、
前記画像読取手段により読取られた画像データの特定パターン領域を検出するパターン領域検出手段と、
前記画像読取手段により読取られた画像データと前記パターン領域検出手段により検出された領域とを関連づけて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された画像データから前記パターン領域検出手段により検出された領域情報部分を読取り、前記特定パターンにより符号化されている情報を復号化する画像解読手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記画像読取手段により読取られた画像データを分割して分割画像データとして蓄積し、前記分割画像データと前記パターン領域検出手段により検出された領域とを関連づけて記憶し、
前記パターン領域検出手段により検出された領域が、前記記憶手段により蓄積された分割画像データの何れに属するのかを判断するデータ領域判別手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像読取手段により読取られた画像データの解像度を変換する解像度変換手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記解像度変換手段は、主走査方向及び副走査方向の何れか小さい解像度に統一することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記解像度変換手段は、前記主走査方向のみの解像度を変換することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像読取手段により読取られた画像データの解像度が、前記パターン検出領域手段によるパターン検出に十分な解像度よりも大きい場合は、パターン検出領域手段によるパターン検出に十分な解像度に、前記画像データの解像度を小さく変換することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像解読手段は、前記パターン領域検出手段により特定パターン領域が検出されなかった場合には動作しないことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原稿を読取り、画像データを得る画像読取ステップと、
前記画像読取ステップにより読取られた画像データの特定パターン領域を検出するパターン領域検出ステップと、
前記画像読取ステップにより読取られた画像データと前記パターン領域検出ステップにより検出された領域とを関連づけて記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップにより記憶された画像データから前記パターン領域検出ステップにより検出された領域情報部分を読取り、前記特定パターンにより符号化されている情報を復号化する画像解読ステップと、を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記記憶ステップは、前記画像読取ステップにより読取られた画像データを分割して分割画像データとして蓄積し、前記分割画像データと前記パターン領域検出ステップにより検出された領域とを関連づけて記憶し、
前記画像読取ステップにより読取られた画像データの解像度を変換する解像度変換ステップと、
前記パターン領域検出ステップにより検出された領域が、前記記憶ステップにより蓄積された分割画像データの何れに属するのかを判断するデータ領域判別ステップと、をさらに備えることを特徴とする請求項8記載の画像処理方法。
【請求項10】
原稿を読取り、画像データを得る処理と、
前記得る処理により読取られた画像データの特定パターン領域を検出する処理と、
前記得る処理により読取られた画像データと前記検出する処理により検出された領域とを関連づけて記憶する処理と、
前記記憶する処理により記憶された画像データから前記検出する処理により検出された領域情報部分を読取り、前記特定パターンにより符号化されている情報を復号化する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−62859(P2010−62859A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226298(P2008−226298)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】