説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】編集前の色調整パラメータ及び編集中の色調整パラメータを適用することによって生成された画像データを比較し、所望の色調整パラメータを編集する。
【解決手段】画像処理装置は、色調整パラメータを編集する(S408)。画像処理装置は、撮像装置から画像データを受信し(S410)、編集前の色調整パラメータを画像データに適用して第1の画像データを生成するとともに、編集された色調整パラメータを画像データに対して適用して第2の画像データを生成する(S411)。画像処理装置は、第1の画像データ及び第2の画像データを表示手段において表示させる(S412)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色調整パラメータが適用された画像データを表示するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラには、撮像素子によって撮影中の画像データをデジタルカメラの背面の液晶モニタに表示するだけでなく、デジタルカメラと接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置にも転送することができるものがある。また、従来のデジタルカメラには、撮影中の画像データの撮影条件や色調整等を制御できるものもある。
【0003】
特許文献1には、表示装置にライブビュー画像を転送している際に、撮影条件を反映したライブビュー表示状態と、撮影条件をリセットした設定を反映したライブビュー表示状態との間で切り替えを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−245810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、撮影条件を反映したライブビュー表示状態と、撮影条件をリセットした設定を反映したライブビュー表示状態との双方を同時に見比べることができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、編集前の色調整パラメータ及び編集中の色調整パラメータを適用することによって生成された画像データを比較し、所望の色調整パラメータを編集することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、撮像装置と通信可能に接続された画像処理装置であって、色調整パラメータを編集する編集手段と、前記撮像装置から画像データを受信する受信手段と、前記編集手段による編集前の色調整パラメータを前記画像データに適用することにより第1の画像データを生成するとともに、前記編集手段により編集された色調整パラメータを前記画像データに対して適用することにより第2の画像データを生成する画像処理手段と、前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示手段において表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、編集前の色調整パラメータ及び編集中の色調整パラメータを適用することによって生成された画像データを比較し、所望の色調整パラメータを編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図である。
【図3】表示部における表示用画像データの表示例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る撮像装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置100の構成を示す図である。A/D変換部102は、撮像素子101から出力されるアナログ形式の画像信号をデジタル形式の画像信号に変換する。以下では、A/D変換部102から出力されるデジタル形式の画像信号と画像データと称す。画像処理部106は、A/D変換部102から出力される画像データに対して現像処理を行い、RAM107に記憶されている色調整パラメータを適用することにより、画像データに対して色調整を施す。以下では、画像処理部106において色調整が施された画像データを、色調整画像データと称す。
【0012】
通信処理部103は、後述する画像処理装置200から色調整パラメータを受信する。受信した色調整パラメータはRAM107に記憶される。また通信処理部103は、色調整画像データを画像処理装置200に対して送信する。RAM107は、画像処理部106によって生成された色調整画像データ、及び、画像処理装置200から受信した色調整パラメータを記憶する。CPU105は、上記各部を制御するためのプログラムを実行する。当該プログラムは、ROM108において記憶され、必要に応じてCPU105によって読み込まれて実行される。なお、上記各構成はシステムバス104を介して接続されている。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置200の構成を示す図である。通信処理部201は、通信ケーブルを介して撮像装置100と通信可能に接続するための通信インタフェースであり、リモートライブビュー撮影が開始されると、撮像装置100から色調整画像データを受信する。なお、通信インタフェースとしては、USB(Universal Serial Bus)等が用いられる。また、通信ケーブルを用いた有線接続に代えて無線接続を採用してもよい。
【0014】
画像処理装置200は、色調整部208における設定が2系統表示モードである場合、RAM206に予め記憶されているリニアな色調整パラメータを、通信処理部201を介して撮像装置100に対して送信する。ここでいうリニアな色調整パラメータとは、入力と出力とが等しい関係にある色調整パラメータを指す。例えば、色調整パラメータの形式がマトリクスであれば、リニアな色調整パラメータは単位行列であり、色調整パラメータの形式が1DLUT(1次元ルックアップテーブル)であれば、リニアな色調整パラメータは傾きが1で切片が0の直線となる。
【0015】
一方、色調整部208の設定が1系統表示モードである場合、画像処理装置200は、色調整部208で生成された後述する編集中の色調整パラメータを逐次、通信処理部201を介して撮像装置100に対して送信する。画像処理部202は、編集中の色調整パラメータが適用されることによって生成された色調整画像データを撮像装置100から受信する。すると、表示部203は、図3(b)に示すように、上記色調整画像データを表示用画像データとして表示する。なお、編集中の色調整パラメータが適用された表示用画像データ、及び、後述する編集前の色調整パラメータが適用された表示用画像データの2系統を表示する2系統表示モードである場合、図3(a)に示すように、これらの表示用画像データが同時に表示される。なお、編集前の色調整パラメータが適用されることによって生成された表示用画像データは第1の画像データの例であり、編集された色調整パラメータが適用されることによって生成された表示用画像データは第2の画像データの例である。
【0016】
CPU205は、画像処理装置200全体を制御する。RAM206は、撮像装置100から受信した色調整画像データ、並びに、色調整部208によって生成された色調整パラメータ、リニアな色調整パラメータ及び予め外部装置から受信した色調整パラメータ等の複数の色調整パラメータを記憶する。色調整部208は、ユーザインタフェースを有し、当該ユーザインタフェースに対するユーザ操作に応じて、色調整パラメータの編集処理や、表示部203に表示用画像データを表示させる際に1系統表示モードとするか、2系統表示モードとするかを選択する。なお、ここでの色調整パラメータの編集処理の結果はRAM206に記憶される。
【0017】
記憶部207に格納されているプログラムは、一旦RAM206に読み出された後、CPU205によって実行される。記憶部207は、画像処理装置200における各種処理に必要なプログラムやデータを記憶している。なお、上記各構成はシステムバス204を介して接続されている。
【0018】
図4は、画像処理装置200の処理を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、画像処理装置200のCPU205が記憶部207からRAM206にプログラムを読み出して実行することにより、実現する処理である。
【0019】
画像処理装置200から撮像装置100をリモートコントロールして、リモートライブビュー撮影の開始を指示することにより以下の処理が開始される。ステップS400において、CPU205は、ユーザによって設定された内容に基づいて、2系統表示モードであるか否かを判定する。2系統表示モードではない、即ち、1系統表示モードである場合、処理はステップS401に移行する。一方、2系統表示モードである場合、処理はステップS406に移行する。なお、2系統表示モードは第1のモードの例であり、1系統表示モードは第2のモードの例である。
【0020】
ステップS401において、CPU205は、色調整部208が有するユーザインタフェースに対するユーザの操作に応じて、色調整パラメータを生成する。ステップS402において、CPU205は、生成した色調整パラメータを、編集中の色調整パラメータとしてRAM206に記憶させる。ステップS403において、CPU205は、RAM206に記憶された編集中の色調整パラメータを撮像装置100に送信する。ステップS404において、CPU205は、上記編集中の色調整パラメータが適用されることによって生成された色調整画像データを撮像装置100から受信し、RAM206に記憶させる。ステップS405において、CPU205は、図3(b)に示すように、RAM206に記憶された色調整画像データを表示用画像データとして表示部203に表示させる。
【0021】
ステップS406において、CPU205は、RAM206に予め記憶されているリニアな色調整パラメータを撮像装置100に送信する。ステップS407において、CPU205は、RAM206に予め記憶されている複数の色調整パラメータのうち、編集中の色調整パラメータとの比較表示に使う色調整パラメータを編集前の色調整パラメータとして決定する。
【0022】
ステップS408において、CPU205は、色調整部208が有するユーザインタフェースに対するユーザの操作に応じて、ステップS407で決定した編集前の色調整パラメータを編集する。ステップS409において、CPU205は、ステップS408における編集前の色調整パラメータに対する編集結果を、編集中の色調整パラメータとしてRAM206に記憶させる。
【0023】
ステップS410において、CPU205は、リニアな色調整パラメータが適用されることによって生成された色調整画像データを撮像装置100から受信し、RAM206に記憶させる。ステップS411において、画像処理部202は、ステップS410においてRAM206に記憶された色調整画像データに対し、編集前の色調整パラメータ及び編集中の色調整パラメータをそれぞれ適用する。これにより、色調整画像データに対して編集前の色調整パラメータが適用された表示用画像データが生成されるとともに、色調整画像データに対して編集中の色調整パラメータが適用された表示用画像データが生成される。
【0024】
ステップS412において、CPU205は、生成された2つの表示用画像データを図3(a)に示すように表示部203に表示させる。ステップS413において、CPU205は、全ての色調整の終了指示があったか否かを判定する。全ての色調整の終了指示があった場合、処理は終了する。一方、全ての色調整の終了指示がまだない場合、処理はステップS408に戻る。
【0025】
図5は、撮像装置100の処理を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、撮像装置100のCPU105がROM108からプログラムを読み出して実行することにより、実現する処理である。
【0026】
ステップS501において、CPU105は、画像処理装置200の指示によりリモートライブビュー撮影の開始指示を受け付けた後、画像処理装置200から色調整パラメータを受信し、RAM107に記憶させる。ステップS502において、CPU105は、画像処理装置200からの指示に従って連続的に撮影処理を行う。ステップS503において、CPU105は、撮影された画像データに対して現像処理を施した後、RAM107に記憶されている色調整パラメータを適用し、色調整画像データを生成する。但し、RAM107に記憶されている色調整パラメータがリニアな色調整パラメータである場合、CPU105は、色調整パラメータを適用せずに色調整画像データを生成する。これは、リニアな色調整パラメータを適用して色調整を行ったとしても、色調整前後の画像データに変化はないため、色調整を実行しない方が処理を効率化できるためである。
【0027】
ステップS504において、CPU105は、生成した色調整画像データを画像処理装置200に送信する。ステップS505において、CPU105は、画像処理装置200からライブビュー撮影の終了指示があったか否かを判定する。終了指示があった場合、本処理を終了する。一方、終了指示がない場合、処理はステップS501に戻る。
【0028】
本実施形態においては、編集前の色調整パラメータ及び編集中の色調整パラメータを適用することによって生成された表示用画像データを同時に表示することができる。従って、ユーザはこれらの表示用画像データを比較し、所望の色調整パラメータに編集することができる。
【0029】
以上、本発明を適用した好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0030】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0031】
100:撮像装置、101:撮像素子、102:A/D変換部、103:通信処理部、104:システムバス、105:CPU、106:画像処理部、107:RAM、108:ROM、200:画像表示装置、201:通信処理部、202:画像処理部、203:表示部、204:システムバス、205:CPU、206:RAM、207:記憶部、208:色調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と通信可能に接続された画像処理装置であって、
色調整パラメータを編集する編集手段と、
前記撮像装置から画像データを受信する受信手段と、
前記編集手段による編集前の色調整パラメータを前記画像データに適用することにより第1の画像データを生成するとともに、前記編集手段により編集された色調整パラメータを前記画像データに対して適用することにより第2の画像データを生成する画像処理手段と、
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示手段において表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
入力と出力とが等しい関係にあるリニアな色調整パラメータを前記撮像装置に対して送信する送信手段を更に有し、
前記受信手段は、前記送信手段により前記リニアな色調整パラメータが前記撮像装置に対して送信された場合、前記撮像装置において前記リニアな色調整パラメータが適用されることなく生成された前記画像データを、前記撮像装置から受信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示させる第1のモードのほか、前記編集手段による編集中の色調整パラメータが適用されることにより生成された画像データを表示させる第2のモードを更に有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2のモードにおいて、前記送信手段は、前記編集手段による編集中の色調整パラメータを前記撮像装置に対して送信し、前記受信手段は、当該編集中の色調整パラメータが適用されることによって生成された画像データを前記撮像装置から受信し、前記表示制御手段は、当該編集中の色調整パラメータが適用されることによって生成された画像データを表示手段において表示させることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
撮像装置と通信可能に接続された画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
色調整パラメータを編集する編集ステップと、
前記撮像装置から画像データを受信する受信ステップと、
前記編集ステップによる編集前の色調整パラメータを前記画像データに適用することにより第1の画像データを生成するとともに、前記編集ステップにより編集された色調整パラメータを前記画像データに対して適用することにより第2の画像データを生成する画像処理ステップと、
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示手段において表示させる表示制御ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
撮像装置と通信可能に接続された画像処理装置によって実行される画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
色調整パラメータを編集する編集ステップと、
前記撮像装置から画像データを受信する受信ステップと、
前記編集ステップによる編集前の色調整パラメータを前記画像データに適用することにより第1の画像データを生成するとともに、前記編集ステップにより編集された色調整パラメータを前記画像データに対して適用することにより第2の画像データを生成する画像処理ステップと、
前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを表示手段において表示させる表示制御ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−98625(P2013−98625A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237277(P2011−237277)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】