説明

画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム

【課題】従来の画像形成装置では、ベクターデータ同士が重複した場合の処理については記載されていない。また、従来の画像形成装置では、例えば重複したベクターデータの色情報を変更する場合、文字列等の全ての色情報を変更する。
【解決手段】色情報変更ユニット55は、重複検出ユニット53において重複が検出され、色判断ユニット54において色の差分が所定量内と判断された場合に、第1の要素画像が複数の部分要素画像に分割されたときにおける、重複が検出された位置の部分要素画像に対応する部分要素データの色情報と、第2の要素画像が複数の部分要素画像に分割されたときにおける、重複が検出された位置の部分要素画像に対応する部分要素データの色情報とのうち、少なくとも1つの色情報を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、CAD(Computer Aided Design)等の画像データは、多数の線画やテキスト等のベクターデータを有する。そのため、画像データにおけるベクターデータ同士の描画画像の重複が頻繁に発生する。そのようなCAD等の画像データの印刷画像において、例えば、同一色のベクターデータの描画画像が重複した場合、当該重複画像の各部分がいずれのベクターデータによって描画されたのかを識別することが困難である。
【0003】
具体的に、黒色の線のベクターデータと、黒色の文字列“一二三”等のベクターデータによる描画画像とが重複する場合、その印刷画像から黒色の線と黒色の文字列の情報を正確に区別して判読することが困難である。このように、複数の同一色のベクターデータの描画画像が重複する場合、その印刷画像における情報の判読性が不十分であり不便であった。
【0004】
そこで、特許文献1では、画像形成処理において、ラスターデータとベクターデータ(例えば、「ABCDEFGHIJ」等の文字列)とが重複し、色が同一または近似する場合に、ベクターデータの色情報を変更することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−302966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、ベクターデータ同士が重複した場合の処理については記載されていない。また、従来の画像形成装置では、例えば重複したベクターデータの色情報を変更する場合、「ABCDEFGHIJ」等の文字列全ての色情報を変更する。これにより、例えば、文字列等のベクターデータが当該ベクターデータと同一色のラスターデータA、及び、当該ベクターデータと色の異なるラスターデータBと重複する場合、ラスターデータAとの識別を可能にするためにベクターデータの色情報を変更した結果、変更後の色情報がかえってラスターデータBと同一または近似してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する描画要素データの画像処理を行う画像処理装置であって、前記描画要素データに基づく要素画像を複数の部分要素画像に分割する画像分割手段と、前記部分要素画像に対応する前記描画要素データとなる部分要素データを生成する部分要素データ生成手段と、第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出する重複検出手段と、前記第1の描画要素データの前記色情報と前記第2の描画要素データの前記色情報とを比較して色の差分が所定量内か否かを判断する色判断手段と、前記色情報を変更する色情報変更手段と、を有し、前記色情報変更手段は、前記重複検出手段において前記重複が検出され、前記色判断手段において前記色の差分が所定量内と判断された場合に、前記第1の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報と、前記第2の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報とのうち、少なくとも1つの前記色情報を変更することを特徴とする画像処理装置。
【0009】
上記した画像処理装置によれば、重複検出手段において重複が検出され、色判断手段において色の差分が所定量内と判断された場合に、色情報変更手段が、重複が検出された位置に対応する両方の部分要素データの色情報のうち、片方又は両方の色情報を変更する。これにより、重複部分の描画画像を識別可能にしながら、色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。
【0010】
[適用例2]前記色情報変更手段は、前記第1の要素画像における前記部分要素画像の分割数と、前記第2の要素画像における前記部分要素画像の分割数とを比較し、分割数の多い前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報を変更することを特徴とする上記画像処理装置。
【0011】
上記した画像処理装置によれば、重複が検出された位置に対応する両方の部分要素データの色情報のうち、分割数が多い部分要素データの色情報を変更する。これにより、要素画像全体の中で占める割合の小さい部分要素画像について、部分要素データの色情報を変更することになる。この結果、描画色の変更が目立たなくなり、違和感の少ない画像を描画することができる。
【0012】
[適用例3]前記色情報変更手段は、前記第1の要素画像における前記部分要素データの描画開始座標及び描画終了座標間の距離と、前記第2の要素画像における前記部分要素データの描画開始座標及び描画終了座標間の距離とを比較し、距離の短い前記部分要素データの前記色情報を変更することを特徴とする上記画像処理装置。
【0013】
上記した画像処理装置によれば、重複が検出された位置に対応する両方の部分要素データの色情報のうち、始点と終点との距離が短い側の部分要素データを変更する。これにより、色情報の変更箇所の距離を短くすることができる。この結果、描画色の変更が目立たなくなり、違和感の少ない画像を描画することができる。
【0014】
[適用例4]前記所定量は、0であることを特徴とする上記画像処理装置。
【0015】
上記した画像処理装置によれば、重複する同一色の描画画像を識別可能にしながら、色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。
【0016】
[適用例5]前記所定量は、前記画像処理装置において表色可能な色空間における最大の色の差分の3%未満であることを特徴とする上記画像処理装置。
【0017】
上記した画像処理装置によれば、重複する識別困難な色の描画画像を識別可能にしながら、色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。
【0018】
[適用例6]前記重複検出手段は、前記第1の描画要素データの描画命令の示す描画対象の前記画素領域と、前記第2の描画要素データの描画命令の示す描画対象の前記画素領域とに基づいて前記重複を検出することを特徴とする上記画像処理装置。
【0019】
上記した画像処理装置によれば、描画命令に係るレンダリング処理を重複して行うことを回避できる。
【0020】
[適用例7]前記描画要素データは、ベクターデータであることを特徴とする上記画像処理装置。
【0021】
上記した画像処理装置によれば、ベクターデータについて重複部分の描画画像を識別可能にしながら、色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。
【0022】
[適用例8]描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する描画要素データの画像処理を行う画像処理方法であって、前記描画要素データに基づく要素画像を複数の部分要素画像に分割する画像分割工程と、前記部分要素画像に対応する前記描画要素データとなる部分要素データを生成する部分要素データ生成工程と、第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出する重複検出工程と、前記第1の描画要素データの前記色情報と前記第2の描画要素データの前記色情報とを比較して色の差分が所定量内か否かを判断する色判断工程と、前記色情報を変更する色情報変更工程と、を有し、前記色情報変更工程において、前記重複検出工程において前記重複が検出され、前記色判断工程において前記色の差分が所定量内と判断された場合に、前記第1の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報と、前記第2の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報とのうち、少なくとも1つの前記色情報を変更することを特徴とする画像処理方法。
【0023】
上記した画像処理方法によれば、重複検出工程において重複が検出され、色判断工程において色の差分が所定量内と判断された場合に、色情報変更工程において、重複が検出された位置に対応する両方の部分要素データの色情報のうち、片方又は両方の色情報を変更する。これにより、重複部分の描画画像を識別可能にしながら、色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。
【0024】
[適用例9]描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する描画要素データの画像処理を行う画像処理プログラムであって、前記描画要素データに基づく要素画像を複数の部分要素画像に分割する画像分割機能と、前記部分要素画像に対応する前記描画要素データとなる部分要素データを生成する部分要素データ生成機能と、第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出する重複検出機能と、前記第1の描画要素データの前記色情報と前記第2の描画要素データの前記色情報とを比較して色の差分が所定量内か否かを判断する色判断機能と、前記色情報を変更する色情報変更機能と、を有し、前記色情報変更機能において、前記重複検出機能において前記重複が検出され、前記色判断機能において前記色の差分が所定量内と判断された場合に、前記第1の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報と、前記第2の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報とのうち、少なくとも1つの前記色情報を変更することをコンピューターに実行させること特徴とする画像処理プログラム。
【0025】
上記した画像処理プログラムによれば、重複検出機能により重複が検出され、色判断機能により色の差分が所定量内と判断された場合に、色情報変更機能により、重複が検出された位置に対応する両方の部分要素データの色情報のうち、片方又は両方の色情報を変更する。これにより、重複部分の描画画像を識別可能にしながら、色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置を有する印刷システムの構成例を示す図。
【図2】本実施形態における描画例を示す画像、及び画像の描画命令リストの例を示す図。
【図3】ベクターデータ群グループのベクターデータ構成を説明するための図。
【図4】ベクターデータの色情報をベクターデータ群グループ単位に変更する例を示す図。
【図5】ベクターデータの色情報を部分ベクターデータ単位に変更する例を示す図。
【図6】本実施形態における印刷処理の流れの例を説明するフローチャート。
【図7】描画命令の展開処理を説明するための図。
【図8】変形例において、ベクターデータを、部分ベクターデータに分割した例を示す図。
【図9】変形例において、重複する両方の部分ベクターデータのいずれかの色情報を変更する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に従って、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、本実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0028】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置を有する印刷システムの構成例を示す図である。同図に示す印刷システムは、ホストコンピューター40とプリンター10と備えて構成される。
ホストコンピューター40は、CPU41、アプリケーションプログラム42、RAM43、画像処理装置としてのプリンタードライバー44、外部インターフェイス(I/F)45等を有する。
アプリケーションプログラム42は、CPU41と協働することによって機能する。プリンタードライバー44は、画像分割ユニット51、部分要素データ生成ユニット52、重複検出ユニット53、色判断ユニット54、色情報変更ユニット55等を有し、各ユニットは、CPU41と協働することによって画像処理装置の手段として機能する。各ユニットの処理の詳細については、後述する。
【0029】
図1において、アプリケーションプログラム42は、画像データの印刷処理の開始を指示すると、GDI(Graphics Device Interface)の描画命令を呼び出しプリンタードライバー44に渡す。図示していないが、ホストコンピューター40はGDIモジュールを有する。GDIモジュールは、プリンター10やホストコンピューター40のディスプレイ等の出力デバイスに依存しない共通のグラフィックス用インターフェイスを、アプリケーションプログラム42に提供する。そして、プリンタードライバー44は、描画命令に基づいてレンダリング処理を行う。その結果、プリンター10において印刷可能な解像度の画素毎に、RGB表色系の256階調の色情報を有する画像データ11が生成され、外部I/F45を介してプリンター10に送信される。
【0030】
一方、プリンター10は、コントローラー20と印刷エンジン30とを有する。コントローラー20は、例えば、外部I/F22、画像形成プログラム23、RAM24、CPU21、色変換ユニット27、二値化ユニット28等を有する。プリンター10は、コントローラー20の外部I/F22を介して画像データ11を受信すると、画像形成プログラム23を実行してRGB表色系の256階調の色情報を有する画像データ11を、印刷エンジン30が印刷可能な形式の画像データ(例えば、CMYKの2値の画像データ)に変換する。
【0031】
具体的に、コントローラー20の色変換ユニット27は、RGB表色系の256階調の画像データ11をプリンター10の例えばトナーやインクの色に対応するCMYKの表色系の256階調の画像データに変換する。また、二値化ユニット28は、色変換処理後の画像データの階調(この例では、256階調)を、画素毎のドットの有無を表す2値に変換する。二値化処理には、例えば、誤差拡散法やディザ法などの方法が用いられる。そして、印刷エンジン30は、CMYK表色系の2値の画像データに基づいて、印刷媒体に画像を形成する。
【0032】
なお、本実施形態では、プリンター10において色変換処理及び二値化処理を行う形態としているが、ホストコンピューター40においてこれらの処理を行う形態としても良い。また、本実施形態では、ホストコンピューター40において、画像分割処理、部分要素データ生成処理、重複検出処理、色判断処理及び色情報変更処理を行う形態としているが、プリンター10においてこれらの処理を行う形態としても良い。
【0033】
図2は、本実施形態における描画例を示す画像Pc、及び画像Pcの描画命令リストCL1の例を示す図である。同図(a)に示す画像Pcは、描画要素データに基づいて描画される画像である。描画要素データは、描画対象の要素画像を規定する描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する。以下、描画要素データをベクターデータとして述べる。
【0034】
図2(a)に示す画像Pcを描画するためのベクターデータは、線分L1,L2をそれぞれ描画するベクターデータB1,B2、及び文字列“テキスト”T1を描画するベクターデータ群グループB3を有する。ここで、ベクターデータ群グループは複数のベクターデータ群の集合体であり、ベクターデータ群は複数のベクターデータの集合体である。また、ベクターデータが有する色情報は、ここでは、ベクターデータB1及びベクターデータ群グループB3については同一の黒色RGB1=(0,0,0)であり、ベクターデータB2についてはグレーRGB2=(35,35,35)である。
【0035】
なお、本実施形態では、ベクターデータ群の例として文字を挙げているが、ベクターデータ群はベクターデータの集合体であり、この例に限定されるものではない。ベクターデータ群は、例えば矢印や立方体の図形等であっても良い。また、本実施形態では、文字を描画するベクターデータの集合体をベクターデータ群、文字列を描画するベクターデータの集合体をベクターデータ群グループとしているが、この例に限定されなくても良い。例えば、文字列を描画するベクターデータの集合体をベクターデータ群としても良い。
【0036】
図2(b)に示す描画命令リストCL1は、図2(a)の画像Pcの印刷時にプリンタードライバー44に渡される描画命令の例である。具体的には、描画命令リストCL1の初めの描画命令C1は、画像Pc全体におけるデフォルトのフォント及びフォントサイズを指定する命令である。この例では、描画命令C1によって、サイズ44のMSゴシックが画像Pcにおけるデフォルト設定のフォントとして指定される。
【0037】
また、描画命令C2は、線分L1を描画するベクターデータB1の描画命令であり、線分L1の始点座標(描画開始座標)p1(10,10)と終点座標(描画終了座標)p2(100,100)、及び色情報RGB1=(0,0,0)が指定される。同様にして、描画命令C3は線分L2を描画するベクターデータB2の描画命令であり、線分L2の始点座標p5(53,35)と終点座標p6(120,35)、及び色情報RGB2=(35,35,35)が指定される。そして、描画命令C4は、文字列“テキスト”T1を描画するベクターデータ群グループB3の描画命令であり、描画する文字列T1と、描画する画素領域を指定する始点座標p3(30,25)と終点座標p4(62,40)、及び色情報RGB1=(0,0,0)が指定される。
【0038】
プリンタードライバー44は、図2(b)に示す描画命令リストCL1の各描画命令C1〜C4に基づいてレンダリング処理を行い、画素毎にRGB表色系の256階調を有する画像データを生成する。ここで、図2(a)に示す画像Pcでは、ベクターデータB1の描画対象である線分L1の画素領域と、ベクターデータ群グループB3の描画対象であるテキストT1の画素領域とが重複している(重複部分E1)。この重複部分E1では、重複する線分L1とテキストT1との各描画画像が同一色(RGB1=(0,0,0))であり、且つ両描画画像の色の差分が所定量を超えないことから、印刷画像において線分L1とテキストT1との識別が困難になる。
【0039】
一方、ベクターデータB2の描画対象である線分L2の画素領域と、ベクターデータ群グループB3の描画対象であるテキストT1の画素領域もまた重複する(重複部分E2)。しかし、この重複部分E2では、重複する線分L2の描画画像の色(RGB2=(35,35,35))とテキストT1の描画画像の色(RGB1=(0,0,0))との色の差分が所定量を超えている。このため、重複部分E2については、印刷画像において線分L2とテキストT1との識別が可能になる。
【0040】
このように、描画画像が重複する場合、色の差分が所定量内の各ベクターデータの描画画像が識別困難であるのに対し、色の差分が所定量を超える各ベクターデータの描画画像は、その識別が可能である。そこで、プリンタードライバー44は、図2(a)の重複部分E1のように、色の差分が所定量内であるベクターデータB1とベクターデータ群グループB3の描画画像が重複する場合、例えば、ベクターデータB1の色情報との色の差分が所定量を超えるようにベクターデータ群グループB3の色情報を変更することによって、各描画画像の識別を可能にする。
【0041】
なお、本実施形態における色の差分の所定量は、例えば、印刷対象の印刷装置において表色可能な色空間における最大の色の差分の約3%未満である。例えば、CIE2000の色差式に基づく色の差分が、色空間における最大の色の差分の約3%未満内である場合に、両色の人の目による識別が困難であることが実測に基づいて確認されている。ただし、この色の差分の所定量は、印刷装置の機種、経年劣化、及び使用する色材の種類等に依存して変動する。
【0042】
図3は、ベクターデータ群グループB3のベクターデータ構成を説明するための図である。以降、図面における説明上の位置は図面に向かっての位置として説明する。図3に示すように、文字列“テキスト”T1を描画するベクターデータ群グループB3は、文字列“テキスト”のうち文字“テ”を描画するベクターデータ群B31、文字“キ”を描画するベクターデータ群B32、文字“ス”を描画するベクターデータ群B33、文字“ト”を描画するベクターデータ群B34によって構成される。
【0043】
各文字を描画するベクターデータ群B31〜B34は、それぞれ複数のベクターデータによって構成される。例えば、文字“テ”を描画するベクターデータ群B31の場合、文字“テ”を構成する2つの横線と縦の曲線をそれぞれ描画する3つのベクターデータB31−1〜B31−3によって構成される。同様にして、図示していないが、文字“キ”を描画するベクターデータ群B32は3つのベクターデータ、文字“ス”を描画するベクターデータ群B33は3つのベクターデータ、文字“ト”を描画するベクターデータ群B34は2つのベクターデータによって構成される。
【0044】
さらに、上記のベクターデータは、それぞれが複数の部分ベクターデータ(部分要素データ)によって構成される。図3に示すように、ここでは、文字“テ”を構成する上位置の横線のベクターデータB31−1は、中心線clを境にして、当該横線の左側半分の部分ベクターデータB31aと右側半分の部分ベクターデータB31bとによって構成される。文字“テ”を構成する下位置の横線のベクターデータB31−2は、中心線clを境にして、当該横線の左側半分の部分ベクターデータB31cと右側半分の部分ベクターデータB31dとによって構成される。また、文字“テ”を構成する縦の曲線のベクターデータB31−3は、当該曲線の上側半分の部分ベクターデータB31eと下側半分の部分ベクターデータB31fとによって構成される。同様にして、図示していないが、文字“キ”を構成する各ベクターデータ、文字“ス”を構成する各ベクターデータ、文字“ト”を構成する各ベクターデータは、それぞれが2つの部分ベクターデータによって構成される。なお、図3では、各ベクターデータを2つの部分ベクターデータに分割しているが、分割数は2つに限られず、3つ以上の部分ベクターデータに分割しても良い。
【0045】
図4は、ベクターデータの色情報をベクターデータ群グループ単位に変更する例を示す図である。図4は、図2(a)に示す画像Pcの一部を抜粋して拡大した図である。図4(a)は、ベクターデータの色情報を変更する前の画像を示している。図4(b)は、ベクターデータの色情報を変更した後の画像を示している。
【0046】
図4(b)では、ベクターデータ群グループB3の全てのベクターデータ群B31〜B34の色情報を変更した後の画像を示している。この例では、ベクターデータ群B31〜B34の各色情報が、黒色RGB1=(0,0,0)から色の差分が所定量を超えるグレーRGB2=(35,35,35)に変更されている。これにより、図4(a)では重複部分E1における線分L1と文字列T1との識別が困難であったのが、図4(b)では識別可能となっている。しかし、その一方、図4(a)では重複部分E2における線分L2と文字列T1との識別が可能であったのが、図4(b)では逆に識別困難となっている。
【0047】
このように、ベクターデータ群グループの画像が複数のベクターデータの画像と重複する場合に、重複部分を識別可能にするために、ベクターデータ群グループの各ベクターデータの色情報を一律に変更する方法では、ベクターデータによってはこれまで識別可能であった重複部分が識別困難になる問題が生じてしまうことがある。
【0048】
図5は、ベクターデータの色情報を部分ベクターデータ単位に変更する例を示す図である。図5は、図2(a)に示す画像Pcの一部を抜粋して拡大した図である。図5(a)は、ベクターデータの色情報を変更する前の画像を示している。図5(b)は、ベクターデータの色情報を部分ベクターデータ単位に変更した後の画像を示している。
【0049】
図5(b)では、ベクターデータ群B31を構成するベクターデータB31−1〜B31−3のそれぞれの色情報を、部分ベクターデータB31a〜B31f単位に変更した後の画像を示している。この例では、ベクターデータB31−1を構成する右側の部分ベクターデータB31b、及びベクターデータB31−2を構成する右側の部分ベクターデータB31dの各色情報が、黒色RGB1=(0,0,0)から色の差分が所定量を超えるグレーRGB2=(35,35,35)に変更されている。これにより、図5(a)では重複部分E1における線分L1と文字列T1との識別が困難であったのが、図5(b)では識別可能となっている。また、図5(a)において重複部分E2における線分L2と文字列T1との識別が可能であったのが、図5(b)でもそのまま識別可能となっている。
【0050】
このように、ベクターデータ群グループの画像が複数のベクターデータの画像と重複する場合に、ベクターデータを分割して構成した部分ベクターデータ単位に色情報を変更する方法では、これまで識別困難であった重複部分を識別可能にすることができる。さらに、図4(b)において生じた、これまで識別可能であった重複部分が識別困難になる問題を回避することができる。
【0051】
次に、本実施形態の画像処理装置の処理の詳細について説明する。
【0052】
図6は、本実施形態における印刷処理の流れの例を説明するフローチャートである。ここでは、図5に示すように、ベクターデータの色情報を部分ベクターデータ単位に変更して印刷する例について説明する。
【0053】
最初に、プリンタードライバー44は、描画命令リストCL1(図2(b)参照)を受信すると、描画命令リストCL1におけるベクターデータ群グループB3についての描画命令を、部分ベクターデータ単位の描画命令に展開する(ステップS10)。
【0054】
ここで、描画命令の展開処理について説明する。
図7は、描画命令の展開処理を説明するための図である。同図に示す描画命令リストCL2は、図2の描画命令リストCL1を部分ベクターデータ単位に展開したものである。図7の描画命令リストCL2において、描画命令C2,C3はそれぞれベクターデータB1,B2の描画命令であり、描画命令C4はベクターデータ群グループB3の描画命令である。
【0055】
プリンタードライバー44は、ベクターデータ群グループB3の描画命令C4を、ベクターデータ群B31〜B34単位の描画命令C41〜C44に展開する。描画命令C4の展開処理に伴い、描画命令C41〜C44におけるパラメーターの描画領域がそれぞれ設定される。具体的には、例えばベクターデータ群B31(“テ”)の描画命令C41の場合、文字列 “テキスト”T1の描画領域のうち、文字“テ”の描画領域を示す座標(30,26)、(38,40)が設定される。他の描画命令C42〜C44についても同様に、該当する描画領域の座標が設定される。
【0056】
さらに、プリンタードライバー44は、ベクターデータ群B31〜B34単位の描画命令C41〜C44のそれぞれを、部分ベクターデータ単位の描画命令に分割して展開する。具体的に、例えばベクターデータ群B31(“テ”)の描画命令C41の場合、ベクターデータ群B31を構成するベクターデータB31−1〜B31−3のそれぞれを分割して構成された部分ベクターデータB31a〜B31fの描画命令C41a〜C41fに展開される。他の描画命令C42〜C44についても同様に、該当する部分ベクターデータ単位の描画命令に展開される。
なお、ベクターデータ群B31〜B34のそれぞれの画像を複数の部分ベクターデータの画像に分割するのは、画像分割ユニット51(図1参照)により実行される。また、複数の部分ベクターデータを生成するのは、部分要素データ生成ユニット52(図1参照)により実行される。
【0057】
図6のフローチャートに戻り、次に、プリンタードライバー44は、重複検出ユニット53(図1参照)により、描画命令の示す描画領域に基づいてベクターデータの描画領域が重複するか否かを検出する(ステップS20)。具体的に、プリンタードライバー44は、描画命令のパラメーターの示す描画対象の画素領域が、既に描画済みの他のベクターデータの画素領域、または、他のベクターデータの描画命令の示す画素領域と重複するか否かを判定する。なお、ベクターデータの重複検出は、部分ベクターデータの重複検出も含むものとして説明する。また、重複検出ユニット53は、第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出すると言い換えることができる。
【0058】
ベクターデータの描画領域の重複が検出された場合(ステップS20:YES)、プリンタードライバー44は、色判断ユニット54(図1参照)により、重複が検出された部分ベクターデータの色情報における色の差分が所定量内であるか否かを判定する(ステップS30)。
色の差分が所定量内であると判定された場合(ステップS30:YES)、プリンタードライバー44は、色情報変更ユニット55(図1参照)により、部分ベクターデータの色情報を、色の差分が所定量をこえるように変更する(ステップS40)。そして、ステップS50へ進む。
【0059】
他方、部分ベクターデータの描画領域の重複が検出されない場合(ステップS20:NO)、または、重複が検出された場合であって(ステップS20:YES)、部分ベクターデータの色情報における色の差分が所定量内ではない場合(ステップS30:NO)、プリンタードライバー44は色情報の変更を行わないでステップS50へ進む。
【0060】
ステップS50では、プリンタードライバー44は、描画命令における色情報を変更した場合は変更後の描画命令、色情報を変更していない場合はそのままの描画命令に基づいて、レンダリング処理を行う。
【0061】
ステップS60では、プリンタードライバー44は、全てのベクターデータの描画命令について処理が終了したか否かを判定し、未処理の描画命令がある場合(ステップS60:NO)は、ステップS20に戻り、ステップS20以降の処理を繰り返す。
【0062】
他方、全てのベクターデータの描画命令について処理が終了した場合(ステップS60:YES)は、生成した画像データ11をプリンター10に送信する(ステップS70)。
【0063】
そして、プリンター10に画像データ11が入力されると、プリンター10の色変換ユニット27は、画素毎にRGB表色系の階調値を有する画素データをトナーの表色系であるCMYKの階調値を有する画素データに色変換する(ステップS80)。
次に、画像データは、二値化ユニット28によって印刷エンジン30が印刷可能な階調を画素毎に有する画像データに変換され(ステップS90)、印刷エンジン30によって紙等の印刷媒体に印刷される(ステップS100)。
【0064】
次に、ベクターデータの色情報を変更する具体例について説明する。ここでは、図5(b)に示す画像を描画する例について説明する。
【0065】
プリンタードライバー44は、描画命令リストCL2(図7参照)に従い、まず、ベクターデータB1の描画命令C2の示す描画対象の画素領域が他のベクターデータの画素領域と重複するか否かを判定する。具体的に、プリンタードライバー44は、描画命令C2のパラメーターに指定された座標の画素領域が、他のベクターデータによって描画済みか否かを判定する。この場合、レンダリングメモリー領域における描画命令C2の示す画素領域にベクターデータ識別情報が保持されていないため、重複は検出されない。そこで、プリンタードライバー44は、描画命令C2に基づくレンダリング処理を行う。
【0066】
続いて、プリンタードライバー44は、描画命令C3、描画命令C41aについてそれぞれ重複の判定を行うが、この場合、重複が検出されないため各描画命令に基づくレンダリング処理を行う。
【0067】
続いて、プリンタードライバー44は、描画命令C41bの重複の判定処理を行う。具体的に、プリンタードライバー44は、描画命令C41bのパラメーターの座標で囲まれた画素領域が他のベクターデータの画素領域と重複するか否かを判定する。この場合、部分ベクターデータB31bの画素領域がベクターデータB1の画素領域と重複することにより、プリンタードライバー44は重複を検出する。
【0068】
続いて、プリンタードライバー44は、重複が検出されたベクターデータB1と部分ベクターデータB31bとの色情報における色の差分が所定量内か否かを判定する。その結果、同一色であることから、プリンタードライバー44は、描画命令C41bの色情報を示すパラメーターをRGB1=(0,0,0)からRGB2=(35,35,35)に変更する。そして、プリンタードライバー44は、変更後の描画命令C41bに基づいてレンダリング処理を行う。
【0069】
同様に、プリンタードライバー44は、描画命令C41c、描画命令C41e、描画命令C41fについてそれぞれ重複の判定を行うが、この場合、重複が検出されないため各描画命令に基づくレンダリング処理を行う。
【0070】
また、プリンタードライバー44は、描画命令C41dについて重複の判定を行うが、この場合、部分ベクターデータB31dの画素領域がベクターデータB1の画素領域と重複することにより、プリンタードライバー44は重複を検出する。そして、プリンタードライバー44は、重複が検出されたベクターデータB1と部分ベクターデータB31dとの色情報における色の差分が所定量内か否かを判定する。その結果、同一色であることから、プリンタードライバー44は、描画命令C41dの色情報を示すパラメーターをRGB1=(0,0,0)からRGB2=(35,35,35)に変更する。そして、プリンタードライバー44は、変更後の描画命令C41dに基づいてレンダリング処理を行う。
【0071】
上述したように、本実施形態では、ベクターデータ群グループの画像が複数のベクターデータの画像と重複する場合に、例えば図5(b)に示すように、ベクターデータを分割して構成した部分ベクターデータ単位に色情報を変更する。これにより、これまで識別困難であった重複部分を識別可能にすることができる。また、例えば図4(b)において生じた、これまで識別可能であった重複部分が識別困難になる問題も回避することができる。
【0072】
さらに、ベクターデータが他のベクターデータと重複した場合に、ベクターデータを分割して生成した部分ベクターデータのみ色情報を変更する。これにより、ベクターデータ全体の色情報を変更するのに比べて、重複部分の描画画像を識別可能にしながら色情報の変更対象の画素領域を小さく抑えることができる。この結果、色情報の変更に伴う描画色の変更が画像全体では目立たなくなり、違和感の少ない画像を得ることができる。
【0073】
(変形例)
上記した実施形態では、図3に示すように、文字列“テキスト”を描画するベクターデータ群B31〜B34のそれぞれを、複数の部分ベクターデータに分割する構成とした。また、線分L1,L2を描画するベクターデータB1,B2については分割しないでそのままとした。しかし、部分ベクターデータに分割するのは、重複するベクターデータの片方だけなく両方のベクターデータについて分割の対象としても良い。
【0074】
図8(a)は、図5(a)に示す文字“テ”を構成する上位置の横線を描画するベクターデータB31−1を、2つの部分ベクターデータB31a,B31bに分割した例を示している。また、図8(b)は、図5(a)に示す線分L1を描画するベクターデータB1を、3つ以上の部分ベクターデータB1a,B1b,B1c等に分割した例を示している。このように、図8では、重複するベクターデータB31−1とベクターデータB1との両方について分割対象としている。
【0075】
図9は、重複する両方の部分ベクターデータのいずれかの色情報を変更する例を示す図である。図9(a)では、重複する両方のベクターデータの分割数を比較し、分割数の多い方の部分ベクターデータの色情報を変更する例を示している。ここでは、ベクターデータB1に対しての分割数がベクターデータB31−1に対しての分割数よりも多くなっている。このため、ベクターデータB1の部分ベクターデータB1bの色情報を、黒色RGB1=(0,0,0)からグレーRGB2=(35,35,35)に変更する。分割数の多い部分ベクターデータの場合、分割対象としたベクターデータ全体の領域に対して部分ベクターデータの領域の割合が小さくなる。これにより、色情報の変更に伴う描画色の変更が画像全体では目立たなくなり、さらに違和感の少ない画像を得ることができる。
【0076】
一方、図9(b)では、重複する両方の部分ベクターデータのそれぞれの始点座標から終点座標までの距離を比較し、距離の短い方の部分ベクターデータの色情報を変更する例を示している。ここでは、ベクターデータB1の部分ベクターデータB1bの距離よりもベクターデータB31−1の部分ベクターデータB31bの距離が短くなっている。このため、ベクターデータB31−1の部分ベクターデータB31bの色情報を、黒色RGB1=(0,0,0)からグレーRGB2=(35,35,35)に変更する。距離の短い部分ベクターデータの場合、距離の長い部分ベクターデータの領域よりも部分ベクターデータの領域が小さくなる。これにより、色情報の変更に伴う描画色の変更が画像全体では目立たなくなり、さらに違和感の少ない画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
10…プリンター、11…画像データ、20…コントローラー、21…CPU、22…外部I/F、23…画像形成プログラム、24…RAM、27…色変換ユニット、28…二値化ユニット、30…印刷エンジン、40…ホストコンピューター、41…CPU、42…アプリケーションプログラム、43…RAM、51…画像分割ユニット、52…部分要素データ生成ユニット、53…重複検出ユニット、54…色判断ユニット、55…色情報変更ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する描画要素データの画像処理を行う画像処理装置であって、
前記描画要素データに基づく要素画像を複数の部分要素画像に分割する画像分割手段と、
前記部分要素画像に対応する前記描画要素データとなる部分要素データを生成する部分要素データ生成手段と、
第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出する重複検出手段と、
前記第1の描画要素データの前記色情報と前記第2の描画要素データの前記色情報とを比較して色の差分が所定量内か否かを判断する色判断手段と、
前記色情報を変更する色情報変更手段と、を有し、
前記色情報変更手段は、前記重複検出手段において前記重複が検出され、前記色判断手段において前記色の差分が所定量内と判断された場合に、
前記第1の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報と、
前記第2の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報とのうち、少なくとも1つの前記色情報を変更することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記色情報変更手段は、前記第1の要素画像における前記部分要素画像の分割数と、前記第2の要素画像における前記部分要素画像の分割数とを比較し、分割数の多い前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記色情報変更手段は、前記第1の要素画像における前記部分要素データの描画開始座標及び描画終了座標間の距離と、前記第2の要素画像における前記部分要素データの描画開始座標及び描画終了座標間の距離とを比較し、距離の短い前記部分要素データの前記色情報を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記所定量は、0であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定量は、前記画像処理装置において表色可能な色空間における最大の色の差分の3%未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記重複検出手段は、前記第1の描画要素データの描画命令の示す描画対象の画素領域と、前記第2の描画要素データの描画命令の示す描画対象の画素領域とに基づいて前記重複を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記描画要素データは、ベクターデータであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する描画要素データの画像処理を行う画像処理方法であって、
前記描画要素データに基づく要素画像を複数の部分要素画像に分割する画像分割工程と、
前記部分要素画像に対応する前記描画要素データとなる部分要素データを生成する部分要素データ生成工程と、
第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出する重複検出工程と、
前記第1の描画要素データの前記色情報と前記第2の描画要素データの前記色情報とを比較して色の差分が所定量内か否かを判断する色判断工程と、
前記色情報を変更する色情報変更工程と、を有し、
前記色情報変更工程において、前記重複検出工程において前記重複が検出され、前記色判断工程において前記色の差分が所定量内と判断された場合に、
前記第1の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報と、
前記第2の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報とのうち、少なくとも1つの前記色情報を変更することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
描画開始座標情報と描画終了座標情報と色情報とを有する描画要素データの画像処理を行う画像処理プログラムであって、
前記描画要素データに基づく要素画像を複数の部分要素画像に分割する画像分割機能と、
前記部分要素画像に対応する前記描画要素データとなる部分要素データを生成する部分要素データ生成機能と、
第1の描画要素データに基づく第1の要素画像と、第2の描画要素データに基づく第2の要素画像との重複を検出する重複検出機能と、
前記第1の描画要素データの前記色情報と前記第2の描画要素データの前記色情報とを比較して色の差分が所定量内か否かを判断する色判断機能と、
前記色情報を変更する色情報変更機能と、を有し、
前記色情報変更機能において、前記重複検出機能において前記重複が検出され、前記色判断機能において前記色の差分が所定量内と判断された場合に、
前記第1の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報と、
前記第2の要素画像が前記複数の部分要素画像に分割されたときにおける、前記重複が検出された位置の前記部分要素画像に対応する前記部分要素データの前記色情報とのうち、少なくとも1つの前記色情報を変更することをコンピューターに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−195818(P2012−195818A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59070(P2011−59070)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】