説明

画像処理装置、画像処理方法

【課題】 高周波成分が潰れること無く、表示諧調のダイナミックレンジをフルに使った表示を可能にすると共に、余計な擬似成分を抑制する為の技術を提供すること。
【解決手段】 特徴画像検出補間部204は、入力画像において部分的に存在する低輝度領域中の輝度値を増加させる為の補間処理を行う。最小値フィルタ部205は、補間処理済みの画像に対して最小値フィルタ処理を行い、ローパスフィルタ206は、最小値フィルタ処理済みの画像に対してローパスフィルタ処理を行うことで、低周波成分画像を生成する。減算器207は、入力画像から低周波成分画像を減じることで高周波成分画像を生成する。係数器208は、高周波成分画像の輝度値を予め設定された割合K1だけ入力画像に対して加えることで、高周波成分強調画像を生成する。セレクタ210は、低周波成分画像と高周波成分強調画像とを交互に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、TVの受像機やPCの表示装置として液晶表示装置が使用されている。このような液晶表示装置は、薄型に形成できるため省スペースで、且つ省電力であるため幅広く用いられている。しかし、このような液晶表示装置は、動き映像に対する応答時間が遅いという問題を有している。
【0003】
そこで、この応答速度を改善するための液晶表示装置の駆動方法として、次に表示する画像データを以前の画像データと比較し、その比較結果に応じてオーバードライブ駆動を行う方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、液晶表示装置の表示特性による動きぼけを改善する方法として、入力画像信号のフレーム周波数を倍にして黒挿入や中間画像挿入して駆動する方法が提案されている(特許文献2)。
【0005】
また、次のような技術も提案されている(特許文献3)。先ず、入力画像信号のフレーム周波数を増加させることで1つのフレームを複数のサブフレームに分割する。そして、複数のサブフレームのうち少なくとも1つの所定サブフレームにおいて画像表示に用いられる画像信号の高周波成分を、他のサブフレームにおいて画像表示に用いられる画像信号と比較して減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−126050号公報
【特許文献2】特開2002−351382号公報
【特許文献3】特開2006−184896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、高周波成分の変化量が大きい場合、表示範囲を超えた値になる場合があり、表示が崩れたり、余分な映像が表示されたりするので、高周波成分を減少させることで対応した場合、動きボケ改善効果が減少(劣化)するという問題があった。
【0008】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、高周波成分が潰れること無く、表示諧調のダイナミックレンジをフルに使った表示を可能にすると共に、余計な擬似成分を抑制する為の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。即ち、入力画像において部分的に存在する低輝度領域中の輝度値を増加させる補正手段と、前記補正手段により補正された画像に対して最小値フィルタ処理を行った後、ローパスフィルタ処理を行うことで、低周波成分画像を生成するフィルタ手段と、前記入力画像から前記低周波成分画像を減じることで高周波成分画像を生成する手段と、前記高周波成分画像の輝度値を予め設定された割合だけ前記入力画像に対して加えることで、高周波成分強調画像を生成する手段と、前記低周波成分画像と前記高周波成分強調画像とを交互に出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、高周波成分が潰れること無く、表示諧調のダイナミックレンジをフルに使った表示を可能にすると共に、余計な擬似成分を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置200の機能構成例を示すブロック図。
【図2】サブフレーム画像生成部103の機能構成例を示すブロック図。
【図3】映像信号の波形例を示す図。
【図4】サブフレーム画像生成部103の機能構成例を示すブロック図。
【図5】映像信号の波形例を示す図。
【図6】画像処理装置200が行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0013】
[第1の実施形態]
先ず、図1を用いて、本実施形態に係る画像処理装置と、その周辺機器と、について説明する。図1に示す如く、本実施形態に係る画像処理装置200には、PC(パーソナルコンピュータ)300が接続されており、このPC300から表示対象としての映像信号を取得することができる。また、画像処理装置200はAV端子51を有しており、このAV端子51を介して外部からNTSC等の各種の規格の信号や、一般のテレビ放送番組の映像信号を受信することができる。また、AV端子51を介して、媒体に映像信号の録画を行う録画装置(ビデオデッキ、DVDレコーダ、HDDレコーダ)或いは媒体に録画された映像信号を再生する再生装置(DVDプレーヤ、LDプレーヤ等)等から映像信号を受信することもできる。このように、画像処理装置200は、様々な入力形態でもって映像信号を取得することができる。
【0014】
先ず、画像処理装置200について説明する。NTSC等の各種の規格の信号、一般のテレビ放送番組の映像信号、ビデオデッキ、DVDレコーダ、HDDレコーダ等の録画装置やDVDプレーヤ、LDプレーヤ等の再生装置から出力された映像信号は、AV端子51を介して信号処理回路52に入力される。
【0015】
信号処理回路52は、AV端子51を介して入力された映像信号に対してデコード処理、ノイズ低減処理、帯域制限フィルタリング処理、信号レベル調節処理等の信号処理を施す。そして信号処理回路52は、これらの各種の信号処理を施した映像信号を、後段のスイッチ30に送出する。
【0016】
一方、スイッチ30には、PC300から送信された映像信号が端子50を介して入力される。そしてスイッチ30は、信号処理回路52、端子50のうち一方からの映像信号を選択し、A/D変換器31に送出する。A/D変換器31は、スイッチ30から送出されたアナログ映像信号としての映像信号を、デジタル映像信号としての映像信号に変換する。
【0017】
DSP(Digital Signal Processor)部32は、A/D変換器31から入力されたデジタル映像信号としての映像信号に対して、例えば、コントラスト、ブライト調整や色変換、解像度変換等の画像処理を行う。そしてDSP32は、その処理結果としての映像信号を、後段のフレームレート変換部101に送出する。
【0018】
フレームレート変換部101は、DSP32から入力された映像信号のフレームレートを変換する。そしてフレームレート変換部101は、変換した映像信号を画像データとしてメモリ33に格納する。メモリ33は、現フレームの画像データ(今から表示する画像データ)と次のフレームの画像データ(次のフレームで表示する画像データ)とを格納するためのものである。然るに、フレームレート変換部101は、メモリ33に格納されている画像データのうち古いものから順に後段のサブフレーム画像生成部103に送出する。
【0019】
タイミング発生回路(TG)34は、信号処理部3を構成する各部の動作タイミングを規定するタイミング信号を、対応する機能部に出力する。サブフレーム画像生成部103は、フレームレート変換部101から送出された画像データに対して動画ぼけなどの動画特性を改善するための処理を行い、その結果、後述する低周波成分画像と高周波成分強調画像とを生成し、出力する。
【0020】
タイミング検出部132は、サブフレーム画像生成部103が低周波成分画像と高周波成分強調画像とを交互に出力するための切替信号をこのサブフレーム画像生成部103に対して供給する。極性反転部106は、サブフレーム画像生成部103から出力された画像データに基づく映像信号の極性を反転させる。
【0021】
D/A変換器35は、極性反転部106により極性が判定されたデジタル映像信号としての映像信号を、アナログ映像信号としての映像信号に変換し、変換した映像信号を、後段のパネルドライバ36に送出する。
【0022】
パネルドライバ36は、D/A変換器35から受けた映像信号のうちR成分の信号についてはRパネル2Rに送出し、G成分の信号についてはGパネル2Gに送出し、B成分の信号についてはBパネル2Bに送出する。更にパネルドライバ36は、各パネル2R、2G、2Bに対して電源も供給する。以上説明した各部でもって、信号処理部3を構成する。
【0023】
各パネル2R、2G、2Bは何れも表示装置として機能するもので、対応する色成分の画像を表示するためのものである。なお、図1では、画像処理装置200に入力する信号は何れもアナログ映像信号としているが、LVDS、TMDS等のデジタル映像信号用入力端子や、デジタルTV用D4端子等を設け、デジタル映像信号としての映像信号を入力するようにしても良い。
【0024】
バラスト57は、ランプ1に接続されるランプ用の電源である。また画像処理装置200は、電源58、ACインレット60を有する。リモコン61は、画像処理装置200に対して各種の指示を行うためにユーザが操作するものである。制御パネル62は、リモコン61からの信号を受信し、CPU63に通知する。
【0025】
CPU63は、ROM64に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて画像処理装置200を構成する各部の動作制御を行う。ROM64には、画像処理装置200を構成する各部が後述する各処理を実行するように、CPU63にこの各部の動作制御を行わせるためのコンピュータプログラムやデータが格納されている。RAM65は、外部から受信した様々なデータを一時的に記憶するためのエリア、CPU63が各種の処理を実行するために用いるワークエリアを有する。即ち、RAM65は、各種のエリアを適宜提供することができる。USBインタフェース(I/F)107は、端子121を介してPC300とのデータ通信を行うためのものである。
【0026】
上述した、画像処理装置200を構成する各部は互いにデータ通信が可能なように、共通のバスを介して繋がっているものとする。もちろん、画像処理装置200の構成については厳密に図1に従うべきものではなく、以下に説明する各処理を実現可能な構成であれば、何れの構成を採用にしても良い。また、本実施形態では、画像処理装置200を構成するものとして図1に示した各部は何れもハードウェアで構成されているものとして説明する。しかし、例えば、サブフレーム画像生成部103やフレームレート変換部101等をコンピュータプログラムとして実装してROM64に格納し、これをCPU63が実行することで、これら各部の機能を実現させても良い。
【0027】
次に、フレームレート変換部101の動作についてより詳細に説明する。フレームレート変換部101は、1つのフレームの映像信号を、N個のサブフレームの映像信号に分割する。Nは2以上の任意の整数であって、この分割数に応じてフレームレートもN倍となる。本実施形態では、N分割の一例としてN=2の場合、即ち、垂直周波数60Hzの映像信号を、2倍の垂直周波数120Hzのフレームレートに変換する場合を説明する。その際、入力された少なくとも1画面以上の画像データがメモリ33に記憶され、メモリ33からの画像データの読出速度を変えることにより、入力映像信号とは異なるフレームレートの映像信号に変換することが可能となる。
【0028】
次に、図2を用いて、サブフレーム画像生成部103の機能構成例とその動作について説明する。
【0029】
入力端子202には、フレームレート変換部101から送出された画像データが入力され、この画像データは、入力端子202を介してガンマ変換部203に入力される。ガンマ変換部203は、入力端子202を介して入力された画像データに対して2.2乗のガンマ変換を施すことで、リニアなガンマを有する画像データに変換する。
【0030】
特徴画像検出補間部204は、ガンマ変換部203により変換された画像データが示す画像(入力画像)において部分的に存在する低輝度領域をその周囲の領域を用いて補間することで、低輝度領域中の輝度値を増加させる処理を行う。例えば、入力画像から孤立点や細線などの特徴画像を除去する為に、この特徴画像の領域をその周囲の領域を用いて補間する。
【0031】
最小値フィルタ部205は、特徴画像検出補間部204により補間処理が成された画像データが示す画像に対して最小値フィルタ処理を施す。最小値フィルタ処理については周知の通り、着目画素とこれに隣接する画素群とで構成される画素領域内で、最小の画素値(輝度値)を検出する。そして着目画素の画素値を検出した画素値に更新する。係る処理を、着目画素を画像を構成する各画素に当てはめて行うことにより、画像全体に対して最小値フィルタ処理を施すことができる。
【0032】
ローパスフィルタ(LPF)206は、最小値フィルタ部205による最小値フィルタ処理済みの画像データに対して、ガウスフィルタ等のローパスフィルタを用いたローパスフィルタ処理を行う。これにより、高周波成分がカットされた低周波成分画像(L)を生成することができる。そしてローパスフィルタ206は、このようにして生成した低周波成分画像を、後段のセレクタ210と、減算器207とに送出する。
【0033】
減算器207は、ガンマ変換部203により変換された入力画像(H+L)から、ローパスフィルタ206が生成した低周波成分画像(L)を減じることで、高周波成分画像(H)を生成する。
【0034】
係数器208は、減算器207が生成した高周波成分画像(H)に対して所定の係数K1を乗じることで高周波成分画像を構成する各画素の輝度値を調整し、調整後の高周波成分画像を加算器209に送出する。
【0035】
加算器209は、ガンマ変換部203により変換された入力画像(H+L)と、係数器208により輝度値が調整された高周波成分画像とを合成することで、高周波成分強調画像(2H+L)を生成する。即ち、高周波成分強調画像とは、高周波成分画像の輝度値を予め設定された割合(K1)だけ入力画像(H+L)に対して加えることで得られるものである。
【0036】
セレクタ210は、加算器209により生成された高周波成分強調画像(2H+L)、ローパスフィルタ206により生成された低周波成分画像(L)を、端子201を介してタイミング検出部132から入力される切替信号に応じて、交互に選択する。切替の周期は120Hzである。そしてセレクタ210は、選択した方の画像を、後段のガンマ変換部211に送出する。ガンマ変換部211は、セレクタ210から出力された画像に対して適宜ガンマ変換を施し、その結果としての映像信号を端子212を介して極性反転部106に送出する。
【0037】
次に、サブフレーム画像生成部103が行う処理の過程で変化する映像信号(画像データ)について、図3を用いて説明する。図3(a)〜(e)に示したグラフは何れも、水平方向1ライン分の映像信号の波形を示しており、背景が黒(輝度信号レベル=0)、前景が白(輝度信号レベル=100)としている。
【0038】
図3(a)に示した波形を有する映像信号には孤立点や細線等の特徴画像がないため、この映像信号が入力されると、特徴画像検出補間部204は、図3(b)に示す如く、図3(a)に示した波形と同じ波形を有する映像信号を出力する。
【0039】
図3(b)に示した波形を有する映像信号が入力されると、最小値フィルタ部205は、図3(c)に示す波形を有する映像信号を出力する。上述の通り、最小値フィルタ部205が行う最小値フィルタ処理では、着目画素とこれに隣接する画素群(着目画素の周囲±N画素)から最小の輝度値を検出し、着目画素の輝度値を検出した輝度値に置き換えるので、輝度レベルが低い部分が広がる結果となる。
【0040】
次に、特徴画像検出補間部204に、孤立点や細線等の特徴画像が含まれている映像信号が入力された場合について説明する。孤立点や細線等の特徴画像が含まれている映像信号の波形は、図3(d)に示す如く、高輝度レベルの領域の中に低輝度レベルの領域が部分的に存在するような波形となる。ここで、画像処理装置200から特徴画像検出補間部204を省き、図3(d)に示す波形を有する映像信号が最小値フィルタ部205に入力されると、図3(e)に示す如く、先の低輝度レベルの領域が広がった波形を有する映像信号を出力することになる。
【0041】
本実施形態では、図3(d)に示すような波形を有する映像信号が入力されても、特徴画像検出補間部204が着目画素とその周辺画素の輝度差を検出し、低輝度レベルの領域を補正・除去するので、上記問題を解決することができる。即ち、図3(d)に示すような微小の黒領域が最小値フィルタ処理により広がるという問題を解決することができる。
【0042】
なお、本実施形態には、高周波成分強調画像には特徴点は補正されず残るという利点がある。従って、最小値フィルタへ与える特徴点の不具合のみを改善することが可能であり、最終的に表示される画像で特徴画像が無くなる等の劣化を生じることはない。
【0043】
以上説明した、画像処理装置200が行う各処理について、同処理のフローチャートを示す図6を用いて、説明する。なお、この説明は上記の通りであるので、ここでは簡単に説明する。
【0044】
ステップS601では、スイッチ30を介して入力された映像信号に対して、A/D変換器31、DSP32はそれぞれ上述の通り、デジタル映像信号としての映像信号への変換、デジタル映像信号としての映像信号に対する各種の画像処理を行う。
【0045】
ステップS602では、フレームレート変換部101は、DSP32から入力された映像信号のフレームレートを変換する。ステップS603では、ガンマ変換部203は、入力端子202を介して入力された画像データに対してガンマ変換を施すことで、リニアなガンマを有する画像データに変換する。
【0046】
ステップS604では、特徴画像検出補間部204は、ガンマ変換部203により変換された画像データが示す画像に対して上記補間処理を行うことで、低輝度領域中の輝度値を増加させる処理を行う。
【0047】
ステップS605では、最小値フィルタ部205は、特徴画像検出補間部204により補間処理が成された画像データが示す画像に対して最小値フィルタ処理を施す。ステップS606では、ローパスフィルタ(LPF)206は、最小値フィルタ部205による最小値フィルタ処理済みの画像データに対してローパスフィルタ処理を行うことで、高周波成分がカットされた低周波成分画像を生成する。
【0048】
ステップS607では、減算器207は、ガンマ変換部203により変換された画像から低周波成分画像を減じることで、高周波成分画像を生成する。ステップS608では、係数器208は、減算器207が生成した高周波成分画像に対して所定の係数K1を乗じることで高周波成分画像を構成する各画素の輝度値を調整する。
【0049】
ステップS609では、加算器209は、ガンマ変換部203により変換された画像と、係数器208により輝度値が調整された高周波成分画像とを合成することで、高周波成分強調画像を生成する。
【0050】
ステップS610では、セレクタ210は、加算器209により生成された高周波成分強調画像、ローパスフィルタ206により生成された低周波成分画像を、切替信号に応じて交互に選択し、ガンマ変換部211に送出する。ガンマ変換部211は、セレクタ210から出力された画像に対して適宜ガンマ変換を施し、その結果としての映像信号を端子212を介して極性反転部106に送出する。
【0051】
ステップS611では、極性反転部106、D/A変換器35、パネルドライバ36、による処理が施された映像信号のうち、R成分、G成分、B成分のそれぞれの成分の映像信号は、パネル2R、2G、2Bに送出される。
【0052】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、特徴画像検出補間部204を用いて、ガンマ変換部203により変換された映像信号が示す画像において部分的に存在する低輝度領域をその周囲の領域を用いて補間することで、低輝度領域中の輝度値を増加させていた。本実施形態では、低輝度領域中の輝度値を増加させるための他の方法として、ローパスフィルタを用いる。即ち、本実施形態では、特徴画像検出補間部204の代わりに、ローパスフィルタを用いる。
【0053】
然るに、本実施形態は、サブフレーム画像生成部103の構成において、特徴画像検出補間部204の代わりに、図4に示す如く、ローパスフィルタ1001を用いる以外は、第1の実施形態と同じである。ローパスフィルタ1001は、ガンマ変換部203により変換された映像信号に対してローパスフィルタ処理を行うことで、低輝度領域内の輝度値を増加させる。
【0054】
図5(a)に示す如く、高輝度レベルの領域中に低輝度レベルの領域が部分的に存在するような波形を有する映像信号がローパスフィルタ1001に入力されると、図5(b)に示す如く、ローパスフィルタ1001によって、低輝度領域内の輝度値が増加する。そして図5(b)に示す波形を有する映像信号が最小値フィルタ部205に入力されると、最小値フィルタ部205は、図5(c)に示す如く、微小の黒領域が最小値フィルタ処理により広がるという問題を解決している。
【0055】
以上の各実施形態によれば、動画ぼやけ等の動画特性の改善を行う場合でも、高周波成分が潰れること無く、表示諧調のダイナミックレンジをフルに使った表示が可能になり、孤立点等の特徴画像による画質劣化無しに、動画特性を改善させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像において部分的に存在する低輝度領域中の輝度値を増加させる補正手段と、
前記補正手段により補正された画像に対して最小値フィルタ処理を行った後、ローパスフィルタ処理を行うことで、低周波成分画像を生成するフィルタ手段と、
前記入力画像から前記低周波成分画像を減じることで高周波成分画像を生成する手段と、
前記高周波成分画像の輝度値を予め設定された割合だけ前記入力画像に対して加えることで、高周波成分強調画像を生成する手段と、
前記低周波成分画像と前記高周波成分強調画像とを交互に出力する出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記入力画像は、外部から入力された画像に対してガンマ変換が施された、リニアなガンマを有する映像信号が示す画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、出力する画像に対してガンマ変換を施してから出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力手段は、表示装置に対して画像を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記低輝度領域をその周囲の領域を用いて補間することで、前記低輝度領域中の輝度値を増加させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正手段は、前記入力画像に対してローパスフィルタ処理を行うことで、前記低輝度領域中の輝度値を増加させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
入力画像において部分的に存在する低輝度領域中の輝度値を増加させる補正工程と、
前記補正工程で補正された画像に対して最小値フィルタ処理を行った後、ローパスフィルタ処理を行うことで、低周波成分画像を生成するフィルタ工程と、
前記入力画像から前記低周波成分画像を減じることで高周波成分画像を生成する工程と、
前記高周波成分画像の輝度値を予め設定された割合だけ前記入力画像に対して加えることで、高周波成分強調画像を生成する工程と、
前記低周波成分画像と前記高周波成分強調画像とを交互に出力する出力工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−81150(P2011−81150A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232864(P2009−232864)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】