説明

画像処理装置、画像出力装置、および画像処理方法

【課題】文字線画領域と非文字線画領域とに分離した分離結果に含まれる分離不良を適切に補正することができる画像処理装置、画像出力装置、および画像処理方法を提供する。
【解決手段】 画像処理装置11に、画像読取装置10によって読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する像域分離部18と、該読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する色平坦度算出部19と、該算出した平坦度に基づいて前記分離結果に含まれる分離不良を補正する像域補正部20と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像出力装置、および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、FAX、プリンタなどの画像出力装置等では、読み取った画像を文字領域、写真領域、および網点領域に分離し(以下像域分離と呼称)、像域分離した領域毎に最適な画像処理を施して高品質な画像を出力することが広く行われている。このように領域毎に画像処理を施す場合には、像域分離エラーが発生すると、画質欠陥が発生する。
【0003】
そこで、像域分離部と、変数決定部と、階調再現制御部とを備えた画像処理装置であって、像域分離部で、入力画像データから入力画像の文字領域、写真領域および網点領域を分離判定し、その判定結果に基づいて、変数決定部で、入力画像の特徴を段階的または連続的に示す像域分離変数を決定し、その像域分離変数に基づいて、階調再現制御部で、入力画像データに対する階調再現特性を段階的または連続的に変化させることにより、像域分離エラーが発生しても画質欠陥を生じないようにする画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−65514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の画像処理装置では、像域分離変数(文字度合い、網点度合い、写真度合い)により階調再現特性のみを段階的にあるいは連続的に変化させるだけであり、これにより文字領域と写真、網点領域の分離境界をぼかすことはできるが、図29(B)に示すように本来写真領域と判定され処理されるべき領域で、図29(A)に示すように誤判定されて処理されると、分離エラー領域と該分離エラー領域近傍の正しく像域分離された領域とで、画質にギャップが発生し不自然さが残ってしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、文字線画領域と非文字線画領域とに分離した分離結果に含まれる分離不良を適切に補正することができる画像処理装置、画像出力装置、および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の画像処理装置は、画像読取手段によって読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する分離手段と、前記読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する平坦度導出手段と、前記導出された平坦度に基づいて前記分離手段の分離結果に含まれる分離不良を補正する補正手段と、を備えている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記平坦度導出手段は、前記各画素毎の平坦度を、均等色空間における各画素および各画素近傍領域の画像データの平均座標からの分布に基づいて導出することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記平坦度導出手段は、前記読み取られた画像の各画素を順次注目画素に設定し、該設定した注目画素および該注目画素近傍領域の画像データのばらつきの度合いと、該注目画素の画像データと該注目画素および該注目画素近傍領域の画像データの平均値との偏差と、を算出し、該算出したばらつきの度合いおよび偏差に基づいて該注目画素の平坦度を導出することによって、前記各画素毎に平坦度を導出することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3記載の発明において、前記平坦度導出手段は、前記ばらつきの度合いとして、前記画像データに含まれる色相および彩度を示すデータの標準偏差を算出し、前記偏差として、前記注目画素および前記注目画素近傍領域の画像データに含まれる色相のデータの平均と前記注目画素の画像データに含まれる色相のデータとの差を算出することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の発明において、前記読み取られた画像の画像データに、前記補正手段で補正された分離結果に応じて画像処理を施す画像処理手段を更に備えている。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5記載の発明において、前記画像処理手段は、前記読み取られた画像の画像データに、前記補正手段で補正された分離結果および前記平坦度導出手段で導出された平坦度に応じて画像処理を施すことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の発明において、前記分離手段は、前記読み取られた画像の各画素を順次注目画素に設定し、前記読み取られた画像の画像データから該設定した注目画素を含む矩形領域の画像データを抽出し、該抽出した画像データに所定の処理を施すことによって前記読み取られた画像の画像データを文字線画領域と非文字線画領域とに分離し、更に各画素毎の分離結果を前記読み取られた画像の各画素の位置に対応して配置した分離結果配置データを前記分離結果として生成し、前記補正手段は、前記導出された平坦度および予め定められた矩形のひな型を用いて、前記生成された分離結果配置データから矩形または矩形が連なった形状の分離不良を検出し、該検出した分離不良を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7記載の発明において、前記分離手段は、前記読み取られた画像の各画素を順次注目画素に設定し、前記読み取られた画像の画像データから該設定した注目画素を含む矩形領域の画像データを抽出し、該抽出した画像データに黒部分を収縮する収縮処理を施した後、黒部分を膨張させる膨張処理を施し、全ての注目画素について収縮処理および膨張処理が終了した後の画像データを反転させた画像データと収縮処理前の画像データとに基づいて前記読み取られた画像の画像データから文字線画領域を分離すると共に、該分離した文字線画領域以外の画像データを非文字線画領域として分離して前記分離結果配置データを生成し、前記補正手段は、前記導出された平坦度、予め定められた矩形のひな型、および前記収縮処理後の画像データを用いて、前記生成された分離結果配置データから矩形または矩形が連なった形状の分離不良を検出し、該検出した分離不良を補正することを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の発明において、前記分離手段は、更に、前記非文字線画領域を網点領域および写真領域に分離することを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明の画像出力装置は、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、前記読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する分離手段と、前記読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する平坦度導出手段と、前記導出された平坦度に基づいて前記分離手段の分離結果に含まれる分離不良を補正する補正手段と、前記読み取られた画像の画像データに、前記補正手段で補正された分離結果に応じて画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段で画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力手段と、を備えている。
【0016】
請求項11の発明の画像処理方法は、画像読取手段によって読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する分離ステップと、前記読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する平坦度導出ステップと、前記導出された平坦度に基づいて前記分離ステップの分離結果に含まれる分離不良を補正する補正ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1、請求項10、および請求項11に記載の発明によれば、文字線画領域と非文字線画領域とに分離した分離結果に含まれる分離不良を適切に補正することができる、という効果が得られる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、平坦度の導出が容易となる。
【0019】
請求項3および請求項4に記載の発明によれば、適切に平坦度を導出できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、適切に補正された分離結果に応じて適切な画像処理を施すことができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、適切に補正された分離結果および平坦度に応じて適切な画像処理を施すことができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、矩形領域の画像データを抽出して所定の処理を施すことによって文字線画領域と非文字線画領域とに分離する場合に発生する矩形または矩形が連なった形状の分離不良を補正することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、矩形領域の画像データを抽出して収縮処理や膨張処理を行うことによって文字線画領域と非文字線画領域とに分離する場合に発生する矩形または矩形が連なった形状の分離不良をより精度高く補正することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、文字線画領域、網点領域および写真領域に分離する場合であっても、同様に分離不良を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。なお、本実施の形態は、原稿の画像を読み取って複写する複写機に本発明を適用したものである。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る複写機の構成を示すブロック図である。
【0027】
この複写機は、画像読取装置10、画像処理装置11、および画像出力装置12を含んで構成されている。
【0028】
画像読取装置10は、原稿の画像を読み取り、該読み取った原稿画像のRGB色空間の画像データを画像処理装置11に出力する。
【0029】
画像処理装置11は、色変換部13、縮拡部14、像域分離処理部15、縮拡部16、および画像処理部17を含んで構成されている。
【0030】
色変換部13は、画像読取装置10で読み取って得られたRGB色空間の画像データを所定のルックアップテーブル(LUT)を用いて均等色空間の1つであるL*a*b*色空間の画像データに変換する。なお、ここで均等色空間とは、知覚可能な色差と空間的な距離差とが略一致するような色空間をいう。
【0031】
縮拡部14は、色変換部13で変換された画像データに拡大・縮小処理を施す。
【0032】
像域分離処理部15は、図1に示すように、像域分離部18、色平坦度算出部19、および像域補正部20を備えている。
【0033】
像域分離部18には、色変換部13で変換されたL*a*b*色空間の画像データのL*値のみが入力される。像域分離部18は、特開平2−294885号公報に示されるような手順で、L*値の画像データが示す画像を、文字領域と写真領域とに分離し、各画素の位置に対応して像域分離結果がマッピングされたデータ(像域分離タグ画像データと呼称)を生成する。
【0034】
なお、本実施の形態においては、文字や線画のように画像データが白および黒近傍にピークを有し、画像データの変化が急峻な画像の領域を文字領域と呼称し、写真などの画像データの変化が比較的緩やかな画像である写真画像の領域を写真領域と呼称し、印刷物などに見られる、網点形成による疑似階調画像である網点画像の領域を網点領域と呼称する。しかしながら、本実施の形態における画像処理部17は、文字領域とそれ以外の領域とで画像処理を区別して行い、網点領域と写真領域とを区別した画像処理は行わないため、像域分離部18では、文字領域以外の領域を全て写真領域とした像域分離結果がマッピングされた像域分離タグ画像データを生成するものとする。
【0035】
色平坦度算出部19は、色変換部13で変換されたL*a*b*色空間の画像データから各画素毎の色平坦度を算出し、各画素の位置に対応して色平坦度がマッピングされたデータ(色平坦度タグ画像データと呼称)を生成する。
【0036】
なお、ここで色平坦度とは、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す値であり、ここでは、彩度の高い色か、あるいは彩度の低い白/黒色かの区別を含めて、0(白平坦・非平坦)、1(黒平坦)、2(中間平坦)、3(色平坦)の4つの値をとる。
【0037】
像域補正部20は、像域分離部18で生成された像域分離タグ画像データが示す像域分離結果を、色平坦度算出部19で生成された色平坦度タグ画像データが示す色平坦度等を用いて補正する。
【0038】
縮拡部16は、像域分離処理部15で生成され補正された像域分離タグ画像データおよび色平坦度タグ画像データを、前記縮拡部14で行われた拡大・縮小処理と同一の倍率で拡大・縮小処理する。
【0039】
画像処理部17は、縮拡部14から出力された画像データに対して、縮拡部16から出力された像域分離タグ画像データが示す像域分離結果、および色平坦度タグ画像データが示す色平坦度に基づいて画像処理を施して出力用データを出力する。
【0040】
画像出力装置12は、画像処理部17から出力された出力用データに基づいて、記録紙に画像を形成する。
【0041】
図2は、画像処理部17の構成を示すブロック図である。
【0042】
画像処理部17は、空間補正部21、色変換部22、階調補正部23、スクリーン生成部24を含んで構成されている。
【0043】
空間補正部21は、縮拡部14から出力されたL*a*b*色空間の画像データの空間周波数を、像域分離結果および色平坦度に応じたフィルタを用いて補正する。
【0044】
色変換部22は、空間補正部21で補正されたL*a*b*色空間の画像データを、像域分離結果および色平坦度に応じたルックアップテーブル(LUT)を用いて印刷用のYMCK色空間の画像データに変換する。
【0045】
階調補正部23は、色変換部22で変換されたYMCK色空間の画像データの階調特性を、像域分離結果および色平坦度に応じたルックアップテーブル(LUT)を用いて補正する。
【0046】
スクリーン生成部24は、階調補正部23で補正されたYMCK色空間の画像データを、画像出力装置12で画像の形成が可能なように、像域分離結果および色平坦度に応じて予め定められたハーフトーンスクリーンのパターンを用いてハーフトーン処理(多階調データから低階調データに変換する処理)し、出力用データとして生成して画像出力装置12に出力する。
【0047】
図3は、前述の像域分離部18の構成を示すブロック図である。
【0048】
像域分離部18は、二値化処理部25、網点抽出部26、OR処理部27、収縮処理部28、膨張処理部29、反転処理部30、AND処理部31、および像域分離タグ生成部32を含んで構成されている。
【0049】
二値化処理部25は、上記色変換部13から出力されたL*値の画像データを一般的に知られた二値化処理を行って二値画像データに変換する。そして、該変換した二値画像データを二値化領域の画像データとして出力する。
【0050】
網点抽出部26は、上記色変換部13から出力されたL*値の画像データから、一般的なパターンマッチング処理を行って網点領域を抽出し、該抽出した網点領域の二値画像データを出力する。例えば、所定サイズのテンプレートのパターンにマッチしている割合が所定レベル以上であれば網点領域として抽出するようなアルゴリズムを用いることができる。
【0051】
OR処理部27は、二値化処理部25から出力された画像データおよび網点抽出部26から出力された画像データの論理和をとった画像データを出力する。
【0052】
収縮処理部28は、OR処理部27から出力された画像データに収縮処理を施す。収縮処理は、予め定められたサイズの参照ウィンドウを1画素ピッチで移動させながらウィンドウ画像を抽出し、該ウィンドウ画像の中心に位置する注目画素の白黒変換を行うことにより、黒部分を細らせる(収縮させる)ように画像データを変換する。
【0053】
例えば、図4(A)に示されるような入力画像(白「0」、黒「1」の二値画像)に、図4(B)に示されるような5×5画素の参照ウィンドウを用いて収縮処理を施す場合を例に挙げて説明する。
【0054】
収縮処理では図4(C)に示すように、参照ウインドウの中心が注目画素となるようにしてウィンドウ画像を抽出する。抽出したウィンドウ画像内の全ての画素が黒の場合には、注目画素を黒「1」に変換し、抽出したウィンドウ画像内に1つでも白の画素があれば、注目画素を白「0」に変換する。図4(C)における位置で抽出されるウィンドウ画像には白画素が1つ含まれているため、注目画素は図4(D)に示されるように白画素に変換される。注目画素について白黒変換が終了した後は、次の画素を注目画素に設定して参照ウィンドウの位置を移動し、同様の処理を行う。なお、参照ウィンドウで抽出するウィンドウ画像は、収縮処理で白黒変換する前の(収縮処理後の)画像から抽出する。
【0055】
このように順次参照ウィンドウを移動して注目画素の白黒変換を行うと、図4(E)に示すような処理結果が得られる。同図に示すように、処理結果は、黒部分が収縮した画像となっている。また、参照ウィンドウが矩形であるため、収縮処理の処理結果にはブロック形状の領域が形成される。
【0056】
なお、収縮処理の処理結果は、膨張処理部29に出力される以外に、不図示のバッファに格納され、後述する像域補正部20の像域補正に用いられる。
【0057】
膨張処理部29は、収縮処理部28から出力された画像データに膨張処理を施す。膨張処理は、予め定められたサイズの参照ウィンドウを1画素ピッチで移動させながらウィンドウ画像を抽出し、該ウィンドウ画像の中心に位置する注目画素の白黒変換を行うことにより、黒部分を太らせる(膨張させる)ように画像データを変換する。
【0058】
例えば、図5(A)に示されるような入力画像(白「0」、黒「1」の二値画像)を、図5(B)に示されるような5×5画素の参照ウィンドウを用いて膨張処理を施す場合を例に挙げて説明する。
【0059】
膨張処理では図5(C)に示すように、参照ウインドウの中心が注目画素となるようにしてウィンドウ画像を抽出する。抽出したウィンドウ画像内の少なくとも1つでも黒画素が含まれている場合には、注目画素を黒「1」に変換し、抽出したウィンドウ画像内の全てが白画素の場合には、注目画素を白「0」に変換する。図5(C)における位置で抽出されるウィンドウ画像には黒画素が1つ以上含まれているため、注目画素は図5(D)に示されるように黒画素に変換される。注目画素について白黒変換が終了した後は、次の画素を注目画素に設定して参照ウィンドウの位置を移動し、同様の処理を行う。なお、参照ウィンドウで抽出するウィンドウ画像は、膨張処理で白黒変換する前の入力画像から抽出する。
【0060】
このように順次参照ウィンドウを移動して注目画素の白黒変換を行うと、図5(E)に示すような処理結果が得られる。同図に示すように、処理結果は、黒部分が膨張した画像となっている。また、参照ウィンドウが矩形であるため、膨張処理の処理結果にはブロック形状の領域が形成される。
【0061】
反転処理部30は、膨張処理部29から出力された画像データを白黒反転処理する。
【0062】
AND処理部31は、反転処理部30で白黒反転処理された画像データと、OR処理部27から出力された画像データの論理積をとった画像データを出力する。
【0063】
図6は、AND処理部31に入力される画像データと、該入力された画像データの論理積をとった画像データの一例を示す図である。
【0064】
図6(A)に示すような収縮処理前の画像の画像データと、図6(B)に示すような膨張処理後の画像を白黒反転処理した画像の画像データとがAND処理部31に入力されると、図6(D)に示すような画像データが得られる。収縮処理および膨張処理では参照ウィンドウを用いて処理が行われるため、AND処理部31の処理結果もブロック形状の領域が形成された画像となる。
【0065】
像域分離タグ生成部32は、AND処理部31から出力された画像データから、色変換部13で変換された画像データが示す画像の各画素の位置に対応して、各画素が文字領域か写真領域かを示す像域分離結果をマッピングした像域分離タグ画像データを生成する。すなわち、AND処理部31で黒「1」となった画素位置には文字領域のタグ値「1」をマッピングし、それ以外の画素位置には写真領域のタグ値「0」をマッピングする。
【0066】
図7は像域分離部18の各部における処理結果の一例を示した図である。ここで、図7を参照しながら、像域分離部18の処理の流れを説明する。
【0067】
図7(1)に示される画像は、二値化処理部25で、入力画像の画像データを二値化処理した画像である。ここでは、文字以外の網点領域の画像や印画紙写真等の自然画などの連続画像もその一部が二値化領域として抽出されている。
【0068】
図7(2)に示される画像は、網点抽出部26で、入力画像の画像データから一般的なパターンマッチング処理を行って抽出した網点領域の画像データが表す画像である。
【0069】
図7(3)に示される画像は、OR処理部27から出力された画像データが表す画像であって、図7(1)の画像データおよび図7(2)の画像の画像データの論理和をとったものである。
【0070】
図7(4)に示される画像は、図7(3)の画像の画像データを収縮処理部28で収縮処理したものである。これにより、黒部分を細らせた(収縮させた)画像が生成される。文字・線画は細い領域(小領域)で表されるため、収縮処理では小領域の文字領域が消去され、比較的大領域の網点領域が残存する。
【0071】
図7(5)に示される画像は、図7(4)の画像の画像データを膨張処理部29で膨張処理したものである。これにより、黒部分を太らせた(膨張させた)画像が生成される。これにより収縮処理で残存した網点領域が膨張される。
【0072】
図7(6)に示される画像は、図7(5)の画像の画像データを反転処理部30で白黒反転処理した画像である。
【0073】
図7(7)に示される画像は、AND処理部31から出力された画像データの画像であって、図7(6)および図7(3)の画像の画像データの論理積をとったものである。この画像から明らかなように、最終的な画像は文字領域のみが黒画素として抽出された画像となる。これにより、文字領域とそれ以外の写真領域とを像域分離することができる。
【0074】
なお、画像読取装置10で読み取られる原稿は、画像出力装置12或いは他のプリンタで出力された原稿、すなわち、低線数網点や、多値レーザープリンタで一般なYMCK万線(ライン)スクリーンや、ローテーションスクリーンで画像が形成された原稿である。このような原稿を複写すると、複写時に行われる像域分離によって、矩形または矩形が連なった形状、すなわちブロック形状の像域分離エラーが発生し、画質欠陥が発生する場合がある。
【0075】
図8は、ドットTOラインスクリーン手法によりスクリーン処理した画像データに基づいて印刷された原稿画像を複写するときに発生するブロック形状の像域分離エラーを説明する説明図である。なお、ドットTOラインスクリーン手法とは、ハイライト部をドットで再現し、ドット成分を成長させ、ラインスクリーンとすることにより階調を再現する方法の一つである。
【0076】
図8(A)に示される複写対象の原稿画像は、全域が写真領域として像域分離されるべき画像である。この原稿画像を読み取ったときに、図8(B)に示すように、読取結果が隣り合うドット同士が独立している領域については、文字領域ではない(写真領域である)と判断される。しかしながら、図8(C)に示すように、読取結果が隣り合うドットが連続しているラインスクリーンの領域については、網点領域ではなく文字領域であると判断されてしまう。画像読取装置10の読取解像度が高解像度になるほど、像域分離部に拡大画像が入力されるため、このような誤判断が増加する。
【0077】
このように網点領域の抽出もれ(誤って文字領域と判断される像域分離エラー領域)が発生すると、その領域は前述の収縮処理および膨張処理によって、図8(D)に示すようにブロック形状になってしまう。
【0078】
このように像域分離エラーが発生した状態で、文字領域と判断された領域に対しては精細度重視の画像処理を行い、写真領域と判断された領域に対しては階調再現重視の画像処理を行って画像を出力すると、図8(E)に示すようにブロック状に画質欠陥が発生してしまう。
【0079】
図9は、低線数網点で表現された原稿画像を複写するときに発生するブロック形状の白抜けを説明する説明図である。
【0080】
図9(A)に示される複写対象の原稿画像は、線数が低い網点画像である。従って、網点ドット間隔が広く網点検知処理では網点領域として検知できない場合がある。例えば、検知ウィンドウに対して新聞レベル(約70線網点)を網点領域として検知し、25線を文字領域とするようなアルゴリズムで網点領域を検知する場合、30〜60線程度の網点領域が像域分離境界域となり、この境界域で像域分離エラーが発生する。
【0081】
従って、網点抽出部26では、ドット間隔が広く比較的低線数となっている網点領域については、図9(B)に示されるように、ドット一点がそれぞれ文字と判定され網点領域として抽出できない場合があり、このように網点抽出処理で取りこぼしが発生した状態で後段のOR処理、収縮処理、膨張処理を行って像域分離し、画像処理および画像出力を行うと、図9(C)に示すようにブロック形状の白抜けが発生してしまうことがある。
【0082】
そこで、この画像処理装置11では、像域分離部18で生じた像域分離エラーを、色平坦度算出部19で算出された色平坦度等を用いて像域補正部20で補正する。
【0083】
図10は、色平坦度算出部19が行う色平坦度算出処理のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。また、図11は、色平坦度算出処理のメインルーチンで呼び出されるサブルーチンの流れを示すフローチャートである。
【0084】
図10に示すメインルーチンのステップ100では、図12に示すように、色変換部13で変換されたL*a*b*色空間の画像データが表す画像がM×N画素の複数の小領域(MやNは自然数、ただし、ノイズ成分に対し十分広い領域とする)に分割されるように、該画像データを分割する。
【0085】
ステップ102では、各小領域について、a*b*座標上の色重心(aG、bG)、およびa*の標準偏差およびb*の標準偏差(ここではa*の標準偏差およびb*の標準偏差の双方を総称して彩度標準偏差と呼称)を算出する。
【0086】
各小領域の色重心(aG、bG)は、以下の式(1)、(2)を用いて算出する。
【0087】
【数1】

【0088】
【数2】

色重心(aG、bG)は、このように各小領域のa*値、b*値の平均値を算出することによって求められる。
【0089】
また、各小領域のa*の標準偏差σa*、およびb*の標準偏差σb*は、以下の式(3)、(4)を用いて算出する。
【0090】
【数3】

【0091】
【数4】

a*の標準偏差σa*、およびb*の標準偏差σb*は、各小領域におけるばらつきの度合いを示す。
【0092】
なお、上記算出した各小領域の色重心(aG、bG)、および彩度標準偏差(a*の標準偏差と、b*の標準偏差)は、不図示のメモリに各小領域毎に記憶しておく。
【0093】
ステップ104では、入力された画像データの画像を構成する画素の中から、注目画素を設定する。
【0094】
ステップ106では、L*C*平面上の注目画素の座標値(l、c)を算出する。ここでL*C*平面上の彩度を示すC*軸の座標値cは、a*b*平面上の中心からの距離を示し、以下の式(5)で求められる。
【0095】
【数5】

このように、各画素のC*座標値cは、各画素のa*値およびb*値から求められる。なお、各画素のL*座標値lは、入力された画像データのL*値そのままとする。
【0096】
ステップ108では、色平坦度判定処理のサブルーチン(図11)を実行する。
【0097】
図11のステップ200では、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、色領域(彩度が高い領域)に位置しているか否かを判定する。なお、このような、L*C*平面上の座標位置(l,c)による色判定処理は、図13に示す閾値(THL_AVE1、THL_AVE2、THC_AVE1、THC_AVE2)を用いて行われる。そして、ステップ200では、C*座標値cが閾値THC_AVE2以上であれば、L*座標値lがどのような値であろうとも色領域に位置していると判定される。
【0098】
ステップ200で、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、色領域に位置していないと判定した場合には、ステップ208に移行し、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、中間領域に位置しているか否かを判定する。ここでは、C*座標値cが閾値THC_AVE1以上閾値THC_AVE2未満であれば、L*座標値lがどのような値であろうとも中間領域に位置していると判定される。また、C*座標値cが閾値THC_AVE1未満であっても、L*座標値lが閾値THL_AVE1以上閾値THL_AVE2未満であれば、中間領域に位置していると判定される。
【0099】
ステップ208で、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、中間領域に位置していないと判定した場合には、ステップ216に移行し、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、黒領域(彩度が低い領域であって、黒に近いあるいは黒の領域)に位置しているか否かを判定する。ここでは、C*座標値cが閾値THC_AVE1未満であって、L*座標値lがTHL_AVE1未満であれば黒領域に位置していると判定される。
【0100】
ステップ216で、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、黒領域に位置していないと判定した場合には、座標位置(l,c)は白領域(彩度が低い領域であって、白に近いあるいは白の領域)に位置していると判定して、ステップ224に移行する。
【0101】
ステップ224では、注目画素の色平坦度として白平坦・非平坦領域を示す「0」を設定する。なお、白平坦領域とは、白に近いあるいは白の領域であって、色相や彩度の変化が小さい領域を示し、非平坦領域は、色相や彩度の変化が大きな領域を示す。
【0102】
一方、ステップ200で、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、色領域に位置していると判定した場合には、ステップ202に移行し、注目画素が含まれるM×Nの小領域の彩度標準偏差(a*の標準偏差σa*およびb*の標準偏差σb*)が閾値THC_RI以下か否かを判定する。ここで、彩度標準偏差が閾値THC_RI以下であると判定した場合には、ステップ204で、平坦色相角が閾値THUEI以下か否かを判定する。なお、ここで平坦色相角とは、図14に示すように、a*b*平面上の色重心(aG、bG)に対する注目画素の座標値(a*、b*)の角度偏差をいう。
【0103】
ステップ204で、平坦色相角が閾値THUEI以下であると判定した場合には、ステップ206で、注目画素の色平坦度として色平坦領域を示す「3」を設定する。色平坦領域とは、彩度が高く、色相や彩度の変化が小さい領域をいう。
【0104】
また、ステップ208で、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、中間領域に位置していると判定した場合には、ステップ210に移行し、注目画素が含まれるM×Nの小領域の彩度標準偏差(a*の標準偏差σa*およびb*の標準偏差σb*)が閾値THC_RM以下か否かを判定する。ここで、彩度標準偏差が閾値THC_RM以下であると判定した場合には、ステップ212で、平坦色相角が閾値THUEM以下か否かを判定する。
【0105】
ステップ212で、平坦色相角が閾値THUEM以下であると判定した場合には、ステップ214で、注目画素の色平坦度として中間平坦領域を示す「2」を設定する。中間平坦領域は、白、黒領域と色領域の中間領域であって、色相や彩度の変化が小さい領域をいう。
【0106】
また、ステップ216で、L*C*平面上の座標位置(l,c)が、黒領域に位置していると判定した場合には、ステップ218に移行し、注目画素が含まれるM×Nの小領域の彩度標準偏差(a*の標準偏差σa*およびb*の標準偏差σb*)が閾値THC_RB以下か否かを判定する。ここで、彩度標準偏差が閾値THC_RB以下であると判定した場合には、ステップ220で、平坦色相角が閾値THUEB以下か否かを判定する。
【0107】
ステップ220で、平坦色相角が閾値THUEB以下であると判定した場合には、ステップ222で、注目画素の色平坦度として黒平坦領域を示す「1」を設定する。黒平坦領域とは、黒に近いあるいは黒の領域であって、色相や彩度の変化が小さい領域をいう。
【0108】
また、ステップ202、204、210、212,218、および220において、否定判定した場合には、ステップ224に移行し、注目画素の色平坦度として白平坦・非平坦領域を示す「0」を設定する。
【0109】
注目画素について色平坦度を求めた後、図10のステップ110では、入力された画像データが表す全画素について色平坦度判定処理が終了したか否かを判定する。ステップ110で全画素について色平坦度判定処理が終了していないと判定した場合には、ステップ112に移行し、次の画素を注目画素に設定して、ステップ106に戻り、上記処理を繰り返す。
【0110】
このように各画素について色平坦度判定処理を行うことによって、図15に示すように、各画素の色平坦度が0〜3の判定結果のいずれかに設定される。なお、色平坦領域、中間平坦領域、黒平坦領域と判定された部分は、彩度の変化や色相の変化が小さく平坦な部分であるため、非文字の領域である可能性が高い。また、白平坦・非平坦領域と判定された部分は、白色の領域であって文字や線画として誤認識されることがないか、または、彩度の変化や色相の変化が大きく、文字の領域である可能性が高い。
【0111】
そして、ステップ110で全画素について色平坦度判定処理が終了したと判定した場合には、ステップ114に移行する。
【0112】
ステップ114では、各画素について求めた色平坦度に基づいて、画像データが示す画像の各画素の位置に対応して上記求めた色平坦度をマッピングした色平坦度タグ画像データを生成する。そして、本メインルーチンを終了する。
【0113】
なお、彩度標準偏差の閾値として用いたTHC_RI、THC_RM、THC_RBであるが、それぞれ異なる値とすることが好ましいが、同じ値としてもよい。また、同様に平坦色相角の閾値として用いたTHUEI、THUEM、THUEBについても、それぞれ異なる値としてもよいし、同じ値としてもよい。
【0114】
また、ここでは、平坦度を求めるためにa*およびb*の標準偏差を求める例について説明したが、標準偏差には限定されず、例えば分散など、ばらつきの度合いを示す値であれば、特に限定されない。
【0115】
このように色平坦度算出部19で求めた色平坦度タグ画像データが示す各画素の色平坦度は、像域補正部20に出力される。
【0116】
図16は、像域補正部20の構成を示すブロック図である。
【0117】
像域補正部20は、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34と、ブロック補正処理部35とを備えている。
【0118】
像域分離エラーブロックパターン検知処理部34には、像域分離タグ画像データが示す像域分離結果、色平坦度タグ画像データが示す各画素の色平坦度、像域分離部18の収縮処理部28の収縮処理結果が入力される。像域分離エラーブロックパターン検知処理部34は、像域分離結果、色平坦度、収縮処理結果に基づいてブロック状に像域分離エラーが発生した部分を検知して、検知結果をブロック補正処理部35に出力する。
【0119】
ブロック補正処理部35には、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34の検知結果、および像域分離部18の像域分離結果が入力される。ブロック補正処理部35は、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34の検知結果に基づいて像域分離部18の像域分離結果を補正して出力する。より具体的には、像域分離部18で文字領域と誤判定された写真領域を、本来の写真領域となるように補正する。
【0120】
図17は、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34の構成を示すブロック図である。
【0121】
像域分離エラーブロックパターン検知処理部34は、ブロック検知部36、横線検知部37、縦線検知部38、ブロックエッジ検知部39、OR処理部40、ON画素加算部41、およびしきい値処理部42とを備えている。
【0122】
図18は、ブロック検知部36の構成および処理内容を示す図である。
【0123】
ブロック検知部36は、第1テンプレートマッチング処理部43、第2テンプレートマッチング処理部44、第3テンプレートマッチング処理部45、第4テンプレートマッチング処理部46、第5テンプレートマッチング処理部47、OR処理部48、判定部49を備えている。
【0124】
第1テンプレートマッチング処理部43、第2テンプレートマッチング処理部44、第3テンプレートマッチング処理部45、第4テンプレートマッチング処理部46、および第5テンプレートマッチング処理部47は、予め定められたテンプレート(検知パターン)を用いたテンプレートマッチング処理を行う。
【0125】
より具体的に説明すると、第1テンプレートマッチング処理部43は、注目画素を中心とした1×1画素の領域の像域分離結果が全て「1」の場合(すなわち、注目画素の像域分離結果が「1」の場合)に、「1」を出力し、それ以外は「0」を出力する。
【0126】
第2テンプレートマッチング処理部44は、注目画素を中心とした3×3画素の領域の像域分離結果が全て「1」の場合に、「1」を出力し、それ以外は「0」を出力する。
【0127】
第3テンプレートマッチング処理部45は、注目画素を中心とした5×5画素の領域の像域分離結果が全て「1」の場合に、「1」を出力し、それ以外は「0」を出力する。
【0128】
第4テンプレートマッチング処理理部46は、注目画素を中心とした7×7画素の領域の像域分離結果が全て「1」の場合に、「1」を出力し、それ以外は「0」を出力する。
【0129】
第5テンプレートマッチング処理部47は、注目画素を中心とした9×9画素の領域の像域分離結果が全て「1」の場合に、「1」を出力し、それ以外は「0」を出力する。
【0130】
なお、ここで説明したテンプレートマッチング処理は一例であって、上記第1テンプレートマッチング処理部43、第2テンプレートマッチング処理部44、第3テンプレートマッチング処理部45、第4テンプレートマッチング処理部46、および第5テンプレートマッチング処理部47のみに限定されるものではない。
【0131】
第1テンプレートマッチング処理部43、第2テンプレートマッチング処理部44、第3テンプレートマッチング処理部45、第4テンプレートマッチング処理部46、および第5テンプレートマッチング処理部47からの出力結果はOR処理部48に出力される。
【0132】
OR処理部48は、第1テンプレートマッチング処理部43、第2テンプレートマッチング処理部44、第3テンプレートマッチング処理部45、第4テンプレートマッチング処理部46、および第5テンプレートマッチング処理部47からの出力結果の論理和をとってテンプレートマッチング処理結果として出力する。すなわち、これら複数のテンプレートマッチング処理部の少なくとも1つから「1」が出力された場合に、判定部49に「1」を出力し、それ以外は、判定部49に「0」を出力する。
【0133】
判定部49には、OR処理部48からのテンプレートマッチング処理結果、注目画素の色平坦度、および注目画素の収縮処理部28における収縮処理結果が入力される。
【0134】
判定部49では、注目画素についてのテンプレートマッチング処理結果が「1」であり、かつ色平坦度が「1」以上であり、かつ収縮処理結果が「1:白画素」である(すなわち収縮処理で白画素となる)場合には、「1」を出力し、それ以外の場合には、「0」を出力する。
【0135】
なお、判定部49から「1」が出力された場合には、彩度の変化や色相の変化が小さく平坦な部分であるにも拘わらず、注目画素がブロック形状の文字領域の一部として像域分離されている可能性が高い。
【0136】
なお、ここでは、テンプレートマッチング処理結果および色平坦度に加えて、収縮処理結果も参照してブロック検知を行っている。これは、収縮処理を行っても白画素にならなかった画素は、文字領域ではない可能性が高いためであり、収縮処理結果を用いることによって像域分離エラーの検知の精度をより高めることができる。
【0137】
横線検知部37は、図19に示すテンプレート(横線検知パターン)を用いて、横線検知を行う。具体的には、注目画素の収縮処理結果が「1:白画素」の場合であって注目画素を含む1×11画素全ての像域分離結果が「1」の場合に、「1」を出力する。
【0138】
縦線検知部38は、図20に示すテンプレート(縦線検知パターン)を用いて、縦線検知を行う。具体的には、注目画素の収縮処理結果が「1:白画素」の場合であって注目画素を含む11×1画素全ての像域分離結果が「1」の場合に、「1」を出力する。
【0139】
横線検知部37および縦線検知部38の検知処理によって、ブロックのエッジを構成する横線、縦線を検出することができる。なお、ここで説明した横線検知パターンや縦線検知パターンは一例であって、1×11画素、あるいは11×1画素のサイズに限定されるものではない。なお、横線検知部37、縦線検知部38では、像域分離部18の膨張処理部29で用いた参照ウィンドウのサイズよりも大きなサイズの検知パターンを用いる。
【0140】
また、ここでも収縮処理結果を参照して縦線横線検知を行うのは、前述のブロック検知と同様の理由からである。
【0141】
図21は、ブロックエッジ検知部39の構成および処理内容を示す図である。
【0142】
ブロックエッジ検知部39は、第1ブロックエッジ検知処理部50、第2ブロックエッジ検知処理部51、第3ブロックエッジ検知処理部52、第4ブロックエッジ検知処理部53、OR処理部54、および判定部55を備えている。
【0143】
第1ブロックエッジ検知処理部50、第2ブロックエッジ検知処理部51、第3ブロックエッジ検知処理部52、および第4ブロックエッジ検知処理部53は、それぞれ図21に示すような予め定められたテンプレート(検知パターン)を用いて、注目画素から所定画素(ここでは5画素)だけ離れた部分に横線検知部37または縦線検知部38でエッジが検出された画素が複数連続して存在するか否かを判定し、存在していれば、1を出力する。
【0144】
OR処理部54は、第1ブロックエッジ検知処理部50、第2ブロックエッジ検知処理部51、第3ブロックエッジ検知処理部52、および第4ブロックエッジ検知処理部53からの出力結果の論理和をとってブロックエッジ検知結果として出力する。すなわち、これら複数のブロックエッジ検知処理部の少なくとも1つから「1」が出力された場合には、ブロックエッジ検知結果として「1」を出力し、それ以外は「0」を出力する。
【0145】
判定部55には、OR処理部54からのブロックエッジ検知結果、注目画素の色平坦度、および注目画素の像域分離結果が入力される。
【0146】
判定部55では、注目画素についてのブロックエッジ検知結果が「1」であり、かつ色平坦度が「1」以上であり、かつ像域分離結果が「1」である場合には、「1」を出力し、それ以外の場合には、「0」を出力する。
【0147】
なお、判定部55から「1」が出力された場合には、彩度の変化や色相の変化が小さく平坦な部分であって、文字や線画ではない縦線、横線パターンのエッジ部分であるにも拘わらず、注目画素が文字領域として像域分離されている可能性が高い。
【0148】
ブロック検知部36から出力された検知結果と、ブロックエッジ検知部39から出力された検知結果は、OR処理部40に出力される。OR処理部40では入力された検知結果の論理和をとってON画素加算部41に出力する。
【0149】
ON画素加算部41は、入力された検知結果をバッファリングし、注目画素について、注目画素を中心としたm×m画素の矩形領域に含まれる各画素についての検知結果を加算する。例えば、加算対象が5×5画素の矩形領域である場合には、加算結果は0〜25の値をとる。
【0150】
しきい値処理部42は、ON画素加算部41での加算結果と予め定められたしきい値とを比較し、加算結果がしきい値以上であればブロック補正処理部35に対して像域分離エラーブロックパターン検知結果として「1」を出力し、加算結果がしきい値未満であれば、ブロック補正処理部35に「0」を出力する。これにより、各画素毎に像域分離エラーブロックパターン検知結果が出力される。なお、像域分離エラーブロックパターン検知結果「1」は、本来写真領域であるべき領域が文字領域として像域分離された(すなわち、像域分離エラーが生じた)ブロックパターンを検知したことを示し、像域分離エラーブロックパターン検知結果「0」は、像域分離エラーが生じたブロックパターンは検知されなかったことを示す。
【0151】
このように、注目画素を含む所定範囲の画素についての検知結果を加算してしきい値と比較することで、像域分離エラーを精度高く検出することができる。
【0152】
ブロック補正処理部35は、像域分離エラーブロックパターン検知結果から像域分離結果を補正する。
【0153】
図22は、ブロック補正処理部35が実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0154】
ステップ300では、注目画素を設定する。
【0155】
ステップ302では、像域分離部18で生成された像域分離タグ画像データから注目画素の像域分離結果を取得すると共に、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34から注目画素についての像域分離エラーブロックパターン検知結果を取得する。
【0156】
ステップ304では、注目画素の像域分離結果が「0(写真領域)」であるか「1(文字領域)」であるかを判断する。ここで、像域分離結果が「1」であると判断した場合には、ステップ306に移行し、像域分離エラーブロックパターン検知結果が「0」であるか、「1」であるかを判断する。ここで、像域分離エラーブロックパターン検知結果が「1」であると判断した場合には、ステップ308で、像域分離結果を「1」から「0」に補正して、ステップ310に移行する。
【0157】
一方、ステップ304で、像域分離結果が「0」であると判断した場合、およびステップ306で、像域分離エラーブロックパターン検知結果が「0」であると判断した場合には、ステップ308の補正処理は行わずにステップ310に移行する。
【0158】
ステップ310では、全画素について処理済みか否かを判断する。ここで全画素について処理済みでないと判断した場合には、ステップ312に移行し、次の画素を注目画素に設定してステップ302に戻り、上記処理を繰り返す。
【0159】
一方、ステップ310で、全画素について処理済みだと判断した場合に補正処理は終了する。
【0160】
このように、本実施の形態では、文字領域と判定された画素について、像域分離エラーが生じたブロックパターンが検知された場合に、該画素の像域分離結果を写真領域に補正する。
【0161】
補正された像域分離タグ画像データおよび色平坦度算出部19で算出された色平坦度タグ画像データは縮拡部16に出力され、縮拡部14と同一倍率で縮小・拡大されて、画像処理部17に出力される。
【0162】
画像処理部17では、縮拡部14から出力された画像データに対して画像処理を行うが、このとき、縮拡部16から出力された像域分離タグ画像データが示す像域分離結果、および色平坦度タグ画像データが示す色平坦度の各々に応じて画像処理を行う。
【0163】
図23は、画像処理部17の空間補正部21で行われる空間周波数補正処理を説明する説明図である。
【0164】
空間補正部21は、入力された画像データ(図23(A)参照)に対して、DF(デジタルフィルタ)係数がマトリクス状に配列されたフィルタ(図23(B)参照)を用いてフィルタ処理を行って空間周波数を補正した出力データ(図23(C)参照)を生成する。
【0165】
この空間周波数補正では、像域分離結果と色平坦度とに応じて用いるフィルタを異ならせている。本実施の形態では、図23(A)に示すように、像域分離結果と色平坦度とに応じてDF係数の特性が定まり、これに応じて空間周波数補正に使用するフィルタを選択する。図23(A)に示すような空間周波数補正に使用すべきフィルタ選択面が像域分離結果と色平坦度とに応じて記憶されたテーブルは、予め不図示のメモリなどに記憶され参照される。
【0166】
なお、画像処理部17における色変換部22、階調補正部23、スクリーン生成部24においても、空間補正部21と同様に、像域分離結果および色平坦度に応じて処理に用いるLUTやスクリーン等を適応的に切替えて用いることができる。
【0167】
画像処理部17で画像処理されて生成された出力用データは、画像出力装置12に出力され、画像出力装置12は、出力用データに基づいて高品質な画像を出力することができる。
【0168】
以上説明したように、本実施の形態では、色平坦度等に基づいて像域分離結果を補正するようにしたため、補正した像域分離結果に応じて適切な画像処理を施すことができ、像域分離エラーによる画質の欠陥を低減させることができる。
【0169】
特に、文字領域と誤判定された写真領域の境界部分で段階的にあるいは連続的に変化させてぼかすような従来の方法と異なり、像域分離エラーそのものを補正するため、本来必要とされている階調性を再現することができる。なお、従来の方法では検知パラメータを写真よりに設定することにより像域分離エラーを回避しようとしているが、その結果、トレードオフの関係にある文字の検知レベルを下げる結果になる。しかしながら、上述したように色平坦度などに基づいて像域分離補正を行えば、文字の検知レベルが低下することはない。
【0170】
また、上記説明したように参照ウィンドウ等を用いた像域分離手法を用いた場合、文字領域と写真領域の境界部分で段階的にあるいは連続的に変化させてぼかすような従来の方法では、低線数網点や、多値レーザープリンタで一般なYMCK万線(ライン)スクリーンや、ローテーションスクリーンで画像が形成された原稿を用いて複写する場合に発生するブロック形状の像域分離エラーについては何ら解決できず、画質欠陥を補正することができない。しかしながら、上記説明したようにブロックパターンを検知して補正すれば、そうした像域分離エラーを補正することができる。
【0171】
また、上記説明したように、本実施の形態では、例えば8ビット256階調のYMCK画像データを用いて像域分離補正処理を行うのではなく、像域分離タグ画像データおよび色平坦度タグ画像データをいずれも1ビット(0、1)または2ビット(0〜3)単位で生成し、これらを用いて像域分離補正処理を行うため、処理時間が早くなるだけでなく、処理に必要なメモリ容量も少なくてすむ、という利点もある。
【0172】
また、8ビット多階調のイメージ画像データでブロックパターン検知を行うと誤検知が発生する場合があるが、像域分離タグ画像データや色平坦度タグ画像データに基づいて像域分離エラーブロックパターン検知処理を行うため、誤検知することなく精度高く補正することができる。
【0173】
また、色平坦度を像域分離補正処理だけでなく、後段の画像処理部の画像処理でも利用するようにしたため、色平坦度に応じた最適な画像処理を行うことができる。
【0174】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で様々な設計上の変更を行うことができる。
【0175】
例えば、上記実施の形態では、入力画像を文字領域および写真領域に像域分離して各領域に応じて画像処理する例について説明したが、これに限定されず、例えば、黒文字領域、色文字領域、網点領域、および写真領域の4領域に像域分離して各領域に応じて画像処理するようにしてもよい。以下、4領域に像域分離する変形例について説明する。
【0176】
なお、この変形例の基本構成は図1に示す構成と同じであるものとする。ただし、像域分離部は以下のように構成し、符号は18aとして上記実施の形態の像域分離部18と区別して説明する。
【0177】
図24は、変形例における像域分離部18aの構成を示す図である。なお、図24において、図3と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を簡略化あるいは省略する。
【0178】
この像域分離部18aは、二値化処理部25、網点抽出部26、OR処理部27、収縮処理部28、膨張処理部29、反転処理部30、AND処理部31、像域分離タグ生成部56、および色黒判定部57を含んで構成されている。
【0179】
AND処理部31から出力される処理結果(0または1)を、上記実施の形態では、1を文字領域とし、0を写真領域とする例について説明したが、この変形例では、1を文字領域、0を非文字領域として説明する。
【0180】
網点抽出部26は、上記実施の形態と同様に、色変換部13から出力された画像データから、網点領域を抽出し、該抽出した網点領域の二値画像データ(0:非網点、1:網点)を出力する。更にまた、この変形例では、網点抽出部26は、網点領域の抽出結果を像域分離タグ生成部56および像域補正部20a(図27参照。)に出力する。
【0181】
色黒判定部57は、L*a*b*色空間の画像データのa*値およびb*値を用いて、入力画像を彩度が高い領域(色領域)と、彩度が低い領域(黒領域)とに分離する。具体的には、前述の式(5)を用いてC*軸上の座標値を演算し、該演算値と予め定めた閾値とを比較して色領域か黒領域かを判定して分離する。この判定結果(0:黒、1:色)は像域分離タグ生成部56に出力される。
【0182】
以下、像域分離タグ生成部56に入力される色黒判定部57の判定結果をD0と称し、網点抽出部26の抽出結果をD1と称し、AND処理部31の処理結果をD2と称す。
【0183】
図25は、像域分離タグ生成部56に対する入力データと、像域分離タグ生成部56から出力される出力データとの関係を示したテーブルである。
【0184】
前述したように、像域分離タグ生成部56には入力データとして画素毎にD0、D1、D2が入力される。各入力データD0、D1、D2は、0または1の1ビットデータであるため、像域分離タグ生成部56に対する入力は3ビットとなる。
【0185】
像域分離タグ生成部56は、この3ビットの入力データを図25のテーブルで表された関係に従って2ビットの出力データ(TD0、TD1)に変換し、図26のテーブルに示すようにTD1を上位ビット(2bitめ)、TD0を下位ビット(1bitめ)とする各画素2ビットの像域分離タグ画像データを生成する。
【0186】
なお、出力データTD1は、AND処理部31からの入力データD2(文字、非文字)となる。また、出力データTD0は、TD1が非文字領域(0)を示す場合には、入力データD1となり、TD1が文字領域(1)を示す場合には、入力データD0となる。
【0187】
ここで生成された像域分離タグ画像データは、後段の像域補正処理で補正されるが、この補正を行う像域補正部は、本変形例では以下のように構成し、符号は20aとして上記実施の形態の像域補正部20と区別して説明する。
【0188】
図27は、変形例における像域補正部20aの構成を示す図である。なお、図27において、図16と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を簡略化あるいは省略する。
【0189】
像域補正部20は、タグ切り出し処理部58と、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34と、ブロック補正処理部59と備えている。
【0190】
タグ切り出し処理部58は、各画素2ビットの像域分離タグ画像データから、出力データTD1に相当する上位1ビットを切り出して像域分離エラーブロックパターン検知処理部34に出力する。前述したように、出力データTD1は、AND処理部31からの入力データD2(文字、非文字)に相当するため、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34は、上記実施の形態で説明した検知処理と同様の検知処理を行うことができる。
【0191】
ブロック補正処理部59には、2ビットの像域分離タグ画像データを像域分離エラーブロックパターン検知結果に応じて補正する。
【0192】
図28は、変形例におけるブロック補正処理部59が実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。
【0193】
ステップ400では、注目画素を設定する。
【0194】
ステップ402では、像域分離部18aで生成された像域分離タグ画像データから注目画素の像域分離結果を取得すると共に、網点抽出部26の網点抽出結果(D1)を取得する。さらにまた、像域分離エラーブロックパターン検知処理部34から注目画素についての像域分離エラーブロックパターン検知結果を取得する。
【0195】
ステップ404では、注目画素の像域分離結果の上位ビット(TD1)が「0」であるか「1」であるかを判断する。ここで、像域分離結果の上位ビット(TD1)が「1」であると判断した場合には、ステップ406に移行し、像域分離エラーブロックパターン検知結果が「0」であるか、「1」であるかを判断する。ここで、像域分離エラーブロックパターン検知結果が「1」であると判断した場合には、ステップ408で、網点抽出結果D1に応じて、像域分離結果を写真領域または網点領域に変更する。具体的には、上位ビットTD1を「1」から「0」に補正し、下位ビットTD0を網点抽出結果D1と同じ値に補正する。ステップ408の補正処理後は、ステップ410に移行する。
【0196】
一方、ステップ404で、像域分離結果の上位ビット(TD1)が「0」であると判断した場合、およびステップ406で、像域分離エラーブロックパターン検知結果が「0」であると判断した場合には、ステップ408の補正処理は行わずにステップ410に移行する。
【0197】
ステップ410では、全画素について処理済みか否かを判断する。ここで全画素について処理済みでないと判断した場合には、ステップ412に移行し、次の画素を注目画素に設定してステップ402に戻り、上記処理を繰り返す。
【0198】
一方、ステップ410で、全画素について処理済みだと判断した場合に補正処理は終了する。
【0199】
このように、この変形例では、黒文字領域または色文字領域と判定された画素について、像域分離エラーが生じたブロックパターンが検知された場合に、該画素の像域分離結果を写真領域か網点領域に補正する。
【0200】
補正された像域分離タグ画像データおよび色平坦度算出部19で算出された色平坦度タグ画像データは縮拡部16に出力され、縮拡部14と同一倍率で縮小・拡大されて、画像処理部17に出力される。
【0201】
画像処理部17では、縮拡部14から出力された画像データに対して画像処理を行うが、このとき、縮拡部16から出力された像域分離タグ画像データが示す像域分離結果、および色平坦度タグ画像データが示す色平坦度の各々に応じて上記実施の形態と同様に画像処理を行う。なお、この変形例では4種類の領域に像域分離したため、各領域に適した画像処理を行うことができる。
【0202】
以上変形例について説明したが、変形例においても、上記実施の形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0203】
なお、上記実施の形態および変形例では、色平坦度算出部で算出する色平坦度を「3:色平坦領域」、「2:中間平坦領域」、「1:黒平坦領域」、「0:白平坦・非平坦領域」の4値としたが、これに限定されず、例えば色分けせずに、平坦性が高い「1:平坦領域」および平坦性が低い「0:非平坦領域」の2値のみとしてもよい。これによっても、像域分離エラーを補正できる。
【0204】
また、像域分離部18、18aにおける像域分離処理は、上記実施の形態および変形例で説明した手法に限定されない。例えば、矩形のテンプレートを用いたパターンマッチングのみで文字領域、写真領域(網点領域)を分離するようにしてもよい。単純なパターンマッチング処理としては、テンプレートのパターンとのマッチ度で点数付けを行い、注目画素に対して所定サイズのウインドウの点数付けの結果を加算した後に平均値を算出し、該平均値としきい値とを比較した比較処理により網点領域、非網点領域(文字領域)に分離する方法などがある。このような手法によっても、パターンマッチングで用いるテンプレートが矩形であるため、分離境界域でブロック形状の像域分離エラーが発生する場合がある。テンプレートを用いた像域分離は広く行われている手法であるため、上記説明したようにブロックパターン検知結果を用いて補正することで、こうしたブロック形状の像域分離エラーを精度高く補正することができる。
【0205】
また、収縮処理や膨張処理を行わない像域分離方法を採用する場合には、収縮処理結果は考慮せず、色平坦度およびブロックパターン検知結果のみに基づいて像域分離エラーを補正することができる。なお、上記実施の形態および変形例で説明した像域分離方法でも、収縮処理結果を用いずに像域分離エラーを補正することはできる。これにより若干の精度低下はあるが、従来よりも精度高く像域分離処理を行うことができる。
【0206】
また、色平坦度のみに基づいて像域分離エラーを補正することも可能である。例えば、ブロック形状の像域分離エラーが発生しない像域分離方法(例えば、エッジ抽出処理のみによって文字領域と非文字領域に分離する場合など)では、色平坦度のみで像域分離エラーを補正するようにしてもよい。
【0207】
ブロック形状の像域分離エラーが発生するような像域分離方法であっても、色平坦度のみに基づいて像域分離エラーを補正することが可能である。上記実施の形態や変形例などで説明した像域分離方法では、色平坦度のみで像域分離エラーを補正すると、カタログの見出し文字など色背景中の文字が写真領域に補正される可能性はあるが、文字、写真(或いは網点)間で画像処理が切替ることによる画質の低下を防ぐことができる。従って、色平坦度が「3(色平坦領域)」の場合、文字領域に像域分離された部分を写真領域(あるいは網点領域)に補正しても、高画質な出力結果が得られる。
【0208】
また、上記実施の形態および変形例では、RGB画像データをL*a*b*色空間の画像データに変換して、像域分離処理や平坦度算出処理、画像処理を行う例について説明したが、L*a*b*色空間に限定されず、均等色空間の画像データであれば他の色空間の画像データに変換してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明の実施の形態に係る複写機の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】像域分離部の構成を示すブロック図である。
【図4】収縮処理部の収縮処理を説明する説明図である。
【図5】膨張処理部の膨張処理を説明する説明図である。
【図6】像域分離部のAND処理部に入力される画像データと、該入力された画像データの論理積をとった画像データの一例を示す図である。
【図7】像域分離部の各部における処理結果の一例を示した図である。
【図8】ドットTOラインスクリーン手法によりスクリーン処理した画像データに基づいて印刷された原稿画像を複写するときに発生するブロック形状の像域分離エラーを説明する説明図である。
【図9】低線数網点で表現された原稿画像を複写するときに発生するブロック形状の白抜けを説明する説明図である。
【図10】色平坦度算出部が行う色平坦度算出処理のメインルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図11】色平坦度算出処理のメインルーチンで呼び出されるサブルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図12】L*a*b*色空間の画像データが表す画像をM×N画素の複数の小領域に分割したときの状態を示す図である。
【図13】L*C*平面上で各画素を色領域、白領域、黒領域、および中間領域のいずれかに判定するための閾値を示す図である。
【図14】平坦色相角を説明する説明図である。
【図15】色平坦度の種類を表したテーブルである。
【図16】像域補正部の構成を示すブロック図である。
【図17】像域分離エラーブロックパターン検知処理部の構成を示すブロック図である。
【図18】ブロック検知部の構成および処理内容を示す図である。
【図19】横線検知部の横線検知で用いるテンプレートの一例を示す図である。
【図20】縦線検知部で縦線検知で用いるテンプレートの一例を示す図である。
【図21】ブロックエッジ検知部の構成および処理内容を示す図である。
【図22】ブロック補正処理部が実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】画像処理部の空間補正部で行われる空間周波数補正処理を説明する説明図である。
【図24】変形例における像域分離部の構成を示す図である。
【図25】変形例における像域分離タグ生成部に対する入力データと、像域分離タグ生成部56から出力される出力データとの関係を示したテーブルである。
【図26】各画素2ビットの像域分離タグ画像データを生成するときの、各ビットの値とこれに対応する像域分離内容を示すテーブルである。
【図27】変形例における像域補正部の構成を示す図である。
【図28】変形例におけるブロック補正処理部が実行する補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図29】像域分離エラーが発生した状態で画像処理を行って画像を出力することにより、画質が劣化することを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0210】
10 画像読取装置
11 画像処理装置
12 画像出力装置
15 像域分離処理部
17 画像処理部
18、18a 像域分離部
19 色平坦度算出部
20、20a 像域補正部
25 二値化処理部
26 網点抽出部
28 収縮処理部
29 膨張処理部
30 反転処理部
32 像域分離タグ生成部
34 像域分離エラーブロックパターン検知処理部
35 ブロック補正処理部
36 ブロック検知部
37 横線検知部
38 縦線検知部
39 ブロックエッジ検知部
56 像域分離タグ生成部
57 色黒判定部
59 ブロック補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取手段によって読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する分離手段と、
前記読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する平坦度導出手段と、
前記導出された平坦度に基づいて前記分離手段の分離結果に含まれる分離不良を補正する補正手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記平坦度導出手段は、前記各画素毎の平坦度を、均等色空間における各画素および各画素近傍領域の画像データの平均座標からの分布に基づいて導出する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記平坦度導出手段は、前記読み取られた画像の各画素を順次注目画素に設定し、該設定した注目画素および該注目画素近傍領域の画像データのばらつきの度合いと、該注目画素の画像データと該注目画素および該注目画素近傍領域の画像データの平均値との偏差と、を算出し、該算出したばらつきの度合いおよび偏差に基づいて該注目画素の平坦度を導出することによって、前記各画素毎に平坦度を導出する
請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記平坦度導出手段は、前記ばらつきの度合いとして、前記画像データに含まれる色相および彩度を示すデータの標準偏差を算出し、前記偏差として、前記注目画素および前記注目画素近傍領域の画像データに含まれる色相のデータの平均と前記注目画素の画像データに含まれる色相のデータとの差を算出する
請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記読み取られた画像の画像データに、前記補正手段で補正された分離結果に応じて画像処理を施す画像処理手段を更に備えた
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理手段は、前記読み取られた画像の画像データに、前記補正手段で補正された分離結果および前記平坦度導出手段で導出された平坦度に応じて画像処理を施す
請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記分離手段は、前記読み取られた画像の各画素を順次注目画素に設定し、前記読み取られた画像の画像データから該設定した注目画素を含む矩形領域の画像データを抽出し、該抽出した画像データに所定の処理を施すことによって前記読み取られた画像の画像データを文字線画領域と非文字線画領域とに分離し、更に各画素毎の分離結果を前記読み取られた画像の各画素の位置に対応して配置した分離結果配置データを前記分離結果として生成し、
前記補正手段は、前記導出された平坦度および予め定められた矩形のひな型を用いて、
前記生成された分離結果配置データから矩形または矩形が連なった形状の分離不良を検出し、該検出した分離不良を補正する
請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記分離手段は、前記読み取られた画像の各画素を順次注目画素に設定し、前記読み取られた画像の画像データから該設定した注目画素を含む矩形領域の画像データを抽出し、該抽出した画像データに黒部分を収縮する収縮処理を施した後、黒部分を膨張させる膨張処理を施し、全ての注目画素について収縮処理および膨張処理が終了した後の画像データを反転させた画像データと収縮処理前の画像データとに基づいて前記読み取られた画像の画像データから文字線画領域を分離すると共に、該分離した文字線画領域以外の画像データを非文字線画領域として分離して前記分離結果配置データを生成し、
前記補正手段は、前記導出された平坦度、予め定められた矩形のひな型、および前記収縮処理後の画像データを用いて、前記生成された分離結果配置データから矩形または矩形が連なった形状の分離不良を検出し、該検出した分離不良を補正する
請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記分離手段は、更に、前記非文字線画領域を網点領域および写真領域に分離する
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する分離手段と、
前記読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する平坦度導出手段と、
前記導出された平坦度に基づいて前記分離手段の分離結果に含まれる分離不良を補正する補正手段と、
前記読み取られた画像の画像データに、前記補正手段で補正された分離結果に応じて画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段で画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力手段と、
を備えた画像出力装置。
【請求項11】
画像読取手段によって読み取られた画像の画像データを、文字または線画の文字線画領域と文字線画領域ではない非文字線画領域とに分離する分離ステップと、
前記読み取られた画像の画像データに基づいて、各画素が画像データの変化が所定値以下の平坦領域であるか否かを示す平坦度を各画素毎に導出する平坦度導出ステップと、
前記導出された平坦度に基づいて前記分離ステップの分離結果に含まれる分離不良を補正する補正ステップと、
を備えた画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図29】
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【公開番号】特開2008−92447(P2008−92447A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273100(P2006−273100)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】