説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】 文字をくっきりさせるとともに文字内部で階調を表現した画像を生成する。
【解決手段】 画像処理装置は、画像データと、文字を構成する画素と文字の輪郭部分を構成する輪郭画素とを他の画素と区別する属性データとが入力され、属性データに基づき画像データにスクリーン処理を実行する第1〜第3スクリーン処理処理部125A,125B,125Cを備える。第1スクリーン処理部125Aは、画像データの輪郭画素に第1のスクリーン処理を実行し、第2スクリーン処理部125Bは、画像データの文字領域に含まれ、かつ、輪郭画素でない画素に第2のスクリーン処理を実行し、第3スクリーン処理部125Cは、画像データの文字領域に含まれない画素に第3のスクリーン処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像処理装置および画像処理プログラムに関し、特に、画像データにスクリーン処理を実行する画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平07−333822号公報(特許文献1)には、原画像を表わす画像信号から印刷版画像を作成する方法であって、(A)前記原画像を複数の領域に分割し、前記複数の領域のそれぞれに対して、互いに異なる形状または/および線数を有する複数種類のドットのいずれか一種類をそれぞれ割当てる工程と、(B)前記画像信号の階調特性と、前記複数種類のドットを形成するためのしきい値を表わす複数種類のドットパターン信号の階調特性とのうちの少なくとも一方を、前記複数種類のドットのそれぞれのドットゲイン特性に応じて補正する工程と、(C)補正済みの画像信号とドットパターン信号とを比較することによって、前記複数の領域を前記複数種類のドットでそれぞれ再現した印刷版画像を表わす画像記録信号を生成する工程と、を備えることを特徴とする印刷版画像の作成方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、特開平07−333822号公報では、形状または/および線数を有する複数種類のドットのいずれか一種類をそれぞれ割当てるので、文字にスクリーン処理が実行されることになる。このため、文字エッジが鮮明に表すことができないといった問題があった。また、画像データの文字部分にエッジ強調処理を実行することも考えられるが、この場合には、階調のある文字を表現することができないといった問題がある。
【特許文献1】特開平07−333822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、文字をくっきりさせるとともに文字内部で階調を表現した画像を生成することが可能な画像処理装置および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像処理装置は、画像データを入力する画像データ入力手段と、文字を構成する画素を含む文字領域と文字の輪郭部分を構成する輪郭画素とを他の画素と区別する属性データを取得する属性データ取得手段と、属性データに基づき、画像データにスクリーン処理を実行するスクリーン処理手段とを備え、スクリーン処理手段は、画像データの輪郭画素に第1のスクリーン処理を実行し、画像データの文字領域に含まれ、かつ、輪郭画素でない画素に第2のスクリーン処理を実行し、画像データの文字領域に含まれない画素に第3のスクリーン処理を実行する。
【0006】
この発明に従えば、画像データの輪郭画素に第1のスクリーン処理が実行され、文字領域に含まれるが輪郭画素でない画素に第2のスクリーン処理が実行され、文字領域に含まれない画素に第3のスクリーン処理が実行される。このため、例えば、文字の輪郭を強調して、文字の内部と文字の背景に階調性を持たせることができる。その結果、文字をくっきりさせるとともに、文字内部で階調を表現した画像を生成することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0007】
好ましくは、第1のスクリーン処理は、エッジ強調処理であり、第2のスクリーン処理は、解像度を優先したスクリーン処理であり、第3のスクリーン処理は、階調を優先したスクリーン処理である。
【0008】
好ましくは、属性データ取得手段は、入力された画像データから文字領域を抽出する文字領域抽出手段と、抽出された文字領域に基づき、文字の輪郭部分を構成する輪郭画素を抽出する輪郭画素抽出手段とを含む。
【0009】
好ましくは、文字領域抽出手段は、入力された画像データからエッジ画素を抽出するエッジ画素抽出手段と、エッジ画素と、エッジ画素で囲まれた画素とを含む文字領域を抽出する文字領域決定手段とを含む。
【0010】
好ましくは、輪郭画素抽出手段は、文字領域抽出手段により抽出された文字領域を拡張する拡張手段と、文字画素抽出手段により抽出された文字領域を収縮する収縮手段と、拡張手段により拡張された後の文字領域に含まれ、かつ、収縮手段により収縮された後の文字領域に含まれない画素を輪郭画素とする輪郭画素決定手段とを含む。
【0011】
好ましくは、属性データ取得手段は、入力された画像データからエッジ画素を輪郭画素として抽出するエッジ画素抽出手段と、抽出されたエッジ画素を含む矩形の文字属性領域を文字領域として抽出する文字属性領域抽出手段とを含む。
【0012】
好ましくは、画像データの階調性を補正するガンマ補正手段をさらに備え、ガンマ補正手段は、画像データの輪郭画素、画像データの文字領域に含まれ、かつ、輪郭画素でない画素、および画像データの文字領域に含まれない画素に、それぞれに対して予め準備された特性曲線に応じてガンマ補正する。
【0013】
この発明の他の局面によれば画像処理プログラムは、画像データを入力するステップと、文字を構成する画素を含む文字領域と文字の輪郭部分を構成する輪郭画素とを他の画素と区別する属性データを取得するステップと、画像データの輪郭画素に第1のスクリーン処理を実行するステップと、画像データの文字領域に含まれ、かつ、輪郭画素でない画素に第2のスクリーン処理を実行するステップと、画像データの文字領域に含まれない画素に第3のスクリーン処理を実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【0014】
この発明に従えば、文字をくっきりさせるとともに、文字内部で階調を表現した画像を生成することが可能な画像処理プログラムを提供することができる。
【0015】
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理装置は、画像データを入力する画像データ入力手段と、入力された画像データからエッジ画素を抽出するエッジ画素抽出手段と、画像データにスクリーン処理を実行するスクリーン処理手段とを備え、スクリーン処理手段は、画像データのエッジ画素にエッジ強調処理を実行し、画像データのエッジ画素として抽出されなかった画素に解像度を優先したスクリーン処理を実行する。
【0016】
この発明に従えば、画像データのエッジ画素にエッジ強調処理が実行され、画像データのエッジ画素として抽出されなかった画素に解像度を優先したスクリーン処理を実行が実行される。このため、例えば、文字の輪郭を強調して、文字の内部と文字の背景に階調性を持たせることができる。その結果、文字をくっきりさせるとともに、文字内部で階調を表現した画像を生成することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0017】
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理プログラムは、画像データを入力するステップと、入力された画像データからエッジ画素を抽出するステップと、画像データのエッジ画素にエッジ強調処理を実行するステップと、画像データのエッジ画素として抽出されなかった画素に解像度を優先したスクリーン処理を実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【0018】
この発明に従えば、文字をくっきりさせるとともに、文字内部で階調を表現した画像を生成することが可能な画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるMFP(Multi Function Peripheral)の斜視図である。図1を参照して、MFPは、原稿画像を読取るための画像読取装置10と、画像読取装置10の下部に設けられた画像形成装置20とを含む。MFPは、画像読取装置10で読取られた画像を紙などの記録媒体に形成する。また、MFPは、フアクシミリ装置、ローカルエリアネットワーク(LAN)、公衆回線などのネットワークと接続するための通信インターフェースを備える。
【0021】
また、MFPには、フラッシュROM30が装着可能である。このフラッシュROM30に記憶された画像処理プログラムが、MFPが備える中央演算装置(CPU)で実行される。なお、プログラムを、フラッシュROM30から読出すのに代えて、EEPROM(electrically erasable/programable read only memory)に記憶するようにしてもよい。MFPは、EEPROMに記憶されたプログラムをCPUで実行する。またこのEEPROMは、記憶内容を書換えるまたは追加して書込みすることが可能なので、ネットワークに接続された他のコンピュータが、MFPのEEPROMに記憶されたプログラムを書換えたり、新たなプログラムを追加して書込んだりするようにしてもよい。さらに、MFPが、ネットワークに接続されたコンピュータからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをEEPROMに記憶するようにしてもよい。
【0022】
なお、MFPで実行されるプログラムはフラッシュROM30に記憶されて流通される例を示すが、他の記録媒体、たとえば、フレキシブルディスク、カセットテープ、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、ハードディスク、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
【0023】
また、ここでいうプログラムは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム方式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0024】
図2は、本実施の形態におけるMFPの構成を示すブロック図である。図2を参照して、MFPは、原稿をライン単位で読取りR(赤)、G(緑)およびB(青)のアナログ信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)101と、CCD101から入力された偶数番目の信号Reven,Geven,Bevenと奇数番目の信号Rodd,Godd,Boddを合成する画像合成部102と、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのアナログデジタル変換部(A/D変換部)103と、光源の照明ムラ等を補正するためのシェーディング補正部104と、R信号,G信号およびB信号が原稿の同一ラインとなるように同期させるためのライン間補正部105と、レンズによる主走査方向の歪を補正するための色収差補正部106と、倍率の変更および画像データ中の位置を移動させる変倍・移動処理部107と、RGB色空間で表わされた画像データをCMY色空間で表わされる画像データ(CMYKデータ)に変換する色変換部108とを含む。
【0025】
MFPは、さらに、R信号、G信号、B信号が入力されて画像データの各画素の属性を判別する属性判別部109と、属性判別部109による属性判別結果に応じてスクリーン処理等を行なうプリントデータ生成部110と、生成されたプリントデータを画像形成装置20に出力するためのプリンタI/F111とを備えている。
【0026】
なお、ここでは、画像読取装置10で原稿を読取って得られた画像データを、画像形成装置20から出力する例を示すが、MFPとネットワークを介して接続された他のコンピュータから送信された画像データを画像形成装置20から出力するようにしてもよい。この場合には、MFPが備える通信インターフェースで画像データが受信され、その画像データが色変換部108および属性判別部109に入力される。また、MFPが備えるハードディスクから読み出された画像データを画像形成装置20から出力するようにしてもよい。この場合には、MFPが備えるハードディスクから読み出された画像データが色変換部108および属性判別部109に入力される。
【0027】
次に、図3および図4を用いて、属性判別部109を説明する。図3は、属性判別部109の構成を示すブロック図である。図4は、属性判別部で生成されるエッジデータの一例を示す図である。
【0028】
属性判別部109には、R,G,Bそれぞれの画像データが1ラインずつ入力される。属性判別部109は、R,G,Bの3つの画像データを明度データに変換し、明度データを処理する。属性判別部109は、ラインバッファ(FIFO)を有し、複数ライン分の明度データを処理することが可能となっている。
【0029】
属性判別部109は、明度データからエッジ画素を抽出するエッジ抽出部131と、エッジ画素を拡張する第1ダイレーション処理部132と、拡張されたエッジを縮める第1エロージョン処理部133と、縮められたエッジを拡張する第2ダイレーション処理部134と、縮められたエッジをさらに縮める第2エロージョン処理部135と、第2ダイレージョン処理部134の出力から第2エロージョン処理部135の出力を減算して差のある差分領域を抽出して属性信号を出力する差分抽出部136とを含む。
【0030】
エッジ抽出部131は、明度データが入力される。エッジ抽出部131は、1次微分フィルタおよび2次微分フィルタを備え、明度データに1次微分フィルタを用いたフィルタ処理と、明度データに2次微分フィルタを用いたフィルタ処理とを実行する。そして、1次微分フィルタを用いたフィルタ処理でエッジと判定された画素(エッジ画素)、および、2次微分フィルタを用いたフィルタ処理でエッジと判定された画素(エッジ画素)を「1」とし、他の画素を「0」とするエッジデータを、第1ダイレーション処理部132に出力する。図4(A)は、エッジ抽出部131が出力するエッジデータの一例を示す図である。図では、文字「L」に対応するエッジデータを示している。文字を構成する線の輪郭部分をエッジ画素とされる。図では実線で示している。文字「L」を構成する線の輪郭の内部は、エッジ画素とされていない。
【0031】
第1ダイレーション処理部132は、エッジデータが入力される。第1ダイレーション処理部132は、エッジ画素の周辺の画素をエッジ画素とすることにより、エッジ画素を拡張する。周辺の画素は、エッジ画素から所定の数だけ離れた画素を含む。文字がある程度の太さを有する場合に、エッジ画素は、その文字の輪郭として抽出される。第1ダイレーション処理部132による処理は、文字の輪郭として抽出されたエッジ画素を、文字を構成する線にまで拡張する処理である。このため、周辺の画素の範囲は、文字を構成する線幅の1/2の範囲とすればよい。また、周辺の画素を徐々に拡大していき、2つのエッジ画素を拡張した2つの領域が重なった時点で周辺の画素の範囲を定めるようにしてもよい。第1ダイレーション処理部132は、エッジ画素を拡張したエッジデータを第1エロージョン処理部133に出力する。
【0032】
図4(B)は、第1ダイレーション処理部132が出力するエッジデータの一例を示す図である。図中斜線部分がエッジ画素であることを示している。図4(A)に示したエッジ画素が周辺の画素にまで拡張されて、文字「L」を構成する線の内部がエッジ画素とされているとともに、線幅が拡張されている。
【0033】
第1エロージョン処理部133は、エッジ画素をエッジでない画素とすることにより文字の線幅を縮ませる。第1ダイレーション処理部132により文字の線幅が拡張されたため、これを元の線幅にまで縮小させる。縮小させる画素数は、第1ダイレーション処理部132で拡張した画素数と同じにすればよい。これにより、第1エロージョン処理部133は、文字を構成する線の内側のエッジ画素はそのままエッジ画素とし、文字を構成する線の外側のエッジ画素をエッジでない画素とする。第1エロージョン処理部133は、エッジ画素を縮めたエッジデータを第2ダイレーション処理部134および第2エロージョン処理部135に出力する。第1エロージョン処理部133が出力するエッジデータは、文字の線を構成する画素をエッジ画素とし、他の画素をエッジ画素としないデータである。
【0034】
図4(C)は、第1エロージョン処理部133が出力するエッジデータの一例を示す図である。図中斜線部分がエッジ画素であることを示している。エッジ画素を含む領域が文字領域である。図4(B)に示したエッジ画素で構成される領域が縮められ、文字の線幅が縮小されている。図4(C)に示すエッジ画素で示される文字の大きさは、図4(A)に示したエッジ画素でその輪郭が示される文字の大きさと同じとなる。
【0035】
このように、エッジ抽出部131、第1ダイレーション処理部132および第1エロージョン処理部133とで、画像データから文字を含む文字領域が抽出される。
【0036】
第2ダイレーション処理部134は、エッジ画素の周辺の画素をエッジ画素とすることによりエッジ画素を拡張する。これにより、文字の線幅が拡張される。エッジ画素の周辺の画素は、ここではエッジ画素から1画素だけ離れた画素としている。第2ダイレーション処理部134は、文字の線幅を拡張したエッジデータを差分抽出部136に出力する。
【0037】
図4(D)は、第2ダイレーション処理部134が出力するエッジデータの一例を示す図である。図中斜線部分がエッジ画素であることを示している。図4(C)に示したエッジ画素で構成される領域が拡張され、文字の線幅が拡張されている。
【0038】
第2エロージョン処理部135は、エッジ画素をエッジでない画素とすることにより文字の線幅を縮ませる。連続するエッジ画素の両端の所定数の画素をエッジでない画素とする。ここでは、連続するエッジ画素の両端の1画素をエッジでない画素とする。第2エロージョン処理部135は、文字の線幅を縮めたエッジデータを差分抽出部136に出力する。
【0039】
図4(E)は、第2エロージョン処理部135が出力するエッジデータの一例を示す図である。図中斜線部分がエッジ画素であることを示している。図4(C)に示したエッジ画素で構成される領域が縮小され、文字の線幅が縮められている。
【0040】
差分抽出部136は、第2ダイレーション処理部134から出力されるエッジデータから、第2エロージョン処理部135から出力されるエッジデータを減算して、差分領域を抽出する。この差分領域は、文字の輪郭部分に該当する。
【0041】
図4(F)は、差分抽出部136で生成されるエッジデータの一例を示す図である。図中斜線部分が差分領域(輪郭部分)を示している。
【0042】
このように、第2ダイレーション処理部134、第2エロージョン処理部135および差分抽出部136で、文字領域から輪郭部分が抽出される。
【0043】
差分抽出部136は、第2ダイレーション処理部134から出力されるエッジデータでエッジとされるエッジ画素のうち、差分領域に含まれる画素を輪郭部分の属性(属性値「00」)とし、差分領域に含まれない画素を文字内の属性(属性値「01」)とし、第2ダイレーション処理部134から出力されるエッジデータでエッジとされていない画素を文字以外の属性(属性値「11」)とする。この属性値は、画素ごとに付され、属性信号としてプリントデータ生成部110に出力される。
【0044】
図5は、画素の属性と属性信号との関係を示す図である。図5を参照して、画素の属性が輪郭部分の属性に対して属性信号「00」が割当てられ、画素の属性が文字内の属性に対して属性信号「01」が割当てられ、画素の属性が文字以外の属性に対して属性信号「11」が割当てられられている。
【0045】
なお、本実施の形態においては、属性判別部109を、エッジ抽出部131と、第1ダイレーション処理部132と、第1エロージョン処理部133と、第2ダイレーション処理部134と、第2エロージョン処理部135と、差分抽出部136とで構成する例をしめしたが、属性判別部109はこれに限られるものではない。本実施の形態における属性判別部109は、文字の輪郭部分と、文字の内側部分と、文字以外の部分とを区別する他の方法を用いて、属性を判別するようにしてもよい。
【0046】
図6は、プリントデータ生成部110の構成を示すブロック図である。図6を参照して、プリントデータ生成部110には、色変換部108からC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロ),K(黒)それぞれの画像データと、属性判別部109から属性信号が入力される。ここでは、C、M,Y,Kの4つの画像データは、すべて同じ処理が施されるので、それらを総称して単に画像データという。
【0047】
プリントデータ生成部110には、画像データが1ラインずつ入力される。また、複数ラインを格納するバッファ(FIFO)を有しており、複数ライン単位で処理を実行することが可能である。なお、画像データの全てを格納可能なバッファを設けても良い。
【0048】
プリントデータ生成部110は、エッジ強調処理部121と、第1および第2スムージング処理部122A,122Bと、エッジ強調処理部121、第1および第2スムージング処理部122A,122Bが出力する画素値のいずれかを選択する第1選択部123と、第1選択部123で選択された画素値をガンマ補正するガンマ補正部124と、ガンマ補正された画素値が入力される第1〜第3スクリーン処理部125A,125B,125Cと、第1〜第3スクリーン処理部125A,125B,125Cが出力する画素値のいずれかを選択する第2選択部126とを含む。
【0049】
エッジ強調処理部121は、画像データが入力される。エッジ強調処理部121は、画像データのエッジを強調するように画像データの値を変換する。具体的には、エッジ強調処理部121は、エッジ強調用のフィルタを有し、処理対象画素の画素値と周辺の画素の画素値とを用いて処理対象画素の画素値を補正する。そして、エッジ強調した画素値を第1選択部123に出力する。
【0050】
第1スムージング処理部122Aは、画像データが入力される。第1スムージング処理部122Aは、解像度をできるだけ減少させることなく画像データの階調の変化がなだらかとなるように画像データの値を変換する。具体的には、第1スムージング処理部122Aは、解像度を優先させた平滑化フィルタを有し、処理対象画素の画素値と周辺の画素の画素値とを用いて処理対象画素の画素値を補正する。そして、解像度を優先させて平滑化した画素値を第1選択部123に出力する。
【0051】
第2スムージング処理部122Bは、画像データが入力される。第2スムージング処理部122Bは、画像データの階調の変化が滑らかとなるように画像データの値を変換する。具体的には、第1スムージング処理部122Bは、階調の変化を優先させた平滑化フィルタを有し、処理対象画素の画素値と周辺の画素の画素値とを用いて処理対象画素の画素値を補正する。そして、階調を優先させて平滑化した画素値を第1選択部123に出力する。
【0052】
第1選択部123は、属性判別部109から入力される属性信号に従って、エッジ強調処理部121が出力する画素値、第1スムージング処理部122Aが出力する画素値および第2スムージング処理部122Bが出力する画素値のいずれか1つを選択し、選択した画素値をガンマ補正部124に出力する。具体的には、入力された属性信号が輪郭部分の属性を示す「00」の場合にはエッジ強調処理部121が出力する画素値を選択し、入力された属性信号が文字内の属性を示す「01」の場合には第1スムージング処理部122Aが出力する画素値を選択し、入力された属性信号が文字以外の属性を示す「11」の場合には第2スムージング処理部122Bが出力する画素値を選択する。
【0053】
ガンマ補正部124は、選択部123から画素値が入力され、属性判別部109から属性信号が入力される。ガンマ補正部124は、画素の属性に対応して特性曲線を備えている。そして、入力された画素値を、入力された属性信号に対応する特性曲線を用いてその特性曲線に応じて階調を補正する。これにより、画素の属性に応じて階調性が補正される。そして、ガンマ補正部124は、補正した画素値を第1〜第3スクリーン処理部125A,125B,125Cに出力する。
【0054】
第1スクリーン処理部125Aは、ガンマ補正部124からガンマ補正された画素値が入力される。第1スクリーン処理部125Aは、エッジ強調用のスクリーンを有する。第1スクリーン処理部125Aは、複数あるスクリーンのうちから画素値に対応する1のスクリーンを選択して、第2選択部126に出力する。
【0055】
第2スクリーン処理部125Bは、ガンマ補正部124からガンマ補正された画素値が入力される。第2スクリーン処理部125Bは、解像度をできるだけ減少させることなく画像データの階調の変化がなだらかとなるスクリーンを有する。第2スクリーン処理部125Bは、複数あるスクリーンのうちから画素値に対応する1のスクリーンを選択して、第2選択部126に出力する。
【0056】
第3スクリーン処理部125Cは、ガンマ補正部124からガンマ補正された画素値が入力される。第3スクリーン処理部125Cは、階調の変化がなだらかとなるスクリーンを有する。第3スクリーン処理部125Cは、複数あるスクリーンのうちから画素値に対応する1のスクリーンを選択して、第2選択部126に出力する。第3スクリーン処理部125Cが有するスクリーンは、第2スクリーン処理部125Bがスクリーンよりも同じ階調であれば線数が少ない。換言すれば、第3スクリーン処理部125Cが実行するスクリーン処理は、写真などが表された領域に実行するのに適している。第2スクリーン処理部125Bが実行するスクリーン処理は、文字が表された領域に実行するのに適している。
【0057】
第2選択部126は、第1〜第3スクリーン処理部125A,125B,125Cそれぞれからスクリーンが入力され、属性判別部109から属性信号が入力される。第2選択部126は、属性判別部109から入力される属性信号に従って、第1〜第3スクリーン処理部125A,125B,125Cそれぞれから入力されるスクリーンのいずれか1つを選択し、選択したスクリーンを画像データとして出力する。具体的には、入力された属性信号が輪郭部分の属性を示す「00」の場合には第1スクリーン処理部125Aが出力するスクリーンを選択し、入力された属性信号が文字内の属性を示す「01」の場合には第2スクリーン処理部125Bが出力するスクリーンを選択し、入力された属性信号が文字以外の属性を示す「11」の場合には第3スクリーン処理部125Cが出力するスクリーンを選択する。
【0058】
図7は、本実施の形態におけるMFPで実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。図7を参照して、MFPには、画像データが入力される(ステップS01)。画像データは、画像読取装置10で原稿を読取って出力される画像データ、通信インターフェースを介して他のコンピュータから送信された画像データのいずれであってもよい。
【0059】
次のステップS02では、ステップS01で入力された画像データから文字を抽出する。この処理は、上述した、エッジ抽出部131、第1ダイレーション処理部132および第1エロージョン処理部133で実行される処理と同様である。これにより、図4(C)に示した文字をエッジ画素とするエッジデータが生成される。
【0060】
次のステップS03では、ステップS02で抽出された文字からその文字の輪郭部分が抽出される。この処理は、第2ダイレーション処理部134、第2エロージョン処理部135および差分抽出部136で実行される処理と同様である。これにより、図4(F)に示した輪郭部分をエッジ画素とするエッジデータが生成される。
【0061】
以下、ステップS02で抽出された文字に含まれる画素であって、ステップS03で抽出された輪郭部分に含まれない画素を文字内画素といい、輪郭部分に含まれる画素でなく、文字内画素でもない画素を文字以外の画素という。
【0062】
次のステップS04では、ステップS01で入力されたRGB表色系の画像データの各画素値を、CMY表色系の画像データに変換する。これにより、以降の処理で処理対象となる画像データは、CMY表色系の画像データとなる。
【0063】
次のステップS05では、画像データのうちから1画素を選択して処理対象画素とし、その処理対象画素が文字か否かが判定される。文字と判定された場合にはステップS06に進み、そうでない場合にはステップS13に進む。ステップS05の判断は、処理対象画素がステップS02で抽出された文字に含まれるか否かにより判断される。具体的には、文字をエッジ画素とするエッジデータを用いて、処理対象画素がエッジ画素か否かが判断される。
【0064】
ステップS06では、処理対象画素が輪郭部分か否かが判定される。輪郭部分と判定された場合にはステップS07に進み、そうでない場合にはステップS10に進む。ステップS06の判断は、処理対象画素がステップS03で抽出された輪郭に含まれるか否かにより判断される。具体的には、輪郭部分をエッジ画素とするエッジデータを用いて、処理対象画素がエッジ画素か否かが判断される。
【0065】
すなわち、ステップS07に進む場合は、処理対象画素が輪郭部分に含まれる場合であり、ステップS10に進む場合は処理対象画素が文字内画素の場合であり、ステップS13に進む場合には処理対象画素が文字以外の画素の場合である。
【0066】
ステップS07では、処理対象画素にエッジを強調するエッジ強調処理を行なう。具体的には、エッジ強調用のフィルタを用いて、処理対象画素の画素値と周辺の画素の画素値とから処理対象画素の画素値を補正する。
【0067】
次のステップS08では、ステップS07で補正された処理対象画素の画素値をエッジ強調用に準備された特性曲線を用いてガンマ補正する。
【0068】
次のステップS09では、エッジ強調用に予め準備されたスクリーンのうちから、ガンマ補正された処理対象画素の画素値に対応する1のスクリーンを選択する。そして、ステップS16に進む。
【0069】
ステップS10では、処理対象画素に解像度を優先したスムージング処理を行なう。具体的には、解像度を優先させた平滑化フィルタを用いて、処理対象画素の画素値とその周辺の画素の画素値とに基づき処理対象画素の画素値を補正する。
【0070】
次のステップS11では、ステップS10でスムージング処理された処理対象画素の画素値を、文字内の画素用に準備された特性曲線を用いてガンマ補正する。
【0071】
次のステップS12では、文字内画素用に予め準備されたスクリーンのうちから、ガンマ補正された処理対象画素の画素値に対応する1のスクリーンを選択する。そして、ステップS16に進む。
【0072】
ステップS13では、処理対象画素に階調を優先したスムージング処理を行なう。具体的には、階調を優先させた平滑化フィルタを用いて、処理対象画素の画素値とその周辺の画素の画素値とに基づき処理対象画素の画素値を補正する。
【0073】
次のステップS14では、ステップS13でスムージング処理された処理対象画素の画素値を、文字以外の画素用に準備された特性曲線を用いてガンマ補正する。
【0074】
次のステップS15では、文字以外の画素用に予め準備されたスクリーンのうちから、ガンマ補正された処理対象画素の画素値に対応する1のスクリーンを選択する。そして、ステップS16に進む。
【0075】
ステップS16では、次に処理対象とするべき画素があるか否かが判断され、真の場合にはステップS05に戻り、次の画素を処理対象画素に選択して上述した処理を繰り返し実行する。偽の場合にはステップS17に進む。
【0076】
ステップS17では、スクリーン処理された画像データを出力する。これにより、画像形成装置20で画像形成され、画像データに基づいて、用紙などの記録媒体に画像が形成される。
【0077】
以上説明したように第1の実施の形態におけるMFPでは、画像データから抽出された文字の輪郭部分にエッジを強調するスクリーン処理を実行し、文字内部分に解像度を優先したスクリーン処理を実行し、文字以外の部分に階調を優先したスクリーン処理を実行する。このため、文字の輪郭部分がエッジ強調され、文字の外部に加えて文字の内部の領域に階調を表現することができる。このため、文字の輪郭を鮮明にするとともに、文字の内部に階調性を持たせた画像を形成することができる。さらに文字の内部に解像度を優先させたスクリーン処理を実行し、文字の外部に階調を優先させたスクリーン処理を実行するので、文字を鮮明に表現することができる。
【0078】
<属性判別部の変形例>
上述した属性判別部109では、画像データから文字を抽出するようにした。変形された属性判別部109Aでは、文字を抽出することなく、エッジとそのエッジを含む矩形のエッジ領域を抽出することによって、画素の属性を判別する。
【0079】
図8は、変形された属性判別部109Aの構成を示すブロック図である。図9は、変形された属性判別部109Aで生成されるエッジデータの一例を示す図である。図8および図9を参照して、属性判別部109Aは、エッジ抽出部131と、文字属性領域抽出部137と、属性信号生成部138とを含む。
【0080】
エッジ抽出部131は、明度データが入力される。エッジ抽出部131は、1次微分フィルタおよび2次微分フィルタを備え、明度データに1次微分フィルタを用いたフィルタ処理と、明度データに2次微分フィルタを用いたフィルタ処理とを実行する。そして、1次微分フィルタを用いたフィルタ処理でエッジと判定された画素(エッジ画素)、および、2次微分フィルタを用いたフィルタ処理でエッジと判定された画素(エッジ画素)を「1」とし、他の画素を「0」とするエッジデータを、文字属性領域抽出部137および属性信号生成部138に出力する。図9(A)は、エッジ抽出部131が出力するエッジデータの一例を示す図である。図では、文字「L」に対応するエッジデータを示している。文字を構成する線の輪郭部分をエッジ画素とされる。図では実線で示している。文字「L」を構成する線の輪郭の内部は、エッジ画素とされていない。
【0081】
文字属性領域抽出部137は、エッジ抽出部131からエッジデータが入力される。そして、入力されたエッジデータから、エッジ画素に外接する矩形の領域を文字属性領域として抽出する。そして、抽出した文字属性領域に含まれる画素を「1」とし、他の画素を「0」とする文字属性領域データを属性信号生成部138に出力する。図9(B)は、文字属性領域抽出部137が出力する文字属性領域データの一例を示す図である。図中斜線で示す部分が文字属性領域を示している。他の領域は、文字以外の例えば写真等が表された領域である。
【0082】
属性信号生成部138は、入力されるエッジデータおよび文字属性領域データから属性信号を生成して、生成した属性信号をプリントデータ生成部110に出力する。属性信号生成部138は、文字属性領域に含まれるエッジ画素に属性信号「00」を割当て、文字属性領域に含まれるがエッジ画素でない画素に属性信号「01」を割当て、文字属性領域に含まれない画素に属性信号「11」を割当てる。
【0083】
図10は、画素の属性とエッジと属性信号との関係を示す図である。図5と比較すると、文字属性領域に含まれるエッジ画素に、属性が輪郭部分と同じ属性信号「00」が割当てられ、文字属性領域に含まれるがエッジ画素でない画素に属性が文字内の属性信号「01」が割当てられ、文字属性領域に含まれない画素に属性が文字以外の属性信号「11」が割当てられている。
【0084】
したがって、変形された属性判別部109Aに従えば、プリントデータ生成部110は、文字属性領域のうちエッジ画素は第1スクリーン処理部125Aによりスクリーン処理された画素値を選択し、エッジ画素以外の画素は第2スクリーン処理部125Bによりスクリーン処理された画素値を選択し、文字属性領域以外の画素は第3スクリーン処理部125Cによりスクリーン処理された画素値を選択する。
【0085】
なお、変形された属性判別部109Aは、エッジ画素を文字の輪郭部分とし、輪郭部分の画素と、エッジ画素以外の文字属性領域の画素と、文字属性領域以外の画素とを区別するようにしたが、属性判別部109Aはこれに限られるものではない。変形された属性判別部109Aは、文字の輪郭部分と、文字の内側部分および外側の周辺部分と、写真等が表された部分とを区別する他の方法を用いて、属性を判別するようにしてもよい。
【0086】
図11は、変形された属性判別部109Aを適用したMFPで実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。図11を参照して、MFPには、画像データが入力される(ステップS21)。次のステップS22では、ステップS01で入力された画像データからエッジ画素を抽出する。この処理は、上述した、エッジ抽出部131で実行される処理と同様である。これにより、図9(A)に示したエッジデータが生成される。
【0087】
次のステップS23では、ステップS02で抽出されたエッジ画素に外接する矩形の文字属性領域を抽出する。この処理は、文字属性領域抽出部137で実行される処理と同様である。これにより、図9(B)に示した文字属性領域データが生成される。
【0088】
次のステップS24では、ステップS01で入力されたRGB表色系の画像データの各画素値を、CMY表色系の画像データに変換する。これにより、以降の処理で処理対象となる画像データは、CMY表色系の画像データとなる。
【0089】
次のステップS25では、画像データのうちから1画素を選択して処理対象画素とし、その処理対象画素が文字属性領域に含まれるか否かが判定される。文字属性領域に含まれると判定された場合にはステップS26に進み、そうでない場合にはステップS33に進む。
【0090】
ステップS26では、処理対象画素がエッジ画素が否かが判定される。処理対象画素がエッジ画素と判定された場合にはステップS27に進み、そうでない場合にはステップS30に進む。
【0091】
ステップS27〜S37の処理は、図7に示した画像処理のステップS07〜ステップS17の処理とそれぞれ同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0092】
以上説明したように、画像データから抽出された文字の輪郭部分にエッジを強調するスクリーン処理を実行し、文字内部分および文字の外側の文字属性領域に解像度を優先したスクリーン処理を実行し、文字属性領域以外の部分に階調を優先したスクリーン処理を実行する。このため、文字の輪郭部分がエッジ強調され、文字の外部に加えて文字の内部の領域に階調を表現することができる。このため、文字の輪郭を鮮明にするとともに、文字の内部に階調性を持たせた画像を形成することができる。
【0093】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態におけるMFPは、第1の実施の形態における属性判別部109とプリントデータ生成部110を変更したものである。他の構成は第1の実施の形態におけるMFPと同様であるのでここでは、異なる点を主に説明する。
【0094】
図12は、第2の実施の形態におけるMFPの属性判別部の構成を示すブロック図である。図13は、属性判別部で生成されるエッジデータの一例を示す図である。
【0095】
属性判別部109Bは、明度データから内エッジ画素を抽出する内エッジ抽出部139と、外エッジ画素を抽出する外エッジ抽出部140と、内エッジ画素と外エッジ画素とから属性信号を生成する合成部141とを含む。
【0096】
内エッジ抽出部139は、明度データが入力される。内エッジ抽出部139は、内エッジを検出するためのフィルタを備え、明度データに内エッジフィルタを用いたフィルタ処理を実行する。そして、内エッジフィルタを用いたフィルタ処理で内エッジと判定された画素(内エッジ画素)を「1」とし、他の画素を「0」とする内エッジデータを、合成部141に出力する。内エッジとは、文字の輪郭の内側を構成する画素をいう。ここで、図13を参照して、文字の輪郭151に対して、その内側の1画素分の幅を有する領域152が内エッジである。
【0097】
外エッジ抽出部140は、明度データが入力される。外エッジ抽出部140は、外エッジを検出するためのフィルタを備え、明度データに外エッジフィルタを用いたフィルタ処理を実行する。そして、外エッジフィルタを用いたフィルタ処理で外エッジと判定された画素(外エッジ画素)を「1」とし、他の画素を「0」とする外エッジデータを、合成部141に出力する。外エッジとは、文字の輪郭の外側を構成する画素をいう。ここで、図13を参照して、文字の輪郭151に対して、その外側の1画素分の幅を有する領域153が外エッジである。
【0098】
合成部141は、内エッジデータと外エッジデータが入力される。合成部141は、論理和回路であり、内エッジデータおよび外エッジデータのいずれかで「1」とされる画素の値を「1」とし、他の画素の値を「0」とする合成データを生成する。そして、合成データで画素値が「1」とされる画素(内エッジ画素または外エッジ画素)に属性信号「00」を割当て、合成データで画素値が「0」とされる画素に属性信号「11」を割当てる。
【0099】
図14は、エッジと属性信号との関係を示す図である。図5と比較すると、内エッジ画素または外エッジ画素に、属性が輪郭部分と同じ属性信号「00」が割当てられ、内エッジでも外エッジでもない背景部分の画素に属性が文字以外の属性信号「11」が割当てられている。
【0100】
図15は、第2の実施の形態におけるプリントデータ生成部の構成を示す図である。図15を参照して、プリントデータ生成部110Aは、エッジ強調処理部121と、第2スムージング処理部122Bと、エッジ強調処理部121および第2スムージング処理部122Bが出力する画素値のいずれかを選択する第1選択部123Aと、第1選択部123Aで選択された画素値をガンマ補正するガンマ補正部124Aと、ガンマ補正された画素値が入力される第1および第3スクリーン処理部125A,125Cと、第1および第3スクリーン処理部125A,125Cが出力する画素値のいずれかを選択する第2選択部126Aとを含む。
【0101】
第1選択部123Aは、属性判別部109Bから入力される属性信号に従って、エッジ強調処理部121が出力する画素値および第2スムージング処理部122Bが出力する画素値のいずれか1つを選択し、選択した画素値をガンマ補正部124Aに出力する。具体的には、入力された属性信号が内エッジ画素または外エッジ画素を示す「00」の場合にはエッジ強調処理部121が出力する画素値を選択し、入力された属性信号が内エッジ画素でも外エッジ画素でもない画素であることを示す「11」の場合には第2スムージング処理部122Bが出力する画素値を選択する。
【0102】
ガンマ補正部124Aは、選択部123Aから画素値が入力され、属性判別部109Bから属性信号が入力される。ガンマ補正部124Aは、入力された画素値を、入力された属性信号に対応する特性曲線を用いてその特性曲線に応じて階調を補正する。これにより、画素の属性に応じて階調性が補正される。そして、ガンマ補正部124Aは、補正した画素値を第1および第3スクリーン処理部125A,125Cに出力する。
【0103】
第2選択部126Aは、第1および第3スクリーン処理部125A,125Cそれぞれからスクリーンが入力され、属性判別部109Bから属性信号が入力される。第2選択部126Aは、属性判別部109Bから入力される属性信号に従って、第1および第3スクリーン処理部125A,125Cそれぞれから入力されるスクリーンのいずれか1つを選択し、選択したスクリーンを画像データとして出力する。具体的には、入力された属性信号が内エッジ画素または外エッジ画素を示す「00」の場合には第1スクリーン処理部125Aが出力するスクリーンを選択し、入力された属性信号が内エッジ画素でも外エッジ画素でもない画素であることを示す「11」の場合には第3スクリーン処理部125Cが出力するスクリーンを選択する。
【0104】
なお、第2の実施の形態における属性判別部109Bは、内エッジ画素と外エッジ画素とを文字の輪郭部分とし、輪郭部分の画素と、輪郭部分以外の画素とを区別するようにしたが、属性判別部109Bはこれに限られるものではない。属性判別部109Bは、文字の輪郭部分の画素と、それ以外の画素とを区別する他の方法を用いて、属性を判別するようにしてもよい。例えば、内エッジ画素のみ、外エッジ画素のみのように、1つのエッジ抽出フィルタを用いて抽出されたエッジ画素を輪郭部分とするようにしてもよい。
【0105】
図16は、第2の実施の形態におけるMFPで実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。図16を参照して、MFPには、画像データが入力される(ステップS41)。次のステップS42では、ステップS01で入力された画像データからエッジ画素を抽出する。この処理は、上述した、内エッジ抽出部139、外エッジ抽出部140で実行される処理と同様である。これにより、図13に示した内エッジ画素および外エッジ画素を「1」とし他の画素を「0」とするエッジデータが生成される。
【0106】
次のステップS43では、ステップS01で入力されたRGB表色系の画像データの各画素値を、CMY表色系の画像データに変換する。これにより、以降の処理で処理対象となる画像データは、CMY表色系の画像データとなる。
【0107】
次のステップS44では、画像データのうちから1画素を選択して処理対象画素とし、その処理対象画素が内エッジ画素または外エッジ画素か否かが判定される。内エッジ画素または外エッジ画素と判定された場合にはステップS45に進み、そうでない場合にはステップS48に進む。
【0108】
ステップS45では、処理対象画素にエッジを強調するエッジ強調処理を行なう。具体的には、エッジ強調用のフィルタを用いて、処理対象画素の画素値と周辺の画素の画素値とから処理対象画素の画素値を補正する。次のステップS46では、ステップS45で補正された処理対象画素の画素値をエッジ強調用に準備された特性曲線を用いてガンマ補正する。次のステップS47では、エッジ強調用に予め準備されたスクリーンのうちから、ガンマ補正された処理対象画素の画素値に対応する1のスクリーンを選択する。そして、ステップS51に進む。
【0109】
ステップS48では、処理対象画素に階調を優先したスムージング処理を行なう。具体的には、階調を優先させた平滑化フィルタを用いて、処理対象画素の画素値とその周辺の画素の画素値とに基づき処理対象画素の画素値を補正する。次のステップS49では、ステップS48でスムージング処理された処理対象画素の画素値を、文字以外の画素用に準備された特性曲線を用いてガンマ補正する。次のステップS50では、文字以外の画素用に予め準備されたスクリーンのうちから、ガンマ補正された処理対象画素の画素値に対応する1のスクリーンを選択する。そして、ステップS51に進む。
【0110】
ステップS51では、次に処理対象とするべき画素があるか否かが判断され、真の場合にはステップS44に戻り、次の画素を処理対象画素に選択して上述した処理を繰り返し実行する。偽の場合にはステップS52に進む。ステップS52では、スクリーン処理された画像データを出力する。これにより、画像形成装置20で画像形成され、画像データに基づいて、用紙などの記録媒体に画像が形成される。
【0111】
<属性判別部の変形例>
図17は、第2の実施の形態におけるMFPの変形された属性判別部の構成を示す図である。図17を参照して、変形された属性判別部109Cは、内エッジ抽出部139で構成される。
【0112】
以上説明したように第2の実施の形態におけるMFPでは、画像データのエッジ画素にエッジを強調するスクリーン処理を実行し、エッジ画素でない画素に階調を優先したスクリーン処理を実行する。このため、文字の輪郭部分がエッジ強調され、文字の内部および外部の領域に階調が表現される画像となる。このため、文字の輪郭を鮮明にするとともに、文字の内部に階調性を持たせた画像を形成することができる。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるMFPの斜視図である。
【図2】本実施の形態におけるMFPの構成を示すブロック図である。
【図3】属性判別部の構成を示すブロック図である。
【図4】属性判別部で生成されるエッジデータの一例を示す図である。
【図5】画素の属性と属性信号との関係を示す図である。
【図6】プリントデータ生成部110の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態におけるMFPで実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】変形された属性判別部の構成を示すブロック図である。
【図9】変形された属性判別部で生成されるエッジデータの一例を示す図である。
【図10】画素の属性とエッジと属性信号との関係を示す図である。
【図11】変形された属性判別部を適用したMFPで実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態におけるMFPの属性判別部の構成を示すブロック図である。
【図13】属性判別部で生成されるエッジデータの一例を示す図である。
【図14】エッジと属性信号との関係を示す図である。
【図15】第2の実施の形態におけるプリントデータ生成部の構成を示す図である。
【図16】第2の実施の形態におけるMFPで実行される画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】第2の実施の形態におけるMFPの変形された属性判別部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10 画像読取装置、20 画像形成装置、102 画像合成部、104 シェーディング補正部、105 ライン間補正部、106 色収差補正部、107 変倍・移動処理部、108 色変換部、109,109A、109B,109C 属性判別部、110,110A プリントデータ生成部、121 エッジ強調処理部、122A 第1スムージング処理部、122B 第2スムージング処理部、123,123A 第1選択部、124,124A ガンマ補正部、125A 第1スクリーン処理部、125B 第2スクリーン処理部、125C 第3スクリーン処理部、126 第2選択部、126A 選択部、131 エッジ抽出部、132 第1ダイレーション処理部部、133 第1エロージョン処理部、134 第2ダイレージョン処理部、135 第2エロージョン処理部、136 差分抽出部、137 文字領域抽出部、138 属性信号生成部、139 内エッジ抽出部、140 外エッジ抽出部、141 合成部、111 プリンタI/F。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する画像データ入力手段と、
文字を構成する画素を含む文字領域と文字の輪郭部分を構成する輪郭画素とを他の画素と区別する属性データを取得する属性データ取得手段と、
前記属性データに基づき、前記画像データにスクリーン処理を実行するスクリーン処理手段とを備え、
前記スクリーン処理手段は、前記画像データの前記輪郭画素に第1のスクリーン処理を実行し、前記画像データの前記文字領域に含まれ、かつ、前記輪郭画素でない画素に第2のスクリーン処理を実行し、前記画像データの前記文字領域に含まれない画素に第3のスクリーン処理を実行する、画像処理装置。
【請求項2】
前記第1のスクリーン処理は、エッジ強調処理であり、
前記第2のスクリーン処理は、解像度を優先したスクリーン処理であり、
前記第3のスクリーン処理は、階調を優先したスクリーン処理である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記属性データ取得手段は、入力された前記画像データから前記文字領域を抽出する文字領域抽出手段と、
前記抽出された文字領域に基づき、文字の輪郭部分を構成する輪郭画素を抽出する輪郭画素抽出手段とを含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記文字領域抽出手段は、入力された前記画像データからエッジ画素を抽出するエッジ画素抽出手段と、
前記エッジ画素と、前記エッジ画素で囲まれた画素とを含む文字領域を抽出する文字領域決定手段とを含む、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記輪郭画素抽出手段は、前記文字領域抽出手段により抽出された前記文字領域を拡張する拡張手段と、
前記文字画素抽出手段により抽出された前記文字領域を収縮する収縮手段と、
前記拡張手段により拡張された後の文字領域に含まれ、かつ、前記収縮手段により収縮された後の文字領域に含まれない画素を輪郭画素とする輪郭画素決定手段とを含む、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
属性データ取得手段は、入力された前記画像データからエッジ画素を前記輪郭画素として抽出するエッジ画素抽出手段と、
抽出された前記エッジ画素を含む矩形の文字属性領域を前記文字領域として抽出する文字属性領域抽出手段とを含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像データの階調性を補正するガンマ補正手段をさらに備え、
前記ガンマ補正手段は、前記画像データの前記輪郭画素、前記画像データの前記文字領域に含まれ、かつ、前記輪郭画素でない画素、および前記画像データの前記文字領域に含まれない画素に、それぞれに対して予め準備された特性曲線に応じてガンマ補正する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データを入力するステップと、
文字を構成する画素を含む文字領域と文字の輪郭部分を構成する輪郭画素とを他の画素と区別する属性データを取得するステップと、
前記画像データの前記輪郭画素に第1のスクリーン処理を実行するステップと、
前記画像データの前記文字領域に含まれ、かつ、前記輪郭画素でない画素に第2のスクリーン処理を実行するステップと、
前記画像データの前記文字領域に含まれない画素に第3のスクリーン処理を実行するステップとをコンピュータに実行させる、画像処理プログラム。
【請求項9】
画像データを入力する画像データ入力手段と、
入力された前記画像データからエッジ画素を抽出するエッジ画素抽出手段と、
前記画像データにスクリーン処理を実行するスクリーン処理手段とを備え、
前記スクリーン処理手段は、前記画像データの前記エッジ画素にエッジ強調処理を実行し、前記画像データの前記エッジ画素として抽出されなかった画素に解像度を優先したスクリーン処理を実行する、画像処理装置。
【請求項10】
画像データを入力するステップと、
入力された前記画像データからエッジ画素を抽出するステップと、
前記画像データの前記エッジ画素にエッジ強調処理を実行するステップと、
前記画像データの前記エッジ画素として抽出されなかった画素に解像度を優先したスクリーン処理を実行するステップとをコンピュータに実行させる、画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−197239(P2006−197239A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6575(P2005−6575)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】